(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024002446
(43)【公開日】2024-01-11
(54)【発明の名称】シフトレバー装置及び車両
(51)【国際特許分類】
B60K 20/02 20060101AFI20231228BHJP
【FI】
B60K20/02 A
B60K20/02 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022101622
(22)【出願日】2022-06-24
(71)【出願人】
【識別番号】391064005
【氏名又は名称】株式会社アツミテック
(74)【代理人】
【識別番号】110002664
【氏名又は名称】弁理士法人相原国際知財事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 達哉
(72)【発明者】
【氏名】中島 亮
【テーマコード(参考)】
3D040
【Fターム(参考)】
3D040AA01
3D040AA03
3D040AA14
3D040AA33
3D040AB01
3D040AC13
3D040AC17
3D040AC29
3D040AC36
3D040AC57
3D040AD04
(57)【要約】
【課題】各種シフト付属機構を備えた上で小型化し、各種設置場所に設置し易いシフトレバー装置を提供する。
【解決手段】車体に固定される基台部5と、基台部5に前後方向に揺動可能に支持されたシフトレバー2とともに、シフトレバー2の揺動を規制・解除する誤操作防止用ロック機構及び誤操作防止用ロック解除機構と、パーキングロック機構と、シフトレバー2の揺動位置を検出するパーキングスイッチ60といったシフト付属機構を有するシフトレバー装置1であって、誤操作防止用ロック機構を構成するロッド30、スプリング31、ディテント部32と、誤操作防止用ロック解除機構を構成するプッシュノブ35と、パーキングロック機構を構成するシフトロックソレノイド40及び突起部45と、パーキングスイッチ60は、いずれもシフトレバー2の軸線を通る揺動面上に配置される。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体に固定される基台と、前記基台に所定の平面上で揺動可能に支持されたシフトレバーと、前記シフトレバーの揺動を規制及び解除、または前記シフトレバーの揺動位置を検出する複数種類のシフト付属機構と、を有し、
前記シフトレバーの揺動位置によって変速機の変速段を選択する変速機用シフトレバー装置であって、
前記複数種類のシフト付属機構は、いずれも前記シフトレバーの軸線を通る当該シフトレバーの揺動面上に配置される
ことを特徴とする変速機用シフトレバー装置。
【請求項2】
前記シフト付属機構は、
所定の前記変速段から所定の他の前記変速段への移動を規制するように前記シフトレバーの揺動を規制する誤操作防止用ロック機構と、
前記誤操作防止用ロック機構による前記シフトレバーの揺動の規制を解除する誤操作防止用ロック解除機構と、
を有する誤操作防止機構を含む
ことを特徴とする請求項1に記載の変速機用シフトレバー装置。
【請求項3】
前記誤操作防止用ロック解除機構は、前記シフトレバーの先端部のノブに備えられたロック解除用スイッチを有し、
前記誤操作防止用ロック機構は、前記基台に備えられたディテント部と、前記シフトレバー内に軸線方向に移動可能に備えられたロッドと、前記ロッドを基端部側の方向に付勢する付勢手段と、を有し、
前記ロッドは、所定の前記変速段において前記基端部が前記ディテント部に係止され、前記ロック解除用スイッチの操作により前記ロッドが先端部側に移動して前記ディテント部との係止が解除される
ことを特徴とする請求項2に記載の変速機用シフトレバー装置。
【請求項4】
前記シフト付属機構は、
前記変速段がパーキングポジションであるときに、非励磁時に前記パーキングポジション以外の前記変速段への前記シフトレバーの移動を規制し、励磁時に前記パーキングポジション以外への前記変速段への前記シフトレバーの移動を許容するソレノイドユニットを有するパーキングロック機構を含む
ことを特徴とする請求項1に記載の変速機用シフトレバー装置。
【請求項5】
前記シフト付属機構は、
前記シフトレバーの揺動位置がパーキングポジションであることを検出するパーキングポジション検出手段を含む
ことを特徴とする請求項1に記載の変速機用シフトレバー装置。
【請求項6】
前記シフト付属機構は、
