(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024024559
(43)【公開日】2024-02-22
(54)【発明の名称】竪型ローラミル及び減速装置のメンテナンス方法
(51)【国際特許分類】
B02C 15/04 20060101AFI20240215BHJP
【FI】
B02C15/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022127482
(22)【出願日】2022-08-09
(71)【出願人】
【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118784
【弁理士】
【氏名又は名称】桂川 直己
(72)【発明者】
【氏名】安藤 文典
(72)【発明者】
【氏名】周藤 俊之
(72)【発明者】
【氏名】堀田 滋
(72)【発明者】
【氏名】笠井 大輔
(72)【発明者】
【氏名】高木 方勝
(72)【発明者】
【氏名】松田 優輝
【テーマコード(参考)】
4D063
【Fターム(参考)】
4D063EE03
4D063EE12
4D063EE21
4D063EE22
4D063EE24
4D063GC05
4D063GC12
4D063GC19
4D063GC21
4D063GC32
4D063GD12
4D063GD13
4D063GD19
(57)【要約】
【課題】竪型ローラミルの簡素な構造を実現する。
【解決手段】竪型ローラミルは、回転テーブルと、複数の粉砕ローラと、複数のローラ組立体と、複数のスタンド部と、を備える。前記回転テーブルは、回転可能に設けられる。複数の前記ローラ組立体には、複数の粉砕ローラがそれぞれ設けられる。前記回転テーブルの周囲に配置される複数の前記スタンド部は、第1スタンド部を含む。前記第1スタンド部は、前記回転テーブルの周方向で隣接して配置される複数の前記ローラ組立体を支持する。前記第1スタンド部は、複数のスタンド脚部と、梁部と、を有する。前記スタンド脚部は、上下方向に延びるように設けられるとともに、前記回転テーブルの周方向で対をなすように配置される。前記梁部は、前記スタンド脚部の上部同士を、前記回転テーブルの周方向で繋ぐ。前記第1スタンド部は、前記スタンド脚部と前記梁部とにより門形状に構成される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転可能に設けられた回転テーブルと、
前記回転テーブル上の粉砕対象物に押し付けられて、前記粉砕対象物を粉砕可能な複数の粉砕ローラと、
前記粉砕ローラがそれぞれ設けられた複数のローラ組立体と、
前記回転テーブルの周囲に配置され、前記ローラ組立体を支持する複数のスタンド部と、
を備え、
前記スタンド部は、前記回転テーブルの周方向で隣接して配置される複数の前記ローラ組立体を支持する第1スタンド部を含み、
前記第1スタンド部は、
上下方向に延びるように設けられるとともに、前記回転テーブルの周方向で対をなすように配置された複数のスタンド脚部と、
前記スタンド脚部の上部同士を、前記回転テーブルの周方向で繋ぐ梁部と、
を有し、
前記第1スタンド部は、前記スタンド脚部と前記梁部とにより門形状に構成される、竪型ローラミル。
【請求項2】
請求項1に記載の竪型ローラミルであって、
平面視で、前記第1スタンド部の周方向の長さの2等分点から周方向一側で最も近い前記スタンド脚部と、前記2等分点から周方向他側で最も近い前記スタンド脚部と、の間に、複数の前記ローラ組立体が配置されている、竪型ローラミル。
【請求項3】
請求項1に記載の竪型ローラミルであって、
前記第1スタンド部は、2つの前記ローラ組立体を支持する、竪型ローラミル。
【請求項4】
請求項3に記載の竪型ローラミルであって、
駆動源から入力された回転を減速して前記回転テーブルへ伝達する減速装置を備え、
前記第1スタンド部における前記スタンド脚部の間の寸法が、減速装置の寸法よりも大きい、竪型ローラミル。
【請求項5】
請求項1に記載の竪型ローラミルであって、
前記第1スタンド部がコンクリートを含む材料で構成されている、竪型ローラミル。
【請求項6】
請求項1に記載の竪型ローラミルであって、
前記ローラ組立体が6つ以上である、竪型ローラミル。
【請求項7】
請求項1に記載の竪型ローラミルであって、
前記第1スタンド部において、前記スタンド脚部と前記ローラ組立体とは、位相が互いに異なるように配置される、竪型ローラミル。
