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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024024513
(43)【公開日】2024-02-22
(54)【発明の名称】開梱装置、開梱方法
(51)【国際特許分類】
   B65B 69/00 20060101AFI20240215BHJP
【FI】
B65B69/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022127404
(22)【出願日】2022-08-09
(71)【出願人】
【識別番号】522318900
【氏名又は名称】株式会社日立オートメーション
(74)【代理人】
【識別番号】110002365
【氏名又は名称】弁理士法人サンネクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】篠田 秋穂
(72)【発明者】
【氏名】伏見 秀彦
(72)【発明者】
【氏名】野々垣 由紀子
(72)【発明者】
【氏名】森綱 康二
【テーマコード(参考)】
3E058
【Fターム(参考)】
3E058AA02
3E058CA01
3E058DA01
3E058FA05
3E058FA20
3E058GA05
(57)【要約】
【課題】梱包体の開梱に要する時間を短縮し、また梱包体の切断時に生じる切粉の量を低減可能な技術を提供する。
【解決手段】開梱装置は、梱包体を開梱する装置であって、ロボットと、ロボットの先端に取り付けられたカッターハンドとを備える。カッターハンドは、梱包体を切断するための刃を含む刃部と、刃部を保持する刃保持部とを有する。刃保持部は、刃部を梱包体に接触させながら刃保持部の第一の軸部の軸方向である第一方向に非平行な第二方向と、第二方向に直交する第三方向との両方に広がる梱包体の第一面の周囲の空間を移動する。刃保持部が第一面の角部を移動する際の刃部の刃先と梱包体への刃先挿入位置との距離が、第一面の辺を移動する際の刃部の刃先と梱包体への刃先挿入位置との距離より長い。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
梱包体を開梱する開梱装置であって、
ロボットと、前記ロボットの先端に取り付けられたカッターハンドとを備え、
前記カッターハンドは、前記梱包体を切断するための刃を含む刃部と、前記刃部を保持する刃保持部とを有し、
前記刃保持部は、前記刃部を前記梱包体に接触させながら前記刃保持部の第一の軸部の軸方向である第一方向に非平行な第二方向と、第二方向に直交する第三方向との両方に広がる前記梱包体の第一面の周囲の空間を移動し、
前記刃保持部が前記第一面の角部を移動する際の前記刃部の刃先と前記梱包体への刃先挿入位置との距離が、前記第一面の辺を移動する際の前記刃部の刃先と前記梱包体への刃先挿入位置との距離より長い、
開梱装置。
【請求項2】
請求項1に記載の開梱装置において、
前記刃部は、
前記梱包体の面に沿って移動可能であるガイドを備え、
前記刃保持部と第一の弾性体で接続され、
第一方向を軸方向とする前記刃保持部の前記第一の軸部を中心に回転可能であり、
前記刃保持部は、前記梱包体に前記ガイドを接触させながら移動する、
開梱装置。
【請求項3】
請求項2に記載の開梱装置において、
前記ガイドは、切断時の移動方向が長く形成されている、開梱装置。
【請求項4】
請求項1に記載の開梱装置において、
前記刃保持部は、前記刃部が切断開始位置に再び到達するまで前記刃部が前記梱包体に接触しつづけるよう前記梱包体の前記第一面の周囲の空間を移動する、開梱装置。
【請求項5】
請求項1に記載の開梱装置において、
前記刃部は、前記第一面に接続する前記梱包体の他の面から挿入され、前記刃部の刃先が前記第一面に向いた状態で前記梱包体を切断する、開梱装置。
【請求項6】
請求項1に記載の開梱装置において、
前記刃保持部は、鉛直方向に伸縮可能に取り付けられた第二の弾性体を備える、開梱装置。
【請求項7】
請求項1に記載の開梱装置において、
前記刃は、超音波カッターである、開梱装置。
【請求項8】
請求項1に記載の開梱装置において、
前記刃保持部は、前記ロボットに接続され、前記ロボットの動作により移動する、開梱装置。
【請求項9】
請求項2に記載の刃部および刃保持部を有する、カッターハンド。
【請求項10】
ロボットと、前記ロボットの先端に取り付けられたカッターハンドとを備える開梱装置を使用して梱包体を開梱する開梱方法であって、
前記カッターハンドは、前記梱包体を切断するための刃を含む刃部と、前記刃部を保持する刃保持部とを有し、
前記刃保持部は、前記刃部を前記梱包体に接触させながら前記刃保持部の第一の軸部の軸方向である第一方向に非平行な第二方向と、第二方向に直交する第三方向との両方に広がる前記梱包体の第一面の周囲の空間を移動し、
前記刃保持部が前記第一面の角部を移動する際の前記刃部の刃先と前記梱包体への刃先挿入位置との距離が、前記第一面の辺を移動する際の前記刃部の刃先と前記梱包体への刃先挿入位置との距離より長い、
