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特開2024-24554対価分配プログラム、対価分配方法及び情報管理装置
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  • 特開-対価分配プログラム、対価分配方法及び情報管理装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024024554
(43)【公開日】2024-02-22
(54)【発明の名称】対価分配プログラム、対価分配方法及び情報管理装置
(51)【国際特許分類】
   G06Q 20/38 20120101AFI20240215BHJP
   H04L 9/32 20060101ALI20240215BHJP
【FI】
G06Q20/38
H04L9/32 200C
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022127475
(22)【出願日】2022-08-09
(71)【出願人】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮前 剛
(72)【発明者】
【氏名】ジャン・シエヌビヌ
【テーマコード(参考)】
5L055
【Fターム(参考)】
5L055AA75
(57)【要約】
【課題】プライバシーを保護しつつサプライチェーンの信頼性を確保する対価分配プログラム、対価分配方法及び情報管理装置を提供する。
【解決手段】最上流の工程から所定工程までの第1累積対価額、最上流の工程から所定工程までの第1累積価値、最上流の工程から所定工程の1つ上流の工程までの第2累積価値を基に、最上流の工程から所定工程の1つ上流の工程までの第2累積対価額を算出し、乱数を用いて第2累積対価額を秘匿化した対価額コミットメントを生成し、対価額コミットメントをブロックチェーンに登録し、少なくとも第1累積対価額を非開示で第2累積対価額の正当性を証明するゼロ知識証明である対価額証明を生成し、第2累積対価額、乱数及び対価額証明を所定工程の1つ上流の工程へ通知する処理をコンピュータに実行させる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サプライチェーンに含まれる複数の工程のうちの所定工程において、
最上流の工程から前記所定工程までの第1累積対価額、前記最上流の工程から前記所定工程までの第1累積価値、前記最上流の工程から前記所定工程の1つ上流の工程までの第2累積価値を基に、前記最上流の工程から前記所定工程の1つ上流の工程までの第2累積対価額を算出し、
乱数を用いて前記第2累積対価額を秘匿化した対価額コミットメントを生成し、
前記対価額コミットメントをブロックチェーンに登録し、
少なくとも前記第1累積対価額を非開示で前記第2累積対価額の正当性を証明するゼロ知識証明である対価額証明を生成し、
前記第2累積対価額、前記乱数及び前記対価額証明を前記所定工程の1つ上流の工程へ通知する
処理をコンピュータに実行させることを特徴とする対価分配プログラム。
【請求項2】
前記第1累積対価額を秘匿化した下流対価額コミットメントを前記ブロックチェーンから取得し、
前記第1累積対価額、前記下流対価額コミットメントの生成に用いられた下流乱数及び前記第1累積対価額の正当性のゼロ知識証明である下流対価額証明を1つ下流の工程から取得し、
前記第1累積対価額、前記下流乱数、前記第1累積価値、前記第2累積価値及び前記下流対価額コミットメントを基に前記対価額証明を生成する
処理を前記コンピュータに実行させることを特徴とする請求項1に記載の対価分配プログラム。
【請求項3】
前記第2累積価値を前記所定工程の1つ上流の工程から取得し、
前記第2累積価値に前記所定工程での単体価値を付加して前記第1累積価値を算出する
処理を前記コンピュータに実行させることを特徴とする請求項2に記載の対価分配プログラム。
【請求項4】
算出した前記第1累積価値を秘匿化した第1累積価値コミットメントを生成し、
前記第1累積価値の正当性を示す、前記第1累積価値コミットメントに基づくゼロ知識証明である累積価値証明を生成し、
生成した前記累積価値証明を前記ブロックチェーンに登録する
処理を前記コンピュータに実行させることを特徴とする請求項3に記載の対価分配プログラム。
【請求項5】
サプライチェーンに含まれる複数の工程のうちの所定工程において、
情報管理装置に、
最上流の工程から前記所定工程までの第1累積対価額、前記最上流の工程から前記所定工程までの第1累積価値、前記最上流の工程から前記所定工程の1つ上流の工程までの第2累積価値を基に、前記最上流の工程から前記所定工程の1つ上流の工程までの第2累積対価額を算出し、
乱数を用いて前記第2累積対価額を秘匿化した対価額コミットメントを生成し、
前記対価額コミットメントをブロックチェーンに登録し、
少なくとも前記第1累積対価額を非開示で記第2累積対価額の正当性を証明するゼロ知識証明である対価額証明を生成し、
前記第2累積対価額、前記乱数及び前記対価額証明を前記所定工程の1つ上流の工程へ通知する
処理を行わせることを特徴とする対価分配方法。
【請求項6】
サプライチェーンに含まれる複数の工程のうちの所定工程に配置される情報管理装置であって、
