(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024024570
(43)【公開日】2024-02-22
(54)【発明の名称】エアリフター
(51)【国際特許分類】
A61G 5/14 20060101AFI20240215BHJP
A47C 7/00 20060101ALI20240215BHJP
A47K 17/02 20060101ALI20240215BHJP
【FI】
A61G5/14 711
A47C7/00 Z
A47K17/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2022135395
(22)【出願日】2022-08-09
(71)【出願人】
【識別番号】519284816
【氏名又は名称】森岡 昭
(72)【発明者】
【氏名】森岡 昭
【テーマコード(参考)】
2D037
【Fターム(参考)】
2D037AA02
2D037BA12
(57)【要約】
【課題】椅子やベットや便座からの、立ち上がりと、それらへの着座を容易にする、小型で軽量の電動エアリフターの開発を課題とする。
【解決手段】空気圧を利用して、エアシートの上に座る利用者を持ち上げたり、下げたりすることを基本原理とする本発明により、利用者が容易にかつ安全に、着座からの立ち上がり、および立位からの着座することを可能にし、使いやすく携帯可能である、電動のエアリフターを提供することができた。また本発明は、介護者が、利用者の立ち上がりと着座を介助する時の、身体的負担を軽減することにも寄与するものである。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
椅子やベットや便座からの立ち上がりと、それらへの着座、を容易にするエアーリフターであって、空気圧で膨張収縮することで座面を上下することができるエアシートと、このエアシートを膨らませるための電動ポンプと、によって構成されることを特徴とする電動のエアーリフター。
【請求項2】
前記エアシートは、座面の中央をドーナツ状にくり抜かれ、かつ座面が前方に傾斜した形状を特徴とする、請求項1の電動のエアリフター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、椅子やベットや便座からの、立ち上がりと、それらへの着座を容易にする、電動のエアリフターに関するものである。
【背景技術】
【0002】
病気や老化、あるいは障害等により体力が弱くなった人が、安全に、椅子やベットや便座から立ち上ったり座ったりすることを助けるための、またそういった人を介助する側の人の負担を軽くするための、介護用品の工夫がなされている。
【0003】
文献1は、小型形軽量で、車椅子や家具に装着するもので、可般型の起立補助具であり、体力が弱くなった人が椅子等から立ち上がることを、バネの力を利用して補助する。しかし、立ち上がり専用であって、立った状態からの椅子への着座を補助する機能はない。また便座での利用はできない。
【0004】
文献2は、利用者の上体を機械力で持ち上げて移動するという特徴を持つ。体力が弱くなった人の上体を台座でしっかり抱え込み、機械力で持ち上げ、移動および着座を補助する。一方で、大型で携帯不可、かつ高価という制約があり、個人宅などでの使用には適していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2015-157065
【特許文献2】特開2017-038628
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、利用者が容易にかつ安全に、椅子やベットや便座に着座した状態からの立ち上がり、および立位からの着座を可能にし、使いやすく携帯可能である、エアリフターを提供するものである。また本発明は、介護者が、利用者の立ち上がりと着座を介助する時には、介護者の身体的負担を軽減することにも寄与するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の基本原理は、小型で可搬型の電動エアポンプで、エアシートを膨らませることで、エアシートに座る利用者を空気圧で安定的に持ち上げて、利用者の起立を可能にし、また、エアシートの空気を徐々に排気することで、エアシートに腰掛ける利用者がゆっくり椅子やベットや便座に着座することを可能にするものである。
【0008】
利用者が、椅子、もしくはベット、もしくは便座に着座した状態から起立する場合には、あらかじめ利用者の尻の下に敷いておいたエアシートに電動エアポンプから空気を送り、エアシートをゆっくり膨らませることによって、利用者の腰から上をを持ち上げる。これにより、利用者は、座っていた時の腰の位置が、膝よりも高くすることができ、起立することが容易になる。
【0009】
利用者が、起立した状態から、椅子、もしくはベット、もしくは便座に着座する場合には、あらかじめ電動エアポンプで空気を送り膨らませておいたエアシートを、椅子、もしくはベット、もしくは便座の上に置いておく。利用者はこのエアシートの上に、腰を預けるようにして腰掛ける。すると、エアシート内の空気は利用者の体重で徐々に電動ポンプを介して排気して収縮していく。これにより、利用者はゆっくりと着座することが出来る。