開梱方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、梱包体を開梱する装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
今日の生産現場において、製品や半製品、部品などの物品は、輸送中の事故を防止して安全に輸送するために、段ボール箱や各種緩衝材などの梱包資材によって梱包された状態で目的地に輸送される。その際に輸送の対象物とされる、物品が梱包資材の内部に収納された略箱状の物体を、梱包体と称する。梱包体は、目的地に到着すると、その内部の物品を取り出すために開梱される。
【0003】
この梱包体を開梱するための手段として、例えば特許文献1の技術が知られている。特許文献1には、梱包体の角部上を移動しながら当該梱包体を切断する切断用カッターが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-156713号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般に、今日の生産拠点では、大量に到着した梱包体を、効率よく速やかに開梱することが要求される。然様な場合に、特許文献1に記載されているように、略箱状の梱包体の上面の各辺に沿って順次カッターを移動させ、当該梱包体の四つの側面の上部を一面ずつ別々に切断する方法によって梱包体の開梱を行う場合、開梱に時間がかかるおそれがある。また、梱包体の四つの側面を一面ずつ別々に切断する場合、切断に伴って発生した梱包資材の細かな破片や粉塵(以下、「切粉」と称する)により、生産ラインから切粉を除去する必要が生じる。
【0006】
本発明は、上記の課題に鑑みて、梱包体の開梱に要する時間を短縮し、また梱包体の切断時に生じる切粉の量を低減可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による開梱装置は、梱包体を開梱するものであって、ロボットと、ロボットの先端に取り付けられたカッターハンドとを備える。カッターハンドは、梱包体を切断するための刃を含む刃部と、刃部を保持する刃保持部とを有する。刃保持部は、刃部を梱包体に接触させながら刃保持部の第一の軸部の軸方向である第一方向に非平行な第二方向と、第二方向に直交する第三方向との両方に広がる梱包体の第一面の周囲の空間を移動する。刃保持部が第一面の角部を移動する際の刃部の刃先と梱包体への刃先挿入位置との距離が、第一面の辺を移動する際の刃部の刃先と梱包体への刃先挿入位置との距離より長い。
【0008】
また、本発明による開梱方法は、上記の開梱装置を使用して梱包体を開梱する方法である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、梱包体を開梱する際の所要時間を短縮し、また梱包体の切断時に生じる切粉の量を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態に係る開梱装置の概略構成図。
図2】本発明の一実施形態に係る開梱装置のカッターハンドの構造の一例を示す背面図。
図3】本発明の一実施形態に係る開梱装置のカッターハンドの構造の一例を示す正面図。
図4】本発明の一実施形態に係る開梱装置のカッターハンドの構造の一例を示す上面図。
図5】本発明の一実施形態に係る開梱装置のカッターハンドの構造の一例を示す右側側面図。
図6】カッターハンドの刃部の構造の一例を示す右側側面図。
図7】梱包体切断時の刃先の向きを例示する模式図。
図8】梱包体切断時の刃先の軌跡を例示する模式図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本実施形態を詳細に説明する。実施の形態を説明するための各図において、同一の構成要素にはなるべく同一の名称、符号を付して説明するものとし、その繰り返しの説明を省略する。なお、以下の説明は、三次元直交座標系における三つの座標軸方向が、それぞれ、第一方向、第二方向、および第三方向であるものとして行う。また、以下の説明では、第一方向が上下方向であるものとし、特に注釈がない限り、上下方向は鉛直線の方向(以下、「鉛直方向」と称する)であるものとする。すなわち、以下においては、第一方向が第二方向と第三方向とのいずれとも直交し、第一方向と第二方向とが非平行であるものとして説明を行う。さらに、以下の説明では、第二方向および第三方向はともに水平方向であるとともに、第二方向と第三方向とが直交するものとする。なお、以下の本実施形態の説明では、第二方向は、後述する梱包体の長手方向である。また、第三方向は、梱包体の幅方向である。梱包体の長手方向とは、直方体の梱包体の上面のうち長辺方向であり、幅方向とは、上面の短辺方向のことである。勿論、第二方向および第三方向は入替可能であって、第二方向が梱包体の幅方向であってもよいし、また、第三方向が梱包体の長手方向であってもよい。このように、以下の本実施形態の説明において、第二方向および第三方向は、それぞれ、梱包体の上面(第一面)の二種類の辺の方向を表すものとする。
【0012】
図1は、本発明の一実施形態に係る開梱装置1の概略構成図である。図1に示す開梱装置1は、例えば工場内の生産ラインに設置されて、所定の間隔で順次搬送されてくる梱包体80を開梱する装置である。図1に示すように、開梱装置1は、概略的には、ロボット10と、ロボット10の先端に取り付けられたカッターハンド20とを備える。
