(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024002463
(43)【公開日】2024-01-11
(54)【発明の名称】照明装置
(51)【国際特許分類】
F21S 41/29 20180101AFI20231228BHJP
F21S 41/143 20180101ALI20231228BHJP
F21S 41/20 20180101ALI20231228BHJP
F21V 5/00 20180101ALI20231228BHJP
F21V 5/04 20060101ALI20231228BHJP
F21S 41/151 20180101ALI20231228BHJP
F21S 41/255 20180101ALI20231228BHJP
B60Q 1/24 20060101ALI20231228BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20231228BHJP
F21W 102/10 20180101ALN20231228BHJP
【FI】
F21S41/29
F21S41/143
F21S41/20
F21V5/00 510
F21V5/04 600
F21S41/151
F21S41/255
B60Q1/24 C
F21Y115:10
F21W102:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022101651
(22)【出願日】2022-06-24
(71)【出願人】
【識別番号】000114215
【氏名又は名称】ミネベアミツミ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】安間 巳緒
(72)【発明者】
【氏名】高山 良平
(72)【発明者】
【氏名】枝光 貴志
【テーマコード(参考)】
3K339
【Fターム(参考)】
3K339AA17
3K339BA01
3K339BA07
3K339BA12
3K339BA13
3K339BA22
3K339BA23
3K339BA26
3K339BA28
3K339CA30
3K339DA01
3K339FA04
3K339GB01
3K339HA01
3K339HA04
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ワークランプとして適切な照明装置を提供すること。
【解決手段】実施形態の照明装置は、使用時の水平方向に対応する装置出射面の長手方向に一列に並べられる、列の内側に配置される内側照明部401と、内側照明部401の両脇に配置される2つの外側照明部402,403とを備える。内側照明部401は、使用時の略進行方向に対応する前記装置出射面の法線方向に光軸が向けられた中央のカップレンズ41と、光軸が前記法線方向から外側に向けられた両脇の2つ以上のカップレンズ42~45とを有し、外側照明部402,403は、光軸が前記法線方向から外側および下側に向けられた1つ以上のカップレンズ46~49を有する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用時の水平方向に対応する装置出射面の長手方向に一列に並べられる、列の内側に配置される内側照明部と、前記内側照明部の両脇に配置される2つの外側照明部とを備え、
前記内側照明部は、使用時の略進行方向に対応する前記装置出射面の法線方向に光軸が向けられた中央のカップレンズと、光軸が前記法線方向から外側に向けられた両脇の2つ以上のカップレンズとを有し、
前記外側照明部は、光軸が前記法線方向から外側および下側に向けられた1つ以上のカップレンズを有する、
照明装置。
【請求項2】
前記内側照明部の両脇のカップレンズおよび前記外側照明部の1つ以上のカップレンズは、それぞれの前記カップレンズの出射面の法線方向に光軸が向いており、カップレンズ全体が回転されて配置されることで光軸が設定されている、
請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
前記カップレンズは、平板状の基板上に配置された光源をそれぞれ収容する入光側凹部を有し、前記基板と干渉する部分がカットされている、
請求項2に記載の照明装置。
【請求項4】
前記内側照明部および前記外側照明部を一体に覆い、短手方向に凹凸の溝が延在するレンチキュラーレンズが設けられたカバーレンズを備える、
請求項1~3のいずれか一つに記載の照明装置。
【請求項5】
前記カバーレンズのレンチキュラーレンズは、内面に設けられる、
請求項4に記載の照明装置。
【請求項6】
前記外側照明部の1つ以上のカップレンズは、前記装置出射面の短手方向に凹凸の溝が延在するレンチキュラーレンズが出射面に設けられる、
請求項1~3のいずれか一つに記載の照明装置。
【請求項7】
前記内側照明部および前記外側照明部を一体に覆い、短手方向に凹凸の溝が延在するレンチキュラーレンズが設けられたカバーレンズを備え、
