(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024024584
(43)【公開日】2024-02-22
(54)【発明の名称】エアロゾル吸引用カートリッジ
(51)【国際特許分類】
A24D 1/20 20200101AFI20240215BHJP
A24F 40/465 20200101ALI20240215BHJP
【FI】
A24D1/20
A24F40/465
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023090806
(22)【出願日】2023-06-01
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-11-01
(31)【優先権主張番号】P 2022127222
(32)【優先日】2022-08-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】721008039
【氏名又は名称】Future Technology株式会社
(72)【発明者】
【氏名】劉 凱鵬
【テーマコード(参考)】
4B045
4B162
【Fターム(参考)】
4B045AA50
4B162AA03
4B162AA05
4B162AA22
4B162AB01
4B162AB12
4B162AB22
4B162AC13
4B162AC14
(57)【要約】
【課題】ブレード加熱式、誘導加熱式のいずれの加熱装置でも使用することが可能なエアロゾル吸引用カートリッジを提供する。
【解決手段】誘導加熱装置で使用される、全体として円柱形状であるエアロゾル吸引用カートリッジであって、エアロゾルを発生する充填物よりなる、エアロゾル形成基材11の内部にエアロゾル形成基材の充填物の内部に配置された誘導加熱部材14が配置される。誘導加熱部材14は、充填物の内部に配置された状態で円柱形状の底面の側から視たときに、底面の直径に平行な方向に対して対称な非直線形状をしている、ことを特徴とする、エアロゾル吸引用カートリッジである。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘導加熱装置で使用される、全体として円柱形状であるエアロゾル吸引用カートリッジであって、
エアロゾルを発生する充填物よりなる、エアロゾル形成基材と、
前記円柱形状において、その一端に配置され、前記エアロゾルを吸入するためのマウスピースと、
前記エアロゾル形成基材と前記マウスピースを包装する外装部材と、
前記エアロゾル形成基材の充填物の内部に配置された誘導加熱部材と、を備え、
前記誘導加熱部材は、前記充填物の内部に配置された状態で前記円柱形状の底面の側から視たときに、前記底面の直径軸に平行な方向に対して対称な非直線形状をしている、
ことを特徴とする、エアロゾル吸引用カートリッジ。
【請求項2】
前記誘導加熱部材は、前記非直線形状を構成する辺のうち、前記底面の直径軸に平行な方向に対して対称な位置にある辺の組のうち、少なくとも1組以上の辺の長さが前記円柱形状の円の半径より長い、
ことを特徴とする、請求項1に記載のエアロゾル吸引用カートリッジ。
【請求項3】
前記非直線形状は、V字状、U字状、コの字状の何れか、またはこれらの組み合わせからなる、
ことを特徴とする、請求項1または2の何れか一項に記載のエアロゾル吸引用カートリッジ。
【請求項4】
前記誘導加熱部材は、その長手方向と略垂直な方向の一部に、前記誘導加熱部材を厚さ方向で貫通する深さの切込みが、前記長手方向に沿って1個または2個以上配列されている、
ことを特徴とする、請求項1または2の何れか一項に記載のエアロゾル吸引用カートリッジ。
【請求項5】
前記誘導加熱部材は、その前記非直線形状を形成する変形部において、非貫通の切込みが形成されている、
ことを特徴とする、請求項1または2の何れか一項に記載のエアロゾル吸引用カートリッジ。
【請求項6】
誘導加熱装置で使用される、全体として円柱形状であるエアロゾル吸引用カートリッジであって、
エアロゾルを発生する充填物よりなる、エアロゾル形成基材と、
前記円柱形状において、その一端に配置され、前記エアロゾル形成基材の反対側に位置する、前記エアロゾルを吸入するためのマウスピースと、
前記エアロゾル形成基材と前記マウスピースを包装する外装部材と、
前記エアロゾル形成基材の充填物の内部に配置された誘導加熱部材と、を備え、
前記誘導加熱部材は、前記充填物の内部に配置された状態で、前記円柱形状の側面の側から視たときに、前記円柱形状の径方向に伸長する成分を有する非直線形状である、
ことを特徴とする、エアロゾル吸引用カートリッジ。
【請求項7】
誘導加熱装置で使用される、全体として円柱形状であるエアロゾル吸引用カートリッジであって、
エアロゾルを発生する充填物よりなる、エアロゾル形成基材と、
前記円柱形状において、その一端に配置され、前記エアロゾルを吸入するためのマウスピースと、
前記エアロゾル形成基材と前記マウスピースを包装する外装部材と、
前記エアロゾル形成基材の充填物の内部に配置された誘導加熱部材と、を備え、
前記誘導加熱部材は、その長さが前記エアロゾル形成基材の長手方向と直径の長さの合計より長く、その長手方向の一部に90°以上屈曲する屈曲部を有し、エアロゾル形成基材の長手方向に沿って配置される、
ことを特徴とする、エアロゾル吸引用カートリッジ。
【請求項8】
前記誘導加熱部材は、その一部が非磁性体または常磁性体で形成されている、
ことを特徴とする、請求項1、2、6または7のいずれか一項に記載のエアロゾル吸引用カートリッジ。
【請求項9】
前記誘導加熱部材は、端部の一方または両方が、その長手方向に対して鋭角に形成されている、
ことを特徴とする、請求項1、2、6または7のいずれか一項に記載のエアロゾル吸引用カートリッジ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブレード加熱式または誘導加熱装置に装着して使用されるエアロゾル吸引用カートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、火炎を用いることなく、タバコの成分を含むタバコカートリッジを加熱して、気化したタバコ成分を吸引する方式のタバコ製品が広く知られている。また、嗜好の多様化から、タバコ成分を含まない植物の芳香や味わいを、タバコ同様に火炎を用いずに楽しむためのカートリッジ製品を使用したエアロゾル吸引用カートリッジも知られ始めている。
【0003】
このようなエアロゾル吸引用カートリッジは、充填物が集積されたエアロゾル形成基材を加熱することで、エアロゾルを発生させる。エアロゾル形成基材の加熱方法として、(1)加熱装置内部に設置された加熱ブレードに、エアロゾル吸引用カートリッジを挿入して、加熱ブレードを電気的に加熱することで充填物を加熱する方式(ブレード加熱式)と(例えば特許文献1参照)、(2)エアロゾル形成基材の内部に予め強磁性体を主成分とした部品である誘導加熱部材を設け、誘導加熱装置で発生させた交番磁界により、誘導加熱部材内部にヒステリシス損及びジュール熱を発生させて加熱(誘導加熱)することで、充填物を加熱する方式(誘導加熱式)が知られている(例えば特許文献2参照)。
【0004】
ここで、ブレード加熱式用のエアロゾル吸引用カートリッジは、誘導加熱式の加熱装置では使用することができず、誘導加熱式のエアロゾル吸引用カートリッジは、ブレード加熱式の加熱装置では使用できないため、使用者はその嗜好に合わせたエアロゾル吸引用カートリッジを必ずしも選択できるとは限らないといった問題があった。
