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  • 特開-マット及びこれを用いた電場抑制方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024024503
(43)【公開日】2024-02-22
(54)【発明の名称】マット及びこれを用いた電場抑制方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 9/00 20060101AFI20240215BHJP
   E04B 1/92 20060101ALI20240215BHJP
   A47B 97/00 20060101ALI20240215BHJP
   B32B 9/00 20060101ALI20240215BHJP
   B32B 7/025 20190101ALI20240215BHJP
   B32B 5/02 20060101ALI20240215BHJP
【FI】
H05K9/00 W
E04B1/92
A47B97/00 P
H05K9/00 A
B32B9/00 A
B32B7/025
B32B5/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022127371
(22)【出願日】2022-08-09
(71)【出願人】
【識別番号】503186618
【氏名又は名称】株式会社レジナ
(74)【代理人】
【識別番号】100121658
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 昌義
(72)【発明者】
【氏名】土田 直樹
【テーマコード(参考)】
2E001
4F100
5E321
【Fターム(参考)】
2E001DH01
4F100AA09A
4F100AK01B
4F100AT00B
4F100BA02
4F100DG01A
4F100DG15A
4F100GB08
4F100GB90
4F100JD08
4F100JG01A
4F100YY00A
5E321AA14
5E321AA50
5E321BB21
5E321BB23
5E321BB34
5E321BB60
5E321GG01
5E321GG05
(57)【要約】      (修正有)
【課題】屋内の電磁波伝搬を簡便に抑制することができるマット及びこれを用いた電場抑制方法を提供する。
【解決手段】マット1は、導電性繊維を含む導電性繊維層2と、導電性繊維層の上に表面層3と、導電性繊維層2に接続されるアース部材4と、を有する。導電性繊維は、基礎繊維とその周囲にダイジェナイトを含む導電性物質が被膜として形成されたものである。また、電場抑制方法は、導電性繊維を含む導電性繊維層を備えたマットを台上に設置し、マットにアース線41を接続してアースをとる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性繊維を含む導電性繊維層を備えたマット。
【請求項2】
前記導電性繊維層の上に表面層を備える請求項1記載のマット。
【請求項3】
前記導電性繊維層に接続されるアース線及びアース端子を備える請求項1記載のマット。
【請求項4】
前記導電性繊維は、基礎繊維と、前記基礎繊維の周囲に導電性物質が被膜として形成されたものである請求項1記載のマット。
【請求項5】
前記導電性物質はダイジェナイトを含む請求項1記載のマット。
【請求項6】
前記導電性繊維層は、前記導電性繊維を1平方メートル当たり平均で1g以上30g以下の範囲で含む請求項1記載のマット。
【請求項7】
前記導電性繊維は、2mm以上4mm以下の短繊維が80%以上を占める請求項1記載のマット。
【請求項8】
前記導電性繊維層の表面抵抗値が80Ω/□~300Ω/□である請求項1記載のマット。
【請求項9】
前記導電性繊維層の厚さは、1mm以上5mm以下の範囲にある請求項1記載のマット。
【請求項10】
導電性繊維を含む導電性繊維層を備えたマットを台上に設置するステップ、
前記マットにアース線を接続してアースをとるステップ、を備える電場抑制方法。







