(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024024473
(43)【公開日】2024-02-22
(54)【発明の名称】ノート類のリング開き体
(51)【国際特許分類】
B42F 13/16 20060101AFI20240215BHJP
B42D 15/00 20060101ALI20240215BHJP
【FI】
B42F13/16 A
B42D15/00 301A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022127319
(22)【出願日】2022-08-09
(71)【出願人】
【識別番号】591237179
【氏名又は名称】マルマン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100081547
【弁理士】
【氏名又は名称】亀川 義示
(72)【発明者】
【氏名】井口 泰寛
(72)【発明者】
【氏名】中山 桃子
(72)【発明者】
【氏名】細井 祥一朗
【テーマコード(参考)】
2C017
【Fターム(参考)】
2C017UD01
(57)【要約】
【課題】ノート類の表紙として使われ、必要に応じてノート類から取外してダブルリングを開環するリング開き体として使用できるようなものを得ようとする。
【解決手段】円環部4を形成したダブルリング3で綴られたノート類1の表紙5に、不連続切線によって取外しができる打抜き片7を形成する。上記表紙5から取外した打抜き片7を折畳んで、ノート類のダブルリングの円環部に差入れて拡開するための操作片とする。この操作片には、上記表紙から取外した打抜き片の一端を折曲げ、更にこれを折返した内方折曲げ部と、この内方折曲げ部の一端を更に折返した外方折曲げ部が設けられており、上記外方折曲げ部の先端部をダブルリングの一端部から円環部に差入れて他端側に向かって動かし、上記内方折曲げ部によって増した厚みにより円環部を押し拡げるようにする。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
円環部を形成したダブルリングで綴られたノート類を有し、該ノート類の表紙に、不連続切線によって取外しできる打抜き片を形成し、上記表紙から取外した打抜き片を折畳んでダブルリングの円環部に差入れて拡開する操作片としたノート類のリング開き体。
【請求項2】
上記操作片には、上記表紙から取外した打抜き片の一端を折曲げ、更にこれを折返した内方折曲げ部と、この内方折曲げ部の一端を更に折返した外方折曲げ部が設けられており、上記外方折曲げ部の先端部をダブルリングの一端部から円環部に差入れて他端側に向かって動かし、上記内方折曲げ部によって増した厚みにより円環部を押し拡げるようにする請求項1に記載のノート類のリング開き体。
【請求項3】
上記打抜き片には、打抜き片を上下に分けるような右側の切線と左側の第1折線を設け、上記第1折線と交叉し打抜き片を左と右に分ける第2折線と第3折線を設け、第2折線及び第3折線に並行し上記切線に交叉する第4折線及び第5折線を形成し、上記切線の右端部から第4折線に斜めに延びる第6折線を、同じく第5折線に斜めに延びる第7折線を形成しており、上記不連続切線を切り離した打抜き片の第1折線を山折りして、第2折線を谷折り、第4折線を山折り、第6折線を谷折りし、同様に第3折線を谷折り、第5折線を山折り、第7折線を谷折りして、折畳み状態を形成し、上記内方折曲げ部と外方折曲げ部を有する操作片を形成した請求項2に記載のノート類のリング開き体。
【請求項4】
上記第2折線、第3折線、第6折線及び第7折線には、折曲げを容易にするために、折線の中央部分に複数個の切目を設けている請求項3に記載のノート類のリング開き体。
【請求項5】
上記切線には、その中間部に容易に切り離せる連結部を設けている請求項3に記載のノート類のリング開き体。
【請求項6】
上記操作片には、上記表紙材料が折重ねられた4層積層部分と8層積層部分が形成されている請求項3に記載のノート類のリング開き体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダブルリングによって綴られたノート類のリングを開いて、ノート類の用紙を取り外したり、リングを取り外したりするときに使用するノート類のリング開き体に関する。
【背景技術】
【0002】
ノート類をリングによって綴るものとしては、一本の線材をスパイラル状にしてノート類の綴孔に順次挿通したスパイラルリングと、スパイラルになっていないダブルリングによって綴るものが良く知られている。
この一般的にダブルリングと言われているものは、線材を一定の幅につづら折り状に屈曲し、これを両側縁の屈曲部から横幅方向に回曲するようにして円環部を形成し、この円環部をノート類の綴り孔に通して全体を綴るようにしたものである。(特許文献1)