【請求項8】
回転可能に設けられた回転テーブルと、
前記回転テーブル上の粉砕対象物に押し付けられて、前記粉砕対象物を粉砕可能な複数の粉砕ローラと、
前記複数の粉砕ローラがそれぞれ設けられた複数のローラ組立体と、
前記回転テーブルの周囲に配置され、前記ローラ組立体を支持する複数のスタンド部と、
駆動源から入力された回転を減速して前記回転テーブルへ伝達する減速装置と、
を備える竪型ローラミルにおける、前記減速装置のメンテナンス方法であって、
前記スタンド部は、前記回転テーブルの周方向で隣接して配置される複数の前記ローラ組立体を支持する第1スタンド部を含み、
前記第1スタンド部は、
上下方向に延びるように設けられるとともに、前記回転テーブルの周方向で対をなすように配置された複数のスタンド脚部と、
前記スタンド脚部の上部同士を、前記回転テーブルの周方向で繋ぐ梁部と、
を有し、
前記第1スタンド部は、前記スタンド脚部と前記梁部とにより門形状に構成されており、
前記減速装置を、前記第1スタンド部の内部空間を通過して前記竪型ローラミルの外部へ引き出す工程を含む、減速装置のメンテナンス方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、竪型ローラミルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、粉砕対象物を粉砕するための竪型ローラミルが知られている。特許文献1は、この種の竪型ローラミルを開示する。
【0003】
特許文献1のローラミルは、回転テーブルと、複数の粉砕ローラと、スタンド部と、を備える。回転テーブルは、減速装置の上方に配置されている。回転テーブルは、減速装置を介して連結された回転駆動部により回転駆動される。複数の粉砕ローラは、回転テーブルの周囲に配置されている。複数の粉砕ローラは、それぞれ、押圧駆動部により回転テーブルに押し付けられる。ローラミルは、回転テーブルと複数の粉砕ローラとの間に対象物を噛み込ませて粉砕する。
【0004】
スタンド部は、回転テーブル及び複数の粉砕ローラを支持している。詳細には、スタンド部は、アーム支持部と、押付駆動装置支持部と、を備える。押付駆動装置支持部は、回転テーブル及び押圧駆動部を支持している。押付駆動装置支持部は、回転テーブルの下方に配置された減速装置をその外側から囲むように設けられている。押付駆動装置支持部の上に、アーム支持部が設けられている。アーム支持部は、複数の粉砕ローラのそれぞれに対応するように複数設けられている。各アーム支持部に、対応する粉砕ローラが設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の構成では、スタンド部は、アーム支持部と押付駆動装置支持部とを備え、回転テーブル及び複数の粉砕ローラを支持するために上下方向において複数の階層を備えるように構成されている。そのため、スタンド部の構造が複雑となっていた。
【0007】
本開示は以上の事情に鑑みてされたものであり、竪型ローラミルの簡素な構成を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
【0009】
本開示の第1の観点によれば、以下の構成の竪型ローラミルが提供される。即ち、この竪型ローラミルは、回転テーブルと、複数の粉砕ローラと、複数のローラ組立体と、複数のスタンド部と、を備える。前記回転テーブルは、回転可能に設けられる。前記粉砕ローラは、前記回転テーブル上の粉砕対象物に押し付けられて、前記粉砕対象物を粉砕可能である。前記ローラ組立体には、前記複数の粉砕ローラがそれぞれ設けられる。前記スタンド部は、前記回転テーブルの周囲に配置され、前記ローラ組立体を支持する。前記スタンド部は、第1スタンド部を含む。前記第1スタンド部は、前記回転テーブルの周方向で隣接して配置される複数の前記ローラ組立体を支持する。前記第1スタンド部は、複数のスタンド脚部と、梁部と、を有する。前記スタンド脚部は、上下方向に延びるように設けられるとともに、前記回転テーブルの周方向で対をなすように配置される。前記梁部は、前記スタンド脚部の上部同士を、前記回転テーブルの周方向で繋ぐ。前記第1スタンド部は、前記スタンド脚部と前記梁部とにより門形状に構成される。
【0010】
これにより、複数のスタンド部が門形状に形成されるので、スタンド部を簡単な構造とすることができる。
【0011】
