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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024024445
(43)【公開日】2024-02-22
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/8234 20060101AFI20240215BHJP
   H10B 43/27 20230101ALI20240215BHJP
   H10B 41/27 20230101ALI20240215BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20240215BHJP
   H01L 21/3205 20060101ALI20240215BHJP
   H01L 27/00 20060101ALI20240215BHJP
   H01L 25/07 20060101ALI20240215BHJP
【FI】
H01L27/088 E
H01L27/11582
H01L27/11556
H01L29/78 371
H01L27/088 H
H01L21/88 T
H01L27/00 301B
H01L25/08 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022127272
(22)【出願日】2022-08-09
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】濱中 啓伸
(72)【発明者】
【氏名】久保 竜士
【テーマコード(参考)】
5F033
5F048
5F083
5F101
【Fターム(参考)】
5F033HH04
5F033HH08
5F033HH11
5F033HH19
5F033HH33
5F033JJ11
5F033KK11
5F033KK19
5F033KK33
5F033MM01
5F033MM11
5F033MM12
5F033MM13
5F033NN15
5F033QQ09
5F033QQ19
5F033QQ23
5F033QQ48
5F033RR01
5F033RR03
5F033RR04
5F033RR06
5F033RR22
5F033RR29
5F033SS11
5F033SS15
5F033TT02
5F033TT04
5F033TT07
5F033UU03
5F033VV03
5F033VV06
5F033VV07
5F033XX02
5F033XX05
5F048AA07
5F048AB01
5F048AC01
5F048BA01
5F048BA19
5F048BD07
5F048BF02
5F048BF07
5F048BF12
5F048BF16
5F048CB01
5F048CB03
5F048CB04
5F048CB07
5F083EP02
5F083EP18
5F083EP23
5F083EP33
5F083EP34
5F083EP76
5F083ER03
5F083ER09
5F083ER14
5F083ER19
5F083GA09
5F083GA10
5F083GA21
5F083JA04
5F083JA19
5F083JA36
5F083JA37
5F083JA39
5F083JA40
5F083JA42
5F083JA56
5F083KA01
5F083LA21
5F083MA06
5F083MA16
5F083MA19
5F083NA03
5F083PR40
5F083ZA01
5F101BA01
5F101BA45
5F101BB05
5F101BC02
5F101BD16
5F101BD22
5F101BD30
5F101BD34
5F101BD36
5F101BF03
5F101BH21
(57)【要約】
【課題】信頼性を向上できる半導体装置を提供する。
【解決手段】実施形態によれば、半導体装置1は、基板201を含む第1チップ20と、前記第1チップと貼り合わされた第2チップ10とを含む。前記第2チップは、外部接続端子が設けられた第1配線層116と、前記第1配線層に接する第1半導体層101_1と、第1方向に延伸し、端部が前記第1半導体層に接し、前記第1チップと電気的に接続された導電体130とを含む。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を含む第1チップと、
前記第1チップと貼り合わされた第2チップと
を備え、
前記第2チップは、
外部接続端子が設けられた第1配線層と、
前記第1配線層に接する第1半導体層と、
第1方向に延伸し、端部が前記第1半導体層に接し、前記第1チップと電気的に接続された導電体と
を含む、
半導体装置。
【請求項2】
前記第1半導体層は、
前記導電体に接する下層半導体層と
前記下層半導体層の上に設けられ、前記第1配線層に接する上層半導体層と
を含む、
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
基板を含む第1チップと、
前記第1チップと貼り合わされた第2チップと
を備え、
前記第2チップは、
外部接続端子が設けられた第1配線層と、
前記第1配線層に接する第1半導体層と、
第1方向に延伸し、前記第1半導体層を通過し、端部が前記第1配線層に接し、前記第1チップと電気的に接続された導電体と
を含む、
半導体装置。
【請求項4】
前記第2チップは、
少なくとも一部分が前記第1半導体層と同層に設けられ、前記第1半導体層とは電気的に絶縁されている第2半導体層と、
前記第2半導体層と前記第1チップとの間において、前記第1方向に離間して積層された複数の第2配線層と、
前記第1方向に延伸し、前記複数の第2配線層を通過し、端部が前記第2半導体層に接するメモリピラーと
を更に含む、
請求項1または3に記載の半導体装置。
【請求項5】
基板を含む第1チップと、
前記第1チップと貼り合わされた第2チップと
を備え、
前記第2チップは、
第1方向に互いに離間して設けられた1対の半導体層と、
前記1対の半導体層の間に設けられた第1絶縁層と、
第1方向に延伸し、前記第1方向における端部の高さ位置が前記1対の半導体層の間に位置し、前記第1チップと電気的に接続された導電体と、
前記導電体の前記端部と接し、外部接続端子が設けられた第1配線層と、
を含む、
半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の1つとして、NAND型フラッシュメモリが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-150037号公報
【特許文献2】特開2021-048249号公報
【特許文献3】特開2022-035158号公報
【特許文献4】特開2022-041052号公報
【特許文献5】特開2022-045192号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の一実施形態では、信頼性を向上した半導体装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態に係る半導体装置は、基板を含む第1チップと、前記第1チップと貼り合わされた第2チップとを含む。前記第2チップは、外部接続端子が設けられた第1配線層と、前記第1配線層に接する第1半導体層と、第1方向に延伸し、端部が前記第1半導体層に接し、前記第1チップと電気的に接続された導電体とを含む。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1実施形態に係る半導体装置の全体構成を示すブロック図。
図2】第1実施形態に係る半導体装置に含まれるメモリセルアレイの回路図。
図3】第1実施形態に係る半導体装置の貼合構造の概要を示す斜視図。
図4】第1実施形態に係る半導体装置の平面図。
図5】第1実施形態に係る半導体装置の断面構造の一例を示す断面図。
図6】第1実施形態に係る半導体装置における壁領域の導電体の平面レイアウトの一例を示す平面図。
図7】第1実施形態に係る半導体装置における貼合パッドの断面構造の一例を示す断面図。
図8】第1実施形態に係る半導体装置におけるメモリセルアレイの断面構造の一例を示す断面図。
図9】第1実施形態に係る半導体装置におけるメモリピラーのXY平面に沿った断面構造の一例を示す断面図。
図10図5の領域E1の平面及び断面図。
図11図5の領域E2の断面図。
図12】第1実施形態に係る半導体装置におけるアレイチップの製造工程の一例を示す断面図。
図13】第1実施形態に係る半導体装置におけるアレイチップの製造工程の一例を示す断面図。
図14】第1実施形態に係る半導体装置におけるアレイチップの製造工程の一例を示す断面図。
図15】第1実施形態に係る半導体装置におけるアレイチップの製造工程の一例を示す断面図。
図16】第1実施形態に係る半導体装置におけるアレイチップの製造工程の一例を示す断面図。
図17】第1実施形態に係る半導体装置におけるアレイチップの製造工程の一例を示す断面図。
図18】第1実施形態に係る半導体装置における貼合構造の製造工程の一例を示す断面図。
図19】第1実施形態に係る半導体装置における貼合構造の製造工程の一例を示す断面図。
図20】第1実施形態に係る半導体装置における貼合構造の製造工程の一例を示す断面図。
図21】第1実施形態に係る半導体装置における貼合構造の製造工程の一例を示す断面図。
図22】第1実施形態に係る半導体装置における貼合構造の製造工程の一例を示す断面図。
図23】第1実施形態の第1変形例に係る半導体装置の断面構造の一例を示す断面図。
図24】第1実施形態の第2変形例に係る半導体装置の断面構造の一例を示す断面図。
図25】第1実施形態の第3変形例に係る半導体装置におけるCC接続領域の平面及び断面図。
図26】第2実施形態に係る半導体装置の断面構造の一例を示す断面図。
図27図26の領域E3の平面及び断面図。
図28】第2実施形態に係る半導体装置におけるアレイチップの製造工程の一例を示す断面図。
図29】第2実施形態に係る半導体装置におけるアレイチップの製造工程の一例を示す断面図。
図30】第2実施形態に係る半導体装置におけるアレイチップの製造工程の一例を示す断面図。
図31】第2実施形態に係る半導体装置におけるアレイチップの製造工程の一例を示す断面図。
図32】第2実施形態に係る半導体装置におけるアレイチップの製造工程の一例を示す断面図。
図33】第2実施形態に係る半導体装置におけるアレイチップの製造工程の一例を示す断面図。
図34】第2実施形態に係る半導体装置における貼合構造の製造工程の一例を示す断面図。
図35】第2実施形態に係る半導体装置における貼合構造の製造工程の一例を示す断面図。
図36】第2実施形態に係る半導体装置における貼合構造の製造工程の一例を示す断面図。
図37】第2実施形態に係る半導体装置における貼合構造の製造工程の一例を示す断面図。
図38】第2実施形態に係る半導体装置における貼合構造の製造工程の一例を示す断面図。
図39】第2実施形態の第1変形例に係る半導体装置の断面構造の一例を示す断面図。
