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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024024417
(43)【公開日】2024-02-22
(54)【発明の名称】誘導システム
(51)【国際特許分類】
   G05D 1/43 20240101AFI20240215BHJP
【FI】
G05D1/02 P
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022127224
(22)【出願日】2022-08-09
(71)【出願人】
【識別番号】000232807
【氏名又は名称】三菱ロジスネクスト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000475
【氏名又は名称】弁理士法人みのり特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】卯路 彰
【テーマコード(参考)】
5H301
【Fターム(参考)】
5H301AA06
5H301BB14
5H301CC04
5H301CC07
5H301CC08
5H301CC10
5H301DD07
5H301DD17
5H301EE07
5H301KK02
5H301KK08
5H301KK18
5H301KK19
5H301QQ01
5H301QQ06
(57)【要約】
【課題】無人飛行体を使用して、有人搬送車を操作するオペレータが荷役位置までの距離及び方向等を直感的に認識することができるようにすること。
【解決手段】誘導システムSは、オペレータOが操作する有人搬送車1と、空中停止可能な複数台の無人飛行体2と、無人飛行体2を制御する管理装置3と、を備えている。管理装置3は、有人搬送車1の車両位置D1と荷役位置D2との間に誘導路4を生成する誘導路生成部31と、誘導路4上で無人飛行体2が空中停止位置を決定する配置決定部32と、を備えている。そして、無人飛行体2は、オペレータOが無人飛行体2による誘導を必要とするか不要とするかを判定する判定部24と、誘導を不要とするとき、無人飛行体2が誘導路4から離脱するよう制御する飛行制御部21と、を備えている。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
オペレータが操作する有人搬送車と、
空中停止可能な複数台の無人飛行体と、
前記無人飛行体を制御する管理装置と、
前記有人搬送車の車両位置と荷役位置との間に誘導路を生成する誘導路生成部と、
前記誘導路上で前記複数台の無人飛行体が空中停止する位置を決定する配置決定部と、
前記オペレータが前記無人飛行体による誘導を必要とするか不要とするかを判定する判定部と、を備え、
前記無人飛行体は、前記無人飛行体による誘導を不要とすると判定されたとき、前記無人飛行体が前記誘導路から離脱するよう制御する飛行制御部を備える
ことを特徴とする誘導システム。
【請求項2】
前記有人搬送車は、前記オペレータが前記無人飛行体による誘導を不要とする指示を前記判定部に送信する指示部を備える
ことを特徴する請求項1に記載の誘導システム。
【請求項3】
前記無人飛行体は、前記有人搬送車を撮影して撮影画像を前記判定部に送信する撮影部を備え、
前記判定部は、前記撮影画像に基づいて、前記オペレータが前記無人飛行体による誘導を必要とするか不要とするかを判定する
ことを特徴とする請求項1に記載の誘導システム。
【請求項4】
前記有人搬送車は、前記オペレータが前記無人飛行体による前記荷役位置までの誘導を不要と指示する指示ライトを備え、
前記判定部は、前記撮影部が前記指示ライトの点灯を撮影したとき、前記無人飛行体による誘導を不要とすると判定する
ことを特徴とする請求項3に記載の誘導システム。
【請求項5】
前記無人飛行体は、前記判定部の判定結果を他の前記無人飛行体の前記判定部に対して送受信する送受信部を備える
ことを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の誘導システム。
【請求項6】
前記配置決定部は、前記無人飛行体が前記荷役位置の高さに配置されるよう前記無人飛行体の空中停止位置を決定する
ことを特徴とする請求項1に記載の誘導システム。
【請求項7】
