(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024024352
(43)【公開日】2024-02-22
(54)【発明の名称】輸送用冷凍機械
(51)【国際特許分類】
F25D 11/00 20060101AFI20240215BHJP
B60R 16/02 20060101ALI20240215BHJP
【FI】
F25D11/00 101D
B60R16/02 645D
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022127127
(22)【出願日】2022-08-09
(71)【出願人】
【識別番号】516299338
【氏名又は名称】三菱重工サーマルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】木村 桃子
(72)【発明者】
【氏名】高橋 渉
(72)【発明者】
【氏名】桑田 塁
(72)【発明者】
【氏名】蜂須賀 勝巳
【テーマコード(参考)】
3L045
【Fターム(参考)】
3L045AA02
3L045AA05
3L045BA02
3L045CA02
3L045DA02
3L045LA01
3L045MA12
3L045MA20
3L045PA02
3L045PA03
3L045PA04
3L045PA05
3L045PA06
(57)【要約】
【課題】電力供給を、安定して行う。
【解決手段】輸送用冷凍機械は、冷凍機側電源から圧縮機に電力を供給する圧縮機電力供給回路と、冷凍機側電源と補器とを電気的に断続可能な冷凍機側リレーと、車両側電源と補器とを電気的に断続可能な車両側リレーと、補器に対する電力供給を制御する制御装置と、を備え、制御装置は、冷凍機側リレーを閉じて冷凍機側電源と補器とを電気的に接続する第一モードと、車両側リレーを閉じて車両側電源と補器とを電気的に接続する第二モードと、冷凍機側リレー、及び車両側リレーを閉じ、冷凍機側電源、及び車両側電源と補器とを電気的に接続する第三モードと、の間で補器に対する電力供給モードを切替可能であり、第一モードと第二モードとの間で、電力供給モードの切替を行う場合、第一モードと第二モードとの間で、第三モードを予め設定時間維持する。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒を圧縮する圧縮機、及び電力により駆動される補器、を備え、前記冷媒によって車両本体に搭載された冷凍庫内を冷却する輸送用冷凍機械であって、
前記車両本体に備えられた走行用エンジンによって駆動される車両用オルタネータ、及び、前記車両用オルタネータによって充電可能な車両用バッテリーを備えた車両側電源と、
前記走行用エンジン又は冷凍機用エンジンによって駆動される冷凍機用オルタネータ、及び前記冷凍機用オルタネータによって充電可能な冷凍機用バッテリーを備えた冷凍機側電源と、
前記冷凍機側電源から前記圧縮機に電力を供給する圧縮機電力供給回路と、
前記冷凍機側電源と前記補器とを電気的に断続可能な冷凍機側リレーと、
前記車両側電源と前記補器とを電気的に断続可能な車両側リレーと、
前記冷凍機側リレー、及び前記車両側リレーの断続状態を切り替えることで、前記補器に対する電力供給を制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、
前記冷凍機側リレーを閉じて前記冷凍機側電源と前記補器とを電気的に接続する第一モードと、
― 前記車両側リレーを閉じて前記車両側電源と前記補器とを電気的に接続する第二モードと、
前記冷凍機側リレー、及び前記車両側リレーを閉じ、前記冷凍機側電源、及び前記車両側電源と前記補器とを電気的に接続する第三モードと、の間で前記補器に対する電力供給モードを切替可能であり、
前記第一モードと前記第二モードとの間で、前記電力供給モードの切替を行う場合、前記第一モードと前記第二モードとの間で、前記第三モードを予め設定時間維持する、
輸送用冷凍機械。
【請求項2】
前記制御装置は、前記第一モードと前記第二モードとの間で、前記電力供給モードの切替を行うに際し、前記圧縮機、及び前記補器の少なくとも一方における消費電力を低減させる
請求項1に記載の輸送用冷凍機械。
【請求項3】
前記制御装置は、前記補器の少なくとも一部の動作を停止させる
請求項2に記載の輸送用冷凍機械。
【請求項4】
前記補器は、冷媒回路に備えられたエバポレータを冷却する複数のエバポレータファンを備え、
前記制御装置は、複数の前記エバポレータファンのうちの一部の動作を停止させる
請求項3に記載の輸送用冷凍機械。
【請求項5】
前記制御装置は、前記圧縮機の駆動周波数を低減させる
請求項2に記載の輸送用冷凍機械。
【請求項6】
前記圧縮機、及び前記補器における消費電力を検出する消費電力検出部を更に備え、
前記制御装置は、前記消費電力検出部で検出される前記消費電力が、予め設定された閾値以下である場合に、前記第一モードと前記第二モードとの間で、前記電力供給モードの切替を実行させる
請求項1又は2に記載の輸送用冷凍機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、輸送用冷凍機械に関する。
【背景技術】
【0002】
