(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024024610
(43)【公開日】2024-02-22
(54)【発明の名称】害虫防除方法
(51)【国際特許分類】
A01N 25/06 20060101AFI20240215BHJP
A01P 7/04 20060101ALI20240215BHJP
A01N 53/08 20060101ALI20240215BHJP
A01M 7/00 20060101ALI20240215BHJP
【FI】
A01N25/06
A01P7/04
A01N53/08 110
A01N53/08 125
A01M7/00 S
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023128284
(22)【出願日】2023-08-07
(31)【優先権主張番号】P 2022126810
(32)【優先日】2022-08-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000100539
【氏名又は名称】アース製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004152
【氏名又は名称】弁理士法人お茶の水内外特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松原 晶
(72)【発明者】
【氏名】原田 惠理
(72)【発明者】
【氏名】倉島 勇気
【テーマコード(参考)】
2B121
4H011
【Fターム(参考)】
2B121AA13
2B121AA14
2B121AA17
2B121CA02
2B121CA17
2B121CA81
2B121CB07
2B121CB13
2B121CB22
2B121CB53
2B121CB61
2B121CB65
2B121CC02
2B121EA01
4H011AC01
4H011BA06
4H011BB15
4H011BC01
4H011BC06
4H011DA13
4H011DA21
4H011DB05
4H011DD05
4H011DE16
(57)【要約】
【課題】定量噴射型エアゾールの噴射後に処理空間を一時閉鎖する必要がなく、換気条件下の処理空間において、従来の処理空間を一時閉鎖する害虫防除方法より優れた、高い防除効果を発揮する害虫防除方法を提供すること。
【解決手段】蒸気圧が1×10-6kPa(25℃)未満である難揮散性害虫防除成分と、蒸気圧が7kPa(25℃)以下である溶剤を含有し、
1回あたりの噴射量が0.1~3mLの範囲であり、
25℃条件下、噴口から50cm離れた距離における噴霧粒子の平均粒子径(D50)が8~105μmの範囲である、
定量噴射型エアゾールを用いて、換気条件下で、処理空間に向けて噴射することを特徴とする、害虫防除方法。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸気圧が1×10-6kPa(25℃)未満である難揮散性害虫防除成分と、
蒸気圧が7kPa(25℃)以下である溶剤を含有し、
1回あたりの噴射量が0.1~3mLの範囲であり、
25℃条件下、噴口から50cm離れた距離における噴霧粒子の平均粒子径(D50)が8~105μmの範囲である、
定量噴射型エアゾールを用いて、
換気条件下で、処理空間に向けて噴射することを特徴とする、
害虫防除方法。
【請求項2】
蒸気圧が1×10-6kPa(25℃)未満である難揮散性害虫防除成分と、
蒸気圧が7kPa(25℃)以下である溶剤を含有し、
1回あたりの噴射量が0.1~3mLの範囲であり、
25℃条件下、噴口から50cm離れた距離における噴霧粒子の平均粒子径(D50)が8~105μmの範囲である、
換気条件下で、処理空間に向けて噴射することを特徴とする、
害虫防除用定量噴射型エアゾール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、処理空間が換気条件下にあっても、定量噴射型エアゾールの噴射後に処理空間を一時閉鎖するという従来の害虫防除方法より優れた、高い防除効果を発揮する害虫の防除方法に関する。
【背景技術】
【0002】
有効成分と溶剤を含有する原液と噴射剤とからなるエアゾール組成物を、1回の噴射操作で一定量噴射する定量噴射型エアゾールが知られている(例えば、特許文献1等)。
この定量噴射型エアゾールは、ハエ類や蚊などの駆除を目的として、家庭内において利用されるようになってきている。
特に、空間噴霧用の定量噴射型エアゾールは、噴霧粒子を処理空間全体に行き渡らせるようにエアゾールを噴射する必要があるため、その噴霧粒子は気中に浮遊残存しやすいように調整されており、その使用には、処理空間の閉鎖が推奨されている。例えば、定量噴射型エアゾールを噴射後60分以内、処理空間を閉鎖することにより、コバエや蚊のみならずゴキブリなどの匍匐害虫に対しても、高い防除効果が得られる防除方法も報告(特許文献2)されている。
しかしながら、この防除方法は、噴射後60分間以内、処理空間を閉鎖する、具体的には、処理空間を外部から完全に遮断した密閉状態とすることが望ましいという方法である。また、特許文献2には、噴射後の閉鎖時間を長くし過ぎると、防除成分の気中濃度残存率が高くなり、処理空間にいる人やペットの安全性に懸念が生じることも、記載されている。
この処理空間の閉鎖という行為は多くの使用者にとって手間と感じさせるものであり、また、閉鎖が十分でないと所望の防除効果が得られないという問題があるなど、より簡便な防除方法が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-019674号公報
【特許文献2】特開2021-075526号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、定量噴射型エアゾールの噴射後に処理空間を一時閉鎖する必要がなく、換気条件下の処理空間において、処理空間を一時閉鎖する従来の害虫防除方法より優れた、高い防除効果を発揮する害虫防除方法の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、特定の蒸気圧を有する難揮散性害虫防除成分と、特定の蒸気圧を有する溶剤とを組み合わせて、特定の噴霧粒子径とすることにより、噴射後の噴霧粒子が収縮することなく、特定の噴霧粒子径を維持したまま処理空間内に拡散し、かつ、換気により有効成分が処理空間内から排出されることなく、処理空間内の壁面と床面に付着することを見出し、本発明を完成するに至ったものである。
【0006】
本発明は、詳しくは以下の事項を要旨とする。
1.蒸気圧が1×10-6kPa(25℃)未満である難揮散性害虫防除成分と、
蒸気圧が7kPa(25℃)以下である溶剤を含有し、
1回あたりの噴射量が0.1~3mLの範囲であり、
25℃条件下、噴口から50cm離れた距離における噴霧粒子の平均粒子径(D50)が8~105μmの範囲である、
定量噴射型エアゾールを用いて、
換気条件下で、処理空間に向けて噴射することを特徴とする、
害虫防除方法。
2.蒸気圧が1×10-6kPa(25℃)未満である難揮散性害虫防除成分と、
蒸気圧が7kPa(25℃)以下である溶剤を含有し、
1回あたりの噴射量が0.1~3mLの範囲であり、
25℃条件下、噴口から50cm離れた距離における噴霧粒子の平均粒子径(D50)が8~105μmの範囲である、
換気条件下で、処理空間に向けて噴射することを特徴とする、
害虫防除用定量噴射型エアゾール。
【発明の効果】
【0007】
本発明の害虫防除方法は、定量噴射型エアゾールの噴射後に処理空間を一時閉鎖する必要がなく、換気条件下の処理空間において、ハエ類や蚊などの飛翔害虫はもとより、ゴキブリなどの匍匐害虫に対しても、処理空間を一時閉鎖する従来の害虫防除方法より優れた、高い防除効果を発揮し得るため極めて有用である。
本発明の害虫防除方法は、処理空間を閉鎖することなく、処理空間に定量噴射型エアゾールを噴射するだけで、処理空間内の害虫を防除することが可能となるため、より手軽さを求める使用者にとって有用な防除方法となり得るものである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施例の「6畳相当の試験室1での害虫防除効果の確認試験」における、6畳相当の試験室1を説明するための、平面図(a)と斜視図(b)である。
【
図2】実施例の「12畳相当の試験室2での害虫防除効果の確認試験」における、12畳相当の試験室2を説明するための、平面図(a)と斜視図(b)である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明について詳細に説明する。
<換気条件下>
