(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024002457
(43)【公開日】2024-01-11
(54)【発明の名称】フード付きジャケット
(51)【国際特許分類】
A41D 3/00 20060101AFI20231228BHJP
A41D 1/02 20060101ALI20231228BHJP
【FI】
A41D3/00 L
A41D1/02 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022101639
(22)【出願日】2022-06-24
(71)【出願人】
【識別番号】000000310
【氏名又は名称】株式会社アシックス
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100109047
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 雄祐
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼畠 誠
(72)【発明者】
【氏名】福田 誠
(72)【発明者】
【氏名】高浜 健太
【テーマコード(参考)】
3B031
【Fターム(参考)】
3B031AA08
3B031AA09
3B031AA10
3B031AA13
3B031AA14
3B031AB13
3B031AC03
3B031AC08
3B031AC19
3B031AE05
(57)【要約】
【課題】簡素な構造で簡単にフードのバタつきを抑える技術を提供する。
【解決手段】フード付きジャケット10において、フード12と、ジャケット本体11と、を備え、フード留め具20は、ジャケット本体11の背面に垂らしたフード12の襟ぐりから所定長さまでが非拘束部分となるように襟ぐりから所定長さだけ背中方向に離間した位置にて非使用時のフード12を留める。フード留め具20は、少なくとも左右両端部がジャケット本体11の背面に取り付けられ、左右両端部の間に非使用時のフード12を通すことにより、フード12をジャケット本体11の背面に留め得る。フード留め具20は、ジャケット本体11の背面に垂らしたフード12の襟ぐりから先端までの長さの範囲内で長さの1/2~3/4の範囲の距離だけ襟ぐりから背中方向へ離れた位置に設けられる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジャケット本体と、
前記ジャケット本体の上方に配置されたフードと、
前記ジャケット本体の背面に垂らした前記フードの襟ぐりから所定長さまでが非拘束部分となるように襟ぐりから前記所定長さだけ背中方向に離間した位置にて非使用時の前記フードを留めるフード留め具と、を備えることを特徴とするフード付きジャケット。
【請求項2】
前記フード留め具は、少なくとも左右両端部が前記ジャケット本体の背面に取り付けられ、前記左右両端部の間に非使用時の前記フードを通すことにより、前記フードを前記ジャケット本体の背面に留め得ることを特徴とする請求項1に記載のフード付きジャケット。
【請求項3】
前記フード留め具は、前記ジャケット本体の背面に垂らした前記フードの襟ぐりから先端までの長さの範囲内で前記長さの1/4以上の距離だけ襟ぐりから背中方向へ離れた位置に設けられることを特徴とする請求項1または2に記載のフード付きジャケット。
【請求項4】
前記フード留め具は、前記ジャケット本体の背面に垂らした前記フードの襟ぐりから先端までの長さの1/2~3/4の範囲の距離だけ襟ぐりから背中方向へ離れた位置に設けられることを特徴とする請求項1または2に記載のフード付きジャケット。
【請求項5】
前記フード留め具の横幅は、前記フードを平置きした場合の横幅に対して19%~45%の範囲の長さであることを特徴とする請求項1または2に記載のフード付きジャケット。
【請求項6】
前記フード留め具の裏面には、線状またはドット状のシリコーンゴムがプリントされている請求項1または2に記載のフード付きジャケット。
【請求項7】
ジャケット本体および前記ジャケット本体の上方に配置されたフードを備えたフード付きジャケットであって、
前記ジャケット本体との間に上下方向に貫通する隙間を有するように両端が前記ジャケット本体の背面に取り付けられたフード留め具をさらに備え、
前記フード留め具は、前記ジャケット本体の背面に垂らした前記フードの襟ぐりから先端までの長さの範囲内で前記長さの1/4以上の距離だけ襟ぐりから背中方向へ離れた位置に設けられることを特徴とするフード付きジャケット。
