(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024024413
(43)【公開日】2024-02-22
(54)【発明の名称】情報処理方法、プログラム、情報処理システム
(51)【国際特許分類】
G16H 20/00 20180101AFI20240215BHJP
【FI】
G16H20/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022127219
(22)【出願日】2022-08-09
(71)【出願人】
【識別番号】515114289
【氏名又は名称】株式会社ラフール
(74)【代理人】
【識別番号】110002789
【氏名又は名称】弁理士法人IPX
(72)【発明者】
【氏名】結城 啓太
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA15
(57)【要約】 (修正有)
【課題】より医学的な知見を考慮したヘルスケア支援システム、ヘルスケア支援方法及びヘルスケア支援プログラムを提供する。
【解決手段】サーバ装置と、複数のユーザ端末と、担当者端末とが、電気通信回線を通じて通信する情報処理システムにおいて、情報処理方法は、次の各ステップを備える。サーバ装置は、従業者に対するアンケートから類推された従業者の人的資産に関係する第1の情報と、従業者が受診した健康診断の結果を示す第2の情報とを読み出す読み出しステップと、第1の情報及び第2の情報と、予め設定された参照情報とに基づいて、従業者に推奨される事項を含む推奨情報を特定する特定ステップと、を備える。参照情報は、過去の、複数の従業者の第1の情報及び第2の情報の組合せに関する情報である。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理方法であって、
次の各ステップを備え、
読出ステップでは、従業者に対するアンケートから類推された前記従業者の人的資産に関係する第1の情報と、前記従業者が受診した健康診断の結果を示す第2の情報とを読み出し、
特定ステップでは、前記第1の情報及び前記第2の情報と、予め設定された参照情報とに基づいて、前記従業者に推奨される事項を含む推奨情報を特定し、前記参照情報は、過去の、複数の従業者の前記第1の情報及び前記第2の情報の組合せに関する情報である、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の情報処理方法において、
前記第1の情報は、前記従業者の心と体と組織貢献度の状態を示す情報と、前記心と体と組織貢献度の状態に影響する要因の情報とを含む、方法。
【請求項3】
請求項1に記載の情報処理方法において、
前記読出ステップでは、前記従業者の就業状況を示す第3の情報をさらに読み出し、
前記特定ステップでは、前記第3の情報にさらに基づいて、前記推奨情報を特定する、方法。
【請求項4】
請求項1に記載の情報処理方法において、
前記第1の情報及び前記第2の情報の少なくとも一方は、異なる日に実施された複数回の結果に基づく情報であり、
前記参照情報は、過去の複数の従業者の第1及び第2の情報の組合せに関する、時系列での変化の情報を含む、方法。
【請求項5】
請求項1に記載の情報処理方法において、
前記第1の情報は、前記従業者の、性格又は価値観を複数のカテゴリに分類した分析の結果を含む、
方法。
【請求項6】
請求項1に記載の情報処理方法において、
前記第1の情報と、前記第2の情報とは、前記従業者毎に紐付けられており、
さらに、通知ステップでは、特定された前記推奨情報を、第1のユーザ又は前記第1のユーザとは異なる第2のユーザに通知する、方法。
【請求項7】
請求項6に記載の情報処理方法において、
前記通知ステップでは、前記従業者の前記第1の情報及び前記第2の情報とともに、特定された前記推奨情報を、前記第1のユーザ又は前記第2のユーザに通知する、方法。
【請求項8】
請求項1に記載の情報処理方法において、
前記参照情報は、前記第1の情報及び前記第2の情報の組合せと、前記推奨情報との相関を予め機械学習させた学習済みモデルである、方法。
【請求項9】
プログラムであって、
少なくとも1つのコンピュータに、請求項1から請求項8までの何れか1項に記載の情報処理方法の各ステップを実行させる、もの。
【請求項10】
情報処理システムであって、
請求項1から請求項8までの何れか1項に記載の情報処理方法の各ステップがなされるようにプログラムを実行可能な、少なくとも1つのプロセッサを備える、もの。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理方法、プログラム、情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ヘルスケア支援プログラム、ヘルスケア支援装置及びヘルスケア支援方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されるヘルスケア支援システムにおいて、ヘルスケア支援装置であるサーバ装置は、ユーザの精神的及び/又は身体的な健康状態を示す所定の複数の項目から、ユーザが改善を要する項目を判別し、判別した項目に関するレコメンドを、ユーザの精神的及び/又は身体的な健康状態を改善するための複数のレコメンドから選定し、選定したレコメンドに係るデータをネットワークを介して接続された携帯端末又はウェアラブル端末へ送信する。
【0005】
しかし、特許文献1に開示されるヘルスケア支援システムでは、医師の診断に基づく医学的な知見が考慮されていない。
【0006】
本発明では上記事情に鑑み、より医学的な知見を考慮したヘルスケアに関する技術を提供することとした。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によれば、情報処理方法が提供される。この情報処理方法は、次の各ステップを備える。読出ステップでは、従業者に対するアンケートから類推された従業者の人的資産に関係する第1の情報と、従業者が受診した健康診断の結果を示す第2の情報とを読み出す。特定ステップでは、第1の情報及び第2の情報と、予め設定された参照情報とに基づいて、従業者に推奨される事項を含む推奨情報を特定し、参照情報は、過去の、複数の従業者の第1の情報及び第2の情報の組合せに関する情報である。
