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特開2024-24485位置合わせ治具及び回路基板の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024024485
(43)【公開日】2024-02-22
(54)【発明の名称】位置合わせ治具及び回路基板の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/12 20060101AFI20240215BHJP
   H01L 23/36 20060101ALI20240215BHJP
   H05K 3/00 20060101ALI20240215BHJP
   H05K 3/20 20060101ALI20240215BHJP
【FI】
H01L23/12 D
H01L23/36 C
H01L23/12 J
H05K3/00 L
H05K3/20 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022127333
(22)【出願日】2022-08-09
(71)【出願人】
【識別番号】000003296
【氏名又は名称】デンカ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100185591
【弁理士】
【氏名又は名称】中塚 岳
(74)【代理人】
【識別番号】100133307
【弁理士】
【氏名又は名称】西本 博之
(72)【発明者】
【氏名】原田 朋幸
(72)【発明者】
【氏名】酒井 篤士
(72)【発明者】
【氏名】上島 賢久
(72)【発明者】
【氏名】中山 賢太郎
(72)【発明者】
【氏名】山口 智也
【テーマコード(参考)】
5E343
5F136
【Fターム(参考)】
5E343AA23
5E343BB24
5E343BB28
5E343BB67
5E343CC01
5E343DD51
5E343ER31
5E343FF30
5E343GG20
5F136BB04
5F136FA02
5F136FA03
5F136FA05
5F136FA14
5F136FA16
5F136FA18
5F136GA12
(57)【要約】
【課題】積層された複数の基板ユニットが揃うように精度よく位置合わせできる位置決め治具を提供することを目的とする。
【解決手段】セラミックス板TP上に金属パターン部材Pが配置された複数の基板ユニットXaを積層する際に、複数の基板ユニットXaを位置合わせするために使用する囲い治具5であって、複数の基板ユニットXaの周縁Xcの少なくとも一部に沿って配置された当接壁部50を備え、当接壁部50は、少なくとも複数の基板ユニットXaを挟むように対向配置される位置合わせ壁面51a,51b,52a,52bを備えている。
【選択図】図4

【特許請求の範囲】
【請求項1】
セラミックス板上に金属部材が配置された複数の基板ユニットを積層する際に、前記複数の基板ユニットを位置合わせするために使用する位置合わせ治具であって、
前記複数の基板ユニットの周縁の少なくとも一部に沿って配置された当接壁部を備え、
前記当接壁部は、前記複数の基板ユニットを挟むように対向配置される位置合わせ部を備えている、位置合わせ治具。
【請求項2】
前記位置合わせ部は、前記複数の基板ユニットの周縁を囲むように設けられている、請求項1記載の位置合わせ治具。
【請求項3】
前記基板ユニットの周縁には、屈曲した角部が設けられており、
前記当接壁部は、前記角部に対面し、且つ前記角部に沿って屈曲した角隅部を備えている、請求項1または2記載の位置合わせ治具。
【請求項4】
前記当接壁部は、前記複数の基板ユニットの周縁に沿って配置され、且つ分割可能な複数の分割壁部を備え、
前記位置合わせ部は、前記各分割壁部に設けられている、請求項1または2記載の位置合わせ治具。
【請求項5】
前記分割壁部同士を接続すると共に、前記複数の分割壁部によって囲まれる内部領域の容積を調整可能な調整部を更に備えている、請求項4記載の位置合わせ治具。
【請求項6】
前記調整部は、一方の前記分割壁部に螺合する軸部と、前記軸部の端に設けられると共に、他方の前記分割壁部に干渉する係止部と、を備えており、
前記他方の分割壁部は、前記軸部が貫通する貫通孔と、前記係止部が当接する係止受け部と、を備えている請求項5記載の位置合わせ治具。
【請求項7】
回路となる金属部材をセラミックス板上に加熱接合する回路基板の製造方法において、
金属部材がセラミックス板上に配置された基板ユニットを複数、積層して中間積層体を形成する積層工程と、
前記中間積層体を加熱して前記金属部材を前記セラミックス板に接合する接合工程と、を備え、
前記積層工程は、
土台上に前記中間積層体を載置すると共に、前記中間積層体を形成する前記複数の基板ユニットを、位置合わせ治具によって位置合わせする工程を備え、
前記接合工程は、前記土台上で前記複数の基板ユニットが位置合わせされた前記中間積層体を加熱し、
