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特開2024-24338報酬管理サーバ、装置、方法、プログラム及びシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024024338
(43)【公開日】2024-02-22
(54)【発明の名称】報酬管理サーバ、装置、方法、プログラム及びシステム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/06 20230101AFI20240215BHJP
【FI】
G06Q10/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022127110
(22)【出願日】2022-08-09
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.JAVASCRIPT
2.RUST
(71)【出願人】
【識別番号】521498760
【氏名又は名称】株式会社zeroinon
(74)【代理人】
【識別番号】100098899
【弁理士】
【氏名又は名称】飯塚 信市
(74)【代理人】
【識別番号】100163865
【弁理士】
【氏名又は名称】飯塚 健
(72)【発明者】
【氏名】上岡 玲子
(72)【発明者】
【氏名】赤塚 大典
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA09
(57)【要約】      (修正有)
【課題】開発プロジェクト毎にプログラムコードとイシューを管理することが可能なウェブサービスを提供するコード管理サーバと連携可能に構成された報酬管理サーバ、管理装置、制御方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】システムにおいて、コード管理サーバと連携可能に構成された報酬管理サーバは、コード管理サーバからイシューを読み出し、イシュー解決依頼者からの第1のリクエストに応じて所定のイシューに対してイシュー解決依頼者が設定する設定報酬額を関連付けて報酬設定済イシューとして登録し、イシュー解決者からの第2のリクエストに応じてイシュー解決者を所定の期間報酬設定済イシューの解決者として排他的に設定し、所定の期間内に前記イシュー解決者によって報酬設定済イシューが解決された場合、イシュー解決依頼者によって予め提供された設定報酬額をイシュー解決者に対して提供する制御を行う。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開発プロジェクト毎に少なくともプログラムコードとイシューを管理することが可能なウェブサービスを提供するコード管理サーバと連携可能に構成された、報酬管理サーバであって、
前記コード管理サーバから前記イシューを読み出す、イシュー読出部と、
イシュー解決依頼者からの第1のリクエストに応じて、所定の前記イシューに対して前記イシュー解決依頼者が設定する設定報酬額を関連付けて、報酬設定済イシューとして登録する、報酬登録部と、
イシュー解決者からの第2のリクエストに応じて、前記イシュー解決者を、所定の期間、前記報酬設定済イシューの解決者として排他的に設定する、イシュー解決者設定部と、
前記所定の期間内に前記イシュー解決者によって前記報酬設定済イシューが解決された場合、前記イシュー解決依頼者によって予め提供された前記設定報酬額を前記イシュー解決者に対して提供する制御を行う、報酬制御部と、
を備える、報酬管理サーバ。
【請求項2】
前記設定報酬額には上限が設けられている、請求項1に記載の報酬管理サーバ。
【請求項3】
前記報酬制御部は、前記イシュー解決者によりなされたプルリクエストを関連する前記開発プロジェクトのオーナーが承認することにより、前記報酬設定済イシューが解決されたと判定する、請求項1に記載の報酬管理サーバ。
【請求項4】
前記オーナーによる承認は、前記プルリクエストをマージする処理である、請求項3に記載の報酬管理サーバ。
【請求項5】
前記所定の期間、前記イシュー解決者が解決しようとする前記イシューに関するログを記録する、イシューログ記録部を、さらに備える、請求項1に記載の報酬管理サーバ。
【請求項6】
前記所定の期間は、事前に設定された不変期間である、請求項1に記載の報酬管理サーバ。
【請求項7】
前記制御は、前記所定の期間内に前記イシュー解決者によって前記報酬設定済イシューが解決されたことを執行条件とする、スマートコントラクトにより実行される、請求項1に記載の報酬管理サーバ。
【請求項8】
前記スマートコントラクトに係るブロックチェーンには、少なくとも、前記イシュー、前記イシューに対して設定された前記設定報酬額、前記設定報酬額を設定した前記イシュー解決依頼者に関する情報、前記イシュー解決者に関する情報、前記イシュー解決者によって解決される前記報酬設定済イシュー、及び、前記イシューが解決されたか否かに関する情報が記録される、請求項7に記載の報酬管理サーバ。
【請求項9】
前記報酬は暗号通貨である、請求項1に記載の報酬管理サーバ。
【請求項10】
任意のイシューと類似するイシューを提示する、類似イシュー提示部をさらに備える、請求項1に記載の報酬管理サーバ。
【請求項11】
過去に設定された報酬額に関する情報に基づいて、前記イシュー解決依頼者に対して、報酬額の目安を提示する、目安報酬額提示部をさらに備える、請求項1に記載の報酬管理サーバ。
【請求項12】
前記イシュー解決者から前記報酬設定済イシューに対する報酬案を受領する、報酬案受領部と、
前記報酬案を前記イシュー解決依頼者に対して提示する、報酬案提示部と、
前記イシュー解決依頼者の判断結果に応じて前記設定報酬額を更新する、報酬更新部と、をさらに備える、請求項1に記載の報酬管理サーバ。
【請求項13】
解決された前記イシューに関連する前記イシュー解決者又は解決された前記イシューに関連する前記開発プロジェクトのオーナーに対して追加報酬を提供することを可能とする、追加報酬提供部をさらに備える、請求項1に記載の報酬管理サーバ。
【請求項14】
前記イシューが解決された後に、前記イシュー解決者又は前記イシュー解決依頼者から前記イシュー解決依頼者又は前記イシュー解決者に関する評価情報を取得する、評価情報取得部と、
前記評価情報を提示する、評価情報提示部と、をさらに備える請求項1に記載の報酬管理サーバ。
【請求項15】
所定の評価基準と前記評価情報に基づき前記イシュー解決者又は前記イシュー解決依頼者に対してデジタルバッヂを付与する、デジタルバッヂ付与部と、
前記デジタルバッヂに基づいて前記イシュー解決者又は前記イシュー解決依頼者に特典を付与する、特典付与部と、をさらに備える、請求項14に記載の報酬管理サーバ。
【請求項16】
前記評価情報取得部は、さらに、
前記イシューが解決された後に、前記イシュー解決者又は前記イシュー解決依頼者に対して、前記イシュー解決依頼者又は前記イシュー解決者の評価に用いるトークンを発行する、評価トークン発行部、をさらに備える、請求項14に記載の報酬管理サーバ。
【請求項17】
開発プロジェクト毎に少なくともプログラムコードとイシューを管理することが可能なウェブサービスを提供するコード管理サーバと連携可能に構成された、報酬管理装置であって、
前記コード管理サーバから前記イシューを読み出す、イシュー読出部と、
イシュー解決依頼者からの第1のリクエストに応じて、所定の前記イシューに対して前記イシュー解決依頼者が設定する設定報酬額を関連付けて、報酬設定済イシューとして登録する、報酬登録部と、
イシュー解決者からの第2のリクエストに応じて、前記イシュー解決者を、所定の期間、前記報酬設定済イシューの解決者として排他的に設定する、イシュー解決者設定部と、
前記所定の期間内に前記イシュー解決者によって前記報酬設定済イシューが解決された場合、前記イシュー解決依頼者によって予め提供された前記設定報酬額を前記イシュー解決者に対して提供する制御を行う、報酬制御部と、
を備える、報酬管理装置。
【請求項18】
開発プロジェクト毎に少なくともプログラムコードとイシューを管理することが可能なウェブサービスを提供するコード管理サーバと連携可能に構成された、報酬管理サーバの制御方法であって、
前記コード管理サーバから前記イシューを読み出す、イシュー読出ステップと、
イシュー解決依頼者からの第1のリクエストに応じて、所定の前記イシューに対して前記イシュー解決依頼者が設定する設定報酬額を関連付けて、報酬設定済イシューとして登録する、報酬登録ステップと、
イシュー解決者からの第2のリクエストに応じて、前記イシュー解決者を、所定の期間、前記報酬設定済イシューの解決者として排他的に設定する、イシュー解決者設定ステップと、