前記管理装置は、前記荷役位置の高さが棚の最下段の高さに相当するとき、前記無人飛行体が発光するように制御する
ことを特徴とする請求項6に記載の誘導システム。
【請求項8】
前記管理装置は、前記荷役位置の高さが棚の最下段の高さに相当するとき、前記無人飛行体が天井に向けて誘導画像を投影するように制御する投影指示部を備える
ことを特徴とする請求項6に記載の誘導システム。
【請求項9】
前記配置決定部は、前記有人搬送車を操作するオペレータの目に相当する高さと前記荷役位置の高さとを結ぶ直線上に前記無人飛行体の空中停止位置を決定する
ことを特徴とする請求項1に記載の誘導システム。
【請求項10】
前記管理装置は、前記無人飛行体が路面に向けて誘導画像を投影するように制御する投影指示部を備える
ことを特徴とする請求項9に記載の誘導システム。
【請求項11】
前記管理装置は、前記無人飛行体が天井に向けて誘導画像を投影するように制御する投影指示部を備え、
前記配置決定部は、前記有人搬送車と、前記有人搬送車に最も近い前記無人飛行体との間の距離が所定長さになるように前記無人飛行体を制御する
ことを特徴とする請求項1に記載の誘導システム。
【請求項12】
前記管理装置は、前記無人飛行体が路面又は天井に向けて誘導画像を投影するように制御する投影指示部を備え、
前記無人飛行体の高さに応じて前記誘導画像のピントを調整するフォーカス調整を行うように制御する
ことを特徴とする請求項1に記載の誘導システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有人搬送車と無人飛行体とを備えた誘導システムに関する。
【背景技術】
【0002】
工場や倉庫等の施設内で使用される有人搬送車(例えば、フォークリフト)は、オペレータが搭乗及び操作することで動作するように構成されている。フォークリフトは、フォークを使って荷物を荷取り及び荷置きの荷役を行うように構成されている。
【0003】
ところで、オペレータが操作する有人搬送車と、空中停止可能な一台の無人飛行体と、無人飛行体を制御する管理装置と、を備える誘導システムが知られている(特許文献1等参照)。
【0004】
誘導システムにおいて、無人飛行体は、路面に対して誘導画像を投影するプロジェクタを備えている。誘導画像は、例えば、特定した方向を指し示す矢印が表示されており、有人搬送車の前方の路面に投影される。これにより、有人搬送車を操作中のオペレータは、誘導画像を確認することで、荷役位置に誘導されるように構成されている。
【0005】
ところで、従来の誘導システムでは、一台の無人飛行体が投影する1つの誘導画像に基づいて有人搬送車を誘導するので、有人搬送車を操作するオペレータが荷役位置までの距離及び方向等を直感的に認識することが難しいという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2020-52629号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、有人搬送車を誘導するための無人飛行体を複数台使用して、有人搬送車を操作するオペレータが荷役位置までの距離及び方向等を直感的に認識することができる誘導システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明に係る誘導システムは、オペレータが操作する有人搬送車と、空中停止可能な複数台の無人飛行体と、無人飛行体を制御する管理装置と、を備えている。誘導システムは、有人搬送車の車両位置と荷役位置との間に誘導路を生成する誘導路生成部と、誘導路上で複数台の無人飛行体が空中停止位置を決定する配置決定部と、オペレータが無人飛行体による誘導を必要とするか不要とするかを判定する判定部と、を備えている。無人飛行体は、無人飛行体による誘導を不要とすると判定されたとき、無人飛行体が誘導路から離脱するよう制御する飛行制御部を備えている。
【0009】
有人搬送車は、オペレータが無人飛行体による誘導を不要とする指示を判定部に送信する指示部を備えることが望ましい。
【0010】
また、無人飛行体は、有人搬送車を撮影して撮影画像を判定部に送信する撮影部を備え、判定部は、撮影画像に基づいて、オペレータが無人飛行体による誘導を必要とするか不要とするかを判定してもよい。
【0011】
