(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024002437
(43)【公開日】2024-01-11
(54)【発明の名称】運転者支援システム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/16 20060101AFI20231228BHJP
B60W 50/14 20200101ALI20231228BHJP
【FI】
G08G1/16 F
B60W50/14
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022101602
(22)【出願日】2022-06-24
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】関口 祐太
(72)【発明者】
【氏名】奥本 雅規
(72)【発明者】
【氏名】森 壮二
(72)【発明者】
【氏名】出原 大輔
(72)【発明者】
【氏名】田中 美彦
【テーマコード(参考)】
3D241
5H181
【Fターム(参考)】
3D241BA60
3D241CE02
3D241CE04
3D241CE05
3D241CE08
3D241DA13Z
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3D241DB01Z
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3D241DB09Z
3D241DB10Z
3D241DB12Z
3D241DD02Z
5H181AA01
5H181AA25
5H181AA26
5H181BB04
5H181BB05
5H181BB20
5H181CC04
5H181CC27
5H181FF04
5H181FF10
5H181FF13
5H181FF27
5H181FF33
5H181LL08
5H181LL20
(57)【要約】
【課題】移動体の運転者が危険運転を行ったか否かを適切に判定できるようにする。
【解決手段】運転者支援システムは、移動体の運転者を支援する運転者支援システムであって、第1移動体の走行データである第1走行データを取得する第1取得部302と、第1移動体付近を走行した第2移動体の走行データである第2走行データを取得する第2取得部303と、第1取得部302が取得した第1走行データと第2取得部303が取得した第2走行データとに基づいて、第1移動体の運転者が危険運転を行ったか否かを判定する第1判定部304と、を備える。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体の運転者を支援する運転者支援システムであって、
第1移動体の走行データである第1走行データを取得する第1取得部と、
前記第1移動体付近を走行した第2移動体の走行データである第2走行データを取得する第2取得部と、
前記第1取得部が取得した前記第1走行データと前記第2取得部が取得した前記第2走行データとに基づいて、前記第1移動体の運転者が危険運転を行ったか否かを判定する第1判定部と、を備える、
運転者支援システム。
【請求項2】
前記第1判定部は、前記第1移動体の挙動変化から所定時間以内に生じた前記第2移動体の挙動変化に基づいて、前記第1移動体の運転者が危険運転を行ったか否かを判定する、
請求項1に記載の運転者支援システム。
【請求項3】
前記第1判定部が危険運転を行ったと判定した場合、前記第1移動体の運転者が行った危険運転の種別を示す危険運転情報を前記第1移動体の運転者に通知する通知部を備える、
請求項1又は2に記載の運転者支援システム。
【請求項4】
表示部に情報を表示させる表示制御部を備え、
前記表示制御部は、前記第1判定部が危険運転を行ったと判定した場合、前記第1移動体の運転者が行った危険運転の種別を示す危険運転情報と、前記第1走行データとを前記表示部に表示させる、
請求項1又は2に記載の運転者支援システム。
【請求項5】
前記第1判定部が危険運転を行ったと判定した場合、前記第1移動体の運転者が行った危険運転の種別に応じた運転講習を選定する選定部を備える、
請求項1に記載の運転者支援システム。
【請求項6】
前記第1判定部が危険運転を行ったと判定した場合、前記第1移動体の運転者によって危険運転が発生した際の前記第1移動体の運転者の状態を判定する第2判定部を備える、
請求項1に記載の運転者支援システム。
【請求項7】
前記第2判定部が判定した前記状態に基づいて、前記第1移動体の運転者によって発生した危険運転の発生原因が前記状態であるか否かを判定する第3判定部を備える、
請求項6に記載の運転者支援システム。
【請求項8】
移動体の運転者を支援する運転者支援システムであって、
第1移動体の第1走行データを取得するステップと、
前記第1移動体付近を走行中の第2移動体の第2走行データを取得するステップと、
取得した前記第1走行データと取得した前記第2走行データとに基づいて、前記第1移動体の運転者が危険運転を行ったか否かを判定するステップと、を含む、
運転者支援システムの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転者支援システム、及び運転者支援システムの制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、移動体の運転者を支援する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1は、ブレーキ操作やハンドル操作などの運転情報を検出し、車両周辺の交通環境を検出し、検出した運転情報及び交通環境に基づいて危険運転行動であるかを判定し、危険運転行動であると判定した場合、将来の危険運転行動に関する情報を運転者に提示する安全運転支援装置を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、運転者が危険運転であると認識していない運転でも、当該運転者が運転する車両周辺の他車両にとっては危険運転となり得る。しかしながら、特許文献1は、危険運転を行ったか否かの判定において他車両に係わる事項を考慮しないため、運転者が危険運転を行ったか否かを適切に判定できない虞がある。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、移動体の運転者が危険運転を行ったか否かを適切に判定できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様は、移動体の運転者を支援する運転者支援システムであって、第1移動体の走行データである第1走行データを取得する第1取得部と、前記第1移動体付近を走行中の第2移動体の走行データである第2走行データを取得する第2取得部と、前記第1取得部が取得した前記第1走行データと前記第2取得部が取得した前記第2走行データとに基づいて、前記第1移動体の運転者が危険運転を行ったか否かを判定する第1判定部と、を備える、運転者支援システム。
【発明の効果】
【0006】
本発明の一態様によれば、移動体の運転者が危険運転を行ったか否かを適切に判定できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、運転者支援システムの概要を示す図である。
【
図2】
