(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024024493
(43)【公開日】2024-02-22
(54)【発明の名称】モータ
(51)【国際特許分類】
H02K 1/14 20060101AFI20240215BHJP
【FI】
H02K1/14 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022127348
(22)【出願日】2022-08-09
(71)【出願人】
【識別番号】000114215
【氏名又は名称】ミネベアミツミ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】児玉 光生
【テーマコード(参考)】
5H601
【Fターム(参考)】
5H601AA22
5H601CC01
5H601CC13
5H601CC15
5H601DD01
5H601DD09
5H601DD11
5H601DD18
5H601EE03
5H601EE19
5H601FF02
5H601FF04
5H601GA02
5H601GA37
5H601GA39
5H601GB05
5H601GB13
5H601GB32
5H601GB48
5H601GC02
5H601GC12
5H601GC25
(57)【要約】
【課題】コギングトルクを抑制する。
【解決手段】モータは、ステータを備える。前記ステータは、径方向においてマグネットと対向する第1磁極部および第2磁極部を有する。前記第1磁極部は、径方向へ凹む凹部を有する。前記第1磁極部と前記第2磁極部とは、連結部によって連結される。前記径方向において、前記連結部の大きさは、複数の前記第1磁極部の径方向外側の端部から前記凹部までの大きさよりも小さい。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステータを備え、
前記ステータは、径方向においてマグネットと対向する第1磁極部および第2磁極部を有し、
前記第1磁極部は、径方向へ凹む凹部を有し、
前記第1磁極部と前記第2磁極部とは、連結部によって連結され、
前記径方向において、前記連結部の大きさは、複数の前記第1磁極部の径方向外側の端部から前記凹部までの大きさよりも小さい、
モータ。
【請求項2】
前記連結部は、前記第1磁極部の径方向外側と、前記第2磁極部の径方向の外側とを、連結する、
請求項1に記載のモータ。
【請求項3】
前記ステータは、径方向において前記マグネットと対向する第3磁極部を有し、
軸方向において、前記第3磁極部は、前記第1磁極部の一方側に配置される、
請求項1又は請求項2に記載のモータ。
【請求項4】
前記軸方向において、前記連結部の一方側に第3磁極部が配置される、
請求項3に記載のモータ。
【請求項5】
前記軸方向において、前記凹部の一方側に第3磁極部が配置される、
請求項3に記載のモータ。
【請求項6】
前記第1磁極部は、前記径方向外側に延びるティース部を有し、
周方向において、前記ティース部は前記第1磁極部の中央と異なる位置に配置される、
請求項1又は請求項2に記載のモータ。
【請求項7】
前記第1磁極部は、前記径方向外側に延びるティース部を有し、
前記第3磁極部は、前記径方向外側に延びる第2ティース部を有し、
軸方向において、前記ティース部と前記第2ティース部とは、重なる部分を有する、
請求項3に記載のモータ。
【請求項8】
前記ステータは、複数の磁性材料によって形成され、
複数の磁性材料は、第1の磁性材料と第2の磁性材料とを有し、
前記第1磁極部と前記第2磁極部とは、前記第1の磁性材料によって形成され、
前記第3磁極部は、第2の磁性材料によって形成され、
前記第1の磁性材料と前記第2の磁性材料とは同一形状である、
請求項3に記載のモータ。
【請求項9】
前記第2の磁性材料は、軸方向において前記第1の磁性材料に対して反転して配置される、
請求項8に記載のモータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来からモータにおいてコギングトルクを抑制することが望まれている。例えば、特許文献1に記載されたモータは、径方向の内端側に第1の鍔部を有する第1の鉄心と、径方向の内端側に第2の鍔部を有する第2の鉄心と、を有する。そして、当該モータは、第1の鉄心から突出する第1の鍔部の突出方向と、第2の鉄心から突出する第2の鍔部の突出方向と、を相違させることによって、コギングトルクを抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の技術は、コギングトルクの抑制に関して改良の余地がある。
【0005】