更に、前記シフトレバーの揺動位置がパーキングポジションであることを検出するパーキングポジション検出手段を有し、
前記ソレノイドユニットと前記パーキングポジション検出手段とは、前記シフトレバーの側方に当該シフトレバーの軸方向に並んで配置され、
前記ソレノイドユニットは、非励磁時に前記シフトレバーの側面から外方に突出した突起部に係止するロックピンを備え、
前記パーキングポジション検出手段は、前記突起部に当接した際に前記シフトレバーの揺動位置がパーキングポジションであることを検出する可動片を有するスイッチである
ことを特徴とする請求項4に記載の変速機用シフトレバー装置。
【請求項7】
前記ソレノイドユニットの非励磁時に、前記パーキングロック機構による前記パーキングポジション以外の前記変速段への前記シフトレバーの移動規制を機械的に解除するパーキングロックリリース機構を、更に備えた
こと特徴とする請求項4に記載の変速機用シフトレバー装置。
【請求項8】
前記パーキングロックリリース機構は、
パーキングロックリリーススイッチと、
前記パーキングロックリリーススイッチと前記パーキングロック機構の可動部とを連結するワイヤと、を有し、
前記パーキングロックリリーススイッチの操作により前記ワイヤを介して前記パーキングロック機構の可動部を可動させて、前記パーキングロック機構による前記シフトレバーの移動規制を解除する
ことを特徴とする請求項7に記載の変速機用シフトレバー装置。
【請求項9】
前記基台は、
前記車体に固定する固定部と、
前記固定部に着脱可能に固定され、前記シフトレバーの基部及び前記シフト付属機構が配置される基台本体部と、
を有することを特徴とする請求項1に記載の変速機用シフトレバー装置。
【請求項10】
請求項1から請求項9のいずれか1項の前記変速機用シフトレバー装置を備えたことを特徴とする車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、変速機のシフトレバー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の変速機の変速段を選択操作するシフトレバー装置の多くは、左右前席の間のセンターコンソールに配置されている。この左右前席の間のセンターコンソールには、シフトレバー装置の他に、カップホルダ、小物を置くトレイ、各種スイッチ等が設置される場合が多いので、以前よりシフトレバー装置を小型化する要求があった。特に車幅方向となる左右方向が小型化されたシフトレバー装置が要求されていた。
【0003】
例えば特許文献1では、シフトレバーを支持するケースを左右2分割の構造とし、シフトレバーを挟み込むように構成して、左右方向の寸法を抑え、車両のインストルメントルパネルにも配置できるようなコンパクトな構成のシフトレバー装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特に自動変速機のシフトレバー装置では、シフトロック機構、キーインターロック機構、誤操作防止機構、シフトロックリリース機構といったような各種のシフト付属機構が備えられている。したがって、シフトレバー装置本体だけをコンパクト化するだけでなく、これらのシフト付属機構を備えた上でシフトレバー装置をコンパクト化する必要がある。
【0006】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、各種シフト付属機構を備えた上でコンパクトに構成し、車両への搭載性を向上させる変速機用シフトレバー装置、及び当該変速機用シフトレバー装置を搭載した車両を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の変速機用シフトレバー装置は、車体に固定される基台と、前記基台に所定の平面上で揺動可能に支持されたシフトレバーと、前記シフトレバーの揺動を規制及び解除、または前記シフトレバーの揺動位置を検出する複数種類のシフト付属機構と、を有し、前記シフトレバーの揺動位置によって変速機の変速段を選択する変速機用シフトレバー装置であって、前記複数種類のシフト付属機構は、いずれも前記シフトレバーの軸線を通る当該シフトレバーの揺動面上に配置されることを特徴とする。
【0008】
好ましくは、前記シフト付属機構は、所定の前記変速段から所定の他の前記変速段への移動を規制するように前記シフトレバーの揺動を規制する誤操作防止用ロック機構と、前記誤操作防止用ロック機構による前記シフトレバーの揺動の規制を解除する誤操作防止用ロック解除機構と、を有する誤操作防止機構を含むとよい。
