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特開2024-24397基板搬送装置、及び周辺装置取付面接続方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024024397
(43)【公開日】2024-02-22
(54)【発明の名称】基板搬送装置、及び周辺装置取付面接続方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/677 20060101AFI20240215BHJP
【FI】
H01L21/68 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022127196
(22)【出願日】2022-08-09
(71)【出願人】
【識別番号】000002059
【氏名又は名称】シンフォニアテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100130498
【弁理士】
【氏名又は名称】佐野 禎哉
(72)【発明者】
【氏名】小倉 源五郎
(72)【発明者】
【氏名】河合 俊宏
【テーマコード(参考)】
5F131
【Fターム(参考)】
5F131AA02
5F131CA47
5F131DA22
5F131DA23
5F131GA03
5F131GA14
5F131GA15
5F131HA28
5F131HA29
(57)【要約】
【課題】ロードポート取付面を筐体フレームに対して溶接作業を要することなく、比較的簡単な処理で接続することができ、高い垂直度を保った状態でロードポート取付面を筐体フレームに接続可能な基板搬送装置を提供する。
【解決手段】搬送ロボット1の配置スペースを内部空間に有する搬送室2と、搬送室2のうち少なくとも対向する2面2A,2Bにそれぞれ取り付けたロードポート3とを備えた基板搬送装置Xであり、搬送室2が、床面2Y(搬送ロボット取付面)に搬送ロボット1を設置した筐体フレーム23と、筐体フレーム23とは別体に形成され且つロードポート3が取り付けられるロードポート取付面24とを備えたものであり、筐体フレーム23に対するロードポート取付面24の接続角度を調整可能な角度調整部材27を用いてロードポート取付面24を筐体フレーム23に接続する構成にした。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送ロボットの配置スペースを内部空間に有する搬送室と、
前記搬送室のうち少なくとも対向する2面にそれぞれ取り付けた周辺装置とを備えた基板搬送装置であり、
前記搬送室が、
前記内部空間の床面に前記搬送ロボットを設置した筐体フレームと、
前記筐体フレームとは別体に形成され且つ前記周辺装置が取り付けられる周辺装置取付面とを備えたものであり、
前記筐体フレームに対する前記周辺装置取付面の接続角度を調整可能な角度調整部材を用いて前記周辺装置取付面を前記筐体フレームに接続していることを特徴とする基板搬送装置。
【請求項2】
前記角度調整部材が、前記筐体フレームから前記周辺装置取付面に亘って挿入したアジャストスクリューであり、当該アジャストスクリューの前記周辺装置取付面側への飛び出し量を調整することによって前記筐体フレームに対する前記周辺装置取付面の接続角度を調整可能に構成している請求項1に記載の基板搬送装置。
【請求項3】
床面に搬送ロボットを設置可能な内部空間を有する筐体フレームに対して周辺装置取付面を接続する周辺装置取付面接続方法であり、
前記筐体フレームに対して前記周辺装置取付面を宛がった状態で、前記筐体フレームから前記周辺装置取付面に亘って設けた角度調整部材による接続角度調整処理を経ることによって、前記筐体フレームに対する前記周辺装置取付面の接続角度を調整することを特徴とする周辺装置取付面接続方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送室の両面にロードポート等の周辺装置を取り付けた基板搬送装置、及び搬送室の筐体フレームに周辺装置取付面を接続する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
高清浄な内部空間にウェーハ等の搬送対象物が収納された格納容器であるFOUP(Front-Opening Unified Pod)、FOSB(Front Opening Shipping Box)、オープンカセット等の格納容器に収納されたウェーハ(基板の一例)をソーティング(並び替え)するソータ装置が従来より利用されている。ソータ装置は、ウェーハプロセス装置とドッキングして1つの装置として完成するEFEMとは異なり、ソータ装置単体で1つの装置として完成する装置である(例えば特許文献1参照)。