冷凍装置を備えた冷凍トラック等の冷凍輸送用車両は、冷凍装置を駆動するための電力供給源として専用のバッテリーを搭載している。特許文献1には、冷凍装置の電力駆動源として、冷凍装置の圧縮機を駆動する専用のバッテリー(低電圧バッテリー)に加えて、車両走行用のエンジンによって駆動されるオルタネータ(以下、これを走行用のオルタネータと称する)、及び、このオルタネータによって充電される走行用のバッテリー(低電圧バッテリー)を用いる構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の構成では、車両の走行時等、車両走行用のエンジンが作動している状態では、走行用のオルタネータ、及び、走行用のバッテリーを用いることができる。一方、駐車時等、走行用のエンジンが停止している状態では、走行用のオルタネータを用いることができない。走行用のエンジンが停止している状態で走行用のバッテリーを用いると、走行用のバッテリーがあがってしまう可能性がある。このため、走行用のエンジンが停止している状態では、冷凍装置の専用のバッテリーを用いるのが好ましい。これにより、車両走行用エンジンの作動状態によって、冷凍装置への電力供給源を切り替える必要が生じることがある。
しかしながら、冷凍装置への電力供給源を、走行用のオルタネータ、及び走行用のバッテリーと、冷凍装置用のバッテリーとの間で切り替える際には、冷凍装置への電力供給が瞬間的に遮断されることがある。また、電力供給が瞬間的に遮断された後、新たに電力供給源が接続された際の突入電流が大きくなることもある。これらの要因により、冷凍装置への電力供給源の切替に際しては、冷凍装置を駆動するための回路に悪影響が及ぶ虞があった。
【0005】
本開示は、上記課題を解決するためになされたものであって、電力供給を、安定して行うことができる輸送用冷凍機械を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本開示に係る輸送用冷凍機械は、冷媒を圧縮する圧縮機、及び電力により駆動される補器、を備え、前記冷媒によって車両本体に搭載された冷凍庫内を冷却する輸送用冷凍機械であって、前記車両本体に備えられた走行用エンジンによって駆動される車両用オルタネータ、及び、前記車両用オルタネータによって充電可能な車両用バッテリーを備えた車両側電源と、前記走行用エンジン又は冷凍機用エンジンによって駆動される冷凍機用オルタネータ、及び前記冷凍機用オルタネータによって充電可能な冷凍機用バッテリーを備えた冷凍機側電源と、前記冷凍機側電源から前記圧縮機に電力を供給する圧縮機電力供給回路と、前記冷凍機側電源と前記補器とを電気的に断続可能な冷凍機側リレーと、前記車両側電源と前記補器とを電気的に断続可能な車両側リレーと、前記冷凍機側リレー、及び前記車両側リレーの断続状態を切り替えることで、前記補器に対する電力供給を制御する制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記冷凍機側リレーを閉じて前記冷凍機側電源と前記補器とを電気的に接続する第一モードと、前記車両側リレーを閉じて前記車両側電源と前記補器とを電気的に接続する第二モードと、前記冷凍機側リレー、及び前記車両側リレーを閉じ、前記冷凍機側電源、及び前記車両側電源と前記補器とを電気的に接続する第三モードと、の間で前記補器に対する電力供給モードを切替可能であり、前記第一モードと前記第二モードとの間で、前記電力供給モードの切替を行う場合、前記第一モードと前記第二モードとの間で、前記第三モードを予め設定時間維持する。
【発明の効果】
【0007】
本開示の輸送用冷凍機械によれば、電力供給を、安定して行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本開示の実施形態に係る輸送用冷凍機械を備えた冷凍輸送用車両の概略構成を示す側面図である。
【
図2】上記輸送用冷凍機械の構成を示す冷媒回路図である。
【
図3】上記輸送用冷凍機械における、圧縮機、及び補器に対して電力供給を行うための構成を示す図である。
【
図4】上記輸送用冷凍機械における、電力供給モードの第一モードを示す図である。図である。
【
図5】上記輸送用冷凍機械における、電力供給モードの第二モードを示す図である。図である。
【
図6】上記輸送用冷凍機械における、電力供給モードの第三モードを示す図である。図である。
【
図7】上記輸送用冷凍機械の制御装置の機能ブロック図である。
【
図8】上記輸送用冷凍機械において、電力供給モードを切り替える場合の処理の流れを示す図である。
【
図9】上記輸送用冷凍機械において、電力供給モードを切り替える他の場合の処理の流れを示す図である。
【
図10】上記輸送用冷凍機械において、電力供給モードを切り替えるさらに他の場合の処理の流れを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本開示の実施形態について説明する。なお、各図において同一または対応する構成には同一の符号を用いて説明を適宜省略する。
【0010】
(冷凍輸送用車両の構成)
図1に示すように、本実施形態に係る輸送用冷凍機械4は、冷凍輸送用車両100に備えられている。冷凍輸送用車両100は、車両本体1と、冷凍庫3と、輸送用冷凍機械4とを備えている。
【0011】
車両本体1は、キャブ11と、シャーシ12と、を有している。キャブ11は、車両本体1の進行方向前方に配置され、乗員が着座する運転席、エンジンルーム(図示無し)等が備えられている。シャーシ12は、車両本体1の進行方向に延びている。キャブ11は、シャーシ12の前部に下方から支持されている。キャブ11には、車両本体1を走行させるための駆動力を発生する走行用エンジン13と、走行用エンジン13によって駆動され、電力を発電する車両用オルタネータ14と、を備えている。また、シャーシ12には、車両用オルタネータ14によって充電可能な車両用バッテリー15が設けられている。
【0012】