【0008】
このような態様によれば、より医学的な知見を考慮したヘルスケアに関する技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】サーバ装置2のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】ユーザ端末3のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図4】担当者端末4のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図5】サーバ装置2の制御部23の機能構成の一例を示す図である。
【
図6】情報処理システム1において実行される情報処理の流れの一例を示すアクティビティ図である。
【
図7】表示部44に表示される告知情報の一例である。
【
図8】表示部44に表示される告知情報の一例である。
【
図9】表示部44に表示される告知情報の一例である。
【
図10】表示部44に表示される告知情報の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を用いて本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態中で示した各種特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。
【0011】
ところで、本実施形態に登場するソフトウェアを実現するためのプログラムは、コンピュータが読み取り可能な非一時的な記録媒体(Non-Transitory Computer-Readable Medium)として提供されてもよいし、外部のサーバからダウンロード可能に提供されてもよいし、外部のコンピュータで当該プログラムを起動させてクライアント端末でその機能を実現(いわゆるクラウドコンピューティング)するように提供されてもよい。
【0012】
また、本実施形態において「部」とは、例えば、広義の回路によって実施されるハードウェア資源と、これらのハードウェア資源によって具体的に実現されうるソフトウェアの情報処理とを合わせたものも含みうる。また、本実施形態においては様々な情報を取り扱うが、これら情報は、例えば電圧・電流を表す信号値の物理的な値、0又は1で構成される2進数のビット集合体としての信号値の高低、又は量子的な重ね合わせ(いわゆる量子ビット)によって表され、広義の回路上で通信・演算が実行されうる。
【0013】
また、広義の回路とは、回路(Circuit)、回路類(Circuitry)、プロセッサ(Processor)、及びメモリ(Memory)等を少なくとも適当に組み合わせることによって実現される回路である。すなわち、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等を含むものである。
【0014】
1.ハードウェア構成
本節では、本実施形態に係る情報処理システムのハードウェア構成について説明する。
【0015】
<情報処理システム1>
図1は、情報処理システム1を示す構成図である。情報処理システム1は、従業者の健康を支援するための処理を実行する。従業者とは、企業等の団体で行われる業務に関わる者であり、雇用契約を持つ従業者に限らず、経営者及び外部企業からの派遣社員等を含む。情報処理システム1は、サーバ装置2と、ユーザ端末3-1、3-2、3-3(各々を区別しない場合「ユーザ端末3」と言う)と、担当者端末4と、を備える。情報処理システム1と、サーバ装置2と、ユーザ端末3と、担当者端末4とは、電気通信回線を通じて通信可能に構成されている。一実施形態において、情報処理システム1とは、1つ又はそれ以上の装置又は構成要素からなるものである。以下、これらの構成要素について説明する。
【0016】
ネットワーク11は、自回線に接続する装置同士の通信を仲介する。サーバ装置2と、ユーザ端末3と、担当者端末4とは、ネットワーク11と接続されている。なお、ネットワーク11への接続は有線・無線のどちらでもよい。
【0017】
<サーバ装置2>
図2は、サーバ装置2のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。サーバ装置2は、通信部21と、記憶部22と、制御部23とを備える。これらの構成要素がサーバ装置2の内部において通信バス20を介して電気的に接続されている。各構成要素について更に説明する。
【0018】
(通信部21)
通信部21は、USB、IEEE1394、Thunderbolt(登録商標)、有線LANネットワーク通信等といった有線型の通信手段が好ましいものの、無線LANネットワーク通信、3G/LTE/5G等のモバイル通信、BLUETOOTH(登録商標)通信等を必要に応じて含めてもよい。すなわち、これら複数の通信手段の集合として実施することがより好ましい。すなわち、サーバ装置2は、通信部21及びネットワークを介して、外部から種々の情報を通信してもよい。
(記憶部22)
記憶部22は、前述の記載により定義される様々な情報を記憶する。これは、例えば、制御部23によって実行される情報処理システム1に係る種々のプログラム等を記憶するソリッドステートドライブ(Solid State Drive:SSD)等のストレージデバイスとして、あるいは、プログラムの演算に係る一時的に必要な情報(引数、配列等)を記憶するランダムアクセスメモリ(Random Access Memory:RAM)等のメモリとして実施されうる。記憶部22は、制御部23によって実行される情報処理システム1に係る種々のプログラムや変数等を記憶している。
(制御部23)
制御部23は、サーバ装置2に関連する全体動作の処理・制御を行う。制御部23は、例えば不図示の中央処理装置(Central Processing Unit:CPU)である。制御部23は、記憶部22に記憶された所定のプログラムを読み出すことによって、サーバ装置2に係る種々の機能を実現する。すなわち、記憶部22に記憶されているソフトウェアによる情報処理が、ハードウェアの一例である制御部23によって具体的に実現されることで、制御部23に含まれる各機能部として実行されうる。これらについては、次節においてさらに詳述する。なお、制御部23は単一であることに限定されず、機能ごとに複数の制御部23を有するように実施してもよい。またそれらの組合せであってもよい。
