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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024024438
(43)【公開日】2024-02-22
(54)【発明の名称】電子部品
(51)【国際特許分類】
   H03H 7/075 20060101AFI20240215BHJP
   H01G 4/40 20060101ALI20240215BHJP
   H01G 4/38 20060101ALI20240215BHJP
   H01F 27/00 20060101ALI20240215BHJP
   H01F 17/00 20060101ALI20240215BHJP
【FI】
H03H7/075 A
H01G4/40 321A
H01G4/38 B
H01F27/00 S
H01F17/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022127261
(22)【出願日】2022-08-09
(71)【出願人】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 敬史
(72)【発明者】
【氏名】易 龍飛
(72)【発明者】
【氏名】戸蒔 重光
【テーマコード(参考)】
5E070
5E082
5J024
【Fターム(参考)】
5E070AA05
5E070AB01
5E070AB04
5E070CB02
5E070CB17
5E082AA01
5E082AB03
5E082BB01
5E082CC02
5E082DD08
5E082FF05
5E082FG04
5E082FG25
5E082FG26
5E082FG27
5J024AA01
5J024BA02
5J024BA11
5J024DA04
5J024DA29
5J024DA33
5J024EA01
5J024KA03
(57)【要約】      (修正有)
【課題】共振器のインダクタンスの増大を図ることができる電子部品を提供する。
【解決手段】電子部品1は、素体2と、素体2内に配置されているグラウンド導体10と、素体2内に配置されている共振器6と、を備える。共振器6は、第一導体11と、第二導体12と、インダクタ導体13と、を有し、グラウンド導体10には、開口部10A,10Bが設けられており、インダクタ導体13は、一方向から見て、グラウンド導体10の開口部10A,10Bと重なる位置に配置されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
素体と、
前記素体内に配置されているグラウンド導体と、
前記素体内に配置されている共振器と、を備え、
前記共振器は、
一方向に延在している第一導体と、
前記一方向に延在している第二導体と、
前記第一導体の延在方向の端部と前記第二導体の延在方向の端部とにわたって架設されていると共に、前記一方向から見て前記グラウンド導体と重なる位置に配置されている接続導体と、を有し、
前記グラウンド導体には、開口部が設けられており、
前記接続導体は、前記一方向から見て、前記グラウンド導体の前記開口部と重なる位置に配置されている、電子部品。
【請求項2】
前記グラウンド導体は、一つの部材で構成されている、請求項1に記載の電子部品。
【請求項3】
前記開口部は、前記グラウンド導体に複数設けられている、請求項1又は2に記載の電子部品。
【請求項4】
前記グラウンド導体は、第一グラウンド導体と、第二グラウンド導体と、を含み、
前記第一グラウンド導体及び前記第二グラウンド導体のそれぞれに、前記開口部が設けられている、請求項1又は2に記載の電子部品。
【請求項5】
前記グラウンド導体は、第一グラウンド導体と、第二グラウンド導体と、を含み、
前記第一グラウンド導体と前記第二グラウンド導体とは、前記一方向において異なる高さ位置に配置されており、
前記第一グラウンド導体と前記第二グラウンド導体とによって前記開口部が構成されている、請求項1又は2に記載の電子部品。
【請求項6】
前記開口部は、前記一方向から見て、当該開口部の開口が見える位置に配置されている、請求項5に記載の電子部品。
【請求項7】
前記素体の外表面に配置された端子電極を備え、
前記開口部は、前記一方向から見て、前記端子電極と重ならない位置に設けられている、請求項1又は2に記載の電子部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、複数の誘電体層と複数の電極層との積層体であり、複数の電極層で、第一キャパシタ電極と、この第一キャパシタ電極に対向する第二キャパシタ電極と、第一キャパシタ電極に第一端が接続され、第二キャパシタ電極に第二端が接続され、第一端を始点、第二端を終点とするループを形成するインダクタ電極とが構成され、インダクタ電極は、誘電体層に沿って形成された線路電極と誘電体層の積層方向に延びるビア電極とで構成され、第一キャパシタ電極、第二キャパシタ電極及びインダクタ電極によって構成されるLC並列共振器が三つ以上の複数個設けられた積層帯域通過フィルタが開示されている。特許文献1に記載の積層帯域通過フィルタでは、複数のLC並列共振器のインダクタ電極は、当該インダクタ電極のループ面が誘電体層の積層方向に延びる中心軸から放射状となるように配置され、入力段のLC並列共振器のインダクタ電極と出力段のLC並列共振器のインダクタ電極とが隣接している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2012/066873号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電子部品において、スプリアスを改善するためには、高インダクタンスの共振器を設計する必要がある。