前記位置合わせ治具は、前記複数の基板ユニットを挟むように対向配置される位置合わせ部を備えている、回路基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層された複数の基板ユニットを位置合わせする位置合わせ治具及び回路基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体チップなどの電子部品が実装されるパワーモジュール用の回路基板が知られている。回路基板の上面には回路部が設けられ、下面には放熱部が設けられている。発熱体である半導体チップは、回路部上に搭載され、放熱部にはヒートシンクが配置されている。半導体チップで発生した熱は、下面の放熱部を介してヒートシンク内に放熱される。
【0003】
回路基板を形成する方法として、例えば、セラミックス板と金属板との接合体をエッチングして金属回路や金属放熱板を形成する方法(以下、「エッチング法」と称する)が知られている。また、金属板から打ち抜かれた金属回路等の金属パターン部材をセラミックス基板に接合する方法(以下、「パターン搭載法」と称する)が知られている(特許文献1―5参照)。エッチング法では、セラミックス板と金属板とを積層して基板ユニットを形成し、複数の基板ユニットの積層体が加熱されて接合体が形成される。また、パターン搭載法では、金属パターン部材をセラミックス板の所定位置に配置して基板ユニットを形成し、複数の基板ユニットの積層体が加熱されて接合体が形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5863234号公報
【特許文献2】特許第4618136号公報
【特許文献3】特許第5664679号公報
【特許文献4】特許第6790915号公報
【特許文献5】特許第6801501号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
複数の基板ユニットが積層された積層体は、その状態のまま加熱炉に送られ、加熱炉内で金属板や金属パターン部材などの金属部材とセラミックス板とが接合される。ここで、複数の基板ユニットを積層する際、重なり合う基板ユニット同士が揃っておらず、位置がずれていると、接合にばらつきが生じる等して接合品質を低下させる可能性がある。
【0006】
本発明は、以上の課題を解決することを目的としており、積層された複数の基板ユニットが揃うように精度よく位置合わせできる位置決め治具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、セラミックス板上に金属部材が配置された複数の基板ユニットを積層する際に、複数の基板ユニットを位置合わせするために使用する位置合わせ治具であって、複数の基板ユニットの周縁の少なくとも一部に沿って配置された当接壁部を備え、当接壁部は、少なくとも複数の基板ユニットを挟むように対向配置される位置合わせ部を備えている。
【0008】
この位置合わせ治具では、位置合わせ部で挟まれるようにしながら複数の基板ユニットを積層することで、複数の基板ユニットを揃えることができる。その結果、積層された複数の基板ユニットを精度よく位置合わせできる。
【0009】
位置合わせ部は、複数の基板ユニットの周縁を囲むように設けられていてもよい。複数の基板ユニットは、位置合わせ部に囲まれた状態で積層され、位置合わせされる。その結果、複数の基板ユニットは、揃った状態で位置合わせ部によって保持されることになり、ずれ難くなる。
【0010】
基板ユニットの周縁には、屈曲した角部が設けられており、当接壁部は、角部に対面し、且つ角部に沿って屈曲した角隅部を備えていてもよい。基板ユニットの角部を角隅部に当接させることで、複数の基板ユニットを精度よく揃え易くなる。
【0011】
当接壁部は、複数の基板ユニットの周縁に沿って配置され、且つ分割可能な複数の分割壁部を備え、位置合わせ部は、各分割壁部に設けられていてもよい。当接壁部を分割することで、複数の基板ユニットを挟んで保持していた状態を解消でき、当接壁部を複数の基板ユニットから離脱させ易くなる。
【0012】
位置合わせ治具は、分割壁部同士を接続すると共に、複数の分割壁部によって囲まれる内部領域の容積を調整可能な調整部を備えていてもよい。複数の分割壁部によって囲まれる内部領域の容積を調整できるため、基板ユニットを内部領域に収める際には容積を広げて収め易くなり、複数の基板ユニットを積層した後は、容積を縮めて複数の基板ユニットを精度よく揃えることができる。
【0013】
調整部は、一方の分割壁部に螺合する軸部と、軸部の端に設けられると共に、他方の分割壁部に干渉する係止部と、を備えており、他方の分割壁部は、軸部が貫通する貫通孔と、係止部が当接する係止受け部と、を備えていてもよい。軸部の螺合により、内部領域の容積の調整を容易に行うことができる。
【0014】
また、本発明は、回路となる金属部材をセラミックス板上に加熱接合する回路基板の製造方法において、金属部材がセラミックス板上に配置された基板ユニットを複数、積層して中間積層体を形成する積層工程と、中間積層体を加熱して金属部材をセラミックス板に接合する接合工程と、を備え、積層工程は、土台上に中間積層体を載置すると共に、中間積層体を形成する複数の基板ユニットを、位置合わせ治具によって位置合わせする工程を備え、接合工程は、土台上で複数の基板ユニットが位置合わせされた中間積層体を加熱し、位置合わせ治具は、複数の基板ユニットを挟むように対向配置される位置合わせ部を備えている、回路基板の製造方法である。
【0015】
