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▶ ヴェンタナ メディカル システムズ, インク.の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024024626
(43)【公開日】2024-02-22
(54)【発明の名称】システムレベル較正
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/64 20060101AFI20240215BHJP
   G02B 21/00 20060101ALN20240215BHJP
   G01N 33/48 20060101ALN20240215BHJP
【FI】
G01N21/64 E
G01N21/64 F
G02B21/00
G01N33/48 P
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023176792
(22)【出願日】2023-10-12
(62)【分割の表示】P 2022074031の分割
【原出願日】2018-06-26
(31)【優先権主張番号】62/525,818
(32)【優先日】2017-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】511286517
【氏名又は名称】ヴェンタナ メディカル システムズ, インク.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ガーシャ, カール エリック
(72)【発明者】
【氏名】ハーシュマン, ダスティン カール
(57)【要約】      (修正有)
【課題】試料の画像データを取得する前に、顕微鏡または撮像システムを較正するシステムおよび方法を提供する。
【解決手段】(a)繰り返し性のために撮像装置を較正するためにパワー出力較正モジュール603を実行するステップと、(b)再現性のために撮像装置を較正し、チャネルの間の検出効率の差を軽減するために画像強度較正モジュールを実行するステップと、(c)顕微鏡または撮像システムから画像データを収集するステップと、(d)任意選択で、個々の画像チャネル画像になるように収集画像データをアンミックスするためにアンミキシングモジュールを実行するステップと、(e)任意選択で、異なる造影剤の間の輝度の差について較正するために造影剤強度補正モジュールを実行するステップとを含む。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つまたは複数の染色剤で染色される生物試料を撮像する方法において、各染色剤は前記生物試料内の特定の標的を識別する、方法であって、
第1の所定のパワー値に達するように第1のチャネルについて光源の第1のパワー出力を設定すること、
カメラの第1の露出時間を調整することであって、それにより、前記第1のチャネルについて前記第1の所定のパワー値において第1の標的強度をもたらす、調整すること、
前記調整された第1の露出時間に基づいて、第1のチャネル内の前記生物試料の第1の画像を取得すること、および、
前記第1のチャネル内の前記1つまたは複数の染色剤の1つの染色剤に特異的な第1の導出画像補正係数に基づいて前記第1の取得画像内のピクセルデータを調整することを含む、方法。
【請求項2】
前記光源についての前記第1のパワー出力レベルは、前記第1のチャネルについての既存の較正データから導出される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記既存の較正データは、パワー出力対測定パワーの較正曲線である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の所定のパワー値は、特定のアッセイに特異的である、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の所定のパワー値は、全てのチャネルについて同じである、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の標的強度は、前記第1のチャネルについての較正試料の標準化標的強度の所定のパーセンテージである、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記所定のパーセンテージは、前記第1のチャネルについての前記標準化標的強度の約20%から約500%に及ぶ、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記第1のチャネルについての前記標準化標的強度は、(i)複数の画像チャネルの各画像チャネルについての前記較正標準の較正強度値を決定し、(ii)前記複数の画像チャネルの各画像チャネルについての前記較正標準の前記較正強度値を、前記正規化較正強度値の各正規化較正強度値の最大強度値に対して正規化し、(iii)前記複数の画像チャネルにわたって正規化強度の比を導出し、(iv)前記複数の画像チャネル内の最大輝度画像チャネルのために標的強度値を割り当て、(v)残りの画像チャネルについて前記標準強度値を計算することによって導出される、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記第1の導出画像補正係数は、(i)複数の染色剤について輝度値を正規化し、(ii)前記第1の染色剤についての前記正規化輝度値を整数1から減算することによって計算される、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の画像内の前記ピクセルデータは、前記第1の画像内の各ピクセル値に前記第1の画像補正係数を乗算することによって調整される、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記ピクセルデータを調整する前に、前記第1の取得画像をアンミックスすることをさらに含む、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
1つまたは複数の染色剤で染色される生物試料を撮像する方法において、各染色剤は前記生物試料内の特定のバイオマーカーを識別する、方法であって、
所定のパワー値に達するように複数の画像チャネルの各画像チャネルについて光源のパワー出力を設定することであって、前記所定のパワー値は各チャネルについて実質的に同じであり、前記パワー出力は、前記複数の画像チャネルの各画像チャネルについて独立に設定される、設定すること、
前記所定のパワー値で標的強度をもたらすためにカメラの露出時間を調整することであって、前記複数の画像チャネルの各画像チャネルの前記露出時間は、前記特定の画像チャネルについて前記標的強度をもたらすために独立に調整される、調整すること、
前記調整露出時間に基づいて、前記複数の画像チャネルの各画像チャネルにおいて前記生物試料の一連の画像を取得すること、および、
前記1つまたは複数の染色剤の各染色剤に特異的な導出画像補正係数に基づいて前記一連の取得画像の各画像内のピクセルデータを調整することを含む、方法。
【請求項13】
前記光源についての前記パワー出力レベルは、前記複数の画像チャネルの各画像チャネルについて既存の較正データから導出される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記既存の較正データは、パワー出力対測定パワーの較正曲線である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記所定のパワー値は、特定のアッセイに特異的である、請求項12から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記所定のパワー値は、前記複数の画像チャネルの各画像チャネルについて同じである、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
特定のチャネルについての標的強度は、前記チャネルについての較正試料の標準化標的強度の所定のパーセンテージである、請求項12から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記所定のパーセンテージは、前記チャネルについての前記標準化標的強度の約20%から約500%に及ぶ、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記第1のチャネルについての前記標準化標的強度は、(i)複数の画像チャネルの各画像チャネルについての前記較正標準の較正強度値を決定し、(ii)前記複数の画像チャネルの各画像チャネルについての前記較正標準の前記較正強度値を、前記正規化較正強度値の各正規化較正強度値の最大強度値に対して正規化し、(iii)前記複数の画像チャネルにわたって正規化強度の比を導出し、(iv)前記複数の画像チャネル内の最大輝度画像チャネルのために標的強度値を割り当て、(v)残りの画像チャネルについて前記標準強度値を計算することによって導出される、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記導出画像補正係数は、(i)複数の染色剤について輝度値を正規化し、(ii)各染色剤についての前記正規化輝度値を整数1から減算することによって計算される、請求項12から19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
各取得画像内の前記ピクセルデータは、各取得画像内の各ピクセル値に前記それぞれの画像補正係数を乗算することによって調整される、請求項12から20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
ピクセルデータを調整する前に、前記取得画像をアンミックスすることをさらに含む、請求項12から21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
1つまたは複数の染色剤で染色される生物試料を撮像する方法において、各染色剤は前記生物試料内の特定のバイオマーカーを選択的に染色する、方法であって、
複数の画像チャネルの各画像チャネルについてパワー値を導出することであって、各画像チャネルについての各パワー値は実質的に同じであり、前記パワー値は、前記複数の画像チャネルの各画像チャネルについての光源のパワー出力を、前記画像チャネルの各画像チャネルについてのパワー出力較正データに基づいて調整することによって導出される、導出すること、
画像強度較正データを使用して、前記複数の画像チャネルの各画像チャネルについての露出時間を、前記複数の画像チャネルの各画像チャネルにわたる画像強度が実質的に同じになるように調整すること、
前記調整露出時間に基づいて各画像チャネルにおいて前記生物試料の複数の画像を取得することであって、それにより、一連の取得チャネル画像を提供する、取得すること、
前記取得画像の各取得画像をアンミックスすることであって、それにより、一連のアンミックス画像チャネル画像を提供する、アンミックスすること、および、
前記1つまたは複数の染色剤の各染色剤に特異的な導出画像補正係数に基づいて各アンミックス画像チャネル画像内のピクセルデータを調整することを含む、方法。
【請求項24】
前記パワー出力較正データは、光源についてのパワー出力対試料平面において測定されるパワー値のルックアップ値のテーブルである、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記画像強度較正データは、(i)前記複数の画像チャネルの各チャネルについての標的強度の比、および、(ii)前記複数の画像チャネルの各チャネルについての露出時間の、撮像される最長露出時間に対する比からなる群から選択される、請求項23または24に記載の方法。
【請求項26】
前記導出画像補正係数は、(i)複数の染色剤について輝度値を正規化し、(ii)各染色剤についての前記正規化輝度値を整数1から減算することによって計算される、請求項23から25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
各アンミックスチャネル画像内の前記調整ピクセルデータに基づいて前記生物試料内の1つまたは複数の染色剤の量を定量化することをさらに含む、請求項23から26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
コンピュータ実行可能命令を記憶する非一時的コンピュータ可読媒体であって、前記コンピュータ実行可能命令は、1つまたは複数のプロセッサによって実行されると、前記1つまたは複数のプロセッサに、
各チャネルについての所定のパワー値に達するように、各チャネルについての既存のパワー出力較正データを使用して複数の画像チャネルの各画像チャネルについて光源のパワー出力を設定させ、前記所定のパワー値は各チャネルについて同じであり、前記所定のパワー値は特定のアッセイに特有であり、
複数の画像チャネルの各画像チャネルにわたる画像強度が実質的に同じになるように、既存の画像強度較正データを使用して、各チャネルについて露出時間を調整させ、
一連の取得画像チャネル画像を提供するために、前記調整露出時間に基づいて各画像チャネルにおいて生物試料の画像を取得させ、前記生物試料は1つまたは複数の染色剤で染色され、各染色剤は、前記生物試料内の特定の標的を選択的に識別し、
前記1つまたは複数の染色剤の各染色剤に特異的な導出画像補正係数に基づいてそれぞれの個々の取得画像チャネル画像内のピクセルデータを調整させる、非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項29】
前記パワー出力較正データは、試料平面において測定されるパワー値と相関するパワー出力値のテーブルである、請求項28に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項30】
前記画像強度較正データは、撮像される各チャネルについての標的強度の比である、請求項29に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項31】
撮像される各チャネルについての標的強度の前記比は、(i)複数の画像チャネルについての前記較正標準の強度値を決定し、(ii)前記複数の画像チャネルの各画像チャネルについての前記較正標準の前記強度値を、最大強度値に対して正規化し、(iii)前記一連の画像チャネルにわたって正規化強度の比を導出することによって導出される、請求項30に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項32】
前記導出画像補正係数は、(i)複数の染色剤について輝度値を正規化し、(ii)各染色剤についての前記正規化輝度値を整数1から減算することによって計算される、請求項28から31のいずれか一項に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項33】
前記プロセッサに、ピクセルデータを調整する前に、前記一連の取得チャネル画像をアンミックスさせる命令をさらに含む、、請求項28から32のいずれか一項に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項34】
前記染色剤は蛍光体である、請求項28から33のいずれか一項に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項35】
照明光源、1つまたは複数のレンズ、カメラ、制御システムまたはコンピュータの少なくとも一方、および請求項28から34のいずれか一項に記載の非一時的コンピュータ使用可能媒体を備える、撮像システム。
【請求項36】
スライド操作機構をさらに備える、請求項35に記載の撮像システム。
【請求項37】
前記スライド操作機構は、スライドを標本プレートに送出するように適合されている、請求項36に記載の撮像システム。
【請求項38】
前記スライド操作機構は、パワーメーターまたは較正試料を標本プレートに送出するように適合されている、請求項36に記載の撮像システム。
【請求項39】
コンピュータ実行可能命令を記憶する非一時的コンピュータ使用可能媒体をさらに備え、前記コンピュータ実行可能命令は、前記1つまたは複数のプロセッサによって実行されると、前記1つまたは複数のプロセッサに、新しいまたは改定されたパワー出力較正データまたは画像強度較正データを発生させる、請求項38に記載の撮像システム。
【請求項40】
撮像装置と、制御システムまたはコンピュータの少なくとも一方と、請求項28から34のいずれか一項に記載の非一時的コンピュータ使用可能媒体を備える、デジタル病理学システム。
【請求項41】
前記撮像装置はマルチスペクトル撮像装置である、請求項40に記載のデジタル病理学システム。
【請求項42】
1つまたは複数のプロセッサおよび前記1つまたは複数のプロセッサに結合されたメモリを備えるシステムであって、前記メモリは、コンピュータ実行可能命令を記憶するためのものであり、前記コンピュータ実行可能命令は、前記1つまたは複数のプロセッサに操作を実施させ、前記操作は、所定のパワー値に達するように第1のチャネルについて光源の第1のパワー出力を設定すること、カメラの第1の露出時間を調整することであって、それにより、前記第1のチャネルについて前記所定のパワー値において第1の標的強度をもたらす、調整すること、前記調整露出時間に基づいて、第1のチャネルにおいて前記生物試料の第1の画像を取得することであって、前記生物試料は1つまたは複数の染色剤によって染色され、各染色剤は、前記生物試料内の特定の標的を選択的に識別する、取得すること、および、前記第1のチャネル内の前記1つまたは複数の染色剤の1つの染色剤に特異的な第1の導出画像補正係数に基づいて前記第1の取得画像内のピクセルデータを調整することを含む、システム。
【請求項43】
前記光源についての前記第1のパワー出力レベルは、前記第1のチャネルについての既存の較正データから導出される、請求項42に記載のシステム。
【請求項44】
前記既存の較正データは、パワー出力対測定パワーの較正曲線である、請求項43に記載のシステム。
【請求項45】
前記第1の所定のパワー値は、特定のアッセイに特異的である、請求項42から44のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項46】
前記第1の所定のパワー値は、全てのチャネルについて同じである、請求項42から45に記載のシステム。
【請求項47】
前記第1の標的強度は、前記第1のチャネルについての較正試料の標準化標的強度の所定のパーセンテージである、請求項42から46のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項48】
前記所定のパーセンテージは、前記第1のチャネルについての前記標準化標的強度の約20%から約500%に及ぶ、請求項47に記載のシステム。
【請求項49】