前記所定の期間内に前記イシュー解決者によって前記報酬設定済イシューが解決された場合、前記イシュー解決依頼者によって予め提供された前記設定報酬額を前記イシュー解決者に対して提供する制御を行う、報酬制御ステップと、
を備える、制御方法。
【請求項19】
開発プロジェクト毎に少なくともプログラムコードとイシューを管理することが可能なウェブサービスを提供するコード管理サーバと連携可能に構成された、報酬管理サーバの制御プログラムであって、
前記コード管理サーバから前記イシューを読み出す、イシュー読出ステップと、
イシュー解決依頼者からの第1のリクエストに応じて、所定の前記イシューに対して前記イシュー解決依頼者が設定する設定報酬額を関連付けて、報酬設定済イシューとして登録する、報酬登録ステップと、
イシュー解決者からの第2のリクエストに応じて、前記イシュー解決者を、所定の期間、前記報酬設定済イシューの解決者として排他的に設定する、イシュー解決者設定ステップと、
前記所定の期間内に前記イシュー解決者によって前記報酬設定済イシューが解決された場合、前記イシュー解決依頼者によって予め提供された前記設定報酬額を前記イシュー解決者に対して提供する制御を行う、報酬制御ステップと、
を備える、制御プログラム。
【請求項20】
開発プロジェクト毎に少なくともプログラムコードとイシューを管理することが可能なウェブサービスを提供するコード管理サーバと、
前記コード管理サーバと連携可能に構成された、報酬管理サーバと、
から成るシステムであって、
前記報酬管理サーバは、
前記コード管理サーバから前記イシューを読み出す、イシュー読出部と、
イシュー解決依頼者からの第1のリクエストに応じて、所定の前記イシューに対して前記イシュー解決依頼者が設定する設定報酬額を関連付けて、報酬設定済イシューとして登録する、報酬登録部と、
イシュー解決者からの第2のリクエストに応じて、前記イシュー解決者を、所定の期間、前記報酬設定済イシューの解決者として排他的に設定する、イシュー解決者設定部と、
前記所定の期間内に前記イシュー解決者によって前記報酬設定済イシューが解決された場合、前記イシュー解決依頼者によって予め提供された前記設定報酬額を前記イシュー解決者に対して提供する制御を行う、報酬制御部と、
を備える、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ネットワークと接続されたサーバ等、特に、ウェブサービスを提供するサーバ等に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、プログラムコードやデザインデータ等をホスティングし、多数の開発者による共同での開発、レビュー又はプロジェクト管理等を可能とする、ウェブサービスが知られている。この種のウェブサービスとしては、例えば、GitHubが有名である(非特許文献1)。
【0003】
ところで、この種のウェブサービスにおいては、プログラムコード等を共同で開発する機能とは別に、開発者間でイシュー(Issue(課題))の提起・共有・解決等のための機能が設けられている。このような機能によれば、開発者間で課題の進捗管理等を行うことができる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】GitHub,Inc.、ホームページ、[online]、[令和4年7月28日検索]、インターネット<URL:https://github.co.jp/>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、この種のウェブサービス上には、現実には多数のプロジェクトが存在している。そのため、例えば、開発者の間であまり着目されていないプロジェクトの場合、イシューの提起はあっても、それを解決する開発者がなかなか現れないことがあった。このような事態が続けば、プロジェクトの発展を期待することができなかった。
【0006】
本発明は上述の技術的背景に鑑みてなされたものであり、その目的は、開発プロジェクト毎に少なくともプログラムコードとイシューを管理することが可能なウェブサービスに係るイシューの解決を促進し、ひいては、開発プロジェクトの発展を促進することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の技術的課題は、以下の構成を有するサーバ等により解決することができる。
【0008】
すなわち、本発明に係る報酬管理サーバは、開発プロジェクト毎に少なくともプログラムコードとイシューを管理することが可能なウェブサービスを提供するコード管理サーバと連携可能に構成された、報酬管理サーバであって、前記コード管理サーバから前記イシューを読み出す、イシュー読出部と、イシュー解決依頼者からの第1のリクエストに応じて、所定の前記イシューに対して前記イシュー解決依頼者が設定する設定報酬額を関連付けて、報酬設定済イシューとして登録する、報酬登録部と、イシュー解決者からの第2のリクエストに応じて、前記イシュー解決者を、所定の期間、前記報酬設定済イシューの解決者として排他的に設定する、イシュー解決者設定部と、前記所定の期間内に前記イシュー解決者によって前記報酬設定済イシューが解決された場合、前記イシュー解決依頼者によって予め提供された前記設定報酬額を前記イシュー解決者に対して提供する制御を行う、報酬制御部と、を備えている。
【0009】
このような構成によれば、開発プロジェクト毎に少なくともプログラムコードとイシューを管理することが可能なウェブサービスにおけるイシューの単位で解決依頼や報酬設定等を行うことができる。この種のイシューは、一般に規模が小さく、解決すべき課題が明確なため、イシュー解決者にとっては解決がしやすい。また、イシュー解決にあたって報酬が設定されることから、イシュー解決者を解決に向けて動機づけることができる。さらに、所定の期間、イシュー解決者には排他的な解決優先権が与えられるため、イシュー解決者としては安心してイシューの解決にあたることができる。加えて、イシューが解決された場合、前記イシュー解決者にはイシュー解決依頼者によって予め提供されている設定報酬額を受け取ることができる。すなわち、これらを通じて、イシュー解決依頼者及びイシュー解決者の両者にとって安心・安全な取引システムが実現されると共に、イシューの解決、ひいては、開発プロジェクトの発展を促進することができる。
【0010】
前記設定報酬額には上限が設けられている、ものであってもよい。
【0011】
このような構成によれば、報酬上限が設けられているので、報酬に関するトラブルを小さくすることができる。また、報酬上限が設けられているので、イシューの解決依頼者は、その報酬額に見合う程度にイシュー規模を小さくしようと務めることとなる。これにより、解決依頼者は的確な依頼を出すことができると共に、解決者も短い時間で解決できるので隙間時間等を利用して依頼を受けられる。すなわち、イシューの解決依頼者、解決者双方にとって利益があり、イシューの解決がより促進される。
【0012】
前記報酬制御部は、前記イシュー解決者によりなされたプルリクエストを関連する前記開発プロジェクトのオーナーが承認することにより、前記報酬設定済イシューが解決されたと判定する、ものであってもよい。
【0013】
このような構成によれば、イシューの解決をこの種のウェブサービスにおいて一般に行われるプルリクエストの承認に基づいて判定することができる。
【0014】
前記オーナーによる承認は、前記プルリクエストをマージする処理であってもよい。
【0015】
このような構成によれば、イシューの解決をこの種のウェブサービスにおいて一般に行われるプルリクエストのマージに基づいて判定することができる。
【0016】
前記所定の期間、前記イシュー解決者が解決しようとする前記イシューに関するログを記録する、イシューログ記録部を、さらに備える、ものであってもよい。
【0017】
このような構成によれば、イシューを解決する間におけるイシューのログを記録することができるので、不正や紛争の抑止となると共に、後からの検証可能性を向上させることができる。
【0018】
前記所定の期間は、事前に設定された不変期間であってもよい。
【0019】
このような構成によれば、イシュー解決依頼者には、イシューを可能な限り当該不変期間内に解決可能な程度の規模へと小さくしようとする意識付けが働く。また、イシュー解決依頼者は、自ら期限等を設ける必要がなくなるので手間が低減される。
【0020】
前記制御は、前記所定の期間内に前記イシュー解決者によって前記報酬設定済イシューが解決されたことを執行条件とする、スマートコントラクトにより実行される、ものであってもよい。
【0021】
このような構成によれば、報酬の提供を、改ざんや不正のおそれが少なく、地理的・時間的制約を受けることがない態様で自動執行することができる。
【0022】
