(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024000246
(43)【公開日】2024-01-05
(54)【発明の名称】被包装物を袋底側に移動させる機構を備えた大容量袋供給装置及び被包装物を袋底まで移動させる移動方法
(51)【国際特許分類】
B65B 63/00 20060101AFI20231225BHJP
【FI】
B65B63/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022098929
(22)【出願日】2022-06-20
(71)【出願人】
【識別番号】000142850
【氏名又は名称】株式会社古川製作所
(72)【発明者】
【氏名】山下 洋正
【テーマコード(参考)】
3E056
【Fターム(参考)】
3E056AA05
3E056BA06
3E056CA01
3E056DA01
3E056EA01
3E056EA05
3E056FH01
3E056FH20
(57)【要約】
【課題】従来の方法では、シート状などの被包装物Fを包装する場合、袋内の被包装物を袋底方向に押し込む装置や袋底をタッピングする装置等が必要となり、設備にコストがかかるという課題があった。
【解決手段】本発明は、袋ストック機構2と、袋取り機構3と、袋Wを旋回する袋旋回機構5と、旋回した袋Wを下流側の機器に供給する袋搬送機構7と、制御装置と、を備えた大容量袋供給装置であって、袋旋回機構5には、袋Wを吸着して軸心まわりに旋回する旋回吸盤52aと、を備え、この旋回吸盤52aが袋Wの中心Pよりも袋Wの袋口寄りに偏位させた位置を吸着して袋Wを旋回し、被包装物Fを遠心力で袋底側に移動させる。
【選択図】
図14
【特許請求の範囲】
【請求項1】
起立した袋を大容量でストックする袋ストック機構と、袋ストック機構から袋を取り出す袋取り機構と、袋を旋回する袋旋回機構と、旋回した袋を下流側の包装機に供給する袋搬送機構と、を備えた大容量袋供給装置であって、
袋旋回機構は、袋を載置する袋旋回テーブルと、袋旋回テーブル上の袋を吸着して軸心まわりに旋回する旋回吸盤とを備え、この旋回吸盤が袋の中心よりも袋の袋口寄りに偏位させた位置を吸着して袋を旋回し、被包装物を袋底側に移動させる、
ことを特徴とする大容量袋供給装置。
【請求項2】
袋取り機構により取り出した袋の方向を検知する袋方向検知装置を備え、
袋旋回機構は、袋方向検知装置により検知した袋の方向に基づいて、定められた方向に袋を旋回することを特徴とする請求項1に記載の大容量袋供給装置。
【請求項3】
袋方向検知装置により袋が左右どちらの方向を向いているか検知し、袋が逆方向を向いていると検知すると、いったん袋を袋旋回テーブルに載置し、袋スライド機構により袋の位置を補正して袋を所定の方向に旋回し、被包装物を袋底側に移動させることを特徴とする請求項2に記載の大容量袋供給装置。
【請求項4】
袋を吸着して旋回する旋回吸盤を、袋の中心よりも袋口寄りに偏位させた位置で吸着させて、旋回吸盤の中心を通る軸心まわりに袋を旋回させることにより、袋内の被包装物を遠心力で袋底側に移動させることを特徴とする被包装物を袋底まで移動させる移動方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート状被包装物を袋底側に移動させる機構を備えた大容量袋供給装置及び、シート状被包装物を袋底まで移動させる移動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
包装機により、一般的に嵩張りのある被包装物を包装する場合に、袋に振動を与えつつ袋内に被包装物を収納している。しかし、麩のような軽くて嵩張る被包装物は、このような方法を用いても袋底まで沈まず、袋の上部に詰まってしまうことがある。このような被包装物に対しては、特許文献1に開示するように、袋の下方から底部の幅方向の中央部を押し上げて袋底を押し広げ、袋の両側縁を開閉板で挟んだり開いたりする動作を繰り返して振動を与えながら、袋口を開いたり閉じたりしながら袋内に落とし込んでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示されている包装方法では、シート状の被包装物(例えば、フェイスマスク等)を袋内に収めるには不適切である。即ち、シート状の被包装物を包装する場合、袋内に、あらかじめ被包装物が入った袋をストックし、包装機の包装工程で袋内の被包装物を袋底方向に押し込む装置の設置や袋底をタッピングする装置等が必要となる。さらに、被包装物が袋口側に残っている場合があり、この場合には袋口をシールする際に被包装物を噛み込んでシール不良となる恐れがあるため、被包装物の噛み込み防止装置も必要となる。
