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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024024421
(43)【公開日】2024-02-22
(54)【発明の名称】チャンバ及びリークテスタ
(51)【国際特許分類】
   G01M 3/32 20060101AFI20240215BHJP
【FI】
G01M3/32 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022127229
(22)【出願日】2022-08-09
(71)【出願人】
【識別番号】594123387
【氏名又は名称】ヤマハファインテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100159499
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 義典
(74)【代理人】
【識別番号】100120329
【弁理士】
【氏名又は名称】天野 一規
(72)【発明者】
【氏名】石井 徹
(72)【発明者】
【氏名】山本 稔
(72)【発明者】
【氏名】本間 大介
(72)【発明者】
【氏名】藤田 幸正
【テーマコード(参考)】
2G067
【Fターム(参考)】
2G067AA44
2G067BB02
2G067BB03
2G067BB12
2G067BB26
2G067CC13
2G067DD18
(57)【要約】
【課題】本開示は、異なるサイズのワークに対してリークテストの検査条件の管理を容易に行うことが可能なチャンバを提供することを目的とする。
【解決手段】本開示の一態様に係るチャンバ10は、リークテスタ用チャンバであって、ワーク100を収容する主チャンバ20と、主チャンバ20と連通する副チャンバ30と、副チャンバ30の容積を変更する容積変更機構40とを備え、容積変更機構40は、異なるサイズのワーク100に対して、主チャンバ20と副チャンバ30とにおけるワーク100の外側の空間の合計容積が一定になるように、副チャンバ30の容積を変更する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リークテスタ用チャンバであって、
ワークを収容する主チャンバと、
前記主チャンバと連通する副チャンバと、
前記副チャンバの容積を変更する容積変更機構と
を備え、
前記容積変更機構は、異なるサイズの前記ワークに対して、前記主チャンバと前記副チャンバとにおけるワークの外側の空間の合計容積が一定になるように、前記副チャンバの容積を変更する、チャンバ。
【請求項2】
前記副チャンバは、リークディテクタに連通する開口を有する請求項1に記載のチャンバ。
【請求項3】
前記容積変更機構は、前記ワークのサイズデータを基に前記副チャンバの容積を制御する請求項1又は請求項2に記載のチャンバ。
【請求項4】
前記容積変更機構は、前記副チャンバ内を進退するピストンを有する請求項1又は請求項2に記載のチャンバ。
【請求項5】
前記容積変更機構は、前記ピストンの位置を制御する数値制御アクチュエータを有する請求項4に記載のチャンバ。
【請求項6】
前記副チャンバは筒状部分を有しており、
前記ピストンは、前記筒状部分の内周面に対して気密に配置され、かつ前記筒状部分の軸方向に進退する請求項4に記載のチャンバ。
【請求項7】
前記副チャンバは、前記主チャンバと連通する1又は複数の室を有しており、
前記容積変更機構は、前記室への流体の浸入を遮断可能なバルブを有する請求項1又は請求項2に記載のチャンバ。
【請求項8】
前記ワークを前記主チャンバ内に位置決めする位置決め機構をさらに備える請求項1又は請求項2に記載のチャンバ。
【請求項9】
請求項1に記載のチャンバを備えるリークテスタ。
【請求項10】
請求項2に記載のチャンバと、
前記副チャンバに連通するリークディテクタと
を備えるリークテスタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、チャンバ及びリークテスタに関する。
【背景技術】
【0002】
ワークをチャンバ内に収容したうえで、このワークのガス漏れの有無を検査するリークテスタが知られている。このチャンバとして、異なるサイズのワークを収容可能なものが提案されている(特許文献1参照)。特許文献1には、チャンバの大きさを最大サイズのワークが入る寸法にすることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-139456号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者らは、異なるサイズのワークをチャンバ内に収容すると、ワークを収容している空間のワーク外の容積が変わることで、単位時間あたりのガスの漏れ量が変化し、検査条件を管理し難いことを知得した。