【0013】
本実施形態のロボット10は、マニピュレータに六つの回転関節(以下、「リンク」と称することがある)が設けられた、六自由度型の垂直多関節ロボット(Vertical Articulated Robot)である。ロボット10の先端には、梱包体80を開梱するためのカッターハンド20が取り付けられている。このカッターハンド20は、手先効果器または末端効果器(End Effector)とよばれるツールの一種であり、主に、刃部60と、刃部60を保持する刃保持部40とから構成されている(詳細後述)。
【0014】
開梱装置1の動作の制御は、カッターハンド20の刃部60に取り付けられた刃の先端側(以下、「刃先」と称する)の任意の一点を基準点とし、この基準点の移動先の三次元直交座標系における位置を指定する、ロボット10の位置制御(Position Control)によって行う。ロボット10の動作制御部(不図示)は、三次元直交座標系における位置を刃先の移動先として指定する入力操作を受け付けると、入力内容に応じて六つの回転関節の回転量をそれぞれ決定し、回転量を伝える制御信号を各回転関節に送信する。それぞれの回転関節にはアクチュエータが設けられており、受信した制御信号によって回転角、回転量、回転速度、回転加速度、回転角速度等によって制御される。そして、各回転関節がそれぞれ受信した制御信号に従って回転すると、ロボット10が姿勢を変化させる。ロボット10は、この姿勢変化によって必要な動作を行い、カッターハンド20の刃保持部40を略水平方向に移動させることにより、刃保持部40と接続されている刃部60の刃先を指定した位置に移動させる。すなわち、刃保持部40は、ロボット10に接続されて、動作制御部の制御信号に従ってなされるロボット10の動作により移動する。開梱装置1の動作の設定を行うオペレーターは、刃先の移動先の位置を指定する際に、三次元直交座標系における複数の位置を、通過する順番とともに指定することにより、刃先が移動するコース(以下、「軌跡」とも称する)を指定することができる。なお、軌跡は、刃先に限らず、ガイド65と梱包体80が接触する位置として設定することもできる。この場合は、梱包体80の形状を基準に軌跡を設定できるため、軌跡の作成が容易である。軌跡と刃62の位置関係が特定できるものであれば、これに限らず他の位置を軌跡として利用することができる。本実施形態のロボット10は、図1に示す梱包体80のいずれの側面からであっても切断することができるが、最初に切断する側面を図1に示すようにY軸方向で視認できない側面を第一側面80aとし、第一側面80aを切断した後に切断する側面をX軸方向から視認できる第二側面80bとして説明する。詳細は後述するが、第一側面80aの切断工程から第二側面80bを切断工程に移行する際に、カッターハンド20は、第一側面80aと第一側面80bとが接続される辺を中心に回転しながら第2側面80bに倣って切断を継続する。
【0015】
梱包体80を搬送するベルトコンベア装置の搬送ベルトの上面(以下、「載置面」とも称する)90は、摩擦係数が高い素材からなり、滑り止め効果を有する。また、この載置面90上には、二つの固定式のストッパ(以下、「固定ストッパ」と称する)91と、一つの可動式のストッパ(以下、「可動ストッパ」と称する)92とが設けられている。さらに、固定ストッパ91および可動ストッパ92の、梱包体80の側面と対向する面にも、摩擦係数が高いゴムなどの素材からなるシート状の滑り止めがそれぞれ設けられている。各梱包体80は、例として直方体の形状であって、固定ストッパ91および可動ストッパ92によって側面の下側が挟持された状態で、載置面90上に固定される。各梱包体80のうち、載置面90と接触する面を底面と呼び、底面と対向する面を天面または上面と呼ぶ。天面は、先に説明した第一方向の高い位置から低い位置を見た場合に視認できる面である。上面図で視認できる面が天面である。梱包体80の天面及び天面に接続される4つの面を側面と呼ぶ。そして、この状態で、梱包体80の寸法や位置を考慮して、三次元直交座標系における刃先の移動先の複数の位置が移動する順番とともに設定されると、ロボット10の動作制御部は、設定内容に従ってロボット10を動作させる。このロボット10の動作によって、カッターハンド20が刃先を梱包体80の側面に挿入させた状態で梱包体80の周囲の空間を刃先63が挿入された側面に沿うように側面が延在する第二方向または第三方向に略水平方向に移動すると、梱包体80の側面が略水平方向に切断される。そして、カッターハンド20が梱包体80の周囲を一周すると、梱包体の80全ての側面が略水平方向に切断されて、梱包体80の上面が除去可能となり、梱包体80が開梱される(図8に関連して詳細後述)。梱包体80の上面は、ロボット10に吸着部材を設け吸着することにより除去してもよい。この場合は、一台のロボット10で天面の切断から除去を行うことができ、次に天面を切断する梱包体80が搬送されるまでに、ロボット10が切断された天面を除去または他の領域に搬送すると生産ライン全体の生産効率が向上する。また、ロボット10とは別体のロボットや人手を介して除去してもよい。