本発明は、上記の課題に鑑み、コギングトルクを抑制することができる、モータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係るモータは、ステータを備え、前記ステータは、径方向においてマグネットと対向する第1磁極部および第2磁極部を有し、前記第1磁極部は、径方向へ凹む凹部を有し、前記第1磁極部と前記第2磁極部とは、連結部によって連結され、前記径方向において、前記連結部の大きさは、複数の前記第1磁極部の径方向外側の端部から前記凹部までの大きさよりも小さい。
【0007】
一つの態様によれば、本発明に係るモータによれば、コギングトルクを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本実施形態に係るモータの平面図である。
【
図2】
図2は、
図1に示すモータが有するステータの斜視図である。
【
図3】
図3は、
図2に示すステータが有するステータコアの斜視図である。
【
図5】
図5は、本実施形態に係る一方側本体部の一部を示す平面図である。
【
図6】
図6は、本実施形態に係る他方側本体部の一部を示す平面図である。
【
図7】
図7は、本実施形態に係る第1磁極部および第2磁極部を示す平面図である。
【
図8】
図8は、本実施形態に係る第3磁極部および第4磁極部を示す平面図である。
【
図9】
図9は、本実施形態に係るステータが有する一方側本体部の第1磁極部および第2磁極部と、他方側本体部の第3磁極部および第4磁極部との関係を示す斜視図である。
【
図10】
図10は、ティース部のそれぞれにコイルを設けたステータコアの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、実施形態に係るモータを図面に基づいて詳細に説明する。なお、図面における各要素の寸法の関係、各要素の比率などは、現実と異なる場合がある。図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。
【0010】
図1は、本実施形態に係るモータ1の平面図である。
図2は、
図1に示すモータ1が有するステータ3の斜視図である。
図3は、
図2に示すステータ3が有するステータコア32の斜視図である。
図4は、
図3の一部拡大図である。
図5は、本実施形態に係る一方側本体部321の一部を示す平面図である。
図6は、本実施形態に係る他方側本体部322の一部を示す平面図である。
図7は、本実施形態に係る第1磁極部3211および第2磁極部3212を示す平面図である。
図8は、本実施形態に係る第3磁極部3221および第4磁極部3222を示す平面図である。
図9は、本実施形態に係るステータ3が有する一方側本体部321の第1磁極部3211および第2磁極部3212と、他方側本体部322の第3磁極部3221および第4磁極部3222との関係を示す斜視図である。
図10は、ティース部32113、32123、32213、32223のそれぞれにコイル33を設けたステータコア32の斜視図である。なお、説明の便宜のため、ロータ2は、
図1、
図5、
図6のみに示し、他の図面において省略してある。
【0011】
各図面において、説明を容易にするため、後述するシャフト22が延びる方向を軸方向Aと言い、後述するロータ2が回転する方向を周方向Cと言い、軸方向Aに対して直交する平面に含まれ、かつ、シャフト22の軸心22oを通過し、周方向Cに直交する方向を径方向Rと言う。
【0012】
実施形態に係るモータ1は、例えば三相交流電源からの電気エネルギーを、シャフト22の周方向Cへ回転する駆動力に変換する電動機である。つまり、モータ1は、三相交流モータである。また、本実施形態に係るモータ1は、例えばインナーロータ型のブラシレスモータである。モータ1は、例えば、図示しないフレームに収容される。モータ1は、
図1に示すように、例えばロータ2と、ステータ3と、を備える。
【0013】
ロータ2は、当該ロータ2の径方向Rの外側に位置する外周面に沿って並べられた複数のマグネット21と、径方向Rの内側に配置され、回転軸となるシャフト22と、を有する。本実施形態に係るロータ2は、例えば16個のマグネット21を備える。このロータ2は、周方向Cに沿って16個のマグネット21を等間隔に配置してある。
【0014】
ステータ3は、
図2に示すように、ヨークリング31と、ステータコア32と、複数のコイル33と、を備える。ヨークリング31は、例えば鉄などの磁性材料で円筒状に形成される。ヨークリング31の内部には、複数のコイル33を取り付けたステータコア32が圧入される。
【0015】
ステータコア32は、例えば軸方向Aの一方側に位置する一方側本体部321と、軸方向Aの他方側に位置する他方側本体部322と、によって構成される。本実施形態に係る一方側本体部321および他方側本体部322は、軸方向Aから視た場合、同一形状に形成され、軸方向Aにおいて表裏が反対になるように配置される。そこで、重複説明を避けるため、一方側本体部321について説明し、他方側本体部322に関しては一方側本体部321と相違する点に関してのみ説明し、同一の構成に関しては説明を省略する。