【0005】
また、従来の誘導加熱部材 は、形状が細長い平板状の構造であったため、円柱形状であるエアロゾル形成基材の内部の広い範囲に及ばないので、エアロゾル形成基材の内部の広い範囲を有効に加熱することが困難であった。
【0006】
さらに、平板状の形状の誘導加熱部材が、エアロゾル形成基材の長手方向に沿って配置されている場合、交番磁界と垂直な成分が、平板の厚みにより決定されることになるが、この場合には、渦電流が発生しにくいため、ジュール熱による誘導加熱が有効に行われないという問題があった。
【0007】
一方で、強磁性体からなる誘導加熱部材を単純に大きくした場合、その磁気転移温度(キュリー温度)によっては、過剰加熱となり加熱装置の停止や故障により、加熱が不安定になるといった問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特表2015-519915号公報
【特許文献2】特開2021-175399号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は上記事情に鑑み、ブレード加熱式、誘導加熱式のいずれの加熱装置でも使用することが可能なエアロゾル吸引用カートリッジを提供することである。
【0010】
また、誘導加熱において、ジュール熱による加熱をより効率的に行うことが可能なエアロゾル吸引用カートリッジを提供することである。
【0011】
さらに、誘導加熱時に過剰加熱を抑えて加熱を安定化させるとともに、エアロゾル形成基材の内部の広い範囲を有効に加熱することが可能なエアロゾル吸引用カートリッジを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、誘導加熱装置で使用される、全体として円柱形状であるエアロゾル吸引用カートリッジであって、エアロゾルを発生する充填物よりなる、エアロゾル形成基材と、前記円柱形状において、その一端に配置され、前記エアロゾルを吸入するためのマウスピースと、前記エアロゾル形成基材と前記マウスピースを包装する外装部材と、前記エアロゾル形成基材の充填物の内部に配置された誘導加熱部材と、を備え、前記誘導加熱部材は、前記充填物の内部に配置された状態で前記円柱形状の底面の側から視たときに、前記底面の直径軸に平行な方向に対して対称な非直線形状をしている、ことを特徴とする、エアロゾル吸引用カートリッジ。
請求項2に記載の発明は、前記誘導加熱部材は、前記非直線形状を構成する辺のうち、前記底面の直径軸に平行な方向に対して対称な位置にある辺の組のうち、少なくとも1組以上の辺の長さが前記円柱形状の円の半径より長い、ことを特徴とする、請求項1に記載のエアロゾル吸引用カートリッジ。
請求項3に記載の発明は、前記非直線形状は、V字状、U字状、コの字状の何れか、またはこれらの組み合わせからなる、ことを特徴とする、請求項1または2の何れか一項に記載のエアロゾル吸引用カートリッジ。
請求項4に記載の発明は、前記誘導加熱部材は、その長手方向と略垂直な方向の一部に、前記誘導加熱部材を厚さ方向で貫通する深さの切込みが、前記長手方向に沿って1個または2個以上配列されている、ことを特徴とする、請求項1または2の何れか一項に記載のエアロゾル吸引用カートリッジ。
請求項5に記載の発明は、前記誘導加熱部材は、その前記非直線形状を形成する変形部において、非貫通の切込みが形成されている、ことを特徴とする、請求項1または2の何れか一項に記載のエアロゾル吸引用カートリッジ。
請求項6に記載の発明は、誘導加熱装置で使用される、全体として円柱形状であるエアロゾル吸引用カートリッジであって、エアロゾルを発生する充填物よりなる、エアロゾル形成基材と、前記円柱形状において、その一端に配置され、前記エアロゾル形成基材の反対側に位置する、前記エアロゾルを吸入するためのマウスピースと、前記エアロゾル形成基材と前記マウスピースを包装する外装部材と、前記エアロゾル形成基材の充填物の内部に配置された誘導加熱部材と、を備え、前記誘導加熱部材は、前記充填物の内部に配置された状態で、前記円柱形状の側面の側から視たときに、前記円柱形状の径方向に伸長する成分を有する非直線形状である、ことを特徴とする、エアロゾル吸引用カートリッジ。
請求項7に記載の発明は、誘導加熱装置で使用される、全体として円柱形状であるエアロゾル吸引用カートリッジであって、エアロゾルを発生する充填物よりなる、エアロゾル形成基材と、前記円柱形状において、その一端に配置され、前記エアロゾルを吸入するためのマウスピースと、前記エアロゾル形成基材と前記マウスピースを包装する外装部材と、前記エアロゾル形成基材の充填物の内部に配置された誘導加熱部材と、を備え、前記誘導加熱部材は、その長さが前記エアロゾル形成基材の長手方向と直径の長さの合計より長く、その長手方向の一部に90°以上屈曲する屈曲部を有し、エアロゾル形成基材の長手方向に沿って配置される、ことを特徴とする、エアロゾル吸引用カートリッジ。
請求項8に記載の発明は、前記誘導加熱部材は、その一部が非磁性体または常磁性体で形成されている、ことを特徴とする、請求項1、2、6または7のいずれか一項に記載のエアロゾル吸引用カートリッジ。
請求項9に記載の発明は、前記誘導加熱部材は、端部の一方または両方が、その長手方向に対して鋭角に形成されている、ことを特徴とする、請求項1、2、6または7のいずれか一項に記載のエアロゾル吸引用カートリッジ。
【発明の効果】
【0013】
この発明によれば、誘導加熱部材がエアロゾル形成基材の底面の側から視たときに、底面の直径軸に平行な方向に対して対称な非直線形状をしていることで、エアロゾル形成基材の径方向の中心近傍に誘導加熱部材が位置していないので、加熱ブレードが挿通する空間ができ、ブレード加熱式、誘導加熱式のいずれの加熱装置でも使用することが可能となる。
【0014】
また、誘導加熱部材が、非直線形状を構成する辺のうち、底面の直径軸に平行な方向に対して対称な位置にある辺の組のうち、少なくとも1組以上の辺の長さがエアロゾル形成基材の円柱形状の円の半径より長いので、エアロゾル形成基材の径方向の中心近傍に誘導加熱部材が位置していない形態となり、加熱ブレードが挿通する空間ができ、ブレード加熱式、誘導加熱式のいずれの加熱装置でも使用することが可能となる。さらに誘導加熱部材がエアロゾル形成基材の内部の広い範囲に及ぶので、広い範囲を有効に加熱することが可能となる。
【0015】
また、誘導加熱部材が、充填物の内部に配置された状態で、円柱形状の側面の側から視たときに、円柱形状の径方向に伸長する成分を有する非直線形状であるので、エアロゾル形成基材の径方向の中心近傍に誘導加熱部材が位置しない形態となり、加熱ブレードが挿通する空間ができ、ブレード加熱式、誘導加熱式のいずれの加熱装置でも使用することが可能となる。また、誘導加熱において、誘導加熱部材の幾何学的な構成において、交番磁界と垂直な方向の成分が大きくなるので、渦電流が発生しやすくなり、ジュール熱による加熱をより効率的に行うことが可能となる。
【0016】
また、誘導加熱部材の一部を構成する非磁性材料は磁性材料に比べて発熱への寄与が少なく、熱伝導体として機能するため、誘導加熱において、過剰加熱を抑えて加熱を安定化させるとともに、エアロゾル形成基材の広い範囲を有効に加熱することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の実施の形態1に係る、エアロゾル吸引用カートリッジの概略の側面断面図である。