【0019】
(サーバ装置2に関する補足)
サーバ装置2は、ユーザ端末3及び担当者端末4と連携して、従業者W1Xの人的資産に関係するアンケートの実施のための処理を実行する。サーバ装置2は、ユーザ端末3に対し、従業者の人的資産に関係するアンケート質問を送信する。サーバ装置2は、ユーザ端末3を介して従業者W1X(具体的には後述)のアンケートの回答を受け付ける処理を実行する。サーバ装置2は、担当者端末4と連携して、従業者の健康診断結果を受け付ける処理を実行する。サーバ装置2は、従業者に対するアンケートから類推された従業者の人的資産に関係する第1の情報と、当該従業者が受診した健康診断の結果を示す第2の情報とを、参照情報と突合する。サーバ装置2は、従業者に対する推奨情報を特定する処理を実行する。サーバ装置2は、告知情報を生成し、人材マネジメント担当者への通知処理を実行する。サーバ装置2は、人材マネジメント担当者の指示を受け、従業者W1Xに対し告知情報を表示させる。
【0020】
第1の情報は、従業者W1Xの心と体と組織貢献度の状態を示す情報と、従業者W1Xの心と体と組織貢献度の状態に影響する要因の情報とを含む。従業者の人的資産に関係するアンケートは、従業者の、心の状態と体の状態と組織貢献度とのうちの少なくとも1つに関係する質問を従業者W1Xに提示し、回答を求めるものである。従業者の心の状態に関係する質問は、イライラ感、不安感、抑うつ感、ストレス解消方法、精神的なストレス度等メンタルの状態を分析するための質問である。従業者の体の状態に関係する質問は、身体的な健康度及び睡眠の状態を分析するための質問である。身体的な健康度に関係する質問は、身体的不調、疲労感等身体的に感じる健康度を分析するための質問である。睡眠の状態に関係する質問は、睡眠時間及び睡眠が取れているか等の睡眠の質を分析するための質問である。組織貢献度に関係する質問は、ポジティブな心理状態かつ仕事や組織に対して意欲的に取り組んでいる状態かを分析するための質問である。
【0021】
心と体と組織貢献度の状態に影響する要因は、仕事内容、人間関係、組織との関係、組織の理解、性格タイプ等を含む。
仕事の内容は、「自分の技能が活用されていると感じているか」、「適性や意見が取り入れられていると感じているか」、「業務の仕事量や質に対し、精神的負担や時間的負担を感じているか」、「仕事のペースややり方等をコントロールできていると感じているか」、「仕事内容や役割に満足感を感じているか」等が、心と体と組織貢献度の状態に影響する。
人間関係は、上司や家族や友人とのコミュニケーションが円滑で、信頼関係や支援関係がある良好な関係性が築かれている状態かどうか等が、心と体と組織貢献度の状態に影響する。
組織との関係は、「組織に対する好意的な理解をしているか」、「仕事に対して満足感が高く意欲的であるか」、「組織の方針や戦略を信頼しているか」、「人事評価に満足しているか」、「報酬に満足しているか」、「ハラスメントが発生していないか」等が、心と体と組織貢献度の状態に影響する。
【0022】
組織の理解は、「組織体制や役割、ルール等をよく理解しているか」、「組織への関心も高い状態か」「組織の制度や福利厚生に対して理解しているか」、「自分が担っている役割や職責を理解しているか」等が、心と体と組織貢献度の状態に影響する。
第1の情報に含まれる性格タイプは、従業者W1Xの、性格又は価値観を複数のカテゴリに分類した分析の結果である。性格タイプは、従業者W1Xが、生まれつき備えている性格や素質に加えて、家族や生活環境、周囲との人間関係等、子どもから大人になる成長の過程で次第に形成されたパーソナリティである。性格タイプ分析の方法としては、例えば、ウェルビーイング診断、クリフトンストレングス、エニアグラム、16 Personalities性格診断、ディグラム、Myers Briggs Type Indicator(MBTI)等のような一般的に知られた性格分析を使用することができる。
ウェルビーイング診断とは、本人の個々の価値観や嗜好を踏まえた心身ともに充足している状態の傾向を把握するためものである。本人の個々の価値観や嗜好を踏まえた性格タイプによって、リラックス方法やストレス解消方法が異なる。そこで、性格又は価値観を複数のカテゴリに分類した性格タイプによって、推奨情報が異なる場合がある。
【0023】
従業者の健康診断は、企業等が、労働安全衛生法第66条に基づき、従業者W1Xに対して、実施した定期健康診断の結果を使用することができる。健康診断結果の項目は、労働安全衛生規則第43条に定められた項目を含むとよい。労働安全衛生規則第43条に定められた項目とは、既往歴及び業務歴の調査、自覚症状及び他覚症状の有無の検査、身体測定(身長、体重、腹囲)、視力及び聴力の検査、胸部エックス線検査及び喀痰検査、血圧の測定、貧血検査(血色素量及び赤血球数)、肝機能検査(GOT、GPT、γ―GTP)、血中脂質検査(LDLコレステロール,HDLコレステロール、血清トリグリセライド)、血糖検査、尿検査(尿中の糖及び蛋白の有無の検査)、心電図検査である。さらに、40歳から74歳の授業員に対して行う特定健診の検査項目及びアンケート結果等を含んでもよい。特定健診のアンケート項目としては、喫煙の有無、飲酒の頻度、自覚症状の有無、既往症等がある。自覚症状の質問には、胸の圧迫感の有無、息切れの有無、不眠の有無、肩こりや腰痛の有無、手足のしびれ感等の質問がある。
【0024】
参照情報は、過去に実施された従業者W1Xに対するアンケートから類推された従業者W1Xの人的資産に関係する第1の情報と、従業者W1Xが受診した健康診断の結果を示す第2の情報との組合せに関する。サーバ装置2は、第1の情報、第2の情報及び第3の情報の何れかを新たに受け付けた場合、従業者W1XのユーザID及び回答日時に対応付けて記憶部22に記憶する。参照情報に用いるデータは匿名化した上で、記憶することもできる。このような態様によれば、個人情報の流出リスクを減らすことができる。記憶された情報は次回以降の参照情報として用いることができる。
【0025】
告知情報は、従業者W1Xの情報と推奨情報を含む。サーバ装置2は、告知情報に、第1の情報及び第2の情報のうち、推奨情報と関係する情報を記載してもよい。サーバ装置2は、推奨情報の特定に第3の情報を用いた場合には、第3の情報のうち、推奨情報と関係する情報を記載してもよい。また、告知情報は、人材マネジメント担当者向け、と従業者向けで内容を変更してもよい。
