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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024002444
(43)【公開日】2024-01-11
(54)【発明の名称】情報表示方法及び情報表示装置
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/36 20060101AFI20231228BHJP
   G08G 1/005 20060101ALI20231228BHJP
   G08G 1/0968 20060101ALI20231228BHJP
【FI】
G01C21/36
G08G1/005
G08G1/0968
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022101617
(22)【出願日】2022-06-24
(71)【出願人】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】縣 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】脇田 太介
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 耕太
(72)【発明者】
【氏名】三好 健宏
【テーマコード(参考)】
2F129
5H181
【Fターム(参考)】
2F129AA02
2F129AA03
2F129BB03
2F129EE02
2F129EE22
2F129EE78
2F129EE79
2F129EE87
2F129EE94
2F129FF02
2F129FF11
2F129FF15
2F129GG17
2F129HH12
5H181AA01
5H181AA21
5H181BB04
5H181BB05
5H181CC04
5H181FF04
5H181FF10
5H181FF14
5H181FF27
5H181FF33
(57)【要約】
【課題】複数の人物が乗車する車両において、ストレスを感じることなく移動時間を過ごすことができる情報表示方法及び情報表示装置を提供する。
【解決手段】複数の人物が乗車する車両に搭載され、車両に乗車する人物に対して情報を表示する情報表示装置の情報表示方法である。情報表示方法は、車両の室内の床面に情報を表示する表示部を設置し、乗車する人物が事前に登録した登録情報、又は車両に乗車している人物が着席している位置を示す着席情報に基づいて、表示部に表示する情報を決定する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の人物が乗車する車両に搭載され、前記車両に乗車する人物に対して情報を表示する情報表示装置の情報表示方法であって、
前記車両の室内の床面に前記情報を表示する表示部を設置し、
前記乗車する人物が事前に登録した登録情報、又は前記車両に乗車している人物が着席している位置を示す着席情報に基づいて、前記表示部に表示する情報を決定する
情報表示方法。
【請求項2】
前記登録情報から前記乗車する人物が予約した前記車両の予約席の位置を取得し、又は前記着席情報から前記車両の空席の位置を特定し、
前記車両の現在位置から前記車両に乗車する人物の乗車位置までの距離が所定距離に達した時、前記車両の乗降口から前記予約席又は前記空席までの経路を示す情報を前記表示部に表示する
請求項1に記載の情報表示方法。
【請求項3】
前記乗車している人物に対して、観光、エンターテイメント、宣伝、又は広告に関する情報を前記表示部に表示する
請求項1に記載の情報表示方法。
【請求項4】
前記車両の現在位置から前記乗車している人物の目的地までの距離が所定距離に達した時、前記人物に対して前記目的地に接近していることを通知する情報を前記表示部に表示する
請求項1に記載の情報表示方法。
【請求項5】
前記着席情報に基づいて、前記乗車している人物各々に関連する情報を表示する個別表示領域と、前記乗車している人物全員に向けた情報を表示する共有表示領域とを前記表示部に設定する
請求項1に記載の情報表示方法。
【請求項6】
前記人物各々に関連する情報は、前記人物各々の趣向性に基づいて決定される情報であって、前記登録情報に基づいて判断する
請求項5に記載の情報表示方法。
