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特開2024-24499移動体の運行システム、運行方法、及び運行プログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024024499
(43)【公開日】2024-02-22
(54)【発明の名称】移動体の運行システム、運行方法、及び運行プログラム
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/28 20060101AFI20240215BHJP
   G01S 19/04 20100101ALI20240215BHJP
   G08G 1/00 20060101ALN20240215BHJP
【FI】
G01C21/28
G01S19/04
G08G1/00 X
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022127359
(22)【出願日】2022-08-09
(71)【出願人】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000154
【氏名又は名称】弁理士法人はるか国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石山 健二
(72)【発明者】
【氏名】今 健人
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 仁
【テーマコード(参考)】
2F129
5H181
5J062
【Fターム(参考)】
2F129AA03
2F129AA11
2F129BB02
2F129BB33
2F129BB45
2F129BB46
5H181AA01
5H181AA25
5H181AA26
5H181BB04
5H181BB05
5H181CC03
5H181CC04
5H181CC12
5H181CC14
5H181FF04
5H181FF05
5H181FF07
5H181LL09
5J062AA04
5J062BB01
5J062CC07
5J062DD24
5J062EE02
(57)【要約】
【課題】高精度測位を実現するための補正情報を配信する配信装置への接続に必要な接続IDの無駄を低減する。
【解決手段】ID管理部11aは、第1の期間においては第1車両V1に第1接続ID(N01)を割り当て、第2の期間においては第2車両V2に第1接続ID(N01)を割り当てる。補正情報取得部11bは、第1の期間においては、第1接続ID(N01)を利用して配信装置201に接続し、第1車両V1のための補正情報を配信装置201から受信する。補正情報取得部11bは、第2の期間においては、第1接続ID(N01)を利用して配信装置201に接続し、第2車両V2のための補正情報を配信装置201から受信する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体の暫定位置情報から前記移動体の高精度位置情報を算出するための補正情報を配信装置から受信し、前記高精度位置情報を利用して前記移動体を運行する運行システムであって、
前記配信装置への接続に利用する接続IDを複数の移動体に割り当てるID管理部と、
前記移動体の前記暫定位置情報を前記配信装置に送信し、前記暫定位置情報で示される暫定位置に応じた前記補正情報を前記配信装置から受信する補正情報取得部と
を有し、
前記ID管理部は、第1の期間においては、前記複数の移動体の1つである第1移動体に第1接続IDを割り当て、第2の期間においては、前記複数の移動体の別の1つである第2移動体に前記第1接続IDを割り当て、
前記補正情報取得部は、前記第1の期間においては、前記第1接続IDを利用して前記配信装置に接続し、前記第1移動体のための前記補正情報を前記配信装置から受信し、前記第2の期間においては、前記第1接続IDを利用して前記配信装置に接続し、前記第2移動体のための前記補正情報を前記配信装置から受信する
移動体の運行システム。
【請求項2】
前記第1移動体の用途と前記第2移動体の用途は異なっている
請求項1に記載される移動体の運行システム。
【請求項3】
前記第1移動体に許容されている運転エリアと、前記第2移動体に許容されている運転エリアは異なっている
請求項1に記載される移動体の運行システム。
【請求項4】
前記ID管理部は、複数の移動体を識別するための移動体IDと複数の接続IDとを対応づけるID管理情報を有し、前記第1の期間においては前記第1移動体に付与された第1移動体IDを前記第1接続IDに対応させ、前記第2の期間においては前記第2移動体に付与された第2移動体IDを前記第1接続IDに対応させる
請求項1に記載される運行システム。
【請求項5】
前記ID管理部は、所定の条件が充足したときに、各移動体の移動体IDに割り当てる接続IDを、複数の接続IDから選択する
請求項1に記載される移動体の運行システム。
【請求項6】
前記ID管理部は、前記複数の移動体の制御において前記補正情報が利用される期間を示す運転予定情報に基づいて、前記第1移動体と前記第2移動体とに選択的に前記第1接続IDを割り当てる
請求項1に記載される移動体の運行システム。
【請求項7】
前記ID管理部は、前記第1移動体と前記第2移動体の運転情報に基づいて、前記第1移動体と前記第2移動体とに選択的に前記第1接続IDを割り当てる
請求項1に記載される移動体の運行システム。
【請求項8】
前記ID管理部と前記補正情報取得部とを有する管理装置を含み、
前記補正情報取得部は、前記第1の期間においては前記配信装置から受信した前記補正情報を前記第1移動体に送信し、前記第2の期間においては前記配信装置から受信した前記補正情報を前記第2移動体に送信する
請求項1に記載される運行システム。
【請求項9】
前記ID管理部と前記補正情報取得部とを有する管理装置を含み、
前記管理装置は、前記複数の移動体のそれぞれから、各移動体の運転状態を表す情報を受信する監視部をさらに備える
請求項1に記載される移動体の運行システム。
【請求項10】
前記監視部は、前記第1の期間において前記第2移動体の前記暫定位置情報に基づいて前記第2移動体を管理し、前記第2の期間において、前記第1移動体の前記暫定位置情報に基づいて前記第1移動体を管理する
請求項9に記載される移動体の運行システム。
【請求項11】
前記第1の期間は、前記第2移動体が停止している期間又は手動運転されている期間の少なくとも一部であり、
前記第2の期間は、前記第1移動体が停止している期間又は手動運転されている期間の少なくとも一部である
請求項1に記載される移動体の運行システム。
【請求項12】
前記配信装置への接続に許容されている前記複数の接続IDの数は、前記運行システムが管理する前記複数の移動体の数よりも少ない
請求項1に記載される移動体の運行システム。
【請求項13】
前記複数の移動体は第3移動体と第4移動体とを更に含み、
前記ID管理部は、前記第1の期間において第2接続IDを第3移動体に割り当て、前記第2の期間においては前記第2接続IDが第4移動体に割り当てる
請求項1に記載される移動体の運行システム。
【請求項14】
前記第1の期間と前記第2の期間は重複しない期間である
請求項1に記載される移動体の運行システム。
【請求項15】
移動体の暫定位置情報から前記移動体の高精度位置情報を算出するための補正情報を配信装置から受信し、前記高精度位置情報を利用して前記移動体を運行する方法であって、
前記配信装置への接続に利用する接続IDを前記複数の移動体に割り当てるID管理工程と、
前記移動体の前記暫定位置情報を前記配信装置に送信し、前記暫定位置情報で示される暫定位置に応じた補正情報を前記配信装置から受信する補正情報取得工程と
を含み、
第1の期間における前記ID管理工程では、第1移動体に第1接続IDを割り当て、第2の期間における前記ID管理工程では、第2移動体に前記第1接続IDを割り当て、
前記第1の期間における前記補正情報取得工程では、前記第1接続IDを利用して前記配信装置に接続し、前記第1移動体のための前記補正情報を前記配信装置から受信し、前記第2の期間における前記補正情報取得工程では、前記第1接続IDを利用して前記配信装置に接続し、前記第2移動体のための前記補正情報を前記配信装置から受信する
移動体の運行方法。
【請求項16】
移動体の暫定位置情報から前記移動体の高精度位置情報を算出するための補正情報を配信装置から受信し、前記高精度位置情報を利用して前記移動体を運行するシステムとして、コンピュータを機能させる運行プログラムであって、
前記配信装置への接続に利用する接続IDを複数の移動体に割り当てるID管理部、及び
前記移動体の前記暫定位置情報を前記配信装置に送信し、前記暫定位置情報で示される暫定位置に応じた補正情報を前記配信装置から受信する補正情報取得部
として前記コンピュータを機能させ、
前記ID管理部は、第1の期間においては第1移動体に第1接続IDを割り当て、第2の期間においては第2移動体に前記第1接続IDを割り当て、
前記補正情報取得部は、前記第1の期間においては、前記第1接続IDを利用して前記配信装置に接続し、前記第1移動体のための前記補正情報を前記配信装置から受信し、前記第2の期間においては、前記第1接続IDを利用して前記配信装置に接続し、前記第2移動体のための前記補正情報を前記配信装置から受信する
移動体の運行プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、自動運転車両や、無人飛行体、ロボットなどの移動体を管理する運行システム、運行方法、及び運行プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
自動運転車両や無人航空機などの移動体の制御では、移動体の位置が管理センターにおいて監視される。特許文献1及び2においては、RTK(Real Time Kinematic)方式による高精度測位が利用されている。RTK方式によると、誤差は数センチメートル以内に収まる。このため、RTK方式で得られた位置情報は、移動体の移動が予め生成された計画経路に従っているか否かの判定に利用できる。
【0003】
RTK方式では、正確な位置が特定されている基準局においてGNSS(Global Navigation Satellite System)信号が受信され、このGNSS信号から得られた補正情報が利用される。補正情報としては、例えば、GNSS信号から算出した擬似距離(基準局からGNSS衛星までの距離)や搬送波位相情報が含まれる。補正情報は基準局から配信装置に送信され、配信装置から移動体に送信される。全国或いは特定の地域に設置された複数の基準局の中から、移動体の位置に近い基準局が選択される。そして、その基準局から得られた補正情報が、配信装置を介して移動体に送信される。移動体において、補正情報を利用した補正計算が実行され、高精度な位置情報が算出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-156840号公報