好ましくは、有人搬送車は、オペレータが無人飛行体による荷役位置までの誘導を不要と指示する指示ライトを備え、判定部は、撮影部が指示ライトの点灯を撮影したとき、誘導を不要とすると判定する。
【0012】
そして、無人飛行体は、判定部の判定結果を他の無人飛行体の判定部に対して送受信する送受信部を備えていてもよい。
【0013】
また、配置決定部は、無人飛行体が荷役位置の高さに配置されるよう無人飛行体の空中停止位置を決定してもよい。
【0014】
好ましくは、配置決定部は、無人飛行体が荷役位置の高さに配置されるよう無人飛行体の空中停止位置を決定する。また、管理装置は、荷役位置の高さが棚の最下段の高さに相当するとき、無人飛行体が発光するように制御する。
【0015】
好ましくは、配置決定部は、無人飛行体が荷役位置の高さに配置されるよう無人飛行体の空中停止位置を決定する。また、管理装置は、荷役位置の高さが棚の最下段の高さに相当するとき、無人飛行体が天井に向けて誘導画像を投影するように制御する投影指示部を備える。
【0016】
配置決定部は、有人搬送車を操作するオペレータの目の高さと荷役位置の高さとを結ぶ直線上に無人飛行体の空中停止位置を決定することが望ましい。
【0017】
配置決定部は、有人搬送車を操作するオペレータの目に相当する高さと荷役位置の高さとを結ぶ直線上に無人飛行体の空中停止位置を決定してもよい。さらに、管理装置は、無人飛行体が路面に向けて誘導画像を投影するように制御する投影指示部を備える。
【0018】
好ましくは、管理装置は、無人飛行体が天井に向けて誘導画像を投影するように制御する投影指示部を備えている。さらに、配置決定部は、有人搬送車と、有人搬送車に最も近い無人飛行体との間の距離が所定長さになるように無人飛行体を制御する。
【0019】
また、管理装置は、無人飛行体が路面又は天井に向けて誘導画像を投影するように制御する投影指示部を備えており、無人飛行体の高さに応じて誘導画像のピントを調整するフォーカス調整を行うように制御してもよい。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る誘導システムは、有人搬送車の車両位置と荷役位置との間で生成された誘導路上に複数台の無人飛行体を空中停止することによって、有人搬送車を操作するオペレータが荷役位置までの距離、位置及び方向等を直感的に認識することができる。
【0021】
さらに、誘導システムは、オペレータが無人飛行体による荷役位置までの誘導を不要とするとき、無人飛行体が誘導路から離脱するよう制御することによって、不必要な無人飛行体の消費電力や部品の消耗を減らすことができる。その結果、無人飛行体による電力コスト、メンテナンスコスト、交換コスト等、様々なコストを削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】誘導システムを示す斜視図。
図2】誘導システムを示す側面図。
図3】誘導システムを示す平面図。
図4】誘導システムを示すブロック図。
図5】他の実施形態1の誘導システムを示す側面図。
図6】他の実施形態2の誘導システムを示す側面図。
図7】他の実施形態3の誘導システムを示す側面図。
図8】他の実施形態4の誘導システムを示す側面図。
図9】他の実施形態5の誘導システムを示す側面図。
図10】他の実施形態6の誘導システムを示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面に基づいて、本発明に係る誘導システムの実施形態を説明する。
【0024】
<第1実施形態>
図1図4のとおり、誘導システムSは、オペレータOが操作する有人搬送車1を備える。有人搬送車1は、オペレータOが操作することで動作するように構成されている。本実施形態では、有人搬送車1は、カウンタバランス式のフォークリフトであって、オペレータOが操作することで、車体の走行、及びフォークの昇降を行うことができるように構成されている。
【0025】
誘導システムSは、工場や倉庫等の施設内に設置された複数の棚Rを備えている。棚Rは、高さ方向に複数の段部を備えており、段部の所定位置に荷物Lを収納できるように構成されている。有人搬送車1は、棚Rの所定位置に対して荷物Lを荷置き及び荷取りして荷役を行う。棚Rは、有人搬送車1が走行及び荷役を行うことができるように、所定幅の間隔を置いて配置されており、各棚Rの間に通路Pが形成されている(図3)。