【0003】
このようなソータ装置を導入する現場(エンドユーザ工場)において、レイアウトや必要処理能力(搬送枚数)による装置の最小フットプリントを達成するという必要性から、搬送ロボットを内部に有する搬送室の両面にロードポートが取り付けられたものがある。
【0004】
搬送室のうちロードポートを取り付ける面(ロードポート取付面)に関しては、SEMI(Semiconductor Equipment and Materials International)規格で定められた寸法公差に準拠して製作する必要があるだけでなく、SEMI規格上の垂直度(水平線または地平面に対して直角の方向(重力方向)であるというSEMI規格であり、以下の説明のおける「SEMI規格上の垂直度」も同義である)を保って筐体フレームに接続されている必要がある。
【0005】
従来では、溶接構造によってロードポート取付面が筐体フレームに一体的に接続されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第6555091号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、従来のように、溶接技術によってロードポート取付面を筐体フレームに接続する構成であれば、SEMI規格上の垂直度や各種寸法公差を維持するため、専用の治具を使用して溶接時の熱歪みを矯正しながら製作する必要があり、熟練の溶接技術を要するという問題がある。
【0008】
このような問題は、搬送室の1つの面のみをロードポート取付面に設定し、そのロードポート取付面にロードポート等の周辺装置を取り付ける装置であっても生じるが、ソータ装置のように搬送室の2つの面をロードポート取付面に設定し、各ロードポート取付面にロードポート等の周辺装置を取り付ける装置であれば、搬送室の両方のロードポート取付面の垂直度や各種寸法を適正に両立させることは現実的には極めて困難であり、より一層高度な溶接技術が必要とされるため、コストの増加にも直結するものであった。
【0009】
本発明は、このような課題に着目してなされたものであって、主たる目的は、搬送室の壁面のうちロードポート等の周辺装置を取り付ける面である周辺装置取付面を筐体フレームに対して溶接作業を要することなく、作業者の熟練度も限定されない比較的簡単な処理で接続することができ、且つSEMI規格上の垂直度を保った状態で周辺装置取付面を筐体フレームに接続可能な基板搬送装置、及び筐体フレームに対する周辺装置取付面の接続方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
すなわち、本発明は、搬送ロボットの配置スペースを内部空間に有する搬送室と、搬送室のうち少なくとも対向する2面にそれぞれ取り付けた周辺装置とを備えた基板搬送装置であり、搬送室として、内部空間の床面に搬送ロボットを設置した筐体フレームと、周辺装置が取り付けられる周辺装置取付面とを備え、それぞれ別々に形成したこれら筐体フレーム及び周辺装置取付面を相互に接続したものを適用し、筐体フレームに対する周辺装置取付面の接続角度を調整可能な角度調整部材を用いて周辺装置取付面を筐体フレームに接続していることを特徴としている。
【0011】
ここで、本発明における周辺装置としては、ロードポートやアライナ、バッファステーション、ロードロック室等を挙げることができる。搬送室のうち少なくとも対向する2面に取り付ける周辺装置は同種のものであってもよいし、異なる種類のものであってもよい。また、周辺装置取付面1面あたりに取り付ける周辺装置の台数も適宜選択・変更することができる。
【0012】
このような本発明に係る基板搬送装置であれば、筐体フレームと周辺装置取付面を別々で製作し、角度調整部材を用いて周辺装置取付面を筐体フレームに接続する構成であるため、従来のような溶接処理によって筐体フレームとロードポート取付面とを締結する構成と比較して、筐体フレームと周辺装置取付面の接続に関して高度な溶接技術が不要であり、筐体フレームの床面、すなわちSEMI規格上の垂直度を高い精度で保った姿勢で周辺装置取付面を筐体フレームに接続することができる。さらに、本発明において、筐体フレーム単体を溶接処理によって製作する場合であっても、筐体フレームに対する周辺装置取付面の接続箇所については溶接箇所を削減することができ、溶接の工数が削減できる。したがって、溶接加工工数の削減によるコストダウンを図ることが期待できる。加えて、従来であれば必要であった溶接時の熱歪み対策の治具が不要になり、この点においても治具の製作等の初期投資削減によるコストダウンを図ることができる。