冷凍庫3は、中空箱状に形成されている。冷凍庫3は、キャブ11に対して車両本体1の進行方向後方に配置されている。冷凍庫3は、シャーシ12によって下方から支持されている。冷凍庫3の内部は、輸送対象となる貨物を低温で維持するための冷凍室7とされている。
【0013】
(輸送用冷凍機械の構成)
輸送用冷凍機械4は、冷凍庫3内の冷凍室が外気温よりも低くなるように冷却する。輸送用冷凍機械4は、冷凍庫3の外部(例えば
図1に示すように、キャブ11の上方)に設けられている。
【0014】
次に、輸送用冷凍機械4の詳細な構成について、
図2を参照して説明する。
図2に示すように、輸送用冷凍機械4は、圧縮機41と、コンデンサ42と、レシーバ43と、膨張弁44と、アキュムレータ45と、エバポレータ46と、を備えている。圧縮機41、コンデンサ42、レシーバ43、膨張弁44、アキュムレータ45、及びエバポレータ46は、冷媒回路P上に設けられている。
【0015】
冷媒回路Pは、冷媒を流通させる管材から形成されている。冷媒回路Pの内部には冷媒が充填されている。冷媒回路Pは、圧縮機41で圧縮された冷媒を循環させる。冷媒回路Pは、第一配管P1と、第二配管P2と、第三配管P3と、第四配管P4と、第五配管P5と、第六配管P6と、を有している。第一配管P1は、圧縮機41の吐出側とコンデンサ42の上流側とを接続している。第二配管P2は、コンデンサ42の下流側とレシーバ43とを接続している。第三配管P3は、レシーバ43の下流側と膨張弁44とを接続している。第四配管P4は、膨張弁44の下流側とエバポレータ46の上流側とを接続している。第五配管P5は、エバポレータ46の下流側とアキュムレータ45とを接続している。第六配管P6は、アキュムレータ45の下流側と圧縮機41の吸入側とを接続している。
【0016】
圧縮機41は、第六配管P6側から吸入された高温低圧の気相冷媒を圧縮して、高温高圧の気相冷媒を生成する。この高温高圧の気相冷媒は、第一配管P1を通じてコンデンサ42に流入する。コンデンサ42は、上述の冷凍室7の外部に設けられている。コンデンサ42は、外部の空気と冷媒との間で熱交換を行う。これにより、コンデンサ42では気相冷媒が凝縮し、低温高圧の液相冷媒が生成される。
コンデンサ42は、コンデンサファン47を備えている。コンデンサファン47は、コンデンサ42に向かって外部の空気を送るために設けられている。
【0017】
コンデンサ42で生成された低温高圧の液相冷媒は、第二配管P2を通じてレシーバ43に流入する。レシーバ43は、冷媒中に含まれる水分の除去、冷媒の液相成分と気相成分との分離のために用いられる。レシーバ43内で分離された冷媒のうち、液相成分のみが第三配管P3を通じて膨張弁44に送られる。膨張弁44は、冷媒の液相成分を膨張させる。レシーバ43から第三配管P3を通じて流入した低温高圧の液相冷媒は、膨張弁44を通過することで圧力が下がり、低温低圧の液相冷媒となる。
【0018】
膨張弁44を経て低温低圧となった液相冷媒は、第四配管P4を通じてエバポレータ46に流入する。エバポレータ46は、冷凍室7の内部に臨むように配置されている。エバポレータ46は、冷凍室7内の空気と冷媒との間で熱交換を行う。エバポレータ46は、エバポレータファン48を備えている。エバポレータファン48は、エバポレータ46に冷凍室7内の空気を送るために設けられている。エバポレータ46においては、低温の液相冷媒によって冷凍室7内の熱が吸収されることで、冷凍室7内の温度が低くなる。これに伴って、液相冷媒の温度が上昇するとともに、液相から気相に変化し、高温低圧の気相冷媒となる。
【0019】
エバポレータ46を経て高温低圧となった気相冷媒は、第五配管P5を通じてアキュムレータ45に流入する。アキュムレータ45は、冷媒を一時的に貯留し、圧縮機41に定量の冷媒を安定的に供給するために設けられている。アキュムレータ45を通過した高温低圧の気相冷媒は、第六配管P6を通じて再び圧縮機41に吸入される。このようなサイクルが連続的に行われることで、冷凍室7内の温度が所望の値に調節される。
【0020】
(輸送用冷凍機械の電源供給の構成)
このような輸送用冷凍機械4においては、
図3に示すように、圧縮機41と、補器80とに、電力供給源Dから電力を供給する。補器80としては、例えば、コンデンサファン47と、エバポレータファン48と、ドレンホースヒータ49と、が挙げられる。ドレンホースヒータ49は、冷凍室7からドレン水を排出するためのドレンホース(図示無し)を加熱し、ドレン水の凍結を抑えるものである。
【0021】
輸送用冷凍機械4は、圧縮機41、及び補器80に対する電力供給源Dとして、車両側電源10と、冷凍機側電源50と、を備えている。
【0022】
車両側電源10は、走行用エンジン13(
図1参照)によって駆動される車両用オルタネータ14と、車両用バッテリー15と、を備えている。車両用オルタネータ14は、車両側電源回路81を介した補器80に対する電力の供給と、車両用バッテリー15への充電との双方を行う。車両用バッテリー15は、補器80に対する電力の供給を行う。
車両側電源10は、車両側電源回路81を介して、補器80に電気的に接続可能とされている。車両側電源回路81には、車両側リレー71が設けられている。車両側リレー71は、車両側電源10と補器80との間の車両側電源回路81を断続する。車両側リレー71が閉じ、車両側電源10と補器80とが電気的に接続された状態で、車両側電源10は、輸送用冷凍機械4に対し、車両側電源回路81を介して、補器80にのみ電力を供給する。
【0023】
冷凍機側電源50は、冷凍機用オルタネータ51と、冷凍機用バッテリー52と、を備えている。
