(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024002436
(43)【公開日】2024-01-11
(54)【発明の名称】冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
F25D 17/08 20060101AFI20231228BHJP
F25D 11/02 20060101ALI20231228BHJP
【FI】
F25D17/08 307
F25D11/02 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022101601
(22)【出願日】2022-06-24
(71)【出願人】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】高橋 由紀
【テーマコード(参考)】
3L045
3L345
【Fターム(参考)】
3L045AA02
3L045BA01
3L045CA08
3L045DA02
3L045EA01
3L045HA02
3L045LA13
3L045MA02
3L045NA07
3L045NA08
3L045PA02
3L045PA03
3L045PA04
3L045PA05
3L345AA02
3L345AA16
3L345AA18
3L345BB07
3L345DD05
3L345DD18
3L345DD19
3L345DD53
3L345DD66
3L345EE02
3L345EE33
3L345EE53
3L345FF02
3L345FF12
3L345FF32
3L345KK02
3L345KK03
3L345KK04
3L345KK05
(57)【要約】
【課題】1つの区画内に複数の温度帯を設け、1つの食品内の各部位に適する温度帯で保存することができユーザの利便性が向上した冷蔵庫を提供する。
【解決手段】冷蔵庫は、内部に通常区画と、通常区画から壁体によって区切られた特別区画と、を有する貯蔵室と、貯蔵室を冷却する冷気を生成する冷却器と、貯蔵室に冷却器が生成した冷気を送る送風機と、冷気を貯蔵室に供給する風路と、を備える。特別区画は、内部に通常温度帯に維持可能な通常領域と、通常温度帯より高い高温度帯に維持可能な弱冷領域と、を有する。風路から特別区画への冷気の入口となる吹き出し口と、特別区画からの冷気の出口となる戻り口とは、通常領域側に設けられている。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に通常区画と、前記通常区画から壁体によって区切られた特別区画と、を有する貯蔵室と、
前記貯蔵室を冷却する冷気を生成する冷却器と、
前記貯蔵室に前記冷却器が生成した冷気を送る送風機と、
前記冷気を前記貯蔵室に供給する風路と、を備え、
前記特別区画は、内部に通常温度帯に維持可能な通常領域と、前記通常温度帯より高い高温度帯に維持可能な弱冷領域と、を有し、
前記風路から前記特別区画への前記冷気の入口となる吹き出し口と、前記特別区画からの前記冷気の出口となる戻り口とは、前記通常領域側に設けられている、
冷蔵庫。
【請求項2】
貯蔵室と、
前記貯蔵室を冷却する冷気を生成する冷却器と、
前記冷却器が生成した前記冷気を前記貯蔵室に送る送風機と、
前記冷気を前記貯蔵室に供給する風路と、を備え、
前記貯蔵室は、内部に通常領域と、前記通常領域の温度帯より高い高温度帯に維持可能な弱冷領域と、を有し、
前記風路から前記貯蔵室への前記冷気の入口となる吹き出し口と、前記冷気の前記貯蔵室からの出口となる戻り口とは、前記通常領域側に設けられている、
冷蔵庫。
【請求項3】
前記弱冷領域側に設けられた前記冷気の出口となる第2の戻り口と、
前記第2の戻り口を開閉する開閉装置と、
前記開閉装置の開度を制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、前記開閉装置の開度を小さくする又は閉じることによって、前記弱冷領域を前記高温度帯に維持する、
請求項1又は2に記載の冷蔵庫。
【請求項4】
前記戻り口は、前記吹き出し口と比較して前記弱冷領域から遠方に配置されている
請求項1又は2に記載の冷蔵庫。
【請求項5】
前記吹き出し口は、前記特別区画の背面に設けられ、
前記戻り口は、前記特別区画の前記背面以外の面に設けられている、
請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項6】
前記通常領域と前記弱冷領域との間に前記通常領域と前記弱冷領域とを少なくとも部分的に仕切る着脱自在な仕切り部材を更に備える、
請求項1又は2に記載の冷蔵庫。
【請求項7】
前記弱冷領域を加温する加熱部を備える、
請求項1又は2に記載の冷蔵庫。
【請求項8】
前記吹き出し口に取り付けられて前記冷気の吹き出し方向を調節可能な風向調節装置を備える、
請求項1又は2に記載の冷蔵庫。
【請求項9】
前記通常領域の温度を検知する第1温度検知部と前記弱冷領域の温度を検知する第2温度検知部と
前記送風機の回転数を制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、前記第1温度検知部の検知した温度及び前記第2温度検知部の検知した温度に基づいて前記送風機の回転数を制御する、
請求項1又は2に記載の冷蔵庫。
【請求項10】
前記通常領域の温度を検知する第1温度検知部と前記弱冷領域の温度を検知する第2温度検知部と、
前記風向調節装置を駆動する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、前記第1温度検知部の検知した温度及び前記第2温度検知部の検知した温度に基づいて前記風向調節装置を駆動して前記冷気の吹き出し方向を調整する、
請求項8に記載の冷蔵庫。
【請求項11】
前記弱冷領域に保管された食品の温度を検知可能な第3温度検知部と、
前記送風機の回転数を制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、前記第3温度検知部の検知した温度に基づいて前記送風機の回転数を制御する、
請求項1又は2に記載の冷蔵庫。
【請求項12】
前記弱冷領域内に保存された食品の温度を検知可能な第3温度検知部と、
前記風向調節装置を駆動する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、前記第3温度検知部の検知した食品の温度に基づいて前記風向調節装置を駆動して前記冷気の吹き出し方向を調整する、
請求項8に記載の冷蔵庫。
【請求項13】
前記吹き出し口の少なくとも一部に設けられて、厚み方向に貫通して形成されて噴流を発生させる多数の孔部を有する有孔部材を備える、
請求項1又は2に記載の冷蔵庫。
【請求項14】
前記孔部の周囲を加温する第2加熱部を備える、
請求項13に記載の冷蔵庫。
【請求項15】
前記吹き出し口のうち前記有孔部材が設けられた部分以外の部分に設けられて前記冷気の吹き出し方向を調節可能な風向調節装置を備え、
前記風向調節装置は、前記風向調節装置を通る冷気を、前記有孔部材を前方に向けて延長した領域に向かわせる、
請求項13に記載の冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、共働き世帯の増加により、家庭外で調理された出来合いの食品を購入して持ち帰る或いは配達等によって家庭内で食べる食事形態、いわゆる中食が増えている。このような中食用の食品は、購入後比較的短期間のうちに消費されるものの、場合によっては半日から数日程度保存されることがある。そのため、このような調理済みの食品をおいしく保存したいというニーズが高まっている。
【0003】
ここで、調理済みの例えばごはんやパンが時間の経過とともにその食味が劣化する理由は、ごはんやパンに含まれるデンプンが、調理直後はα化されているが時間の経過とともにβ化するからである。デンプンのβ化は、デンプンの表面が液相の状態つまり2℃~4℃程度で最も進行し易い。
【0004】
従来の冷蔵庫は、生鮮食品等をより長期間保存できるように、冷蔵室内を3℃~5℃の冷蔵温度帯や0℃~3℃のいわゆるチルド温度帯に維持する。そのため、調理済みの食品を従来の冷蔵庫に収納すると、デンプンのβ化が促進されてしまい、かえって食味が損なわれることとなる。そのため、従来構成の冷蔵庫は、調理済みの食品の保存には適していなかった。
【0005】
そこで、貯蔵室内に冷蔵温度帯と冷蔵温度帯よりも高い高温度帯とに切り替え可能な高温特別区画を有する冷蔵庫が検討されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ここで、食品によっては、一つの食品の中の部位ごとに適する温度帯が異なるものがある。例えば寿司は、デンプン質を多く含む酢飯は約10℃~20℃の範囲内で保管することが最適であるのに対して、生魚などのいわゆるネタは約2℃~3℃の範囲内で保管することが最適である。また、ケーキは、デンプン質を多く含むスポンジは約10℃~20℃の範囲内で保管することが最適であるのに対して、生クリームは約2℃~3℃の範囲内で保管することが最適である。
【0008】
そこで、1つの区画内に複数の温度帯を設け、1つの食品内の各部位に適する温度帯で保存することができユーザの利便性が向上した冷蔵庫を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
実施形態の冷蔵庫は、内部に通常区画と、前記通常区画から壁体によって区切られた特別区画と、を有する貯蔵室と、前記貯蔵室を冷却する冷気を生成する冷却器と、前記貯蔵室に前記冷却器が生成した冷気を送る送風機と、前記冷気を前記貯蔵室に供給する風路と、を備える。前記特別区画は、内部に通常温度帯に維持可能な通常領域と、前記通常温度帯より高い温度に維持可能な弱冷領域と、を有する。前記風路から前記特別区画への前記冷気の入口となる吹き出し口と、前記特別区画からの前記冷気の出口となる戻り口とは、前記通常領域側に設けられている。