【請求項7】
前記着席情報は、前記車両に備わる車室内のカメラが前記車室内を撮像して取得した撮像画像に基づいて生成する
請求項1に記載の情報表示方法。
【請求項8】
前記表示部に表示する前記情報は、文字データ及び映像データを含む
請求項1から5の何れか一項に記載の情報表示方法。
【請求項9】
前記車両は、乗合車両である
請求項1に記載の情報表示方法。
【請求項10】
複数の人物が乗車する車両に搭載され、前記車両に乗車する人物に対して情報を表示する情報表示装置あって、
前記車両の室内の床面に設置された前記情報を表示する表示部と、
前記車両に乗車する人物が事前に登録した登録情報、又は前記車両に乗車している人物が着席している位置を示す着席情報に基づいて、前記表示部に表示する情報を決定する制御部と、
を備える情報表示装置。
【請求項11】
前記表示部は、前記情報を表示する表示器と、前記表示器を覆う意匠層とを含み、
前記意匠層は、複数の貫通穴を有するフィルム、前記フィルムに可視光を透過する透明なコーティングを施したフィルム、又は前記複数の貫通穴を有する表皮及び布である
請求項10に記載の情報表示装置。
【請求項12】
前記意匠層には模様が付与可能であり、前記貫通穴の直径は0.15mm以下である
請求項11に記載の情報表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報表示方法及び情報表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、乗合車両の配車を依頼したユーザに対して割り当てた乗合車両の座席を通知する輸送販促システムが知られている(特許文献1)。特許文献1に記載された輸送販促システムは、乗合車両の配車依頼を受信した場合、ユーザに乗合車両の座席を割り当て、割り当てた座席を示す確認通知をユーザ装置に送信する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2019-514112号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、乗合車両に乗車するユーザは、移動時間を見ず知らずの他のユーザと過ごすこととなり、ストレスを感じる場合がある。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、複数の人物が乗車する車両において、ストレスを感じることなく移動時間を過ごすことができる情報表示方法及び情報表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
複数の人物が乗車する車両に搭載され、車両に乗車する人物に対して情報を表示する情報表示装置の情報表示方法である。情報表示方法は、車両の室内の床面に情報を表示する表示部を設置し、乗車する人物が事前に登録した登録情報、又は車両に乗車している人物が着席している位置を示す着席情報に基づいて、表示部に表示する情報を決定する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、複数の人物が乗車する車両において、ストレスを感じることなく移動時間を過ごすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係る情報表示装置の構成例を示すブロック図である。
図2A図2Aは、本実施形態に係る情報表示装置が搭載された車両の側面図である(第1の例)。
図2B図2Bは、本実施形態に係る情報表示装置が搭載された車両の上面図である(第1の例)。
図3A図3Aは、本実施形態に係る情報表示装置が搭載された車両の側面図である(第2の例)。
図3B図3Bは、本実施形態に係る情報表示装置が搭載された車両の上面図である(第2の例)。
図4A図4Aは、表示部に設定された個別表示領域及び共有表示領域の一例を示す模式図である。
図4B図4Bは、表示部に表示された車両の乗降口から予約席までの経路を示す情報の一例を示す模式図である。
図4C図4Cは、表示部の個別表示領域に表示された乗車している人物に関連する情報の一例を示す模式図である。
図5A図5Aは、表示部の構成の一例を示す模式図である。
図5B図5Bは、表示部の上面図である。
図6図6は、本実施形態に係る情報表示装置が実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図面を参照して、実施形態を説明する。図面の記載において同一部分には同一符号を付して説明を省略する。