【0016】
なお、本実施形態では、ロボット10が六つのリンクを備えた垂直多関節ロボットであるとして説明したが、ロボットのリンクの数や配置は適宜に変更することができる。また、ロボットはシリアルリンク型であればよく、スカラロボットなどの他の形式のロボットであってもよいが、好ましくは垂直多関節ロボットである。
【0017】
次に、カッターハンド20の概要について、図2~5を参照して説明する。図2~5は、カッターハンド20の構造の一例を示す図である。このうち、図2は正面図であり、図3は背面図であり、図4は上面図であり、図5は右側側面図である。前述したように、カッターハンド20は、主に、刃部60と、刃部60を保持する刃保持部40とから構成される。すなわち、カッターハンド20は、刃部60と、刃保持部40とを有する。
【0018】
刃保持部40は、後述するカッターハンド20の刃部60をロボット10の先端に固定して保持するための部材である。この刃保持部40は、概略的には、略水平に配置された二枚の金属製のプレート状部材が高さ方向であるZ軸方向に上下に積層されてなる構造体(以下、「積層構造体」と称する)44と、当該積層構造体44の長手方向の一端側に鉛直方向に設けられた略円柱形の第一の軸部42とから構成される。積層構造体44を構成している二枚のプレート状部材の一方には、その上面と下面とを連絡する略矩形状の開口45が設けられており、開口45の内部には、このプレート状部材の幅方向を伸縮方向とし、Y軸方向に圧縮され伸びようとする第一の弾性体41が配置されている。積層構造体44の長手方向の他端側には、その下方、つまりZ軸方向の低い位置に配置された刃部60に接続されている。
【0019】
第一の弾性体41は、水平方向を軸方向とする略筒形の金属製のコイルバネである。第一の弾性体41の一端側は、略矩形の開口45のY軸方向である長手方向の一端側に設けられた固定部に係止されることにより、刃保持部40の積層構造体44に固定されている。他方、第一の弾性体41の他端側は、刃部60に固定されている。すなわち、刃保持部40は、刃部60と第一の弾性体41で接続されている。
【0020】
第一の軸部42は、鉛直線と略平行な回転軸を有しており、積層構造体44を構成している二枚のプレート状部材を上下方向に貫通して、上側のプレート状部材の上面側から上方に向けて延びるように設置されている。第一の軸部42の上端は、ロボット10の先端に接続されている。第一の軸部42は、図4において白抜き円弧状の矢印で例示した範囲で水平方向に回転可能であり、ロボット10の六つのリンクとは別に、カッターハンド20の刃保持部40に設けられたリンクとして、開梱装置1の動作にさらなる自由度をもたらすものである。これにより、刃部60は、鉛直方向に設けられた刃保持部40の第一の軸部42の回転軸を中心にして、回転することができる。すなわち、ガイド65の側面部65bが梱包体80の側面に接触する際に、刃62は、梱包体80の側面に向かって回転するように接触させることが可能となる。これにより、梱包体80の側面が平らであることを前提とする軌跡でカッターハンド20を動作させた場合に、梱包体80の側面に側面の平面から外部側に向かって突き出ている凸部または梱包体80の内側に向かっている凹み部である歪みを有していたとしても、伸張された第一の弾性体41が戻ろうとする力が加えられることにより、梱包体80の側面に向かって側面部65bが押し付けられる。これにより、刃62は、梱包体80の側面部から離れずに押し付けられるため、刃62が梱包体80の側面部を切断することが可能となる。つまり、軌跡をX軸またはY軸を一定に設定した場合であっても、第一の弾性体41によって、刃先63が梱包体80の内部側に押し付けられることにより梱包体80の側面を切断することができる。これにより軌跡を梱包体80の側面の形状に厳密に設定することなく側面を切断できるため、軌跡を設定するオペレーターの作業が容易となる。
【0021】
また、略円柱形の第一の軸部42には、その側面の外方に、鉛直方向を伸縮方向とする第二の弾性体43が、第一の軸部42と同軸に取り付けられている。つまり、第一の軸部42には、Z軸方向である第一方向に圧縮された第二の弾性体43が巻回されている。この第二の弾性体43は、鉛直方向を軸方向とする略筒形の金属製のコイルバネである。すなわち、刃保持部40には、垂直方向に弾性体43が取り付けられている。これにより、梱包体80の切断時に、梱包体80の形状の垂直方向の歪に適宜に追従して、梱包体80の切断を安定させることができる。つまり、ガイド65の上面部65aは、第二の弾性体43によって、梱包体80の天面に押し付けられるということである。梱包体80の天面が平らであることを前提とする軌跡でカッターハンド20を動作させた場合に、梱包体80の天面が平らでなく歪みを有していたとしても、圧縮された第二の弾性体43が広がろうとする力が加えられることにより、梱包体80の天面が底面側に凹んでいる凹み部と高さ方向に凸部を含む歪みを有している場合に、いずれも天面に向かって上面部65aが押し付けられる。これにより、カッターハンド20が梱包体80の側面と天面を走査すると、刃62は天面の歪みに追随して走査され、天面から一定の距離を維持して梱包体80の側面を切断することが可能となる。よって、天面の状態を細かく設定した軌跡を作成せずとも、天面から一定距離で梱包体80の側面を切断することが可能となる。