前記第1のチャネルについての前記標準化標的強度は、(i)複数の画像チャネルの各画像チャネルについての前記較正標準の較正強度値を決定し、(ii)前記複数の画像チャネルの各画像チャネルについての前記較正標準の前記較正強度値を、前記正規化較正強度値の各正規化較正強度値の最大強度値に対して正規化し、(iii)前記複数の画像チャネルにわたって正規化強度の比を導出し、(iv)前記複数の画像チャネル内の最大輝度画像チャネルのために標的強度値を割り当て、(v)残りの画像チャネルについて前記標準強度値を計算することによって導出される、請求項48に記載のシステム。
【請求項50】
前記第1の導出画像補正係数は、(i)複数の染色剤について輝度値を正規化し、(ii)前記第1の染色剤についての前記正規化輝度値を整数1から減算することによって計算される、請求項42から49のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項51】
前記第1の画像内の前記ピクセルデータは、前記第1の画像内の各ピクセル値に前記第1の画像補正係数を乗算することによって調整される、請求項42から50のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項52】
前記ピクセルデータを調整する前に、前記第1の取得画像をアンミックスするための命令をさらに含む、請求項42から51のいずれか一項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2017年6月28日に出願された米国仮特許出願第62/525,818号の出願日の利益を主張し、その開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
蛍光は、撮像用途においてコントラスト情報を提供するために生物学的研究のツールとして使用される。蛍光信号の定量化は、細胞構造および機能を分析するための重要なツールになってきた。細胞生物学における蛍光撮像の成功の1つの理由は、蛍光タンパク質を含む標識の優れた可用性を除いて、機器の費用効果的な使用である。標準的な蛍光顕微鏡は、幾つかのフィルタセットであって、通常、エキサイター、エミッター、およびダイクロイックフィルタからなる、幾つかのフィルタセット、および、励起のためのランプを装備する。しかしながら、光源のパワー出力は経時的に変化し、標本に送出される総エネルギーは、使用される顕微鏡およびフィルタセットおよび対物レンズの光路ならびのそれらのアライメントに依存する場合がある。環境の変化、フィルタセットに対する光損傷、および光源のランタイムは、顕微鏡の透過特性の劣化をもたらし、結果に変動性を付加し、実験の比較を難しくする場合がある。
【0003】
多重化組織アッセイ(例えば、蛍光を使用するアッセイ)が益々複雑になるにつれて、変動性のソースが累積し続ける。同時に、コンピュータベーススコア付け方法は、人間ベーススコア付けと比較してより厳しいアッセイ許容範囲を必要とするが、蛍光アッセイは、照明の逸脱に特に敏感である。蛍光顕微鏡法において、例えば、信号は、撮像プロセス中に曝露される光との染色剤の相互作用から発生する。したがって、信号は、本質的に、画像が取得される方法に結び付けられる。スライド上の染色を測定するために、撮像計器類内のどんな変動およびバイアスも、撮像機器の逸脱を染色の特性と混同しないように対処されなければならない。幾つかの較正オプション、例えば、ローパスフィルタキューブを使用する較正オプションは、撮像計器システムの間でまた較正期間の間で20%より大きい変動性を可能にする。いかなる特定の理論にも束縛されるつもりはなく、この大きい変動性が、画像解析を下流で行う能力を阻害すると思われる。
【0004】
知られている方法と比較して変動性を低減する較正手順を組み込み、試料内に存在する染色剤の測定においてより大きい正確さおよび再現性を可能にする、優れたデジタル病理学的システムを出願人は開発した。全てのシステムコンポーネントからの変動性が較正において対処される点で、開示される方法が優れていることを出願人は提示する。
【0005】
さらに、本明細書で開示される較正方法が、較正中に全光路を考慮し、全てのコンポーネントが、画像取得中に構成されることになるため「所定の場所(in place)」に残ったままであることを出願人は提示する。これは、異なるシステム(例えば、計器)からの結果が再現性があり、取得データが意味があるように比較され得るように全システムが較正されることを可能すると思われる。これは、再較正の間の長い期間(例えば、ランプ使用の少なくとも約50時間)を同様に可能にし;また、本明細書で概説される手順が、較正の間にカメラカウント設定点の約+/-2.5%以内にランプ強度を維持することを可能にすると思われる。これが、ロングパスフィルタのみを使用する知られている較正手順に比べて桁違いの改善を可能にする出願人は思う。
【0006】
較正手順(および得られる較正データ)を使用するシステムが、標準化画像取得を容易にすることを出願人はさらに提示する。例えば、本明細書で開示されるシステムは、導出較正データに基づく計器初期化によってパワー出力および露出時間を自動的に設定するように較正される。これが、較正パワーを設定するとき、および、実験中に較正光レベルを使用するのを忘れるときのユーザーエラーの機会をさらに最小にすると出願人は思う。これらのまた他の利点は本明細書で述べられる。
【発明の概要】
【0007】
本開示の一態様は、1つまたは複数の染色剤を有する生物試料(例えば、組織試料)を撮像する方法であり、各染色剤は生物試料内の特定の標的を識別し、方法は、第1の所定のパワー値に達するように第1のチャネルについて光源の第1のパワー出力を設定すること;撮像センサの第1の露出時間を調整することであって、それにより、第1のチャネルについて第1の所定のパワー値において第1の標的強度をもたらす、調整すること;調整された第1の露出時間に基づいて、第1のチャネル内の生物試料の第1の画像を取得すること;および、任意選択で、第1のチャネル内の1つまたは複数の染色剤の1つの染色剤に特異的な第1の導出画像補正係数に基づいて第1の取得画像内のピクセルデータを調整することを含む。幾つかの実施形態において、方法は、各取得画像内の調整ピクセルデータに基づいて組織試料内の1つまたは複数の染色剤の量を定量化することをさらに含む。
【0008】
幾つかの実施形態において、光源についての第1のパワー出力またはパワー出力レベル(本明細書で交換可能に使用される)は、第1のチャネルについての既存の較正データ(例えば、非一時的コンピュータ可読媒体またはデータベースに記憶された較正データ)から導出される。幾つかの実施形態において、既存の較正データは、本明細書で述べる「ルックアップ(look-up)」値のテーブルである。幾つかの実施形態において、既存の較正データは、パワー出力レベルを測定パワーに相関させる較正曲線、すなわち、パワー出力対測定パワーの較正曲線である。幾つかの実施形態において、第1の所定のパワー値は、特定のアッセイに特異的である。幾つかの実施形態において、第1の所定のパワー値は、全てのチャネルについて同じである(例えば、PDL1アッセイは、撮像される全てのチャネルにわたって使用される100mWのパワー値を要求することができる)。
【0009】
幾つかの実施形態において、第1の標的強度は、第1のチャネルについての較正試料の標準化標的強度の所定のパーセンテージである。幾つかの実施形態において、所定のパーセンテージは、第1のチャネルについての標準化標的強度の約10%から約1000%に及ぶ。幾つかの実施形態において、所定のパーセンテージは、第1のチャネルについての標準化標的強度の約20%から約500%に及ぶ。幾つかの実施形態において、所定のパーセンテージは、第1のチャネルについての標準化標的強度の約50%から約250%に及ぶ。
【0010】
幾つかの実施形態において、第1のチャネルについての標準化標的強度は、(i)複数の画像チャネルの各画像チャネルについての較正標準(本明細書で、用語「較正試料(calibration sample)」と交換可能に使用される)の較正強度値を決定し、(ii)複数の画像チャネルの各画像チャネルについての較正標準の較正強度値を、正規化較正強度値の各正規化較正強度値の最大強度値に対して正規化し、(iii)複数の画像チャネルにわたって正規化強度の比を導出し、(iv)複数の画像チャネル内の最大輝度画像チャネルのために標的強度値を割り当て、(v)残りの画像チャネルについて標準強度値を計算することによって導出される。
【0011】
幾つかの実施形態において、第1の導出画像補正係数は、(i)複数の染色剤について輝度値を正規化し、(ii)第1の染色剤についての正規化輝度値を整数1から減算することによって計算される。幾つかの実施形態において、第1の画像内のピクセルデータは、第1の画像内の各ピクセル値に第1の画像補正係数を乗算することによって調整される。幾つかの実施形態において、方法は、ピクセルデータを調整する前に、第1の取得画像をアンミックスすることをさらに含む。幾つかの実施形態において、上記で識別される(または本明細書で述べる)ステップのそれぞれは、第2番目、第3番目、および第n番目のチャネルを含む、撮像されるそれぞれのさらなるチャネルについて繰り返することができる。
【0012】
本開示の別の態様において、1つまたは複数の染色剤で染色される生物試料を撮像する方法が提供され、各染色剤は生物試料内の特定のバイオマーカーを識別し、方法は、所定のパワー値に達するように複数の画像チャネルの各画像チャネルについて光源のパワー出力を設定することであって、所定のパワー値は複数の画像チャネルの各画像チャネルについて実質的に同じであり、パワー出力は、撮像される各チャネルについて独立に設定される、設定すること;所定のパワー値で標的強度をもたらすためにカメラの露出時間を調整することであって、複数の画像チャネルの各画像チャネルの露出時間は、その特定の画像チャネルについて標的強度をもたらすために独立に調整される、調整すること;調整露出時間に基づいて、複数の画像チャネルの各画像チャネルにおいて生物試料の一連の画像を取得すること;および、任意選択で、1つまたは複数の染色剤の各染色剤に特異的な導出画像補正係数に基づいて一連の取得画像の各画像内のピクセルデータを調整することを含む。幾つかの実施形態において、方法は、それぞれの取得画像内の調整ピクセルデータに基づいて組織試料内の1つまたは複数の染色剤の量を定量化することをさらに含む。幾つかの実施形態において、光源についてのパワー出力レベルは、複数の画像チャネルの各画像チャネルについて既存の較正データから導出される。幾つかの実施形態において、既存の較正データは、パワー出力対測定パワーの較正曲線である。幾つかの実施形態において、所定のパワー値は、特定のアッセイに特異的である。幾つかの実施形態において、所定のパワー値は、複数の画像チャネルの各画像チャネルについて同じである。
【0013】
幾つかの実施形態において、特定のチャネルについての標的強度は、そのチャネルについての較正試料の標準化標的強度の所定のパーセンテージである。幾つかの実施形態において、所定のパーセンテージは、そのチャネルについての標準化標的強度の約20%から約500%に及ぶ。幾つかの実施形態において、第1のチャネルについての標準化標的強度は、(i)複数の画像チャネルの各画像チャネルについての較正標準の較正強度値を決定し、(ii)複数の画像チャネルの各画像チャネルについての較正標準の較正強度値を、正規化較正強度値の各正規化較正強度値の最大強度値に対して正規化し、(iii)複数の画像チャネルにわたって正規化強度の比を導出し、(iv)複数の画像チャネル内の最大輝度画像チャネルのために標的強度値を割り当て、(v)残りの画像チャネルについて標準強度値を計算することによって導出される。
【0014】
幾つかの実施形態において、導出画像補正係数は、(i)複数の染色剤について輝度値を正規化し、(ii)各染色剤についての正規化輝度値を整数1から減算することによって計算される。幾つかの実施形態において、各取得画像内のピクセルデータは、各取得画像内の各ピクセル値にそれぞれの画像補正係数を乗算することによって調整される。幾つかの実施形態において、方法は、ピクセルデータを調整する前に、取得画像をアンミックスすることをさらに含む。
【0015】
本開示の別の態様は、1つまたは複数の染色剤で染色される生物試料を撮像する方法であり、各染色剤は生物試料内の標的を標識付けし、方法は、各チャネルについての各パワー値は実質的に同じであるように各チャネルについてのパワー出力較正データを使用して、撮像される各チャネルについて光源のパワー出力を調整するステップと;撮像される各チャネルにわたる画像強度が実質的に同じになるように画像強度較正データを使用して、各チャネルについての露出時間を調整するステップと;調整露出時間に基づいて各チャネルにおいて生物試料の複数の画像を取得するステップであって、それにより、一連の取得チャネル画像を提供する、取得するステップと;取得画像の各取得画像をアンミックスするステップであって、それにより、一連のアンミックス画像を提供する、アンミックスするステップと;1つまたは複数の染色剤の各染色剤に特異的な導出画像補正係数に基づいて各アンミックス画像内のピクセルデータを調整するステップとを含む。幾つかの実施形態において、方法は、各アンミックス画像内の調整ピクセルデータに基づいて生物試料内の1つまたは複数の染色剤の量を定量化することをさらに含む。幾つかの実施形態において、パワー出力較正データ、画像強度較正データ、および画像補正係数は、非一時的コンピュータ可読媒体に記憶される。幾つかの実施形態において、パワー出力較正データ、画像強度較正データ、および画像補正係数はリアルタイムに決定される。
【0016】
幾つかの実施形態において、パワー出力較正データは、光源についてのパワー出力対試料平面で測定されるパワー値のルックアップ値のテーブルである。幾つかの実施形態において、画像強度較正データは、(i)複数の画像チャネルの各チャネルについての標的強度の比、および、(ii)複数の画像チャネルの各チャネルについての露出時間の、撮像される最長露出時間に対する比からなる群から選択される。幾つかの実施形態において、導出画像補正係数は、(i)複数の染色剤について輝度値を正規化し、(ii)各染色剤についての正規化輝度値を整数1から減算することによって計算される。幾つかの実施形態において、方法は、ピクセルデータを調整する前に、取得画像をアンミックスすることをさらに含む。
【0017】
本開示の別の態様は、1つまたは複数の染色剤で染色される生物試料を撮像する方法であり、各染色剤は生物試料内の特定のバイオマーカーを選択的に染色し、方法は、複数の画像チャネルの各画像チャネルについてパワー値を導出することであって、各画像チャネルについての各パワー値は実質的に同じであり、パワー値は、複数の画像チャネルの各画像チャネル画像についての光源のパワー出力を、画像チャネルの各画像チャネルについてのパワー出力較正データに基づいて調整することによって導出される、導出すること;画像強度較正データを使用して、複数の画像チャネルの各画像チャネルについての露出時間を、複数の画像チャネルの各画像チャネルにわたる画像強度が実質的に同じになるように調整すること;調整露出時間に基づいて各画像チャネルにおいて生物試料の複数の画像を取得することであって、それにより、一連の取得チャネル画像を提供する、取得すること;取得画像の各取得画像をアンミックスすることであって、それにより、一連のアンミックス画像チャネル画像を提供する、アンミックスすること;および、1つまたは複数の染色剤の各染色剤に特異的な導出画像補正係数に基づいて各アンミックス画像チャネル画像内のピクセルデータを調整することを含む。
【0018】
幾つかの実施形態において、パワー出力較正データは、光源についてのパワー出力対試料平面で測定されるパワー値のルックアップ値のテーブルである。幾つかの実施形態において、画像強度較正データは、(i)複数の画像チャネルの各チャネルについての標的強度の比、および、(ii)複数の画像チャネルの各チャネルについての露出時間の、撮像される最長露出時間に対する比からなる群から選択される。幾つかの実施形態において、導出画像補正係数は、(i)複数の染色剤について輝度値を正規化し、(ii)各染色剤についての正規化輝度値を整数1から減算することによって計算される。幾つかの実施形態において、各アンミックスチャネル画像内の調整ピクセルデータに基づいて生物試料内の1つまたは複数の染色剤の量を定量化することをさらに含む。
【0019】
本開示の別の態様において、コンピュータ実行可能命令を記憶する非一時的コンピュータ可読媒体が提供され、コンピュータ実行可能命令は、1つまたは複数のプロセッサによって実行されると、1つまたは複数のプロセッサに:各チャネルについての所定のパワー値に達するように、各チャネルについての既存のパワー出力較正データを使用して複数の画像チャネルの各画像チャネルについて光源のパワー出力を設定させ、所定のパワー値は各チャネルについて同じであり、所定のパワー値は特定のアッセイに特有であり;複数の画像チャネルの各画像チャネルにわたる画像強度が実質的に同じになるように、既存の画像強度較正データを使用して、各チャネルについて露出時間を調整させ;一連の取得画像チャネル画像を提供するために、調整露出時間に基づいて各画像チャネルにおいて生物試料の画像を取得させ、生物試料は1つまたは複数の染色剤で染色され、各染色剤は、生物試料内の特定の標的を選択的に識別し;1つまたは複数の染色剤の各染色剤に特異的な導出画像補正係数に基づいてそれぞれの個々の取得画像チャネル画像内のピクセルデータを調整させる。
【0020】
幾つかの実施形態において、パワー出力較正データは、試料平面で測定されるパワー値と相関するパワー出力値のテーブルである。幾つかの実施形態において、画像強度較正データは、撮像される各チャネルについての標的強度の比である。幾つかの実施形態において、撮像される各チャネルについての標的強度の比は、(i)複数の画像チャネルについての較正標準の強度値を決定し;(ii)複数の画像チャネルの各画像チャネルについての較正標準の強度値を、最大強度値に対して正規化し;(iii)一連の画像チャネルにわたって正規化強度の比を導出することによって導出される。
【0021】
幾つかの実施形態において、導出画像補正係数は、(i)複数の染色剤について輝度値を正規化し、(ii)各染色剤についての正規化輝度値を整数1から減算することによって計算される。幾つかの実施形態において、非一時的コンピュータ使用可能媒体は、命令をさらに含み、命令は、プロセッサに、ピクセルデータを調整する前に、一連の取得チャネル画像をアンミックスさせる。幾つかの実施形態において、染色剤は蛍光体(fluorophore)である。幾つかの実施形態において、染色剤は発色団(chromophore)である。
【0022】