図1に示すように、冷凍機用オルタネータ51は、走行用エンジン13によって駆動され、電力を発電する。
図3に示すように、冷凍機用オルタネータ51は、圧縮機41、及び補器80に対する電力の供給と、冷凍機用バッテリー52への充電との双方を行う。冷凍機用バッテリー52は、圧縮機41、及び補器80に対する電力の供給を行う。
【0024】
冷凍機側電源50は、冷凍機側電源回路82を介して、補器80に電気的に接続可能とされている。冷凍機側電源回路82には、冷凍機側リレー72が設けられている。冷凍機側リレー72は、冷凍機側電源50と補器80との間の冷凍機側電源回路82を断続する。冷凍機側リレー72が閉じ、冷凍機側電源50と補器80とが電気的に接続された状態で、冷凍機側電源50は、補器80に対して電力を供給する。
【0025】
また、冷凍機側電源50は、圧縮機電力供給回路83を介して、圧縮機41を駆動するための昇圧コンバータ41Cに電力を供給する。圧縮機電力供給回路83には、リレーが設けられておらず、冷凍機側電源50は、昇圧コンバータ41Cに、電力を常時供給する。冷凍機側電源50は、昇圧コンバータ41Cに直流電流を供給する。昇圧コンバータ41Cは、冷凍機側電源50から供給された直流電流を昇圧し、インバータ41Dに供給する。インバータ41Dは、昇圧コンバータ41Cから供給された直流電流に基づいて三相の交流電流を生成し、圧縮機41を駆動する。
【0026】
車両側リレー71と、冷凍機側リレー72とを備えたリレーユニット70は、制御装置60によって、その動作が制御される。制御装置60は、車両側リレー71、及び冷凍機側リレー72の断続状態を切り替えることで、補器80に対する電力供給を制御する。なお、圧縮機41は、冷凍機側電源50によって、常時電力供給がなされる。
制御装置60は、リレーユニット70の車両側リレー71、及び冷凍機側リレー72の断続状態を切り替えることで、補器80に対する電力供給モードを、第一モードM1と、第二モードM2と、第三モードM3との間で切替可能である。
【0027】
図4に示すように、第一モードM1は、冷凍機側リレー72を閉じ、冷凍機側電源50と補器80とを、冷凍機側電源回路82を介して電気的に接続する。この第一モードM1では、車両側リレー71は開いており、冷凍機側電源50のみから、補器80に対する電力供給が行われる。
第一モードM1は、例えば、冷凍輸送用車両100の駐車中等、走行用エンジン13が停止している場合に選択される。つまり、第一モードM1では、冷凍機側電源50から、圧縮機41と、補器80とに対する電力供給が行われる。
【0028】
図5に示すように、第二モードM2は、車両側リレー71を閉じ、車両側電源10と補器80とを、車両側電源回路81を介して電気的に接続する。この第二モードM2では、冷凍機側リレー72は開いており、車両側電源10のみから、補器80に対する電力供給が行われる。
第二モードM2は、例えば、冷凍輸送用車両100の走行中等、走行用エンジン13が作動している場合に選択される。つまり、第二モードM2では、圧縮機41に対しては、冷凍機側電源50から電力が供給され、補器80に対しては、車両側電源10から電力が供給される。これにより、輸送用冷凍機械4に対し、冷凍機側電源50と、車両側電源10との双方から、より多くの電力を供給することができ、輸送用冷凍機械4における冷凍能力が高められる。
【0029】
図6に示すように、第三モードM3は、冷凍機側リレー72、及び車両側リレー71を閉じて、冷凍機側電源50、及び車両側電源10と、補器80とを電気的に接続する。この第三モードM3では、補器80に対し、冷凍機側電源50と、車両側電源10との双方から電力を供給する。
第三モードM3は、第一モードM1と第二モードM2との間で、補器80に対する電力供給モードを切り替える場合に選択される。第三モードM3は、第一モードM1と第二モードM2との間で、予め設定された時間が経過するまで維持される。
【0030】
具体的には、第一モードM1から第二モードM2に電力供給モードを切り替える場合、第一モードM1で閉じていた冷凍機側リレー72に加え、車両側リレー71を閉じることで、第三モードM3に移行する。第三モードM3を、予め設定された時間が経過するまで維持した後、冷凍機側リレー72を開くことで、第三モードM3から第二モードM2に移行する。
【0031】
また、第二モードM2から第一モードM1に電力供給モードを切り替える場合、まず、第二モードM2で閉じていた車両側リレー71に加えて、冷凍機側リレー72を閉じることで、第二モードM2から第三モードM3に移行する。第三モードM3を、予め設定された時間が経過するまで維持した後、車両側リレー71を開くことで、第三モードM3から第一モードM1に移行する。
【0032】
このようにして、第一モードM1と第二モードM2との間で、補器80に対する電力供給モードを切り替える際に、第一モードM1と第二モードM2との間で第三モードM3を実現することで、冷凍機側電源50、及び車両側電源10の少なくとも一方から、補器80に対する給電が途切れることなくなされる。
【0033】
制御装置60は、走行用エンジン13のON/OFFに基づいて、リレーユニット70の車両側リレー71、及び冷凍機側リレー72の開閉を制御する。
制御装置60は、マイクロコンピュータ、CPU(Central Processing Unit)等のコンピュータと、コンピュータの周辺回路や周辺装置等のハードウェアを用いて構成することができる。本実施形態では、制御装置60は、マイクロコンピュータが搭載された制御基板により構成されている。