【0026】
<ユーザ端末3>
図3は、ユーザ端末3のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。ユーザ端末3は、通信部31と、記憶部32と、制御部33と、表示部34と、入力部35とを備える。これらの構成要素がユーザ端末3の内部において通信バス30を介して電気的に接続されている。通信部31、記憶部32及び制御部33の説明は、サーバ装置2における各部の説明と同様のため省略する。
【0027】
(表示部34)
表示部34は、ユーザ端末3筐体に含まれるものであってもよいし、外付けされるものであってもよい。表示部34は、ユーザが操作可能なグラフィカルユーザインターフェース(Graphical User Interface:GUI)の画面を表示する。これは例えば、CRTディスプレイ、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ及びプラズマディスプレイ等の表示デバイスを、ユーザ端末3の種類に応じて使い分けて実施することが好ましい。
【0028】
(入力部35)
入力部35は、ユーザ端末3の筐体に含まれるものであってもよいし、外付けされるものであってもよい。例えば、入力部35は、表示部34と一体となってタッチパネルとして実施されてもよい。タッチパネルであれば、ユーザは、タップ操作、スワイプ操作等を入力することができる。もちろん、タッチパネルに代えて、スイッチボタン、マウス、QWERTYキーボード等を採用してもよい。すなわち、入力部35がユーザによってなされた操作入力を受け付ける。当該入力が命令信号として、通信バス30を介して制御部33に転送され、制御部33が必要に応じて所定の制御や演算を実行しうる。
【0029】
(ユーザ端末3に関する補足)
ユーザ端末3-1、ユーザ端末3-2、ユーザ端末3-3は、それぞれ従業者W11、W12、W13(各々を区別しない場合「従業者W1X」と言う)によって使用される端末であり、例えば、スマートフォンである。なお、各端末は、タブレット端末又はデスクトップパソコン等であってもよい。
【0030】
<担当者端末4>
図4は、担当者端末4のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。担当者端末4は、通信部41と、記憶部42と、制御部43と、表示部44と、入力部45とを備える。これらの構成要素が担当者端末4の内部において通信バス40を介して電気的に接続されている。担当者端末4は、性能及び細かな仕様等は異なっていてもよいが、ユーザ端末3と同様のハードウェア構成を備える。担当者端末4は、企業等の団体の人材マネジメント担当者によって使用される端末であり、例えば、ノートパソコンである。人材マネジメント担当者とは、事業所等において、従業者の心身の健康の向上及び維持を支援する役割、又は、人材を活用し組織の生産性を向上させる役割を割り当てられた者である。
【0031】
(担当者端末4に関する補足)
人材マネジメント担当者は、従業者の一員であってもよいし、産業医等外部の者であってもよい。産業医は、事業所等に所属する従業者が健康な状態で仕事に従事可能に、専門的立場から指導・助言を行う医師である。産業医以外の外部の者としては、医師、公認心理師、臨床心理士、メンタルケアカウンセラー又はキャリアカウンセラー等の資格を有するカウンセラーであってもよいし、資格がなくとも経験や資質がある専門家であってもよい。
【0032】
人材マネジメントの担当者への告知情報は、従業者W1Xが「高ストレス者でありフォローが必要であること」や「離職リスクが高いこと」、「社内でハラスメントを受けている可能性があること」、「社外でハラスメントを受けている可能性があること」等を伝えることもできる。
2.機能構成
【0033】
図5は、サーバ装置2の制御部23の機能構成の一例を示す図である。サーバ装置2の制御部23は、受付部231と、読出部232と、特定部233と、通知部234、表示制御部235とを備える。
【0034】
受付部231は、受付ステップとして、種々の情報を、ネットワーク11を介して外部から受け付けるように構成される。例えば、受付部231は、ユーザ端末3から従業者W1Xのアンケート回答を受け付け、担当者端末4から従業者W1Xの健康診断結果を受け付ける。受付部231は、ユーザ端末3から受け付けた従業者W1Xのアンケート回答から、従業者W1Xの人的資産に関係する第1の情報を生成し、記憶部22に記憶させる。受付部231は、担当者端末4から受け付けた従業者W1Xの健康診断結果を第2の情報として、記憶部22に記憶させる。受付部231は、担当者端末4から従業者の就業状況を示す第3の情報を受け付ける。
【0035】
読出部232は、読出ステップとして、記憶部22に記憶された種々の情報を、記憶部22のキャッシュメモリに書き出すことで、これらの情報を読み出すように構成される。例えば、読出部232は、記憶部22から、従業者に対するアンケートから類推された従業者W1Xの人的資産に関係する第1の情報と、従業者W1Xが受診した健康診断の結果を示す第2の情報とを読み出す。読出部232は、従業者の就業状況を示す第3の情報をさらに読み出してもよい。
【0036】
特定部233は、特定ステップとして、種々の情報を特定するように構成される。例えば、特定部233は、第1の情報及び第2の情報と、予め設定された参照情報とに基づいて、従業者に推奨される事項を含む推奨情報を特定する。参照情報は、過去の、複数の従業者の第1の情報及び第2の情報の組合せに関する情報である。推奨情報の特定手法としては、教師あり学習、教師なし学習、強化学習等任意のアルゴリズムのものを採用可能である。参照情報は、第1の情報及び第2の情報の組合せと、推奨情報との相関を予め機械学習させた学習済みモデルであってもよい。このような態様によれば、より精度高く推奨情報を提供することができる。
【0037】