【0005】
本開示は、このような事情に基づいてなされたものであり、異なるサイズのワークに対する検査条件の管理を容易に行うことが可能なチャンバを提供することを目的とする。
【0006】
なお、特許文献1には、チャンバ内からの余分な排気量を低減することで真空ポンプの容量を低減できるように、ワークの大きさにあわせてチャンバ内の空間の容積を小さくすることが記載されている。しかしながら、特許文献1には、本開示の課題は記載されていない。また、特許文献1に記載されている構成によると、チャンバ内の余分な空間を小さくすることはできても、異なるサイズのワークに対して、ワークを収容している空間のワーク外の容積を一定に制御することは容易ではない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本開示の一態様に係るチャンバは、リークテスタ用チャンバであって、ワークを収容する主チャンバと、前記主チャンバと連通する副チャンバと、前記副チャンバの容積を変更する容積変更機構とを備え、前記容積変更機構は、異なるサイズの前記ワークに対して、前記主チャンバと前記副チャンバとにおけるワークの外側の空間の合計容積が一定になるように、前記副チャンバの容積を変更する。
【0008】
(2)前記(1)において、前記副チャンバは、リークディテクタに連通する開口を有するとよい。
【0009】
(3)前記(1)又は(2)において、前記容積変更機構は、前記ワークのサイズデータを基に前記副チャンバの容積を制御するとよい。
【0010】
(4)前記(1)から(3)のいずれかにおいて、前記容積変更機構は、前記副チャンバ内を進退するピストンを有するとよい。
【0011】
(5)前記(4)において、前記容積変更機構は、前記ピストンの位置を制御する数値制御アクチュエータを有するとよい。
【0012】
(6)前記(4)又は(5)において、前記副チャンバは筒状部分を有しており、前記ピストンは、前記筒状部分の内周面に対して気密に配置され、かつ前記筒状部分の軸方向に進退するとよい。
【0013】
(7)前記(1)から(3)のいずれかにおいて、前記副チャンバは、前記主チャンバと連通する1又は複数の室を有しており、前記容積変更機構は、前記室への流体の浸入を遮断可能なバルブを有するとよい。
【0014】
(8)前記(1)から(7)のいずれかにおいて、前記ワークを前記主チャンバ内に位置決めする位置決め機構をさらに備えるとよい。
【0015】
(9)本開示の別の一態様に係るリークテスタは、前記(1)から(8)のいずれかのチャンバを備える。
【0016】
(10)本開示のさらに別の一態様に係るリークテスタは、前記(2)のチャンバと、前記副チャンバに連通するリークディテクタとを備える。
【発明の効果】
【0017】
本開示の一態様に係るチャンバは、容積変更用の副チャンバを備えているので、前記容積変更機構によって、前記主チャンバと前記副チャンバとのワークの外側の空間の合計容積を一定に制御することが容易である。従って、当該チャンバを用いることで、異なるサイズのワークに対するリークテストの検査条件の管理を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、本開示の一実施形態に係るチャンバを示す模式的正面図である。
図2図2は、図1のチャンバの模式的平面図である。
図3図3は、図2のチャンバのIII-III線断面図である。
図4図4は、図2のチャンバのIV-IV線断面図である。
図5図5は、図1のチャンバを備えるリークテスタを示す模式図である。
図6図6は、図1のチャンバとは異なる形態に係るチャンバを示す模式的斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、適宜図面を参照しつつ、本開示の実施の形態を詳説する。なお、各図は模式的なものであって、実際の寸法や比率等とは一致しないことがある。
【0020】
[第一実施形態]
<チャンバ>
図1のチャンバ10は、リークテスタ用チャンバである。当該チャンバ10は、ワーク100を収容する主チャンバ20と、主チャンバ20と連通する副チャンバ30と、副チャンバ30の容積を変更する容積変更機構40とを備える。また、当該チャンバ10は、主チャンバ20に配置されるノズル50を備える。