【0009】
好ましくは、前記誤操作防止用ロック解除機構は、前記シフトレバーの先端部のノブに備えられたロック解除用スイッチを有し、前記誤操作防止用ロック機構は、前記基台に備えられたディテント部と、前記シフトレバー内に軸線方向に移動可能に備えられたロッドと、前記ロッドを基端部側の方向に付勢する付勢手段と、を有し、前記ロッドは、所定の前記変速段において前記基端部が前記ディテント部に係止され、前記ロック解除用スイッチの操作により前記ロッドが先端部側に移動して前記ディテント部との係止が解除されるとよい。
【0010】
好ましくは、前記シフト付属機構は、前記変速段がパーキングポジションであるときに、非励磁時に前記パーキングポジション以外の前記変速段への前記シフトレバーの移動を規制し、励磁時に前記パーキングポジション以外への前記変速段への前記シフトレバーの移動を許容するソレノイドユニットを有するパーキングロック機構を含むとよい。
【0011】
好ましくは、前記シフト付属機構は、前記シフトレバーの揺動位置がパーキングポジションであることを検出するパーキングポジション検出手段を含むとよい。
【0012】
好ましくは、前記シフト付属機構は、更に、前記シフトレバーの揺動位置がパーキングポジションであることを検出するパーキングポジション検出手段を有し、前記ソレノイドユニットと前記パーキングポジション検出手段とは、前記シフトレバーの側方に当該シフトレバーの軸方向に並んで配置され、前記ソレノイドユニットは、非励磁時に前記シフトレバーの側面から外方に突出した突起部に係止するロックピンを備え、前記パーキングポジション検出手段は、前記突起部に当接した際に前記シフトレバーの揺動位置がパーキングポジションであることを検出する可動片を有するスイッチであるとよい。
【0013】
好ましくは、前記ソレノイドユニットの非励磁時に、前記パーキングロック機構による前記パーキングポジション以外の前記変速段への前記シフトレバーの移動規制を機械的に解除するパーキングロックリリース機構を、更に備えるとよい。
【0014】
好ましくは、前記パーキングロックリリース機構は、パーキングロックリリーススイッチと、前記パーキングロックリリーススイッチと前記パーキングロック機構の可動部とを連結するワイヤと、を有し、前記パーキングロックリリーススイッチの操作により前記ワイヤを介して前記パーキングロック機構の可動部を可動させて、前記パーキングロック機構による前記シフトレバーの移動規制を解除するとよい。
【0015】
好ましくは、前記基台は、前記車体に固定する固定部と、前記固定部に着脱可能に固定され、前記シフトレバーの基部及び前記シフト付属機構が配置される基台本体部と、を有するとよい。
【0016】
また、本発明の車両は、上記のいずれかの変速機用シフトレバー装置を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、変速機用シフトレバー装置に備えられる複数種類のシフト付属機構が、いずれもシフトレバーの軸線を通る当該シフトレバーの揺動面上に配置されるので、変速機用シフトレバー装置をシフトレバーの揺動面に対して垂直方向(左右方向)の寸法を抑制してコンパクトに構成することができる。これにより、変速機用シフトレバー装置の車両への搭載性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の一実施形態のシフトレバー装置の外形を示す斜視図である。
【
図2】本実施形態のシフトレバー装置の前面図である。
【
図3】本実施形態のシフトレバー装置の左側面図である。
【
図4】本実施形態のシフトレバー装置の組立図である。
【
図5】シフトレバー装置の誤操作防止機構の構造を示す縦断面図であり、シフトレバーロック状態を示す。
【
図6】シフトレバー装置の誤操作防止機構の構造を示す縦断面図であり、シフトレバーロック解除状態を示す。
【
図7】ニュートラルポジションでのシフトロックソレノイド及びパーキングスイッチの設置及び作動状態を示すシフトレバー装置の下部の内部の右側面図である。
【
図8】パーキングポジションでのシフトロックソレノイド及びパーキングスイッチの設置及び作動状態を示すシフトレバー装置の下部の内部の右側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0020】
図1は、本発明の一実施形態のシフトレバー装置1の形状を示す斜視図である。
図2は、本実施形態のシフトレバー装置1の正面図である。
