(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024024596
(43)【公開日】2024-02-22
(54)【発明の名称】撹拌槽洗浄装置、及び撹拌槽洗浄方法
(51)【国際特許分類】
B01F 35/10 20220101AFI20240215BHJP
B08B 3/12 20060101ALI20240215BHJP
B01F 23/53 20220101ALI20240215BHJP
B01F 23/43 20220101ALI20240215BHJP
B01F 27/112 20220101ALI20240215BHJP
B01F 27/90 20220101ALI20240215BHJP
B01F 27/17 20220101ALI20240215BHJP
【FI】
B01F35/10
B08B3/12 B
B01F23/53
B01F23/43
B01F27/112
B01F27/90
B01F27/17
【審査請求】未請求
【請求項の数】23
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023119261
(22)【出願日】2023-07-21
(31)【優先権主張番号】P 2022126921
(32)【優先日】2022-08-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】592205148
【氏名又は名称】みづほ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100195752
【弁理士】
【氏名又は名称】奥村 一正
(72)【発明者】
【氏名】田邉 雅彦
(72)【発明者】
【氏名】藤井 遼一
(72)【発明者】
【氏名】中山 雅照
【テーマコード(参考)】
3B201
4G035
4G037
4G078
【Fターム(参考)】
3B201AA33
3B201AA46
3B201AB51
3B201BB01
3B201BB85
3B201BB87
3B201BB93
3B201BB94
3B201BB98
3B201CA01
3B201CC01
4G035AB38
4G035AB46
4G037DA14
4G037EA04
4G078AA30
4G078BA05
4G078BA09
4G078DA01
4G078EA20
(57)【要約】 (修正有)
【課題】シンプルな構成で撹拌槽内を洗浄することができる撹拌槽洗浄装置及び撹拌槽洗浄方法を提供する。
【解決手段】液体、又は液体と固形物の混合体を原料として撹拌する撹拌装置の撹拌槽1内を洗浄する撹拌槽洗浄装置100であって、前記撹拌槽内に超音波発振器10を備えたことを特徴とする撹拌槽洗浄装置とした。また、液体、又は液体と固形物の混合体を原料として撹拌する撹拌装置の撹拌槽内を洗浄する撹拌槽洗浄方法であって、洗浄水を充填した前記撹拌槽内に超音波振動を発生させて洗浄する洗浄工程を備えたことを特徴とする撹拌槽洗浄方法とした。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体、又は液体と固形物の混合体を原料として撹拌する撹拌装置の撹拌槽内を洗浄する撹拌槽洗浄装置であって、
前記撹拌槽内に超音波発振器を備えたことを特徴とする撹拌槽洗浄装置。
【請求項2】
前記超音波発振器は、洗浄時に前記撹拌槽内の上部から底部に向けた方向に設けられる棒状であることを特徴とする請求項1に記載の撹拌槽洗浄装置。
【請求項3】
前記棒状の前記超音波発振器は、少なくとも側面全周囲から超音波振動を発振することを特徴とする請求項2に記載の撹拌槽洗浄装置。
【請求項4】
前記棒状の前記超音波発振器は、一の方向に超音波を発振する第1発振部と、前記一の方向とは異なる方向に超音波を発振する第2発振部と、を備え、