【0013】
また、本発明に係る基板搬送装置であれば、筐体フレームに対する周辺装置取付面の接続角度を調整可能に構成することで筐体フレーム単体に求められる出来上がりの寸法公差を大きくすることができる。したがって、筐体フレーム単体を製作する際に要求される溶接技術のハードルが下がり、このこともまた製作コストの低減化に貢献する。
【0014】
このように、本発明に係る基板搬送装置であれば、筐体フレームに周辺装置取付面を接続する処理に関して高度な溶接技術が不要であり、筐体製作時の難易度を下げることでコストダウンを図ることもできる。さらには、従来の問題であった筐体フレーム製作時の難易度を下げることができるだけでなく、溶接箇所削減による製作完了後の外観品質向上(見栄えの良さ)も期待できるとともに、治具等の専用の事前準備物が不要となる。
【0015】
特に、本発明において、角度調整部材が、筐体フレームから周辺装置取付面に亘って挿入したアジャストスクリューであり、アジャストスクリューの筐体フレームから周辺装置取付面側への飛び出し量を調整することによって筐体フレームに対する周辺装置取付面の接続角度を調整可能に構成すれば、アジャストスクリューに所定の操作力を付与して周辺装置取付面側への飛び出し量を調整するという比較的楽な作業で筐体フレームに対する周辺装置取付面の接続角度を調整することができ、筐体フレームに周辺装置取付面を接続する作業性が向上する。
【0016】
また、本発明は、床面に搬送ロボットを設置可能な内部空間を有する筐体フレームに対して周辺装置取付面を接続する周辺装置取付面接続方法であって、筐体フレームに対して周辺装置取付面を宛がった状態で、筐体フレームから周辺装置取付面に亘って設けた角度調整部材による接続角度調整処理を経ることによって、筐体フレームに対する周辺装置取付面の接続角度を調整することを特徴としている。
【0017】
このような周辺装置取付面接続方法であれば、上述の基板搬送装置に関して言及した作用効果と同様の作用効果を奏し、周辺装置取付面を筐体フレームに対して溶接作業を要することなく比較的簡単な処理で接続することができ、SEMI規格上の垂直度を保った状態で辺装置取付面を筐体フレームに接続することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、搬送室の筐体フレーム及び周辺装置取付面を別々に形成(製作)し、筐体フレームに周辺装置取付面を仮接続した状態(仮組付状態)で角度調整部材による角度調整(傾き調整)作業を行うことで、SEMI規格上の垂直度を出した状態で接続(最終組付)することができ、搬送室の壁面のうちロードポート等の周辺装置を取り付ける面である周辺装置取付面を筐体フレームに対して溶接作業を要することなく、作業者も限定されない比較的簡単な処理で接続することが接続可能な基板搬送装置、及び筐体フレームに対する周辺装置取付面の接続方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施形態に係る基板搬送装置の全体斜視図。
図2】同実施形態に係る基板搬送装置の平面図。
図3】同実施形態に係る基板搬送装置の側面図。
図4】同実施形態における搬送室の斜視図。
図5】同実施形態における搬送室の分解斜視図。
図6図4のa方向矢視図。
図7図6のA-A線断面図。
図8図7のB領域拡大図。
図9】同実施形態における筐体フレームの斜視図。
図10】同実施形態における周辺装置取付面接続方法の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
【0021】
本実施形態に係る基板搬送装置Xは、図1及び図2に示すように、搬送ロボット1が配置される搬送空間2Sを内部に有する搬送室2と、搬送室2のうち対向する2面にそれぞれ取り付けた周辺装置3(搬送先周辺装置)とを備えたものである。本実施形態における周辺装置3は、ロードポート3であり、本実施形態では搬送室2の前面2A及び背面2Bにそれぞれロードポート3を取り付けている。
【0022】