図7に示すように、制御装置60は、ハードウェアと、コンピュータが実行するプログラム等のソフトウェアとの組み合わせから構成される機能的構成として、信号入力部61と、消費電力検出部62と、リレー制御部63と、動作制御部64と、信号出力部65と、を備える。
【0034】
信号入力部61は、車両用オルタネータ14が起動している場合、車両用オルタネータ14が起動していることを示す信号(ON信号)を受信する。また信号入力部61は、キャブ11の運転席に設けられたキャブコントローラ(図示無し)に対し、乗員による輸送用冷凍機械4に対する操作がなされた場合に、その操作に応じた信号を受信する。
【0035】
消費電力検出部62は、輸送用冷凍機械4における消費電力を検出する。消費電力検出部62は、圧縮機41を駆動する昇圧コンバータ41C、補器80としてのコンデンサファン47、エバポレータファン48、ドレンホースヒータ49における消費電力の合計値を検出している。
【0036】
リレー制御部63は、信号入力部61で受信した信号、消費電力検出部62で検出した消費電力、に基づいて、リレーユニット70の車両側リレー71、及び冷凍機側リレー72を開閉し、その断続状態を切り替える。リレー制御部63は、車両側リレー71、及び冷凍機側リレー72を開閉することで、電力供給モードを、上記の第一モードM1と、第二モードM2と、第三モードM3との間で切り替える。リレー制御部63は、例えば、後に詳述するように、車両側リレー71と、冷凍機側リレー72とを、予め設定された時間だけの時間差をもって、断続状態の切替を行う。
【0037】
動作制御部64は、リレー制御部63で車両側リレー71、及び冷凍機側リレー72を開閉して、電力供給モードを切り替えるのに連動して、圧縮機41、及び補器80の動作を制御する。動作制御部64は、電力供給モードを切り替えるのに連動して、例えば、消費電力を低減するため、圧縮機41の駆動周波数を低減する。また、エバポレータ46に、複数のエバポレータファン48が設けられている場合、動作制御部64は、電力供給モードを切り替えるのに連動して、消費電力を低減するため、複数のエバポレータファン48のうちの一部の動作を停止させる。この場合、複数のエバポレータファン48のうちの残部は、停止しておらず、動作を継続している。
【0038】
信号出力部65は、リレー制御部63での制御により、車両側リレー71、及び冷凍機側リレー72を開閉するための指令信号を、リレーユニット70に出力する。信号出力部65は、動作制御部64での制御により、圧縮機41、及び補器80の動作を制御するための指令信号を、圧縮機41、補器80に出力する。
【0039】
(走行用エンジンの停止時における処理の手順)
冷凍輸送用車両100の運行時、走行用エンジン13、及び車両用オルタネータ14は作動している。この状態で、リレーユニット70の車両側リレー71、及び冷凍機側リレー72は、第二モードM2とされている。第二モードM2では、車両側リレー71が閉じ、冷凍機側リレー72は開いている。これにより、圧縮機41に対しては、冷凍機側電源50から電力が供給され、補器80に対しては、車両側電源10から電力が供給されている。
図8に示すように、冷凍輸送用車両100の運行の終了時等に、冷凍輸送用車両100の乗員が、キャブ11に備えられたイグニッションスイッチをONからOFFに切り替えると、走行用エンジン13が停止する。すると、車両用オルタネータ14が停止し、車両用オルタネータ14から制御装置60の信号入力部61に、車両用オルタネータ14が起動していることを示すON信号が入力されなくなる。これにより、制御装置60は、車両用オルタネータ14が停止したことを認識する(ステップS11)。
【0040】
制御装置60で車両用オルタネータ14が停止したことを認識すると、リレー制御部63は、冷凍機側リレー72を閉じる(ステップS12)。これにより、リレーユニット70は、車両側リレー71と、冷凍機側リレー72との双方が閉じた、第三モードM3に移行する。
その後、リレー制御部63は、例えばタイマー回路によって、予め設定された時間に到達するまで、冷凍機側リレー72を閉じてからの経過時間をカウントする。リレー制御部63は、タイマー回路により、経過時間が、予め設定された時間に到達した時点で、車両側リレー71を開く(ステップS13)。これにより、リレーユニット70は、冷凍機側リレー72のみが閉じた第一モードM1へと移行する。
このようにして、リレー制御部63による制御によって、リレーユニット70は、第二モードM2から、第三モードM3を介して、第一モードM1へと移行する。第一モードM1では、冷凍機側電源50から、圧縮機41と、補器80とに対する電力供給が行われる。
【0041】
(走行用エンジンの起動時における処理の手順)
冷凍輸送用車両100の駐車時時、走行用エンジン13が起動していない状態では、リレーユニット70の車両側リレー71、及び冷凍機側リレー72は、第一モードM1とされている。
図9に示すように、冷凍輸送用車両100の運行開始時等に、冷凍輸送用車両100の乗員が、キャブ11に備えられたイグニッションスイッチをOFFからONに切り替えると、走行用エンジン13が起動する。すると、走行用エンジン13によって駆動される車両用オルタネータ14が起動され、制御装置60の信号入力部61に対し、車両用オルタネータ14から、車両用オルタネータ14が起動していることを示すON信号が入力される。これにより、制御装置60は、車両用オルタネータ14が起動したことを認識する(ステップS21)。
【0042】