前記スマートコントラクトに係るブロックチェーンには、少なくとも、前記イシュー、前記イシューに対して設定された前記設定報酬額、前記設定報酬額を設定した前記イシュー解決依頼者に関する情報、前記イシュー解決者に関する情報、前記イシュー解決者によって解決される前記報酬設定済イシュー、及び、前記イシューが解決されたか否かに関する情報が記録される、ものであってもよい。
【0023】
このような構成によれば、ブロックチェーンを用いて、改ざんや不正のおそれが少なく、取引過程を記録することができる。また、報酬設定済イシューの解決者になるためにはブロックチェーンへの書き込みが必要であり、所謂ガス代が発生するため、安易に解決者となることを防止することができる。さらに、ブロックチェーンにより過去の取引過程を閲覧することができるので、イシューの解決依頼者、解決者等がそれまでにイシューに関する解決依頼、解決、支払い等に関して適切な又は誠実な対応を行ってきたか、どの程度の数の取引をしてきたか等を確認することができる。
【0024】
前記報酬は暗号通貨であってもよい。
【0025】
このような構成によれば、改ざんや不正のおそれが少ない状態で、地理的・時間的制約を受けることなく報酬の処理を行うことができる。
【0026】
任意のイシューと類似するイシューを提示する、類似イシュー提示部をさらに備える、ものであってもよい。
【0027】
このような構成によれば、利用者は類似するイシューを参照することができるので、適切にイシューを作成することができる。
【0028】
過去に設定された報酬額に関する情報に基づいて、前記イシュー解決依頼者に対して、報酬額の目安を提示する、目安報酬額提示部をさらに備える、ものであってもよい。
【0029】
このような構成によれば、目安報酬額に基づいて妥当な報酬額を設定することができる。
【0030】
前記イシュー解決者から前記報酬設定済イシューに対する報酬案を受領する、報酬案受領部と、前記報酬案を前記イシュー解決依頼者に対して提示する、報酬案提示部と、前記イシュー解決依頼者の判断結果に応じて前記設定報酬額を更新する、報酬更新部と、をさらに備える、ものであってもよい。
【0031】
このような構成によれば、イシュー解決者の側から報酬額を提案することができるので、イシューに対して妥当な報酬額を設定することができる。
【0032】
解決された前記イシューに関連する前記イシュー解決者又は解決された前記イシューに関連する前記開発プロジェクトのオーナーに対して追加報酬を提供することを可能とする、追加報酬提供部をさらに備える、ものであってもよい。
【0033】
このような構成によれば、解決済のイシューの解決者又は開発プロジェクトのオーナーに対して追加的に報酬を提供することができるので、それぞれに対する感謝を示すことができる。
【0034】
前記イシューが解決された後に、前記イシュー解決者又は前記イシュー解決依頼者から前記イシュー解決依頼者又は前記イシュー解決者に関する評価情報を取得する、評価情報取得部と、前記評価情報を提示する、評価情報提示部と、をさらに備えるものであってもよい。
【0035】
このような構成によれば、イシュー解決の際に関係者が互いの評価を行い、そのような評価情報が蓄積することができることから、互いの信頼性を判断することが可能となる。
【0036】
所定の評価基準と前記評価情報に基づき前記イシュー解決者又は前記イシュー解決依頼者に対してデジタルバッヂを付与する、デジタルバッヂ付与部と、前記デジタルバッヂに基づいて前記イシュー解決者又は前記イシュー解決依頼者に特典を付与する、特典付与部と、をさらに備えるものであってもよい。
【0037】
このような構成によれば、各開発者等は評価を高めるように動機づけられるので、イシューの解決が促進され、ひいては、開発プロジェクトの発展が促進される。
【0038】
前記評価情報取得部は、さらに、前記イシューが解決された後に、前記イシュー解決者又は前記イシュー解決依頼者に対して、前記イシュー解決依頼者又は前記イシュー解決者の評価に用いるトークンを発行する、評価トークン発行部、をさらに備える、ものであってもよい。
【0039】
このような構成によれば、評価情報を改竄困難な態様で書き込むことができるようになる。
【0040】
別の側面から見た本発明は、開発プロジェクト毎に少なくともプログラムコードとイシューを管理することが可能なウェブサービスを提供するコード管理サーバと連携可能に構成された、報酬管理装置であって、前記コード管理サーバから前記イシューを読み出す、イシュー読出部と、イシュー解決依頼者からの第1のリクエストに応じて、所定の前記イシューに対して前記イシュー解決依頼者が設定する設定報酬額を関連付けて、報酬設定済イシューとして登録する、報酬登録部と、イシュー解決者からの第2のリクエストに応じて、前記イシュー解決者を、所定の期間、前記報酬設定済イシューの解決者として排他的に設定する、イシュー解決者設定部と、前記所定の期間内に前記イシュー解決者によって前記報酬設定済イシューが解決された場合、前記イシュー解決依頼者によって予め提供された前記設定報酬額を前記イシュー解決者に対して提供する制御を行う、報酬制御部と、を備えている。
【0041】
別の側面から見た本発明は、開発プロジェクト毎に少なくともプログラムコードとイシューを管理することが可能なウェブサービスを提供するコード管理サーバと連携可能に構成された、報酬管理サーバの制御方法であって、前記コード管理サーバから前記イシューを読み出す、イシュー読出ステップと、イシュー解決依頼者からの第1のリクエストに応じて、所定の前記イシューに対して前記イシュー解決依頼者が設定する設定報酬額を関連付けて、報酬設定済イシューとして登録する、報酬登録ステップと、イシュー解決者からの第2のリクエストに応じて、前記イシュー解決者を、所定の期間、前記報酬設定済イシューの解決者として排他的に設定する、イシュー解決者設定ステップと、前記所定の期間内に前記イシュー解決者によって前記報酬設定済イシューが解決された場合、前記イシュー解決依頼者によって予め提供された前記設定報酬額を前記イシュー解決者に対して提供する制御を行う、報酬制御ステップと、を備えている。
【0042】
別の側面から見た本発明は、開発プロジェクト毎に少なくともプログラムコードとイシューを管理することが可能なウェブサービスを提供するコード管理サーバと連携可能に構成された、報酬管理サーバの制御プログラムであって、前記コード管理サーバから前記イシューを読み出す、イシュー読出ステップと、イシュー解決依頼者からの第1のリクエストに応じて、所定の前記イシューに対して前記イシュー解決依頼者が設定する設定報酬額を関連付けて、報酬設定済イシューとして登録する、報酬登録ステップと、イシュー解決者からの第2のリクエストに応じて、前記イシュー解決者を、所定の期間、前記報酬設定済イシューの解決者として排他的に設定する、イシュー解決者設定ステップと、前記所定の期間内に前記イシュー解決者によって前記報酬設定済イシューが解決された場合、前記イシュー解決依頼者によって予め提供された前記設定報酬額を前記イシュー解決者に対して提供する制御を行う、報酬制御ステップと、を備えている。
【0043】
別の側面から見た本発明は、開発プロジェクト毎に少なくともプログラムコードとイシューを管理することが可能なウェブサービスを提供するコード管理サーバと、前記コード管理サーバと連携可能に構成された、報酬管理サーバと、から成るシステムであって、前記報酬管理サーバは、前記コード管理サーバから前記イシューを読み出す、イシュー読出部と、イシュー解決依頼者からの第1のリクエストに応じて、所定の前記イシューに対して前記イシュー解決依頼者が設定する設定報酬額を関連付けて、報酬設定済イシューとして登録する、報酬登録部と、イシュー解決者からの第2のリクエストに応じて、前記イシュー解決者を、所定の期間、前記報酬設定済イシューの解決者として排他的に設定する、イシュー解決者設定部と、前記所定の期間内に前記イシュー解決者によって前記報酬設定済イシューが解決された場合、前記イシュー解決依頼者によって予め提供された前記設定報酬額を前記イシュー解決者に対して提供する制御を行う、報酬制御部と、を備えている。
【発明の効果】
【0044】
本発明によれば、開発プロジェクト毎に少なくともプログラムコードとイシューを管理することが可能なウェブサービスに係るイシューの解決を促進し、ひいては、開発プロジェクトの発展を促進することができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
図1図1は、システムの全体構成図である。
図2図2は、コード管理サーバのハードウェア構成図である。
図3図3は、報酬管理サーバのハードウェア構成図である。
図4図4は、オーナー端末、解決依頼者端末、又は解決者端末のハードウェア構成図である。