【0016】
一方側本体部321は、例えばステンレス鋼や磁性鋼板などの磁性を有する磁性材料を軸方向Aに積層することで形成される。軸方向Aに積層される磁性材料は、例えば溶接、接着または加締めることで互いに固定される。
【0017】
一方側本体部321は、磁性材料を積層する方向である軸方向Aの両端に開口を有するように形成される。また、一方側本体部321は、
図3に示すように、複数の第1磁極部3211と、複数の第2磁極部3212と、複数の第1連結部(連結部)3213と、を有する。より具体的に説明すると、軸方向Aから視た場合、第1磁極部3211と第2磁極部3212とは、周方向Cにおいて交互に配置される。また、軸方向Aから視た場合、周方向Cにおいて第1磁極部3211と第2磁極部3212との間に第1連結部3213が配置される。
【0018】
本実施形態に係る第1磁極部3211および第2磁極部3212は、同一形状に形成される。そこで、重複説明を避けるため、第1磁極部3211について説明し、第2磁極部3212に関しては第1磁極部3211と相違する点に関してのみ説明し、同一の構成については説明を省略する。
【0019】
第1磁極部3211は、いわゆる主極であって、
図5に示すように、マグネット21と対向する。第1磁極部3211は、
図3、
図4、
図7に示すように、第1の基部32111と、第1の凹部(凹部)32112と、第1のティース部(一方側ティース部)32113と、を有する。
【0020】
第1の基部32111は、
図7に示すように、径方向Rの幅Ra11が一定となるように径方向Rへ延びる弧状に形成される。第1連結部3213は、径方向Rの幅Ra13が、第1の基部32111の径方向Rの幅Ra11よりも狭くなるように形成され、軸方向Aから視た場合、第1磁極部3211の端部に配置される。そして、第1連結部3213によって、第1磁極部3211と第2磁極部3212とが連結される。径方向Rにおいて、第1連結部3213の幅Ra13は、複数の第1磁極部3211の径方向Rの外側の端部から第1の凹部32112までの幅Ra12よりも狭い。つまり、径方向Rにおいて、第1連結部3213の大きさは、複数の第1磁極部3211の径方向Rの外側の端部から第1の凹部32112までの大きさよりも小さい。本実施形態に係る第1連結部3213は、第1磁極部3211の径方向Rの外側と、第2磁極部3212の径方向Rの外側とを連結する。
【0021】
第1の凹部32112は、径方向Rの幅Ra12が、第1の基部32111の径方向Rの幅Ra11よりも狭くなるように、径方向Rへ凹むように第1磁極部3211に形成される。言い換えると、第1磁極部3211は、径方向Rの内周面に、径方向Rにおいて内側から外側へ向けて凹む第1の凹部32112を有する。本実施形態に係る第1磁極部3211は、2つの第1の凹部32112を有する。
【0022】
第1磁極部3211には、2つの第1の凹部32112によって径方向Rの内側へ向けて突出する一方側第1磁極部321m11が形成される。一方側第1磁極部321m11は、いわゆる補極であって、径方向Rにおいてマグネット21と対向する(
図5参照)。
【0023】
また、第1磁極部3211には、1つの第1の凹部32112と、1つの第1連結部3213とによって径方向Rの内側へ向けて突出する一方側第2磁極部321m12が形成される。一方側第2磁極部321m12は、いわゆる補極であって、径方向Rにおいてマグネット21と対向する(
図5参照)。
【0024】
また、本実施形態に係る第1磁極部3211は、一方側第1磁極部321m11の周方向Cにおける長さと、一方側第2磁極部321m12の周方向Cにおける長さと、が同一である。
【0025】
第1のティース部(ティース部)32113は、第1の基部32111(後述する筒状部3214)における径方向Rの外側に位置する外周面から径方向Rの外側へ向けて突出する。周方向Cにおいて、第1のティース部32113は第1磁極部3211の中央とは異なる位置に配置される。言い方を変えると、周方向Cにおいて、第1のティース部32113は第1磁極部3211の中央から外れた位置に配置される。より具体的に説明すると、
図7に示すように、周方向Cにおいて第1のティース部32113の中央線32113Cは、第1磁極部3211の仮想二等分線3211Cよりも左側に配置される。
【0026】
第2磁極部3212は、いわゆる主極であって、
図5に示すように、径方向Rにおいてマグネット21と対向する。上記で説明した第1磁極部3211を考慮すると、ステータ3は、径方向Rにおいてマグネット21と対向する第1磁極部3211および第2磁極部3212を有する。