図40】第2実施形態の第2変形例に係る半導体装置におけるCC接続領域の平面及び断面図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の説明において、略同一の機能及び構成を有する構成要素については、同一符号を付す。重複説明は不要な場合には省略する場合がある。また、以下に示す各実施形態は、この実施形態の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものである。実施形態の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。実施形態の技術的思想は、発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の変更を加えることができる。これら実施形態やその変形は、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0008】
1.第1実施形態
第1実施形態に係る半導体装置について説明する。以下では、半導体装置として、メモリセルトランジスタが半導体基板上に三次元に積層された三次元積層型NAND型フラッシュメモリを例に挙げて説明する。
【0009】
1.1 構成
1.1.1 半導体装置の全体構成
まず、図1を参照して、半導体装置1の全体構成の一例について説明する。図1は、半導体装置1の全体構成を示すブロック図である。なお、図1では、各構成要素の接続の一部を矢印線により示しているが、構成要素間の接続はこれらに限定されない。
【0010】
半導体装置1は、例えば、三次元積層型NAND型フラッシュメモリである。三次元積層型NAND型フラッシュメモリは、半導体基板上に三次元に配置された複数の不揮発性のメモリセルトランジスタを含む。
【0011】
図1に示すように、半導体装置1は、アレイチップ10と、回路チップ20とを含む。半導体装置1は、アレイチップ10と回路チップ20とを貼り合わせた構造である(以下、「貼合構造」と表記する)。
【0012】
アレイチップ10は、不揮発性のメモリセルトランジスタのアレイが設けられたチップである。回路チップ20は、アレイチップ10を制御する回路が設けられたチップである。本実施形態の半導体装置1は、アレイチップ10と、回路チップ20とを貼り合わせて形成される。以下、アレイチップ10と回路チップ20とのいずれかを限定しない場合は、単に「チップ」と表記する。なお、アレイチップ10は、複数設けられてもよい。この場合、回路チップ20上に複数のアレイチップ10が積層されるように貼り合わされてもよい。
【0013】
アレイチップ10は、1つまたは複数のメモリセルアレイ11を含む。メモリセルアレイ11は、不揮発のメモリセルトランジスタが三次元に配置された領域である。図1の例では、アレイチップ10は、1つのメモリセルアレイ11を含む。
【0014】
回路チップ20は、シーケンサ21、電圧発生回路22、ロウデコーダ23、及びセンスアンプ24を含む。
【0015】
シーケンサ21は、半導体装置1の制御回路である。例えば、シーケンサ21は、電圧発生回路22、ロウデコーダ23、及びセンスアンプ24に接続される。そして、シーケンサ21は、電圧発生回路22、ロウデコーダ23、及びセンスアンプ24を制御する。また、シーケンサ21は、外部コントローラの制御に基づいて、半導体装置1の全体の動作を制御する。より具体的には、シーケンサ21は、書き込み動作、読み出し動作、及び消去動作等を実行する。
【0016】
電圧発生回路22は、書き込み動作、読み出し動作、及び消去動作等に用いられる電圧を発生させる回路である。例えば、電圧発生回路22は、ロウデコーダ23及びセンスアンプ24に接続される。電圧発生回路22は、発生した電圧を、ロウデコーダ23及びセンスアンプ24等に供給する。
【0017】
ロウデコーダ23は、ロウアドレスのデコードを行う回路である。ロウアドレスは、メモリセルアレイ11のロウ方向の配線を指定するアドレス信号である。ロウデコーダ23は、ロウアドレスのデコード結果に基づいて、電圧発生回路22から印加された電圧を、メモリセルアレイ11に供給する。
【0018】
センスアンプ24は、データの書き込み及び読み出しを行う回路である。センスアンプ24は、読み出し動作時に、メモリセルアレイ11から読み出されたデータをセンスする。また、センスアンプ24は、書き込み動作時に、書き込みデータに応じた電圧をメモリセルアレイ11に供給する。
【0019】
次に、メモリセルアレイ11の内部構成について説明する。メモリセルアレイ11は、複数のブロックBLKを有する。ブロックBLKは、例えば、一括してデータが消去される複数のメモリセルトランジスタの集合である。ブロックBLK内の複数のメモリセルトランジスタは、ロウ及びカラムに対応付けられる。図1の例では、メモリセルアレイ11は、ブロックBLK0、BLK1、及びBLK2を含む。
【0020】
ブロックBLKは、複数のストリングユニットSUを含む。ストリングユニットSUは、例えば、書き込み動作または読み出し動作において、一括して選択される複数のNANDストリングの集合である。NANDストリングは、直列に接続された複数のメモリセルトランジスタの集合を含む。図1の例では、各ブロックBLKは、4つのストリングユニットSU0~SU3を含む。なお、メモリセルアレイ11内のブロックBLKの個数及びブロックBLK内のストリングユニットSUの個数は任意である。
【0021】
1.1.2 メモリセルアレイの回路構成
次に、図2を参照して、メモリセルアレイ11の回路構成の一例について説明する。図2は、メモリセルアレイ11の回路図である。なお、図2の例は、1つのブロックBLKの回路構成を示している。
【0022】
図2に示すように、ストリングユニットSUは、複数のNANDストリングNSを含む。
【0023】
NANDストリングNSは、複数のメモリセルトランジスタMC並びに選択トランジスタST1及びST2を含む。図2の例では、NANDストリングNSは、8個のメモリセルトランジスタMC0~MC7を含む。なお、NANDストリングNSに含まれるメモリセルトランジスタMCの個数は、任意である。
【0024】
メモリセルトランジスタMCは、データを不揮発に記憶するメモリ素子である。メモリセルトランジスタMCは、制御ゲート及び電荷蓄積膜を含む。メモリセルトランジスタMCは、MONOS(Metal-Oxide-Nitride-Oxide-Silicon)型であってもよいし、FG(Floating Gate)型であってもよい。MONOS型は、電荷蓄積膜に絶縁層を用いる。FG型は、電荷蓄積膜に導電体を用いる。以下では、メモリセルトランジスタMCがMONOS型である場合について説明する。
【0025】
選択トランジスタST1及びST2は、スイッチング素子である。選択トランジスタST1及びST2は、各種動作時におけるストリングユニットSUの選択にそれぞれ使用される。NANDストリングNSに含まれる選択トランジスタST1及びST2の個数は任意である。選択トランジスタST1及びST2は、NANDストリングNSにそれぞれ1個以上含まれていればよい。
【0026】
NANDストリングNS内の選択トランジスタST2、メモリセルトランジスタMC0~MC7、及び選択トランジスタST1の電流経路は、直列に接続される。選択トランジスタST1のドレインは、ビット線BLに接続される。選択トランジスタST2のソースは、ソース線SLに接続される。
【0027】
同一のブロックBLK内のメモリセルトランジスタMC0~MC7の制御ゲートは、それぞれワード線WL0~WL7に共通に接続される。より具体的には、例えば、ブロックBLKは、4つのストリングユニットSU0~SU3を含む。そして、各ストリングユニットSUは、複数のメモリセルトランジスタMC0をそれぞれ含む。ブロックBLK内の複数のメモリセルトランジスタMC0の制御ゲートは、1つのワード線WL0に共通に接続される。メモリセルトランジスタMC1~MC7も同様である。
【0028】
ストリングユニットSU内の複数の選択トランジスタST1のゲートは、1つの選択ゲート線SGDに共通に接続される。より具体的には、ストリングユニットSU0内の複数の選択トランジスタST1のゲートは、選択ゲート線SGD0に共通に接続される。ストリングユニットSU1内の複数の選択トランジスタST1のゲートは、選択ゲート線SGD1に共通に接続される。ストリングユニットSU2内の複数の選択トランジスタST1のゲートは、選択ゲート線SGD2に共通に接続される。ストリングユニットSU3内の複数の選択トランジスタST1のゲートは、選択ゲート線SGD3に共通に接続される。
【0029】
ブロックBLK内の複数の選択トランジスタST2のゲートは、選択ゲート線SGSに共通に接続される。なお、選択ゲート線SGDと同様に、ストリングユニットSU毎に、異なる選択ゲート線SGSが設けられてもよい。
【0030】
ワード線WL0~WL7、選択ゲート線SGD0~SGD3、及び選択ゲート線SGSは、ロウデコーダ23にそれぞれ接続される。
【0031】
ビット線BLは、各ブロックBLKの各ストリングユニットSU内の1つのNANDストリングNSに共通に接続される。1つのビット線BLに接続された複数のNANDストリングNSには、同一のカラムアドレスが割り当てられる。各ビット線BLは、センスアンプ24に接続される。
【0032】
ソース線SLは、例えば複数のブロックBLK間で共有される。
【0033】
1つのストリングユニットSU内で共通のワード線WLに接続された複数のメモリセルトランジスタMCの集合は、例えば、「セルユニットCU」と表記される。例えば、書き込み動作及び読み出し動作は、セルユニットCU単位で実行される。
【0034】
1.1.3 半導体装置の貼合構造
次に、図3を参照して半導体装置1の貼合構造の概要について説明する。図3は、半導体装置1の貼合構造の概要を示す斜視図である。
【0035】
図3に示すように、アレイチップ10及び回路チップ20の各々は、互いに向かい合う面に設けられた複数の貼合パッドBPを含む。貼合構造では、アレイチップ10の貼合パッドBPと、回路チップ20の貼合パッドBPとが貼り合わされて、1つの貼合パッドBPが形成される。換言すれば、アレイチップ10に設けられた貼合パッドBPを構成する電極(導電体)と、回路チップ20に設けられた貼合パッドBPを構成する電極(導電体)とが貼り合わされることにより、貼合パッドBPが形成される。貼合パッドBPは、アクティブパッドとダミーパッドとを含む。アクティブパッドは、半導体装置1を動作させる際に、信号または電源の経路として機能する。すなわち、アクティブパッドは、信号及び電源のいずれかの経路に電気的に接続される。ダミーパッドは、半導体装置1を動作させる際に、信号及び電源のいずれの経路としても機能しない。すなわち、ダミーパッドは、信号及び電源のいずれの経路とも電気的に接続されない。
【0036】
以下では、アレイチップ10と回路チップ20とが貼り合わされる面(以下、「貼合面」と表記する)をXY面とする。XY面において互いに直交する方向をX方向及びY方向とする。また、XY平面に略垂直であり、アレイチップ10から回路チップ20に向かう方向をZ1方向とする。XY平面に略垂直であり、回路チップ20からアレイチップ10に向かう方向をZ2方向とする。Z1方向及びZ2方向のいずれかを限定しない場合は、Z方向と表記する。
【0037】
1.1.4 半導体装置の平面レイアウト