制御装置60が車両用オルタネータ14の起動を認識すると、リレー制御部63が、車両側リレー71を閉じる(ステップS22)。これにより、リレーユニット70は、車両側リレー71と、冷凍機側リレー72との双方が閉じた、第三モードM3に移行する。
その後、リレー制御部63は、例えばタイマー回路によって、予め設定された時間に到達するまで、車両側リレー71を閉じてからの経過時間をカウントする。リレー制御部63は、タイマー回路により、経過時間が、予め設定された時間に到達した時点で、冷凍機側リレー72を開く(ステップS23)。これにより、リレーユニット70は、車両側リレー71のみが閉じた第二モードM2へと移行する。
このようにして、リレー制御部63による制御によって、リレーユニット70は、第一モードM1から、第三モードM3を介して、第二モードM2へと移行する。第二モードM2では、圧縮機41に対しては、冷凍機側電源50から電力が供給され、補器80に対しては、車両側電源10から電力が供給される。
【0043】
(走行用エンジンの停止時に、消費電力に応じて行う処理の手順)
また、例えば、キャブ11の運転席に設けられたキャブコントローラ(図示無し)に対し、乗員による輸送用冷凍機械4に対し、プルダウン操作、プルアップ操作、サーモオフオフ操作、といった操作がなされることがある。例えば、プルダウン操作は、冷凍室7内の温度が常温である場合に、常温よりも低い設定温度に向けて、輸送用冷凍機械4で冷凍室7内を短時間で冷却するための操作である。プルアップ操作は、冷凍室7内の温度が常温である場合に、常温よりも高い設定温度に向けて、輸送用冷凍機械4で冷凍室7内を短時間で加熱するための操作である。また、サーモオフ操作は、冷凍室7内の温度が設定温度に近づいた場合に、輸送用冷凍機械4による冷凍室7内の冷却または加熱を停止させるための操作である。これらの操作を行った場合、輸送用冷凍機械4における消費電力は、定常運転時に比較すると、増減する。
これらの操作が行われたときに、冷凍輸送用車両100の乗員がイグニッションスイッチをONからOFFに切り替えると、走行用エンジン13,及び車両用オルタネータ14が停止し、冷凍機側電源50から、圧縮機41と、補器80とに対する電力供給を行う第一モードM1へと移行する。しかし、この状態では、圧縮機41と、補器80とに対する電力供給が不足することがある。
このような場合、
図10に示すような流れの処理を実行するようにしてもよい。すなわち、走行用エンジン13が停止する。すると、車両用オルタネータ14が停止し、車両用オルタネータ14から制御装置60の信号入力部61に、車両用オルタネータ14が起動していることを示すON信号が入力されなくなる。これにより、制御装置60は、車両用オルタネータ14が停止したことを認識する(ステップS31)。
【0044】
制御装置60の消費電力検出部62は、輸送用冷凍機械4における消費電力を検出している。リレー制御部63は、消費電力検出部62で検出される消費電力が、予め設定された閾値以下であるか否かを判定する(ステップS32)。その結果、消費電力が、閾値以下であった場合(ステップS32でYes)、そのまま、制御装置60のリレー制御部63は、冷凍機側リレー72を閉じる(ステップS33)。これにより、電源供給モードを第三モードM3に移行し、予め設定された時間が経過した後に、車両側リレー71を開いて第一モードM1へと移行する(ステップS34)。
【0045】
一方、ステップS33で、消費電力検出部62で検出される消費電力が、予め設定された閾値以下ではなかった場合(ステップS32でNo)、動作制御部64が、輸送用冷凍機械4における消費電力を低減させる(ステップS35)。これには、例えば、動作制御部64は、圧縮機41、及び補器80の少なくとも一方における消費電力を低減させる。例えば、動作制御部64は、補器80の少なくとも一部の動作を停止させる。より具体的には、動作制御部64は、複数のエバポレータファン48のうちの一部の動作を停止させる。また、動作制御部64は、圧縮機41の駆動周波数を低減させるようにしてもよい。
【0046】
ステップS35で、動作制御部64が、輸送用冷凍機械4における消費電力を低減させた後は、ステップS32に戻り、再度、消費電力検出部62で検出される消費電力が、予め設定された閾値以下であるか否かを判定する。
このようにして、消費電力検出部62で検出される消費電力が、予め設定された閾値以下となるまで、輸送用冷凍機械4における消費電力を低下させた後に、電力供給モードの切替を行う。
【0047】
(作用効果)
上記構成の輸送用冷凍機械4では、第一モードM1で、冷凍機側リレー72を閉じて冷凍機側電源50と補器80とを電気的に接続しているので、冷凍機側電源50から補器80に電力が供給される。第二モードM2では、車両側リレー71を閉じて車両側電源10と補器80とを電気的に接続しているので、車両側電源10から補器80に電力が供給される。制御装置60は、第一モードM1と第二モードM2との間で、補器80に対する電力供給モードを切り替える場合に、第一モードM1と第二モードM2との間で、第三モードM3を予め設定時間維持する。第三モードM3では、冷凍機側リレー72、及び車両側リレー71を閉じ、冷凍機側電源50、及び車両側電源10と補器80とを電気的に接続しているので、冷凍機側電源50と車両側電源10との双方から補器80に電力が供給される。つまり、第一モードM1から第二モードM2に電力供給モードを切り替える場合、冷凍機側電源50のみが補器80に接続された第一モードM1から、冷凍機側電源50と車両側電源10とが補器80に接続される第三モードM3を経て、車両側電源10のみが補器80に接続された第二モードM2に移行する。第二モードM2から第一モードM1に電力供給モードを切り替える場合、車両側電源10のみが補器80に接続された第二モードM2から、冷凍機側電源50と車両側電源10とが補器80に接続される第三モードM3を経て、冷凍機側電源50のみが補器80に接続された第一モードM1に移行する。このようにして、第一モードM1と第二モードM2との間で、電力供給モードの切替を行うに際し、冷凍機側電源50と車両側電源10の少なくとも一方が途切れることなく常に補器80に接続されている。したがって、補器80に対する電力供給が瞬間的に途切れることがなく、当然、突入電流が大きくなることもない。その結果、電力供給を、安定して行うことが可能となる。