【0005】
本発明の一側面は、共振器のインダクタンスの増大を図ることができる電子部品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明の一側面に係る電子部品は、素体と、素体内に配置されているグラウンド導体と、素体内に配置されている共振器と、を備え、共振器は、一方向に延在している第一導体と、一方向に延在している第二導体と、第一導体の延在方向の端部と第二導体の延在方向の端部とにわたって架設されていると共に、一方向から見てグラウンド導体と重なる位置に配置されている接続導体と、を有し、グラウンド導体には、開口部が設けられており、接続導体は、一方向から見て、グラウンド導体の開口部と重なる位置に配置されている。
【0007】
本発明の一側面に係る電子部品では、接続導体は、一方向から見て、グラウンド導体と重なる位置配置されている。この構成では、接続導体の周囲に発生した磁束がグラウンド導体によって遮蔽され得る。そこで、電子部品では、グラウンド導体に開口部が設けられており、接続導体は、一方向から見て、グラウンド導体の開口部と重なる位置に配置されている。これにより、電子部品では、接続導体の周囲に発生した磁束がグラウンド導体の開口部を通過するため、接続導体の周囲に磁界を発生させることができる。すなわち、電子部品では、接続導体に形成される磁気線の経路を確保できるため、磁気線の分布空間を広げることができる。これにより、電子部品では、接続導体を含んで構成されるインダクタの見かけの体積を増加させることができるため、インダクタンスを増大させることができる。したがって、電子部品では、共振器のインダクタンスの増大を図ることができる。その結果、電子部品では、スプリアスを改善することができる。
【0008】
(2)グラウンド導体は、一つの部材で構成されている、(1)に記載の電子部品。
【0009】
(3)開口部は、グラウンド導体に複数設けられている、(1)又は(2)に記載の電子部品。この構成では、接続導体の周囲に発生する磁束を通過させる量を、開口部を設ける数によって調整することができる。
【0010】
(4)グラウンド導体は、第一グラウンド導体と、第二グラウンド導体と、を含み、第一グラウンド導体及び第二グラウンド導体のそれぞれに、開口部が設けられている、(1)~(3)のいずれか一つに記載の電子部品。この構成では、第一グラウンド導体と第二グラウンド導体との間に空間が形成される。したがって、電子部品では、接続導体に形成される磁気線の経路をより一層確保できるため、磁気線の分布空間を広げることができる。これにより、電子部品では、接続導体を含んで構成されるインダクタの見かけの体積をより増加させることができるため、インダクタンスを増大させることができる。したがって、電子部品では、共振器のインダクタンスの増大を図ることができる。
【0011】
(5)グラウンド導体は、第一グラウンド導体と、第二グラウンド導体と、を含み、第一グラウンド導体と第二グラウンド導体とは、一方向において異なる高さ位置に配置されており、第一グラウンド導体と第二グラウンド導体とによって開口部が構成されている、(1)~(3)のいずれか一つに記載の電子部品。この構成では、第一グラウンド導体と第二グラウンド導体との間に空間が形成される。したがって、電子部品では、接続導体に形成される磁気線の経路をより一層確保できるため、磁気線の分布空間を広げることができる。これにより、電子部品では、接続導体を含んで構成されるインダクタの見かけの体積をより増加させることができるため、インダクタンスを増大させることができる。したがって、電子部品では、共振器のインダクタンスの増大を図ることができる。
【0012】
(6)開口部は、一方向から見て、当該開口部の開口が見える位置に配置されている、(5)に記載の電子部品。この構成では、開口部が接続導体に対して開口しているため、接続導体の周囲に発生した磁束が、第一グラウンド導体と第二グラウンド導体とによって構成される開口部を通過することができる。
【0013】
(7)素体の外表面に配置された端子電極を備え、開口部は、一方向から見て、端子電極と重ならない位置に設けられている、(1)~(6)のいずれか一つに記載の電子部品。この構成では、接続導体の周囲に発生し、グラウンド導体の開口部を通過した磁束が、端子電極によって遮蔽されることを回避できる。そのため、電子部品では、共振器のインダクタンスの増大を図ることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の一側面によれば、共振器のインダクタンスの増大を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1(a)及び図1(b)は、第一実施形態に係る電子部品の斜視図である。
図2図2は、図1に示す電子部品の透過斜視図である。
図3図3は、図1に示す電子部品の透過斜視図である。
図4図4(a)は、図1に示す電子部品を上から見た図であり、図4(b)は、図1に示す電子部品を下から見た図である。
図5図5は、図1に示す電子部品の端面図である。