また、特定部233は、第3の情報にさらに基づいて、推奨情報を特定してもよい。参照情報は、過去の、複数の従業者の第1の情報及び第2の情報及び第3の情報の組合せに関する情報である。好ましくは、参照情報は、第1の情報及び第2の情報及び第3の情報の組合せと、推奨情報との相関を予め機械学習させた学習済みモデルである。このような態様によれば、従業者の就業状況も含め、従業者の健康促進や組織の生産性向上のための推奨情報を提供することができる。なお、従業者の就業状況は、従業者W1Xの出退勤時刻、欠勤、遅刻の状況、残業時間等である。
【0038】
通知部234は、通知ステップとして、種々の情報を通知するように構成される。具体的には、通知部234は、特定された推奨情報を、第1のユーザ又は第1のユーザとは異なる第2のユーザに通知する。さらに、通知部234は、従業者の第1の情報及び第2の情報とともに、特定された推奨情報を、第1のユーザ又は第2のユーザに通知することができる。
【0039】
表示制御部235は、種々の情報、又はこれらを含む画面、画像等を、ユーザ端末3で視認可能な態様で表示させる。例えば、表示制御部235は、画面、静止画又は動画を含む画像、アイコン、メッセージ等の視覚情報を、ユーザ端末3の表示部34に表示させるように制御する。表示制御部235は、視覚情報をユーザ端末3の表示部34に表示させるためのレンダリング情報だけを生成してもよい。具体的には、表示制御部235は、ユーザ端末3の表示部34、又は担当者端末4の表示部44に第1のユーザ又は第1のユーザとは異なる第2のユーザの告知情報を表示させる。告知情報には、従業者情報と推奨情報が含まれる。第1の情報及び第2の情報のうち、推奨情報と関係する情報が記載させてもよい。さらに、第3の情報のうち、推奨情報と関係する情報を記載させてもよい。
【0040】
3.情報処理
本節では、前述した情報処理システム1において実行される情報処理について説明する。なお、当該情報処理は、アクティビティ図に図示されない、任意の例外処理を含みうる。例外処理は、当該情報処理の中断や、各処理の省略を含む。当該情報処理にて行われる選択又は入力は、ユーザによる操作に基づくものでも、ユーザの操作に依らず自動で行われるものでもよい。
【0041】
本実施形態に係る情報処理システム1は、情報処理方法の各ステップがなされるようにプログラムを実行可能な、少なくとも1つの制御部23(プロセッサ)を備える。換言すると、このプログラムは、少なくとも1つのコンピュータに、情報処理方法の各ステップを実行させる。
【0042】
サーバ装置2の読出部232は、従業者に対するアンケートから類推された従業者W1Xの人的資産に関係する第1の情報と、従業者が受診した健康診断の結果を示す第2の情報とを読み出す。特定部233は、第1の情報及び第2の情報と、予め設定された参照情報とに基づいて、従業者に推奨される事項を含む推奨情報を特定する。なお、参照情報は、過去の、複数の従業者の第1の情報及び前記第2の情報の組合せに関する情報である。このような態様によれば、従業者に対しては健康にいきいきと働くための推奨情報を提示でき、組織に対しては組織の生産性を向上させる推奨情報を提示することができる。さらに、第1の情報は、従業者の心と体と組織貢献度の状態を示す情報と、心と体と組織貢献度の状態に影響する要因の情報とを含む。このような態様によれば、従業者の心の状態とその要因と健康情報から推奨情報を提示することができる。
【0043】
図6は、情報処理システム1において実行される情報処理の流れの一例を示すアクティビティ図である。
図6の例では、担当者端末4の制御部43が、産業医から、従業者W1Xの健康診断結果を受け付けるところから説明する。
まず、アクティビティA101において、担当者端末4の制御部43は、従業者W1Xの健康診断結果を受け付ける。産業医が担当者端末4の入力部45を介して健康診断結果を入力してもよいし、企業内の人材マネジメントの担当者が、紙に出力された健康診断結果をスキャニングして担当者端末4の入力部45から取り込んでもよい。
担当者端末4の制御部43から健康診断結果を受け付けると、サーバ装置2の受付部231は、アクティビティA102において、健康診断の結果を示す第2の情報として、従業者W1XのユーザID及び回答日時に対応付けて記憶部22に記憶させる処理を実行する。
【0044】
次に、アクティビティA103において、サーバ装置2の受付部231は、担当者端末4から、従業者W1Xに対し人的資産に関係するアンケートの質問を送信する指示を受け付ける。サーバ装置2の表示制御部235は、通信部21を介して記憶部22に格納されているアンケートの質問をユーザ端末3に送信する。ユーザ端末3の表示部34は、アクティビティA104において、アンケートの質問を表示する。
【0045】
ユーザ端末3の制御部33は、アクティビティA105において、従業者W1Xから、アンケートの回答を受け付け、通信部31を介してサーバ装置2に送信する。サーバ装置2の制御部23は、アクティビティA106において、従業者W1Xのアンケートの回答から類推される従業者の人的資産に関係する第1の情報を生成し、受付部231がユーザID及び回答日時と紐づけて記憶部32に格納する。アクティビティA103からアクティビティA106までの動作が繰り返し行われ、従業者W1Xのアンケートへの回答が記憶部32に蓄積されていく。
【0046】
サーバ装置2の読出部232は、アクティビティA107において、記憶部22に記憶された第1の情報及び第2の情報を読み出し、これらを学習済みモデルである参照情報に入力する。好ましくは、参照情報は、過去の、複数の従業者の第1の情報及び第2の情報の組合せを予め学習させた学習済みモデルである。
サーバ装置2の受付部231は、アクティビティA108において、学習済みモデルから出力された推奨情報を受け付ける。
【0047】
アクティビティA109において、サーバ装置2の通知部234は、推奨データを元に、告知情報を生成する。告知情報は、従業者W1Xの情報と推奨情報とを含む。サーバ装置2の通知部234は、告知情報に、第1の情報及び第2の情報のうち、推奨情報と関係する情報を記載してもよい。人材マネジメント担当者向けの告知情報と従業者W1X向けの告知情報は同じでもよいし、それぞれにあわせたものとしてもよい。
アクティビティA110において、サーバ装置2の表示制御部235は、担当者端末4の表示部34に告知情報を表示させる。人材マネジメント担当者は、告知情報を確認し、組織及び従業者W1Xに対して、必要な措置を検討する。アクティビティA111において、担当者端末4の制御部43は、人材マネジメント担当者から、従業者W1Xに対して、告知情報を送信する指示を受け付けると、通信部41及びネットワーク11を介してサーバ装置2に指示を送信する。