【特許文献2】特開2020-067358号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
RTK方式を利用する際、移動体は、LTE(Long Term Evolution)や、第5世代(5G)などの無線通信ネットワークを介して配信装置に接続する。移動体は、補正情報の受信のために、配信装置から移動体に付与されたIDを利用して、配信装置に接続する。ところが、移動体のなかには、高精度測位を要しない期間を有するものがある。例えば、日中だけ利用される移動体や、夜間だけ利用される移動体がある。このような複数種類の移動体の全てについてIDを確保すると、IDの無駄が発生する。そして、このことは、移動体の運営者にとっては余分なコストとなる場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本開示で提案する運行システムは、移動体の暫定位置情報から前記移動体の高精度位置情報を算出するための補正情報を配信装置から受信し、前記高精度位置情報を利用して前記移動体を運行する運行システムである。前記運行システムは、前記配信装置への接続に利用する接続IDを複数の移動体に割り当てるID管理部と、前記移動体の前記暫定位置情報を前記配信装置に送信し、前記暫定位置情報で示される暫定位置に応じた前記補正情報を前記配信装置から受信する補正情報取得部とを有している。前記ID管理部は、第1の期間においては、前記複数の移動体の1つである第1移動体に第1接続IDを割り当て、第2の期間においては、前記複数の移動体の別の1つである第2移動体に前記第1接続IDを割り当てる。前記補正情報取得部は、前記第1の期間においては、前記第1接続IDを利用して前記配信装置に接続し、前記第1移動体のための前記補正情報を前記配信装置から受信し、前記第2の期間においては、前記第1接続IDを利用して前記配信装置に接続し、前記第2移動体のための前記補正情報を前記配信装置から受信する。この運行システムによると、接続IDを効率的に使用し、接続IDの数を削減できる。その結果、移動体の運営者に課されるコストを低減できる。
【0007】
(2)(1)の運行システムにおいて、前記第1移動体の用途と前記第2移動体の用途は異なっていてよい。これによると、第1移動体の用途が発揮される期間を「第1の期間」とし、第2移動体の用途が発揮される期間を「第2の期間」とすることができる。
【0008】
(3)(1)又は(2)の運行システムにおいて、前記第1移動体に許容されている運転エリアと、前記第2移動体に許容されている運転エリアは異なってよい。運転エリアが異なると移動体を使用する時間帯が異なる場合が多くなり、その結果、第1の期間と第2の期間とを分けることが容易となる。
【0009】
(4)(1)乃至(3)の運行システムにおいて、前記ID管理部は、複数の移動体を識別するための移動体IDと複数の接続IDとを対応づけるID管理情報を有し、前記第1の期間においては前記第1移動体に付与された第1移動体IDを前記第1接続IDに対応させ、前記第2の期間においては前記第2移動体に付与された第2移動体IDを前記第1接続IDに対応させてよい。これによれば、接続IDの管理を容易化できる。
【0010】
(5)(1)乃至(4)の運行システムにおいて、前記ID管理部は、所定の条件が充足したときに、各移動体の移動体IDに割り当てる接続IDを、複数の接続IDから選択する。
【0011】
(6)(1)乃至(5)の運行システムにおいて、前記ID管理部は、前記複数の移動体の制御において前記補正情報が利用される期間を示す運転予定情報を参照し、前記第1移動体と前記第2移動体とに選択的に前記第1接続IDを割り当ててよい。これによれば、接続IDの割り当てを計画的に行うことができ、接続IDの不足を回避できる。
【0012】
(7)(1)乃至(5)の運行システムにおいて、前記ID管理部は、前記第1移動体と前記第2移動体の運転情報に基づいて、前記第1移動体と前記第2移動体とに選択的に前記第1接続IDを割り当ててよい。これによれば、接続IDの割り当ての自由度を増すことができる。
【0013】
(8)(1)乃至(7)の運行システムは、前記ID管理部と前記補正情報取得部とを有する管理装置を含んでよい。前記補正情報取得部は、前記第1の期間においては前記配信装置から受信した前記補正情報を前記第1移動体に送信し、前記第2の期間においては前記配信装置から受信した前記補正情報を前記第2移動体に送信してよい。これによれば、車両が接続IDを利用して直接的に配信装置に接続するシステムに比して、車両での処理を簡単化できる。
【0014】
(9)(1)乃至(8)の運行システムは、前記ID管理部と前記補正情報取得部とを有する管理装置を含み、前記管理装置は、前記複数の移動体のそれぞれから、各移動体の運転状態を表す情報を受信する監視部をさらに備えてよい。これによれば、移動体において、監視用の通信モジュールと、補正情報の受信用の通信モジュールとを共通化でき、コスト削減を図ることができる。
【0015】
(10)(9)の運行システムにおいて、前記監視部は、前記第1の期間において前記第2移動体の前記暫定位置情報に基づいて前記第2移動体を管理し、前記第2の期間において、前記第1移動体の前記暫定位置情報に基づいて前記第1移動体を管理してよい。これによれば、接続IDが割り当てられない期間においても、移動体の概ねの位置などに基づいて移動体の位置を監視できる。
【0016】
(11)(1)乃至(10)の運行システムにおいて、前記第1の期間は、前記第2移動体が停止している期間又は手動運転されている期間の少なくとも一部であり、前記第2の期間は、前記第1移動体が停止している期間又は手動運転されている期間の少なくとも一部であってよい。
【0017】
(12)(1)乃至(11)の運行システムにおいて、前記配信装置への接続に許容されている前記複数の接続IDの数は、前記運行システムが管理する前記複数の移動体の数よりも少なくてよい。これによれば、移動体の運営者に課されるコストを低減できる。
【0018】
(13)(1)乃至(12)の運行システムにおいて、前記複数の移動体は第3移動体と第4移動体とを更に含み、前記ID管理部は、前記第1の期間において第2接続IDを第3移動体に割り当て、前記第2の期間においては前記第2接続IDが第4移動体に割り当ててよい。これによると、第1の期間において複数の移動体(第1移動体、及び第3移動体)が運行し、第2の期間においても複数の移動体(第2移動体、及び第4移動体)が運行する。そのため、利用者の利便性を向上できる。
【0019】
(14)(1)乃至(13)の運行システムにおいて、前記第1の期間と前記第2の期間は重複しない期間であってよい。これによると、接続IDの割り当て処理を容易化できる。
【0020】
(15)本開示で提案する運行方法は、移動体の暫定位置情報から前記移動体の高精度位置情報を算出するための補正情報を配信装置から受信し、前記高精度位置情報を利用して前記移動体を運行する方法である。前記運行方法は、前記配信装置への接続に利用する接続IDを前記複数の移動体に割り当てるID管理工程と、前記移動体の前記暫定位置情報を前記配信装置に送信し、前記暫定位置情報で示される暫定位置に応じた補正情報を前記配信装置から受信する補正情報取得工程とを含む。第1の期間における前記ID管理工程では、第1移動体に第1接続IDを割り当て、第2の期間における前記ID管理工程では、第2移動体に前記第1接続IDを割り当てる。前記第1の期間における前記補正情報取得工程では、前記第1接続IDを利用して前記配信装置に接続し、前記第1移動体のための前記補正情報を前記配信装置から受信する。前記第2の期間における前記補正情報取得工程では、前記第1接続IDを利用して前記配信装置に接続し、前記第2移動体のための前記補正情報を前記配信装置から受信する。この運行方法によると、接続IDを効率的に使用し、接続IDの数を削減できる。その結果、移動体の運営者に課されるコストを低減できる。
【0021】
(16)本開示で提案する管理プログラムは、移動体の暫定位置情報から前記移動体の高精度位置情報を算出するための補正情報を配信装置から受信し、前記高精度位置情報を利用して前記移動体を運行するシステムとして、コンピュータを機能させる運行プログラムである。運行プログラムは、前記配信装置への接続に利用する接続IDを複数の移動体に割り当てるID管理部、及び前記移動体の前記暫定位置情報を前記配信装置に送信し、前記暫定位置情報で示される暫定位置に応じた補正情報を前記配信装置から受信する補正情報取得部として、前記コンピュータを機能させる。前記ID管理部は、第1の期間においては第1移動体に第1接続IDを割り当て、第2の期間においては第2移動体に前記第1接続IDを割り当てる。前記補正情報取得部は、前記第1の期間においては、前記第1接続IDを利用して前記配信装置に接続し、前記第1移動体のための前記補正情報を前記配信装置から受信し、前記第2の期間においては、前記第1接続IDを利用して前記配信装置に接続し、前記第2移動体のための前記補正情報を前記配信装置から受信する。この管理プログラムによると、接続IDを効率的に使用し、接続IDの数を削減できる。その結果、移動体の運営者に課されるコストを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】運行システムの一例を示すブロック図である。
図2】自動運転車両のハードウェアの例を示すブロック図である。
図3】管理装置のハードウェアの例を示すブロック図である。
図4】自動運転車両が有する制御部の機能を示すブロック図である。
図5】管理装置の機能を示すブロック図である。
図6】ID管理テーブルの例を示す図である。
図7】運転予定テーブルの第1の例を示す図である。
図8】運転許容エリアの例を示す図である。
図9】運行システムにおいて実行される処理の流れを示すシーケンス図である。
図10A】管理装置において実行される、接続IDの割り当て処理を示すフロー図である。
図10B】管理装置において実行される、接続IDの割り当てを終了するための処理を示すフロー図である。
図11A】運転予定テーブルの第2の例を示す図である。
図11B】運転予定テーブルの第3の例を示す図である。