この回路基板の製造方法では、中間積層体を形成する際、位置合わせ治具を利用することで、積層された複数の基板ユニットを精度よく位置合わせできる。さらに、接合工程では、精度よく位置合わせされた複数の基板ユニットからなる中間積層体を加熱して金属部材をセラミックス板に接合できるので、接合品質を向上できる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、積層された複数の基板ユニットが揃うように精度よく位置合わせできる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、回路基板の製造方法の一例であり、パターン搭載法を示すフローチャートである。
図2図2は、金属パターン部材をカーボン板上に配置する配置工程を示し、(a)図はカーボン板上の所定位置に仮止め材を設置した状態を示す斜視図であり、(b)図はカーボン板上の所定位置に金属パターン部材を設置した状態を示す斜視図である。
図3図3は、複数の基板ユニットの積層によって形成された中間積層体の断面図である。
図4図4は、実施形態に係る囲い治具の斜視図である。
図5図5は、囲い治具の平面図である。
図6図6は、第1の分割壁部を示し、(a)は平面図であり、(b)は、側面図である。
図7図7は、第2の分割壁部を示し、(a)は平面図であり、(b)は、側面図である。
図8図8は、中間積層体を加圧して、囲い治具を取り外している状態を示す断面図である。
図9図9は、接合工程を示し、(a)図は、中間積層体を加熱炉内で加熱している状態を示す断面図であり、(b)図は、セラミックス板からカーボン板を取り外している状態を示す断面図である。
図10図10は、回路基板の製造方法の一例であり、エッチング法を示すフローチャートである。
図11図11は、エッチング法の各工程の概略を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0019】
回路基板CB(図9の(b)図参照)は、回路部Cpが形成されている一方の面(上面)と、放熱部Hsが形成されている他方の面(下面)とを備えている。発熱体である半導体チップは、回路部Cp上に搭載され、放熱部Hsにはヒートシンクが配置される。半導体チップで発生した熱は、下面の放熱部Hsを介してヒートシンク内に放熱される。
【0020】
回路部Cpや放熱部Hsは、金属パターン部材Pをセラミックス板BP上の所望の位置に設置し、その状態で加熱接合することで形成される(パターン搭載法)。金属パターン部材Pは、銅板やアルミ板などの金属板(導体板)を、回路部Cpや放熱部Hsの形状に倣った所望の形状となるように打ち抜くことで形成される。なお、金属パターン部材Pは、金属部材の一例である。
【0021】
本実施形態では、一枚のセラミックス板BPの上面Sfaに複数の金属パターン部材Pが縦横に規則的に並んで配置されており、セラミックス板BPの下面Sfbには、上面Sfaの複数の金属パターン部材Pに重なるように複数の金属パターン部材Pが並んで配置されている。上面Sfaの複数の金属パターン部材Pは、それぞれ独立した複数の回路部Cpを形成し、下面Sfbの複数の金属パターン部材Pは、各回路部Cpに対応して複数の独立した放熱部Hsを形成する。一枚のセラミックス板BPは、複数の回路部Cpを分けるように切断されて、複数の回路基板CBとなる。なお、セラミックス板BPは様々な形状を適用でき、例えば、平面視で短辺/長辺比が1~2程度である四辺形状であってもよい。本実施形態では、長方形状(矩形状)を例示する。また、セラミックス板BPの面積は、例えば、2000mm~30000mmである。
【0022】
セラミックス板BPは、電気絶縁性を有し、例えば、AlN、Si又はAlで形成されていてもよい。セラミックス板BPの厚みは、例えば、0.2mm以上、且つ1.5mm以下にすることができる。金属パターン部材Pは、CuやAlを主成分として含む部材等から形成することができ、例えば、Cu、Al、Cu及びMoを含む合金、並びにCu及びWを含む合金からなる群より選ばれる少なくとも1種で形成されていてもよい。金属パターン部材Pの厚みは、0.1mm以上、且つ2.0mm以下にすることができる。
【0023】
次に、図1を参照し、回路基板CBの製造方法の一例について説明する。図1は、半導体チップなどの電子部品が実装されるパワーモジュール用の回路基板CBを製造する製造方法の一例であり、パターン搭載法を示すフローチャートである。
【0024】
回路基板CBの製造方法は、金属パターン部材Pをセラミックス板BP上に配置する配置工程S1(図2図3図8参照)と、金属パターン部材Pが配置されたセラミックス板BPを加熱して金属パターン部材Pをセラミックス板BPに接合する接合工程S2(図9の(a)図参照)と、金属パターン部材Pが接合されたセラミックス板BPをカーボン板TPから分割し(図9の(b)図参照)、さらに一枚のセラミックス板BPを分割して複数の回路基板CBを形成する仕上げ工程S3と、を備えている。
【0025】
(配置工程)
配置工程S1は、仮止め工程S11と、積層工程S12と、を備えている。仮止め工程S11は、仮止め材11によってカーボン板TP(仮支持板の一例)の所定位置A1に金属パターン部材Pを固定する工程である。仮止め材11は、接合工程S2での加熱によって消失する。なお、カーボン板TPの所定位置A1とは、セラミックス板BP上に固定される金属パターン部材Pの接合予定位置A2(図3参照)に対応した位置である。具体的には、カーボン板TPをセラミックス板BP上の適切な位置に重ねた際に、セラミックス板BP上の接合予定位置A2に金属パターン部材Pが配置されるような位置である。