【0010】
実施形態の冷蔵庫は、貯蔵室と、前記貯蔵室を冷却する冷気を生成する冷却器と、前記冷却器が生成した前記冷気を前記貯蔵室に送る送風機と、前記冷気を前記貯蔵室に供給する風路と、を備える。前記貯蔵室は、内部に通常領域と、前記通常領域の温度帯より高い高温度帯に維持可能な弱冷領域と、を有する。前記風路から前記貯蔵室への前記冷気の入口となる吹き出し口と、前記冷気の前記貯蔵室からの出口となる戻り口とは、前記通常領域側に設けられている。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】第1実施形態による冷蔵庫の構成の一例を示す斜視図
【
図2】第1実施形態による冷蔵庫の構成の一例を示す縦断右側面図
【
図3】第1実施形態による冷蔵庫の冷凍サイクルの一例を示す概念図
【
図4】第1実施形態による冷蔵庫の電気的構成の一例を示すブロック図
【
図5】第1実施形態による冷蔵庫について、特別区画付近の概略構成を示す右側面図
【
図6】第1実施形態による冷蔵庫について、特別区画付近の概略構成を示す正面図
【
図7】その他の実施形態による冷蔵庫について、特別区画付近の概略構成を示す側面図
【
図8】第1実施形態による冷蔵庫について、仕切り部材を取り付けた状態の特別区画付近の概略構成を示す右側面図
【
図9】第1実施形態による冷蔵庫について、仕切り部材を取り付けた状態の特別区画付近の概略構成を示す正面図
【
図10】第1実施形態による冷蔵庫について、弱冷運転において制御装置が実行する制御内容の一例を示すフローチャート(その1)
【
図11】第1実施形態による冷蔵庫について、弱冷運転において制御装置が実行する制御内容の一例を示すフローチャート(その2)
【
図12】第2実施形態による冷蔵庫について、開閉装置を開いた状態で特別区画付近の概略構成を示す右側面図
【
図13】第2実施形態による冷蔵庫について、開閉装置を閉じた状態で特別区画付近の概略構成を示す右側面図
【
図14】第2実施形態による冷蔵庫の電気的構成の一例を示すブロック図
【
図15】第3実施形態による冷蔵庫について、特別区画付近の概略構成を示す右側面図
【
図16】第3実施形態による冷蔵庫について、特別区画付近の概略構成を示す正面図
【
図17】第4実施形態による冷蔵庫について、風向調節装置によって風向を通常範囲に設定した場合の特別区画付近の概略構成を示す右側面図
【
図18】第4実施形態による冷蔵庫について、風向調節装置によって風向を特定範囲に設定した場合の特別区画付近の概略構成を示す右側面図
【
図19】第4実施形態による冷蔵庫の電気的構成の一例を示すブロック図
【
図20】第4実施形態による冷蔵庫について、弱冷運転において制御装置が実行する制御内容の一例を示すフローチャート(その1)
【
図21】第4実施形態による冷蔵庫について、弱冷運転において制御装置が実行する制御内容の一例を示すフローチャート(その2)
【
図22】第5実施形態による冷蔵庫について、風向調節装置によって風向を通常範囲に設定した場合の特別区画付近の概略構成を示す右側面図
【
図23】第5実施形態による冷蔵庫について、風向調節装置によって風向を特定範囲に設定した場合の特別区画付近の概略構成を示す右側面図
【
図24】第5実施形態による冷蔵庫について、風向調節装置によって風向を特定範囲に設定した場合の特別区画付近の概略構成を示す正面図
【
図25】第5実施形態による冷蔵庫の電気的構成の一例を示すブロック図
【
図26】第5実施形態による冷蔵庫の有孔部材の一例を示す正面図
【
図27】第5実施形態による冷蔵庫の有孔部材の一例を示す背面図
【
図28】第6実施形態による冷蔵庫の構成の一例を示す縦断右側面図
【
図29】第6実施形態による冷蔵庫について、小冷凍室付近の概略構成を示す右側面図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、複数の実施形態による洗濯乾燥機について、図面を参照して説明する。なお、各実施形態において実質的に同一の構成部位には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0013】
(第1実施形態)
まず、第1実施形態による冷蔵庫について、
図1~
図10を参照して説明する。
図1に示す冷蔵庫10は、前面が開口した縦長矩形箱状の冷蔵庫本体としての断熱箱体20内に、複数の貯蔵室を有して構成されている。以下の説明では、断熱箱体20の開口側を、冷蔵庫10の前面側とし、開口とは反対側を、冷蔵庫10の背面側とする。また、冷蔵庫10を
図1の姿勢で床面に設置した場合における重力方向に対する上下方向を、冷蔵庫10の上下方向とする。また、
図1の冷蔵庫10を前側から見た場合における左右方向を、冷蔵庫10の左右方向とする。
【0014】
図1に示すように、冷蔵庫10は、断熱箱体20を主体として構成されている。断熱箱体20は、前面が開口した箱体で構成されており、内部に複数の貯蔵室を有している。断熱箱体20は、内箱21と外箱22との間に断熱性の高い部材である断熱部材23を設けて構成されている。断熱性の高い部材は、例えば発泡ウレタンなどの発泡断熱部材である。また、断熱箱体20は、断熱部材23の一部を、アルミを蒸着したフィルムでグラスウール等を覆い、内部を減圧して断熱性を高めたいわゆる真空断熱パネルで構成されていても良い。
【0015】
断熱箱体20は、貯蔵物を貯蔵するための複数の貯蔵室として、例えば冷蔵室11、野菜室12、製氷室13、小冷凍室14、及び冷凍室15を備えている。冷蔵室11、野菜室12は、冷蔵温度帯の貯蔵室である。また、製氷室13、小冷凍室14、及び冷凍室15は、冷凍温度帯の貯蔵室である。
【0016】
この場合、冷蔵温度帯及び冷凍温度帯とは、食品等を冷蔵や冷凍して収納するために適した温度帯であり、冷蔵庫10の出荷時に既に設定されていたり冷蔵庫10の運転に際してユーザが任意に設定したりすることで、冷蔵庫10の運転時に予め設定されている温度帯である。冷蔵温度帯は、例えば一般的な冷蔵温度帯である1℃~5℃に設定することができる。本実施形態では、冷蔵温度帯は例えば2℃~4℃に設定されている。なお、2℃~4℃の冷蔵温度帯に、例えば0℃~2℃のチルド温度帯を含めて、冷蔵室11の通常の温度帯と称することがある。また、冷凍度帯は、例えば一般的な冷凍温度帯である-15℃以下、好ましくは-18℃以下に設定されている。
【0017】
冷蔵室11は、断熱箱体20の最上部に設けられている。野菜室12は、冷蔵室11の下方に設けられている。製氷室13及び小冷凍室14は、野菜室12の下方にあって、左右に並べて設けられている。冷凍室15は、製氷室13及び小冷凍室14の下方、つまり断熱箱体20の最下部に設けられている。
【0018】
冷蔵庫10は、冷蔵室扉111、112、野菜室扉121、製氷室扉131、小冷凍室扉141、及び冷凍室扉151を備えている。冷蔵室扉111、112は、例えば観音開きのヒンジ開閉式の扉であって、冷蔵室11の前側の開口を開閉する。野菜室扉121、製氷室扉131、小冷凍室扉141、及び冷凍室扉151は、いずれも引き出し式であって、それぞれ野菜室12、製氷室13、小冷凍室14、及び冷凍室15の前側の開口を開閉する。
【0019】
この場合、
図2に示すように、野菜室12は、引出し式のケース122を有している。そして、このケース122は、野菜室扉121に取り付けられて野菜室扉121と一体的に出し入れ可能に構成されている。同様に、製氷室13は製氷室扉131と一体的に出し入れ可能な図示しないケースを、小冷凍室14は小冷凍室扉141と一体的に出し入れ可能なケース142を、冷凍室15は冷凍室扉151と一体的に出し入れ可能なケース152を有している。
【0020】
断熱箱体20は、
図2に示すように、内部に断熱仕切り壁24と非断熱仕切り壁25とを有している。断熱仕切り壁24は、冷蔵温度帯の貯蔵室11、12と、冷凍温度帯の貯蔵室13、14、15とを断熱した状態で上下方向に仕切っている。非断熱仕切り壁25は、冷蔵温度帯の貯蔵室11、12内において、冷蔵室11と野菜室12とを断熱せずに上下方向に仕切っている。
【0021】
冷蔵室11は、
図2に示すように、天井部113と、底部114と、左右の側壁部115と、を有する。天井部113は、内箱21の一部を構成し、冷蔵室11内部の上面を形成する。天井部113と外箱22との間には、断熱部材23が設けられている。底部114は、非断熱仕切り壁25の一部を構成し、冷蔵室11内部の底面を形成する。側壁部115は、内箱21の一部を構成し、冷蔵室11内部の左右の側面を形成する。
【0022】
冷蔵庫10は、冷蔵室11内に複数この場合4個の棚板31、32、33、34複数の棚板31、32、33、34は、上方から下方に向かってこの順に並んで水平方向に延びる面を形成して冷蔵室11に保存される食品を載せて支える。最上部の棚板31の上方には、天井部113が位置している。
【0023】
冷蔵室11は、チルドルーム35と、ケース351とを有する。チルドルーム35は、冷蔵室11の下部に設けられており、具体的には最下段の棚板34の下方に設けられている。チルドルーム35は、冷蔵室11の下部において左右方向の幅全体に亘って設けられていても良いし、左右方向の幅の一部に設けられていても良い。本実施形態では、チルドルーム35は、右寄りに設けられており、最下段の棚板34を左右に仕切る隔壁39の右側に位置する。すなわち、チルドルーム35は、最下段の棚板34と底部114と右の側壁部115と、隔壁39と、によって囲まれている。チルドルーム35の前部には、図示しない回動蓋があり、チルドルーム35を開閉する。このようにして、チルドルーム35は、冷蔵室11内のチルドルーム35以外の部分から区画されている領域である。
【0024】
ケース351は、チルドルーム35内に引き出し可能に収容されている。ケース351は、例えば上方に向かって開放した容器状に形成され、内部に食品を収納することができる。棚板31、32、33、34やケース351は、例えば樹脂やガラス等で形成されている。