【0010】
[情報表示装置の構成]
図1から図3Bを参照して、本実施形態に係る情報表示装置1の構成例を説明する。情報表示装置1は、表示部10、受信部20、及び制御部30を備えている。
【0011】
本実施形態に係る情報表示装置1は、複数の人物が乗車する車両100に搭載され、車両100に乗車する人物に対して情報を表示する。情報表示装置1は、乗車する人物が事前に登録した登録情報、又は車両100に乗車している人物が着席している位置を示す着席情報に基づいて、車両100の室内の床面101に設置された表示部10に表示する情報を決定する。本実施形態における複数の人物が乗車する車両100は、乗合車両であってもよい。車両100には、自動運転システムが搭載されていてもよい。
【0012】
表示部10は、車両100の室内の床面101に設置され、乗車する人物に対して情報を表示する。表示部10が表示する情報は、制御部30から出力される。表示部10は、情報を表示する表示器を備え、表示器の表示面を覆う意匠層を更に含んでいてもよい。表示器は、例えば、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ、LC(Liquid Crystal)ディスプレイ、又はLED(Light Emitting Diode)ディスプレイである。意匠層は、複数の貫通穴を有するフィルム、複数の貫通穴を有するフィルムに可視光を透過する透明なコーティングを施したフィルム、又は複数の貫通穴を有する表皮及び布で構成される。表示部10の構成についての詳細は、図5A及び図5Bを参照して後述する。
【0013】
ここで、図2Aから図3Bを参照して、表示部10を設置する車両上の位置について具体的に説明する。なお、表示部10の設置位置は、以下に示す設置位置に限定されず、座席の配置に対応して適宜設置される。
【0014】
図2A及び図2Bを参照して、車両100Aに設置される表示部10(10F及び10R)の位置について説明する。図2A及び図2Bは、車両前方Fを向く2列の座席(102及び103)が備えられた車両100Aに設置される表示部10の位置を示している。図2Aは車両100Aを側面から見た状態を示しており、図2Bは車両100Aを上面から見た状態を示している。第1の表示部10Fは座席102の前方Fの車室内の床面101に設置され、第2の表示部10Rは、座席102の後方B、かつ座席103の前方Fの車室内の床面101に設置されている。第1の表示部10Fは座席102に着席する人物に対して情報を表示し、第2の表示部10Rは座席103に着席した人物に対して情報を表示する。
【0015】
図3A及び図3Bを参照して、車両100Bに設置される表示部10Cの位置について説明する。図3A及び図3Bは、対面となる2列の座席(104及び105)が備えられた車両100Bに設置される表示部10Cの位置を示している。より詳細には、座席104は車両後方Bを向き、座席105は車両前方Fを向いている。図3Aは車両100Bを側面から見た状態を示しており、図3Bは車両100Bを上面から見た状態を示している。表示部10Cは、座席103と座席104との間の車室内の床面101に設置される。表示部10Cは、座席103及び座席104に着席する人物に対して情報を表示する。
【0016】
受信部20には、車両100に乗車する人物が事前に登録した登録情報を受信するLTE又は5G等の携帯電話用通信規格に準拠した無線受信機、及びGPS(Global Positioning System)信号を受信するGPS受信機が含まれる。車両100に乗車する人物が事前に登録する情報は、スマートフォンなどの携帯端末にインストールされた配車アプリケーションから取得することができる。GPS受信機は、車両100に乗車する人物が事前に登録した情報、及びGPS信号を制御部30に送信する。
【0017】