図12】運転状態に基づいて接続IDが割り当てられる運行システムを説明するための図である。
図13】運転状態に基づいて接続IDを割り当てる管理装置において実行される処理の例を示すフロー図である。
図14】運行システムの別の例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下において、本開示で提案する移動体の運行システムの例を説明する。図1は、運行システムの一例である運行システム100を示す図である。
【0024】
本開示において、移動体は、モータやエンジンなどの動力源で移動する装置である。移動体は、例えば自動運転車両である。移動体は、無人飛行機や、鉄道車両、ロボットなどであってもよい。
【0025】
[運行システムの要素]
図1で示すように、運行システム100は、複数の自動運転車両V11・V12・V13・・・、及び自動運転車両V21・V22・V23・・・を有している。以下では、車両V11・V12・V13・・を区別しない場合、これらの車両について符号「V1」を用いる。同様に、車両V21・V22・V23・・・を区別しない場合、これらの車両について符号「V2」を用いる。
【0026】
複数の車両V1と複数の車両V2は、用途において相違している。すなわち、車両V1と、車両V2は、主に使用される時間帯が相違している。言い換えれば、車両V1と車両V2は、高精度測位を要する時間帯が相違している。この時間帯は、例えば、車両V1・V2の運営者によって予め規定されてよい。
【0027】
ここで「時間帯」とは、例えば、1日における時間帯である。車両V1は、例えば、昼間に人の輸送に使用される車両、又は昼間に工事現場で使用される車両である。これに対し、車両V2は、例えば、夜間の警備に使用される車両、又は夜間に倉庫等で商品のピッキングに利用される車両である。
【0028】
「時間帯」は1週間における曜日であってもよい。例えば、車両V1は平日に通勤や通学に利用される車両であってよい。これに対し、車両V2は、例えば、観光地又は観光施設において休日に使用される車両であってよい。
【0029】
時間帯は、一月における日にちや、1年における月であってもよい。例えば、車両V1は一月の前半に使用され、車両V2は一月の後半に使用される車両であってもよい。他の例として、車両V1は夏期に使用される車両であり、車両V2は冬期に使用される車両であってもよい。
【0030】
車両V1に許容されている運転エリアと、車両V2に許容されている運転エリアが、相違していてよい。例えば、車両V1の運転許容エリアは、ある都市の市街地に規定される一方で、車両V2の運転許容エリアは、観光地に規定されてよい。この場合でも、2種類の車両V1・V2は、主に使用される時間帯において相違することとなる。
【0031】
後において詳説するように、複数の車両V1と、複数の車両V2は、高精度測位を行うための補正情報を配信する配信装置201に、管理装置10を介して接続する。そして、車両V1が配信装置201への接続に使用する接続ID(識別情報)と、車両V2が配信装置201への接続に使用する接続IDとが共用される。車両V1の用途(補正情報の利用時間帯)と車両V2の用途(補正情報の利用時間帯)とが異なっているために、そのようなIDの共用が可能となっている。
【0032】
なお、運行システム100は、第1の用途の車両V1及び第2の用途の車両V2に加えて、第3の用途の車両を管理してもよい。この場合、この3種類の車両V1・V2・V3の用途(補正情報の利用時間帯)がIDを共用してよい。
【0033】
図1で示すように、運行システム100は、管理装置10を有している。複数の車両V1・V2と管理装置10は、ネットワークN1を介して接続されている。ネットワークN1は、インターネットや専用線を含むWAN(Wide Area Network)、及びLAN(Local Area Network)を含んでよい。これらは、有線の通信ネットワーク及び/又は無線通信ネットワークを含む。無線通信ネットワークには、第4世代(4G)或いは第5世代(5G)などの無線通信技術が利用されてよい。なお、運行システム100は、管理装置10と、複数の車両V1・V2とによって構成される。後述する配信装置201や基準局202は、運行システム100の要素でなくてよい。
【0034】
管理装置10は、配信装置201にネットワークN2を介して接続されている。このネットワークN2も、ネットワークN1と同様に、インターネットや専用線を含むWAN、及びLANを含んでよい。配信装置201は複数の基準局202に接続されている。各基準局202は、予め正確な位置が測定されている固定点に設置されている。基準局202は、図示していない複数のGNSS衛星から受信したGNSS信号に基づいて、GNSS衛星から基準局202までの距離(以下「擬似距離」と称する。)や搬送波位相情報を取得する。
【0035】
配信装置201と基準局202は、例えば、RTK(Real Time Kinematic)方式のGNSS(Global Navigation Satellite System)を構成する。なお、配信装置201と基準局202が構成するシステムは、他のGNSSを構成してもよい。例えば、配信装置201と基準局202は、ネットワーク型RTK-GNSS(VRS方式又はFKP方式)を構成してもよい。
【0036】
管理装置10は、配信装置201から補正情報を受信する。補正情報は、各車両V1・V2の暫定位置情報から、各車両V1・V2の高精度位置情報を算出するための情報である。補正情報は、例えば、RTK補正を行うための情報、言い換えれば、干渉測位を行うための情報である。補正情報は、複数の基準局202のうち暫定位置に近い基準局202のGNSS信号から得られる。補正情報は、例えば、基準局202から各衛星までの擬似距離や、搬送波位相情報を含む。また、補正情報は、基準局202の既知の正確な位置情報や、擬似距離と正確な距離との差、受信したGNSS信号の搬送波位相誤差、衛星軌道情報、時計補正情報、対流圏遅延補正情報、電離層遅延補正情報などを含んでよい。
【0037】
暫定位置情報とは、配信装置201が管理装置10に送信すべき補正情報を選択・算出するために要する車両V1・V2の位置情報である。暫定位置情報は、例えば、単独測位により得られる車両V1・V2の位置情報である。暫定位置情報としては、ディファレンシャルGPS(相対測位)による位置情報が利用されてもよい。ディフェレンシャルGPSとしては、例えば、静止衛星型衛星航法補強システム(satellite-based augmentation system(SBAS))など、補正情報の受信に接続認証を要さないシステムが利用されてよい。なお、一般的に、補正情報の受信周期に比して、GNSS信号に基づく単独測位による位置情報の算出周期は短い。そこで、暫定位置情報の他の例として、1つ前の補正情報と、単独測位で得られた直前の位置情報とに基づいて算出された高精度位置情報が利用されてもよい。
【0038】
配信装置201は、各車両V1・V2の暫定位置に応じた補正情報を、管理装置10に配信する。例えば、車両V11の高精度位置を算出する場合、配信装置201は、車両V11の暫定位置に近い基準局202から得られる補正情報を、管理装置10に送信する。
【0039】
[自動運転車両のハードウェア]
図2は自動運転車両V1・V2のハードウェアを示すブロック図である。同図で示すように、車両V1・V2は、制御部51、駆動部52、操舵部53、制動部54、通信部55、及びセンサ部Fを有している。この図では、車両V1・V2は同じハードウェアを有しているが、それらの用途に応じて異なるハードウェアを有してよい。
【0040】
駆動部52は、車両V1・V2の駆動輪を駆動する電動モータや、電動モータに電力を供給する駆動回路(例えば、インバータ回路)、バッテリなどを有している。駆動回路は、制御部51からの指令に従って、バッテリの電力を電動モータに供給する。車両V1・V2の駆動源は、電動モータに限られず、エンジンであってもよい。
【0041】
操舵部53は、ステアリング装置や、ステアリング装置を動かすアクチュエータ(ステアリングモータ)などを有している。アクチュエータは、制御部51によって制御される。制動部54は、ブレーキ装置や、ブレーキ装置を動かすアクチュエータなどを有している。このアクチュエータも制御部51によって制御される。
【0042】
センサ部Fは、車両の走行及び状態に関する信号を出力する、センサ、装置、及び回路を含む。センサ部Fは、例えば、車速に応じた信号を出力する車速センサや、車両V1・V2に作用する加速度及び/又は角速度に応じた信号を出力するIMU(Inertial Measurement Unit)、バッテリの電流を計測する回路、車両V1・V2の周囲を撮影するカメラ、LIDAR(Light Detection and Ranging)、ミリ波レーダーなどを含んでよい。センサ部Fに含まれるセンサ等は、ここで説明する例に限られない。
【0043】
制御部51は、CPU(Central Processing Unit)を含む演算部51A、RAM(Random Access Memory)や、ROM(Read Only Memory)などを含む記憶部51Bを含む。制御部51は、記憶部51Bに格納されているプログラムを演算部51Aが実行することによって、車両V1・V2を制御する。制御部51は、例えば、車両V1・V2の利用者によって設定された走行計画(走行ルートや速度)、或いは車両V1・V2の運営者によって設定された走行計画に従って、車両V1・V2が走行するように、駆動部52、操舵部53、及び制動部54を制御する。
【0044】
制御部51は、乗員の操作を要すること無く走行計画に従って駆動部52等を制御する自動運転モードと、乗員による操作(アクセル操作やステアリング操作)に従って駆動部52等を制御する手動運転モードとを有してもよい。
【0045】
GNSS受信部56は、複数のGNSS衛星からGNSS信号を受信し、制御部51に出力する。後において詳説するように、制御部51は、GNSS信号を利用して単独測位を行ったり、管理装置10を介して受信する補正情報を利用して高精度測位(補正情報を利用した補正計算)を実行する。制御部51は、暫定位置情報として、単独測位ではなく、ディフェレンシャルGPSによる位置情報を利用してもよい。
【0046】
通信部55は、車両V1・V2の走行や状態に関する情報(例えば、センサ部Fの出力や、運転モード、位置情報など)を、管理装置10に送信する。以下では、車両V1・V2の走行や状態に関する情報を「運転情報」と称する。通信部55は、例えば、管理装置10と双方向の無線通信を可能とする無線装置である。
【0047】
[管理装置のハードウェア]