【0026】
誘導システムSは、空中停止可能な複数台の無人飛行体2を備える。無人飛行体2は、ドローンと呼ばれており、複数本のアームの各先端側に設けられた回転翼の回転によって、所定の空中停止位置まで飛行すると共に、所定の空中停止位置でホバリング可能なように構成されている。
【0027】
誘導システムSは、無人飛行体2を制御するための管理装置3を備える(図4)。管理装置3は、記憶部30を備えている。記憶部30は、施設内に設置された棚R及び通路P、施設内に配置された荷物L等によって構成されるマップMが記憶されている。
【0028】
さらに、記憶部30は、有人搬送車1によって行われるタスクが荷役スケジュールJとして記憶されている。即ち、荷役スケジュールJは、所定の棚Rの所定場所から荷物Lを荷取りするタスクT1、所定の棚Rの所定場所に荷物Lを荷置きするタスクT2、出荷場所に荷物Lを荷置きするタスクT3、入荷場所から荷物Lを荷取りするタスクT4等の複数のタスクTが、所定の順序に従って設定されている。また、荷役タスクTは、荷物Lの位置情報、荷物Lに対する荷役(荷取り又は荷置き)情報が含まれている。
【0029】
管理装置3は、荷役指示部34を備えており、荷役指示部34が、記憶部30から送信される荷役スケジュールJのタスクTを有人搬送車1の運転席に設けられた表示部11に表示するように構成されている。
【0030】
表示部11は、例えば、タッチパネルディスプレイで構成されている。荷役指示部34は、有人搬送車1が行うべきタスクTを表示部11に表示する。オペレータOは、表示部11に表示されたタスクTに従って、有人搬送車1を操作して荷役を行う。タスクTが終了すると、オペレータOは、表示部11に表示された終了ボタンを押して、終了信号が荷役指示部34に送信される。荷役指示部34は、終了信号を受信すると、次に有人搬送車1が行うべきタスクTを表示部11に表示するように構成されている。
【0031】
有人搬送車1は、位置検出部10を備えている。位置検出部10は、レーザーセンサ、GPSセンサ、電磁誘導センサ等で構成されている。位置検出部10は、有人搬送車1の車両位置D1を検出するように構成されている。
【0032】
管理装置3は、誘導路生成部31を備えている。誘導路生成部31は、位置検出部10から送信される有人搬送車1の車両位置D1の情報と、記憶部30から送信される施設マップMと、記憶部30から送信される荷役スケジュールJのタスクTとに基づいて、有人搬送車1の車両位置D1と荷役位置D2との間の誘導路4を生成する。荷役位置D2は、タスクTにおいて有人搬送車1が荷取り及び荷置きする通路P上の位置である(図3)。
【0033】
図3のとおり、誘導路生成部31は、例えば、車両位置D1と荷役位置D2とを通路P上で結ぶ誘導路4を生成するように構成されている。誘導路4は、例えば、有人搬送車1の走行距離が最短となるよう設定される。本実施形態では、図3のとおり、誘導路4は、第1直線部41、屈曲部40、第2直線部42で構成されている。
【0034】
無人飛行体2は、位置検出部20を備えている。位置検出部20は、GPSセンサ、ジャイロセンサ、超音波センサ、レーザーセンサ、気圧センサ、コンパス、加速度センサ等で構成されており、無人飛行体2の位置を検出することができる。
【0035】
無人飛行体2は、飛行制御部21を備えている。飛行制御部21は、回転翼の回転を制御するように構成されている。無人飛行体2は、位置検出部20の検出結果と飛行制御部21の制御とに基づいて、誘導路4上の所定の空中停止位置まで飛行して、空中停止位置で空中停止するようにホバリングすることができる。
【0036】
配置決定部32は、さらに、誘導路4上で無人飛行体2がホバリングする空中停止位置を決定するよう構成されている。図3のとおり、本実施形態では、無人飛行体2は、誘導路4の第1直線部41及び第2直線部42上で等間隔に空中停止してホバリングすると共に、誘導路4の屈曲部40上に配置される屈曲位置D3、誘導路4上に配置される荷役位置D2で空中停止してホバリングする。
【0037】
誘導路4上の屈曲位置D3は、有人搬送車1が曲がる重要な位置であることから、屈曲位置D3に無人飛行体2が空中停止してホバリングすることで、オペレータOは、重要な位置である屈曲位置D3を素早く把握することができる。また、誘導路4上の荷役位置D2は、有人搬送車1が荷役作業を行う重要な位置であることから、荷役位置D2に無人飛行体2が空中停止してホバリングすることで、オペレータOは、重要な位置である荷役位置D2を素早く把握することができる。