本開示の第2の観点によれば、以下の減速装置のメンテナンス方法が提供される。即ち、この減速装置のメンテナンス方法は、回転テーブルと、複数の粉砕ローラと、複数のローラ組立体と、複数のスタンド部と、減速装置と、を備える竪型ローラミルに適用される。前記回転テーブルは、回転可能に設けられる。前記粉砕ローラは、前記回転テーブル上の粉砕対象物に押し付けられて、前記粉砕対象物を粉砕可能である。前記ローラ組立体には、前記複数の粉砕ローラがそれぞれ設けられる。前記スタンド部は、前記回転テーブルの周囲に配置され、前記ローラ組立体を支持する。前記減速装置は、駆動源から入力された回転を減速して前記回転テーブルへ伝達する。前記スタンド部は、第1スタンド部を含む。前記第1スタンド部は、前記回転テーブルの周方向で隣接して配置される複数の前記ローラ組立体を支持する。前記第1スタンド部は、複数のスタンド脚部と、梁部と、を有する。前記スタンド脚部は、上下方向に延びるように設けられるとともに、前記回転テーブルの周方向で対をなすように配置される。前記梁部は、前記スタンド脚部の上部同士を、前記回転テーブルの周方向で繋ぐ。前記第1スタンド部は、前記スタンド脚部と前記梁部とにより門形状に構成されている。メンテナンス方法は、前記減速装置を、前記第1スタンド部の内部空間を通過して前記竪型ローラミルの外部へ引き出す工程を含む。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、竪型ローラミルの簡素な構造を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本開示の一実施形態に係る竪型ローラミルの全体的な構成を示す断面図。
【
図3】減速装置がメンテナンスのために竪型ローラミルの下部から引き出される様子を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、図面を参照して本開示の実施の形態を説明する。
図1は、本開示の一実施形態に係る竪型ローラミル1の全体的な構成を示す断面図である。
【0015】
図1に示す竪型ローラミル1は、工場の床面等の設置面50に固定されている。竪型ローラミル1は、投入された対象物を粉砕することができる。粉砕対象物としては、例えばセメント、スラグ、石炭等を挙げることができるが、これに限定されない。
【0016】
竪型ローラミル1は、ハウジング11と、回転テーブル12と、減速装置13と、複数の粉砕ローラ14と、複数のローラ組立体15と、複数の押圧駆動部16と、複数のスタンド部20と、分級装置17と、を備える。
【0017】
ハウジング11は、中空状に形成されている。回転テーブル12及び粉砕ローラ14は、ハウジング11の内部に配置されている。
【0018】
回転テーブル12は、上下方向に延びる回転軸を中心として回転可能に支持されている。この回転軸は、実質的に竪型ローラミル1の中心ということができる。平面視で回転テーブル12を取り囲むように、複数のスタンド部20が配置される。
【0019】
回転テーブル12は、駆動源としての電動モータ31により回転する。電動モータ31は、竪型ローラミル1の中心から少し離れた場所に配置され、設置面50に固定される。
【0020】
減速装置13は、回転テーブル12の下方に配置され、設置面50に固定される。減速装置13は、例えば遊星歯車装置として構成することができるが、これに限定されない。
【0021】
減速装置13の入力軸は、電動モータ31の出力軸と、伝動軸32を介して連結されている。減速装置13の出力側には回転テーブル12が取り付けられている。
【0022】
この構成で、電動モータ31の出力軸の回転が、伝動軸32を介して減速装置13に伝達される。減速装置13は、入力された回転を減速して回転テーブル12に伝達する。この結果、回転テーブル12が回転する。
【0023】
回転テーブル12よりも上方には、筒状の投入ガイド33が設けられている。投入ガイド33は、回転テーブル12上に粉砕対象物を案内することができる。投入ガイド33は、ハウジング11を貫通するように斜めに配置されている。
【0024】
回転テーブル12は平面視で円形に形成されている。回転テーブル12は、投入ガイド33を通過して落下した粉砕対象物を上面で受けることができる。回転テーブル12の周囲に、複数の粉砕ローラ14が配置されている。
【0025】
