(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024024458
(43)【公開日】2024-02-22
(54)【発明の名称】車両
(51)【国際特許分類】
B62D 25/20 20060101AFI20240215BHJP
B60R 22/26 20060101ALI20240215BHJP
【FI】
B62D25/20 G
B60R22/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022127291
(22)【出願日】2022-08-09
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木村 亮
【テーマコード(参考)】
3D018
3D203
【Fターム(参考)】
3D018CA08
3D203AA02
3D203AA31
3D203BB06
3D203BB20
3D203BB22
3D203CA22
3D203CB03
3D203CB19
3D203DA15
3D203DA55
3D203DB05
(57)【要約】
【課題】車両の衝突時に、チャイルドシートの支持強度を高めるためのブラケット構造を提供する。
【解決手段】この車両は、フロアパネルを有する車体と、チャイルドシートに設けられた固定部が着脱可能なアンカーと、フロアパネルに固定されているとともに、アンカーを支持する複数のブラケットと、を備える。複数のブラケットの少なくとも一つは、フロアパネルに固定されているとともに、アンカーが接続された第1ブラケットプレートと、フロアパネルに固定されているとともに、前方から第1ブラケットプレートに当接する第2ブラケットプレートと、を備える。第1ブラケットプレートは、フロアパネルへの固定箇所から第2ブラケットプレートとの当接部に向けて、前方へ変位している。第2ブラケットプレートは、フロアパネルへの固定箇所から第1ブラケットプレートとの当接部に向けて、後方へ変位している。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フロアパネルを有する車体と、
チャイルドシートに設けられた固定部が着脱可能なアンカーと、
前記フロアパネルに固定されているとともに、前記アンカーを支持する複数のブラケットと、を備え、
前記複数のブラケットの少なくとも一つは、
前記フロアパネルに固定されているとともに、前記アンカーが接続された第1ブラケットプレートと、
前記フロアパネルに固定されているとともに、車両前後方向前方から前記第1ブラケットプレートに当接する第2ブラケットプレートと、を備え、
前記第1ブラケットプレートは、前記フロアパネルへの固定箇所から前記第2ブラケットプレートとの当接部に向けて、車両前後方向前方へ変位しており、
前記第2ブラケットプレートは、前記フロアパネルへの固定箇所から前記第1ブラケットプレートとの当接部に向けて、車両前後方向後方へ変位している、車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書が開示する技術は、車両に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、車両が記載されている。この車両は、フロアパネルを有する車体と、フロアパネルに固定されているとともに、シートベルトが固定されるアンカーを有するブラケットとを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車両のフロアパネルには、上記したシートベルトが固定されるアンカーを有するブラケットだけでなく、チャイルドシートが着脱可能なアンカーを有するブラケットが固定されることがある。本明細書は、チャイルドシートの支持強度を高めるためのブラケット構造を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書が開示する技術は、車両に具現化される。この車両は、フロアパネルを有する車体と、チャイルドシートに設けられた固定部が着脱可能なアンカーと、前記フロアパネルに固定されているとともに、前記アンカーを支持する複数のブラケットと、を備える。前記複数のブラケットの少なくとも一つは、前記フロアパネルに固定されているとともに、前記アンカーが接続された第1ブラケットプレートと、前記フロアパネルに固定されているとともに、車両前後方向前方から前記第1ブラケットプレートに当接する第2ブラケットプレートと、を備える。前記第1ブラケットプレートは、前記フロアパネルへの固定箇所から前記第2ブラケットプレートとの当接部に向けて、車両前後方向前方へ変位している。前記第2ブラケットプレートは、前記フロアパネルへの固定箇所から前記第1ブラケットプレートとの当接部に向けて、車両前後方向後方へ変位している。
【0006】