図2は、第1移動体の構成の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、第1移動体の構成の一例を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、サーバ装置の構成の一例を示すブロック図である。
【
図5】
図5は、端末装置の構成の一例を示すブロック図である。
【
図6】
図6は、運転者支援システムの動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[1.運転者支援システムの概要]
図1を参照して、運転者支援システム1000の概要を説明する。
図1は、運転者支援システム1000の概要を示す図である。
【0009】
運転者支援システム1000は、移動体1の運転者Pを支援するシステムである。具体的には、運転者支援システム1000は、移動体1の運転者Pが危険運転を行ったか否かを判定し、運転者Pが危険運転を行ったと判定した場合に、危険運転を行ったことをこの運転者Pにフィードバックする。なお、危険運転は、他の移動体1にとって危険な運転を含む。このフィードバックにより、運転者Pが、移動体1の運転において危険運転を行わないよう意識できるようになるため、運転者支援システム1000は、移動体1の運転において危険運転を行わないように運転者P1を支援できる。
【0010】
本実施形態では移動体1として4輪の車両を例示する。しかしながら、移動体1は、4輪の車両に限定されず、5輪以上の車両でもよく、3輪以下の車両でもよい。また移動体1は、車両に限定されず、船舶や飛行体でもよい。
【0011】
運転者支援システム1000は、移動体1を備える。
図2は、移動体1の構成の一例を示す図である。
【0012】
本実施形態の移動体1は、乗車定員5名の四輪車両である。移動体1は、運転席10A、助手席10B、リア右席10C、リア中央席10D、及びリア左席10Eを備える。
図2の移動体1では、運転者Pが運転席10Aに着座している状況を示している。
図2において、着座している運転者Pの腕には、ウェアラブル端末2が装着されている。ウェアラブル端末2は、脈拍センサや、温度センサなどの各種のセンサを備える。ウェアラブル端末2は、装着者の脈拍や、装着者の体温などを検出する。ウェアラブル端末2は、移動体1に搭載される移動体制御装置100と通信する。
【0013】
移動体1は、右前ドア11A、左前ドア11B、右後ドア11C、左後ドア11D、及び、テールゲート11Eを備える。右前ドア11A、左前ドア11B、右後ドア11C、及び左後ドア11Dを開くことにより移動体1の室内への出入りが可能となる。テールゲート11Eは、移動体1のトランクを開閉する。
【0014】
移動体1は、ダッシュボード12を備える。ダッシュボード12には、運転席10Aに着座した人と対向する位置に、運転者撮影用カメラ13が設けられる。運転者撮影用カメラ13は、移動体1の室内を撮影する。運転者撮影用カメラ13の撮影範囲は、運転席10Aに着座した人の頭部を含む範囲である。
【0015】
移動体1の室内には、ドライブレコーダ14が設置される。ドライブレコーダ14は、移動体1の前方を撮影する。ドライブレコーダ14は、移動体制御装置100と通信する。
【0016】
移動体1の前部には、移動体1の前方を撮影するフロントカメラ20Aが設けられる。移動体1の後部には、移動体1の後方を撮影するリアカメラ20Bが設けられる。また、移動体1の右側部には、移動体1の右側方を撮影する右サイドカメラ20Cが設けられる。また、移動体1の左側部には、移動体1の左側方を撮影する左サイドカメラ20Dが設けられる。フロントカメラ20A、リアカメラ20B、右サイドカメラ20C、及び左サイドカメラ20Dは、移動体1の周囲を撮影するカメラである。
【0017】
移動体1は、移動体制御装置100を備える。移動体制御装置100は、移動体1を制御する制御装置である。移動体制御装置100は、TCU(Telematics Control Unit)21と接続し、TCU21によってサーバ装置3と通信する。
【0018】
図1の説明に戻り、移動体制御装置100は、所定のタイミングで、アップロードデータADをサーバ装置3に送信する。所定のタイミングは、日付が変わったタイミングや、運転者Pが移動体1から降りたタイミングが例に挙げられる。アップロードデータADの詳細については後述する。
【0019】
運転者支援システム1000は、サーバ装置3を備える。サーバ装置3は、通信ネットワークNWに接続する。通信ネットワークNWは、データ通信ネットワークであればよく、例えば公衆回線網を含む広域通信ネットワークである。サーバ装置3は、移動体制御装置100からアップロードデータADを受信する。サーバ装置3は、受信したアップロードデータADに基づいて運転者Pが危険運転を行ったか否かを判定する。また、サーバ装置3は、危険運転を行ったと判定した場合、運転者Pが行った危険運転に係わる各種の処理を行う。
【0020】
運転者支援システム1000は、端末装置4を備える。端末装置4は、モバイルデバイス、或いはハンドヘルドコンピュータと呼ばれる携帯型のコンピュータであり、例えばスマートフォンである。なお、端末装置4は、ラップトップ型のコンピュータでもデスクトップ型のコンピュータでもタブレット型のコンピュータでもよい。端末装置4は、サーバ装置3から通知情報TJを受信する。通知情報TJについては後述する。端末装置4は、通知情報TJをサーバ装置3から受信すると、受信した通知情報TJが含む各種情報を表示する。
【0021】
本実施形態では、運転者支援システム1000は、第1移動体1Aの運転者P1を支援する。すなわち、本実施形態の運転者支援システム1000は、第2移動体1Bに係わる事項を考慮して、第1移動体1Aの運転者P1が危険運転を行ったか否かを判定し、危険運転を行ったと判定した場合に、運転者P1が危険運転を行ったことを運転者P1にフィードバックする。第2移動体1Bは、第1移動体1A付近を走行した移動体1である。なお、第1移動体1A付近を走行した移動体1とは、第1移動体1Aに搭載されたカメラ(ドライブレコーダ14や、フロントカメラ20A、リアカメラ20B、右サイドカメラ20C、及び左サイドカメラ20Dなど)の撮影結果に写った移動体1である。
図1では、1台の第2移動体1Bを図示しているが、第2移動体1Bの台数は、複数台でもよい。
【0022】
[2.移動体の構成]
まず、移動体1の構成について説明する。
図3は、移動体1の構成の一例を示す図である。
【0023】
移動体1は、移動体制御装置100、TCU21、移動体通信ユニット22、GNSS(Global Navigation Satellite System)ユニット23、運転者撮影用カメラ13、ドライブレコーダ14、フロントカメラ20A、リアカメラ20B、右サイドカメラ20C、左サイドカメラ20D、ペダルセンサ24、車両状態センサ25、及びステアリングセンサ26を備える。
【0024】
移動体制御装置100は、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro-processing unit)等のプロセッサである移動体プロセッサ110、及びプログラムやデータを記憶するメモリである移動体メモリ120を備える。
【0025】
移動体プロセッサ110は、移動体メモリ120が記憶する制御プログラム121を読み出して実行することにより、第1移動体通信制御部111、第2移動体通信制御部112、データ収集部113、及びアップロードデータ生成部114として機能する。
【0026】