【請求項8】
前記フード留め具は、その平面形状が長方形状または台形状であることを特徴とする請求項7に記載のフード付きジャケット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フード付きジャケットに関する。特に、フードの収納構造に関する。
【背景技術】
【0002】
フード付きジャケットを着用したランニング時、特に風が強い中でのフード非着用のランニングでは、フードのバタつきや耳障りな摩擦音が発生するおそれがある。そうしたバタつき等を抑えるために、ジャケットのネックラインにフードロックシステムを設け、フードを畳んでネックラインに留める技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2017/0105471A1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の技術において、フードを畳んでからロックシステムに通すためには、ランニングを一時中断して立ち止まり、ジャケットを脱いでから畳む必要がある。したがって、低温環境下でジャケットを脱ぎたくないときや、ランニングのレース中のように立ち止まりたくないとき等、走りながらフードを収納したい場合には不向きな構造といえる。
【0005】
一方で、このような機能的な構造は天候状況やユーザー層を問わずに常時使用される類の機能ではないため、製造コストに転嫁されるような複雑な構造や部品コストに影響するような材料を用いることは必ずしも好まれない。
【0006】
本発明は、こうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、簡素な構造で簡単にフードのバタつきを抑える技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のある態様のフード付きジャケットは、フードと、ジャケット本体と、ジャケット本体の背面に垂らしたフードの襟ぐりから所定長さまでが非拘束部分となるように襟ぐりから所定長さだけ背中方向に離間した位置にて非使用時のフードを留めるフード留め具と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、簡素な構造で簡単にフードのバタつきを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】フード付きジャケットを正面側および側面側から見た外観図である。
【
図2】フード付きジャケットを背面側から見た外観図である。
【
図4】フード留め具の大きさおよび位置を示す図である。
【
図5】フードを背中側に垂らした状態におけるフードとフード留め具の位置関係を示す図である。
【
図6】フードをフード留め具に通した状態におけるフードとフード留め具の位置関係を示す図である。
【
図8】第1~3変形例におけるフード留め具の形状を示す図である。
【
図9】第4~6変形例におけるフード留め具の形状を示す図である。
【
図10】第7~9変形例におけるフード留め具の形状を示す図である。
【
図11】第10~12変形例におけるフード留め具の形状を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を好適な実施形態をもとに各図面を参照しながらフード付きジャケットを例示的に説明する。実施形態、変形例では、同一または同等の構成要素には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。
【0011】
図1は、フード付きジャケットを正面側および側面側から見た外観図である。
図1(a)はフード12を広げた状態のジャケット10を正面側から見た外観を示す。ジャケット10は、スポーツ用ジャケットやアノラック等の防風または防寒の上着でもよいし、防水性や透湿性を有するレインウェアの上着でもよい。ジャケット10は、ナイロンやポリエステル等の合成繊維で形成される。ジャケット10は、前開きタイプのジャケットであり、図においてはファスナーを閉めた状態を示す。変形例におけるジャケット10は、プルオーバータイプのジャケットであってもよい。
【0012】
ジャケット10は、ジャケット本体11とフード12を備える。ジャケット本体11は、身頃14、左袖16、右袖18を含む。フード12は、ジャケット本体11の上方に配置される。フード12は、身頃14の上方に縫合され、左袖16は身頃14の左方に縫合され、右袖18は身頃14の右方に縫合される。フード12は、頭部に着用したとき、着用者の頭部および首回りを覆う。