本発明における換気条件下とは、換気条件が1.5~20回/時間の範囲の状態を意味する。この換気条件とは、処理空間の空気が1時間のうちに何回入れ変わるかを意味する技術用語であり、室内空間に二酸化炭素を供給し、換気によるその濃度低下を測定することで算出できる。具体的に、「衛生試験法・注解 2000:日本薬学会編」に準拠した試験方法を、以下説明する。
測定する室内空間(VR:室内空間の容量m3)に適当量の二酸化炭素を供給したのち、室内の空気を撹拌して二酸化炭素濃度分布を均等にして、室内空間の二酸化炭素の平均濃度C1を測定する。次いで、一定時間tが経過した後に、再び空気を良く撹拌して室内の二酸化炭素の平均濃度Ctを測定する。また、室内空間の外から入ってくる空気に含まれる二酸化炭素濃度C0を測定する。
換気量V(m3/時間)または、換気条件E(回/時間)は、下記算出式により算出できる。
[算出式]
V=2.303×(VR÷t)×log{(C1-C0)÷(Ct-C0)}
E=V÷VR
本発明における換気条件は、上記試験方法により算出された換気条件Eを意味する。
本発明における換気条件としては、1.5~17回/時間の範囲が好ましく、1.5~12.5回/時間の範囲がより好ましく、2.5~12回/時間の範囲がさらに好ましく、2.5~8回/時間の範囲が特に好ましい。
本発明の防除方法は、上記換気条件下であれば、処理空間への人の出入りや、窓やドアの開放、エアコンの稼働などがあっても良く、処理空間の温度や湿度などは、家庭の室内環境として想定される範囲内であれば、特段の制限はない。
【0010】
<定量噴射型エアゾール>
定量噴射型エアゾールとは、1回の噴射操作で一定量のエアゾール組成物を噴射するエアゾールである。定量噴射型エアゾールは、エアゾールバルブに取り付けられた噴射部材
(以下、噴射ボタンともいう。)が使用者に操作されることにより、エアゾールバルブを通して耐圧容器内のエアゾール組成物(原液と噴射剤)の一定量が吐出され、原液は噴射剤によって粒子状の噴霧粒子とされて噴射される。
本発明の定量噴射型エアゾールは、蒸気圧が1×10-6kPa(25℃)未満である難揮散性害虫防除成分と、蒸気圧が7kPa(25℃)以下である溶剤を含有する原液と、噴射剤とからなるエアゾール組成物が充填されたエアゾール容器と、エアゾール容器に取り付けられるバルブ機構と、バルブ機構に取り付けられるステム機構と、ステム機構およびバルブ機構を操作するとともに、エアゾール組成物を噴射するための噴口が形成された噴射ボタンとを備える態様のものである。
本発明の定量噴射型エアゾールは、1回あたりの噴射量が0.1~3mLに、25℃条件下、噴口から50cm離れた距離における噴霧粒子の平均粒子径(D50)が8~105μmの範囲に調整されているものである。
【0011】
<難揮散性害虫防除成分>
本発明における難揮散性害虫防除成分は、蒸気圧が1×10-6kPa(25℃)未満のものである。
難揮散性害虫防除成分の蒸気圧は、1×10-6kPa(25℃)未満であればよく、8×10-7kPa(25℃)以下であることが好ましく、1×10-7kPa(25℃)以下であることがより好ましい。難揮散性害虫防除成分の蒸気圧が1×10-6kPa(25℃)未満であることにより、本発明における定量噴射型エアゾールは、処理空間の壁面と床面に付着した後、長期間にわたって害虫防除効果を持続しやすいという効果を発揮するものである。
本発明における難揮散性害虫防除成分は、害虫防除効果を奏するものであれば、特に限定されず、具体的には、例えば、ピレスロイド系化合物、カーバメート系化合物、ネオニコチノイド系化合物、オキサジアゾール系化合物、メタジアミド系化合物、キチン合成阻害系化合物、幼若ホルモン様化合物等の害虫防除成分が挙げられる。これらの難揮散性害虫防除成分は、単独でも2種以上を併用してもよい。
【0012】
本発明の難揮散性害虫防除成分としては、ピレスロイド系化合物が好適である。ピレスロイド系化合物としては、例えば、フェノトリン(蒸気圧:1.9×10-8kPa(25℃))、ペルメトリン(蒸気圧:6.8×10-10kPa(25℃))、ビフェントリン(蒸気圧:2.4×10-8kPa(25℃))、シフルトリン(蒸気圧:2.7×10-10kPa(25℃))、シペルメトリン(蒸気圧:3.4×10-10kPa(25℃))、シフェノトリン(蒸気圧:2.9×10-10kPa(25℃))、エトフェンプロックス(蒸気圧:8.13×10-10kPa(25℃))等が挙げられる。これらの中でも、発明の効果に優れる点から、本発明の難揮散性害虫防除成分としては、ペルメトリン、フェノトリンが好ましい。
本発明における原液は、難揮散性害虫防除成分に加え、発明の効果を奏する限り、易揮散性害虫防除成分を含んでもよい。易揮散性害虫防除成分は、その蒸気圧が1×10-6kPa(25℃)以上のものであり、例えば、ピレスロイド系化合物、有機リン系化合物が挙げられる。易揮散性害虫防除成分のピレスロイド系化合物は、例えば、メトフルトリン(蒸気圧:1.96×10-6kPa(25℃))、プロフルトリン(蒸気圧:1.03×10-5kPa(25℃))、エンペントリン(蒸気圧:1.54×10-5kPa(25℃))等が挙げられる。易揮散性害虫防除成分の有機リン系化合物は、例えば、ジクロルボス(蒸気圧:2.1×10-3kPa(25℃))が挙げられる。易揮散性害虫防除成分は、難揮散性害虫防除成分と併用した際の製剤安定性の観点から、含まないほうが好ましい。
【0013】
本発明の難揮散性害虫防除成分の含有量は、原液中3~94重量/容量%であることが好ましい。難揮散性害虫防除成分が原液中に3重量/容量%以上であることで、十分な難揮散性害虫防除成分の効果を得ることができ、94重量/容量%以下であると、噴射不良の発生を抑制することができる。難揮散性害虫防除成分の含有量は、下限は4重量/容量%以上であることがより好ましく、5重量/容量%以上がさらに好ましく、6重量/容量%以上が特に好ましい。また、上限は90重量/容量%以下がより好ましく、80重量/容量%以下がさらに好ましく、70重量/容量%以下が特に好ましい。
本発明における原液が、難揮散性害虫防除成分に加え易揮散性害虫防除成分を含有する場合は、原液中0.1~50重量/容量%の範囲で含有することができる。
【0014】
<溶剤>
本発明における溶剤は、原液の液体担体であり、蒸気圧が7kPa(25℃)以下のものである。
溶剤の蒸気圧は、7kPa(25℃)以下であればよく、4.5kPa(25℃)以下であることが好ましく、1.9kPa(25℃)以下であることがより好ましく、0.7kPa(25℃)以下であることが特に好ましい。
本発明における定量噴射型エアゾールは、蒸気圧が1×10-6kPa(25℃)未満である難揮散性害虫防除成分と、蒸気圧が7kPa(25℃)以下である溶剤を組み合わせることにより、25℃条件下、噴口から50cm離れた距離における噴霧粒子の平均粒子径(D50)を8~105μmの範囲のものとすることができる。
本発明における溶剤として、蒸気圧が7kPa(25℃)以下のものであれば、特に制限されず、例えば、ドデカン、トリデカン、ヘプタデカン、ノルマルパラフィン、イソパラフィン、流動パラフィン等の脂肪族炭化水素系溶剤、ミリスチン酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、パルミチン酸イソプロピル等のエステル系溶剤、イソプロパノール、tert-ブタノール、n-ブタノール等のアルコール系溶剤、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、1,2-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール等のグリコール系溶剤、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル等のグリコールエーテル系溶剤、ジメチルシリコーン、アミノ変性シリコーン等のシリコーン系溶剤、水が挙げられる。
本発明の蒸気圧が7kPa(25℃)以下である溶剤として、脂肪族炭化水素が好ましく、パラフィン系炭化水素やナフテン系炭化水素、芳香族炭化水素が挙げられるが、具体的にはJIS 1号灯油等の灯油が好ましい。灯油の中でも、脂肪族飽和炭化水素系溶剤が好ましく、具体的にはノルマルパラフィン、イソパラフィン等が挙げられる。ノルマルパラフィンとしては、炭素数が5~20のものが好ましく、炭素数が8~17がより好ましく、炭素数11~15がさらに好ましい。使用できるノルマルパラフィンの市販品としては、例えば、中央化成株式会社製のネオチオゾール、ENEOS株式会社製のノルマルパラフィンMA等が挙げられる。イソパラフィンとしては、炭素数が5~20のものが好ましく、炭素数が8~17がより好ましく、炭素数10~13がさらに好ましい。使用できるイソパラフィンの市販品としては、例えば、中央化成株式会社製のIP-2028、出光興産株式会社製のIPクリーンLX、出光興産株式会社製のスーパーゾルFP25等が挙げられる。