移動体メモリ120は、移動体プロセッサ110が実行するプログラムや、移動体プロセッサ110に処理されるデータを記憶する。移動体メモリ120は、移動体プロセッサ110が実行する制御プログラム121、地図データ122、その他の各種データを記憶する。移動体メモリ120は、不揮発性の記憶領域を有する。また、移動体メモリ120は、揮発性の記憶領域を備え、移動体プロセッサ110のワークエリアを構成してもよい。
【0027】
地図データ122は、道路地図情報や、各種施設等の施設情報、マップマッチング用のデータ等を格納するデータである。道路地図情報は、地図上の道路を線で表現した道路ネットワークからなり、交差点や分岐点等をノードとして複数の部分に分割し、各ノード間の部分をリンクとして規定したリンクに関する情報を含む。施設情報は、施設の位置(緯度、経度)や、施設の名称等を示す。
【0028】
移動体制御装置100には、TCU21、移動体通信ユニット22、GNSSユニット23、運転者撮影用カメラ13、ドライブレコーダ14、フロントカメラ20A、リアカメラ20B、右サイドカメラ20C、左サイドカメラ20D、ペダルセンサ24、車両状態センサ25、及びステアリングセンサ26が接続する。なお、移動体制御装置100に接続するデバイスは、これらデバイスに限定されず、他の種類のデバイスが接続してもよい。
【0029】
移動体通信ユニット22は、アンテナや無線通信回路などを有する無線通信装置を備える。本実施形態の移動体通信ユニット22は、ウェアラブル端末2及び端末装置4と通信する。
【0030】
GNSSユニット23は、移動体1の現在位置を測位する。GNSSユニット23は、所定の周期で、測位結果を移動体制御装置100に出力する。
【0031】
ペダルセンサ24は、アクセルペダルセンサ及びブレーキペダルセンサを含む。ペダルセンサ24は、所定の周期で、踏み込み量を示す検出値を移動体制御装置100に出力する。
【0032】
車両状態センサ25は、例えば3軸加速度センサ、ヨーレートセンサ、及び速度センサを含む。車両状態センサ25は、所定の周期で検出値を移動体制御装置100に出力する。
【0033】
ステアリングセンサ26は、ダッシュボード12に設けられたステアリングホイールの操作トルク又は舵角を検出する。ステアリングセンサ26は、所定の周期で検出値を移動体装置100に出力する。
【0034】
上述したように、移動体プロセッサ110は、第1移動体通信制御部111、第2移動体通信制御部112、データ収集部113、及びアップロードデータ生成部114として機能する。
【0035】
第1移動体通信制御部111は、TCU21を介してサーバ装置3と通信する。
【0036】
第2移動体通信制御部112は、移動体通信ユニット22を介してウェアラブル端末2と通信する。
【0037】
データ収集部113は、アップロードデータADに含まれる各種のデータを収集する。データ収集部113に収集されるデータには、検出値が含まれる。データ収集部113は、運転者Pが移動体1の使用を開始したと見做せるタイミングでデータの収集を開始する。運転者Pが移動体1の使用を開始したと見做せるタイミングは、移動体1の電源がオンにされたタイミングが例に挙げられる。データ収集部113は、運転者Pが移動体1の使用を終了したと見做せるタイミングでデータの収集を終了する。運転者Pが移動体1の使用を終了したと見做せるタイミングは、移動体1の電源がオフにされたタイミングが例に挙げられる。
【0038】
データ収集部113は、ドライブレコーダ14、フロントカメラ20A、リアカメラ20B、右サイドカメラ20C、及び左サイドカメラ20Dの各々から、撮影結果を示す動画データを構成するフレームデータを収集する。
【0039】
また、データ収集部113は、ペダルセンサ24、車両状態センサ25、及びステアリングセンサ26の各々の検出値を収集する。データ収集部113は、各センサが検出値を出力する度に検出値を収集する。
【0040】
また、データ収集部113は、GNSSユニット23が測位する移動体1の現在位置、及び地図データ122を参照し、移動体1が走行したルートRTのデータを収集する。
図1のルートRTの場合、データ収集部113は、地点SP1から地点SP2までのルートRTのデータを収集する。
【0041】
また、データ収集部113は、GNSSユニット23から、GNSSユニット23が測位した移動体1の現在位置を示す現在位置データを収集する。データ収集部113は、GNSSユニット23が測位結果を出力する度に、現在位置データを収集する。
【0042】
また、データ収集部113は、運転者撮影用カメラ13から撮影結果を示す動画データを構成するフレームデータを収集する。
【0043】
また、データ収集部113は、第2移動体通信制御部112がウェアラブル端末2から脈拍数などの生体データを収集する。データ収集部113は、ウェアラブル端末2が生体データを出力する度に、生体データを収集する。
【0044】
データ収集部113は、移動体メモリ120にデータを収集していく。すなわち、データ収集部113は、移動体メモリ120に収集したデータを時系列に記憶させる。データ収集部113は、収集した時刻(以下、「収集時刻」という)ごとに、収集時刻が一致するデータを収集時刻のデータ(以下、「収集時刻データ」という)に対応付けながら、データを移動体メモリ120に収集していく。
【0045】
アップロードデータ生成部114は、所定のタイミングが到来すると、データ収集部113が収集したデータを含むアップロードデータADを生成し、生成したアップロードデータADを第1移動体通信制御部111に出力する。すなわち、アップロードデータ生成部114は、所定のタイミングが到来すると、収集されたデータを移動体メモリ120から読み出し、読み出したデータを含むアップロードデータADを生成し、生成したアップロードデータADを第1移動体通信制御部111に出力する。なお、アップロードデータADでは、収集時刻が一致するデータに対して、対応する収集時刻を示す収集時刻データが対応付けられている。第1移動体通信制御部111は、アップロードデータ生成部114から入力されたアップロードデータADをサーバ装置3に送信する。
【0046】
アップロードデータ生成部114は、アップロードデータADの生成に際して、運転者Pの識別情報である運転者ID(Identification)を取得する。アップロードデータ生成部114は、運転者IDが移動体メモリ120に記録されている場合、移動体メモリ120から運転者IDを読み出すことで取得する。端末装置4と移動体制御装置100とが通信接続する場合、アップロードデータ生成部114は、第2移動体通信制御部112を介して端末装置4から運転者IDを取得してもよい。アップロードデータ生成部114は、取得した運転者IDをアップロードデータADに付加する。
【0047】
[3.サーバ装置の構成]
次に、サーバ装置3の構成について説明する。
図4は、サーバ装置3の構成の一例を示すブロック図である。
【0048】
サーバ装置3は、CPUやMPC等のプロセッサであるサーバプロセッサ30、プログラムやデータを記憶するメモリであるサーバメモリ31、及びサーバ通信ユニット32を備える。
【0049】
サーバプロセッサ30は、サーバメモリ31が記憶する制御プログラム311を読み出して実行することにより、サーバ受信部301、第1取得部302、第2取得部303、第1判定部304、第2判定部305、第3判定部306、選定部307、通知部308、及びデータベース処理部309として機能する。
【0050】