前記第1発振部と前記第2発振部とは、撹拌槽内の上部から底部に向けた方向に交互に設けられたことを特徴とする請求項2に記載の撹拌槽洗浄装置。
【請求項5】
前記棒状の前記超音波発振器を撹拌槽内の上部から底部に向けた方向への移動、又は前記棒状の前記超音波発振器を軸にして回転させることが可能な超音波発振器駆動装置を備えたことを特徴とする請求項2に記載の撹拌槽洗浄装置。
【請求項6】
前記超音波発振器は、前記撹拌槽内に超音波振動を伝達可能に前記撹拌槽の内壁近傍に設けられたことを特徴とする請求項1に記載の撹拌槽洗浄装置。
【請求項7】
前記撹拌槽内の上部から底部に向けた方向に設けられた回転シャフトに取付けられて回転可能な羽根状のミキサーを備え、前記超音波発振器は前記回転シャフト及び前記ミキサーの少なくともいずれか一方に設けられたことを特徴とする請求項1に記載の撹拌槽洗浄装置。
【請求項8】
前記超音波発振器の出力値又は振動周波数を変化させる制御部を備えたことを特徴とする請求項1―7のいずれかに記載の撹拌槽洗浄装置。
【請求項9】
洗浄時には、前記撹拌槽に洗剤を含有する洗浄水を充填することを特徴とする請求項1に記載の撹拌槽洗浄装置。
【請求項10】
洗浄時には、前記撹拌槽に洗剤を含有しない洗浄水を充填することを特徴とする請求項1に記載の撹拌槽洗浄装置。
【請求項11】
前記撹拌槽内の前記洗浄水から気体を取り除く脱気部を備えたことを特徴とする請求項9又は10に記載の撹拌槽洗浄装置。
【請求項12】
前記撹拌槽の底部に底部回転羽根を備え、前記底部回転羽根が回転して底部から上部に向かう水流を起こすことを特徴とする請求項9又は10に記載の撹拌槽洗浄装置。
【請求項13】
前記撹拌槽内の上部から底部に向けた方向に設けられた回転シャフトに取付けられて回転可能な羽根状のミキサーを備え、前記ミキサーが回動又は回転して前記撹拌槽内の洗浄水を撹拌する水流を起こすことを特徴とする請求項9又は10に記載の撹拌槽洗浄装置。
【請求項14】
前記撹拌槽内の前記洗浄水に微細気泡を供給又は発生させることを特徴とする請求項9又は10に記載の撹拌槽洗浄装置。
【請求項15】
前記撹拌槽内の上部から底部に向けた方向に設けられた回転シャフトに取付けられて回転可能な羽根状のミキサーを備え、洗浄水中に前記微細気泡を供給する微細気泡供給口を前記回転シャフトに有したことを特徴とする請求項9又は10に記載の撹拌槽洗浄装置。
【請求項16】
前記撹拌槽の底部に底部回転羽根を備え、当該底部回転羽根を回転させることで前記微細気泡を発生させることを特徴とする請求項9又は10に記載の撹拌槽洗浄装置。
【請求項17】
液体、又は液体と固形物の混合体を原料として撹拌する撹拌装置の撹拌槽内を洗浄する撹拌槽洗浄方法であって、
洗浄水を充填した前記撹拌槽内に超音波振動を発生させて洗浄する洗浄工程を備えたことを特徴とする撹拌槽洗浄方法。
【請求項18】
前記洗浄工程の前に、前記撹拌槽の上部から棒状の超音波発振器を前記撹拌槽内に挿入する超音波発振器挿入工程を備えたことを特徴とする請求項17に記載の撹拌槽洗浄方法。
【請求項19】
前記洗浄工程は、前記洗浄水が洗剤を含有している洗剤水洗浄工程を行った後、前記洗浄水が洗剤を含有しない水洗浄工程を行うことを特徴とする請求項17に記載の撹拌槽洗浄方法。
【請求項20】
前記洗浄工程は、前記洗浄水が洗剤を含有しない水洗浄工程を行った後、前記洗浄水が洗剤を含有した洗剤水洗浄工程を行うことを特徴とする請求項17―19のいずれかに記載の撹拌槽洗浄方法。
【請求項21】
前記洗浄工程では、前記撹拌槽内の前記洗浄水に水流を発生させて洗浄することを特徴とする請求項17―19のいずれかに記載の撹拌槽洗浄方法。
【請求項22】
前記洗浄工程では、前記撹拌槽内の前記洗浄水に微細気泡を供給又は発生させて洗浄を行うことを特徴とする請求項17―19のいずれかに記載の撹拌槽洗浄方法。
【請求項23】