【0038】
無人飛行体2は、記憶部22を備えている。記憶部22は、誘導画像200を記憶している。誘導画像200は、例えば、有人搬送車1を荷役位置D2に誘導するための矢印等で構成されており、荷役位置D2に応じて矢印の向きが異なるように構成されている(図3)。
【0039】
無人飛行体2は、投影部23を備えている。投影部23は、例えば、プロジェクタ等で構成されており、施設の通路Pに、記憶部22に記憶された誘導画像200を投影することができる(図1図3)。
【0040】
管理装置3は、投影指示部33を備えている。投影指示部33は、誘導路生成部31からの誘導路4に応じて、路面Pに投影すべき誘導画像200を決定して、無人飛行体2の投影部23に投影の指示を送るよう構成されている。
【0041】
オペレータOは、通路P上に投影された誘導画像200を目視し、誘導画像200に沿って有人搬送車1を荷役位置D2まで走行して、表示部11に表示されたタスクTに従って有人搬送車1を操作して荷物Lに対して荷役作業を行うことができる。
【0042】
誘導システムSでは、有人搬送車1の車両位置D1と荷役位置D2との間で生成された誘導路4上に複数台の無人飛行体2を空中停止してホバリングすることによって、有人搬送車1を操作するオペレータOは、荷役位置D2までの距離及び方向等を直感的に認識することができる。さらに、誘導システムSは、無人飛行体2の台数を誘導路4の距離に応じて決定することによって、必要かつ十分な台数の無人飛行体2を使用することができる。
【0043】
一方、所定のオペレータOは、無人飛行体2による誘導が不要なことがある。例えば、同一の倉庫等の施設で長時間にわたって荷役作業を行っている熟練のオペレータOは、無人飛行体2による誘導がなくても、表示部11に表示されたタスクTのみで、荷役位置D2までの位置、距離及び方向等を容易に把握することができることがあり、その場合、無人飛行体2による誘導が不要なことがある。
【0044】
そこで、図4の通り、無人飛行体2は、オペレータOが無人飛行体2による誘導を必要とするか不要とするかを判定する判定部24を備えている。なお、判定部24は、管理装置3に設けられていてもよい。そして、無人飛行体2による誘導を不要とするとき、無人飛行体2は、飛行制御部21によって、誘導路4から離脱するように制御されるようになっている。離脱した無人飛行体2は、例えば、所定の待機場所で待機するようになっている。
【0045】
無人飛行体2が誘導路4から離脱するよう制御することによって、不必要な無人飛行体2の消費電力や部品の消耗を減らすことができる。その結果、無人飛行体2による電力コスト、メンテナンスコスト、交換コスト等、様々なコストを削減することができる。
【0046】
有人搬送車1は、オペレータOが無人飛行体2による誘導を不要とする指示を判定部24に送信する指示部12を備えている。指示部12は、例えば、タッチパネル式の表示部11に表示されるタッチ式ボタン、運転席に設けられた機械式ボタン等からなる。オペレータOが指示部12を操作することで、判定部24は、オペレータOが無人飛行体2による誘導を不要とする指示信号を飛行制御部21に送信するように構成されている。
【0047】
無人飛行体2は、さらに、有人搬送車1を撮影する撮影部25を備えていてもよい。そして、撮影部25は、撮影画像を判定部24に送信するように構成されている。判定部24は、撮影画像に基づいて、オペレータOが無人飛行体2による誘導を必要とするか不要とするかを判定するようになっていてもよい。
【0048】
有人搬送車1を運転するオペレータOや、有人搬送車1が、所定の動作で無人飛行体2に合図をすることで、その動作を撮影部25が撮影して、無人飛行体2が誘導路4から離脱するようになっている。
【0049】
例えば、有人搬送車1を運転するオペレータOが、手を振るなど通常の運転では行わない所定の動作を行った場合、判定部24が、オペレータOの動作が撮影された撮影画像に基づいて、予め記憶されたアルゴリズムによって、オペレータOが無人飛行体2による誘導を不要と判定するようになっている。
【0050】