【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マット及びこれを用いた電場抑制方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、家庭の電気機器等から発生する極低周波電磁波による心身への悪影響(頭痛・吐き気・いらいら等)が問題視されている。例えば、電磁波防止エプロンを着用してアースがとられていないパソコンを使用している者の電磁波測定を行ったところ、約150V/mの電場を受けていたという事実が報告されている。そして、その者の中には、ひどい肩こり、頭痛やかすみ目、花粉症、鼻炎などのアレルギーに悩んでいる者が多くいることが、例えば下記非特許文献1に報告されている。
【0003】
さらに、最近では、早稲田大学人間科学学術院の辻内琢也准教授の研究室において、「交流電場が与える身体への影響に関する研究」が始まっており、電磁波によって自律神経系が影響を受けていることを示唆する実験データが、下記非特許文献2、3によって公表されている。
【0004】
一般に電磁波とは、電界と磁界が互いに垂直な方向に振動しながら空間や物質中を伝わっていく現象又はその振動電磁界のことをいい、電界(電場)と磁界(磁場)の合成波(電気と磁気エネルギーの波)という意味である。ここで、本明細書において、電界と電場、磁界と磁場は、ほぼ同じ意味で使用することとし、電界(電場)とは電気の影響が及ぶ範囲、磁界(磁場)とは磁気の影響が及ぶ範囲を意味する。
【0005】
磁場は電気機器等に電流が流れることにより生じる。したがって、電気機器等の電源スイッチを切った状態では磁場は生じない。これに対し、電場は電圧がかかるだけで生じる。すなわち、電気機器等の電源スイッチを切った状態であっても、コンセントにプラグが差し込まれているだけで、電場は生じてしまう。
【0006】
したがって、電場の発生を抑制し、電磁波の影響による前述したような心身への悪影響から逃れるためには、電気機器等の電源プラグをコンセントから抜くか、電気機器等にアースをとることが重要である。電気機器等の使用中は電源プラグをコンセントから抜くことはできないため、電磁波の影響を抑制する最も現実的で効果的な方法は、電気機器等にアースをとることである。電気機器等にアースをとることで、電気機器等の電位を下げることができる。具体的には、電位は高い方から低い方へ伝搬する性質があるため、電気機器等の電位を下げることによって、近辺にいる者に伝搬しにくくすることができる。
【0007】
前述したような家庭の電気機器等から発生する極低周波電磁波による心身への悪影響を減らすため、各国では電磁波に関するガイドラインを設けて、電気機器等から発生する電磁波を抑制するように呼びかけている。特にスウェーデン労働組合協会が設けているガイドライン(TCO規制)は、世界で最も厳しい基準を定めており、スウェーデンの電磁波に対する関心の高さが伺える。一方、日本の業界団体が設けているガイドラインでは、磁場に関する基準は前述のスウェーデンのガイドラインと変わらないものの、電場に対する基準は、スウェーデンのガイドラインに比べて、100Vでは5倍、200Vでは25倍もの電場を許容しており、対応の遅れ、関心の低さを如実に物語っている。
【0008】
前述したような電気機器等から発生する極低周波電磁波について、本発明者は、電気機器等の機器内部においてアースラインに繋がっている側を単相2線式の電源ラインのコールドライン、すなわち、接地されている電源ラインと連結することによって、電気機器等を接地させた状態、すなわち、アースをとったことと同一の状態とすることに成功し、この原理を応用して極低周波電磁波の発生を抑制するUSB対応電場除去器を開発した(下記特許文献1参照)。
【0009】
これによって、既存のノートパソコンやホットカーペット等の電気機器においてもこの装置を設置することにより、電気機器から発生する極低周波電磁波をきわめて低いレベルに抑えることが出来るため、各方面からその普及が期待されている(下記特許文献2参照)。
【0010】
これまで、住宅内における極低周波電磁波については、その発生源が住宅内におかれた電気機器から発生されるものが主要因であるとか、住宅の上空に張設された高電圧送電線から発生されるものが主要因であるなど、さまざまなことが言われていたが、はっきりとしたことが解明されず、個々の発生源に対する対策を立てるに留まっていた。例えば、住宅の外部からの電磁波を遮蔽する技術については、特許文献3、4のようなものが提案されている。
【0011】
また、本発明者は、住宅内における極低周波電磁波の伝搬を抑制する住宅の施工方法を特許として取得している(下記特許文献5参照)。
【0012】