上記した車両では、チャイルドシートに設けられた取付部が着脱可能なアンカーを支持するブラケットが設けられている。このブラケットの少なくとも一つは、第1ブラケットプレートと、第2ブラケットプレートとを備える。第1ブラケットプレートは、フロアパネルへの固定箇所から第2ブラケットプレートとの当接部に向けて、車両前後方向前方へ変位しており、第2ブラケットプレートは、フロアパネルへの固定箇所から第1ブラケットプレートとの当接部に向けて、車両前後方向後方へ変位している。このような構成によると、チャイルドシートから荷重が入力されるアンカーが、前後に分かれてフロアパネルに固定された二つのブラケットプレートによって支持される。これにより、例えば、車両に衝突が生じ、チャイルドシートからアンカーへ様々な方向に荷重が加えられたときでも、第1ブラケットプレートの変形、変位、回転を、第2ブラケットプレートによって回避又は抑制することができる。その結果、チャイルドシートが強固に支持される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施例の車両10の構成を概略的に示す図。破線は、リアシート2を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図面を参照して、実施例の車両10について説明する。本実施例の車両10は、路面を走行する電動車両である。車両10は、ユーザによって運転操作されるものに限られず、外部装置によって遠隔操作されるものや、自律走行するものであってもよい。
【0009】
ここで、図面における方向FRは、車両10の前後方向における前方を示し、方向RRは車両10の前後方向における後方を示す。また、方向LHは車両10の左右方向における左方を示し、方向RHは車両10の左右方向における右方を示す。また、方向UPは車両10の上下方向における上方を示し、方向DWは車両10の上下方向における下方を示す。
【0010】
図1に示すように、車両10は、車体12と複数の車輪とを備える。車体12は、フロアパネル16と一対のサイドメンバ18とクロスメンバ20とを備える。一対のサイドメンバ18は、フロアパネル16の左右両側を、車両10の前後方向に沿って延在している。クロスメンバ20は、フロアパネル16の下面に沿って左右方向に延在しており、溶接等によってフロアパネル16に接合されている。車両10は、バッテリユニット14をさらに備える。バッテリユニット14は、フロアパネル16の下方に位置している。バッテリユニット14は、モータに電力を供給する電源装置であり、繰り返し充電可能に構成されている。
【0011】
図1-3に示すように、車両10は、チャイルドシートのためのアンカーユニット22をさらに備える。アンカーユニット22は、アンカー24と、二つのブラケット26、28とを備える。アンカー24は、リアシート2の隙間からアクセス可能に配置され、チャイルドシートに設けられた固定部(不図示)が着脱可能に固定される。一例ではあるが、アンカー24は、1本の金属製の円柱棒を折り曲げることによって形成されている。アンカー24は、内側U字形状部24aと、外側U字形状部24bとを有し、各U字形状部24a、24bに、チャイルドシートの固定部が固定される。各ブラケット26、28は、アンカー24をフロアパネル16に対して支持する支持部材である。二つのブラケット26、28はともに、フロアパネル16の上面に位置しており、締結具30によって、それぞれフロアパネル16に固定されている。
【0012】
二つのブラケット26、28には、内側ブラケット26と、外側ブラケット28とが含まれる。内側ブラケット26の車両前後方向における位置は、外側ブラケット28の車両前後方向における位置と等しい。内側ブラケット26の車両幅方向における位置は、外側ブラケット28の車両幅方向における位置よりも内側である。二つのブラケット26、28の車両幅方向における間隔は、チャイルドシートの二つの固定部の車両幅方向における間隔に合わせて設定されている。内側ブラケット26には、内側U字形状部24aが固定され、外側ブラケット28には、外側のU字形状部24bが固定されている。
【0013】
そのため、チャイルドシートの固定部がアンカー24に固定されることで、チャイルドシートは、車体12に固定される。詳しくは、チャイルドシートの内側固定部は、アンカー24の内側U字形状部24aに固定され、チャイルドシートの外側固定部は、アンカー24の外側U字形状部24bに固定される。そして、チャイルドシートの固定部がアンカー24から取り外されることにより、チャイルドシートは、車体12から取り外される。このように、チャイルドシートは、アンカーユニット22によって、車体12に対して着脱可能に構成されている。
【0014】
図1-3に示すように、内側ブラケット26は、第1ブラケットプレート32と、第2ブラケットプレート34とを備える。第2ブラケットプレート34は、第1ブラケットプレート32の車両前後方向前方に配置されている。前述したように、内側ブラケット26は、締結具30によってフロアパネル16に固定されている。そのため、第1ブラケットプレート32は、第1固定箇所36において、締結具30によってフロアパネル16に固定されており、第2ブラケットプレート34は、第1固定箇所36よりも車両前後方向前方における第2固定箇所38において、締結具30によってフロアパネル16に固定されている。
【0015】
さらに、第2ブラケットプレート34は、前方から第1ブラケットプレート32に当接している。第1ブラケットプレート32は、フロアパネル16への第1固定箇所36から第2ブラケットプレート34との第1当接部40に向けて、車両前後方向前方へ変位している。第2ブラケットプレート34は、フロアパネル16への第2固定箇所38から第1ブラケットプレート32との第2当接部42に向けて、車両前後方向後方へ変位している。第1ブラケットプレート32の前面32aに設けられた第1当接部40と、第2ブラケットプレート34の後面34aに設けられた第2当接部42とは、互いに当接しており、第1ブラケットプレート32は、第2ブラケットプレート34によって支持されている。一例ではあるが、第1ブラケットプレート32には、車両前後方向前方へ突出する突出部32bが設けられており、当該突出部32bが、第1当接部40として、第2ブラケットプレート34の後面34aと当接している。
