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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024024515
(43)【公開日】2024-02-22
(54)【発明の名称】ゴムクローラ及び芯金
(51)【国際特許分類】
   B62D 55/253 20060101AFI20240215BHJP
【FI】
B62D55/253 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022127408
(22)【出願日】2022-08-09
(71)【出願人】
【識別番号】000005278
【氏名又は名称】株式会社ブリヂストン
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100186015
【弁理士】
【氏名又は名称】小松 靖之
(74)【代理人】
【識別番号】100174023
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 怜愛
(72)【発明者】
【氏名】水澤 崇
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ゴムクローラがスプロケット等の周りで曲がる際、隣り合う芯金の突起部どうしの間のクリアランスを拡大できるゴムクローラ及び芯金を提供する。
【解決手段】各芯金の一対の第1突起部は、各々当該芯金にクローラ周方向第1側に隣接する他の芯金の一対の第2突起部とクローラ幅方向に対向し、各芯金の一対の第1突起部のうちの少なくともクローラ幅方向第1側の第1突起部は、クローラ幅方向両側の表面のうち他の芯金の第2突起部と対向するほうの表面に第1凹部を有し、第1凹部はクローラ周方向における第1突起部の先端側の端がクローラ周方向において第1突起部の先端よりも根元側に位置し、第1凹部は少なくともクローラ周方向における第1突起部の先端側の端を含む部分において根元側へ向かうほどクローラ幅方向の長さが長くなり、第1凹部はクローラ内周側が開放しているとともにクローラ外周側が閉鎖しており略三角柱形状をなしている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴムから構成された無端状のクローラ本体と、
前記クローラ本体に埋設され、クローラ周方向に沿って配列された、複数の芯金と、
を備えた、ゴムクローラであって、
各前記芯金は、
クローラ幅方向に延在するベース部と、
前記ベース部からクローラ内周側へ延在する一対の角部と、
前記ベース部からクローラ周方向第1側へ延在する一対の第1突起部と、
前記ベース部からクローラ周方向第2側へ延在する一対の第2突起部と、
を備え、
各前記芯金の前記一対の第1突起部は、それぞれ、当該芯金に前記クローラ周方向第1側に隣接する他の前記芯金の前記一対の第2突起部と、クローラ幅方向に対向しており、
各前記芯金の前記一対の第1突起部のうちの少なくともクローラ幅方向第1側の第1突起部は、クローラ幅方向両側の表面のうち、他の前記芯金の前記第2突起部と対向するほうの表面に、第1凹部を有し、
前記第1凹部は、前記第1凹部のクローラ周方向における前記第1突起部の先端側の端が、クローラ周方向において、前記第1突起部の先端よりも前記第1突起部の根元側に位置しており、
前記第1凹部は、少なくともクローラ周方向における前記第1突起部の先端側の端を含む部分において、クローラ周方向において前記第1突起部の根元側へ向かうほど、クローラ幅方向の長さが長くなり、
前記第1凹部は、クローラ内周側が開放しているとともに、クローラ外周側が閉鎖しており、
前記第1凹部は、略三角柱形状をなしている、ゴムクローラ。
【請求項2】
前記第1凹部は、クローラ周方向における前記第1突起部の根元側へ向かうほど、クローラ厚さ方向の長さが長くなる、請求項1に記載のゴムクローラ。
【請求項3】
各前記芯金の前記一対の第2突起部のうちの少なくともクローラ幅方向第2側の第2突起部は、クローラ幅方向両側の表面のうち、他の前記芯金の前記第1突起部と対向するほうの表面に、第2凹部を有し、
前記第2凹部は、前記第2凹部のクローラ周方向における前記第2突起部の先端側の端が、クローラ周方向において、前記第2突起部の先端よりも前記第2突起部の根元側に位置しており、
前記第2凹部は、少なくともクローラ周方向における前記第2突起部の先端側の端を含む部分において、クローラ周方向において前記第2突起部の根元側へ向かうほど、クローラ幅方向の長さが長くなり、
前記第2凹部は、クローラ内周側が開放しているとともに、クローラ外周側が閉鎖しており、
前記第2凹部は、略三角柱形状をなしている、請求項1に記載のゴムクローラ。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載のゴムクローラに用いられる前記芯金。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴムクローラ及び芯金に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のゴムクローラとして、横ずれの防止等を目的として、芯金がクローラ幅方向に延在するベース部からクローラ周方向に延在する突起部を備えたものがある(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-212741号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のゴムクローラにおいては、スプロケット等の周りで曲がる際に、芯金どうしが近づいて、隣り合う芯金の突起部どうしの間のクリアランス(隙間)が狭くなりすぎる結果、ゴムクローラの曲げ剛性が高くなりすぎて、ひいては、回転体に巻き付きにくくなって駆動力のロスが大きくなる等のおそれがあった。
【0005】
本発明は、ゴムクローラがスプロケット等の周りで曲がる際における、隣り合う芯金の突起部どうしの間のクリアランスを拡大できる、ゴムクローラ及び芯金を、提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
〔1〕ゴムから構成された無端状のクローラ本体と、
前記クローラ本体に埋設され、クローラ周方向に沿って配列された、複数の芯金と、
を備えた、ゴムクローラであって、
