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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024024492
(43)【公開日】2024-02-22
(54)【発明の名称】モータ
(51)【国際特許分類】
   H02K 3/04 20060101AFI20240215BHJP
【FI】
H02K3/04 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022127347
(22)【出願日】2022-08-09
(71)【出願人】
【識別番号】000114215
【氏名又は名称】ミネベアミツミ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】西野 浩威
(72)【発明者】
【氏名】児玉 光生
【テーマコード(参考)】
5H603
【Fターム(参考)】
5H603AA01
5H603BB01
5H603BB07
5H603BB09
5H603BB12
5H603CA01
5H603CA05
5H603CB01
5H603CC01
5H603CC17
5H603CD06
5H603CD13
5H603CD22
5H603CE02
5H603CE05
(57)【要約】
【課題】コイルの抵抗値を減少する。
【解決手段】モータは、径方向に突出した複数の磁極部を有する鉄心と、前記複数の磁極部の間に配置される複数相のコイルと、を備える。前記複数相のコイルのうち、所定の相の前記コイルは、第1導体と、第2導体と、第3導体と、第4導体と、を有する。前記第1導体と、前記第2導体とは、周方向に延びる。前記第3導体と、前記第4導体とは、軸方向に延びる。前記第3導体と前記第4導体とは、前記第1導体と前記第2導体とにそれぞれ接触する。前記周方向において、前記第3導体と前記第4導体とは、離れている。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
径方向に突出した複数の磁極部を有する鉄心と、
前記複数の磁極部の間に配置される複数相のコイルと、
を備え、
前記複数相のコイルのうち、所定の相の前記コイルは、第1導体と、第2導体と、第3導体と、第4導体と、を有し、
前記第1導体と、前記第2導体とは、周方向に延び、
前記第3導体と、前記第4導体とは、軸方向に延び、
前記第3導体と前記第4導体とは、前記第1導体と前記第2導体とにそれぞれ接触し、
前記周方向において、前記第3導体と前記第4導体とは、離れている、
モータ。
【請求項2】
前記第3導体と前記第4導体とは、前記複数の磁極部のうち異なる前記磁極部の間に配置される、
請求項1に記載のモータ。
【請求項3】
前記第1導体と、前記第2導体と、前記第3導体と、前記第4導体とは、一体的に形成される、
請求項1又は請求項2に記載のモータ。
【請求項4】
前記周方向における前記第3導体と前記第4導体の大きさの和は、前記軸方向における前記第1導体の大きさに等しい、
請求項1又は請求項2に記載のモータ。
【請求項5】
前記周方向における前記第3導体と前記第4導体の大きさの和は、前記軸方向における前記第2導体の大きさに等しい、
請求項1又は請求項2に記載のモータ。
【請求項6】
前記軸方向における前記第1導体の大きさと前記第2導体の大きさとが等しい、
請求項1又は請求項2に記載のモータ。
【請求項7】
前記周方向における前記第3導体の大きさと前記第4導体の大きさとが等しい、
請求項1又は請求項2に記載のモータ。
【請求項8】
前記径方向において、前記複数相のコイルのうち、前記所定の相のコイルと異なる相のコイルは、前記所定の相のコイルと隣接して配置される、
請求項1又は請求項2に記載のモータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータに関する。
【背景技術】
【0002】
モータ等の回転電機において、複数のスロットにコイルを波巻状で配置する技術が知られている。例えば、特許文献1には、コイルを波巻状に形成し、各スロットに波巻状のコイルを配置するステータをモータが有することが記載されている。
【0003】
また、特許文献2には、複数の波状コイルを備えるモータが記載されている。さらに、特許文献2には、波状コイルが、直線状部と湾曲部とを備え、湾曲部をステータの軸方向に重ねることが記載される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011-223652号公報
【特許文献2】特開2016-15867号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記モータは、コイルの抵抗値を減少することに関して改善の余地がある。
【0006】