【0005】
本発明は、前記課題を解決するためになされたもので、比較的簡単な方法でシート状の被包装物を袋底側に移動させることができる大容量袋供給装置及び被包装物を袋底まで移動させる移動方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の大容量袋供給装置は、起立した袋を大容量でストックする袋ストック機構と、袋ストック機構から袋を取り出す袋取り機構と、袋を旋回する袋旋回機構と、旋回した袋を下流側の包装機に供給する袋搬送機構と、を備えた大容量袋供給装置であって、袋旋回機構は、袋を載置する袋旋回テーブルと、袋旋回テーブル上の袋を吸着して軸心まわりに旋回する旋回吸盤とを備え、この旋回吸盤が袋の中心よりも袋の袋口寄りに偏位させた位置を吸着して袋を旋回し、被包装物を袋底側に移動させる、ことを特徴とする。
【0007】
前記のように、本発明は、袋を旋回させる際の位置を袋の中心よりも袋口寄りに偏位させるだけで、袋内の被包装物を遠心力でにより、被包装物を袋底側の正位置にへ移動させることができる。したがって、包装機などの下流側の機器に袋を供給する工程で、従来必要であった押込み装置や袋底の振動(タッピング)装置が不要となるり、その包装機のセクションを利用し、袋口噛み込み検知などの装置を組み込むことが可能となる。しかも、大容量の袋を包装機に供給する過程において作業ができるので、作業効率が向上する。
【0008】
また、本発明の被包装物を袋底まで移動させる移動方法は、袋を吸着して旋回する旋回吸盤を、袋の中心よりも袋口寄りに偏位させた位置で吸着させて、旋回吸盤の中心を通る軸心まわりに袋を旋回させることにより、袋内の被包装物を遠心力でにより袋底側にへ移動させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
また、被包装物がシート状のものである場合でも、簡単な構成で被包装物を良好に袋底側の正位置に移動させることができるので、この後に袋口をシールする際において、被包装物を噛み込んでシール不良となることも抑えたり、防止したりすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施例1の大容量袋供給装置の全体正面図
【
図2】本発明の実施例1の大容量袋供給装置の全体平面図
【
図3】本発明の実施例1の大容量袋供給装置の右側面図
【
図5】本発明の実施例1を構成する袋ストック機構の使用状態の正面図
【
図6】本発明の実施例1の大容量袋供給装置の袋旋回テーブルの平面拡大図
【
図7】本発明の実施例1の大容量袋供給装置の旋回装置の背面図
【
図8】本発明の実施例1の大容量袋供給装置の袋センタリング機構の側面拡大図
【
図9】本発明の実施例1の大容量袋供給装置の袋センタリング機構の正面拡大図
【
図10】本発明の実施例1の大容量袋供給装置の袋搬送機構の平面図
【
図11】本発明の実施例1の大容量袋供給装置の袋搬送機構の側面図
【
図12】本発明の実施例1の大容量袋供給装置の袋搬送機構の正面の使用状態図
【
図13】本発明の実施例1の大容量袋供給装置の作用を説明する説明図
【
図14】本発明の実施例1の大容量袋供給装置の作用を説明する説明図
【
図15】本発明の実施例1の大容量袋供給装置の作用を説明する説明図
【
図16】本発明の実施例2の大容量袋供給装置の作用を説明する説明図
【
図18】本発明の実施例2の大容量袋供給装置の作用を説明する説明図
【
図19】本発明の実施例2の大容量袋供給装置の作用を説明する説明図
【発明を実施するための形態】
【0011】
(実施例1)
(大容量袋供給装置)
図1は本発明のシート状被包装物を袋底側に移動させる機構を備えた大容量袋供給装置の正面図、
図2は平面図、