【0021】
ワーク100は、開口100aを有する。ワーク100は、例えば中空体である。ワーク100は、開口100aにノズル50が装着された状態で主チャンバ20内に保持される。当該チャンバ10は、ノズル50を介してワーク100内に封入されたトレーサガス等の流体のワーク100からの漏れの有無を検査可能に設けられている。
【0022】
容積変更機構40は、異なるサイズのワーク100に対して、主チャンバ20と副チャンバ30とにおけるワーク100の外側の空間の合計容積が一定になるように、副チャンバ30の容積を変更する。より詳しく説明すると、容積変更機構40は、主チャンバ20と副チャンバ30とにおける流体が通過可能なワークの外側の空隙の容積が、ワーク100のサイズにかかわらず一定になるように、副チャンバ30の容積を変更する。
【0023】
当該チャンバ10は、容積変更用の副チャンバ30を備えているので、容積変更機構40によって、主チャンバ20と副チャンバ30とにおけるワーク100の外側の空間の合計容積を一定に制御することが容易である。そのため、当該チャンバ10によると、ワーク100から漏れ出た流体がリークディテクタに到達する単位時間あたりの基準量を一定に制御することができる。すなわち、当該チャンバ10によると、異なるサイズのワーク100に対する検査条件の統一化を容易に図ることができる。その結果、ワーク100のサイズ毎に漏れ量の閾値を設定することを要しない。さらに、当該チャンバ10によると、チャンバ10内を真空引きするサイクル時間を均一化することができる。従って、当該チャンバ10を用いることで、異なるサイズのワーク100に対するリークテストの検査条件の管理を容易に行うことができる。
【0024】
以下、当該チャンバ10を構成する各部材について詳説する。
【0025】
(主チャンバ)
主チャンバ20は、ワーク100を収容可能な収容空間S1を内部に有する。主チャンバ20は、例えば着脱可能な2つの部材を有している。これらの部材の一方又は両方は、これらの部材が互いに密着した状態で、収容空間S1を形成する凹部を有する。すなわち、収容空間S1は、2つの部材が密着することでこれらの部材の内部に形成される内部空間である。収容空間S1は、例えば主チャンバ20内に収容されることが想定されている最大サイズのワーク100を配置可能なサイズに形成されている。収容空間S1は、例えば直方体状である。
【0026】
主チャンバ20は、収容空間S1内に異なるサイズのワーク100を収容可能である。収容空間S1におけるワークの外側の空間の容積は、ワーク100のサイズに基づいて変化するように構成されている。すなわち、収容空間S1の大きさは一定であり、ワーク100の体積が大きくなると前記ワークの外側の空間の容積は小さくなり、逆にワーク100の体積が小さくなると前記ワークの外側の空間の容積は大きくなるように設けられている。
【0027】
主チャンバ20は、ノズル50が挿入される挿通孔21を有する。ノズル50は、挿通孔21に挿入された状態で、収容空間S1内を進退可能に設けられている。ワーク100は、平面視(ノズル50の突出方向視)で開口100aとノズル50とが一致するように主チャンバ20内に位置決めされる。
【0028】
図2及び図3に示すように、主チャンバ20は、副チャンバ30の内部空間(後述の容積調整用空間S2)に連通する第1連通路22を有する。第1連通路22は、リークテスト中における前記流体の流路として構成される。
【0029】
(副チャンバ)
副チャンバ30は、主チャンバ20と壁面同士が接するように連結されている。副チャンバ30は、ワーク100が収容される収容空間S1と連通しており、かつ収容空間S1とは独立している容積調整用空間S2を有する。容積調整用空間S2は、容積変更機構40によって容積が変化するように設けられている。容積調整用空間S2における容積の変化量の最大値は、収容空間S1に異なるサイズのワーク100が収容された際に、収容空間S1におけるワーク100の外側の容積の変化量を吸収できる範囲内で設定できる。より詳しくは、容積調整用空間S2の最大容積は、主チャンバ20内に収容されることが想定されている最大サイズのワーク100の体積と最小サイズのワーク100の体積との差以上とすることができる。
【0030】
図2及び図3に示すように、副チャンバ30は、主チャンバ20の収容空間S1に連通する第2連通路31を有する。第1連通路22と第2連通路31とは直接接続されている。第2連通路31は、リークテスト中における前記流体の流路として構成される。すなわち、主チャンバ20の収容空間S1と副チャンバ30の容積調整用空間S2とは、第1連通路22及び第2連通路31を含む流路によって連通している。前記流路は、ワーク100のリークテスト中に収容空間S1と容積調整用空間S2との連通を維持するように設けられている。