【0026】
一枚のカーボン板TPは(図2の(a)図参照)、複数の回路基板CBを形成するため、便宜上、複数のエリアに区画されている。図面上の破線は、複数のエリアを区分けするように示しているが、実際のカーボン板TP上において印字等はされていない。複数のエリアには、それぞれ金属パターン部材Pを仮止めするための仮止め材11が設置される。仮止め材11を設置した後、仮止め材11上に金属パターン部材Pを載置して接着させ、仮止め材11を介してカーボン板TP上の所定位置A1に金属パターン部材Pを固定する(図2の(b)図参照)。
【0027】
仮止め工程S11の後に、積層工程S12が行われる。積層工程S12では、セラミックス板BPとの間で金属パターン部材Pを挟むようにカーボン板TPをセラミックス板BP上に積層し、金属パターン部材Pをセラミックス板BP上の接合予定位置A2に設置して基板ユニットXaを形成する。本実施形態に係る基板ユニットXaは、セラミックス板BPの上面Sfa及び下面Sfbにカーボン板TPを積層することで形成されている。また、積層工程S12では、複数の基板ユニットXaを積層することで中間積層体XAを形成する。基板ユニットXa及び中間積層体XAの形成について更に詳しく説明する。
【0028】
図3に示されるように、セラミックス板BPの上面Sfaには第1のカーボン板TP(TPa)が積層され、下面Sfbには第2のカーボン板TP(Tpb)が積層される。第1のカーボン板TPaには回路部Cpを形成する複数の金属パターン部材Pが仮止めされている。第2のカーボン板TPbには放熱部Hsを形成する複数の金属パターン部材Pが仮止めされている。セラミックス板BP、第1のカーボン板TPa及び第2のカーボン板TPbは共通する外形、寸法を備えており、積層すると互に揃うように形成されている。なお、「セラミックス板BP上に積層」とは、セラミックス板BPの上面Sfaのみならず、下面Sfbに積層される態様も含まれる。
【0029】
セラミックス板BPの上面Sfaには、金属パターン部材Pの接合予定位置A2に接合材12が設置されている。この接合予定位置A2は、第1のカーボン板TPaの所定位置A1に対応している。第1のカーボン板TPaは、金属パターン部材Pがセラミックス板BPの上面Sfaに対面するようにセラミックス板BPに積層され、その結果、金属パターン部材Pは、セラミックス板BPの接合予定位置A2に合うように設置される。
【0030】
セラミックス板BPの下面Sfbには、金属パターン部材Pの接合予定位置A2に接合材12が設置されている。この接合予定位置A2は、第2のカーボン板TPbの所定位置A1に対応している。第2のカーボン板TPbは、金属パターン部材Pがセラミックス板BPの下面Sfbに対面するようにセラミックス板BPに積層され、その結果、金属パターン部材Pは、セラミックス板BPの接合予定位置A2に合うように設置される。以上により、基板ユニットXaが形成される。
【0031】
また、本実施形態に係る積層工程S12は、加圧装置7の土台71上に中間積層体XAを載置する位置合わせ工程を備えている(図3参照)。位置合わせ工程では、分割可能な囲い治具5を中間積層体XAの周囲に配置して中間積層体XAを位置合わせしている。また、積層工程S12は、位置合わせされた中間積層体XAに対し、土台71との間で挟持するように加圧して中間積層体XAを保持する加圧工程を備えている。また、積層工程S12は、加圧されている状態で、囲い治具5を分割して中間積層体XAから取り外す治具離脱工程を備えている。
【0032】
図4図5図6及び図7を参照し、囲い治具5について説明する。複数の基板ユニットXaによって形成される中間積層体XAは、平面視で矩形状のブロック体である。囲い治具5は、中間積層体XAの矩形状の周囲を囲む枠状の器具であり、中間積層体XAを形成する複数の基板ユニットXaを位置合わせする位置合わせ治具の一例である。囲い治具5は、複数の基板ユニットXaの周縁Xcに沿うように配置される当接壁部50を備えている。当接壁部50は、平面視した場合において、実質的に基板ユニットXaの周縁Xcの全周を連続して囲むように配置されている。なお、当接壁部50は、基板ユニットXaの周縁Xcに沿って部分的に配置されるような形態であってもよい。
【0033】
当接壁部50は、分割可能な複数の分割壁部51,52を備えている。例えば、当接壁部50は、平面視でL字状の第1の分割壁部51と(図6参照)、平面視でL字状の第2の分割壁部52とを備えている(図7参照)。第1の分割壁部51と第2の分割壁部52とを組み合わせることで、複数の基板ユニットXaが収まる矩形の内部領域が形成される。なお、中間積層体XAを形成する基板ユニットXaの周縁Xcは平面視で矩形状であるため、四か所の屈曲した角部Xbを備えている。
【0034】
図4及び図6に示されるように、第1の分割壁部51は、基板ユニットXaの周縁Xcのうち、略半分に沿うように配置されている。以下、平面視で基板ユニットXaの周縁Xcに沿った方向を、基板周方向Daとして説明する。第1の分割壁部51は、基板周方向Daにおける両方の端部51cを備えている。第1の分割壁部51は、基板周方向Daの長さが第2の分割壁部52よりも長く、端部51cの近傍領域には、第2の分割壁部52の端部52cが当接される当接受け部51dが形成されている。