前記洗浄工程では、前記撹拌槽内の前記洗浄水に水流を発生させるとともに、微細気泡を供給又は発生させて洗浄を行うことを特徴とする請求項17―19のいずれかに記載の撹拌槽洗浄方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撹拌装置における撹拌槽内を洗浄する撹拌槽洗浄装置、及び撹拌槽洗浄方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
化粧品、食品、化学品、又は医薬品における液体又は液体と固形物の混合体を原料として微細化し撹拌するために撹拌装置が用いられている。撹拌装置は、回転軸に設けられた回転羽根が回転して原料を撹拌する略円筒状の撹拌槽と当該回転軸を回転させるための駆動部等からなっている。
【0003】
撹拌槽は、撹拌が終わると、次は異なる種類の液体や固形物を原料とする撹拌を行うことがよく行われている。その際、一旦、槽内を空にした後、洗浄水を用いて撹拌槽内を手作業で洗浄することが普通であり時間と手間のかかる作業となっている。
【0004】
特許文献1には、洗浄槽を撹拌槽の近くまで移動させ、撹拌槽内の撹拌機(回転羽根)を洗浄槽に挿入して洗浄水を吹き付けて洗浄する撹拌機用洗浄装置の構成が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特許文献1:特開平3-135429号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の撹拌機用洗浄装置は、洗浄槽を移動させるための装置が大掛かりになるとともに、洗浄水を吹き付けただけでは油分などが十分に洗浄されない恐れがあるという問題があった。
【0007】
本発明は、上記問題点を解決して、シンプルな構成で撹拌槽内を洗浄することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために本発明は、液体、又は液体と固形物の混合体を原料として撹拌する撹拌装置の撹拌槽内を洗浄する撹拌槽洗浄装置であって、
前記撹拌槽内に超音波発振器を備えたことを特徴とする撹拌槽洗浄装置を提供するものである。
【0009】
この構成により、シンプルな構成でありながら、超音波振動によって撹拌槽内を効果的に洗浄することができる。
【0010】
撹拌槽洗浄装置であって、前記超音波発振器は棒状であり、洗浄時に前記撹拌槽内の上部から底部に向けた方向に設けられる構成としてもよい。
【0011】
この構成により、超音波発振器が棒状というシンプルな構成とすることができる。
【0012】
撹拌槽洗浄装置であって、前記超音波発振器は、前記棒状の側面全周囲から超音波振動を発振する構成としてもよい。
【0013】
この構成により、シンプルな構成で効率よく超音波振動を発振することができる。
【0014】
撹拌槽洗浄装置であって、前記棒状の前記超音波発振器は、一の方向に超音波を発振する第1発振部と、前記一の方向とは異なる方向に超音波を発振する第2発振部と、を備え、
前記第1発振部と前記第2発振部とは、撹拌槽内の上部から底部に向けた方向に交互に設けられた構成としてもよい。
【0015】
この構成により、複数の異なる方向に向けて超音波振動を付与して洗浄することができる。なお、一の方向とは左右方向以外に上下方向や斜め方向を含むものである。
【0016】
撹拌槽洗浄装置であって、前記棒状の前記超音波発振器を撹拌槽内の上部から底部に向けた方向に移動、又は前記棒状の前記超音波発振器を軸にして回転させることが可能な超音波発振器駆動装置を備えた構成としてもよい。
【0017】
この構成により、撹拌槽内の上部から底部に向けた方向に移動させて撹拌槽内の深さが深い場合でも深部まで超音波振動を発出して洗浄することができる。また、撹拌槽内で回転させることで、あらゆる方向に超音波振動を付与することができ、撹拌槽の内壁等の洗浄むらを防ぐことができる。