サーバメモリ31は、サーバプロセッサ30が実行するプログラムや、サーバプロセッサ30に処理されるデータを記憶する。サーバメモリ31は、サーバプロセッサ30が実行する制御プログラム311、運転者DB(database)312、運転種別DB313、運転講習DB314、地図データ315、その他の各種データを記憶する。サーバメモリ31は、不揮発性の記憶領域を有する。また、サーバメモリ31は、揮発性の記憶領域を備え、サーバプロセッサ30のワークエリアを構成してもよい。
【0051】
運転者DB312は、運転者PごとにレコードR1を格納する。1件のレコードR1は、運転者ID、この運転者IDに対応する運転者Pが使用する端末装置4と通信するための通信情報、及びアップロードデータADを含む。
【0052】
運転種別DB313は、運転の種別ごとにレコードR2を格納する。レコードR2は、運転の種別の名称を示す名称情報、及び、運転の種別の特徴を示す特徴情報を含む。運転の種別は、予め定められており、例えば右折や駐車などがある。運転の種別の特徴は、運転の種別と同様に予め定められている。例えば運転の種別が右折である場合、この種別の特徴は、右折したことである。
【0053】
運転講習DB314は、運転の種別ごとにレコードR3が格納されている。レコードR3は、運転の種別の名称を示す名称情報、及び、運転講習を示す運転講習情報を含む。運転講習情報は、運転講習の講習名の情報を含む。運転講習情報は、この講習名の情報以外に、運転講習の講習内容の情報などを含んでもよい。運転講習とは、運転技量の向上を目的とした講習である。
【0054】
地図データ315は、道路地図情報や、各種施設等の施設情報、マップマッチング用のデータ等を格納するデータである。道路地図情報は、地図上の道路を線で表現した道路ネットワークからなり、交差点や分岐点等をノードとして複数の部分に分割し、各ノード間の部分をリンクとして規定したリンクに関する情報を含む。施設情報は、施設の位置(緯度、経度)や、施設の名称等を示す。
【0055】
サーバ通信ユニット32は、アンテナや通信回路などを有する通信装置を備える。サーバ通信ユニット32は、通信ネットワークNWを介して、移動体1、及び端末装置4と通信する。
【0056】
上述した通り、サーバプロセッサ30は、サーバ受信部301、第1取得部302、第2取得部303、第1判定部304、第2判定部305、第3判定部306、選定部307、通知部308、及びデータベース処理部309として機能する。
【0057】
サーバ受信部301は、サーバ通信ユニット32を介して、移動体1からアップロードデータADを受信する。
データベース処理部309は、サーバ受信部301がアップロードデータADを受信した場合、受信されたアップロードデータADに付加された運転者IDを有するレコードR1を運転者DB312から特定する。次いで、データベース処理部309は、特定したレコードR1のアップロードデータADを、受信されたアップロードデータADに更新する。
【0058】
第1取得部302は、アップロードデータADを運転者DB312から取得し、取得したアップロードデータADから、このアップロードデータADを送信した移動体1の走行データを取得する。本実施形態の第1取得部302は、第1移動体1Aの走行データである第1走行データをアップロードデータADから取得する。
【0059】
例えば、第1取得部302は、アップロードデータADに含まれるペダルセンサ24、車両状態センサ25、及びステアリングセンサ26の各々の検出値を、第1走行データとして取得する。例えば、第1取得部302は、アップロードデータADに含まれるドライブレコーダ14の動画データを、第1走行データとして取得する。例えば、第1取得部302は、アップロードデータADに含まれるフロントカメラ20A、リアカメラ20B、右サイドカメラ20C、及び左サイドカメラ20Dの少なくともいずれかの動画データを、第1走行データとして取得する。
【0060】
第2取得部303は、第1取得部302が取得したアップロードデータADから、このアップロードデータADを送信した移動体1の近くを走行した移動体1の走行データを取得する。本実施形態の第2取得部303は、第2移動体1Bの走行データである第2走行データを取得する。
【0061】
例えば、第2取得部303は、アップロードデータADに含まれる動画データのうち第2移動体1Bが写る動画データを第2走行データとして取得する。第2取得部303は、パターンマッチングなどの画像解析によって動画データが示す動画から第2移動体1Bを特定することによって、アップロードデータADから第2走行データを取得する。
【0062】
第1判定部304は、移動体1の運転者Pは危険運転を行ったか否かを判定する。本実施形態の第1判定部304は、第1移動体1Aの運転者P1が危険運転を行ったか否かを判定する。
第1判定部304は、以下のようにして、第1移動体1Aの運転者P1が危険運転を行ったか否かを判定する。
【0063】
まず、第1判定部304は、第1取得部302が取得した第1走行データに基づいて、第1移動体1Aの挙動が変化したか否かを判定する。
例えば、第1判定部304は、第1走行データが示すステアリングセンサ26の検出値が単位時間あたりに所定値以上変化した場合、第1移動体1Aの挙動が変化したと判定する。また、例えば、第1判定部304は、第1走行データが示す車両状態センサ25の検出値が単位時間あたりに所定値以上変化した場合、第1移動体1Aの挙動が変化したと判定する。また、例えば、第1判定部304は、第1走行データが示す動画を画像解析し、動画における所定の対象物の移動方向やサイズに基づいて、第1移動体1Aの右折や、左折、後退などを検出した場合、第1移動体1Aの挙動が変化したと判定する。
【0064】
次いで、第1判定部304は、第1移動体1Aの挙動が変化したと判定した場合、第2取得部303が取得した第2走行データに基づいて、第1移動体1Aが挙動変化してから所定期間内に第2移動体1Bが所定の挙動変化をしたか否かを判定する。
例えば、第1判定部304は、アップロードデータADに含まれる収集時刻データに基づいて、第2取得部303が取得した第2走行データから、第1移動体1Aが挙動変化を開始した時刻から所定期間内の動画データを抽出する。第1判定部304は、パターンマッチングなどの画像処理によって抽出した動画データから第2移動体1Bを特定する。そして、第1判定部304は、パターンマッチングなどの画像処理によって、特定した第2移動体1Bが、抽出した動画データが示す動画において、所定距離以上移動したりブレーキランプが点灯したりした場合、第2移動体1Bが所定の挙動変化をしたと判定する。なお、この所定の挙動変化は、予め定められている。
【0065】
次いで、第1判定部304は、第2移動体1Bが所定の挙動変化をしたと判定した場合、第1移動体1Aの運転者P1が危険運転を行ったと判定する。
【0066】
第2判定部305は、第1移動体1Aの運転者P1が危険運転を行ったと判定した場合、第1移動体1Aの運転者P1が危険運転を行った際の運転者P1の状態を判定する。本実施形態の第2判定部305は、運転者P1の状態が、苛ついた状態であったか、焦った状態であったか、これら以外の状態であったかを判定する。なお、第2判定部305が判定する運転者P1の状態の種類は、これら3種に限定されず、2種でもよいし、4種以上でもよい。
【0067】
第2判定部305は、例えば以下のようにして運転者P1の状態を判定する。