【0031】
容積調整用空間S2は、主チャンバ20と副チャンバ30とにおけるワーク100の外側の空間の合計容積(収容空間S1、容積調整用空間S2及び前記流路を含む容積)がワーク100のサイズにかかわらず一定になるように、当該チャンバ10の全体容積を調整するサブ空間として設けられている。
【0032】
副チャンバ30は、リークディテクタに連通する開口32を有する。つまり、副チャンバ30の容積調整用空間S2は、ワーク100から漏れ出た流体がリークディテクタに至る流路の一部を構成している。このように構成されていることで、異なるサイズのワーク100に対し、検査条件を統一しやすい。なお、容積調整用空間S2は、第2連通路31及び開口32以外からは前記流体の流出が防止される密閉空間として構成されている。
【0033】
副チャンバ30は、筒状部分を有している。副チャンバ30は、その一部に筒状部分を有していてもよく、副チャンバ30全体が筒状部分として構成されていてもよい。図1のチャンバ10は、その全体が筒状部分30aとして構成されている。
【0034】
図2及び図4に示すように、筒状部分30aの内部空間は、容積変更機構40の一部を構成している後述のピストン43によって封止されている。このように構成されることで、筒状部分30aは、容積調整用空間S2の容積を調整するための容積調整部として設けられている。図1のチャンバ10は、副チャンバ30全体が筒状部分30aとして構成されており、この筒状部分30aの両側の端部がそれぞれピストン43によって封止されている。
【0035】
(容積変更機構)
容積変更機構40は、異なるサイズのワーク100に対して、ワーク100の体積の増減と、容積調整用空間S2の容積の増減とが対応するように、副チャンバ30の容積を制御する。容積変更機構40は、ワーク100のサイズデータを基に副チャンバ30の容積を制御する。より詳しくは、容積変更機構40は、ワーク100のサイズデータに基づいて、このワーク100が収容空間S1内に収容された場合の副チャンバ30の狙い容積を算出する演算部41と、演算部41による算出結果を基に、副チャンバ30の容積を制御する制御部42とを有する。演算部41に対するワーク100のサイズデータの入力手順は、特に限定されるものではない。例えばワーク100のサイズデータは、オペレータによって入力されてもよく、ワーク100に添付された二次元バーコード等の読取コードの読み取りによって入力されてもよい。演算部41は、例えばCPU(Central Processing Unit)を含んで構成される。当該チャンバ10は、ワーク100のサイズデータを基に副チャンバ30の容積が制御されるように構成されていることで、種々のサイズのワーク100に対して、主チャンバ20と副チャンバ30とにおけるワーク100の外側の空間の合計容積が一定になるように副チャンバ30の容積を容易に調整することができる。
【0036】
容積変更機構40は、副チャンバ30内を進退するピストン43を有する。容積変更機構40は、ピストン43を有することで、このピストン43の突出量を調整することで、当該チャンバ10全体の容積を容易に制御することができる。より詳しくは、ワーク100のサイズが大きい場合にはピストン43の突出量を小さくし、ワーク100のサイズが小さい場合にはピストン43の突出量を大きくすることで、主チャンバ20と副チャンバ30とにおけるワーク100の外側の空間の合計容積が一定になるように当該チャンバ10全体の容積を容易に制御することができる。なお、副チャンバ30に配置されるピストン43の個数は、筒状部分30aの個数や配置等に基づいて設定され得る。副チャンバ30に複数のピストン43が配置されている場合、「ピストンの突出量」とは、ピストン全体の合計突出量を意味する。
【0037】
ピストン43は、その先端部に筒状部分30aの内周面に対して気密に配置される封止部43aを有する。封止部43aは、例えば板状である。ピストン43は、封止部43aが筒状部分30aの内周面に対して気密に配置された状態で、筒状部分30aの軸方向に進退する。このように構成されていることで、容積調整用空間S2の容積を容易かつ確実に調整することができる。
【0038】
容積変更機構40は、ピストン43の位置を制御する数値制御アクチュエータ42aを有する。数値制御アクチュエータ42aは、前述の制御部42に含まれている。このように、数値制御アクチュエータ42aによってピストン43の位置を制御することで、当該チャンバ10全体の容積を容易かつ確実に制御することができる。