一つの側面では、コイルの抵抗値を減少することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一つの態様において、モータは、径方向に突出した複数の磁極部を有する鉄心と、前記複数の磁極部の間に配置される複数相のコイルと、を備え、前記複数相のコイルのうち、所定の相の前記コイルは、第1導体と、第2導体と、第3導体と、第4導体と、を有し、前記第1導体と、前記第2導体とは、周方向に延び、前記第3導体と、前記第4導体とは、軸方向に延び、前記第3導体と前記第4導体とは、前記第1導体と前記第2導体とにそれぞれ接触し、前記周方向において、前記第3導体と前記第4導体とは、離れている。
【0008】
一つの態様によれば、コイルの抵抗値を減少することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施形態に係るモータの平面図である。
図2図2は、実施形態に係るモータの斜視図である。
図3図3は、実施形態に係るステータの鉄心を示す斜視図である。
図4図4は、実施形態に係るモータにおいて、軸方向の一方側に位置する第1リングを磁極部から取り外すとともに、ステータの本体部を磁極部から取り外した状態を示す斜視図である。
図5図5は、実施形態に係るモータにおいて、第1コイル、第2コイル、および、第3コイルを径方向に並べ、かつ、径方向において第3コイルの内側に1つの磁極部を配置した状態を示す斜視図である。
図6図6は、第1コイルを形成する金属材の平面図である(第1コイルの展開状態を示した展開図である)。
図7図7は、実施形態に係るモータの第1コイルを示す斜視図である。
図8図8は、実施形態に係るモータの第1コイルにおいて、各導体の大きさを示す斜視図である。
図9図9は、第1コイルの側面図である。
図10図10は、第1コイルを展開した状態において、端子の位置を示した展開図である。
図11図11は、実施形態における第1コイルにおいて、一方の端子部と他方の端子部との間に電圧が印加された場合、一方の端子部から他方の端子部に流れる電流を示す斜視図である。
図12図12は、実施形態における第1コイルにおいて、他方の端子部と一方の端子部との間に電圧が印加された場合、他方の端子部から一方の端子部に流れる電流を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、実施形態に係るモータを図面に基づいて詳細に説明する。なお、図面における各要素の寸法の関係、各要素の比率などは、現実と異なる場合がある。図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。
【0011】
図1は、実施形態に係るモータ1の平面図である。図2は、実施形態に係るモータ1の斜視図である。図3は、実施形態に係るステータ3の鉄心31を示す斜視図である。図4は、実施形態に係るモータ1において、軸方向Aの一方側に位置する第1リング32を磁極部312から取り外すとともに、ステータ3の本体部311を磁極部312から取り外した状態を示す斜視図である。図5は、実施形態に係るモータ1において、第1コイル35U、第2コイル35V、および、第3コイル35Wを径方向Rに並べ、かつ、径方向Rにおいて第3コイル35Wの内側に1つの磁極部312を配置した状態を示す斜視図である。なお、説明の便宜のため、ロータ2は、図1のみに示し、他の図面において省略してある。また、同様の理由により、ピン34は、図1において1つのみ示してあり、他の図面において省略してある。
【0012】
各図面において、説明を容易にするため、後述するシャフト22が延びる方向を軸方向Aと言い、後述するロータ2が回転する方向を周方向Cと言い、軸方向Aに対して直交する平面に含まれ、かつ、シャフト22の軸心22oを通過し、周方向Cに直交する方向を径方向Rと言う。
【0013】
実施形態に係るモータ1は、例えば三相交流電源からの電気エネルギーを、シャフト22の周方向Cへ回転する駆動力に変換する電動機である。また、本実施形態に係るモータ1は、例えばインナーロータ型のブラシレスモータである。モータ1は、例えば、図示しないフレームに収容される。
【0014】
図1に示すモータ1は、例えば、ロータ2と、ステータ3と、を備える。ロータ2は、当該ロータ2の周方向Cの外側に位置する外周面に沿って並べられた複数のマグネット21と、周方向Cの内側に配置され、回転軸となるシャフト22と、を有する。本実施形態に係るロータ2は、例えば8個のマグネット21を備える。
【0015】
ステータ3は、図2に示すように、鉄心31と、第1リング32と、第2リング33と、複数のピン34(図1参照)と、複数相のコイル35と、を備える。鉄心31は、例えばステンレス鋼や磁性鋼板などの磁性体により形成され、磁性を有する。鉄心31は、図3に示すように、本体部311と、複数の磁極部312とを、備える。また、鉄心31は、周方向Cにおいて、複数の磁極部312の間に形成された、複数のスロット313を備える。本実施形態に係る鉄心31は、例えば1つの本体部311と、24個の磁極部312と、24個のスロット313と、を備える。