第2判定部305は、第1取得部302が取得したアップロードデータADから運転者撮影用カメラ13の動画データを取得する。次いで、第2判定部305は、アップロードデータADが含む収集された時刻のデータに基づいて、取得した運転者撮影用カメラ13の動画データから、第1移動体1Aが挙動変化を開始した時刻から所定期間内の動画データを抽出する。次いで、第2判定部305は、抽出した動画データが示す動画に写る運転者P1の表情が、苛ついた表情であるか、焦った表情であるか、これら以外の表情であるかを判定する。第2判定部305は、パターンマッチングによって表情の判定を行う。表情のパターンデータは、サーバメモリ31に記憶されている。第2判定部305は、運転者P1の表情が苛ついた表情であると判定した場合、運転者P1の状態が苛ついた状態であったと判定する。また、第2判定部305は、運転者P1の表情が焦った表情であると判定した場合、運転者P1の状態が焦った状態であると判定する。また、第2判定部305は、運転者P1の表情が苛ついた表情でも焦った表情でもない場合、運転者P1の状態が苛ついた状態でも焦った状態でもないと判定する。
【0068】
なお、第2判定部305は、アップロードデータADに含まれる生体データを加味して運転者P1の状態を判定してもよい。例えば、第2判定部305は、運転者P1の表情が焦った表情であり且つ生体データが示す脈拍数が所定値以上である場合、運転者P1の状態が焦った状態であると判定する。このように運転者P1の状態判定で生体データを加味することで、第2判定部305は、精度良く運転者P1の状態を判定できる。
【0069】
第3判定部306は、第2判定部305が判定した運転者P1の状態に基づいて、第1移動体1Aの運転者P1によって発生した危険運転の発生原因が、第2判定部305が判定した運転者P1の状態であるか否かを判定する。
【0070】
第3判定部306は、例えば以下のようにして判定する。
第3判定部306は、第2判定部305が判定した運転者P1の状態が、苛ついた状態又は焦った状態である場合、第1移動体1Aの運転者P1によって発生した危険運転の発生原因が、第2判定部305が判定した運転者P1の状態であると判定する。一方、第3判定部306は、第2判定部305が判定した運転者P1の状態が、苛ついた状態及び焦った状態でない場合、第1移動体1Aの運転者P1によって発生した危険運転の発生原因が、第2判定部305が判定した運転者P1の状態でないと判定する。
【0071】
選定部307は、第1判定部304が危険運転を行ったと判定した場合、第1移動体1Aの運転者P1が行った運転であって且つ危険運転と判定された運転の種別を特定し、特定した運転の種別に応じた運転講習を選定する。すなわち、選定部307は、運転者P1が行った危険運転の種別に応じた運転講習を選定する。
【0072】
選定部307は、以下のようにして運転講習を選定する。
選定部307は、第1取得部302が取得した第1走行データを参照して、第1移動体1Aの挙動変化の特徴を抽出する。例えば、選定部307は、アップロードデータADに含まれる収集時刻データに基づいて、第1移動体1Aが挙動変化を開始した時刻から所定期間内のステアリングセンサ26の検出値を参照する。次いで、この検出値が右折に対応する変化を示している場合、選定部307は、第1移動体1Aの挙動変化の特徴として右折を抽出する。次いで、選定部307は、抽出した第1移動体1Aの挙動変化の特徴を示す特徴情報を有するレコードR2を運転DB313から特定する。次いで、選定部307は、特定したレコードR2から名称情報を取得する。次いで、選定部307は、取得した名称情報を有するレコードR3を運転講習DB314から特定する。
【0073】
通知部308は、第1判定部304が危険運転を行ったと判定した場合、通知情報TJを第1移動体1Aの運転者P1の端末装置4に送信する。
【0074】
通知情報TJは、危険運転情報を含む。危険運転情報は、第1移動体1Aの運転者P1が行った危険運転の種別を示す情報である。通知部308は、選定部307と同様に、第1移動体1Aの挙動変化の特徴を抽出し、抽出した特徴を示す特徴情報を有するレコードR2を運転DB313から特定し、特定したレコードR2の名称情報を含む通知情報TJを生成する。
【0075】
通知情報TJは、状態情報を含む。状態情報は、第2判定部305が判定した運転者P1の状態を示す情報である。通知部308は、第2判定部305から判定結果を取得し、取得した判定結果を示す状態情報を含む通知情報TJを生成する。
【0076】
通知情報TJは、原因情報を含む。原因情報は、第3判定部306が判定した判定結果を示す情報である。通知部308は、第3判定部306から判定結果を取得し、取得した判定結果を示す原因情報を含む通知情報TJを生成する。
【0077】
通知情報TJは、運転講習情報を含む。運転講習情報は、選定部307が選定した運転講習を示す情報である。通知部308は、選定部307が特定したレコードR2の運転講習情報を含む通知情報TJを生成する。
【0078】
通知情報TJは、第1走行データを含む。通知部308は、第1取得部302から第1走行データを含む通知情報TJを生成する。
【0079】
[4.端末装置の構成]
次に、端末装置4の構成について説明する。
図5は、端末装置4の構成の一例を示すブロック図である。
運転者支援システム1000は、端末装置4を備える。
【0080】
端末装置4は、端末制御装置40、第1端末通信ユニット41、第2端末通信ユニット42、及び、タッチパネルである端末タッチパネル43を備える。
【0081】
端末制御装置40は、CPUやMPU等のプロセッサである端末プロセッサ400、及びプログラムやデータを記憶するメモリである端末メモリ410を備える。
【0082】
端末プロセッサ400は、端末メモリ410が記憶するアプリ411を読み出して実行することにより、アプリ実行部401として機能する。
アプリ実行部401は、本開示の表示制御部の一例である。
【0083】
端末メモリ410は、端末プロセッサ400が実行するプログラムや、端末プロセッサ400に処理されるデータを記憶する。端末メモリ410は、端末プロセッサ400が実行するアプリ411、その他の各種データを記憶する。端末メモリ410は、不揮発性の記憶領域を有する。また、端末メモリ410は、揮発性の記憶領域を備え、端末プロセッサ400のワークエリアを構成してもよい。
【0084】
アプリ411は、端末プロセッサ400をアプリ実行部401として機能させるアプリケーションプログラムである。
【0085】
端末制御装置40には、第1端末通信ユニット41、第2端末通信ユニット42、及び端末タッチパネル43が接続する。なお、端末制御装置40に接続するデバイスは、これらデバイスに限定されず、他の種類のデバイスが接続してもよい。
【0086】
第1端末通信ユニット41は、アンテナや無線通信回路等を有する通信装置を備える。第1端末通信ユニット41は、通信ネットワークNWを介して、サーバ装置3と通信する。
【0087】
第2端末通信ユニット42は、アンテナや無線通信回路等を有する通信装置を備え、所定の近距離無線通信規格に従って、移動体1と近距離無線通信を行う。
【0088】
上述した通り、端末プロセッサ400は、アプリ実行部401として機能する。
アプリ実行部401は、第1端末通信ユニット41を介して、サーバ装置3と通信する。
アプリ実行部401は、第2端末通信ユニット42を介して、移動体1と通信する。
アプリ実行部401は、サーバ装置3から受信した通知情報TJに含まれる情報を端末タッチパネル43に表示させる。
【0089】
[5.運転者支援システムの動作]
次に、運転者支援システム1000の動作について説明する。