図3は管理装置10のハードウェアを示すブロック図である。同図で示すように、管理装置10は、制御部11と通信部13とを有している。制御部11は演算部11Aと記憶部11Bとを含んでいる。
【0048】
演算部11Aは、CPUを有している。記憶部11Bは、RAMや、ROM、HHD(Hard Disc Drive)、SSD(Solid State Drive)などを有している。制御部11は、記憶部11Bに格納されているプログラムを演算部11Aによって実行し、車両V1・V2の管理に係る処理を実行する。また、記憶部11Bには、車両V1・V2から受信する運転情報が格納されてもよい。制御部11が行う処理については、後において詳説する。
【0049】
通信部13は、車両V1・V2と管理装置10との間で、及び、配信装置201と管理装置10との間で通信するための通信モジュールである。通信部13は、無線LANアダプタや有線LANアダプタであってよい。
【0050】
図3で示すように、管理装置10は、表示部14と入力部15とを有してよい。表示部14は、車両V1・V2の管理者のために、車両V1・V2の運転情報(センサ部Fの出力)を表示するディスプレイである。入力部15は、例えば、キーボードや、マウスポインタ、表示部14に設けられているタッチセンサなどを利用できる。入力部15は、管理者による指示入力を受け付ける。
【0051】
なお、管理装置10は、例えばサーバーコンピュータによって実現されるが、相互に接続されている複数のコンピュータによって実現されてもよい。例えば、管理装置10は、サーバーコンピュータと、WANやLANなどのネットワークを介してサーバーコンピュータに接続されるクライアントコンピュータ(例えば、パーソナルコンピュータや、スマートフォン、タブレットコンピュータ)とを含んでよい。この場合、サーバーコンピュータが各車両V1・V2の運転情報を受信し、クライアントコンピュータに送信してもよい。そして、クライアントコンピュータに接続されている表示部14に、これらの運転情報が表示されてもよい。また、クライアントコンピュータに接続されている入力部15を通して入力される管理者の指示が、サーバーコンピュータに送信されてもよい。
【0052】
[自動運転車両において実行される処理]
図4は、各車両V1・V2の制御部51が有する機能を示すブロック図である。同図に示すように、制御部51は、その機能として、自動走行制御部51a、位置情報算出部51b、補正情報取得部51c、及び運転情報通信部51dを有している。これらの機能は、制御部51が記憶部51Bに格納されているプログラムを実行することによって、実現される。
【0053】
[自動走行制御部]
自動走行制御部51aは、センサ部Fから入力される信号と、位置情報算出部51bによって算出される高精度位置とに基づいて、駆動部52、操舵部53、制動部54を制御する。車両V1・V2は、例えば管理装置10から計画経路を受信する。自動走行制御部51aは、車両V1・V2が計画経路に沿って進むように、駆動部52、操舵部53、制動部54を制御する。
【0054】
各車両V1・V2には、高精度位置を算出するための補正情報が提供される期間と、補正情報が提供されない期間とが設定されている。補正情報が提供されない期間においては、自動走行制御部51aが機能することなく、車両V1・V2は手動運転が可能であってよい。すなわち、制御部51は、運転者によるアクセル操作、ステアリング操作、及びブレーキ操作を受け付け、その操作に基づいて駆動部52、操舵部53、及び制動部54を制御してよい。これとは異なり、自動走行制御部51aは、位置情報算出部51bによる高精度位置情報が提供されない期間において、高精度位置情報とは異なる情報(例えばセンサ部Fの出力)に基づいて、自動運転を実行してもよい。
【0055】
また、補正情報が提供されない期間においては、制御部51は、車両V1・V2を停止させてもよい。例えば、車両V1・V2が警備車両の場合、制御部51は、この期間において車両V1・V2を停止させ、一定の位置で警備を実行してよい。
【0056】
[位置情報算出部]
位置情報算出部51bは、GNSS受信部56によるGNSS信号と、補正情報取得部51cが取得する補正情報とに基づいて、高精度位置情報を算出する。位置情報算出部51bは、GNSS信号及び補正情報に基づいて、例えばRTK補正計算を実行し、その結果として高精度位置情報を算出する。位置情報算出部51bは、GNSS信号と補正情報とに加えて、センサ部Fの出力(例えば、IMUや車速センサの出力)に基づいて、高精度位置情報を算出してよい。
【0057】
上述したように、高精度位置は、自動走行制御部51aによる制御において利用される。例えば、車両V1・V2の高精度な現在位置と計画経路とのずれが算出され、そのずれに基づいて駆動部52等が制御される。高精度位置と実際の位置との誤差は、数センチメートル以下である。
【0058】
このように、高精度位置情報は管理装置10ではなく、車両V1・V2において算出されるので、制御部51は車両V1・V2の制御に対して遅延することなく、車両V1・V2の位置を検出できる。
【0059】
[補正情報取得部]
補正情報取得部51cは、配信装置201から管理装置10を介して補正情報を受信する。位置情報算出部51bは、例えばGNSS信号を利用して位置情報(暫定位置情報)を算出する。そして、補正情報取得部51cは、この暫定位置情報を管理装置10に送信し、暫定位置に応じた補正情報を、管理装置10からの応答として受信する。補正情報取得部51cは、補正情報を所定の周期で受信する。
【0060】
なお、暫定位置情報は、必ずしも単独測位により得られる位置情報でなくてもよい。上述したように、暫定位置情報としては、例えば、ディファレンシャルGPS(相対測位)による位置情報が利用されてもよい。また、補正情報の受信周期によっては、暫定位置情報の算出には1つ前の周期で受信された補正情報が利用されてもよい。
【0061】
[運転情報通信部]
運転情報通信部51dは、車両V1・V2の運転状態を所定の周期(例えば、数秒)で管理装置10に送信する。管理装置10は、受信した運転情報を、表示部14に表示する。また、運転情報通信部51dは、車両V1・V2の運行に関する指令を管理装置10から受信する。運転情報通信部51dは、例えば停止指令を受信する。停止指令は、例えば、予め規定された運行許容エリアを車両V1・V2が超えたときに、管理装置10から送信される。自動走行制御部51aは、指令を受けた場合には、その指令に従って駆動部52、操舵部53、及び制動部54を制御する。
【0062】
[管制装置が実行する処理]
図5は、管理装置10の制御部11が有する機能を示すブロック図である。同図に示すように、制御部11は、その機能として、ID管理部11a、補正情報取得部11b、及び、監視部11cを有してよい。
【0063】
[ID管理部]
管理装置10は、配信装置201に接続し、配信装置201から補正情報を受信する。配信装置201に接続するためには、接続ID(identification)が必要とされる。すなわち、配信装置201への接続を開始する際、管理装置10は、配信装置201に接続IDを送信する。配信装置201は、接続IDについて認証処理を実行する。そして、認証が成功した場合、車両V1・V2に補正情報を送信するための処理が、管理装置10と配信装置201との間で開始される。一方、認証が成功しなかった場合には、配信装置201からの補正情報の送信は拒否される。
【0064】
接続IDは、例えば、配信装置201の運営者(事業者)から予め発行される。管理装置10は複数の車両V11・V12・・・、及び複数の車両V21・V22・・・・の運行を管理している。管理装置10が管理している全ての車両V11・V12・・・、及び車両V21・V22・・・・について、接続IDを取得すると、車両の数だけ接続IDが必要となる。このことは、管理装置10及び車両の運営者にとって、コスト増に繋がる。例えば、配信装置201の運営者から車両V1・V2等の運営者への課金が接続IDの数に応じて算出される場合、全ての車両V1・V2について接続IDを確保すると、コストが過大となる。
【0065】
そこで、本開示で提案する運行システム100では、1つの接続IDが複数の車両V1・V2によって共用される。例えば、第1の期間(例えば、昼間)においては、ID管理部11aは、第1の車両V11に対して第1の接続ID(N01)を割り当て、第2の期間(例えば、夜間)においては、第1の車両V11への第1の接続ID(N01)の割り当てを解消し、第2車両V21に対して同じ第1の接続ID(N01)を割り当てる。これにより、接続IDが有効に利用されるので、接続IDの数を削減でき、コスト増を抑えることができる。
【0066】
ID管理部11aは他の車両V12・V13・・・、V21・V23・・・についても同様の処理を行う。例えば、ID管理部11aは、第1の期間においては、第3の車両V12に対して第2の接続ID(N02)を割り当て、第2の期間においては、第3の車両V12への第2の接続ID(N02)の割り当てを解消し、第4の車両V22に対して同じ第2の接続ID(N02)を割り当てる。
【0067】
上述したように、車両V11・V12・・・と、車両V21・V22・・・は、その用途において相違している。従って、車両V11・V12・・・が使用される期間(時間帯)と、車両V21・V22・・・が使用される期間(時間帯)とが相違している。このため、上述したように各接続IDを複数の車両において共有することが可能となっている。
【0068】
接続IDは上述したように配信装置201において認証処理に利用される情報であり、例えば、配信装置201の運営者から発行される。管理装置10と配信装置201とがインターネットを介して通信する場合、管理装置10自体の識別情報(例えば、IPアドレス)及び配信装置201の識別情報(例えば、IPアドレス)がヘッダとして付加され、且つ、接続ID及び位置情報(又は補正情報)を含む情報が、両者の間で送受信されてよい。
【0069】
車両IDは、個々の車両V1・V2を特定するための識別情報であり、例えば車両V1・V2の管理者によって付与され、車両V1・V2の記憶部51Bに格納される。管理装置10と車両V1・V2とがインターネットを介して通信する場合、管理装置10自体の識別情報(例えば、IPアドレス)及び車両V1・V2に付与されている識別情報(例えば、IPアドレス)がヘッダとして付加され、且つ、車両ID及び位置情報(又は補正情報)を含む情報が、両者の間で送受信されてよい。
【0070】
[ID管理情報]