【0016】
本体部311は、軸方向Aの両端に開口を有して円筒状に形成される。また、本体部311は、径方向Rにおいて当該本体部311を貫通する第2貫通孔311Hを複数有する。本実施形態に係る本体部311は、24個の第2貫通孔311Hを有する。第2貫通孔311Hは、例えば周方向Cに沿って等間隔に配置される。
【0017】
磁極部312は、図5に示すように、周方向Cに直交する平面を有する板状に形成された板状部312aと、板状部312aの径方向Rの内側に位置し、径方向Rにおいてロータ2の外周面に対向する対向部312bと、を有する。スロット313は、図3に示すように、周方向Cにおいて、複数の磁極部312の間に形成され、軸方向Aへ延びる。
【0018】
板状部312aの表面には、絶縁シート312a1が設けられる(図5参照)。この絶縁シート312a1は、磁極部312と後述するコイル35との間の絶縁性を確保する。絶縁シート312a1は、例えばPPS(ポリフェニレンサルファイド)で形成される。
【0019】
対向部312bには、図4に示すように、当該対向部312bを軸方向Aにおいて貫通するネジ孔312Hが形成される。
【0020】
本実施形態に係る磁極部312は、本体部311と別体に形成される。磁極部312は、板状部312aの径方向Rの外側端部が第2貫通孔311Hに挿入されることで、本体部311の内周面から、径方向Rの内側に向かって突出するようにそれぞれ形成される。本実施形態に係るステータ3は、例えば24個の磁極部312を有する。24個の磁極部312は、周方向Cにおいて等間隔に並んで配置される。
【0021】
図2に示す第1リング32および第2リング33は、例えば同一形状に形成される。そこで、以下に第1リング32について説明し、第2リングの説明を省略する。第1リング32は、円環状に形成され、軸方向Aに対して第1リング32を貫通する複数の第1貫通孔32Hを有する。複数の第1貫通孔32Hは、同一の大きさに形成され、かつ、周方向Cにおいて同一の間隔をあけて配置される。第1貫通孔32Hは、軸方向Aにおいてピン34(図1参照)のネジ部が挿入される。
【0022】
ピン34は、軸方向Aの一方に位置するネジ部と、軸方向Aの他方に位置する頭部34a(図1参照)と、を備える。ネジ部は、磁極部312に形成されたネジ孔312Hに締結可能に形成される。
【0023】
そして、ピン34のネジ部は、第1リング32の第1貫通孔32Hに挿入された後、磁極部312のネジ孔312Hに締結され、ピン34を介して、第1リング32に磁極部312が固定される。
【0024】
コイル35は、例えば、銅等の導電性を有する金属の平板を打ち抜いて形成される。このようなコイル35は、例えば、ポリイミド等の耐熱性樹脂により形成された絶縁性の被覆層で覆われる。
【0025】
複数相のコイル35は、第1コイル35Uと、第2コイル35Vと、第3コイル35Wと、を備える。第1コイル35Uは、モータ1のU相を構成する。また、第2コイル35Vは、モータ1のV相を構成する。さらに、第3コイル35Wは、モータ1のW相を形成する。
【0026】
第1コイル35Uは、第2コイル35Vおよび第3コイル35Wよりも径方向Rの外側に配置される。そして、第1コイル35Uは、軸方向Aから視た場合、環状に配置される。
【0027】
第3コイル35Wは、第1コイル35Uおよび第2コイル35Vよりも径方向Rの内側に配置される。そして、第3コイル35Wは、軸方向Aから視た場合、環状に配置される。
【0028】
第2コイル35Vは、第1コイル35Uの径方向Rの内側であって、かつ、第3コイル35Wよりも径方向Rの外側に配置される。そして、第2コイル35Vは、軸方向Aから視た場合、環状に配置される。
【0029】
コイル35は、軸方向Aから視た場合、円筒状に形成される。例えば、第1コイル35Uは、軸方向Aから視た場合、鉄心31本体の内周面に沿うように、円筒状に形成される。また、径方向Rにおいて、第1コイル35Uよりも内側に配置される第2コイル35Vは、第1コイル35Uの内周面に沿い、かつ、第1コイル35Uよりも半径が小さくなるように円筒状に形成される。さらに、径方向Rにおいて、第2コイル35Vよりも内側に配置される第3コイル35Wは、第2コイル35Vの内周面に沿い、かつ、第2コイル35Vよりも半径が小さくなるように円筒状に形成される。また、本実施形態に係る複数相のコイル35において、第1コイル35U、第2コイル35V、および、第3コイル35Wは、軸方向Aにおける長さが略同一である。
【0030】
第1コイル35U、第2コイル35V、および、第3コイル35Wは、半径の大きさを除いて、同様に形成される。そこで、以下に第1コイル35Uについて説明し、第2コイル35Vおよび第3コイル35Wの説明を省略する。
【0031】