図6は、運転者支援システム1000の動作を示すフローチャートである。
図6において、フローチャートFAはサーバ装置3の動作を示し、フローチャートFBは第1移動体1Aの運転者P1が使用する端末装置4の動作を示す。
【0090】
フローチャートFAで示すように、第1取得部302は、第1移動体1Aが送信したアップロードデータADを運転者DB312から取得する(ステップSA1)。なお、ステップSA1の処理を行うタイミングとしては、第1移動体1AのアップロードデータADが更新されたタイミングなどが例に挙げられる。
【0091】
次いで、第1取得部302は、取得したアップロードデータADから第1走行データを取得する(ステップSA2)。
【0092】
次いで、第2取得部303は、ステップSA1で取得されたアップロードデータADから第2走行データを取得する(ステップSA3)。
【0093】
次いで、第1判定部304は、第1移動体1Aの運転者P1が危険運転を行ったか否かを判定する(ステップSA4)。
【0094】
次いで、第2判定部305は、ステップSA4において危険運転を行ったと判定されたか否かを判定する(ステップSA5)。
【0095】
危険運転を行ったと判定されていないと第2判定部305が判定した場合(ステップSA5:NO)、サーバプロセッサ30は、本処理を終了する。
【0096】
一方、危険運転を行ったと判定されたと判定した場合(ステップSA5:YES)、第2判定部305は、ステップSA1で取得されたアップロードデータADに基づいて、第1移動体1Aの運転者P1が危険運転を行った際の運転者P1の状態を判定する(ステップSA6)。
【0097】
次いで、第3判定部306は、ステップSA6の判定結果に基づいて、第1移動体1Aの運転者P1によって発生した危険運転の発生原因が、第2判定部305が判定した運転者P1の状態であるか否かを判定する(ステップSA7)。
【0098】
次いで、選定部307は、ステップSA1で取得されたアップロードデータADに基づいて、第1移動体1Aの運転者P1が行った危険運転の種別に応じた運転講習を選定する(ステップSA8)。
【0099】
次いで、通知部308は、通知情報TJを生成する(ステップSA9)。
ステップSA9において、通知部308は、ステップSA4において運転者P1が行ったと判定された危険運転の種別を示す危険運転情報を含む通知情報TJを生成する。
また、ステップSA9において、通知部308は、ステップSA6の判定結果を示す状態情報を含む通知情報TJを生成する。
また、ステップSA9において、通知部308は、ステップSA7の判定結果を示す原因情報を含む通知情報TJを生成する。
また、ステップSA9において、通知部308は、ステップSA8で選定された運転講習を示す運転講習情報を含む通知情報TJを生成する。
また、ステップSA9において、通知部308は、ステップSA2で取得された第1走行データを含む通知情報TJを生成する。
【0100】
次いで、通知部308は、ステップSA9で生成した通知情報TJを端末装置4に送信する(ステップSA10)。ステップSA10において、ステップSA1で取得したアップロードデータADを有するレコードR2に含まれる通信情報に基づいて、通知部308は、通知情報TJを端末装置4に送信する。
【0101】
フローチャートFBで示すように、アプリ実行部401は、通知情報TJを受信する(ステップSB1)。
【0102】
次いで、アプリ実行部401は、受信した通知情報TJに含まれる各種情報を端末タッチパネル43に表示させる(ステップSB2)。
【0103】
ステップSB2において、アプリ実行部401は、危険運転情報を端末タッチパネル43に表示させる。例えば、アプリ実行部401は、「右折が危険運転です」との情報を表示させる。これにより、運転者P1は、どのような運転が危険運転であったかを把握できる。また、危険運転を行ったか否かの判定において第2移動体1Bに係わる事項が考慮されるため、運転者P1は、自身が危険運転であると認識していない運転が危険運転であったことを把握できる。よって、移動体1の運転において、どのような運転が危険運転であったかを運転者P1が意識できるようになり、運転者支援システム1000は、移動体1の運転において危険運転を発生しないように運転者P1を支援できる。
【0104】
ステップSB2において、アプリ実行部401は、危険運転情報と共に第1走行データを端末タッチパネル43に表示させる。アプリ実行部401は、第1走行データが動画データである場合、動画データが示す動画を再生可能に表示させてもよい。また、アプリ実行部401は、第1走行データがステアリングセンサ26などの検出値である場合、時間に対する検出値の変化をグラフにし、このグラフを表示させてもよい。このように、第1走行データが表示されるため、どのような運転が危険運転であったかを運転者P1が正確に把握できるようになる。よって、移動体1の運転において、どのような運転が危険運転であったかを運転者P1がより意識できるようになるため、運転者支援システム1000は、移動体1の運転において危険運転を発生しないように運転者P1を支援できる。
【0105】
ステップSB2において、アプリ実行部401は、状態情報を端末タッチパネル43に表示させる。例えば、アプリ実行部401は、「危険運転を行った際、苛ついた状態でした」との情報を表示させる。これにより、運転者P1は、危険運転を行った際の自身の状態がどのような状態であったかを把握できる。よって、運転者P1は、移動体1の運転において、いまの状態であると危険運転が発生するか否かを意識できるようになる。そのため、運転者支援システム1000は、移動体1の運転において危険運転を発生しないように運転者P1を支援できる。
【0106】
ステップSB2において、アプリ実行部401は、原因情報を端末タッチパネル43に表示させる。例えば、アプリ実行部401は、「危険運転の発生原因は、苛ついた状態が原因です」との情報を表示させる。これにより、運転者P1は、危険運転の発生原因が自身の状態であったか否かを把握できる。よって、運転者P1は、移動体1の運転において、どのような状態であると危険運転が発生するのかを意識できるようになる。そのため、運転者支援システム1000は、移動体1の運転において危険運転を発生しないように運転者P1を支援できる。
【0107】
ステップSB2において、アプリ実行部401は、運転講習情報を端末タッチパネル43に表示させる。例えば、アプリ実行部401は、「お奨めの運転講習は、右折の運転講習です」との情報を表示させる。これにより、運転者P1は、どのような運転講習を受講すれば危険運転の発生を低減できるのかを把握できるようになる。そのため、運転者支援システム1000は、移動体1の運転において危険運転を発生しないように運転者P1を支援できる。
【0108】
[6.他の実施形態]
他の実施形態では、サーバ装置3のサーバプロセッサ30は、推定部としてさらに機能する。この推定部は、第2判定部305が判定した運転者P1の状態に応じて、危険運転の発生原因となる行動を引き起こす運転者P1のタイプを推定する。例えば、推定部は、第2判定部305が判定した運転者P1の状態が苛ついた状態である場合、運転者P1のタイプが苛つきやすいタイプであると推定する。推定部は、運転者P1の状態と運転者P1のタイプとが対応付いたデータベースを参照して推定してもよい。また、推定部は、運転者P1の状態と運転者P1のタイプとの関係を機械学習した学習モデルと用いて、推定してもよい。学習モデルを用いる場合、推定部は、第2判定部305の判定結果を学習モデルに入力し、学習モデルから運転者P1のタイプを出力させる。なお、この学習モデルは、サーバメモリ31が記憶していてもよいし、サーバ装置3と通信可能な装置が記憶していてもよい。