また、有人搬送車1の前方に指示ライト13が設けられており(図2)、オペレータOが指示ライト13を点灯させた場合、判定部24が、指示ライト13の点灯が撮影された撮影画像に基づいて、予め記憶されたアルゴリズムによって、オペレータOが無人飛行体2による誘導を不要と判定するようになっていてもよい。
【0051】
その他の変形例として、例えば、オペレータOが、有人搬送車1に設けられたヘッドライト14(図2)を所定間隔で複数回だけ点滅させた場合、判定部24が、ヘッドライト14の点滅が撮影された撮影画像に基づいて、予め記憶されたアルゴリズムによって、オペレータOが無人飛行体2による誘導を不要と判定するようになっていてもよい。
【0052】
そして、判定部24が熟練のオペレータOの顔を記憶しており、熟練のオペレータOが有人搬送車1を運転する場合、判定部24が、オペレータOの顔が撮影された撮影画像に基づいて、予め記憶されたアルゴリズムによって、オペレータOが無人飛行体2による誘導を不要と判定するようになっている。
【0053】
また、例えば、判定部24が熟練のオペレータOが着用する服の色、形状、目印等を記憶しており、熟練のオペレータOが有人搬送車1を運転する場合、判定部24が、オペレータOの服等が撮影された撮影画像に基づいて、予め記憶されたアルゴリズムによって、オペレータOが無人飛行体2による誘導を不要と判定するようになっている。
【0054】
さらに、その他の誘導システムSの実施例として、所定の無人飛行体2が、判定部24の判定結果を、他の無人飛行体2の判定部24に対して送受信する送受信部26を備えていてもよい。無人飛行体2は、無人飛行体2が空中停止する位置や有人搬送車1の荷物等によって、撮影部25で撮影できる場所や範囲が異なるので、所定の無人飛行体2しか有人搬送車1やオペレータOを撮影できないことがある。その場合でも、所定の無人飛行体2だけではなく、他の無人飛行体2も誘導路4から離脱するように、所定の無人飛行体2の送受信部26が、判定部24の判定結果を、他の無人飛行体2の判定部24に対して送受信できるようになっている。
【0055】
また、無人飛行体2は、マイク部27を備えていてもよい。マイク部27は、音波信号を判定部24に送信するように構成されている。そして、判定部24は、音波信号に基づいて、オペレータOが無人飛行体2による誘導を必要とするか不要とするかを判定するようになっている。
【0056】
例えば、有人搬送車1に設けられたブザー(不図示)で所定の音を発したり、オペレータOが所定の言葉を発したりした場合、判定部24が、発生音の信号に基づいて、予め記憶されたアルゴリズムによって、オペレータOが無人飛行体2による誘導を不要と判定するようになっている。
【0057】
指示部12や撮影部25等を備えている誘導システムSの実施例について説明したが、いずれか1つの実施例を備えていてもよいし、指示部12及び撮影部25を備えている等、複数の実施例を組み合わせて備えていてもよい。
【0058】
<他の実施形態>
図5図10に基づいて、誘導システムSにおける他の実施形態を説明する。
なお、上記第1実施形態と同様の構成については、重複説明を避けるために省略することがある。
【0059】
(実施形態1)
図5のとおり、管理装置3の配置決定部32は、無人飛行体2が荷役位置D2の高さに配置されるよう無人飛行体2の空中停止位置を決定するよう構成されてもよい。即ち、管理装置3の記憶部30は、荷役スケジュールJの各タスクTの荷役位置D2の高さ位置が記憶されている。荷役位置D2の高さ位置とは、各タスクTで荷役される荷物Lの高さである。有人搬送車1によって、荷役位置D2の高さ位置で荷物Lに対して荷取り・荷置きの荷役が行われる。配置決定部32は、各タスクTの荷役位置D2の高さ位置に相当する高さで無人飛行体2がホバリングして空中停止するように構成されている。
【0060】
有人搬送車1を操作するオペレータOは、無人飛行体2から通路P上に投影される誘導画像200に沿って有人搬送車1を走行するが、無人飛行体2の空中停止位置を目視で確認するだけで、荷役を行うべき荷物Lの高さを直感的に認識することができる。
【0061】
(実施形態2)
図6のとおり、管理装置3の配置決定部32は、無人飛行体2が荷役位置D2の高さ位置に配置されるよう無人飛行体2の空中停止位置を決定するよう構成されてもよい。そして、無人飛行体2は、発光装置(不図示)を備えており、オペレータOが無人飛行体2の位置を容易に認識できるように発光するよう構成されている。