図3は、本実施形態のシフトレバー装置1の左側面図である。
図4は、シフトレバー装置1の組立図である。
【0021】
本実施形態のシフトレバー装置1は、例えば自動車(車両)の左右前席の間のセンターコンソールに配置された自動変速機用のシフトレバー装置である。
【0022】
シフトレバー装置1は、センターコンソール内の車体構造物に固定され、センターコンソールの上面からシフトレバー2が上方に突出するように配置される。
【0023】
なお、以下では、センターコンソールに設置された状態での車両の上下方向、前後方向、左右方向を用いて、シフトレバー装置1(変速機用シフトレバー装置)の構造について説明する。
【0024】
シフトレバー装置1は、シフトレバー2を車両前後方向に揺動させて変速段を選択する装置であって、例えばシフトレバー2を最も前側に倒すことで、パーキング(P)レンジを選択し、後方に向かって順番に、リバースレンジ(R、リバースポジション)、ニュートラルレンジ(N、ニュートラルポジション)、ドライブレンジ(D、ドライブポジション)、ローレンジ(L、ローポジション)を選択可能になっている。
【0025】
図1~4に示すように、シフトレバー装置1は、車体に固定する基台部5(基台)と、基台部5に揺動可能に支持されるシフトレバー2を含む揺動部6とを備えている。
【0026】
基台部5は、車体に固定される基台下部ブラケット10(固定部)と、基台下部ブラケット10にボルト等によって固定される基台右ブラケット11及び基台左ブラケット12と、を有している。
【0027】
基台下部ブラケット10は、下面が車体の強度部材の上面に接する車体設置部10aと車体設置部10aから上方に延びて、基台右ブラケット11及び基台左ブラケット12に固定される基台接続部10bを有している。基台下部ブラケット10の車体設置部10aは、例えば前後左右端部の4か所で車体に固定され、前後方向に対して左右方向の寸法が短く構成されている。
【0028】
基台右ブラケット11及び基台左ブラケット12は、略板状であって、左右方向に互いに合わさってその内部に揺動部6の一部を収納する空間を形成する。基台右ブラケット11と基台左ブラケット12とは、その外側の縁部に設けられた複数のフック13によって互いに固定されるとともに、左右方向に延びるように配置される複数のボルト等によって基台接続部10bに共に固定される。
【0029】
揺動部6は、基台右ブラケット11と基台左ブラケット12との間に配置されるレバーブラケット21と、レバーブラケット21に固定されレバーブラケット21の上部から上方に突出するレバー外筒部22と、車両の運転者が握るノブ23と、を有している。
【0030】
レバーブラケット21は、左右方向に突出した揺動軸部21aを備え、当該揺動軸部21aが基台右ブラケット11及び基台左ブラケット12に夫々備えられた穴部25に挿入されて前後方向に揺動可能に支持される。
【0031】
レバー外筒部22は、上下端が夫々開放した円筒状の部材であって、上端にノブ23が固定される。
【0032】
レバーブラケット21の上部は、基台右ブラケット11及び基台左ブラケット12よりも上方で前方側に突出するアーム部21bを有しており、当該アーム部21bの前端部において、図示しない変速用ワイヤの一端部が接続可能な構成になっている。なお、変速用ワイヤの他端部は、変速機に接続されており、揺動部6の揺動により変速用ワイヤを押し引きすることで、その押し引き量がシフトレバー装置1において選択した変速段として車両の変速機に伝達される。
【0033】
図5、6は、シフトレバー装置1の誤操作防止機構の構造を示す縦断面図である。
図5はシフトレバーロック状態、
図6はシフトレバーロック解除状態を示している。
【0034】
図4、5、6に示すように、レバー外筒部22の内部には、円柱状のロッド30が備えられている。ロッド30は、レバー外筒部22に対して同軸かつ軸方向に移動可能に挿入されている。レバー外筒部22の上部にノブ23が固定されている。ロッド30の上端部とノブ23との間には、ノブ23及びレバー外筒部22に対してロッド30を下方側(基端部側)に付勢するスプリング31(付勢手段)が備えられている。
【0035】
ロッド30の下端部は、スプリング31による付勢によってロッド30が下方に位置したときに、基台部5の例えば基台左ブラケット12に備えられた段差形状のディテント部32に係止され、ロッド30の下端部の前後方向の移動、即ちシフトレバー2の揺動が規制されるように構成されている(