次に、図4を参照して、半導体装置1の平面レイアウトの一例について説明する。図4は、半導体装置1の平面図である。
【0038】
図4に示すように、半導体装置1の平面レイアウトは、大まかに、素子領域ERと、壁領域WRと、外周領域ORと、カーフ領域KRとを含む。更に、素子領域ERは、コア領域CRと、周辺回路領域PRとを含む。
【0039】
素子領域ERは、メモリセルアレイ11、シーケンサ21、電圧発生回路22、ロウデコーダ23、及びセンスアンプ24等の半導体装置1を構成する素子が設けられた領域である。
【0040】
コア領域CRは、例えば、素子領域ERの中央部に設けられた矩形の領域である。アレイチップ10のコア領域CRには、メモリセルアレイ11が配置される。回路チップ20のコア領域CRは、ロウデコーダ23及びセンスアンプ24が配置され得る。なお、コア領域CRは、任意の形状及び任意の領域に配置され得る。半導体装置1が複数のメモリセルアレイ11を有する場合、素子領域ERは、複数のコア領域CRを含み得る。
【0041】
周辺回路領域PRは、素子領域ERにおいて、コア領域CRの外周を囲むように設けられた、例えば四角環状の領域である。例えば、周辺回路領域PRには、シーケンサ21及び電圧発生回路22等が配置される。または、周辺回路領域PRには、半導体装置1と外部機器との接続に用いられる複数の外部接続端子が配置される。半導体装置1は、外部接続端子を介して、外部機器との信号の送受信を行う。また、半導体装置1は、外部接続端子を介して、外部から電源を供給される。
【0042】
壁領域WRは、素子領域ERの外周を囲むように設けられた、例えば四角環状の領域である。壁領域WRには、半導体装置1の外周を同電位(接地電位VSS)に固定して、電源線及びウェル等の電位を安定させるための部材が設けられる。例えば、壁領域WRに設けられた部材は、静電気を基板に逃がす機能を有する。これにより、静電気による素子等の破壊が抑制される。
【0043】
外周領域ORは、壁領域WRを囲むように設けられた、例えば四角環状の領域である。半導体装置1は、ウェハ上に複数形成され、ダイシング工程において、チップ毎に切り分けられる。外周領域ORは、例えばダイシング工程において、半導体装置1の端部にクラックや層間絶縁膜等の剥離が発生した際、半導体装置1の内側にクラックあるいは剥離が到達するのを抑制するために設けられる。
【0044】
カーフ領域KRは、外周領域ORの外周を囲むように設けられた、例えば四角環状の領域である。カーフ領域KRは、チップ端部を含む端部領域である。カーフ領域KRは、ウェハ上に形成された複数の半導体装置1の間に設けられた領域である。ダイシング工程において、カーフ領域KRを切断することにより、ウェハ上に形成された複数の半導体装置1がチップ毎に切り分けられる。例えば、カーフ領域KRには、半導体装置1の製造時に使用されるアライメントマーク及び特性チェック用パターン等が設けられる。カーフ領域KR内の構造体は、ダイシング工程によって除去されてもよい。
【0045】
1.1.5 半導体装置の断面構造
次に、図5を参照して、半導体装置1の断面構造の一例について説明する。図5は、半導体装置1の断面構造の一例を示す断面図である。図5の例は、図4のA1-A2線に沿ったX方向の断面を示している。
【0046】
図5に示すように、半導体装置1は、アレイチップ10と回路チップ20とが貼り合わされた貼合構造を有する。アレイチップ10は、半導体層101、絶縁層102、111、112、113、114、115、117、118、及び121、配線層103、106、108、及び116、導電体104、105、107、109、120、及び130、電極110、表面保護層119、並びにメモリピラーMPを含む。電極110は、電極110a及び110dを含む。回路チップ20は、半導体基板201、N型不純物拡散領域NW、P型不純物拡散領域PW、トランジスタTR、ゲート絶縁膜202、ゲート電極203、導電体204、206、208、及び210、配線層205、207、及び209、電極211、並びに絶縁層212及び213を含む。電極211は、電極211a及び211dを含む。
【0047】
1.1.5.1 アレイチップの断面構造
引き続き、図5を参照して、アレイチップ10の断面構造について説明する。
【0048】
1.1.5.1.1 コア領域の構造
まず、アレイチップ10のコア領域CRについて説明する。アレイチップ10のコア領域CRには、メモリセルアレイ11及びメモリセルアレイ11と回路チップ20とを接続するための各種配線が設けられる。
【0049】
半導体層101は、X方向及びY方向に延びる。コア領域CRに設けられた半導体層101は、ソース線SLとして機能する。例えば、半導体層101は、シリコンを含む。コア領域CRでは、半導体層101のZ1方向を向いた面上に、複数の絶縁層102と複数の配線層103とが1層ずつ交互に積層されている。図5の例では、10層の絶縁層102と10層の配線層103とが1層ずつ交互に積層されている。換言すれば、回路チップ20と半導体層101との間に、Z方向に離れて積層された複数の配線層103が設けられている。配線層103は、X方向に延びる。複数の配線層103は、ワード線WL、並びに選択ゲート線SGD及びSGSのいずれかとして機能する。絶縁層102は、絶縁材料として、酸化シリコン(SiO)を含む。配線層103は、例えば、導電材料としてタングステン(W)を含む。
【0050】
コア領域CRには、複数のメモリピラーMPが設けられる。1つのメモリピラーMPが1つのNANDストリングNSに対応する。メモリピラーMPは、例えば、Z方向に延びる円柱形状を有する。メモリピラーMPは、複数の絶縁層102及び複数の配線層103を貫通(通過)する。メモリピラーMPのZ2方向の端部(底面)は、半導体層101の膜内に達する。メモリピラーMPは、Z方向に延びる半導体膜を含む。メモリピラーMP内の半導体膜の一部は、半導体層101と接する。メモリピラーMPの構造の詳細については、後述する。
【0051】
メモリピラーMPのZ1方向を向いた面上には、導電体104が設けられる。導電体104は、例えば、Z方向に延びる円柱形状を有する。導電体104のZ1方向を向いた面上には、導電体105が設けられる。コア領域CRに設けられた導電体105は、例えば、Z方向に延びる円柱形状を有する。更に、導電体105のZ1方向を向いた面上には、配線層106が設けられる。コア領域CRには、例えば、X方向に並び、各々がY方向に延びる複数の配線層106が設けられる。複数のメモリピラーMPの各々は、導電体104及び105を介して、複数の配線層106のいずれかに電気的に接続される。メモリピラーMPが接続された配線層106は、ビット線BLとして機能する。導電体104は、例えば、タングステンを含む。導電体105及び配線層106は、例えば、銅(Cu)を含む。
【0052】
配線層106のZ1方向を向いた面上には、導電体107が設けられる。コア領域CRに設けられた導電体107は、例えば、Z方向に延びる円柱形状を有する。導電体107のZ1方向を向いた面上には、配線層108が設けられる。配線層108のZ1方向を向いた面上には、導電体109が設けられる。コア領域CRに設けられた導電体109は、例えば、Z方向に延びる円柱形状を有する。コア領域CRにおいて、導電体109のZ1方向を向いた面上には、電極110aが設けられる。すなわち、コア領域CRの複数の配線層106の各々は、導電体107、配線層108、及び導電体109を介して、いずれかの電極110aに電気的に接続される。なお、配線層106と電極110aとの間に設けられる配線層の層数は、任意である。また、図5では図示が省略されているが、コア領域CRには、配線層106と回路チップ20との間を電気的に接続する電極110a以外にも、配線層103と回路チップ20との間を電気的に接続する電極110aが設けられる。電極110aは、回路チップ20の電極211aと接する。電極110a及び211aは、貼合パッドBPaとして機能する。貼合パッドBPaは、アクティブパッドである。
【0053】
導電体107、配線層108、導電体109、及び電極110aは、例えば、導電材料として銅を含む。
【0054】
絶縁層111は、絶縁層102、配線層103、メモリピラーMP、導電体104、導電体105、配線層106、導電体107、配線層108、及び導電体109を覆うように設けられる。絶縁層111のZ1方向を向いた面上には、絶縁層112が設けられる。絶縁層112と同層には、複数の電極110が設けられる。絶縁層112は、回路チップ20の絶縁層213に接する。すなわち、絶縁層112と絶縁層213とが接する面が、貼合面である。
【0055】
半導体層101のZ2方向を向いた面上には、絶縁層113及び114が積層される。そして、半導体層101並びに絶縁層113及び114を覆うように、絶縁層115が設けられる。絶縁層113及び115は、例えば、絶縁材料として、酸化シリコンを含む。絶縁層114には、金属(例えば銅)の酸化防止機能を有する絶縁材料が用いられる。絶縁層114は、例えば、炭窒化シリコン(SiCN)または窒化シリコン(SiN)を含む。なお、絶縁層114は、省略されてもよい。
【0056】
絶縁層115のZ2方向を向いた面上には、配線層116が設けられる。コア領域CRの半導体層101は、Z2方向を向いた面上の絶縁層113~115が除去された領域において、配線層116と接する。以下、ソース線SLとして機能する半導体層101と配線層116とが接している領域を「SL接続領域SCR」とも表記する。すなわち、SL接続領域SCRは、コア領域CRにおいて、半導体層101の上の絶縁層115、絶縁層114、及び絶縁層113が除去された領域である。コア領域CRの配線層116は、半導体層101(ソース線SL)と回路チップ20とを電気的に接続する経路の一部として機能する。配線層116は、例えば、アルミニウム(Al)を含む。
【0057】
配線層116のZ2方向を向いた面上には、絶縁層117が設けられる。絶縁層117のZ2方向を向いた面上には、絶縁層118が設けられる。そして、絶縁層118のZ2方向を向いた面上には、表面保護層119が設けられる。絶縁層117及び118並びに表面保護層119は、素子領域ER、壁領域WR、及び外周領域ORの内周部分を覆うように設けられている。すなわち、外周領域ORの外周部分及びカーフ領域KRでは、絶縁層117及び118並びに表面保護層119は、除去されている。絶縁層117は、例えば、絶縁材料として、酸化シリコンを含む。絶縁層118は、例えば、透水性の低い絶縁材料として、窒化シリコンを含む。表面保護層119は、例えば、ポリイミド等の樹脂材料を含む。
【0058】
1.1.5.1.2 周辺回路領域の構造
次に、アレイチップ10の周辺回路領域PRについて説明する。
【0059】
周辺回路領域PRの半導体層101の内部には、絶縁層121が設けられている。周辺回路領域PRの半導体層101は、絶縁層115に設けられた突出部分PT1aにより、コア領域CRの半導体層101、すなわち、ソース線SLとして機能する半導体層101と、分離されている。換言すれば、周辺回路領域PRの半導体層101は、ソース線SLとして機能する半導体層101と電気的に絶縁されている。例えば、突出部分PT1aは、メモリセルアレイ11を囲む環状形状を有する。なお、突出部分PT1aは、コア領域CR内に設けられてもよい。突出部分PT1aは、絶縁層115のZ1方向を向いた面からZ1方向に延びる。突出部分PT1aは、絶縁層114、絶縁層113、半導体層101、及び半導体層101の内部に設けられた絶縁層121を貫通(通過)して、絶縁層111に接する。突出部分PT1aは、内部にボイド(空隙)を含んでいてもよい。