【0035】
当接受け部51dには、複数のスリット53a(貫通孔部)が形成されている。複数のスリット53aは、端部51cの長手方向に並ぶように設けられている。スリット53aは、端部51cから基板周方向Daに延在する長孔状であり、端部51cで開放されている。第2の分割壁部52の端部52cは、スリット53aに重なるように第1の分割壁部51に設置される。
【0036】
第1の分割壁部51は、基板ユニットXaに対面する側の内壁面と、反対側の外壁面とを備えており、内壁面は、第1の位置合わせ壁面51aと第2の位置合わせ壁面51bとを備えている。第1の位置合わせ壁面51aと第2の位置合わせ壁面51bとは屈曲しながら接続されており、屈曲部には、基板ユニットXaの角部Xbに沿った形状の角隅部51mが形成されている。第1の位置合わせ壁面51a及び第2の位置合わせ壁面51bは、それぞれ位置合わせ部の一例である。
【0037】
図4及び図7に示されるように、第2の分割壁部52は、基板ユニットXaの周縁Xcのうち、略半分に沿うように配置されている。第2の分割壁部52は、基板周方向Daにおける両方の端部52cを備えており、両方の端部52cは、それぞれ第1の分割壁部51の当接受け部51dの内壁面側に当接される。第2の分割壁部52の端部52cには、複数のネジ孔55が形成されている。複数のネジ孔55は、第2の分割壁部52の端部52cの長手方向に並ぶように配置されている。ネジ孔55の位置は、スリット53aの位置に対応しており、第1の分割壁部51と第2の分割壁部52とを組み合わせるように互いを設置した際、各ネジ孔55は、それぞれスリット53aに重なる。
【0038】
第2の分割壁部52は、基板ユニットXaに対面する側の内壁面と、反対側の外壁面とを備えており、内壁面は、第3の位置合わせ壁面52aと第4の位置合わせ壁面52bとを備えている。第3の位置合わせ壁面52aと第4の位置合わせ壁面52bとは屈曲しながら接続されており、屈曲部には、基板ユニットXaの角部Xbに沿った形状の角隅部52mが形成されている。第3の位置合わせ壁面52a及び第4の位置合わせ壁面52bは、それぞれ位置合わせ部の一例である。
【0039】
図4及び図5に示されるように、第1の分割壁部51の第1の位置合わせ壁面51aと第2の分割壁部52の第3の位置合わせ壁面52aとは、内部領域に収容された基板ユニットXaを挟むように対向配置されている。第2の位置合わせ壁面51bと第4の位置合わせ壁面52bとは、内部領域に収容された基板ユニットXaを挟むように対向配置されている。
【0040】
囲い治具5は、第1の分割壁部51と第2の分割壁部52とを接続する調整部53を備えている。調整部53は、第1の分割壁部51と第2の分割壁部52とによって囲まれる内部領域の容積を調整可能である。
【0041】
調整部53は、例えば、第1の分割壁部51に形成された複数のスリット53aと、複数のスリット53aに挿通される複数のネジ部54と、第2の分割壁部52に形成された複数のネジ孔55とを備えている。ネジ部54は、軸部54aと頭部54b(係止部)とを備えている。軸部54aは、スリット53aに挿通され、ネジ孔55に螺合される。頭部54bは、軸部54aの端に設けられており、第1の分割壁部51のスリット53aの周囲に干渉する。スリット53aの周囲は、頭部54bの干渉を受ける係止受け部53bである。ネジ部54を締め付けることで内部領域は縮小し、緩めることで拡張可能となる。
【0042】
なお、本実施形態に係るスリット53aは端部が開放されているため、ネジ部54の軸部54aを側方から差し込み易くなっている。例えば、軸部54aを第2の分割壁部52のネジ孔55に軽く螺合させて仮止めし、次に、スリット53a内に軸部54aが収まるように第1の分割壁部51を組み付けることができる。また、スリット53aは、基板周方向Daに長い長孔状であり、ネジ部54の軸部54a54は、スリット53a内で基板周方向Daの移動を許容される。その結果、ネジ部54をネジ孔55に合わせる際の微調整は容易である。
【0043】
図3に示されるように、位置合わせ工程では、複数の基板ユニットXaを積層して土台71上に載置された中間積層体XAを形成する。囲い治具5は、基板ユニットXaを積層しながら、あるいは、全ての基板ユニットXaを積層した後で、複数の基板ユニットXaの周囲に配置し、中間積層体XAを形成する複数の基板ユニットXaを位置合わせする。複数の基板ユニットXaの位置合わせとは、積層された複数の基板ユニットXaの外縁が揃う状態を形成することを意味する。
【0044】
図8に示されるように、位置合わせ工程が終了すると、土台71との間で挟持するように中間積層体XAを加圧し、中間積層体XAを所定の状態に保持する加圧工程を行う。ここで、中間積層体XAを加圧する加圧装置7について説明する。加圧装置7は、中間積層体XAを支える土台71と、土台71から立設された複数の柱部72と、中間積層体XAの上面に当接するカバープレート73と、カバープレート73上に配置された複数の弾性体74と、弾性体74上に設置され、弾性体74を押圧する加圧プレート75と、加圧プレート75を所定位置に保持するナット76(保持部)とを備えている。