各前記芯金は、
クローラ幅方向に延在するベース部と、
前記ベース部からクローラ内周側へ延在する一対の角部と、
前記ベース部からクローラ周方向第1側へ延在する一対の第1突起部と、
前記ベース部からクローラ周方向第2側へ延在する一対の第2突起部と、
を備え、
各前記芯金の前記一対の第1突起部は、それぞれ、当該芯金に前記クローラ周方向第1側に隣接する他の前記芯金の前記一対の第2突起部と、クローラ幅方向に対向しており、
各前記芯金の前記一対の第1突起部のうちの少なくともクローラ幅方向第1側の第1突起部は、クローラ幅方向両側の表面のうち、他の前記芯金の前記第2突起部と対向するほうの表面に、第1凹部を有し、
前記第1凹部は、前記第1凹部のクローラ周方向における前記第1突起部の先端側の端が、クローラ周方向において、前記第1突起部の先端よりも前記第1突起部の根元側に位置しており、
前記第1凹部は、少なくともクローラ周方向における前記第1突起部の先端側の端を含む部分において、クローラ周方向において前記第1突起部の根元側へ向かうほど、クローラ幅方向の長さが長くなり、
前記第1凹部は、クローラ内周側が開放しているとともに、クローラ外周側が閉鎖しており、
前記第1凹部は、略三角柱形状をなしている、ゴムクローラ。
これにより、ゴムクローラがスプロケット等の周りで曲がる際における、隣り合う芯金の突起部どうしの間のクリアランスを拡大できる。
【0007】
〔2〕前記第1凹部は、クローラ周方向における前記第1突起部の根元側へ向かうほど、クローラ厚さ方向の長さが長くなる、〔1〕に記載のゴムクローラ。
これにより、ゴムクローラがスプロケット等の周りで曲がる際における、隣り合う芯金の突起部どうしの間のクリアランスを拡大しつつ、突起部の剛性の低下を抑制できる。
【0008】
〔3〕各前記芯金の前記一対の第2突起部のうちの少なくともクローラ幅方向第2側の第2突起部は、クローラ幅方向両側の表面のうち、他の前記芯金の前記第1突起部と対向するほうの表面に、第2凹部を有し、
前記第2凹部は、前記第2凹部のクローラ周方向における前記第2突起部の先端側の端が、クローラ周方向において、前記第2突起部の先端よりも前記第2突起部の根元側に位置しており、
前記第2凹部は、少なくともクローラ周方向における前記第2突起部の先端側の端を含む部分において、クローラ周方向において前記第2突起部の根元側へ向かうほど、クローラ幅方向の長さが長くなり、
前記第2凹部は、クローラ内周側が開放しているとともに、クローラ外周側が閉鎖しており、
前記第2凹部は、略三角柱形状をなしている、〔1〕又は〔2〕に記載のゴムクローラ。
これにより、ゴムクローラがスプロケット等の周りで曲がる際における、隣り合う芯金の突起部どうしの間のクリアランスをより拡大できる。
【0009】
〔4〕上記〔1〕~〔3〕のいずれか1つに記載のゴムクローラに用いられる前記芯金。
これにより、ゴムクローラがスプロケット等の周りで曲がる際における、隣り合う芯金の突起部どうしの間のクリアランスを拡大できる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ゴムクローラがスプロケット等の周りで曲がる際における、隣り合う芯金の突起部どうしの間のクリアランスを拡大できる、ゴムクローラ及び芯金を、提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態に係るゴムクローラをクローラ内周側から見た様子を示す、概略図である。
図2図1のゴムクローラを、図1のA-A線に沿う断面により示す、A-A断面図である。
図3図1のゴムクローラが平坦状態にあるときにおける、隣り合う複数の芯金を示す、斜視図である。
図4図3に示す複数の芯金を、図3のB-B線に沿う断面により示す、B-B断面図である。
図5図3に示す芯金を第1突起部側から見た様子を示す、斜視図である。
図6図6(a)は図5に示す第1突起部の拡大図であり、図6(b)は図5の第1突起部をC矢印の方向に見た様子を示すC矢視図であり、図6(c)は図5の第1突起部をD矢印の方向に見た様子を示すD矢視図である。
図7図3に示す芯金を第2突起部側から見た様子を示す、斜視図である。
図8図8(a)は図7に示す第2突起部の拡大図であり、図8(b)は図7の第2突起部をE矢印の方向に見た様子を示すE矢視図であり、図8(c)は図7の第2突起部をF矢印の方向に見た様子を示すF矢視図である。
図9図1のゴムクローラがスプロケット等の周りで曲がる際における、隣り合う複数の芯金を示す、斜視図である。
図10図9に示す複数の芯金をG矢印の方向に見た様子を示すG矢視図である。
図11図4に対応する図面であり、本発明の一変形例に係るゴムクローラを説明するための図面である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明のゴムクローラは、例えば建設機械(ミニショベル等)や農業機械(トラクター、コンバイン等)等の任意の走行機械の足回り部に装着されると好適なものである。
以下、本発明に係るゴムクローラ及び芯金の実施形態について、図面を参照しながら例示説明する。
各図において共通する構成要素には同一の符号を付している。
【0013】
図1は、本発明の一実施形態に係るゴムクローラ1をクローラ内周側から見た様子を示す、概略図である。図2は、図1のゴムクローラ1を、図1のA-A線に沿う断面により示す、A-A断面図である。図1のA-A線は、クローラ幅方向に沿って延在している。
ゴムクローラ1は、建設機械(ミニショベル等)や農業機械(トラクター、コンバイン等)等の走行機械の足回り部に装着されると好適である。図示は省略するが、走行機械の足回り部は、駆動輪であるスプロケットと、従動輪である1つ又は複数のアイドラーと、1つ又は複数の転輪と、を備える。スプロケットは、その外周側に、複数のピンを有している。
【0014】
図1図2に示すように、本実施形態に係るゴムクローラ1は、クローラ本体12と、複数のラグ14と、1層又は複数層の芯体層15と、複数の本発明の一実施形態に係る芯金13と、を備えている。このように、本実施形態に係る芯金13は、本実施形態に係るゴムクローラ1に用いられている。
【0015】
クローラ本体12は、無端状(環状)に構成されている。クローラ本体12は、帯状に構成されている。クローラ本体12は、ゴムから構成されている。
【0016】