【0013】
図1(b)はフード12を背中側に垂らした状態のジャケット10を側面側から見た外観を示す。フード12は背中側に垂らされ、身頃14の背面(「後ろ身頃」ともいう)に設けられたフード留め具20に留められている。フード留め具20は、後ろ身頃の上端から所定間隔を空けた下方にフード留め具20が取り付けられる。
【0014】
ここで、従来のフード付きジャケットにおいては、フードを留め付けておくために、ネックライン(後ろ身頃の上端に相当する位置)に留め具を設けるとともに、背中に垂らしたフードの半分を上方に折り返した状態で留め具に留める方式が採用されていた。別の例では、フードを綺麗に丸めてからスナップボタン、フック、ゴムコード、面ファスナー等で留める方式も知られている。さらに別の例では、フードを丸めて襟内に収納して線ファスナーを閉じる方式も知られている。これら様々な従来例の共通点として、ランニング中にフードを収納したい場合でも、いったん立ち止まり、ジャケットを脱いでフードを畳んだり丸めたりしてから留めるまたは収納する必要があり、走りながらフードを収納することが困難であることがいえる。また、フードの頭頂部または後頭部の一部を後ろ身頃に面ファスナーやスナップボタン等で留めるといった、フードを束ねずに留めるだけの方式では、簡易な構造ではあってもフード(特に前側の鍔部分)のバタつきを十分に抑えることができない。
【0015】
これに対し、本実施形態のジャケット10においては、後述するように簡易な構造にて背中側に設けたフード留め具20にフード12を通すだけでフード12を留めることができる。これにより、片手でフード留め具20を引っ張って他の片手でフード12を通せば足りるため、ジャケットを着たまま走りながらでも簡単にフード12を収めることができる。特に、低温環境下でジャケットを脱ぎたくないときや、ランニングのレース中のように立ち止まりたくない場合に有効である。着用者がバックパックを背負っている場合でも、ジャケットを脱ぐことなく、バックパックの上方に露出するフード留め具20を引っ張ってフード12を通して留めることができる。また、フード12が必要となった場合は、フード12を上から引っ張るだけで簡単かつ即座にフード留め具20から取り外して着用することができる。なお、副次的な効果として、衣服掛けフックにフード留め具20を掛けてジャケット10を吊り下げることもできる。
【0016】
図2は、フード付きジャケットを背面側から見た外観図である。
図2(a)はフード12を広げた状態のジャケット10を背面側から見た外観を示す。身頃14の背面(後ろ身頃)における上端から所定間隔を空けた下方にフード留め具20が取り付けられる。フード留め具20は、左右方向に長い帯状のゴム部材であり、その左右両端が身頃14の背面に縫合される。帯状のゴム部材としては、例えばポリエステルやポリウレタンで形成される平ゴム等であってよい。平ゴムは、織りゴムまたはジャガード織りゴムであってもよい。ゴム部材として、例えば外表面に反射テープを取り付けた平ゴムを用いてもよい。
【0017】
図2(b)はフード12をフード留め具20に通して留めた状態を示す。左右端が身頃14に縫合されたフード留め具20は、身頃14との間に上下方向に貫通する隙間があり、束ねたフード12をフード12の先端から通して留めることができる。フード留め具20に留められた状態のフード12は、強風の有無にかかわらずバタつきや摩擦音の発生が抑えられる。このような、安価でコンパクトな材料の部材を取り付けるだけの簡易な構造で、フード12の収納、バタつき防止、摩擦音防止を実現することができる。
【0018】
図3は、フード留め具の拡大斜視図である。
図3(a)はフード12を通す前のフード留め具20を示す。この状態では、フード留め具20と身頃14の間の隙間は小さい。
図3(b)は束ねたフード12を通した状態のフード留め具20を示す。フード留め具20は伸縮性があり、着用者が指で引っ張ってフード留め具20と身頃14の隙間を開いた状態で束ねたフード12をその先端から通す。フード留め具20の収縮性によりフード12はフード留め具20と身頃14により挟まれた状態が維持される。フード留め具20の裏面には、シリコーンゴムを複数の線状またはドット状にプリントしたり、ポリウレタン弾性繊維を複数の線状に織り交ぜたりといった滑り止め加工が施されてもよい。こうした滑り止め加工がフード留め具20の裏面に施すことによって、フード12をフード留め具20からさらに外れにくくすることができる。