前記外側照明部の1つ以上のカップレンズは、前記装置出射面の短手方向に凹凸の溝が延在するレンチキュラーレンズが出射面に設けられる、
請求項1~3のいずれか一つに記載の照明装置。
【請求項8】
前記カバーレンズのレンチキュラーレンズは、内面に設けられる、
請求項7に記載の照明装置。
【請求項9】
前記法線方向は、使用時の進行方向より下に傾斜されている、
請求項1に記載の照明装置。
【請求項10】
前記内側照明部よりも前記外側照明部の方が配光が広い、
請求項1~3のいずれか一つに記載の照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
トラクター等の農業機械に夜間の農作業を行うために設けられるワークランプとして用いられる照明装置がある。また、農業機械とは異なるが、建設機械の運転室の天井に設けられる作業灯が知られている(例えば、特許文献1等を参照)。
【0003】
従来の照明装置は、8個の略半球状の反射面が設けられた、アルミ蒸着されたリフレクタを有しており、反射面の根元の開口部にLED(Light Emitting Diode)等の光源が配置されている。また、リフレクタの出射側には、拡散のためにフライアイレンズが設けられたアウターレンズが配置される。
【0004】
図1は、従来の照明装置が2台、トラクターの上部に取り付けられた場合の路面照度分布の例を示す図である。
図1の下側の中央にトラクターがあり、2台の照明装置は、地面から2.5mの高さに、左右に1.5mの間隔をもって配置され、進行方向を照らしている。照明装置が2台とされているのは、水平方向の配光を広くするためである。
図1から明らかなように、正面の領域における路面照度は充分であるが、破線の三角形で示された左右の手前のトラクター前輪回りの領域に暗部が生じており、作業性や安全性を低下させる要因となり得る。
【0005】
一方、4台や8台の照明装置を搭載し、手動でそれぞれの照明装置の照射角度を変えることができるようにしたトラクターも提供されている。この場合、何台かの照明装置の照射角度をトラクター前輪回りに向けることで暗部を解消することが可能となるが、手動による調整が必要となり煩雑であった。また、照明装置の台数が多くなることで、照明装置の総重量の増加、消費電力の増大、コストアップ等の問題もあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述のように、夜間の農作業等における作業性や安全性を高めるためには、照射範囲が水平方向に広く、明るいものであるとともに、暗部が発生しないことが求められる。また、製品の軽さ、消費電力の少なさ、適正なコスト等も求められる。
【0008】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、ワークランプとして適切な照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の一態様に係る照明装置は、使用時の水平方向に対応する装置出射面の長手方向に一列に並べられる、列の内側に配置される内側照明部と、前記内側照明部の両脇に配置される2つの外側照明部とを備える。前記内側照明部は、使用時の略進行方向に対応する前記装置出射面の法線方向に光軸が向けられた中央のカップレンズと、光軸が前記法線方向から外側に向けられた両脇の2つ以上のカップレンズとを有し、前記外側照明部は、光軸が前記法線方向から外側および下側に向けられた1つ以上のカップレンズを有する。
【0010】
本発明の一態様に係る照明装置は、ワークランプとして適切な照明装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、従来の照明装置の照明装置が2台、トラクターの上部に取り付けられた場合の路面照度分布の例を示す図である。
【
図2】
図2は、トラクターへの照明装置の取付状態の例を示す図である。
【
図3】
図3は、一実施形態にかかる照明装置の装置出射面側の外観斜視図である。
【
図4】
図4は、
図3の照明装置の背面側からの外観斜視図である。
【
図6】
図6は、
図3の照明装置のカバーレンズを外した状態における正面図である。
【
図7】
図7は、
図6におけるz-z断面図(カバーレンズを省略せず)である。
【
図8A】
図8Aは、内側照明部を構成するカップレンズの設計例を示す図である。
【
図8B】
図8Bは、外側照明部を構成するカップレンズの設計例を示す図である。
【
図9A】
図9Aは、トラクター上に取り付けられた照明装置の内側照明部による照射範囲の例を示す図である。
【
図9B】
図9Bは、トラクター上に取り付けられた照明装置の外側照明部による照射範囲の例を示す図である。
【
図9C】
図9Cは、トラクター上に取り付けられた照明装置の全点灯(内側照明部および外側照明部)による照射範囲の例を示す図である。
【
図10】
