(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024002455
(43)【公開日】2024-01-11
(54)【発明の名称】情報処理システム、情報処理方法及び情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/016 20230101AFI20231228BHJP
G06Q 10/0635 20230101ALI20231228BHJP
【FI】
G06Q30/00 330
G06Q10/06 326
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022101635
(22)【出願日】2022-06-24
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-07-11
(71)【出願人】
【識別番号】000227205
【氏名又は名称】NECプラットフォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080816
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 朝道
(74)【代理人】
【識別番号】100098648
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 潔人
(72)【発明者】
【氏名】原 裕治
(72)【発明者】
【氏名】金井 明
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA02
(57)【要約】
【課題】一顧客に対する電話応対の際に生じたトラブル及びその対処策を他の顧客に対する電話応対に反映する。
【解決手段】顧客に対する電話応対を行うオペレータによる一顧客に対する電話応対の終了を検知した後に、当該電話応答の間に生じたトラブルをオペレータに問い合わせて、電話応対の間に生じ得るトラブルに関するトラブル情報を収集する。そして、収集されたトラブル情報を分析して、個々の顧客に対して個別の対処策を見出すべき顧客別トラブル情報と、全ての顧客に対応し得る対処策を構築すべき一般トラブル情報とに分類する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
顧客に対する電話応対を行うオペレータが使用する電話端末と、
前記オペレータによる一顧客に対する電話応対の終了を検知した後に、当該電話応対の間に生じたトラブルを前記オペレータに問い合わせて、電話応対の間に生じ得るトラブルに関するトラブル情報を収集する情報収集装置と、
収集されたトラブル情報を分析して、個々の顧客に対して個別の対処策を見出すべき顧客別トラブル情報と、全ての顧客に対応し得る対処策を構築すべき一般トラブル情報とに分類する分析装置と、
を備える情報処理システム。
【請求項2】
前記分析装置が、予め設定されたキーワードを記憶し、当該キーワードを含むトラブル情報を前記一般トラブル情報に分類する、請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記情報収集装置が、前記電話端末を介して、前記オペレータに対して電話応対の間に生じたトラブルを音声によって問い合わせるとともに、前記オペレータによる音声回答として前記トラブル情報を収集する、請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記情報収集装置が、顧客を識別する顧客識別情報と紐づけて前記トラブル情報を収集する、請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項5】
顧客に対する電話応対を行うオペレータによる一顧客に対する電話応対の終了を検知した後に、当該電話応対の間に生じたトラブルを前記オペレータに問い合わせて、電話応対の間に生じ得るトラブルに関するトラブル情報を収集する情報収集ステップと、
収集されたトラブル情報を分析して、個々の顧客に対して個別の対処策を見出すべき顧客別トラブル情報と、全ての顧客に対応し得る対処策を構築すべき一般トラブル情報とに分類する分析ステップと、
をコンピュータが実行する情報処理方法。
【請求項6】
顧客に対する電話応対を行うオペレータによる一顧客に対する電話応対の終了を検知した後に、当該電話応対の間に生じたトラブルを前記オペレータに問い合わせて、電話応対の間に生じ得るトラブルに関するトラブル情報を収集する情報収集処理と、
収集されたトラブル情報を分析して、個々の顧客に対して個別の対処策を見出すべき顧客別トラブル情報と、全ての顧客に対応し得る対処策を構築すべき一般トラブル情報とに分類する分析処理と、