制御部30は、乗車する人物が事前に登録した登録情報、又は車両100に乗車している人物が着席している位置を示す情報に基づいて、車両100の室内の床面に設置された表示部10に表示する情報を決定する。制御部30は、CPU(Central Processing Unit)、RAM及びROMなどのメモリ(記憶部)及び入出力部を備える汎用のマイクロコンピュータである。マイクロコンピュータには、情報表示装置1として機能させるためのコンピュータプログラムがインストールされている。コンピュータプログラムを実行することにより、マイクロコンピュータは、情報表示装置1が備える複数の情報処理回路(31、32、33、34)として機能する。なお、本実施形態では、ソフトウェアによって情報表示装置1が備える複数の情報処理回路(31、32、33、34)を実現する例を示すが、各情報処理を実行するための専用のハードウェアを用意して、情報処理回路を構成することも可能である。また、複数の情報処理回路を個別のハードウェアにより構成してもよい。
【0018】
制御部30は、複数の情報処理回路として、座席情報生成部31、距離算出部32、表示領域決定部33、表示内容決定部34を備えている。
【0019】
座席情報生成部31は、乗車している人物が着席している位置を示す着席情報を生成し、着席情報を所定の周期で更新する。これにより、車内で乗車している人物が移動した場合にも対応することができ、最新の着席情報を取得することができる。車両100の空席の位置は着席情報から特定することができる。座席情報生成部31は、車両100に備わるカメラが車室内を撮像して取得した撮像画像から着席情報を生成する。座席情報生成部31は、車室内のカメラが取得した撮像画像を取得し、撮像画像から車両に乗車している人物が着席している位置を特定することで着席情報を生成する。座席情報生成部31は着席情報を表示領域決定部33に出力する。カメラには、例えば、車室内を監視する防犯カメラ、及び緊急時の連絡用カメラが含まれる。
【0020】
距離算出部32は、車両100の現在位置から車両100に乗車する人物の乗車位置までの距離、又は車両100の現在位置から車両100に乗車している人物の目的地(降車位置)までの距離を算出する。距離算出部32は、車両100に乗車する人物の乗車位置(絶対位置)又は車両100に乗車している人物の目的地(絶対位置)を、車両100に乗車する人物又は車両に乗車している人物が事前に登録した情報から取得する。「事前に登録した」とは、車両100に乗車する人物又は乗車している人物が車両100に乗車する前に登録したことを意味する。また、距離算出部32は、取得したGPS信号から車両100の地球座標における位置(絶対位置)及び姿勢(絶対姿勢)を計測する。距離算出部32は、オドメトリ、又はデッドレコニングを行う演算処理回路を備えていてもよい。演算処理回路は、車両100の各車輪の車輪速を検出する車輪速センサ、操舵輪の転舵角を検出する舵角センサから取得した情報に基づいて、所定の基準点に対する車両の相対位置、相対姿勢、及び速度を計測する。演算処理回路は、所定の基準点に対する車両の相対位置及び相対姿勢から、車両100の絶対位置及び絶対姿勢を計測することができる。距離算出部32は、車両100の現在位置と車両100に乗車する人物の乗車位置とに基づいて、車両100の現在位置から車両100に乗車する人物の乗車位置までの距離を算出する。距離算出部32は、車両100の現在位置と車両100に乗車している人物の目的地の位置とに基づいて、車両100の現在位置から車両100に乗車する人物の目的地までの距離を算出する。距離算出部32は、車両100の現在位置から車両100に乗車する人物の乗車位置までの距離、及び車両100の現在位置から車両100に乗車している人物の目的地までの距離を表示内容決定部34に出力する。
【0021】
表示領域決定部33は、着席情報に基づいて、乗車している人物各々に関連する情報を表示する個別表示領域と、乗車している人物全員に向けた情報を表示する共有表示領域とを表示部10に設定する。具体的には、表示領域決定部33は、着席情報から人物が着席している座席を特定し、特定した座席に着席している人物に対して情報を表示する個別表示領域を表示部10に設定する。表示領域決定部33は、個別表示領域が設定されていない表示部10の領域を共有表示領域に設定する。
【0022】
ここで、図4Aを参照して、表示領域決定部33が個別表示領域PA及び共有表示領域CAを設定する処理について具体的に説明する。図4Aには、車両100Bが示されており、表示部10Cが座席104と座席105の間の車室内の床面101に設置されている。表示領域決定部33は、人物が着席している座席104R及び座席105Rを着席情報から特定する。座席104及び座席105は、車両100Bの左右方向に2人掛である。表示領域決定部33は、座席105Rに着席している人物に対して情報を表示する個別表示領域PA1と、座席104Rに着席している人物に対して情報を表示する個別表示領域PA2とを表示部10に設定する。表示領域決定部33は、個別表示領域(PA1及びPA2)が設定されていない領域に共有表示領域CAを表示部10に設定する。