ロードポート3は、例えば半導体の製造工程において用いられ、図1乃至図3に示すように、クリーンルーム内において、搬送室2のうち対向する2つの壁面(本実施形態では相互に対向する「第1の面」、「第2の面」をそれぞれ前面2A、背面2Bとする)の一部を構成し、搬送室2とFOUP等の搬送容器4(図3に想像線(二点鎖線)で模式的に示す)との間で基板等の搬送対象物の出し入れを行うためのものである。ロードポート3は、搬送容器4と搬送室2のインターフェース部分として機能するものであり、図1等に示すように、搬送室2の内部空間2Sを開放するための開口部31が形成された板状をなすベースフレーム32や、ベースフレーム32に対して前方に突出させた略水平姿勢で設けた載置テーブル33等を備え、ベースフレーム32の開口部31をロードポートドア(図示省略)によって開閉し、搬送容器4の容器ドアを開閉可能な周知のものである。搬送容器4の内部空間と搬送室2の搬送空間2Sが連通した状態において、搬送容器4の内部空間(搬送先空間)に対して搬送ロボット1がアクセスして搬送対象物(基板)を受け渡しすることができる。
【0023】
本実施形態に係る基板搬送装置Xは、図1及び2等に示すように、搬送室2の前面2A(前壁面)及び背面2B(後壁面)にそれぞれ複数(図示例では4台)のロードポート3を並べて配置し、各ロードポート3上の搬送容器4内のウェーハを交換したり、並び替えや入れ替えを行なうソータ装置Xである。ソータ装置Xの作動は、ロードポート3のコントローラや、ソータ装置X全体のコントローラによって制御される。
【0024】
搬送室2は、図4及び図5に示すように、縦フレーム部材21(柱に相当するフレーム要素)及び横フレーム部材22(梁、桁、大引、根太等に相当するフレーム要素)を一体的に組み付けた略直方体状の筐体フレーム23と、筐体フレーム23のうちロードポート3が取り付けられる面に装着したロードポート取付面24(本発明の「周辺装置取付面」に相当)とを備え、筐体フレーム23の床面2Y(搬送ロボット取付面)に搬送ロボット1を設置可能に構成したものである。ここで、図4は本発明における搬送室2の全体斜視図であり、図5は筐体フレーム23及びロードポート取付面24を相互に分離した状態を図4に対応して示す図である。
【0025】
本実施形態では、図6及び図7図6図4のa方向矢視図であり、図7図6のA―A線断面図である)に示すように、平面視が略長方形状の筐体フレーム23を適用し、以降の説明では、筐体フレーム23の長手方向W及び高さ方H向に直交する方向を前後方向Dとする。筐体フレーム23の前面2A及び背面2Bにそれぞれ縦フレーム部材21が所定ピッチで設けられ、これら縦フレーム部材21を利用してロードポート取付面24を筐体フレーム23の前面2A及び背面2Bに取り付けている。具体的には、図8(同図は図7のB領域拡大図である)に示すように、各縦フレーム部材21の上端部近傍及び下端部近傍にそれぞれ厚み方向に貫通する貫通孔21aを形成し、ネジ孔25aを有する裏当てブロック25を縦フレーム部材21の内向き面21bに接触させた状態で配置し、ネジ孔25aが貫通孔21aに連通する位置で裏当てブロック25を固定している。なお、内向き面21bは搬送空間2Sに臨む面であり、内向き面21bの反対側の面であって搬送空間2Sに臨まない面は外向き面21cである。本実施形態における筐体フレーム23は、図9に示すように、床面2Y(搬送ロボット取付面)から所定高さ位置までを搬送空間2Sに設定し、搬送空間2Sよりも上方の空間にはダウンフロー発生装置やファンフィルター等を実装する空間に設定している。縦フレーム部材21(柱)及びロードポート取付面24は、搬送空間2Sを外部空間から区切る位置(搬送空間2Sと外部空間との境界部分)に配置されるものである。
【0026】
ロードポート取付面24は、筐体フレーム23のうち搬送空間2Sの前面2Aの略全体または背面2Bの略全体に相当するサイズを有する大型のものである。本実施形態では、図5に示すように、搬送室2の搬送室2の前面2A(前壁面)または背面2B(後壁面)となる平滑な面を有し、縦フレーム部材21同士の離間寸法に応じた開口寸法に設定した開口部241を所定の間隔で形成したロードポート取付面本体242と、ロードポート取付面本体242の上端、下端、両側縁からそれぞれ筐体フレーム23側(搬送空間2S側)に向かって所定寸法延出する突出片を有する補強部243とを一体に有するものである。図8に示すように、ロードポート取付面本体242の上端部近傍及び下端部近傍にはそれぞれ厚み方向に貫通する貫通孔24aを形成し、この貫通孔24aに連通するネジ孔26aを有する裏当てブロック26をロードポート取付面本体242の内向き面21bに接触させた状態で配置し、ネジ孔26aが貫通孔24aに連通する位置で裏当てブロック26を固定している。ロードポート取付面24の補強部243を筐体フレーム23の前面2Aまたは背面2Bに当接または近接させることで、筐体フレーム23の前面2Aとロードポート取付面本体242との間、及び筐体フレーム23の背面2Bとロードポート取付面本体242との間の所定の空間が形成され、本実施形態ではこの空間を利用して裏当てブロック26を配置している。