図6図6は、図1に示す電子部品の側面図である。
図7図7は、図1に示す電子部品の等価回路図である。
図8図8は、電子部品の周波数特性を示す図である。
図9図9は、第二実施形態に係る電子部品の透過斜視図である。
図10図10は、図9に示す電子部品の透過斜視図である。
図11図11(a)は、図9に示す電子部品を上から見た図であり、図11(b)は、図9に示す電子部品を下から見た図である。
図12図12は、図9に示す電子部品の端面図である。
図13図13は、図9に示す電子部品の側面図である。
図14図14は、第三実施形態に係る電子部品の透過斜視図である。
図15図15は、図14に示す電子部品の透過斜視図である。
図16図16(a)は、図14に示す電子部品を上から見た図であり、図16(b)は、図14に示す電子部品を下から見た図である。
図17図17は、図14に示す電子部品の端面図である。
図18図18は、図14に示す電子部品の側面図である。
図19図19は、第四実施形態に係る電子部品の透過斜視図である。
図20図20は、図19に示す電子部品の透過斜視図である。
図21図21(a)は、図19に示す電子部品を上から見た図であり、図21(b)は、図19に示す電子部品を下から見た図である。
図22図22は、図19に示す電子部品の端面図である。
図23図23は、図19に示す電子部品の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明において同一又は相当要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0017】
[第一実施形態]
図1(a)、図1(b)、図2及び図3を参照して、第一実施形態に係る電子部品を説明する。図1(a)及び図1(b)は、第一実施形態に係る電子部品の斜視図である。図2は、図1に示す電子部品の透過斜視図である。図3は、図1に示す電子部品の透過斜視図である。図1(a)、図1(b)、図2及び図3に示されるように、電子部品1は、素体2と、第一端子電極3、第二端子電極4及び第三端子電極5と、共振器6と、を備えている。図2及び図3では、説明の便宜上、素体2を二点鎖線で示している。
【0018】
素体2は、直方体形状を呈している。直方体形状には、角部及び稜線部が面取りされている直方体の形状、及び、角部及び稜線部が丸められている直方体の形状が含まれる。素体2は、外表面として、一対の端面2a,2bと、一対の主面2c,2dと、一対の側面2e,2fと、を有している。端面2a,2bは、互いに対向している。主面2c,2dは、互いに対向している。側面2e,2fは、互いに対向している。以下では、端面2a,2bの対向方向を第一方向D1、主面2c,2dの対向方向を第二方向(一方向)D2、及び、側面2e,2fの対向方向を第三方向D3とする。第一方向D1、第二方向D2、及び第三方向D3は互いに略直交している。
【0019】
端面2a,2bは、主面2c,2dを連結するように第二方向D2に延在している。端面2a,2bは、側面2e,2fを連結するように第三方向D3にも延在している。主面2c,2dは、端面2a,2bを連結するように第一方向D1に延在している。主面2c,2dは、側面2e,2fを連結するように第三方向D3にも延在している。側面2e,2fは、端面2a,2bを連結するように第一方向D1に延在している。側面2e,2fは、主面2c,2dを連結するように第二方向D2にも延在している。
【0020】
主面2dは、実装面であり、たとえば電子部品1を図示しない他の電子機器(たとえば、回路基材、又は積層電子部品)に実装する際、他の電子機器と対向する面である。端面2a,2bは、実装面(すなわち主面2d)から連続する面である。主面2cには、マークMが設けられている。マークMは、電子部品1の向き、方向を示すものである。なお、マークMは設けられていなくてもよい。本実施形態では、主面2c側を電子部品1の上、主面2d側を電子部品1の下とする。
【0021】
素体2の第一方向D1における長さは、素体2の第二方向D2における長さ及び素体2の第三方向D3における長さよりも長い。素体2の第二方向D2における長さは、素体2の第三方向D3における長さよりも短い。すなわち、本実施形態では、端面2a,2b、主面2c,2d及び側面2e,2fは、長方形状を呈している。素体2の第二方向D2における長さは、素体2の第三方向D3における長さと同等であってもよいし、素体2の第三方向D3における長さよりも長くてもよい。
【0022】
なお、本実施形態で「同等」とは、等しいことに加えて、予め設定した範囲での微差又は製造誤差などを含んだ値を同等としてもよい。たとえば、複数の値が、当該複数の値の平均値の±5%の範囲内に含まれているのであれば、当該複数の値は同等であると規定する。
【0023】
素体2は、複数の素体層(図示省略)が第二方向D2において積層されてなる。つまり、素体2の積層方向は、第二方向D2である。実際の素体2では、複数の素体層は、その層間の境界が視認できない程度に一体化されていてもよいし、層間の境界が視認できるように一体化されていてもよい。
【0024】
素体層は、たとえば、誘電体材料を含むセラミックグリーンシートの焼結体から構成される。誘電体材料は、たとえば、BaTiO系材料、Ba(Ti,Zr)O系材料、(Ba,Ca)TiO系材料、ガラス材料、又はアルミナ材料から選択された少なくとも1つを含んでいる。
【0025】