また、本発明者は、住宅内における屋内配線からの電磁波伝搬を抑制することのできる屋内塗装材について特許として取得している(下記特許文献6参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特許第4972713号公報
【特許文献2】特許第5037741号公報
【特許文献3】特開平10-169253号公報
【特許文献4】特開平11-200646号公報
【特許文献5】特許第5358036号公報
【特許文献6】特許第6121603号公報
【非特許文献】
【0014】
【非特許文献1】土田直樹著「オールアース時代がやってくる」、ホノカ社、2005年10月30日、p.29-30
【非特許文献2】土田直樹著「アース革命」、ホノカ社、2011年8月30日、p.210-213
【非特許文献3】前田未加子「電磁場の生体影響-医療人類学的研究の試み-」、早稲田大学人類科学学術院医療人類学研究室ホームページ、[平成23年11月1日検索]、インターネット<URL:http://www.waseda.jp/sem-tsujiuchi/Master2009-3ElectroMF.pdf>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかしながら、上記技術を用いても、屋内の電磁波伝搬を抑制することは容易ではない。例えば勉強机やテーブル等の家具では、近年電気機器を使いやすくする観点から、配線用差込接続器、いわゆるコンセントを埋め込んだものが一般的となっており、更に近年ではUSB用のソケットを備えた配線用差込接続器さえ登場してきている。
【0016】
これら配線用差込接続器は電気配線に接続されており、この電気配線から電気機器に電力が供給されており、特に、配線用差込接続器に電気機器が接続されていない状態でも電気配線からの電力によって家具表面が帯電し、高い電場が維持されてしまっているという課題がある。
【0017】
そこで、本発明は、上記課題を鑑み、配線用差込接続器が埋め込まれた家具であっても十分に電場を抑制可能なマット、並びに、電場抑制方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記課題を解決する本発明の一観点に係るマットは、導電性繊維を含む導電性繊維層を備えたものである。
【0019】
また、本観点において、限定されるわけではないが、導電性繊維層の上に表面層を備えることが好ましい。
【0020】
また、本観点において、限定されるわけではないが、導電性繊維層に接続されるアース端子及びアース線を備えることが好ましい。
【0021】
また、本観点において、限定されるわけではないが、導電性繊維は、基礎繊維と、前記基礎繊維の周囲に導電性物質が被膜として形成されたものであることが好ましい。
【0022】
また、本観点において、限定されるわけではないが、導電性物質はダイジェナイトを含むことが好ましい。
【0023】
また、本観点において、限定されるわけではないが、導電性繊維層は、前記導電性繊維を1平方メートル当たり平均で1g以上30g以下の範囲で含むことが好ましい。
【0024】
また、本観点において、限定されるわけではないが、導電性繊維は、2mm以上4mm以下の短繊維が80%以上を占めることが好ましい。
【0025】
また、本観点において、限定されるわけではないが、導電性繊維層の表面抵抗値が80Ω/□~300Ω/□であることが好ましい。
【0026】
また、本観点において、限定されるわけではないが、導電性繊維層の厚さは、1mm以上5mm以下の範囲にあることが好ましい。
【0027】
また、本発明の他の一観点に係る電場抑制方法は、導電性繊維を含む導電性繊維層を備えたマットを台上に設置するステップ、前記マットにアース線を接続してアースをとるステップ、を備えるものである。
【発明の効果】
【0028】
以上、本発明により、屋内の電磁波伝搬を簡便に抑制することができるマット及びこれを用いた電場抑制方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】実施形態にかかるマットの概略図である。
図2】実施形態にかかるマットの断面拡大図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は多くの異なる形態による実施が可能であり、以下に示す実施形態、実施例に記載の具体的な例示に限定されるわけではない。
【0031】
図1は、本実施形態にかかるマット(以下「本マット」という。)1の概略図であり、図2は、本マット1の断面図である。
【0032】