図3は右側面図である。
図1から
図3に示すように、この実施例1の大容量袋供給装置1は、起立した袋(包装袋)Wを大容量でストックすると共に、ストックした袋群を先端側へ案内する機構を備えた袋ストック機構2と、袋ストック機構2から袋Wを取り出す袋取り機構3と、袋取り機構3により取り出した袋Wの方向を検知する袋方向検知装置4と、袋方向検知装置4により検知した袋Wの方向に基づいて、定められた方向に袋Wを旋回する袋旋回機構5と、袋旋回機構5により定められた方向に旋回した袋Wを包装機6側に搬送する袋搬送機構7と、図示しない制御装置と、を備えている。大容量袋供給装置1の先端側(袋Wが搬送される下流側)には包装機6(
図1では包装機6のクランプアームのみ図示)が設置され、袋受け渡し機構8により、大容量袋供給装置1から袋Wを包装機6側に受け渡している。なお、包装機6としては円形状のロータリー包装機を用いているが、直線式の包装機や楕円形状の包装機であってもよい。
【0012】
以下において、前記の各装置及び機構について詳細に説明するが、袋Wの搬送方向にしたがって袋Wが流れるもとの側を「上流」、流れていく側を「下流」として説明する。また、袋Wの搬送方向を「長手方向」、長手方向と直角の方向を「幅方向」とし、搬送方向の前側を「先端」、後側を「後端」として説明する。なお、この実施例1は、本発明の装置の構造を詳細に説明するが、当然、この実施例の構造に限定されない。
【0013】
(袋ストック機構)
図1、
図2に示す大容量袋供給装置1の上流部から中流部が、袋ストック機構2である。この袋ストック機構2は、
図2に示すように、鋼材を長方形に組み合わせた基台21の長手方向に、袋ストック通路22が設けられており、この袋ストック通路22に、起立した状態で袋口が横向きとなった袋群をストックする。しかし、袋Wの袋口側と袋底側で厚みが相違する場合に、袋Wを同じ方向に多く重ねるに従って、袋口側と袋底側の厚みの差が大きくなるために袋群が湾曲した状態となって、袋取り機構3で取り出しミスが発生するおそれがある。このため、通常、大容量袋供給装置1を使用する場合は、10枚とか20枚とか、ある程度まとまった枚数の袋束の袋口側と袋底側を左右逆にしてストックし、袋口側と袋底側の厚みの差を平均化し、
図5に示すように袋群を全体的に歪みの無い状態で整列して袋ストック通路22にストックする。
【0014】
ただし、大容量袋供給装置1は、前記のような使用方法以外に、シート状の被包装物(例えば、フェイスマスク等)Fを袋底側に移動させるために使用することもできる。この実施例1では、前記のように、まとまって袋束の袋口側と袋底側を左右逆にしてストックするのではなく、被包装物Fを収納した袋Wの袋口と袋底を同じ方向にして袋ストック通路22に立設する。このため、実施例1の大容量袋供給装置1は、比較的簡単な方法でシート状の被包装物を袋底側に良好に収めることができる。
【0015】
前記袋ストック通路22は、
図2に示すように、ガイドロッド22bを介して、袋ストック通路22の幅方向にスライド可能な一対の側板22aが基台21の長手方向の両側に配置された構造である。前記一対の側板22aの間に架け渡されたスクリューロッド22cの端部に設けられたハンドル22dを回転することにより、一対の側板22aの間隔を、袋Wの寸法に応じて調整することができる。前記袋ストック通路22の長手方向底部中央に、袋押しベルト用モータ23bで回転駆動される袋押しベルト23が敷設されている。袋ストック通路22の下流側の袋Wが空いてきたことがセンサーにより検知されると、袋押しベルト23に、着脱可能に垂直に設けられた袋押部材23aが前方にゆっくりと移動して、袋ストック通路22にストックされた袋群を上流から下流側に押し出していく。
【0016】
一対の側板22aの下流側の端部には、一対のスタンドプレート24が立設している。これらのスタンドプレート24の内側に、爪状の係止片24aが内方に突出し、袋Wが飛び出さないように係止している。さらに、一対のスタンドプレート24間にゲート板24bが架設され、前記係止片24aとゲート板24bとで、袋押部材23aにより袋ストック通路22の前方に押し出された袋群の先端の袋Wが飛び出ないように保持している。
【0017】
(袋取り機構)