第一端子電極3、第二端子電極4及び第三端子電極5のそれぞれは、素体2に設けられている。第一端子電極3、第二端子電極4及び第三端子電極5のそれぞれは、素体2の主面2dに配置されている。第一端子電極3と第二端子電極4とは、第一方向D1において互いに離間して素体2に設けられている。具体的には、第一端子電極3は、素体2の端面2a側に配置されている。第二端子電極4は、素体2の端面2b側に配置されている。第三端子電極5は、第一端子電極3と第二端子電極4との間に配置されている。
【0026】
第一端子電極3、第二端子電極4及び第三端子電極5のそれぞれは、長方形状(矩形状)を呈している。第一端子電極3、第二端子電極4及び第三端子電極5のそれぞれは、各辺が第一方向D1又は第三方向D3に沿うように配置されている。第一端子電極3、第二端子電極4及び第三端子電極5は、主面2dよりも突出している。すなわち、本実施形態では、第一端子電極3、第二端子電極4及び第三端子電極5のそれぞれの表面は、主面2dと面一ではない。第一端子電極3、第二端子電極4及び第三端子電極5は、導電材料(たとえば、Cu)により構成されている。
【0027】
第一端子電極3、第二端子電極4及び第三端子電極5のそれぞれには、電解めっき又は無電解めっきが施されることにより、たとえばNi、Sn、Auなどを含むめっき層(不図示)が設けられてもよい。めっき層は、たとえばNiを含み第一端子電極3、第二端子電極4及び第三端子電極5を覆うNiめっき膜と、Auを含み、Niめっき膜を覆うAuめっき膜と、を有していてもよい。
【0028】
図4(a)は、図1に示す電子部品を上から見た図であり、図4(b)は、図1に示す電子部品を1下から見た図である。図5は、図1に示す電子部品1の端面図である。図6は、図1に示す電子部品1の側面図である。図2図6に示されるように、共振器6は、グラウンド導体10と、第一導体11と、第二導体12と、インダクタ導体(接続導体)13と、備えている。
【0029】
グラウンド導体10は、素体2の主面2d側に配置されている。グラウンド導体10は、一枚の板部材(一つの部材)で構成されている。グラウンド導体10は、第二方向D2から見て、略H字形状を呈している。グラウンド導体10は、第二方向D2から見て、第一端子電極3、第二端子電極4及び第三端子電極5のそれぞれと重なっている。グラウンド導体10は、第三端子電極5と電気的に接続されている。グラウンド導体10と第三端子電極5とは、複数の接続導体16によって電気的に接続されている。
【0030】
グラウンド導体10には、開口部10A,10Bが設けられている。開口部10A,10Bは、グラウンド導体10を厚み方向に貫通している貫通孔である。開口部10A,10Bは、たとえば、長方形状を呈している。開口部10A,10Bは、第三方向D3が長手方向となるように配置されている。開口部10Aと開口部10Bとは、第一方向D1において離間して配置されている。開口部10Aは、第二方向D2から見て、第一端子電極3と重ならない位置に配置されている。開口部10Bは、第二方向D2から見て、第二端子電極4と重ならない位置に配置されている。
【0031】
第一導体11は、第二方向D2に沿って延在している。第一導体11は、例えば、円柱状を呈している。第一導体11は、複数のビア導体によって構成され得る。第一導体11は、素体2の端面2a寄りの位置に配置されている。具体的には、第一導体11は、第二方向D2から見て、素体2の端面2a寄りの位置において、第三方向D3の中央部に配置されている。第一導体11は、第一端部11Aと、第二端部11Bと、を有している。第一導体11の第一端部11Aは、接続パット14を介して、インダクタ導体13に電気的に接続されている。第一導体11の第二端部11Bは、第一端子電極3に接続されている。
【0032】
第二導体12は、第二方向D2に沿って延在している。第二導体12は、例えば、円柱状を呈している。第二導体12は、複数のビア導体によって構成され得る。第二導体12は、素体2の端面2b寄りの位置に配置されている。具体的には、第二導体12は、第二方向D2から見て、素体2の端面2b寄りの位置において、第三方向D3の中央部に配置されている。第二導体12は、第一方向D1において、第一方向D1と対向する位置に配置されている。第二導体12は、第一端部12Aと、第二端部12Bと、を有している。第二導体12の第一端部12Aは、接続パット15を介して、インダクタ導体13に電気的に接続されている。第二導体12の第二端部12Bは、第二端子電極4に接続されている。
【0033】
インダクタ導体13は、インダクタを構成している。本実施形態では、インダクタ導体13は、第二方向D2において対向して配置されている二枚の導体で構成されている。インダクタ導体13は、第二方向D2から見て、所定の幅を有しており、直線状に延在している。インダクタ導体13は、第一端部13Aと、第二端部13Bと、を有している。第一端部13Aは、第一導体11の第一端部11Aに、接続パット14を介して接続されている。第二端部13Bは、第二導体12の第一端部12Aに、接続パット15を介して接続されている。すなわち、インダクタ導体13は、第一導体11の第一端部11Aと第二導体12の第一端部12Aとにわたって架設されている。
【0034】
図4(a)に示されるように、第二方向D2から見て、インダクタ導体13は、グラウンド導体10の開口部10A及び開口部10Bと重なるように配置されている。インダクタ導体13は、開口部10A及び開口部10Bの上方に、グラウンド導体10と離間して位置している。インダクタ導体13は、開口部10A及び開口部10Bを跨ぐように配置されている。