蒸気圧が7kPa(25℃)以下であれば、これらを単独又は2種以上を混合して用いてもよい。
また、2種以上の溶剤を混合した混合溶剤の蒸気圧が、7kPa(25℃)以下であれば、本発明における溶剤として使用することが可能である。
【0015】
本発明の溶剤の含有量は、原液中6~97重量/容量%であることが好ましい。溶剤が原液中に6重量/容量%以上であることで、噴霧粒子の平均粒子径(D50)を所望の範囲とすることができ、97重量/容量%以下であると、難揮散性害虫防除成分の効果を損なうことがない。溶剤の含有量は、下限は10重量/容量%以上であることがより好ましく、20重量/容量%以上がさらに好ましく、30重量/容量%以上が特に好ましい。また、上限は96重量/容量%以下がより好ましく、95重量/容量%以下がさらに好ましく、94重量/容量%以下が特に好ましい。
【0016】
<噴射量>
本発明における定量噴射型エアゾールは、1回あたりの噴射量が0.1~3mLとなるよう調整されている。1回あたりの噴射量は、0.1~2mLとなるように調整されていることが好ましく、0.1~1.5mLとなるように調整されていることがより好ましく、0.1~1mLとなるように調整されていることがさらに好ましく、0.1~0.8mLとなるように調整されていることが特に好ましい。
1回あたりの噴射量が0.1mL未満である場合、噴射されたエアゾール組成物は、均一に拡散されにくく、充分な害虫防除効果が得られない可能性がある。1回あたりの噴射量を0.1~3mLの範囲に調整することにより、噴霧粒子径を適切な大きさとすることができ、換気の影響を受けることなく、処理空間に均一に拡散し、壁面や床面に付着するため好ましい。1回あたりの噴射量を調整する方法は特に限定されない。1回あたりの噴射量は、例えば、バルブ機構におけるハウジング(定量室)の容量等を適宜調整することにより、調整され得る。
【0017】
<平均粒子径(D50)>
本発明における噴霧粒子は、25℃条件下、噴口から50cm離れた距離における噴霧粒子の平均粒子径(D50)が8~105μmの範囲のものである。
本発明における噴霧粒子の平均粒子径(D50)は、定量噴射型エアゾールの噴口から50cm離れた距離で測定した噴霧粒子の体積平均粒子径(D50)を意味し、公知の粒度分布測定装置及び自動演算処理装置を用いて測定することができる。
具体的には、粒度分布測定装置としてレーザー回折式粒度測定装置(例えば、マイクロトラック・ベル株式会社製「LDSA-1400A」)を用い、レーザー光発光部より受光部に照射されるレーザービームと、定量噴射型エアゾールの噴口との距離が50cmとなるように、かつ、噴霧粒子がレーザービームを垂直に通過するようにエアゾールの位置を調整して測定を行う。定量噴射型エアゾールを噴射中に測定を行い、噴霧粒子の粒度分布を自動演算処理装置により解析し、体積積算分布に基づく噴霧粒子の50%平均粒子径(D50)を算出した数値である。
【0018】
本発明における定量噴射型エアゾールは、25℃条件下、噴口から50cm離れた距離における噴霧粒子の平均粒子径(D50)が8~105μmの範囲のものである。この条件下の平均粒子径(D50)が8μm未満では、噴霧粒子が細かくなり過ぎて、処理空間を漂う浮遊粒子となって換気により処理空間内から排出されるなど、害虫の防除効果が低下する傾向を示す。逆に105μmを超えると、噴霧粒子が処理空間全体に届きにくくなり、難揮散性害虫防除成分が壁面、床面に均一に付着せず、害虫の防除効果が低下する傾向を示す。25℃条件下、噴口から50cm離れた距離における噴霧粒子の平均粒子径(D50)は、下限は10μm以上であることが好ましく、20μm以上であることがより好ましく、30μm以上であることがさらに好ましく、また、上限は100μm以下であることが好ましく、90μm以下であることがより好ましく、85μm以下であることがさらに好ましい。
【0019】
本発明における定量噴射型エアゾールは、25℃条件下、噴口から100cm離れた距離における噴霧粒子の平均粒子径(D50)が8~105μmの範囲であることが好ましい。
本発明における定量噴射型エアゾールの噴霧粒子について、25℃条件下、噴口から50cm離れた距離における平均粒子径(D50)が8~105μmの範囲であり、かつ、25℃条件下、噴口から100cm離れた距離における噴霧粒子の平均粒子径(D50)も同様に8~105μmの範囲とすることは、経時的に噴霧粒子が収縮し難いことを意味する。
本発明において、25℃条件下、噴口から100cm離れた距離における噴霧粒子の平均粒子径(D50)(100cm)と、25℃条件下、噴口から50cm離れた距離における噴霧粒子の平均粒子径(D50)(50cm)の関係は、下記計算式による収縮率(%)が25%以下であることが好ましく、20%以下であることがより好ましく、10%以下であることが特に好ましい。
[計算式]
収縮率(%)={1-(D50)(100cm)÷(D50)(50cm)}×100
すなわち、本発明における定量噴射型エアゾールの噴口から噴射された粒子は、噴射後の噴霧粒子が収縮することなく、特定の噴霧粒子径を維持したまま処理空間内に拡散し、かつ、換気により有効成分が処理空間内から排出されることなく、処理空間内の壁面と床面に付着し、充分な害虫防除効果を得ることができる。
これは、特定の蒸気圧を有する難揮散性害虫防除成分と、特定の蒸気圧を有する溶剤とを組み合わせて、特定の噴霧粒子径とすることにより、達成される本発明の有用な効果の1つである。
【0020】
<処理空間>
本発明における処理空間は、主に屋内の空間を意味する。処理空間の容積は特に限定されないが、床面積が1.5m2以上の空間であれば良い。中でも、1.5~24畳の部屋に相当する容積(概略6.0~97.2m3に相当)であることが好ましく、3~12畳の部屋に相当する容積(概略12.2~48.6m3に相当)であることがより好ましい。
処理空間内の押入やクロゼットも、その扉(襖)を開放すれば、処理空間に付随する空間として、同時に害虫を防除することができる。同様に、浴室やトイレも、隣接する空間を隔てる扉を開放して、隣接する空間と共に害虫を防除することが可能である。
処理空間が上記容積より大きい場合でも、その処理空間の容積に合わせて、難揮散性害虫防除成分の吐出量が0.1~50mg/m3となるように適宜設定することで、処理空間の容積に関わらず同様の害虫防除効果を得ることができる。
また、本発明における処理空間としては、室内の家具類や家電製品類と壁面との間や、家具類や家電製品類同士の間などの隙間も含むものである。
本発明の害虫防除方法は、処理空間を閉鎖することなく、処理空間に定量噴射型エアゾールを噴射するだけで、害虫防除成分を含有する噴霧粒子が処理空間内の壁面と床面に沈降する過程において、処理空間内の隙間にも噴霧粒子が拡散されるため、例えば、匍匐害虫が隙間から飛び出す(フラッシングアウト)効果も得られる。
本発明の害虫防除方法の実施頻度は、特に限定されないが、例えば1カ月に1回程度実施することにより、充分な害虫防除効果を得ることができる。
本発明の害虫防除方法は、処理空間中央付近から処理空間の隅又は壁面のやや斜め上方に向かって、または、処理空間の端から対向する隅又は壁面の斜め上方に向かって、処理空間の大きさに合わせて定量噴射型エアゾールを噴射すればよい。
【0021】
<害虫>
本発明における害虫は、本発明の効果が得られる限り特に制限されない。具体的には、例えば、クロゴキブリ、チャバネゴキブリ、ヤマトゴキブリ、ワモンゴキブリ、トビイロゴキブリ等のゴキブリ、クモ、ムカデ、アリ、ゲジゲジ、ヤスデ、ダンゴムシ、ワラジムシ、シロアリ、ケムシ、シラミ、マダニ、トコジラミ等の匍匐害虫、カ、ハエ、ガ、ハチ、カメムシ、カツオブシムシ、シバンムシ、キクイムシ、イガ、コイガ等の飛翔害虫、コナダニ、ケナガコナダニ、ヒョウヒダニ、コナヒョウヒダニ、ホコリダニ、ツメダニ、ヤケヒョウヒダニ等の屋内塵性ダニ類等が挙げられる。中でも、本発明の害虫防除方法は、匍匐害虫に対して有効であり、特にゴキブリに好適である。
【0022】
<エアゾール原液>
本発明におけるエアゾール組成物中の原液の含有量は、使用する難揮散性害虫防除成分の効力の強度や組み合わせる噴射剤との相溶性に応じて適宜変更可能であり、特に限定されないが、例えば、エアゾール組成物中に4~70容量%とすることができ、下限は5容量%以上が好ましく、上限は55容量%以下であることが好ましい。エアゾール組成物中の原液が4容量%以上であると、1回の噴射操作で十分な難揮散性害虫防除成分を噴射させることができ、70容量%以下であると、より広範囲に難揮散性害虫防除成分を到達させることができる。原液の含有量は、エアゾール組成物中、下限は6容量%以上であることがより好ましく、7容量%以上であることがさらに好ましく、また、上限は30容量%以下であることがより好ましく、25容量%以下であることがさらに好ましい。