【0060】
周辺回路領域PRは、外部接続端子が設けられる外部接続端子領域BRを含む。外部接続端子領域BRでは、絶縁層117及び118並びに表面保護層119が除去され、配線層116の一部が露出している。外部接続端子として機能する(外部接続端子が設けられた)配線層116は、コア領域CRに設けられた配線層116とは電気的に絶縁される。外部接続端子が設けられた配線層116は、半導体層101を介して、複数の導電体130に電気的に接続される。図5の例では、X方向に並んで3つの導電体130が配置されている。導電体130は、コンタクトプラグCCとして機能する。コンタクトプラグCCは、外部接続端子が設けられた配線層116と、回路チップ20との電気的接続に用いられる。例えば、導電体130は、Z方向に延びる円柱形状を有する。導電体130は、例えば、タングステンを含む。
【0061】
配線層116と接する半導体層101は、絶縁層115に設けられた突出部分PT1bにより、周囲の半導体層101と分離される。例えば、突出部分PT1bは、環状形状を有する。突出部分PT1bは、絶縁層115のZ1方向を向いた面からZ1方向に延びる。突出部分PT1bは、絶縁層114、絶縁層113、半導体層101、及び半導体層101の内部に設けられた絶縁層121を貫通(通過)して、絶縁層111に接する。例えば、突出部分PT1bは、内部にボイド(空隙)を含んでいてもよい。以下、突出部分PT1bにより分離された半導体層101を、他の半導体層101と区別する場合、半導体層101_1と表記する。また、配線層116と半導体層101_1とが接続される領域を「CC接続領域CCR1」とも表記する。CC接続領域CCR1は、XY平面において、半導体層101_1の上の絶縁層115、絶縁層114、及び絶縁層113が除去された領域である。Z方向に見て、半導体層101_1の少なくとも一部には、絶縁層121が設けられていない。また、図5の例では、CC接続領域CCR1は、Z方向に見て、外部接続端子領域BRとはオーバーラップしていない。すなわち、突出部分PT1bで囲まれたCC接続領域CCR1内の半導体層101_1に接続された配線層116は、突出部分PT1bを含む絶縁層115上をXY平面に沿って延び、突出部分PT1bの環状形状の外側に配置された外部接続端子領域BRにおいて、絶縁層117及び118並びに表面保護層119から露出されて外部接続端子とされている。
【0062】
1つの半導体層101_1(突出部分PT1bにより周囲の半導体層101と分離された半導体層101_1)に接続された複数の導電体130は、例えば、導電体105を介して、1つの配線層106に接続される。配線層106は、導電体107、配線層108、及び導電体109を介して、いずれかの電極110aに電気的に接続される。すなわち、周辺回路領域PRには、外部機器と回路チップ20との間を電気的に接続するための電極110aが設けられる。なお、配線層106は、複数の導電体107、配線層108、及び導電体109の組を介して、複数の電極110aに電気的に接続されてもよい。
【0063】
絶縁層112と同層に、複数の電極110a及び110dが設けられる。電極110aは、対応する回路チップ20の電極211aに接する。電極110dは、対応する回路チップ20の電極211dに接する。電極110d及び211dは、貼合パッドBPdとして機能する。貼合パッドBPdは、ダミーパッドである。貼合パッドBPdは、アレイチップ10内のメモリセルアレイ11及び各種配線、並びに回路チップ20内の半導体基板201及び各種配線に対して電気的に絶縁される。
【0064】
1.1.5.1.3 壁領域の構造
次に、アレイチップ10の壁領域WRについて説明する。アレイチップ10の壁領域WRには、複数の壁構造W、及び壁構造Wと回路チップ20とを接続するための各種配線が設けられる。図5の例では、壁構造Wは、3つの壁構造W_1、W_2、及びW_3を含む。壁構造W_1~W_3はそれぞれ、導電体120_1~120_3を含む。導電体120_1~120_3は、例えば、タングステンを含む。
【0065】
図6を参照して、導電体120_1~120_3の平面レイアウトについて説明する。図6は、導電体120_1~120_3の平面レイアウトの一例を示す平面図である。なお、図6では、説明を簡略化するため、導電体120_1~120_3以外は、省略されている。
【0066】
図6に示すように、例えば、導電体120_1~120_3は、XY平面において、略四角環状の形状を有する。導電体120_1~120_3は、互いに接していない。なお、導電体120_1~120_3は、環状であれば、四角環状でなくてもよい。また、導電体120_1~120_3の各々は、XY平面において、複数に分割されていてもよい。導電体120_1は、素子領域ER(周辺回路領域PR)を囲むように設けられる。導電体120_2は、導電体120_1を囲むように設けられる。導電体120_3は、導電体120_2を囲むように設けられる。
【0067】
図5に示すように、導電体120_1~120_3の各々は、Z方向に延びる。導電体120_1~120_3のZ2方向の端部は、配線層116に接続される。より具体的には、導電体120_1~120_3のZ2方向の端部近傍において、半導体層101及び絶縁層113~115が除去され、絶縁層111のZ2方向を向いた面がZ1方向に掘り込まれている。すなわち、絶縁層111の溝が形成されている。これにより、導電体120_1~120_3のZ2方向の端部は、絶縁層111の掘り込まれた面(溝の底面)から突出している。配線層116は、Z2方向に突出した導電体120_1~120_3の端部を被覆する。以下、配線層116と導電体120_1~120_3とが接続される絶縁層111の溝領域を「壁接続領域WCR1」とも表記する。半導体層101の側面には絶縁層115が設けられている。このため、配線層116は、半導体層101とは接していない。配線層116を被覆するように、絶縁層117が設けられている。なお、絶縁層117の内部にボイドが設けられていてもよい。壁領域WRに設けられた配線層116は、コア領域CRに設けられた配線層116及び周辺回路領域PRに設けられた配線層116とは電気的に絶縁される。
【0068】
導電体120_1のZ1方向の端部は、導電体105に接続されない。導電体120_2のZ1方向の端部は、導電体105、配線層106、導電体107、配線層108、及び導電体109を介して、電極110aに電気的に接続される。同様に、導電体120_3のZ1方向の端部は、導電体105、配線層106、導電体107、配線層108、及び導電体109を介して、電極110aに電気的に接続される。
【0069】
導電体120_2と電気的に接続された導電体105、配線層106、導電体107、配線層108、導電体109、及び電極110aの各々は、素子領域ERを囲む四角環状の形状を有し得る。導電体120_3と電気的に接続された導電体105、配線層106、導電体107、配線層108、導電体109、及び電極110aの各々は、導電体120_2と電気的に接続された導電体105、配線層106、導電体107、配線層108、導電体109、電極110aを囲む四角環状の形状を有し得る。
【0070】
周辺回路領域PRと同様に、絶縁層112と同層に、複数の電極110a及び110dが設けられる。
【0071】
1.1.5.1.4 外周領域の構造
次に、アレイチップ10の外周領域ORについて説明する。外周領域ORに設けられた半導体層101は、コア領域CRに設けられた半導体層101及び周辺回路領域PRに設けられた半導体層101とは電気的に絶縁される。以下、外周領域ORに設けられた半導体層101を特定する場合、半導体層101_2と表記する。半導体層101_2の少なくとも一部は、表面保護層119によって覆われて(保護されて)いない。すなわち、半導体層101_2の少なくとも一部は、Z方向において、回路チップ20と表面保護層119との間に設けられていない。換言すれば、外周領域ORの一部は、表面保護層により表面が保護されていない。
【0072】
半導体層101_2のZ2方向を向いた面上には、Z2方向に延びる複数の突出部分PT2が設けられる。突出部分PT2は、例えば、絶縁層113を貫通する。突出部分PTのZ2方向を向いた面は、絶縁層114に接する。Z方向に見て、半導体層101_2の少なくとも一部には、絶縁層121が設けられていない。突出部分PT2は、アレイチップ10の製造工程において、半導体層101をアレイチップ10の基板(図示せず)に接地させる。例えば、突出部分PT2は、ドライエッチング時における半導体層101のチャージアップによるアーキングの抑制に使用される。なお、突出部分PT2は、設けられていなくてもよい。
【0073】
アレイチップ10の外周領域ORにおいて、絶縁層112と同層に、複数の電極110dが設けられる。
【0074】
1.1.5.2 回路チップの断面構造
次に、回路チップ20の断面構造について説明する。
【0075】
素子領域ER(コア領域CR及び周辺回路領域PR)では、半導体基板201のZ2方向を向いた面上に複数のトランジスタTRが設けられる。トランジスタTRは、シーケンサ21、電圧発生回路22、ロウデコーダ23、及びセンスアンプ24内の素子として用いられる。トランジスタTRは、ゲート絶縁膜202、ゲート電極203、半導体基板201に形成された図示せぬソース及びドレインを含む。ゲート絶縁膜202は、半導体基板201のZ2方向を向いた面上に設けられる。ゲート電極203は、ゲート絶縁膜202のZ2方向を向いた面上に設けられる。
【0076】
壁領域WR及び外周領域ORには、トランジスタTRは、設けられていない。
【0077】
素子領域ERでは、ゲート電極203、並びに半導体基板201のZ2方向を向いた面上に、導電体204が設けられる。壁領域WRでは、半導体基板201に設けられたN型不純物拡散領域NW、及び半導体基板201に設けられたP型不純物拡散領域PWのZ2方向を向いた面上に、導電体204が設けられる。
【0078】
導電体204のZ2方向を向いた面上には、配線層205が設けられる。配線層205のZ2方向を向いた面上には、導電体206が設けられる。導電体206のZ2方向を向いた面上には、配線層207が設けられる。配線層207のZ2方向を向いた面上には、導電体208が設けられる。導電体208のZ2方向を向いた面上には、配線層209が設けられる。配線層209のZ2方向を向いた面上には、導電体210が設けられる。素子領域ERに設けられた導電体204、206、208、及び210は、例えば、Z方向に延びる円柱形状を有する。壁領域WRに設けられた導電体204、206、208、及び210、並びに配線層205、207、及び209は、例えば、素子領域ERを囲む四角環状の形状を有する。壁領域WRに設けられたN型不純物拡散領域NW及びP型不純物拡散領域PWについては、これらと同様に四角環状の形状を有していてもよいし、素子領域ERを囲むように、四角環状の形状に沿って互いに離れて並ぶ複数の領域を有するように設けられてもよい。なお、回路チップ20に設けられる配線層の層数は、任意である。