図10は、カバーレンズと外側照明部を構成するカップレンズとにそれぞれレンチキュラーレンズが有る場合と無い場合との路面照度分布の違いの例を示す図である。
【
図11】
図11は、光源が8灯で2台の比較例(従来の照明装置)と光源が9灯で1台の実施形態(
図3~
図5)とにおける消費電力、配光イメージ、配光分布、路面照度分布の違いの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、実施形態に係る照明装置について図面を参照して説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、図面における各要素の寸法の関係、各要素の比率などは、現実と異なる場合がある。図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。また、1つの実施形態や変形例に記載された内容は、原則として他の実施形態や変形例にも同様に適用される。
【0013】
図2は、トラクターTへの照明装置1の取付状態の例を示す図である。
図2において、トラクターTの上部の前方に、長手方向を車幅方向(X軸方向)にして、進行方向(Y軸方向)に水平方向から例えば20°下を照射方向(光軸方向)にして、照明装置1が取り付けられる。これは、トラクターTの前輪回りから前方に渡って照明を行うためである。なお、以降の照明装置1の構造の説明においては、大文字のX、Y、Zに代え、小文字のx、y、zを用い、照明装置1の長手方向をx軸方向、照射方向をy軸方向、装置出射面の短手方向をz軸方向とする。
【0014】
図3は、一実施形態にかかる照明装置1の装置出射面側の外観斜視図である。
図4は、
図3の照明装置1の背面側からの外観斜視図である。
図5は、
図3の照明装置1の要部の分解斜視図である。
図3~
図5において、照明装置1は、横長の略直方体状の外形を有しており、ヒートシンク2と、基板3と、カップレンズ群4と、カップレンズホルダ5と、カバーレンズ6とを備えている。
【0015】
ヒートシンク2は、一方が開口となった蓋のない底のある箱状の金属製のヒートシンク筐体21と、ヒートシンク筐体21の背面(非出射面)側にネジ等により固定された金属製のヒートシンクブロック22~26とから構成されている。ヒートシンク2の背面のネジ穴21a、21b(
図4)は、内部のカップレンズホルダ5をヒートシンク筐体21に取り付けるためのネジ穴である。ヒートシンク筐体21の装置出射面側(カバーレンズ6側)のサイズは、例えば長手方向が350mm、短手方向が45mmであり、奥行は例えば48.5mmである。
【0016】
基板3は、金属製の板状の部材の上に絶縁層を介して配線が施されており、LED(Light Emitting Diode)等の光源31~39が実装されている。光源31が中央に設けられ、その両脇に光源32、33が設けられ、その両脇に光源34、35が設けられ、その両脇に光源36、37が設けられ、その両脇に光源38、39が設けられている。
【0017】
カップレンズ群4は、透明な樹脂等により形成されたカップレンズ41~49から構成されている。カップレンズ41~49は光源31~39にそれぞれ対応しており、光源31~39から発せられる光を集光する。光源31~35およびカップレンズ41~45は内側照明部401を構成し、光源36、38およびカップレンズ46、48は一方の外側照明部402を構成し、光源37、39およびカップレンズ47、49は他方の外側照明部403を構成している。
【0018】
カップレンズホルダ5は、樹脂等により構成され、カップレンズ41を収容する貫通孔5aと、カップレンズ42、44を収容する貫通孔5bと、カップレンズ43、45を収容する貫通孔5cと、カップレンズ46、47、48、49をそれぞれ収容する貫通孔5d、5e、5f、5gとを備えている。それぞれの貫通孔5a~5gには、カップレンズ41~49の出射面の外周部に設けられた凸部と係合する凹部が設けられており、カップレンズ41~49を基板3に押し付けた状態で姿勢が変わらないように保持するようになっている。カップレンズ41~49の詳細については更に後述される。
【0019】
カバーレンズ6は、透明な樹脂等により構成され、水平方向(x軸方向)への配光を広げるとともに、明るさのムラを低減させるために、裏面(カップレンズホルダ5側)にz軸方向に凹凸の溝が延在するレンチキュラーレンズが設けられている。裏面にレンチキュラーレンズが設けられることで、凹凸面が外部に露出することがなく、汚れ等がつきにくくなる。
【0020】
図6は、
図3の照明装置1のカバーレンズ6を外した状態における正面図である。
図7は、