サーバ装置2の受付部231は、アクティビティA112において、告知情報を従業者W1Xに送信する指示を受け付ける。サーバ装置2の表示制御部235は、アクティビティA113において、ユーザ端末3に告知情報を表示させる。
【0048】
第1の情報と、第2の情報とは、従業者毎に紐付けられており、さらに、通知部234は、特定された推奨情報を、第1のユーザ又は第1のユーザとは異なる第2のユーザに通知する。本実施形態において、第1のユーザは、従業者等であり、第2のユーザは人材マネジメント担当者である。このような態様によれば、それぞれの従業者に合わせた推奨情報を従業者W1X又は人材マネジメント担当者に提供することができる。従業者W1Xは、健康にいきいきと働くための推奨情報を得ることができる。また、人材マネジメント担当者は組織の生産性を向上させるための推奨情報を得ることができる。
【0049】
通知部234は、従業者の第1の情報及び第2の情報とともに、特定された推奨情報を、第1のユーザ又は第2のユーザに通知する。告知情報に、推奨情報のみでなく、第1の情報及び第2の情報が記載されることで、従業者W1X又は人材マネジメント担当者は、推奨情報の根拠を知ることができる。このような態様によれば、従業者W1Xは自ら推奨情報を元に改善を図ることができる。人材マネジメント担当者が推奨情報をもとに従業者W1Xに対するフォローをすることや組織の生産性向上を図ることができる。
【0050】
好ましくは、第1の情報と第2の情報は、継続的に取得可能な情報であるとよい。サーバ装置2の特定部233は、異なる日に実施された複数回の結果に基づく第1の情報及び第2の情報と、予め設定された参照情報とに基づいて、従業者W1Xに推奨される事項を含む推奨情報を特定する。好ましくは、参照情報は、過去の複数の従業者の第1及び第2の情報の組合せに関する、時系列での変化の情報を含む。また、第1の情報と第2の情報の取得は、異なる時期に実施されてもよいし、実施頻度が異なってもよい。第1の情報及び第2の情報の一方を、異なる日に実施された複数回の結果に基づく情報とすることもできる。このような態様によれば、サーバ装置2は、従業者W1Xの第1の情報及び第2の情報の変化に対する推奨情報を提供することができる。
【0051】
4.告知情報一例
図7は、表示部44に表示される告知情報の一例である。告知情報C1は、従業者W11の情報C11と推奨情報C14とを含む。従業者W11の情報は、従業者氏名、性別、生年月日、ユーザID、所属、職種等を含む。告知情報C1は、推奨情報C14とともに、推奨情報C14に関連する従業者の第1の情報C12と、推奨情報C14に関連する従業者の第2の情報C13とを含んでいる。
【0052】
図7の例においては、サーバ装置2の読出部232が、従業者に対するアンケートから類推された従業者の人的資産に関係する第1の情報と、従業者が受診した健康診断の結果を示す第2の情報とを読み出し、特定部233が、第1の情報及び第2の情報と、予め設定された参照情報とに基づいて、従業者に推奨される事項を含む推奨情報を特定している。告知情報C1は、このように特定される推奨情報に基づき、作成される。従業者W11に対するアンケートから類推された第1の情報は、心の状態が50点、体の状態が50点、組織貢献度の状態が90点である。従業者W11は、組織に貢献したいという意欲が高いものの、心の状態としては、精神的なストレスが高めであること、体の状態としては、疲労感が高めであることが示唆されている。従業者W11の第2の情報は、体重やBMIが高めという情報を含んでいる。第1の情報及び第2の情報を参照情報に入力した結果、「心身のストレスを解消するために、食べすぎている可能性があります。健康に働き続けるために、食べ過ぎには気をつけましょう。」との推奨情報C14が得られる。
【0053】
図8は、表示部44に表示される告知情報の一例である。告知情報C2は、従業者W12の情報C21と推奨情報C25とを含む。従業者W12の情報は、従業者氏名、性別、生年月日、ユーザID、所属、職種等を含む。告知情報C2は、推奨情報C25とともに、推奨情報C25に関連する従業者の第1の情報C22と、推奨情報C25に関連する従業者の第2の情報C23と、推奨情報C25に関連する従業者の第3の情報とを含む。
【0054】
図8の例において、サーバ装置2の読出部232が、従業者W12に対するアンケートから類推された従業者W12の人的資産に関係する第1の情報と、従業者W12が受診した健康診断の結果を示す第2の情報と、従業者W12の就業状況を示す第3の情報とを読み出し、特定部233が、第1~第3の情報と、予め設定された参照情報とに基づいて、従業者に推奨される事項を含む推奨情報を特定している。告知情報C2は、このように特定される推奨情報に基づき、作成されるものである。従業者W12に対するアンケートから類推された第1の情報は、心の状態が80点、体の状態が50点、組織貢献度の状態が80点である。従業者W12は、心の状態は良好だが、体の状態はなんとなくだるさを感じることや夜中目がさめることが多いこと等の不調が認められる。従業者W12の第2の情報は、肝機能の数値が高めであり、特定健診の問診票に記載によると飲酒量が多いという情報を含んでいる。従業者W12の第3の情報は、「外勤、顧客との懇親が多い」という情報を含んでいる。
第1~第3の情報を、過去の、複数の従業者の第1~第3の情報の組合せに関する情報を学習させた参照情報に入力した結果、「飲酒量が多すぎる可能性があります。飲酒はほどほどにしましょう。適切な飲酒に関する動画を用意してありますので、ご視聴ください。」との推奨情報C24が得られる。
【0055】
図9は、表示部44に表示される告知情報の一例である。告知情報C3は、従業者W13の情報C31と推奨情報C35とを含む。従業者W13の情報は、従業者氏名、性別、生年月日、ユーザID、所属、職種等を含む。告知情報C3は、推奨情報C35とともに、推奨情報C35に関連する従業者W13の第1の情報C32と、推奨情報C35に関連する従業者W13の第2の情報C33と、推奨情報C35に関連する従業者W13の第3の情報C34とを含む。
【0056】