本開示の別の態様は、照明光源(本明細書で用語「光源(light source)」と交換可能に使用される)、1つまたは複数のレンズ、カメラ、制御システムまたは1つまたは複数のプロセッサを有するコンピュータの少なくとも一方、および上述した非一時的コンピュータ使用可能媒体を含む撮像システムである。幾つかの実施形態において、撮像システムは、スライド操作機構をさらに備える。幾つかの実施形態において、スライド操作機構は、スライドを標本平面に送出するように適合される。幾つかの実施形態において、スライド操作機構は、パワーメーターまたは較正試料の一方を標本平面に送出するように適合され、それにより、パワーメーターおよび/または較正試料は、計器を較正または再較正するために、または、記憶された較正データが正確であるまたは指定許容範囲内にあることを検証するために使用することができる。幾つかの実施形態において、撮像システムは、コンピュータ実行可能命令を記憶する非一時的コンピュータ使用可能媒体をさらに備え、コンピュータ実行可能命令は、1つまたは複数のプロセッサによって実行されると、1つまたは複数のプロセッサに、新しいまたは改定されたパワー出力較正データまたは画像強度較正データを発生させる。
【0023】
本開示の別の態様において、デジタル病理学システムが提供され、デジタル病理学システムは、(i)撮像装置、(ii)制御システムまたはコンピュータの少なくとも一方、および、(iii)上述した非一時的コンピュータ使用可能媒体を含む。幾つかの実施形態において、撮像装置はマルチスペクトル撮像装置である。
【0024】
本開示の別の態様は、1つまたは複数のプロセッサおよび1つまたは複数のプロセッサに結合されたメモリを備えるシステムであり、メモリは、コンピュータ実行可能命令を記憶するためのものであり、コンピュータ実行可能命令は、1つまたは複数のプロセッサによって実行されると、1つまたは複数のプロセッサに操作を実施させ、操作は、所定のパワー値に達するように第1のチャネルについて光源の第1のパワー出力を設定すること:カメラの第1の露出時間を調整することであって、それにより、第1のチャネルについて所定のパワー値で第1の標的強度をもたらす、調整すること;調整露出時間に基づいて、第1のチャネルにおいて生物試料の第1の画像を取得することであって、生物試料は1つまたは複数の染色剤によって染色され、各染色剤は、生物試料内の特定の標的を選択的に識別する、取得すること;および、第1のチャネル内の1つまたは複数の染色剤の1つの染色剤に特異的な第1の導出画像補正係数に基づいて第1の取得画像内のピクセルデータを調整することを含む。幾つかの実施形態において、光源についての第1のパワー出力レベルは、第1のチャネルについての既存の較正データから導出される。幾つかの実施形態において、既存の較正データは、パワー出力対測定パワーの較正曲線である。幾つかの実施形態において、第1の所定のパワー値は、特定のアッセイに特異的である。幾つかの実施形態において、第1の所定のパワー値は、全てのチャネルについて同じである。幾つかの実施形態において、第1の標的強度は、第1のチャネルについての較正試料の標準化標的強度の所定のパーセンテージである。幾つかの実施形態において、所定のパーセンテージは、第1のチャネルについての標準化標的強度の約20%から約500%に及ぶ。幾つかの実施形態において、第1のチャネルについての標準化標的強度は、(i)複数の画像チャネルの各画像チャネルについての較正標準の較正強度値を決定し;(ii)複数の画像チャネルの各画像チャネルについての較正標準の較正強度値を、正規化較正強度値の各正規化較正強度値の最大強度値に対して正規化し;(iii)複数の画像チャネルにわたって正規化強度の比を導出し;(iv)複数の画像チャネル内の最大輝度画像チャネルのために標的強度値を割り当て;(v)残りの画像チャネルについて標準強度値を計算することによって導出される。幾つかの実施形態において、第1の導出画像補正係数は、(i)複数の染色剤について輝度値を正規化し;(ii)第1の染色剤についての正規化輝度値を整数1から減算することによって計算される。幾つかの実施形態において、第1の画像内のピクセルデータは、第1の画像内の各ピクセル値に第1の画像補正係数を乗算することによって調整される。幾つかの実施形態において、システムは、ピクセルデータを調整する前に、第1の取得画像をアンミックスするための命令をさらに含む。
【0025】
本開示の特徴の全体的な理解のために、図面に対して参照が行われる。図面において、同様の参照数字は、同一の要素を識別するために全体を通して使用されている。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1A】撮像装置およびコンピュータシステムを含む代表的なデジタル病理学システムを示す図である。
図1B】撮像装置およびコンピュータシステムを含む代替のデジタル病理学システムを示す図である。
図1C】撮像装置およびコンピュータシステムを含む別の代替のデジタル病理学システムを示す図である。
図2】デジタル病理学システム内でまたはデジタル病理学ワークフロー内で利用され得る種々のモジュールを述べる図である。
図3】較正画像データを取得するときに使用され得る全体的ステップの例を述べる図である。
図4】撮像システムを較正するためのステップの実施形態の概要(overview)を提供する図である。
図5A】繰り返し性についての較正手順の一実施形態の概要を提供する図である。
図5B】繰り返し性のために撮像システムを較正するための代表的な手順を述べる図である。
図6】再現性のための代表的な較正手順の概要を提供する図である。
図7A】標準標的強度値を導出するためのステップの例を示す図である。
図7B】露出時間を計算するためのステップの例を示す図である。
図8】標準標的強度値について露出時間を決定するための代替の手順を示す図である。
図9A】画像補正係数を使用してピクセルデータを調整する全体的ステップの一実施形態を述べる図である。
図9B】画像補正係数を導出し適用するために使用され得るステップの一実施形態の概要を提供する図である。
図10】較正データを使用して画像を取得するステップの一実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
明確に反対に指示されない限り、2つ以上のステップまたは作用を含む本明細書で特許請求される任意の方法において、方法のステップまたは作用の順序が、方法のステップまたは作用が引用される順序に必ずしも限定されないことが同様に理解されるべきである。
【0028】
本明細書で使用されるように、単数用語「1つの(a)」、「1つの(an)」及び「その(the)」は、コンテキストが別段に明確に指示しない限り、複数指示物を含む。同様に、語「または(or)」は、コンテキストが別段に明確に指示しない限り、「および(and)」を含むことを意図される。用語「含む(includes)」は、「AまたはBを含む(includes A or B)」が、A、B、またはAおよびBを含む(includes A、B、or A and B)、を意味するように包含的に規定される。
【0029】
本明細書および特許請求の範囲において使用されるように、「または」は、上記で規定するように「および/または(and/or)」と同じ意味を有すると理解されるべきである。例えば、リスト内のアイテムを分離するとき、「または」または「および/または」は、包含的なものであると解釈されるべきである。すなわち、或る数のまたは或るリストの要素、また任意選択で、さらなる非掲載アイテムの少なくとも1つを含むが、2つ以上を同様に含む。「(そのうちの)の1つのみ(only one of)」または「(そのうちの)の厳密に1つ(exactly one of)」あるいは特許請求の範囲で使用されるときに「からなる(consisting of)」などの明確に反対に指示される用語だけが、或る数のまたは或るリストの要素の厳密に1つの要素の包含に言及することになる。概して、本明細書で使用される用語「または」は、「どちらか一方(either)」、「(そのうちの)1つ(one of)」、「(そのうちの)1つのみ」または「(そのうちの)厳密に1つ」などの排他性によって先行されるとき、排他的な代替物(すなわち、「一方または他方であるが両方ではない(one or the other but not both)」)を示すものとして単に解釈されるものとする。「本質的に~からなる(consisting essentially of)」は、特許請求の範囲で使用されるとき、特許法の分野で使用されるその通常の意味を有するものとする。
【0030】
用語「備えている(comprising)」、「含んでいる(including)」、「有している(having)」、および同様なものは、交換可能に使用され、同じ意味を有する。同様に、「備える(comprises)」、「含む(includes)」、「有する(has)」、および同様なものは、交換可能に使用され、同じ意味を有する。特に、用語のそれぞれは、「備えている」の一般的な米国特許法の規定に矛盾せず規定され、したがって、「少なくとも以下のもの(at least the following)」を意味するオープン用語であると解釈され、また同様に、さらなるフィーチャ、制限、態様などを排除しないと解釈される。そのため、例えば、「コンポーネントa、b、およびcを有するデバイス(a device having components a, b, and c)」は、そのデバイスが少なくともコンポーネントa、b、およびcを含むことを意味する。同様に、成句:「ステップa、b、およびcを含む方法(a method involving steps a, b, and c)」は、その方法が少なくともステップa、b、およびcを含むことを意味する。さらに、ステップおよびプロセスが本明細書で特定の順序で概説される場合があるが、ステップおよびプロセスを順序付けすることが変動する場合があることを当業者は認識するであろう。
【0031】
本明細書および特許請求の範囲で使用されるように、成句「少なくとも1つ(at least one)」は、1つまたは複数の要素のリストを参照して、要素のリスト内の要素の任意の1つまたは複数の要素から選択されるが、要素のリスト内で特に掲載される各要素または全ての要素の少なくとも1つを必ずしも含まず、また、要素のリスト内の要素の任意の組み合わせを排除しない、少なくとも1つの要素を意味すると理解されるべきである。この規定は、成句「少なくとも1つ」が参照する先の、要素のリスト内で特に識別される要素以外の要素が、特に識別される要素に関連しても、関連しなくても、任意選択で存在する場合があることを同様に可能にする。そのため、非制限的な例として、「AおよびBの少なくとも一方(at least one of A and B)」(または等価的に「AまたはBの少なくとも一方(at least one of A or B)」、または等価的に「Aおよび/またはBの少なくとも一方(at least one of A and/or B)」)は、一実施形態において、Bが存在しない状態で(また任意選択で、B以外の要素を含んで)少なくとも1つのAを、任意選択で2つ以上のAを含むことを指すことができ;別の実施形態において、Aが存在しない状態で(また任意選択で、A以外の要素を含んで)少なくとも1つのBを、任意選択で2つ以上のBを含むことを指すことができ;さらに別の実施形態において、少なくとも1つのAを、任意選択で2つ以上のAを含むことを、また、少なくとも1つのBを、任意選択で2つ以上のBを含むことを(また任意選択で、他の要素を含んで);などを指すことができる。
【0032】
本明細書で使用されるように、用語「生物試料」または「組織試料(tissue sample)」は、ウィルスを含む任意の有機体から得られる生物分子(タンパク質、ペプチド、核酸、脂質、炭水化物、またはその組み合わせなど)を含む任意の試料を指す。有機体の他の例は、ほ乳類(人間;猫、犬、馬、牛、および豚のような獣医学動物;ならびに、マウス、ラット、および霊長類のような研究所動物)、昆虫、環形動物、クモ形類動物、有袋動物、爬虫類、両生類、細菌、および菌類を含む。生物試料は、組織試料(組織切片および組織の針生検など)、細胞試料(パップスメアまたは血液スメアなどの細胞学的スメア、あるいは、マイクロダイセクションによって得られる細胞の試料など)、あるいは細胞分画、細胞片、または細胞小器官(細胞を溶解させ、遠心分離またはその他の方法によって細胞の成分を分離することによって得られるなどの)を含む。生物試料の他の例は、血液、血清、尿、精液、糞便、脳脊髄液、間質液、粘液、涙、汗、膿、生検組織(例えば、外科的生検または針生検によって得られる)、乳頭吸引液、耳垢、乳、膣液、唾液、スワブ(口腔スワブなど)、または、第1の生物試料から引き出される生物分子を含有する任意の物質を含む。或る実施形態において、本明細書で使用される用語「生物試料」は、被検者から得られる腫瘍またはその一部分から調製される試料(均質化試料または液化試料など)を指す。
【0033】
本明細書で使用されるように、用語「バイオマーカー(biomarker)」は、血液、他の体液、または組織内で見出される生物分子を指し、正常または異常プロセスあるいは状態または疾病(がんなど)の兆候である。バイオマーカーは、疾病または状態についての処置に対して身体がどれほどうまく対応するかを決定する、または、被検者が疾病または状態にかかり易いか否かを判定するために使用することができる。がんのコンテキストにおいて、バイオマーカーは、身体内のがんの存在を示す生物物質を指す。バイオマーカーは、腫瘍またはがんの存在に対する身体の特異的応答によって分泌される分子であることができる。ジェネティック、エピジェネティック、プロテオミック、グリコミック、および撮像用のバイオマーカーは、がん診断、予後、および疫学のために使用され得る。そのようなバイオマーカーは、血液または血清のような非侵襲的に収集される生物流体内で検定され得る。幾つかの遺伝子およびタンパク質ベースバイオマーカーは、患者ケアにおいて既に使用されており、それらのバイオマーカーは、AFP(肝がん)、BCR-ABL(慢性骨髄性白血病)、BRCA1/BRCA2(乳がん/卵巣がん)、BRAF V600E(悪性黒色腫/結腸直腸がん)、CA-125(卵巣がん)、CA19.9(すい臓がん)、CEA(結腸直腸がん)、EGFR(非小細胞肺がん)、HER-2(乳がん)、KIT(消化管間質腫瘍)、PSA(前立腺特異抗原)、S100(悪性黒色腫)、および多くの他のものを含むが、それに限定されない。バイオマーカーは、(早期がんを識別する)診断法および/または(がんがどれほど攻撃的あるかを予想する、および/または、被検者が特定の処置にどのように応答するかおよび/またはがんが再発する可能性がどれくらいあるかを予測する)予後法として有用である場合がある。
【0034】
本明細書で使用されるように、用語「造影剤(contrast agent)」、「標識」、または「染色剤」は、分析物に結合し、内在化されまたはその他の方法で吸収され、例えば、形状、形態、カラー、蛍光、発光、燐光、吸収、磁気特性、または放射線放射を通して検出されることが可能である試薬を意味する。
【0035】
本明細書で使用されるように、用語「画像(image)」、「画像走査(image scan)」、または「走査画像(scanned image)」は、光学センサまたはセンサアレイによってなどで生物組織試料から取得される未処理画像データ、または、事前処理画像データを包含する。特に、画像データはピクセルマトリクスを含むことができる。
【0036】
本明細書で使用されるように、用語「マルチチャネル画像(multi-chanel image)」または「多重画像(multiplex image)」は、生物組織試料から得られるデジタル画像を包含し、そのデジタル画像において、細胞核および組織構造などの異なる生物構造が、特定の蛍光染料、量子ドット、色原体(chromogen)などで同時に染色され、それらのそれぞれは、蛍光を発するまたは異なるスペクトル帯域でその他の方法で検出可能であり、したがって、マルチチャネル画像のチャネルのうちの1つのチャネルを構成する。
【0037】
本明細書で使用されるように、用語「プローブ(probe)」または「オリゴヌクレオチドプローブ(oligonucleotide probe)」は、相補的核酸標的遺伝子を検出するために使用される核酸分子または核酸アナログ分子(例えば、ペプチド核酸)を指す。
【0038】
本明細書で使用されるように、用語「スライド(slide)」は、分析のためにその上に生物標本が設置される、任意の適した寸法の任意の基材(例えば、全体的にまたは部分的に、ガラス、石英、プラスチック、シリコンなどで作られた基材)、また、より詳細には、標準的な3インチ×1インチ顕微鏡スライドまたは標準的な75mm×25mm顕微鏡スライドを指す。スライド上に設置され得る生物標本の例は、限定することなく、細胞学的スメア、薄い組織切片(生検からなど)、および、生物標本のアレイ、例えば、組織アレイ、細胞アレイ、DNAアレイ、RNAアレイ、タンパク質アレイ、またはその任意の組み合わせを含む。そのため、一実施形態において、組織切片、DNA試料、RNA試料、および/またはタンパク質は、スライド上で特定のロケーションに設置される。幾つかの実施形態において、用語、スライドは、SELD1およびMALD1チップならびにシリコンウェハを指すことができる。
【0039】
本明細書で使用されるように、用語「特異的結合実体(specific binding entity)」は、特異的結合対のメンバーを指す。特異的結合対は、分子対であり、その分子対は、他の分子に対する結合を実質的に排除して互いに結合することを特徴とする(例えば、特異的結合対は、生物試料における他の分子に関する結合対の2つのメンバーのいずれかのメンバーについての結合定数より、少なくとも、10M-1大きい、10M-1大きい、または10M-1大きい結合定数を有し得る)。特異的結合部分の特定の例は、特異的結合タンパク質(例えば、抗体、アプタマー、レクチン、ストレプトアビジンなどのアビジン、およびタンパク質A)を含む。特異的結合部分は、そのような特異的結合タンパク質によって特異的に結合される分子(またはその所定の部分)を同様に含み得る。
【0040】
本明細書で使用されるように、本明細書で使用される用語「染色剤」、「染色」、または同様なものは、生物標本内で、特定の分子(脂質、タンパク質、または核酸など)または特定の構造(正常または悪性の細胞、細胞質基質、核、ゴルジ装置、または細胞骨格)の存在、ロケーション、および/または量(濃度など)を検出および/または弁別する、生物標本の任意の処置を全体的に指す。例えば、染色は、特定の分子または特定の細胞構造と生物標本の周囲部分との間のコントラストを提供することができ、染色の強度は、標本内の特定の分子の量の尺度を提供することができる。染色は、明視野顕微鏡によってだけでなく、位相コントラスト顕微鏡、電子顕微鏡、および蛍光顕微鏡などの他の観察ツールによっても、分子、細胞構造、および有機体を観察するのを補助するために使用され得る。システムによって実施される一部の染色は、細胞の輪郭を可視化するために使用され得る。システムによって実施される他の染色は、他の細胞成分を染色することなくまたは比較的少なく染色した状態で或る細胞成分(分子または構造など)が染色されることに頼ることができる。システムによって実施される染色方法のタイプの例は、限定することなく、組織化学的方法、免疫組織化学的方法、および、核酸分子間のハイブリダイゼーション反応などの分子間の反応(非共有結合相互作用を含む)に基づく他の方法を含む。特定の染色方法は、1次染色方法(例えば、H&E染色、パップ染色など)、酵素結合免疫組織化学的方法、ならびに、蛍光インサイチューハイブリダイゼーション(FISH:fluorescence in situ hybridization)および色原性ISHなどのインサイチューRNAおよびDNAハイブリダイゼーション方法を含む。