【
図2】本発明の実施の形態1に係る、エアロゾル吸引用カートリッジの概略の断面図(X-X)である。
【
図3】本発明の実施の形態1に係る、誘導加熱部材の概略の斜視図である。
【
図4】本発明の実施の形態2に係る、エアロゾル吸引用カートリッジの概略の側面断面図である。
【
図5】本発明の実施の形態2に係る、エアロゾル吸引用カートリッジの概略の断面図(Y-Y)である。
【
図6】本発明の実施の形態2に係る、誘導加熱部材の概略の側面図(a)と斜視図(b)である。
【
図7】本発明の他の実施の形態に係る、誘導加熱部材の概略の正面図である。
【
図8】本発明の他の実施の形態に係る、誘導加熱部材の概略の正面図である。
【
図9】本発明の他の実施の形態に係る、誘導加熱部材の概略の斜視図である。
【
図10】本発明の他の実施の形態に係る、誘導加熱部材の概略の正面図である。
【
図11】本発明の他の実施の形態に係る、誘導加熱部材の概略の斜視図である。
【
図12】本発明の他の実施の形態に係る誘導加熱部材の概略の正面図(a)と平面図(b)である。
【
図13】本発明の他の実施の形態に係るエアロゾル吸引用カートリッジの概略の側面断面図である。
【
図14】本発明の他の実施の形態に係る誘導加熱部材の概略の斜視図である。
【
図15】本発明の他の実施の形態に係る誘導加熱部材の概略の斜視図である。
【
図16】本発明の他の実施の形態に係る誘導加熱部材の概略の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施の形態について、添付の図面を参照しながら説明する。なお、図面におい て、各部の構成の大きさ、間隔、数、その他詳細は、視認と理解の助けのために 、実際の物に比べて大幅に簡略化、誇張して表現している。
【0019】
実施の形態1
図1は、本実施の形態1に係る、誘導加熱装置で使用される、エアロゾル吸引用カートリッジ1の概略の断面図であり、
図2は、エアロゾル吸引用カートリッジ1の概略の断面図(X-X)である。この図に示すように、エアロゾル吸引用カートリッジ1は、全体として細長い円柱形状をしており、充填物が多数充填された略円筒状の充填物の集積体であるエアロゾル形成基材11と、エアロゾル形成基材11からの気流を通すことのできる支持部材15と、円柱の一端に配置され、一端に吸口を有するマウスピース16と、マウスピース16の反対側の端に配置されるシール部材17とが、長手方向に沿って配列されており、シート状の外装部材13で巻かれることで一体化されて形成されている。外装部材13は、紙等で形成することができる。ここで、本特許において「細長い」とは、その幅、厚さまたは直径よりも長さ方向が大きいことを意味する。
【0020】
ここで、エアロゾル形成基材11は、充填物を内装部材12で略円筒状に巻くことで一体化しており、エアロゾル形成基材11の内部には、誘導加熱部材14が内包されている。
【0021】
充填物は、乾燥・粉砕されたタバコ植物または非タバコ植物に、エアロゾルを発生させるエアロゾルフォーマや、微結晶セルロース、風味を追加する添加剤、保存料、粘着剤または増粘剤等を混合し、シート状に成形した上で、所定の幅及び長さを有するように切断されることで形成される。
【0022】
充填物を長尺状で構成した場合、中心軸に直交する断面は略長方形状であり、その断面の長辺と短辺の比は、例えば、1:1~30:1の範囲であることが好ましい。長辺の長さは、0.1mm~7.5mmの範囲が好ましく、さらに好ましくは、0.1mm~3.0mmの範囲である。短辺の長さは、0.1mm~1.0mmの範囲が好ましく、さらに好ましくは0.1mm~0.5mmの範囲である。また、充填物の長さはエアロゾル形成基材11の長さと略同一であるのが好ましい。充填物の長さは10mm~25mmの範囲が好ましく、さらに好ましくは10mm~20mmの範囲である。このような充填物の寸法の一例を挙げると、長辺が1.5mm、短辺が0.3mm、長さが12mmである。
【0023】
次に、充填物として用いられる原料の具体例について説明する。充填物は、以下に示す原料のうち任意の1つまたは複数の組み合わせで構成される。
【0024】
充填物は、タバコ植物または非タバコ植物を原料とする。タバコ植物としては、タバコ葉、タバコ茎、膨張タバコ、均質化タバコ等が挙げられる。非タバコ植物としては、タバコ植物以外の植物が挙げられる。非タバコ植物の好ましい部位としては、葉、果肉、種子、根(鱗根、塊根等)、茎、塊茎、皮(茎皮、樹皮等)、花(花弁、雄蕊、雌蕊等)、幹、枝等が挙げられる。
【0025】
なお、本明細書でいう「植物」とは動物に対する一群を意味し、草および木等のように、根があって場所が固定されて生きているような生物以外に、微細藻類および海藻等のような藻類、キノコ等の菌類等をも含む。
【0026】
充填物は、例えば、乾燥・粉砕された非タバコ植物に、エアロゾルを発生させるエアロゾルフォーマ、微結晶セルロース、風味を追加する風味添加剤、保存料、結着剤または増粘剤等を適宜混合し、粉砕若しくは分級して粉状または粒状にしたり、ペースト状に成形される。また、充填物は、シート状に成形した上で、所定の幅および長さを有するように切断して短冊状または棒状とされる。
【0027】
例えば、非タバコ植物が原材料である場合は、茶葉を使用できる。茶葉は茶になる植物が異なるだけでなく、同じ植物であっても加工法によって異なる茶葉になる。具体的には、たとえば、日本茶、紅茶、ウーロン茶等が挙げられる。
【0028】
エアロゾルフォーマは、例えばグリセリン、プロピレングリコール等が好ましく使用される。
【0029】
次に、微結晶セルロースとは、例えば、繊維性植物のパルプから得られたα-セルロースを酸で部分的に解重合したものとして得られるものであり、セルロースから可溶性部分を取り除き、適宜、不溶性部分を結晶化したものである。
【0030】
微結晶セルロースは、粉体のままでも良いし、水などの溶媒に分散させて懸燭液でも良い。この場合、溶媒ヘの分散は、高速攪拌機や高圧ホモジナイザーなどが使用できる。
【0031】
さらに、必要に応じ充填物の原料として風味を追加する風味添加剤も用いられる。風味添加剤としては、はっか、ココア、コーヒー、紅茶のエキス、茶抽出物のカテキンの粉末等が挙げられる。保存料としては食品に使用されるものが好ましく、例えば、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、安息香酸、安息香酸ナトリウム等が挙げられる。
【0032】
結着剤または増粘剤としては、グアーガム等のゴム、ヒドロキシプロピルセルレロースなどのセルロース結合剤、デンプンなどの有機酸の共役塩基塩などの多糖類、およびこれらの組み合わせが挙げられる。
【0033】
次に、本実施の形態1におけるエアロゾル吸引用カートリッジ1は、径が4.0mm~7.5mm、より好ましくは5.0mm~7.0mm、長さが40mm~80mmに形成される。エアロゾル吸引用カートリッジ1の外径を6.5~7.5mmの範囲に設定すれば、エアロゾル発生装置に設けられたエアロゾル吸引用カートリッジ1を差し込む挿入部と適度な力で嵌合するため、エアロゾル吸引用カートリッジ1をエアロゾル発生装置に好適に保持させることを可能にしつつ、エアロゾル吸引用カートリッジ1の着脱を容易にすることができる。エアロゾル吸引用カートリッジ1の長さを40~80mmの範囲に設定すれば、エアロゾル発生装置に設けられたエアロゾル吸引用カートリッジ1を受け入れる挿入部の長さよりも長くなるので、エアロゾル吸引用カートリッジ1をエアロゾル発生装置に差し込んでも、吸口をエアロゾル発生装置から露出させることができ、使用者がエアロゾルを吸引するのに必要な長さを確保可能となる。