最上流の工程から前記所定工程までの第1累積対価額、前記最上流の工程から前記所定工程までの第1累積価値、前記最上流の工程から前記所定工程の1つ上流の工程までの第2累積価値を基に、前記最上流の工程から前記所定工程の1つ上流の工程までの第2累積対価額を算出する上流累積対価額算出部と、
前記上流累積対価額算出部により生成された前記第2累積対価額を乱数を用いて秘匿化した対価額コミットメントを生成する対価額コミットメント生成部と、
前記対価額コミットメント生成部により生成された前記対価額コミットメントをブロックチェーンに登録する登録部と、
少なくとも前記第1累積対価額を非開示で前記第2累積対価額の正当性を証明するゼロ知識証明である対価額証明を生成する対価額証明生成部と、
前記第2累積対価額、前記乱数及び前記対価額証明を前記所定工程の1つ上流の工程へ通知するデータ送信部と
を備えたことを特徴とする情報管理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対価分配プログラム、対価分配方法及び情報管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、サプライチェーンにおけるトレーサビリティ管理において、ブロックチェーンを用いた分散台帳技術や、分散台帳に取引条件を記載したスマートコントラクトを管理する技術を適用することが知られている。このような仕組みを活かした、無形価値流通による仮想経済圏は、ソーシャルチェーンなどと呼ばれる。
【0003】
近年では、気候変動、工業用水汚染、水の大量使用など環境問題が取り沙汰されており、サプライチェーンの参加者に、環境負荷を低減させるための意識改革や行動変容を促進させることが望まれる。そこで、これまで価値として認知されていなかった活動を指標化して、その価値を流通させることで、世の中を豊かにする仮想経済圏の実現へ向けた取り組みが進められている。例えば、サプライチェーンの各段階でのCO排出量などの情報を、無形の価値のトークンとして商品に内包させ、生産者から販売者へ、販売者から消費者へと、サプライチェーン全体で循環させる。このようなソーシャルチェーンを利用することで、企業も消費者も、その無形の価値を評価した取引などによる仮想経済の力学により、環境や社会全体にとってより良い結果を生み出すように行動を変化させる。
【0004】
ただし、サプライチェーンには、価値が多少高くても環境に良いものを購入したい消費者にとって、購入しようとする製品がどの様な環境貢献の元で製造されたものか分かりづらいという問題があった。他にも、サプライチェーンには、企業にとって、CO排出量削減やエコ材料使用などの環境貢献のコストを、企業間で不均衡なく回収することが難しく、継続的な環境貢献に結び付きにくいといった問題があった。
【0005】
そこで、ソーシャルチェーンでは、これらの問題を次の2つの視点による解決が検討されている。1つは、無形価値を可視化して流通させる技術である。例えば、サプライチェーンが生み出す無形価値を可視化する証跡管理技術により、無形価値への消費者の関心を喚起することが可能である。また、証跡情報に基づいてトークンを生成するトークン生成技術により、消費者や投資家に無形価値への投資機会を提供することが可能となる。他の1つは、無形価値の適正な対価還元の技術である。例えば、証跡情報に基づいてトークンを分配する対価還元技術により、サプライヤーに対する無形価値への適切な対価の還元を実現することが可能となる。
【0006】
この2つの視点に基づく仕組みとして、無形価値に応じた対価を消費者からサプライチェーンに還元させ、この対価を、ブロックチェーン上で管理されるスマートコントラクトにより、サプライチェーン上の各工程の価値に応じて分配する仕組みが提案されている。
【0007】
このようなスマートコントラクトによりサプライチェーン上の各工程の価値に応じて対価を分配するシステムでは、サプライチェーンのルートに沿って対価分配が行われる場合がある。これは、信頼できる第三者機関を仮定しない場合に、消費者からの対価の各サプライヤーによる直接受け取りが求められることを理由の1つとする。また、プライバシー保護の観点から累積価値を秘匿化する場合、各サプライヤーには1つ上流のサプライヤー以外の累積価値の情報が秘匿化されるため、サプライチェーンのルートに沿った対価分配が仕組みとして容易であることも理由の1つである。また、累積価値を秘匿化しない場合でも、送金手数料やスケーラビリティなどの側面でサプライチェーンのルートに沿った対価分配が行なえると有利であることも理由となる。
【0008】
なお、ブロックチェーンを用いた情報管理技術として、広告主が商品販売実績をゼロ知識証明の形式でブロックチェーン上に記録して、視聴者が広告実績と商品販売実績とを結びつけることで広告の成果を証明する技術が提案されている。また、携帯電話通信の基地局エリア毎にエッジノードを配置してブロックチェーンを構成し、サプライヤーは自己の基地局エリアのエッジノードにスマートコントラクトを要求する技術が提案されている。また、ブロックチェーンを利用する販売者システムにおいて、ゼロ知識証明を用いて販売者及び顧客のアカウントを匿名化する技術が提案されている。また、確率的準同型暗号及びゼロ知識証明を用いて、ブロックチェーン上でコミットメント化された取引金額及びお釣りの整合性を保証する技術が提案されている。さらに、証明者装置が有する秘密情報について証明者装置と複数の検証者装置との間で、複数並行して行われるゼロ知識対話証明プロトコルのセッションを管理する技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許出願公開第2020/0334708号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2022/0038289号明細書