【0041】
本明細書で使用されるように、用語「実質的に(substantially)」は、関心の特徴または特性の全体のまたはほぼ全体の範囲または程度を示す定性的状態を意味する。生物学的および化学的現象が、もしあれば、めったに、完了に至らない、および/または、完全まで進まないまたは絶対的結果を達成しないことを当業者は理解するであろう。幾つかの実施形態において、「実質的に」は約20%以内を意味する。幾つかの実施形態において、「実質的に」は約15%以内を意味する。幾つかの実施形態において、「実質的に」は約10%以内を意味する。幾つかの実施形態において、「実質的に」は約5%以内を意味する。
【0042】
本明細書で使用されるように、用語「標的(target)」は、それについての、存在、ロケーション、および/または濃度が、存在するまたは決定され得る、任意の分子を意味する。標的の例は、本明細書で開示されるような、核酸配列およびタンパク質を含む。
【0043】
デジタル病理学システム
【0044】
本開示は、顕微鏡または撮像システムからの定性的および/または定量的結果の変動性を低減するためのシステムおよび方法に関係し、顕微鏡または撮像システムは、試料(例えば、生物試料)の画像を得るために協働的に配置された、照明光源、光学部品部分(例えば、1つまたは複数の対物レンズ)、および検出部分(例えば、カメラ)を有する。本明細書でさらに述べるように、出願人は、少なくとも2つの較正ステップを含むシステムレベル較正手順を開発した。システムレベル較正手順は、デジタル病理学システム内に一体化されると、標準化された定量的分析結果の収集を可能にする。
【0045】
標本を分析するためのコンピュータベース標本分析器10が図1Aに示される。コンピュータベース標本分析器10は、撮像装置12(例えば、標本担持顕微鏡スライドを走査するための手段を有する装置)およびコンピュータ14を備えることができ、それにより、撮像装置12およびコンピュータは、共に(例えば、直接的に、または、間接的にネットワーク20を通じて)通信可能に結合することができる。他のコンピュータデバイスまたはシステムを利用することができること、および、本明細書で述べるコンピュータシステムが、さらなるコンポーネント、例えば、標本分析器、顕微鏡、または撮像システム、自動化スライド調製機器などに通信可能に結合することができることを当業者は理解するであろう。利用することができるこれらのさらなるコンポーネントおよび種々のコンピュータの幾つかは本明細書でさらに述べられる。
【0046】
概して、撮像装置12(またはメモリ内に記憶された事前走査画像を含む他の画像源)は、限定することなく、1つまたは複数の画像キャプチャデバイスを含み得る。画像キャプチャデバイスは、限定することなく、カメラ(例えば、アナログカメラ、デジタルカメラなど)、光学部品(例えば、1つまたは複数のレンズ、センサフォーカスレンズ群、顕微鏡対物レンズなど)、撮像センサ(例えば、電荷結合素子(CCD)、相補的金属酸化物半導体(CMOS)画像センサ、または同様なもの)、写真フィルム、または同様なものを含み得る。デジタルの実施形態において、画像キャプチャデバイスは、オンザフライ焦点合わせを立証するために協働する複数のレンズを含み得る。画像センサ、例えば、CCDセンサは、標本のデジタル画像を捕捉し得る。幾つかの実施形態において、撮像装置12は、明視野撮像システム、マルチスペクトル撮像(MSI:multispectral imaging)システム、または、蛍光顕微鏡法システムである。
【0047】
画像または画像データ(本明細書で交換可能に使用される)は、リアルタイムになどで、走査デバイス12を使用して取得することができる。幾つかの実施形態において、画像は、本明細書で述べるように、標本担持顕微鏡スライドの画像データを捕捉することが可能な顕微鏡または他の計器から取得される。幾つかの実施形態において、画像は、画像タイルを走査することが可能なスキャナなどの2Dスキャナ、あるいは、VENTANAiScanHTスキャナまたはVENTANA DP 200スキャナ(Ventana Medical Systems(アリゾナ州ツーソン(Tucson,AZ)所在)などのラインごとの方式で画像を走査することが可能なラインスキャナを使用して取得される。代替的に、画像は、前もって取得され(例えば、走査され)、メモリ602に記憶された(または、そのことについては、ネットワークを介してサーバーから取り出された)画像であることができる。
【0048】
撮像装置12によって取得されるデジタルカラー画像が、慣例的に基本カラーピクセルから構成され得ることを当業者は理解するであろう。各カラーピクセルは、3つのデジタル成分にわたってコード化されることができ、それぞれが同じビット数を含み、それぞれの成分が、原色に、用語「RGB」成分によっても示される、一般に、赤、緑、および青に対応する。
【0049】
幾つかの実施形態において、入力として受信される画像は全体のスライド画像である。他の実施形態において、入力として受信される画像は全体のスライド画像の所定の部分である。幾つかの実施形態において、全体のスライド画像は、幾つかの部分、例えば、タイルに分割され、各部分またはタイルは、独立に分析することができる。
【0050】
図1Bは、一実施形態による、標本担持顕微鏡スライド134上に位置する標本を撮像するための撮像システム100を提供する。撮像システム100は、顕微鏡110、コンピュータ14、および画像キャプチャデバイス120(例えば、カメラまたは撮像センサ)を含む。画像キャプチャデバイス120は、顕微鏡110上に搭載され、コンピュータ14と通信状態にある。接眼レンズ128、130は、生物標本を直接観察するために使用され得る、または、標本は、コンピュータ14上で観察することができる。本明細書で述べるように、生物標本は、標的(例えば、核酸、抗原など)、標識(例えば、色原性標識、蛍光標識、発光標識、放射測定標識など)、あるいは細胞成分(例えば、細胞核)または構造を含む1つまたは複数の関心のフィーチャを含むことができる。
【0051】
図1Cは、マルチスペクトル撮像装置151およびクライアントコンピュータシステム162を含むさらに別の代替の撮像システム150を提供する。標本担持顕微鏡スライドは、撮像装置152内にロードされることができ、撮像装置152は、標本担持顕微鏡スライドの狭い波帯または波長の撮像、明視野撮像、および/または蛍光撮像を提供し得る。撮像装置151は、さらにホールスライドスキャナ(whole-slide scanner)であることができる。例えば、ホールスライドスキャナは、VENTANAiScanHTスキャナまたはVENTANA DP 200スキャナであり、共に、Ventana Medical Systems,,Inc.(アリゾナ州ツーソン所在)から入手可能である。撮像システム150は、スライドハンドラー機構157を含むことができ、スライドハンドラー機構157は、1つまたは複数の顕微鏡スライドをマルチスペクトル撮像装置に送出するために可動であり、また、1つまたは複数の顕微鏡スライドをマルチスペクトル撮像装置151から取り除くために可動である。スライドハンドラー機構157は、同様に、較正試料および/またはパワーセンサを設置してまたは取り除いて、(ランプ使用の所定の期間、例えば、50時間、100時間などの後になどで)自動化較正および/または再較正を可能にするために使用することができる。スライドハンドラー機構157は、種々のロケーションの間で顕微鏡スライド、較正試料、および/またはパワーメーターを輸送することが可能な、1つまたは複数のロボットアーム、x、y、z座標軸で動作するスライドハンドラー、把持機構、輸送デバイス、または同様なものを含み得る。画像は、直接接続(図示せず)を通してまたはネットワーク161を介してクライアントコンピュータシステム162に送信され得る。クライアントコンピュータシステム162はディスプレイ163上に画像を表示するように構成することができる。
【0052】
撮像装置151は、限定することなく、1つまたは複数の画像キャプチャデバイス153および1つまたは複数のレンズ154を含み得る。画像キャプチャデバイス153は、限定することなく、光学システム撮像センサ(例えば、電荷結合素子(CCD)、相補的金属酸化物半導体(CMOS)画像センサ、または同様なもの)または同様なものを有するデジタルイメージャ(例えば、デジタルカメラ)を含み得る。レンズ154は、焦点合わせ(例えば、自動焦点合わせ)を提供するために協働し得る。幾つかの実施形態において、画像キャプチャデバイス153は、マルチスペクトルカラー画像を生成するために赤、緑、および青カラーチャネルを有する。光学システム154は、複数のおよび/または調節可能なフィルタを含むことができ、マルチスペクトルまたはカラー画像チャネルは、異なるフィルタおよび/またはフィルタ設定を使用して複数画像を取得することによって作成される。撮像装置151は、同様にアクセスドア158を含み得る。撮像装置は、同様にコントローラを含み得る。スライドは、アクセスドア158を介して撮像システム151内にロードされることができ、コントローラは、撮像装置152の動作を制御するために使用されることができる。コントローラは、本明細書で述べるような、1つまたは複数プログラマブルプロセッサ、記憶デバイス、または同様なものを含み得る。
【0053】
図1Aおよび図2を参照すると、コンピュータシステム14(または609)は、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、タブレット、または同様なもの、デジタル電子回路要素(circuitry)、ファームウェア、ハードウェア、メモリ602、コンピュータ記憶媒体602、コンピュータプログラム(例えば、プログラムはメモリまたは記憶媒体内に記憶される)、プロセッサ608(プログラム式プロセッサを含む)、および/または同様なものを含み得る。図1に示すコンピューティングシステム14は、ディスプレイデバイス16およびエンクロージャ18を有するコンピュータを備えることができる。コンピュータシステムは、デジタル画像を2値形式で(ローカルに、サーバーまたは別のネットワーク接続式デバイス上に)記憶し得る。デジタル画像は、同様にピクセルのマトリクスに分割され得る。ピクセルは、ビット深度で規定される1つまたは複数のビットのデジタル値を含み得る。
【0054】
やはり図1Aを参照すると、ネットワーク20は、幾つかの実施形態において、撮像装置12およびコンピュータシステム14を相互接続する。ネットワーク20は、限定はしないが、1つまたは複数のゲートウェイ、ルータ、ブリッジ、その組み合わせ、または同様なものを含むことができる。ネットワーク20は、ユーザーにとってアクセス可能であり、コンピュータシステム14が利用できる情報を送信し受信するために使用され得る、1つまたは複数のサーバーおよび1つまたは複数のウェブサイトを含むことができる。サーバーは、限定はしないが、情報(例えば、デジタル画像、アルゴリズム、染色プロトコル、比較評価のためのカットオフ値、または同様なもの)を記憶するための1つまたは複数の関連するデータベースを含むことができる。ネットワーク20は、伝送制御プロトコル(TCP)、ユーザーデータグラムプロトコル(UDP)、インターネットプロトコル(IP)、および他のデータプロトコルを使用するデータネットワークを含むことができるが、それに限定されない。幾つかの実施形態において、コンピュータデバイスまたはシステムは、ディスプレイ出力、または、データ/出力を、ユーザー、オペレータ、あるいは下流の計器またはプロセスに提供する他の手段をさらに備える。
【0055】
図2は、現在開示しているデジタル病理学システム内で利用される種々のモジュールの概要を提供する。幾つかの実施形態において、デジタル病理学システムは、1つまたは複数のプロセッサ608および少なくとも1つのメモリ602を有するコンピュータデバイスまたはコンピュータ実装式方法を使用し、少なくとも1つのメモリ602は、1つまたは複数のプロセッサに1つまたは複数のモジュール(例えば、モジュール603から607)内の命令を実行させるための、1つまたは複数のプロセッサが実行するための非一時的コンピュータ可読命令を記憶する。代替的に、命令は、非一時的コンピュータ可読媒体602またはコンピュータ使用可能媒体内に記憶することができる。
【0056】
図2および図3を参照すると、本開示は、1つまたは複数の染色剤で染色される生物試料を撮像するためのシステムおよび方法を提供し、各染色剤は生物試料内の特定の標的を識別する。幾つかの実施形態において、方法は、(a)繰り返し性のために撮像装置を較正する(ステップ30)ためにパワー出力較正モジュール603を実行するステップと、(b)再現性のために撮像装置を較正し、チャネル間の検出効率の差を軽減する(ステップ31)ために画像強度較正モジュール604を実行するステップと、(c)顕微鏡または撮像システム601から画像データを収集し(ステップ32)、画像データを処理するために画像処理モジュール606を実行するステップと、(d)任意選択で、個々の画像チャネル画像になるように収集画像データをアンミックスする(ステップ33)ためにアンミキシングモジュール607を実行するステップと、(e)任意選択で、異なる造影剤間の輝度の差について較正するために造影剤強度補正モジュール605を実行するステップとを含む。幾つかの実施形態において、種々のモジュールは、既存の較正データを使用して撮像システムコンポーネント(例えば、光源またはカメラ)を設定または調整するように働くことができる。他の実施形態において、種々のモジュールは、リアルタイムに収集される較正データに基づいて撮像システムコンポーネント(例えば、光源またはカメラ)を設定または調整するように働くことができる。もちろん、各モジュール内で使用するために述べる命令、アルゴリズム、およびフィルタのいずれもが、取得される画像のタイプおよび/または調査される標本のタイプに基づいて適合するまたは変更することができることを当業者は認識するであろう。さらなるモジュールをワークフローに組み込むことができることを当業者は、同様に理解するであろう。例えば、画像処理モジュール606は、或るフィルタを取得画像に適用するために、または、組織試料内の或る組織学的および/または形態学的構造を識別するために実行することができる。
【0057】
較正概要
【0058】
本開示の一態様は、試料の画像データを取得する前に、顕微鏡または撮像システム601を較正するシステムおよび方法である。幾つかの実施形態において、試料は、試料内の1つまたは複数の標的(例えば、タンパク質、核酸など)を識別するためにアッセイにおいて染色される生物試料である。
【0059】
例えば、生物試料は、1つまたは複数の染色剤の適用を通して染色することができ、結果として得られる画像または画像データは、1つまたは複数の染色剤のそれぞれに対応する信号を含む。幾つかの実施形態において、生物試料は、2つまたはそれより多くの染色剤について多重アッセイにおいて染色することができる(したがって、多重画像を提供する)。幾つかの実施形態において、生物試料は、少なくとも2つのバイオマーカーについて染色される。他の実施形態において、生物試料は、少なくとも2つのバイオマーカーの存在について染色され、また同様に、1次染色剤(例えば、ヘマトキシリン)で染色される。幾つかの実施形態において、バイオマーカーは、タンパク質バイオマーカーおよび/または核酸バイオマーカー(例えば、DNA、RNA、マイクロRNAなど)である。
【0060】
幾つかの実施形態において、生物試料または組織試料は、染色剤を試料に適用する自動化染色/アッセイプラットフォームにおいて処理される。染色/アッセイプラットフォームとして使用するのに適する種々の商用製品が市場に存在し、一例は、Ventana Medical Systems,,Inc.(アリゾナ州ツーソン所在)のDiscovery(商標)製品である。本明細書で述べるように、カメラプラットフォームは、同様に、Ventana Medical Systems,,Inc.のVENTANAiScanHTスキャナまたはVENTANA DP 200スキャナなどの明視野顕微鏡、または、1つまたは複数の対物レンズおよびデジタルイメージャを有する任意の顕微鏡を含むことができる。異なる波長で画像を捕捉するための他の技法を使用することができる。染色生物標本を撮像するのに適するさらなるカメラプラットフォームは、当技術分野で知られており、Zeiss、Canon、Applied Spectral Imaging、および他の会社などの会社から商業的に入手可能であり、そのようなプラットフォームは、この主題の開示のシステム、方法、および装置において使用するために容易に適応可能である。
【0061】
幾つかの実施形態において、本開示は、少なくとも2つの較正ステップを含むシステムレベル較正手順を提供する。図4を参照すると、幾つかの実施形態において、第1の較正ステップは、繰り返し性のために較正し(ステップ21)、チャネル間の照明パワーの差を軽減するために使用される。このステップは、所与の計器上で繰り返され得るまたは他の計器上で再生され得るように、試料照明が或る測定単位に標準化されることを可能にする。第2の較正ステップは、再現性について較正し、チャネル間の検出効率の差を軽減する(ステップ22)ために使用され得る。オプションの第3の較正ステップは、異なる造影剤間の輝度の差について較正する(ステップ23)。これらの較正ステップのそれぞれ、および、撮像システムにおいてこれらの較正ステップをどのように実装することができるかが本明細書で述べられる。
【0062】
本明細書で述べる較正手順によって対処されるマルチスペクトル計器に関連する4つの懸念が存在する。第1は、繰り返し性、または、較正標準からデータを繰り返し可能に捕捉し、結果が同一であるようにさせる能力の問題である。いかなる特定の理論にも束縛されるつもりはなく、試料平面において厳密な値を再生できるように照明が較正されなければ、データは繰り返し性がないことになると思われる。例えば、照明光源からのX%パワー出力は、或る日に約50mWのパワー、そして、1週間後に約48mWパワーを提供することができる。測定単位(ミリワット)に対して較正することによって、計器は、較正データを使用して光源のパーセントパワー出力を「ダイヤルインする(dialing-in)」ことで、同じ照明パワー(例えば、特定のアッセイ内で要求されるパワーレベルに基づく所定の光源パワー出力)に設定され得る。
【0063】