【0034】
支持部材15は、エアロゾル形成基材11の支持部材15側への移動を抑制するとともに、エアロゾル形成基材11で発生したエアロゾルを含む気流をマウスピース16側に流通させる。支持部材15は、例えば円筒状かつ中実状に設けられ、その軸方向が中心軸に沿うようにエアロゾル形成基材11とマウスピース16との間に配置される。支持部材15は、例えば、外径が4.0mm~7.5mm、中心軸に沿った長さが50mm以下に形成される。なお、支持部材15は、適宜機能および構成に応じて上記とは異なる寸法を有していてもよい。
【0035】
支持部材15は、本実施の形態1では、樹脂材で形成された支持部材本体15-1に、空気の流路となる挿通孔15-2が形成された形態である。支持部材15を形成する樹脂材としては、例えば、ポリプロピレン、ポリ乳酸、シリコーンのようなものが挙げられる。
【0036】
マウスピース16は、円筒状に形成され、例えば直径が4.0mm~7.5mm、中心軸に沿った長さが50mm以上に形成される。マウスピース16は、例えば紙等を用いて形成される。また、マウスピース16は、例えば紙からなるシート状の部材を巻いて円筒状に設けられてもよいし、微粒子を取り除くセルロースアセテートフィルタ等を含んでいてもよい。マウスピース16は、エアロゾル形成基材11で生成された水蒸気やエアロゾル中の微粒子の一部を濾過する機能を有する白色のフィルタである。なお、充填物が非タバコ植物を原料としている場合、マウスピース16に濾過機能を持たせる必要は必ずしもなく、例えば外装部材13の内部をそのまま使用したり、中空管を使用したりしても良い(すなわち、マウスピース16の配置されているところは、空洞として使用される)。
【0037】
エアロゾル形成基材11は、長尺状の充填物が長さ方向に沿って束状とされ、シート状の内装部材12で巻かれることで略円筒状となるように形成されている。充填物は、タバコ植物または非タバコ植物から形成される。エアロゾル形成基材11は、10~25mmの長さを有する。なお、充填物は、長尺状に限られず、短冊状、棒状、シート状、粒状、ダスト状、ペースト状、多孔質状など他の形態であってもよい。また、エアロゾル吸引用カートリッジ1は、エアロゾル発生装置の形状に合わせて、上記とは異なる寸法を有していてもよい。
【0038】
エアロゾル形成基材11の外径は、支持部材15やマウスピース16の外径と等しく、また、中心軸に沿って概ね一定の値となっている。この外径の大きさは、例えば4.0mm~7.5mmの範囲が好ましく、さらに好ましくは5.0mm~7.0mmの範囲である。
【0039】
誘導加熱部材14は、前述のとおり、エアロゾル形成基材11の内部に設けられている。本実施の形態1では誘導加熱部材14は、平板状の素材を加工したものである。ここで、誘導加熱部材14の素材は、強磁性体を含む金属材料で形成される。強磁性体は、外部磁界を加えると外部磁界と同じ方向の磁性を強く帯び、特に磁石に吸着する性質を持つ素材であり、例えば、強磁性体の材料である鉄、フェライト鉄、フェライト粉末、フェライト粒子、フェライト系ステンレス(例えばSUS430)、ニッケル、ニッケル鉄合金(例えば42アロイ、36インバー)、あるいはコバルト等が挙げられる。強磁性体の比透磁率は、1よりも極めて大きく、例えば、鉄であれば5000程度であり、ニッケルであれば600程度であり、コバルトであれば250程度であり、フェライト系ステンレスであれば1000~1800程度である。
【0040】
磁性体のうち常磁性体は、外部磁界を加えると外部磁界と同じ方向の磁気を弱く帯び、外部磁界をゼロにすると磁気を帯びなくなる材料であり、例えば、アルミニウム、白金およびマンガン等が挙げられる。常磁性体の比透磁率は1よりもわずかに大きく、例えば、アルミニウムであれば1.000021程度であり、白金であれば1.000265程度であり、マンガンであれば1.000830程度である。
【0041】
また、磁性体のうち反磁性体は、外部磁界を加えると外部磁界と反対方向の磁気を帯び、外部磁界をゼロにすると磁気を帯びなくなる材料であり、例えば銅、グラファイト、ビスマス等が挙げられる。反磁性体の比透磁率は、1よりもわずかに小さく、例えば、銅であれば0.999990程度であり、グラファイトであれば0.99980程度であり、ビスマスであれば0.999834程度である。
【0042】
強磁性体は、向きや大きさが時間と共に変化する磁界(交番磁界)内部に置いたとき、電磁誘導により流れる渦電流によるジュール熱が発生するだけでなく、強磁性体内部の磁化の向きが変化するときに発生するエネルギー損失(ヒステリシス損)に起因する熱が発生するため、常磁性体や反磁性体に比べて容易に誘導加熱ができ、エアロゾル形成基材11を十分に加熱できる。
【0043】
また、強磁性体がその磁気秩序を失い、常磁性体に転移する温度であるキュリー温度は、例えば、ニッケルであれば358℃程度である。そのため、エアロゾル吸引用カートリッジ1を例えば200℃の高温で加熱する際にも、加熱温度がキュリー温度に達することはなく、強磁性体としての性質を維持でき、エアロゾル形成基材11を安定して加熱できる。
【0044】
誘導加熱部材14の素材は、強磁性体の材料である、鉄、フェライト鉄、フェライト粉末,フェライト粒子、フェライト系ステンレス、強磁性鋼、ステンレス鋼、ニッケル、コバルト、またはこれらを組み合わせた金属材料を採用してもよい。例えば、フェライト系ステンレスとニッケルを組み合わせたもの等が挙げられ、より好ましくは、鉄、クロム、アルミを組合せた合金(鉄クロムアルミ合金)である。
【0045】
ここで、鉄及びクロムの温度と磁性の関係性について説明する。鉄は、キュリー温度が約770℃、クロムは、反強磁性体から常磁性体に変わる温度であるネール温度が約35℃である。
【0046】
また、誘導加熱部材14は、強磁性体を主成分として含む金属材料によって構成されてもよく、例えば強磁性体を、好ましくは60%以上、さらに好ましくは80%以上含む合金である強磁性合金を採用してもよい。例えば、ニッケル合金あるいはニッケル鉄合金等が挙げられる。この場合でも、強磁性体が誘導加熱されることで、エアロゾル形成基材11を十分に加熱できる。なお、強磁性体の代わりに、常磁性体および反磁性体を含む金属材料を用いてもよい。この場合でも誘導加熱自体は可能である。ただし、加熱時間の短縮化や消費電力の低減の観点から強磁性体を含む金属材料を用いる方が好ましい。
【0047】
次に、本発明の実施の形態1に係る、誘導加熱部材14の形状と配置について説明をする。
図2は、
図1中のX-Xの断面図であり、
図3は、誘導加熱部材14の概略の斜視図である。
【0048】
図2、3に示すように、誘導加熱部材14は、全体として平板状の素材を折り曲げ加工したものであり、充填物の内部に配置された状態で円柱形状の底面の側から視たときに、底面の直径軸に平行な方向に対して対称な非直線形状をしている。本実施の形態1では、V字形状である。ここで、本実施の形態1において「底面の直径軸に平行な方向に対して対称」とは、エアロゾル形成基材11の底面が構成する円の直径を軸としたときに、当該軸とそれに平行な方向に対して対称という意味である。以下の実施の形態においても同様とする。また、円柱の側面から視たときには、