【0019】
フード留め具20は、上述の通り伸縮性を有する材料で形成することで、着用者が指で引っ張ってフード12を通しやすくできるとともに、収縮性によりフード12を留めやすくすることができる。ただし、フード留め具20の伸縮性は必須ではなく、非伸縮の材料で形成させてもよい。よって、フード留め具20の伸び率としては、例えば0~3倍の範囲で設計される。特に、適度に引っ張りやすい伸び率を持たせ、適度にフード12が抜け外れにくい収縮性を持たせるためには、1.5~2.5倍の伸び率が好適である。
【0020】
図4は、フード留め具の大きさおよび位置を示す。身頃14の背面において、フード留め具20は身頃14の上端から距離Xだけ下方に離れた位置に取り付けられる。身頃上端線30は、身頃14の背面(後ろ身頃)とフード12の境界を示す線である。留め具上端線31は、フード留め具20の上端を示す線である。身頃上端線30と留め具上端線31の間隔である距離Xは、例えば5~10cmである。距離Xは、後述するように、ジャケット10の素材や種類、フード12の大きさ、厚み等に応じて異なり、フード12のバタつきが適切に抑えられるような値が実験により導出される。ただし、ジャケット10およびフード12の性質によらず、襟ぐりから一定の距離だけ下方へ離間した位置にフード留め具20が設けられる点は共通する。
【0021】
留め具下端線32は、フード留め具20の下端を示す線である。留め具上端線31と留め具下端線32の間隔であるフード留め具20の縦の長さFLは、例えば2~3cmが好適である。留め具左端線33は、フード留め具20の左端を示す線である。留め具右端線34は、フード留め具20の右端を示す線である。留め具左端線33と留め具右端線34の間隔であるフード留め具20の横幅FWは、例えば5~10cmが好適である。フード留め具20の縦の長さFLおよび横幅FWは、後述するように、ジャケット10およびフード12の素材や大きさ、厚み等に応じて異なり、フード12を適切にフード留め具20を通して留められるような値が実験により導出される。
【0022】
図5は、フードを背中側に垂らした状態におけるフードとフード留め具の位置関係を示す。フード上端線40は、フード12を身頃14の背面に垂らした状態におけるフード12の実質的な縦の長さ(以下、「全長」ともいう)の上端を示す。フード上端線40は、後ろ襟ぐり(バックネックライン)の位置をさらに示す。フード下端線44は、フード12を身頃14の背面に垂らした状態におけるフード12の先端、すなわちフード12の実質的な縦の長さの下端を示す。フード上端線40とフード下端線44の間隔である長さHLは、フード12の実質的な縦の長さ(全長)である。長さHLは、例えば19~24cmである。第1仮想線41、第2仮想線42、第3仮想線43は、フード上端線40とフード下端線44の間を4等分する線である。各仮想線の間隔である第1間隔D1、第2間隔D2、第3間隔D3、第4間隔D4は、等しい長さ、例えば4.75~6cmである。
【0023】
第1仮想線41は、フード12の全長の上部1/4に位置する線である。仮に第1仮想線41よりもフード上端線40側にフード留め具20が設けられた場合を想定する。その場合、フード留め具20に通したフード12はフード留め具20によって留められる部分(全長の1/4未満)より下方にはみ出す部分(全長の4/3以上)の方が圧倒的に長くなり、バタつきを十分に抑えられない。フード12の下半分を折り返してフード留め具20に通せばそのようなバタつきを抑えられるとしても、走りながら半分に折り畳んで留める作業は困難であり、ランニングを一時中断して立ち止まる必要が生じる。
【0024】
そこで、本実施形態においては、フード12の全長の1/4に位置する第1仮想線41より下方、すなわち第1仮想線41からフード12の先端であるフード下端線44の間にフード留め具20を設ける。この場合、フード12のうち、フード留め具20によって拘束される部分は、フード12の全長の1/4より下方に位置することとなる。言い換えれば、後ろ襟ぐりからフード12の全長の1/4までは少なくとも非拘束部分となる。このように、襟ぐりからフード留め具20の間に非拘束部分を設けることで、フード12を容易に留めることができるとともに、フード12のバタつきを抑えやすくできる。
【0025】