各車両V1・V2には、それらを識別するための車両IDが付与されている。記憶部11Bには、接続IDと車両IDとを対応づけるID管理情報が格納されてよい。図6は、ID管理情報の一例を示す図である。この図では、ID管理情報として、テーブル(ID管理テーブル)が示されている。この図の例では、車両V11・V12・・・の車両ID(v0011、v0012・・・)に、複数の接続ID(N01、N02・・・)が対応づけられている。一方、車両V21・V22・・に、接続IDは割り当てられていない。
【0071】
ID管理部11aは、例えば、各車両V1・V2へ接続IDを割り当てたときに、このID管理テーブルを更新する。上述の例を参照すると、ID管理部11aは、第1の期間が到来したときにID管理テーブルを更新し、第2の期間が到来したときにID管理テーブルを再び更新する。なお、ID管理情報は、接続IDと車両IDとの関係が対応づけられる情報であれば、必ずしも図6で例示するようなテーブルでなくてもよい。例えば、ID管理情報は、車両IDと接続IDとが間接的に紐付けられる複数のテーブルであってもよい。
【0072】
管理装置10の記憶部11Bには、管理装置10が管理する車両V1・V2の情報(車両情報)が格納されてよい。車両情報では、車両IDに対応づけて、例えば、車種や、性能(例えば、バッテリ容量)、車両の状態(例えば、故障中)など、車両のプロファイルが記録されてよい。記憶部11Bには、配信装置201との接続に利用できる接続IDが記録されている。接続に利用できる接続IDの数は、管理装置10が管理している車両の数、言い換えれば、車両情報に登録されている車両V1・V2の数よりも少ない。言い換えれば、接続IDが複数の車両V1・V2において共用されるので、接続IDの数を削減できている。
【0073】
[運転予定情報]
ID管理部11aによる各車両V1・V2への接続IDの割り当ては、所定の条件が充足されたときに、実行される。ここで「所定の条件が充足されたとき」とは、例えば、予め規定した期間(例えば、1日のうちの時間帯)の開始が到来したときや、各車両V1・V2から補正情報の送信開始が要求されたとき、各車両V1・V2が自動走行を開始するときなどである。
【0074】
ID管理部11aは、複数の車両V1・V2の制御において補正情報が利用される期間を示す運転予定情報を参照し、車両V1・V2に接続IDを割り当てよい。運転予定情報においては、各車両V1・V2が補正情報を利用する期間が規定されている。運転予定情報は、例えば、運行システム100の運営者が入力部15を通して予め記憶部11Bに格納できる。
【0075】
図7は運転予定情報の一例を示す図である。この図では、運転予定情報として、テーブル(運転予定テーブル)が示されている。この図の例では、車両V1(車両ID:v0011~v0014)については、夜間(図の例では20:00~24:00)における補正情報の利用が許容され、車両V2(車両ID:v0021~v0024)については、日中(図の例では8:00~17:00)における補正情報の利用が許容されている。このように、車両V1に規定されている補正情報の利用期間と、車両V2に規定されている補正情報の利用期間は、重複していないのが望ましい。
【0076】
ID管理部11aは、運転予定テーブルを定期的に参照したり、各車両V1・V2からの要求に応じて運転予定テーブルを参照してよい。そして、現時点が補正情報の利用期間にあたる場合、ID管理部11aは、その車両V1・V2に対して接続IDを割り当て、図6で例示したID管理テーブルを更新してよい。一方、現時点が補正情報の利用期間にあたらない場合、ID管理部11aは、その車両V1・V2に対する接続IDの割り当てを拒否したり、或いは、既に付与している接続IDの割り当てを解消してよい。ID管理部11aは、このときにも、図6で例示したID管理テーブルを更新してよい。このような処理により、車両V1と車両V2との間で接続IDが共用される。一方、複数の車両V1は補正情報を利用する期間が重複しているので、それらの間では接続IDは共用されない。同様に、複数の車両V2は補正情報を利用する期間が重複しているので、それらの間では接続IDは共用されない。
【0077】
[補正情報取得部]
図5で示したように、管理装置10は、その機能として補正情報取得部11bを有している。補正情報取得部11bは、補正情報の受信に係る処理を実行する。具体的には、補正情報取得部11bは、車両V1・V2から受信した暫定位置情報を配信装置201へ所定の周期で送信する。補正情報取得部11bは、配信装置201からの応答として、暫定位置情報に応じた補正情報(暫定位置に近い基準局202から得られた補正情報)を所定の周期で受信する。
【0078】
また、補正情報取得部11bは、受信した補正情報を車両V1・V2に送信する。補正情報に基づく高精度位置の算出(補正計算)は、車両V1・V2の制御部51が実行する。これとは異なり、高精度位置情報の算出は、管理装置10において実行されてもよい。この場合、管理装置10は、受信した補正情報に基づいて算出された高精度位置情報を車両V1・V2に送信する。また、この場合、管理装置10は、補正計算に必要な情報、具体的には、車両V1・V2において受信されたGNSS信号から得られる搬送波位相を、車両V1・V2を受信する。
【0079】
補正情報取得部11bは、配信装置201との通信において、接続IDを利用する。例えば、補正情報取得部11bは、暫定位置情報の送信に先んじて、接続確立を要求するメッセージ(接続要求)を、接続IDとともに配信装置201に送信する。そうすると、接続IDに基づく認証処理が、配信装置201において実行される。配信装置201は、例えば、接続IDが配信装置201の運営者から発行された正規のものと一致しているか否かを判定する。配信装置201は、接続IDについての支払いが適切になされているか否かなどに基づいて、接続の確立を承認するか否かを判定してよい。そして、認証が成立すると、管理装置10と配信装置201との間での接続が確立する。その後に、上述した管理装置10(補正情報取得部11b)と配信装置201との間での、暫定位置情報と補正情報の定期的な送受信が実現される。なお、管理装置10と配信装置201との間での接続が確立したとき、配信装置201は、認証が成立した接続IDによる通信についてセッションIDを発行し、管理装置10に送信してもよい。そして、接続確立後は、管理装置10と配信装置201との間での通信にセッションIDが利用されてよい。
【0080】
また、管理装置10と配信装置201との通信において、補正情報取得部11bは、ID管理情報を参照してよい。例えば、補正情報取得部11bは、車両ID(v0011)の車両V11から暫定位置情報を受信すると、ID管理情報の一例であるID管理テーブル(図6)を参照し、車両ID(v0011)に対応する接続ID(N01)で暫定位置情報を配信装置201に送信してよい。このとき、補正情報取得部11bは、配信装置201から先に発行されたセッションIDを利用して、配信装置201に暫定位置情報を送信してよい。その後、配信装置201は、補正情報を管理装置10に送信してよい。
【0081】
補正情報取得部11bは、受信した補正情報を車両V1・V2に送信するときも、ID管理情報を参照してよい。例えば、補正情報取得部11bは、接続ID(N01)について補正情報を受信すると、ID管理情報の一例であるID管理テーブル(図6)を参照し、接続ID(N01)に対応する車両IDの車両に、補正情報を送信する。
【0082】
なお、車両V1・V2、管理装置10、及び配信装置201の通信が確立した後は、車両IDと接続IDとを直接的に対応づけるID管理テーブル(図6)は参照されなくてもよい。例えば、接続の確立時に、車両V1・V2と管理装置10との通信で利用されるセッションIDと、管理装置10と配信装置201との通信で利用されるセッションIDとが管理装置10において紐付けられてもよい。
【0083】
補正情報取得部11bの上述した機能は、次のような配信装置201の機能により実現される。すなわち、配信装置201は、複数の基準局202から補正情報を受信し、これを配信装置201が備える記憶装置に保存する。配信装置201は、管理装置10から補正情報の送信要求(接続確立の要求)を受け付けたとき、その要求とともに受信した接続IDに基づいて認証処理を実行する。認証が成功すると、配信装置201は、管理装置10から、暫定位置情報を受信し、暫定位置に近い基準局202から得た補正情報を管理装置10に送信する。
【0084】
[監視部]
管理装置10は、図5で示すように監視部11cを含んでよい。監視部11cは、各車両V1・V2から運転情報(例えば、車速や、バッテリ残量など)を受信する。そして、監視部11cはその運転情報を表示部14に表示する。また、監視部11cは、管理者の操作によって入力部15から入力される指令を、車両V1・V2に送信する。入力部15から入力される指令は、例えば、停止指令や、走行開始指令である。
【0085】
また、監視部11cは、各車両V1・V2から受信する車両の運転情報に基づいて、車両V1・V2の運転状態が所定の条件に合致しているか否かを判定してもよい。例えば、監視部11cは、各車両V1・V2の現在位置が運転許容エリア内に収まっているか否かを判定したり、バッテリ温度が予め規定されている範囲に収まっているか否かを判定してよい。車両V1・V2の運転状態が所定の条件に合致しない場合、監視部11cは、車両V1・V2の状態に応じた指令(例えば、停止指令)を車両V1・V2に送信してよい。
【0086】
運行システム100では、車両V1・V2の運転状態の監視と、車両V1・V2と配信装置201との通信の中継とを、管理装置10が担っている。これにより、補正情報の受信のための通信モジュールと、車両V1・V2の運転状態の監視のための通信モジュールとを共通化でき、車両V1・V2に搭載される通信モジュールの数を削減できる。
【0087】
図6で例示する運転予定テーブルにおいて補正情報の利用が規定されていない期間、車両V1・V2は手動運転が許容されていてよい。この期間においては、監視部11cは、単独測位或いはディフェレンシャルGPSにより得られる位置情報と、運転情報とを車両V1・V2から受信してもよい。
【0088】
図8は、車両の運転許容エリアの例を示す図である。運転許容エリアには、電磁誘導線が敷設された経路(図8において実線の経路)が規定されている。電磁誘導線で規定されている経路には、1又は複数の停車位置が規定されてよい。また、この運転許容エリアには、電磁誘導線から外れた経路(図8において破線の経路、以下において「自動運転経路」と称する)も規定されている。この自動運転経路にも停車位置が規定されてよい。
【0089】