【0010】
本発明のエアリフター(10)を構成するエアシート(111)は、
図1(b)及び
図2に示すように、座面(18)の中央をドーナツ状にくり抜いた形状とする。これにより、膨らんだエアシート(111)の上に座る利用者の尻が、エアシート(111)の中心にはまる形で落ち着き、姿勢が左右前後にぶれることなく安定な姿勢を保つ事が可能となる。
【0011】
本発明のエアリフター(10)は、
図1(b)及び
図2に示すように、膨らませたエアシート(111)に利用者が座ったときに、尻の背中側が高く腹側が低くなるように、エアシート(111)の座面(18)が底面(19)に対して傾斜した形状をとるものとする。これにより、利用者が、膨らませたエアシート(111)に着座している状態から、自脚で立って立位を取ろうとするとき、利用者の身体の重心を前方に移動することが容易になる。また、エアシート(111)が上記形状をしていることにより、利用者が、膨らませたエアシート(111)に腰掛けようとするときには、腰をエアシート(111)にあてがいやすくなり、利用者の体重をエアシート(111)に安定して預けることができる。
【0012】
本発明が用いる電動ポンプは、可搬型の電動ポンプとし、風圧5キロパスカル以上、気流速度毎分500リットル以上、の性能を持つことが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
空気圧を利用して、エアシートの上に座る利用者を持ち上げたり下げたりすることを基本原理とする本発明により、利用者が容易にかつ安全に、着座からの立ち上がり、および立位からの着座することを可能にし、使いやすく携帯可能である、エアリフターを提供することができた。また本発明は、介護者が、利用者を抱えて利用者の立ち上がりと着座を介助する時の、身体的負担を軽減することにも寄与するものである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】エアリフターの斜視図。aはエアシートが収縮した状態。bはエアシートが膨張した状態。
【
図3】エアリフターをベンチの上で使用する実施形態図。
【
図4】エアリフターを車椅子で使用する実施形態図。
【
図5】エアリフターをトイレ用手すりに装着した状態図。
【
図7】エアリフターを装着したトイレの実施形態図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1に、本発明のエアリフター(10)の基本構造を示す。エアシート(111)は、給排気孔(15)を介してホース(14)につながれ、ホース(14)の先端は、ホースジョイント(13)に結合される。ホースジョイント(13)は、電動ポンプ(12)と結合される。電動ポンプ(12)のオン/オフは、電動ポンプ(12)から延びたケーブル(16)を介して押しボタンスウィッチ(17)で制御される。
図1aは、エアシート(111)が萎んだ状態、
図1bは、エアシート(111)が膨らんだ状態を示す。
【0016】
以下に、ベンチ、車椅子、および便座に応用した3例の実施例を、図にもとづいて説明する。
【実施例0017】
本発明のエアリフター(10)をベットもしくはベンチ(20)の上で使用する例を、
図3に示す。
図3は、利用者(30)の尻の下に敷いておいたエアシート(111)に電動ポンプ(12)から空気を送り、エアシート(111)をゆっくり膨らませている状態の図である。電動ポンプ(12)は、押しボタンスウィッチ(17)を押している間、エアシート(111)に空気を送り続ける(
図3aから
図3bと経過)。エアーシート(111)が膨らみ、利用者の腰の高さが膝の高さより十分高くなったとき(
図3cの状態)、利用者は、押しボタンスウィッチ(17)から手を離し、上体を前に倒すことにより、容易に立ち上がることが出来る。
【0018】
あるいは、利用者の体力が弱く、この状態でも自力では立ち上がれない場合は、介護者が、利用者の腰の高さが膝の高さより十分高くなった時点で両手をさしのべて利用者を支え持ち上げてあげればよい。この場合、エアリフトを使わずに、ベットもしくはベンチに座った状態の利用者を抱え上げる場合に比べると、介護者の腰の負担はきわめて小さいものになる。なお、この場合のように、介護者が利用者を両手で抱えてあげるときは、介護者の手をフリーにするために、本エアリフター(10)の押しボタンスウィッチ(17)に替えて、フットペダルスウィッチに差し替えることが出来る。
【0019】
利用者が、ベットもしくはベンチ(20)に着座する場合は、上記の起立の場合と逆の過程で
図3c、
図3b、
図3aの順を踏む。すなわち、電動ポンプの駆動を止めて、膨んだエアシート(111)に利用者(30)が腰をあずけると(
図3c)、利用者(30)の体重でエアシート(111)の空気は、電動ポンプ(12)を介して抜けていき、利用者の腰はしだいに沈み(
図3b)、やがて利用者はベンチ(20)に着座することになる(
図3a)。