【0018】
撹拌槽洗浄装置であって、前記超音波発振器は、前記撹拌槽内に超音波振動を伝達可能に前記撹拌槽の内壁近傍に設けられた構成としてもよい。
【0019】
この構成により、さらにシンプルな構成で超音波により撹拌槽内を洗浄することができる。
【0020】
撹拌槽洗浄装置であって、前記撹拌槽内の上部から底部に向けた方向に設けられた回転シャフトに取付けられて回転可能な羽根状のミキサーを備え、前記超音波発振器は前記回転シャフト及び前記ミキサーの少なくともいずれか一方に設けられた構成としてもよい。
【0021】
この構成により、さらにシンプルな構成で超音波により撹拌槽内を洗浄することができる。
【0022】
撹拌槽洗浄装置であって、前記超音波発振器の出力値又は振動周波数を変化させる制御部を備えた構成としてもよい。
【0023】
この構成により、超音波振動に強弱をつけることで、油分などのしつこい汚れを効果的に洗浄することができる。
【0024】
撹拌槽洗浄装置であって、洗浄時には、前記撹拌槽に洗剤を含有する洗浄水を充填する構成としてもよい。
【0025】
この構成により、洗剤による界面活性で油分などの汚れを効果的に洗浄することができる。
【0026】
撹拌槽洗浄装置であって、洗浄時には、前記撹拌槽に洗剤を含有しない洗浄水を充填する構成としてもよい。
【0027】
この構成により、洗剤が適さない撹拌槽の洗浄を行うことができるとともに、洗剤を含有した洗浄水で洗浄した後の残った洗剤を洗い流すことができる。
【0028】
撹拌槽洗浄装置であって、前記撹拌槽内の前記洗浄水から気体を取り除く脱気部を備えた構成としてもよい。
【0029】
この構成により、洗浄水中における超音波振動の減衰を軽減して洗浄効果を向上することができる。
【0030】
撹拌槽洗浄装置であって、前記撹拌槽の底部に底部回転羽根を備え、前記底部回転羽根が回転して底部から上部に向かう水流を起こす構成としてもよい。
【0031】
この構成により、上部に向かう水流によって洗浄効果を向上させることができる。ことができる。
【0032】
撹拌槽洗浄装置であって、前記撹拌槽内の上部から底部に向けた方向に設けられた回転シャフトに取付けられて回転可能な羽根状のミキサーを備え、前記ミキサーが回動又は回転して前記撹拌槽内の洗浄水を撹拌する水流を起こす構成としてもよい。
【0033】
この構成により、水流によって洗浄効果を向上させることができる。
【0034】
撹拌槽洗浄装置であって、前記撹拌槽内の前記洗浄水に微細気泡を供給又は発生させる構成としてもよい。
【0035】
この構成により、洗浄水中の微細気泡によりさらに洗浄力を向上させることができる。また、水流がある場合は、この水流によりさらに微細な気泡にすることができ、洗浄力を向上させることができる。
【0036】
撹拌槽洗浄装置であって、前記撹拌槽内の上部から底部に向けた方向に設けられた回転シャフトに取付けられて回転可能な羽根状のミキサーを備え、洗浄水中に前記微細気泡を供給する微細気泡供給口を前記回転シャフトに有した構成としてもよい。
【0037】
この構成により、撹拌装置に設けられている回転シャフトを利用して、効率的に微細気泡を洗浄水中に供給することができる。
【0038】
撹拌槽洗浄装置であって、前記撹拌槽の底部に底部回転羽根を備え、当該底部回転羽根を回転させることで前記微細気泡を発生させる構成としてもよい。
【0039】
この構成により、特別な構造とすることなく、微細気泡を洗浄水中に発生させ超音波振動によりさらに微細な気泡とし洗浄力を向上させることができる。
【0040】
また、上記課題を解決するために本発明は、液体、又は液体と固形物の混合体を原料として撹拌する撹拌装置の撹拌槽内を洗浄する撹拌槽洗浄方法であって、
洗浄水を充填した前記撹拌槽内に超音波振動を発生させて洗浄する洗浄工程を備えたことを特徴とする撹拌槽洗浄方法を提供するものである。