【特許文献3】特表2022-510790号公報
【特許文献4】特表2020-515885号公報
【特許文献5】特開2006-041836号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、プライバシーの保護のために、各工程における証跡情報及び1つ下流の工程までの累積対価が秘匿化される場合がある。この場合、サプライチェーンのルートに沿って対価分配を行なうと、消費者により還元された対価の量が秘匿化された状態では、各工程において得られる対価の量の正当性を確認することが困難となる。例えば、サプライチェーンにおけるいずれかの工程を担当するサプライヤーは、下流の工程のサプライヤーが受け取った対価の量や上流の工程のサプライヤー以外の他のサプライヤーにおける累積価値の値を知り得ないもしくは知ったとしても信用ができない。そのため、サプライヤーは、得られた対価がサプライチェーン全体の中で正当な量であるか否かを判定することは困難となる。このように、従来のプライバシー技術では、対価分配の信頼性を確保することが困難であった。
【0011】
開示の技術は、上記に鑑みてなされたものであって、プライバシーを保護しつつサプライチェーンの信頼性を確保する対価分配プログラム、対価分配方法及び情報管理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本願の開示する対価分配プログラム、対価分配方法及び情報管理装置の一つの態様において、サプライチェーンに含まれる複数の工程のうちの所定工程において、最上流の工程から前記所定工程までの第1累積対価額、前記最上流の工程から前記所定工程までの第1累積価値、前記最上流の工程から前記所定工程の1つ上流の工程までの第2累積価値を基に、前記最上流の工程から前記所定工程の1つ上流の工程までの第2累積対価額を算出し、乱数を用いて前記第2累積対価額を秘匿化した対価額コミットメントを生成し、前記対価額コミットメントをブロックチェーンに登録し、少なくとも前記第1累積対価額を非開示で前記第2累積対価額の正当性を証明するゼロ知識証明である対価額証明を生成し、前記第2累積対価額、前記乱数及び前記対価額証明を前記所定工程の1つ上流の工程へ通知する処理をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0013】
1つの側面では、本発明は、プライバシーを保護しつつ対価分配の信頼性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、サプライチェーンシステムのシステム構成の一例を示す図である。
図2図2は、情報管理装置のブロック図である。
図3図3は、対価正当性証明処理の概略を示す図である。
図4図4は、対価正当性証明処理のフローチャートである。
図5図5は、情報管理装置のハードウェア構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本願の開示する対価分配プログラム、対価分配方法及び情報管理装置の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施例により本願の開示する対価分配プログラム、対価分配方法及び情報管理装置が限定されるものではない。
【実施例0016】
図1は、サプライチェーンシステムのシステム構成の一例を示す図である。本実施例に係るサプライチェーンシステム1は、サプライヤー11~14のそれぞれが有する情報管理装置100A~100D、消費者Pが有する端末装置20及びブロックチェーン管理装置30を含む。以下の説明では、サプライヤー11~14を区別しない場合は、サプライヤー10と呼ぶ。また、各サプライヤー10が有する情報管理装置100A~100Dを区別しない場合は、情報管理装置100と呼ぶ。以下の説明では、サプライチェーンにおいて、ある工程(部品)よりも前の工程(部品)を、上流工程(上流部品)と呼び、ある工程(部品)よりも後の工程(部品)を、下流工程(下流部品)と呼ぶ場合がある。
【0017】
情報管理装置100及び端末装置20とブロックチェーン管理装置30とは、ネットワークを介して接続されており、互いに通信可能とされている。また、サプライチェーンで取引関係のあるサプライヤー10同士、すなわち、サプライヤー11とサプライヤー13と、サプライヤー12とサプライヤー13と、及び、サプライヤー13とサプライヤー14とは、データの送受信を直接行うための通信チャネルを有する。例えば、情報管理装置100Aと情報管理装置100Cと、情報管理装置100Bと情報管理装置100Cと、情報管理装置100Cと情報管理装置100Dとがネットワークで接続される。また、最下流の工程のサプライヤー14と消費者Pとの間には、データの送受信を直接行うための通信チャネルが存在する。例えば、情報管理装置100Dと端末装置20とは、ネットワークで接続される。
【0018】