【0022】
このように、刃保持部40は、第一の軸部42の上端でロボット10に接続されている。また、刃保持部40は、積層構造体44の長手方向の他端側が、刃部60に接続されている。
【0023】
刃部60は、梱包体80を開梱するための刃62を含む部材である。この刃部60の概要について、図2~5に加えて、さらに図6を参照して説明する。図6は、カッターハンド20の刃部60の構造の一例を示す右側側面図である。図2~6に示したように、刃部60は、第二の軸部61と、刃62と、カッターホルダー64と、ガイド65とを含んで構成される。
【0024】
第二の軸部61は、鉛直線と略平行な回転軸を有する略円柱形の部材であり、上端側が刃保持部40の積層構造体44に接続されている。なお、本実施形態の説明では、説明の便宜上、第二の軸部61を刃部60の構成要素として整理しているが、当然のことながら、第二の軸部61は、例えば刃保持部40などの他の構成要素に含まれるものとして説明されてもよい。この点は、他の構成要素についても同様である。
【0025】
第二の軸部61は、水平方向つまりXY平面方向に回転可能であり、ロボット10の六つのリンクとは別に、カッターハンド20の刃部60に設けられたリンクとして、開梱装置1の動作にさらなる自由度をもたらすものである。
【0026】
すなわち、本実施形態の開梱装置1は、ロボット10に設けられた六つのリンクに加えて、カッターハンド20の刃保持部40に設けられた第一の軸部42と、カッターハンド20の刃部60に設けられた第二の軸部61とを備えることによって、八自由度型の装置として構成されている。このうち、ロボット10のマニピュレータに設けられた六つのリンクについては、ロボット10の制御信号に応じて回転量をそれぞれ制御することができる。他方、第一の軸部42および第二の軸部61は、主に、梱包体80の側面の切断時に、カッターハンド20の刃部60と梱包体80との当接箇所から受ける反力に応じて回転する。しかしながら、第一の軸部42および第二の軸部61が、例えばロボット10の制御信号に応じて回転量を制御するモーターを内装することにより、ロボット10の六つのリンクと同様に、ロボット10の制御信号に応じて回転量を制御可能に構成されていてもよい。
【0027】
刃62は、梱包体80の側面を切断するためのものである。本実施形態の開梱装置1では、刃62は、超音波カッターである。梱包体80の切断時には、刃62は、梱包体80の側面に挿入されて、刃先63が梱包体80の側面を貫通した状態となる。この状態で刃先63が梱包体80の側面に沿って略水平方向に移動することで、梱包体80の側面が切断される。他方、刃62の基端側は、刃62と同軸状に配置された略筒形のカッターホルダー64で保護されている。
【0028】
刃先63が梱包体80の側面を貫通した状態でロボット10が動作を開始すると、ロボット10の先端に固定された刃保持部40が梱包体80の側面に沿って略水平方向に移動する。このとき刃部60は刃保持部40に追従して移動する。これにより、刃先63が梱包体80の側面を貫通した状態で略水平方向に移動して、梱包体80の側面を略水平方向に切断する。以下、位置関係を説明するが、ロボット10は、梱包体80の側面に倣うように動作することから、XY軸の位置関係が変化することとなる。そのため、梱包体80の側面を切断する最初の一面である第一側面80aの切断を開始する状態を用いて説明する。
【0029】
また、刃部60には、刃先63の周囲に配置され、梱包体80の切断時に刃62とともに梱包体80の側面に沿って移動し、梱包体80の切断を安定させるためのガイド65が取り付けられている。すなわち、開梱装置1は、梱包体80の面に沿って移動可能であるガイド65を備える。このガイド65は、略L字状の断面形状を備える。そして、ガイド65の略L字状の内側の二つの面は、梱包体80の切断時には、それぞれ梱包体80の上面と接触する上面部65aおよび切断対象の側面に沿うように接触する側面部65bが配置される。すなわち、ガイド65の図5に示すX軸方向である長手方向は、刃62の進行方向である。また、ガイド65の略L字状の内側の二つの面のうち、梱包体80の切断時に梱包体80の切断対象の側面(以下、単に「切断面」とも称する)に沿うように配置される側面部65bは、X軸方向である長手方向の間に、当該梱包体80の側面を一主面とする側壁の両面を連絡し、Z軸方向である上下方向に延びる溝が形成されることによって、二つに分割されている。そして、X軸方向である長手方向において二つに分割されたガイド65の側壁である側面部65bは、図2に示したように、刃62の移動先側であるX軸方向の側壁の長手方向の寸法a1が、刃62の移動元側の側壁の長手方向の寸法a2よりも長く形成されている。すなわち、切断時の移動方向のガイド65が長い。ガイド65の長さは、刃先63を基準に梱包体80の側面が切断された側よりも切断される側の方が長いということである。そして、刃保持部40は、刃部60に設けられたガイド65を梱包体80の各側面および上面に接触させながら移動する。