をコンピュータに実行させる情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システム、情報処理方法及び情報処理プログラムに関する。特に、コールセンター業務に貢献する情報処理システム、情報処理方法及び情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、コールセンターにおける業務を支援するコールセンター業務支援システムが開示されている。このコールセンター業務支援システムは、顧客の電話番号と問い合わせ履歴とを紐づけてデータベースに記憶しておき、当該顧客からの再度の問合せの際に問合せ履歴をオペレータに提示することでオペレータによる業務を支援している。端的に言うと、特許文献1では、ある顧客から問い合わせられる頻度・傾向・可能性の高い問い合わせに対する回答を、オペレータがオペレーションマニュアルの中から容易に検索できるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
以下の分析は、本発明の観点からなされたものである。なお、上記先行技術文献の各開示を、本書に引用をもって繰り込むものとする。
【0005】
特許文献1のコールセンター業務支援システムでは、顧客と問合せ履歴とが紐づけてデータベースに記憶されるため、一顧客に対する電話応対の際に生じたトラブル及びその対処策が他の顧客に対する電話応対に反映されないという問題点がある。
【0006】
そこで、本発明では、一顧客に対する電話応対の際に生じたトラブル及びその対処策を他の顧客に対する電話応対に反映することに貢献する情報処理システム、情報処理方法及び情報処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の視点によれば、
顧客に対する電話応対を行うオペレータが使用する電話端末と、
前記オペレータによる一顧客に対する電話応対の終了を検知した後に、当該電話応対の間に生じたトラブルを前記オペレータに問い合わせて、電話応対の間に生じ得るトラブルに関するトラブル情報を収集する情報収集装置と、
収集されたトラブル情報を分析して、個々の顧客に対して個別の対処策を見出すべき顧客別トラブル情報と、全ての顧客に対応し得る対処策を構築すべき一般トラブル情報とに分類する分析装置と、
を備える情報処理システムが提供される。
【0008】
本発明の第2の視点によれば、
顧客に対する電話応対を行うオペレータによる一顧客に対する電話応対の終了を検知した後に、当該電話応対の間に生じたトラブルを前記オペレータに問い合わせて、電話応対の間に生じ得るトラブルに関するトラブル情報を収集する情報収集ステップと、
収集されたトラブル情報を分析して、個々の顧客に対して個別の対処策を見出すべき顧客別トラブル情報と、全ての顧客に対応し得る対処策を構築すべき一般トラブル情報とに分類する分析ステップと、
をコンピュータが実行する情報処理方法が提供される。
【0009】
本発明の第3の視点によれば、
顧客に対する電話応対を行うオペレータによる一顧客に対する電話応対の終了を検知した後に、当該電話応対の間に生じたトラブルを前記オペレータに問い合わせて、電話応対の間に生じ得るトラブルに関するトラブル情報を収集する情報収集処理と、
収集されたトラブル情報を分析して、個々の顧客に対して個別の対処策を見出すべき顧客別トラブル情報と、全ての顧客に対応し得る対処策を構築すべき一般トラブル情報とに分類する分析処理と、
をコンピュータに実行させる情報処理プログラムが提供される。
【発明の効果】
【0010】
本発明の各視点によれば、一顧客に対する電話応対の際に生じたトラブル及びその対処策を他の顧客に対する電話応対に反映することに貢献する情報処理システム、情報処理方法及び情報処理プログラムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図2】情報処理システム100の構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】分析結果記憶部に記憶される情報の一例を示す図である。
【
図4】情報処理システム100による処理の流れを示すフローチャート図である。
【
図5】情報処理方法を実行するコンピュータの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明のとり得る好適な実施形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の記載に付記した図面参照符号は、理解を助けるための一例として各要素に便宜上付記したものであり、本発明を図示の態様に限定することを意図するものではない。また、各図におけるブロック間の接続線は、双方向及び単方向の双方を含む。一方向矢印については、主たる信号(データ)の流れを模式的に示すものであり、双方向性を排除するものではない。さらに、本願開示に示す回路図、ブロック図、内部構成図、接続図などにおいて、明示は省略するが、入力ポート及び出力ポートが各接続線の入力端及び出力端のそれぞれに存在する。入出力インターフェイスも同様である。