【0041】
この構成により、シンプルな構成でありながら、超音波によって撹拌槽内を効果的に洗浄することができる。
【0042】
撹拌槽洗浄方法であって、前記洗浄工程の前に、前記撹拌槽の上部から棒状の超音波発振器を前記撹拌槽内に挿入する超音波発振器挿入工程を備えた構成としてもよい。
【0043】
この構成により、洗浄工程の際にのみ超音波発振器を撹拌槽内に備えるようにすることで、洗浄以外のときの撹拌装置に影響が及ばず、従来の撹拌装置をそのまま使用することができる。
【0044】
撹拌槽洗浄方法であって、前記洗浄工程は、前記洗浄水が洗剤を含有している洗剤水洗浄工程を行った後、前記洗浄水が洗剤を含有しない水洗浄工程を行う構成としてもよい。
【0045】
この構成により、洗剤水洗浄工程で残った撹拌槽内の洗剤成分やぬめりなどを効果的に除去することができる。
【0046】
撹拌槽洗浄方法であって、前記洗浄工程は、前記洗浄水が洗剤を含有しない水洗浄工程を行った後、前記洗浄水が洗剤を含有した洗剤水洗浄工程を行う構成としてもよい。
【0047】
この構成により、洗剤を含有しない洗浄水で洗浄することで、大きな異物等を除去することができる。
【0048】
撹拌槽洗浄方法であって、前記洗浄工程では、前記撹拌槽内の前記洗浄水に水流を発生させて洗浄する構成としてもよい。
【0049】
この構成により、洗浄効果を向上させることができる。
【0050】
撹拌槽洗浄方法であって、前記洗浄工程では、前記撹拌槽内の前記洗浄水に微細気泡を供給又は発生させて洗浄を行う構成としてもよい。
【0051】
この構成により、洗浄水中の微細気泡により洗浄効果を向上させることができる。
【0052】
撹拌槽洗浄方法であって、前記洗浄工程では、前記撹拌槽内の前記洗浄水に水流を発生させるとともに、微細気泡を供給又は発生させて洗浄を行う構成としてもよい。
【0053】
この構成により、供給又は発生された微細気泡を水流によってさらに微細でき、さらに洗浄効果を向上させることができる。
【発明の効果】
【0054】
本発明の撹拌槽洗浄装置、及び撹拌槽洗浄方法により、シンプルな構成で撹拌槽内を洗浄することができる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【
図1】本発明の実施例1における撹拌槽洗浄装置を説明する図である。
【
図2】本発明の実施例1におけるミキサー回動を説明するA-A´断面図である。
【
図3】本発明の実施例2における撹拌槽洗浄装置を説明する図である。
【
図4】本発明の実施例3における撹拌槽洗浄装置を説明する図である。
【
図5】本発明の実施例4における撹拌槽洗浄装置を説明する図である。
【
図6】本発明の実施例5における撹拌槽洗浄装置を説明する図である。
【
図7】本発明の実施例6における撹拌槽洗浄装置を説明する図である。
【
図8】本発明の実施例7における撹拌槽洗浄装置を説明する図である。
【
図9】
本発明の実施例10における撹拌槽洗浄装置を説明する図である。
【
図10】
本発明の実施例10における超音波発振器の取付け方を説明する図である。
【
図11】
本発明の実施例11における超音波発振器の取付け方を説明する図である。
【
図12】
本発明の実施例11における超音波発振器の取付部分を詳細に説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例0056】
本発明の実施例1の撹拌槽洗浄装置について、
図1、
図2を参照して説明する。
図1は、本発明の実施例1における撹拌槽洗浄装置を説明する図である。
図2は、本発明の実施例1におけるミキサー回動を説明するA-A´断面図である。
【0057】