【0025】
冷蔵庫10は、
図4に示す冷凍サイクル40を備える。冷凍サイクル40は、冷蔵冷却器41、冷凍冷却器42、圧縮機43、凝縮器44、切替弁45を含んで構成される。切替弁45は、出口451、452を有する。出口451は、冷蔵冷却器41につながる流路側の出口である。出口452は、冷凍冷却器42につながる流路側の出口である。切替弁45を冷蔵冷却器41側に切り替えて出口451を開放し冷蔵冷却器41側へ冷媒を供給することで、冷凍サイクル40は、冷蔵冷却器41に冷蔵温度帯の貯蔵室11、12を冷却するための冷気を生成させる。また、切替弁45を冷凍冷却器42側に切り替えて出口451を開放し冷凍冷却器42側へ冷媒を供給することで、冷凍サイクル40は、冷凍冷却器42に冷凍温度帯の貯蔵室13、14、15を冷却するための冷気を生成させる。なお、別の実施形態では、1つの冷却器で冷蔵温度帯の貯蔵室11、12と冷凍温度帯の貯蔵室13、14、15とを冷却するための冷気を生成する構成としても良い。
【0026】
また、冷蔵庫10は、
図4に示すように、制御装置16を備える。制御装置16は、CPU161や、ROM、RAM、不揮発性メモリなどの記録領域162を有するマイクロコンピュータを主体として構成されている。制御装置16は、冷蔵庫10全体の動作を管理する。圧縮機43、切替弁45、下記に示す冷蔵送風機37、冷凍送風機38、操作部50は、制御装置16に電気的に接続されており、制御装置16によって駆動制御される。
【0027】
冷蔵庫10は、更に冷蔵冷却器室17と、冷凍冷却器室18と、機械室19とを備える。冷蔵冷却器室17は、冷蔵温度帯の貯蔵室11、12の後方に設けられており、内部に冷蔵冷却器41を収容する。冷凍冷却器室18は、冷凍温度帯の貯蔵室13、14、15の後方に設けられており、内部に冷凍冷却器42を収容する。機械室19は、断熱箱体20の外部に設けられており、内部に圧縮機43を収容する。本実施形態では、機械室19は、冷蔵庫10の下部つまり冷凍室15の後方に設けられている。
【0028】
また、冷蔵庫10は、
図2に示すように、風路36と、冷蔵送風機37と、冷凍送風機38と、を備えている。冷蔵冷却器室17は風路36内部に形成されており、風路36は、冷蔵冷却器41によって生成された冷気を冷蔵室11及び野菜室12に供給するための送風経路を形成する。冷蔵送風機37は、風路36内に設けられている。冷蔵送風機37は、野菜室12の空気を風路36内に吸い込み、その吸い込んだ空気を冷蔵冷却器41を通過させてから冷蔵温度帯の貯蔵室11、12に送る機能を有する。冷凍送風機38は、冷凍冷却器室18内に設けられている。冷凍送風機38は、冷凍室15の空気を冷凍冷却器室18内に吸い込み、その吸い込んだ空気を冷凍冷却器42を通過させてから冷凍温度帯の貯蔵室13、14、15に送る機能を有する。冷凍冷却器室18は、冷凍冷却器42によって生成された冷気を製氷室13、小冷凍室14、及び冷凍室15に供給するための送風経路すなわち風路としての機能を有する。
【0029】
図2に示すように、風路36は、戻り口361と、複数の吹き出し口362と、を有している。戻り口361は、風路36の下方の一部を貯蔵室12に向けて開口して形成されている。なお、チルドルーム35の隔壁39を挟んだ左側において、冷蔵室側戻り口を設けても良い。複数の吹き出し口362は、風路36内と、冷蔵室11と、を連通している。また、冷蔵室11と野菜室12とを区切る非断熱仕切り壁25には、図示しない連通孔が設けられており、冷蔵室11内を通過した冷気は連通孔を通して野菜室12に供給される。野菜室12内を通過した冷気は、冷蔵送風機37の送風作用により戻り口361から再び風路36内に吸い込まれる。
【0030】
冷蔵送風機37の送風作用によって野菜室12から戻り口361を通って風路36内に流入した空気は、風路36内を流れて冷蔵冷却器41を通過する。そして、冷蔵冷却器41を通過した空気は、風路36内を進み吹き出し口362から冷蔵室11に吹き出される。
【0031】
図2に示すように、冷凍冷却器室18は、戻り口181と、複数の吹き出し口182と、を有している。戻り口181は、冷凍冷却器室18の下方の一部を冷凍室15に向けて開口して形成されている。複数の吹き出し口182は、冷凍冷却器室18内と、冷凍温度帯の貯蔵室13、14、15と、を連通している。
【0032】
冷凍送風機38の送風作用によって冷凍室15から戻り口181通って風路36内に流入した空気は、冷凍冷却器室18内を流れて冷凍冷却器42を通過する。そして、冷凍冷却器42を通過した空気は、複数の吹き出し口182から冷凍温度帯の貯蔵室13、14、15に吹き出される。製氷室13、小冷凍室14を冷却した冷気は、下降して冷凍室15に流れ込む。
【0033】
図1、及び
図4に示す操作部50は、制御装置16に電気的に接続されている。操作部50は、ユーザからの操作を受け付けるとともに、制御装置16からの制御を受けて、冷蔵庫10の運転内容等の各種の設定の変更や表示等を行う機能を有する。また、操作部50は、後述する通常運転と弱冷運転とを切り替えるユーザの操作を受け付ける。本実施形態の場合、操作部50は、例えば静電タッチ式のいわゆる操作パネルである入力部を有している。そして、操作部50は、例えば冷蔵室扉111、112のいずれか一方又は両方に内蔵されている。本実施形態では、操作部50は、
図1に示すように、左側の冷蔵室扉111に設けられている。また、操作部50は、例えばLEDライトや液晶等で構成された表示部や、音を鳴らしたり音声等を発生させたりできるブザーやスピーカー等を有していても良い。
【0034】
なお、冷蔵庫10は、図示しない外部のルータを介して例えばインターネットや携帯電話回線網等の電気通信回線に接続可能に構成されていても良い。この場合、図示しない通信部は、ルータ及び電気通信回線を介して、外部機器である例えばスマートフォンやタブレット、パソコン等の外部の情報端末や、企業等に設置されたサーバ等に通信可能に接続される。またこの場合、通信部は、情報端末等と有線又は無線によって直接接続されても良い。制御装置16は、外部機器である情報端末やサーバに例えば冷蔵庫10の運転状況等の各種情報を送信することができる。また、通信部は、情報端末やサーバ等から各種指示を受信することができる。
【0035】
冷蔵庫10は、貯蔵室11、12、13、14、15のいずれか一つ又は複数に特別区画Aを有する。特別区画Aは、区画内の温度を、当該区画を有する各貯蔵室の通常の温度帯とは異なる温度帯に維持できる区画である。特別区画Aは、各貯蔵室の一部に設けても良いし、各貯蔵室の全体に設けても良い。特別区画Aを各貯蔵室の一部に設ける場合、特別区画Aは、当該貯蔵室内の特別区画A以外の区画から断熱性を有する又は断熱性を有さない壁体によって物理的に仕切られて構成されている。特別区画Aと特別区画A以外の区画とを仕切る壁体は、ユーザが特別区画Aを特別区画A以外の区画から物理的に区切られた独立した空間であると認知できればよく、特別区画Aを特別区画A以外の区画から完全に遮断する必要はない。すなわち、特別区画Aは密閉されている必要はなく、特別区画Aと特別区画A以外の区画とは一部において連通していても構わない。
【0036】
本実施形態では、特別区画は冷蔵温度帯の貯蔵室である冷蔵室11内の一部に設けられている。特別区画Aは、冷蔵室11内のどこに設けても良いが、本実施形態では、チルドルーム35が特別区画Aとして機能する。チルドルーム35は、壁体として、断熱性を有さない、隔壁39と、棚板34と、図示しない回動蓋によって、貯蔵室11内の特別区画A以外の区画から物理的に仕切られている。本実施形態において、特別区画A内に保管される食品100は、ケース351内に収容される。
図5、
図6等ではケース351の図示を省略するが、ケース351の背面には、図示しないスリットが形成されており、風路36から供給された冷気がケース351内部に流入可能であってケース351から流出可能となっている。
【0037】
特別区画Aは、異なる温度帯に維持することができる複数の領域を内部に含む。例えば、特別区画Aは、通常領域A1と弱冷領域A2とを含んでいる。通常領域A1は、特別区画Aを有する貯蔵室11の通常の温度帯この場合冷蔵温度帯又はチルド温度帯に維持される領域である。本実施形態では、通常領域A1はチルド温度帯に維持される領域である。弱冷領域A2は、通常領域A1の温度帯よりも高い高温度帯に維持される領域である。すなわち、弱冷領域A2は、特別区画A以外の区画及び又は通常領域A1に比較して冷却を抑制された領域である。高度帯は、例えば約10℃~約20℃の範囲内に設定することができる。なお、弱冷領域A2の温度帯は、常に高温度帯に維持されていても良いし、ユーザの操作によって又は制御装置の制御によって、通常の温度帯と高温度帯とを切り替えられる構成であっても良い。
【0038】
通常領域A1と弱冷領域A2とは、1つの特別区画A内に少なくともそれぞれ1つずつ含まれている。本実施形態では、1つの特別区画A内に1つの通常領域A1と1つの弱冷領域A2とが含まれている。なお、他の実施形態では、例えば1つの特別区画A内に通常領域A1と弱冷領域A2とを交互に一又は複数個配置しても良い。
【0039】
図5及び
図6は、特別区画Aを模式的に表した図である。特別区画Aにおいて、通常領域A1と弱冷領域A2とは、仮想的な境界線Lを挟んで例えば上下方向に並んで配置されていても良いし、左右方向に並んで配置されていても良い。本実施形態では、通常領域A1と弱冷領域A2とは、上下方向に並んで配置されている。更に、本実施形態では、弱冷領域A2は、通常領域A1の下方に配置する。これにより、下部に比較的高温での保管に適する部位を有し上部に低温での保管に適する部位を有する例えば寿司やケーキ類などの食品100を、それぞれの部位に適する温度帯で保管することができる。
【0040】
なお、他の実施形態では、