本明細書において、「クローラ内周側IS」、「クローラ外周側OS」、「クローラ周方向CD」、「クローラ幅方向WD」、「クローラ厚さ方向TD」とは、各図において矢印で示すように、クローラ本体12における内周側、外周側、周方向、幅方向、厚さ方向を、それぞれ指している。
また、各図において矢印で示すように、本明細書では、クローラ周方向CDにおける一方側を「クローラ周方向第1側CD1」といい、クローラ周方向CDにおける他方側を「クローラ周方向第2側CD2」という。また、各図において矢印で示すように、本明細書では、クローラ幅方向WDにおける一方側を「クローラ幅方向第1側WD1」といい、クローラ幅方向WDにおける他方側を「クローラ幅方向第2側WD2」という。
また、本明細書において、「クローラ幅方向WD外側」とは、クローラ幅方向WDにおいて、クローラ本体12のクローラ幅方向WDの中心から遠い側を指し、「クローラ幅方向WD内側」とは、クローラ幅方向WDにおいて、クローラ本体12のクローラ幅方向WDの中心に近い側を指す。
走行機械の走行時におけるゴムクローラ1の回転方向は、クローラ周方向第1側CD1であってもよいし、クローラ周方向第2側CD2であってもよい。
【0017】
ゴムクローラ1が備える複数のラグ14は、それぞれクローラ本体12の外周面122からクローラ外周側OSへ突出している。ラグ14の形状や配置は、任意でよい。ラグ14のクローラ外周側OSの端面は、路面と接地するように構成されている。ラグ14は、ゴムから構成されている。
【0018】
芯体層15は、本実施形態において、クローラ幅方向WDに沿って配列された複数のコード15Cを有している。これらのコード15Cは、それぞれ、クローラ周方向CDに沿って全周にわたって延在している。芯体層15は、クローラ本体12の内部に埋設されている。ゴムクローラ1は、芯体層15を、図2の例のようにクローラ厚さ方向TDにおける1個所のみに備えていてもよい(この場合、芯体層15の層数は1層となる。)し、あるいは、クローラ厚さ方向TDにおける複数個所に備えていてもよい(この場合、芯体層15の層数は複数層となる。)。
芯体層15は、クローラ本体12がクローラ周方向CDに伸びるのを抑制する機能を有する。
コード15Cは、例えば、金属(例えば、スチール)から構成される。
【0019】
図3は、図1のゴムクローラ1が平坦状態にあるときにおける、隣り合う複数の芯金13を示す、斜視図である。ここで、「ゴムクローラ1が平坦状態にあるとき」とは、ゴムクローラ1のクローラ周方向CDの一部分のみを見たときに、当該部分が、スプロケット等の周りで巻きかけられて曲がった状態にはなく、平坦になっている状態にあるときを指す。図4は、図3に示す複数の芯金13を、図3のB-B線に沿う断面により示す、B-B断面図である。図4は、図3に示す各芯金13を、それらの角部13Cの根元近傍で切断して、クローラ内周側ISから見た様子に相当する。
図1図3図4に示すように、ゴムクローラ1が備える複数の芯金13は、クローラ周方向CDに沿って配列されている。
芯金13は、金属(例えば、鉄又はスチール)から構成されている。
芯金13は、その少なくとも一部が、クローラ本体12の内部に埋設されている。芯金13は、芯体層15よりもクローラ内周側ISに配置されている(図2)。
【0020】
図5図7は、本実施形態の芯金13を単体でそれぞれ別々のアングルから示している。
各芯金13どうしの構成は同様である。以下では、芯金13について説明する場合、各芯金13それぞれについて説明しているものとする。
図3図4図5図7に示すように、芯金13は、ベース部13Bと、一対の角部13Cと、一対の第1突起部(突起部)13P1と、一対の第2突起部(突起部)13P2と、を備えている。
【0021】
ベース部13Bは、クローラ幅方向WDに延在している。ベース部13Bは、本実施形態において、略板状に構成されている。本実施形態において、ベース部13Bは、図4に示すように、クローラ内周側ISからみたときに、クローラ幅方向WDを長手方向とする略長方形をなしている。ただし、ベース部13Bは、本実施形態とは異なる他の形状であってもよい。
【0022】
一対の角部13Cは、それぞれ、ベース部13Bから、クローラ内周側ISへ延在している。角部13Cは、その一部又は全部が、クローラ本体12の内周面121よりもクローラ内周側ISへ突出している(図2)。一対の角部13Cどうしは、クローラ幅方向WDに互いから離間している。一対の角部13Cは、ベース部13Bのクローラ幅方向WDの中心に対する両側にそれぞれ位置している。
芯金13の一対の角部13Cは、ゴムを介さずに又はゴムを介して、走行機械の足回り部の各回転体(スプロケット、アイドラー、転輪)のクローラ幅方向WDの移動を規制し、それにより脱輪を抑制する、ガイドとしての機能を、有している。
本実施形態において、一対の角部13Cの頂面13Ca(クローラ内周側ISの端面)は、転輪がその上を通過するように構成されている。ただし、転輪は、一対の角部13Cの頂面13Caではなく、例えば、一対の角部13Cのクローラ幅方向WD外側を走行するようにされていてもよい。
【0023】
ベース部13Bのうち、一対の角部13Cどうしを連結する部分は、中央部13Bcである。ベース部13Bのうち、一対の角部13Cよりもクローラ幅方向WD外側の部分は、一対の翼部13Bwである。
芯金13のベース部13Bの中央部13Bcは、ゴムを介さずに又はゴムを介して、スプロケットのピンと係合することにより、スプロケットからの駆動力をゴムクローラ1に伝える機能を、有している。
【0024】
芯金13のベース部13Bは、その全部がクローラ本体12によって覆われていてもよいし、あるいは、その一部(例えば、中央部13Bc)がクローラ本体12によって覆われずに外部に露出していてもよい。
芯金13の角部13Cのうち、クローラ本体12の内周面121よりもクローラ内周側ISへ突出した部分は、その一部又は全部において、膜状の被覆ゴムによって覆われていてもよいし、あるいは、膜状の被覆ゴムによって覆われずに外部に露出していてもよい。
【0025】
図1図3に示すように、クローラ周方向CDにおいて隣り合う芯金13の中央部13Bcどうしの間には、穴16が形成されている。穴16は、クローラ外周側へ向かって窪んでいる。穴16は、スプロケットのピンが入り込むことができるように構成されている。これにより、スプロケットのピンは、穴16に入り込んだ状態で芯金13の中央部13Bcと係合することができ、ひいては、駆動力をゴムクローラ1に伝えることができるようにされている。