このような運転許容エリアに配置される車両V1は、図2で示したハードウェアに加えて、電磁誘導線の位置を検知するセンサを有してよい。そして、制御部51は電磁誘導線の経路では、この誘導線に沿って車両が走行するように駆動部52等を制御する。車両V1が、例えば夜間に自動運転経路(破線の経路)を走行するとき、制御部51は補正情報を利用して高精度位置情報を取得し、高精度位置情報とセンサ部Fの出力とに基づいて自動運転を実行する。この期間において、監視部11cは、車両V1の運転情報(車速やバッテリ残量など)と、暫定位置情報とを車両V1から受信し、車両V1を監視してよい。また、その他の期間(例えば、日中)において、車両V1は、同じ経路を手動運転により走行してよい。この場合、監視部11cは、車両V1の運転情報と、単独測位やディフェレンシャルGPSにより得られる位置情報とを、車両V1から受信し、それらの情報に基づいて車両V1を監視してよい。
【0090】
[処理のシーケンス]
図9を参照しながら、運行システム100において実行される処理の流れについて説明する。ここでは、異なる用途で使用される2台の車両V11・V21のうち、車両V11に接続IDを付与し、車両V21には接続IDを付与しない期間における処理を例にする。
【0091】
車両V11と車両V21は、管理装置10に運行開始要求をそれぞれ送信する(S101、S102)。運行開始要求は、例えば、車両V11・V21の制御部51の電源がオンされたときや、制御部51に対して所定の指令が入力されたときに送信されてよい。車両V11と車両V21は、運行開始要求とともに、自身の車両IDを管理装置10に送信する。
【0092】
運行システム100では、管理装置10が運行開始要求を受信すると、接続IDの割り当てのための処理が実行される(S103)。接続IDの割り当て処理については、後において詳説する。ここで説明する例では、車両V11に接続ID(N01)が割り当てられ、車両V21に接続IDは割り当てられない。
【0093】
車両V11に接続IDが割り当てられると、車両V11と管理装置10との間では、暫定位置情報と補正情報の送受信が開始される。具体的には、車両V11(位置情報算出部51b)は、GNSS信号を受信し(S104)、GNSS信号に基づいて位置情報(暫定位置情報)を算出する(S105)。車両V11(補正情報取得部51c)は、算出した暫定位置情報を管理装置10に送信する(S106)。
【0094】
管理装置10(補正情報取得部11b)は車両V11の暫定位置情報を配信装置201に送信する(S107)。このとき、管理装置10は、接続IDの割り当て処理(S103)によって車両V11の車両ID(v0011、図6参照)に対応づけられた接続ID(N01)について、暫定位置情報を配信装置201に送信してよい。
【0095】
配信装置201は暫定位置に基づいて、複数の基準局202から暫定位置に近い基準局を選択する(S108)。配信装置201は、接続ID(N01)について、選択した基準局202の観測データから得た補正情報を、管理装置10(補正情報取得部11b)に送信する(S109)。
【0096】
管理装置10(補正情報取得部11b)は受信した補正情報を、車両V11に送信する(S110)。このとき、管理装置10はID管理テーブル(図6)を参照してもよい。例えば、管理装置10は、接続ID(N01)について補正情報を受信すると、ID管理テーブルにおいて接続ID(N01)に対応する車両に、補正情報を送信してよい。これとは異なり、通信の確立時に、車両V1・V2と管理装置10との通信で利用されるセッションIDと、管理装置10と配信装置201との通信で利用されるセッションIDとが、管理装置10において紐付けられてもよい。この場合、管理装置10は、補正情報を車両V11に転送する際に、ID管理テーブルを参照しなくてもよい。
【0097】
車両V11(位置情報算出部51b)は、受信した補正情報を利用して、高精度位置情報を算出する(S111)。車両V11(自動走行制御部51a)は、車両V11が計画経路に沿って走行するように、高精度位置情報に基づいて、駆動部52、操舵部53、及び制動部54を制御する。
【0098】
車両V11、管理装置10、及び配信装置201は、S104~S111の処理を繰り返し実行する。従って、車両V11は、暫定位置情報の算出・送信、及び補正情報の受信を所定の周期で実行することとなる。
【0099】
なお、車両V11(運転情報通信部51d)は、S104~S111の処理と平行して、車両V11の運転情報(例えば、センサ部Fの出力や、運転モードなど)を管理装置10に送信してもよい。例えば、車両V11は、S106において、暫定位置情報とともに運転情報を管理装置10に送信してもよい。管理装置10(監視部11c)は、この運転情報に基づいて、車両V11を監視してもよい。そして、例えば車両V11の運転状態が予め規定した条件に合致しない場合には、その状態に応じた指令(例えば、停止指令)を管理装置10は車両V11に送信してもよい。暫定位置情報の送信周期と、運転情報の送信周期は同じでもよいし、異なっていてもよい。
【0100】
また、接続IDが割り当てられていない車両V21は、運転情報と、単独測位又はディフェレンシャルGPSによる位置情報を管理装置10に送信してもよい。管理装置10(監視部11c)は、この運転情報と位置情報とに基づいて、車両V21の運転を監視してもよい。
【0101】
管理装置10は、所定の条件が満たされたときに、接続IDの割り当てを終了する(S112)。管理装置10は、例えば、上述した運転予定テーブル(図7)を定期的に参照し、車両V11に接続IDを割り当てる期間が終了したか否かを判定する。そして、その期間が終了している場合に、管理装置10は、接続IDの割り当てを終了する。接続IDの割り当て終了の処理は、後において詳説する。
【0102】
[接続IDの割り当て処理]
図10Aは、図9で示したS103の接続IDの割り当て処理において、管理装置10が実行する処理の例を示すフロー図である。ここでは、車両V11が運行開始要求を送信した場合を例として説明する。他の車両から運行開始要求が送信された場合にも、同じ処理が実行されてよい。
【0103】
ID管理部11aは、運転予定テーブルを参照し、現在が、運行開始要求を送信した車両V11の制御において補正情報が利用される期間にあたるか否かを判定する(S201)。補正情報が利用される期間である場合、ID管理部11aは、この車両V11に割り当て可能な接続IDが残っているか否かを判定する(S202)。ID管理部11aは、例えばID管理テーブルを参照し、他の車両に割り当てていない接続IDが残っているか否かを判定する。
【0104】
車両V11に割り当て可能な接続IDが残っている場合(S202において「Yes」)、ID管理部11aは、その接続IDを利用して配信装置201に接続する。すなわち、ID管理部11aは、接続IDを利用して、配信装置201に接続要求を送信する(S203)。そして、ID管理部11aは、配信装置201における認証が成功したか否か、言い換えれば、認証成功の通知を受けたか否かを判定する(S204)。認証が成功した場合(S204において「Yes」)、ID管理部11aは、S202において選択した接続IDを車両V11に割り当て(S205)、車両V11の車両IDと接続IDとが対応づけられるようにID管理テーブルを更新する(S206)。その後、ID管理部11aは、車両V11に、補正情報の提供開始を通知する(S207)。
【0105】
一方、S202の判定において、車両V11に対して割り当て可能な接続IDが残っていない場合(S202において「No」)、或いは、S204において認証が成功しなかった場合(S204において「No」)、ID管理部11aは、車両V11に補正情報の不提供を送信してよい(S208)。また、S201において、補正情報が利用される期間に現在があたらない場合(S201において「No」)、ID管理部11aは、補正情報の不提供を車両V11に送信してよい(S208)。管理装置10は、補正情報の不提供を通知する場合、車両V11に停止指令、或いは自動走行の禁止指令を送信してもよい。以上が、接続ID割り当て処理において、管理装置10が実行する処理の例である。
【0106】
なお、管理装置10は、車両V11からの運行開始要求に依ることなく、図10AのS201の処理を所定の周期で繰り返し実行してもよい。そして、管理装置10は、S201において運転予定テーブルを参照し、補正情報が利用される期間に現時点が該当することとなった場合に、S202以降の処理を実行してよい。
【0107】
[接続IDの割り当ての終了処理]
図10Bは、図9で示したS112の接続IDの割り当ての終了処理において、管理装置10が実行する処理の例を示すフロー図である。ここでは、補正情報が車両V11において利用されている場合について説明する。
【0108】
ID管理部11aは、車両V11の制御において補正情報が利用される期間に、現時点が該当するか否かを判定する(S301)。この判定において、ID管理部11aは、例えば、運転予定テーブルを参照してよい。S301の処理は、補正情報を利用した制御が実行されている期間中に、所定の周期で繰り返し実行されてよい。
【0109】
補正情報を利用する期間に該当しなくなった場合(S301において「No」)、ID管理部11aは、車両V11への接続IDの割り当てを終了し(S302)、ID管理テーブルを更新する(S303)。すなわち、ID管理部11aは、ID管理テーブルにおいて、車両V11の車両IDと接続IDとの対応付けを解消する。そして、ID管理部11aは、この接続IDによる接続の終了を、配信装置201に通知する(S304)。また、ID管理部11aは、車両V11に、補正情報の提供終了を通知してもよい(S305)。
【0110】
図10A及び図10Bで示す処理を複数の車両V1・V2に対して実行することによって、第1の期間(例えば、昼間)においては、第1の車両V11に対して接続IDが割り当てられ、第2の期間(例えば、夜間)においては、第1の車両V11への接続IDの割り当てが解消し、第2車両V21に対して同じ接続IDが割り当てられる。他の車両V12・V13・V22・V23についても同様である。これによって、接続IDの数を減らすことができ、コストを低減できる。
【0111】
[テーブルの他の例]
図7で示した運転予定テーブルでは、補正情報が利用される期間として、1日における時間帯が示されていた。しかしながら、「時間帯」は1週間における曜日であってもよい。図11Aは、このような例による運転予定テーブルである。この図において、車両ID(v0011、v0012)の車両は、平日に通勤や通学に利用される車両であってよい。これに対し、車両ID(v0021、v0022)の車両は、例えば、観光地又は観光施設において休日に使用される車両であってよい。
【0112】