図7に示すように、弱冷領域A2を通常領域A1の上方に配置しても良い。この場合も、特別戻り口363aと特別吹き出し口364aとは、いずれも通常領域A1に設けられている。また、加熱部54aは、弱冷領域A2の側面又は天面に設けられていてよい。例えば、
図7に示す例では加熱部54aは弱冷領域A2の天面となる棚板34の下方に設けられている。この場合、下部に低温での保管に適する部位を有し上部に比較的高温での保管に適する部位を有する食品100を、それぞれの部位に適する温度帯で保管することができる。
【0041】
本実施形態において、通常領域A1と弱冷領域A2との体積比は、概ね1:1であっても良いし、一方が他方よりも大きくても良い。本実施形態では、通常領域A1と弱冷領域A2との体積比は概ね1:1に設定されている。すなわち、通常領域A1と弱冷領域A2との境界線Lは、特別区画Aの上下方向の高さ寸法の中点付近に位置している。
【0042】
通常領域A1と弱冷領域A2とは、互いに連通している。すなわち、食品は境界線Lを跨いで通常領域A1と弱冷領域A2とに亘って収容可能である。ここで、
図5、及び
図6においては、通常領域A1と弱冷領域A2との間には物理的な障壁は設けられていないが、これに限らない。例えば、
図8、及び
図9に示すように、着脱可能な仕切り部材352を通常領域A1と弱冷領域A2との間に取り付け、通常領域A1と弱冷領域A2とにそれぞれ別個の食品を保存しても良い。仕切り部材352は、断熱性の低い例えば樹脂部材等で板状に構成されており、通常領域A1と弱冷領域A2とを物理的に区切る。仕切り部材352は、仕切り部材352を特別区画Aに取り付けた状態で通常領域A1と弱冷領域A2とをそれぞれ別の食品保管空間として利用できればよく、完全に遮断されている必要はない。すなわち、仕切り部材352を特別区画Aに取り付けた状態で、通常領域A1と弱冷領域A2とは、一部において連通していても良い。なお、
図8、及び
図9ではケース351の図示を省略しているが、仕切り部材352はケース351に着脱可能に取り付けられる構成であっても良い。
【0043】
風路36は、1又は複数この場合1つの特別戻り口363と、1又は複数この場合2つの特別吹き出し口364とを有する。特別戻り口363と、特別吹き出し口364とは、特別区画Aと風路36とを直接又は間接的に連通する開口部であって、特別区画Aへの冷気の出入を可能にする。特別戻り口363と特別吹き出し口364とは、いずれも通常領域A1内に形成されている。すなわち、特別吹き出し口364と特別戻り口とはいずれも境界線Lよりも通常領域A1側に偏って設けられているため、風路36を流れる冷気は、特別吹き出し口364から通常領域A1に向けて流れ込み、主に通常領域A1内を循環して特別戻り口363から風路36に戻る。
【0044】
本実施形態では、特別戻り口363と特別吹き出し口364とは、特別区画Aの背面に形成されている。特別戻り口363の下流側は、補助風路365によって風路36の冷蔵冷却器41の上流側に接続されている。
【0045】
特別戻り口363と弱冷領域A2との距離は、特別吹き出し口364と弱冷領域A2との距離よりも長く設定されている。換言すると、特別戻り口363は、特別吹き出し口364よりも弱冷領域A2から離れた位置に配置されている。そのため、特別吹き出し口364から通常領域A1に流入した冷気は、弱冷領域A2から離れる方向に流れやすくなる。これにより、弱冷領域A2が必要以上に冷却されることを抑制できる。本実施形態では、弱冷領域A2は通常領域A1の下方に位置しているため、特別戻り口363は特別吹き出し口364よりも上方に形成される。
【0046】
冷蔵庫10は、
図4等に示すように、第1温度検知部51と、第2温度検知部52と、第3温度検知部53と、を備える。第1温度検知部51は、通常領域A1内の空気の温度を検知する。第2温度検知部52は、弱冷領域A2内の空気の温度を検知する。第1温度検知部51及び第2温度検知部52は、例えばサーミスタであって、それぞれの領域A1、A2の壁面、天面又は底面に設置することができる。第3温度検知部53は、特別区画Aに保管された食品の温度又は表面温度を検知し、例えば食品の表面温度を検知可能な赤外線センサである。
【0047】
第3温度検知部53は、通常領域A1内の食品の温度と、弱冷領域A2内の食品の温度との両方を検知することが好ましい。例えば、通常領域A1内の食品の温度を測定する第3温度検知部53と、弱冷領域A2内の食品の温度を測定する第3温度検知部53とをそれぞれ設けても良いし、一つの第3温度検知部53によって、通常領域A1内の食品の温度と弱冷領域A2内の食品の温度とを測定可能に構成しても良い。本実施形態では、1つの第3温度検知部53によって通常領域A1内の食品の温度と弱冷領域A2内の食品の温度とを測定可能であって、例えば、通常領域A1と弱冷領域A2との境界線L上又は境界線Lの近傍に取り付けた第3温度検知部53によって、双方の領域A1、A2における食品の温度が検知可能である。
【0048】
また、冷蔵庫10は、加熱部54を備える。加熱部54は、弱冷領域A2の内部の温度を高温度帯に加熱することができる。その結果、加熱部54は、弱冷領域A2の内部の食品の温度を高温度帯に維持する機能を有する。加熱部54は、
図4に示すように制御装置16に接続されており、制御装置16からの制御に基づいて駆動する。また、加熱部54の発熱量は制御装置16によって制御される。
【0049】
加熱部54は、弱冷領域A2の外周部に設けられている。本実施形態では、加熱部54は、弱冷領域A2の下部この場合冷蔵室11の底部114に埋め込んで設けられている。
【0050】
加熱部54は、例えば電熱線に電気を流して発熱させる電熱線ヒータである。本実施形態では、加熱部54は、例えば電熱線をアルミ箔で包んだ、いわゆるアルミ箔ヒータである。加熱部54は、軽くて薄く、また防滴加工されていても良い。別の実施形態では、加熱部54は、電熱線を例えばシリコンラバーのシートで包んだフレキシブルな面状の発熱体であっても良い。加熱部54の消費電流は、例えば約5~約15mAに設定されている。好ましくは、加熱部54の消費電流は、約9~約11mAに設定されている。制御装置16は、加熱部54に対する電力の供給を制御する。つまり、加熱部54は、常時稼働しているわけではなく、制御装置16の制御により電力が供給された場合のみ稼働している。
【0051】
操作部50に対するユーザの操作を受けて又は、図示しない撮像装置によって弱冷対象の食品100が弱冷領域A2内に収容されていることが検知されると、制御装置16は、弱冷運転を開始する。弱冷運転は、弱冷領域A2内を高温度帯に維持するための運転内容である。制御装置16は、例えば
図10に一例を示すようなフローチャートに従って弱冷運転を実行する。制御装置16は、第1温度検知部51、第2温度検知部52、第3温度検知部53、及び図示しない冷蔵温度帯の貯蔵室の温度や外気温を検知する温度検知部の少なくともいずれか1つまたは複数の検知結果に基づいて、弱冷運転を実行することができる。なお、
図10に示す一例の場合、制御装置16は、少なくとも第3温度検知部53の検知結果に基づいて弱冷運転を実行する。
【0052】
弱冷運転が開始されると(スタート)、制御装置16は、ステップS11において第3温度検知部53の検知した弱冷領域A2内の食品の温度tが第1温度x1未満であるか否かを判定する。第1温度x1は、例えば高温度帯の最低温度である10℃に設定することができる。第3温度検知部53の検知温度tが第1温度x1未満である場合(ステップS11でYes)、制御装置16は処理をS12に進める。検知温度tが第1温度x1以上である場合(ステップS11でNo)、制御装置16は、ステップS11の処理を繰り返す。
【0053】
制御装置16は、ステップS12において加熱部54を駆動する。これにより弱冷領域A2内の食品が加温される。制御装置16は、ステップS13において検知温度tが第2温度x2未満であるか否かを判定する。第2温度x2は、第1温度x1未満の温度であり、例えば高温度帯未満の温度である。本実施形態では、第2温度x2は特別区画Aが設けられている冷蔵室11の通常温度帯である冷蔵温度帯の最高温度である5℃に設定されている。検知温度tが第2温度x2未満である場合(ステップS13でYes)、制御装置16は処理をステップS14に進める。検知温度tが第2温度x2以上である場合(ステップS13でNo)、制御装置16は処理をステップS17に進める。
【0054】
制御装置16は、ステップS14において冷蔵送風機37の回転数を低下させる。低下後の回転数は、例えば通常運転時の回転数の約50%~約75%の範囲内に設定することができる。これにより、冷蔵送風機37の送風作用が低下し、弱冷領域A2内への冷気の流入が抑制される。制御装置16は、ステップS15において検知温度tが第3温度x3以上であるか否かを判定する。第3温度x3は第1温度x1及び第2温度x2よりも高い温度である。例えば、本実施形態では、第3温度x3は高温度帯の最低温度より高く最高温度よりも低い15℃に設定されている。検知温度tが第3温度x3以上である場合(ステップS15でYes)、制御装置は処理をステップS16に進める。検知温度tが第3温度x3未満である場合(ステップS15でNo)、制御装置はステップS15の処理を繰り返す。
【0055】
制御装置16は、ステップS16において冷蔵送風機37の回転数を増加させる。すなわち、制御装置16は、冷蔵送風機37の回転数を通常運転時の回転数に戻す。これにより、通常領域A1を含めた冷蔵温度帯の貯蔵室11、12の冷却効率が過度に低下することを抑制する。
【0056】
制御装置16は、ステップS17において検知温度tが第4温度x4以上であるか否かを判定する。第4温度x4は第1温度x1、第2温度x2、及び第3温度x3よりも高い温度である。例えば、本実施形態では、第4温度x4は高温度帯の最高温度である20℃に設定されている。検知温度tが第4温度x4以上である場合(ステップS17でYes)、制御装置は処理をステップS18に進める。検知温度tが第4温度x4未満である場合(ステップS17でNo)、制御装置はステップS17の処理を繰り返す。