【0027】
第2磁極部3212は、
図3、
図4、
図7に示すように、第2の基部(基部)32121と、第2の凹部(凹部)32122と、第2のティース部(一方側ティース部)32123と、を有する。第2磁極部3212の第2の基部32121は、第1磁極部3211の第1の基部32111に対応する。第2磁極部3212の第2の凹部(凹部)32122は、第1磁極部3211の第1の凹部(凹部)32112に対応する。第2磁極部3212の第2のティース部(ティース部)32123は、第1磁極部3211の第1のティース部32113に対応する。
【0028】
上述した第1磁極部3211の第1の基部32111と、第2磁極部3212の第2の基部32121と、第1連結部3213とによって、一方側本体部321には、筒状の筒状部3214(
図3参照)が形成される。
【0029】
第2磁極部3212には、
図7に示すように、2つの第2の凹部32122によって径方向Rの内側へ向けて突出する一方側第3磁極部321m13が形成される。一方側第3磁極部321m13は、いわゆる補極であって、径方向Rにおいてマグネット21と対向する(
図5参照)。
【0030】
また、第2磁極部3212には、1つの第2の凹部32122と、1つの第1連結部3213とによって径方向Rの内側へ向けて突出する一方側第4磁極部321m14が形成される。一方側第4磁極部321m14は、いわゆる補極であって、径方向Rにおいてマグネット21と対向する(
図5参照)。
【0031】
第1磁極部3211の周方向Cにおいて、2つの第1の凹部32112における一方の第1の凹部32112と、当該一方の第1の凹部32112に対して周方向Cに隣接する第1連結部3213との弧の長さRaは、2つの第1の凹部32112の間の弧の長さRbと同一である。また、周方向Cにおいて、2つの第1の凹部32112における他方の第1の凹部32112と、当該他方の第1の凹部32112に対して周方向Cに隣接する第1連結部3213との弧の長さRcは、2つの第1の凹部32112の間の弧の長さRbと同一である。
【0032】
上記のように第1の凹部32112と第1連結部3213とを配置したため、本実施形態に係るステータ3の一方側本体部321は、周方向Cにおいて磁極部321m11、321m12、321m13、321m14を等間隔に配置する。
【0033】
一方側本体部321は、周方向Cにおいて複数の一方側ティース部32113、32123の間に配置された第1スロット部321sを有する。第1スロット部321sは、軸方向Aへ延びる。つまり、本実施形態に係る一方側本体部321は、径方向Rにおいて、
基部32121、32111(筒状部3214)の外側に第1スロット部321sが配置される。本実施形態に係る一方側本体部321は、例えば1つの筒状部3214と、24個の一方側ティース部32113、32123と、24個の第1スロット部321sと、を備える。
【0034】
第1連結部3213は、それぞれが主極である第1磁極部3211および第2磁極部3212を連結する。
【0035】
図2に示す、他方側本体部322は、例えばステンレス鋼や磁性鋼板などの磁性を有する磁性材料を軸方向Aに積層することで形成される。
【0036】
他方側本体部322は、磁性材料を積層する方向である軸方向Aの両端に開口を有して円筒状に形成される。また、他方側本体部322は、
図3、
図8に示すように、複数の第3磁極部3221と、複数の第4磁極部3222と、複数の第2連結部(連結部)3223と、を有する。
【0037】
他方側本体部322の第3磁極部3221が、一方側本体部321の第1磁極部3211に対応する。他方側本体部322の第4磁極部3222が、一方側本体部321の第2磁極部3212に対応する。他方側本体部322の第2連結部3223が、一方側本体部321の第1連結部3213に対応する。つまり、ステータ3(他方側本体部322)は、
図6に示すように、径方向Rにおいてマグネット21とそれぞれ対向する第3磁極部3221および第4磁極部3222を有する。
【0038】
第3磁極部3221は、いわゆる主極であって、第3の基部32211と、第3の凹部(凹部)32212と、第3のティース部(他方側ティース部)32213と、を有する。第3磁極部3221における第3の基部32211は、第1磁極部3211における第1の基部32111に対応する。第3磁極部3221における第3の凹部(凹部)32212は、第1磁極部3211における第1の凹部(凹部)32112に対応する。第3磁極部3221における第3のティース部(ティース部)32213は、第1磁極部3211における第1のティース部32113に対応する。
【0039】
第3磁極部3221には、