【0013】
先ず、本発明の一概要について説明する。
図1に示すように、本発明の情報処理システム100は、電話端末10と、情報収集装置20と、分析装置30とを備える。電話端末10は、顧客に対する電話応対を行うオペレータが使用する端末である。情報収集装置20は、オペレータによる一顧客に対する電話応対の終了を検知した後に、当該電話応対の間に生じた困り事(トラブル)をオペレータに問い合わせて、電話応対の間に生じ得るトラブルに関するトラブル情報を収集する。分析装置30は、収集されたトラブル情報を分析して、個々の顧客に対して個別の対処策を見出すべき顧客別トラブル情報と、全ての顧客に対応し得る対処策を構築すべき一般トラブル情報とに分類する。
【0014】
本発明の情報処理システム100によれば、一顧客に対する電話応対の際に生じたトラブル及びその対処策を他の顧客に対する電話応対に反映することができる。以下では、従来技術と比較しつつ、本発明の情報処理システム100による効果を説明する。
【0015】
オペレータが一顧客に対する電話応対の中で感じた困り事の中には、例えば、参照したマニュアルのFAQ(Frequently Asked Questions)に不備があった、内容がわかりづらかったなど、対処策としてマニュアル自体を改訂すべき事案が含まれる。このような事案は、オペレータがマネージャーに対して個別に報告し、マネージャーがマニュアル作成者にマニュアルの改訂を促すことで対処策が整備される。しかしながら、次々と入ってくる顧客応対に追われる中で、オペレータがマネージャーに対して困り事を逐一報告することは現実的ではない。そのため、オペレータがマネージャーに対して報告し忘れるなど、マニュアルにおいて改訂すべき事項が見出されたにも関わらず、据え置かれることがある。
【0016】
また、特許文献1では、電話応対の間のオペレータによるマニュアルの参照履歴をデータベースに記憶していると考えられるが、このような仕様ではオペレータが感じた困り事までは参照履歴から見出せない。また、一顧客に対する電話応対が終了した後にオペレータが困り事に関するメモをデータベースに登録したとしても、特許文献1ではその顧客に関するメモにしかならない。
【0017】
一方で、本発明では、まず情報収集装置20が電話応対の間に生じたトラブルをオペレータに問い合わせてトラブル情報を収集する。この情報収集装置20による問い合わせは音声によって行うことが好ましい。すなわち、オペレータにとっては、音声による電話応対と同様にして音声によってトラブル情報を登録することになるため、メモを文字入力するよりも効率的である。そのため、オペレータがトラブル情報の登録をためらう可能性が低減される。
【0018】
また、本発明では、分析装置30は、収集されたトラブル情報を分析して、顧客別トラブル情報と、一般トラブル情報とに分類する。この分類は、予め設定されたキーワード(例えば「マニュアル」)を含むか否かを判定することによって達成される。ここで、キーワード「マニュアル」を含む一般トラブル情報は、マニュアルの改訂が対処策になる可能性が高いため、マニュアル作成者がチェックを行うことが望ましい。マニュアル作成者がマニュアルを改訂した場合には、一顧客に対する電話応対の際に生じたトラブル及びその対処策が、他の顧客に対する電話応対に反映されることになる。なお、本発明では、オペレータが感じた困り事(トラブル)が自動的に仕分けされるため、マネージャーの負担も軽減される。
【0019】
また、本発明では、情報収集装置20が顧客を識別する顧客識別情報と紐づけてトラブル情報を収集することが考えられる。この場合には、全てのトラブル情報が一旦は顧客別トラブル情報として収集され、分析装置30が顧客別トラブル情報の中から一般トラブル情報を抽出するという概念になる。つまり、本発明は、特許文献1のように顧客と問合せ履歴とを紐づけてデータベースに記憶する技術の応用としても展開可能である。
【0020】
[実施形態1]
以下では、上記一概要で説明した情報処理システム100について、実施形態1としてより具体的に説明する。
【0021】
実施形態1の情報処理システム100は、
図2に示すように、電話端末10、情報収集装置20及び分析装置30に加えて、PBXサーバ、CRMサーバ、CTIサーバ、トラブル情報記憶部、分析結果記憶部、及び管理者端末を含む。
【0022】
電話端末10、PBX(Private Branch eXchange)サーバ、CRM(Customer Relationship Management)サーバ及びCTI(Computer Telephony Integration)サーバについては、一般的なコールセンターに備えられる装置であるため詳細な説明を割愛する。端的に言うと、PBXサーバは、顧客からコールセンターへの着信をオペレータに振り分ける処理を行う。CRMサーバ及びCTIサーバは、着信があった顧客についての情報(例えば、対応履歴)をオペレータに提示する。