図9の例において、第1の情報が更新される場合について示す。サーバ装置2の受付部231は、新たに、従業者W13に対するアンケートの回答を受け付ける。従業者W13に対するアンケートから類推された第1の情報は、心の状態が70点、体の状態が70点、組織貢献度の状態が70点である。サーバ装置2の記憶部22は、従業者W13に対応付けられた過去の記録を記憶しており、6ヶ月前の従業者W13の人的資産に関係する第1の情報を読み出す。第1の情報に関して、心の状態が90点、体の状態が90点、組織貢献度の状態が90点である。従業者W13の心の状態に関して、6ヶ月前と比較し、抑うつ感が上昇している傾向が認められる。従業者W13の体の状態に関して、疲労感が上昇していること及び睡眠時間が遅くなっていることが認められる。また、従業者W13の組織貢献度に関して、6ヶ月前と比較し、組織のために頑張ろうという意欲が下がっている。
【0057】
サーバ装置2の読出部232は、従業者W13が健康診断の結果を示す第2の情報と、従業者W13の就業状況を示す第3の情報とを読み出す。従業者W12の第2の情報は、6ヶ月前の健康診断結果であり、特に異常は認められないという情報を含んでいる。従業者W13の第3の情報は、「直近2ヶ月の残業時間が急増している」という情報を含んでいる。特定部233が、第1~第3の情報を、時系列での変化の情報を含む参照情報に入力した結果、「残業の増加により、疲れが溜まっている可能性があります。2ヶ月前から仕事が増え、残業も増えています。所属組織になんらかの問題がある可能性がありますので、調査することを推奨します。」との推奨情報C35が得られる。
図9の告知情報C3は、人材マネジメント担当者向けに組織の生産性を向上させる推奨情報が記載されているが、ユーザ端末3の表示部34に表示させる従業員向けの告知情報には、従業者がいきいき働くための推奨情報を記載させることもできる。このような態様によれば、人材マネジメント担当者は組織の生産性を向上させるための推奨情報を得ることができ、かつ、従業者は、健康にいきいきと働くための推奨情報を得ることができる。
【0058】
図10は、表示部44に表示される告知情報の一例である。告知情報C4は、従業者W11の情報C41と推奨情報C46とを含む。従業者W11の情報は、従業者氏名、性別、生年月日、ユーザID、所属、職種等を含む。告知情報C4は、推奨情報C46とともに、推奨情報C46に関連する従業者の第1の情報C42と、推奨情報C46に関連する従業者の第2の情報C44と、推奨情報C46に関連する従業者の第3の情報C45とを含む。さらに、告知情報C4は、推奨情報C46に関連する従業者の第1の情報として、ウェルビーイングタイプC43の記載を含む。
【0059】
図10の例においては、サーバ装置2の読出部232は、従業者W11に対するアンケートから類推された従業者W11の人的資産に関係する第1の情報と、従業者W11が受診した健康診断の結果を示す第2の情報と、従業者W11の就業状況を示す第3の情報とを読み出す。特定部233が、第1の情報及び第2の情報及び第3の情報を、参照情報に入力した結果、従業者W11に推奨される事項を含む推奨情報を特定している。サーバ装置2の受付部231は、従業者W11に対するアンケート第1の情報としては、従業者W11の性格分析も行っており、第1の情報は、W11の性格タイプを含んでいる。このような態様によれば、従業者の性格タイプと紐づけて推奨情報を提供することができる。
【0060】
従業者W11に対するアンケートから類推された第1の情報は、心の状態が50点、体の状態が50点、組織貢献度の状態が90点である。従業者W11は、組織に貢献したいという意欲が高いものの、心の状態としては、精神的なストレスが高めであること、体の状態としては、疲労感が高めであることが示唆されている。従業者W11の性格分析結果は、「脱ストレス・ウェルビーイングタイプ」に分類される。脱ストレス・ウェルビーイングタイプは、自分の時間を作ることでウェルビーイングが高まるタイプであり、他のタイプに比べて「有意義な時間」、「心身のケア」因子が高いタイプである。
また、従業者W11の第2の情報は、体重やBMIが高めという情報が含んでいる。従業者W11の第3の情報は、残業時間が長いこと、退勤時間が遅いことを含んでいる。
第1~第3の情報を、参照情報に入力した結果、「心身のストレスを解消するために、食べすぎている可能性があります。健康に働き続けるために、食べ過ぎには気をつけましょう。ステレス解消方法として、食事以外の方法にも目を向けましょう。例えば、リラックスのために、温泉につかってのんびり過ごす等もよいです」との推奨情報が得られている。
【0061】
5.その他
前述の実施形態に係る情報処理システム1に関して、以下のような態様を採用してもよい。
【0062】
サーバ装置2は、オンプレミス形態であってもよく、クラウド形態であってもよい。クラウド形態のサーバ装置2としては、例えば、SaaS(Software as a Service)、クラウドコンピューティングという形態で、上述の機能や処理を提供してもよい。
【0063】
本実施形態では、参照情報を学習済モデルとして説明したが、これに限らず、参照情報として、機械学習とは異なる手法で複数の情報を数学的に関係づけたなんらかの数理モデルが採用されてもよい。さらに、参照情報として、ルックアップテーブルやデータベース等のルールベースの情報が採用されてもよい。
【0064】
産業医によるスキャンに代え、サーバ装置2がネットワーク11を介して、健康診断を実施する病院のサーバ等(不図示)から健康診断の結果を取得可能に構成されてもよい。
【0065】
第1の情報又は予め設定された参照情報に、「心と体」、「仕事内容」、「人間関係」、「組織との関係」、「組織の理解」、「ESG(環境・社会・ガバナンス)」等の項目が選択、採用されてもよい。「仕事内容」は、さらに「仕事の適性」、「仕事の負担」、「仕事の裁量」、「仕事のやりがい」等を含んでもよい。「人間関係」は、「上司との関係」、「家族・友人との関係」、「同僚との関係」等を含んでもよい。「組織との関係」は、
「作業環境」、「組織への信頼」、「評価」、「組織への貢献」、「キャリア・育成」、「職場全体への関係性」等を含んでもよい。「組織の理解」は、「制度・福利厚生」、「目標・職責」等を含んでもよい。「ESG」は、「キャリア・育成」、「評価」、「働き方改革」、「健康経営・労働安全性」、「ダイバーシティ」等を含んでもよい。