進行方向側のガイドが長いことにより、梱包体80の上面に歪が生じていてもガイド65の上面部65aが接触面積が多くなることで歪を吸収することができ、刃先63が梱包体80の切断を安定させることが可能となる。これにより、梱包体80の切断時に、ガイド65の梱包体80との接触面と、当該接触面と対向する固定ストッパ91または可動ストッパ92の梱包体80との接触面とによって梱包体80が挟持されることになる結果、梱包体80の切断面の歪の影響が小さくなり、梱包体80の側面を安定して切断することができる。なお、梱包体80の形状やロボット10の周辺環境によって、刃62の進行方向を逆にして実施することも可能である。つまり、好ましくは刃先63がa1側に向かって梱包体80の側面を切断するが、周辺環境によっては、刃先63がa2側に向かって梱包体80の側面を切断してもよい。
【0030】
前述したように、梱包体80の側面に刃先63が挿入された状態で刃先63が移動することにより、梱包体80の側面が切断される。すなわち、刃部60は、梱包体80の上面に接続する他の面である、梱包体80の側面から梱包体80の内部に挿入される。このときの梱包体80の側面への刃先63の向きを図7に示す。図7は、梱包体80切断時の刃先63の向きを例示する模式図である。図7に示したように、刃先63は下方から上方に向けて斜め方向に挿入される。すなわち、開梱装置1は、梱包体80の側面の上側から梱包体80の内部に刃先63を傾けて挿入する。このときの刃先63の挿入角度θは、基準である水平方向に対して約45度である。そして、刃部60は、刃先63が梱包体80の内部において梱包体80の上面側に向いた状態で、梱包体80の側面の上側を水平方向に切断する。このとき、梱包体80の側面から挿入された刃先63は、梱包体80の内部において梱包体80の上面側を向いているため、梱包体80の内部に収容されている物品を傷つけることがない。
【0031】
なお、本実施形態の開梱装置1では、梱包体80の側面への刃先63の挿入角度θが約45度であるものとして説明したが、梱包体80の側面への刃先63の挿入角度θは、上述の効果を奏するものである限り、適宜に変更可能である。例えば、図6に示したように、刃部60に刃62の設置角度を変化させるためのレール66が設けられることによって、梱包体80の側面への刃先63の挿入角度θを0度から45度の間で適宜に調整することができてもよい。梱包体80に格納される物品の位置関係に対応させ、側面の切断中に刃先63の角度を随時変更することもできる。
【0032】
また、本実施形態の開梱装置1では、梱包体80の側面に対して刃先63を挿入する長さ、すなわち、梱包体80の側面への刃先63の挿入量を適宜に変更することができる。上述したように、梱包体80に格納される物品の位置関係に対応させ、刃先63の挿入量も変更することができる。この場合は、梱包体80の物品を傷つけたくない箇所は挿入量を減らし、側面が切断しやすいように挿入量を増やすことができ、格納された物品と梱包体80の天面の除去効率を調整することができる。
【0033】
前述したように、刃部60は、刃保持部40と第一の弾性体41で接続されている。また、刃部60は、刃保持部40の第一の軸部42の回転軸を中心に、水平方向に回転することができる。そのため、ガイド65が梱包体80の側面に接触する際の反力によって刃部60が刃保持部40の第一の軸部42を中心に回転すると、刃部60は、第一の弾性体41によって付勢されて、移動方向と直交する方向に対して傾く。すなわち、刃先63は、第一の弾性体41により傾く。これにより、刃62への負担が軽減され、刃62の摩耗を軽減または抑制することができる。また、これにより、梱包体80の側面を切断する際に生じる切粉の量を減少させることができる。
【0034】
前述したように、刃先63が梱包体80の側面を貫通した状態でロボット10が動作すると、ロボット10の先端に固定された刃保持部40は、梱包体80の上面と、梱包体80の各側面との接続箇所である梱包体80の角部に沿って略水平方向に移動する。すなわち、刃保持部40は、梱包体80の上面の各辺、言い換えると、上面の外縁に沿って梱包体80の上面の周囲の空間を移動するとともに、梱包体80の各側面に沿って略水平方向に移動する。このとき、刃部60は、刃保持部40に追従して略水平方向に移動する。これにより、刃先63が梱包体80の側面を貫通した状態で略水平方向に移動して、梱包体80の側面を略水平方向に切断する。このときに刃先63が移動するコース、すなわち、刃先63の軌跡を図8に示す。図8は、梱包体80切断時の刃先63の軌跡を例示する模式図である。前述したように、刃先63は、移動先として設定されている三次元直交座標系における複数の点に対して、指定された順番に移動する。図8の軌跡は、図1の状態から刃先63が切断開始点200に向かう。その際に、刃先63は、切断開始点200までに軌跡点210を通過する。その後、切断開始点200を通過した刃先63は、第一側面80aを切断しながら、軌跡点220aに向かう。刃先63は軌跡点220aを通過すると、次に軌跡点220bに円弧を描くように旋回しながら第一側面80aから第二側面80bに刃先63を挿入しながら進行する。