穴16は、クローラ本体12をクローラ厚さ方向TDに貫通する、無底の穴(貫通穴)として構成されてもよいし、あるいは、クローラ本体12をクローラ厚さ方向TDに貫通しない、有底の穴(窪み)として構成されてもよい。
【0026】
図3図5に示すように、一対の第1突起部13P1は、それぞれ、ベース部13Bから、クローラ周方向第1側CD1へ延在している。一対の第1突起部13P1どうしは、クローラ幅方向WDに互いから離間している。一対の第1突起部13P1は、ベース部13Bのクローラ幅方向WDの中心に対する両側にそれぞれ位置している。一対の第1突起部13P1は、クローラ幅方向WDにおいて、一対の角部13Cの近傍に位置している。一対の第1突起部13P1どうしの間には、穴16が形成されている。
図3図4図7に示すように、一対の第2突起部13P2は、それぞれ、ベース部13Bから、クローラ周方向第2側CD2へ延在している。一対の第2突起部13P2どうしは、クローラ幅方向WDに互いから離間している。一対の第2突起部13P2は、ベース部13Bのクローラ幅方向WDの中心に対する両側にそれぞれ位置している。一対の第2突起部13P2は、クローラ幅方向WDにおいて、一対の角部13Cの近傍に位置している。一対の第2突起部13P2どうしの間には、穴16が形成されている。
図3図4に示すように、各芯金13の一対の第1突起部13P1は、それぞれ、当該芯金13にクローラ周方向第1側CD1に隣接する他の芯金13の一対の第2突起部13P2と、クローラ幅方向WDに対向している。これにより、互いに隣接する芯金13どうしがクローラ幅方向WDに相対移動した際において、各芯金13の一対の第1突起部13P1と、当該芯金13にクローラ周方向第1側CD1に隣接する他の芯金13の一対の第2突起部13P2とは、互いに係合(干渉)することによって互いのクローラ幅方向WDの移動を規制し、それにより、各芯金13どうしのクローラ幅方向WDのずれ(横ずれ)を防止し、ひいては、ゴムクローラ1の剛性の向上、脱輪の抑制等を可能にしている。
【0027】
図3図4に示すように、本実施形態において、芯金13の一対の第1突起部13P1は、当該芯金13にクローラ周方向第1側CD1に隣接する他の芯金13の一対の第2突起部13P2よりも、クローラ幅方向WD外側に位置している。
ただし、芯金13の一対の第1突起部13P1は、当該芯金13にクローラ周方向第1側CD1に隣接する他の芯金13の一対の第2突起部13P2に対して、任意のクローラ幅方向WDの位置関係にあってよい。
【0028】
図4に示すように、ゴムクローラ1が平坦状態にあるときにおいて、芯金13の一対の第1突起部13P1と、当該芯金13にクローラ周方向第1側CD1に隣接する他の芯金13の一対の第2突起部13P2との間には、クリアランス(隙間)gが存在する。
【0029】
第1突起部13P1と第2突起部13P2とは、基本的に似た構成を有している。以下の説明では、便宜のため、これらを併せて説明する。
【0030】
図3図5に示すように、本実施形態において、芯金13の一対の第1突起部13P1は、それぞれ、クローラ幅方向WD両側の表面のうち、隣接する他の芯金13の第2突起部13P2と対向するほうの表面(本実施形態では、クローラ幅方向WD内側の表面)13P1aに、第1凹部R1を有している。
図3図4図7に示すように、本実施形態において、各芯金13の一対の第2突起部13P2は、それぞれ、クローラ幅方向WD両側の表面のうち、隣接する他の芯金13の第1突起部13P1と対向するほうの表面(本実施形態では、クローラ幅方向WD外側の表面)13P2aに、第2凹部R2を有している。
【0031】
図9は、本実施形態のゴムクローラ1がスプロケット等の周りで曲がる際における、隣り合う複数の芯金13を示す、斜視図である。ここで、「ゴムクローラ1がスプロケット等の周りで曲がる際」とは、ゴムクローラ1のクローラ周方向CDの一部のみを見たときに、当該部分が、スプロケットやアイドラーの周りで巻きかけられて曲がった状態にあるときを指す。図10は、図9に示す複数の芯金13をG矢印の方向に見た様子を示すG矢視図である。
芯金13は芯体層15よりもクローラ内周側ISにあるため、図9に示すように、ゴムクローラ1がスプロケットやアイドラーの周りで曲がる際には、隣り合う芯金13どうしが近づく。これに伴い、隣り合う芯金13の第1突起部13P1及び第2突起部13P2どうしの間のクリアランスgが狭くなる。しかし、本実施形態では、第1突起部13P1及び第2突起部13P2が互いに対向する表面13P1a、13P2aにそれぞれ第1凹部R1、第2凹部R2を有しており、第1凹部R1及び第2凹部R2どうしが対向することとなるので、図10に示すように、仮に第1凹部R1、第2凹部R2が無い場合(すなわち、略平坦な面どうしが対向する場合)に比べて、ゴムクローラ1がスプロケット等の周りで曲がる際における当該クリアランスgを拡大でき、ゴムクローラ1がスプロケット等の周りで曲がる際に第1突起部13P1及び第2突起部13P2どうしが接触(干渉)するおそれを低減できる。よって、ゴムクローラ1がスプロケット等の周りで曲がる際において、ゴムクローラ1の曲げ剛性が高くなりすぎるのを抑制でき、ひいては、ゴムクローラ1がスプロケット等に巻き付きにくくなって駆動力のロスが大きくなる等のおそれを低減できる。
【0032】
図6(a)は図5に示す第1突起部13P1の拡大図であり、図6(b)は図5の第1突起部13P1をC矢印の方向に見た様子を示すC矢視図であり、図6(c)は図5の第1突起部13P1をD矢印の方向に見た様子を示すD矢視図である。
図6に示すように、本実施形態において、第1突起部13P1は、クローラ幅方向WD両側の表面のうち、隣接する他の芯金13の第2突起部13P2と対向するほうの表面(本実施形態では、クローラ幅方向WD内側の表面)13P1aに、クローラ内周側ISを向く第1区画面R11と、クローラ幅方向WD両側のうち他の芯金13の第2突起部13P2と対向する側(本実施形態では、クローラ幅方向WD内側)を向く第2区画面R12と、クローラ周方向第1側CD1を向く第3区画面R13と、を有している。そして、第1凹部R1は、第1区画面R11と、第2区画面R12と、第3区画面R13と、第1凹部R1における、第1突起部13P1のクローラ幅方向WD両側の表面のうち、他の芯金13の第2突起部13P2と対向するほうの表面(本実施形態では、クローラ幅方向WD内側の表面)13P1aへの開口面と、第1凹部R1における第1突起部13P1のクローラ内周側ISの表面への開口面と、によって区画されている。