【0066】
さらに、次に記載の各態様で提供されてもよい。
【0067】
(1)情報処理方法であって、次の各ステップを備え、読出ステップでは、従業者に対するアンケートから類推された前記従業者の人的資産に関係する第1の情報と、前記従業者が受診した健康診断の結果を示す第2の情報とを読み出し、特定ステップでは、前記第1の情報及び前記第2の情報と、予め設定された参照情報とに基づいて、前記従業者に推奨される事項を含む推奨情報を特定し、前記参照情報は、過去の、複数の従業者の前記第1の情報及び前記第2の情報の組合せに関する情報である、方法。
【0068】
このような態様によれば、従業者に対しては健康にいきいきと働くための推奨情報を特定することができ、組織に対しては組織の生産性を向上させる推奨情報を特定することができる。
【0069】
(2)上記(1)に記載の情報処理方法において、前記第1の情報は、前記従業者の心と体と組織貢献度の状態を示す情報と、前記心と体と組織貢献度の状態に影響する要因の情報とを含む、方法。
【0070】
このような態様によれば、従業者の心の状態とその要因と健康情報から推奨情報を提示することができる。
【0071】
(3)上記(1)又は(2)に記載の情報処理方法において、前記読出ステップでは、前記従業者の就業状況を示す第3の情報をさらに読み出し、前記特定ステップでは、前記第3の情報にさらに基づいて、前記推奨情報を特定する、方法。
【0072】
このような態様によれば、従業者の就業状況も含め、従業者の健康促進や組織の生産性向上のための推奨情報を提供することができる。
【0073】
(4)上記(1)から(3)の何れか1つに記載の情報処理方法において、前記第1の情報及び前記第2の情報の少なくとも一方は、異なる日に実施された複数回の結果に基づく情報であり、前記参照情報は、過去の複数の従業者の第1及び第2の情報の組合せに関する、時系列での変化の情報を含む、方法。
【0074】
このような態様によれば、従業者の第1の情報及び第2の情報の変化に対する推奨情報を提供することができる。
【0075】
(5)上記(1)から(4)の何れか1つに記載の情報処理方法において、前記第1の情報は、前記従業者の、性格又は価値観を複数のカテゴリに分類した分析の結果を含む、方法。
【0076】
このような態様によれば、従業者の性格タイプと紐づけて推奨情報を提供することができる。
【0077】
(6)上記(1)から(5)の何れか1つに記載の情報処理方法において、前記第1の情報と、前記第2の情報とは、前記従業者毎に紐付けられており、さらに、通知ステップでは、特定された前記推奨情報を、第1のユーザ又は前記第1のユーザとは異なる第2のユーザに通知する、方法。
【0078】
このような態様によれば、それぞれの従業者に合わせた推奨情報を提供することができる。従業者は、健康にいきいきと働くための、推奨情報を得ることができる。また、人材マネジメント担当者は組織の生産性を向上させるための、推奨情報を得ることができる。
【0079】
(7)上記(6)に記載の情報処理方法において、前記通知ステップでは、前記従業者の前記第1の情報及び前記第2の情報とともに、特定された前記推奨情報を、前記第1のユーザ又は前記第2のユーザに通知する、方法。
【0080】
このような態様によれば、人事担当者が推奨情報をもとに当該従業者に対するフォローをすることができる。
【0081】
(8)上記(1)から(7)までの何れか1つに記載の情報処理方法において、前記参照情報は、前記第1の情報及び前記第2の情報の組合せと、前記推奨情報との相関を予め機械学習させた学習済みモデルである、方法。
【0082】
このような態様によれば、より精度高く推奨情報を提供することができる。
【0083】
(9)プログラムであって、少なくとも1つのコンピュータに、上記(1)から(8)までの何れか1つに記載の情報処理方法の各ステップを実行させる、もの。
【0084】
このような態様によれば、従業者に対しては健康にいきいきと働くための推奨情報を提示することができ、組織に対しては組織の生産性を向上させる推奨情報を提示することができる。
【0085】
(10)情報処理システムであって、上記(1)から(8)までの何れか1つに記載の情報処理方法の各ステップがなされるようにプログラムを実行可能な、少なくとも1つのプロセッサを備える、もの。
【0086】
このような態様によれば、従業者に対しては健康にいきいきと働くための推奨情報を提示することができ、組織に対しては組織の生産性を向上させる推奨情報を提示することができる。
もちろん、この限りではない。
【0087】
最後に、本開示に係る種々の実施形態を説明したが、これらは、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。当該新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。当該実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0088】
1 :情報処理システム
2 :サーバ装置
3 :ユーザ端末
3-1 :ユーザ端末
3-2 :ユーザ端末
4 :担当者端末
11 :ネットワーク
20 :通信バス
21 :通信部
22 :記憶部
23 :制御部
30 :通信バス
31 :通信部
32 :記憶部
33 :制御部
34 :表示部
35 :入力部
40 :通信バス
41 :通信部
42 :記憶部
43 :制御部
44 :表示部
45 :入力部
231 :受付部
232 :読出部
233 :特定部
234 :通知部
235 :表示制御部
C1 :告知情報
C11 :従業者の情報
C12 :第1の情報
C13 :第2の情報
C14 :推奨情報
C2 :告知情報
C21 :従業者の情報
C22 :第1の情報
C23 :第2の情報
C24 :第3の情報
C25 :推奨情報
C3 :告知情報
C31 :従業者の情報
C32 :第1の情報
C33 :第2の情報
C34 :第3の情報
C35 :推奨情報
C4 :告知情報
C41 :従業者の情報
C42 :第1の情報
C43 :ウェルビーイングタイプ
C44 :第2の情報
C45 :第3の情報
C46 :推奨情報
W1X :従業者
W11 :従業者
W12 :従業者
W13 :従業者