その後、刃先63は、他の側面を切断しつつ、第四側面80dの軌跡点230に到達すると、第四側面80dから第一側面80aに向かって円弧を描きながら切断開始点200を通過し、第四側面80dと第一側面80aとが接続される辺を切断する。切断開始点200をスタートとゴールとするように刃先63を走査することによって梱包体80の4つの側面を切断する。このように梱包体80を切断する前に、刃先63を通過させる軌跡を設定する。すなわち、三次元直交座標系において刃先63の移動先として設定された複数の点が、そのまま刃先63の通過ポイントとなる。図8に示したように、これらの点は、いずれも梱包体80の側壁よりも内側に設定されている。そして、刃保持部40が梱包体80の上面の角部の周辺を移動する際、すなわち、梱包体80の側面同士が接合する角部の周辺を移動する際の刃部60の刃先63と梱包体80への刃先63挿入位置との距離が、梱包体80の上面の辺を移動する際、すなわち、梱包体の側面に沿って移動する際の刃部60の刃先63と梱包体80への刃先63挿入位置との距離より長い。すなわち、梱包体80の角部で刃62が梱包体80のより内側を通る。これにより、開梱装置1は、梱包体80の角部を旋回して切断する際、刃部60を内側に押し付けるように通過させることにより、角部の切断が可能となる。その結果、梱包体80の切断時間が短縮され、また梱包体80の切断時に生じる切粉の量を減らすことができる。また、刃先63が円弧状を描きながら切断する面を第一側面80aから第二側面80bに切り替える際に、ガイド65の上面部65aが梱包体80の上面に接触した状態で走査するためスムーズに切断面を切り替えることができる。つまり、切断面の切り替えごとに高さ調整を行う必要がなく刃先63を走査させることができる。さらに、刃先63を通過させる軌跡を設定する際、ガイド65の側面部65bが梱包体80の側面に接触するように軌跡を設定してもよい。これにより、伸張された第一の弾性体41が戻ろうとする力が加えられることにより、梱包体80の側面に向かって側面部65bが押し付けられる。これにより、刃62は、梱包体80の側面部から離れずに押し付けられるため、刃62が梱包体80の側面部を切断することが可能となる。
【0035】
さらに、刃保持部40は、刃部60が切断開始位置に再び到達するまで刃部60が梱包体80に接触しつづけるよう梱包体80の第一面(上面)の周囲の空間を移動する。すなわち、開梱装置1は、図8に示したように、一筆書きで梱包体80を切断する。これにより、梱包体80の側面同士が接合する角部の切断が可能となる。その結果、開梱装置1は、一筆書きでの梱包体80の切断が可能となり、切断開始の位置合わせが1回で完了するため、梱包体80の四つの側面を一面ずつ切断する場合と比較して、切断時間が短縮することができる。つまり、例えば、一面ずつ切断する場合は、刃先63を、刃先63が第一側面80aから離れた位置と、第二側面80bを切断開始する位置を合わせる必要が生じるが、本発明は、刃先63が切断する面が第一側面80aから第二側面80bに変わる場合に刃先63が挿入され続けているため、切断する側面が変わるごとに刃先63を挿入する位置の調整を行う工程が減るということである。刃先63の抜き差しや、切断面ごとに刃先63の挿入位置の調整を行わないため、切粉の発生も低減させることができる。
【0036】
なお、梱包体80の側面を切断する際の好ましい順番は、図8に示したように、ロボット10の設置されている位置に対して手前側の側面の、梱包体80が載置されたベルトコンベア装置の搬送ベルトの上手方向、言い換えると、梱包体80の搬送元方向の端部を切断開始位置として、X軸方向、言い換えると、梱包体80の第一側面80aに向けて当該端部を切断し、角部に達すると当該角部を旋回しながら上記の要領で側面同士が接合している角部を切断して、次の側面を切断し、以後同様にして梱包体80の周囲を一周した末に、切断開始位置まで略水平方向に梱包体80の側面を切断して、上述したように、梱包体80の側面を一筆書きで切断する、というものである。また、切断開始位置として、梱包体80の面が結着されている端部を選択してもよい。これにより、切断時に発生し得る、ガイド65と梱包体80の面の結着部との接触による梱包体80の歪みや傷を抑制することができる。
【0037】
以上説明した本発明の実施形態によれば、以下のような作用効果を奏する。
【0038】
(1)開梱装置1は、梱包体80を開梱する装置であって、ロボット10と、ロボット10の先端に取り付けられたカッターハンド20とを備える。カッターハンド20は、梱包体80を切断するための刃62を含む刃部60と、刃部60を保持する刃保持部40とを有する。刃保持部40は、刃部60を梱包体80に接触させながら刃保持部40の第一の軸部42の軸方向である第一方向(鉛直方向)に非平行な第二方向と、第二方向に直交する第三方向との両方に広がる梱包体80の第一面(上面)の周囲の空間を移動する。刃保持部40が第一面の角部を移動する際の刃部60の刃先63と梱包体80への刃先63挿入位置との距離が、第一面の辺を移動する際の刃部60の刃先63と梱包体80への刃先63挿入位置との距離より長い。すなわち、梱包体80の角部で刃62が梱包体80のより内側を通る。このようにしたので、開梱装置1は、梱包体80の角部を旋回して切断する際、刃部60を内側に押し付けるように通過させることにより、角部の切断が可能となる。その結果、梱包体80の切断時間が短縮され、また梱包体80の切断時に生じる切粉の量を減らすことができる。