【0023】
原液には、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の成分を含有させることができる。任意の成分としては、例えば、芳香成分、消臭成分、除菌・殺菌成分、滑沢剤等が挙げられる。
芳香成分は、香気を発する成分である。芳香成分としては、例えば、精油成分や合成香料等が挙げられる。これらは、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
消臭成分は、臭気を消すことができる成分である。消臭成分としては、例えば、緑茶エキス、柿タンニン、メタクリル酸ラウリル、安息香酸メチル、フェニル酢酸メチル、ゲラニルクロトネート、酢酸ベンジル、プロピオン酸ベンジル、銀等の臭気成分を吸着する成分や、上記の芳香成分のような臭気成分をマスキングする成分等が挙げられる。これらは、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
除菌・殺菌成分は、微生物、カビ、菌を除去・死滅させる成分である。除菌・殺菌成分としては、例えば、ヒノキチオール、2-メルカプトベンゾチアゾール、2-(4-チアゾリル)ベンゾイミダゾール、5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン、トリホリン、3-メチル-4-イソプロピルフェノール、オルト-フェニルフェノール、グルコン酸クロルヘキシジン、ポリリジンやキトサン、テトラヒドロリナロール、ジアルキルジメチルアンモニウムクロライド等が挙げられる。これらは、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
滑沢剤としては、例えば、無水ケイ酸、疎水性シリカ、ケイ酸カルシウム、ケイソウ土、高純度シリカ、タルク等のケイ酸化合物等が挙げられる。
【0024】
<噴射剤>
噴射剤は、上記原液を噴射するための媒体であり、原液とともにエアゾール用耐圧容器に加圧充填される。
噴射剤としては、例えば、プロパン、プロピレン、n-ブタン、イソブタン等の液化石油ガス(LPG)やジメチルエーテル(DME)等の液化ガス、炭酸ガス、窒素ガス、圧縮空気等の圧縮ガス、HFC-152a、HFC-134a、HFO-1234yf、HFO-1234ze等のハロゲン化炭素ガス等の1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、本発明における好適な溶剤である脂肪族炭化水素系溶剤との相溶性に優れ、噴霧粒子の平均粒子径を所望の範囲に調整しやすいという観点から、液化石油ガスを使用することが好ましい。
エアゾール組成物中の噴射剤の含有量は、使用する難揮散性害虫防除成分の効力の強度や組み合わせる原液との相溶性に応じて適宜変更可能であり、特に限定されないが、例えば、エアゾール組成物中に30~96容量%とすることができ、下限は45容量%以上が好ましく、上限は95容量%以下であることが好ましい。エアゾール組成物中に噴射剤が30容量%以上であると、噴霧粒子の平均粒子径を所望の範囲とすることができ、96容量%以下であると、十分な難揮散性害虫防除成分の効果を得ることができる。噴射剤の含有量は、エアゾール組成物中、下限は70容量%以上であることがより好ましく、75容量%以上がさらに好ましく、また、上限は94容量%以下がより好ましく、93容量%以下がさらに好ましい。
なお、エアゾール組成物中の原液と噴射剤の体積比は、4:96~70:30であることが好ましく、5:95~55:45がより好ましく、6:94~30:70がさらに好ましく、7:93~25:75が特に好ましい。このような体積比とすることで、噴霧粒子の平均粒子径(D50)を所望の範囲とし、難揮散性害虫防除成分の効果を充分に得ることができる。
【0025】
<定量噴射型エアゾールバルブ>
定量噴射型エアゾールバルブは、噴射部材が使用者に操作されることにより耐圧容器内と外部との連通および遮断を切り替えるための開閉部材と、開閉部材が取り付けられるハウジング(定量室)と、ハウジング(定量室)を耐圧容器の所定の位置に保持するためのマウント部材を備える。また、開閉部材は、噴射部材と連動して上下に摺動するステムを含む。ステムの摺動によりエアゾール組成物の連通(噴射状態)および遮断(非噴射状態)が切り替えられる。エアゾールバルブには、耐圧容器からエアゾール組成物を取り込むためのハウジング孔と、取り込まれたエアゾール組成物を噴射部材に送るためのステム孔とが形成されている。ハウジング孔からステム孔までの経路は、エアゾール組成物が通過する内部通路を構成する。
【0026】
<噴射部材>
噴射部材(噴射ボタン)は、定量噴射型エアゾールバルブを介してエアゾール用耐圧容器に取り付けられる部材である。噴射ボタンには、定量噴射型エアゾールバルブのステム孔を介して耐圧容器内から取り込まれるエアゾール組成物が通過する操作部内通路とエアゾール組成物が噴射される噴口が形成されている。
本発明において、噴射部材における噴口の数、形状、配置等は特に限定されないが、例えば、噴口の内径(噴口孔径)は、拡散性を高めるという観点から、φ0.1~3.0mmであることが好ましく、φ0.2~2.0mmがより好ましく、φ0.5~1.5mmがさらに好ましい。
【0027】
<噴射力>
本発明における定量噴射型エアゾールは、上記したようにエアゾール用耐圧容器に原液と噴射剤、すなわちエアゾール組成物が充填され、噴射ボタンを1回押圧することにより一定量のエアゾール組成物が噴射される。噴口から5cm離れた位置におけるエアゾール組成物の25℃における噴射力は、5~40gfであることが好ましい。25℃における噴射力が前記範囲であると、噴口から50cm離れた距離における噴霧粒子の平均粒子径(D50)を特定の範囲とすることができ、難揮散性害虫防除成分の害虫防除効果を充分に得ることができる。25℃における噴射力は、下限は8gf以上であることがより好ましく、10gf以上がさらに好ましく、また、上限は35gf以下であることがより好ましく、30gf以下がさらに好ましい。
25℃における噴射力は、25℃の恒温に保持した定量噴射型エアゾールを、噴射ボタンの噴口から5cmの距離からデジタルフォースゲージ(株式会社イマダ製、型番:DST-2N)に装着した直径φ60mmの円状の平板の中心に向かって、1回噴射操作した際の最大値を測定することにより求めることができる。
【0028】
<難揮散性害虫防除成分の吐出量>
本発明における定量噴射型エアゾールは、使用する難揮散性害虫防除成分の効力の強度によっても異なるが、1~10回の噴射操作で難揮散性害虫防除成分を0.1~50mg/m3の範囲で吐出することが好ましい。1~10回の噴射操作による難揮散性害虫防除成分の吐出量が0.1mg/m3以上であると、十分な難揮散性害虫防除成分の効果を得ることができ、50mg/m3以下であると、過剰な難揮散性害虫防除成分の使用を抑制することができる。1~10回の噴射操作による難揮散性害虫防除成分の吐出量は、下限は0.5mg/m3以上であることがより好ましく、1mg/m3以上がさらに好ましく、また、上限は45mg/m3以下であることがより好ましく、40mg/m3以下がさらに好ましい。なお、使用する難揮散性害虫防除成分の好ましい吐出量としては、難揮散性害虫防除成分がペルメトリンの場合は0.6~40mg/m3が好ましく、フェノトリンの場合は1.2~40mg/m3が好ましい。
【0029】
<噴射時間>
本発明における定量噴射型エアゾールを使用して噴射する際の、1回の噴射操作による噴射時間は、難揮散性害虫防除成分の吐出量、原液と噴射剤の体積比、噴射処理条件等を考慮して適宜設定すればよく特に限定されないが、0.8秒以内であることが好ましい。1回の噴射操作による噴射時間を0.8秒以内とすることにより、難揮散性害虫防除成分の処理空間内への拡散性を高めることができ、難揮散性害虫防除成分の効果の持続性を高めることができる。1回の噴射操作による噴射時間は、0.75秒以内であることが好ましく、0.1~0.75秒がより好ましく、0.15~0.75秒がさらに好ましい。
1回の噴射操作による噴射時間を調整する方法としては、例えば、噴口孔径を調整する方法、定量噴射型エアゾールの噴射力を調整する方法、エアゾールバルブのステム孔径を調整する方法、噴射剤の圧力を調整する方法、及びこれらの組み合せが挙げられる。
【実施例0030】
以下に実施例によって本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
なお、実施例において、特に明記しない限り、部は重量部を意味する。