図8(a)は図7に示す第2突起部13P2の拡大図であり、図8(b)は図7の第2突起部13P2をE矢印の方向に見た様子を示すE矢視図であり、図8(c)は図7の第2突起部13P2をF矢印の方向に見た様子を示すF矢視図である。
図8に示すように、本実施形態において、第2突起部13P2は、クローラ幅方向WD両側の表面のうち、隣接する他の芯金13の第1突起部13P1と対向するほうの表面(本実施形態では、クローラ幅方向WD外側の表面)13P2aに、クローラ内周側ISを向く第1区画面R21と、クローラ幅方向WD両側のうち他の芯金13の第1突起部13P1と対向する側(本実施形態では、クローラ幅方向WD外側)を向く第2区画面R22と、クローラ周方向第2側CD2を向く第3区画面R23と、を有している。そして、第2凹部R2は、第1区画面R21と、第2区画面R22と、第3区画面R23と、第2凹部R2における、第2突起部13P2のクローラ幅方向WD両側の表面のうち、他の芯金13の第1突起部13P1と対向するほうの表面(本実施形態では、クローラ幅方向WD外側の表面)13P2aへの開口面と、第2凹部R2における第2突起部13P2のクローラ内周側ISの表面への開口面と、によって区画されている。
【0033】
図6に示すように、第1凹部R1は、第1凹部R1のクローラ周方向CDにおける第1突起部13P1の先端13P1t側の端R1tが、クローラ周方向CDにおいて、第1突起部13P1の先端13P1tよりも第1突起部13P1の根元13P1r側に位置していると、好適である。これにより、ゴムクローラ1がスプロケット等の周りで曲がる際において第1突起部13P1及び第2突起部13P2どうしが特に接触しやすい部分に第1凹部R1を配置し、第1突起部13P1及び第2突起部13P2どうしの接触を抑制できるとともに、互いに隣接する芯金13どうしがクローラ幅方向WDに相対移動した際における第1突起部13P1及び第2突起部13P2どうしの係合しやすさの低下及び第1突起部13P1の剛性の低下を抑制でき、ひいては、第1突起部13P1及び第2突起部13P2の本来の機能である横ずれ防止機能(ひいては脱輪防止機能)の低下を抑制できる。
ここで、「第1突起部13P1の先端13P1t」とは、第1突起部13P1のクローラ周方向第1側CD1の端を指す。よって、第1凹部R1の、「クローラ周方向CDにおける第1突起部13P1の先端13P1t側の端R1t」とは、第1凹部R1のクローラ周方向第1側CD1の端を指す。また、「第1突起部13P1の根元13P1r」とは、第1突起部13P1のクローラ周方向第2側CD2の端を指す。第1突起部13P1の根元13P1rは、ベース部13Bのクローラ周方向第1側CD1の端面に連結されている。
図8に示すように、第2凹部R2は、第2凹部R2のクローラ周方向CDにおける第2突起部13P2の先端13P2t側の端R2tが、クローラ周方向CDにおいて、第2突起部13P2の先端13P2tよりも第2突起部13P2の根元13P2r側に位置していると、好適である。これにより、ゴムクローラ1がスプロケット等の周りで曲がる際において第1突起部13P1及び第2突起部13P2どうしが特に接触しやすい部分に第2凹部R2を配置し、第1突起部13P1及び第2突起部13P2どうしの接触を抑制できるとともに、互いに隣接する芯金13どうしがクローラ幅方向WDに相対移動した際における第1突起部13P1及び第2突起部13P2どうしの係合しやすさの低下及び第2突起部13P2の剛性の低下を抑制でき、ひいては、第1突起部13P1及び第2突起部13P2の本来の機能である横ずれ防止機能(ひいては脱輪防止機能)の低下を抑制できる。
ここで、「第2突起部13P2の先端13P2t」とは、第2突起部13P2のクローラ周方向第2側CD2の端を指す。よって、第2凹部R2の、「クローラ周方向CDにおける第2突起部13P2の先端13P2t側の端R2t」とは、第2凹部R2のクローラ周方向第2側CD2の端を指す。また、「第2突起部13P2の根元13P2r」とは、第2突起部13P2のクローラ周方向第1側CD1の端を指す。第2突起部13P2の根元13P2rは、ベース部13Bのクローラ周方向第2側CD2の端面に連結されている。
なお、仮に、第1凹部R1のクローラ周方向CDにおける第1突起部13P1の先端13P1t側の端R1tが、クローラ周方向CDにおいて、第1突起部13P1の先端13P1tと同じ位置に位置している場合、第1突起部13P1の剛性が過度に低下するおそれがあり、また、ゴムクローラ1がスプロケット等の周りで曲がる際において互いに隣接する芯金13間に捻れが生じたとき等に第1突起部13P1及び第2突起部13P2どうしが不所望に噛みあいやすくなるおそれがある。
同様に、仮に、第2凹部R2のクローラ周方向CDにおける第2突起部13P2の先端13P2t側の端R2tが、クローラ周方向CDにおいて、第2突起部13P2の先端13P2tと同じ位置に位置している場合、第2突起部13P2の剛性が過度に低下するおそれがあり、また、ゴムクローラ1がスプロケット等の周りで曲がる際において互いに隣接する芯金13間に捻れが生じたとき等に第1突起部13P1及び第2突起部13P2どうしが不所望に噛みあいやすくなるおそれがある。
【0034】
図6(c)に示すように、第1凹部R1は、少なくともクローラ周方向CDにおける第1突起部13P1の先端13P1t側の端R1tを含む部分において、クローラ周方向CDにおいて第1突起部13P1の根元13P1r側へ向かうほど、クローラ幅方向WDの長さL1が長くなると、好適である。これにより、ゴムクローラ1がスプロケット等の周りで曲がる際において第1突起部13P1及び第2突起部13P2どうしが特に接触しやすい部分に第1凹部R1を配置し、第1突起部13P1及び第2突起部13P2どうしの接触を抑制できるとともに、互いに隣接する芯金13どうしがクローラ幅方向WDに相対移動した際における第1突起部13P1及び第2突起部13P2どうしの係合しやすさの低下及び第1突起部13P1の剛性の低下を抑制でき、ひいては、第1突起部13P1及び第2突起部13P2の本来の機能である横ずれ防止機能(ひいては脱輪防止機能)の低下を抑制できる。