袋取り機構3は、袋ストック機構2の先端の袋Wを吸盤31で取り出して袋旋回機構5に受け渡す役割をはたす。袋取り機構3は、
図4に示すように、4節リンク32を用いている。4節リンク32のリンク部の構成は、下部の駆動リンク32aと、中間リンク32bと、従動リンク32cなどから構成され、これらのリンク部がリンク駆動装置33により駆動される。袋ストック機構2や袋取り機構3は機械フレーム9上に支持され、機械フレーム9の上部の幅方向に従動軸32dが架設され、この従動軸32dの両端に従動リンク32cの自由端が固定されている。
【0018】
さらに、機械フレーム9の下部の幅方向には、駆動軸32eが架設され、この駆動軸32eの両端に駆動リンク32aの自由端が固定されている。前記駆動軸32eの一端は、駆動モータ33aとベベルギア33bを備えたリンク駆動装置33側に伸び、駆動モータ33aの回転力がベベルギア33bを介して前記駆動軸32eに伝達される。
【0019】
図3に示すように、駆動リンク32aと中間リンク32bを結合するジョイント32gの間に、吸盤31を取り付けるための取付材32hが架設されている。この取付材32hに3個の吸盤31が取り付けられている。前記吸盤31の上部の幅方向に吸引パイプ32iが設けられ、この吸引パイプ32iと前記吸盤31との間がチューブ32jで連結されている。
【0020】
前記リンク駆動装置33の駆動モータ33aが駆動すると、駆動軸32eが回転し、袋取り機構3の4節リンク32が、
図4の仮想線に示すように、上流側に折れ曲がって、袋ストック機構2から先端の袋Wを取り出す姿勢になる。4節リンク32が先端の袋Wを取り出す姿勢になると、吸盤31が先端の袋Wを吸着する。さらに、駆動モータ33aが回転すると、4節リンク32が下流側に伸びて、袋旋回機構5の袋旋回テーブル51上に袋Wを載置する。
図5に示すように、吸盤31は、先端の袋Wを取り出す水平な姿勢から、下方に円弧を描きながら、袋旋回テーブル51上で垂直な姿勢となる。袋取り機構3から取り出した袋Wは、袋旋回テーブル51上に載置されるまでの間に、下記の袋方向検知装置4で方向が検知される。
【0021】
(袋方向検知装置)
袋方向検知装置4は、大容量袋供給装置1を通常の使用状態で使用する場合、即ち、袋束の袋口側と袋底側を左右逆にしてストックし、前記袋取り機構3から袋Wを取り出して袋旋回機構5に載置する間で、袋Wが左右どちらの方向を向いているか検知する装置である。ただし、実施例1では、袋ストック通路22に、袋束を袋口側と袋底側を同じ方向にストックしているため、袋ストック機構2から袋取り機構3により先端の袋Wを取り出した場合、袋Wが左右どちらに向いているかを検知する必要はない。
【0022】
なお、一般的な大容量袋供給装置1の袋方向検知装置4は、CCDカメラのような撮像装置を用いて袋Wの方向を判断する。例えば、袋Wに印刷されて文字、模様、袋の形状等によって方向を判断する。なお、袋Wの表面の凹凸や厚みをレーザ光で計測して方向を判断するようなものでもよく、センサーの種類は問わない。袋方向検知装置4のセンサーを設置する位置は、前記袋取り機構3から袋旋回機構5の間であれば特に設置位置は限定されない。
【0023】
(袋旋回機構)
図6は袋旋回機構5の一例を示した平面図である。袋旋回機構5は、袋ストック機構2の下流側に隣接して設けられ、袋取り機構3により袋旋回テーブル51上に載置された袋Wを正逆方向に回転(旋回)する機構である。通常、袋束の袋口側と袋底側を左右逆にしてストックした場合に、袋旋回機構5は、包装機6のクランプが袋口側をつかめるように、袋旋回テーブル51に載置された袋Wを旋回し、袋搬送機構7に受け渡すために設けられる。ただし、実施例1の袋旋回機構5は、袋Wが旋回する際に、その旋回時の遠心力により、フェイスマスク等の被包装物Fを袋底側に移動させる働きをする。
【0024】
前記袋旋回機構5は、
図6及び
図7に示すように、袋ストック機構2から取り出された袋Wを載置する平面視が略凸形の袋旋回テーブル51と、載置された袋Wを前記のように所定の方向に旋回する旋回装置52と、
図8及び
図9に示すように、袋搬送機構7に受け渡す際に、旋回装置52により旋回した袋Wをセンタリングする袋センタリング機構53と、を備えている。この袋旋回機構5は、袋Wを旋回させる回転中心が袋Wの袋口寄りの偏位位置(但し、袋Wの幅方向に対しては中心位置)となるように配置する。即ち、