【0048】
また、上記構成の輸送用冷凍機械4では、制御装置60が、電力供給モードの切替を行うに際し、圧縮機41、及び補器80の少なくとも一方における消費電力を低減させることで、特に、冷凍機用バッテリー52、車両用バッテリー15における電力消費を抑えることができる。
【0049】
また、上記構成の輸送用冷凍機械4では、制御装置60が、電力供給モードの切替を行うに際し、補器80の少なくとも一部の動作を停止させることで、補器80における消費電力を低減させることができる。
【0050】
また、上記構成の輸送用冷凍機械4では、制御装置60が、電力供給モードの切替を行うに際し、複数のエバポレータファン48のうちの一部の動作を停止させることで、補器80における消費電力を低減させることができる。また、複数のエバポレータファン48のうちの残部は、動作し続けるため、電力供給モードの切替時に、エバポレータ46における熱交換効率が低下するのを抑えることができる。
【0051】
また、上記構成の輸送用冷凍機械4では、電力供給モードの切替を行うに際し、圧縮機41の駆動周波数を低減させることで、圧縮機41における消費電力を低減させることができる。
【0052】
また、上記構成の輸送用冷凍機械4では、制御装置60は、圧縮機41、及び補器80における消費電力が、予め設定された閾値以下である場合に、第一モードM1と第二モードM2との間で、電力供給モードの切替を実行するようにした。これにより、電力供給モードの切替中に消費電力が増大することによる影響を抑えつつ、電力供給モードの切替を安定して行うことができる。
【0053】
(その他の実施形態)
以上、本開示の実施の形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施の形態に限られるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
なお、上記実施形態では、電力供給モードを切り替える手順を例示したが、その順序は適宜変更可能である。
また、上記実施形態では、消費電力が閾値以上であった場合に、消費電力を低減させるようにしが、これに限られない。例えば、第一モードM1と第二モードM2との間で、電力供給モードの切替を行う場合に、消費電力を必ず低減するようにしてもよい。
【0054】
また、上記実施形態では、冷凍機用オルタネータ51を走行用エンジン13によって駆動するようにしたが、これに限られない。冷凍機用オルタネータ51は、走行用エンジン13に代え、冷凍機用エンジンにより駆動してもよい。
【0055】
また、上記実施形態でコンピュータが実行するプログラムの一部または全部は、コンピュータが読取可能な記録媒体や通信回線を介して頒布することができる。
【0056】
<付記>
実施形態に記載の輸送用冷凍機械4は、例えば以下のように把握される。
【0057】
(1)第1の態様に係る輸送用冷凍機械4は、冷媒を圧縮する圧縮機41、及び電力により駆動される補器80、を備え、前記冷媒によって車両本体1に搭載された冷凍庫3内を冷却する輸送用冷凍機械4であって、前記車両本体1に備えられた走行用エンジン13によって駆動される車両用オルタネータ14、及び、前記車両用オルタネータ14によって充電可能な車両用バッテリー15を備えた車両側電源10と、走行用エンジン13又は冷凍機用エンジンによって駆動される冷凍機用オルタネータ51、及び前記冷凍機用オルタネータ51によって充電可能な冷凍機用バッテリー52を備えた冷凍機側電源50と、前記冷凍機側電源50から前記圧縮機41に電力を供給する圧縮機電力供給回路83と、前記冷凍機側電源50と前記補器80とを電気的に断続可能な冷凍機側リレー72と、前記車両側電源10と前記補器80とを電気的に断続可能な車両側リレー71と、前記冷凍機側リレー72、及び前記車両側リレー71の断続状態を切り替えることで、前記補器80に対する電力供給を制御する制御装置60と、を備え、前記制御装置60は、前記冷凍機側リレー72を閉じて前記冷凍機側電源50と前記補器80とを電気的に接続する第一モードM1と、前記車両側リレー71を閉じて前記車両側電源10と前記補器80とを電気的に接続する第二モードM2と、前記冷凍機側リレー72、及び前記車両側リレー71を閉じ、前記冷凍機側電源50、及び前記車両側電源10と前記補器80とを電気的に接続する第三モードM3と、の間で前記補器80に対する電力供給モードを切替可能であり、前記第一モードM1と前記第二モードM2との間で、前記電力供給モードの切替を行う場合、前記第一モードM1と前記第二モードM2との間で、前記第三モードM3を予め設定時間維持する。
補器80の例としては、コンデンサファン47、エバポレータファン48、ドレンホースヒータ49が挙げられる。
【0058】