図5図5は、ブロックチェーンネットワーク端末31のハードウェア構成図である。
図6図6は、コード管理サーバの機能ブロック図である。
図7図7は、報酬管理サーバの機能ブロック図である。
図8図8は、イシューの作成に関するフロー図である。
図9図9は、イシューへの報酬設定処理に関するフロー図である。
図10図10は、報酬登録に関する画面図である。
図11図11は、イシューの選択処理に関するフロー図である。
図12図12は、検索結果に関する画面図である。
図13図13は、アサイン期間用処理の詳細フローチャートである。
図14図14は、イシューの解決処理の一例を示すフロー図である。
図15図15は、報酬の支払いに関するフロー図である。
図16図16は、報酬の受け取りに関する画面図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
以下、本発明の好適な実施の形態について添付の図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0047】
(1.第1の実施形態)
第1の実施形態として、本発明を、コード管理サーバ1と、コード管理サーバ1と連携する報酬管理サーバ2と、を含むシステム100に対して適用した例について説明する。
【0048】
(1.1 システムの構成)
図1は、システム100の全体構成図である。同図から明らかな通り、システム100は、コード管理サーバ1と、報酬管理サーバ2と、オーナー端末5と、解決依頼者端末6、と解決者端末7と、多数のブロックチェーンネットワーク端末31(31-1~31-N)とが、インターネット10を介して接続されることにより構成されている。
【0049】
コード管理サーバ1は、プログラムコードやデザインデータ等をホスティングし、多数の開発者による共同での開発、レビュー又はプロジェクト管理等を可能とする、ウェブサービスを提供するサーバである。このウェブサービスの利用者は、コード管理サーバ1により提供される機能により、プログラムコードの開発やイシュー(Issue(課題))の提起・共有・解決等を行うことができる。
【0050】
報酬管理サーバ2は、コード管理サーバ1と連携することができるように構成されている。具体的には、報酬管理サーバ2は、API(アプリケーション・プログラミング・インタフェース)等を介してコード管理サーバ1で管理されている情報、例えば、イシューに関する情報等を取得することができる。
【0051】
オーナー端末5は、コード管理サーバ1の提供するウェブサービス上でプロジェクトを立ち上げたプロジェクト(又はレポジトリ)のオーナー(所有者)の使用する端末である。なお、オーナーはコード管理サーバ1へと認証を行うことにより、使用している情報処理端末をオーナー端末5とすることができる。
【0052】
解決依頼者端末6は、コード管理サーバ1の提供するウェブサービス上の任意のイシューについて解決することを依頼する者の使用する端末である。このとき、イシューは、解決依頼者自身が提起したものである必要はなく他者が提起したものであってもよい。また、オーナーも解決依頼者となることができる。なお、解決依頼者は、コード管理サーバ1との間で認証を行うことにより、使用しているPC等の情報処理端末を解決依頼者端末6とすることができる。
【0053】
解決者端末7は、コード管理サーバ1の提供するウェブサービス上の任意のイシューについてプルリクエスト等を行って解決しようとする者の使用する端末である。なお、解決者は、コード管理サーバ1との間で認証を行うことにより、使用しているPC等の情報処理端末を解決者端末7とすることができる。
【0054】
ブロックチェーンネットワーク端末31(31-1~31-N)は、所定のアプリケーションプログラムを介してP2P方式で通信を行うブロックチェーンネットワーク30を構成する情報処理端末である。ブロックチェーンネットワーク30は、後述のスマートコントラクトや分散台帳等の機能を提供する。
【0055】
図2は、コード管理サーバ1のハードウェア構成図である。同図から明らかな通り、コード管理サーバ1は、制御部11、記憶部12、通信部13、表示部15、入力部16及びスピーカ19を備え、それらは互いにバス等を介して接続されている。
【0056】
制御部11は、CPU等の演算装置であり後述の種々のプログラムの実行処理を行う。記憶部12は、ROM、RAM、ハードディスク、フラッシュメモリ等の記憶装置であり、プログラムやデータの記憶を行う。通信部13は、通信ユニットであり、インターネットを介して外部装置とデータの授受を行うことを可能とする。表示部15は、制御部11による制御に従って表示処理等を行う。入力部16は、マウス、キーボード等の入力デバイスであり、入力信号を検出して制御部11へと提供する。スピーカ19は、制御部11による制御に従ってオーディオ出力処理を行う。なお、同構成図においては、電源供給系統については省略されている点に留意されたい。
【0057】
図3は、報酬管理サーバ2のハードウェア構成図である。同図から明らかな通り、報酬管理サーバ2も、コード管理サーバ1と同様に、制御部21、記憶部22、通信部23、表示部25、入力部26及びスピーカ29を備え、それらは互いにバス等を介して接続されている。
【0058】
制御部21は、CPU等の演算装置であり後述の種々のプログラムの実行処理を行う。記憶部22は、ROM、RAM、ハードディスク、フラッシュメモリ等の記憶装置であり、プログラムやデータの記憶を行う。通信部23は、通信ユニットであり、インターネットを介して外部装置とデータの授受を行うことを可能とする。表示部25は、制御部21による制御に従って表示処理を行う。入力部26は、マウス、キーボード等の入力デバイスであり、入力信号を検出して制御部21へと提供する。スピーカ29は、制御部21による制御に従ってオーディオ出力処理を行う。なお、同構成図においては、電源供給系統については省略されている点に留意されたい。
【0059】
図4は、オーナー端末5のハードウェア構成図である。同図から明らかな通り、オーナー端末5は、制御部51、記憶部52、通信部53、表示部55、入力部56、マイク57、カメラ58及びスピーカ59を備え、それらは互いにバス等を介して接続されている。
【0060】
制御部51は、CPU等の演算装置であり後述の種々のプログラムの実行処理を行う。記憶部52は、ROM、RAM、ハードディスク、フラッシュメモリ等の記憶装置であり、プログラムやデータの記憶を行う。通信部53は、通信ユニットであり、インターネットを介して外部装置とデータの授受を行うことを可能とする。表示部55は、制御部51による制御に従って表示処理を行う。入力部56は、マウス、キーボード等の入力デバイスであり、入力信号を検出して制御部51へと提供する。スピーカ59は、制御部51による制御に従ってオーディオ出力処理を行う。なお、同構成図においては、電源供給系統については省略されている点に留意されたい。
【0061】
解決依頼者端末6と、解決者端末7のハードウェア構成は、オーナー端末5の構成と略同一であるので、ここでは詳細な説明を省略する。
【0062】
図5は、ブロックチェーンネットワーク端末31のハードウェア構成図である。同図から明らかな通り、ブロックチェーンネットワーク端末31は、制御部311、記憶部312、通信部313、表示部315、入力部316、マイク317、カメラ318及びスピーカ319を備え、それらは互いにバス等を介して接続されている。
【0063】
制御部311は、CPU等の演算装置であり後述の種々のプログラムの実行処理を行う。記憶部312は、ROM、RAM、ハードディスク、フラッシュメモリ等の記憶装置であり、プログラムやデータの記憶を行う。通信部313は、通信ユニットであり、インターネットを介して外部装置とデータの授受を行うことを可能とする。表示部315は、制御部311による制御に従って表示処理を行う。入力部316は、マウス、キーボード等の入力デバイスであり、入力信号を検出して制御部311へと提供する。スピーカ319は、制御部311による制御に従ってオーディオ出力処理を行う。なお、同構成図においては、電源供給系統については省略されている点に留意されたい。
【0064】
図6は、コード管理サーバ1の機能ブロック図である。同図から明らかな通り、制御部11は、記憶部12と連携して、複数の機能を提供する。
【0065】
認証処理部111は、認証処理コード管理サーバ1の提供するウェブサービスへの登録者の認証処理を行う。レポジトリ管理部112は、レポジトリの管理に関する処理、例えば、レポジトリの生成、変更、管理等に関する処理を行う。コード管理部113は、プログラムコードの管理に関する処理を行う。イシュー管理部115は、イシューに関する管理を行う。
【0066】