【0039】
[第二実施形態]
<リークテスタ>
図5のリークテスタ60は、当該チャンバ10を備える。当該リークテスタ60における当該チャンバ10以外の具体的な構成は特に限定されるものではない。当該リークテスタ60は、例えば当該チャンバ10と、当該チャンバ10に形成される収容空間S1及び容積調整用空間S2を減圧する第1真空ポンプ61と、収容空間S1内に収容されたワーク100の内部空間をノズル50を介して減圧する第2真空ポンプ62と、第2真空ポンプ62による真空引き後にワーク100の内部空間にノズル50を介してトレーサガスを封入するトレーサガス供給部63と、ワーク100から漏れ出たトレーサガスを検出するリークディテクタ64と、ワーク100のリークテスト後にノズル50を介してトレーサガスを回収するトレーサガス回収部65と、ワーク100のリークテスト後にノズル50を介してワーク100内を大気に戻す大気開放部66とを備える構成とすることができる。
【0040】
当該リークテスタ60において、第1真空ポンプ61は、主チャンバ20と副チャンバ30とのいずれに連通していてもよく、レイアウトその他の条件に基づいて選択可能である。また、図示していないが、チャンバ内大気戻し部、チャンバ内窒素ガスパージ部等を設ける場合、これらの部材は主チャンバ20と副チャンバ30とのいずれに配置してもよい。
【0041】
当該リークテスタ60において、リークディテクタ64は、副チャンバ30に連通していてもよい。より詳しくは、リークディテクタ64は、副チャンバ30に設けられている前述の開口32に連通していてもよい。一方で、リークディテクタ64は、主チャンバ20に連通するように設けることも可能である。リークディテクタ64の連通先は、レイアウトその他の条件に基づいて選択可能である。
【0042】
前記トレーサガスとしては、特に限定されるものではないが、例えば水素、ヘリウム、これらのガスを含む混合ガス等が挙げられる。
【0043】
当該リークテスタ60は、当該チャンバ10を備えているので、異なるサイズのワーク100に対するリークテストの検査条件の管理を容易に行うことができる。
【0044】
また、当該リークテスタ60は、副チャンバ30に連通するリークディテクタ64を備えているので、ワーク100のサイズにかかわらず、ワーク100から漏れ出たトレーサガスの流路の容積を一定に制御しやすい。その結果、異なるサイズのワーク100に対し、検査条件の統一化をより確実に図ることができる。
【0045】
<リークテスト手順>
次に、図5のリークテスタ60を用いたリークテスト方法の一例を説明する。当該リークテスト方法は、ワーク100のサイズデータを基に副チャンバ30の容積を制御し(制御工程)、ワーク100を収容空間S1内に配置し(配置工程)、ノズル50をワーク100の開口100aに装着し(装着工程)、チャンバ10内を真空引きし(第1真空引き工程)、ワーク100内を真空引きし(第2真空引き工程)、ワーク100の内部空間にトレーサガスを封入し(封入工程)、リークディテクタ64でトレーサガスの漏れを検査する(検査工程)。また、当該リークテスト方法は、リークディテクタ64による検査後に、ワーク100の内部空間に存在しているトレーサガスを回収し(回収工程)、ワーク100の内部空間を大気置換し(大気置換工程)、チャンバ10内を大気に開放し(大気開放工程)、ノズル50をワーク100の開口100aから離し(ノズル取外し工程)、収容空間S1からワーク100を取り出す(取出工程)。
【0046】
(制御工程)
前記制御工程は、前述の容積変更機構40によって行うことができる。前記制御工程では、ワークのサイズデータを基に、副チャンバ30の容積を制御する。前記制御工程では、副チャンバ30内を進退するピストン43の突出量を制御することで、主チャンバ20と副チャンバ30とにおけるワーク100の外側の空間の合計容積がワーク100のサイズにかかわらず一定になるように、副チャンバ30の容積を変更する。前記制御工程では、数値制御アクチュエータ42aによってピストン43の位置を制御することが好ましい。
【0047】
なお、当該リークテスト方法において、前記制御工程は、前記配置工程の後に行うことも可能である。また、前記制御工程は、ワーク100のサイズを変更する際に行えばよく、同じサイズのワーク100を連続して検査する際には、省略することが可能である。
【0048】
[第三実施形態]