第1コイル35Uは、例えば銅等の導電性を有する金属の平板を打ち抜いた図6に示す金属材37で形成する。図6は、第1コイル35Uを形成する金属材37の平面図である。つまり、図6は、第1コイル35Uの展開状態を示した展開図である。図7は、実施形態に係るモータ1の第1コイル35Uを示す斜視図である。図8は、実施形態に係るモータ1の第1コイル35Uにおいて、各導体3511、3512、3513、3514の大きさを示す斜視図である。
【0032】
図6に示す金属材37は、横方向Xへ折り曲げて、横方向Xにおける一方の端部37aと他方の端部37bとを連結して、図7に示す円筒状の第1コイル35Uを形成する。第1コイル35Uを形成する際、一方の端部37aと他方の端部37bとは、適宜の絶縁性を有する材料を介在させて連結し、一方の端部37aと他方の端部37bとの絶縁性を確保する。
【0033】
第1コイル35Uを形成する金属材37は、複数の構成部351によって形成される。本実施形態に係る金属材37は、例えば8個の構成部351によって形成される。より詳細に説明すると、第1コイル35Uは、一方の構成部351Aを4個有し、他方の構成部351Bを4個有し、一方の構成部351Aと他方の構成部351Bとを横方向X(周方向C)において交互に配置してある。なお、図6において、一方の構成部351Aと他方の構成部351Bとの境界線351Iを仮想線で示す。また、一方の構成部351Aと他方の構成部351Bとは、縦方向Y(軸方向A)において第1導体3511の位置と第2導体3512の位置とが反対となり、かつ、横方向X(周方向C)において第3導体3513の位置と第4導体3514の位置とが同一となるように配置してある。つまり、一方の構成部351Aと他方の構成部351Bとは、縦方向Y(上下方向)の位置が反対となるように配置される。本実施形態に係る第1コイル35Uにおいて、複数の構成部351は、横方向X(周方向C)において連続するように一体的に形成される。
【0034】
構成部351は、第1導体3511と、第2導体3512と、第3導体3513と、第4導体3514と、をそれぞれ有する。第1導体3511と、第2導体3512と、第3導体3513と、第4導体3514とは、一体的に形成される。本実施形態に係る構成部351は、例えば第2導体3512の横方向X(周方向C)の長さよりも、第1導体3511の横方向X(周方向C)の長さが長い。
【0035】
第1導体3511と、第2導体3512とは、横方向X(周方向C)に延びる。第3導体3513と、第4導体3514とは、縦方向Y(軸方向A)に延びる。第3導体3513および第4導体3514の縦方向Y(軸方向A)の一方の端部は、第1導体3511に連結される。その上、第3導体3513および第4導体3514の縦方向Y(軸方向A)の他方の端部は、第2導体3512に連結される。つまり、第3導体3513と第4導体3514とは、第1導体3511と第2導体3512とにそれぞれ接触する。この構成により、第3導体3513および第4導体3514は、後述する一方の端子部352aおよび他方の端子部352bを介して第1導体3511と第2導体3512との間に電圧が印加された場合、第1導体3511から第2導体3512または第2導体3512から第1導体3511へ電流が流れる並列回路として機能する。
【0036】
構成部351は、横方向X(周方向C)において、第3導体3513と第4導体3514との間に、第1空間部351H1を有する。つまり、第1空間部351H1が介在することによって、横方向X(周方向C)において、第3導体3513と第4導体3514とは、離れている。言い換えると、第1空間部351H1が介在することによって、縦方向Y(軸方向A)において、第1導体3511と第2導体3512とは、離れている。
【0037】
また、第1コイル35Uは、一方の構成部351Aと横方向X(周方向C)において隣接する他方の構成部351Bとの間に第2空間部351H2を有する。つまり、第2空間部351H2が介在することによって、横方向X(周方向C)において、一方の構成部351Aと他方の構成部351Bとは、離れている。
【0038】
周方向Cにおいて、図8に示すように、第3導体3513の幅3513Lと第4導体3514の幅3514Lとの和は、軸方向Aにおける第1導体3511の長さ3511Lに等しい。つまり、周方向Cにおける第3導体3513と第4導体3514の大きさの和(3513L+3514L)は、軸方向Aにおける第1導体3511の大きさ3511Lに等しい。
【0039】
また、第1導体3511の厚さと、第3導体3513の厚さと、第4導体3514の厚さは、径方向Rにおいて同一である。従って、第1導体3511において電流の流れる方向に対して直交する平面における断面積と、第3導体3513において電流の流れる方向に対して直交する平面における断面積に第4導体3514において電流の流れる方向に対して直交する平面における断面積を加えた断面積とが等しい。