【0079】
半導体基板201のZ2方向を向いた面上には、絶縁層212が設けられる。絶縁層212は、トランジスタTR、導電体204、配線層205、導電体206、配線層207、導電体208、配線層209、及び導電体210を覆うように設けられる。Z2方向における絶縁層212の上面上には絶縁層213が設けられる。
【0080】
絶縁層213と同層には、電極211a及び211dが設けられる。電極211aは、電極110a及び導電体210に接続される。電極211dは、電極110dに接続される。壁領域WRにおいて、導電体120_2に電気的に接続される電極211aは、素子領域ERを囲む四角環状の形状を有し得る。導電体120_3に電気的に接続される電極211aは、導電体120_2に電気的に接続される電極211aを囲む四角環状の形状を有し得る。
【0081】
ゲート電極203、導電体204、206、208、及び210、配線層205、207、及び209、並びに電極211a及び211dは、導電材料により構成され、金属材料、p型半導体、またはn型半導体等を含み得る。電極211a及び211dは、例えば、銅を含む。ゲート絶縁膜202、絶縁層212、及び絶縁層213は、例えば、絶縁材料として、酸化シリコンを含む。
【0082】
図5の例では、アレイチップ10の導電体120_2は、回路チップ20の半導体基板201のP型不純物拡散領域PWに電気的に接続される。アレイチップ10の導電体120_3は、回路チップ20の半導体基板201のN型不純物拡散領域NWに電気的に接続される。なお、導電体120_3がP型不純物拡散領域PWに電気的に接続され、導電体120_2がN型不純物拡散領域NWに電気的に接続されてもよい。また、例えば、導電体120_1がP型不純物拡散領域PWに電気的に接続されてもよい。
【0083】
1.1.6 貼合パッドの断面構造
次に、図7を参照して、貼合パッドBPの断面構造について説明する。図7は、貼合パッドBPdの断面構造の一例を示す断面図である。なお、以下の貼合パッドBPdに関する説明は、貼合パッドBPaについても、同様に成り立つ。
【0084】
図7に示すように、アレイチップ10と回路チップ20との貼合工程において、電極110dは、電極211dに接続される。図7の例では、貼合面における電極110dの面積と電極211dの面積とは、略等しい。このような場合、電極110dと電極211dとに銅を用いると、電極110dの銅と電極211dの銅とが一体化して、互いの銅の境界の確認が困難となり得る。但し、貼り合わせの位置ずれによる電極110dと電極211dとを貼り合わせた形状の歪み、銅のバリアメタルの位置ずれ(側面における不連続箇所の発生)により貼り合わせが確認できる。
【0085】
また、電極110d及び211dをダマシン法により形成する場合、それぞれの側面はテーパー形状を有する。このため、電極110dと電極211dとを貼り合わせた部分におけるZ方向に沿った断面の形状は、側壁が直線状とはならず、非矩形形状となる。
【0086】
また、電極110dと電極211dとを貼り合わせた場合、これらを形成する銅の底面、側面、及び上面をバリアメタルが覆う構造となる。これに対し、銅を用いた一般的な配線層では、銅の上面に銅の酸化防止機能を有する絶縁層(SiNまたはSiCN等)が設けられ、バリアメタルは設けられていない。このため、貼り合わせの位置ずれが発生していなくても、一般的な配線層との区別は可能である。
【0087】
1.1.7 メモリセルアレイの断面構造
次に、図8を参照して、メモリセルアレイ11の断面構造について説明する。図8は、メモリセルアレイ11の断面構造の一例を示す断面図である。図8では、メモリセルアレイ11に含まれる2個のメモリピラーMPが示される。
【0088】
図8に示すように、半導体層101は、例えば、3層の半導体層101a、101b、101cを含む。半導体層101aのZ1方向を向いた面上に、半導体層101bが設けられる。半導体層101bのZ1方向を向いた面上に、半導体層101cが設けられる。半導体層101bは、例えば、半導体層101aと半導体層101cとの間に設けられた絶縁層121を置き換える(リプレースする)ことにより形成される。半導体層101a~101cは、例えば、シリコンを含む。また、半導体層101a~101cは、例えば、半導体の不純物としてリン(P)を含む。
【0089】
半導体層101のZ1方向を向いた面上には、10層の絶縁層102と10層の配線層103とが1層ずつ交互に積層されている。図8の例では、10層の配線層103は、半導体層101に近い側から順に、選択ゲート線SGS、ワード線WL0~WL7、及び選択ゲート線SGDとして、それぞれ機能する。なお、選択ゲート線SGS及びSGDとして機能する配線層103は、それぞれ複数設けられてもよい。例えば、配線層103の導電材料として、窒化チタン(TiN)/タングステン(W)の積層構造が用いられ得る。この場合、窒化チタンは、タングステンを覆うように形成される。窒化チタンは、例えばCVD(chemical vapor deposition)によりタングステンを成膜する際、タングステンの酸化を抑制するためのバリア層、あるいはタングステンの密着性を向上させるための密着層としての機能を有する。また、配線層103は、酸化アルミニウム(AlO)等の高誘電率材料を含み得る。この場合、高誘電率材料は、導電材料を覆うように形成される。例えば、配線層103の各々において、配線層103の上下に設けられた絶縁層102及びメモリピラーMPの側面と接するように高誘電率材料が設けられる。そして、高誘電率材料と接するように窒化チタンが設けられる。そして、窒化チタンと接し、配線層103の内部を埋め込むようにタングステンが設けられる。例えば、高誘電率材料として、酸化アルミニウムが設けられている場合、メモリセルトランジスタMCは、MANOS(Metal-Aluminum-Nitride-Oxide-Silicon)型とも表記される。
【0090】
選択ゲート線SGDとして機能する配線層103のZ1方向を向いた面上には、絶縁層111が設けられる。
【0091】
メモリセルアレイ11内には、複数のメモリピラーMPが設けられる。例えば、メモリピラーMPは、Z方向に延びる略円柱形状を有している。メモリピラーMPは、10層の配線層103を貫通する。メモリピラーMPの底面は、半導体層101に達する。なお、メモリピラーMPは、Z方向に複数のピラーが連結された構造であってもよい。
【0092】
次に、メモリピラーMPの内部構成について説明する。メモリピラーMPは、ブロック絶縁膜140、電荷蓄積膜141、トンネル絶縁膜142、半導体膜143、コア膜144、及びキャップ膜145を含む。
【0093】
メモリピラーMPの側面の一部及びZ2方向を向いた底面には、外側から順に、ブロック絶縁膜140、電荷蓄積膜141、及びトンネル絶縁膜142が積層される。より具体的には、半導体層101bと同層及びその近傍において、メモリピラーMPの側面のブロック絶縁膜140、電荷蓄積膜141、及びトンネル絶縁膜142が除去される。トンネル絶縁膜142の側面及び底面、並びに半導体層101bに接するように半導体膜143が設けられる。半導体膜143は、メモリセルトランジスタMC並びに選択トランジスタST1及びST2のチャネルが形成される領域である。半導体膜143の内部は、コア膜144により埋め込まれる。Z1方向におけるメモリピラーMPの上部では、半導体膜143及びコア膜144の上端に、キャップ膜145が設けられる。キャップ膜145の側面は、トンネル絶縁膜142に接する。キャップ膜145は、例えば、シリコンを含む。キャップ膜145のZ1方向を向いた面上には、導電体104が設けられる。導電体104のZ1方向を向いた面上には、導電体105が設けられる。導電体105は、配線層106に接続されている。
【0094】
図9を参照して、メモリピラーMPのXY平面に沿った断面構造の一例を示す。図9は、図8のIX-IX線に沿った断面図である。より具体的には、図9は、配線層103を含む層におけるメモリピラーMPの断面構造を示す。
【0095】
配線層103を含む断面において、コア膜144は、例えば、メモリピラーMPの中央部に設けられる。半導体膜143は、コア膜144の側面を囲む。トンネル絶縁膜142は、半導体膜143の側面を囲む。電荷蓄積膜141は、トンネル絶縁膜142の側面を囲む。ブロック絶縁膜140は、電荷蓄積膜141の側面を囲む。配線層103は、ブロック絶縁膜140の側面を囲む。
【0096】
半導体膜143は、メモリセルトランジスタMC0~MC7並びに選択トランジスタST1及びST2のチャネル(電流経路)として使用される。トンネル絶縁膜142及びブロック絶縁膜140のそれぞれは、例えば、酸化シリコンを含む。電荷蓄積膜141は、電荷を蓄積する機能を有する。電荷蓄積膜141は、例えば、窒化シリコンを含む。
【0097】
図8に示すように、メモリピラーMPと、ワード線WL0~WL7として機能する配線層103が組み合わされることにより、メモリセルトランジスタMC0~MC7が構成される。同様に、メモリピラーMPと、選択ゲート線SGDとして機能する配線層103とが組み合わされることにより、選択トランジスタST1が構成される。メモリピラーMPと、選択ゲート線SGSとして機能する配線層103とが組み合わされることにより、選択トランジスタST2が構成される。これにより、各メモリピラーMPは、1つのNANDストリングNSとして機能し得る。
【0098】
1.1.8 CC接続領域の構造
次に、図10を参照して、CC接続領域CCR1の構造の一例について説明する。図10は、図5の領域E1の平面及び断面図である。なお、図10の平面図では、半導体層101及び101_1、絶縁層115の突出部分PT1b、並びに配線層116以外の層は省略されている。また、図10の断面図では、配線層116のZ2方向を向いた面上の絶縁層117及び118並びに表面保護層119は、省略されている。
【0099】
図10の平面図に示すように、例えば、絶縁層115の突出部分PT1bは、四角環状の形状を有する。突出部分PT1bが設けられている領域を「分離領域SR」とも表記する。分離領域SRにより、半導体層101_1は、他の半導体層101と分離される。すなわち、突出部分PT1bは、半導体層101_1を分離させる分離絶縁層として機能する。CC接続領域CCR1において、半導体層101_1のZ2方向を向いた面が配線層116と接している。図10の例では、1つの半導体層101_1に6個の導電体130が接している。換言すれば、6個の導電体130(コンタクトプラグCC)が、半導体層101_1を介して、1つの配線層116に電気的に接続されている。
【0100】