第2は、再現性、または、異なる(同一に構成された)計器上で標準からデータを再生し、結果が、再現性があるようにさせる能力の問題である。いかなる特定の理論にも束縛されるつもりはなく、システム全体を通して光学要素の小さい許容範囲差についての補正係数が存在しなければ、結果が、計器ごとに測定可能な程度に異なることになると思われる。例えば、計器A上のX%出力は、計器B上のX%出力と異なる場合がある。しかし、絶対単位、例えば、ミリワットを使用することによって、オペレータは、計器A上と計器B上の両方で約50mWを「ダイヤルインする」ことができる。
【0064】
較正によって対処される第3の問題は、チャネルごとの検出効率の差である。この第3の問題は、検出経路の代わりに照明経路についてではあるが、「再現性(reproducibility)」に関して概説した状況と多少類似する。この第3の問題は、(i)異なる波長におけるカメラチップの効率の差、(ii)各チャネルの帯域幅の差、および/または、(iii)異なる波長における光学部品の透過の差から生じる。本明細書で述べる較正手順が、各チャネルについて異なる較正露出時間を使用して差を補正することによってこれらの差を補償すると思われる。チャネル間の照明の送出の差が存在することになり、各チャネルについてパーセント出力対パワーの「ルックアップテーブル(lookup table)」を作成することが、チャネルごとに同じ照明を生成できることに役立つとさらに思われる。
【0065】
解決される第4の問題は、存在する造影剤(または染料)の相対量を反映するために計器オペレータが相対強度を不正確に解釈する傾向である。染色剤または造影剤の特性の知識を使用することによって、データが補正されて、試料内に存在する染色剤または造影剤の相対量を示すと直接解釈され得る画像を生成することができ、そのことは、新しい酵素を特徴付けるための早期研究プロセスおよび染色技術において特に有用であり得る。
【0066】
繰り返し性についての較正/パワー出力較正モジュール
【0067】
本開示のシステムレベル較正は、繰り返し性についての第1の較正を使用する、すなわち、光源または照明光源出力は、調整範囲にわたってまた各チャネルについてパワーの各増分について試料平面で測定される既知のパワーに対して較正される(ステップ21および30)。より具体的には、ステップ21および30で実施される較正は、(a)計器内の繰り返し性を保証し、(b)計器間の照明の再現性を保証し(測定単位は、オペレータまたは計器が、第1と第2の両方の計器上で「X」ミリワットを再生することを可能にする)、(c)チャネルごとに同じ照明を保証する。
【0068】
幾つかの実施形態において、パワー出力較正モジュール603によって計算されるパワー出力較正データは、顕微鏡または撮像システム601の調整が、全ての撮像チャネルについて試料平面において既知のパワーの同じ量を提供することを可能にするために使用される。幾つかの実施形態において、パワー出力較正データはパワー出力レベルのテーブルを含み、なぜならば、パワー出力レベルが、試料平面で測定される(または補間される)パワー値に対応するからである。他の実施形態において、パワー出力較正データは、パワー出力レベルを測定パワー値に相関させる較正曲線である。幾つかの実施形態において、パワー出力較正データは、非一時的コンピュータ使用可能媒体602に記憶され、画像データを取得する前に、光源の照明出力を設定または調整するために使用することができる。
【0069】
2つの同一の撮像システム間の光送出の効率の差および/または単一システムに関するこの効率の経時的な変化を補償するために、撮像システムの試料平面における照明出力の較正は、光送出経路内の全ての光学要素が対処されるように実施される。試料照明出力が、パーセント出力ではなく測定単位(例えば、ミリワット)に対して標準化されることを、この較正手順が可能にすると思われる。こうして、照明出力は、所与の計器上で繰り返され得る、および/または、他の計器上で再生され得る。やはり、試料平面における照明レベルを標準化測定単位でレポートする能力が、微弱な画像の根本原因解析を実施することができるために、および/または、照明送出サブシステムの潜在的な欠陥を分離することができるために重要であると思われる。
【0070】
幾つかの実施形態において、繰り返し性についての較正は、試料平面に関して光パワーの絶対単位に対して光源を較正することを含む。これは、光源のパーセントパワー出力対実際の記録パワー値について較正データ(例えば、記録値のテーブル(「ルックアップ」テーブル)または較正曲線)を導出することによって達成される。図5Aを参照すると、光源は、或る範囲の出力にわたって調整され(ステップ210)、実際のパワー値(例えば、ミリワット単位)は、試料平面においてパワーメーターまたは他のセンサを使用して測定される(ステップ220)。値またはパーセントパワー出力対実際の測定パワーが記録される。幾つかの実施形態において、抜けている値が補間されて(ステップ230)、パワー出力較正データ(例えば、ルックアップ値のテーブル)を提供する。
【0071】
より具体的には、また、図5Bを参照すると、顕微鏡および光源は、最初に、第1のチャネルを照明するように構成される(ステップ240)。これは、例えば、光源に関して特定の波長帯域を選択することによって、または、顕微鏡(またはカメラ)上のフィルタを変更することによって達成することができる。幾つかの実施形態において、光源は、ゼロ出力から100パーセント出力の範囲をカバーする離散的出力レベルを可能にするために調整可能である光源である。
【0072】
幾つかの実施形態において、照明サブシステムを検出サブシステムから分離するために、小さいセンサ(例えば、パワーメーターまたは照度計)が試料平面に設置される(ステップ241)。幾つかの実施形態において、パワーメーターは、試料平面において、すなわち、光学部品(例えば、対物レンズおよび/またはチューブレンズ)および較正試料を通して光源のパワー出力を測定するために使用される。幾つかの実施形態において、パワーメーターは、標本レベルにおいて光パワー出力をワット単位で測定するために使用される。1つの適したパワーメーターは、Excelitas Technologies Corpから入手可能なX-Cite(登録商標)光パワー測定システムである。
【0073】
次に、パワーメーターは、第1のチャネルの中心波長の読み出しを補正するために調整される(ステップ242)。幾つかの実施形態において、これは、中心波長情報を、商業的に較正されたパワーメーターのインタフェース内に入力することによって達成される。他の実施形態において、特に、現代のパワーメーターが利用される場合、測定される波長は、単に、「ダイヤルインされる」または「選択される(selected)」。
【0074】
その後、光源は、ゼロから約100%出力の出力の範囲にわたって調整され、オブジェクト平面におけるパワー値が、追跡可能単位(例えば、ミリワット)によって所定の増分で記録される(ステップ243)。幾つかの実施形態において、試料平面における光出力は、所定の一定増分(例えば、5%、10%、15%増分など)で測定される。各出力レベルにおいて決定されるパワー値は、その後、パワー出力較正データ、例えば、光源の出力レベルの関数としての試料平面における記録測定値のテーブルとして使用される。値のこのテーブルは、適切な出力レベルを「ルックアップ」して、特定の撮像チャネルについて試料平面において適切なパワー値を生成するために(または、それに達するために)(自動化撮像システムにおいてなどで)使用され得る。幾つかの実施形態において、適切なパワー値は、特定のアッセイまたはプロトコルによって要求されるパワー値であることができる。測定値の間の値が、例えば、線形補間、または、パーセント出力とパワーとの間の関係が線形でない場合、3次スプライン補間を使用して、補間され得る(ステップ244)ことを当業者は理解するであろう。線形補間は、既知のデータポイントの離散セットの範囲内で新しいデータポイントを構築するために線形多項式を使用する曲線当てはめ法である。スプライン補間は、小さい部分間隔に分割される補間間隔に基づく。これらの部分間隔のそれぞれは、3次多項式を使用して補間される。多項式係数は、或る条件を満たすように選択される(これらの条件は補間方法に依存する)。一般的要件は、全ての所与のポイントを通しての関数連続性である。さらなる要件;ノード間の関数線形性、高次導関数の連続性などが同様に存在する可能性がある。スプラインを構築するために解かれる線形方程式のセットは、通常、非常に良い条件であり、したがって、多項式係数は、精密に計算される。
【0075】
図5Bに示すように、ステップ240から244は、各チャネルについて、例えば、第2番目、第3番目、第4番目など、第n番目チャネルまで繰り返すことができる(ステップ247において破線で示す)。ルックアップ値の適切なテーブルは、チャネルのそれぞれについて生成することができる、すなわち、測定パワーおよび出力設定についてのテーブル値は、各照明波長チャネルについて決定されるべきである。この情報によって、全てのチャネルは、試料を同じパワー(アッセイまたはプロトコルによって確立される所定のパワー値など)で照明するように構成され得る、すなわち、光源のパワー出力は、各チャネルが、その画像チャネルについての存在する較正データに基づいて撮像されるために調整することができる。これが、よりよいチャネル分離およびよりよい定量化を促進するのに役立つことができると思われる。
【0076】
パワー出力較正データが生成されると、パワー出力較正データが使用されて、撮像システムの光源の照明レベルを、特定のアッセイまたはプロトコルによって要求される所定のパワー値に照明レベルが一致するように、自動的に設定することができる。例えば、操作手順は、全てのチャネルにわたって撮像が使用されるための特定の所定のパワー値(例えば、100mW)を必要とすることができ、そのような所定のパワー値は、パワー出力較正モジュール603によって導出され、メモリ602に記憶されたパワー出力較正データを使用して達することができる。例えば、特定のアッセイは、全てのチャネルにわたって使用される特定のパワー値を要求することができる。パワー対パーセント出力の記憶値を参照し、パーセント出力を適切な値に調整することによって、特定のチャネルについての標的パワーに達することができる(ステップ245)。幾つかの実施形態において、較正データは、非一時的コンピュータメモリ602に記憶され、撮像計器が使用されるたびに、各撮像チャネルについて試料平面において標準化パワーを生成するようにコンピュータ制御式照明光源を自動的に調整するために使用され得る。
【0077】
較正データ(すなわち、較正曲線又は値のテーブル)が、経時的に変化するにつれて、照明光源の特徴を確認また再ポピュレートする(ステップ246)ために定期的に更新される必要がある場合があることを当業者は同様に理解するであろう。したがって、図5Bのステップは、照明光源または他の顕微鏡コンポーネントの動作時間に基づいて、設定時間間隔または設定間隔で繰り返すことができる。ルックアップテーブルの再確立する定期性が光源技術および所望の精度に依存することを当業者は理解するであろう(例えば、アークランプは、LED光源に比べて、ずっと頻繁な再較正を必要とする場合がある)。
【0078】
再現性を向上させ、チャネル間の検出効率の差を軽減するための較正/画像強度較正モジュール
【0079】
チャネル間およびシステム間の撮像性能を標準化するために、撮像システムの検出経路の差を分離および/または補償する第2のレベルの較正を使用することができる(ステップ22および31)。より具体的には、ステップ22および31で実施される第2の較正は、計器間(例えば、第1の計器と第2の計器との間)の繰り返し性を保証するのに役立ち、また、チャネルごとの検出効率の差を補償するのに役立つ。
【0080】
この第2のレベルの較正が、(i)計器間の光学要素の小さい差が較正されること、および、(ii)既知の発光の標準が、チャネルにわたって収集されるデータにおいて正確に示されるように、チャネル間の波長チャネル検出効率間の差が較正されることを保証すると思われる。したがって、較正(ステップ22または31)に続いて取得されるデータが、各撮像チャネルについて試料から来る実際の信号を示すと思われる。いかなる特定の理論にも束縛されるつもりはなく、光送出を試料平面における標準化レベルに対して較正する(ステップ22または31)ためのシステムおよび手順が重要であるが、それが、カメラにつながる光列を形成する画像を考慮しないと思われる。そのため、標準化された量の光が試料に送出されることを単に保証することは、取得される画像が、2つ(またはそれより多くの)同様の顕微鏡法システムの間で、または、同じシステム上の2つまたはそれより多くのチャネルの間で同等であることになることを保証しない場合がある。
【0081】
幾つかの実施形態において、このステップからの画像強度較正データ(すなわち、較正露出時間およびチャネル間の比)は、非一時的コンピュータ可読メモリ602に記憶することができ、ランタイムにおいて、画像強度較正データは、本明細書で述べるように、較正試料の標準標的強度値に基づいて、設定比を維持するためにチャネル露出時間を自動的に調整するために使用することができる。幾つかの実施形態において、画像強度較正データは、(i)標的強度の比、(ii)カメラ/センサにおける標的強度値、および/または、(iii)露出時間の比を含む。
【0082】
図6を参照すると、再現性のための較正は2つのステップを含む。第1に、標準化標的強度(STI:standardized target intensity)が各チャネルについて導出される(ステップ300)。撮像システム内の異なる撮像チャネルが、異なる(i)フィルタ帯域幅、(ii)レンズの透過における波長依存性、および/または、(iii)カメラ検出器の波長依存性を有するために、蛍光体または色原体からの信号を検出するための異なる効率を有することになると思われる。これを補償するために、各照明波長における較正試料の既知の相対輝度が、各チャネルについてSTIを決定するために使用される。その後、露出時間は、導出STI値に基づいて決定される(ステップ310)。
【0083】
較正試料(例えば、光漂白しない標準化光発光試料)が、この第2の較正手順で利用され得る。概して、このタイプの較正試料は、各チャネルにおける撮像のために使用される実際のフィルタおよびミラーの使用を可能にする。幾つかの実施形態において、較正試料は、撮像する大きい均質エリアを有し、それにより、多くのピクセルにわたる均質フィーチャの平均強度が平均化され得る。幾つかの実施形態において、較正試料は、安定した蛍光標準試料および/または撮像フィルタキューブである。幾つかの実施形態において、安定した蛍光標準は、Argolight(フランス、ペサック(Pessac,France)所在)から入手可能なArgo-Mスライドである。他の例は、注意深く制御された濃度の蛍光染料の新しく調製した標準溶液、トリチウムベース発光標準などの放射性試料、蛍光燐光スライド、量子ドット調製、および/または、可視スペクトルにわたって既知の反射率を有するミラーまたは部分ミラーを含む。
【0084】
幾つかの実施形態において、較正試料は、顕微鏡ステージ上に設置される。幾つかの実施形態において、顕微鏡カメラのビニングおよび露出時間は、較正試料が、リアルタイムに、例えば、「ライブビュー(live view)」モードで観察されることができるように設定される。幾つかの実施形態において、対物レンズは、較正標準内のフィーチャ(例えば、蛍光フィーチャ)が、全カメラ視野を満たすように選択される(例えば、20×対物レンズ、1.6×チューブレンズ)。選択されるフィーチャは、その後、視野内に焦点合わせされる。焦点合わせに続いて、試料は、標準化パワーで照明され、露出は、所定の画像強度を生成するように調整される。
【0085】
図7Aを参照すると、中心照明波長は、第1の波長チャネル帯域について決定される(ステップ320)。較正標準の輝度は、その後、所与の波長における吸収係数に、同じ所与の波長における標準の量子収量を乗算した値から計算され(ステップ321)、この値が記録される(ステップ322)。輝度についての値は、撮像される各画像チャネルについて計算される(ステップ323)、すなわち、ステップ320、321、および322は、撮像される各画像チャネルについて繰り返すことができる。
【0086】
その後、こうして決定された輝度値は、最大輝度値で除算することによって最大輝度値に対して正規化される(ステップ324)。結果として、最大輝度値を生成しない波長における輝度値は、輝度値の或る十進少数であることになる。正規化に続いて、全てのチャネルにわたる輝度値の比が記録される(ステップ325)。最後に、撮像システムについての利用可能なダイナミックレンジの所定のパーセンテージを満たすSTI値が、最大輝度値を有するチャネルについて選択される(ステップ326)。幾つかの実施形態において、利用可能なダイナミックレンジの所定のパーセンテージは約50%である。幾つかの実施形態において、利用可能なダイナミックレンジの所定のパーセンテージは約60%である。幾つかの実施形態において、利用可能なダイナミックレンジの所定のパーセンテージは約70%である。幾つかの実施形態において、利用可能なダイナミックレンジの所定のパーセンテージは約80%である。幾つかの実施形態において、利用可能なダイナミックレンジの所定のパーセンテージは約85%である。幾つかの実施形態において、利用可能なダイナミックレンジの所定のパーセンテージは約90%である。幾つかの実施形態において、利用可能なダイナミックレンジの所定のパーセンテージは約95%である。
【0087】
全ての画像チャネルについてSTI値を導出する(ステップ327)ことは、最大輝度値がそこで生成される波長についての所望の強度を選択すること、および、その後、その値を、他のチャネルについて計算される十進少数で乗算することを含み得る。例えば、他のチャネルについてのSTI値は、ステップ325からの特定のチャネルについての比値にステップ326において決定されたSTIを乗算することによって計算することができる。こうして、各チャネルについてのSTIは、各照明波長において試料が実際にどれほど明るいかについての推定を示す。
【0088】
各チャネルについてのSTI値が導出された(ステップ327)後、その値は、各チャネルについて露出時間を決定するために使用され得る(ステップ310)。図7Bを参照すると、最初に、露出時間(例えば、センサにおいて1000カウントを提供することになる露出時間)は、標的STI値に達するように調整される(ステップ330)。次に、露出時間は、(メモリ内などに)記録され、その特定のチャネルについての導出標準標的強度値の100%の値に関連付けられる(ステップ331)。各チャネルにわたる各露出時間の比は、記録され(ステップ332)、画像強度較正データとして使用される。
【0089】