【0040】
周方向Cにおいて、第3導体3513の幅3513Lと第4導体3514の幅3514Lとの和は、軸方向Aにおける第2導体3512の長さ3512Lに等しい。つまり、周方向Cにおける第3導体3513と第4導体3514の大きさの和(3513L+3514L)は、軸方向Aにおける第2導体3512の大きさ3512Lに等しい。
【0041】
また、第2導体3512の厚さと、第3導体3513の厚さと、第4導体3514の厚さは、径方向Rにおいて同一である。従って、第2導体3512において電流の流れる方向に対して直交する平面における断面積と、第3導体3513において電流の流れる方向に対して直交する平面における断面積に第4導体3514において電流の流れる方向に対して直交する平面における断面積を加えた断面積とが等しい。
【0042】
軸方向Aにおいて、第1導体3511の長さ3511Lと第2導体3512の長さ3512Lとは同一である。つまり、軸方向Aにおける第1導体3511と第2導体3512との大きさが等しい。従って、第1導体3511と第2導体3512とは、電流の流れる方向に対して直交する平面における断面積が等しい。
【0043】
周方向Cにおいて、第3導体3513の幅3513Lと第4導体3514の幅3514Lは同一である。つまり、周方向Cにおける第3導体3513と第4導体3514との大きさが等しい。従って、第3導体3513と第4導体3514とは、電流の流れる方向に対して直交する平面における断面積が等しい。
【0044】
図9は、第1コイル35Uの側面図である。なお、図9において、径方向Rと、周方向Cとは同一の方向となる。図9に示すように、一方の構成部351Aの第1空間部351H1には、磁極部312(第1磁極部312A)が挿入される。また、当該構成部351と周方向Cにおいて隣接(図9の下方に隣接)する第2空間部351H2には、第4導体3514に隣接するように、別の磁極部312(第2磁極部312B)が挿入される。そして、当該第2空間部351H2には、さらに別の磁極部312(第3磁極部312C)が挿入される。その上、当該構成部351と周方向Cにおいて隣接(図9の上方に隣接)する第2空間部351H2には、第3導体3513に隣接するように、他の磁極部312(第4磁極部312D)が挿入される。そして、当該第2空間部351H2には、さらに異なる磁極部312(第5磁極部312E)が挿入される。上述したように、一方の構成部351Aの周方向Cにおいて、第3導体3513は、第1磁極部312Aと第2磁極部312Bとの間に位置し、第4導体3514は、第1磁極部312Aと第4磁極部312Dとの間に位置する。つまり、構成部351において、第3導体3513と第4導体3514とは、複数の磁極部312のうち異なる磁極部312の間に配置される。
【0045】
次に、第1コイル35Uに設けられる複数の端子部352の一例について、図10を用いて説明する。図10は、第1コイル35Uを展開した状態において、端子部352の位置を示した展開図である。図10において、Xは横方向を示し、Yは縦方向を示す。図10における横方向Xは、図7における周方向Cに対応し、図10における縦方向Yは、図7における軸方向Aに対応する。
【0046】
端子部352は、不図示の電源にそれぞれ接続される。本実施形態に係る第1コイル35Uにおいて、一方の端子部352aは、横方向Xの端に位置する一方の構成部351Aの第1導体3511に設けられる。また、本実施形態に係る第1コイル35Uにおいて、他方の端子部352bは、横方向Xの端に位置する他方の構成部351Bの第2導体3512に設けられる。本実施形態に係る端子部352は、縦方向Y(軸方向A)の一方側において、外側へ延びるようにそれぞれ形成される。
【0047】
一方の端子部352aは、縦方向Yにおいて、第1導体3511における第2導体3512とは反対側の端部に配置され、かつ、第1導体3511の端部から軸方向Aへ延びるように形成される。従って、図示省略するが、第1コイル35Uを形成した状態では、一方の端子部352aは、軸方向Aにおいて、第1導体3511における第2導体3512とは反対側の端部に配置され、かつ、第1導体3511の端部から軸方向Aの外側へ延びるように形成される。
【0048】
他方の端子部352bは、縦方向Yにおいて、第2導体3512における第1導体3511とは反対側の端部に配置され、かつ、第2導体3512の端部から軸方向Aへ延びるように形成される。従って、図示省略するが、第1コイル35Uを形成した状態では、他方の端子部352bは、軸方向Aにおいて、第1導体3511における第2導体3512とは反対側の端部に配置され、かつ、第1導体3511の端部から軸方向Aの外側へ延びるように形成される。
【0049】