図5)。ロッド30がスプリング31の付勢力に抗して上方に移動したときに、ロッド30の下端部とディテント部32との係止が解除され、シフトレバー2の揺動が許容される(
図6)。ディテント部32は、ロッド30の下降時において、シフトレバー2の揺動位置が例えばパーキングポジションからリバースポジション、リバースポジションからパーキングポジション、ニュートラルポジションからリバースポジション、ドライブポジションからローポジションへの移動が夫々規制されるように構成されている。
【0036】
シフトレバー2のノブ23には、ロッド30の引き上げを行うためのプッシュノブ35(ロック解除用スイッチ)が備えられている。プッシュノブ35は、シフトレバー上部のノブ23の前側に備えられたプッシュスイッチである。
【0037】
プッシュノブ35は、ノブ23から前方に突出したプッシュ部35aと、プッシュ部35aの後部から後方に延びてロッド30の上端部に揺動可能に連結された棒状の連結部35bとが一体的に構成されている。プッシュ部35aの上端部は、ノブ23に前後方向に揺動可能に支持されている。
【0038】
スプリング31の付勢力によってロッド30は下方に付勢されているので、運転者がプッシュノブ35に触れていないときには、
図5に示すようにロッド30は下方に移動し、これに伴いプッシュノブ35は上端部を揺動中心としてその下部が前方に突出している。このようにロッド30が下方に付勢されているので、シフトレバー2がディテント部32に係止され、上記のようにパーキングポジションからからリバースポジションへの等のシフトレバー2の移動が規制される。
【0039】
運転者がプッシュノブ35を後方に押すと、
図6に示すように、スプリング31の付勢力に抗してロッド30を上方に移動させる。これにより、ロッド30の下端部とディテント部32との係合が解除され、シフトレバー2の前後方向の揺動が許容される。
【0040】
なお、ロッド30、スプリング31、ディテント部32が本発明の誤操作防止用ロック機構に該当する。また、プッシュノブ35が誤操作防止用ロック解除機構に該当する。
【0041】
また、シフトレバー装置1には、パーキングポジションからリバースポジション側への移動を規制するシフトロックソレノイド40(ソレノイドユニット)、シフトロックソレノイド40によるロック(移動規制)を強制的に解除するシフトロックリリース機構50(パーキングロックリリース機構)、シフトレバー2がパーキングポジションであることを検出するパーキングスイッチ60(パーキングポジション検出手段)が備えられている。
【0042】
図7、8は、シフトロックソレノイド40及びパーキングスイッチ60の設置及び作動状態を示すシフトレバー装置1の下部の内部の右側面図であり、
図7はニュートラルポジション、
図8はパーキングポジションでの状態を示す。詳しくは、
図7、8は、基台右ブラケット11の記載を省略して、基台右ブラケット11と基台左ブラケット12との間の空間内の構造を示している。
【0043】
図7、8に示すように、シフトロックソレノイド40は、基台右ブラケット11と基台左ブラケット12との間の空間に配置され、シフトレバー2のレバー外筒部22に対して前側に略同一平面上に配置される電磁アクチュエータである。シフトロックソレノイド40は、非励磁時に図示しないスプリングによって角柱状のロックピン41(可動部)が上方に突出する。励磁時にはロックピン41が下方に移動する。ロックピン41の突出方向の延長線がシフトレバー2の揺動中心(揺動軸部21a)より数cm程度前方位置付近を通過するように、シフトフトロックソレノイド40のロックピン41の向きが設定されている。
【0044】
レバーブラケット21には、レバー外筒部22の外壁面の径方向位置よりも前方に突出する突起部45が備えられている。突起部45の下面45aはシフトレバー2の揺動中心付近を中心とする略円弧状である。突起部45の下部側の先端面である前側面45bは、
図8に示すようにシフトレバー2がパーキングポジションであるときに、突出したシフトロックソレノイド40のロックピン41の先端部の側面と略平行であり、突出したロックピン41の先端部の側面に略接するように構成されている。
【0045】
例えば
図7に示すように、シフトレバー2がパーキングポジション以外のシフトポジションであるときには、突起部45の下面45aにシフトロックソレノイド40のロックピン41の上端部が接してロックピン41の突出量が抑えられている。
【0046】