図1では、一例として4つのサプライヤー11~14及び情報管理装置100A~100Dを図示したが、サプライヤー10及び情報管理装置100の数に特に制限はない。また、サプライチェーンのルートは、枝分かれしていてもよいし、枝分かれしていなくてもよい。
【0019】
本実施形態のサプライチェーンシステム1は、ある製品に関するサプライチェーンにおける製品の工程毎の証跡情報、消費者Pから提供された累積対価額、各工程での累積対価額が秘匿される。そして、これらの情報が秘匿化された状態で、サプライヤー10は、1つ下流の工程のサプライヤー10から提供された累積対価額の正当性を確認することができる。累積価値の正当性は、例えば、あるサプライヤー10が、1つ下流のサプライヤー10から提供された累積対価額が適切であることを確認する際に用いられる。
【0020】
本実施形態のサプライチェーンとは、製造工程における製品の原材料・部品の調達から、製造、在庫管理、販売、配送までを一連のプロセスを意味する。また、本実施形態のサプライチェーンによって製造される製品の部品毎の価値とは、サプライチェーンに含まれる製造工程のうち、部品を製造する工程の価値の一例である。また、本実施形態の部品の価値は、部品の製造工程において生じる環境価値の一例とする。環境価値とは、例えば、環境維持または環境負荷の低減に貢献した度合いを示す指標であってもよい。
【0021】
消費者Pは、サプライチェーンで製造された製品の提供を受ける。そして、消費者Pは、端末装置20を用いて提供された製品及びその製品に付加された累積された無形価値を含む累積価値に対して対価を支払う。支払われた対価は、サプライチェーンのルートに沿って各サプライヤー10に分配されて支払われる。
【0022】
ブロックチェーン管理装置30は、サプライチェーンシステム1に含まれる分散台帳を管理する装置であり、複数の装置を含んでおり、それぞれがP2P(Peer to Peer)方式で接続される。ブロックチェーン管理装置30は、スマートコントラクト管理部31と、ブロックチェーン300とを有する。スマートコントラクト管理部31は、ブロックチェーン300に格納されたスマートコントラクトを管理する。ブロックチェーン300は、サプライチェーンに利用され、累積価値を秘匿化した情報である累積価値コミットメント及び累積価値の正当性を証明するゼロ知識証明である累積価値証明を含む部品情報が格納される。また、ブロックチェーン300は、端末装置20及び各情報管理装置100のそれぞれから送信された対価コミットメントを格納する。
【0023】
端末装置20は、消費者Pからの入力により、サプライチェーンから消費者Pに対して提供された製品及びその製品に付加された累積された無形価値を含む累積価値に対する対価の額を取得する。すなわち、端末装置20は、最上流の工程のサプライヤー11及び12から最下流の工程のサプライヤー14までの累積対価額を取得する。以下の説明では、最上流の工程から1つ上流の工程までの累積対価の額を、「上流累積対価額」と呼ぶ。消費者Pにおける上流累積対価額は、最上流の工程から最下流の工程までの累積対価の額である。
【0024】
そして、端末装置20は、上流累積対価額に対する乱数を生成する。ここで、端末装置20は、上流累積対価額を秘匿化した対価額コミットメントを生成するためのコミットメント関数を有する。そして、端末装置20は、上流累積対価額及び乱数に対してコミットメント関数を用いて対価額コミットメントを生成する。
【0025】
その後、端末装置20は、生成した対価コミットメントをブロックチェーン300に登録する。さらに、端末装置20は、上流累積対価額及び乱数を最下流の工程のサプライヤー14の情報管理装置100Dに通知する。
【0026】
次に、各サプライヤー10における情報管理装置100の機能について説明する。情報管理装置100は、1つ上流の工程のサプライヤー10に対して上流累積対価額の対価を支払う。さらに、情報管理装置100は、消費者Pが還元した対価の額、分配の途中経路における全ての累積価値を秘匿化しつつ、上流累積対価額の正当性を1つ上流の工程のサプライヤー10に対して証明する。
【0027】
図2は、情報管理装置のブロック図である。情報管理装置100は、図2に示すように、累積対価取得部101、データ取得部102、累積価値管理部103、登録部104、データ送信部105,上流累積対価額算出部106、対価額証明生成部107及び対価額コミットメント生成部108を有する。
【0028】
データ取得部102は、サプライチェーンによる消費者Pへの製品提供時に、最上流の工程から1つ上流の工程までの累積価値である上流サプライヤーの累積価値及び1つ上流の工程の情報管理装置100で生成された乱数を1つ上流の工程の情報管理装置100から取得する。以下では、1つ上流の工程の情報管理装置100で生成された乱数を、「上流乱数」と呼ぶ。また、データ取得部102は、自工程の証跡情報を有する。証跡情報は、工程が行われたこと示す証跡であり、自工程において計測される各種の値を含む。例えば、証跡情報は、前回部品を製造したときと今回同じ部品を製造したときとの削減された電力である消費電力削減量などの環境価値や部品の性能や耐久性等を示す情報を含む。単体価値は、自工程のサプライヤー10において行われる工程において確定される。証跡情報には、その証跡情報を生成した機器などの電子署名が含まれる。証跡情報は、電子署名を含むことで、正しい情報であることが証明される。