なお、一方の端子部352aと他方の端子部352bとは、電流の流れる方向に対して直交する平面における断面積が等しい。そして、端子部352のそれぞれにおいて、電流の流れる方向に対して直交する平面における断面積は、例えば第1導体3511において、電流の流れる方向に対して直交する平面における断面積と同一である。また、図示省略するが、本実施形態に係るモータ1は、周方向Cにおいて、第1コイル35Uの端子部352と、第2コイル35Vの端子部352と、第3コイル35Wの端子部352とを相互にずらして配置してある。
【0050】
次に、コイル35に発生する磁界について説明する。図11は、実施形態における第1コイル35Uにおいて、一方の端子部352aと他方の端子部352bとの間に電圧が印加された場合、一方の端子部352aから他方の端子部352bに流れる電流を示す斜視図である。図12は、実施形態における第1コイル35Uにおいて、他方の端子部352bと一方の端子部352aとの間に電圧が印加された場合、他方の端子部352bから一方の端子部352aに流れる電流を示す斜視図である。
【0051】
例えば、一方の端子部352aと他方の端子部352bとの間に電圧が印加され、一方の端子部352aから他方の端子部352bへ電流が流れる(図11において矢印で示す方向に電流が流れる)。
【0052】
そして、上述したように電流が第1コイル35Uに流れると、第2空間部351H2では、反時計回りの方向へ電流が流れることになるため、第2空間部351H2において、径方向Rの内側から外側へ向かう磁界が形成される。
【0053】
その後、適宜のタイミングで電流の流れる方向を変更する。つまり、他方の端子部352bから一方の端子部352aへ電流が流れると、図12に示すように、第2空間部351H2には、時計回りの方向へ電流が流れることになるため、第2空間部351H2において、径方向Rの外側から内側へ向かう磁界が形成される。
【0054】
そして、磁界の向きを適宜のタイミングで変更することにより、第1コイル35Uに形成される磁界と、ロータ2のマグネット21の磁界との磁力によって、ロータ2を周方向Cの一方に回転する。
【0055】
次に、本実施形態に係るスタータの組み立てについて説明する。先ず、作業者は、例えば、導電性を有する平板を打ち抜いて金属材37(図6参照)を形成した後、当該金属材37を横方向X(周方向C)へ折り曲げ、その後、周方向Cの一方の端部と他方の端部とを連結して第1コイル35U、第2コイル35V、および、第3コイル35Wのうちのいずれかのコイル35を形成する。
【0056】
次に、作業者は、横方向Xの長さが異なる金属材37を用い、同様の作業を行うことによって、残りの2つのコイル35のうち、いずれか一方のコイル35を形成する。
【0057】
次に、作業者は、横方向Xの長さが異なる金属材37を用い、同様の作業を行うことによって、残りの一つのコイル35を形成する。
【0058】
次に、作業者は、図5に示すように、第1コイル35U、第2コイル35V、および、第3コイル35Wを径方向Rに並べて配置する。
【0059】
次いで、作業者は、径方向Rにおいて、第1コイル35Uの外側に本体部311を配置する。
【0060】
次に、作業者は、径方向Rにおいて、複数相のコイル35の内側に磁極部312を配置し、その後、径方向Rの内側から外側へ向けて磁極部312を移動することで、第1空間部315H1および第2空間部315H2に磁極部312を配置するとともに、本体部311の第2貫通孔311Hに磁極部312を配置し、本体部311に磁極部312を組み付ける。
【0061】
次いで、作業者は、図2に示すように、複数の磁極部312の軸方向Aの一方側の端部に第1リング32を配置する。
【0062】
次に、作業者は、ピン34のネジ部を、第1リング32の第1貫通孔32Hに挿入した後、磁極部312のネジ孔312H(図3参照)に締結する。つまり、ピン34を介して、1つの第1リング32に複数の磁極部312を固定する。そして、作業者は、第1リング32と同様に、複数の磁極部312の軸方向Aの他方側に第2リング33を配置し、ピン34を介して1つの第2リング33に複数の磁極部312を固定する。
【0063】
最後に、作業者は、図示しないフレームにステータ3およびロータ2を収容してモータ1の組み立てを終了する。
【0064】
以上に説明したように、本実施形態に係るモータ1は、複数相のコイル35のうち、所定の相のコイル35は、第1導体3511と、第2導体3512と、第3導体3513と、第4導体3514と、を有し、第1導体3511と、第2導体3512とは、周方向Cに延び、第3導体3513と、第4導体3514とは、軸方向Aに延び、第3導体3513と第4導体3514とは、第1導体3511と第2導体3512とにそれぞれ接触し、周方向Cにおいて、第3導体3513と第4導体3514とは、離れている。このため、本実施形態に係るコイル35は、第1導体3511と第2導体3512との間に電圧が印加された場合には、第3導体3513に電流が流れるとともに第4導体3514に電流が流れる。