図8(c)に示すように、第2凹部R2は、少なくともクローラ周方向CDにおける第2突起部13P2の先端13P2t側の端R2tを含む部分において、クローラ周方向CDにおいて第2突起部13P2の根元13P2r側へ向かうほど、クローラ幅方向WDの長さL2が長くなると、好適である。これにより、ゴムクローラ1がスプロケット等の周りで曲がる際において第1突起部13P1及び第2突起部13P2どうしが特に接触しやすい部分に第2凹部R2を配置し、第1突起部13P1及び第2突起部13P2どうしの接触を抑制できるとともに、互いに隣接する芯金13どうしがクローラ幅方向WDに相対移動した際における第1突起部13P1及び第2突起部13P2どうしの係合しやすさの低下及び第2突起部13P2の剛性の低下を抑制でき、ひいては、第1突起部13P1及び第2突起部13P2の本来の機能である横ずれ防止機能(ひいては脱輪防止機能)の低下を抑制できる。
【0035】
図6(a)及び図6(b)に示すように、第1凹部R1は、クローラ内周側ISが開放している(すなわち、第1突起部13P1のクローラ内周側ISの表面に開口している)とともに、クローラ外周側OSが閉鎖している(すなわち、第1突起部13P1のクローラ外周側OSの表面に開口していない)と、好適である。ゴムクローラ1がスプロケット等の周りで曲がる際において第1突起部13P1及び第2突起部13P2どうしの間のクリアランスgは、特にクローラ内周側ISで狭くなりやすく、クローラ外周側OSでは逆に広がりやすい傾向がある。したがって、上記のように第1凹部R1をクローラ内周側ISのみに配置することにより、ゴムクローラ1がスプロケット等の周りで曲がる際において第1突起部13P1及び第2突起部13P2どうしが特に接触しやすい部分に第1凹部R1を配置し、第1突起部13P1及び第2突起部13P2どうしの接触を抑制できるとともに、互いに隣接する芯金13どうしがクローラ幅方向WDに相対移動した際における第1突起部13P1及び第2突起部13P2どうしの係合しやすさの低下及び第1突起部13P1の剛性の低下を抑制でき、ひいては、第1突起部13P1及び第2突起部13P2の本来の機能である横ずれ防止機能(ひいては脱輪防止機能)の低下を抑制できる。
図8(a)及び図8(b)に示すように、第2凹部R2は、クローラ内周側ISが開放している(すなわち、第2突起部13P2のクローラ内周側ISの表面に開口している)とともに、クローラ外周側OSが閉鎖している(すなわち、第2突起部13P2のクローラ外周側OSの表面に開口していない)と、好適である。ゴムクローラ1がスプロケット等の周りで曲がる際において第1突起部13P1及び第2突起部13P2どうしの間のクリアランスgは、特にクローラ内周側ISで狭くなりやすく、クローラ外周側OSでは逆に広がりやすい傾向がある。したがって、上記のように第2凹部R2をクローラ内周側ISのみに配置することにより、ゴムクローラ1がスプロケット等の周りで曲がる際において第1突起部13P1及び第2突起部13P2どうしが特に接触しやすい部分に第2凹部R2を配置し、第1突起部13P1及び第2突起部13P2どうしの接触を抑制できるとともに、互いに隣接する芯金13どうしがクローラ幅方向WDに相対移動した際における第1突起部13P1及び第2突起部13P2どうしの係合しやすさの低下及び第2突起部13P2の剛性の低下を抑制でき、ひいては、第1突起部13P1及び第2突起部13P2の本来の機能である横ずれ防止機能(ひいては脱輪防止機能)の低下を抑制できる。
なお、第1凹部R1や第2凹部R2は、仮にクローラ内周側IS側が開放していない場合、ゴムクローラ1がスプロケット等の周りで曲がる際において第1突起部13P1及び第2突起部13P2どうしが接触しやすくなるおそれがある。
【0036】
図6(a)に示すように、第1凹部R1は、略三角柱形状をなしていると好適である。当該略三角柱形状は、第1区画面R11を底面とし、クローラ厚さ方向TDを高さ方向とするものである。第1区画面R11は、略三角形状をなしている。第1凹部R1をこのような形状とすることにより、ゴムクローラ1がスプロケット等の周りで曲がる際において第1突起部13P1及び第2突起部13P2どうしが特に接触しやすい部分に第1凹部R1を配置し、第1突起部13P1及び第2突起部13P2どうしの接触を抑制できるとともに、互いに隣接する芯金13どうしがクローラ幅方向WDに相対移動した際における第1突起部13P1及び第2突起部13P2どうしの係合しやすさの低下及び第1突起部13P1の剛性の低下を抑制でき、ひいては、第1突起部13P1及び第2突起部13P2の本来の機能である横ずれ防止機能(ひいては脱輪防止機能)の低下を抑制できる。
図8(a)に示すように、第2凹部R2は、略三角柱形状をなしていると、好適である。当該略三角柱形状は、第1区画面R21を底面とし、クローラ厚さ方向TDを高さ方向とするものである。第1区画面R21は、略三角形状をなしている。第2凹部R2をこのような形状とすることにより、ゴムクローラ1がスプロケット等の周りで曲がる際において第1突起部13P1及び第2突起部13P2どうしが特に接触しやすい部分に第2凹部R2を配置し、第1突起部13P1及び第2突起部13P2どうしの接触を抑制できるとともに、互いに隣接する芯金13どうしがクローラ幅方向WDに相対移動した際における第1突起部13P1及び第2突起部13P2どうしの係合しやすさの低下及び第2突起部13P2の剛性の低下を抑制でき、ひいては、第1突起部13P1及び第2突起部13P2の本来の機能である横ずれ防止機能(ひいては脱輪防止機能)の低下を抑制できる。
なお、本明細書において、「略三角柱形状」とは、略断頭三角柱形状を含む概念である。本実施形態において、第1凹部R1、第2凹部R2は、底面をなす第1区画面R11、R21が高さ方向(クローラ厚さ方向TD)に対して斜めに傾いており、それにより、略断頭三角柱形状をなしている。
【0037】
図6(b)に示すように、第1凹部R1は、クローラ周方向CDにおける第1突起部13P1の根元13P1r側へ向かうほど、クローラ厚さ方向TDの長さM1が長くなると、好適である。これにより、ゴムクローラ1がスプロケット等の周りで曲がる際において第1突起部13P1及び第2突起部13P2どうしが特に接触しやすい部分に第1凹部R1を配置し、第1突起部13P1及び第2突起部13P2どうしの接触を抑制できるとともに、互いに隣接する芯金13どうしがクローラ幅方向WDに相対移動した際における第1突起部13P1及び第2突起部13P2どうしの係合しやすさの低下及び第1突起部13P1の剛性の低下を抑制でき、ひいては、第1突起部13P1及び第2突起部13P2の本来の機能である横ずれ防止機能(ひいては脱輪防止機能)の低下を抑制できる。