【0023】
なお、本発明では、CTIサーバが、オペレータによる一顧客に対する電話応対の終了を情報収集装置20に対して通知する。
【0024】
情報収集装置20は、CTIサーバからの通知によって電話応対の終了を検知した場合に、電話応対の間に生じたトラブルを、電話端末10を介してオペレータに音声で問い合わせる。例えば、情報収集装置20は、応対通話時に困り事が無かったか、あるいは、応対におけるオペレータ自身の反省点があるかなどをオペレータに問い合わせる。ここで、応対通話時の困り事とは、例えば、参照したマニュアル、FAQに不備があった、内容がわかりづらかったなどである。また、オペレータ自身の反省点とは、例えば、言い回し・言葉づかいが不適切でお客様からお叱りを受けたなどである。
【0025】
情報収集装置20は、オペレータによる回答を電話端末10を介して聞き取り、トラブル情報としてトラブル情報記憶部に登録する(つまりトラブル情報を収集する)。ここで、トラブル情報は、顧客を識別する顧客識別情報と紐づけて登録しても良い。なお、情報収集装置20によるトラブル情報の収集の後に、オペレータは次の顧客に対する電話応対を行うことになる。
【0026】
トラブル情報記憶部はトラブル情報を記憶する。なお、トラブル情報記憶部に記憶されるトラブル情報は、オペレータによる回答の音声データであっても良いし、テキスト化したデータであっても良い。
【0027】
分析装置30は、トラブル情報記憶部に記録されたトラブル情報を分析して、顧客別トラブル情報と一般トラブル情報とに分類する。具体的には、分析装置30には、キーワードが予め設定されており、そのキーワードを含むか否かによってトラブル情報を分類する。そして、分析装置30は、分類したトラブル情報を、分類種別ごとに閲覧可能な状態で分析結果記憶部に格納する。
【0028】
例えば、キーワードとして、「マニュアル」、「FAQ」、「システムエラー」、「電話回線」などを含むトラブル情報は一般トラブル情報に分類される。そのため、一般トラブル情報は、マニュアルの改訂やシステム設計の見直しなど、全ての顧客に対応し得る対処策を構築すべきトラブルに関する情報である可能性が高い。
【0029】
また、キーワードとして、例えば、「使用条件」、「料金設定」、「罵声」、「受け答え」、「言い回し」、「言葉遣い」などを含むトラブル情報は顧客別トラブル情報に分類される。例えば、「使用端末」、「料金設定」をキーワードとして含むトラブル情報は、そのトラブルの根本的原因が顧客にある可能性が高く、個々の顧客に対する電話応対の中でオペレータが対処策を見出すべきトラブルに関する情報である可能性が高い。また、「罵声」、「受け答え」、「言い回し」、「言葉遣い」をキーワードとして含むトラブル情報は、オペレータ自身のスキルが根本的原因であるトラブルに関する情報である可能性が高い。つまり、本願では、全ての顧客に対応し得る対処策を構築すべきトラブルに関する一般トラブル情報以外は、ケースバイケースで対処策を見出すべきトラブルに関する顧客別トラブル情報としてまとめられる。しかしながら、顧客別トラブル情報を、更に、オペレータ別トラブル情報などに分類してもよい。
【0030】
分析結果記憶部は、例えば、
図3に示すように、トラブル内容、キーワード、時刻情報、顧客情報、対応履歴、応答者を対応付けたトラブル情報を、顧客別トラブル情報と、一般トラブル情報とに分類して記憶する。なお、時刻情報、顧客情報、対応履歴、対応者などは、分析装置30がPBXサーバやオペレータが使用したPC(Personal Computer)から情報を取得して分析結果記憶部に格納すれば良い。
【0031】
管理者端末は、管理者が分析結果記憶部に記憶された情報の閲覧に使用する端末である。ここで管理者は、マネージャー、マニュアル作成者、システム設計者、オペレータ教育係などを含む。
【0032】
マニュアル作成者は、自身が担当する職務を遂行するにあたり、一般トラブル情報、特にキーワード「マニュアル」、「FAQ」を含む内容のトラブル情報を管理者端末を使用して閲覧する。ここで、マニュアル作成者は、例えば「製品マニュアルAを確認したが内容がわかりづらかった」というトラブル内容に基づいて、製品マニュアルAの改訂を検討することができる。また、オペレータ教育係は、自身が担当する職務を遂行するにあたり、顧客別トラブル情報を管理者端末を使用して閲覧する。ここで、オペレータ教育係は、オペレータ1に対して製品Cについての教育が必要であることを把握できる。マニュアル作成者、システム設計者、オペレータ教育係を統括するマネージャーは、特定のキーワードに着目して対処策を検討することができる。
【0033】