【0031】
(1)試験検体
<原液1の調製>
ペルメトリン62.5gに1号灯油(商品名:ノルマルパラフィンMA、ENEOS株式会社、蒸気圧:0.06kPa(25℃)以下)を加えて100mLにまでメスアップすることにより、原液1を調製した。
<原液2の調製>
フェノトリン45.0g、メトフルトリン0.5gにエタノール(蒸気圧:7.91kPa(25℃))を加えて100mLにまでメスアップすることにより、原液2を調製した。
<原液3の調製>
フェノトリン62.5gに1号灯油(原液1と同じ)を加えて100mLにまでメスアップすることにより、原液3を調製した。
<原液4の調製>
ペルメトリン62.5gにミリスチン酸イソプロピル(商品名:IPM-S、三光化学工業株式会社、蒸気圧:1.2×10-5kPa(25℃))を加えて100mLにまでメスアップすることにより、原液4を調製した。
<原液5の調製>
ペルメトリン12.5gに1号灯油(原液1と同じ)を加えて100mLにまでメスアップすることにより、原液5を調製した。
<原液6の調製>
ペルメトリン62.5gにエタノール(蒸気圧:7.91kPa(25℃))を加えて100mLにまでメスアップすることにより、原液6を調製した。
【0032】
<原液7の調製>
メトフルトリン53.1gに1号灯油(原液1と同じ)を加えて100mLにまでメスアップすることにより、原液7を調製した。
<原液8の調製>
ペルメトリン4.2gに1号灯油(原液1と同じ)を加えて100mLにまでメスアップすることにより、原液8を調製した。
<原液9の調製>
ペルメトリン27.3gに1号灯油(原液1と同じ)を加えて100mLにまでメスアップすることにより、原液9を調製した。
<原液10の調製>
ペルメトリン60.0gに1号灯油(原液1と同じ)を加えて100mLにまでメスアップすることにより、原液10を調製した。
<原液11の調製>
ペルメトリン25.0gに1号灯油(原液1と同じ)を加えて100mLにまでメスアップすることにより、原液11を調製した。
<原液12の調製>
ペルメトリン50.5gに1号灯油(原液1と同じ)を加えて100mLにまでメスアップすることにより、原液12を調製した。
<原液13の調製>
ペルメトリン63.2gに1号灯油(原液1と同じ)を加えて100mLにまでメスアップすることにより、原液13を調製した。
<原液14の調製>
ペルメトリン66.7gに1号灯油(原液1と同じ)を加えて100mLにまでメスアップすることにより、原液14を調製した。
<原液15の調製>
ペルメトリン20.0gに1号灯油(原液1と同じ)を加えて100mLにまでメスアップすることにより、原液15を調製した。
【0033】
<定量噴射型エアゾールの試験検体1>
エアゾール用耐圧缶に、原液1を3.8mL充填し、エアゾールバルブ(1回噴射量0.2mL)でエアゾール用耐圧缶を閉止した。続いて、噴射剤として液化石油ガス(0.43MPa(20℃))を12.2mL加圧充填した。エアゾールバルブに噴射ボタン(噴口孔径:φ1.0mm、噴口数:1)を取り付け、1回の噴射操作当たりの噴射量が0.2mL、ペルメトリンの吐出量が30mgの定量噴射型エアゾールの試験検体1を得た。この定量噴射型エアゾールの試験検体1の噴射距離5cmにおける噴射力は18.3gfであった。
この定量噴射型エアゾールの試験検体1の噴口(ノズルの噴口)から噴射方向(水平方向)に直線で50cm、100cm離れた位置に、レーザー回折式粒度測定装置(マイクロトラック・ベル株式会社製「LDSA-1400A」)を設置し、粒度測定装置に向けて定量噴射型エアゾール試験検体1を、25℃条件下において噴射することにより測定した、噴口から50cm離れた距離における噴霧粒子の平均粒子径(D50)は52.9μmであり、噴口から100cm離れた距離における噴霧粒子の平均粒子径(D50)は54.2μmであった。定量噴射型エアゾールの試験検体1の25℃条件下、噴口から50cm、100cm離れた距離における噴霧粒子のそれぞれの平均粒子径(D50)は、ほぼ同じであると考える。
<定量噴射型エアゾールの試験検体2>
エアゾール用耐圧缶に、原液2を6.0mL充填し、エアゾールバルブ(1回噴射量0.4mL)でエアゾール用耐圧缶を閉止した。続いて、噴射剤として液化石油ガスを14.0mL加圧充填した。エアゾールバルブに噴射ボタン(噴口孔径:φ0.75mm、噴口数:1)を取り付け、1回の噴射操作当たりの噴射量が0.4mL、フェノトリン、メトフルトリンそれぞれの吐出量が54mg、0.6mgの定量噴射型エアゾールの試験検体2を得た。この定量噴射型エアゾールの試験検体2の噴射距離5cmにおける噴射力は19.9gfであった。
定量噴射型エアゾールの試験検体1と同様の測定方法により測定された、定量噴射型エアゾールの試験検体2の噴口から50cm離れた距離における噴霧粒子の平均粒子径(D50)は43.1μmであり、噴口から100cm離れた距離における噴霧粒子の平均粒子径(D50)は37.3μmであった。
定量噴射型エアゾールの試験検体2は、エタノールを溶剤とする原液2を含有するものであるから、噴霧粒子中のエタノールの蒸発速度が速く、噴口から100cm離れた距離における噴霧粒子の平均粒子径(D50)は、50cmの平均粒子径(D50)よりも大きく収縮したと考えられる。
この定量噴射型エアゾールの試験検体2は、上記特許文献2の表1中の実施例6に相当する試験検体である。
<定量噴射型エアゾールの試験検体3>
エアゾール用耐圧缶に、原液3を3.8mL充填し、エアゾールバルブ(1回噴射量0.2mL)でエアゾール用耐圧缶を閉止した。続いて、噴射剤として液化石油ガスを12.2mL加圧充填した。エアゾールバルブに噴射ボタン(噴口孔径:φ1.0mm、噴口数:1)を取り付け、1回の噴射操作当たりの噴射量が0.2mL、フェノトリンの吐出量が30mgの定量噴射型エアゾールの試験検体3を得た。この定量噴射型エアゾールの試験検体3の噴射距離5cmにおける噴射力は20.3gfであった。
定量噴射型エアゾールの試験検体1と同様の測定方法により測定された、定量噴射型エアゾールの試験検体3の噴口から50cm離れた距離における噴霧粒子の平均粒子径(D50)は50.7μmであり、噴口から100cm離れた距離における噴霧粒子の平均粒子径(D50)は47.4μmであった。
<定量噴射型エアゾールの試験検体4>
エアゾール用耐圧缶に、原液4を3.8mL充填し、エアゾールバルブ(1回噴射量0.2mL)でエアゾール用耐圧缶を閉止した。続いて、噴射剤として液化石油ガスを12.2mL加圧充填した。エアゾールバルブに噴射ボタン(噴口孔径:φ1.0mm、噴口数:1)を取り付け、1回の噴射操作当たりの噴射量が0.2mL、ペルメトリンの吐出量が30mgの定量噴射型エアゾールの試験検体4を得た。この定量噴射型エアゾールの試験検体4の噴射距離5cmにおける噴射力は19.9gfであった。
定量噴射型エアゾールの試験検体1と同様の測定方法により測定された、定量噴射型エアゾールの試験検体4の噴口から50cm離れた距離における噴霧粒子の平均粒子径(D50)は48.6μmであり、噴口から100cm離れた距離における噴霧粒子の平均粒子径(D50)は44.2μmであった。
【0034】
<定量噴射型エアゾールの試験検体5>
エアゾール用耐圧缶に、原液5を19mL充填し、エアゾールバルブ(1回噴射量1mL)でエアゾール用耐圧缶を閉止した。続いて、噴射剤として液化石油ガスを61mL加圧充填した。エアゾールバルブに噴射ボタン(噴口孔径:φ1.0mm、噴口数:3)を取り付け、1回の噴射操作当たりの噴射量が1mL、ペルメトリンの吐出量が30mgの定量噴射型エアゾールの試験検体5を得た。この定量噴射型エアゾールの試験検体5の噴射距離5cmにおける噴射力は21.1gfであった。
定量噴射型エアゾールの試験検体1と同様の測定方法により測定された、定量噴射型エアゾールの試験検体5の噴口から50cm離れた距離における噴霧粒子の平均粒子径(D50)は31.3μmであり、噴口から100cm離れた距離における噴霧粒子の平均粒子径(D50)は38.4μmであった。
<定量噴射型エアゾールの試験検体6>
エアゾール用耐圧缶に、原液6を3.8mL充填し、エアゾールバルブ(1回噴射量0.2mL)でエアゾール用耐圧缶を閉止した。続いて、噴射剤として液化石油ガスを12.2mL加圧充填した。エアゾールバルブに噴射ボタン(噴口孔径:φ1.0mm、噴口数:1)を取り付け、1回の噴射操作当たりの噴射量が0.2mL、ペルメトリンの吐出量が30mgの定量噴射型エアゾールの試験検体6を得た。この定量噴射型エアゾールの試験検体6の噴射距離5cmにおける噴射力は18.1gfであった。
定量噴射型エアゾールの試験検体1と同様の測定方法により測定された、定量噴射型エアゾールの試験検体6の噴口から50cm離れた距離における噴霧粒子の平均粒子径(D50)は33.3μmであり、噴口から100cm離れた距離における噴霧粒子の平均粒子径(D50)は26.8μmであった。