【0045】
柱部72には、ネジ溝が形成されている。柱部72は、カバープレート73及び加圧プレート75を貫通している。ナット76は、柱部72の上端に螺合し、加圧プレート75の上面に当接している。カバープレート73と加圧プレート75との間には、弾性体74が配置されている。ナット76を締め付けると加圧プレート75が押し下げられ、弾性体74を圧縮する。その結果、カバープレート73を介して中間積層体XAが加圧される。加圧装置7によって中間積層体XAを加圧している状態では中間積層体XAのずれは生じない。
【0046】
加圧工程が終了すると治具離脱工程を行う。治具離脱工程では、中間積層体XAの加圧状態を保持したまま、囲い治具5を分割して中間積層体XAから取り外す。加圧された状態の中間積層体XAは安定しており、囲い治具5を取り外しても複数の基板ユニットXaのズレは生じない。囲い治具5を取り外して積層工程S12を終了する。積層工程S12の終了により、配置工程S1は終了する。
【0047】
なお、本実施形態では、治具離脱工程を行っており、囲い治具5を中間積層体XAと一緒に加熱炉8内に導入することは想定していない。したがって、囲い治具5の耐熱性に関する配慮の必要性は少なく、多様な材質を適宜に利用することができる。例えば、囲い治具5は、(高密度)ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、AS樹脂、アクリル樹脂、A2017(ジュラルミン)、A5052(アルミ合金)等を使用することができる。これらの材料であれば、加工性に優れるという利点がある。
【0048】
一方で、治具離脱工程を行うことなく、囲い治具5で中間積層体XAを保持したまま、囲い治具5を中間積層体XAと一緒に加熱炉8内に導入することもできる。囲い治具5を加熱炉8内に導入する場合、囲い治具5は、耐熱性に考慮する必要がある。例えば、囲い治具5の材料は、炭素系の材料を使用することができる。炭素系の材料として、カーボングラファイト、C/Cコンポジット、グラッシーカーボン等を使用することができる。カーボングラファイトの還元雰囲気での耐熱温度は2500℃であり、C/Cコンポジットの還元雰囲気での耐熱温度は3000℃であり、グラッシーカーボンの還元雰囲気での耐熱温度は2500℃である。囲い治具5の材料は、窒化ホウ素を使用することができる。窒化ホウ素の還元雰囲気での耐熱温度は2200℃である。囲い治具5の材料として、鉄系のS45CやSS400を使用することができる。S45Cの融点は1535℃であり、SS400の融点は1580℃である。囲い治具5の材料として、ステンレス系のSUS304やSUS303を使用することができる。SUS304及びSUS303の融点は1400℃~1450℃である。囲い治具5の材料として、超硬を使用することができる。超硬の主成分であるタングステンカーバイドの融点は2900℃である。
【0049】
(接合工程)
図1に示されるように、配置工程S1が終了すると、接合工程S2が行われる。接合工程S2において、中間積層体XAは、加圧装置7によって加圧保持された状態のまま、加熱炉8に導入される。加熱炉8は、ヒータ8aを備えている。ヒータ8aは、金属パターン部材Pがセラミックス板BPに接合可能となる雰囲気温度(接合温度)となるように加熱し、加熱炉8内は、その雰囲気温度が所定時間維持される。例えば、金属パターン部材Pが銅材の場合には、600℃~900℃の雰囲気温度が維持され、アルミ材の場合には、550℃~650℃の雰囲気温度が維持される。ロウ材等の接合材12は、この雰囲気温度下で溶融等し、加熱後の冷却固化により、金属パターン部材Pをセラミックス板BPに接合する。なお、加圧装置7は、耐熱温度が接合温度よりも高くなるように製造されている。加熱炉8内で所定の雰囲気温度が維持された結果、金属パターン部材Pをカーボン板TPに仮止めしていた仮止め材11は、揮発等して消失する。
【0050】
(仕上げ工程)
接合工程S2が終了すると、中間積層体XAを形成していた複数の基板ユニットXaは加熱炉8から取り出される。加熱炉8から取り出された基板ユニットXaのセラミックス板BPには、複数の金属パターン部材Pが接合されて複数の回路基板CBが形成されている。ここで、金属パターン部材Pをカーボン板TPに固定していた仮止め材11は、加熱炉8内で消失している。したがって、複数の回路基板CBを形成するセラミックス板BPから、カーボン板TPを容易に取り外すことができる(図9の(b)図参照)。カーボン板TPを取り外した後、セラミックス板BPに形成された複数の回路基板CBは、それぞれ分割され、適宜に仕上げ処理が施されて複数の独立した回路基板CBとなる。
【0051】
次に、図10及び図11を参照し、回路基板CBの製造方法の他の例であるエッチング法について説明する。図10は、回路基板CBを製造するエッチング法を示すフローチャートである。図11は、エッチング法の各工程の概略を示す説明図である。
【0052】
エッチング法に係る回路基板CBの製造方法は、セラミックス板BPの上面及び下面を金属板PAで挟むように積層して基板ユニットYaを形成すると共に、基板ユニットYaを積層して中間積層体YAを形成する積層工程S21と、中間積層体YAを加熱して金属板PAをセラミックス板BPに接合する接合工程S22と、セラミックス板BPに接合された金属板PAにエッチング処理を施して回路部Cp及び放熱部Hsを形成する回路形成工程S23とを備えている。なお、金属板PAは、金属部材の一例である。