ここで、第1凹部R1の「クローラ厚さ方向TDの長さM1」は、図6の例のようにクローラ幅方向WDに沿って第1凹部R1のクローラ厚さ方向TDの長さが均一ではない場合、そのうちの最大値を指すものとする。図6の例では、第1凹部R1の「クローラ厚さ方向TDの長さM1」とは、第1凹部R1における、クローラ幅方向WD両側のうち他の芯金13の第2突起部13P2と対向する側(本実施形態では、クローラ幅方向WD内側)の端で測ったときの、クローラ厚さ方向TDの長さとなる。
同様の観点から、第1凹部R1の第1区画面R11は、クローラ周方向CDにおける第1突起部13P1の根元13P1r側へ向かうほど、クローラ外周側OSへ延在していると、好適である。
図8(b)に示すように、第2凹部R2は、クローラ周方向CDにおける第2突起部13P2の根元13P2r側へ向かうほど、クローラ厚さ方向TDの長さM2が長くなると、好適である。これにより、ゴムクローラ1がスプロケット等の周りで曲がる際において第1突起部13P1及び第2突起部13P2どうしが特に接触しやすい部分に第2凹部R2を配置し、第1突起部13P1及び第2突起部13P2どうしの接触を抑制できるとともに、互いに隣接する芯金13どうしがクローラ幅方向WDに相対移動した際における第1突起部13P1及び第2突起部13P2どうしの係合しやすさの低下及び第2突起部13P2の剛性の低下を抑制でき、ひいては、第1突起部13P1及び第2突起部13P2の本来の機能である横ずれ防止機能(ひいては脱輪防止機能)の低下を抑制できる。
ここで、第2凹部R2の「クローラ厚さ方向TDの長さM2」は、図8の例のようにクローラ幅方向WDに沿って第2凹部R2のクローラ厚さ方向TDの長さが均一ではない場合、そのうちの最大値を指すものとする。図8の例では、第2凹部R2の「クローラ厚さ方向TDの長さM2」とは、第2凹部R2における、クローラ幅方向WD両側のうち他の芯金13の第1突起部13P1と対向する側(本実施形態では、クローラ幅方向WD外側)の端で測ったときの、クローラ厚さ方向TDの長さとなる。
同様の観点から、第2凹部R2の第1区画面R21は、クローラ周方向CDにおける第2突起部13P2の根元13P2r側へ向かうほど、クローラ外周側OSへ延在していると、好適である。
【0038】
第1凹部R1のクローラ厚さ方向TDの長さM1(図6(b))が最大となるクローラ幅方向WD及びクローラ周方向CD位置で測ったときにおける、第1突起部13P1のクローラ厚さ方向TDの長さに対する第1凹部R1のクローラ厚さ方向TDの長さM1の割合は、30~70%であると、好適である。これにより、ゴムクローラ1がスプロケット等の周りで曲がる際において第1突起部13P1及び第2突起部13P2どうしが特に接触しやすい部分に第1凹部R1を配置し、第1突起部13P1及び第2突起部13P2どうしの接触を抑制できるとともに、互いに隣接する芯金13どうしがクローラ幅方向WDに相対移動した際における第1突起部13P1及び第2突起部13P2どうしの係合しやすさの低下及び第1突起部13P1の剛性の低下を抑制でき、ひいては、第1突起部13P1及び第2突起部13P2の本来の機能である横ずれ防止機能(ひいては脱輪防止機能)の低下を抑制できる。
ここで、図6の例において、「第1凹部R1のクローラ厚さ方向TDの長さM1が最大となるクローラ幅方向WD及びクローラ周方向CD位置」とは、具体的に、第1凹部R1における、クローラ幅方向WD両側のうち他の芯金13の第2突起部13P2と対向する側(本実施形態では、クローラ幅方向WD内側)及びクローラ周方向第2側CD2の端の、クローラ幅方向WD及びクローラ周方向CD位置である。
第2凹部R2のクローラ厚さ方向TDの長さM2(図8(b))が最大となるクローラ幅方向WD及びクローラ周方向CD位置で測ったときにおける、第2突起部13P2のクローラ厚さ方向TDの長さに対する第2凹部R2のクローラ厚さ方向TDの長さM2の割合は、30~70%であると、好適である。これにより、ゴムクローラ1がスプロケット等の周りで曲がる際において第1突起部13P1及び第2突起部13P2どうしが特に接触しやすい部分に第2凹部R2を配置し、第1突起部13P1及び第2突起部13P2どうしの接触を抑制できるとともに、互いに隣接する芯金13どうしがクローラ幅方向WDに相対移動した際における第1突起部13P1及び第2突起部13P2どうしの係合しやすさの低下及び第2突起部13P2の剛性の低下を抑制でき、ひいては、第1突起部13P1及び第2突起部13P2の本来の機能である横ずれ防止機能(ひいては脱輪防止機能)の低下を抑制できる。
ここで、図8の例において、「第2凹部R2のクローラ厚さ方向TDの長さM2が最大となるクローラ幅方向WD及びクローラ周方向CD位置」とは、具体的に、第2凹部R2における、クローラ幅方向WD両側のうち他の芯金13の第1突起部13P1と対向する側(本実施形態では、クローラ幅方向WD外側)及びクローラ周方向第1側CD1の端の、クローラ幅方向WD及びクローラ周方向CD位置である。
【0039】
図6に示すように、第1突起部13P1は、クローラ幅方向WD両側の表面のうち、隣接する他の芯金13の第2突起部13P2と対向するほうの表面(本実施形態では、クローラ幅方向WD内側の表面)13P1aが、クローラ周方向CDにおける第1突起部13P1の根元13P1r側へ向かうほど、クローラ幅方向WD両側のうち他の芯金13の第2突起部13P2と対向する側(本実施形態では、クローラ幅方向WD内側)へ延在していると、好適である。また、第1突起部13P1は、クローラ内周側ISの表面が、クローラ厚さ方向TDに対してほぼ垂直であると、好適である。また、第1凹部R1の第1区画面R11は、クローラ幅方向WD両側のうち他の芯金13の第2突起部13P2と対向する側(本実施形態では、クローラ幅方向WD内側)へ向かうほど、クローラ外周側OSへ延在していると、好適である。また、第1凹部R1の第2区画面R12は、クローラ周方向CDにおける第1突起部13P1の根元13P1r側へ向かうほど、クローラ幅方向WD両側のうち他の芯金13の第2突起部13P2と対向する側(本実施形態では、クローラ幅方向WD内側)へ延在していると、好適である。また、第1凹部R1の第3区画面R13は、クローラ周方向CDにおける第1突起部13P1の根元13P1r側へ向かうほど、クローラ幅方向WD両側のうち他の芯金13の第2突起部13P2と対向する側(本実施形態では、クローラ幅方向WD内側)へ延在していると、好適である。ただし、第3区画面R13のクローラ幅方向WDに対する鋭角側の角度は、第2区画面R12のクローラ幅方向WDに対する鋭角側の角度よりも、小さいと、好適である。