一方、フード留め具20の取付位置が下方であるほどフード留め具20の下側からはみ出るフード12の部分が減るため、フード12のバタつきを抑えやすい。そのため、フード12の全長の1/2より下方にフード留め具20を設け、襟ぐりからフード留め具20の間の非拘束部分をフード12の全長の1/2以上とすることで、フード12のバタつきをさらに抑制することができる。この場合、フード上端線40から第1間隔D1および第2間隔D2に相当する長さの部分が概ね非拘束となる(非拘束部分46)。第1間隔D1と第2間隔D2の和は、フード12の長さHLの1/2に相当する。
【0026】
しかし、フード留め具20の取付位置がフード12の先端に近づくほど、強風や揺れ等の影響でフード12がフード留め具20から抜けて外れやすくなる。そのため、フード下端線44からフード12の全長の1/4より上方、すなわち第2仮想線42と第3仮想線43の間の領域にフード留め具20を設けるのがさらに好ましい。第2仮想線42と第3仮想線43の間は、後ろ襟ぐりからフード12の長さHLの2/4から3/4の範囲である。これにより、フード留め具20に留められたフード12のバタつき抑制と抜け防止の両立を図ることができる。
【0027】
本実施形態においては、フード留め具20は第2仮想線42と第3仮想線43の中間に設けられる。留め具中心線45は、第2仮想線42と第3仮想線43の間の中間位置を示す。フード留め具20は、留め具中心線45にフード留め具20の中心を位置合わせして取り付けられる。
【0028】
図6は、フードをフード留め具に通した状態におけるフードとフード留め具の位置関係を示す。
図5と同様に、フード12の長さHLを4等分したフード上端線40、第1仮想線41、第2仮想線42、第3仮想線43、フード下端線44の各線を目安とし、フード留め具20は第2仮想線42と第3仮想線43の間に設けられる。フード留め具20は、第2仮想線42と第3仮想線43の中間線である留め具中心線45に中心を位置合わせする形で設けられる。非使用時のフード12は、その先端がフード留め具20の左右両端部の間に通され、フード留め具20によってジャケット本体11の背面に留められる。
【0029】
図7は、フード留め具の横幅の例を示す。ジャケット10には様々な種類があり、フード12の形状やサイズ、素材の厚さも様々である。本実施形態では、フード12が適切にフード留め具20に収まるように、フード12の横幅や素材の厚さに合わせてフード留め具20の横幅が決定される。フード12を平置きした状態における横方向の長さである横幅HWは、22~30cmを想定する。この場合の横幅HWは、平置きされた状態のフード12における最も幅広い部位の長さであってもよい。フード12のハチ周りにサイズ調整用のコードやゴム等が入っている場合は、その部位の長さを横幅HWとしてもよい。
【0030】
フード留め具20の横幅FWがフード12の横幅HWに対して広すぎる場合、フード12を適切に拘束できずフード留め具20からフード12が抜けて外れるおそれがある。また、フード留め具20の横幅FWがフード12の横幅HWに対して狭すぎる場合、フード12を簡単にフード留め具20に通すことができない。そこで、フード留め具20の横幅FWは、フード12の横幅HWに対して19%~45%の長さとするのが好ましい。19%~45%の範囲は、様々なサイズや種類のフード付きジャケットに様々なサイズのフード留め具20を取り付けて試験した結果として得られた好適な試験結果の値に基づいて定められている。試験としては、トレッドミルにて時速7.5kmで走行しながら、ブロワーによって風速15~30m/sの強風を着用者の前方や側方から当てる環境下で複数回の試験を行った。そのような試験環境において、着用者は走りながらジャケット10を着たまま容易にフード留め具20にフード12を留めて安定的に固定することができ、またフード12は強風によってもフード留め具20から抜けて外れにくいことが確認できた。また、走りながら手でフード12をフード留め具20から抜いてスムーズに着用できることも確認できた。
【0031】
例えば、フード12の横幅HWが22cmのジャケットの例では、フード留め具20の横幅FWは4.2~9.9cmの範囲で決定される。例えば、フード12の横幅HWが26cmのジャケットの例では、フード留め具20の横幅FWは4.9~11.7cmの範囲に決定される。例えば、フード12の横幅HWが30cmのジャケットの例では、フード留め具20の横幅FWは5.7~13.5cmの範囲に決定される。
【0032】