(撹拌槽洗浄装置) 実施例1における撹拌槽洗浄装置100は、ステンレスからなり略円筒形状でありながら底面と天面とは緩やかに突出した形状の撹拌槽1を備えている。撹拌槽1の天面には、撹拌する一方の原料を投入する原料A投入口6と撹拌する他方の原料を投入する原料B投入口7とを有している。また、撹拌槽1内の上部である天面中心から底部の底面に向けた方向に回転シャフト2が設けられている。また、回転シャフト2に羽根状のミキサー3を上下方向に3か所水平方向に取付けている。さらに、図示はしていないが、撹拌槽1内の側面との間で液体を掻きとるための樹脂で構成されたスクレーパーを保持するアンカー羽根を回転可能に設けてもよい。
【0058】
回転シャフト2は、撹拌槽1外に設けた図示しないモーターにより回転駆動される。回転シャフト2が回転駆動されることで、ミキサー3が水平方向に回転して撹拌槽1内の原料や洗浄水を撹拌することができる。
【0059】
なお、実施例1においては、羽根状のミキサー3を上下方向に3か所設けるようにしたが、必ずしもこれに限定されず適宜変更が可能である。例えば、2ヶ所でもよいし、4ヶ所以上であってもよく、撹拌する原料や洗浄水に応じた最適な数のミキサーを設ければよい。
【0060】
実施例1においては、洗浄時に、2本の棒状の超音波発振器10を原料A投入口6及び原料B投入口7から撹拌槽1内の上部から底部に向けた方向に設けられる。そして、撹拌槽1内に洗浄水を原料A投入口6又は原料B投入口7から充填し、超音波発振器10から超音波振動を発出することで、撹拌槽1内の内壁、回転シャフト2、及びミキサー3等を超音波洗浄することができる。
【0061】
なお、実施例1においては、洗浄時に、2本の棒状の超音波発振器10を原料A投入口6及び原料B投入口7から撹拌槽1内の上部から底部に向けた方向に設けることとしたが、必ずしもこれに限定されず適宜変更が可能である。例えば、1本の棒状の超音波発振器10を原料A投入口6又は原料B投入口7から撹拌槽1内の上部から底部に向けた方向に設けるようにしてもよい。また、3本以上の棒状の超音波発振器10を撹拌槽1内の上部から底部に向けた方向に設けるようにしてもよい。
【0062】
超音波発振器10は、一の方向(
図1における-X方向)に超音波を発振する第1発振部11と、この一の方向とは反対の方向(
図1における+X方向)に超音波を発振する第2発振部12とを上部から底部に向けた方向へと交互に設けられている。実施例1においては、ひとつの超音波発振器10における第1発振部11が5個と第2発振部12が4個設けられているが、これに限定されることなく適宜変更が可能である。例えば、第1発振部11が4個と第2発振部12が5個であってもよいし、第1発振部11及び第2発振部12がそれぞれ4個以下であっても6個以上であってもよい。また、第1発振部11又は第2発振部12のいずれか一方のみを設けてもよい。
【0063】
さらに、実施例1においては、一の方向に第1発振部11を設け、この一の方向とは反対の方向に第2発振部12を設けるようにしたが、必ずしもこれに限定されず適宜変更が可能である。例えば、第1発振部11を設けた方向とは45°や90°異なる方向に第2発振部12を設けてもよく、第1発振部11を設けた方向とは異なる方向に第2発振部12を設ければよい。また、全ての第1発振部11が同じ方向に向けて設けなくてもよく、第1発振部11同士が異なる方向に向けて設けてもよい。これは、第2発振部12においても同様である。
【0064】
なお、実施例1においては、一の方向を-X方向(左方向)とし、一の方向とは反対の方向を+X方向(右方向)としたが、必ずしもこれに限定されず適宜変更が可能である。例えば、一の方向を左右方向以外に上下方向や斜め方向としてもよい。下方向に向けることにより、撹拌槽1の底部に向けて超音波振動を発出することができる。
【0065】