この輸送用冷凍機械4は、第一モードM1では、冷凍機側リレー72を閉じて冷凍機側電源50と補器80とを電気的に接続しているので、冷凍機側電源50から補器80に電力が供給される。第二モードM2では、車両側リレー71を閉じて車両側電源10と補器80とを電気的に接続しているので、車両側電源10から補器80に電力が供給される。制御装置60は、第一モードM1と第二モードM2との間で、補器80に対する電力供給モードを切り替える場合に、第一モードM1と第二モードM2との間で、第三モードM3を予め設定時間維持する。第三モードM3では、冷凍機側リレー72、及び車両側リレー71を閉じ、冷凍機側電源50、及び車両側電源10と補器80とを電気的に接続しているので、冷凍機側電源50と車両側電源10との双方から補器80に電力が供給される。つまり、第一モードM1から第二モードM2に電力供給モードを切り替える場合、冷凍機側電源50のみが補器80に接続された第一モードM1から、冷凍機側電源50と車両側電源10とが補器80に接続される第三モードM3を経て、車両側電源10のみが補器80に接続された第二モードM2に移行する。第二モードM2から第一モードM1に電力供給モードを切り替える場合、車両側電源10のみが補器80に接続された第二モードM2から、冷凍機側電源50と車両側電源10とが補器80に接続される第三モードM3を経て、冷凍機側電源50のみが補器80に接続された第一モードM1に移行する。このようにして、第一モードM1と第二モードM2との間で、電力供給モードの切替を行うに際し、冷凍機側電源50と車両側電源10の少なくとも一方が途切れることなく常に補器80に接続されている。したがって、補器80に対する電力供給が瞬間的に途切れることがなく、当然、突入電流が大きくなることもない。その結果、電力供給を、安定して行うことが可能となる。
【0059】
(2)第2の態様に係る輸送用冷凍機械4は、(1)の輸送用冷凍機械4であって、前記制御装置60は、前記第一モードM1と前記第二モードM2との間で、前記電力供給モードの切替を行うに際し、前記圧縮機41、及び前記補器80の少なくとも一方における消費電力を低減させる。
【0060】
これにより、制御装置60が、電力供給モードの切替を行うに際し、圧縮機41、及び補器80の少なくとも一方における消費電力を低減させることで、特に、冷凍機用バッテリー52、車両用バッテリー15における電力消費を抑えることができる。
【0061】
(3)第3の態様に係る輸送用冷凍機械4は、(2)の輸送用冷凍機械4であって、前記制御装置60は、前記補器80の少なくとも一部の動作を停止させる。
【0062】
これにより、制御装置60が、電力供給モードの切替を行うに際し、補器80の少なくとも一部の動作を停止させることで、補器80における消費電力を低減させることができる。
【0063】
(4)第4の態様に係る輸送用冷凍機械4は、(3)の輸送用冷凍機械4であって、前記補器80は、冷媒回路Pに備えられたエバポレータ46を冷却する複数のエバポレータファン48を備え、前記制御装置60は、複数の前記エバポレータファン48のうちの一部の動作を停止させる。
【0064】
これにより、制御装置60が、電力供給モードの切替を行うに際し、複数のエバポレータファン48のうちの一部の動作を停止させることで、補器80における消費電力を低減させることができる。また、複数のエバポレータファン48のうちの残部は、動作し続けるため、電力供給モードの切替時に、エバポレータ46における熱交換効率が低下するのを抑えることができる。
【0065】
(5)第5の態様に係る輸送用冷凍機械4は、(2)から(4)の何れか一つの輸送用冷凍機械4であって、前記制御装置60は、前記圧縮機41の駆動周波数を低減させる。
【0066】
これにより、電力供給モードの切替を行うに際し、圧縮機41の駆動周波数を低減させことで、圧縮機41における消費電力を低減させることができる。
【0067】
(6)第6の態様に係る輸送用冷凍機械4は、(1)から(5)の何れか一つの輸送用冷凍機械4であって、前記圧縮機41、及び前記補器80における消費電力を検出する消費電力検出部62を更に備え、前記制御装置60は、前記消費電力検出部62で検出される前記消費電力が、予め設定された閾値以下である場合に、前記第一モードM1と前記第二モードM2との間で、前記電力供給モードの切替を実行させる。
【0068】
これにより、制御装置60は、圧縮機41、及び補器80における消費電力が、予め設定された閾値以下である場合に、第一モードM1と前記第二モードM2との間で、電力供給モードの切替を実行するようにしたので、電力供給モードの切替中に消費電力が増大することによる影響を抑えつつ、電力供給モードの切替を安定して行うことができる。
【符号の説明】
【0069】
1……車両本体
3……冷凍庫
4……輸送用冷凍機械
7……冷凍室
10…車両側電源
11…キャブ
12…シャーシ
13…走行用エンジン
14…車両用オルタネータ
15…車両用バッテリー
41…圧縮機
41C…:昇圧コンバータ
41D…:インバータ
42…コンデンサ
43…レシーバ
44…膨張弁
45…アキュムレータ
46…エバポレータ
47…コンデンサファン
48…エバポレータファン
49…ドレンホースヒータ
50…冷凍機側電源
51…冷凍機用オルタネータ
52…冷凍機用バッテリー
60…制御装置
61…信号入力部
62…消費電力検出部
63…リレー制御部
64…動作制御部
65…信号出力部
70…リレーユニット
71…車両側リレー
72…冷凍機側リレー
80…補器
81…車両側電源回路
82…冷凍機側電源回路
83…圧縮機電力供給回路
100…:冷凍輸送用車両
D……電力供給源
M1…第一モード
M2…第二モード
M3…第三モード
P……冷媒回路
P1…第一配管
P2…第二配管
P3…第三配管
P4…第四配管
P5…第五配管
P6…第六配管