また、時間帯は、1年における月であってもよい。図11Bは、このような例による運転予定テーブルであり、この図において、車両ID(v0011、v0012)の車両は、例えば、4月1日から10月31日の期間に補正情報を利用する農業用車両である。一方、車両ID(v0021、v0022)の車両は、例えば、冬期に利用される除雪車両である。
【0113】
なお、図7図11A図11B等で例示する運転予定管理テーブルにおいて、車両ID(v0011、v0012)の車両と、車両ID(v0021、v0022)の車両との間では、接続IDが共用される。その一方で、車両ID(v0011、v0012)の車両の間では、接続IDが共用されない。同様に、車両ID(v0021、v0022)の車両の間では、接続IDが共用されない。
【0114】
[運転状態に基づく接続IDの割り当て処理]
運行システム100において、管理装置10は、接続IDの割り当てに際して、運転予定テーブルを参照していた。しかしながら、管理装置10は、車両V1・V2の運転状態(現在位置を含む)に基づいて接続IDを割り当てたり、接続IDの割り当てを終了してもよい。以下では、このような処理を行うシステムについて説明する。以下では、これまで説明した運行システム100との相違点を中心に説明する。説明の無い事項は、運行システム100の例と同様であってよい。
【0115】
図12は、このような処理が適用される運転許容エリアの概略を示す図である。この図において、実線は、車両V11・V12・V13が走行可能な道路を示している。以下では、これらの車両V11・V12・V13を区別しない説明においては、車両について符号V1を用いる。複数の車両V1の用途は同じであってよく、例えば、ユーザの送迎に利用される。
【0116】
ユーザは、例えば携帯端末を通して、管理装置10に送迎要求を送信できる。送迎要求は、ユーザの希望乗車位置、及び希望降車位置を含む。管理装置10は、送迎要求を受信すると、待機中(停止中)の車両V1の中から、希望乗車位置に近い車両V1を選択する。そして、管理装置10は、その選択された車両V1の現在位置から希望乗車位置までの計画経路と、希望乗車位置から希望降車位置までの計画経路とを生成する。計画経路は、例えば、連続した位置情報(車両V1が通過すべき座標)を含む。管理装置10は、選択した車両V1に計画経路を送信する。車両V1の制御部51(図2参照)は、車両V1が受信した計画経路に沿って走行するように、現在の位置と計画経路とのずれに基づいて駆動部52等を制御する。
【0117】
車両V1の待機中(停止中)には、高精度の位置情報は必要とされない。車両V1は、上述したように、自身の運転情報(単独測位による位置情報を含む)を管理装置10に送信している。そこで、管理装置10はその運転情報に基づいて、停止中の車両V1を管理する。一方、車両V1が計画経路に沿って自動走行している場合には、高精度位置情報が必要となる。そこで、管理装置10は、自動走行を開始する車両V1に接続IDを割り当てる。車両V1が再び停止(待機)した場合、管理装置10は、この車両V1への接続IDの割り当てを終了する。
【0118】
管理装置10が管理している複数の車両V1のいずれかは、停止中にあることが想定される。したがって、配信装置201との接続のために発行される接続IDの数は、管理装置10が管理している車両V1の数より少なくてよい。そして、自動走行中の車両V1にだけ接続IDが割り当てられ、停止中の車両V1に接続IDは割り当てられなくてよい。その結果、1つの接続IDを、複数の車両V1において共用できる。
【0119】
図13は、このようなシステムにおいて、管理装置10が実行する処理の例を示すフロー図である。図13の処理は、例えば、車両V1から運行開始要求を管理装置10が受信したときに開始する。図13の処理は、複数の車両V1のそれぞれについて実行されてよい。
【0120】
ID管理部11aは、車両V1の運転情報を取得する(S401)。運転情報は、車両V1が待機状態にあるかや、自動走行の準備をしている状態(例えば、希望乗車位置に向けた移動を開始しようとしている状態)にあるかなどの情報を含む。いずれの状態に車両V1が該当するかは、管理装置10が車両V1から受信した情報や、ユーザの携帯端末から受信した情報に基づいて判定されてよい。ID管理部11aは、S401で取得した運転情報に基づいて、補正情報が必要な状態に至ったか否かを判定する(S402)。
【0121】
補正情報が必要になっていない場合(S402において「No」)、例えば、車両V1が停止状態である場合、管理装置10の処理はS401に戻る。一方、例えば、車両V1が自動走行の準備をしている状態にある場合(S402において「Yes」)、高精度測位を行うための補正情報が必要である。この場合、ID管理部11aは、車両V1に割り当て可能な接続IDが残っているか否かを判定する(S403)。例えば、ID管理部11aは、ID管理テーブル(図6)を参照し、他の車両V1に割り当てていない接続IDが残っているか否かを判定する。車両V1に割り当て可能な接続IDが残っていない場合(S403において「No」)、ID管理部11aは、車両V1に対して補正情報の不提供を通知してよい(S412)。
【0122】
一方、車両V1に割り当て可能な接続IDが残っている場合、ID管理部11aは、この接続IDを車両V1に割り当て(S404)、ID管理テーブルを更新する(S405)。そして、ID管理部11aは、車両V1に補正情報の提供開始を通知する(S406)。ID管理部11aは、図10Aで示した処理と同様に、S404、S405、及びS406の処理に先立って、この接続IDを利用して配信装置201に接続し、配信装置201における認証を受けてもよい。そして、認証が成功した場合にのみ、接続IDを車両V1に割り当て(S404)、ID管理テーブルを更新してもよい(S405)。
【0123】
接続IDが車両V1に割り当てられると、車両V1、管理装置10、及び配信装置201は、図9のS104~S111で示した処理を行う。すなわち、車両V1は管理装置10に暫定位置情報を所定の周期で送信する。管理装置10はこの暫定位置情報を配信装置201に送信し、配信装置201からの応答として、暫定位置に応じた補正情報を受信する。管理装置10は、この補正情報を車両V1に送信する。車両V1は補正情報に基づいて補正計算(高精度測位)を行う。そして、車両V1は、この高精度位置情報を利用して、自動走行を開始する。
【0124】
車両V1が自動走行をしている間、管理装置10は、車両V1から運転情報を受信し、車両V1を監視する(S407)。そして、ID管理部11aは、補正情報が不要になったか否かを判定する(S408)。例えば、ID管理部11aは、車両V1が停止位置(例えば、ユーザの希望降車位置や、予め規定された待機位置)に到達したか否かを判定する。
【0125】
補正情報が不要になった場合(S408において「Yes」)には、ID管理部11aは接続IDの割り当てを終了し(S409)、ID管理テーブルを更新する(S410)。すなわち、ID管理部11aは、ID管理テーブルにおいて、車両V1の車両IDと接続IDとの対応付けを解消する。このとき、ID管理部11aは、図10Bで示した処理と同様に、車両V1に、補正情報の提供終了を通知してよい。管理装置10は、補正情報が不要となるまで、S407、及びS408の処理を繰り返す。
【0126】
その後、管理装置10は、車両V1の運行管理の終了条件が成立したか否かを判定する(S411)。管理装置10は、例えば、ユーザからの送迎要求の受付の期間が終了したか否かを判定する。運行管理の終了条件が成立した場合(S411において「Yes」)、管理装置10はその処理を終了する。一方、未だ運行管理の終了条件が成立していない場合(S411において「No」)、管理装置10はS401に戻り、以降の処理を再開する。
【0127】
図13で示す処理を管理装置10が実行することによって、第1の期間(車両V11が自動走行し、車両V12が停止している期間)においては、第1の車両V11に対して接続ID(N01)が割り当てられる。また、第2の期間(車両V11が停止中にあり、車両V12が自動走行している期間)においては、第1の車両V11への接続ID(N01)の割り当てが解消し、第2車両V12に対して接続ID(N01)が割り当てられる。他の車両V13についても同様である。これによって、接続IDを効率的に利用でき、接続IDの数を減らすことができる。
【0128】
なお、図13で例示する処理は、図8で例示するように、高精度位置情報を要する経路と高精度位置情報を要さない経路とが規定された運転許容エリアにおいて利用されてもよい。この場合、管理装置10は、車両V1・V2の現在位置に基づいて接続IDを割り当てたり、接続IDの割り当てを終了してもよい。
【0129】
例えば、管理装置10(ID管理部11a)は、S401において車両V1の現在位置を取得し、車両の現在位置に基づいて補正情報が必要な状態に至ったか否かを判定する(S402)。すなわち、管理装置10は、S402において、電磁誘導線から外れた自動運転経路(図8において破線の経路)に車両V1が入ったか否かを判定する。車両V1が自動運転経路に入っていない場合(S402において「No」)、言い換えれば、電磁誘導線が敷設された経路に車両V1がある場合、管理装置10の処理はS401に戻る。一方、車両V1が自動運転経路に入っている場合(S402において「Yes」)、管理装置10(ID管理部11a)は、車両V1に接続IDを割り当てる。このとき、管理装置10は、接続IDの割り当てに先立って、車両V1に割り当て可能な接続IDが残っているか否かを判定してもよい(S403)。以降の処理は、図13を参照しながら説明した処理と同じであってよい。
【0130】
[管理装置において実行される補正計算]
更に他の例として、補正情報に基づく補正計算、すなわち高精度位置情報の算出は、管理装置10において実行されてもよい。
【0131】
例えば、車両V1・V2が手動操作により走行している場合、車両V1・V2において高精度位置情報の必要性は低い。その一方で、手動操作されている車両V1・V2が運行許容エリア内にあるか否かの判定は、管理装置10が行ってもよい。そして、その判定は高精度位置情報に基づいて行われるのが望ましい。そこで、このような場合には、補正情報に基づく高精度位置の算出を、管理装置10が実行してもよい。この場合、管理装置10は、補正計算に必要な情報を、上述した運転情報に加えて車両V1・V2から受信してよい。補正計算に必要な情報は、例えば、車両V1・V2において受信されたGNSS信号から得られる搬送波位相などである。
【0132】