複数の粉砕ローラ14は、回転テーブル12の上面の周縁部に載るように配置されている。複数の粉砕ローラ14は、回転テーブル12の周方向に並べて配置されている。本実施形態では、6つの粉砕ローラ14が等角度間隔で配置されているが、不等間隔で配置されても良い。以下では、回転テーブル12の周方向を、単に周方向と呼ぶことがある。
【0026】
それぞれの粉砕ローラ14は、ローラ組立体15及び押圧駆動部16により、回転テーブル12の上面の周縁部に対して近づいたり離れたりすることができる。各粉砕ローラ14は、回転テーブル12上の粉砕対象物に押し付けられて、この粉砕対象物を粉砕する。
【0027】
複数のローラ組立体15は、複数の粉砕ローラ14のそれぞれに対応するように、回転テーブル12の周囲に複数設けられている。複数のローラ組立体15のそれぞれは、粉砕ローラ14を支持している。
【0028】
それぞれのローラ組立体15は、第1アーム51と、第2アーム52と、を有する。第1アーム51の一端部には、粉砕ローラ14が取り付けられている。第1アーム51の他端部には、第2アーム52の一端部が連結されている。
【0029】
第1アーム51は、平面視で回転テーブル12の径方向に延びるように設けられている。第1アーム51は、水平な軸を介してスタンド部20に支持されており、スタンド部20に対して回転可能である。
【0030】
第1アーム51は、ハウジング11を貫通するように配置されている。ハウジング11の内側において、第1アーム51の先端部に粉砕ローラ14が回転可能に支持されている。
【0031】
第2アーム52は、上下方向に延びるように設けられている。第2アーム52の長手方向中途部が、対応するスタンド部20に対して、水平な軸を中心として回転可能に支持されている。
【0032】
第2アーム52は、ハウジング11の外側近傍に位置する。第2アーム52は、スタンド部20において、ハウジング11に近い側の端部近傍に配置されている。ハウジング11の外側において、第2アーム52の上端部に第1アーム51が連結されている。
【0033】
押圧駆動部16は、複数のローラ組立体15のそれぞれに対して設けられる。押圧駆動部16は、ローラ組立体15よりも下方に配置されている。それぞれの押圧駆動部16は、ローラ組立体15を介して、粉砕ローラ14を回転テーブル12に押し付けることができる。
【0034】
押圧駆動部16は、本実施形態では油圧シリンダ装置である。油圧シリンダの一端部は第2アーム52の下端部に連結され、他端部は設置面50側に連結されている。油圧シリンダを伸縮させることで、粉砕ローラ14を回転テーブル12に対して接近又は離間させることができる。ただし、押圧駆動部16の構成は油圧シリンダに限定されない。
【0035】
押圧駆動部16は、回転テーブル12に対して粉砕ローラ14を強力に押し付けることができる。回転テーブル12に供給された粉砕対象物は、粉砕ローラ14と回転テーブル12との間で粉砕される。
【0036】
ハウジング11の下部には、熱風供給口35が設けられている。熱風供給口35には、図示しないダクトを介して、適宜の熱風供給源が接続されている。熱風供給口35からハウジング11の内部に供給された熱風は、回転テーブル12で粉砕された被粉砕物を吹き上げる。
【0037】
分級装置17は、回転テーブル12の上方に配置されている。分級装置17は、熱風によって吹き上げられた被粉砕物を分級することができる。
【0038】
分級装置17は、セパレータ41と、戻しガイド42と、を有する。
【0039】
セパレータ41は、ハウジング11内において回転テーブル12の上方に配置されている。セパレータ41は、セパレータ駆動装置43(例えば電動モータ)により駆動される。
【0040】
戻しガイド42は、上下方向において回転テーブル12とセパレータ41との間に配置されている。戻しガイド42は、漏斗状に形成されており、下側開口を回転テーブル12に対面させ、かつ、上側開口をセパレータ41に向けている。
【0041】
精粉排出ダクト44は、ハウジング11の上部に設けられている。セパレータ41は、移送された粉砕物のうち所定の粒度(粒径)よりも細かい精粉を、精粉排出ダクト44から排出する。残りの粉砕物は、戻しガイド42を介して回転テーブル12上に戻され、再び粉砕ローラ14によって粉砕される。
【0042】
複数のスタンド部20は、それぞれの粉砕ローラ14に位置を対応させるように、回転テーブル12の周囲(ハウジング11の外側)に設けられている。複数のスタンド部20のそれぞれに、1つ又は2つのローラ組立体15が支持されている。
【0043】
次に、
図2を参照して、複数のスタンド部20について詳細に説明する。