また、実施例1においては、第1発振部11及び第2発振部12が発出する超音波振動は、周波数が25KHz、出力値が500Wであるが、必ずしもこれに限定されず適宜変更が可能である。例えば、周波数が25KHz未満、出力値が500W未満としてもよいし、周波数が25KHz以上、出力値が500W以上としてもよい。
【0066】
なお、周波数又は出力値を図示しない制御部によって変化させて超音波振動を発出させてもよい。また、周波数及び出力値の両方を変化させて超音波振動を発出させてもよい。さらに、第1発振部11及び第2発振部12のいずれかのみにおいて、周波数又は出力値を図示しない制御部によって変化させて超音波振動を発出させてもよく、第1発振部11及び第2発振部12両方におけるそれぞれの周波数又は出力値を異ならせてもよい。
【0067】
撹拌槽洗浄装置100は、図示しない超音波発振器駆動装置を備えていて、棒状の超音波発振器10を撹拌槽1内の上部から底部に向けた方向及び底部から上部に向けた方向へ移動させることが可能であり、撹拌槽1の深さが深い場合に超音波発振器10を移動させて深部まで超音波洗浄することができる。また、超音波発振器駆動装置は、棒状の超音波発振器10を軸にして回転させることが可能であり、回転させることで撹拌槽1の内壁等に洗浄むらがないように洗浄することができる。
【0068】
実施例1における洗浄水には、洗剤を含有した70~80℃の湯を使用する。ここで、実施例1における洗剤は、ベシクル、又は水酸基を有する重縮合ポリマー粒子が、油剤を囲んでなる複合粒子を含んでいるが、これに限定されず任意の洗剤を利用することができる。洗剤を含有する洗浄水により、撹拌槽1に付着したシリコーン油等の各種物質を効率よく洗浄除去できる。なお、実施例1においては、洗浄水には洗剤を含有した70~80℃の湯を使用することとしたが、必ずしもこれに限定されず適宜変更が可能である。例えば、洗浄水には洗剤を含有した70℃未満の水であってもよい。
【0069】
(撹拌槽洗浄方法)
実施例1における洗浄工程は、洗浄水が洗剤を含有している洗剤水洗浄工程と、洗浄水が洗剤を含有しない水洗浄工程とを備えている。まず、洗剤水洗浄工程を実施する。即ち、撹拌槽1内に上述した洗剤を含有する洗浄水を充填する。このときの洗浄水の温度は70~80℃が好ましいが、70℃未満であってもよい。
【0070】
次に、2本の棒状の超音波発振器10を原料A投入口6及び原料B投入口7それぞれから撹拌槽1内の上部から底部に向けた方向に挿入する。そして、超音波発振器10の第1発振部11及び第2発振部12から超音波振動を発出させる。このとき、超音波発振器駆動装置を駆動して、超音波発振器10を軸として回転させる。これにより、超音波振動があらゆる方向に発出されるので効果的である。また、撹拌槽1の深さに対して超音波発振器10の長さが短い場合は、超音波発振器駆動装置により、撹拌槽1内の上部から底部に向けた方向へ移動させるとよい。なお、超音波発振器駆動装置による移動及び回転は必須ではなく、撹拌槽1の形状や大きさにより超音波発振器10の移動又は回転を行えばよい。又は、移動及び回転の両方を行わなくてもよい。
【0071】
なお、実施例1においては、2本の超音波発振器10を原料A投入口6及び原料B投入口7それぞれから撹拌槽1内の上部から底部に向けた方向に挿入するようにしたが、必ずしもこれに限定されず適宜変更が可能である。例えば、1本の超音波発振器10を原料A投入口6又は原料B投入口7のいずれかから撹拌槽1内の上部から底部に向けた方向に挿入するようにしてもよいし、原料A投入口6及び原料B投入口7以外の挿入口を撹拌槽1上部に設けてそこから1本又は複数の超音波発振器10を撹拌槽1内に挿入するようにしてもよい。
【0072】
また、超音波発振器10の第1発振部11及び第2発振部12から超音波振動を発出させながら、回転シャフト2を回転駆動させてミキサー3を水平方向に回転させる。これにより、撹拌槽1内に水流が起こり洗浄効果を向上させる。仮に、ミキサー3を回転させると超音波発振器10に干渉する場合は細かく角度θ程度回動させるだけでもよい(