【0057】
制御装置16は、ステップS18において加熱部54の駆動を停止する。これにより、弱冷領域A2内の食品が必要以上に加温されることを抑制する。ステップS18を実行後、制御装置は再びステップS11に処理を進める。このようにして、制御装置16は弱冷運転を実行する。なお、制御装置16は、ユーザからの操作部50への操作を受けて又は、撮像装置が弱冷領域A2に弱冷運転の対象となる食品を検知しなくなることによって、弱冷運転を停止する。このようにして、制御装置16は弱冷運転を実行することができる。
【0058】
また、上記で説明した弱冷運転の制御において、制御装置16は第3温度検知部53の検知温度tに基づいて弱冷運転を実行したが、第3温度検知部53の検知温度tに替えて又は加えて、第1温度検知部51の検知温度u及び又は第2温度検知部52の検知温度v又はそれらの双方に基づいて弱冷運転を実行する構成であっても良い。
【0059】
例えば、制御装置16は、
図11に示すように、第1温度検知部51の検知温度uと、第2温度検知部52の検知温度vと、第3温度検知部53の検知温度tとに基づいて弱冷運転を実行しても良い。
図11に示すフローチャートは、
図10に示す第1実施形態のフローチャートと比較して、ステップS13の代わりにステップS21を、ステップS15の代わりにステップS22を、ステップS17の代わりにステップS23を有する。その他の処理は、
図10における処理と同様である。
【0060】
ステップS21において、制御装置16は、第2温度検知部52の検知温度vが第5温度x5以下であるか否かを判定する。第5温度x5は、第1温度x1未満の温度であり、例えば高温度帯未満の温度である。本実施形態では、第5温度x5は特別区画Aが設けられている冷蔵室11の通常温度帯である冷蔵温度帯の最高温度である5℃に設定されている。検知温度vが第5温度x5以下である場合(ステップS21でYes)、制御装置16は処理をステップS14に進める。検知温度vが第5温度x5よりも高温である場合(ステップS21でNo)、制御装置16は処理をステップS23に進める。
【0061】
制御装置16は、ステップS22において第1温度検知部51の検知温度uが第6温度x6よりも高いか否かを判定する。第6温度x6は第1温度x1よりも低く第5温度x5以下の温度であり、例えば高温度帯未満の温度である。例えば、本実施形態では、第6温度x6は特別区画Aを有する貯蔵室11の通常の温度帯である冷蔵温度帯の最高温度である5℃に設定されている。第1温度検知部51の検知温度uが第6温度x6よりも高温である場合(ステップS22でYes)、制御装置は処理をステップS16に進める。検知温度uが第6温度x6以下である場合(ステップS22でNo)、制御装置はステップS22の処理を繰り返す。
【0062】
制御装置16は、ステップS23において第2温度検知部52の検知温度vが第7温度x7以上であるか否かを判定する。第7温度x7は第1温度x1、第5温度x5、及び第6温度x6よりも高い温度である。例えば、本実施形態では、第7温度x7は高温度帯の最高温度である20℃に設定されている。第2温度検知部52の検知温度vが第7温度x7以上である場合(ステップS23でYes)、制御装置は処理をステップS18に進める。検知温度vが第7温度x7未満である場合(ステップS23でNo)、制御装置はステップS23の処理を繰り返す。このようにして、制御装置16は、
図11に示すように、第1温度検知部51の検知温度uと、第2温度検知部52の検知温度vと、第3温度検知部53の検知温度tとに基づいて弱冷運転を実行することができる。
【0063】
本実施形態の冷蔵庫10は、貯蔵室11、12、13、14、15と冷却器41、42と、送風機37、38と、風路36と、を備える。貯蔵室11、12、13、14、15は、内部に通常区画と、通常区画から壁体によって区切られた特別区画Aと、を有する。冷却器41、42は、貯蔵室11、12、13、14、15に冷却器41、42が生成した冷気を送る。風路36は、冷気を貯蔵室11、12に供給する。特別区画Aは、内部に通常温度帯この場合チルド温度帯に維持可能な通常領域A1と、通常温度帯よりも高い高温度帯に維持可能な弱冷領域A2とを有する。風路36から特別区画Aへの冷気の入口となる吹き出し口この場合特別吹き出し口364と、特別区画Aからの冷気の出口となる戻り口この場合特別戻り口363とは、通常領域A1側に設けられている。
【0064】
これにより、特別区画A内に流入した冷気は、主に通常領域A1内で循環するため、簡単な構造で1つの区画内において複数の温度帯を実現することができる。そのため、1つの食材を各部位に適する複数の温度帯で保存することができ、ユーザの利便性が向上する。
【0065】
本実施形態によれば、特別戻り口363は、特別吹き出し口364と比較して弱冷領域A2から遠方に配置されている。
【0066】
すなわち、特別戻り口363と弱冷領域A2との間の距離は、特別吹き出し口364と弱冷領域A2との間の距離よりも長く設定されており、特別戻り口363は、弱冷領域A2から、特別吹き出し口364より離れた位置に設けられている。これにより、特別戻り口363に向かう空気は弱冷領域A2から更に離れるように流れるので、通常領域A1から弱冷領域A2への冷気の流入を一層抑制できる。そのため、弱冷領域A2の冷却を一層穏やかにでき、特別区画A内の温度差をより効果的に実現することができる。
【0067】
本実施形態の冷蔵庫10は、通常領域A1と弱冷領域A2との間に通常領域A1と弱冷領域A2とを少なくとも部分的に仕切る着脱自在な仕切り部材352を更に備える。
【0068】
これにより、通常領域A1内の冷気は弱冷領域A2に流れ込み難くなり、更に弱冷領域A2内の比較的暖かい空気は通常領域A1内に流れ込み難くなるため、それぞれ所望の温度帯に維持し易くなる。また、必要に応じて、通常領域A1と弱冷領域A2とでそれぞれ異なる温度帯での保管に適した異なる食品を保管することができる。したがって、特別区画Aを1つの空間としても使用できるし、2つ以上に分けられた空間としても使用できるため、ユーザの利便性が向上する。
【0069】
本実施形態の冷蔵庫10は、弱冷領域A2を加温する加熱部54を備える。
【0070】
これにより、必要に応じて加熱部54を駆動させることにより一層効果的に弱冷領域A2の温度を通常領域A1の温度よりも高く維持することができる。すなわち、弱冷領域A2を積極的に温めることで、特別区画A内の温度差をより効果的に実現することができる。
【0071】
本実施形態の冷蔵庫10は、弱冷領域A2内に保存された食品の温度を検知可能な第3検知部としての第3温度検知部53と、冷蔵送風機37の回転数を制御する制御装置16と、を備える。制御装置16は、第3温度検知部53の検知した食品の温度に基づいて冷蔵送風機37の回転数を制御する。
【0072】
これにより、例えば弱冷領域A2内の食品温度が低すぎる場合には冷蔵送風機37の送風作用を抑制することで特別区画Aを含めた冷蔵温度帯の貯蔵室11の冷却を抑制し、高すぎる場合には冷蔵送風機37の送風作用を強化することで特別区画Aを含めた冷蔵温度帯の貯蔵室11の冷却を促進することができる。したがって、内部に保存された食品の状態に合わせた温度管理が可能となる。
【0073】
本実施形態の冷蔵庫10は、通常領域A1の温度uを検知する第1温度検知部51と弱冷領域A2の温度vを検知する第2温度検知部52と、冷蔵送風機37の回転数を制御する制御装置16と、を備える。制御装置16は、第1温度検知部51の検知した温度u及び第2温度検知部52の検知した温度vに基づいて冷蔵送風機37の回転数を制御する。
【0074】
これによれば、通常領域A1側の冷却状態と弱冷領域A2側の加温状態との双方に基づいて、より適切な回転数の制御が実行できる。したがって、より効果的に通常領域A1と弱冷領域A2とをそれぞれの所望の異なる温度に維持することができる。
【0075】
(第2実施形態)
続いて、
図12~
図14を参照して第2実施形態について説明する。上記第1実施形態では、弱冷領域A2に特別戻り口363を設けない構成としたが、これに限らない。例えば、通常領域A1と弱冷領域A2とにそれぞれ空気の出口となる戻り口を設け、少なくとも弱冷領域A2に設けた戻り口を開閉可能な構成としても良い。すなわち、弱冷領域A2を高温度帯に維持したい場合に、弱冷領域A2側の戻り口を閉鎖し、弱冷領域A2内への冷気の流入を抑制することで、弱冷領域A2の冷却を抑制しても良い。
【0076】
図12及び
図13に示すように、本実施形態の冷蔵庫10は、通常領域A1側に設けられた特別戻り口363に加えて、第2の戻り口としての第2特別戻り口366と、開閉装置367とを備える。第2特別戻り口366は、弱冷領域A2側に設けられ、弱冷領域A2からの空気の出口となる。第2特別戻り口366は補助風路365によって風路36の冷蔵冷却器41の下流側に接続されている。開閉装置367は、第2特別戻り口366を開閉する機能を有し、例えば軸周りに回動する閉塞部材と、閉塞部材を回動させるモータとを有するいわゆるダンパである。
【0077】
図14に示すように、開閉装置367は、制御装置16に電気的に接続されており、制御装置16の制御を受けて図示しないモータが閉塞部材を回動させる。開閉装置367が第2特別戻り口366を閉じることによって、弱冷領域A2から特別区画A外部への空気の流れが遮断されて、その結果、弱冷領域A2内に冷気が流入し難くなる。一方、開閉装置367が第2特別戻り口366を開くことによって、弱冷領域A2から特別区画A外部への空気の流れが生じるため、その結果、弱冷領域A2内に冷気が流入し易くなる
【0078】
なお、開閉装置367は、第2特別戻り口366の開度つまり流路断面積を調節可能な構成であっても良い。この場合、第2特別戻り口366の開度を大きくして流路断面積が広がると、弱冷領域A2内に冷気が流入し易くなりより冷却され、第2特別戻り口366の開度を小さくして流路断面積が狭まると、弱冷領域A2内に冷気が流入し難くなり、より弱冷領域A2の冷却が抑制される。