【0062】
管理装置3の配置決定部32は、荷役位置D2の高さ位置が棚Rの最下段の高さに相当するとき、無人飛行体2が棚Rの最下段の高さに配置されるよう無人飛行体2の空中停止位置を決定する。従って、無人飛行体2は通路Pに近接する低い位置で空中停止しているため、通路P上に誘導画像200が投影されても、オペレータOが認識することが難しいことから、無人飛行体2が発光して、その結果、オペレータOが誘導路4を確実に認識することができる。
【0063】
有人搬送車1が走行して無人飛行体2に接近すると、無人飛行体2は、有人搬送車1に衝突しないよう回避飛行するよう構成されている。
【0064】
有人搬送車1を操作するオペレータOは、無人飛行体2に沿って有人搬送車1を走行することで荷役位置D2に到達できるが、無人飛行体2の空中停止位置を目視で確認するだけで、荷役を行うべき荷物Lの高さを直感的に認識することができる。
【0065】
(実施形態3)
図7のとおり、管理装置3の配置決定部32は、無人飛行体2が荷役位置D2の高さ位置に配置されるよう無人飛行体2の空中停止位置を決定するよう構成されてもよい。そして、無人飛行体2は、投影部23を備えており、投影部23は、施設の天井Cに誘導画像200を投影することができるよう構成されている。
【0066】
管理装置3の配置決定部32は、荷役位置D2の高さ位置が棚Rの最下段の高さに相当するとき、無人飛行体2が棚Rの最下段の高さに配置されるよう無人飛行体2の空中停止位置を決定する。従って、無人飛行体2は通路Pに近接して低い位置で空中停止しているため、通路P上に誘導画像200が投影されても、オペレータOは認識することが難しいことから、無人飛行体2が天井C上に誘導画像200を投影することで、オペレータOが誘導路4を確実に認識することができる。
【0067】
有人搬送車1が走行して無人飛行体2に接近すると、無人飛行体2は、有人搬送車1に衝突しないよう回避飛行するよう構成されている。
【0068】
有人搬送車1を操作するオペレータOは、無人飛行体2から天井C上に投影される誘導画像200に沿って有人搬送車1を走行することで荷役位置D2に到達できるが、無人飛行体2の空中停止位置を目視で確認するだけで、荷役を行うべき荷物Lの高さを直感的に認識することができる。
【0069】
(実施形態4)
図8のとおり、管理装置3の配置決定部32は、有人搬送車1を操作するオペレータOの目の高さと荷役位置D2の高さ位置とを結ぶ直線OS上に無人飛行体2の空中停止位置を決定するよう構成されてもよい。そして、無人飛行体2は、発光装置(不図示)を備えており、オペレータOが無人飛行体2の位置を容易に認識できるように発光するよう構成されている。
【0070】
有人搬送車1を操作するオペレータOは、無人飛行体2に沿って有人搬送車1を走行することで荷役位置D2に到達できるが、無人飛行体2の空中停止位置を目視で確認するだけで、荷役を行うべき荷物Lの高さを直感的に認識することができる。
【0071】
(実施形態5)
図9のとおり、管理装置3の配置決定部32は、有人搬送車1を操作するオペレータOの目の高さと荷役位置D2の高さ位置とを結ぶ直線OS上に無人飛行体2の空中停止位置を決定するよう構成されてもよい。そして、無人飛行体2は、投影部23を備えており、投影部23は、施設の通路Pに誘導画像200を投影することができるよう構成されている。
【0072】
有人搬送車1を操作するオペレータOは、無人飛行体2に沿って有人搬送車1を走行することで荷役位置D2に到達できるが、無人飛行体2の空中停止位置を目視で確認するだけで、荷役を行うべき荷物Lの高さを直感的に認識することができる。
【0073】
また、オペレータOは、無人飛行体2に沿って有人搬送車1を走行することができるので、誘導画像200は、荷役位置D2の方向を指す矢印で構成する必要がなく、その他の、例えば、荷役されるべき荷物Lの種類等を表示することができる。従って、オペレータOは、荷物Lの種類等に応じて、荷取り及び荷置きを行うための準備ができる。
【0074】
(実施形態6)
図10のとおり、管理装置3の配置決定部32は、無人飛行体2が荷役位置D2の高さ位置に配置されるよう無人飛行体2の空中停止位置を決定するよう構成されてもよい。そして、無人飛行体2は、投影部23を備えており、投影部23は、施設の天井Cに誘導画像200を投影することができるよう構成されている。