図13に示すように、旋回吸盤52aの回転中心が袋Wの中心Pから袋口寄りにHだけ偏移するように、袋旋回機構5を配置する。
【0025】
前記袋旋回テーブル51は、
図6の平面図に示すように、機械フレーム9の幅方向に架け渡されたテーブル本体51aと、テーブル本体51aの幅方向の中央部から下流側に水平に突き出て、長円孔51eがくり抜かれた長方形状の支持部51bとから構成されている。テーブル本体51aには、袋センタリング機構53の整列板53Eの突起53e(
図8、
図9参照)が回転しても干渉しないように、幅方向の中央部を挟んで対向する2本のスリット51cが4列穿設されている。これらのスリット51cは長く形成され、サイズの異なる袋Wに変わっても対応できる。
【0026】
前記支持部51bは、袋旋回機構5により旋回が終了した袋Wを、袋搬送機構7により搬送する際に、袋Wを支持する作用をはたす。支持部51bの幅は、袋Wの幅より小さく、テーブル本体51aの先端縁から突き出た、袋Wの先端両側部を浮かせている。袋Wの先端両側部を浮かせることにより、後述する袋搬送機構7のクリップ72Iが袋Wの先端両側部をつかめるようにしている。前記支持部51bの後端部からテーブル本体51aの中央部にかけて楕円孔51dが形成されている。この楕円孔51dによって、袋サイズに応じて旋回装置52の旋回吸盤52aの位置を長手方向に移動できる。
【0027】
旋回装置52は、袋旋回テーブル51の下部の中央の長手方向に設置されている。旋回装置52には、袋Wを吸着してその中心を通る軸心まわりに旋回(回転)する旋回吸盤52aが設けられている。旋回吸盤52aは、楕円孔51dの下部に位置し、前記袋取り機構3の吸盤31とは上下方向には対向するように配置される(
図7参照)が、旋回装置52の旋回吸盤52aが、袋旋回テーブル51上に載置した袋Wを所定の方向に旋回する。
【0028】
図7は、袋旋回機構5の背面図である。袋旋回機構5は、旋回吸盤52aがエルボ52bの上端部に備え付けられており、エルボ52bの下端部に図示していない吸引ホースが接続されている。エルボ52bは、ブラケット52cを介して旋回アクチュエータ52dの回転軸に接合して正逆方向に回動する。なお、実施例1では、エアー駆動の旋回アクチュエータ52dを用いているが、サーボモータのような駆動装置を用いてもよい。
【0029】
52eは、昇降アクチュエータであって、旋回アクチュエータ52dがこの昇降アクチュエータ52eの下部のピストンロッドに吊り下げられて浮いている。前記昇降アクチュエータ52eによって、旋回吸盤52aの上端が、袋旋回テーブル51より下の待機位置と、袋Wを吸着する上の吸着位置との間を上下動する。
【0030】
図6に示すように、機械フレーム9には長手方向に沿って固定された取付板52fが取り付けられ、この取付板52fには、位置調整用のスクリューロッド52gの先端部が軸支されている。このスクリューロッド52gに、雌ネジが形成されたガイド52hが嵌め込まれており、このガイド52hに前記昇降アクチュエータ52eが取付台52iを介して取り付けられている。スクリューロッド52gの後端には、ベベルギア52jを介して、直角方向にハンドル軸52kが連結し、ハンドル52lを回転することにより、前記昇降アクチュエータ52e、旋回アクチュエータ52d、旋回吸盤52a等をスクリューロッド52gに沿って長手方向に移動させることができる。袋Wの寸法が変わった場合に、ハンドル52lを回転して旋回吸盤52aが袋Wの幅方向の中心に来るようにセットできる。
【0031】
(袋センタリング機構)
図8は袋センタリング機構の側面図、
図9は正面拡大図である。この袋センタリング機構53は、前記旋回装置52により、下流側へ搬送可能な方向へ旋回した袋Wを袋搬送機構7に受け渡せるようにセンタリングする。この袋センタリング機構53では、軸心を中心に回転するスクリューロッド53bが機械フレーム9の幅方向に延びるように架け渡され、このスクリューロッド53bに、一対のロッドナット53cが嵌め合わされて、このロッドナット53cに支持板53dが取り付けられている。前記支持板53d上には、センタリング機器53Aが備え付けられ、スクリューロッド53bの端部に取り付けられたハンドル53gを回転することにより、支持板53d上の一対のセンタリング機器53Aが、互いに逆方向に移動する。これにより、袋Wの幅に応じて、広い幅から狭い幅までセット可能である。