【0079】
例えば、ユーザの操作部50に対する「弱冷運転開始」の操作があった場合、又は図示しない撮像装置によって高温度帯での保管に適する対象食品100が検知された場合、制御装置16は、開閉装置367を駆動して第2特別戻り口366を閉じる又は開度を小さくする。これにより、弱冷領域A2内に冷気が流入し難くなり冷却が抑制されるため、弱冷領域A2内を高温度帯に維持し易くなる。ユーザの操作部50に対する「弱冷運転停止」の操作があった場合、又は図示しない撮像装置によって高温度帯での保管に適する対象食品100が検知されない場合、制御装置16は、開閉装置367を駆動して第2特別戻り口366を開く又は開度を大きくする。これにより、弱冷領域A2内に冷気が流入し易くなり冷却が促進されるため、弱冷領域A2内を通常温度帯に維持し易くなる。
【0080】
本実施形態によれば、上記実施形態と同様な効果が奏される。
【0081】
更に、本実施形態の冷蔵庫10は、弱冷領域A2側に設けられた冷気の出口となる第2の戻り口としての第2特別戻り口366と、第2特別戻り口366を開閉する開閉装置367と、開閉装置367の開度を制御する制御装置16と、を備える。制御装置16は、開閉装置367の開度を小さくする又は閉じることによって、弱冷領域A2を高温度帯に維持する。
【0082】
これにより、冷蔵庫10は、通常運転時には弱冷領域A2内も十分に冷却可能であり、かつ、弱冷運転時には弱冷領域A2内を高温度帯に維持することができ、ユーザの利便性が向上する。
【0083】
通常領域A1の特別戻り口363に加えて、弱冷領域A2にも戻り口を設け、通常領域A1の戻り口から冷却器へと繋がる風路を開閉する開閉装置により弱冷領域A2の戻り口を閉じることによって、通常領域A1に戻り口が設定されるようにすることを本実施形態で説明したが、これに限らない。すなわち、通常領域A1と弱冷領域A2とを明確に区分する態様で設けない場合であっても、戻り口を複数設けて、何れかの戻り口を閉じる点についての本発明は実施することができる。
【0084】
ここで、冷却器41、42から冷蔵室温度帯の各貯蔵室11、12や、冷凍温度帯の各貯蔵室13、14、15に設けられた吹き出し口に至るまでの風路において、風路を開閉する開閉装置を設けて、冷却器41、42で生成した冷気をいずれの貯蔵室11、12、13、14、15に供給するかを選択可能とすることも考えられる。本実施形態のようにいずれかの貯蔵室11、12、13、14、15において戻り口を複数設けて、戻り口から冷却器41、42までの風路において開閉装置でいずれかの風路を閉じることで、いずれかの貯蔵室11、12、13、14、15内における冷気の流れを変更することも可能である。この際、開閉装置による風路の開閉は、風路を開いた状態と閉じた状態とで切替え可能に設けてもよいし、開閉の程度を調整可能な開閉装置によって、複数の戻り口から冷却器41、42に至る風量を調整する態様で実施することもできる。
【0085】
(第3実施形態)
続いて、第2実施形態について
図15及び
図16も参照して説明する。上記第1実施形態では、特別戻り口363は特別区画Aの背面に設けられていたが、本実施形態の特別区画Aからの空気の出口となる特別戻り口363bの位置は特別区画Aの背面以外の面に設けられている。すなわち、本実施形態では、特別戻り口363bは、特別吹き出し口364とは異なる面に設けられている。これにより、特別吹き出し口364から通常領域A1内に流れ込んだ冷気が、通常領域A1内を十分に循環することなくすぐに特別戻り口363bから吸い込まれることが抑制される。
【0086】
弱冷領域A2が通常領域A1よりも下方に設けられている場合、特別戻り口363bは、特別区画Aの側面、又は天面に設けることができる。弱冷領域A2が通常領域A1よりも上方に設けられている場合、特別戻り口363bは、特別区画Aの側面、又は底面に設けることができる。弱冷領域A2と通常領域A1とが左右に並んで配置されている場合、特別戻り口363bは、特別区画Aの側面、天面、又は底面に設けることができる。
【0087】
本実施形態では、特別戻り口363bは特別区画Aの側面を形成する隔壁39に設けられている。なお、特別戻り口363bは特別区画Aの側面を形成する右の側壁部115に設けても良い。特別戻り口363bは、補助風路365bによって風路36の冷蔵冷却器41よりも下流側に接続される。
【0088】
本実施形態によれば、上記各実施形態と同様な効果が奏される。
【0089】
更に、本実施形態によれば、特別吹き出し口364は特別区画Aの背面に設けられている。特別戻り口363bは、特別区画Aの背面以外の面に設けられている。
【0090】
これにより、特別吹き出し口364から通常領域A1に流れ込んだ冷気は、背面付近でショートカットせず、少なくとも背面以外の面まで進行する。そのため、冷気が通常領域A1内を循環することなく風路36に吸い込まれることが抑制される。したがって、弱冷運転実行中であっても、通常領域A1内の食品の冷却効率が低下することが抑制される。
【0091】
なお、本実施形態では、補助風路365bによって特別区画A内の空気が風路36に接続される構成としたが、これに限らない。例えば、他の実施形態では、隔壁39、又は棚板34に厚み方向に貫通する貫通孔を設けて、冷蔵室11内の特別区画A以外の区画と連通させることで、特別区画A以外の区画を介して戻り口361から風路36に空気が戻る構成であっても良い。
【0092】
(第4実施形態)
続いて、
図17~
図21を参照して第4実施形態について説明する。本実施形態の冷蔵庫10は、上記各実施形態の構成に加えて、風向調節装置60を有する。以下では、第1実施形態の構成に風向調節装置60を加えた例について説明する。
【0093】
風向調節装置60は、特別区画Aに流れ込む冷気の風向を調節する機能を有する。風向調節装置60は、特別吹き出し口364に設けられ、特別区画Aに流れ込む冷気の風向及び風量を調整可能である。本実施形態では、風向調節装置60は、例えば矩形の羽板を互いに一部重ねながら複数平行に並べて配置して、羽板を回動させることによって羽板間を通る空気の向きを変える、いわゆるルーバである。
図17及び
図18に示すように通常領域A1と弱冷領域A2とが上下方向に並んで配置されている場合、羽板は左右方向に長い矩形であって、互いに一部が前後方向に重なり合うように上下方向に並んで配置することができる。なお、通常領域A1と弱冷領域A2とが左右方向に並んで配置されている場合、羽板は上下方向に長い矩形であって、互いに一部が前後方向に重なり合って左右方向に並んで配置することができる。
【0094】
図19に示すように、風向調節装置60は、制御装置16に電気的に接続されており、図示しないモータが制御装置16の制御を受けて駆動して板部材を回動させる。風向調節装置60は、特別吹き出し口364から特別区画Aに流れ込む冷気の風向を、例えば通常領域A1と弱冷領域A2とを含む全体に向ける通常範囲と、通常領域A1に向ける特定範囲とに設定可能である。
【0095】
図17は、風向調節装置60によって風向を通常範囲に設定した状態を示している。羽板は水平方向に対して概ね平行な姿勢に維持されている。特別吹き出し口364から特別区画A内に流れ込む冷気は、風向調節装置60によって概ね水平方向に誘導されて、特別区画A内を循環する。冷気の一部は、弱冷領域A2側にも到達する。こうして、弱冷領域A2を含めた特別区画A内が全体的に冷却される。
【0096】
図18は、風向調節装置60によって風向を特定範囲に設定した状態を示している。羽板は前方ほど上に向かう傾斜した姿勢に維持されている。特別吹き出し口364から特別区画A内に流れ込む冷気は、風向調節装置60によって弱冷領域A2から離れる方向に誘導されて、特別区画A内のうち主に通常領域A1内を循環する。こうして、通常領域A1の冷却は促進され、弱冷領域A2の冷却は抑制される。
【0097】
本実施形態では、弱冷運転時の制御内容として、加熱部54の駆動と、冷蔵送風機37の回転数を低下することに加えて、制御装置16は、風向調節装置60の風向を特定範囲に設定する。これにより、弱冷運転時に弱冷領域A2への冷気の流入を更に抑制することができ、より効果的に複数の温度帯を一つの区画内に実現することができる。
【0098】
更に、制御装置16は、第3温度検知部53の検知した食品100の温度t、第1温度検知部51の検知した通常領域A1の温度u、第2温度検知部52の検知した弱冷領域A2の温度v、及び図示しない冷蔵温度帯の貯蔵室の温度や外気温を検知する温度検知部の少なくともいずれか1つまたは複数の検知結果に基づいて、風向調節装置60を制御しても良い。
【0099】
図20を参照して、弱冷運転時の制御装置16の制御内容の一例について説明する。本実施形態の弱冷運転の制御内容は、
図10に示す第1実施形態のフローチャートと比較して、ステップS31、S32、及びS33を更に含む。
【0100】
弱冷運転が開始されると(スタート)、制御装置16は、ステップS31において第3温度検知部53の検知した弱冷領域A2内の食品の温度tが第1温度x1未満であるか否かを判定する。第3温度検知部53の検知温度tが第1温度x1未満である場合(ステップS31でYes)、制御装置16は処理をS22に進める。検知温度tが第1温度x1以上である場合(ステップS31でNo)、制御装置16は、ステップS31の処理を繰り返す。
【0101】
ステップS32において、制御装置16は、風向調節装置60の風向を特定範囲に設定する。これにより、弱冷領域A2には冷気が侵入し難くなり、弱冷領域A2の温度が上昇し易くなる。その後、制御装置16は処理をステップS11に進める。
【0102】
ステップS18の実行後、制御装置16は処理をステップS33に進める。ステップS33において、制御装置16は風向調節装置60の風向を通常範囲に設定する。これにより、通常領域A1に加えて弱冷領域A2にも冷気が供給されやすくなり、弱冷領域A2内の温度が適温に維持され易くなる。その他の制御内容は、