【0053】
積層工程S21(図10参照)では、セラミックス板BPの上面及び下面にロウ材等の接合材を印刷し、さらに金属板PAを積層することで基板ユニットYaを形成する。次に、複数の基板ユニットYaを積層することで中間積層体YAを形成する。複数の基板ユニットYaを積層する際、基板ユニットYaと基板ユニットYaとの間には、スペーサーとなるカーボン板PPが配置される。中間積層体YAを形成する際には、複数の基板ユニットYa及び一または複数のカーボン板PPを揃える位置合わせが必要である。中間積層体YAを形成する複数の基板ユニットYaを位置合わせする際、位置合わせ治具の一例である囲い治具5Aを利用する。
【0054】
囲い治具5Aは、実質的に上述の囲い治具5と同様の構造を備えており、複数の基板ユニットYaの周縁の少なくとも一部に沿って配置された当接壁部60を備えている。当接壁部60は、平面視した場合において、実質的に基板ユニットYaの周縁の全周を連続して囲むように配置されている。なお、当接壁部60は、基板ユニットYaの周縁に沿って部分的に配置されるような形態であってもよい。
【0055】
当接壁部60は、分割可能な複数の分割壁部61,62を備えている。第1の分割壁部61と第2の分割壁部62とを組み合わせることで、複数の基板ユニットYaが収まる矩形の内部領域が形成される。
【0056】
第1の分割壁部61は、第1の位置合わせ壁面と第2の位置合わせ壁面とを備えている。第2の分割壁部62は、第3の位置合わせ壁面62aと第4の位置合わせ壁面62bとを備えている。第1の分割壁部61の第1の位置合わせ壁面と第2の分割壁部62の第3の位置合わせ壁面62aとは、内部領域に収容された基板ユニットYaを挟むように対向配置されている。第2の位置合わせ壁面と第4の位置合わせ壁面62bとは、内部領域に収容された基板ユニットYaを挟むように対向配置されている。これらの位置合わせ壁面は、位置合わせ部の一例である。
【0057】
囲い治具5Aは、第1の分割壁部61と第2の分割壁部62とを接続する調整部63を備えている。調整部63は、第1の分割壁部61と第2の分割壁部62とによって囲まれる内部領域の容積を調整可能である。調整部63は、例えば、第1の分割壁部61に形成された複数のスリット63aと、複数のスリット63aに挿通される複数のネジ部64と、第2の分割壁部62に形成された複数のネジ孔65とを備えている。ネジ部64は、軸部64aと頭部64b(係止部)とを備えている。軸部64aは、スリット63aに挿通され、ネジ孔65に螺合される。頭部64bは、第1の分割壁部61のスリット63aの周囲に干渉する。スリット63aの周囲は、頭部64bの干渉を受ける係止受け部63bである。ネジ部64を締め付けることで内部領域は縮小し、緩めることで拡張可能となる。
【0058】
位置合わせ工程が終了すると、加圧装置7Aによって中間積層体YAを加圧し、中間積層体YAを所定の状態に保持する加圧工程を行う。加圧工程が終了すると治具離脱工程を行う。治具離脱工程では、中間積層体YAが加圧されている状態を保持したまま、囲い治具5Aを分割して中間積層体YAから取り外す。加圧された状態の中間積層体YAは安定しており、囲い治具5を取り外しても複数の基板ユニットYaのズレは生じない。囲い治具5Aを取り外して積層工程S21を終了する。
【0059】
(接合工程)
積層工程S21が終了すると、接合工程S22が行われる。接合工程S22において、中間積層体YAは、加圧装置7Aによって加圧保持された状態のまま、加熱炉8Aに導入される。加熱炉8A内は、金属板PAがセラミックス板BPに接合可能となる雰囲気温度(接合温度)に保持されており、その雰囲気温度が所定時間維持される。接合工程S22により、セラミックス板BPに対する金属板PAの接合が完了する。
【0060】
(回路形成工程)
接合工程S22が終了すると、回路形成工程S23が行われる。回路形成工程S23では、中間積層体YAを分割し、金属板PAがセラミックス板BPに接合された基板ユニットYaを取得する(図11のS231参照)。次に、取得した基板ユニットYaに対してレジスト印刷を施す(図11のS232参照)。次に、レジスト印刷された基板ユニットYaにエッチング処理を施し、更に、不要な接合材を除去するなどの仕上げ処理を施す(図11のS233参照)。その結果、セラミックス板BPに回路部及び放熱部が形成された回路基板CBが形成される。
【0061】
次に、上述の回路基板CBの製造方法で使用される囲い治具5,5Aの作用、効果について説明する。なお、囲い治具5Aも基本的に同様の作用、効果を奏するため、囲い治具5Aについての重複した説明は省略する。
【0062】
囲い治具5を使用しながら複数の基板ユニットXaを積層すると、複数の基板ユニットXaは、第1~第4の位置合わせ壁面51a,51b,52a,52b(位置合わせ部)で挟まれることになり、揃えられる。その結果、積層された複数の基板ユニットXaを精度よく位置合わせできる。基板ユニットXaの積層によって形成された中間積層体XAは、加熱炉8に導入され、金属パターン部材Pは、セラミックス板BPに接合される。ここで、中間積層体XAを形成する複数の基板ユニットXaは、精度良く位置合わせされているため、接合にばらつきは発生せず、接合品質を向上できる。囲い治具5Aを使用する場合も同様であり、中間積層体YAを形成する複数の基板ユニットYaは、囲い治具5Aによって精度良く位置合わせされているため、接合にばらつきは発生せず、接合品質を向上できる。