図7は、報酬管理サーバ2の機能ブロック図である。同図から明らかな通り、制御部21は、記憶部22と連携して、複数の機能を提供する。
【0067】
認証処理部211は、報酬管理サーバ2の提供するウェブサービスへの登録者の認証処理を行う。なお、本実施形態においては、報酬管理サーバ2の提供するウェブサービスへの認証情報は、コード管理サーバ1の提供するウェブサービスへの認証情報と同一である。
【0068】
DB管理部212は、記憶部22のデータベース(DB)へと記憶する情報を管理する処理を行う。報酬設定処理部213は、利用者からの指令に従って、イシューに対する報酬を設定する処理を行う。報酬支払処理部215は、所定の条件下で、解決者に対して報酬を支払う処理を行う。イシュー情報管理部216は、コード管理サーバ1から取得したイシュー情報を管理する処理を行う。
【0069】
イシューログ管理部217は、イシューに関する処理等をログとして記録する処理を行う。暗号通貨処理部218は、暗号通貨の移転等に関する処理を行う。コントラクト処理部219は、スマートコントラクトとの間の処理を行う。
【0070】
以上、本システムに関する構成について説明したが、本発明はこのような構成に限定されない。従って、一部の装置の機能を分離したり統合したりする等して、様々に構成を変形することができる。また、処理の主体をサーバ装置とするかクライアント装置とするかは自在に変更可能である。
【0071】
(1.2 システムの動作)
本実施形態においては、イシューを解決した者に対して、暗号通貨による報酬が支払われる。以下、システム100の動作について説明する。
【0072】
(イシューの登録処理)
図8は、コード管理サーバ1上でのイシューの作成に関するフロー図である。同図から明らかな通り、処理が開始すると、オーナー端末5からログイン情報に相当する認証情報が送信される(S11)。認証処理部111は、この認証情報を予め登録されたユーザ情報と照合して認証処理を行う(S12)。これにより、オーナーは、コード管理サーバ1により提供されるウェブサービスにログインすることができる。
【0073】
同様に、解決依頼者端末6から認証情報が送信されると(S13)、認証処理部111は、この認証情報を予め登録されたユーザ情報と照合して認証処理を行う(S14)。これにより、解決依頼者は、コード管理サーバ1により提供されるウェブサービスへとログインすることができる。
【0074】
コード管理サーバによる認証の後、オーナー端末5は、報酬管理サーバ2へと、報酬管理サーバ2により提供されるウェブサービスへのログイン情報に相当する認証情報を提供する(S15)。認証処理部211は、この認証情報を予め登録されたユーザ情報と照合して認証処理を行う(S16)。これにより、オーナーは、報酬管理サーバ2により提供されるウェブサービスにログインすることができる。
【0075】
同様に、解決依頼者端末6から認証情報が送信されると(S17)、認証処理部211は、この認証情報を予め登録されたユーザ情報と照合して認証処理を行う(S18)。これにより、解決依頼者は、報酬管理サーバ2により提供されるウェブサービスへとログインすることができる。
【0076】
認証処理の後、オーナー端末5から所定のプロジェクトに関するレポジトリの作成リクエストが行われると(S19)、コード管理サーバ1のレポジトリ管理部112は、所定のプロジェクトに関するレポジトリをコード管理サーバ1上に作成する処理を行う(S20)。
【0077】
レポジトリの作成処理の後、解決依頼者端末6から所定のプロジェクトに関するレポジトリに関連してイシュー作成リクエストが行われると(S21)、コード管理サーバ1は、新たなイシューを作成する処理を行う(S22)。以上の処理により、コード管理サーバ1上にイシューが登録される。なお、イシューとは、コードに関するバグの解決要望や新たな機能要望等の解決可能な課題情報である。
【0078】
(イシューへの報酬設定処理)
図9は、イシューへの報酬設定処理に関するフロー図である。同図から明らかな通り、処理が開始し、解決依頼者端末6から解決を希望するイシューを特定する情報、本実施形態においてはイシューのURLが送信されると(S25)、報酬管理サーバ2のイシュー管理部115は、当該イシューのURLに対応するイシュー情報を、APIを介してコード管理サーバ1に対してリクエストする処理を行う(S26)。
【0079】
このリクエストに応じて、コード管理サーバ1は、報酬管理サーバ2へとイシュー情報を提供する(S27)。イシュー情報を受信した報酬管理サーバ2は、受信したイシュー情報を解決依頼者端末に対して提示する処理を行う(S28)。解決依頼者は、解決依頼者端末6上に表示されたイシュー情報を確認し、イシューに対して報酬を登録する処理を行う(S31)。
【0080】
図10は、解決依頼者端末6上に表示される報酬登録に関する画面図である。画面右上には、「abc@z」としてログインしていること、すなわち、解決依頼者のログインステータスが表示されている。
【0081】
画面中央には、上から、「Issue URL」との記載と共にイシューURLの入力欄、「Reward for developer」との記載と共にイシューの解決者に対して設定しようとする報酬の入力欄、最下段に登録ボタンが配置されている。同図の例にあっては、イシューURLの入力欄にイシューを特定するURL情報が表示され、報酬の入力欄に報酬として0.2Ethが表示されている。
【0082】
この状態において、登録ボタンを選択することで、イシューに対して報酬を登録する処理(S31)を行うことができる。なお、「Eth」はイーサリアムという名称の暗号通貨の単位を表している。また、暗号通貨は種類は限定されず、他の種類の暗号通貨を用いてもよい。
【0083】
図9に戻り、報酬の登録処理が行われると、イシューのURLと報酬情報が報酬管理サーバ2へと送信される(S32)。これらの情報を受信した報酬管理サーバ2の報酬設定処理部213は、報酬設定処理を実行する(S33)。
【0084】
より詳細には、報酬設定処理部213は、ブロックチェーンネットワーク30上において実現されるスマートコント用ブロックチェーンに対して、解決依頼者に関する情報、イシューURL、報酬情報を提供し記録する。なお、この取引に要するガス代は、予め報酬管理サーバ2に登録された解決依頼者のウォレットから提供される。
【0085】
このような構成によれば、報酬登録にガス代を要することから安易な報酬設定を防止することができる。
【0086】
報酬設定処理の後、報酬管理サーバ2の暗号通貨処理部218は、デポジット処理を行う(S35)。デポジット処理とは、報酬設定と同時に、イシューの解決依頼者のウォレットから報酬相当額を報酬管理サーバ2のシステム管理者のウォレットへと移転する処理である。後述するように、イシューが解決された場合、システム管理者のウォレットからイシューの解決者のウォレットへと報酬相当額が移転される。
【0087】
このような構成によれば、予め報酬がシステム管理者のウォレットへと移転されるので、イシューの解決者は支払いについて心配することなく安心してイシューの解決に取り組むことができる。
【0088】
これら一連の報酬設定処理が完了すると、報酬管理サーバ2は、これらすべての情報を報酬管理サーバ2の記憶部12に設けられたデータベースへと書き込む処理を実行する(S36)。これにより、後述するように、報酬が設定されたイシューを直ちに検索すること等が可能となる。
【0089】
(報酬が設定されたイシューの選択処理)
図11は、解決者によるイシューの選択処理に関するフロー図である。同図から明らかな通り、処理が開始すると、解決者端末7から、コード管理サーバ1と報酬管理サーバ2へと認証情報が送信される(S41、S43)。
【0090】
コード管理サーバ1の認証処理部111は、この認証情報を予め登録されているユーザ情報と照合して認証処理を行う(S42)。同様に報酬管理サーバ2の認証処理部211も、受信した認証情報を予め登録されているユーザ情報と照合して認証処理を行う(S45)。これらにより、解決者は、各サーバの提供するウェブサービスへとログインすることができる。
【0091】
認証処理が完了すると、解決者は、解決者端末7に対して、報酬が設定されたイシューを検索するための検索キーを入力する処理を行う(S46)。この検索キーの入力処理が完了すると、検索キーに対応する検索条件を報酬管理サーバ2へと送信する処理が行われる(S47)。
【0092】
この検索条件を受信すると、報酬管理サーバ2のDB管理部212は、検索条件に合致するイシューをデータベースから検索する処理を行う(S48)。この検索処理の後、報酬管理サーバ2は、検索結果を解決者端末7へと送信して解決者端末7上に表示させる処理を行う(S50)。
【0093】