いずれにしても、本発明の情報処理システム100によれば、オペレータは一顧客に対する電話応対の中で感じた困り事を電話応対の直後に音声で登録することができるため、困り事を報知する可能性が低減される。
【0034】
また、本発明の情報処理システム100によれば、マニュアル作成者、システム設計者及びオペレータ教育係は、オペレータの困り事の中から自身が対処策を検討すべき事案を容易に抽出できる。そのため、対処策を構築すべき事案が据え置かれる可能性が低減される。特に、マニュアル作成者にとっては、マニュアルのどの項目を改訂すべきかを容易に把握することができる。また、システム設計者にとっては、マニュアルのどの項目についてオペレータが検索する際に苦労しているのかを容易に把握することができる。また、オペレータ教育係にとっては、どのオペレータに対してどのような教育を施すべきかを容易に把握することができる。
【0035】
以下では、実施形態1の情報処理システム100における処理の流れについて説明する。
図4に示すように、まずは、顧客端末、電話端末10、PBXサーバ、CRMサーバ、CTIサーバの間で、オペレーション業務が行われる。すなわち、顧客からコールセンターへの着信があった時に、PBXサーバは電話端末10を鳴動させてオペレータをコールする。一人のオペレータがコールに応答した際に、CRMサーバは、そのオペレータに対して顧客についての情報(例えば、対応履歴)を提示する。なお、このオペレーション業務については、一般的なコールセンターで実行される処理と同様である。
【0036】
オペレーション業務が行われた後に、実施形態1の情報処理システム100では、CTIサーバが情報収集装置20に対してオペレータによる一顧客に対する電話応対の終了を通知する(ステップS01)。通知を受けた情報収集装置20は、電話応対の間に生じたトラブルを、電話端末10を介してオペレータに音声で問い合わせる(ステップS02)。トラブル情報記憶部はオペレータによる回答を記憶する(ステップS03)。なお、オペレータによる回答は情報収集装置20を介してトラブル情報記憶部に記憶するようにし、ここで情報収集装置20がオペレータによる回答のテキスト化を行っても良い。
【0037】
分析装置30は、トラブル情報記憶部からトラブル情報を読み出し(ステップS04)、顧客別トラブル情報と一般トラブル情報とに分類して分析結果記憶部に格納する(ステップS05)。なお分析装置30による処理は、任意のタイミングで行うことができる。例えば、トラブル情報記憶部にトラブル情報が格納される毎に分析装置30が処理を行っても良いし、一日のオペレーション業務が終了した後に分析装置30が処理を行っても良い。
【0038】
分析結果記憶部に格納された顧客別トラブル情報及び一般トラブル情報は、管理者端末を介して任意のタイミングで閲覧される(ステップS06)。顧客別トラブル情報及び一般トラブル情報の閲覧は、どの管理者が行っても良いし、いずれかの管理者が複数回にわたって行っても良い。
【0039】
[実施形態2]
以下では実施形態2として種々の変化形態を説明する。
【0040】
電話応対の間に生じたトラブルをオペレータに問い合わせるタイミングは、一顧客に対する電話応対の直後でなくても良い。例えば、オペレータが任意のタイミングで情報収集装置20に対して問い合わせを行うように指示しても良い。
【0041】
情報収集装置20がオペレータに対して問い合わせる事項は、電話応対の内容に応じて変えても良い。例えば、オペレータによるマニュアルの参照があった場合に、参照した内容の分かりやすさや、参照した内容までのアクセスのし易さについて問い合わせることが考えられる。
【0042】
一般トラブル情報に関するキーワードは、ユーザが自由に設定できる。また、キーワードと、電話応対時のオペレータによる応対履歴とを対応付けても良い。例えば、「製品・サービスの説明がわかりづらいと言われた」、「製品・サービスが期待外れだと言われた」などのトラブル情報が収集された場合に、キーワード「製品名」、「サービス名」に基づいて、一般トラブル情報に分類する。ここで、分類した一般トラブル情報に対して、電話応答の録音データ、製品説明書の検索履歴などのリンクを設定しても良い。
【0043】
以下にトラブル情報、キーワード及び応対履歴の例を挙げるが、その他にもユーザが自由に設定できる。
(例1)
トラブル情報:「専門職者にエスカレーションできなかった」
(エスカレーション先の上司・専門職者の不在、要員不足等の要因)
キーワード:エスカレーション
応対履歴:オペレータの操作履歴(電話転送操作等)
(例2)
トラブル情報:「たらいまわしされたうえ、何度も同じ説明をさせられたと言われた。」、「オペレータ間の情報共有ができていない」
キーワード:たらいまわし、情報共有
応対履歴:電話応対の録音データ、オペレータ応対履歴
(例3)
トラブル情報:「担当者によって言っていることが違うと言われた。オペレータ間の情報共有ができていない」