図6を参照して、図1のチャンバ10の変形例について説明する。図6のチャンバ70は、リークテスタ用チャンバである。当該チャンバ70は、ワーク100を収容する主チャンバ80と、主チャンバ80と連通する副チャンバ30と、副チャンバ30の容積を変更する容積変更機構40と、主チャンバ80に配置されるノズル50とを備える。また、当該チャンバ70は、ワーク100を主チャンバ80内に位置決めする位置決め機構90を備える。位置決め機構90の一部は、収容空間S1内に配置されている。
【0049】
容積変更機構40は、異なるサイズのワーク100に対して、主チャンバ80と副チャンバ30とにおけるワーク100の外側の空間の合計容積が一定になるように、副チャンバ30の容積を変更する。なお、当該チャンバ70は、位置決め機構90の一部が収容空間S1内に配置されている。この位置決め機構90は、収容空間S1内における体積がワーク100のサイズに対応して変化し得る。このような場合、「主チャンバと副チャンバとにおけるワークの外側の空間の合計容積が一定になる」とは、ワークを除く主チャンバと副チャンバとの空間容積が一定になることであってもよいが、ワークと主チャンバ内に配置されている位置決め機構とを除く主チャンバと副チャンバとの空間容積が一定になることとすることが好ましい。
【0050】
当該チャンバ70は、収容空間S1内に位置決め機構90が配置されるため、この位置決め機構90によって収容空間S1におけるワークの外側の空間の容積が制限される。当該チャンバ70は、このような構成においても、容積変更用の副チャンバ30を備えているので、容積変更機構40によって、主チャンバ80と副チャンバ30とにおけるワーク100の外側の空間の合計容積を一定に制御しやすい。
【0051】
当該チャンバ70は、位置決め機構90によってワーク100を主チャンバ80内に位置決め可能に構成されていることを除いて、図1のチャンバ10と同様の構成とすることができる。そのため、以下では、位置決め機構90、及び位置決め機構90に関連して定められる主チャンバ80の構成についてのみ説明する。
【0052】
(主チャンバ)
主チャンバ80は、ワーク100の収容空間S1を形成する凹部81aを有する第1部材81と、凹部81aの開放端部を閉塞可能な第2部材82とを有する。第2部材82は、主チャンバ80内に収容空間S1を画定する蓋本体である。
【0053】
(位置決め機構)
位置決め機構90は、収容空間S1内の所望の位置にワーク100を位置決めする。位置決め機構90は、凹部81aの深さ方向にワーク100を位置決めする第1位置決め機構90aと、凹部81aの深さ方向と垂直な方向にワーク100を位置決めする第2位置決め機構90bとを有する。
【0054】
第1位置決め機構90aは、ワーク100を両側から挟み込み可能なスペーサ板91及び押圧体92を有する。また、第1位置決め機構90aは、スペーサ板91と押圧体92とを接続する接続部93を有する。スペーサ板91は、凹部81aの底面と対向する側に配置される本体91aと、ワーク100と対向するように本体91aに積層される補助部91bとを有する。押圧体92は、第2部材82の内面に配置されている。スペーサ板91は、ワーク100を挟んで押圧体92と対向するように、押圧体92と間隔を空けて配置されている。第1位置決め機構90aは、例えばスペーサ板91が凹部81aの底面に支持された状態で、スペーサ板91と押圧体92との間にワーク100を固定するように設けられている。
【0055】
第2位置決め機構90bは、収容空間S1内に突出し、この突出方向においてワーク100を所定の位置に支持する第1移動体94と、第1移動体94と対向するように収容空間S1内に突出し、ワーク100を第1移動体94側に押圧する第2移動体95とを有する。第1移動体94及び第2移動体95は、凹部81aの深さ方向と垂直な方向に突出している。第1移動体94及び第2移動体95は、それぞれ第1部材81を貫通している。第2位置決め機構90bは、例えば第1移動体94の突出長さが制御された状態で、第1移動体94との間にワーク100を挟み込めるように、第2移動体95を突出させることで、ワーク100を両側から挟み込むように設けられている。
【0056】
当該チャンバ70は、位置決め機構90を備えているので、収容空間S1内にワーク100を容易かつ確実に位置決めしつつ、異なるサイズのワーク100に対するリークテストの検査条件の管理を容易に行うことができる。
【0057】
[その他の実施形態]
前記実施形態は、本発明の構成を限定するものではない。従って、前記実施形態は、本明細書の記載及び技術常識に基づいて前記実施形態各部の構成要素の省略、置換又は追加が可能であり、それらは全て本発明の範囲に属するものと解釈されるべきである。