【0035】
図7は、図1に示す電子部品1の等価回路図である。図7に示されるように、電子部品1は、第一インダクタL1と、第二インダクタL2と、第一キャパシタC1と、第二キャパシタC2と、第三キャパシタC3と、を備えている。
【0036】
第一インダクタL1は、第一導体11と、インダクタ導体13と、を含んで構成されている。第二インダクタL2は、第二導体12と、インダクタ導体13と、を含んで構成されている。第一キャパシタC1は、第一端子電極3と、グラウンド導体10と、を含んで構成されている。第二キャパシタC2は、第三端子電極5と、グラウンド導体10と、を含んで構成されている。第三キャパシタC3は、第二端子電極4と、グラウンド導体10と、を含んで構成されている。
【0037】
図8は、電子部品の周波数特性を示すグラフである。図8では、第一端子電極3から信号を入力して、第二端子電極4から信号を出力した場合の、周波数特性を示している。図8では、横軸は周波数[MHz]を示し、縦軸は減衰量[dB]を示している。なお、図8に例示する特性図は、シミュレーションにより得られた結果を表している。図8では、電子部品1の測定結果を実線で示しており、比較例に係る電子部品の測定結果を破線で示している。比較例に係る電子部品は、グラウンド導体において開口部を備えていない。
【0038】
図8に示されるように、グラウンド導体10に開口部10A,10Bが設けられている電子部品1では、比較例に係る電子部品に比べて、インダクタタンスが増大している。これにより、電子部品1では、たとえば、25~60GHz以上のスプリアスを20dB以下に抑制することができる。
【0039】
以上説明したように、本実施形態に係る電子部品1では、グラウンド導体10に開口部10A,10Bが設けられており、インダクタ導体13は、第二方向D2から見て、グラウンド導体10の開口部10A,10Bと重なる位置に配置されている。これにより、電子部品1では、インダクタ導体13の周囲に発生した磁束がグラウンド導体10の開口部10A,10Bを通過するため、インダクタ導体13の周囲に磁界を発生させることができる。すなわち、電子部品1では、インダクタ導体13に形成される磁気線の経路を確保できるため、磁気線の分布空間を広げることができる。これにより、電子部品1では、インダクタ導体13を含んで構成されるインダクタの見かけの体積を増加させることができるため、インダクタンスを増大させることができる。したがって、電子部品1では、共振器6のインダクタンスの増大を図ることができる。その結果、電子部品1では、スプリアスを改善することができる。
【0040】
本実施形態に係る電子部品1では、グラウンド導体10には、二つの開口部10A,10Bが設けられている。この構成では、インダクタ導体13の周囲に発生する磁束を通過させる量を、開口部10A,10Bを設ける数によって調整することができる。
【0041】
本実施形態に係る電子部品1では、開口部10Aは、第二方向D2から見て、第一端子電極3と重ならない位置に配置されている。開口部10Bは、第二方向D2から見て、第二端子電極4と重ならない位置に配置されている。これにより、電子部品1では、インダクタ導体13の周囲に発生し、グラウンド導体10の開口部10A,10Bを通過した磁束が、第一端子電極3及び第二端子電極4によって遮蔽されることを回避できる。そのため、電子部品1では、共振器6のインダクタンスの増大を図ることができる。
【0042】
[第二実施形態]
続いて、第二実施形態について説明する。図9は、第二実施形態に係る電子部品の透過斜視図である。図10は、図9に示す電子部品の透過斜視図である。図9及び図10に示されるように、電子部品1Aは、素体2と、第一端子電極3、第二端子電極4及び第三端子電極5と、共振器6Aと、を備えている。図9及び図10では、説明の便宜上、素体2を二点鎖線で示している。
【0043】
図11(a)は、図9に示す電子部品1Aを上から見た図であり、図11(b)は、図9に示す電子部品1Aを下から見た図である。図12は、図9に示す電子部品1Aの端面図である。図13は、図8に示す電子部品1Aの側面図である。図9図13に示されるように、共振器6Aは、第一導体11と、第二導体12と、インダクタ導体13と、第一グラウンド導体17と、第二グラウンド導体18と、第三グラウンド導体(第二グラウンド導体)19と、を備えている。
【0044】
第一グラウンド導体17は、素体2の主面2d側に配置されている。第一グラウンド導体17は、素体2の端面2a側寄りの位置に配置されている。第一グラウンド導体17は、第二方向D2から見て、略H字形状を呈している。第一グラウンド導体17は、第二方向D2から見て、第一端子電極3と重なっている。第一グラウンド導体17には、凹部17Aが設けられている。
【0045】
第二グラウンド導体18は、素体2の主面2d側に配置されている。第二グラウンド導体18は、素体2の端面2b側寄りの位置に配置されている。第二グラウンド導体18は、第二方向D2において、第一グラウンド導体17と同じ高さ位置に配置されている。第二グラウンド導体18は、第二方向D2から見て、略H字形状を呈している。第二グラウンド導体18は、第二方向D2から見て、第二端子電極4と重なっている。第二グラウンド導体18には、凹部18Aが設けられている。
【0046】