図6におけるz-z断面図(カバーレンズ6を省略せず)である。カップレンズ41~49の基本的な形状はほぼ同じであり(後述のように、内側照明部401を構成するカップレンズ41~45と、外側照明部402、403を構成するカップレンズ46~49とでは出射角が若干変えられているが、同じでもよい)、それぞれの出射面の法線方向に光軸が向いているが、中央のカップレンズ41以外はカップレンズ全体が回転されて配置されることで光軸が変えられている。すなわち、内側照明部401のカップレンズ42~45は外側に光軸が傾けられており、カップレンズ42、43よりもカップレンズ44、45の傾きの方が大きくなっている。また、外側照明部402、403のカップレンズ46~49は外側および下側に光軸が傾けられており、カップレンズ46、47よりもカップレンズ48、49の傾きの方が大きくなっている。光軸が外側に広げられることで、1台の照明装置1により超広角の配光が可能となる。また、光軸を下側に広げることで、トラクター前輪回りの暗部をなくすことができる。
【0021】
また、基本的な形状がほぼ同様なカップレンズを使いまわすことで、個々のカップレンズを個別に設計する必要がなくなり、設計が容易になる。
【0022】
また、内側照明部401の中央のカップレンズ41以外は基板3と干渉する部分がカットされており、基板3上での光源32~39の配置が容易になるとともに、光源32~39からの光を漏らさずに受け入れることが可能となる。
【0023】
また、外側照明部402、403のカップレンズ46~49の出射面には、照明装置1の装置出射面の短手方向(z軸方向)に凹凸の溝が延在するレンチキュラーレンズが設けられている。このレンチキュラーレンズにより、使用時の水平方向に対して光の拡散が行われ、広配光とすることができるとともに、明るさのムラを低減させることができる。
【0024】
基本的な形状のカップレンズ41は、第1の外径の略円形の底面と、第1の外径よりも大きい第2の外径の略円形で、底面よりも出射側に光軸方向に離間した天面と、天面と底面とに、略円筒面状の縁部および略環状の段部を介して連なる略円錐面状の側面とを有している。また、底面の略中央には、光源31を収容する略円筒状の凹部が設けられている。略円筒状の凹部は、入射面を形成する壁面および内底面を備えている。カップレンズは、凹部内に収容される光源からの光が壁面および内底面を通してカップレンズの内部に入り、側面により全反射して出射する。
【0025】
図8Aは、内側照明部401を構成するカップレンズ41~45の設計例を示す図である。
図8Bは、外側照明部402、403を構成するカップレンズ46~49の設計例を示す図である。
図8Aおよび
図8Bにおいて、出射面となる天面まわりの縁部および段部は省略されている。
図8Aにおいて、内側照明部401を構成するカップレンズ41~45の最外周部における出射角は例えば8.3°に設定されている。また、
図8Bにおいて、外側照明部402、403を構成するカップレンズ46~49の最外周部における出射角は例えば9.2°に設定されている。外側照明部402、403の配光が内側照明部401よりも広く設定されているのは、外側照明部402、403が照らす対象となる前輪回りをやや広く照射するためである。
【0026】
図9Aは、トラクターT上に取り付けられた照明装置1の内側照明部401による照射範囲の例を示す図である。この場合の照射範囲は、横方向(水平方向、x軸方向)に拡がる略楕円形状のものとなっている。
図9Bは、トラクターT上に取り付けられた照明装置1の外側照明部402、403による照射範囲の例を示す図である。この場合の照射範囲は、トラクターTの前輪回りにそれぞれ進行方向(y軸方向)に拡がる略楕円形状のものとなっている。
図9Cは、トラクターT上に取り付けられた照明装置1の全点灯(内側照明部401および外側照明部402、403)による照射範囲の例を示す図であり、
図9Aの照射範囲と
図9Bの照射範囲とが重なったものとなる。
【0027】
図10は、カバーレンズ6と外側照明部402、403を構成するカップレンズ46~49とにそれぞれレンチキュラーレンズが有る場合と無い場合との路面照度分布の違いの例を示す図である。カバーレンズ6にレンチキュラーレンズが無く、外側照明部402、403を構成するカップレンズ46~49にもレンチキュラーレンズが無い場合、
図10の一番右の列に示されるように、正面方向も前輪回りも全点灯も明るさのムラが大きい。これに対し、カバーレンズ6にレンチキュラーレンズが有り、外側照明部402、403を構成するカップレンズ46~49にレンチキュラーレンズが無い場合、
図10の右から2番目の列に示されるように、正面方向と前輪回りと全点灯の明るさのムラがある程度緩和される。
【0028】
また、カバーレンズ6にレンチキュラーレンズが無く、外側照明部402、403を構成するカップレンズ46~49にレンチキュラーレンズが有る場合、
図10の右から3番目の列に示されるように、前輪回りの明るさのムラがある程度緩和されるが、正面方向の明るさのムラは大きく、全点灯においても明るさのムラが大きい。また、実施形態のように、カバーレンズ6にレンチキュラーレンズが有り、外側照明部402、403を構成するカップレンズ46~49にもレンチキュラーレンズが有る場合、