【0075】
管理装置3の配置決定部32は、荷役位置D2の高さ位置が棚Rの最下段の高さに相当するとき、無人飛行体2が棚Rの最下段の高さに配置されるよう無人飛行体2の空中停止位置を決定する。従って、無人飛行体2は通路Pに近接した低い位置であるため、通路P上に誘導画像200が投影されても、オペレータOが認識することが難しいことから、投影指示部33は、無人飛行体2が天井C上に誘導画像200を投影するように制御する。
【0076】
さらに、有人搬送車1と、有人搬送車1に最も近い無人飛行体2との間の距離Xが短いと、有人搬送車1を操作するオペレータOの視線が大きな角度で上方に向いて危険であることから、配置決定部32は、有人搬送車1と、有人搬送車1に最も近い誘導画像200との間の距離Xが所定長さとなって、オペレータOの視線が大きな角度で上方を向かないよう制御する。
【0077】
距離Xは、予め設定された一定長さでも良く、例えば、有人搬送車1の速度が所定速度より速いときは長くなり、所定速度より遅いときは短くなる等、有人搬送車1の速度に応じて変更されても良い。それによって、有人搬送車1を操作するオペレータOの視線が小さな角度で上方に向くので、有人搬送車1を安全に走行することができる。
【0078】
有人搬送車1が走行して無人飛行体2に接近すると、無人飛行体2は、有人搬送車1に衝突しないよう回避飛行するよう構成されている。
【0079】
有人搬送車1を操作するオペレータOは、無人飛行体2から天井C上に投影される誘導画像200に沿って有人搬送車1を走行するが、無人飛行体2の空中停止位置を目視で確認するだけで、荷役を行うべき荷物Lの高さを直感的に認識することができる。
【0080】
(実施形態7)
管理装置3の投影指示部33は、無人飛行体2が路面P又は天井Cに向けて誘導画像200を投影するときに、無人飛行体2の空中停止位置の高さに応じて、誘導画像200が路面P又は天井Cに鮮明に投影されるようピントを調整するフォーカス調整を行うように制御してもよい。
【0081】
フォーカス調整によって誘導画像200が路面P又は天井Cに鮮明に投影されることで、オペレータOは、誘導画像200を確実に認識することでき、それにより、有人搬送車1を適切に走行及び操作することができる。
【0082】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明の構成はこれらの実施形態に限定されない。例えば、以下のように変更することもできる。
【0083】
上記実施形態では、無人飛行体2は、通路P又は天井C上に誘導画像200を投影したり、自機を発光したりして、オペレータOの視覚によって誘導路4が認識されるように構成されているが、音声、ブザー、チャイム等の音を発する音声発生部(不図示)を備えており、オペレータOの聴覚によって誘導路4が認識されるように構成されてもよい。音声発生部は、例えば、「15m先を左折です」、「30m先、目的地です」、「この先、障害物あり。ご注意ください」等の音声を発するよう構成されている。
【0084】
本発明の効果について説明する。
【0085】
誘導システムSでは、有人搬送車1の車両位置D1と荷役位置D2との間で生成された誘導路4上に複数台の無人飛行体2を空中停止して空中停止することによって、有人搬送車1を操作するオペレータOが荷役位置D2までの距離、位置及び方向等を直感的に認識することができる。
【0086】
さらに、誘導システムSは、オペレータOが無人飛行体2による荷役位置までの誘導を不要とするとき、無人飛行体2が誘導路4から離脱するよう制御することによって、不必要な無人飛行体2の消費電力や部品の消耗を減らすことができる。その結果、無人飛行体2による電力コスト、メンテナンスコスト、交換コスト等、様々なコストを削減することができるようになっている。
【符号の説明】
【0087】
O オペレータ
1 有人搬送車
2 無人飛行体
3 管理装置
4 誘導路
S 誘導システム
12 指示部
13 指示ライト
24 判定部
25 撮影部
26 送受信部
31 誘導路生成部
32 配置決定部
33 撮影指示部
D1 車両位置
D2 荷役位置
D3 屈曲位置
R 棚
P 路面
C 天井
200 誘導画像
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10