従って、本実施形態に係るモータ1は、第3導体3513と第4導体3514とを並列回路とすることができるから、第3導体3513および第4導体3514によって、コイル35の抵抗値を減少させることができる。つまり、本実施形態に係るモータ1は、コイル35の抵抗値を減少することができる。これにより、本実施形態に係るモータ1は、駆動時の消費電力を抑制することができるとともに、駆動時のコイル35の発熱を抑制することができ、かつ、効率を向上することができる。本実施形態に係る第3導体3513および第4導体3514は、仮に、軸方向Aに延びる1本の導体だけで周方向に延びる導体に連結した従来の波巻状のコイルと比較した場合、抵抗値を約1/2にすることができる。その上、本実施形態に係るコイル35は、周方向Cに延びる第1導体3511および第2導体3512が、軸方向Aの延びる第3導体3513および第4導体3514に連結され、第1導体3511および第2導体3512は、軸方向Aに隣接して積層されるものではない。そのため、複数の湾曲部を軸方向に積層した従来のコイルと比較し、軸方向Aにおいてモータ1のコイルエンドを小型化することができる。
【0065】
本実施形態に係るモータ1は、第3導体3513と第4導体3514とは、複数の磁極部312のうち異なる磁極部312の間に配置される。このため、本実施形態に係るモータ1は、複数のスロット313に配置される導体3513、3514の数を増やすことができる。そのため、スロット313に配置される磁極部312の数を増加することで、スロット313に対する磁極部312の占有率を増加することができる。より具体的に説明すると、本実施形態に係るモータ1は、24個のスロット313を有し、24個のうち、16個のスロット313に第3導体3513または第4導体3514のいずれか一方を配置することができる。つまり、本実施形態に係るモータ1において、全部のスロット313に対する磁極部312の占有率は66.67%である。
【0066】
本実施形態に係るモータ1のコイル35において、第1導体3511と、第2導体3512と、第3導体3513と、第4導体3514とは、一体的に形成される。そのため、本実施形態に係るコイル35は、それぞれの導体3511、3512、3513、3514を接合する作業が不要であるから、コイル35の製造作業を容易にすることができる。
【0067】
本実施形態に係るモータ1において、周方向Cにおける第3導体3513と第4導体3514の大きさの和は、軸方向Aにおける第1導体3511の大きさに等しい。そのため、本実施形態に係るコイル35において、断面積が狭い部分をなくすことによって、コイル35の抵抗値を確実に減少させることができる。
【0068】
本実施形態に係るモータ1において、周方向Cにおける第3導体3513と第4導体3514の大きさの和は、軸方向Aにおける第2導体3512の大きさに等しい。そのため、本実施形態に係るコイル35において、断面積が狭い部分をなくすことによって、コイル35の抵抗値を確実に減少させることができる。
【0069】
本実施形態に係るモータ1は、軸方向Aにおける第1導体3511大きさと第2導体3512の大きさとが等しい。そのため、本実施形態に係るコイル35は、第1導体3511の断面積と第2導体3512の断面積とを等しくし、断面積が狭い部分をなくすことによって、コイル35の抵抗値を確実に減少させることができる。
【0070】
本実施形態に係るモータ1は、周方向Cにおける第3導体3513の大きさと第4導体3514の大きさとが等しい。そのため、本実施形態に係るコイル35は、第3導体3513の断面積と第4導体3514の断面積とを等しくし、断面積が狭い部分をなくすことによって、コイル35の抵抗値を確実に減少させることができる。
【0071】
本実施形態に係るモータ1は、径方向Rにおいて、複数相のコイル35のうち、所定の相のコイル35と異なる相のコイル35は、所定の相のコイル35と隣接して配置される。そのため、本実施形態に係るモータ1は、複数相のコイル35のうち、一の相のコイル35と他の相のコイル35との間に空間が介在することを防止でき、複数相のコイル35をまとめて配置することができる。それによって、本実施形態に係るモータ1は、径方向Rにおいてモータ1を小型化することができる。
【0072】
本実施形態に係るモータ1において、複数相のコイル35のうち一相のコイル35は、一枚の導電性の板材を打ち抜いて一体的に形成される。そのため、本実施形態に係る一相のコイル35は、一方の構成部351Aと他方の構成部351Bとを接合する作業が不要であるから、製造作業を容易にすることができる。その上、本実施形態に係る一相のコイル35は、一枚の導電性の板材を打ち抜いて一体的に形成されるため、導線を巻いてコイルを形成する作業を必要としないから、製造作業を容易にすることができる。
【0073】