【0032】
前記センタリング機器53Aにおいては、
図9に示すように、前記支持板53d上の両端に設けられた軸受け53hで回転軸53iが軸支され、この回転軸53iの端部に取り付けられたクランク53jにエアーシリンダ53kが連結されている。このエアーシリンダ53kが駆動されることにより回転軸53iが正逆方向に回転するとともに、この回転軸53iに取り付けられた整列板53Eも回転する。なお、整列板53Eの上縁には5個の突起53eが突き出るように形成されている。
【0033】
そして、前記エアーシリンダ53kにより回転軸53iが正逆方向に回転し、
図8に示すように、整列板53Eは、45°に傾斜した状態から垂直な状態に往復運動をする。整列板53Eが45°の状態では、突起53eはテーブル本体51aの下部に位置するので、テーブル本体51a上に袋Wが載置できる。逆に、整列板53Eが垂直な状態となる過程で、突起53eが袋Wをセンタリングする。なお、前記整列板53Eの内側の位置には、側面にクッション材53lが取り付けられたストッパ板53Lが、支持板53dにネジで固定されており、ストッパ板53Lにより前記整列板53Eが垂直な位置から回転しないようにストップしている。
【0034】
(袋搬送機構)
図10から
図12に示すように、袋搬送機構7は、テーブル本体51aの支持部51bの両側からはみ出した袋Wの先端両側部を、上下から挟み込む一対のクリップ72Iやこのクリップ72Iを開閉するためのエアーシリンダ72hなどを有するクリップ機器72と、スライダ71aに取り付けられたクリップ機器72を長手方向に往復移動させ、クリップ機器72が袋旋回テーブル51上の袋Wを袋受け渡し機構8側に受け渡すリニアアクチュエータ71などを備えている。
【0035】
なお、
図11に示すように、袋搬送機構7には、レーザセンサーの投・受光器73aやレーザ光の反射板73bを備えた袋先端計測器73も設けられており、この袋先端計測器73は、袋センタリング機構53によりセンタリングされた袋Wの袋口の先端縁の位置を正確に計測する。このように、袋口の先端縁の位置を正確に計測することにより、袋搬送機構7により袋Wを搬送する実際の正確な距離を計算し、袋受け渡し機構8のクリップ8aに正確に受け渡す。なお、袋先端計測器73は、前記のような投・受光器73a及び反射板73bである必要はない。
【0036】
(シート状被包装物を袋底側に移動させる方法)
次に、大容量袋供給装置1を用いて被包装物Fを袋底側に移動させる方法について説明する。
図5に示すように、袋ストック機構2のストック通路22に、まとまった枚数の袋束を起立した状態で、大容量ストックする。通常の大容量袋供給装置1では、前記のように袋束を、袋口と袋底を左右逆にして袋ストック通路22にセットするが、この実施例1では、被包装物Fを収納した袋Wの袋口と袋底を同じ方向にして袋ストック通路22に立設する。これにより、袋ストック機構2の準備は完了する。
【0037】
大容量袋供給装置1のスタートボタンをONにすると、袋ストック機構2の袋押しベルト用モータ23bと、袋取り機構3の駆動モータ33aが駆動すると共に、袋搬送機構7のリニアアクチュエータ71がスタンバイ状態となる。駆動モータ33aの駆動により4節リンク32が可動して、
図5に示すように、吸盤31が袋ストック機構2の先端の袋Wを吸着して取出し、袋旋回テーブル51の上に載置する。前記のように、この実施例1では、被包装物Fを収納した袋Wの袋口と袋底を同じ方向にして袋ストック通路22に立設してストックしているので、袋Wがどちらの方向を向いているかを、制御装置は判断しない。
【0038】
袋旋回テーブル51のテーブル本体51a上に載置される袋Wは、
図13に示すように、旋回吸盤52aが袋Wの中心Pよりも袋口寄りに偏位する(偏位距離H)。その後、旋回装置52の昇降アクチュエータ52eが駆動して、旋回吸盤52aが上昇して、
図14に示すように、前記袋Wを吸着するとともに旋回する。これにより、袋W内の被包装物Fが遠心力で袋底側に移動する。