図2は、竪型ローラミル1の下部を示す斜視図である。ただし、
図2においてハウジング11、投入ガイド33及び戻しガイド42等は省略されている。
【0044】
スタンド部20は、平面視で回転テーブル12及び減速装置13を取り囲むように、適宜の間隔をあけて周方向に並べて配置されている。複数のスタンド部20は何れも、補強材としての鉄筋が埋め込まれたコンクリートで構成されている。
【0045】
本実施形態の竪型ローラミル1は、5つのスタンド部20を備える。以下、それぞれのスタンド部20を特定するために、第1スタンド部21、第2スタンド部22、第3スタンド部23、第4スタンド部24、及び第5スタンド部25と呼ぶことがある。
【0046】
第2スタンド部22、第3スタンド部23、第4スタンド部24、及び、第5スタンド部25は、何れも同一の構成であるので、以下、代表して第5スタンド部25について説明する。
【0047】
図2に示すように、第5スタンド部25は、平面視で概ね2等辺3角形状に形成されている。第5スタンド部25は、1つのローラ組立体15を支持する。
【0048】
第5スタンド部25は、2つのスタンド脚部71と、1つの梁部72と、を有する。スタンド脚部71及び梁部72は一体的に形成されている。
【0049】
スタンド脚部71は、周方向に間隔をあけて1対で配置されている。梁部72は、1対のスタンド脚部71の上端部同士を周方向で繋ぐように設けられている。
【0050】
梁部72の下方であって、スタンド脚部71とスタンド脚部71の間には、押圧駆動部16が配置されている。
【0051】
梁部72において回転テーブル12に近い側には、凹部73が形成されている。この凹部73の内側に、ローラ組立体15が備える前述の第2アーム52が配置されている。
【0052】
上記に示すように、第5スタンド部25は、1対のスタンド脚部71と、その上部を相互に連結する梁部72を有している。これにより、第5スタンド部25は門形状となっている。
【0053】
第1スタンド部21は、実質的には、第5スタンド部25の2つ分を一体化したものに相当する。第1スタンド部21は、周方向に隣接する2つのローラ組立体15を支持する。
【0054】
第1スタンド部21は、2つのスタンド脚部71と、1つの梁部74と、を有する。スタンド脚部71及び梁部74は一体的に形成されている。
【0055】
スタンド脚部71は、ハウジング11の周方向に間隔をあけて1対で配置されている。梁部74は、1対のスタンド脚部71の上端部同士を繋ぐように設けられている。梁部74は、回転テーブル12の外周面に沿うように屈曲した形状となっている。
【0056】
梁部74の下方であって、スタンド脚部71とスタンド脚部71の間には、2つの押圧駆動部16が配置されている。更に、2つの押圧駆動部16の間には、減速装置13に駆動力を伝達するための伝動軸32が配置されている。
【0057】
梁部74において回転テーブル12に近い側には、2つの凹部73が形成されている。それぞれの凹部73に、ローラ組立体15が備える前述の第2アーム52が配置されている。
【0058】
第1スタンド部21では、2つのローラ組立体15が、2つのスタンド脚部71の間に位置する。第2スタンド部22、第3スタンド部23、第4スタンド部24及び第5スタンド部25では、1つのローラ組立体15が、2つのスタンド脚部71の間に位置する。これにより、スタンド脚部71とローラ組立体15とで、平面視で位相が互いに異なる配置が実現されている。
【0059】
次に、第1スタンド部21について詳細に説明する。
【0060】
前述のとおり、回転テーブル12の周方向において、第1スタンド部21の寸法は概ね、他のスタンド部の2つ分の寸法に等しい。一方で、スタンド脚部71の数は、第1スタンド部21と他のスタンド部とで同じである。従って、第1スタンド部21を用いることによって、実質的に2本分のスタンド脚部71を省略することができる。
【0061】
第1スタンド部21のスタンド脚部71は周方向の両端の2箇所にだけ配置され、周方向の中間位置にスタンド脚部は設けられていない。2つのローラ組立体15は、第1スタンド部21における周方向の両端のスタンド脚部71の間に配置されている。
【0062】