第三グラウンド導体19は、素体2の主面2d側に配置されている。第三グラウンド導体19は、第一グラウンド導体17と第二グラウンド導体18との間に配置されている。第三グラウンド導体19は、第一グラウンド導体17及び第二グラウンド導体18と異なる高さ位置に配置されている。具体的には、第三グラウンド導体19は、第二方向D2において、第一グラウンド導体17及び第二グラウンド導体18よりも素体2の主面2c寄りの位置に配置されている。第三グラウンド導体19は、第二方向D2から見て、略H字形状を呈している。第三グラウンド導体19は、第二方向D2から見て、第三端子電極5と重なっている。第三グラウンド導体19には、凹部19A及び凹部19Bが設けられている。第三グラウンド導体19と第三端子電極5とは、複数の接続導体16によって電気的に接続されている。
【0047】
第一グラウンド導体17と第三グラウンド導体19とは、第二方向D2において、その一部が重なっている。第一グラウンド導体17と第三グラウンド導体19とは、複数の接続導体20によって電気的に接続されている。第二グラウンド導体18と第三グラウンド導体19とは、第二方向D2において、その一部が重なっている。第二グラウンド導体18と第三グラウンド導体19とは、複数の接続導体21によって電気的に接続されている。
【0048】
第一グラウンド導体17と第三グラウンド導体19とは、開口部O1を構成している。具体的には、第一グラウンド導体17の凹部17Aと第三グラウンド導体19の凹部19Aとは、開口部O1を構成している。開口部O1は、第二方向D2から見て、開口部O1の開口が見える位置に配置されている。開口部O1は、第二方向D2から見て、長方形状を呈している。
【0049】
第二グラウンド導体18と第三グラウンド導体19とは、開口部O2を構成している。具体的には、第二グラウンド導体18の凹部18Aと第三グラウンド導体19の凹部19Aとは、開口部O2を構成している。開口部O2は、第二方向D2から見て、開口部O2の開口が見える位置に配置されている。開口部O2は、第二方向D2から見て、長方形状を呈している。開口部O1は、第二方向D2から見て、第一端子電極3と重ならない位置に配置されている。開口部O2は、第二方向D2から見て、第二端子電極4と重ならない位置に配置されている。
【0050】
図11(a)に示されるように、第二方向D2から見て、インダクタ導体13は、第一グラウンド導体17と第三グラウンド導体19とによって構成される開口部O1、及び、第二グラウンド導体18と第三グラウンド導体19とにとって構成される開口部O2に重なるように配置されている。インダクタ導体13は、開口部O1及び開口部O2の上方に、第一グラウンド導体17、第二グラウンド導体18及び第三グラウンド導体19と離間して位置している。インダクタ導体13は、開口部O1及び開口部O2を跨ぐように配置されている。
【0051】
以上説明したように、本実施形態に係る電子部品1Aでは、第一グラウンド導体17、第二グラウンド導体18及び第三グラウンド導体19によって開口部O1,O2が構成されており、インダクタ導体13は、第二方向D2から見て、開口部O1,O2と重なる位置に配置されている。これにより、電子部品1Aでは、インダクタ導体13の周囲に発生した磁束が開口部O1,O2を通過するため、インダクタ導体13の周囲に磁界を発生させることができる。すなわち、電子部品1Aでは、インダクタ導体13に形成される磁気線の経路を確保できるため、磁気線の分布空間を広げることができる。これにより、電子部品1Aでは、インダクタ導体13を含んで構成されるインダクタの見かけの体積を増加させることができるため、インダクタンスを増大させることができる。したがって、電子部品1Aでは、共振器6Aのインダクタンスの増大を図ることができる。その結果、電子部品1Aでは、スプリアスを改善することができる。
【0052】
本実施形態に係る電子部品1Aでは、第一グラウンド導体17と第三グラウンド導体19は、第二方向D2における高さ位置の異なっており、開口部O1を構成している。第二グラウンド導体18と第三グラウンド導体19は、第二方向D2における高さ位置の異なっており、開口部O2を構成している。これにより、電子部品1Aでは、開口部O1,O2に加えて、第一グラウンド導体17と第三グラウンド導体19との間、及び、第二グラウンド導体18と第三グラウンド導体19との間にも空間が形成される。したがって、電子部品1Aでは、インダクタ導体13に形成される磁気線の経路をより一層確保できるため、磁気線の分布空間を広げることができる。これにより、電子部品1Aでは、インダクタ導体13を含んで構成されるインダクタの見かけの体積をより増加させることができるため、インダクタンスを増大させることができる。したがって、電子部品1Aでは、共振器6Aのインダクタンスの増大を図ることができる。
【0053】
本実施形態に係る電子部品1Aでは、開口部O1,O2は、第二方向D2から見て、開口部O1,O2の開口が見える位置に配置されている。この構成では、開口部O1,O2がインダクタ導体13に対して開口しているため、インダクタ導体13の周囲に発生した磁束が開口部O1,O2を通過することができる。
【0054】
[第三実施形態]
続いて、第三実施形態について説明する。図14は、第三実施形態に係る電子部品の透過斜視図である。図15は、図14に示す電子部品の透過斜視図である。図14及び図15に示されるように、電子部品1Bは、素体2と、第一端子電極3、第二端子電極4及び第三端子電極5と、共振器6Bと、を備えている。図14及び図15では、説明の便宜上、素体2を二点鎖線で示している。