【0109】
他の実施形態では、サーバ装置3のサーバプロセッサ30は、上述した推定部に加えて、シーン取得部としてさらに機能する。シーン取得部は、推定部が推定した運転者P1のタイプに対応する危険シーン又は事故シーンの情報を取得する。例えば、シーン取得部は、運転者P1のタイプと、危険シーン又は事故シーンとが対応づいたデータベースを参照して、取得してもよい。また、シーン取得部は、運転者P1のタイプと危険シーン又は事故シーンとの関係を機械学習した学習モデルと用いて、取得してもよい。学習モデルを用いる場合、シーン取得部は、第2判定部305の判定結果を学習モデルに入力し、学習モデルから運転者P1のタイプを出力させることで、取得してもよい。なお、この学習モデルは、サーバメモリ31が記憶していてもよいし、サーバ装置3と通信可能な装置が記憶していてもよい。
【0110】
他の実施形態では、上述したシーン取得部が取得した危険シーン又は事故シーンを運転者P1が使用する端末装置4に通知する。この構成の場合、通知部308は、危険シーン又は事故シーンの情報を含む通知情報TJを端末装置4に送信する。端末装置4のアプリ実行部401は、通知情報TJに含まれる危険シーン又は事故シーンの情報を端末タッチパネル43に表示させる。
【0111】
上述した実施形態では、運転者P1の状態を運転者P1の表情に基づいて判定する構成である。しかしながら、第2判定部305は、運転者P1の状態を運転者P1の表情以外の要素で判定してもよい。例えば、第2判定部305は、アップロードデータADに含まれる生体データから運転者P1の状態を判定してもよい。
【0112】
上述した実施形態では、第2取得部303が、第1取得部302が取得したアップロードデータADから第2走行データを取得する構成である。他の実施形態では、第2取得部303は、第1取得部302が取得したアップロードデータADと異なるアップロードデータADから第2走行データを取得してもよい。この構成の場合、第2取得部303は、第1取得部302が取得したアップロードデータADに含まれる収集時刻データの少なくとも一部を含み、且つ、第1取得部302が取得したアップロードデータADが含む現在位置データが示す現在位置から所定距離以下の現在位置を示す現在位置データを含む、アップロードデータADを運転者DB313から取得する。そして、上述した実施形態と同様に、第2取得部303は、取得したアップロードデータADから第2走行データを取得する。
【0113】
上述した実施形態では、運転者Pがウェアラブル端末2を装着して移動体1を運転する場合を例示したが、移動体1は、運転者Pがウェアラブル端末2を装着していなくても、アップロードデータADをサーバ装置3に送信してもよい。この場合、移動体1は、ウェアラブル端末2が送信した生体データを含まないアップロードデータADをサーバ装置3に送信する。
【0114】
上述した実施形態では、通知情報TJが、危険運転情報、状態情報、原因情報、運転講習情報、及び第1走行データを含む場合を例示した。しかしながら、これら4種の情報及び1種のデータは、異なる通知情報に含まれてもよい。また、これら4種の情報及び1種のデータが端末装置4に送信されるタイミングは、異なるタイミングでもよい。
【0115】
サーバプロセッサ30、移動体プロセッサ110、及び端末プロセッサ400は、単一のプロセッサにより構成されてもよいし、複数のプロセッサにより構成されていてもよい。これらプロセッサは、対応する機能部を実現するようプログラムされたハードウェアでもよい。すなわち、これらプロセッサは、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)で構成されてもよい。
【0116】
また、
図2から
図4に示した移動体1、サーバ装置3、及び端末装置4の各部は一例であって、具体的な実装形態は特に限定されない。つまり、必ずしも各部に個別に対応するハードウェアが実装される必要はなく、一つのプロセッサがプログラムを実行することで各部の機能を実現する構成とすることも勿論可能である。また、上述した実施形態においてソフトウェアで実現される機能の一部をハードウェアとしてもよく、或いは、ハードウェアで実現される機能の一部をソフトウェアで実現してもよい。その他、移動体1、サーバ装置3、及び端末装置4の他の各部の具体的な細部構成についても任意に変更可能である。
【0117】
また、
図6に示す動作のステップ単位は、動作の理解を容易にするために、主な処理内容に応じて分割したものであり、処理単位の分割の仕方や名称によって、本発明が限定されることはない。処理内容に応じて、さらに多くのステップ単位に分割してもよい。また、1つのステップ単位がさらに多くの処理を含むように分割してもよい。また、そのステップの順番は、本発明の趣旨に支障のない範囲で適宜に入れ替えてもよい。
【0118】
[7.上記実施形態によりサポートされる構成]
上記実施形態は、以下の構成をサポートする。
【0119】
(構成1)
移動体の運転者を支援する運転者支援システムであって、第1移動体の走行データである第1走行データを取得する第1取得部と、前記第1移動体付近を走行した第2移動体の走行データである第2走行データを取得する第2取得部と、前記第1取得部が取得した前記第1走行データと前記第2取得部が取得した前記第2走行データとに基づいて、前記第1移動体の運転者が危険運転を行ったか否かを判定する第1判定部と、を備える、運転者支援システム。
構成1の運転者支援システムによれば、他の移動体の走行を考慮して危険運転を行ったか否かを判定するため、移動体の運転者が危険運転を行ったか否かを適切に判定できる。
【0120】
(構成2)
前記第1判定部は、前記第1移動体の挙動変化から所定時間以内に生じた前記第2移動体の挙動変化に基づいて、前記第1移動体の運転者が危険運転を行ったか否かを判定する、構成1に記載の運転者支援システム。
構成2の運転者支援システムによれば、第1移動体の挙動変化から所定期間内に生じた他の移動体の挙動変化を考慮して危険運転を行ったか否かを判定するため、移動体の運転者が危険運転を行ったか否かをより適切に判定できる。
【0121】
(構成3)
前記第1判定部が危険運転を行ったと判定した場合、前記第1移動体の運転者が行った危険運転の種別を示す危険運転情報を前記第1移動体の運転者に通知する通知部を備える、構成1又は構成2に記載の運転者支援システム。
構成3の運転者支援システムによれば、移動体の運転において、どのような運転が危険運転であったかを運転者が意識できるようになり、運転者支援システムは、移動体の運転において危険運転を発生しないように運転者を支援できる。
【0122】
(構成4)
表示部に情報を表示させる表示制御部を備え、前記表示制御部は、前記第1判定部が危険運転を行ったと判定した場合、前記第1移動体の運転者が行った危険運転の種別を示す危険運転情報と、前記第1走行データとを前記表示部に表示させる、構成1から構成3のいずれか一つに記載の運転者支援システム。
構成4の運転者支援システムによれば、このように、第1走行データが表示されるため、どのような運転が危険運転であったかを運転者が正確に把握できるようになる。よって、移動体の運転において、どのような運転が危険運転であったかを運転者がより意識できるようになるため、運転者支援システムは、移動体の運転において危険運転を発生しないように運転者を支援できる。