図3に示すように、細長い形状をしている。ここで、誘導加熱部材14は、V字形状であり、底面の直径方向(図中の一点鎖線)に平行な方向に対して対称な非直線形状をしている。また、対称な位置にある辺の組のうち、少なくとも1組以上の辺の長さがエアロゾル形成基材11の円柱形状の円の半径より長いことが好ましい。本実施の形態1では、V字の左右それぞれの辺の長さが、エアロゾル形成基材11の円柱形状の円の半径より長く形成されている。
【0049】
誘導加熱部材14の素材となる平板は、厚さが0.05~0.5mm、好ましくは厚さが0.1~0.3mm、長さはエアロゾル形成基材11の長さと略同じであるが、これと異なっていても良い。幅は、前述のとおりV字形状を形成したときに、左右の各辺の長さが、エアロゾル形成基材11の円柱形状の円の半径より大きくなるような寸法に設定されている。
【0050】
なお、誘導加熱部材14を構成する平板には厚みがあるので、厳密には線状図形のように辺の長さは定まらないが、本実施の形態1においては、
図2の拡大図に示すように、厚み方向の中点(a)、(b)、(c)を通る線(
図2拡大図の点線)を基準に辺の長さを定義する。以下の実施の形態でも同様とする。
【0051】
また、誘導加熱部材14のV字形状の折り曲げ角度は、エアロゾル形成基材11の径と素材である平板の幅を考慮して、誘導加熱部材14の一部分がエアロゾル形成基材11を構成する円柱の中心誘導加熱部材が配置されずに、加熱装置の加熱ブレードが挿通できる程度の十分な空間ができるような、適当な角度に設定する。本実施の形態1のV字形状では、例えば内角で20°以上であるとこが好ましい。本実施の形態1では30°±10°とした。
【0052】
誘導加熱部材14は、その長手方向が、エアロゾル形成基材11を形成する円柱の中心軸の方向と略一致する向きで、エアロゾル形成基材11の内部に配置されている。このような構成と配置により、エアロゾル形成基材11の径方向の中心近傍に誘導加熱部材14が位置ない形態になる。
【0053】
次に、シール部材17は、円筒状に形成され、例えば直径が4.0mm~7.5mm、中心軸に沿った長さが30~70mm以下に形成される。シール部材17は、マウスピース16と同様に、例えば紙からなるシート状の部材を巻いて円筒状に設けられてもよい。シール部材17は、カートリッジの外部からエアロゾル形成基材11に向かって空気を通過させる機能を有する。また、シール部材17は、エアロゾル形成基材11で生成された水蒸気やエアロゾルのうち、エアロゾル形成基材11に留まって液化した残留液を吸収することができる。このシール部材17は、マウスピース16とは異なる色(例えば黒)にすることで、エアロゾル吸引用カートリッジ1の上流側と下流側を簡単に判断可能にすることができる。また、円筒の高さ方向に1または2以上の通気用の貫通孔を設けても良いし、通気性を有する多孔質体で形成されていても良い。
【0054】
次に、本実施の形態1に係る、エアロゾル吸引用カートリッジ1の製造工程について説明をする。当該製造工程は、大きく分けて充填物の製造工程、エアロゾル形成基材11の製造工程、組立工程からなり、この順に行われる。
【0055】
<充填物の製造工程>
初めに、充填物の製造工程について説明をする。充填物の製造工程は、さらに内部工程として、その主原料となるタバコ植物または非タバコ植物を乾燥・粉砕し、秤量等を行う乾燥・粉砕工程と、その他の原料の前処理、秤量等を行う準備工程と、原料を混合して組成物とする混合工程と、組成物を成形する充填物成形工程と、を有する。
【0056】
乾燥・粉砕工程では、主原料となるタバコ植物または非タバコ植物の使用部位(例えば、葉、種子、乾燥果実、茎、樹皮、根など)を組成物とするため、所定の粉砕物に加工する。その際、後に添加するエアロゾルフォーマ、水その他の成分を吸収あるいは担持するのに都合の良い水分量に調整することが好ましい。乾燥において、温度は60℃以上80℃以下が好ましい。この範囲とすることで、必要とする香味成分の散逸を避けながら、所望の水分量に到達させやすい。さらに、乾燥・粉砕工程には、粉砕物を篩分けする篩工程を設けることもでき、所望の粒度に調整して混合工程に投入することができる。
【0057】
準備工程においては、充填物を作製するにあたり必要な原料を準備することができる。前述の微結晶セルロースは、準備工程において秤量され、混合工程に投入される。
【0058】
混合工程においては、通常の混合機を使用することができる。例えば、混合槽中の原料を撹拌羽根にて、剪断力を加えつつ混合するような形態が好ましく用いられる。
【0059】
充填物成形工程では、各種原料が混合された組成物を薄いシート状に成形してから、切断することで、短冊状または棒状の充填物が成形される。本実施形態では、薄いシートにするため、複数本のロールミルを用意する。複数本のロールミルを用いると、狭いロール間に押し込まれることによる圧縮と、ロール速度差による剪断により、混練、分散などを行いながら、ドクターブレードにより所望の厚さのシートとすることが可能であり、好ましい。また、プレスローラあるいはプレス機を用いて作製することもできる。
【0060】
また、粉状または粒状の充填物とするには、上記組成物について、適宜粉砕若しくは分級を行うことが好ましい。粉状または粒状の充填物における平均粒子径は、例えば0.1~3.0mmであることが好ましく、0.5mm以下であることがより好ましい。当該平均粒子径は、例えばJIS K 0069:1992に記載された篩分け法によって求められる。つまり、この平均粒子径は、複数の篩による試験結果について、目開きの大きいほうからの質量の積算を行い、その質量50%に相当する径をいう。また、レーザー回折・散乱法によって求めた粒度分布における積算値50%での粒径を平均粒子径としても良い。
【0061】
充填物成形工程では、組成物を加圧によりオリフィスを通過させて成形するなど、他の手段を用いても良い。また、充填物成形工程では、必要に応じて、非タバコ植物、エアロゾルフォーマ、結着剤または増粘剤等、風味添加剤、保存料をさらに添加しても良いし、水などを添加しても良い。
【0062】
充填物成形工程で得られるシートの厚さは、0.1mm~1.0mmの範囲が好ましく、さらに好ましくは0.1mm~0.5mmの範囲である。得られたシートは、カッター、回転刃方式のロータリーカッター等により、所定の幅に切断される。
【0063】
ここで、充填物の表面に粘着性を付与する場合は、粘着性を付与できる手段であれば特に限定されないが、既述の結着剤を少なくとも一部に付着させれば良い。粘着性を付与することで、短冊状または棒状の充填物と粉状、粒状またはペースト状の充填物と組み合わせる場合に、短冊状または棒状の充填物の表面に粉状、粒状またはペースト状の充填物を安定して保持することができる。
【0064】
<エアロゾル形成基材の形成工程>
次に、エアロゾル形成基材11の製造工程について説明をする。エアロゾル形成基材11の製造工程は、内部工程として、上述した充填材形成工程、収束工程、包摂工程及び切断工程を有している。
【0065】
収束工程では、上述した充填材形成工程後の、延在してなる充填物をエアロゾル形成基材11の径に合わせて収束させる。この収束工程では、延在してなる誘導加熱部材14を、その素材である金属板が所定の位置に配設されるように位置させ、当該誘導加熱部材14に沿うように、延在してなる充填物を配設させつつ、当該充填物で当該誘導加熱部材14を覆い収束させる。
【0066】