【0027】
そして、図8に示すように、筐体フレーム23にロードポート取付面24を接続し終えた状態では、筐体フレーム23側からロードポート取付面24側に向かって、裏当てブロック25のネジ孔25a、筐体フレーム23(縦フレーム部材21)の貫通孔21a、裏当てブロック26のネジ孔26a、ロードポート取付面24の貫通孔24aの順に共通のアジャストスクリュー27が連続して挿入しており、アジャストスクリュー27の基端部側(筐体フレーム23側)にナット28が螺合していることと、アジャストスクリュー27の先端部側(ロードポート取付面24側)にナット29が螺合していることによってアジャストスクリュー27の進退移動が規制されたロック状態にある。特に、ロードポート取付面本体242をナット29と裏当てブロック26との間で挟み込む構成にすることで大型のロードポート取付面24の良好な支持状態を維持することができる。なお、本実施形態では、筐体フレーム23(縦フレーム部材21)の貫通孔21a及びロードポート取付面24の貫通孔24aの各開口径をアジャストスクリュー27の先端部の直径よりも所定寸法大きい値に設定している。
【0028】
このようなロードポート取付面24を筐体フレーム23に一体的に接続する処理は以下の通りである。
【0029】
予め、筐体フレーム23の縦フレーム部材21の内向き面21bに固定した裏当てブロック25のネジ孔25a及び筐体フレーム23の貫通孔21aにアジャストスクリュー27を挿入し、アジャストスクリュー27の先端部を筐体フレーム23の前面23Aまたは背面23Bに露出させた形態にしておく。そして、筐体フレーム23の前方(正面側)または後方(背面側)から前面2Aまたは背面2Bにロードポート取付面24を宛がう。この際、筐体フレーム23の前面23Aまたは背面23Bにおいて下端部近傍に露出しているアジャストスクリュー27の先端がロードポート取付面24に形成した貫通孔24aに臨む位置、またはロードポート取付面24の内向き面21bに固定した裏当てブロック26のネジ孔26aにアジャストスクリュー27の先端が軽く接触する位置にロードポート取付面24を移動させることで、筐体フレーム23に対するロードポート取付面24の接続位置を仮決めすることができる。この処理(仮接続処理)を実施する際は、図10(同図は図4のb方向から見た図に対応させて示す接続作業説明図である)に示すように、ロードポート取付面24全体を傾斜させた姿勢で行うことで作業性が向上する。この場合、先ず、ロードポート取付面24の下端部近傍に形成した貫通孔24aの位置を、筐体フレーム23の前面2Aまたは背面2Bにおいて下端部近傍に露出しているアジャストスクリュー27の先端位置に合致または略合致させて、次いで、ロードポート取付面24を傾斜姿勢から起立姿勢に切り替えて、つまりロードポート取付面24全体を起こして、ロードポート取付面24の上端部近傍に形成した貫通孔24aの位置を、筐体フレーム23の前面2Aまたは背面2Bにおいて上端部近傍に露出しているアジャストスクリュー27の先端位置に合致または略合致させる。
【0030】
そして、適宜の工具等を用いてアジャストスクリュー27をロードポート取付面24側に移動させる操作力を付与することによって、アジャストスクリュー27の先端部がロードポート取付面24の内向き面21bに固定した裏当てブロック26のネジ孔26aに螺合しながらロードポート取付面24側に移動して、やがてロードポート取付面24の貫通孔24aを通過してロードポート取付面24から飛び出した位置に到達する。
【0031】