【0029】
そして、データ取得部102は、証跡情報、上流乱数及び取得した上流サプライヤーの累積価値を累積価値管理部103へ出力する。
【0030】
また、データ取得部102は、消費者Pにより支払われた対価の分配時に、1つ下流の工程の情報管理装置100により算出された上流累積対価額を、最上流の工程から自己の工程までの累積対価額として1つ下流の工程の情報管理装置100から取得する。また、データ取得部102は、1つ下流の工程の情報管理装置100により生成された乱数及び対価額証明を1つ下流の工程の情報管理装置100から取得する。ただし、最下流の工程の情報管理装置100Dの場合、データ取得部102は、累積対価額及び乱数を消費者Pの端末装置20から取得する。消費者Pから送信される累積対価は累積価値に対する対価であり、その正当性は最下流の工程のサプライヤー10にとって確認が容易であるため、最下流の工程の情報管理装置100Dのデータ取得部102は、対価額証明を受け取らなくてもよい。以下では、1つ下流の工程の情報管理装置100により生成された乱数を、「下流乱数」と呼ぶ。
【0031】
また、データ取得部102は、1つ下流の工程の情報管理装置100により生成された対価額コミットメントをブロックチェーン300から取得する。
【0032】
そして、データ取得部102は、累積対価額及び対価額証明を上流累積対価額算出部106へ出力する。また、データ取得部102は、累積対価額、下流乱数及び1つ下流の工程の情報管理装置100により生成された対価額コミットメントを対価額証明生成部107へ出力する。
【0033】
累積価値管理部103は、サプライチェーンによる消費者Pへの製品提供時に、累積価値の算出、累積価値コミットメントの生成及び累積価値証明の生成を行う。具体的には、累積価値管理部103は、証跡情報、上流乱数及び取得した上流サプライヤーの累積価値の入力をデータ取得部102から受ける。そして、累積価値管理部103は、証跡情報を用いて、自工程のサプライヤー10において行われる部品製造の工程の単体価値を算出する。次に、累積価値管理部103は、算出した単体価値と上流サプライヤーの累積価値とを合算して累積価値を算出する。さらに、累積価値算出部103は、算出した累積価値に対する乱数を生成する。
【0034】
次に、累積価値管理部103は、算出した累積価値及び乱数を入力として、コミット関数を用いて累積価値コミットメントを生成する。累積価値コミットメントは、秘匿化された累積価値の情報であり且つ変更することができない性質の値である。
【0035】
次に、累積価値管理部103は、算出した累積価値が正当な値であることを証明するゼロ知識証明である累積価値証明を生成する。ゼロ知識証明とは、「命題が真である」こと以外の情報を知らせずに、「命題が真である」ことを証明する技術である。すなわち、この累積価値証明は、特定のサプライヤー10しか知り得ない情報から生成された累積価値証明及び累積価値コミットメントから、特定のサプライヤー10における累積価値が不明な状態で、その累積価値が正当な値であることを検証可能にする。具体的には、累積価値管理部103は、生成した乱数、証跡情報、上流サプライヤーの累積価値及び上流乱数を用いて累積価値証明を生成する。
【0036】
その後、累積価値管理部103は、生成した累積価値コミットメント及び累積価値証明を登録部104へ出力する。また、累積価値管理部103は、上流サプライヤーの累積価値及び算出した累積価値を上流累積対価額算出部106へ出力する。また、累積価値管理部103は、生成した累積価値及び乱数をデータ送信部105へ出力する。
【0037】
対価取得部101は、1つ下流の工程の情報管理装置100によってブロックチェーン300に登録された自装置宛ての送金トランザクションにより最上流の工程から自工程までの累積対価を取得する。
【0038】
上流累積対価額算出部106は、累積対価額及び対価額証明の入力をデータ取得部102から受ける。次に、上流累積対価額算出部106は、対価額証明を基に自工程までの累積対価額の正当性を確認する。上流累積対価額算出部106は、自工程までの累積対価額の正当性が確認できると、以下の処理を行う。
【0039】
上流累積対価額算出部106は、上流サプライヤーの累積価値及び累積価値管理部103により算出された累積価値の入力を累積価値管理部103から受ける。そして、上流累積対価額算出部106は、累積対価額を自工程の累積価値で除算して上流サプライヤーの累積価値を乗算した値を、最上流の工程から1つ上流の工程までの累積対価額である上流累積対価額として算出する。例えば、上流サプライヤーの累積価値をV1とし、自工程の単体価値をV2の場合、自工程までの累積価値は、V1+V2である。そこで、自工程までの累積価値をV3とした場合、上流累積対価額算出部106は、上流累積対価額をV3×(V1/V1+V2)により算出する。
【0040】
その後、上流累積対価額算出部106は、算出した上流累積対価額をデータ送信部105及び対価額コミットメント生成部108へ出力する。
【0041】