図10に示す第1実施形態のフローチャートと同様である。このようにして、本実施形態の弱冷運転が実行される。
【0103】
また、上記で説明した
図20に示す弱冷運転の制御において、制御装置16は第3温度検知部53の検知温度tに基づいて弱冷運転を実行したが、第3温度検知部53の検知温度tに替えて又は加えて、第1温度検知部51の検知温度u及び又は第2温度検知部52の検知温度v又はそれらの双方に基づいて弱冷運転を実行する構成であっても良い。
【0104】
例えば、制御装置16は、
図21に示すように、第1温度検知部51の検知温度uと、第2温度検知部52の検知温度vと、第3温度検知部53の検知温度tとに基づいて弱冷運転を実行しても良い。
図21に示すフローチャートは、
図20に示す第1実施形態のフローチャートと比較して、ステップS13の代わりにステップS42を、ステップS15の代わりにステップS43を、ステップS17の代わりにステップS44を有し、更にステップS41を有する。その他の処理は、
図20における処理と同様である。
【0105】
ステップS41において、制御装置16は第3温度検知部53の検知した弱冷領域A2内の食品の温度tが第8温度x8以下であるか否かを判定する。第8温度x8は、第1温度x1、第5温度x5、及び第6温度x6より高温で、第7温度x7以上の温度であり、例えば高温度帯以上の温度である。本実施形態では、第8温度x8は高温度帯の最高温度である20℃に設定されている。第3温度検知部53の検知温度tが第8温度x8以下である場合(ステップS41でYes)、制御装置16は処理をステップS32に進める。検知温度tが第8温度x8よりも高温である場合(ステップS41でNo)、制御装置16は処理をステップS31に戻す。
【0106】
ステップS42において、制御装置16は、第2温度検知部52の検知温度vが第5温度x5以下であるか否かを判定する。検知温度vが第5温度x5以下である場合(ステップS42でYes)、制御装置16は処理をステップS14に進める。検知温度vが第5温度x5よりも高温である場合(ステップS42でNo)、制御装置16は処理をステップS44に進める。
【0107】
制御装置16は、ステップS43において第1温度検知部51の検知温度uが第6温度x6よりも高いか否かを判定する。第1温度検知部51の検知温度uが第6温度x6よりも高温である場合(ステップS43でYes)、制御装置は処理をステップS16に進める。検知温度uが第6温度x6以下である場合(ステップS43でNo)、制御装置はステップS43の処理を繰り返す。
【0108】
制御装置16は、ステップS44において第2温度検知部52の検知温度vが第7温度x7以上であるか否かを判定する。第2温度検知部52の検知温度vが第7温度x7以上である場合(ステップS44でYes)、制御装置は処理をステップS18に進める。検知温度vが第7温度x7未満である場合(ステップS44でNo)、制御装置はステップS44の処理を繰り返す。このようにして、制御装置16は、
図21に示すように、第1温度検知部51の検知温度uと、第2温度検知部52の検知温度vと、第3温度検知部53の検知温度tとに基づいて弱冷運転を実行することができる。
【0109】
本実施形態によれば、上記各実施形態と同様な効果が奏される。
【0110】
本実施形態の冷蔵庫10は、特別吹き出し口364に取り付けられて冷気の吹き出し方向を調整可能な風向調節装置60を備える。
【0111】
制御装置16は、必要に応じて、風向調節装置60を制御して、弱冷領域A2への冷風の流入を抑制したり促進したりする。例えば、ユーザの操作部50に対する「弱冷運転開始」の操作があった場合、又は図示しない撮像装置によって高温度帯での保管に適する対象食品100が検知された場合に、制御装置16は羽板の角度を調整して、弱冷領域A2への冷気の流入を抑制させることができる。また、ユーザの操作部50に対する「弱冷運転停止」の操作があった場合、又は図示しない撮像装置によって高温度帯での保管に適する対象食品100が検知されない場合に、制御装置16は羽板の角度を調整して、弱冷領域A2への冷気の流入を開始することができる。このようにして、弱冷領域A2の温度帯を必要に応じて柔軟に調整することができ、必要な場合には、弱冷領域A2への冷気の流入を抑制することができる。これにより、弱冷領域A2を積極的に冷却しないことで、特別区画A内の温度差をより効果的に実現することができる。
【0112】
本実施形態の冷蔵庫10は、弱冷領域A2に保管された食品100の温度を検知可能な第3温度検知部53を備える。制御装置16は、第3温度検知部53の検知した食品100の温度tに基づいて風向調節装置60を駆動して冷気の吹き出し方向を調整する。
【0113】
これにより、内部に保存された食品の実際の温度状態に合わせて風向を調節することできめ細やかな温度管理が可能となる。したがって、冷蔵庫10は更に効果的に特別区画A内の温度差を実現することができる。
【0114】
本実施形態の冷蔵庫10は、通常領域A1の温度uを検知する第1温度検知部51と弱冷領域A2の温度vを検知する第2温度検知部52と、風向調節装置60を駆動する制御装置16と、を備える。制御装置16は、第1温度検知部の検知温度u及び第2温度検知部52の検知温度vに基づいて風向調節装置60を駆動して冷気の吹き出し方向を調整する。
【0115】
これによれば、通常領域A1側の冷却状態と弱冷領域A2側の加温状態との双方に基づいて、それぞれの領域A1、2に対応してより適切な弱冷運転の制御が実行できる。したがって、より効果的に通常領域A1に保管された食品と弱冷領域A2の保管された食品とをそれぞれに最適な異なる温度に維持することができる。
【0116】
(第5実施形態)
続いて、
図22~
図27を参照して、第5実施形態について説明する。本実施形態では、冷蔵庫10は、有孔部材70を備える。有孔部材70は、通常領域A1に流れ込む冷気を噴流に変え、その結果、通常領域A1内の空気の流れる方向を分散させかき混ぜる機能を有する。
【0117】
図22~
図24に示すように、有孔部材70は、特別吹き出し口364の少なくとも一部又は全部を覆うように取り付けられている。
図26及び
図27に示すように、有孔部材70は、厚み方向に貫通する多数の孔部71を有しており、風路36から特別区画Aに流れ込む冷気の少なくとも一部又は全部は、孔部71を通り抜けることによって流路断面積が減少するために風速が増し、噴流となる。風速が上がると圧力が下がるため、噴流は周囲から空気を引き込み、通常領域A1内の空気がかき混ぜられ易くなる。
【0118】
孔部71は、内部を通過する空気を噴流に変化することができればどのようなサイズでも構わないが、例えば直径が約3~5mmの範囲内に設定することができる。各孔部71は、例えば円形、楕円形、長円形、四角形を含む多角形、スリット状に形成することができるがこれらに限らない。多数の孔部71は、例えば千鳥状にパターン化して配置されている。多数の孔部71は、通常領域A1と弱冷領域A2とが並ぶ方向この場合上下方向に、複数列配置されている。例えば、多数の孔部71は、通常領域A1と弱冷領域A2とが並ぶ方向に3列~10列となるように配置することができる。本実施形態では、孔部71は、上下方向に3列となるように配置されている。
【0119】
この場合、有孔部材70は、特別吹き出し口364のうち、弱冷領域A2からより離れた部分すなわち反弱冷領域側に設けられている。特別吹き出し口364のうち有孔部材70で覆われていない部分には、風向調節装置60を設けても良いし、設けなくても良い。本実施形態では、特別吹き出し口364のうち有孔部材70で覆われていない部分つまり弱冷領域A2に近い部分には、風向調節装置60が設けられている。本実施形態では、特別吹き出し口364のうち上部は有孔部材70で覆われており、下部には風向調節装置60が設けられている。
【0120】
風向調節装置60により、風向調節装置60を通過する冷気の風向を、有孔部材70を前方に延長した領域つまり弱冷領域A2から離れる方向に設定すると、風向調節装置60を通過した冷気が、有孔部材70を通過して発生した噴流より引き込まれやすくなる。これにより、多方向への空気の移動が起こり、通常領域A1内における噴流による空気のかき混ぜ効果が一層促進される。また、通常領域A1内での風向きが分散されるため、食品の乾燥や、一定方向への風による変形の発生を抑制することができる。
【0121】
ここで、孔部71は噴流を発生させる程度にサイズが小さいため、着霜したり凍結したりといった場合に閉塞されてしまう虞がある。冷蔵庫10は、
図25及び
図27に示すように第2加熱部72を備える。第2加熱部72は、孔部71の周囲を加温して孔部71の着霜、凍結とそれらによる閉塞を抑制し、仮に孔部71が凍結してしまった場合には氷を溶解する機能を有する。第2加熱部72は、例えば、加熱部54と同様に電熱線に電気を流して発熱させる電熱線ヒータであってよい。第2加熱部72は、
図27に示すように有孔部材70の背面側に設けられていてもよいし、有孔部材70に埋め込まれていてもよい。
【0122】
第2加熱部72は、
図27に示すように、多数の孔部71の間を引き回されて配置されている。これにより、第2加熱部72は、効率よく多数の孔部71の周囲を加温することができる。
【0123】
第2加熱部72は、
図25に示すように制御装置16に電気的に接続されており、制御装置6の制御を受けて孔部71の周囲を加温する。制御装置16は、定期的に、又は、必要に応じて第2加熱部72を駆動する。例えば、制御装置16は、第1温度検知部51の検知温度u、第2温度検知部52の検知温度v、第3温度検知部53の検知温度t、並びに及び図示しない冷蔵温度帯の貯蔵室11、12の温度や外気温を検知する温度検知部の少なくともいずれか1つまたは複数の検知結果に基づいて、孔部71に着霜や凍結が発生していると判定した場合に第2加熱部72を駆動することができる。
【0124】