<定量噴射型エアゾールの試験検体7>
エアゾール用耐圧缶に、原液7を3.8mL充填し、エアゾールバルブ(1回噴射量0.2mL)でエアゾール用耐圧缶を閉止した。続いて、噴射剤として液化石油ガスを12.2mL加圧充填した。エアゾールバルブに噴射ボタン(噴口孔径:φ1.0mm、噴口数:1)を取り付け、1回の噴射操作当たりの噴射量が0.2mL、メトフルトリンの吐出量が25mgの定量噴射型エアゾールの試験検体7を得た。この定量噴射型エアゾールの試験検体7の噴射距離5cmにおける噴射力は18.8gfであった。
定量噴射型エアゾールの試験検体1と同様の測定方法により測定された、定量噴射型エアゾールの試験検体7の噴口から50cm離れた距離における噴霧粒子の平均粒子径(D50)は40.1μmであり、噴口から100cm離れた距離における噴霧粒子の平均粒子径(D50)は41.5μmであった。
<定量噴射型エアゾールの試験検体8>
エアゾール用耐圧缶に、原液8を12.4mL充填し、エアゾールバルブ(1回噴射量3mL)でエアゾール用耐圧缶を閉止した。続いて、噴射剤として液化石油ガスを39.6mL加圧充填した。エアゾールバルブに噴射ボタン(噴口孔径:φ0.7mm、噴口数:1)を取り付け、1回の噴射操作当たりの噴射量が3mL、ペルメトリンの吐出量が30mgの定量噴射型エアゾールの試験検体8を得た。この定量噴射型エアゾールの試験検体8の噴射距離5cmにおける噴射力は22.7gfであった。
定量噴射型エアゾールの試験検体1と同様の測定方法により測定された、定量噴射型エアゾールの試験検体8の噴口から50cm離れた距離における噴霧粒子の平均粒子径(D50)は28.9μmであり、噴口から100cm離れた距離における噴霧粒子の平均粒子径(D50)は29.3μmであった。
【0035】
<定量噴射型エアゾールの試験検体9>
エアゾール用耐圧缶に、原液9を13.75mL充填し、エアゾールバルブ(1回噴射量0.2mL)でエアゾール用耐圧缶を閉止した。続いて、噴射剤として液化石油ガスを11.25mL加圧充填した。エアゾールバルブに噴射ボタン(噴口孔径:φ1mm、噴口数:1)を取り付け、1回の噴射操作当たりの噴射量が0.2mL、ペルメトリンの吐出量が30mgの定量噴射型エアゾールの試験検体9を得た。この定量噴射型エアゾールの試験検体9の噴射距離5cmにおける噴射力は10.8gfであった。
定量噴射型エアゾールの試験検体1と同様の測定方法により測定された、定量噴射型エアゾールの試験検体9の噴口から50cm離れた距離における噴霧粒子の平均粒子径(D50)は97.6μmであり、噴口から100cm離れた距離における噴霧粒子の平均粒子径(D50)は74.1μmであった。
<定量噴射型エアゾールの試験検体10>
エアゾール用耐圧缶に、原液10を5mL充填し、エアゾールバルブ(1回噴射量1mL)でエアゾール用耐圧缶を閉止した。続いて、噴射剤として液化石油ガスを95mL加圧充填した。エアゾールバルブに噴射ボタン(噴口孔径:φ1mm、噴口数:3)を取り付け、1回の噴射操作当たりの噴射量が1mL、ペルメトリンの吐出量が30mgの定量噴射型エアゾールの試験検体10を得た。この定量噴射型エアゾールの試験検体10の噴射距離5cmにおける噴射力は27.3gfであった。
定量噴射型エアゾールの試験検体1と同様の測定方法により測定された、定量噴射型エアゾールの試験検体10の噴口から50cm離れた距離における噴霧粒子の平均粒子径(D50)は16.4μmであり、噴口から100cm離れた距離における噴霧粒子の平均粒子径(D50)は19.0μmであった。
<定量噴射型エアゾールの試験検体11>
エアゾール用耐圧缶に、原液11を15mL充填し、エアゾールバルブ(1回噴射量0.2mL)でエアゾール用耐圧缶を閉止した。続いて、噴射剤として液化石油ガスを10mL加圧充填した。エアゾールバルブに噴射ボタン(噴口孔径:φ1mm、噴口数:1)を取り付け、1回の噴射操作当たりの噴射量が0.2mL、ペルメトリンの吐出量が30mgの定量噴射型エアゾールの試験検体11を得た。この定量噴射型エアゾールの試験検体11の噴射距離5cmにおける噴射力は9.6gfであった。
定量噴射型エアゾールの試験検体1と同様の測定方法により測定された、定量噴射型エアゾールの試験検体11の噴口から50cm離れた距離における噴霧粒子の平均粒子径(D50)は112.9μmであり、噴口から100cm離れた距離における噴霧粒子の平均粒子径(D50)は53.1μmであった。
<定量噴射型エアゾールの試験検体12>
エアゾール用耐圧缶に、原液12を7.6mL充填し、エアゾールバルブ(1回噴射量0.5mL)でエアゾール用耐圧缶を閉止した。続いて、噴射剤として液化石油ガスを24.4mL加圧充填した。エアゾールバルブに噴射ボタン(噴口孔径:φ1mm、噴口数:1)を取り付け、1回の噴射操作当たりの噴射量が0.5mL、ペルメトリンの吐出量が60mgの定量噴射型エアゾールの試験検体12を得た。この定量噴射型エアゾールの試験検体12の噴射距離5cmにおける噴射力は24.5gfであった。
定量噴射型エアゾールの試験検体1と同様の測定方法により測定された、定量噴射型エアゾールの試験検体12の噴口から50cm離れた距離における噴霧粒子の平均粒子径(D50)は42.0μmであり、噴口から100cm離れた距離における噴霧粒子の平均粒子径(D50)は42.3μmであった。
【0036】
<定量噴射型エアゾールの試験検体13>
エアゾール用耐圧缶に、原液13を19mL充填し、エアゾールバルブ(1回噴射量0.8mL)でエアゾール用耐圧缶を閉止した。続いて、噴射剤として液化石油ガスを61mL加圧充填した。エアゾールバルブに噴射ボタン(噴口孔径:φ1mm、噴口数:3)を取り付け、1回の噴射操作当たりの噴射量が0.8mL、ペルメトリンの吐出量が120mgの定量噴射型エアゾールの試験検体13を得た。この定量噴射型エアゾールの試験検体13の噴射距離5cmにおける噴射力は25.4gfであった。
定量噴射型エアゾールの試験検体1と同様の測定方法により測定された、定量噴射型エアゾールの試験検体13の噴口から50cm離れた距離における噴霧粒子の平均粒子径(D50)は41.5μmであり、噴口から100cm離れた距離における噴霧粒子の平均粒子径(D50)は47.0μmであった。
<定量噴射型エアゾールの試験検体14>
エアゾール用耐圧缶に、原液14を3.0mL充填し、エアゾールバルブ(1回噴射量1mL)でエアゾール用耐圧缶を閉止した。続いて、噴射剤として液化石油ガスを97.0mL加圧充填した。エアゾールバルブに噴射ボタン(噴口孔径:φ1mm、噴口数:3)を取り付け、1回の噴射操作当たりの噴射量が1mL、ペルメトリンの吐出量が20mgの定量噴射型エアゾールの試験検体14を得た。この定量噴射型エアゾールの試験検体14の噴射距離5cmにおける噴射力は25.9gfであった。
定量噴射型エアゾールの試験検体1と同様の測定方法により測定された、定量噴射型エアゾールの試験検体14の噴口から50cm離れた距離における噴霧粒子の平均粒子径(D50)は6.4μmであり、噴口から100cm離れた距離における噴霧粒子の平均粒子径(D50)は12.3μmであった。
<定量噴射型エアゾールの試験検体15>
エアゾール用耐圧缶に、原液15を10.0mL充填し、エアゾールバルブ(1回噴射量1mL)でエアゾール用耐圧缶を閉止した。続いて、噴射剤として液化石油ガスを90.0mL加圧充填した。エアゾールバルブに噴射ボタン(噴口孔径:φ1mm、噴口数:3)を取り付け、1回の噴射操作当たりの噴射量が1mL、ペルメトリンの吐出量が20mgの定量噴射型エアゾールの試験検体15を得た。この定量噴射型エアゾールの試験検体15の噴射距離5cmにおける噴射力は24.0gfであった。
定量噴射型エアゾールの試験検体1と同様の測定方法により測定された、定量噴射型エアゾールの試験検体15の噴口から50cm離れた距離における噴霧粒子の平均粒子径(D50)は9.8μmであり、噴口から100cm離れた距離における噴霧粒子の平均粒子径(D50)は22.3μmであった。
【0037】
(2)処理空間
・試験室1
図1に示すとおり、6畳相当の試験室1(3.6m×2.7m×高さ2.5m≒24.3m
3)に、食器棚や棚を模した段ボール(0.5m×0.6m×高さ2.1m)を4個配置した空間であり、開放する扉の大きさは0.9m×高さ1.8mである。
図1中の(a)は天面から見た試験室1を説明する平面図であり、(b)は試験室1の斜視図である。
前記段ボール4個のうち2個は、床面とダンボール底面との間に空間を作るため、高さ2.5cmの脚を設けたものである。
試験室1は換気ダクト(図示せず)を有する。換気ダクト(大きさ9cm×9cmの正方形)は、扉を背に右奥の手前の段ボール背面の壁(床面から20cm、扉を背に右奥の隅から100cm)に設置されている。