また、図12で例示した運転許容エリアで走行する車両V1の運行システムにおいても、管理装置10が高精度位置情報の算出を行ってもよい。例えば、ユーザが携帯端末を通じて管理装置10に送迎要求を送信した場合、管理装置10は、車両V1の現在位置から乗車希望位置までの走行に要する時間を算出してよい。この場合、車両V1の現在位置は、補正情報に基づいて算出された高精度位置であってよい。この場合にも、管理装置10は、上述した運転情報に加えて、補正計算に必要な情報(例えば、搬送波位相)を車両V1から受信してよい。
【0133】
[その他のシステム構成]
更に他の例として、補正情報は、管理装置10を経由することなく、配信装置201から車両V1・V2に送信されてもよい。図14は、このような運行システム300を示すブロック図である。以下では、これまで説明した運行システム100との相違点を中心に説明する。説明の無い事項は、運行システム100の例と同様であってよい。
【0134】
運行システム300において、管理装置10はネットワークN1を介して車両V1・V2に接続されている。また、配信装置201も、ネットワークN1を介して車両V1・V2に接続されている。ネットワークN1は、図1の例と同様に、インターネットや専用線を含むWAN、及びLANを含んでよい。これらは、有線の通信ネットワーク及び/又は無線通信ネットワークを含む。運行システム300が図14で示す構成を有する場合、管理装置10の制御部11及び車両V1・V2の制御部51は、以下の様な機能を有してよい。
【0135】
運行システム300においても、管理装置10はID管理部11a(図5参照)を有する。ID管理部11aは、第1の期間(例えば、昼間)においては、複数の車両V1に対して接続ID(N01・N02・N03・・)を割り当て、第2の期間(例えば、夜間)においては、複数の車両V2に対して接続ID(N01・N02・N03・・)を割り当てる。ID管理部11aは、各車両V1・V2に接続IDを割り当てたときに、ID管理テーブル(図6)を更新する。
【0136】
ID管理部11aは、例えば、複数の車両V1・V2の制御において補正情報が利用される期間を示す運転予定テーブル(例えば、図7のテーブル)を参照し、車両V1・V2に接続IDを割り当てる。これとは異なり、ID管理部11aは、図12及び図13を参照しながら説明したように、運転状態に基づいて車両V1・V2に接続IDを割り当ててもよい。ID管理部11aは、割り当てた接続IDを車両V1・V2に通知する。
【0137】
運行システム300においても、車両V1・V2は補正情報取得部51cを有している。補正情報取得部51cは、管理装置10から接続IDを受信すると、その接続IDを利用して配信装置201に接続し、配信装置201から補正情報を受信する。補正情報取得部51cは、配信装置201に暫定位置情報を送信し、その応答として、暫定位置に応じた補正情報を配信装置201から受信する。
【0138】
ID管理部11aは、運行システム300においても、接続IDの割り当てを終了するか否かを判定してもよい。そして、接続IDの割り当てを終了するときには、そのことを車両V1・V2に通知してもよい。そして、車両V1・V2の補正情報取得部51cは、配信装置201に対して接続の解消を通知してもよい。
【0139】
なお、運行システム300においても、管理装置10は監視部11cを有してよい。一方、管理装置10は補正情報取得部11bを有していなくてよい。車両V1・V2は、自動走行制御部51a、位置情報算出部51b、及び運転情報通信部51dを有してよい。
【0140】
[まとめ]
(1)本開示で提案する運行システム100は、複数の車両V1・V2に、補正情報を配信する配信装置201への接続に利用する複数の接続IDを割り当てるID管理部11aを有している。また、運行システム100は、車両V1・V2の暫定位置情報を配信装置201に送信し、暫定位置情報で示される暫定位置に応じた補正情報を配信装置201から受信する補正情報取得部11bを有している。ID管理部11aは、第1の期間においては第1車両V1に第1接続ID(N01)を割り当て、第2の期間においては第2車両V2に第1接続ID(N01)を割り当てる。補正情報取得部11bは、第1の期間においては、第1接続ID(N01)を利用して配信装置201に接続し、第1車両V1のための補正情報を配信装置201から受信する。補正情報取得部11bは、第2の期間においては、第1接続ID(N01)を利用して配信装置201に接続し、第2車両V2のための補正情報を配信装置201から受信する。この運行システム100によると、接続IDの数を削減できるので、車両V1・V2の運営者に課されるコストを低減できる。
【0141】
なお、図14で例示した運行システム300の管理装置10は、複数の車両V1・V2に接続IDを割り当てるID管理部11aを有している。また、運行システム300では、第1の期間においては、車両V1の補正情報取得部51cが第1接続ID(N01)を利用して配信装置201に接続する。また、第2の期間においては、車両V2の補正情報取得部51cが第1接続ID(N01)を利用して配信装置201に接続する。したがって、この運行システム300において、接続IDの数を削減できる。
【0142】
(2)(1)において、第1車両V1の用途と第2車両V2の用途は異なっている。これによると、第1車両V1の用途が発揮される期間を「第1の期間」とし、第2車両V2の用途が発揮される期間を「第2の期間」とすることができる。
【0143】
(3)(1)又は(2)において、第1車両V1に許容されている運転エリアと、第2車両V2に許容されている運転エリアは異なっている。運転エリアが異なると車両V1・V2を使用する時間帯が異なる場合が多くなり、その結果、第1の期間と第2の期間とを分けることが容易となる。
【0144】
(4)(1)乃至(3)において、ID管理部11aは、複数の車両V1・V2を識別するための車両IDと複数の接続IDとを対応づけるID管理テーブル(図6)を有し、第1の期間においては第1車両V1に付与された車両IDを第1接続ID(N01)に対応させ、第2の期間においては第2車両V2に付与された車両IDを第1接続ID(N01)に対応させる。これによれば、接続IDの管理を容易化できる。
【0145】
(5)(1)乃至(4)において、ID管理部11aは、所定の条件が充足したときに、各車両V1・V2の車両IDに割り当てる接続IDを、複数の接続IDから選択する。
【0146】
(6)(1)乃至(5)において、ID管理部11aは、複数の車両V1・V2の制御において補正情報が利用される期間を示す運転予定テーブル(例えば、図7図11A図11Bのテーブル)を参照し、第1車両V1と第2車両V2とに選択的に第1接続ID(N01)を割り当てる。これによれば、接続IDの割り当てを計画的に行うことができ、接続IDの不足を回避できる。
【0147】
(7)(1)乃至(5)において、ID管理部11aは、図12及び図13で説明したように、第1車両V1と第2車両V2の運転情報に基づいて、第1車両V1と第2車両V2とに選択的に第1接続ID(N01)を割り当てる。これによれば、接続IDの割り当ての自由度を増すことができる。
【0148】
(8)(1)乃至(7)において、管理装置10の補正情報取得部11bは、第1の期間においては配信装置201から受信した補正情報を第1車両V1に送信し、第2の期間においては配信装置201から受信した補正情報を第2車両V2に送信する。これによれば、車両V1・V2が接続IDを利用して直接的に配信装置201に接続するシステムに比して、車両V1・V2での処理を簡単化できる。
【0149】
(9)(8)において、管理装置10は、各車両V1・V2の運転状態を表す情報を、各車両V1・V2のそれぞれから受信する監視部11cを備えている。これによれば、車両V1・V2において、監視用の通信モジュールと、補正情報受信用の通信モジュールとを共通化でき、コストの削減を図ることができる。
【0150】
(10)(9)において、監視部11cは、第1の期間において第2車両V2の暫定位置情報に基づいて第2車両V2を管理し、第2の期間において、第1車両V1の暫定位置情報に基づいて第1車両V1を管理する。これによれば、接続IDが割り当てられない期間においても、車両V1・V2の位置を監視できる。
【0151】
(11)(1)乃至(10)において、第1の期間は、図12及び図13で説明したように、第2車両V2が停止している期間又は手動運転されている期間の少なくとも一部であり、第2の期間は、第1車両V1が停止している期間又は手動運転されている期間の少なくとも一部である。
【0152】
(12)(1)乃至(11)において、配信装置201への接続に許容されている複数の接続IDの数は、運行システム100・300が管理する複数の車両V1・V2の数よりも少ない。これによれば、車両V1・V2の運営者に課されるコストを低減できる。
【0153】
(13)(1)乃至(12)において、ID管理部11aは、第1の期間において第2接続ID(N02)を第3車両V12に割り当て、第2の期間においては第2接続ID(N02)が第4車両V22に割り当てる。これによると、第1の期間において複数の車両(第1車両V11、及び第3車両V12)が運行し、第2の期間においても複数の車両(第2車両V21、及び第4車両V22)が運行する。そのため、利用者の利便性を向上できる。
【0154】
(14)(1)乃至(13)において、第1の期間と第2の期間は重複しない期間である。これによると、接続IDの割り当て処理を容易化できる。
【0155】
なお、本開示で提案される運行システムは、以上説明した例に限られず、種々の変更がなされてよい。例えば、本開示においては、移動体の例として、自動運転車両V1・V2を示した。しかしながら、本開示で提案するシステムは、無人航空機や、ロボットなどに適用されてよい。
【符号の説明】
【0156】
10:管理装置、11:制御部、11A:演算部、11B:記憶部、11a:ID管理部、11b:補正情報取得部、11c:監視部、13:通信部、14:表示部、15:入力部、20:基準局、51:制御部、51A:演算部、51B:記憶部、51a:自動走行制御部、51b:位置情報算出部、51c:補正情報取得部、51d:運転情報通信部、52:駆動部、53:操舵部、54:制動部、55:通信部、56:GNSS受信部、100:運行システム、201:配信装置、202:基準局、300:運行システム。
図1
図2
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図10A
図10B
図11A
図11B
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