【0016】
上記した車両10では、チャイルドシートに設けられた取付部が着脱可能なアンカー24を支持するブラケット26、28が設けられている。内側ブラケット26は、第1ブラケットプレート32と、第2ブラケットプレート34とを備える。第1ブラケットプレート32は、フロアパネル16への第1固定箇所36から第2ブラケットプレート34との第1当接部40に向けて、車両前後方向前方へ変位しており、第2ブラケットプレート34は、フロアパネル16への第2固定箇所38から第1ブラケットプレート32との第2当接部42に向けて、車両前後方向後方へ変位している。このような構成によると、チャイルドシートから荷重が入力されるアンカー24が、前後に分かれてフロアパネル16に固定された二つのブラケットプレート32、34によって支持される。これにより、例えば、車両10に衝突が生じ、チャイルドシートからアンカー24へ様々な方向に荷重が加えられたときでも、第1ブラケットプレート32の変形、変位、回転を、第2ブラケットプレート34によって回避又は抑制することができる。その結果、チャイルドシートが強固に支持される。
【0017】
本実施例の第2ブラケットプレート34は、シートベルトのバックルを固定する固定部材44とともにフロアパネル16に固定されることができる。即ち、第2ブラケットプレート34は、第2固定箇所38において、フロアパネル16に対して固定部材44と共締することができる。このような構成によると、第2ブラケットプレート34を追加しても、フロアパネル16の固定箇所を追加する必要がなく、新たな取付作業が必要とされない。
【0018】
第1ブラケットプレート32の前面32aに設けられた第1当接部40と、第2ブラケットプレート34の後面34aに設けられた第2当接部42とは、当接部において、溶接等によって互いに接合されている。このような構成によると、第1ブラケットプレート32と第2ブラケットプレート34とが一体化された状態で、二つのブラケットプレート32、34をフロアパネル16に固定することができる。そのため、各ブラケットプレート32、34の固定時において、相対的な位置の調整が必要とされず、比較的簡便に固定することができる。なお、他の実施形態では、第1ブラケットプレート32と第2ブラケットプレート34とを別個にフロアパネル16に固定してもよい。
【0019】
第1ブラケットプレート32は、概してハット形材の構造を有しており、上方が開放された略U字形状の断面を有している。具体的には、第1ブラケットプレート32は、第1縦壁32cと、第2縦壁32dと、横壁32eとを備える。第1縦壁32cは車両幅方向内側に位置しており、第2縦壁32dは車両幅方向外側に位置している。第1縦壁32c及び第2縦壁32dは、車両幅方向において互いに対向している。第1縦壁32cの前端は、横壁32eを介して、第2縦壁32dの前端に接続されている。
【0020】
上記に加えて、第2ブラケットプレート34も、概してハット形材の構造を有しており、上方が開放された略U字形状の断面を有している。具体的には、第2ブラケットプレート34は、第1縦壁34bと、第2縦壁34cと、横壁34dとを備える。第1縦壁34bは車両幅方向内側に位置しており、第2縦壁34cは車両幅方向外側に位置している。第1縦壁34b及び第2縦壁34cは、車両幅方向において互いに対向している。第1縦壁34bの後端は、横壁34dを介して、第2縦壁34cの後端に接続されている。
【0021】
第1ブラケットプレート32の第1縦壁32cは、第2ブラケットプレート34の第1縦壁34bの延長線上に位置している。また、第1ブラケットプレート32の第2縦壁32dは、第2ブラケットプレート34の第2縦壁34cの延長線上に位置している。第1ブラケットプレート32の横壁32eは、車両幅方向において、第2ブラケットプレート34の横壁34dと同じ範囲に位置している。このような構成によると、車両10の衝突時において、第2ブラケットプレート34によって、第1ブラケットプレート32を効果的に支持することができる。
【0022】
内側ブラケット26は、フロアパネル16の上面に位置しており、外側ブラケット28は、サイドメンバ18及びフロアパネル16の上面に位置している。そのため、内側ブラケット26が固定される部分の剛性は、外側ブラケット28が固定される部分の剛性よりも小さくなる。そこで、本実施例では、内側ブラケット26が、前後に分かれてフロアパネル16に固定された二つのブラケットプレート32、34で構成されている。さらに、フロアパネル16に内側ブラケット26が固定される第1固定箇所36及び第2固定箇所38のいずれにおいても、フロアパネル16の下方にはクロスメンバ20が設けられている。このような構成によると、内側ブラケット26をフロアパネル16に対して強固に固定することができる。なお、他の実施形態では、外側ブラケット28も、内側ブラケット26と同様に、前後に分かれてフロアパネル16に固定された二つのブラケットプレート32、34で構成されてもよい。
【符号の説明】
【0023】
10:車両、16:フロアパネル、22:アンカーユニット、24:アンカー、24a、24b:U字形状部、26、28:ブラケット、32:第1ブラケットプレート、34:第2ブラケットプレート、40:第1当接部、42:第2当接部