キーワード:情報共有
対応履歴:電話応対の録音データ、オペレータ応対履歴
【0044】
また、収集されたトラブル情報の中から顧客別トラブル情報を抽出しても良い。例えば、キーワード「いやがらせ」を含むトラブル情報「業務妨害、いやがらせとしか思えない」を顧客別トラブル情報に分類しても良い。ここで、分類した顧客別トラブル情報に対して、電話応答の録音データなどのリンクを設定しても良い。
【0045】
また、本発明は、コンピュータが実行する情報処理方法及びコンピュータに実行させる情報処理プログラムとしても実現され得る。例えば、
図5に示すように、コンピュータはインターフェイス、メモリ、CPU(Central Processing Unit)を備える。インターフェイスは、電話端末10、PBXサーバ、CRMサーバ、CTIサーバ、トラブル情報記憶部、分析結果記憶部、管理者端末などと接続される。CPUは、メモリに格納されたプログラムを実行して情報収集装置20の機能に相当する情報収集デバイス及び分析装置30の機能に相当する分析デバイスを実現する。
【0046】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載され得るが、以下には限られない。
【0047】
(付記1)
顧客に対する電話応対を行うオペレータが使用する電話端末と、
前記オペレータによる一顧客に対する電話応対の終了を検知した後に、当該電話応対の間に生じたトラブルを前記オペレータに問い合わせて、電話応対の間に生じ得るトラブルに関するトラブル情報を収集する情報収集装置と、
収集されたトラブル情報を分析して、個々の顧客に対して個別の対処策を見出すべき顧客別トラブル情報と、全ての顧客に対応し得る対処策を構築すべき一般トラブル情報とに分類する分析装置と、
を備える情報処理システム。
【0048】
(付記2)
前記分析装置が、予め設定されたキーワードを記憶し、当該キーワードを含むトラブル情報を前記一般トラブル情報に分類する、付記1に記載の情報処理システム。
【0049】
(付記3)
前記情報収集装置が、前記電話端末を介して、前記オペレータに対して電話応対の間に生じたトラブルを音声によって問い合わせるとともに、前記オペレータによる音声回答として前記トラブル情報を収集する、付記1に記載の情報処理システム。
【0050】
(付記4)
前記情報収集装置が、顧客を識別する顧客識別情報と紐づけて前記トラブル情報を収集する、付記1に記載の情報処理システム。
【0051】
(付記5)
顧客に対する電話応対を行うオペレータによる一顧客に対する電話応対の終了を検知した後に、当該電話応対の間に生じたトラブルを前記オペレータに問い合わせて、電話応対の間に生じ得るトラブルに関するトラブル情報を収集する情報収集ステップと、
収集されたトラブル情報を分析して、個々の顧客に対して個別の対処策を見出すべき顧客別トラブル情報と、全ての顧客に対応し得る対処策を構築すべき一般トラブル情報とに分類する分析ステップと、
をコンピュータが実行する情報処理方法。
【0052】
(付記6)
顧客に対する電話応対を行うオペレータによる一顧客に対する電話応対の終了を検知した後に、当該電話応対の間に生じたトラブルを前記オペレータに問い合わせて、電話応対の間に生じ得るトラブルに関するトラブル情報を収集する情報収集処理と、
収集されたトラブル情報を分析して、個々の顧客に対して個別の対処策を見出すべき顧客別トラブル情報と、全ての顧客に対応し得る対処策を構築すべき一般トラブル情報とに分類する分析処理と、
をコンピュータに実行させる情報処理プログラム。
【0053】
なお、引用した上記の特許文献等の各開示は、本書に引用をもって繰り込み記載されているものとし、必要に応じて本発明の基礎ないし一部として用いることが出来るものとする。本発明の全開示(請求の範囲を含む)の枠内において、さらにその基本的技術思想に基づいて、実施形態ないし実施例の変更・調整が可能である。また、本発明の全開示の枠内において種々の開示要素(各請求項の各要素、各実施形態ないし実施例の各要素、各図面の各要素等を含む)の多様な組み合わせ、ないし、選択(部分的削除を含む)が可能である。すなわち、本発明は、請求の範囲を含む全開示、技術的思想にしたがって当業者であればなし得るであろう各種変形、修正を含むことは勿論である。特に、本書に記載した数値範囲については、当該範囲内に含まれる任意の数値ないし小範囲が、別段の記載のない場合でも具体的に記載されているものと解釈されるべきである。さらに、上記引用した文献の各開示事項は、必要に応じ、本発明の趣旨に則り、本発明の開示の一部として、その一部又は全部を、本書の記載事項と組み合わせて用いることも、本願の開示事項に含まれるものと、みなされる。
【符号の説明】
【0054】
10: 電話端末
20: 情報収集装置
30: 分析装置
100: 情報処理システム