本実施形態によれば、上記各実施形態と同様の効果が奏される。
【0125】
本実施形態の冷蔵庫10は、特別吹き出し口364の少なくとも一部に設けられて、厚み方向に貫通して形成されて噴流を発生させる多数の孔部71を有する有孔部材70を備える。
【0126】
これにより、冷気が流路断面積の小さい孔部71を通過することによって風速が上がり、通常領域A1内の圧力が低下する。そのため、周囲から空気が流入し易くなるため、通常領域A1内において空気がかき混ざり易くなるとともに、通常領域A1の冷気が弱冷領域A2に侵入することが抑制される。したがって、一つの区画内において、複数の領域をそれぞれ異なる温度帯に維持することが一層容易となる。
【0127】
本実施形態の冷蔵庫10は、孔部71の周囲を加温する第2加熱部72を備える。
【0128】
これにより、孔部71の着霜、凍結やそれらによる閉塞を抑制することができ、特別区画A内の冷却効率の低下が抑制される。
【0129】
本実施形態の冷蔵庫10は、更に、特別吹き出し口364のうち有孔部材70が設けられた部分以外の部分に設けられて冷気の吹き出し方向を調節可能な風向調節装置60を備える。風向調節装置60は、風向調節装置60を通る冷気を、有孔部材70を前方に向けて延長した領域に向かわせる。
【0130】
これにより、有孔部材70を通過して減圧となっている領域に対して、風向調節装置60によって積極的に冷気を供給することで、一層乱流の度合いが上がる。そのため、冷気が一層分散することで、冷蔵送風機37の回転数を上げて風量を上げても、食品100への冷気のあたりを和らげることができる。そのため、食品100の乾燥を抑制したり、食品の変形を抑制したりすることができる。
【0131】
なお、有孔部材70は、制御装置16の制御を受けて回動することで特別吹き出し口364を覆う状態と覆わない状態とを選択可能に構成しても良い。有孔部材70によって特別吹き出し口364が覆われる場合、孔部71を通過する冷気によって噴流が発生する。有孔部材70によって特別吹き出し口364が覆われない場合、流路断面積の減少が生じないため、冷気の噴流は発生しない。したがってこの場合、冷蔵庫10は、必要に応じて、噴流の発生すなわち冷気のかき混ぜの促進の有無を制御できる。
【0132】
また、本実施形態では、有孔部材70を通過した冷気に、風向調節装置60によって有孔部材70を通過した冷気の流れとは別方向に流れる冷気を合流させることにより、一定方向への冷気の流れを分散させて、特別区画A内における局所的な冷気の集中を抑制することを説明したが、通常領域A1と弱冷領域A2とを明確に区分する態様で設けない場合であっても、この点についての本発明を実施することができる。
【0133】
すなわち、有孔部材70は、風向調節装置60と共に又は単独で、特別吹き出し口364に限らず、貯蔵室11内の特別区画A以外の区画や、特別区画Aの設けられていない貯蔵室12、13、14、15にも設けることができる。例えば、冷蔵温度帯の貯蔵室11に設けられた冷蔵冷却器41によって生成された冷気を供給する風路36からの吹き出し口362や図示しない野菜室12への吹き出し口、並びに冷凍温度帯の貯蔵室13、14、15の背後に設けられた冷凍冷却器42によって生成された冷気を供給する冷凍冷却器室18からの吹き出し口182のうち一つ又は複数に有孔部材70を設けても良い。これにより、供給される冷気のかき混ぜ効果が促進されると共に、食品への風の当たりが穏やかになるために、食品の乾燥を抑制することができる。また、例えば野菜室12やチルドルーム35など特定の食品の保存に適した貯蔵室において、吹き出し口の冷気の進行方向に関する下流側の一箇所に冷気が集中することを抑制したい場合に好適である。
【0134】
(第6実施形態)
続いて、
図28及び
図29を参照して第6実施形態について説明する。上記各実施形態では、貯蔵室11の一部に特別区画Aを設け、特別区画A内に通常領域A1と弱冷領域A2とを設けたが、これに限らない。通常領域と弱冷領域とは、冷蔵温度帯の貯蔵室11、12の全体に設けてもよいし、冷凍温度帯の貯蔵室13、14、15の全体に設けてもよい。例えば、比較的小型の貯蔵室である小冷凍室14の全体を通常領域B1と弱冷領域B2とに分けることができる。
【0135】
この場合、通常領域B1は、通常領域B1と弱冷領域B2とが設けられた貯蔵室14の通常の温度帯である冷凍温度帯に維持される領域である。弱冷領域B2は、通常領域B1と弱冷領域B2とが設けられた貯蔵室14の通常の温度帯である冷凍温度帯よりも高温に維持される領域である。例えば、弱冷領域B2の温度帯は、冷凍温度帯よりも高温である約-3℃のいわゆるパーシャル温度帯とすることができる。
【0136】
この場合、
図28に示すように、小冷凍室14と冷凍室15との間に、非断熱仕切り壁26を設ける。また、小冷凍室14と製氷室13との間にも図示しない非断熱仕切り壁を設ける。
【0137】
通常領域B1と弱冷領域B2とは、上下方向に並んで配置されていてもよいし、左右方向に並んで配置されていてもよい。本実施形態では、通常領域B1と弱冷領域B2とは上下方向に並んで配置されている。また、通常領域B1は弱冷領域B2の上方に位置している。
【0138】
冷凍冷却器室18は、冷凍温度帯の貯蔵室13、14、15に冷凍冷却器42が生成した冷気を供給する風路として機能する。冷凍冷却器室18は、特別戻り口183と特別吹き出し口184と、補助風路185とを有する。特別戻り口183は、小冷凍室14から空気が吸い込まれて冷凍冷却器室18に戻る出口である。特別吹き出し口184は、冷凍冷却器室18から冷気が小冷凍室14に供給される入口である。特別戻り口183と特別吹き出し口184とは、いずれも小冷凍室14の背面に臨んで形成されている。補助風路185は、特別戻り口183と冷凍冷却器室18の冷凍冷却器42の下流側とを接続する風路である。ケース142の背面には、特別吹き出し口184に対向して一又は複数のスリット143が形成されており、冷凍冷却器室18から特別吹き出し口184を介して供給された冷気が、ケース142の内部に流入することができる。
【0139】
特別戻り口183と、特別吹き出し口184とは、いずれも通常領域B1に対向する位置に設けられている。すなわち、特別戻り口183と特別吹き出し口184とは、いずれも通常領域B1と弱冷領域B2との間の仮想境界線Lよりも通常領域B1側に偏って形成されている。特別吹き出し口184から通常領域B1内に流れ込んだ冷気は、通常領域B1内を循環した後に、特別戻り口183から補助風路185を介して冷凍冷却器室18に戻る。
【0140】
本実施形態によれば、上記各実施形態と同様の効果が奏される。
【0141】
本実施形態の冷蔵庫10は、貯蔵室11、12、13、14、15と、冷却器として冷蔵冷却器41及び冷凍冷却器42と、送風機として冷蔵送風機37及び冷凍送風機38と、風路として冷凍冷却器室18と、を備える。冷蔵冷却器41は、冷蔵温度帯の貯蔵室11、12を冷却する冷気を生成する。冷凍冷却器42は、冷凍温度帯の貯蔵室13、14、15を霊薬する冷気を生成する。冷蔵送風機37は、冷蔵冷却器41が生成した冷気を貯蔵室11、12に送風する。冷凍送風機38は、冷凍冷却器42が生成した冷気を貯蔵室13、14、15に送風する。風路36は、冷気を冷蔵温度帯の貯蔵室1、12に供給する。冷凍冷却器室18は、冷凍冷却器42が生成した冷気を冷凍温度帯の貯蔵室13、14、15に供給する。貯蔵室14は、内部に通常領域B1と、通常領域B1の温度帯より高い温度帯に維持可能な弱冷領域B2とを有する。冷凍冷却器室18から貯蔵室14への冷気の入り口となる特別吹き出し口184と、冷気の貯蔵室14からの出口となる特別戻り口183とは、通常領域B1側に設けられている。
【0142】
これにより、冷凍冷却器室18から供給された冷気は主に通常領域B1内で循環するため、弱冷領域B2内が過度に冷却されることが抑制される。そのため、簡単な構造で比較的小型の1つの貯蔵室内において複数の温度帯を実現することができる。したがって、1つの食品を食品内の各部位に適する温度帯に維持することができる。
【0143】
なお、上記各実施形態は、適宜組み合わせて実施することができる。例えば、第5実施形態の冷蔵庫10において、弱冷領域B2を加温する加熱部を設けてもよいし、風向調節装置や有孔部材を設けてもよい。また、通常領域B1及び弱冷領域B2の温度や、各領域の温度や各領域内の食品の温度を検知可能な検知部を設けて、それらの検知結果に基づいて制御装置16が加熱部、冷凍送風機、及び風向調節装置の少なくとも一つ以上又は全部を制御する構成であってもよい。
【0144】
上記各実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を上記各実施形態に限定することは意図していない。また本発明は、上記各実施形態の何れかにおける全ての構成を満たすことなく部分的に実施することができる。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。本実施形態およびその変形は、発明の範囲および要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0145】
10…冷蔵庫、11…冷蔵室(貯蔵室)、12…野菜室(貯蔵室)、13…製氷室(貯蔵室)、14…小冷凍室(貯蔵室)、15…冷凍室(貯蔵室)、16…制御装置、18…冷凍冷却器室(風路)、183…特別戻り口(戻り口)、84…特別吹き出し口(吹き出し口)、36…風路、363…特別戻り口(戻り口)、364…特別吹き出し口(吹き出し口)、366…第2特別戻り口(第2の戻り口)、367…開閉装置、37…冷蔵送風機(送風機)、38…冷凍送風機(送風機)、39…仕切り部材、41…冷蔵冷却器(冷却器)、42…冷凍冷却器(冷却器)、53…第3温度検知部(検知部)、54……加熱部、60…風向調節装置、70…有孔部材、71…孔部、72…第2加熱部、100…食品、A…特別区画、A1…通常領域、A2…弱冷領域、B1通常領域、B2…弱冷領域