図12は、解決者端末7上に表示される検索結果に関する画面図である。画面右上には、「xyz@z」としてログインしていること、すなわち、解決者のログインステータスが表示されている。
【0094】
画面は左右に2分割されており、画面左側には、検索条件に相当する表示、すなわち、上から、「Keyword」との記載と共にキーワード入力欄、「Language」との記載と共にプログラミング言語選択欄、「Reward」との記載と共に報酬範囲入力欄、検索ボタンが配置されている。
【0095】
また、画面右側には、画面左側の検索条件に合致する検索結果である3つのイシューが表示されている。各イシューを表す枠内には、イシューのタイトル、要約、及び報酬が表示されると共に枠の右下には、「May Fix」の表示がされた選択ボタンが配置されている。
【0096】
すなわち、同図の例にあっては、キーワードとして「Web 3.0」、報酬範囲を「0.1~0.2Eth」とする条件で検索を行った結果、この条件を満たすイシューとして3つのイシューが提示されたことが分かる。イシューの解決者は、これらのイシューから任意のイシューを選択することができる。
【0097】
図11に戻り、イシューの解決者は、提示された検索結果に基づいて、イシューから任意のイシューを選択する処理を行う(S51)。この選択処理が行われると、解決者端末7から選択されたイシュー情報が報酬管理サーバ2へと送信される(S52)。
【0098】
イシュー情報を受信すると、報酬管理サーバ2のコントラクト処理部219は、解決者をアサイニーとして設定する処理を行う(S53)。より詳細には、アサイニー設定処理においてコントラクト処理部219は、ブロックチェーンネットワーク30上において実現されるスマートコント用ブロックチェーンに対して、イシューの解決者に関する情報、選択されたイシュー情報を提供し記録する。なお、この取引に要するガス代は、予め報酬管理サーバ2に登録された解決者のウォレットから提供される。
【0099】
このような構成によれば、イシューを選択することにガス代を要することから、解決者による安易なイシューの選択を防止することができる。
【0100】
アサイニー設定処理の完了後、DB管理部212は、一連の処理、すなわち、選択されたイシュー情報等に関する情報を記憶部22のデータベースへと書き込む処理を行う(S55)。データベースへの書き込み処理が完了すると、イシューの解決者とイシューの解決依頼者へと通知がなされる(S56、S57)。
【0101】
通知処理の後、報酬管理サーバ2は、コード管理サーバ1と連携して、アサイン期間用の処理を実行する(S58)。このアサイン期間に、解決者はイシューの解決処理を行う(S59)。本実施形態においてアサイン期間は48時間として設定される。なお、アサイン期間は、48時間に限定されず、任意に設定される。
【0102】
このアサイン期間は、システム設計者により設定される一定の不変期間であり、この期間は同一のイシューに関して他の解決者がアサイニーとして設定されることはない。すなわち、この期間、一の解決者に対して解決優先権が与えられる。
【0103】
このような構成によれば、イシューについて、解決者が所定期間排他的にアサインされるので、解決者としては安心してイシューの解決にあたることができる。
【0104】
また、このような構成によれば、アサイン期間はシステムにより設定される一定の不変期間なので、解決依頼者としても納期等を設定する必要がなく、手間を省くことができる。また、解決依頼者は、イシューを当該期間内に解決できる程度の規模にすることに動機づけられるので、イシューのむやみな大型化を防止することができる。
【0105】
図13は、アサイン期間用処理(S58)の詳細フローチャートである。同図から明らかな通り、処理が開始すると、イシュー情報管理部216は、コード管理サーバ1からアサイニーが設定されているイシュー情報を取得する処理を行う(S581)。イシュー情報を取得した結果、イシュー情報に対して追加情報があるか否かを判定する(S582)。追加情報とは、例えば、イシュー解決者又は解決者によるコメント等の情報である。
【0106】
追加情報があると判定された場合(S582YES)、イシューログ管理部217は、追加情報をログとして記録する処理を実行する(S583)。一方、追加情報がないと判定された場合(S582NO)、ログ記録を行わない。
【0107】
その後、報酬管理サーバ2は、アサイン期間に相当する48時間が経過したか否か、又はイシューのステータスがクローズとなっているかの判定を行う(S585)。この判定の結果、いずれの条件も満たしていない場合(S585NO)、所定時間の待機処理の後(S586)、再び一連の処理が実行される(S581~S585)。一方、いずれかの条件が満たされている場合(S585)、処理は終了する。
【0108】
このような構成によれば、アサイン期間にイシューに対して行われた情報の追加をログとして記録することができるので、不正や紛争の抑止となると共に、後からの検証可能性を向上させることができる。
【0109】
図14は、イシューの解決処理の一例を示すフロー図である。同図から明らかな通り、処理が開始すると、解決者は、解決者端末7を介して、コード管理サーバ1へとプルリクエストを送信する(S591)。プルリクエストとは、解決者のローカルレポジトリにおける変更を本体(中央レポジトリ)のプログラムコード等へと反映させることを他の開発者等に通知及び依頼するものである。なお、本実施形態においては、「プルリクエスト」の語を使用するものの、要するにイシューの解決案を提示し承認を求めるものであればよいので、このような呼称に限定されない。
【0110】
このプルリクエストを受信すると、コード管理サーバ1は、オーナー端末5へとレビューリクエストを送信する(S592)。レビューリクエストとは、プルリクエストされた内容についてレビューを行うことを依頼するものであり、レビュアーは、レビュー結果に応じて、コメント(Comment)、アプルーブ(Approve)、又は変更要求(Request changes)等を行うことができる。なお、本実施形態においてはオーナーがレビュアーを務める構成としたが、本発明はそのような構成に限定されず、他の開発者等をレビュアーとしてもよい。
【0111】
オーナーは、本実施形態においては、レビューの結果、プルリクエストに係る内容について一部修正が必要であるとして、変更に関する記載と共に、解決者端末7へと変更リクエストを送信する(S593)。
【0112】
解決者は、解決者端末7を介して、この変更リクエストの内容を確認し、プルリクエストを行った内容について修正を行い、変更リクエストに対して応答する(S594)。解決者による修正の結果、マージに足る内容となったことを確認したオーナーは、オーナー端末5を介して、コード管理サーバ1へとマージリクエストを行う(S595)。
【0113】
マージリクエストを受信したコード管理サーバ1は、修正がなされた内容についてマージ処理を行う(S596)。マージ処理とは、解決者のローカルレポジトリにおける変更を本体(中央レポジトリ)のプログラムコード等へと反映させる処理である。このマージ処理によりイシューは解決された状態となる。マージ処理が完了すると、コード管理サーバ1からオーナー端末5、解決依頼者端末6及び解決者端末7へとマージ完了の通知処理がなされる(S597~S599)。
【0114】
イシューがマージ処理された後、オーナーは、解決されたイシューについてコード管理サーバ1へとクローズリクエストを行うことができる(S601)。このクローズリクエストを受信すると、コード管理サーバ1は、イシューをクローズする処理を行う(S601)。クローズ処理により解決を受け付けていた(又はオープンであった)イシューがクローズされる。イシューのクローズ処理が完了するとオーナー端末へと通知がなされる(S602)。
【0115】
(報酬の支払処理)
図15は、解決者への報酬の支払いに関するフロー図である。同図から明らかな通り、解決者端末7上のソフトウェアワンタイムパスワードトークンを用いてワンタイムパスワードを生成する(S61)。このワンタイムパスワードは、解決者のウォレットアドレスと対応付けて生成される。このパスワードを生成した後、解決者は、解決者端末7を介して、報酬を受け取ろうとするマージ済のイシューを設定する処理を行う(S62)。イシューの設定処理後、解決者は、受け取り可能な報酬額のうち、今回受け取ろうとする報酬額を設定する(S63)。
【0116】
以上の処理の後、解決者は、解決者端末7を介して、報酬管理サーバ2へと報酬受領リクエストを行う(S65)。このとき、報酬受領リクエストには、報酬を受け取ろうとするイシューを特定する情報、ワンタイムパスワード、及び、受け取りを希望する報酬額が含まれる。
【0117】
図16は、イシューの設定処理の後に解決者端末7上に表示される、報酬の受け取りに関する画面図である。