・試験室2
図2に示すとおり、12畳相当の試験室2(3.6m×5.4m×高さ2.5m≒48.6m
3)に、食器棚や棚を模した段ボール(0.5m×0.6m×高さ2.1m)を4個配置した空間であり、開放する扉の大きさは0.9m×高さ1.8mである。
図2中の(a)は天面から見た試験室2を説明する平面図であり、(b)は試験室2の斜視図である。
前記段ボール4個のうち2個は、床面とダンボール底面との間に空間を作るため、高さ2.5cmの脚を設けたものである。
試験室2は換気ダクト(図示せず)を有する。換気ダクト(大きさ9cm×9cmの正方形)は、扉を背に右側の手前の段ボール背面の壁(床面から20cm、扉を背に右奥の隅から100cm)に設置されている。
【0038】
(3)換気条件
上述の処理空間内に二酸化炭素を供給し、換気によるその濃度低下の速度を測定する方法に基づいて、下記の換気条件を設定した。
・試験室1
試験室1の扉を閉め切った状態の換気条件は1.0回/時間、扉を開放した場合の換気条件は、4.5回/時間である。換気条件8回/時間、12回/時間については、扉を開放することに加え、換気ダクトの風量を調整し設定した。
・試験室2
試験室2の扉を閉め切った状態の換気条件は1.0回/時間、扉を開放した場合の換気条件は、4.3回/時間である。
【0039】
(4)供試虫
供試虫1:クロゴキブリの雌成虫
供試虫2:チャバネゴキブリの雌成虫
なお、下記各試験における24時間後の致死率は、80%以上である場合に実用性があると判断した。
【0040】
<6畳相当の試験室1での害虫防除効果の確認試験1>
・実施例1
試験室1の扉を開放して換気条件を4.5回/時間とした後、試験室1内に供試虫1を50頭放ち、1時間馴化させた後、供試虫1が壁面とダンボールとの間や、床面とダンボール底面との空間に定着したことを確認した。
定量噴射型エアゾールの試験検体1を、試験室1の中央床面から約150cmの高さの噴口から、試験室1中に拡散するように試験室1の4隅のやや斜め上方に向けて、それぞれ1回ずつ合計4回噴射した。
噴射30分後に、給餌用に水を浸した脱脂綿及び固形餌を試験室1中央に設置し、それから噴射24時間後まで試験室1の内部を同じ状態に維持した。
噴射24時間後に供試虫1を全て回収し、致死虫数と瀕死虫数を記録して、下記算出式により、24時間後の致死率を算出した。試験は2回行い、24時間後の致死率として、その平均値を下記表1に示す。
[算出式]
致死率(%)=(致死虫数+瀕死虫数)÷供試頭数×100
【0041】
・実施例2
実施例1において、定量噴射型エアゾールの試験検体1を試験検体3に代える以外は同様にして、24時間後の致死率を算出した。試験は2回行い、24時間後の致死率として、その平均値を下記表1に示す。
・実施例3
実施例1において、定量噴射型エアゾールの試験検体1を試験検体4に代える以外は同様にして、24時間後の致死率を算出した。試験は2回行い、24時間後の致死率として、その平均値を下記表1に示す。
・実施例4
実施例1において、定量噴射型エアゾールの試験検体1を試験検体5に代える以外は同様にして、24時間後の致死率を算出した。試験は2回行い、24時間後の致死率として、その平均値を下記表1に示す。
【0042】
・比較例1
試験室1の扉を開放して換気条件を4.5回/時間とした後、試験室1内に供試虫1を50頭放ち、1時間馴化させた後、供試虫1が壁面とダンボールとの間や、床面とダンボール底面との空間に定着したことを確認した。
定量噴射型エアゾールの試験検体2を、試験室1の中央床面から約150cmの高さの噴口から、試験室1中に拡散するように試験室1の4隅のやや斜め上方に向けて、それぞれ1回ずつ合計4回噴射した。
噴射30分後に、給餌用に水を浸した脱脂綿及び固形餌を試験室1中央に設置し、それから噴射24時間後まで試験室1の内部を同じ状態に維持した。
噴射24時間後に供試虫1を全て回収し、致死虫数と瀕死虫数を記録して、下記算出式により、24時間後の致死率を算出した。試験は2回行い、24時間後の致死率として、その平均値を下記表1に示す。
【0043】
・比較例2
試験室1の扉を閉鎖して換気条件を1.0回/時間とした後、試験室1内に供試虫1を50頭放ち、1時間馴化させた後、供試虫1が壁面とダンボールとの間や、床面とダンボール底面との空間に定着したことを確認した。
定量噴射型エアゾールの試験検体2を、試験室1の中央床面から約150cmの高さの噴口から、試験室1中に拡散するように試験室1の4隅のやや斜め上方に向けて、それぞれ1回ずつ合計4回噴射した。
噴射30分後に、試験室1の扉を開放して換気条件を4.5回/時間とし、給餌用に水を浸した脱脂綿及び固形餌を試験室1中央に設置し、それから噴射24時間後まで試験室1の内部を同じ状態に維持した。
この比較例2は、上記特許文献2の実施例6の害虫、ダニ防除方法に相当する試験である。
噴射24時間後に供試虫1を全て回収し、致死虫数と瀕死虫数を記録して、上記算出式により、24時間後の致死率を算出した。試験は2回行い、24時間後の致死率として、その平均値を下記表1に示す。
表1中の平均粒子径(D50)は、各試験検体の噴口から50cm離れた距離における噴霧粒子の平均粒子径(D50)である。
【0044】
実施例1~4、比較例1、2の試験条件と、24時間後の致死率を下記表1にまとめて示す。
【表1】
【0045】
表1に示すとおり、換気条件が4.5回/時間である処理空間において、特定の蒸気圧を有する難揮散性害虫防除成分と、特定の蒸気圧を有する溶剤とを組み合わせて、特定の噴霧粒子径とした定量噴射型エアゾールの試験検体1、3~5を噴射する、本発明の具体例である実施例1~4の害虫防除方法は、クロゴキブリに対する24時間後の致死率が83~98%と、優れたゴキブリ防除効果を発揮することが明らかとなった。この結果は、本発明の害虫防除方法が、処理空間を閉鎖することなく、処理空間に定量噴射型エアゾールを噴射するだけで、害虫防除成分を処理空間全体に行き渡らせて、処理空間に存在するクロゴキブリに対して優れた防除効果を発揮することを、特に、壁面とダンボールとの間や、床面とダンボール底面との空間や隙間に潜むクロゴキブリに対しても、優れた防除効果を発揮することを示すものである。
これに対して、上記特許文献2の実施例6を模した定量噴射型エアゾールの試験検体2を、実施例1と同じ換気条件が4.5回/時間である処理空間において噴射した比較例1は、クロゴキブリに対する24時間後の平均致死率が45%と、防除効果が低いことも明らかとなった。
また、定量噴射型エアゾールの試験検体2を噴射後30分間閉鎖する比較例2は、クロゴキブリに対する24時間後の致死率が80%と、比較例1よりは防除効果が向上するものの、本発明の実施例1~4よりは防除効果が低いことも明らかとなった。
【0046】
<12畳相当の試験室2での害虫防除効果の確認試験>
・実施例5
上記実施例1の試験室1を試験室2に変えて、試験室2の4隅のやや斜め上方と4つの壁面中央のやや斜め上方に向けて、それぞれ1回ずつ合計8回噴射した以外は、実施例1と同様に試験を2回実施した。
噴射24時間後に供試虫1を全て回収し、致死虫数と瀕死虫数を記録して、上記算出式により、24時間後の致死率を算出した。試験は2回行い、24時間後の致死率として、その平均値を下記表2に示す。
【0047】
・比較例3
上記比較例1の試験室1を試験室2に変えて、試験室2の4隅のやや斜め上方と4つの壁面中央のやや斜め上方に向けて、それぞれ1回ずつ合計8回噴射した以外は、比較例1と同様に試験を2回実施した。
噴射24時間後に供試虫1を全て回収し、致死虫数と瀕死虫数を記録して、上記算出式により、24時間後の致死率を算出した。試験は2回行い、24時間後の致死率として、その平均値を下記表2に示す。
【0048】
・比較例4
上記比較例2の試験室1を試験室2に変えて、試験室2の4隅のやや斜め上方と4つの壁面中央のやや斜め上方に向けて、それぞれ1回ずつ合計8回噴射した以外は、比較例2と同様に試験を2回実施した。
噴射24時間後に供試虫1を全て回収し、致死虫数と瀕死虫数を記録して、上記算出式により、24時間後の致死率を算出した。試験は2回行い、24時間後の致死率として、その平均値を下記表2に示す。
【0049】
実施例5、比較例3、4の試験条件と、24時間後の致死率を下記表2にまとめて示す。
表2中の平均粒子径(D50)は、各試験検体の噴口から50cm離れた距離における噴霧粒子の平均粒子径(D50)である。
【表2】
【0050】
表2に示すとおり、換気条件が4.3回/時間である処理空間において、特定の蒸気圧を有する難揮散性害虫防除成分と、特定の蒸気圧を有する溶剤とを組み合わせて、特定の噴霧粒子径とした定量噴射型エアゾールの試験検体1を噴射する、本発明の具体例である実施例5の害虫防除方法は、クロゴキブリに対する24時間後の致死率が86%と、優れたゴキブリ防除効果を発揮することが明らかとなった。