【0055】
図16(a)は、図14に示す電子部品1Bを上から見た図であり、図16(b)は、図14に示す電子部品1Bを下から見た図である。図17は、図14に示す電子部品1Bの端面図である。図18は、図14に示す電子部品1Bの側面図である。図14図18に示されるように、共振器6Bは、第一導体11と、第二導体12と、インダクタ導体13と、第一グラウンド導体22と、第二グラウンド導体23と、を備えている。
【0056】
第一グラウンド導体22は、素体2の主面2d側に配置されている。第一グラウンド導体22は、素体2の端面2a側寄りの位置に配置されている。第一グラウンド導体22は、第二方向D2から見て、第一端子電極3及び第三端子電極5のそれぞれと重なっている。第一グラウンド導体22と第三端子電極5とは、複数の接続導体16によって電気的に接続されている。
【0057】
第一グラウンド導体22には、開口部22Aが設けられている。開口部22Aは、第一グラウンド導体22を厚み方向に貫通している。開口部22Aは、たとえば、長方形状を呈している。開口部22Aは、第三方向D3が長手方向となるように配置されている。開口部22Aは、第二方向D2から見て、第一端子電極3と重ならない位置に配置されている。
【0058】
第二グラウンド導体23は、素体2の主面2d側に配置されている。第二グラウンド導体23は、第二方向D2において、第一グラウンド導体22と同じ高さ位置に配置されている。第二グラウンド導体23は、素体2の端面2b側寄りの位置に配置されている。第二グラウンド導体23と第一グラウンド導体22とは、第一方向D1において所定の間隔をあけて配置されている。第二グラウンド導体23は、第二方向D2から見て、第二端子電極4及び第三端子電極5のそれぞれと重なっている。第二グラウンド導体23と第三端子電極5とは、複数の接続導体16によって電気的に接続されている。
【0059】
第二グラウンド導体23には、開口部23Aが設けられている。開口部23Aは、第二グラウンド導体23を厚み方向に貫通している。開口部23Aは、たとえば、長方形状を呈している。開口部23Aは、第三方向D3が長手方向となるように配置されている。開口部23Aは、第二方向D2から見て、第二端子電極4と重ならない位置に配置されている。
【0060】
図16(a)に示されるように、第二方向D2から見て、インダクタ導体13は、第一グラウンド導体22の開口部22A、及び、第二グラウンド導体23の開口部23Aに重なるように配置されている。インダクタ導体13は、開口部22A及び開口部23Aの上方に位置している。インダクタ導体13は、開口部22A及び開口部23Aを跨ぐように配置されている。
【0061】
以上説明したように、本実施形態に係る電子部品1Bでは、第一グラウンド導体22に開口部22Aが設けられており、第二グラウンド導体23に開口部23Aが設けられている。電子部品1Bでは、インダクタ導体13は、第二方向D2から見て、第一グラウンド導体22の開口部22A、及び、第二グラウンド導体23の開口部23Aと重なる位置に配置されている。これにより、電子部品1Bでは、インダクタ導体13の周囲に発生した磁束が第一グラウンド導体22に開口部22A及び第二グラウンド導体23に開口部23Aを通過するため、インダクタ導体13の周囲に磁界を発生させることができる。すなわち、電子部品1Bでは、インダクタ導体13に形成される磁気線の経路を確保できるため、磁気線の分布空間を広げることができる。これにより、電子部品1Bでは、インダクタ導体13を含んで構成されるインダクタの見かけの体積を増加させることができるため、インダクタンスを増大させることができる。したがって、電子部品1Bでは、共振器6Bのインダクタンスの増大を図ることができる。その結果、電子部品1Bでは、スプリアスを改善することができる。
【0062】
本実施形態に係る電子部品1Bでは、第一グラウンド導体22と第二グラウンド導体23とは、第一方向D1において所定の間隔をあけて配置されている。これにより、電子部品1Bでは、第一グラウンド導体22と第二グラウンド導体23との間に空間が形成される。したがって、電子部品1Bでは、インダクタ導体13に形成される磁気線の経路をより一層確保できるため、磁気線の分布空間を広げることができる。これにより、電子部品1Bでは、インダクタ導体13を含んで構成されるインダクタの見かけの体積をより増加させることができるため、インダクタンスを増大させることができる。したがって、電子部品1Bでは、共振器6Bのインダクタンスの増大を図ることができる。
【0063】
[第四実施形態]
続いて、第四実施形態について説明する。図19は、第四実施形態に係る電子部品の透過斜視図である。図20は、図19に示す電子部品の透過斜視図である。図19及び図20に示されるように、電子部品1Cは、素体2と、第一端子電極3、第二端子電極4及び第三端子電極5と、共振器6Cと、を備えている。図19及び図20では、説明の便宜上、素体2を二点鎖線で示している。
【0064】
図21(a)は、図19に示す電子部品1Cを上から見た図であり、図21(b)は、図19に示す電子部品1Cを下から見た図である。図22は、図19に示す電子部品1Cの端面図である。図23は、図19に示す電子部品1Cの側面図である。図19図23に示されるように、共振器6Cは、グラウンド導体10と、第一導体11と、第二導体12と、第三導体24と、第一インダクタ導体25と、第二インダクタ導体26と、第三インダクタ導体27と、キャパシタパット31と、を備えている。