【0118】
同図において、画面中央には、上下二段に報酬に関する表示がなされている。上段には、解決済のイシューにおいて受取可能な資産が表示されており、同図の例にあっては1.6Ethである。下段は、今回受け取ろうとする報酬額を入力可能に構成されている。同図の例にあっては、0.6Ethを受け取ろうとする例が開示されている。
【0119】
報酬額の入力欄の右隣りには、選択可能な受け取りボタンが配置されている。解決者が、この受け取りボタンを選択することで、報酬管理サーバ2へと報酬受領リクエスト(S65)が行われる。
【0120】
図15に戻り、報酬受領リクエストを受信すると、報酬支払処理部215は、報酬の支払条件を満たしているか否かを確認する処理を行う(S66)。より詳細には、本実施形態において、報酬支払処理部215は、報酬の支払い条件として、イシューが既に支払処理済となっていないか、イシューが既にクローズされているか、報酬受領リクエストが解決者本人のアカウントによりなされているか、解決者はイシューの選択処理を行ってそのイシューをアサインされた者であるか、等を確認する。なお、これらのいずれかの条件を満たさない場合、その後の報酬支払処理を行わずに報酬の支払いに関する処理を中断する。
【0121】
確認処理が完了すると、コントラクト処理部219は、報酬支払処理を行う(S67)。より詳細には、コントラクト処理部219は、ブロックチェーンネットワーク30上において実現されるスマートコントラクト用ブロックチェーンに対して、報酬受領リクエストを行った解決者に関する情報、報酬を受け取ろうとするイシューを特定する情報、ワンタイムパスワード、及び、受け取りを希望する報酬額等を提供し記録する。
【0122】
なお、この取引に要するガス代は、ワンタイムパスワードと紐づけられた解決者のウォレットから提供される。
【0123】
このような構成によれば、ガス代を要することから、解決者の虚偽による報酬の支払い要求を抑制することができる。
【0124】
これらの情報が記録されると、スマートコントラクト用ブロックチェーンは、コントラクトの内容を自己執行的に実行する。すなわち、予め解決依頼者によりデポジットされた報酬額のうち、所定の割合(例えば、数パーセント)を手数料として報酬管理サーバ2のシステム管理者のウォレット(システムウォレット)に残し、かつ、残金をワンタイムパスワードに紐づけられた解決者のウォレットアドレスへと提供する。
【0125】
これら一連の処理が完了すると、コントラクト処理部219は、報酬支払処理の最終処理として、報酬を支払ったイシューの報酬支払ステータスを支払い済みへと変更する処理を行う。
【0126】
報酬支払処理が完了すると、報酬管理サーバ2は、解決依頼者端末6と解決者端末7へとそれぞれ支払い完了通知を行う(S68、S70)。
【0127】
これらの通知処理の後、報酬管理サーバ2は、対応するイシューに関連付けられた報酬の支払いステータスを支払い済みとする処理を行うことにより、データベースの更新処理を行う(S71)。この更新処理の後、処理は終了する。
【0128】
以上のような構成によれば、開発プロジェクト毎に少なくともプログラムコードとイシューを管理することが可能なウェブサービスにおけるイシューの単位で解決依頼や報酬設定等を行うことができる。この種のイシューは、一般に規模が小さく、解決すべき課題が明確なため、イシュー解決者にとっては解決がしやすい。また、イシュー解決にあたって報酬が設定されることから、イシュー解決者を解決に向けて動機づけることができる。さらに、所定の期間、イシュー解決者には排他的な解決優先権が与えられるため、イシュー解決者としては安心してイシューの解決にあたることができる。加えて、イシューが解決された場合、前記イシュー解決者にはイシュー解決依頼者によって予め提供されている設定報酬額を受け取ることができる。すなわち、これらを通じて、イシュー解決依頼者及びイシュー解決者の両者にとって安心・安全な取引システムが実現されると共に、イシューの解決、ひいては、開発プロジェクトの発展を促進することができる。
【0129】
(3.変形例)
本発明は、様々に変形して実施することができる。
【0130】
(イシュー作成サポート機能)
上述の実施形態において、解決依頼者がコード管理サーバ1で何らの情報も参照することなく、独自にイシューを作成する構成について説明したものの、本発明はそのような構成に限定されない。従って、報酬管理サーバ2を用いて、イシューの作成時に過去に作成された類似の又は関連するイシューを提示することによりイシュー作成をサポートしてもよい。
【0131】
例えば、報酬管理サーバ2は、過去に作成された類似の又は関連するイシューをテキストマイニング等により検索して取得するイシュー取得部と、イシュー取得部により取得された過去のイシューをイシュー作成の際にイシュー作成者に対して提示するイシュー提示部をさらに備えてもよい。過去に作成されたイシューとは、例えば、コード管理サーバ1においてマージ又はクローズされたイシューである。
【0132】
このような構成によれば、イシュー作成者によるイシューの作成を容易化することができる。また、参照によりイシュー作成のフォーマットが均一化していくことから、よりスムーズなイシューの解決が実現される。
【0133】
(報酬設定サポート機能)
上述の実施形態において、解決依頼者が何らの情報も参照することなく、報酬管理サーバ2に対して独自に報酬を設定する構成について説明したものの、本発明はそのような構成に限定されない。従って、報酬設定の際に報酬に関する過去の統計情報を提示してもよい。
【0134】
例えば、報酬管理サーバ2は、開発言語(例えば、JavaScript、C++、Rustなど)と報酬額、イシューがオープンしてからクローズするまでの期間と報酬額、等を分析する統計情報分析部と、分析結果を報酬設定者に対して提示する統計情報提示部をさらに備えてもよい。
【0135】
このような構成によれば、報酬額の目安が統計的に提示されるので、報酬設定者は適切な報酬を設定することができる。
【0136】
(報酬逆指定機能)
上述の実施形態においては、解決依頼者が一方的に報酬を設定する構成について説明したものの、本発明はそのような構成に限定されない。従って、例えば、解決者の側から報酬額を提案することを可能なように構成してもよい。
【0137】
例えば、報酬管理サーバ2は、既に報酬が設定されたイシューに対する報酬案を受け付ける報酬案受付部と、報酬案を初めに報酬設定を行った者に対して提示する報酬案提示部と、初めに報酬設定を行った者の判断結果に応じて設定報酬を更新する報酬更新部と、をさらに備えてもよい。
【0138】
このような構成によれば、解決者は、検索(S50)により解決依頼者により既に報酬が設定されたイシューを確認した後、イシューに対して設定されている報酬額が適当でないと判断した場合、適当と判断される報酬額を提案することができる。当初の報酬設定者は、解決者によるこの報酬額の提案を受けて、提案内容を受け入れるか否かを判断する。
【0139】
提案内容を受け入れる場合、上述と同様に、スマートコントラクト用ブロックチェーンへの再度の書き込み処理、追加デポジット処理及びデータベースへの書き込み処理等が行われる。また、このとき、報酬提案者に対して、イシューのアサイニーとなることへの優先的権限を付与してもよい。一方、提案内容を受け入れない場合、当初の報酬が設定された状態を維持し、処理は終了する。
【0140】
このような構成によれば、イシューの解決依頼者と解決者との間で双方向的に報酬を設定することができるので、適切な報酬を設定することができ、結果として、イシューの解決を促進することができる。
【0141】
(匿名化機能)
上述の実施形態においては、解決者の識別情報は、解決依頼者等に対して特段制限されることなく提示されるものとして説明したが、本発明はそのような構成に限定されない。従って、例えば、解決者の識別情報を秘匿化可能な構成としてもよい。
【0142】
例えば、解決者によるアクション、すなわち、例えば、他の開発者とのコミュニケーション、イシュー選択、プルリクエスト等を報酬管理サーバ2の管理者が代行し、他の開発者から解決者の識別情報を確認できないようにする秘匿化部をさらに設けてもよい。
【0143】
このような構成によれば、イシューの解決者は個人のアイデンティティーを隠すことができるので、安心してシステムを利用することができる。
【0144】
(異議申立機能)
上述の実施形態においては、解決者から適切にプルリクエストがされたにも拘わらず解決依頼者がマージやクローズを行わない事態等、何らかの不正が行われる事態も想定される。そこで、解決依頼者と解決者との間のトラブル防止のため、解決者からの異議申し立てを受け付ける機能をさらに設けてもよい。
【0145】