第1スタンド部21の周方向の長さの2等分点P1を考えた場合に、平面視で、この2等分点P1から周方向一側で最も近いスタンド脚部71と、2等分点P1から周方向他側で最も近いスタンド脚部71と、の間に、2つのローラ組立体15が配置されている。即ち、前記2等分点P1から周方向一側で最も近いスタンド脚部71と、周方向他側で最も近いスタンド脚部71と、の間に梁部72が設けられ、2つのローラ組立体15は、この共通の梁部72に固定されている。梁部72の周方向中間部には、スタンド脚部は配置されない。
【0063】
平面視で、2つのローラ組立体15のうち1つは、前記2等分点P1と、この2等分点P1から周方向一側で最も近いスタンド脚部71と、の間に配置されている。ローラ組立体15のうち残りの1つは、前記2等分点P1と、この2等分点P1から周方向他側で最も近いスタンド脚部71と、の間に配置されている。
【0064】
第1スタンド部21の梁部74は、他のスタンド部の梁部72に比べて、周方向に長い。従って、門型の第1スタンド部21の内部空間(スタンド脚部71とスタンド脚部71の間の空間)の周方向寸法L1も、他のスタンド部における内部空間の周方向寸法L2と比較して長い(L1>L2)。
【0065】
従って、第1スタンド部21において、スタンド脚部71とスタンド脚部71との間の空間を広く確保することができる。本実施形態では、この空間が、伝動軸32及び電動モータ31を配置するための空間として利用されている。この結果、全体としてコンパクトな竪型ローラミル1を実現することができる。
【0066】
本実施形態では、第1スタンド部21の内部空間に関する上記の周方向寸法L1が、
図3に示す減速装置13の寸法L3よりも、僅かに大きい(L1>L3)。従って、第1スタンド部21に配置されている押圧駆動部16、電動モータ31、伝動軸32等を取り外して別の場所に移動させれば、減速装置13が、第1スタンド部21の内部空間を
図3に示すように通過可能である。2つのスタンド脚部71は、減速装置13の通路を挟んで配置される。この結果、減速装置13を吊り上げることなく、梁部72の下方の空間を通じて竪型ローラミル1から抜き出すことができるので、メンテナンス作業の効率化を実現できる。
【0067】
このように、本実施形態の竪型ローラミル1では、門形状の第1スタンド部21をくぐるようにして、減速装置13を当該第1スタンド部21の外側に引き出すことができる。
【0068】
特許文献1の構成では、減速装置とスタンド部との干渉を避けて回転テーブルを抜き出すために、減速装置を回転テーブルに対して大幅に低い位置に配置していた。本実施形態では、減速装置13を外部に抜き出すための経路のスペースを、門形状の第1スタンド部21の内部に確保することができる。従って、簡素な形状のスタンド部20を実現できるとともに、減速装置13と回転テーブル12との間の接続構造も簡素化することができる。
【0069】
以上に説明したように、本実施形態の竪型ローラミル1は、回転テーブル12と、複数の粉砕ローラ14と、複数のローラ組立体15と、複数のスタンド部20と、を備える。回転テーブル12は、回転可能に設けられる。粉砕ローラ14は、回転テーブル12上の粉砕対象物に押し付けられて、粉砕対象物を粉砕可能である。ローラ組立体15には、複数の粉砕ローラ14がそれぞれ設けられる。スタンド部20は、回転テーブル12の周囲に配置され、ローラ組立体15を支持する。スタンド部20は、第1スタンド部21を含む。第1スタンド部21は、回転テーブル12の周方向で隣接して配置される複数のローラ組立体15を支持する。第1スタンド部21は、複数のスタンド脚部71と、梁部74と、を有する。スタンド脚部71は、上下方向に延びるように設けられるとともに、回転テーブル12の周方向で対をなすように配置される。梁部74は、スタンド脚部71の上部同士を、回転テーブル12の周方向で繋ぐ。第1スタンド部21は、スタンド脚部71と梁部74とにより門形状に構成される。
【0070】
これにより、1つの第1スタンド部21によって複数のローラ組立体15を支持できるので、スタンド部20を全体として簡素に構成することができる。また、門形の第1スタンド部21の内部空間を広く確保できるので、様々な部品を収容するために容易に活用することができる。
【0071】
また、本実施形態の竪型ローラミル1において、第1スタンド部21の周方向の長さの2等分点P1から周方向一側で最も近いスタンド脚部71と、前記2等分点P1から周方向他側で最も近いスタンド脚部71と、の間に、複数のローラ組立体15が配置されている。
【0072】
これにより、第1スタンド部21の周方向中央部において、内部空間を大きく確保することができる。
【0073】