すなわち、6畳相当の試験室1の試験例である実施例1と、12畳相当の試験室2のこの実施例5とは、24時間後の致死率が同等であったことから、本発明の害虫防除方法は、処理空間の大きさや広さに関わらず、優れた害虫防除効果が得られることが確認された。
この結果からも、本発明の害虫防除方法は、処理空間の大きさや広さに関わらず、処理空間に存在するクロゴキブリに対して優れた防除効果を発揮することが、特に、壁面とダンボールとの間や、床面とダンボール底面との空間や隙間に潜むクロゴキブリに対しても、優れた防除効果を発揮することが明らかとなった。
これに対して、上記特許文献2の実施例6を模した定量噴射型エアゾールの試験検体2を、実施例5と同じ換気条件が4.3回/時間である処理空間において噴射した比較例3は、クロゴキブリに対する24時間後の平均致死率が10%と、防除効果が極めて低いことも明らかとなった。12畳相当の試験室2の比較例3の防除効果が、6畳相当の試験室1の試験例である比較例1の防除効果に比べて、大きく低下することが確認された。
また、定量噴射型エアゾールの試験検体2を噴射後30分間閉鎖する比較例4は、クロゴキブリに対する24時間後の致死率が81%と、本発明の実施例5より防除効果が低いことも明らかとなった。
【0051】
<供試虫2に対する害虫防除効果の確認試験>
・実施例6
上記実施例1の供試虫1を供試虫2に変える以外は、実施例1と同様に試験を2回実施した。
噴射24時間後に供試虫2を全て回収し、致死虫数と瀕死虫数を記録して、上記算出式により、24時間後の致死率を算出した。試験は2回行い、24時間後の致死率として、その平均値を下記表3に示す。
・実施例7
上記実施例5の供試虫1を供試虫2に変える以外は、実施例5と同様に試験を2回実施した。
噴射24時間後に供試虫2を全て回収し、致死虫数と瀕死虫数を記録して、上記算出式により、24時間後の致死率を算出した。試験は2回行い、24時間後の致死率として、その平均値を下記表3に示す。
・比較例5
上記比較例1の供試虫1を供試虫2に変える以外は、比較例1と同様に試験を2回実施した。
噴射24時間後に供試虫2を全て回収し、致死虫数と瀕死虫数を記録して、上記算出式により、24時間後の致死率を算出した。試験は2回行い、24時間後の致死率として、その平均値を下記表3に示す。
【0052】
実施例6、7、比較例5の試験条件と、24時間後の致死率を下記表3にまとめて示す。
表3中の平均粒子径(D50)は、各試験検体の噴口から50cm離れた距離における噴霧粒子の平均粒子径(D50)である。
【表3】
【0053】
表3に示すとおり、特定の蒸気圧を有する難揮散性害虫防除成分と、特定の蒸気圧を有する溶剤を組み合わせて、特定の噴霧粒子径とした定量噴射型エアゾールの試験検体1を噴射する、本発明の具体例である実施例6、7の害虫防除方法は、換気条件が4.5回/時間である6畳相当の処理空間、換気条件が4.3回/時間である12畳相当の処理空間の何れにおいても、チャバネゴキブリに対する24時間後の平均致死率が100%であり、優れたゴキブリ防除効果を発揮することが明らかとなった。
この結果からも、本発明の害虫防除方法は、処理空間に存在するチャバネゴキブリに対して優れた防除効果を発揮することが、特に、壁面とダンボールとの間や、床面とダンボール底面との空間や隙間に潜むチャバネゴキブリに対しても、優れた防除効果を発揮することが確認された。
これに対して、上記特許文献2の実施例6を模した定量噴射型エアゾールの試験検体2を、実施例6と同じ換気条件が4.5回/時間である処理空間において噴射した比較例5は、チャバネゴキブリに対する24時間後の平均致死率が43%と、防除効果が低いことも明らかとなった。
【0054】
<6畳相当の試験室1での害虫防除効果の確認試験2>
・実施例8~13、比較例6~9
上記「6畳相当の試験室1での害虫防除効果の確認試験1」における、定量噴射型エアゾールの試験検体1を、試験検体6~15に代える以外は同じ方法により、試験を実施した。
また、上記「6畳相当の試験室1での害虫防除効果の確認試験1」における、定量噴射型エアゾールの試験検体1を、試験検体12に代えて、部屋の中央から対向する壁面に向けて2回噴霧する以外は、同じ方法により試験を実施した。
さらに、上記「6畳相当の試験室1での害虫防除効果の確認試験1」における、定量噴射型エアゾールの試験検体1を、試験検体13に代えて、さらに、試験室1の入口の約150cmの高さの噴口から、試験室1中央のやや斜め上方に向けて、試験室1中に拡散するように1回噴射する以外は、同じ方法により試験を実施した。
噴射24時間後に供試虫1を全て回収し、致死虫数と瀕死虫数を記録して、上記「6畳相当の試験室1での害虫防除効果の確認試験1」と同じ算出式により、24時間後の致死率を算出した。試験は2回行い、24時間後の致死率として、その平均値を下記表4に示す。
【0055】
実施例8~13、比較例6~9の試験条件と、24時間後の致死率を下記表4にまとめて示す。
表4中の平均粒子径(D50)は、各試験検体の噴口から50cm離れた距離における噴霧粒子の平均粒子径(D50)である。
【表4】
【0056】
表4に示すとおり、換気条件が4.5回/時間である処理空間において、特定の蒸気圧を有する難揮散性害虫防除成分と、特定の蒸気圧を有する溶剤とを組み合わせて、特定の噴霧粒子径とした定量噴射型エアゾールの試験検体8~10、12、13、15を噴射する、本発明の具体例である実施例8~13の害虫防除方法は、クロゴキブリに対する24時間後の致死率が81~100%と、優れたゴキブリ防除効果を発揮することが明らかとなった。1回あたりの噴射量が3mLである本発明の具体例である定量噴射型エアゾールの試験検体8も、1回あたりの噴射量が0.2~1mLの定量噴射型エアゾールと同様に優れたゴキブリ防除効果を発揮することが確認された。
これに対して、特定の蒸気圧から外れるエタノールを溶剤とする定量噴射型エアゾールの試験検体6、特定の蒸気圧から外れるメトフルトリンを害虫防除成分とする定量噴射型エアゾールの試験検体7、特定の噴霧粒子径から外れる定量噴射型エアゾールの試験検体11、14は、クロゴキブリに対する防除効果が低いことが明らかとなった。
【0057】
<6畳相当の試験室1での害虫防除効果の確認試験3>
・実施例14、15
上記「6畳相当の試験室1での害虫防除効果の確認試験1」における換気条件4.5回/時間を、8回/時間、12回/時間に代える以外は同じ方法により、試験を実施した。
噴射24時間後に供試虫1を全て回収し、致死虫数と瀕死虫数を記録して、上記「6畳相当の試験室1での害虫防除効果の確認試験1」と同じ算出式により、24時間後の致死率を算出した。試験は2回行い、24時間後の致死率として、その平均値を実施例1のデータと共に下記表5に示す。
【0058】
実施例1、14、15の試験条件と、24時間後の致死率を下記表5にまとめて示す。
表5中の平均粒子径(D50)は、各試験検体の噴口から50cm離れた距離における噴霧粒子の平均粒子径(D50)である。
【表5】
【0059】
表5に示すとおり、換気条件が4.5回/時間、8回/時間、12回/時間である処理空間において、特定の蒸気圧を有する難揮散性害虫防除成分と、特定の蒸気圧を有する溶剤とを組み合わせて、特定の噴霧粒子径とした定量噴射型エアゾールの試験検体1を噴射する、本発明の具体例である実施例1、14、15の害虫防除方法は、クロゴキブリに対する24時間後の致死率が82~86%と、優れたゴキブリ防除効果を発揮することが明らかとなった。換気条件を8回/時間、12回/時間としても、換気条件4.5回/時間と同様に優れたゴキブリ防除効果を発揮することが確認された。
【0060】
<6畳相当の試験室1での害虫防除効果の確認試験4>
・実施例16
上記「6畳相当の試験室1での害虫防除効果の確認試験1」における供試虫1を、イエバエ(雌成虫80頭)、アミメアリ(10頭)、セアカゴケグモ(5頭)、トビズムカデ(4頭)の何れかに代えて、イエバエについては、20頭ずつを金属ケージ(25cm×25cm×高さ25cm)4つに投入し、床面及び床面から高さ150cmの位置に、金属ゲージ2つずつをそれぞれ設置して、防除効果の確認試験を1回行った。アミメアリ、セアカゴケグモ、トビズムカデについては、上記「6畳相当の試験室1での害虫防除効果の確認試験1」と概略同じようにして、それぞれの防除効果の確認試験をそれぞれ2回行った。
試験開始24時間後、イエバエ、アミメアリ、セアカゴケグモ、トビズムカデの全ての供試虫は、それぞれ全頭致死したことが確認された。すなわち、イエバエ、アミメアリ、セアカゴケグモ、トビズムカデの24時間後の致死率は、何れも100%であり、優れた防除効果を発揮することが確認された。