さらに、アジャストスクリュー27を同一方向へ移動させる操作力を付与し続けると、アジャストスクリュー27の基端部に予め螺合しておいたナット28が裏当てブロック25に当接することによってそれ以上同一方向への移動が規制され、ナット28が裏当てブロック25に当接した時点以降、同一操作を続けることでロードポート取付面24の補強部243が筐体フレーム23の前面2Aまたは背面2Bに接触または近接する位置までロードポート取付面24を筐体フレーム23側に移動させることができる。この状態で、アジャストスクリュー27を進退移動させると、ロードポート取付面24から露出するアジャストスクリュー27の飛び出し量が変化し、飛び出し量の変化に応じてロードポート取付面24(ロードポート取付面本体242)の傾きを調整することができる。そして、ロードポート取付面24(ロードポート取付面本体242)の傾きが、SEMI規格上の垂直度となるように調整し終えた後に、アジャストスクリュー27の先端部にナット29を螺合して強固に締め付けることによって、裏当てブロック26とナット29の間にロードポート取付面24を挟み込んだ状態になり、アジャストスクリュー27の不意な進退移動を規制し、且つ調整したロードポート取付面24の取付角度(接続角度)を維持することができる。
【0032】
このように、アジャストスクリュー27の先端部側から適宜の工具を用いてアジャストスクリュー27を進退移動させる処理を行う前の時点で、筐体フレーム23(縦フレーム部材21)からのアジャストスクリュー27の飛び出し量を僅かな所定量に設定しておき、その飛び出しているアジャストスクリュー27にロードポート取付面24の貫通孔24aが合致するようにロードポート取付面24の接続位置を仮決めし、アジャストスクリュー27の先端が貫通孔24aに臨む状態でアジャストスクリュー27をロードポート取付面24側に移動させて、当該アジャストスクリュー27がロードポート取付面24に設けた裏当てブロック26のネジ26aに螺合することで、ロードポート取付面24を筐体フレーム23に接続することができる。そして、この接続状態におけるロードポート取付面24の傾き角度を、アジャストスクリュー27に対して所定の操作力を付与することによって調整するができる。
【0033】
以上のようなアジャストスクリュー27(本発明の「角度調整部材」に相当)を利用した角度調整処理をアジャストスクリュー27の配置箇所ごと(筐体フレーム23の縦フレーム部材21に形成した貫通孔21aごと)に実施することにより、ロードポート取付面24に関するSEMI規格上の垂直度を高い精度で確保することができる。本実施形態では、1枚のロードポート取付面24に対して、上端部側に3箇所、下端部側に3箇所、合計6箇所をアジャストスクリュー27による角度調整位置に設定している。
【0034】
以上の処理を、ロードポート取付面24の枚数に応じて行うことにより、筐体フレーム23のうち対向する2つの面(前面23A、背面23B)に設定されるロードポート取付面24を何れもSEMI規格上の垂直度を保った面に設定した搬送室2を提供することができる。そして、搬送室2のロードポート取付面24にそれぞれロードポート3を取り付けることによって、ロードポート3のベースフレーム32を水平面(地面)に対して垂直または略垂直となる起立姿勢で配置することができる。
【0035】
このように、本実施形態に係る基板搬送装置Xによれば、搬送室2として、床面2Y(搬送ロボット取付面)に搬送ロボット1を設置した筐体フレーム23と、周辺装置3であるロードポート3が取り付けられる周辺装置取付面(ロードポート取付面24)とを備え、それぞれ別々に形成したこれら筐体フレーム23及びロードポート取付面24を相互に接続したものを適用し、筐体フレーム23に対するロードポート取付面24の接続角度を調整可能な角度調整部材(アジャストスクリュー27)を用いてロードポート取付面24を筐体フレーム23に接続しているため、溶接処理によって筐体フレーム23とロードポート取付面24とを締結する構成と比較して、筐体フレーム23とロードポート取付面24の接続に関して高度な溶接技術が不要であり、SEMI規格上の垂直度を高い精度で保った状態でロードポート取付面24を筐体フレーム23に接続することができる。さらに、本実施形態では、筐体フレーム23単体をフレーム部材21,22同士の溶接処理によって製作する場合であっても、筐体フレーム23に対するロードポート取付面24の接続箇所については溶接箇所を削減することができ、溶接の工数が削減できる。したがって、溶接加工工数の削減によるコストダウンを図ることが期待できる。加えて、従来であれば必要であった溶接時の熱歪み対策の治具が不要になり、この点においても治具の製作等の初期投資削減によるコストダウンを図ることができる。
【0036】
また、本実施形態に係る基板搬送装置Xによれば、筐体フレーム23に対するロードポート取付面24の接続角度を調整可能に構成することで筐体フレーム23単体に求められる出来上がりの寸法公差を大きくすることができる。したがって、筐体フレーム23単体を製作する際に要求される溶接技術のハードルが下がり、このこともまた製作コストの低減化に貢献する。