本実施形態に係るモータ1において、周方向Cにおける第3導体3513と第4導体3514の大きさの和は、軸方向Aにおける第1導体3511の大きさに等しい。また、径方向Rにおいて、第1導体3511の厚さと、第3導体3513の厚さと、第4導体3514の厚さとが同一である。そのため、第3導体3513の断面積と第4導体3514の断面積との和が、第1導体3511の断面積と等しい。従って、本実施形態に係るコイル35において、一方の端子部352aと他方の端子部352bとの間に配置される回路で断面積が狭い部分をなくすことによって、コイル35の抵抗値を確実に減少させることができる。
【0074】
本実施形態に係るモータ1において、周方向Cにおける第3導体3513と第4導体3514の大きさの和は、軸方向Aにおける第2導体3512の大きさに等しい。また、径方向Rにおいて、第2導体3512の厚さと、第3導体3513の厚さと、第4導体3514の厚さとが同一である。そのため、第3導体3513の断面積と第4導体3514の断面積との和が、第2導体3512の断面積と等しい。従って、本実施形態に係るコイル35において、一方の端子部352aと他方の端子部352bとの間に配置される回路で断面積が狭い部分をなくすことによって、コイル35の抵抗値を確実に減少させることができる。
【0075】
本実施形態に係るモータ1は、軸方向Aにおける第1導体3511の大きさと第2導体3512の大きさとが等しい。また、本実施形態に係るモータ1は、径方向Rにおいて、第1導体3511の厚さと、第2導体3512の厚さとが同一である。そのため、本実施形態に係るモータ1は、第1導体3511の断面積と第2導体3512の断面積とが等しい。従って、本実施形態に係るコイル35は、一方の端子部352aと他方の端子部352bとの間に配置される回路で断面積が狭い部分をなくすことによって、コイル35の抵抗値を確実に減少させることができる。
【0076】
本実施形態に係るモータ1は、周方向Cにおける第3導体3513の大きさと第4導体3514の大きさとが等しい。また、本実施形態に係るモータ1は、径方向Rにおいて、第3導体3513の厚さと、第4導体3514の厚さとが同一である。そのため、本実施形態に係るモータ1は、第3導体3513の断面積と第4導体3514の断面積とが等しい。従って、本実施形態に係るコイル35は、一方の端子部352aと他方の端子部352bとの間に配置される回路で断面積が狭い部分をなくすことによって、コイル35の抵抗値を確実に減少させることができる。
【0077】
また、上述した実施形態に係るモータ1は、例えばインナーロータ型のブラシレスモータに適用したものを説明したが、これに限られない。本実施形態に係るモータ1は、例えばアウターロータ型のモータに適用することができる。
【0078】
また、上述した実施形態に係るロータ2は、8個のマグネット21を備えるものを説明した。しかし、本実施形態に係るロータ2のマグネット21の数は、それに限られず、任意の個数に設定することができる。
【0079】
さらに、上述した実施形態に係るステータ3は、24個の磁極部312と、24個のスロット313とを備えるものを説明した。しかし、本実施形態に係るステータ3の磁極部312の数とスロット313の数は、それに限られず、任意の個数に設定することができる。
【0080】
また、上述した実施形態に係る鉄心31の本体部311は、24個の第2貫通孔311Hを備えるものを説明した。しかし、本実施形態に係る鉄心31の本体部311の第2貫通孔311Hの数は、それに限られず、任意の個数に設定することができる。
【0081】
さらに、上述した実施形態に係るステータ3において、U相を構成する第1コイル35U、V相を構成する第2コイル35V、およびW相を構成する第3コイル35Wのそれぞれは、8個の構成部351で構成されるものを説明した。しかし、本実施形態に係るステータ3の各コイル35を構成する構成部351の数は、それに限られず、任意に設定することができる。
【0082】
以上、本発明に係るモータ1の実施形態に基づいて説明したが、本発明は実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲での種々の変更が可能であることも言うまでもない。そのような要旨を逸脱しない範囲での種々の変更を行ったものも本発明の技術的範囲に含まれるものであり、そのことは、当業者にとって特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0083】
1 モータ、 31 鉄心、 312 磁極部、 35 コイル、 3511 第1導体、 3512 第2導体、 3513 第3導体、 3514 第4導体、 3511L 軸方向Aにおける第1導体3511の大きさ、 3512L 軸方向Aにおける第2導体3512の大きさ、 3513L+3514L 周方向における第3導体と第4導体との大きさの和、 A 軸方向、 C 周方向、 R 径方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図11
図12