【0039】
この後、袋センタリング機構53のエアーシリンダ53kを駆動して回転軸53iを回転させることで、
図8に示すように、整列板53Eが垂直に立ち上がり、一対の整列板53Eの突起53eが袋Wを左右から押して、袋旋回テーブル51上の袋Wのセンタリングが行われる。
図15に示すように、袋Wは、センタリングする前には左方向または右方向に若干ずれているが、この動作により幅方向にセンタリングされる。
【0040】
この後、クリップ機器72で袋Wの先端両側部をクリップ72Iで挟み、袋搬送機構7で包装機6側に搬送するが、クリップ機器72は、袋先端計測器73の投・受光器73aから投光されたレーザ光がセンタリングされた袋Wの袋口の先端縁で遮られた時点で、袋Wの先端縁の位置を正確に計測しており、これにより、袋Wの長手方向のズレを修正しながら袋Wを搬送する。その結果、包装機6のクランプに袋Wを正確に受け渡すことができる。
【0041】
上記のように、本発明によれば、袋Wを旋回させる際の中心位置を袋の中心よりも袋口寄りに偏位させるだけで、袋W内の被包装物Fを遠心力で袋底側の正位置に移動させることができる。したがって、包装機6に袋を供給する工程で、従来必要であった押込み装置や袋底の振動(タッピング)装置が不要となり、その包装機のセクションを利用し、袋口噛み込み検知などの装置を組み込むことで、下流側の包装機は安定した生産を行えるようになるため設備費の増加を抑えることができる作業効率を上げることができる。
【0042】
しかも、被包装物Fが、フェイスマスク等のシート状のものである場合には、従来では、押込み装置や袋底の振動装置を設けても、被包装物Fを良好に袋底側に移動させることが困難である場合があった。これに対して、本発明によれば、簡単な構成で被包装物Fを良好に袋底側の正位置に移動させることができる。したがって、この後に袋口をシールする際において、シーラが被包装物Fを噛み込んでシール不良となることも抑えることができて、不良品を押えることが可能となる。
【0043】
なお、上記実施例1においては、袋Wの旋回角度が90度である場合を述べたが、これに限るものではない。例えば、遠心力により、被包装物Fがより確実に袋底側に移動するように、450度又はそれ以上旋回させるようにしてもよい。
【0044】
(実施例2)
前記実施例1では、被包装物Fを収納した袋Wの袋口と袋底を同一方向にして袋ストック通路22に立設してストックしていたが、この実施例2では、通常使用する大容量袋供給装置1と同様に、まとまって袋束の袋口側と袋底側を左右逆にしてストックする。しかし、袋口側と袋底側を左右逆にしてストックすると、実施例1とは逆に、旋回吸盤52aが袋Wの中心よりも袋底寄りの部分を吸着する場合が発生する。旋回吸盤52aが袋Wの中心よりも袋底寄りに偏位した部分を吸着して袋Wを回転すると、その遠心力で、被包装物Fは袋口側に移動してしまい、シールする際に被包装物Fを噛み込んで不都合となる。
【0045】
そこで、実施例2では、袋取り機構3から袋旋回機構5の間で、袋方向検知装置4により袋Wが左右どちらの方向を向いているか検知し、袋Wが逆方向を向いていると検知すると、いったん袋Wを袋旋回テーブル51に載置し、
図16に示す袋スライド機構10により袋Wの位置を補正する作業を行う。なお、袋スライド機構10は、袋旋回テーブル51の一側部に設けられている。この袋スライド機構10は、袋旋回テーブル51の幅方向に溝11が2本穿設され、一方の溝11には、電動リニアスライダ10Aが嵌め込まれ、他方の溝11には、従動リニアスライダ10Bが嵌め込まれている。電動リニアスライダ10Aと従動リニアスライダ10Bとの間に、
図17に示すように、下面にブラシが植設されたスライドバー10Cが架け渡されている。
【0046】
電動リニアスライダ10Aは、端部にモータ部101Aを備えており、モータ部101Aから他端方向に伸びるベース部102A上にスライダ103Aが乗っている。モータ部101Aの回転により図示しないボールねじが回転し、リニアガイドが往復移動し、ベース部102A上のスライダ103Aがスライドする。従動リニアスライダ10Bは、スライドレール101Bに、ブロックスライダ102Bがスライドするだけで、自走することはない。電動リニアスライダ10Aを駆動することにより、スライドバー10Cが袋旋回テーブル51の幅方向にスライドし、袋旋回テーブル51の袋Wを正規の位置に移動させる。