図8に示すように、2つの第3の凹部32212によって径方向Rの内側へ向けて突出する他方側第1磁極部322m11が形成される。他方側第1磁極部322m11は、いわゆる補極であって、径方向Rにおいてマグネット21と対向する(
図6参照)。
【0040】
また、第3磁極部3221には、1つの第3の凹部32212と、1つの第2連結部3223とによって径方向Rの内側へ向けて突出する他方側第2磁極部322m12が形成される。他方側第2磁極部322m12は、いわゆる補極であって、径方向Rにおいてマグネット21と対向する(
図6参照)。
【0041】
第4磁極部3222は、いわゆる主極であって、第4の基部32221と、第4の凹部(凹部)32222と、第4のティース部(他方側ティース部)32223と、を有する。第4磁極部3222における第4の基部32221は、第2磁極部3212における第2の基部(基部)32121に対応する。第4磁極部3222における第4の凹部(凹部)32222は、第2磁極部3212における第2の凹部(凹部)32122に対応する。第4磁極部3222における第4のティース部32223は、第2磁極部3212における第2のティース部32123に対応する。
【0042】
上述した第3磁極部3221の第3の基部32211と、第4磁極部3222の第4の基部32221と、第2連結部3223とによって、他方側本体部322には、筒状の筒状部3224が形成される。
【0043】
第4磁極部3222には、2つの第4の凹部32222によって径方向Rの内側へ向けて突出する他方側第3磁極部322m13が形成される。他方側第3磁極部322m13は、いわゆる補極であって、径方向Rにおいてマグネット21と対向する(
図6参照)。
【0044】
また、第4磁極部3222には、1つの第4の凹部32222と、1つの第2連結部3223とによって径方向Rの内側へ向けて突出する他方側第4磁極部322m14が形成される。他方側第4磁極部322m14は、径方向Rにおいてマグネット21と対向する(
図6参照)。
【0045】
他方側本体部322は、一方側本体部321と同一形状であるため、本実施形態に係るステータ3の他方側本体部322は、周方向Cにおいて磁極部322m11、322m12、322m13、322m14を等間隔に配置する。
【0046】
他方側本体部322は、周方向Cにおいて複数の他方側ティース部32213、32223の間に配置された第2スロット部322sを有する。第2スロット部322sは、軸方向Aへ延びる。つまり、本実施形態に係る他方側本体部322は、径方向Rにおいて、基部32211、32221(筒状部3224)の外側に第2スロット部322sが配置される。本実施形態に係る他方側本体部322は、例えば1つの筒状部3224と、24個の他方側ティース部32213、32223と、24個の第2スロット部322sと、を備える。
【0047】
次に、一方側本体部321の第1磁極部3211と、他方側本体部322の第3磁極部3221との関係について
図9を用いて説明する。なお、
図9において、軸方向Aにおいて一方側本体部321と他方側本体部322との関係を明示するため、軸方向Aにおける一方側本体部321と他方側本体部322との間に空間部を介在させて示してあるが、実際には、
図4に示すように、軸方向Aにおける一方側本体部321と他方側本体部322とは接触する。
【0048】
軸方向Aにおいて、第1磁極部3211における第1の凹部32112の一方側に、第3磁極部3221における他方側第1磁極部322m11または他方側第2磁極部322m12が配置される。言い方を変えると、軸方向Aにおいて、第1の凹部(凹部)32112の一方側に第3磁極部3221が配置される。別の言い方をすると、軸方向Aにおいて、第1磁極部3211の一部の一方側に、第3磁極部3221の一部が配置される。つまり、軸方向Aにおいて、第1磁極部3211の全部の一方側に、第3磁極部3221の全部が配置されることはない。換言すれば、軸方向Aにおいて、第1磁極部3211の一部の一方側に、第3磁極部3221が配置される。
【0049】
その上、軸方向Aにおいて、第1連結部(連結部)3213の一方側に、第3磁極部3221における他方側第2磁極部322m12が配置される。
【0050】
第3のティース部32213は、第3の基部32211(筒状部3224)における径方向Rの外側に位置する外周面から径方向Rの外側へ向けて突出する。周方向Cにおいて、第3のティース部32213は第3磁極部3221の中央とは異なる位置に配置される。言い方を変えると、周方向Cにおいて、第3のティース部32213は第3磁極部3221の中央から外れた位置に配置される。より具体的に説明すると、
図8に示すように、周方向Cにおいて第3のティース部32213の中央線32213Cは、第3磁極部3221の仮想二等分線3221Cよりも右側に配置される。