【0023】
表示内容決定部34は、表示部10に表示する情報を決定し、決定した情報を表示部10に出力する。表示部10に表示する情報は、文字データ及び映像データを含む。以下にて、表示内容決定部34が、表示部10に表示する情報を決定する処理及び表示する情報について具体的に説明する。
【0024】
(第1の処理:乗車)
表示内容決定部34は、乗車する人物が事前に登録した登録情報を受信した場合、登録情報から乗車する人物が予約した車両100の予約席の位置を取得する、又は着席情報から車両100の空席の位置を特定する。車両100は、登録情報を受信した場合、乗車する人物の乗車位置へ向けて走行する。表示内容決定部34は、距離算出部32から車両100の現在位置から車両100に乗車する人物の乗車位置までの距離を取得する。車両100の現在位置から車両100に乗車する人物の乗車位置までの距離が所定距離に達した時、表示内容決定部34は、車両100の乗降口から予約席又は空席までの経路を示す情報を表示部10に表示する。
【0025】
ここで、図4Bを参照して、表示内容決定部34が、表示部10に表示する車両100の乗降口106から予約席である座席105Rまでの経路を示す情報について説明する。図4Bには車両100Bが示される。座席105Rは、乗車する人物が予約した車両100Bの予約席である。座席104Lは、表示内容決定部34が着席情報から特定した車両100Bの空席である。表示内容決定部34は、予約席である座席105Rの位置を取得している場合、車両100Bの現在位置から車両100Bに乗車する人物の乗車位置までの距離が所定距離に達した時、表示部10に車両100Bの乗降口106から予約席である105Rまでの経路を示す情報41を表示する。情報41は、車両100Bの乗降口106から予約席である座席105Rまでの経路を示す矢印の画像である。表示する矢印の画像は、予約席である座席105Rに向かって流れるように表示してもよい。表示内容決定部34は、乗車する人物が座席を予約していない場合、車両100Bの乗降口106から座席104L(空席)までの経路を矢印の画像で示す。
【0026】
(第2の処理:降車)
表示内容決定部34は、車両100の現在位置から乗車している人物の目的地までの距離が所定距離に達した時、目的地で降車する人物に対して目的地に接近していることを通知する情報を表示部10に表示する。表示内容決定部34は、車両100の現在位置から車両100に乗車している人物の降車位置(目的地)までの距離を距離算出部32から取得する。目的地に接近していることを通知する情報は、目的地で降車する人物に対して情報を表示するための個別表示領域PAに表示される。
【0027】
(第3の処理)
表示内容決定部34は、第1の処理及び第2の処理が実行されない表示部10の個別表示領域又は共有表示領域に対して第3の処理を実行する。表示内容決定部34は、車両100に乗車している人物各々に関連する情報を、各々の人物に対して設定された個別表示領域PAに表示する。乗車している人物各々に関連する情報は、各々の人物の趣向性に基づいて決定される情報であって、各々の人物が事前に登録した登録情報に基づいて判断される。登録情報には、インターネットの閲覧履歴、ショッピング履歴、地図データから特定される過去に訪れた観光地など、人物の趣向性を推定できる情報が記録されている。表示内容決定部34は、車両100に乗車している人物各々の登録情報に記録された趣向性を推定できる情報から乗車している人物各々の趣向性を推定する。表示内容決定部34は、各々の人物の趣向性に合う情報を各々の人物に対して設定された個別表示領域PAに表示する。なお、表示内容決定部34は、乗車している人物各々の趣向性に合う情報を、例えばインターネット通信を介して取得する。また、表示内容決定部34は、乗車している人物全員に向けた情報を共有表示領域CAに表示する。具体的には、共有表示領域CAに、観光、エンターテイメント、宣伝、又は広告に関する情報を表示する。例えば、表示内容決定部34は、車両の現在位置に応じた観光、エンターテイメント、宣伝、又は広告に関する情報を表示する。これにより、車両100の現在位置に応じて、観光、エンターテイメント、宣伝、又は広告の内容が変更される。勿論、個別表示領域PAに観光、エンターテイメント、宣伝、又は広告に関する情報を表示してもよい。