なお、誘導加熱部材14の素材となる金属板は、リボン状の長い金属製の平板を、V字状等所定の形状に加工したものを別途予め準備しておく。加工は折り曲げ加工であり、金型を用いたプレス加工で行った。
【0067】
包摂工程では、収束工程で収束させた充填物を、延在してなる内装部材12により包み、延在してなるエアロゾル形成基材11を形成する。
そして、切断工程では、包摂工程で作成した、延在してなるエアロゾル形成基材11を、例えば図示しないローラカッタを用いて所定の長さ(10~25mm)に切断し、エアロゾル形成基材11を形成する。
【0068】
したがって、誘導加熱部材14の厚さを0.1~0.5mm、好ましくは0.1~0.3mm、とすることで、蓄熱性や誘導磁場による加熱性を高めつつ、切断工程における延在してなるエアロゾル形成基材11の切断に要する力を軽減させることや、ローラカッタの消耗を低減させることができる。
【0069】
<組立工程>
次に、組立工程について説明をする。組立工程は、シール部材16と、エアロゾル形成基材11と、支持部材15と、マウスピース16を、この順番で一列に配列し、外装部材13で包むことで、エアロゾル吸引用カートリッジ1が完成する。
【0070】
この発明によれば、誘導加熱部材14がエアロゾル形成基材11の底面から視たときに、底面の直径軸に平行な方向に対して対称な非直線形状をしていることで、エアロゾル形成基材11の径方向の中心近傍に誘導加熱部材14が位置していないので、加熱ブレードが挿通する空間ができ、ブレード加熱式、誘導加熱式のいずれの加熱装置でも使用することが可能となる。
【0071】
また、誘導加熱部材14が、非直線形状を構成する辺のうち、底面の直径軸に平行な方向に対して対称な位置にある辺の組のうち、少なくとも1組以上の辺の長さがエアロゾル形成基材11の円柱形状の円の半径より長いので、エアロゾル形成基材11の径方向の中心近傍に誘導加熱部材14が位置していない形態となり、加熱ブレードが挿通する空間ができ、ブレード加熱式、誘導加熱式のいずれの加熱装置でも使用することが可能となる。さらに誘導加熱部材14がエアロゾル形成基材11の内部の広い範囲に及ぶので、広い範囲を有効に加熱することが可能となる。
【0072】
実施の形態2
図4から6に基づいて、本実施の形態2に係る、エアロゾル吸引用カートリッジ2について説明する。ここで、実施の形態1と共通の構成や作用については、図示と説明を省略する。
【0073】
誘導加熱部材24は、
図4のように、エアロゾル形成基材21の充填物の内部に配置された状態で、円柱形状の側面の側から視たときに、円柱形状の径方向に伸長する成分を有する非直線形状である。本実施の形態2では、
図5、6に示すように、エアロゾル形成基材21を形成する円柱の中心軸の方向と平行な成分(平行成分24-1)と、それに垂直な成分(垂直成分24-2)から構成された、いわば逆T字形状を3個連結した形状をしている。
【0074】
誘導加熱部材24は、誘導加熱部材14と同様に、素材となるリボン状の長い金属製の平板を、切り込み・折り曲げ加工したものである。折り曲げる際の垂直成分24-2の大きさと配置も同様に、エアロゾル形成基材21の径と素材である平板の幅を考慮して、エアロゾル形成基材211を構成する円柱の中心に誘導加熱部材24が配置されずに、加熱ブレードが挿通できる程度の十分な空間ができるような、寸法と角度に設定する。本実施の形態2では、垂直成分24-2は、長手方向(
図5の上下方向)は、エアロゾル形成基材11の半径より長く、短手方向(同左右方向)は半径より短く設定されている。具体的には、長手方向の辺が5mm、短手方向の辺が2mmの略長方形状である。このような構成と配置により、エアロゾル形成基材21の径方向の中心近傍に誘導加熱部材24が位置していない形態になる。
【0075】
この発明によれば、誘導加熱部材24が、充填物の内部に配置された状態で、円柱形状の側面の側から視たときに、円柱形状の径方向に伸長する成分を有する非直線形状をしており、エアロゾル形成基材21の径方向の中心近傍に誘導加熱部材24が位置しないので、加熱ブレードが挿通する空間ができ、これによりブレード加熱式、誘導加熱式のいずれの加熱装置でも使用することが可能となる。また、誘導加熱部材24の幾何学的な構成において、交番磁界と垂直な方向の成分が大きくなるので、誘導加熱において、渦電流が発生しやすくなり、ジュール熱による加熱をより効率的に行うことが可能となる。
【0076】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本願発明の範囲は以上の実施の形態に限られるものではなく、これと同視しうる他の形態に対しても及ぶ。
【0077】
例えば、本実施の形態1では、誘導加熱部材14の充填物の内部に配置された状態で円柱形状の底面の側から視たときにV字形状をしていたが、これに限られず、円柱の底面の直径軸に平行な方向に対して対称な非直線形状をしていれば、他の形状で良い。例えば、
図7(a)のようにU字形、(b)のようにW字形、またはコの字状、さらにはこれらの組み合わせからなるものでもよい。でもよい。ここで、U字形のような、明確な角を持たない曲線形状の場合、辺の長さは、対称性を判断するための基準となる仮想の中央線(図中の一点鎖線)を基準として、前述のとおり厚み方向の中央を通る線と仮想線の交点までの長さで判断されるものとする。この際には、誘導加熱部材14の一部分がエアロゾル形成基材11を構成する円柱の中心誘導加熱部材が配置されずに、加熱装置の加熱ブレードが挿通できる程度の十分な空間ができるような寸法と角度を設定する。この場合、円の直径軸に平行な方向に対して対称な位置にある辺の組のうち、少なくとも1組以上の辺の長さがエアロゾル形成基材11の円柱形状の円の半径より大きくなるような寸法に設定することで、誘導加熱部材14の一部分が円柱の中心に位置することを避けやすくなる。例えば(b)のW字状の場合には、2組の辺(両端の2辺と、中央の2辺)の長さが、半径より長く設定されている。
【0078】
また、
図8のように、誘導加熱部材14を強磁性を含む材料からなり、誘導加熱を行う発熱部54と、熱伝導部55の複数構成としてもよい。ここで、熱伝導部55は、非磁性体または常磁性体のようにヒステリシス損による発熱がなく、誘導加熱への寄与が強磁性体に比べて小さい素材(例えばSUS304、アルミニウム)からなる素材を使用する。
図8(a)は、発熱部54、熱伝導部55ともV字状であり、熱伝導部55の方が発熱部54より大きく形成されている。ここでは、熱伝導部55のV字形状の内側に、発熱部54を、熱的接触状態を確保しながら載置している。誘導加熱において発熱部54により発した熱は、熱伝導部55を介して、エアロゾル形成基材11の広い範囲に伝達され、エアロゾル形成基材の広い範囲を有効に加熱することが可能となり、より効率よくエアロゾルを発生することが可能となる。さらに、熱伝導部55ではヒステリシス損による発熱がないので、過剰発熱を起こさずに、安定した加熱を行うことが可能となる。一方(b)では、発熱部64は平板形状を特に折り曲げ加工等せず、平板形状で使用されているが、このような形状であっても、同様の効果を得ることが可能である。
【0079】
また、本実施の形態2における誘導加熱部材24は、素材となるリボン状の長い金属製の平板を、切り込み・折り曲げ加工したものであるが、
図9(a)のように垂直成分74-2の角をR形状にしてもよい。また、切り込み加工を行わすに、