対価額コミットメント生成部108は、上流累積対価額算出部106により算出された上流累積対価額の入力を上流累積対価額算出部106から受ける。次に、対価額コミットメント生成部108は、上流累積対価額に対する乱数を生成する。ここで、対価額コミットメント生成部108は、対価額コミットメントを生成するためのコミットメント関数を有する。そして、対価額コミットメント生成部108は、上流累積対価額及び生成した乱数を入力として、コミットメント関数を用いて対価額コミットメントを生成する。対価額コミットメントは、秘匿された上流累積対価額の情報であり且つ変更することができない性質の値である。その後、対価額コミットメント生成部108は、生成した対価額コミットメントを対価額証明生成部107及び登録部104へ出力する。
【0042】
対価額証明生成部107は、対価額証明を生成する。対価額証明は、累積価値、累積対価額及び下流乱数を非開示で、累積対価額、下流乱数、1つ下流の工程の対価額コミットメント、上流サプライヤーの累積価値及び累積価値により上流累積対価の正当性を証明するゼロ知識証明である。具体的には、対価額証明生成部107は、累積対価額、下流乱数及び1つ下流の工程の情報管理装置100により生成された対価額コミットメントの入力をデータ取得部102から受ける。また、対価額証明生成部107は、上流サプライヤーの累積価値及び累積価値管理部103により算出された累積価値の入力を累積価値管理部103から受ける。そして、対価額証明生成部107は、累積対価額、下流乱数、1つ下流の工程の情報管理装置100により生成された対価額コミットメント、上流サプライヤーの累積価値及び累積価値管理部103により算出された累積価値を用いて、対価額証明を生成する。その後、対価額証明生成部107は、生成した対価額証明をデータ送信部105へ出力する。
【0043】
登録部104は、サプライチェーンによる消費者Pへの製品提供時に、生成した累積価値コミットメント及び累積価値証明の入力を累積価値管理部103から受ける。次に、登録部104は、累積価値コミットメント及び累積価値証明を引数とした部品トランザクションを実行する。これにより、登録部104は、累積価値コミットメント及び累積価値証明をブロックチェーン300に登録する。
【0044】
また、対価分配時に、登録部104は、対価額コミットメントの入力を対価額コミットメント生成部108から受ける。そして、登録部104は、1つ上流の工程のサプライヤー10を宛先として対価額コミットメントを送信する送金トランザクションを実行する。これにより、登録部104は、対価額コミットメントをブロックチェーン300に登録する。
【0045】
データ送信部105は、サプライチェーンによる消費者Pへの製品提供時に、累積価値及び累積価値に対応する乱数の入力を累積価値管理部103から受ける。そして、データ送信部105は、累積価値及び累積価値に対応する乱数を下流の情報管理装置100へ送信する。
【0046】
また、対価分配時に、データ送信部105は、上流累積対価額及び上流累積対価額に対する乱数の入力を上流累積対価額算出部106から受ける。また、データ送信部105は、対価額証明を対価額証明生成部107から受ける。そして、データ送信部105は、上流累積対価額、上流累積対価額、上流累積対価額に対する乱数及び対価額証明を1つ上流の工程の情報管理装置100へ送信する。
【0047】
図3は、対価正当性証明処理の概略を示す図である。次に、図3を参照して、消費者Pから還元された対価額及び分配の途中経路における累積価値を秘匿しつつ、上流のサプライヤー10へ分配する対価額の正当性を証明する情報管理装置100による対価正当性証明処理の概略についてまとめて説明する。
【0048】
ここでは、サプライヤー11~14が存在し、サプライヤー11及び12がサプライヤー13に部品を提供し、サプライヤー13がサプライヤー14に部品を提供し、サプライヤー14が製品を消費者Pに提供する場合で説明する。この場合、サプライヤー11の工程までの累積価値が累積価値aであり、サプライヤー12の工程までの累積価値が累積価値bである。また、サプライヤー13の工程では単体価値cであり且つ累積価値は累積価値dである。すなわち、累積価値dは、(d)=(a)+(b)+(c)として求められる。また、サプライヤー14の工程までの累積価値が累積価値eである。
【0049】
消費者Pは、累積価値eを有する製品に対して、上流累積対価額r1を還元すると決定する。そして、消費者Pの端末装置20は、上流累積対価額r1に対する乱数rd1を生成し、上流累積対価額r1及び乱数rd1を入力としてコミットメント関数を用いて、上流累積対価額r1を秘匿化した対価額コミットメントc1を生成する。そして、端末装置20は、対価額コミットメントc1をブロックチェーン300に記録する(ステップS1)。図3では、対価額コミットメントc1を(c1)として示すように、記号を括弧で囲ってそれぞれの情報を省略して示す場合がある。
【0050】
次に、端末装置20は、上流累積対価額r1及び乱数rd1を最下流の工程のサプライヤー14に通知する(ステップS2)。サプライヤー14において、上流累積対価額r1は自工程までの累積対価額として取り扱われる。ここでは、サプライヤー14の情報管理装置100Dにおける自工程までの累積対価額を、上流累積対価額r1として表す。
【0051】
サプライヤー14の情報管理装置100Dは、消費者Pから通知された上流累積対価額r1及び乱数rd1を取得する。次に、情報管理装置100Dは、保持する累積価値e及び上流サプライヤーの累積価値dを基に上流累積対価額r2を算出する。具体的には、情報管理装置100Dは、(r2)=(r1)*(d)/(e)として上流累積対価額r2を算出する(ステップS3)。