【0063】
また、パターン搭載法で使用される基板ユニットXaの場合、さらに以下の効果を奏する。つまり、パターン搭載法における金属パターン部材Pの位置合わせは、エッチング法における金属板PAの位置合わせに比べ、非常に繊細で重要である。例えば、セラミックス板BPの回路部Cp側の金属パターン部材Pの位置と放熱部Hs側の金属パターン部材Pの位置とは、互に正確に対応している必要があり、許容される誤差は、例えば、0.25mm以下である。ここで、回路基板CBとなる基板ユニットXaは、セラミックス板BPとカーボン板TPとの積層によって形成されており、囲い治具5を使用することで、カーボン板TPをセラミックス板BPに揃えることが可能になる。カーボン板TPの所定位置には金属パターン部材Pが仮止めされており、カーボン板TPとセラミックス板BPとを揃えることで、セラミックス板BP上の適切な位置に精度よく、例えば、上述の誤差範囲に収まるように、金属パターン部材Pを配置することが可能になる。
【0064】
また、実施形態に係る囲い治具5において、第1~第4の位置合わせ壁面51a,51b,52a,52bは、複数の基板ユニットXaの周縁Xcを囲むように設けられている。したがって、複数の基板ユニットXaは、第1~第4の位置合わせ壁面51a,51b,52a,52bに囲まれた状態で積層され、位置合わせされる。その結果、複数の基板ユニットXaは、揃った状態で第1~第4の位置合わせ壁面51a,51b,52a,52bによって保持されることになり、ずれ難くなる。
【0065】
また、例えば、基板ユニットXaの周縁Xcには、屈曲した角部Xbが設けられており、当接壁部50は、角部Xbに対面し、且つ角部Xbに沿って屈曲した角隅部51m,52mを備えている。基板ユニットXaの角部Xbを角隅部51m,52mに当接させることで、複数の基板ユニットXaを精度よく揃え易くなる。
【0066】
また、囲い治具5は、分割可能な当接壁部50を備えている。したがって、当接壁部50を分割することで、複数の基板ユニットXaを挟んで保持していた状態を解消できる。その結果、当接壁部50を、積層された複数の基板ユニットXaから離脱させ易くなる。
【0067】
また、囲い治具5の調整部53は、複数の基板ユニットXaが収容された内部領域の容積を調整可能である。したがって、基板ユニットXaを内部領域に収める際には容積を広げて収め易くなり、基板ユニットXaを積層した後は、容積を縮めて複数の基板ユニットXaを精度よく揃えることができる。また、調整部53は、ネジ部54を備えており、ネジ部54の軸部54aをネジ孔55に螺合することにより、内部領域の容積の調整を容易に行うことができる。
【0068】
また、本実施形態では、パターン搭載法とエッチング法とのそれぞれを、回路基板CBの製造方法の例として説明している。各製造方法は、複数の基板ユニットXaを積層して中間積層体XAを形成する積層工程S12,S21と、中間積層体XAを加熱して金属部材をセラミックス板BPに接合する接合工程S2,S22と、を備えている。そして、積層工程S12,S21は、複数の基板ユニットXa,Yaを囲い治具5,5Aによって位置合わせする工程を備え、接合工程S2,S22は、中間積層体XAを加熱して、金属パターン部材Pや金属板PAをセラミックス板BPに接合する。
【0069】
各製造方法では、中間積層体XA,YAを形成する際、囲い治具5,5Aを利用することで、積層された複数の基板ユニットXa,Yaを精度よく位置合わせできる。さらに、接合工程S22では、精度よく位置合わせされた複数の基板ユニットXa,Yaからなる中間積層体XA,YAを加熱して金属パターン部材Pや金属板PAをセラミックス板BPに接合できるので、接合品質を向上できる。
【0070】
以上、実施形態に基づいて、位置合わせ治具及び位置合わせ治具を用いた回路基板の製造方法を説明したが、本発明は、これらの形態のみには限定されない。例えば、位置合わせ治具の当接壁部は、基板ユニットの周縁の全周に亘って配置される必要はなく、周縁の一部分に沿って配置されていてもよい。また、当接壁部は、互に離間していて実施的に接続されていない複数の壁部によって形成されていてもよく、また、分割できない一体的な構造であってよい。
【符号の説明】
【0071】
5,5A…囲い治具(位置合わせ治具)、71…土台、50,60…当接壁部、51,61…第1の分割壁部、51a,51b,52a,52b,62a,62b…位置合わせ壁面(位置合わせ部)、51m,52m…角隅部、52,62…第2の分割壁部、53a…スリット、55…ネジ孔、53,63…調整部、53b,63b…係止受け部、54,64…ネジ部、54a,64a…軸部、54b,64b…頭部、P…金属パターン部材(金属部材)、PA…金属板(金属部材)、Xa,Ya…基板ユニット、Xb…角部、Xc…基板ユニット(中間積層体)の周縁、XA,YA…中間積層体。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11