図10の断面図に示すように、周辺回路領域PRの半導体層101は、2層の半導体層(1対の半導体層)101a及び101cを含み、半導体層101bを含まない。すなわち、下層側の半導体層101cと上層側の半導体層101aとの間に、中間半導体層は設けられない。半導体層101aと半導体層101cとの間には、絶縁層121が設けられている。例えば、絶縁層121は、3層の絶縁層121a、121b、及び121cを含む。コア領域CR(メモリセルアレイ11)以外では、絶縁層121(121a~121c)を半導体層101bに置き換えるリプレース処理が行われていない。このため、半導体層101内に、絶縁層121a~121cが残存している。絶縁層121a及び121cは、絶縁材料として、例えば、酸化シリコンを含む。絶縁層121bは、絶縁材料として、例えば、窒化シリコンを含む。絶縁層121bは、絶縁層121a及び121cとのエッチング選択比が十分に得られる材料が用いられる。すなわち、絶縁層121bには、絶縁層121a及び121cと膜の組成が異なる材料が選択される。
【0101】
半導体層101_1には、半導体層101aと半導体層101cとの間に絶縁層121が設けられていない領域がある。図10の例では、CC接続領域CCR1及びその近傍領域において、絶縁層121が除去されている。このため、半導体層101_1の半導体層101aと半導体層101cとが、接している。従って、導電体130は、半導体層101_1(半導体層101a及び101c)を介して、配線層116と電気的に接続される。なお、半導体層101aと半導体層101cが接している領域、すなわち、絶縁層121が設けられていない領域は、分離領域SRよりも広くてもよい。この場合、半導体層101_1は、絶縁層121を含まない。
【0102】
配線層116は、CC接続領域CCR1において、比較的平坦な半導体層101_1の上に形成される。また、絶縁層115のZ2方向を向いた面上の配線層116とCC接続領域CCR1の配線層116との段差は、後述する壁接続領域WCR1の場合と比較して小さい。このため、配線層116の段差被覆性の劣化による配線層116の膜厚減少は、壁接続領域WCR1よりも小さい。
【0103】
絶縁層115の突出部分PT1bは、絶縁層114、絶縁層113、半導体層101a、絶縁層121(121a~121c)、及び半導体層101cを貫通している。なお、絶縁層121が設けられていない領域が分離領域SRよりも広い場合、突出部分PT1bが絶縁層121を貫通していなくてもよい。
【0104】
突出部分PT1bの内部には、ボイドVDが設けられている。ボイドVDは、絶縁層115形成時の段差被覆性(ステップカバレッジ)に依存する。図10の例は、プラズマCVDにより、絶縁層115を成膜した場合を示している。例えば、プラズマCVDにより形成された絶縁層115の段差被覆性は、ALD(Atomic Layer Deposition)と比較すると、良くない。このため、ボイドVDが形成されやすい。なお、ボイドVDは、形成されなくてもよい。
【0105】
1.1.9 壁接続領域の構造
次に、図11を参照して、壁接続領域WCR1の構造について説明する。図11は、図5の領域E2の断面図である。図11の例では、配線層116のZ2方向を向いた面上の絶縁層117及び118並びに表面保護層119は、省略されている。
【0106】
図11に示すように、壁領域WRの半導体層101は、2層の半導体層101a及び101cを含み、半導体層101bを含まない。半導体層101aと半導体層101cとの間には、絶縁層121(121a~121c)が設けられている。壁接続領域WCR1及びその近傍領域では、半導体層101、絶縁層121、絶縁層113、及び絶縁層114が除去されている。絶縁層114のZ2方向を向いた面、並びに半導体層101、絶縁層121、絶縁層113、及び絶縁層114の側面を覆うように、絶縁層115が形成されている。半導体層101、絶縁層121、絶縁層113、及び絶縁層114の側面に設けられた絶縁層115は、半導体層101と配線層116とを電気的に絶縁するためのサイドウォールとして機能する。
【0107】
壁接続領域WCR1において、絶縁層115は除去されている。そして、絶縁層111のZ2方向を向いた面がZ1方向に掘り込まれている。これにより、導電体120_1~120_3のZ2方向の端部は、絶縁層111の掘り込まれた面(溝の底面)から突出している。以下、導電体120_1~120_3の絶縁層111の溝の底面からZ2方向に突出した部分を、導電体120_1~120_3の突出部分と表記する。なお、導電体120_1~120_3の突出部分の側面には、絶縁層111が部分的に残存し得る。
【0108】
配線層116は、導電体120_1~120_3の突出部分を覆うように形成される。すなわち、配線層116は、導電体120_1~120_3と接する。導電体120_1~120_3を被覆する配線層116の形状は、配線層116の段差被覆性に依存する。図11の例は、スパッタリングを用いて配線層116を形成した場合を示している。スパッタリングにより形成された配線層116の段差被覆性は、例えばALDと比較すると良くない。このため、配線層116の膜厚は、導電体120の突出部分の根元部分(絶縁層111の溝の底面の近傍)において、他の領域よりも薄くなる。導電体120の突出部分の突出量が多くなるほど、この傾向は顕著になる。
【0109】
1.2 アレイチップの製造方法
次に、図12図17を参照して、アレイチップ10の製造方法の一例について説明する。図12図17は、アレイチップ10の製造工程の一例を示す断面図である。以下、導電体130形成までの工程に着目して説明する。
【0110】
図12に示すように、まず、アレイチップ10の半導体基板100の上に絶縁層113を成膜する。絶縁層113を加工して、突出部分PT2に対応する領域(溝)を形成する。次に、半導体層101aを成膜する。このとき、突出部分PT2に対応する領域(溝)も埋め込まれ、突出部分PT2が形成される。突出部分PT2は、半導体基板100に接する。半導体層101aの上に絶縁層121a、121b、及び121cを順に成膜する。次に、半導体層101_1に対応する領域(すなわち、CC接続領域CCR1)、及び半導体層101_2に対応する領域(すなわち、突出部分PT2の近傍領域)の絶縁層121a、121b、及び121cを除去する。
【0111】
図13に示すように、半導体層101a並びに絶縁層121a、121b、及び121cを覆うように、半導体層101cを成膜する。絶縁層121a、121b、及び121cが除去されている領域では、半導体層101aと半導体層101cとが接する。次に、コア領域CRのメモリセルアレイ11では、複数の絶縁層102と複数の犠牲層150とを1層ずつ交互に積層する。犠牲層150は、後述する工程において配線層103にリプレースされる。例えば、犠牲層150には、窒化シリコンが用いられる。そして、半導体基板100のZ1を向いた面全体を覆うように絶縁層111を成膜する。
【0112】
図14に示すように、コア領域CRのメモリセルアレイ11において、メモリピラーMPが形成される。より具体的には、まず、メモリピラーMPに対応するメモリホールを形成する。メモリホールは、犠牲層150、絶縁層102、半導体層101c、及び絶縁層121a~121cを貫通する。そして、メモリホールの底面は、半導体層101aの膜中に達する。ブロック絶縁膜140、電荷蓄積膜141、トンネル絶縁膜142、半導体膜143、及びコア膜144を順次成膜して、メモリホールを埋め込む。次に、メモリピラーMP上部の半導体膜143及びコア膜144が除去され、キャップ膜145が成膜される。絶縁層111のZ1方向を向いた面上のブロック絶縁膜140、電荷蓄積膜141、トンネル絶縁膜142、半導体膜143、コア膜144、及びキャップ膜145が除去される。
【0113】
図15に示すように、メモリピラーMPの上面を覆うように絶縁層111を成膜する。次に、絶縁層121を、半導体層101bにリプレースする。より具体的には、例えば、メモリセルアレイ11の図示せぬ領域において、スリットを形成する。スリットは、絶縁層111、犠牲層150、絶縁層102、半導体層101c、及び絶縁層121cを貫通する。スリットの底面は、絶縁層121の膜中に達する。例えば、ウエットエッチングにより、スリットの側面から、絶縁層121、ブロック絶縁膜140、電荷蓄積膜141、及びトンネル絶縁膜142を除去する。絶縁層121、ブロック絶縁膜140、電荷蓄積膜141、及びトンネル絶縁膜142が除去された領域に半導体層101bを形成する。これにより、メモリピラーMPの半導体膜143と半導体層101とが接続される。
【0114】
図16に示すように、次に、犠牲層150を配線層103にリプレースする。より具体的には、例えば、ウエットエッチングにより、スリットの側面から、犠牲層150を除去する。犠牲層150が除去された領域に配線層103を形成する。
【0115】
図17に示すように、メモリピラーMPの上に、導電体104を形成する。周辺回路領域PRにおいて、導電体130を形成する。壁領域WRにおいて、導電体120_1~120_3を形成する。このとき、導電体130及び導電体120_1~120_3の底面は、半導体層101cの膜中に達する。
【0116】
1.3 貼合構造の製造方法
次に、図18図22を参照して、貼合構造の製造方法の一例について説明する。図18図22は、貼合構造の製造工程の一例を示す断面図である。以下、配線層116形成までの工程に着目して説明する。
【0117】
図18に示すように、アレイチップ10と回路チップ20とを貼り合わせた後、半導体基板100を、例えば、CMP(Chemical Mechanical Polishing)により除去する。次に、絶縁層113のZ2方向を向いた面上に、絶縁層114及び絶縁層115を成膜する。なお、このときの絶縁層115は、絶縁層114の表面保護の目的で成膜されているため、比較的薄膜であり得る。
【0118】
図19に示すように、半導体層101を分離する。より具体的には、周辺回路領域PRでは、突出部分PT1a及びPT1bに対応する溝が形成される。すなわち、絶縁層115、絶縁層114、絶縁層113、半導体層101a、絶縁層121、及び半導体層101cが加工される。溝の底面は、絶縁層111に達する。これにより、半導体層101_1が形成される。また、壁領域WRでは、導電体120_1~120_3及びその近傍領域に対応する溝が形成される。これにより、外周領域ORの半導体層101_2が形成される。溝の底面では、導電体120_1~120_3のZ2方向の端部が露出している。
【0119】
図20に示すように、絶縁層115を成膜する。このとき、絶縁層115の膜厚は、突出部分PT1b(及び突出部分PT1a)を埋め込むため、また、壁領域WRにおいて、溝の側面に露出した半導体層101の側面にサイドウォールを形成するため、比較的厚膜とされる。
【0120】
図21に示すように、SL接続領域SCR、CC接続領域CCR1、及び壁接続領域WCR1を一括して加工する。より具体的には、コア領域CRのSL接続領域SCR及び周辺回路領域PRのCC接続領域CCR1では、絶縁層115、絶縁層114、及び絶縁層113が加工される。これにより、半導体層101aが露出する。このとき、壁領域WRの壁接続領域WCR1では、絶縁層115及び絶縁層111が加工される。これにより、絶縁層111が掘り込まれ、導電体120_1~120_3の突出部分が露出する。
【0121】
図22に示すように、配線層116を形成する。
【0122】
1.4 本実施形態に係る効果
本実施形態に係る構成であれば、半導体装置1の信頼性を向上させることができる。本効果について以下に説明する。
【0123】