ここで、フード12が薄い素材で形成される場合、フード留め具20の横幅FWはフード12の横幅HWに対する19%~45%の範囲のうち、幅が狭めとなる19%寄りの長さとしてもよい。また、フード12が厚い素材で形成される場合、フード留め具20の横幅FWはフード12の横幅HWに対する19%~45%の範囲のうち、幅が広めとなる45%寄りの長さとしてもよい。
【0033】
図8は、第1~3変形例におけるフード留め具の形状を示す。
図8(a)は第1変形例におけるフード留め具を示す。第1変形例におけるフード留め具20は、左右方向に長い複数本の帯状のゴム部材が平行となるように上下に配置される形で構成される。
図8(a)の例では、フード留め具20は2本の帯状のゴム部材(第1フード留め具20aと第2フード留め具20b)が、
図5,6に示す第3間隔D3を中心とする範囲に設けられる。
【0034】
図8(b)は第2変形例におけるフード留め具を示す。第2変形例におけるフード留め具20は、左右方向に長い複数本の帯状のゴム部材が交差するように配置される形で構成される。
図8(b)の例では、フード留め具20は2本の帯状のゴム部材(第3フード留め具20cと第4フード留め具20d)が
図5,6に示す第3間隔D3を中心とする範囲にて交差するように配置される。
【0035】
図8(c)は第3変形例におけるフード留め具を示す。第3変形例におけるフード留め具20は、その平面形状が左右方向に長い台形状のゴム部材で構成される。
図8(c)の例では、フード留め具20は台形状のゴム部材(第5フード留め具20e)が、
図5,6に示す第3間隔D3を中心とする範囲に設けられる。第5フード留め具20eは、上底より下底が短く、縦の幅が第1~4フード留め具20a~dの縦の幅より長い。なお、フード留め具20の別の変形例として、その平面形状が台形状ではなく、第5フード留め具20eと同程度の縦の長さを有する長方形状として構成してもよい。
【0036】
図9は、第4~6変形例におけるフード留め具の形状を示す。
図9(a)は第4変形例におけるフード留め具を示す。第4変形例におけるフード留め具20は、左右方向に細長い複数本の紐状のゴム部材が平行となるように上下に配置される形で構成される。
図9(a)の例では、フード留め具20は2本の紐状のゴム部材(第6フード留め具20fと第7フード留め具20g)が、
図5,6に示す第3間隔D3を中心とする範囲に設けられる。紐状のゴム部材としては、バンジーコードまたは丸ゴムでもよい。
【0037】
図9(b)は第5変形例におけるフード留め具を示す。第5変形例におけるフード留め具20は、左右方向に細長い複数本の紐状のゴム部材が交差するように配置される形で構成される。
図9(b)の例では、フード留め具20は2本の紐状のゴム部材(第8フード留め具20hと第9フード留め具20i)が、
図5,6に示す第3間隔D3を中心とする範囲にて交差するように配置される。
【0038】
図9(c)は第6変形例におけるフード留め具を示す。第6変形例におけるフード留め具20は、細長い複数本の平行に配置された紐状のゴム部材と細長い複数本の交差状に配置された紐状のゴム部材とで構成される。
図9(c)の例では、フード留め具20は4本の紐状のゴム部材(第10フード留め具20j)が、
図5,6に示す第3間隔D3を中心とする範囲に設けられる。
【0039】
図10は、第7~9変形例におけるフード留め具の形状を示す。
図10(a)は第7変形例におけるフード留め具を示す。第7変形例におけるフード留め具20は、左右方向に細長い帯状のメッシュ部材で構成される。このメッシュ部材は、スパンデックス等の伸縮性を有する繊維が混紡された合成繊維で形成される。ただし、変形例におけるメッシュ部材としては、伸縮性を有する繊維が混紡されていない合成繊維で形成されてもよい。
図10(a)の例では、フード留め具20は実施形態と同様の大きさおよび形状を有するメッシュ部材(第11フード留め具20k)が、
図5,6に示す第3間隔D3を中心とする範囲に設けられる。
【0040】
図10(b)は第8変形例におけるフード留め具を示す。第8変形例におけるフード留め具20は、幅が広い帯状のメッシュ部材で構成される。
図10(b)の例では、フード留め具20は第11フード留め具20kより幅が広い帯状のメッシュ部材(第12フード留め具20m)が、
図5,6に示す第3間隔D3を中心とする範囲に設けられる。
【0041】
図10(c)は第9変形例におけるフード留め具を示す。第9変形例におけるフード留め具20は、筒状または袋状に近い程度に幅広のメッシュ部材で構成される。