図10の左から2番目の列に示されるように、正面方向も前輪回りも全点灯も明るさのムラが最も小さくなる。
【0029】
図11は、光源が8灯で2台の比較例(従来の照明装置)と光源が9灯で1台の実施形態(
図3~
図5)とにおける消費電力、配光イメージ、配光分布、路面照度分布の違いの例を示す図である。
図11において、路面照度分布は比較例に比べて実施形態ではトラクター前輪回りが強化され、暗部も解消している。また、消費電力も比較例の55.2Wから29.25Wというように省電力化されている。
【0030】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【0031】
以上のように、実施形態に係る照明装置は、使用時の水平方向に対応する装置出射面の長手方向に一列に並べられる、列の内側に配置される内側照明部と、内側照明部の両脇に配置される2つの外側照明部とを備え、内側照明部は、使用時の略進行方向に対応する装置出射面の法線方向に光軸が向けられた中央のカップレンズと、光軸が法線方向から外側に向けられた両脇の2つ以上のカップレンズとを有し、外側照明部は、光軸が法線方向から外側および下側に向けられた1つ以上のカップレンズを有する。これにより、ワークランプとして適切な照明装置を提供することができる。
【0032】
すなわち、装置出射面の長手方向に一列に並べられた内側照明部と両脇の外側照明部とにより水平方向に広い配光を得ることができ、両脇下側の暗部を低減させることができる。また、カップレンズにより、リフレクタタイプに比べて光のロスを低減させ、配光の調整が容易となるため、明るさを高めることができる。これらにより、夜間の農作業等における作業性や安全性を高めることができる。また、1台で完結していることから、製品の軽さ、消費電力の少なさ、適正なコスト等も実現可能である。
【0033】
また、内側照明部の両脇のカップレンズおよび外側照明部の1つ以上のカップレンズは、それぞれのカップレンズの出射面の法線方向に光軸が向いており、カップレンズ全体が回転されて配置されることで光軸が設定されている。これにより、各カップレンズは光軸を出射面の法線方向に向けた基本的・標準的なものとして設計することが可能となり、設計が容易になる。
【0034】
また、カップレンズは、平板状の基板上に配置された光源をそれぞれ収容する入光側凹部を有し、基板と干渉する部分がカットされている。これにより、基板上での光源の配置が容易になるとともに、光源からの光を漏らさずに受け入れることが可能となる。
【0035】
また、内側照明部および外側照明部を一体に覆い、短手方向に凹凸の溝が延在するレンチキュラーレンズが設けられたカバーレンズを備える。これにより、使用時の水平方向に対して光の拡散が行われ、広配光とすることができるとともに、明るさのムラを低減させることができる。
【0036】
また、外側照明部の1つ以上のカップレンズは、装置出射面の短手方向に凹凸の溝が延在するレンチキュラーレンズが出射面に設けられる。これにより、使用時の水平方向に対して光の拡散が行われ、広配光とすることができるとともに、明るさのムラを低減させることができる。
【0037】
また、内側照明部および外側照明部を一体に覆い、短手方向に凹凸の溝が延在するレンチキュラーレンズが設けられたカバーレンズを備え、外側照明部の1つ以上のカップレンズは、装置出射面の短手方向に凹凸の溝が延在するレンチキュラーレンズが出射面に設けられる。これにより、使用時の水平方向に対して光の拡散が行われ、広配光とすることができるとともに、明るさのムラを低減させることができる。
【0038】
また、カバーレンズのレンチキュラーレンズは、内面に設けられる。これにより、凹凸面が外部に露出することがなく、汚れ等がつきにくくなる。
【0039】
また、法線方向は、使用時の進行方向より下に傾斜されている。これにより、トラクター等の上部中央に取り付けられた際に、前輪回りから前方に渡って照明を行うことができる。
【0040】
また、内側照明部よりも外側照明部の方が配光が広い。これにより、外側照明部が照らす対象となる前輪回りをやや広く照射することができる。
【0041】
また、上記実施の形態により本発明が限定されるものではない。上述した各構成要素を適宜組み合わせて構成したものも本発明に含まれる。また、さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。よって、本発明のより広範な態様は、上記の実施の形態に限定されるものではなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0042】
1 照明装置,2 ヒートシンク,21 ヒートシンク筐体,21a、21b ネジ穴,22~26 ヒートシンクブロック,3 基板,31~39 光源,4 カップレンズ群,41~49 カップレンズ,401 内側照明部,402、403 外側照明部,5 カップレンズホルダ,5a~5g 貫通孔,6 カバーレンズ,T トラクター