【0052】
次に、情報管理装置100Dは、上流累積対価額r2に対する乱数rd2を生成する(ステップS4)。
【0053】
次に、情報管理装置100Dは、上流累積対価額r2及び乱数rd2を入力としてコミットメント関数を用いて、対価額コミットメントc2を生成する(ステップS5)。
【0054】
次に、情報管理装置100Dは、対価額コミットメントc2をブロックチェーン300に記録する(ステップS6)。
【0055】
次に、情報管理装置100Dは、消費者Pから通知された上流累積対価額r1、下流乱数、対価額コミットメントc1、上流サプライヤーの累積価値d及び累積価値eを用いて、対価額証明P2を生成する(ステップS7)。
【0056】
その後、情報管理装置100Dは、自己が算出した上流累積対価額r2、乱数rd2及び対価額証明P2をサプライヤー13へ通知する(ステップS8)。図3では、対価額証明を単に「証明」と図示した。
【0057】
サプライヤー13の情報管理装置100Cは、サプライヤー14から通知された上流累積対価額r2、乱数rd2及び対価額証明P2を取得する。次に、情報管理装置100Cは、保持する自工程の累積価値d及びサプライヤー11の累積価値aを基に上流累積対価額r3を算出する。具体的には、情報管理装置100Dは、(r3)=(r2)*(a)/(a)+(b)+(c)=(r2)*(a)/(d)として上流累積対価額r3を算出する(ステップS9)。
【0058】
次に、情報管理装置100Cは、上流累積対価額r3に対する乱数rd3を生成する(ステップS10)。
【0059】
次に、情報管理装置100Cは、上流累積対価額r3及び乱数rd3を入力としてコミットメント関数を用いて、対価額コミットメントc3を生成する(ステップS11)。
【0060】
次に、情報管理装置100Cは、対価額コミットメントc3をブロックチェーン300に記録する(ステップS12)。
【0061】
次に、情報管理装置100Cは、サプライヤー14から通知された上流累積対価額r2、下流乱数、対価額コミットメントc2、サプライヤー11の累積価値a及び累積価値dを用いて、対価額証明P3を生成する(ステップS13)。
【0062】
その後、情報管理装置100Cは、自己が算出した上流累積対価額r3、乱数rd3及び対価額証明P3をサプライヤー11へ通知する(ステップS14)。
【0063】
また、情報管理装置100Cは、保持する累積価値d及びサプライヤー12の累積価値bを基に上流累積対価額r4を算出する。具体的には、情報管理装置100Cは、(r4)=(r2)*(b)/(a)+(b)+(c)=(r2)*(b)/(d)として上流累積対価額r4を算出する(ステップS15)。
【0064】
次に、情報管理装置100Cは、上流累積対価額r4に対する乱数rd4を生成する(ステップS16)。
【0065】
次に、情報管理装置100Cは、上流累積対価額r4及び乱数rd4を入力としてコミットメント関数を用いて、対価額コミットメントc4を生成する(ステップS17)。
【0066】
次に、情報管理装置100Cは、対価額コミットメントc4をブロックチェーン300に記録する(ステップS18)。
【0067】
次に、情報管理装置100Cは、サプライヤー14から通知された上流累積対価額r2、下流乱数、対価額コミットメントc2、サプライヤー12の累積価値b及び累積価値dを用いて、対価額証明P4を生成する(ステップS19)。
【0068】
その後、情報管理装置100Cは、自己が算出した上流累積対価額r4、乱数rd4及び対価額証明P4をサプライヤー12へ通知する(ステップS20)。
【0069】
この場合、サプライヤー11~13は、1つ下流の工程のサプライヤー10から取得した対価額証明P2~P4のそれぞれにより、受け取った累積対価額が真であることを検証できる。
【0070】
図4は、対価正当性証明処理のフローチャートである。次に、図4を参照して、情報管理装置100による対価正当性証明処理の流れについて説明する。
【0071】
データ取得部102は、1つ下流の工程のサプライヤー10から通知された累積対価額、乱数及び対価額証明を取得する(ステップS101)。そして、データ取得部102は、累積対価額及び対価額証明を上流累積対価額算出部106へ出力する。また、データ取得部102は、累積対価額、下流乱数及び1つ下流の工程の情報管理装置100により生成された対価額コミットメントを対価額証明生成部107へ出力する。ここで、最下流の工程の情報管理装置100であれば、データ取得部102は、対価額証明を取得しなくてもよい。
【0072】
上流累積対価額算出部106は、累積対価額、上流サプライヤーの累積価値及び自工程までの累積価値を基に上流累積対価額を計算する(ステップS102)。そして、上流累積対価額算出部106は、データ送信部105及び対価額コミットメント生成部108に上流累積対価額を出力する。
【0073】
次に、対価額コミットメント生成部108は、上流累積対価額算出部106により算出された上流累積対価額に対する乱数を生成する(ステップS103)。
【0074】
次に、対価額コミットメント生成部108は、上流累積対価額及び上流累積対価額に対する乱数を入力としてコミットメント関数を用いて、対価額コミットメントを生成する(ステップS104)。そして、対価額コミットメント生成部108は、生成した対価額コミットメントを登録部104へ出力する。