図9(b)のように折り曲げ加工をするだけで、垂直成分84-2を形成してもよい。この場合、使用時に加熱ブレードと干渉しないように、垂直成分84-2には、加熱ブレードの長さと幅に対応した大きさの開口84-3が形成されている。
【0080】
さらに、実施の形態1において、誘導加熱部材14は、非直線形状であれば、
図10のような、矩形状であってもよいし、その他多角形状や円形状であってもよい。また、多角形や円形状にする際にも、閉じた形状とせずに、例えばC字状のように、一部開いた形状としてもよい。
【0081】
また、
図11(a)の、U字状の誘導加熱部材34は、その長手方向と略垂直な方向の一部に、誘導加熱部材34を厚さ方向で貫通する深さの切込み34-1が、長手方向に沿って1個または2個以上配列されている。また、切込み34-1は、誘導加熱部材34を完全に分断しない範囲で形成される。ここでは、長手方向と略垂直な方向に、その両端(誘導加熱部材34の長手方向の辺に相当)を切り離さないように形成されている。このようにすることで、上記の切断工程において、誘導加熱部材34が切断される際に、ローラカッタの圧力により変形することを最小限にとどめることが可能となる。また、切込み34-1が貫通していることで、通気口となり、発生したエアロゾルの通気性を向上させることが可能となる。また、これは
図11(b)の様に、V字状の誘導加熱部材14についてもよいし、その他の形状例えばコの字状であってもよい。
【0082】
また、
図12の誘導加熱部材14のように、非貫通の切込み14-2が形成されていてもよい。このようにすることで、切込み14-2を変形部として非直線形状を形成するときに、容易に変形をさせることが可能となる。
図12では切込み14-2は一本の直線であり、これはV字状となる場合であるが、これに限られず、切込み14-2の本数や間隔を調整することで、W字状、コの字状といった多彩な形状を形成できる。
【0083】
また、
図13のように、誘導加熱部材104は全体として細長い形状であり、その全体の長さ(全長)が、エアロゾル形成基材11の長手方向と直径の長さの合計より長く、その長手方向の一部に90°以上屈曲する屈曲部を有し、エアロゾル形成基材11の長手方向に沿って配置されていてもよい。例えば、
図14(a)のように、誘導加熱部材104aがU字状であり、約180°屈曲した屈曲部104a1を有するものであってもよいし、また、
図14(b)のように、誘導加熱部材104bがV字状であり、90°~180°で屈曲した屈曲部104b1を有するものであってもよい。また、W字状、コの字状、これらの組み合わせ等、その他の形状でもよい。
【0084】
誘導加熱部材104がこのような形状をとることで、充填物内において位置が安定し、エアロゾル形成基材11の内部で位置ずれを起こしたり、抜け落ちたりすることを防止できるとともに、全長が、エアロゾル形成基材11の長手方向と直径の長さの合計より長いので、充填物との接触面積が増えるので、加熱範囲を広くすることができ、エアロゾルの発生量を増やすことが可能となる。
【0085】
また、上記の製造工程とは異なり、誘導加熱部材114をエアロゾル形成基材11の充填物に、後から挿入するような場合には、
図15のエアロゾル吸引用カートリッジ3のように、誘導加熱部材114が細長く、その端部の一方または両方が、その長手方向に対して鋭角に形成されていることが好ましい。
図15(a)は、誘導加熱部材114aがU字状であり、同図(b)は、誘導加熱部材114bがV字状の場合である。また、W字状、コの字状、これらの組み合わせ等、その他の形状でもよい。また、平板の様な単純な形状に鋭角を形成してもよい。
【0086】
ここで、鋭角の角度は、
図16のように、側面視したときに、誘導加熱部材114の長手方向と端部がなす内角θのうち、小さい方を意味し、θが90°未満であることを鋭角という。具体的には、30~70°が好ましく、40~60°がさらに好ましい。これより小さすぎると、先端が細くなり過ぎて構造的に弱くなり、大きすぎると充填物へのスムーズな差し込みができなくなる。また、鋭角は両端に形成されていてもよい。
【0087】
これによれば、上記の製造工程とは異なり、誘導加熱部材114をエアロゾル形成基材11の充填物に、後から挿入するような場合に、先端が尖っていることで充填物にスムーズに刺し込むことが可能となり、生産性向上に効果がある。なお、誘導加熱部材114が前述の様に平板形状の場合には、ブレード加熱式と誘導加熱式のいずれでも使用できるようにする場合は、円柱形状の底面の側から視たときに、誘導加熱部材114が底面の中心にからずれている(すなわち中心を通る直径軸からずれている)とよい。
【0088】
なお、充填物の原材料である茶葉は、実施の形態に挙げたもの以外に、一般に使用されている全ての茶葉を使用できる。また、これら茶葉については飲用後の茶殻を使用しても良い。茶殻などを使用すれば高価な茶葉などを再利用して有効活用できる。
【0089】
また、上記に例示した非タバコ植物の抽出物、所謂エキスや加工品も使用することができる。抽出物の形態としては、液体、水あめ状、粉末、顆粒、溶液等が挙げられる。
【0090】
また、充填物の原料としてのエアロゾルフォーマは、実施の形態に挙げたもの以外に、ソルビトール、トリエチレングリコール、乳酸、ジアセチン(グリセリンジアセタート)、トリアセチン(グリセリントリアセタート)、トリエチレングリコールジアセタート、クエン酸トリエチル、ミリスチン酸イソプロピル、ステアリン酸メチル、ドデカンジオン酸ジメチル、テトラデカンサンジオン酸ジメチルなども使用できる。
【0091】
また、風味添加剤として、メントールおよび非水溶性架橋ポリマー(好ましくはポリビニルポリピロリドン)を含有させても良い。メントールに非水溶性架橋ポリマーを組み合わせることで、メントールの昇華を効果的に抑制でき、メントールの風味を長期間保つことができる。ここで、メントールとは、天然物から得られたものに限られず、合成物でも良い。また、はっか、ミント、ハッカ油、その他のメントールを含むものを使用しても良い。
【0092】
また、風味添加剤は、例えば、マウスピース16の壁部に含浸させることによってマウスピース16に設けられている。風味添加剤がマウスピース16に設けられている態様は、このような態様に限られず、例えば、当該風味添加剤が封入されているカプセルをマウスピース16の壁部に埋設することによって、マウスピース16に風味添加剤が設けられているようにしても良い。または、マウスピース16とエアロゾル形成基材11との間に風味添加剤が封入されたカプセルが配置されるようにしても良い。風味添加剤がカプセルに封入されている場合、使用者は、カプセルを指で押圧することにより、カプセルを破壊することができ、所望のタイミングで風味添加剤の芳香成分を揮発させることが可能となる。
【0093】
また、風味添加剤は、例えば、マイクロカプセルに封入されている場合、封入されているマイクロカプセルをエアロゾル形成基材11に設けても良い。勿論、当該マイクロカプセルを支持部材15に設けても良い。
【0094】
また、充填物の原料としての結着剤または増粘剤としては、実施の形態に挙げたものの他、キサンタンガム、アラビアゴムおよびローカストビーンガムなどのゴム、例えばカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロースおよびエチルセルロースなどのセルロース結合剤、または、アルギン酸などの有機酸、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カラナギン、寒天およびペクチンなどの有機酸の共役塩基塩などの多糖類、およびこれらの組み合わせが挙げられる。