【0058】
前記主チャンバ及び前記副チャンバの具体的な構成は、前記実施形態に記載された構成に限定されない。例えば前記副チャンバは、前述の筒状部分を有していなくてもよい。
【0059】
前記副チャンバは、前記主チャンバに連通している限り、具体的な配置は特に限定されるものではない。例えば前記副チャンバは、リークディテクタに連通する開口を有しない構成とすることも可能である。但し、前記副チャンバは、前記主チャンバと前記リークディテクタとの間の流路に配置されていることが好ましい。
【0060】
前記実施形態では、前記主チャンバと前記副チャンバとが壁面同士を接するように連結された構成について説明した。当該チャンバは、このように前記主チャンバと前記副チャンバとが連結されていることで、前記主チャンバに設けられる収容空間と前記副チャンバに設けられる容積調整用空間との間の流路を短くすることができ、検査に必要な空間容積を小さくすることができる。その結果、異なるサイズのワークに対して検査条件の管理を容易に行いつつ、真空引き時間を含めた検査時間の短縮や、検査精度の向上等を図りやすい。前記主チャンバと前記副チャンバとが連結されている場合、前記副チャンバは、前記主チャンバと着脱可能に設けられていてもよく、着脱不能に設けられていてもよい。前記副チャンバが前記主チャンバと着脱不能な構成として、例えば前記副チャンバは、前記主チャンバを構成する部材と一体的に設けられていてもよい。
【0061】
一方で、当該チャンバは、前記主チャンバに設けられている第1連通路と前記副チャンバに設けられている第2連通路とが配管等で接続された構成を採用することも可能である。この場合、前記主チャンバと前記副チャンバとが離れて配置された構成とすることもできる。
【0062】
前記容積変更機構の具体的な構成は、前述の実施形態に記載された構成に限定されない。例えば前記容積変更機構は、前記副チャンバの容積を前述のピストンの突出量によって調整するように設けられていなくてもよい。例えば前記副チャンバが、前記主チャンバと連通する1又は複数の室を有しており、前記容積変更機構が、それぞれの室内への流体の浸入を遮断可能なバルブを有する構成を採用することも可能である。前記副チャンバに複数の室が設けられている場合、これらの室は、例えば1つの筐体内に区画されたものであってもよく、別々に設けられたものであってもよい。複数の室が別々に設けられている場合、複数の室を合わせたものが、前記副チャンバとして構成される。このように構成されることで、各室のバルブを開閉することで、前記副チャンバ全体の容積を段階的に変更することができる。それぞれの室は、例えばタンクによって構成されてもよい。また、複数の室の容積は、同じであってもよいが、前記副チャンバの容積を多段かつ緻密に変更しやすい観点から、異なっていることが好ましい。
【0063】
前述のように、前記ピストンの位置は、数値制御アクチュエータによって制御することが好ましい。但し、前記ピストンの位置を制御するための機構は限定されるものではない。
【0064】
当該チャンバは、前述の位置決め機構を有する場合であっても、この位置決め機構の具体的な構成は特に限定されるものではない。
【0065】
当該リークテスタは、ガス以外の流体を用いた装置として構成することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0066】
以上説明したように、本開示の一態様に係るチャンバは、異なるサイズのワークに対してリークテストの検査条件の管理を行うのに適している。
【符号の説明】
【0067】
10 チャンバ
20 主チャンバ
21 挿通孔
22 第1連通路
30 副チャンバ
30a 筒状部分
31 第2連通路
32 開口
40 容積変更機構
41 演算部
42 制御部
42a 数値制御アクチュエータ
43 ピストン
43a 封止部
50 ノズル
60 リークテスタ
61 第1真空ポンプ
62 第2真空ポンプ
63 トレーサガス供給部
64 リークディテクタ
65 トレーサガス回収部
66 大気開放部
70 チャンバ
80 主チャンバ
81 第1部材
81a 凹部
82 第2部材
90 位置決め機構
90a 第1位置決め機構
90b 第2位置決め機構
91 スペーサ板
91a 本体
91b 補助部
92 押圧体
93 接続部
94 第1移動体
95 第2移動体
100 ワーク
100a 開口
S1 収容空間
S2 容積調整用空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6