【0028】
ここで、図4Cを参照して、表示内容決定部34が、車両100に乗車している人物各々に関連する情報を、各々の人物に対して設定された個別表示領域PAに表示する処理について説明する。図4Cには車両100Bが示される。図4Cにおいて車両100Bに乗車している人物は、座席105Rに着席している人物のみであり、座席105Rに着席している人物に対して個別表示領域PA3が設定されている。なお、座席105Rに対面する座席が空席のため、個別表示領域PA3は、図4Aに示す個別表示領域PA1より広く設定されている。個別表示領域PA3は、第1の処理及び第2の処理が実行されない個別表示領域である。表示内容決定部34は、個別表示領域PA3に座席105Rに着席している人物に関連する情報43を表示する。表示内容決定部34は、座席105Rに着席している人物の登録情報から座席105Rに着席している人物の趣向性に合う情報は観光であると推定し、情報43として観光に関する情報を表示する。
【0029】
図5A及び図5Bを参照して、表示部10の構成について説明する。表示部10は、情報を表示する表示器11と、表示器11の表示面を覆う意匠層12とを含んでいる。上述の通り、表示器11は、例えば、CRTディスプレイ、LCディスプレイ、又はLEDディスプレイである。意匠層12は、例えば、複数の貫通穴Hを有するフィルム13に可視光を透過する透明なコーティング14を施したフィルムで構成されている。フィルム13には模様が付与可能であり、フィルム13に設けられた貫通穴Hの直径dは0.15mm以下である。表示部10は、フィルム13が有する複数の貫通穴Hを透過する光により表示器11の表示画像を視認できるようになっている。
【0030】
[情報表示方法]
次に、図6を参照して、図1に示す情報表示装置1が表示部10に情報を表示する処理の一例を説明する。図6に示す情報表示装置1の処理は、車両100に乗車する人物が事前に登録した登録情報を受信するとともに開始し、車両100に乗車している人物が全員降車する時点まで繰り替し実行される。
【0031】
ステップS10において、制御部30は、乗車する人物が事前に登録した登録情報を取得する。処理はステップS20に進み、距離算出部32は、受信部20が受信したGPS信号から自車両の現在位置を計測し、車両100に乗車する人物の乗車位置又は車両100に乗車している人物の目的地を、車両100に乗車する人物又は車両に乗車している人物が事前に登録した情報から取得する。距離算出部32は、車両100の現在位置から車両100に乗車する人物の乗車位置までの距離、又は車両100の現在位置から車両100に乗車している人物の目的地までの距離を算出する。
【0032】
処理はステップS30に進み、表示内容決定部34は、距離算出部32から車両100の現在位置から車両100に乗車する人物の乗車位置までの距離を取得し、車両100の現在位置から車両100に乗車する人物の乗車位置までの距離が所定距離に達しているか否かを判断する。ステップS30において、表示内容決定部34は、車両100の現在位置から車両100に乗車する人物の乗車位置までの距離が所定距離に達したと判断した場合(ステップS30でYES)、処理はステップS40に進む。ステップS30において、表示内容決定部34は、車両100の現在位置から車両100に乗車する人物の乗車位置までの距離が所定距離に達していないと判断した場合(ステップS30でNO)、処理はステップS20に戻る。ステップS40において、表示内容決定部34は、車両100の乗降口106から予約席又は空席までの経路を示す情報を表示部10に表示する。表示内容決定部34は、登録情報から乗車する人物が予約した車両100の予約席の位置を取得し、着席情報から車両の空席の位置を特定する。
【0033】
処理はステップS50に進み、表示内容決定部34は、車両に乗車した人物が予約席又は空席に着席したと判断した場合(ステップS50でYES)、処理はステップS60に進む。車両に乗車した人物が予約席又は空席に着席したか否かは、座席情報生成部31が生成する着席情報に基づいて判断することができる。ステップS50において、表示内容決定部34は、車両に乗車した人物が予約席又は空席に着席していないと判断した場合(ステップS50でNO)、処理はステップS40に戻る。