図10(c)の例では、フード留め具20は第12フード留め具20mより幅広のメッシュ部材(第13フード留め具20n)が、
図5,6に示す第3間隔D3から第4間隔D4にかけての範囲に設けられる。
【0042】
図11は、第10~12変形例におけるフード留め具の形状を示す。
図11(a)は第10変形例におけるフード留め具を示す。第10変形例におけるフード留め具20は、幅が広い帯状のメッシュ部材と、メッシュ部材の上に配置される左右方向に長い帯状のゴム部材と、の組み合わせで構成される。
図11(a)の例では、フード留め具20は第3変形例における第12フード留め具20mと、実施形態におけるフード留め具20(第14フード留め具20p)との組み合わせが、
図5,6に示す第3間隔D3を中心とする範囲に設けられる。
【0043】
図11(b)は第11変形例におけるフード留め具を示す。第11変形例におけるフード留め具20は、幅が広い帯状のメッシュ部材と、メッシュ部材の上で交差するように配置される複数本の細長い紐状のゴム部材と、の組み合わせで構成される。
図11(b)の例では、フード留め具20は第3変形例における第12フード留め具20mと、第3変形例における第8フード留め具20hおよび第9フード留め具20iとの組み合わせが、
図5,6に示す第3間隔D3を中心とする範囲に設けられる。
【0044】
図11(c)は第12変形例におけるフード留め具を示す。第12変形例におけるフード留め具20は、ポケット状の幅広のメッシュ部材で構成される。
図11(c)の例では、フード留め具20は袋状の幅広のメッシュ部材である第15フード留め具20rが、
図5,6に示す第3間隔D3から第4間隔D4にかけての範囲に設けられる。
【0045】
本発明は上述した実施形態に限られるものではなく、各構成は本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。また、上述した実施形態を一般化すると以下の態様が得られる。
【0046】
〔態様1〕
ジャケット本体と、
前記ジャケット本体の上方に配置されたフードと、
前記ジャケット本体の背面に垂らした前記フードの襟ぐりから所定長さまでが非拘束部分となるように襟ぐりから前記所定長さだけ背中方向に離間した位置にて非使用時の前記フードを留めるフード留め具と、を備えることを特徴とするフード付きジャケット。
【0047】
〔態様2〕
前記フード留め具は、少なくとも左右両端部が前記ジャケット本体の背面に取り付けられ、前記左右両端部の間に非使用時の前記フードを通すことにより、前記フードを前記ジャケット本体の背面に留め得ることを特徴とする態様1に記載のフード付きジャケット。
【0048】
〔態様3〕
前記フード留め具は、前記ジャケット本体の背面に垂らした前記フードの襟ぐりから先端までの長さの範囲内で前記長さの1/4以上の距離だけ襟ぐりから背中方向へ離れた位置に設けられることを特徴とする態様1または態様2に記載のフード付きジャケット。
【0049】
〔態様4〕
前記フード留め具は、前記ジャケット本体の背面に垂らした前記フードの襟ぐりから先端までの長さの1/2~3/4の範囲の距離だけ襟ぐりから背中方向へ離れた位置に設けられることを特徴とする態様1または態様2に記載のフード付きジャケット。
【0050】
〔態様5〕
前記フード留め具の横幅は、前記フードを平置きした場合の横幅に対して19%~45%の範囲の長さであることを特徴とする態様1から4のいずれかに記載のフード付きジャケット。
【0051】
〔態様6〕
前記フード留め具の裏面には、線状またはドット状のシリコーンゴムがプリントされている態様1から5のいずれかに記載のフード付きジャケット。
【0052】
〔態様7〕
ジャケット本体および前記ジャケット本体の上方に配置されたフードを備えたフード付きジャケットであって、
前記ジャケット本体との間に上下方向に貫通する隙間を有するように両端が前記ジャケット本体の背面に取り付けられたフード留め具をさらに備え、
前記フード留め具は、前記ジャケット本体の背面に垂らした前記フードの襟ぐりから先端までの長さの範囲内で前記長さの1/4以上の距離だけ襟ぐりから背中方向へ離れた位置に設けられることを特徴とするフード付きジャケット。
【0053】
〔態様8〕
前記フード留め具は、その平面形状が長方形状または台形状であることを特徴とする態様7に記載のフード付きジャケット。
【符号の説明】
【0054】
10 ジャケット、 11 ジャケット本体、 12 フード、 20 フード留め具、 46 非拘束部分。