例えば、導電体120と配線層116との接続部分では、絶縁層111の溝の底面から導電体120が突出している。そして、導電体120の突出部分を被覆するように配線層116が形成されている。このような構造では、配線層116形成時の段差被覆性に起因して、導電体120の突出部分の側面及び根元部分における配線層116の膜厚が減少する。導電体120の突出量が多くなると、この傾向は顕著となる。配線層116の膜厚が減少すると、EM(Electromigration)耐性が劣化する。このため、配線層116に流れる電流量が増加すると、配線層116の断線が発生しやすくなる。但し、導電体120は、半導体装置1の外周を同電位(接地電位VSS)に固定するために用いられる。また、導電体120は、素子領域ERを囲むように設けられているため、配線層116に接している領域が比較的広い。このため、配線層116から導電体120に流れる電流量(電流密度)は比較的少ない。また、導電体120は、配線層116と接することにより、チップ端部からの水の浸透を抑制できるため、このような構造が好適である。これに対し、導電体130に接続される配線層116には、外部接続端子が設けられている。このため、配線層116から導電体130(コンタクトプラグCC)に流れる電流量は比較的多い。従って、同じような構造を、導電体130と配線層116との接続部分に適用すると、EM耐性劣化により信頼性が低下するおそれがある。
【0124】
これに対し、本実施形態に係る構成であれば、周辺回路領域PRにおいて、配線層116は、半導体層101を介して、導電体130に接続できる。これにより、配線層116の接続部分(CC接続領域CCR1)における配線層116の段差を低減できる。また、配線層116は、平坦な半導体層101と接する。このため、配線層116形成時の段差被覆性に起因した膜厚低下を抑制できる。よって、配線層116の膜厚減少による信頼性の低下を抑制できる。
【0125】
更に、本実施形態に係る構成であれば、周辺回路領域PRにおいて、配線層116の段差を低減できる。これにより、半導体装置1のZ2方向の表面の段差を低減できる。よって、複数の半導体装置1を積層させる際に、積層された半導体装置1の間におけるボイドの発生リスクを低減できる。
【0126】
1.5 変形例
次に、第1実施形態について3つの変形例を説明する。以下、第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0127】
1.5.1 第1変形例
まず、図23を参照して、第1実施形態の第1変形例について説明する。図23は、半導体装置1の断面構造の一例を示す断面図である。
【0128】
図23に示すように、本例では、壁領域WRにおいて、CC接続領域CCR1の構造と同様に、導電体120_1~120_3は、半導体層101を介して、配線層116と電気的に接続されている。
【0129】
配線層116と接する半導体層101は、絶縁層115に設けられた突出部分PT1bにより、周囲の半導体層101と分離される。以下、壁領域WRにおいて、突出部分PT1bにより分離された環状領域内の半導体層101を、他の半導体層101と区別する場合、半導体層101_3と表記する。また、半導体層101_3と配線層116とが接続される領域を「壁接続領域WCR2」とも表記する。壁接続領域WCR2は、壁領域WRにおいて、半導体層101_3の上の絶縁層115、絶縁層114、及び絶縁層113が除去された領域である。Z方向に見て、半導体層101_3の少なくとも一部には、絶縁層121が設けられていない。これにより、導電体120_1~120_3は、半導体層101_3を介して、配線層116に電気的に接続される。
【0130】
1.5.2 第2変形例
次に、図24を参照して、第1実施形態の第2変形例について説明する。図24は、半導体装置1の断面構造の一例を示す断面図である。
【0131】
図24に示すように、本例では、第1実施形態の図5において、絶縁層113と絶縁層115との間に設けられていた絶縁層114が廃されている。
【0132】
1.5.3 第3変形例
次に、図25を参照して、第1実施形態の第3変形例について説明する。図25は、CC接続領域CCR1の平面及び断面図である。
【0133】
図25に示すように、本例では、第1実施形態の図10において、絶縁層121aと絶縁層121cとの間に設けられていた絶縁層121bが廃されている。
【0134】
1.5.4 変形例に係る効果
第1実施形態の第1~第3変形例に係る構成であれば、第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0135】
2.第2実施形態
次に、第2実施形態について説明する。第2実施形態では、第1実施形態と異なる半導体装置1の構成について説明する。以下、第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0136】
2.1 半導体装置の断面構造
まず、図26を参照して、半導体装置1の断面構造の一例について説明する。図26は、半導体装置1の断面構造の一例を示す断面図である。図26の例は、図4のA1-A2線に沿ったX方向の断面を示している。
【0137】
図26に示すように、アレイチップ10のコア領域CR及び外周領域OR並びに回路チップ20の構成は、第1実施形態と同様である。
【0138】
まず、アレイチップ10の周辺回路領域PRについて説明する。本実施形態では、外部接続端子が設けられた配線層116は、半導体層101(101c)及び複数の導電体130に接する。図26の例では、X方向に並んで3つの導電体130が配置されている。導電体130は、半導体層101(101c)を貫通している。導電体130のZ2方向の端部は、外部接続端子が設けられた配線層116と接している。
【0139】
配線層116と接する半導体層101は、絶縁層115により、周囲の半導体層101と分離されている。以下、分離された半導体層101を、半導体層101_4と表記する。また、配線層116と半導体層101_4及び導電体130とが接続される領域を「CC接続領域CCR2」とも表記する。CC接続領域CCR2は、周辺回路領域PRにおいて、絶縁層115、絶縁層114、絶縁層113、半導体層101a、及び絶縁層121が除去された領域である。
【0140】
導電体130のZ1方向の端部の接続は、第1実施形態の図5と同様である。
【0141】
次に、アレイチップ10の壁領域WRについて説明する。周辺回路領域PRと同様に、壁領域WRの配線層116は、半導体層101(101c)及び導電体120_1~120_3に接する。導電体120_1~120_3は、半導体層101(101c)を貫通している。導電体120_1~120_3のZ2方向の端部は、配線層116と接している。
【0142】
配線層116と接する半導体層101は、絶縁層115により、周囲の半導体層101と分離されている。以下、分離された半導体層101を、半導体層101_5と表記する。また、配線層116と半導体層101_5及び導電体120_1~120_3とが接続される領域を「壁接続領域WCR3」とも表記する。壁接続領域WCR3は、壁領域WRにおいて、絶縁層115、絶縁層114、絶縁層113、半導体層101a、及び絶縁層121が除去された領域である。
【0143】
導電体120_1~120_3のZ1方向の端部の接続は、第1実施形態の図5と同様である。
【0144】
2.2 CC接続領域の構造
次に、図27を参照して、CC接続領域CCR2の構造の一例について説明する。図27は、図26の領域E3の平面及び断面図である。なお、図27の平面図では、半導体層101及び101_4、分離領域SRとして機能する絶縁層115、並びに配線層116以外の層は省略されている。また、図27の断面図では、配線層116のZ2方向を向いた面上の絶縁層117及び118並びに表面保護層119は、省略されている。なお、壁接続領域WCR3の構造は、導電体130を導電体120_1~120_3に置き換えた場合と同様である。
【0145】
図27の平面図に示すように、絶縁層115により四角環状の分離領域SRが設けられている。分離領域SRにより、半導体層101_4は、他の半導体層101と分離される。CC接続領域CCR2において、半導体層101_4のZ2方向を向いた面及び複数の導電体130が配線層116と接している。図27の例では、1つの配線層116に6個の導電体130が接している。
【0146】
図27の断面図に示すように、半導体層101_4を除く周辺回路領域PRの半導体層101は、2層の半導体層101a及び101cを含み、半導体層101bを含まない。周辺回路領域PRの半導体層101(半導体層101_4を除く領域)では、半導体層101aと半導体層101cとの間に、絶縁層121a及び121cが設けられている。すなわち、絶縁層121bが設けられていない。
【0147】
半導体層101_4は、半導体層101cである。半導体層101_4は、半導体層101a及び半導体層101bを含まない。半導体層101_4のCC接続領域CCR2を除く領域では、半導体層101cのZ2方向を向いた面上に、絶縁層121b及び121cが設けられている。なお、絶縁層121b及び121cは、残存していなくてもよい。
【0148】
分離領域SRでは、絶縁層114、絶縁層113、半導体層101a、絶縁層121a~121c、及び半導体層101cが四角環状に除去されている。半導体層101_4のCC接続領域CCR2を除く領域では、絶縁層114、絶縁層113、半導体層101a、及び絶縁層121aが除去されている。そして、絶縁層114の面上と、絶縁層114、絶縁層113、半導体層101a、絶縁層121a、絶縁層121c、及び半導体層101cの側面と、半導体層101_4の上方の絶縁層121bの面上とを覆うように、絶縁層115が設けられている。絶縁層114、絶縁層113、半導体層101a、絶縁層121a、絶縁層121c、及び半導体層101cの側面に接する絶縁層115が分離領域SRとして機能する。分離領域SRにおいて、絶縁層115は、絶縁層111と接している。
【0149】
CC接続領域CCR2において、半導体層101_4(101c)の上の絶縁層115、絶縁層121b、及び絶縁層121cが除去されている。導電体130のZ2方向の端部は、半導体層101_4を貫通し、Z2方向に突出している。CC接続領域CCR2の半導体層101_4、及び導電体130の突出部分を覆うように配線層116が設けられている。すなわち、配線層116は、導電体130に接する。
【0150】
半導体層101_4、すなわち、半導体層101cのZ2方向を向いた面のZ2方向の高さ位置をT1とする。導電体130のZ2方向の端部のZ2方向の高さ位置をT2とする。半導体層101aのZ1方向を向いた面のZ2方向の高さ位置をT3とする。すると、高さ位置T1、T2、及びT3は、T1<T2<T3の関係にある。換言すると、Z方向において、導電体130のZ2方向の端部は、1対の半導体層101aと半導体層101cとの間に位置する。
【0151】
2.3 アレイチップの製造方法
次に、図28図33を参照して、アレイチップ10の製造方法の一例について説明する。図28図33は、アレイチップ10の製造工程の一例を示す断面図である。以下、導電体130形成までの工程に着目して説明する。
【0152】