【0034】
ステップS60において、表示領域決定部33は、着席情報に基づいて、乗車している人物各々に関連する情報を表示する個別表示領域と、乗車している人物全員に向けた情報を表示する共有表示領域とを表示部10に設定する。具体的には、表示領域決定部33は、着席情報から人物が着席している座席を特定し、特定した座席に着席している人物に対して情報を表示する個別表示領域を表示部10に設定する。表示領域決定部33は、個別表示領域が設定されていない表示部10の領域を共有表示領域に設定する。
【0035】
処理はステップS70に進み、表示内容決定部34は、車両100に乗車している人物各々に関連する情報を、各々の人物に対して設定された個別表示領域PAに表示する。乗車している人物各々に関連する情報は、人物各々の趣向性に基づいて決定される情報であって、各々の人物が事前に登録した登録情報に基づいて判断される。登録情報には、インターネットの閲覧履歴、ショッピング履歴、地図データから特定される過去に訪れた観光地など、人物の趣向性を推定できる情報が記録されている。表示内容決定部34は、車両100に乗車している人物各々の登録情報に記録された趣向性を推定できる情報から乗車している人物各々の趣向性を推定し、各々の人物の趣向性に合う情報を各々の人物に対して設定された個別表示領域PAに表示する。表示内容決定部34は、乗車している人物各々の趣向性に合う情報を、例えばインターネット通信を介して取得する。
【0036】
処理はステップS80に進み、表示内容決定部34は、乗車している人物全員に向けた情報を共有表示領域CAに表示する。具体的には、共有表示領域CAに、観光、エンターテイメント、宣伝、又は広告に関する情報を表示する。例えば、表示内容決定部34は、車両の現在位置に応じた観光、エンターテイメント、宣伝、又は広告に関する情報を表示する。処理はステップS90に進み、表示内容決定部34は、車両100の現在位置から乗車している人物の目的地までの距離が所定距離に達したと判断した場合(ステップS90でYES)、処理はステップS100に進む。ステップS90において、表示内容決定部34は、車両100の現在位置から乗車している人物の目的地までの距離が所定距離に達していない判断した場合(ステップS90でNO)、処理はステップS60に戻る。
【0037】
ステップS100において、表示内容決定部34は、目的地で降車する人物に対して目的地に接近していることを通知する情報を表示部10に表示する。
【0038】
[作用効果]
以上説明したように、本実施形態によれば以下作用効果が得られる。
【0039】
情報表示装置1は、車両100の室内の床面101に情報を表示する表示部10を設置し、乗車する人物が事前に登録した登録情報、又は車両100に乗車している人物が着席している位置を示す着席情報に基づいて、表示部10に表示する情報を決定する。これにより、情報表示装置1は、車両に乗車する人物、及び車両に乗車している人物に対して、適切な情報を表示することができる。したがって、複数の人物が乗車する車両において、乗車している人物はストレスを感じることなく移動時間を過ごすことができる。
【0040】
情報表示装置1は、登録情報から乗車する人物が予約した車両100の予約席の位置を取得し、又は着席情報から車両100の空席の位置を特定する。情報表示装置1は、車両100の現在位置から車両100に乗車する人物の乗車位置までの距離が所定距離に達した時、車両100の乗降口106から予約席である座席105R又は空席の座席104Lまでの経路を示す情報41を表示部10に表示する。これにより、車両100に乗車する人物は、既に乗車している人物と顔を合わせることなく予約席又は空席に着席することができる。また、情報表示装置1は、乗車する人物の乗車位置に到着する前に、車両100の乗降口106から予約席である座席105R又は空席の座席104Lまでの経路を示す情報41を表示部10に表示することができ、既に車両100に乗車している人物が乗車してくる人物の通る経路を予め開けておくことができる。したがって、車両100に乗車する人物は、ストレスを感じることなく予約席又は空席までの経路を通り、着席することができる。
【0041】