図8は、第2の較正手順のステップを示す別のフローチャートを述べる。ステップ350にて、各画像チャネルにおける較正標準の輝度値が決定される。幾つかの実施形態において、輝度値は、吸収係数に量子収量を乗算することによって決定することができる。蛍光量子収量は、放出される光子数を吸収される光子数で割った値として規定され、1.0の効率が、考えられる最大値である。専用計器類なしでは、吸収される光子の正確な数を知ることが難しいため、量子収量を測定する典型的な慣行は、未知数を既知の標準と比較することに依存する。
【0090】
輝度値が決定された後、正規化輝度の比が導出され得る(ステップ351)。例えば、所与の照明パワーレベルにおいて3つの画像チャネル(チャネル1(「CH1」)、チャネル2(「CH2」)、およびチャネル3(「CH3」))について輝度がわかっていると仮定すると、各輝度値は、その後、最大輝度値によって割られて、値を正規化することができる。例えば、輝度値が、738、820、697である場合、正規化後に、これらの輝度値は0.9、1、および0.85になる。正規化輝度値の比は、この例では、0.9:1:0.85であることになる。
【0091】
次に、標準標的強度値が、正規化輝度値の比に基づいて各画像チャネルについて計算され得る(ステップ352)。初期標準強度値は、最大輝度値を有するチャネルについて設定することができる。上記例において、1000カウントがCH2に割り当てられる可能性がある。その後、それぞれの他の各チャネルについての標準強度値が、決定された比に初期標準強度値(この例の場合、900、1000、850カウント)を乗算することによって導出される可能性がある。
【0092】
その後、露出時間が各チャネルについて導出され得る(ステップ353)。導出時間は、そのチャネルについて標的標準強度値をもたらすようにカメラまたはセンサの露出設定を調整することによって導出される。上記例に適用されるように、CH1上で900カウントに達するために、シャッターまたはセンサは、50msの間、露出される必要がある場合がある。同様に、CH2およびCH3の場合、露出時間は、それぞれ、40ms(1000カウントに達するために)および60ms(850カウントに達するために)である可能性がある。これらの露出時間が記録され(ステップ354)、各露出時間の互いに対する比が導出される(ステップ355)。例えば、CH1:CH2:CH3についての比は、50:40:60または0.8:0.66:1であることになる。
【0093】
上記で識別される露出時間比は、その後、撮像システムによって組織試料を撮像するときに、画像強度較正データとして使用される可能性がある。例えば、プロトコルが標準標的強度の150%を要求する場合、露出時間比は、各チャネルについて新しい露出時間を提供するために使用することができる。比0.8:0.66:1の場合、各値を0.8で除算することは、比1:0.83:1.25を提供する。CH1について、標準強度値の100%(1000カウント)において50ms露出時間が使用された場合、標準強度値の150%において、75ms(50ms×1.5)の露出時間に到達する。CH2およびCH3についての新しい露出時間が、同様に計算されて、それぞれ62msおよび93ms露出時間を提供する。
【0094】
この較正は、単純な方式で手作業で、値を用紙に記録し、各チャネルについてのSTI値および必要とされる露出時間を導出するために計算器を使用することによって達成され得るが、較正は、より好都合にはソフトウェアで達成され、ソフトウェアにおいて、データテーブルが、非一時的コンピュータ可読メモリ(602)内に保持され、計器(606)によって使用されて、適切な露出時間(604)を計算し、それにより、チャネルにわたってSTIを達成する。そのSTIは、他のシステムと同じであることになり、露出時間に関する他のシステム自身のそれぞれのデータはコンピュータメモリ内に保持される。
【0095】
定期的に、チャネルにわたってSTI値を達成する能力は、システム上に較正標準を設置し、STIの露出を選択し、画像データを収集し、データ内で生成される値を測定して、値がチャネルごとのSTI値に一致することを確認することによって、撮像システム上で確認されるべきである。これは、計器が適切に機能しており、光学部品の劣化が起こっていないことを保証する。これは、例えば、(例えば、ロボットアーム、アクチュエータ、または他の輸送デバイスによって)撮像プラットフォーム上に較正試料を設置し、その後、上記で概説したステップを繰り返すように撮像システムをプログラムすることによって自動化され得る。
【0096】
上述した手順に対する代替法として、各チャネルについての光レベルのオフセットを調整することができる。概して、露出時間を調整することが好ましい場合があり、なぜならば、高分解能で露出時間を調整することが一般により容易であると思われ、また、照明パワーを各チャネルについて同じに維持することを促進することがより容易であるからである。
【0097】
アッセイ/造影剤強度補正モジュール内で使用する染色剤の相対輝度に対する較正
【0098】
第3の較正手順(ステップ23または34)は、任意選択で、信号の相対強度ではなく、コントラストを生成する材料の量を反映させるために捕捉画像を調整し、結果として得られる画像内のピクセル値の解釈を補助するために適用することができる。例えば、試料内で同一の量の2つの蛍光体を仮定すると、蛍光体「A」は同じ量の蛍光体「A」より多くの信号を生成する場合がある。これは、或る事例において、化学物質性能に関する調査を、解釈するのを難しくする場合がある。したがって、この較正は、試料上にまたは試料内に存在する材料の量を、データが直接考慮するようにさせるために、画像に対するオプションの調整を提供する。
【0099】
第3の較正は図9Aに示される。概して、画像が、任意選択で、アンミキシングモジュール607を使用して、ステップ401にてアンミックスされた後、各造影剤(または染色剤)についての画像補正係数が、造影剤強度補正モジュール605を使用して導出される(ステップ402)。ステップ402からの画像補正係数は、その後、各単一チャネル画像内のピクセル値に対して適用される(ステップ403)。ステップ402および403は、解析される各造影剤または染色剤について任意の回数繰り返されて(404)、一連の画像補正係数を提供することができる。
【0100】
より具体的には、また、図9Bを参照して、検出チャネルに対応する各造影剤(例えば、蛍光体)についての相対輝度が決定される(ステップ411)。輝度は、本明細書で述べるように、較正試料の吸収係数に、所与の波長(例えば、励起波長)における較正試料の量子収量を乗算することによって決定される(ステップ410)ことを当業者は理解するであろう。決定されると、チャネル励起波長における蛍光体についての輝度値は、画像解析ソフトウェア内など、データベースに記憶することができる。アッセイで使用される染料の所与のセットについて、輝度値は、呼び戻され、十進少数を生成するために最大輝度値に対して正規化され得る(ステップ412)。その後、各十進少数が、整数1から減算されて、画像補正係数、すなわち、ピクセル値を調整する量を導出する(ステップ413)。最後に、取得画像内の所与のチャネルについてのピクセル値が、画像補正係数を乗算されて、異なる染料の吸収および量子収量の差を補償する(414)。
【0101】
アンミキシングモジュール
【0102】
マルチスペクトル撮像において、線形アンミキシングが、アンミキシングモジュール607によって実施されて(ステップ33)、近傍チャネル内への信号の漏れ込み(bleed-through)を分離し、試料からの構造性自家蛍光(constitutive autofluorescence)などの外生信号を取り除くことができる。ステップ34の相対輝度較正は、任意選択で、線形アンミキシング後に生成される画像に対して実施され得る、なぜならば、これらの画像が、関心の染料(例えば、蛍光体)の純粋な信号寄与を示すと思われるからである。画像データの較正は、ソフトウェアにおいて画像を観察し/解析するオプションであることができ、可逆的であり、チェックボックスなどのGUI要素を通してトリガーされ得る。
【0103】
幾つかの実施形態において、1つまたは複数の染色剤を含む試料において、個々の画像が、1つまたは複数の染色剤の各チャネルについて生成することができる。これらのチャネルから抽出されるフィーチャが、組織(例えば、細胞核、細胞膜、細胞質、核酸など)の任意の画像内に存在する異なる生物構造を記述するときに有用であることを当業者は理解するであろう。
【0104】
撮像モジュール601によって提供されるマルチスペクトル画像は、個々のバイオマーカーに関連する基礎のスペクトル信号とノイズ成分の重み付き混合物である。任意の特定のピクセルにおいて、混合用重みは、組織内の特定のロケーションにおける基礎の共局在化(co-localized)バイオマーカーのバイオマーカー発現およびそのロケーションにおける背景ノイズに比例する。そのため、混合用重みは、ピクセルごとに変動する。本明細書で開示するスペクトルアンミキシング法は、各ピクセルおよび全てのピクセルにおけるマルチチャネルピクセル値ベクトルを構成バイオマーカー端成分(end member)またはコンポーネントの集合体に分解し、バイオマーカーのそれぞれについて個々の構成染色剤の割合を推定する。
【0105】
アンミキシングは、混合ピクセルの測定スペクトルが、構成スペクトルまたは端成分の集合体、および、ピクセル内に存在する各端成分の割合を示す対応する分画(fraction)またはアバンダンス(abundance)のセットに分解される手順である。特に、アンミキシングプロセスは、組織および染色剤組み合わせの標準タイプについてよく知られている基準スペクトルを使用して、個々の染色剤の局所的濃度を決定するために、染色剤特異的チャネルを抽出し得る。アンミキシングは、制御画像から取り出されるまたは観測下の画像から推定される基準スペクトルを使用することができる。各入力ピクセルのコンポーネント信号をアンミックスすることは、H&E画像内のヘマトキシリンチャネルおよびエオジンチャネルまたはIHC画像内のジアミノベンジジン(DAB)チャネルおよび対比染色剤(例えば、ヘマトキシリン)チャネルなどの染色剤特異的チャネルの取り出しおよび解析を可能にする。用語「アンミキシング」および「カラーデコンボリューション(color deconvolution)」(または「デコンボリューション(deconvolution)」)または同様なもの(例えば、「デコンボルブする(deconvolving)」、「アンミックスした(unmixed)」)は、当技術分野で交換可能に使用される。
【0106】
幾つかの実施形態において、多重画像は、線形アンミキシングを使用するアンミキシングモジュール205によってアンミックスされる。線形アンミキシングは、例えば、Zimmermann「Spectral Imaging and Linear Unmixing in Light Microscopy」Adv Biochem Engin/Biotechnology (2005) 95:245-265’においてまたC. L. Lawson and R. J. Hanson,「Solving least squares Problems」PrenticeHall, 1974, Chapter 23, p. 161において述べられ、その開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。線形染色剤アンミキシングにおいて、任意のピクセルにおける測定スペクトル(S(λ))は、染色剤スペクトル成分の線形混合と考えられ、ピクセルにおいて表現される、それぞれの個々の染色剤のカラー基準(R(λ))の割合または重み(A)の総和に等しい。
【0107】
S(λ)=A1・R1(λ)+A2・R2(λ)+A3・R3(λ)...Ai・Ri(λ)
【0108】
上式は、より一般的に、行列形式で以下の式のように表現され得る。
【0109】
S(λ)=ΣAi・Ri(λ)orS=R・A
【0110】
取得されたMのチャネル画像およびNの個々の蛍光体が存在する場合、M×N行列Rの列は個々の蛍光体の既知の基準スペクトルシグネチャーであり、N×1ベクトルAは個々の蛍光体の割合の未知数であり、M×1ベクトルSは、或るピクセルにおける測定マルチチャネルスペクトルベクトルである。これらの方程式において、各ピクセル内の信号(S)は多重画像の取得中に測定され、既知染色剤についての基準スペクトルは、同一の計器設定を使用して、単一染色剤のみで標識付けされた蛍光標本から、独立オフライン法において、通常、決定される。種々の染色剤(Ai)の寄与は、測定スペクトル内の各ポイントに対するそれらの寄与を計算することによって決定され得る。幾つかの実施形態において、解は、方程式の以下のセットを解くことによって、測定スペクトルと計算スペクトルとの間の差の2乗を最小にする逆最小2乗当てはめアプローチを使用して得られる。
【0111】
[∂Σj{S(λj)-ΣiAi・Ri(λj)}2]/∂Ai=0
【0112】
この方程式において、jは検出チャネルの数を示し、iは染色剤の数に等しい。線形方程式解は、しばしば、制約付きアンミキシングが、重み(A)を強制的に合計して1になるようにさせることを可能にすることを含む。
【0113】
他の実施形態において、アンミキシングは、2014年5月28日に出願された「Image Adaptive Physiologically Plausible Color Separation」という名称のWO2014/195193に記載される方法を使用して達成され、その開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。概して、WO2014/195193は、反復的に最適化される基準ベクトルを使用して入力画像のコンポーネント信号を分離することによってアンミックスする方法を述べる。幾つかの実施形態において、アッセイからの画像データは、品質メトリックを決定するために、アッセイの特徴に特異的な予想結果または理想的結果に相関される。画像品質が低いまたは理想的結果に対する相関が不十分である場合、行列R内の1つまたは複数の基準列ベクトルが調整され、アンミキシングが、調整基準ベクトルを使用して反復的に繰り返され、ついには、相関が、生理的および解剖学的要件に一致する良質画像を示す。解剖学的情報、生理的情報、およびアッセイ情報は、品質メトリックを決定するために、測定画像データに適用されるルールを規定するために使用することができる。この情報は、組織がどのように染色されたか、組織内のどの構造が染色されることを意図されたかまたは意図されなかったか、また、構造と、染色剤と、処理されるアッセイに特異的なマーカーとの間の関係を含む。反復プロセスは、染色剤特異的ベクトルをもたらし、そのベクトルは、関心の構造および生物学的に関連する情報を正確に識別し、ノイジーでかつ望ましくないスペクトルがない、したがって、解析に適合する画像を生成し得る。基準ベクトルは探索空間内になるように調整される。探索空間は、染色剤を示すために基準ベクトルがとり得る値の範囲を規定する。探索空間は、知られているまたは一般的に起こる問題を含む種々の代表的なトレーニングアッセイを走査し、トレーニングアッセイのための基準ベクトルの高品質セットを決定することによって決定することができる。
【0114】
他の実施形態において、2015年2月23日に出願された「Group Sparsity Model for Image Unmixing」という名称のWO2015/124772に記載される方法を使用して達成され、その開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。概して、WO2015/124772は、グループスパーシティフレームワーク(group sparsity framework)を使用してアンミックスすることであって、グループスパーシティフレームワークにおいて、複数の共局在化(colocation)マーカーからの染色剤寄与の一部が「同じグループ(same group)」内でモデル化され、複数の非共局在化マーカーからの染色剤寄与の一部が異なるグループ内でモデル化される、アンミックスすること、複数の共局在化マーカーの共局在化情報を、モデル化グループスパーシティフレームワークに提供すること、最小2乗解を各グループ内でもたらすためにgroup lassoを使用してモデル化フレームワークを解くことであって、最小2乗解は共局在化マーカーのアンミキシングに対応する、解くこと、および、非共局在化マーカーのアンミキシングに対応するグループの間でスパース解をもたらすことを述べる。さらに、WO2015/124772は、生物組織試料から得られる画像データを入力すること、電子メモリから基準データを読み出すことであって、基準データは複数の染色剤のそれぞれの1つの染色剤の染色剤カラーを記述する、読み出すこと、電子メモリから共局在化データを読み出すことであって、共局在化データは染色剤のグループを記述し、各グループは生物組織試料内で収集され得る染色剤を含み、各グループは、group lasso基準のためのグループを形成し、グループのうちの少なくとも1つのグループは、2またはそれより大きいサイズを有する、読み出すこと、および、基準行列として基準データを使用してアンミックス画像を得るためにgroup lasso基準の解を計算することによって、アンミックスする方法を述べる。幾つかの実施形態において、画像をアンミックスする方法は、グループスパーシティモデルを生成することであって、共局在化マーカーからの染色剤寄与の一部が単一グループ内に割り当てられ、非共局在化マーカーからの染色剤寄与の一部が別個のグループ内に割り当てられる、生成すること、および、各グループ内で最小2乗解をもたらすために、アンミキシングアルゴリズムを使用してグループスパーシティモデルを解くことを含むことができる。
【0115】
上述した線形アンミキシング法に加えて、顕微鏡データのスペクトルアンミキシングのための代替のアプローチを、特に、少数のみのスペクトルチャネルからなるデータセットについて利用することができ、そのアプローチは、異なる画像チャネル内のピクセルの強度値の相関に基づく(細胞蛍光分光学で使用される散布図と同様の散布図において可視化され得るように)。アンミックスすることは、その後、散布図において所望の蛍光体の分布角度を見出すことによって、また、それらを別個のチャネルになるように直交化させる(それらを、プロットの異なる軸上で「伸長させる(stretch)」)ことによって達成される。方法は、原理上、スペクトルに関する先験的情報を必要とせず、なぜならば、主要な分布がライン当てはめによって見出され得るからである。(上記Zimmermann参照)。
【0116】
顕微鏡/撮像システム/造影剤(染色剤)
【0117】
概して、また、本明細書で述べるように、顕微鏡または撮像システム601は、標的試料を照明するように構成される照明光源、照明された標的試料の拡大画像を生成するように構成される光学部品、および、拡大画像のデジタル画像を捕捉するように構成されるデジタルカメラなどの検出器を含む。定量的結果が、(例えば、画像処理モジュール606による)捕捉デジタル画像の操作を通して得られ得る。そのような画像操作は、当業者に知られている画像処理技法を含み得る。少なくとも幾つかの実施形態において、そのような画像捕捉および画像操作の一方または両方は、1つまたは複数のプロセッサ608の助けを借りて達成される。1つまたは複数のプロセッサ608は、非一時的コンピュータ可読メモリ602に記憶されたプリプログラム式命令を実装するコンピュータ609を含み得る。