これらの図で示すように、本マット1は、導電性繊維層2と、この上に設けられる表面層3と、を有している。本マット1は、導電性繊維層2を設けることで、デスク等の表面における電場を抑制することができる。具体的に説明すると、近年電気機器を使いやすくする観点から、例えば勉強机やテーブル等の家具において配線用差込接続器、いわゆるコンセントを埋め込んだものが一般的になりつつある。特に最近ではUSB用のソケットを備えた配線用差込接続器さえ登場してきている。これら配線用差込接続器は電気配線に接続されており、この電気配線から電気機器に電力が供給されている。特に、配線用差込接続器に電気機器が接続されていない状態でも電気配線からの電力によって家具表面が帯電し、高い電場が維持されてしまっているという課題がある。これに対し、本マット1を用いると、本マット1の導電性繊維層2がデスク表面に接触する構成となっているためこの電場を逃し、電位を抑制することができる。
【0033】
また、本マット1の大きさは、デスクの大きさに応じて適宜調整可能であり限定されるわけではないが、四角形状であることが好ましく、四角形状の場合、例えば一辺の長さとしては20cm以上100cm以下であることが好ましい。
【0034】
また、本マット1の厚さは、通常のデスクマットとしての使用を想定しており、この限りにおいて本マット1の厚さは特に限定されないが、2mm以上10mm以下であること、好ましくは6mm以下である。この範囲とすることで、柔軟性と性能の両立を図ることができる。
【0035】
上記の図で示すように、本マット1は、導電性繊維を含む導電性繊維層2を備えている。導電性繊維層2は、上記の通り、導電性繊維によって構成される層である。導電性繊維を用いることで、上記の通り、勉強机やテーブル等のデスク表面の電場を抑制できる。
【0036】
また、本マット1において、導電性繊維層2は一方の面において露出していることが好ましい。導電性繊維層2を露出させ、デスク表面と接触させることで、デスク表面において蓄積する電荷を外部に逃す(アースする)ことが可能となる。
【0037】
また、本マット1では、導電性繊維層2の厚さは、1mm以上5mm以下の範囲にあることが好ましい。1mm以上の厚さとすることで十分な導電性を確保することができる一方、5mm以下とすることで高すぎる導電性となってしまうことを防止することができる。
【0038】
本マット1において、導電性繊維とは、電気を伝達する性質(導電性)を有する繊維であって、基礎繊維の周囲に導電性物質が皮膜として形成されたものである。また「基礎繊維」とは、導電性物質を皮膜として保持することができる基材となる繊維であって、例えば天然繊維や化学繊維を例示することができる。なお化学繊維を用いる場合、アクリル繊維やナイロン繊維を好適に用いることができるがこれに限定されない。またこの場合において、基礎繊維の周囲に皮膜として形成される導電性物質としては、限定されるわけではないが、ダイジェナイト(Cu)であることが好ましい。ダイジェナイトは導電性を備えて基礎繊維を強固に被覆することができる。
【0039】
また、本マット1では、導電性繊維層2は、前記導電性繊維を1平方メートル当たり平均で1g以上30g以下の範囲で含むことが好ましい。この範囲とすることで、十分な導電性を確保することができる。
【0040】
またこの場合において、導電性繊維は、導電性繊維の総重量中、2mm以上4mm以下の短繊維が80%以上を占めるものであることが好ましく、より好ましくは3mm以下の範囲である。2mm以上とすることで、導電性繊維層2内において、導電性繊維どうしが接触しあうことによる十分なアース性能を実現できる一方、4mm以下とすることで、壁全体が導通してしまうことを防止するとともに、塗装材としての塗装性能及び塗装後の長期安定維持が可能となる。ここで使用する導電性繊維は、ダイジェナイト結合を有するナイロン繊維からなる表面抵抗値が80Ω/□~300Ω/□であるために、経年変化を起こしにくいということ、落雷が起きた場合大電流が流れないため、火災の原因とならない。従来、建材として使用されてきたカーボンや金属繊維などは、比較的短期間で経年変化が起こり、また、抵抗がなく導通があることで、落雷により大電流が流れて、火災の原因となる恐れがある。
【0041】
また、本マット1では、限定されるわけではないが、導電性繊維層2の上に表面層3を備えることが好ましい。導電性繊維層2は導電性繊維からなるものであるが一般に導電性繊維層2は薄く構成されている。そのため、この上に保護となる表面層3を設けることで十分な強度を確保し、使用者の手に触れる面に快い触り心地を提供することが可能となる。