情報表示装置1は、乗車している人物に対して、観光、エンターテイメント、宣伝、又は広告に関する情報を表示部10に表示する。これにより、車両100に乗車している人物は、表示部10に表示される観光、エンターテイメント、宣伝、又は広告に関する情報を見て楽しむことができ、ストレスを感じることなく移動時間を過ごすことができる。
【0042】
情報表示装置1は、車両100の現在位置から乗車している人物の目的地までの距離が所定距離に達した時、人物に対して目的地に接近していることを通知する情報を表示部10に表示する。これにより、目的地で降車する人物は余裕をもって降車する準備を進めることができ、他の乗車している人物は目的地で降車する人物が通る経路を予め開けておくことができる。したがって、車両100に乗車している人物は、ストレスを感じることなく乗降口までの経路を通り、降車することができる。
【0043】
情報表示装置1は、乗車している人物各々に関連する情報を表示する個別表示領域PAと、乗車している人物全員に向けた情報を表示する共有表示領域CAとを表示部10に設定する。これにより、情報表示装置1は、個別表示領域PAに乗車している人物各々に関連する情報を表示することができ、共有表示領域CAに乗車している人物全員に向けた情報を表示することができる。したがって、乗車している各々の人物は、表示部10に専用の個別表示領域PAを持つことができ、乗車している他の人物との視線の干渉を防止することができる。また、共有表示領域CAには、個別表示領域PAとは異なる情報を表示することができ、様々な情報を楽しむことができる。したがって、乗車している人物はストレスを感じることなく移動時間を過ごすことができる。
【0044】
情報表示装置1が個別表示領域PAに表示する、乗車している人物各々に関連する情報は、人物各々の趣向性に基づいて決定される情報であって、登録情報に基づいて判断する。これにより、情報表示装置1は、各々の人物の趣向性に合った情報を出力することができ、各々の人物は表示される情報を楽しむことができる。したがって、車両100に乗車している人物は、ストレスを感じることなく移動時間を過ごすことができる。
【0045】
情報表示装置1は、車両100に備わるカメラが車室内を撮像して取得した撮像画像に基づいて着席情報を生成する。これにより、情報表示装置1は、乗車している人物が座っている位置を示す着席情報を精度良く生成することができる。
【0046】
情報表示装置1が表示部10に表示する情報は、文字データ及び映像データを含む。これにより、乗車している人物は、文字データ及び映像データから情報を取得することができ、乗車している人物各々の趣向性に合うフォーマットで情報を出力することができる。
【0047】
情報表示装置1は、乗合車両に搭載される。これにより、乗車している人物は、見ず知らずの人物と一緒に過ごすこととなる移動時間をストレスなく過ごすことができる。
【0048】
表示部10は、情報を表示する表示器11と、表示器11を覆う意匠層12とを含み、意匠層12は、複数の貫通穴Hを有するフィルム13、フィルム13に可視光を透過する透明なコーティング14を施したフィルム、又は複数の貫通穴Hを有する表皮及び布である。これにより、表示部10は、フィルム13が有する複数の貫通穴Hを透過する光により表示器11の表示画像を視認できるようになっている。また、表示器11を覆う意匠層12を備えることにより、表示器11を車内の装飾部品又は車両100の内装と一体化させることができる。したがって、乗車している人物は、床面101に設置された表示部10に対して違和感を覚えることなく車内で過ごすことができる。
【0049】
意匠層12には模様が付与可能であり、フィルム13の貫通穴Hの直径dは0.15mm以下である。これにより、表示部10は、乗車している人物が情報を視認しやすく、かつ情報の提供が不要な時には車内の装飾部品として魅力を維持することができる。
【符号の説明】
【0050】
1 情報表示装置
10(10F、10B、10C) 表示部
11 表示器
12 意匠層
13 フィルム
14 コーティング
20 受信部
30 制御部
100(100A、100B) 車両
101 車両の床面
106 車両の乗降口
PA(PA1、PA2) 個別表示領域
CA 共有表示領域
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図6