したがって、シフトレバー2をパーキングポジション以外のシフトポジションからパーキングポジションに移動しようとする場合や、パーキングポジション以外のシフトポジションの間で移動しようとする場合には、シフトロックソレノイド40のロックピン41が突起部の45の下面45aに押されて下方に移動可能であるので、上記のようにプッシュノブ35を押してロッド30を押し上げれば、シフトレバー2のパーキングポジションへの移動が許容される。
【0047】
図8に示すように、シフトレバー2がパーキングポジションであるときには、シフトロックソレノイド40のロックピン41が突出して、突起部45の前側面45bの前側にロックピン41が位置する。
【0048】
シフトレバー2をパーキングポジションからリバースポジション側に移動しようとすると、シフトロックソレノイド40のロックピン41の側面が突起部45の前側面45bに当接し、ロックピン41を前方に押すが、ロックピン41の前方への移動は規制されるので、シフトレバー2のリバースポジション側への移動が規制される。したがって、シフトロックソレノイド40の非励磁時には、例えプッシュノブ35を押してロッド30を押し上げたとしても、シフトレバー2のリバースポジション側への移動が規制される。このとき、上記のようにシフトロックソレノイド40を励磁してロックピン41を下方に移動させると、シフトロックソレノイド40のロックピン41が突起部45の少なくとも前側面45bに接しなくなり、シフトレバー2のパーキングポジションからリバースポジション側への移動規制が解除される。これにより、例えば車両のブレーキ非操作時のような所定条件において、シフトロックソレノイド40を非励磁にすることで、シフトレバー2のパーキングポジションからリバースポジション側への操作を規制することが可能になる。
【0049】
なお、シフトロックソレノイド40及び突起部45が、本発明のパーキングロック機構に該当する。
【0050】
シフトロックリリース機構50は、
図1から4に示すように、シフトロックソレノイド40のロックピン41を機械的に下方に移動させる機構であり、一端部がロックピン41に連結されたワイヤ51と、ワイヤ51の他端部に設けられたパーキングロックリリーススイッチ52と、によって構成されている。
【0051】
パーキングロックリリーススイッチ52は、シフトレバー装置1の近傍、例えばカップホルダ内や、センターコンソールにおけるエスカッションカバーのうち、運転者等の乗員が意識的に操作しないと触れないような位置に配置されている。パーキングロックリリーススイッチ52は、クリップ形状の固定部53を有し、カップホルダ内やエスカッションカバーに容易に取り付け可能になっている。
【0052】
パーキングロックリリーススイッチ52の非操作時には、シフトロックソレノイド40が正常であれば、励磁及び非励磁によってロックピン41が移動可能である。しかしながら、シフトロックソレノイド40が励磁不能状態であると、ロックピン41によるシフトレバー2の移動規制について解除が不能となる。
【0053】
ここでパーキングロックリリーススイッチ52を押すと、ワイヤ51を介してシフトロックソレノイド40のロックピン41を機械的に励磁状態と同様に移動させることができる。これにより、例えば車両の蓄電池(バッテリ)の充電率が低下してシフトロックソレノイド40が励磁不能であったとしても、シフトロックリリース機構50のパーキングロックリリーススイッチ52を押すことで、シフトレバー2をパーキングポジションからニュートラルポジションに移動可能となり、車両の牽引等の移動が可能となる。
【0054】
図7、8に示すように、パーキングスイッチ60は、基台右ブラケット11と基台左ブラケット12との間の空間に配置され、シフトレバー2のレバー外筒部22に対して前側に略同一平面上に配置される電磁マイクロスイッチである。パーキングスイッチ60は、シフトロックソレノイド40の上側に並んで配置される。
【0055】
レバーブラケット21の突起部45には、パーキングスイッチ60を押すための突出面45cが備えられている。突出面45cは、突起部45の突出方向端部である前端部の上部に設けられ、前側面45bよりも前方に突出した面である。
【0056】
図7に示すように、シフトレバー2がパーキングポジション以外であるときには、レバーブラケット21の突起部45がパーキングスイッチ60の可動片60aに接触せずに、パーキングスイッチ60がOFFとなる。
【0057】