【0042】
本マット1の表面層3は、デスクのマットとして使用する際に用いられる材質を用いることができる。材質としては、限定されるわけではないが、例えばオレフィン樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂等を用いることができるがこれに限定されない。また、本マット1における表面層3は、複数の層に分割されていてもよい。例えば、ポリウレタン樹脂の表面に塩化ビニル樹脂によるコーティングを行う等適宜調整が可能である。表面層3としては絶縁性の素材であることが好ましい。すなわち本マット1では、下面が導電性繊維層2である一方、表面層3に絶縁性の表面層を用いることで、漏電してしまう等のおそれを極力下げることができる。
【0043】
本マット1の表面層3の厚さは、上記の通り、本マット1の厚さから導電性繊維層2の厚さを引いた分の厚さとしておくことが好ましい。
【0044】
ところで、本マット1では、導電性繊維層2に接続されるアース線41及びアース端子を備えるアース部材4を備えていることが好ましい。アース線41は、導電性繊維層2に接続され、外部のアースに接続するために用いられる線状の部材であって、いわゆる同線であることが好ましい。アース線41は、直接不可分に導電性繊維層2に接続されていることが好ましいが、分離可能とする場合、導電性繊維層2に接続して設けられるソケットを設け、アース線41の一方の端に、このソケットに挿入されるアース端子とを備えていることが好ましい。このようにすることで着脱が可能になるといった利点がある。
【0045】
一方で、アース線41の先端は、アース端子に接続されるものであって、アースに接続しこれを安定的に保持するための部材である。アース端子の形状としては特に限定されるわけではないが、例えばワニ口クリップや、USBコネクタ、導電性のある磁石であってもよい。特に磁石の場合、導電性の部材に磁力で付着させることが可能であるとともに好みの位置に自由に付着させることが可能となる。
【0046】
本マット1は、上記の範囲とすることで、塗装材の乾燥時の極低周波電磁波の強度を居住者の健康に影響がない範囲に抑えることができる。この客観的な基準としては、限定されるわけではないが、スウェーデン労働組合協会のTOC規制が定める値を採用することが好ましい。この具体的な値としては、200V給電で1400V・Aの電力が供給されている状態において、電磁波測定器(ファウザーフィールドメーターFM6T)により測定される電場の値が25V/m以下となっている状態である。
【0047】
ところで、本マット1は、デスク上に配置することで、電磁波を効率的に抑制することが可能であり、この結果電場抑制方法としての活用がある。具体的に説明すると、本実施形態にかかる電場抑制方法(以下「本方法」という。)は、(S1)導電性繊維を含む導電性繊維層を備えたマットを台上に設置するステップ、(S2)アース線を介してアースをとるステップ、を備える。これにより、効率的な電場抑制方法を提供することができる。
【0048】
以上、本実施形態によって、屋内の電磁波伝搬を簡便に抑制することができるマット及びこれを用いた電場抑制方法を提供することができる。
【実施例0049】
ここで、実際にデスクマットを作成して本マットの効果について確認を行った。
【0050】
まず、導電性繊維層として、厚さ1mm、縦300mm、横300mmのダイジェナイトからなる導電性不織布を準備し、その上に、表面層としてビニール樹脂を厚さ3mm形成し、厚さ約4mmのデスクマットとした。なお、導電性繊維層にはアース線を接続し接地できるようにした。
【0051】
まず、市販の配線用差込接続器が表面板に埋め込まれた勉強机を準備し、配線用差込接続器を家庭用電源(交流:100V、50Hz)に接続し、その表面5箇所の電場について確認したところ、下記表のように平均216V/mとなっていた。
【表1】
【0052】
次に、上記作製したデスクマットを配置し、アースに接続し、その表面の電場について確認したところ、下記表のように平均2.2V/mとなっており、十分な電場抑制を行えていることを確認した。
【表2】
【0053】
以上、本実施例により、本マットによる効果を確認することができた。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明は、マットを用いた電場抑制方法として産業上の利用可能性がある。


図1
図2