【0095】
また、非タバコ植物の様にニコチンを含まない原料を使用する場合には、ニコチンに類似した使用感、いわゆるキック感を得られる物質を添加してもよい。例えば、コショウ科コショウ属の植物(コショウ、ヒハツ、ヒハツモドキ、フウトウカズラ等)、ブラックペッパー、ホワイトペッパー、ピペリン、ロベリン、カビシン、カプサイシン、ジヒドロカプサイシン、グルコシノレート、アリルイソチオシアネートなどが好ましい。
【0096】
また、支持部材15は、実施の形態に挙げたもの以外の樹脂材、あるいは冷却効果が増す木材、金属(アルミ等)のような樹脂材以外の材料で形成されていてもよい。さらに、支持部材15は、エアロゾル形成基材11がマウスピース16側に容易に動くことのない構成(エアロゾル形成基材11が外装部材13に固定されている等)であれば、必ずしも必要ではない。
【0097】
同様に、誘導加熱部材14は、強磁性体、常磁性体または反磁性体を組み合わせたものでもよい。例えば、強磁性体の材料であるニッケルで形成された平板と強磁性体の材料である鉄で形成された平板とを物理的に密着したもの、または強磁性体の平板と、常磁性体の材料であるアルミニウムで形成された平板とを物理的に密着したもの、強磁性体の外表面を常磁性体で被覆する等が挙げられる。
【0098】
また、誘導加熱部材14は、必ずしも金属材料のみから形成される必要はなく、全体として磁性を有していれば、金属と非金属の複合材料などを用いてもよい。
【0099】
また、充填物は粉状または粒状に成形されたものや、ペースト状に成形されたものでもよい。
【0100】
さらに、製造方法において、予め充填物を内装部材12で包摂してエアロゾル形成基材11を形成したのち、誘導加熱部材14を挿入してもよい。この場合、切断工程におけるローラカッタの消耗をさらに低減させることができる。
【0101】
また、エアロゾル形成基材11中の充填物の形状と位置が確保される手段がとられていれば、支持部材15は必ずしも必要ではない。この場合、通気性の向上が可能になると共に、部品点数の減少によるコスト削減が可能になる。この場合の手段とは、例えば充填物がペースト状に成形されていたり、マウスピース16側にもシール部材17のような隔壁を設けたりすることである。
【0102】
また、支持部材15とマウスピース16の間に、エアロゾルの冷却を行う冷却部材を設けてもよい。これにより、エアロゾルの熱が有効に冷却され、使用者が支障なく吸引することが可能になる。ここで、冷却部材は、紙、樹脂、金属などを素材として、多孔質体や捲縮体のような、表面積が大きくなるような素材で形成されることが好ましい。
【符号の説明】
【0103】
1、2、3 エアロゾル吸引用カートリッジ
11、21 エアロゾル形成基材
12 内装部材
13 外装部材
14、24、34、44、54、64、74、84、94、104、114 誘導加熱部材
15 支持部材
16 マウスピース
17 シール部材
【手続補正書】
【提出日】2023-09-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘導加熱装置で使用される、全体として円柱形状であるエアロゾル吸引用カートリッジであって、
エアロゾルを発生する充填物よりなる、エアロゾル形成基材と、
前記円柱形状において、その一端に配置され、前記エアロゾルを吸入するためのマウスピースと、
前記エアロゾル形成基材と前記マウスピースを包装する外装部材と、
前記エアロゾル形成基材の前記充填物の内部に配置された細長い形状の誘導加熱部材と、を備え、
前記誘導加熱部材は、平板状の素材を折り曲げ加工したものであり、前記充填物の内部に配置された状態で前記円柱形状の底面の側から視たときに、前記誘導加熱部材の全体が前記底面の直径軸に平行な方向に対して対称なV字状、U字状、コの字状の何れか、またはこれらの組み合わせからなる非直線形状をしており、前記誘導加熱部材は、長手方向が、前記エアロゾル形成基材を形成する円柱の中心軸の方向と略一致するように、前記エアロゾル形成基材の内部に配置されており、前記エアロゾル形成基材の径方向の中心近傍に位置していない、
ことを特徴とする、エアロゾル吸引用カートリッジ。
【請求項2】
前記誘導加熱部材は、前記非直線形状を構成する辺のうち、前記底面の直径軸に平行な方向に対して対称な位置にある辺の組のうち、少なくとも1組以上の辺の長さが前記円柱形状の円の半径より長い、
ことを特徴とする、請求項1に記載のエアロゾル吸引用カートリッジ。
【請求項3】
前記誘導加熱部材は、前記誘導加熱部材の長手方向と略垂直な方向に、前記誘導加熱部材を厚さ方向で貫通する深さの切込みが、前記長手方向に沿って1個または2個以上配列されている、
ことを特徴とする、請求項1または2の何れか一項に記載のエアロゾル吸引用カートリッジ。
【請求項4】
前記誘導加熱部材は、その前記非直線形状を形成する変形部において、非貫通の切込みが形成されている、
ことを特徴とする、請求項1または2の何れか一項に記載のエアロゾル吸引用カートリッジ。
【請求項5】
誘導加熱装置で使用される、全体として円柱形状であるエアロゾル吸引用カートリッジであって、
エアロゾルを発生する充填物よりなる、エアロゾル形成基材と、
前記円柱形状において、その一端に配置され、前記エアロゾル形成基材の反対側に位置する、前記エアロゾルを吸入するためのマウスピースと、
前記エアロゾル形成基材と前記マウスピースを包装する外装部材と、
前記エアロゾル形成基材の充填物の内部に配置された細長い形状の誘導加熱部材と、を備え、
前記誘導加熱部材は、平板状の素材を折り曲げ加工したものであり、前記充填物の内部に配置された状態で、前記円柱形状の側面の側から視たときに、前記エアロゾル形成基材を形成する円柱の中心軸の方向と平行な平行成分と、それに垂直な垂直成分と、から構成され、前記垂直成分には、前記エアロゾル形成基材の径方向の中心近傍に開口が形成されている、
ことを特徴とする、エアロゾル吸引用カートリッジ。
【請求項6】
誘導加熱装置で使用される、全体として円柱形状であるエアロゾル吸引用カートリッジであって、
エアロゾルを発生する充填物よりなる、エアロゾル形成基材と、
前記円柱形状において、その一端に配置され、前記エアロゾルを吸入するためのマウスピースと、
前記エアロゾル形成基材と前記マウスピースを包装する外装部材と、
前記エアロゾル形成基材の充填物の内部に配置された細長い形状の誘導加熱部材と、を備え、
前記誘導加熱部材は、平板状の素材を折り曲げ加工したものであり、その長さが前記エアロゾル形成基材の長手方向と直径の長さの合計より長く、その長手方向にU字状に約180°屈曲する屈曲部を有し、前記誘導加熱部材の長手方向は、前記屈曲部を前記マウスピース側に向けて、前記エアロゾル形成基材の長手方向に沿って配置される、
ことを特徴とする、エアロゾル吸引用カートリッジ。
【請求項7】
前記誘導加熱部材は、その一部が非磁性体または常磁性体で形成されている、
ことを特徴とする、請求項1、2、5または6のいずれか一項に記載のエアロゾル吸引用カートリッジ。
【請求項8】
前記誘導加熱部材は、全体として細長い平板であり、側面視において前記誘導加熱部材の長辺と、前記誘導加熱部材の短辺がなす内角θのうち、小さい方の角度が30~70°に形成されている、
ことを特徴とする、請求項1または2のいずれか一項に記載のエアロゾル吸引用カートリッジ。