図28に示すように、まず、アレイチップ10の半導体基板100の上に絶縁層113を成膜する。絶縁層113を加工して、突出部分PT2に対応する領域(溝)を形成する。次に、半導体層101aを成膜する。このとき、突出部分PT2に対応する領域(溝)も埋め込まれ、突出部分PT2が形成される。突出部分PT2は、半導体基板100に接する。半導体層101aの上に絶縁層121a及び121bを成膜する。次に、メモリセルアレイ11、半導体層101_4に対応する領域、及び半導体層101_5に対応する領域以外の絶縁層121bを除去する。
【0153】
図29に示すように、半導体層101aの上に絶縁層121cを成膜する。半導体層101_2に対応する領域(すなわち、突出部分PT2の近傍領域)の絶縁層121a及び121cを除去する。次に、半導体層101cを成膜する。突出部分PT2の近傍領域では、半導体層101aと半導体層101cとが接する。次に、コア領域CRにおいて、複数の絶縁層102と複数の犠牲層150とを1層ずつ交互に積層する。そして、半導体基板100のZ1を向いた面全体を覆うように絶縁層111を形成する。
【0154】
図30に示すように、第1実施形態の図14の説明と同様に、コア領域CRのメモリセルアレイ11において、メモリピラーMPが形成される。
【0155】
図31に示すように、第1実施形態の図15の説明と同様に、絶縁層121、並びに外周が絶縁層121で囲まれていた部分のブロック絶縁膜140、電荷蓄積膜141、及びトンネル絶縁膜142を、半導体層101bにリプレースする。
【0156】
図32に示すように、第1実施形態の図16の説明と同様に、犠牲層150を配線層103にリプレースする。
【0157】
図33に示すように、第1実施形態の図17の説明と同様に、メモリピラーMPの上に、導電体104を形成する。周辺回路領域PRにおいて、導電体130を形成する。壁領域WRにおいて、導電体120_1~120_3を形成する。導電体130及び導電体120_1~120_3に対応するパターンを加工する際、絶縁層121bをエッチングストッパとして用いる。例えば、導電体130及び導電体120_1~120_3の底面は、半導体層101c、絶縁層121c、及び絶縁層121bを貫通して、絶縁層121aに達する。なお、導電体130及び導電体120_1~120_3の底面は、絶縁層121bの膜中であってもよい。換言すれば、Z方向において、導電体130及び導電体120_1~120_3のZ2方向の端部は、半導体層101aと半導体層101cとの間に位置する。
【0158】
2.4 貼合構造の製造方法
次に、図34図38を参照して、貼合構造の製造方法の一例について説明する。図34図38は、貼合構造の製造工程の一例を示す断面図である。以下、配線層116形成までの工程に着目して説明する。
【0159】
図34に示すように、アレイチップ10と回路チップ20とを貼り合わせた後、半導体基板100を、例えば、CMPにより除去する。次に、絶縁層113のZ2方向を向いた面上に、絶縁層114及び絶縁層115を成膜する。なお、このときの絶縁層115は、絶縁層114の表面保護の目的で成膜されているため、比較的薄膜であり得る。
【0160】
図35に示すように、半導体層101を分離する。より具体的には、周辺回路領域PR及び壁領域WRにおいて、分離領域SR及びその内部領域の絶縁層115、絶縁層114、絶縁層113、半導体層101a、絶縁層121a、絶縁層121c、及び半導体層101cが加工される。このとき、半導体層101_4及び101_5に対応する領域では、絶縁層121bがエッチングストッパとして機能する。このため、半導体層101_4及び101_5、並びにその上の絶縁層121b及び121cは、除去されずに残存する。なお、半導体層101_4及び101_5、すなわち半導体層101cが残存していれば、その上面の絶縁層121b及び121cは、除去されてもよい。
【0161】
図36に示すように、絶縁層115を成膜する。このとき、絶縁層115の膜厚は、分離領域SRを埋め込むため、比較的厚膜とされる。
【0162】
図37に示すように、SL接続領域SCR、CC接続領域CCR2、及び壁接続領域WCR3を一括して加工する。より具体的には、コア領域CRのSL接続領域SCRにおいて、絶縁層115、絶縁層114、及び絶縁層113を加工する。これにより、SL接続領域SCRの半導体層101aが露出する。また、周辺回路領域PRのCC接続領域CCR2及び壁領域WRの壁接続領域WCR3では、絶縁層115並びに絶縁層121b及び121cを加工する。このとき、半導体層101cがエッチングストッパとして機能する。従って、絶縁層111が加工されるのを防止できる。これにより、CC接続領域CCR2では、半導体層101_4及び導電体130が露出する。また、壁接続領域WCR3では、半導体層101_5及び導電体120_1~120_3が露出する。
【0163】
図38に示すように、配線層116を形成する。配線層116は、半導体層101_4から露出した導電体130、及び半導体層101_5から露出した導電体120_1~120_3と接する。
【0164】
2.5 本実施形態に係る効果
本実施形態に係る構成であれば、第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0165】
具体的には、本実施形態に係る構成であれば、CC接続領域CCR2の加工において、半導体層101cをエッチングストッパとして用いることにより、絶縁層111がエッチングされるのを抑制できる。これにより、導電体130の半導体層101_4(101c)からの突出量を低減できる。また、配線層116の段差を低減できる。このため、配線層116形成時の段差被覆性に起因した膜厚低下を抑制できる。よって、配線層116の膜厚減少による信頼性の低下を抑制できる。
【0166】
また、本実施形態に係る構成であれば、周辺回路領域PRにおいて、配線層116の段差を低減できる。これにより、半導体装置1のZ2方向における表面の段差を低減できる。よって、複数の半導体装置1を積層させる際に、積層された半導体装置1の間においてボイドの発生リスクを低減できる。
【0167】
更に、本実施形態に係る構成であれば、導電体130に対応するパターン(ホール)を加工する際、絶縁層121bをエッチングストッパとして用いることができる。このため、導電体130のZ2方向の端部を半導体層101aと101cとの間に設けることができる。これにより、CC接続領域CCR2の加工後、導電体130のZ2方向の端部を露出させることができる。よって、導電体130は、配線層116に接する。このため、導電体130と配線層116とを接続した経路における抵抗値の上昇を抑制できる。
【0168】
2.6 変形例
次に、第2実施形態について2つの変形例を説明する。以下、第2実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0169】
2.6.1 第1変形例
まず、図39を参照して、第2実施形態の第1変形例について説明する。図39は、半導体装置1の断面構造の一例を示す断面図である。
【0170】
図39に示すように、本例では、第1実施形態の壁接続領域WCR1の構造と同様に、導電体120_1~120_3のZ2方向の端部は、絶縁層111の掘り込まれた面から突出している。そして、配線層116は、Z2方向に突出した導電体120_1~120_3の端部を覆うように形成されている。
【0171】
2.6.2 第2変形例
次に、図40を参照して、第2実施形態の第2変形例について説明する。図40は、CC接続領域CCR2の平面及び断面図である。
【0172】
図40に示すように、本例では、CC接続領域CCR2において、半導体層101_4(101c)が除去されている。この場合、配線層116は、絶縁層111に接する。例えば、CC接続領域CCR2を加工する際に、エッチングストッパである半導体層101cが残存しなかった場合に、このような構造になり得る。
【0173】
2.6.3 変形例に係る効果
第2実施形態の第1及び第2変形例に係る構成であれば、第2実施形態と同様の効果が得られる。
【0174】
3.変形例等
上記実施形態に係る半導体装置1は、基板(201)を含む第1チップ(20)と、前記第1チップと貼り合わされた第2チップ(10)とを含む。前記第2チップは、外部接続端子が設けられた第1配線層(116)と、前記第1配線層に接する第1半導体層(101_1)と、第1方向(Z方向)に延伸し、端部が前記第1半導体層に接し、前記第1チップと電気的に接続された導電体(130)とを含む。
【0175】
上記実施形態を適用することにより、半導体装置1の信頼性を向上できる。
【0176】
なお、実施形態は上記で説明した形態に限られず、種々の変形が可能である。
【0177】
更に、上記実施形態における「接続」とは、間に例えばトランジスタあるいは抵抗等、他の何かを介在させて間接的に接続されている状態も含む。
【0178】
更に、上記実施形態における「同層」とは、例えば、下地の段差によりZ方向の高さにずれが生じていても、同じ工程により成膜された層を含む。
【0179】
実施形態は例示であり、発明の範囲はそれらに限定されない。
【符号の説明】
【0180】
1…半導体装置
10…アレイチップ
11…メモリセルアレイ
20…回路チップ
21…シーケンサ
22…電圧発生回路
23…ロウデコーダ
24…センスアンプ
100、201…半導体基板
101、101_1~101_5、101a~101c…半導体層
102、111、112、113~115、117、118、121、121a~121c、212、213…絶縁層
103、106、108、116、205、207、209…配線層
104、105、107、109、120、130、204、206、208、210…導電体
110、110a、110d、211、211a、211d…電極
119…表面保護層
140…ブロック絶縁膜
141…電荷蓄積膜
142…トンネル絶縁膜
143…半導体膜
144…コア膜
145…キャップ膜
150…犠牲層
202…ゲート絶縁膜
203…ゲート電極
BP、BPa、BPd…貼合パッド
CCR1、CCR2…CC接続領域
CR…コア領域
MC0~MC7…メモリセルトランジスタ
PT1a、PT1b、PT2…突出部分
SGD0~SGD3…選択ゲート線
ST1、ST2…選択トランジスタ
SU0~SU3…ストリングユニット
WCR1、WCR2、WCR3…壁接続領域
WL0~WL7…ワード線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
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図20
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図27
図28
図29
図30
図31
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図33
図34
図35
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図37
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図39
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