【0003】
上記ダブルリングでは、向い合うようにして円環部(リング)を形成している両側縁の屈曲部の間を拡げることにより、円環部を開環状態にすることが可能である。
しかしながら、こうした開環作業は容易ではなく、線材が使用されていることもあって、怪我をする危険性もある。
こうしたことから、ダブルリングのリングを開環するための用具も提供されている(特許文献2)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4631225号公報
【特許文献2】特許第5693663号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記したリングを開環するための用具は有効なものであるが、ノート類とは別体となっている。
そこで、ダブルリングで綴られたノート類と一体になっており、常時はノート類としての機能を果たし、必要に応じてノート類から取外して何時でもリングを開環することができるリング開き体として使用できるようなものを得ようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、円環部を形成したダブルリングで綴られたノート類を有し、このノート類の表紙に、不連続切線によって取外しができる打抜き片を形成するもので、上記表紙から取外した打抜き片を折畳んでノート類のダブルリングの円環部に差入れて拡開するための操作片としたノート類のリング開き体とするものである。
【0007】
また、上記した操作片には、上記表紙から取外した打抜き片の一端を折曲げ、更にこれを折返した内方折曲げ部と、この内方折曲げ部の一端を更に折返した外方折曲げ部が設けられており、上記外方折曲げ部の先端をダブルリングの一端部から円環部に差入れて他端側に向かって動かし、上記内方折曲げ部とによって増した厚みにより円環部を押し拡げるようにすることができるものである。
【0008】
さらに、上記打抜き片には、打抜き片を上下に分けるような右側の切線と左側の第1折線を設け、上記第1折線と交叉し打抜き片を左と右に分ける第2折線と第3折線を設け、第2折線及び第3折線に並行し上記切線に交叉する第4折線及び第5折線を形成し、上記切線の右端部から第4折線に斜めに延びる第6折線を、同じく第5折線に斜めに延びる第7折線を形成しており、上記不連続切線を切り離した打抜き片の第1折線を山折りして、第2折線を谷折り、第4折線を山折り、第6折線を谷折りし、同様に第3折線を谷折り、第5折線を山折り、第7折線を谷折りして、折畳み状態を形成して、上記内方折曲げ部と外方折曲げ部を有する操作片を形成してノート類のリング開き体とするものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、上記したようにダブルリングで綴られたノート類の表紙の部分に不連続切線によって取外し可能に打抜き片が形成されているので、ノート類のノート用紙を取外したり、リングを取除きたいときには何時でも、打ち抜き片を表紙から取外してこれを折畳むようにすれば、操作片を形成することができ、この操作片の一端部をダブルリングの円環部に差し入れてリングの他端側に移動させると円環部は押し拡げられるようになるので、容易にリングを開環することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施例を示し、ノートの表紙に打抜き片を設けた状態を示す平面図である。
【
図2】
図1に示す打抜き片を表紙から取外した状態を示す説明図である。
【
図3】
図2で取外した打抜き片を90度回転して折畳み状態を示す説明図である。
【
図4】
図3に示す折畳み状態が完成した操作片の斜視図である。
【
図5】
図4に示すものをダブルリングの一端部のリングに差入れ状態を示す説明図である。
【
図6】
図5に続いてダブルリングの他端部に向かって操作片を動かした状態を示す説明図である。
【
図7】本発明の他の実施例を示す打抜き片を取外した状態の平面図である。
【
図8】更に他の実施例を示す打抜き片を取外した状態の平面図である。
【
図9】他の例を示す打抜き片を取外した状態の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
ノート類は、表表紙と裏表紙の間に多数の用紙が挟まれていて、その一側縁には多数の綴り孔2が設けられており、この綴り孔2にはダブルリング3が通されて円環部4が形成され、ダブルリングで綴られたノート類1とされている。
【0012】
ノート類の表紙は、間に挟まれている用紙よりも厚手の板紙であって適宜の厚さとされるが、表紙としてはやや厚めのもので、好ましくは米坪重量が約250~400g/m2程度で、厚みが0.35~0.45mm程度のものを使用すると良いことが多い。
場合によってはプラスチック製の表紙であってもよい。