図8に示すように、第2突起部13P2は、クローラ幅方向WD両側の表面のうち、隣接する他の芯金13の第1突起部13P1と対向するほうの表面(本実施形態では、クローラ幅方向WD外側の表面)13P2aが、クローラ周方向CDにおける第2突起部13P2の根元13P2r側へ向かうほど、クローラ幅方向WD両側のうち他の芯金13の第1突起部13P1と対向する側(本実施形態では、クローラ幅方向WD外側)へ延在していると、好適である。また、第2突起部13P2は、クローラ内周側ISの表面が、クローラ厚さ方向TDに対してほぼ垂直であると、好適である。また、第2凹部R2の第1区画面R21は、クローラ幅方向WD両側のうち他の芯金13の第1突起部13P1と対向する側(本実施形態では、クローラ幅方向WD外側)へ向かうほど、クローラ外周側OSへ延在していると、好適である。また、第2凹部R2の第2区画面R22は、クローラ周方向CDにおける第2突起部13P2の根元13P2r側へ向かうほど、クローラ幅方向WD両側のうち他の芯金13の第1突起部13P1と対向する側(本実施形態では、クローラ幅方向WD外側)へ延在していると、好適である。また、第2凹部R2の第3区画面R23は、クローラ周方向CDにおける第2突起部13P2の根元13P2r側へ向かうほど、クローラ幅方向WD両側のうち他の芯金13の第1突起部13P1と対向する側(本実施形態では、クローラ幅方向WD外側)へ延在していると、好適である。ただし、第3区画面R23のクローラ幅方向WDに対する鋭角側の角度は、第2区画面R22のクローラ幅方向WDに対する鋭角側の角度よりも、小さいと、好適である。
【0040】
上述した実施形態では、芯金13の一対の第1突起部13P1のそれぞれが第1凹部R1を有し、芯金13の一対の第2突起部13P2のそれぞれが第2凹部R2を有している(図4)。この場合、ゴムクローラ1がスプロケット等の周りで曲がる際における第1突起部13P1及び第2突起部13P2どうしの間のクリアランスPを拡大し、ひいては、ゴムクローラ1がスプロケット等の周りで曲がる際に第1突起部13P1及び第2突起部13P2どうしの接触を抑制する効果が、最も高い。
ただし、例えば、図11に示す変形例のように、芯金13の一対の第1突起部13P1のうちのクローラ幅方向第1側WD1の第1突起部13P1のみが第1凹部R1を有し、芯金13の一対の第2突起部13P2のうちのクローラ幅方向第2側WD2の第2突起部13P2のみが第2凹部R2を有してもよい。この場合、芯金13の一対の第1突起部13P1のうちのクローラ幅方向第2側WD2の第1突起部13P1における、クローラ幅方向WD両側の表面のうち、隣接する他の芯金13の第2突起部13P2と対向するほうの表面13P1aは、略平坦な面となり、また、芯金13の一対の第2突起部13P2のうちのクローラ幅方向第1側WD1の第2突起部13P2における、クローラ幅方向WD両側の表面のうち、隣接する他の芯金13の第1突起部13P1と対向するほうの表面13P2aは、略平坦な面となる。この場合でも、第1凹部R1及び第2凹部R2がそれぞれ略平坦な面と対向することとなるので、仮に第1凹部R1及び第2凹部R2が全く設けられない場合(すなわち、略平坦な面どうしが対向する場合)に比べて、ゴムクローラ1がスプロケット等の周りで曲がる際における第1突起部13P1と第2突起部13P2との間のクリアランスPを拡大し、ひいては、ゴムクローラ1がスプロケット等の周りで曲がる際に第1突起部13P1及び第2突起部13P2どうしの接触を抑制することができる。
あるいは、芯金13の一対の第1突起部13P1のうちのクローラ幅方向第1側WD1の第1突起部13P1のみが第1凹部R1を有し、芯金13の一対の第2突起部13P2のいずれもが第2凹部R2を有していなくてもよい。この場合でも、クローラ幅方向第1側WD1において、第1凹部R1と略平坦な面とが対向することとなるので、仮に第1凹部R1及び第2凹部R2が全く設けられない場合に比べて、ゴムクローラ1がスプロケット等の周りで曲がる際に、第1突起部13P1と第2突起部13P2との間のクリアランスPを拡大し、ひいては、第1突起部13P1及び第2突起部13P2どうしの接触を抑制することができる。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明のゴムクローラは、例えば建設機械(ミニショベル等)や農業機械(トラクター、コンバイン等)等の任意の走行機械の足回り部に装着されると好適なものである。
【符号の説明】
【0042】
1:ゴムクローラ、
12:クローラ本体、 121:クローラ本体の内周面、 122:クローラ本体の外周面、
13:芯金、
13B:ベース部、 13Bc:中央部、 13Bw:翼部、
13C:角部、 13Ca:頂面、
13P1:第1突起部(突起部)、 13P1a:クローラ幅方向両側の表面のうち、他の芯金の第2突起部と対向するほうの表面、 13P1t:先端、 13P1r:根元、
13P2:第2突起部(突起部)、 13P2a:クローラ幅方向両側の表面のうち、他の芯金の第1突起部と対向するほうの表面、 13P2t:先端、 13P2r:根元、
R1:第1凹部、 R11:第1区画面、 R12:第2区画面、 R13:第3区画面、 R1t:クローラ周方向における第1突起部の先端側の端、 R1r:クローラ周方向における第1突起部の根元側の端、
R2:第2凹部、 R21:第1区画面、 R22:第2区画面、 R23:第3区画面、 R2t:クローラ周方向における第2突起部の先端側の端、 R2r:クローラ周方向における第2突起部の根元側の端、
g:クリアランス、
14:ラグ、
15:芯体層、 15C:コード、
16:穴、
CD:クローラ周方向、 CD1:クローラ周方向第1側、 CD2:クローラ周方向第2側、
TD:クローラ厚さ方向、
WD:クローラ幅方向、 WD1:クローラ幅方向第1側、 WD2:クローラ幅方向第2側、
IS:クローラ内周側、 OS:クローラ外周側
図1
図2
図3
図4
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図8
図9
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図11