【0037】
このように、本実施形態に係る基板搬送装置Xであれば、筐体フレーム23にロードポート取付面24を接続する処理に関して高度な溶接技術が不要であり、製作時の難易度を下げることでコストダウンを図ることもできる。さらには、従来の問題であった筐体フレーム23の製作、ひいては搬送室2の製作に要求される難易度を下げることができるだけでなく、溶接箇所削減による製作完了後の外観品質向上(見栄えの良さ)も期待できるとともに、治具等の専用の事前準備物が不要になる。
【0038】
特に、本実施形態に係る基板搬送装置Xによれば、角度調整部材が、筐体フレーム23からロードポート取付面24に亘って挿入したアジャストスクリュー27であり、アジャストスクリュー27の筐体フレーム23からロードポート取付面24側への飛び出し量を調整することによって筐体フレーム23に対するロードポート取付面24の接続角度を調整可能に構成しているため、比較的楽な作業で筐体フレーム23に対するロードポート取付面24の接続角度を調整することができ、筐体フレーム23にロードポート取付面24を接続する作業性が向上する。
【0039】
また、本実施形態では、床面2Y(搬送ロボット取付面)に搬送ロボット1を設置可能な内部空間を有する筐体フレーム23に対してロードポート取付面24を接続する方法として、筐体フレーム23に対してロードポート取付面24を宛がった状態で、筐体フレーム23からロードポート取付面24に亘って設けた角度調整部材(アジャストスクリュー27)による接続角度調整処理を経ることによって、筐体フレーム23に対するロードポート取付面24の接続角度を調整する方法を採用しているため、ロードポート取付面24を筐体フレーム23に対して溶接作業を要することなく比較的簡単な処理で接続することができ、SEMI規格上の垂直度を保った状態でロードポート取付面24を筐体フレーム23に接続することができる。
【0040】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。例えば、上述の実施形態では、周辺装置とロードポートを適用した構成を例示したが、周辺装置として、ロードポートに代えて、または併用して、アライナ、ロードロック室等を適用することもできる。搬送室のうち少なくとも対向する2面にそれぞれ取り付ける周辺装置は同種のものであってもよいし、異なる種類のものであってもよい。また、周辺装置取付面1面(1枚)あたりに取り付ける周辺装置の台数も適宜選択・変更することができる。さらには、周辺装置取付面1面(1枚)あたりにおける角度調整部材による角度調整箇所の位置や数も適宜選択・変更することができる。
【0041】
搬送室のうち少なくとも対向する2面が、搬送室の両側面であってもよく、さらに対向する2面に加えて、他の面を含む3面以上の各面にそれぞれ周辺装置を取り付けた基板搬送装置も含まれる。また、搬送室のうち1面のみに周辺装置を取り付けた基板搬送装置において、周辺装置取付面と筐体とを別体に形成し、角度調整部材を利用して相互に接続する構成であっても本発明と同様の作用効果を得ることができる。
【0042】
また、角度調整部材として、アジャストスクリュー以外の螺合進退動作可能な部品または機構を用いたものや、螺合進退動作を伴わない部品や機構を用いたものであってもよい。
【0043】
搬送容器は、FOUPに限定されず、FOUP以外の容器、例えばFOSBやカセット等であってもよい。
【0044】
本発明に係る搬送装置がEFEMの一部を構成するものであってもよい。さらにはまた、ソータ装置やEFEMの一部を構成する基板搬送装置以外の基板搬送装置であっても構わない。
【0045】
本発明に係る搬送装置によって搬送可能な搬送対象物としては、ウェーハ、レティクル、液晶搬送対象物やガラス搬送対象物などを含む角型基板、リングフレームウェーハ、カルチャープレート、培養容器、ディッシュ、或いはシャーレ等を挙げることができる。
【0046】
その他、各部の具体的構成についても上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【符号の説明】
【0047】
1…搬送ロボット
2…搬送室
23…筐体フレーム
24…周辺装置取付面(ロードポート取付面)
27…角度調整部材(アジャストスクリュー)
3…周辺装置(ロードポート)
X…基板搬送装置(ソータ装置)
図1
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