また、本実施形態の竪型ローラミル1において、第1スタンド部21は、2つのローラ組立体15を支持する。
【0074】
これにより、第1スタンド部21の簡素な構成を実現できる。
【0075】
また、本実施形態の竪型ローラミル1は、駆動源から入力された回転を減速して回転テーブル12へ伝達する減速装置13を備える。第1スタンド部21におけるスタンド脚部71の間の寸法L1が、減速装置13の寸法L3よりも大きい。
【0076】
これにより、第1スタンド部21の内部空間を通過させて、減速装置13を竪型ローラミル1の外側へ引き出すことができる。従って、減速装置13のメンテナンスが容易になる。
【0077】
また、本実施形態の竪型ローラミル1において、第1スタンド部21がコンクリートを含む材料で構成されている。
【0078】
これにより、複数の粉砕ローラ14と回転テーブル12との間に粉砕対象物を噛み込ませて粉砕するときに発生する振動や衝撃を抑制することができる。また、コンクリート製のスタンド部20においては、スタンド脚部71が太い柱状に形成されることが多い。従って、第1スタンド部21のように複数のローラ組立体15を支持する構成とすれば、スタンド脚部71の省略によって大きなスペースを作ることができ、良好である。
【0079】
また、本実施形態の竪型ローラミル1において、ローラ組立体15が6つである。
【0080】
ローラ組立体15が多く配置される場合、複数のローラ組立体15の周方向の間隔が小さくなる。このような場合、第1スタンド部21のように1つのスタンド部で複数のローラ組立体15を支持することが、スタンド部20の構成を簡素化できる点で好適である。
【0081】
また、本実施形態の竪型ローラミル1において、減速装置13のメンテナンスは、減速装置13を、第1スタンド部21の内部空間を通過して竪型ローラミル1の外部へ引き出す工程を含む。
【0082】
これにより、減速装置13のメンテナンスが容易になる。
【0083】
以上に本開示の好適な実施の形態を説明したが、上記の構成は例えば以下のように変更することができる。
【0084】
上記の実施形態では、複数の粉砕ローラ14の数(言い換えれば、ローラ組立体15の数)は、6つとしているが、これに限定されない。粉砕ローラ14の数は、2つ以上であれば良い。
【0085】
上記の実施形態では、複数のスタンド部20は、コンクリート製としたが、これに代えて、例えば鋼製としても良い。
【0086】
上記の実施形態では、第1スタンド部21は、回転テーブル12の周方向で隣り合う2つのローラ組立体15を支持するが、2つを超える数のローラ組立体15を支持するようにしても良い。
【0087】
上記の実施形態では、第1スタンド部21のスタンド脚部71の数は2つとしているが、これに限定されず、例えば4つとすることもできる。ただし、全てのスタンド脚部71が、第1スタンド部21の周方向の端部に配置されることが好ましい。
【0088】
第2スタンド部22、第3スタンド部23、第4スタンド部24及び第5スタンド部25の構成は任意である。
【0089】
例えば、第3スタンド部23の上部と、第4スタンド部24の上部と、を連結し、一体的に構成しても良い。
図3には、この連結部80が鎖線で示されている。竪型ローラミル1は、粉砕された対象物のうちの粗粒径のものを排出し、投入ガイド33に導く循環経路を備えても良い。この循環経路を構成する排出コンベアを、連結部80の下方に配置することができる。
【0090】
例えば、第2スタンド部22及び第3スタンド部23を省略し、第1スタンド部21と同様のスタンド部を代わりに配置することができる。第4スタンド部24及び第5スタンド部25についても同様である。
【0091】
梁部74,72のスパンの長さの違いを考慮して、第1スタンド部21における梁部74の厚みを、他のスタンド部における梁部72の厚みよりも大きくすることができる。
【0092】
上述の教示を考慮すれば、本開示が多くの変更形態及び変形形態をとり得ることは明らかである。従って、本開示が、添付の特許請求の範囲内において、本明細書に記載された以外の方法で実施され得ることを理解されたい。
【符号の説明】
【0093】
1 竪型ローラミル
12 回転テーブル
13 減速装置
14 粉砕ローラ
15 ローラ組立体
20 スタンド部
21 第1スタンド部
22 第2スタンド部
23 第3スタンド部
24 第4スタンド部
25 第5スタンド部
31 電動モータ(駆動源)
71 スタンド脚部
74 梁部