【0065】
第一導体11の第一端部11Aは、第一インダクタ導体25に電気的に接続されている。第二導体12の第一端部12Aは、第二インダクタ導体26に電気的に接続されている。
【0066】
第三導体24は、第二方向D2に沿って延在している。第三導体24は、例えば、円柱状を呈している。第三導体24は、複数のビア導体によって構成され得る。第三導体24は、第一端部24Aと、第二端部24Bと、を有している。第三導体24の第一端部24Aは、接続パット28を介して、第三インダクタ導体27に接続されている。第三導体24は、第三インダクタ導体27の延在方向の中央部に接続されている。第三導体24の第二端部24Bは、キャパシタパット31に接続されている。キャパシタパット31は、たとえば、円形状を呈している。キャパシタパット31は、第三端子電極5と対向配置されている。
【0067】
第一インダクタ導体25は、インダクタを構成している。本実施形態では、第一インダクタ導体25は、二枚の導体で構成されている。図21(a)に示されるように、第一インダクタ導体25は、第二方向D2から見て、四角枠状を呈している。第一インダクタ導体25は、第一導体11の第一端部11Aに接続されている。
【0068】
第二インダクタ導体26は、インダクタを構成している。本実施形態では、第二インダクタ導体26は、二枚の導体で構成されている。第二インダクタ導体26は、第二方向D2から見て、四角枠状を呈している。第二インダクタ導体26は、第二導体12の第一端部12Aに接続されている。
【0069】
第三インダクタ導体27は、インダクタを構成している。本実施形態では、第三インダクタ導体27は、二枚の導体で構成されている。第三インダクタ導体27は、第二方向D2から見て、所定の幅を有しており、第一方向D1に沿って直線状に延在している。第三インダクタ導体27は、第三導体24の第一端部24Aに接続されている。
【0070】
第一インダクタ導体25と第三インダクタ導体27とは、接続パット29を介して、接続されている。第二インダクタ導体26と第三インダクタ導体27とは、接続パット30を介して、接続されている。第三インダクタ導体27は、第一インダクタ導体25と第二インダクタ導体26とを接続している。この構成により、第一インダクタ導体25、第二インダクタ導体26及び第三インダクタ導体27は、第一導体11の第一端部11Aと第二導体12の第一端部12Aとにわたって架設されている。
【0071】
図21(a)に示されるように、第二方向D2から見て、第一インダクタ導体25、第二インダクタ導体26及び第三インダクタ導体27は、グラウンド導体10の開口部10A及び開口部10Bと重なるように配置されている。第一インダクタ導体25、第二インダクタ導体26及び第三インダクタ導体27は、開口部10A及び開口部10Bの上方に位置している。第一インダクタ導体25、第二インダクタ導体26及び第三インダクタ導体27は、開口部10A及び開口部10Bを跨ぐように配置されている。
【0072】
以上説明したように、本実施形態に係る電子部品1Cでは、グラウンド導体10に開口部10A,10Bが設けられており、第一インダクタ導体25、第二インダクタ導体26及び第三インダクタ導体27は、第二方向D2から見て、グラウンド導体10の開口部10A,10Bと重なる位置に配置されている。これにより、電子部品1Cでは、インダクタ導体13の周囲に発生した磁束がグラウンド導体10の開口部10A,10Bを通過するため、インダクタ導体13の周囲に磁界を発生させることができる。すなわち、電子部品1Cでは、インダクタ導体13に形成される磁気線の経路を確保できるため、磁気線の分布空間を広げることができる。これにより、電子部品1では、インダクタ導体13を含んで構成されるインダクタの見かけの体積を増加させることができるため、インダクタンスを増大させることができる。したがって、電子部品1Cでは、共振器6Cのインダクタンスの増大を図ることができる。その結果、電子部品1Cでは、スプリアスを改善することができる。
【0073】
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【0074】
上記第二実施形態では、第一グラウンド導体17と第三グラウンド導体19とによって構成される開口部O1、及び、第二グラウンド導体18と第三グラウンド導体19とによって構成される開口部O2とが、第二方向D2から見て、見える位置に配置されている形態を一例に説明した。しかし、開口部O1及び開口部O2は、第二方向D2から見て、その開口が見えなくてもよい。
【0075】
上記実施形態では、電子部品1,1A,1B,1Cが一つの共振器を備える形態を一例に説明した。しかし、電子部品は、複数の共振器を備えていてもよい。
【符号の説明】
【0076】
1,1A,1B,1C…電子部品、2…素体、6,6A,6B,6C…共振器、10…グラウンド導体、10A,10B,22A,23A,O1,O2…開口部、11…第一導体、12…第二導体、13…インダクタ導体(接続導体)、17,22…第一グラウンド導体、18,23…第二グラウンド導体、19…第三グラウンド導体(第二グラウンド導体)、D2…第二方向(一方向)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23