例えば、報酬管理サーバ2は、解決者からの異議申し立てのリクエストを受領する異議リクエスト受領部と、異議リクエストに応じてアサイン期間用処理(S58)において記録したログを公開するログ公開部と、をさらに備えてもよい。なお、異議申し立てを気軽に行わないよう異議申し立てのリクエストを行うにあたって所定額の暗号通貨を要求してもよい。
【0146】
このような構成によれば、記録したログを公開することを通じて、第三者等の判断者に対して、不正があったか否かに関する客観的な記録を提供することができる。これにより、解決依頼者と解決者との間のトラブルを防止することができる。
【0147】
(追加報酬付与機能)
上述の実施形態においては、イシューの解決依頼者からイシューの解決者へと報酬が提供される構成について説明したものの、本発明はそのような構成に限定されない。従って、例えば、解決済のイシューに対して事後的に解決者への御礼又はチップとして暗号通貨を提供することを可能とする機能を設けてもよい。
【0148】
例えば、報酬管理サーバ2は、クローズ処理がなされた解決済のイシューに対して事後的にチップ(又は御礼)を提供することを希望する開発者からの依頼を受け付けるチップ提供リクエスト受付処理部と、当該開発者のウォレットから解決者のウォレットへと当該チップに相当する量の暗号通貨を提供する、チップ移転部をさらに備えてもよい。この際、報酬管理サーバ2の管理者のウォレットに手数料相当額(例えば、数パーセント)を残してもよい。
【0149】
このような構成によれば、開発者としてはイシューの解決者に対してチップを用いて謝意を表すことができる。また、解決者としても追加的に報酬を受け取ることができる。そのため、解決者に対してイシュー解決のさらなるモチベーションを与えることができる。
【0150】
また、解決済のイシューに関連するプロジェクト(レポジトリ)のオーナーに対して、御礼又はチップとして暗号通貨を提供することを可能とする機能を設けてもよい。例えば、報酬管理サーバ2は、クローズ処理がなされた解決済のイシューに対して事後的にチップ(又は御礼)を提供することを希望する開発者からの依頼を受け付けるチップ提供リクエスト受付処理部と、当該開発者のウォレットからプロジェクトのオーナーのウォレットへと当該チップに相当する量の暗号通貨を提供する、チップ移転部をさらに備えてもよい。
【0151】
このような構成によれば、開発者としてはプロジェクトに対してチップを用いて謝意を表すことができる。また、解決者としても追加的に報酬を受け取ることができる。そのため、解決者に対してイシュー解決のさらなるモチベーションを与えることができる。
【0152】
(評価機能)
上述の実施形態において、さらに、報酬管理サーバ2に係るウェブサービスの利用者(オーナー、解決依頼者、解決者等)の間において、互いの評価を可能とする構成を付加してもよい。
【0153】
例えば、イシューがマージ又はクローズされた後に、オーナー、イシューの解決依頼者、及び解決者が互いを評価する機能をさらに設けてもよい。なお、評価を取得する対象者として、一部の関係者のみとしてもよく、例えば、オーナーとイシューの解決者のみを評価取得対象者として必須としてもよい。
【0154】
このとき、報酬管理サーバ2は、イシューがマージ又はクローズされて解決された際に、オーナー、解決依頼者又は解決者からの他者に対する評価情報を取得する評価情報取得部と、取得された評価情報を記憶する評価情報記憶部と、記憶された評価情報をリクエストを行った者に対して提示する評価情報提示部と、をさらに備えてもよい。評価情報は、例えば、多段階の評価(例えば、星の数)や評価コメント(口コミ)を含んでもよい。
【0155】
このような構成によれば、イシュー解決の際に関係者が互いの評価を行い、そのような評価情報が蓄積することができることから、互いの信頼性を判断することが可能なシステム等を提供することができる。
【0156】
なお、利用者の評価手法としては様々な手法を採用することができる。例えば、絶対評価法と相対評価法のいずれか又は両方を採用してもよい。なお、絶対評価法とは、例えば、他者をスケール評価したりテキスト入力により評価する手法であり、上述の多段階評価や評価コメントが該当する。また、相対的評価法とは、絶対評価の結果(例えば、スケール評価結果とテキスト)の蓄積に基づいて、評価をスコア化し、信頼度係数を乗算することで、評価情報を算出する手法である。
【0157】
また、このとき、評価情報に応じてウェブサービス利用者を認証(又は認定)してもよい。例えば、報酬管理サーバ2は、予め定められた特定の認証基準と、得られた評価及び/又は評価回数等に基づいて段階的にレーティングし、各ウェブサービス利用者に対して特定の認証結果(デジタルバッヂ等)を関連付ける、利用者認証部をさらに備えてもよい。デジタルバッヂ等の認証結果は、他のウェブサービス利用者から閲覧可能に構成されている。
【0158】
このような構成によれば、ウェブサービスの利用者は、所定の評価基準に基づいて、バッヂ等により認証されるので、一目でその者の評価を把握することができるようになる。
【0159】
なお、イシュー解決時に評価を求める構成に代えて、イシュー解決時にオーナー、イシューの解決依頼者、又はイシュー解決者に対して、ブロックチェーンを含む評価トークンを発行する構成としてもよい。この評価トークンを用いることで、トークン受領者は、評価情報を改竄困難な態様で書き込むことができるようになる。
【0160】
さらに、評価情報を利用してウェブサービス利用者に対してさらなる特典を付与してもよい。例えば、報酬管理サーバ2は、ウェブサービス利用者に対する評価の結果に応じて特典を付与する特典付与部をさらに備えてもよい。特典には、例えば、当該解決者に対して一度にアサイン可能なイシューの上限数を増やすこと、等が含まれる。
【0161】
このような構成によれば、評価の高い解決者に対して特典を付与することができるので、解決者のイシュー解決のモチベーションをさらに高めることができる。
【0162】
なお、単に解決者の活動履歴情報を公開する構成としてもよい。すなわち、報酬管理サーバ2が、解決者へのこれまでのイシューのアサイン回数、プルリクエストがマージされた回数、イシューがアサインされてからプルリクエストを行うまでの時間又は平均時間などの活動履歴を記憶する活動履歴記憶部と、開発者からのリクエストに応じて活動履歴を提示する活動履歴提示部をさらに備えてもよい。
【0163】
このような構成によれば、第三者に対して、解決者の信頼性評価指標を具体的に提示することができる。
【0164】
(その他)
上述の実施形態においては、スマートコントラクトを実現するブロックチェーンに対して種々の情報を書き込み、自己執行的に報酬移転等を行う構成としたが、本発明はこのような構成に限定されない。従って、このような構成に代え、一般的なデータベース等を用いて、一連の処理、すなわち、解決依頼者によるイシューへの報酬設定処理、解決者によるイシューの選択処理、報酬の支払処理等を実現してもよい。また、報酬は暗号通貨ではなく、他の種類の財産的価値を有するものであってもよい。
【0165】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。また、上記の実施形態は、矛盾が生じない範囲で適宜組み合わせ可能である。
【産業上の利用可能性】
【0166】
本発明は、ウェブサービス等を提供する産業において利用可能である。
【符号の説明】
【0167】
1 コード管理サーバ
11 制御部
111 認証処理部
112 レポジトリ管理部
113 コード管理部
115 イシュー管理部
12 記憶部
13 通信部
15 表示部
16 入力部
19 スピーカ
2 報酬管理サーバ
21 制御部
211 認証処理部
212 DB管理部
213 報酬設定処理部
215 報酬支払処理部
216 イシュー情報管理部
217 イシューログ管理部
218 暗号通貨処理部
219 コントラクト処理部
22 記憶部
23 通信部
25 表示部
26 入力部
29 スピーカ
30 ブロックチェーンネットワーク
31 ブロックチェーンネットワーク端末
311 制御部
312 記憶部
313 通信部
315 表示部
316 入力部
317 マイク
318 カメラ
319 スピーカ
5 オーナー端末
51 制御部
52 記憶部
53 通信部
55 表示部
56 入力部
57 マイク
58 カメラ
59 スピーカ
6 解決依頼者端末
61 制御部
62 記憶部
63 通信部
65 表示部
66 入力部
67 マイク
68 カメラ
69 スピーカ
7 解決者端末
71 制御部
72 記憶部
73 通信部
75 表示部
76 入力部
77 マイク
78 カメラ
79 スピーカ
100 システム
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