【0039】
(2)刃部60は、梱包体80の面に沿って移動可能であるガイド65を備える。また、刃部60は、刃保持部40と第一の弾性体41で接続されている。さらに、刃部60は、第一方向を軸方向とする刃保持部40の第一の軸部42を中心に回転可能である。刃保持部40は、梱包体80にガイド65を接触させながら移動する。このようにしたので、ガイド65が梱包体80の側面に接触する際の反力により刃部60が刃保持部40の軸を中心に回転することで、刃部60が移動方向と直交する方向に対して傾く。すなわち、弾性体41により刃先63が傾く。このようにしたので、開梱装置1は、刃62への負担が軽減されて、刃62の摩耗を抑制することができる。また、開梱装置1は、梱包体80の側面を切断する際に生じる切粉の量を減少させることができる。
【0040】
(3)ガイド65は、切断時の移動方向が長く形成されている。このようにしたので、梱包体80の切断時に、梱包体80の切断面の歪の影響が小さくなる。その結果、開梱装置1は、梱包体80の側面を安定して切断することができる。
【0041】
(4)刃保持部40は、刃部60が切断開始位置に再び到達するまで刃部60が梱包体80に接触しつづけるよう梱包体80の第一面(上面)の周囲の空間を移動する。すなわち、開梱装置1は、一筆書きで梱包体80を切断する。このようにしたので、梱包体80の側面同士が接合する角部の切断が可能となる。その結果、開梱装置1は、一筆書きでの梱包体80の切断が可能となり、切断開始の位置合わせが1回で完了するため、梱包体80の四つの側面を一面ずつ切断する場合と比較して、切断時間が短縮することができる。
【0042】
(5)刃部60は、第一面(上面)に接続する梱包体80の他の面(側面)から挿入され、刃部60の刃先63が第一面に向いた状態で梱包体80を切断する。すなわち、開梱装置1は、梱包体80の側面から梱包体80の内部へ刃先63を傾けて挿入する。このとき、梱包体80の側面から挿入された刃先63は、梱包体80の内部において梱包体80の上面を向いているため、開梱装置1は、梱包体80の内部に収容されている物品を傷つけることがない。
【0043】
(6)刃保持部40は、鉛直方向に伸縮可能に取り付けられた第二の弾性体43を備える。すなわち、刃保持部40は、鉛直方向に弾性体43が取り付けられている。このようにしたので、開梱装置1は、梱包体80の切断時に、梱包体80の形状の垂直方向の歪に適宜に追従して、梱包体80の切断を安定させることができる。
【0044】
(7)刃62は、超音波カッターである、このようにしたので、開梱装置1は、梱包体80の切断に伴う刃62の摩耗が少ない。また、開梱装置1は、梱包体80の側面を切断する際に生じる切粉の量が少ない。
【0045】
(8)刃保持部40は、ロボット10に接続され、ロボット10の動作により移動する。すなわち、刃保持部40がロボット10に接続され動作する。このようにしたので、開梱装置1は、人手によらず自動的に梱包体80の開梱を行うことができる。
【0046】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内で、任意の構成要素を用いて実施可能である。
【0047】
例えば、開梱作業のさらなる自動化を促進するために、開梱装置1にセンサが取り付けられることによって、梱包体80の大きさや、梱包体80の角部の位置を検出することができてもよい。
【0048】
また、例えば、開梱作業時に梱包体80を載置するベルトコンベア装置や作業台も開梱装置1と一体的に制御することができてもよい。その場合に、例えば、可動ストッパ92の動作も制御対象であってもよい。また例えば、梱包体80の歪を吸収するために、ベルトコンベア装置や作業台における梱包体80の載置面90を上下させることによって、梱包体80の側面の切断位置の高さを適宜に調整して、鉛直方向における刃62の位置を動かさずに梱包体80の側面を略水平方向に安定して切断することができてもよい。
【0049】
上記の実施形態や変形例はあくまで一例であり、発明の特徴が損なわれない限り、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。また、上記では種々の実施形態や変形例を説明したが、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の態様も本発明の範囲内に含まれる。
【符号の説明】
【0050】
1:開梱装置
10:ロボット
20:カッターハンド
40:刃保持部
41:第一の弾性体
42:第一の軸部
43:第二の弾性体
60:刃部
61:第二の軸部
62:刃(超音波カッター)
63:刃先
64:カッターホルダー
65:ガイド
80:梱包体(段ボール箱)
90:載置面
91:固定ストッパ
92:可動ストッパ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8