【0123】
(構成5)
前記第1判定部が危険運転を行ったと判定した場合、前記第1移動体の運転者が行った危険運転の種別に応じた運転講習を選定する選定部を備える、構成1から構成4のいずれか一つに記載の運転者支援システム。
構成5の運転者支援システムによれば、どのような運転講習を受講すれば危険運転の発生を低減できるのかを運転者が把握できるようになるため、移動体の運転において危険運転が発生しないように運転者をより支援できる。
【0124】
(構成6)
前記第1判定部が危険運転を行ったと判定した場合、前記第1移動体の運転者によって危険運転が発生した際の前記第1移動体の運転者の状態を判定する第2判定部を備える、構成1から構成5のいずれか一つに記載の運転者支援システム。
構成6の運転者支援システムによれば、運転者は、危険運転を行った際の自身の状態がどのような状態であったかを把握できる。よって、運転者は、移動体の運転において、いまの状態であると危険運転が発生するか否かを意識できるようになる。そのため、運転者支援システムは、移動体の運転において危険運転を発生しないように運転者を支援できる。
【0125】
(構成7)
前記第2判定部が判定した前記状態に基づいて、前記第1移動体の運転者によって発生した危険運転の発生原因が前記状態であるか否かを判定する第3判定部を備える、構成6に記載の運転者支援システム。
構成7の運転者支援システムによれば、運転者は、危険運転の発生原因が自身の状態であったか否かを把握できる。よって、運転者は、移動体の運転において、どのような状態であると危険運転が発生するのかを意識できるようになる。そのため、運転者支援システムは、移動体の運転において危険運転を発生しないように運転者を支援できる。
【0126】
(構成8)
移動体の運転者を支援する運転者支援システムであって、第1移動体の第1走行データを取得するステップと、前記第1移動体付近を走行中の第2移動体の第2走行データを取得するステップと、取得した前記第1走行データと取得した前記第2走行データとに基づいて、前記第1移動体の運転者が危険運転を行ったか否かを判定するステップと、を含む、運転者支援システムの制御方法。
構成8の運転者支援システムの制御方法によれば、構成1の運転者支援システムと同様の効果を奏する。
【符号の説明】
【0127】
1…移動体、1A…第1移動体、1B…第2移動体、3…サーバ装置、4…端末装置、30…サーバプロセッサ、31…サーバメモリ、32…サーバ通信ユニット、301…サーバ受信部、302…第1取得部、303…第2取得部、304…第1判定部、305…第2判定部、306…第3判定部、307…選定部、308…通知部、309…データベース処理部、311…制御プログラム、312…運転者DB、313…運転種別DB、314…運転講習DB、315…地図データ、401…アプリ実行部(表示制御部)、1000…運転者支援システム、P,P1…運転者、TJ…通知情報。
【手続補正書】
【提出日】2023-11-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体の運転者を支援する運転者支援システムであって、
第1移動体の走行データである第1走行データを取得する第1取得部と、
前記第1移動体付近を走行した第2移動体の走行データである第2走行データを取得する第2取得部と、
前記第1取得部が取得した前記第1走行データと前記第2取得部が取得した前記第2走行データとに基づいて、前記第1移動体の運転者が危険運転を行ったか否かを判定する第1判定部と、
前記第1判定部が危険運転を行ったと判定した場合、前記第1移動体の運転者が行った危険運転の種別に応じた運転講習を選定する選定部と、
前記第1判定部が危険運転を行ったと判定した場合、前記第1移動体の運転者によって危険運転が発生した際の前記第1移動体の運転者の状態を判定する第2判定部と、
前記第2判定部が判定した前記状態に基づいて、前記第1移動体の運転者によって発生した危険運転の発生原因が前記状態であるか否かを判定する第3判定部と、
前記第1判定部が危険運転を行ったと判定した場合、前記第1移動体の運転者に通知情報を送信する通知部と、を備え、
前記通知情報は、前記第1移動体の運転者が行った危険運転の種別を示す危険運転情報と、前記選定部が選定した前記運転講習を示す運転講習情報と、前記第2判定部の判定結果を示す状態情報と、前記第3判定部の判定結果を示す原因情報と、を含む、
運転者支援システム。
【請求項2】
前記第1判定部は、前記第1移動体の挙動変化から所定時間以内に生じた前記第2移動体の挙動変化に基づいて、前記第1移動体の運転者が危険運転を行ったか否かを判定する、
請求項1に記載の運転者支援システム。
【請求項3】
表示部に情報を表示させる表示制御部を備え、
前記表示制御部は、前記第1判定部が危険運転を行ったと判定した場合、前記第1移動体の運転者が行った危険運転の種別を示す危険運転情報と、前記第1走行データとを前記表示部に表示させる、
請求項1又は2に記載の運転者支援システム。
【請求項4】
前記第2判定部が判定した前記第1移動体の運転者の状態に応じて、危険運転の発生原因となる行動を引き起こす前記第1移動体の運転者のタイプを推定する推定部を備える、
請求項1又は2に記載の運転者支援システム。
【請求項5】
前記推定部が推定した前記第1移動体の運転者のタイプに対応する危険シーン又は事故シーンを取得するシーン取得部を備え、
前記通知部は、前記シーン取得部が取得した前記危険シーン又は前記事故シーンの情報を含む前記通知情報を前記第1移動体の運転者に送信する、
請求項4に記載の運転者支援システム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0005
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0005】
本発明の一態様は、移動体の運転者を支援する運転者支援システムであって、第1移動体の走行データである第1走行データを取得する第1取得部と、前記第1移動体付近を走行した第2移動体の走行データである第2走行データを取得する第2取得部と、前記第1取得部が取得した前記第1走行データと前記第2取得部が取得した前記第2走行データとに基づいて、前記第1移動体の運転者が危険運転を行ったか否かを判定する第1判定部と、前記第1判定部が危険運転を行ったと判定した場合、前記第1移動体の運転者が行った危険運転の種別に応じた運転講習を選定する選定部と、前記第1判定部が危険運転を行ったと判定した場合、前記第1移動体の運転者によって危険運転が発生した際の前記第1移動体の運転者の状態を判定する第2判定部と、前記第2判定部が判定した前記状態に基づいて、前記第1移動体の運転者によって発生した危険運転の発生原因が前記状態であるか否かを判定する第3判定部と、前記第1判定部が危険運転を行ったと判定した場合、前記第1移動体の運転者に通知情報を送信する通知部と、を備え、前記通知情報は、前記第1移動体の運転者が行った危険運転の種別を示す危険運転情報と、前記選定部が選定した前記運転講習を示す運転講習情報と、前記第2判定部の判定結果を示す状態情報と、前記第3判定部の判定結果を示す原因情報と、を含む、運転者支援システム。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0001
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0001】
本発明は、運転者支援システムに関する。