【0051】
本実施形態に係るステータ3において、
図3に示すように、軸方向Aから視た場合、第1のティース部32113の全部と、第3のティース部32213の全部とが重なる。なお、ステータ3において、軸方向Aから視た場合、第1のティース部32113の一部と、第3のティース部32213の一部とが重なってもよい。
【0052】
また、ステータ3において、軸方向Aから視た場合、第2のティース部32123の全部と、第4のティース部32223の全部とが重なる。なお、ステータ3において、軸方向Aから視た場合、第2のティース部32123の一部と、第4のティース部32223の一部とが重なってもよい。
【0053】
コイル33は、例えば、電線を第1のティース部32113および第3のティース部32213に巻くことで形成され、電線を第2のティース部32123および第4のティース部32223に巻くことで形成される(
図10参照)。本実施形態に係るコイル33は、例えば電線をティース部32113、32123、32213、32223に集中巻きすることで形成される。
【0054】
第2連結部3223は、それぞれが主極である第3磁極部3221および第4磁極部3222を連結する。
【0055】
上記に説明したステータ3において、一方側本体部321は、第1の磁性材料によって形成され、他方側本体部322は、第2の磁性材料によって形成される。また、一方側本体部321は、軸方向Aにおいて、他方側本体部322に対して反転して配置される。なお、ステータ3において、一方側本体部321を形成する磁性材料と、他方側本体部322を形成する磁性材料とは異なってもよい。つまり、上述したステータ3は、例えば複数の磁性材料によって形成される。複数の磁性材料は、第1磁性材料と第2磁性材料とを有する。第1磁極部3211と第2磁極部3212とは、例えば第1の磁性材料によって形成される。第3磁極部3221と第4磁極部3222とは、例えば第2の磁性材料によって形成される。また、本実施形態に係るステータ3において、一方側本体部321は、軸方向Aにおいて、他方側本体部322に対して反転して配置される。つまり、第1の磁性材料と第2の磁性材料とは同一形状である。また、第2の磁性材料は、軸方向Aにおいて第1の磁性材料に対して反転して配置される。
【0056】
上記のように形成された一方側本体部321において、凹部32112、32122と第1連結部3213とによって形成される磁極部321m11、321m12、321m13、321m14は、周方向Cにおいて等間隔に配置される。また、他方側本体部322において、凹部32212、32222と第2連結部3223とによって形成される磁極部322m11、322m12、322m13、322m14は、周方向Cにおいて等間隔に配置される。その上、一方側本体部321および他方側本体部322は、磁極部321m11、321m12、321m13、321m14と、磁極部322m11、322m12、322m13、322m14とが軸方向Aにずれるように配置してある。そのため、本実施形態に係るモータ1は、コギングトルクを抑制することができる。
【0057】
以上説明したように、本実施形態に係るモータ1において、第1磁極部3211は、径方向Rへ凹む第1の凹部(凹部)32112を有し、当該第1の凹部32112によって第1磁極部3211に複数の磁極部321m11、321m12が形成される。そのため、本実施形態に係るモータ1は、いわゆる補極である一方側磁極部321m11、321m12の数を増加することで、コギングトルクの次数が増加してコギングトルクの波高値を小さくでき、コギングトルクを抑制することができる。
【0058】
本実施形態に係るモータ1において、第1連結部3213は、第1磁極部3211の径方向Rの外側と、第2磁極部3212の径方向Rの外側とを、連結する。そのため、本実施形態に係るステータ3は、第1磁極部3211および第2磁極部3212の径方向Rの外側に巻き線を設置することができるから、第1磁極部3211および第2磁極部3212の径方向Rの内側に巻き線を設置する場合と比較して第1スロット部321sの周方向Cの幅を広くすることができる。その結果、本実施形態に係るステータ3は、巻き線を設置する作業を容易にすることができる。その上、本実施形態に係るステータ3は、第1磁極部3211および第2磁極部3212の径方向Rの外側に巻き線を設置することができるから、アウターロータを備えるモータの巻き線の設備を用いることができる。
【0059】