【0047】
図18は、電動リニアスライダ10Aを駆動して、スライドバー10Cが袋旋回テーブル51の幅方向中央側に移動し、旋回吸盤52a上に袋Wの袋口側がくるようにした後の状態を示している。その間、旋回吸盤52aは吸引動作を行わず、袋Wが袋旋回テーブル51上をスライドできるようにする。図示しないセンサーやCCDカメラ等で、袋Wが袋旋回テーブル51上の所定の位置に達した時に、電動リニアスライダ10Aを停止した後、モータ部101Aを逆回転してスライダ103Aを元の位置に戻す(
図19を参照)。電動リニアスライダ10Aを停止すると同時に、旋回吸盤52aの吸引動作を開始し、袋Wを旋回吸盤52aで吸着する。
【0048】
袋Wを旋回吸盤52aで吸着した後、
図19に示すように、実施例1とは逆方向(反時計回り)に、袋Wが回転するように、旋回アクチュエータ52dを駆動する。これにより、袋W内の被包装物Fは袋底側に移動して正常な状態に収納される。その後は、クリップ機器72で袋Wの先端両側部をクリップ72Iで挟み、袋搬送機構7で包装機6側に搬送する。
【0049】
以上のように、実施例2は、被包装物Fを収納した袋Wの袋口と袋底を左右逆にして袋ストック通路22にストックすることができるので、袋口側と袋底側の厚みに差がある場合でも平均化し、袋群を全体的に歪みの無い状態で整列して袋ストック通路22にストックすることができる。
【0050】
(実施例3)
前記実施例1及び実施例2では、旋回アクチュエータ52dで袋Wを回転するだけであったが、回転前に袋W内にエアーを吹き込んで、袋Wをふくらませて袋W内の被包装物Fが袋底側に移動しやすいようにしてもよい。この動作により、より確実に被包装物Fを袋底側に移動させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明は、被包装物がフェイスマスク等のシート状のものである場合に、被包装物を袋底に収納するのに好適である。被包装物が軽量で、振動させることにより袋底に収納するのが難いものなどに適用できる。
【符号の説明】
【0052】
1 大容量袋供給装置、2 袋ストック機構、21 基台、22 袋ストック通路、22a 側板、22b ガイドロッド、22c スクリューロッド、22d ハンドル、23 袋押しベルト、23a 袋押部材、23b 袋押しベルト用モータ、24 スタンドプレート、24a 係止片、24b ゲート板、3 袋取り機構、31 吸盤、32 4節リンク、32a 駆動リンク、32b 中間リンク、32c 従動リンク、32d 従動軸、32e 駆動軸、32g ジョイント、32h 取付材、32i 吸引パイプ、32j チューブ、33 リンク駆動装置、33a 駆動モータ、33b ベベルギア、4 袋方向検知装置、5 袋旋回機構、51 袋旋回テーブル、51a テーブル本体、51b 支持部、51c スリット、51d 楕円孔、51e 長円孔、52 旋回装置、52a 旋回吸盤、52b エルボ、52c ブラケット、52d 旋回アクチュエータ、52e 昇降アクチュエータ、52f 取付板、52g スクリューロッド、52h ガイド、52i 取付台、52j ベベルギア、52k ハンドル軸、52l ハンドル、53 袋センタリング機構、53A センタリング機器、53b スクリューロッド、53c ロッドナット、53d 支持板、53E 整列板、53e 突起、53g ハンドル、53h 軸受け、53i 回転軸、53j クランク、53k エアーシリンダ、53L ストッパ板、53l クッション材、6 包装機、7 袋搬送機構、71 リニアアクチュエータ、71a スライダ、72 クリップ機器、72h エアーシリンダ、、72I クリップ、73 袋先端計測器、73a 投・受光器、73b 反射板、8 袋受け渡し機構、8a クリップ、9 機械フレーム、10 スライド機構、10A 電動リニアスライダ、101A モータ部、102A ベース部、103A スライダ、10B 従動リニアスライダ、101B スライドレール、102B ブロックスライダ、10C スライドバー、11 溝、W 袋(包装袋)、F 被包装物