【0075】
登録部104は、対価額コミットメント生成部108により生成された対価額コミットメントをブロックチェーン300に記録する(ステップS105)。
【0076】
次に、対価額証明生成部107は、1つ上流の工程の情報管理装置100により登録された対価額コミットメントをブロックチェーン300から取得する。次に、対価額証明生成部107は、累積対価額、下流乱数、1つ上流の工程の対価額コミットメント、上流サプライヤーの累積価値及び自工程までの累積価値を用いて、対価額証明を生成する(ステップS106)。そして、対価額証明生成部107は、生成した対価額証明をデータ送信部105へ出力する。
【0077】
データ送信部105は、上流累積対価額算出部106により算出された上流累積対価額及び上流累積対価額に対する乱数、並びに、対価額証明生成部107により生成された対価額証明を1つ上流のサプライヤー10へ通知する(ステップS107)。
【0078】
以上に説明したように、本実施例に係る情報管理装置は、算出した最上流の工程から1つ上流の工程までの累積対価額を秘匿化した対価額コミットメントをブロックチェーンに登録する。さらに、情報管理装置は、最上流の工程から1つ上流の工程までの累積対価額と共に、1つ上流の工程までの累積対価額が正当であることを証明するゼロ知識証明である対価額証明を1つ上流の工程のサプライヤーに通知する。1つ上流のサプライヤーは、消費者により還元された累積対価額及び分配途中における全ての累積対価額を知らなくても、対価額証明を用いて分配された累積対価額が正当であることを確認できる。これにより、各工程での累積対価額を秘匿したまま、適切な対価分配を行なうことができる。したがって、プライバシーを確保するとともにプライチェーンの信頼性を確保することが可能となる。
【0079】
(ハードウェア構成)
図5は、情報管理装置のハードウェア構成図である。次に、図5を参照して、実施例に係る情報管理装置100のハードウェア構成について説明する。
【0080】
本実施形態の情報管理装置100は、それぞれバス99で相互に接続されている入力装置91、出力装置92、ドライブ装置93、補助記憶装置94、メモリ装置95、演算処理装置96及びインターフェース装置97を含む情報処理装置である。
【0081】
入力装置91は、各種の情報の入力を行うための装置であり、出力装置92は、各種の情報の出力を行うための装置である。インターフェース装置97は、LAN(Local Area Network)カード等を含み、ネットワークに接続する為に用いられる。
【0082】
情報管理装置100が有する情報秘匿化プログラムは、情報管理装置100の有する各種プログラムの少なくとも一部である。
【0083】
これらのプログラムは、例えば記憶媒体98の配布やネットワークからのダウンロード等によって提供される。また、これらのプログラムを記録した記憶媒体98は、CD-ROM(Compact Disk-Read Only Memory)、フレキシブルディスク、光磁気ディスク等の様に情報を光学的、電気的或いは磁気的に記録する記憶媒体、ROM、フラッシュメモリ等の様に情報を電気的に記録する半導体メモリ等、様々なタイプの記憶媒体を用いることができる。
【0084】
また、情報秘匿化プログラムは、これらを記録した記憶媒体98がドライブ装置93にセットされると、記憶媒体98からドライブ装置93を介して補助記憶装置94にインストールされる。ネットワークからダウンロードされた情報秘匿化プログラムは、インターフェース装置97を介して補助記憶装置94にインストールされる。
【0085】
補助記憶装置94は、インストールされたプログラムを格納すると共に、必要なファイル、データ等を格納する。演算処理装置96は、情報管理装置100の起動時に補助記憶装置94から各種のプログラムを読み出してメモリ装置95に展開して格納する。そして、演算処理装置96は、メモリ装置95に格納されたプログラムを実行することで、図2に例示した、累積対価取得部101、データ取得部102、累積価値管理部103及び登録部104の機能を実現する。また、演算処理装置96は、データ送信部105、上流累積対価額算出部106、対価額証明生成部107及び対価額コミットメント生成部108の機能を実現する。
【0086】
上記実施例で説明したサプライチェーンシステムは、上流の工程から取得した物に手を加えて付加価値を追加して下流の工程に渡していくサプライチェーンであれば適用可能である。例えば、適用可能なサプライチェーンとしては、機械の部品を付加して製品を製造するサプライチェーン、サブコンポーネントを各工程で順次付加していくようなソフトウェアに関するサプライチェーンなどがある。他にも、適用可能なサプライチェーンとして、原稿をアレンジして次に渡すような出版に関するサプライチェーンなどでもよい。
【符号の説明】
【0087】
1 サプライチェーンシステム
10~14 サプライヤー
20 端末装置
30 ブロックチェーン管理装置
31 スマートコントラクト管理部
100、100A~100D 情報管理装置
101 累積対価取得部
102 データ取得部
103 累積価値管理部
104 登録部
105 データ送信部
106 上流累積対価額算出部
107 対価額証明生成部
108 対価額コミットメント生成部
図1
図2
図3
図4
図5