本実施形態に係るモータ1において、ステータ3は、マグネット21と対向する第3磁極部3221を有し、軸方向Aにおいて、第3磁極部3221は、第1磁極部3211の一方側に配置される。また、本実施形態に係るモータ1の軸方向Aにおいて、第1連結部3213の一方側に第3磁極部3221が配置される。さらに、本実施形態に係るモータ1の軸方向Aにおいて、軸方向Aにおいて、第1の凹部(凹部)32112の一方側に第3磁極部3221が配置される。それらのため、本実施形態に係るモータ1は、軸方向Aにおいて、第1磁極部3211の位置と第3磁極部3221との位置とを周方向Cにおいてずらすことができるから、コギングトルクを抑制することができる。
【0060】
本実施形態に係るモータ1において、第1磁極部3211は、径方向Rの外側に延びる第1のティース部32113を有し、周方向Cにおいて、第1のティース部32113は第1磁極部3211の中央と異なる位置に配置される。その上、第3磁極部3221は、径方向Rの外側に延びる第3のティース部32213を有し、周方向Cにおいて、第3のティース部32213は第3磁極部3221の中央と異なる位置に配置される。そして、第1磁極部3211と第3磁極部3221とは、軸方向Aにおいて反対となるように配置される。それらのため、本実施形態に係るモータ1は、軸方向Aにおいて、第1磁極部3211の位置と第3磁極部3221との位置とを周方向Cにおいてずらすことができるから、コギングトルクを抑制することができる。
【0061】
本実施形態に係るモータ1において、第1磁極部3211は、径方向外側に延びる第1のティース部32113を有し、第3磁極部3221は、径方向外側に延びる第3のティース部32213を有し、軸方向Aにおいて、第1のティース部32113と第3のティース部32213とは、重なる部分を有する。
【0062】
本実施形態に係るモータ1において、ステータ3は、複数の磁性材料によって形成され、複数の磁性材料は、第1の磁性材料と第2の磁性材料とを有し、第1磁極部3211と第2磁極部3212とは、第1の磁性材料によって形成され、第3磁極部3221は、第2の磁性材料によって形成され、第1の磁性材料と第2の磁性材料とは同一形状である。そのため、本実施形態に係るモータ1は、第1の磁性材料および第2の磁性材料を大量生産することで、製造コストを安価にすることができる。
【0063】
本実施形態に係るモータ1の軸方向Aにおいて、第2の磁性材料は、第1の磁性材料に対して反転して配置される。そのため、本実施形態に係るモータ1は、第1磁極部3211の位置と第3磁極部3221の位置を軸方向Aにおいて容易にずらすことができる。その結果、本実施形態に係るモータ1は、製造を容易にしながらコギングトルクを抑制することができる。
【0064】
本実施形態に係るモータ1の一方側本体部321が有する磁極部321m11、321m12、321m13、321m14の数をM1とする。その上、他方側本体部322が有する磁極部321m11、321m12、321m13、321m14の数をM2とする。そして、360度を上記のM1で除した数X1を算出し、かつ、360度を上記のM2で除した数X2を算出し、算出した数X1、X2の1/2の角度θ1を、周方向Cにおいて一方側本体部321と他方側本体部322とをずらす角度とする。
【0065】
本実施形態に係るステータ3において、一方側本体部321が有する磁極部321m11、321m12、321m13、321m14の数であるM1は、144個である。他方側本体部322が有する磁極部321m11、321m12、321m13、321m14の数であるM2は、144個である。そして、360度をM1(144)で除した数X1は、2.5度であり、360度をM2(144)で除した数X2は、2.5度であり、算出した数X1(2.5度)、X2(2.5)の1/2の角度θ1(1.25度)を、周方向Cにおいて一方側本体部321と他方側本体部322とをずらす角度(コアずらし角度)とする。
【0066】
また、本実施形態に係るステータ3において、360度を上記のM1で除した数X1を算出し、かつ、360度を上記のM2で除した数X2を算出し、算出した数X1、X2の2倍の角度θ2を、周方向Cにおいて磁極部321m11、321m12、321m13、321m14をずらす角度(磁極部角度)とする。本実施形態に係るステータ3において、360度をM1(144)で除した数X1は、2.5度であり、360度をM2(144)で除した数X2は、2.5度であり、算出した数X1(2.5度)、X2(2.5)の2倍の角度θ2(5.0度)を、磁極部321m11、321m12、321m13、321m14をずらす角度(磁極部角度)として設定してある。なお、説明を省略するが他方側本体部322も同様である。
【0067】