図8に示すように、シフトレバー2がパーキングポジションであるときには、レバーブラケット21の突起部45がパーキングスイッチ60の可動片60aを押してONになる。
【0058】
これにより、パーキングスイッチ60によりシフトレバー2がパーキングポジションであるか否かを検出することができる。パーキングスイッチ60の検出情報は、車両のキースイッチのインターロック等に使用される。
【0059】
以上のように本実施形態では、シフトレバー装置1に、誤操作防止機構(誤操作防止用ロック機構(30、31、32)、誤操作防止用ロック解除機構(35))、パーキングロック機構(40、41)、パーキングロックリリース機構(シフトロックリリース機構50)、キーインターロック機構の構成部品の1つであるパーキングスイッチ60といったシフト付属機構が備えられているが、これらのシフト付属機構のうち、誤操作防止機構、パーキングロック機構、パーキングスイッチ60は、基台右ブラケット11と基台左ブラケット12との間の空間に備えられ、シフトレバー2の軸線を通る当該シフトレバー2の揺動面上付近に配置されている。したがって、これらのシフト付属機構を含むシフトレバー装置1を、シフトレバー2の揺動面に対して垂直方向である左右方向にコンパクトに構成することができ、車両への搭載性を向上させることができる。本実施形態のようにシフトレバー装置1をセンターコンソールに備えた場合には、センターコンソールに備えられているカップホルダやナビゲーション装置の操作部等のような、シフトレバー装置1以外の機器の搭載スペースを大きく確保することができる。
【0060】
シフト付属機構のうち、誤操作防止機構として、パーキングポジションから他の変速段のように、所定の変速段から他の変速段への移動を規制するようにシフトレバー2の揺動を規制する誤操作防止用ロック機構が備えられている。誤操作防止用ロック機構は、基台部5に備えられたディテント部32と、シフトレバー2内に軸線方向に移動可能に備えられたロッド30と、ロッド30を基端部側の方向に付勢するスプリング31と、によって構成されており、パーキングポジション等の所定の変速段においてスプリング31によって付勢されたロッド30の下端部がディテント部32に係止されることで、シフトレバー2の移動が規制される。したがって、これらの誤操作防止用ロック機構をシフトレバー2の揺動面付近にコンパクトに構成することができる。
【0061】
また、シフト付属機構のうち、誤操作防止用ロック機構によるロックを解除する誤操作防止用ロック解除機構が備えられている。誤操作防止用ロック解除機構は、シフトレバー2の先端部のノブ23に備えられたプッシュノブ35によって構成されており、プッシュノブ35の操作によりロッド30を上端部側に移動させてディテント部32との係止が解除される。したがって、プッシュノブ35をノブ23内に備え、誤操作防止用ロック解除機構についてもシフトレバー2の揺動面上にコンパクトに構成することができる。
【0062】
シフト付属機構のうち、パーキングロック機構として、変速段がパーキングポジションであるときに、パーキングポジション以外の変速段(シフトポジション)へのシフトレバー2の移動を規制するパーキングロック機構が備えられている。パーキングロック機構は、シフトロックソレノイド40とシフトレバー2に備えられた突起部45とによって構成されている。
【0063】
シフトロックソレノイド40の非励磁時には、シフトロックソレノイド40のロックピン41が突起部45に係止されて、パーキングポジション以外の変速段へのシフトレバー2の移動が規制される。一方、シフトロックソレノイド40の励磁時には、シフトロックソレノイド40のロックピン41と突起部45との係止が解除され、パーキングポジション以外への変速段へのシフトレバー2の移動を許容する。
【0064】
このように、シフトロックソレノイド40の作動制御によって、パーキングポジションでのシフトレバー2の移動規制及び解除が切り替えられる。したがって、パーキングロック機構についても、シフトレバー2の揺動面上にコンパクトに構成することができる。
【0065】
シフト付属機構のうち、パーキングスイッチ60は、シフトレバー2の揺動位置がパーキングポジションであることを検出する検出手段であって、シフトレバー2の前方側にシフトロックソレノイド40の上方に並んで配置されている。
【0066】
特に、パーキングスイッチ60は、シフトレバー2に備えられた突起部45の移動を検出するので、パーキングスイッチ60の被検出部である突起部45と、シフトロック機構においてシフトロックソレノイド40のロックピン41の被係止部として使用される突起部45と、を兼用することができるので、シフトロック機構及びパーキングスイッチ60をまとめてコンパクトに構成することが可能になる。