図2参照)。
【0073】
この状態での洗剤を含有する洗浄水による洗剤水洗浄工程を約3分間実施して超音波洗浄する。実施例1においては、洗剤水洗浄工程を約3分間実施するが、必ずしもこれに限定されず適宜変更が可能である。例えば、洗剤水洗浄工程を3分間以上実施してもよいし、3分未満であってもよい。
【0074】
次に、撹拌槽1から洗剤を含有する洗浄水を抜き、洗剤を含有しない洗浄水を撹拌槽1に充填する。そして、洗剤を含有しない水道や井戸水のみによる真水の洗浄水による水洗浄工程を実施する。水洗浄工程でも洗剤水洗浄工程と同様に、超音波発振器10の第1発振部11及び第2発振部12から超音波振動を発出させながら、回転シャフト2を回転又は回動駆動させてミキサー3を水平方向に回転又は回動させる。実施例1における水洗浄工程は、約3分間実施するが、3分以上であっても3分未満であってもよい。水洗浄工程により、残っていたぬめりや油分等の汚れを除去することができる。
【0075】
最後に、水洗浄工程を行った洗浄水を撹拌槽1から排出して洗浄工程を終了する。これにより、従来は、数時間かけて人手により撹拌槽1内を洗浄していたが、洗浄時間が大幅に短縮され撹拌装置の稼働時間を長くとることができるとともに、人手をかけなくてもよいので人件費が削減できる。
【0076】
なお、実施例1においては、洗剤を含有する洗浄水による洗剤水洗浄工程の後に水洗浄工程を実施するようにしたが、洗剤水洗浄工程の前にも水洗浄工程を実施してもよい。これにより、撹拌槽内に固形物が残存している場合に粗洗浄することができ、後の洗剤水洗浄工程が効果的に実施できる。
【0077】
また、必要に応じて、洗浄工程では撹拌槽1内の洗浄水に微細気泡を供給又は発生させて洗浄を行ってもよいし、撹拌槽1内の洗浄水に水流を発生させるとともに、微細気泡を供給又は発生させて洗浄を行ってもよい。これにより、洗浄力を向上させることができる。
【0078】
さらに、実施例1においては、洗剤水洗浄工程及び水洗浄工程を実施するようにしたが、必ずしもこれに限定されず適宜変更が可能である。例えば、洗剤水洗浄工程及び水洗浄工程のいずれかのみを実施するようにしてもよい。
【0079】
このように、実施例1においては、液体、又は液体と固形物の混合体を原料として撹拌する撹拌装置の撹拌槽内を洗浄する撹拌槽洗浄装置であって、
洗浄水を充填した前記撹拌槽内に超音波発振器を備えたことを特徴とする撹拌槽洗浄装置により、シンプルな構成で撹拌槽内を洗浄することができる。
【0080】
また、液体、又は液体と固形物の混合体を原料として撹拌する撹拌装置の撹拌槽内を洗浄する撹拌槽洗浄方法であって、
洗浄水を充填した前記撹拌槽内に超音波振動を発生させて洗浄する洗浄工程を備えたことを特徴とする撹拌槽洗浄方法により、シンプルな構成で撹拌槽内を洗浄することができる。
実施例2における撹拌槽洗浄装置200は、実施例1における撹拌槽洗浄装置100と同様の回転シャフト2、ミキサー3、超音波発振器10、第1発振部11、及び第2発振部12を備える一方、新たに底部回転羽根201を撹拌槽1の底部に備えている。この底部回転羽根201を回転させることで、撹拌槽1内の底部から上部に向かう水流を発生させることができ、ミキサー3の回転又は回動による撹拌水流と併せて洗浄力を向上させることができる。
つまり、超音波発振器10の第1発振部11及び第2発振部12から超音波振動を発出させながら、回転シャフト2を駆動させてミキサー3を水平方向に回転又は回動させるとともに、底部回転羽根201を回転させて撹拌槽1内の底部から上部に向かう水流を発生させて洗浄力をさらに向上させる。
このように、実施例2においては、前記撹拌槽の底部に底部回転羽根を備え、前記底部回転羽根が回転して底部から上部に向かう水流を起こすことで、上部に向かう水流によって洗浄効果を向上させることができる。