本実施形態に係るステータ3の一方側本体部321は、周方向Cにおいて磁極部321m11、321m12、321m13、321m14を等間隔に配置する。また、一方側本体部321は、周方向Cにおいて、第1の凹部32112の長さと、第2の凹部32122の長さと、第1連結部3213の長さとが同一であって、かつ、第1の凹部32112と、第2の凹部32122と、第1連結部3213とを等間隔に配置する。その上、他方側本体部322は、周方向Cにおいて磁極部322m11、322m12、322m13、322m14を等間隔に配置する。また、他方側本体部322は、周方向Cにおいて、第3の凹部32212の長さと、第4の凹部32222の長さと、第2連結部3223の長さとが同一であって、かつ、第3の凹部32212と、第4の凹部32222と、第2連結部3223とを等間隔に配置する。そして、軸方向Aから視た場合、一方側本体部321の磁極部321m11、321m12、321m13、321m14と、他方側本体部322における第3の凹部32212、第4の凹部32222、および、第2連結部3223とが重なる。さらに、軸方向Aから視た場合、一方側本体部321における第1の凹部32112、第2の凹部32122、および、第1連結部3213と、他方側本体部322の磁極部321m11、321m12、321m13、321m14とが重なる。つまり、軸方向Aから視た場合、一方側本体部321の磁極部321m11、321m12、321m13、321m14と、他方側本体部322の磁極部322m11、322m12、322m13、322m14とが周方向Cにおいてずれる。その結果、本実施形態に係るモータ1は、従来のインナーロータタイプのモータに比べてコギングトルクを抑制することができる。
【0068】
なお、上述した実施形態に係るモータ1は、例えばインナーロータ型のブラシレスモータに適用したものを説明したが、これに限られない。本実施形態に係るモータ1は、例えばアウターロータ型のモータに適用することができる。
【0069】
また、本実施形態に係るモータ1は、三相交流モータを説明した。しかし、本実施形態に係るモータは、それに限られない。
【0070】
さらに、上述した実施形態に係るロータ2は、16個のマグネット21を備えるものを説明した。しかし、本実施形態に係るロータ2のマグネット21の数は、それに限られず、任意の個数に設定することができる。
【0071】
また、上述した実施形態に係るステータ3は、12個の第1磁極部3211と、12個の第2磁極部3212と、12個の第3磁極部3221と、12個の第4磁極部3222と、を備えるものを説明した。しかし、本実施形態に係るステータ3の磁極部3211、3212、3221、3222の数は、それに限られず、任意の個数に設定することができる。
【0072】
さらに、上述した実施形態に係るステータ3は、12個の第1のティース部32113と、12個の第2のティース部32123と、12個の第3のティース部32213と、12個の第4のティース部32223と、を備えるものを説明した。しかし、本実施形態に係るステータ3のティース部32113、32123、32213、32223の数は、それに限られず、任意の個数に設定することができる。
【0073】
また、上述した実施形態に係るステータ3において、第1の磁性材料と第2の磁性材料とは同一形状であるものを説明した。しかし、本実施形態に係るステータ3は、それに限られず、第1の磁性材料の形状と、第2の磁性材料の形状とが異なってもよい。
【0074】
以上、本発明に係るモータ1の実施形態に基づいて説明したが、本発明は実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲での種々の変更が可能であることも言うまでもない。そのような要旨を逸脱しない範囲での種々の変更を行ったものも本発明の技術的範囲に含まれるものであり、そのことは、当業者にとって特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0075】
1 モータ、 21 マグネット、 3 ステータ、 3211 第1磁極部、 32111 第1の基部、 32112 第1の凹部(凹部)、 32113 第1のティース部(一方側ティース部)、 321m11 一方側第1磁極部、 321m12 一方側第2磁極部、 3212 第2磁極部、 32121 第2の基部 32122 第2の凹部(凹部)、 32123 第2のティース部(一方側ティース部)、 321m13 一方側第3磁極部、 321m14 一方側第4磁極部、 3213 第1連結部(連結部)、 3214 筒状部、 322 他方側本体部、 3221 第3磁極部、 32211 第3の基部、 32212 第3の凹部(凹部)、 32213 第3のティース部(他方側ティース部)、 322m11 他方側第1磁極部、 322m12 他方側第2磁極部、 3222 第4磁極部、 32221 第4の基部、 32222 第4の凹部(凹部)、 32223 第4のティース部(他方側ティース部)、 322m13 他方側第3磁極部、 322m14 他方側第4磁極部、 A 軸方向、 C 周方向、 R 径方向