【0067】
また、シフトレバー装置1には、上記のパーキングロック装置におけるロック解除機構として、パーキングロックリリース機構50が備えられている。
【0068】
パーキングロックリリース機構50は、パーキングロックリリーススイッチ52と、パーキングロックリリーススイッチ52とパーキングロック機構の可動部であるシフトロックソレノイド40のロックピン41とを連結するワイヤ51と、を有し、パーキングロックリリーススイッチ52の操作によりワイヤ51を介してパーキングロック機構のロックピン41を移動させて、パーキングロック機構によるシフトレバー2の移動規制を解除する。
【0069】
このように、パーキングロックリリース機構50は、機械的にパーキングロック機構のロックを解除する機構であるので、例えば蓄電池の充電率低下等によりシフトロックソレノイド40の作動不良時に、パーキングロックを解除することが可能になる。
【0070】
特に、パーキングロックリリース機構50はワイヤ51によってパーキングロック機構のシフトロックソレノイド40のロックピン41を移動させるので、シフトレバー装置1に備えられる構成部品を少なくすることができ、シフトレバー装置1の大型化を抑制することができる。
【0071】
また、パーキングロックリリーススイッチ52とシフトレバー装置1とは、ワイヤ51で接続されているので、パーキングロックリリーススイッチ52の設置位置を任意に設定することができ、パーキングロックリリーススイッチ52の設置性を向上させることができる。
【0072】
以上のように、シフト付属機構の個々の構成についてもコンパクトに構成することができるので、シフトレバー装置1全体の特に揺動面と垂直方向である左右方向の大きさを抑制して大幅にコンパクト化することが可能になる。
【0073】
また、基台部5は、車体に固定される基台下部ブラケット10と、基台右ブラケット11及び基台左ブラケット12からなりシフトレバー2の基部及び各シフト付属機構が配置される基台本体部とが、ボルトによって着脱可能に固定されているので、基台下部ブラケット10を交換することで、各種車体の形状に合わせて固定することが可能になる。
【0074】
また、上記実施形態のシフトレバー装置1は車両のセンターコンソールに備えられているが、車両のインストルメントパネルやステアリングコラムに備えられたシフトレバー装置に本発明を適用可能であり、基台下部ブラケット10を交換することで設置可能になる。これにより、基台下部ブラケット10以外の部品の共通化を図ることができる。
【0075】
以上で実施形態の説明を終えるが、本発明は上記した実施形態に限定されるものではない。例えば上記実施形態のシフトレバー装置1は、誤操作防止機構、誤操作防止用ロック解除機構、パーキングロック機構、パーキングロックリリース機構、パーキングスイッチ60等のシフト付属機構を備えているが、これらのうちいずれかを複数個(種類)備えたものであってもよい。
【0076】
また、上記の各実施形態において、各種部品の詳細な構造については適宜変更することができる。
【0077】
また、上記実施形態のシフトレバー装置1は、パーキングポジション、リバースポジション、ニュートラルポジション、ドライブポジション、ローポジションの5段の変速段に切り替え可能であるが、例えばスポーツポジション(スポーツモード)やセカンドポジション等の他の変速段も切り替え可能な変速機に対しても本発明を適用できる。
【符号の説明】
【0078】
1 シフトレバー装置(変速機用シフトレバー装置)
2 シフトレバー
5 基台部(基台)
10 基台下部ブラケット(固定部)
11 基台右ブラケット(基台本体部)
12 基台左ブラケット(基台本体部)
30 ロッド(誤操作防止用ロック機構)
31 スプリング(付勢手段、誤操作防止用ロック機構)
32 ディテント部(誤操作防止用ロック機構)
35 プッシュノブ(ロック解除用スイッチ、誤操作防止用ロック解除機構)
40 シフトロックソレノイド(ソレノイドユニット、パーキングロック機構)
41 ロックピン(可動部、パーキングロック機構)
45 突起部(パーキングロック機構)
60 パーキングスイッチ(パーキングポジション検出手段)
60a 可動片
50 シフトロックリリース機構(パーキングロックリリース機構)
52 パーキングロックリリーススイッチ
51 ワイヤ