【0118】
本明細書で述べるシステムおよびプロセスは、概して、照明光源を組み込む任意の顕微鏡法システムに適用可能である。システムおよびプロセスがその中で使用され得る少なくとも幾つかの顕微鏡システムの例は光学顕微鏡法、蛍光顕微鏡法、および共焦点レーザー走査顕微鏡法を含んだ。顕微鏡法システムの例は、コネチカット州ニューヘイブン(New Haven,Conn.)のHistoRx, Inc.から商業的に入手可能なPM-2000計器である。システムおよびプロセスは、半定量結果または定量結果を提供することを対象とするシステムのために特に有用である。例示的なアプリケーションは、病理学の分野内で使用される免疫組織化学(IHC:immunohistochemistry)の使用を含む(例えば、「Immunohistochemistry and Quantitative Analysis of Protein Expression」M. Cregger等による, Arch. Pathol. Lab. Med., Vol. 130, July 2006 at pgs. 1026-1030参照)。通常、これらの結果は、顕微鏡法システムを使用して検査される試料の染色の強度に基づく。
【0119】
画像は、その上に配設された組織標本を有するスライドから取得され、組織標本は染色されており、そのため、組織標本は1つまたは複数の検出可能な染色剤または造影剤を含む。染色剤または造影剤は、試料内の標識(標的またはバイオマーカーの近似位置を示す標識)の存在および/または濃度を示す(視覚的に、電子的に、またはその他の方法でなどで)検出可能な信号を生成し得る分子または材料である。幾つかの実施形態において、検出される染色剤または造影剤は、1つまたは複数の量子ドット、蛍光体、酵素沈着蛍光体、または色原性染色剤、あるいはその任意の組み合わせを含む。
【0120】
いろいろな蛍光体および色原性造影剤または染色剤が入手可能である。概して、最も頻繁に使用される蛍光体は、クマリン、フルオレセイン、ローダミン、およびシアニンを含む、幾つかの一般的な化学クラスに属する。銀染色剤およびファストレッド染色剤(fast red stain)は、当業者によって使用することができる、酵素沈着色原性染色剤または吸光性染色剤の例である。標識付けするための方法および種々の目的に適切な標識の選択における指針は、例えば、Sambrook等「Molecular Cloning: A Laboratory Manual」Cold Spring Harbor Laboratory Press (1989)、および、Ausubel等「Current Protocols in Molecular Biology」Greene Publishing Associates and Wiley-lntersciences (1987)において論じられ、これらの開示は、参照により本明細書に組み込まれる。もちろん、当業者は、染色剤品質および/または均一性評価を行うことができるように、これらのおよび他の薬剤に対処するために本明細書で使用される方法を適応させることができるであろう。
【0121】
免疫蛍光において、蛍光生成物は、抗原の部位に沈着し、試料内の抗原の視覚的局在化を可能にする。写真捕捉後に、反応生成物は、(例えば、画像処理モジュール606によって)画像解析ソフトウェアによって定量化することができる。さらに、抗原を、特異的細胞の(例えば、細胞核の、オルガネラの、細胞質の、細胞膜の)または細胞外のロケーションにおいて局在化することができる(例えば、Camp等,Nature Medicine 8(11) 1323-1327, 2002参照)。
【0122】
幾つかの実施形態において、蛍光IHCの場合、複数のデジタル画像は、タンパク質バイオマーカー特異的抗体および2次蛍光検出試薬(本明細書で、染料、染色剤、または造影剤とも呼ばれる)によって染色される同じ標的組織試料から得られる。いかなる特定の理論にも束縛されるつもりはなく、最適化されると、蛍光染色剤が、吸収ベース色原性染色剤によって入手できるのに比べて、より広いダイナミックレンジを提供すると思われる。デジタル画像のそれぞれは、2次蛍光信号のそれぞれの1つの蛍光信号を通過させるように構成される異なる光学フィルタを使用して得られ得る。そのため、少なくとも1つのそれぞれのデジタル画像が、2次蛍光信号のそれぞれについて得られる。幾つかの実施形態において、また、定量的解析の場合、捕捉デジタル画像が(例えば、画像処理ソフトウェアを使用して)操作されて、組織試料のそれぞれのスコアを得る。
【0123】
本明細書で述べる技法は、蛍光と共に使用するために最初に開発されたが、汎用較正手順は、吸光色原体で染色されるスライドのマルチスペクトル捕捉に同様に適用可能である。色原体はヘマトキシリンおよびエオジンを含む。色原性染色剤は、同様に、例えば、ファストレッド3,3’-ジアミノベンジジン(DAB)およびチラミドベース色原性物質(その開示が参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国出願公報第2012/0171668号に開示される)およびキノンメチド色原性物質(その開示が参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国出願公報第2017/0089911号に開示される)を含む。使用するのに適するさらなる色原性コンポーネントは、PCT公報第WO/2018/002015号に記載されるコンポーネントを含み、その開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。幾つかの実施形態において、組織試料は1次染色剤(例えば、ヘマトキシリン)によって染色される。幾つかの実施形態において、組織試料は、2次染色剤(例えば、エオジン)によって同様に染色される。幾つかの実施形態において、組織試料は、特定のバイオマーカーについてIHCアッセイ内で染色される。もちろん、任意の生物試料を1つまたは複数の蛍光体で同様に染色することができることを当業者は理解するであろう。
【0124】
明視野画像捕捉のための計器類構成は、明視野と蛍光の両方のための照明のために異なるバンドパスを含むことになる。マルチスペクトル捕捉のための計器構成は、蛍光の場合と同様に、検出のために異なるバンドパスを同様に含むことになる。データを捕捉するために使用される特定のバンドパスを述べるために使用される用語は「チャネル(channel)」である。
【0125】
較正データを使用して画像を取得する方法
【0126】
本開示の別の態様において、1つまたは複数の造影剤で染色される組織試料の画像を取得するための方法が提供され、それにより、方法は、定性的および/または定量的結果の変動性が低減するように構成データを利用する。概して、また、図10を参照して、方法は、(i)撮像される各チャネルについて光源のパワー出力を設定するためにパワー出力較正データを使用する(ステップ500)こと、(ii)各チャネルにわたる画像強度が同じであるように、撮像される各チャネルについて適切な露出時間を設定するために露出較正データを使用する(501)こと、(iii)撮像される各チャネルについて画像データを取得する(502)こと、(iv)任意選択で、取得画像をアンミックスする(ステップ503)こと、および、(v)任意選択で、画像補正係数を取得画像またはアンミックス画像に適用する(ステップ504)ことを含む。幾つかの実施形態において、パワー出力較正データおよび/または露出較正データは非一時的コンピュータ可読メモリ(602)に記憶される。幾つかの実施形態において、また、本明細書で述べる手順に基づいて、撮像システム10は、メモリ602に記憶されるパワー出力較正データに基づいて撮像される全てのチャネルについて同じ標準化照明出力パワーに自動的に設定することができる。同様に、また、やはり本明細書で述べる手順に基づいて、撮像システム内のカメラの露出時間は、同様の強度を有する画像が取得されるようにメモリ602内に記憶される画像強度較正データに基づいて自動的に調整することができる。さらに、任意の取得画像(またはアンミックス画像)内のピクセルは、各染色剤について画像補正係数に基づいて調整することができ、画像補正係数は、メモリ602内に記憶されかつ画像取得および/または画像アンミキシング後に自動的に適用される。
【0127】
幾つかの実施形態において、1つまたは複数の染色剤で染色される生物試料を撮像するための方法が提供され、各染色剤は生物試料内の特定の標的またはバイオマーカーを選択的に識別し、方法は、所定のパワー値に達するように撮像される各チャネルについて光源のパワー出力を設定することであって、所定のパワー値は撮像される各チャネルについて実質的に同じであり、パワー出力は撮像される各チャネルについて独立に設定される、設定すること;所定のパワー値で標的強度をもたらすためにカメラの露出時間を調整することであって、撮像される各チャネルの露出時間は、その特定のチャネルについて標的強度をもたらすために独立に調整される、調整すること;調整された露出時間に基づいて、撮像される各チャネルにおいて生物試料の一連の画像を取得すること;および、1つまたは複数の染色剤のそれぞれの染色剤に特異的な導出画像補正係数に基づいて取得画像のそれぞれの画像内のピクセルデータを調整することを含む。幾つかの実施形態において、光源についてのパワー出力レベルは、撮像されるチャネルのそれぞれのチャネルについて既存の較正データから導出される。幾つかの実施形態において、既存の較正データは、パワー出力対測定パワーの較正曲線である。幾つかの実施形態において、既存の較正データは、パワー出力対測定パワー(または補間パワー値)を述べるテーブルであり、パワーは試料平面で測定される。幾つかの実施形態において、所定のパワー値は特定のアッセイに特異的である。例えば、所定のパワー値は約200mW~約500mWに及ぶことができる。幾つかの実施形態において、所定のパワー値は、撮像される全てチャネルについて実質的に同じである。「実質的に同じ(substantially the same)」によって、各チャネルについてのパワー値が互いの10%以内であることが意味される。他の実施形態において、「実質的に同じ」によって、各チャネルについてのパワー値が互いの5%以内であることが意味される。他の実施形態において、「実質的に同じ」によって、各チャネルについてのパワー値が互いの2%以内であることが意味される。幾つかの実施形態において、パワー出力値は、本明細書で述べるパワー出力較正モジュール603を使用して計算される。
【0128】
幾つかの実施形態において、特定のチャネルについての標的強度は、そのチャネルについての較正試料の標準化標的強度の所定のパーセンテージである。例えば、所定のパーセンテージは、標準化標的強度の約10%から約1000%に及ぶことができる。他の実施形態において、所定のパーセンテージは、標準化標的強度の約20%から約500%に及ぶことができる。他の実施形態において、所定のパーセンテージは、標準化標的強度の約50%から約250%に及ぶことができる。
【0129】
幾つかの実施形態において、各チャネルについての標準化標的強度は、(i)複数の画像チャネルについての較正標準の較正強度値を決定し、(ii)複数の画像チャネルのそれぞれの画像チャネルについての較正標準の較正強度値を正規化し、(iii)一連の画像チャネルにわたって正規化強度の比を導出し、(iv)一連の画像チャネル内の最大輝度画像チャネルのために標的強度値を割り当て、(v)残りの画像チャネルについて標準強度値を計算することによって導出される。幾つかの実施形態において、標準標的強度値は、本明細書で述べる画像強度較正モジュール604を使用して計算される。
【0130】
幾つかの実施形態において、導出画像補正係数は、(i)複数の染色剤について輝度値を正規化し、(ii)各染色剤についての正規化輝度値を整数1から減算することによって計算される。幾つかの実施形態において、各取得画像内のピクセルデータは、各取得画像内の各ピクセル値にそれぞれの画像補正係数を乗算することによって調整される。幾つかの実施形態において、画像補正係数は、造影剤強度補正モジュール605を使用して導出される。幾つかの実施形態において、方法は、ピクセルデータを調整する前に、取得画像をアンミックスすることをさらに含む。幾つかの実施形態において、取得画像はアンミキシングモジュール607を使用してアンミックスされる。
【0131】
幾つかの実施形態において、1つまたは複数の染色剤で染色される生物試料を撮像する方法が提供され、各染色剤は特定のバイオマーカーを選択的に染色し、方法は、所定のパワー値に達するように第1のチャネルについて光源の第1のパワー出力を設定すること;第1のチャネルについて所定のパワー値において第1の標的強度をもたらすためにカメラの第1の露出時間を調整すること;調整露出時間に基づいて、第1の画像チャネルにおいて生物試料の第1の画像を取得すること;および、第1のチャネル内の1つまたは複数の染色剤の1つの染色剤に特異的な第1の導出画像補正係数に基づいて第1の取得画像内のピクセルデータを調整することを含む。幾つかの実施形態において、光源についてのパワー出力レベルは、第1のチャネルについて既存の較正データから導出される。幾つかの実施形態において、既存の較正データは、パワー出力対測定パワーの較正曲線である。幾つかの実施形態において、所定のパワー値は、特定のアッセイまたはプロトコルに特異的である(例えば、アッセイまたはプロトコルは100mWパワー値を要求する)。幾つかの実施形態において、所定のパワー値は、撮像される全ての画像チャネルについて同じ(例えば、第1のチャネルについて100mW、第2のチャネルについて100mW、第3のチャネルについて100mWなど)である。幾つかの実施形態において、第1の標的強度は、較正試料の標準化標的強度の所定のパーセンテージである。幾つかの実施形態において、所定のパーセンテージは、標準化標的強度の約20%から約500%に及ぶ。幾つかの実施形態において、所定のパーセンテージは、標準化標的強度の約50%から約150%に及ぶ。幾つかの実施形態において、第1のチャネルについての標準化標的強度は、(i)複数の画像チャネルについての較正標準の較正強度値を決定し、(ii)複数の画像チャネルの各画像チャネルについての較正標準の強度値を、最大強度値に対して正規化し、(iii)一連の画像チャネルにわたって正規化強度の比を導出し、(iv)一連の画像チャネル内の最大輝度画像チャネルのために標的強度値を割り当て、(v)残りの画像チャネルについて標準強度値を計算することによって導出される。幾つかの実施形態において、第1の導出画像補正係数は、(i)複数の染色剤について輝度値を正規化し、(ii)第1の染色剤についての正規化輝度値を整数1から減算することによって計算される。幾つかの実施形態において、第1の取得画像内のピクセルデータは、第1の画像内の各ピクセル値に第1の画像補正係数を乗算することによって調整される。
【0132】
幾つかの実施形態において、方法は、所定のパワー値に達するように第2のチャネルについて光源の第2のパワー出力を設定すること;カメラの第2の露出時間を調整することであって、それにより、第2のチャネルについて所定のパワー値において第2の標的強度をもたらす、調整すること;調整された露出時間に基づいて、第2のチャネルにおいて生物試料の第2の画像を取得すること;および、第2のチャネル内の1つまたは複数の染色剤の1つの染色剤に特異的な第1の導出画像補正係数に基づいて第2の取得画像内のピクセルデータを調整することをさらに含む。もちろん、上記で特定した方法を、各生物染色剤について任意の回数繰り返すことができることを当業者は理解するであろう。
【0133】
本開示の実施形態を実施するための他のコンポーネント
【0134】
本開示のコンピュータシステムは、生物標本に対する1つまたは複数の調製プロセスを実行し得る標本処理装置に繋ぐことができる。調製プロセスは、限定することなく、標本を脱パラフィンすること、標本をコンディショニング(例えば、細胞コンディショニング)すること、標本を染色すること、抗原賦活化を実行すること、免疫組織化学染色(標識付けを含む)または他の反応を実施すること、および/またはインサイチューハイブリダイゼーション(例えば、SISH、FISHなど)染色(標識付けを含む)または他の反応を実行すること、ならびに、顕微鏡法、微量分析、質量分光分析法、または他の分析方法のために標本を調製するための他のプロセスを含み得る。
【0135】
処理装置は、定着剤を標本に適用し得る。定着剤は、架橋剤(アルデヒド、例えば、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、およびグルタルアルデヒド、ならびに非アルデヒド架橋剤など)、酸化剤(例えば、四酸化オスミウムおよびクロム酸などの、金属イオンおよび複合体)、タンパク質変性剤(例えば、酢酸、メタノール、およびエタノール)、定着剤の未知のメカニズム(例えば、塩化第二水銀、アセトン、およびピクリン酸)、組合せ試薬(例えば、カルノア固定液、メタカーン、ブアン液、B5定着剤、ロスマンの流体、およびジャンドルの流体)、マイクロ波、および種々雑多な固定剤(例えば、体積固定および蒸気固定を除く)を含み得る。
【0136】
標本がパラフィンに埋め込まれた試料である場合、試料は、適切な脱パラフィン流体(複数可)を使用して脱パラフィンされ得る。パラフィンが取り除かれた後、任意の数の物質が連続的に標本に適用され得る。物質は、前処置(例えば、タンパク質架橋を反転すること、核酸を露出することなど)、変性、ハイブリダイゼーション、洗浄(例えば、ストリンジェンシ洗浄)、検出(例えば、視覚またはマーカー分子をプローブにリンクする)、増幅(例えば、タンパク質、遺伝子などを増幅する)、対比染色、封入処理、または同様なもののためのものであり得る。
【0137】
標本処理装置は、広範囲の物質を標本に適用し得る。物質は、限定することなく、染色剤、プローブ(試料内の標的の標識付けを容易にする特異的結合実体を含むプローブ)、試薬、リンス、および/またはコンディショナーを含む。物質は、流体(例えば、気体、液体、または気体/液体混合物)または同様なものであり得る。流体は、溶媒(例えば、極性溶媒、非極性溶媒など)、溶液(例えば、水溶液または他のタイプの溶液)、または同様なものであり得る。試薬は、限定することなく、染色剤、湿潤剤、抗体(例えば、モノクロナール抗体、ポリクロナール抗体など)、抗原回復流体(例えば、水性または非水性系抗原賦活化溶液、抗原回復緩衝剤など)を含み得る。プローブは、検出可能な標識またはレポーター分子に付着した単離核酸または単離合成オリゴヌクレオチドであり得る。標識は、放射性同位体、酵素基質、補因子、リガンド、化学発光または蛍光剤、ハプテン、および酵素を含み得る。