こうしたノート類の表紙5には、不連続切線6によって打抜き片7が形成されている。通常は、裏表紙に設けると良いが、表表紙であってもよいし、場合によっては両方に設けることもできる。
上記したノート類とは、ノート、スケッチブック、画帳、手帳、カレンダーなどのダブルリングを使用して綴られるような種々のものを含む広い概念である。
【0013】
図示するものでは、表紙5に四葉型をした打抜き片7が不連続切線6によって形成されている。
この打抜き片7には、打抜き片を上下に分けるような右側の切線8と左側の第1折線11とを設けており、上記第1折線11と交叉して打抜き片7を左右に分ける第2折線12と第3折線13を設けている。
【0014】
そして、この第2折線12及び第3折線13に並行するように、切線8のある側には第4折線14及び第5折線15を形成している。また、上記切線8の右端部9から第4折線14に向かって斜めに延びる第6折線16を形成し、同様に第5折線15に向かって斜めに延びる第7折線17を形成している。
上記説明では、上、下、左、右などの用語を用いたが、これは、相対的な位置関係を判り易く説明する為であって、絶対的な位置関係を意味するものではない。以下の説明においても同様である。
【0015】
上記切線8の中間部には適宜数の連結部18を設けたりすることができ、また、第2折線12,第3折線13、第6折線16,第7折線17には、各折線の中間部に複数の切目19を設けたりすることができる。
上記した連結部18を設けることによってノート類として使用されているときには、切線が長く切られていることがあっても、この切線に他の物に引っ掛かったりするようなことが無いし、打抜き片を使用するときには連結部18を切り離すことによって容易に全体を切線にすることが出来る。
また、上記の各折線に設けた切目19は、打抜き片として使用するときに、表紙が厚手のものを使用した場合であっても、各折線の折り曲げる作業を容易に行うことができる。
【0016】
この表紙に設けられた打抜き片7を使用するときは、先ず、不連続切線6を切離して打抜き7を表紙5から取外す。(
図2)
この取外した打抜き片7は、以下の説明を判り易くするために、
図3に示すように切線8の連結部18を切離し、全体を90度回転した状態で説明する。
上記打抜き片7の第1折線11を山折りする。上記第2折線12を谷折りし、第4折線14を山折りすると内方折曲げ部21が形成され、第6折線16を谷折りすることにより外方折曲げ部22が形成される。これと同様に第3折線13を谷折りし、第5折線15を山折りすると内方折曲げ部21が形成され、第7折線17を谷折りすることにより外方折曲げ部22が形成される。
こうした折畳み状態に形成することにより、操作片23が形成される。
【0017】
上記では、打抜き片7の第1折線11を山折りしてから、順次、上記第2折線12、第4折線14、第6折線16と折畳み、同様に第3折線13、第5折線15、第7折線17と折畳んだが、最初に上記第2折線12、第4折線14、第6折線16と折畳み、同様に第3折線13、第5折線15、第7折線17と折畳んだ後で、第1折線11を折畳んで操作片23とすることもでき、折畳みの順序は適宜に変更することができる。
【0018】
こうしたリング開き体25の操作片23は、外方折曲げ部22の先端部24を、ダブルリング3の一端部側から円環部4に差入れ、更にリングの他端側に向かって移動させるようにすると、外方折曲げ部22と内方折曲げ部21が重なり合った部分では折畳まれた表紙の材料が多く折重なった状態になっているので、ダブルリング3の円環部4を順次押し拡げるようになり、これによって円環部が開いた状態にすることができる。(
図5,
図6)
こうして円環部が開いたダブルリングから、綴られていたノート類の必要なノート用紙を抜き取ったり、ダブルリング自体を取除くことが出来るようになる。
ダブルリングを取外した場合には、廃棄に当ってダブルリングと用紙類を分別して処分することができる。
【0019】
図7~
図9には他の実施例を示しており、
図7に示す打抜き片では、右側の切線8よりも左側の第1折線11の長さが短くなるように形成されているものである。
図8に示す打抜き片では、上記した四葉状に替えてほぼ円形状に形成したものである。
図9に示すものは、ほぼ角形状を為しているものである。
これらのものも、上記したものに準じて同様に使用することができるものであり、打抜き片の形状が特に限定されるものではない。
また、表紙が硬くて折畳できないようなものでは、表紙の内側に内表紙的に綴ったものに打抜き片を形成するようにすることもできる。
【符号の説明】
【0020】
1 ノート類
2 綴り孔
3 ダブルリング
4 円環部
5 表紙
6 不連続切線
7 打抜き片
8 切線
11,12,13,14,15,16,17 折線
18 連結部
19 切目
21 内方折曲げ部
22 外方折曲げ部
23 操作片
25 リング開き体