【0138】
標本処理装置は、Ventana Medical Systems,,Inc.が販売するBENCHMARK XT計器およびSYMPHONYC計器などの、自動化装置であり得る。Ventana Medical Systems,,Inc.は、自動化解析を実施するためのシステムおよび方法を開示する多数の米国特許の譲受人であり、多数の米国特許は、米国特許第5,650,327号、第5,654,200号、第6,296,809号、第6,352,861号、第6,827,901号、および第6,943,029号、ならびに米国公開出願第2003/0211630号および第2004/0052685号を含み、これらの特許のそれぞれは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0139】
標本を処理した後、ユーザーは、標本担持スライドを撮像装置に輸送し得る。幾つかの実施形態において、撮像装置は、明視野イメージャ・スライドスキャナである。1つの明視野イメージャは、Ventana Medical Systems,,Inc.が販売するiScan HTおよびDP 200明視野スキャナである。自動化実施形態において、撮像装置は、「IMAGING SYSTEM AND TECHNIQUES」という名称の国際特許出願第PCT/US2010/002772号(特許公報第WO/2011/049608号)に開示される、または、「IMAGING SYSTEMS, CASSETTES, AND METHODS OF USING THE SAME」という名称の2011年9月9日に出願された米国特許公報第2014/0178169号に開示されるデジタル病理学デバイスである。
【0140】
撮像システムまたは装置は、マルチスペクトル撮像システム(MSI)システムまたは蛍光顕微鏡法システムである。ここで使用される撮像システムはMSIである。MSIは、概して、ピクセルレベルにおける画像のスペクトル分布に対するアクセスを提供することによるコンピュータ化顕微鏡ベース撮像システムを病理学標本の分析のために装備する。種々のマルチスペクトル撮像システムが存在するが、これらのシステムの全てに共通する動作態様はマルチスペクトル画像を形成する能力である。マルチスペクトル画像は、電磁スペクトルにわたって特定の波長のまたは特定のスペクトル帯域幅の画像データを取得する画像である。これらの波長は、光学フィルタによって、または、例えば、赤外線(IR)などの可視光範囲を超える波長の電磁放射を含む所定のスペクトル成分を選択することが可能な他の計器の使用によって選別することができる。
【0141】
MSIは、光学撮像システムを含むことができ、その一部分は、所定数Nの離散光帯域を規定するように調節可能であるスペクトル選択システムを含む。光学システムは、光検出器上に広帯域光源によって透過照明される生物試料を撮像するように適合することができる。一実施形態において、例えば、顕微鏡などの拡大システムを含むことができる光学撮像システムは、光学システムの単一光出力と全体的に空間的に整列する単一光軸を有する。システムは生物試料の画像のシーケンスを形成し、なぜならば、スペクトル選択性システムが、異なる離散スペクトル帯域において画像が取得されることを保証するためなどで、(例えば、コンピュータプロセッサによって)調整または調節されるからである。装置はディスプレイをさらに含むことができ、ディスプレイにおいて、取得画像のシーケンスから生物標本の少なくとも1つの視覚的に知覚可能な画像が現れる。スペクトル選択性システムは、回折格子、薄膜干渉フィルタなどの光学フィルタの集合体、あるいは、ユーザー入力またはプリプログラム式プロセッサのコマンドに応答して、光源から試料を通し検出器に向かって透過する光のスペクトルから特定の通過帯域を選択するように適合される任意の他のシステムなどの、光分散要素を含むことができる。
【0142】
代替の実装態様において、スペクトル選択性システムは、Nの離散スペクトル帯域に対応する幾つかの光出力を規定する。このタイプのシステムは、光学システムからの透過光出力を採取し、識別されたスペクトル帯域内の試料を、この識別されたスペクトル帯域に対応する光路に沿って検出システム上に撮像するように、この光出力の少なくとも一部分を、Nの空間的に異なる光路に沿って空間的に方向転換させる。
【0143】
本明細書で述べる主題および動作の実施形態は、デジタル電子回路要素において、あるいは、本明細書で開示する構造およびその構造的等価物を含む、コンピュータソフトウェア、ファームウェア、またはハードウェアにおいて、あるいはそれらの1つまたは複数の組み合わせにおいて実装され得る。本明細書で述べる主題の実施形態は、1つまたは複数のコピュータプログラム、すなわち、データ処理装置が実行するためのまたはデータ処理装置の動作を制御するためのコンピュータ記憶媒体上にエンコードされる、コンピュータプログラム命令の1つまたは複数のモジュールとして実装され得る。本明細書で使用される「ロジック(Logic)」は、プロセッサの動作に影響を及ぼすために適用することができる命令信号および/またはデータの形態を有する任意の情報を指す。ソフトウェアはロジックの一例である。
【0144】
コンピュータ記憶媒体は、コンピュータ可読記憶デバイス、コンピュータ可読記憶基板、ランダムまたはシリアルアクセスメモリアレイまたはデバイス、あるいはそれらの1つまたは複数の組み合わせであり得るまたはそれらに含まれ得る。さらに、コンピュータ記憶媒体は伝播信号ではないが、コンピュータ記憶媒体は、人工的に生成された伝播信号にエンコードされたコンピュータプログラム命令の供給源または宛先であり得る。コンピュータ記憶媒体は、1つまたは複数の別個の物理コンポーネントまたは媒体(例えば、複数のCD、ディスク、または他の記憶デバイス)で同様にあり得る、またはそれらに含まれ得る。本明細書で述べる動作は、1つまたは複数のコンピュータ可読記憶デバイス上に記憶されるまたは他のソースから受信されるデータに対してデータ処理装置によって実施される動作として実装され得る。
【0145】
用語「プログララム式プロセッサ(programmed processor)」は、プログラマブルマイクロプロセッサ、コンピュータ、1つまたは複数のシステムオンチップ、または上記の組み合わせを例として含む、データを処理するための全ての種類の装置、デバイス、および機械を包含する。装置は、専用ロジック回路要素、例えば、FPGA(:field programmable gate array、フィールドプログラマブルゲートアレイ)またはASIC(:application-specific integrated circuit、特定用途向け集積回路)を含み得る。装置は、同様に、ハードウェアに加えて、当該のコンピュータプログラムのための実行環境を作成するコード、例えば、プロセッサファームウェア、プロトコルスタック、データベース管理システム、オペレーティングシステム、クロスプラットフォーム・ランタイム環境、仮想機械、あるいはそれらの1つまたは複数の組み合わせを構成するコード含み得る。装置および実行環境は、ウェブサービス、分散型コンピューティング、およびグリッドコンピューティング・インフラストラクチャなどの、種々の異なるコンピューティングモデル・インフラストラクチャを実現し得る。
【0146】
コンピュータプログラム(プログラム、ソフトウェア、ソフトウェアアプリケーション、スクリプト、またはコードとしても知られる)は、コンパイラ型またはインタープリタ型言語、宣言型または手続き型言語を含む、任意の形式のプログラミング言語で書くことができ、また、コンピュータプログラムは、単独プログラムとして、あるいはモジュール、コンポーネント、サブルーチン、オブジェクト、またはコンピューティング環境で使用するに適した他のユニットとして、含む、任意の形態で配備され得る。コンピュータプログラムは、ファイルシステム内のファイルに対応することができるが、そうする必要はない。プログラムは、他のプログラムまたはデータ(例えば、マークアップ言語文書に記憶される1つまたは複数のスクリプト)を保持するファイルの一部分に記憶され得る、当該のプログラムに専用の単一ファイルに記憶され得る、または複数の調整されたファイル(例えば、1つまたは複数のモジュール、サブプログラム、またはコードの所定の部分を記憶するファイル)に記憶され得る。コンピュータプログラムは、1つのコンピュータ上で、あるいは、1つのサイトに位置するかまたは複数のサイトにわたって分散され通信ネットワークによって相互接続される複数のコンピュータ上で実行されるように配備され得る。
【0147】
本明細書で述べるプロセスおよびロジックフローは、入力データに対して動作し、出力を生成することによって、アクションを実施する1つまたは複数のコンピュータプログラムを実行する1つまたは複数のプログララマブルプロセッサによって実施され得る。プロセスおよびロジックフローは、専用ロジック回路要素、例えば、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)またはASIC(特定用途向け集積回路)によって同様に実施され得る、また、装置は、こうしたロジック回路として同様に実装され得る。
【0148】
コンピュータプログラムの実行に適するプロセッサは、例として、汎用と専用の両方のマイクロプロセッサおよび任意の種類のディジタルコンピュータの任意の1つまたは複数のプロセッサを含む。概して、プロセッサは、命令およびデータを読み出し専用メモリまたはランダムアクセスメモリまたは両方から受信するであろう。コンピュータの必須要素は、命令にしたがって動作を実施するためのプロセッサ、ならびに命令およびデータを記憶するための1つまたは複数のメモリデバイスである。概して、コンピュータは、同様に、データを記憶するための1つまたは複数の大容量記憶デバイス、例えば、磁気、光磁気ディスク、または光ディスクも含むであろう、あるいはこのようなデバイスからデータを受信するか、このようなデバイスにデータを転送するか、または両方を行うように動作可能に結合されるであろう。しかしながら、コンピュータはこのようなデバイスを有する必要はない。さらに、コンピュータは、他のデバイス、例えば、ほんの数例を挙げると、移動体電話、携帯情報端末(PDA)、モバイルオーディオまたはビデオプレーヤ、ゲームコンソール、全地球測位システム(GPS)受信機、または携帯用記憶デバイス(例えば、ユニバーサルシリアルバス(USB)フラッシュドライブ)に埋め込まれ得る。コンピュータプログラム命令およびデータを記憶するのに適するデバイスは、すべての形態の不揮発性メモリ、媒体、およびメモリデバイスが含まれ、例として、半導体記憶デバイス、例えば、EPROM、EEPROM、およびフラッシュメモリデバイス;磁気ディスク、例えば、内部ハードディスクまたはリムーバブルディスク;光磁気ディスクな;ならびにCD-ROMおよびDVD-ROMディスクが含まれる。プロセッサおよびメモリは、専用ロジック回路要素によって補完され得るまたはこのロジック回路要素に組み込まれ得る。
【0149】
ユーザーとの相互作用を可能にするため、本明細書で述べる主題の実施形態は、ユーザーに情報を表示するためのディスプレイデバイス、例えば、LCD(液晶ディスプレイ)、LED(発光ダイオード)ディスプレイ、またはOLED(有機発光ダイオード)ディスプレイ、ならびに、ユーザーがそれによってコンピュータに入力を提供し得るキーボードおよびポインティングデバイス、例えば、マウスまたはトラックボールを有するコンピュータ上に実装され得る。幾つかの実装態様において、タッチスクリーンが使用されて、情報を表示し、ユーザーからの入力を受信し得る。他の種類のデバイスが使用されて、ユーザーとの相互作用を可能にし得る;例えば、ユーザーに提供されるフィードバックは、任意の形態の感覚フィードバック、例えば、視覚フィードバック、聴覚フィードバック、または触覚フィードバックであり得る;そしてユーザーからの入力は、音響入力、音声入力、または触覚入力を含む任意の形態で受信され得る。さらに、コンピュータは、ユーザーが使用するデバイスに文書を送信し、そのデバイスから文書を受信することによって、例えば、ウェブブラウザから受信する要求に応答して、ユーザーのクライアントデバイス上でウェブブラウザにウェブページを送信することによって、ユーザーと相互作用し得る。
【0150】
本明細書で述べる主題の実施形態は、例えば、データサーバーとしてのバックエンドコンポーネントを含むか、ミドルウェアコンポーネント、例えば、アプリケーションサーバーを含むか、または、フロントエンドコンポーネント、例えば、ユーザーがそれを通して本明細書で述べる主題の実装態様と相互作用し得るグラフィカルユーザーインターフェースまたはウェブブラウザを有するクライアントコンピュータを含むコンピューティングシステム、あるいは1つまたは複数のそのようなバックエンド、ミドルウェア、またはフロントエンドコンポーネントの任意の組み合わせで実装され得る。システムのコンポーネントは、任意の形態または媒体のデジタルデータ通信、例えば、通信ネットワークによって相互接続され得る。通信ネットワークの例は、ローカルエリアネットワーク(「LAN」)およびワイドエリアネットワーク(「WAN」)、相互ネットワーク(例えば、インターネット)、ならびにピア・ツー・ピア・ネットワーク(例えば、アドホック・ピア・ツー・ピア・ネットワーク)を含む。例えば、図1Aのネットワーク20は、1つまたは複数のローカルエリアネットワークを含み得る。
【0151】
コンピューティングシステムは、任意の数のクライアントおよびサーバー含み得る。クライアントおよびサーバーは、概して互いから遠隔にあり、通常、通信ネットワークを通して相互作用する。クライアントおよびサーバーの関係は、それぞれのコンピュータ上で実行され、互いにクライアント-サーバー関係を有するコンピュータプログラムによって生じる。幾つかの実施形態において、サーバーは、データ(例えば、HTMLページ)をクライアントデバイスに(例えば、クライアントデバイスと相互作用するユーザーにデータを表示し、そのユーザーからユーザー入力を受信するために)送信する。クライアントデバイスにおいて生成されるデータ(例えば、ユーザー相互作用の結果)は、サーバーにおいてクライアントデバイスから受信され得る。
【0152】
本明細書で参照されるおよび/または出願データシートに挙げられる、米国特許、米国特許出願公報、米国特許出願、外国特許、外国特許出願、および非特許出版物は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。実施形態の態様は、なおさらなる実施形態を提供するために、種々の特許、出願、および公報の概念を使用するために、必要である場合、修正され得る。
【0153】
本開示は幾つかの例証的な実施形態を参照して述べられたが、本開示の原理の趣旨および範囲内に入る多数の他の修正形態および実施形態が当業者によって考案され得ることが理解されるべきである。より詳細には、適度の変形および修正が、本開示の趣旨から逸脱することなく、上記開示、図面、および添付特許請求項の範囲内で、主題の組み合わせ機構のコンポーネント部品および/または配置構成において可能である。コンポーネント部品および/または配置構成の変形および修正に加えて、代替の使用が、同様に当業者に明らかになるであろう。
図1A
図1B
図1C
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7A
図7B
図8
図9A
図9B
図10
【手続補正書】
【提出日】2023-11-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つまたは複数の染色剤で染色される生物試料を撮像する方法であって、各染色剤は前記生物試料内の特定の標的を識別し、当該方法は、
第1の所定のパワー値に達するように第1のチャネルについて光源の第1のパワー出力を設定すること、
カメラの第1の露出時間を調整することであって、それにより、前記第1のチャネルについて前記第1の所定のパワー値において第1の標的強度をもたらす、調整すること、
前記調整された第1の露出時間に基づいて、第1のチャネル内の前記生物試料の第1の画像を取得すること、
取得した前記第1の画像をアンミキシングすること、および、
前記第1のチャネル内の前記1つまたは複数の染色剤の1つの染色剤に特異的な第1の導出画像補正係数に基づいて、取得した前記第1の画像内のピクセルデータを調整することであって、前記第1の導出画像補正係数は前記1つまたは複数の染色剤の相対輝度に基づいて導出される、こと
を含む、方法。
【請求項2】
前記光源についての前記第1のパワー出力のレベルは、前記第1のチャネルについての既存の較正データから導出される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記既存の較正データは、パワー出力対測定パワーの較正曲線である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の所定のパワー値は、特定のアッセイに特異的である、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の所定のパワー値は、全てのチャネルについて同じである、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の標的強度は、前記第1のチャネルについての較正試料の標準化標的強度の所定のパーセンテージである、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記所定のパーセンテージは、前記第1のチャネルについての前記標準化標的強度の約20%から約500%の範囲である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記第1のチャネルについての前記標準化標的強度は、(i)複数の画像チャネルの各画像チャネルについての較正標準の較正強度値を決定し、(ii)前記複数の画像チャネルの各画像チャネルについての前記較正標準の前記較正強度値を、正規化較正強度値の各正規化較正強度値の最大強度値に対して正規化し、(iii)前記複数の画像チャネルにわたって正規化強度の比を導出し、(iv)前記複数の画像チャネル内の最大輝度画像チャネルのために標的強度値を割り当て、(v)残りの画像チャネルについて標準強度値を計算することによって導出される、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記第1の導出画像補正係数は、(i)複数の染色剤について輝度値を正規化し、(ii)第1の染色剤について正規化された前記輝度値を整数1から減算することによって計算される、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の画像内の前記ピクセルデータは、前記第1の画像内の各ピクセル値に第1の画像補正係数を乗算することによって調整される、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【外国語明細書】