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特開2024-24674建造物の状態記録方法、プログラム及び情報処理装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024024674
(43)【公開日】2024-02-22
(54)【発明の名称】建造物の状態記録方法、プログラム及び情報処理装置
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/163 20240101AFI20240215BHJP
【FI】
G06Q50/163
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023217856
(22)【出願日】2023-12-25
(62)【分割の表示】P 2021193585の分割
【原出願日】2021-11-29
(71)【出願人】
【識別番号】301074241
【氏名又は名称】斎藤 孝幸
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 竜太
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 孝幸
(57)【要約】
【課題】的確に建造物6の特徴を記録する。
【解決手段】建造物6の状態を示す画像33を管理サーバ1に管理させる建造物6の状態記録方法であって、建造物6の状態を含む画像33を撮影する撮影位置31をユーザ端末3に提示する提示ステップと、ユーザ端末3から撮影位置31で撮影した画像33を取得し、撮影位置31と関連付けて記録する記録ステップと、を含む建造物6の状態記録方法、プログラム及び情報処理装置を提供する。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建造物の状態を示す画像をコンピュータに管理させる建造物の状態記録方法であって、
前記建造物の状態を含む前記画像を撮影する撮影位置をユーザ端末に提示する提示ステップと、
前記ユーザ端末から前記撮影位置で撮影した前記画像を取得し、前記撮影位置と関連付けて記録する記録ステップと、
を含む建造物の状態記録方法。
【請求項2】
前記提示ステップでは、
前記ユーザ端末の表示部に、前記建造物の間取り及び前記撮影位置を示す模式図を出力する請求項1に記載の建造物の状態記録方法。
【請求項3】
前記記録ステップでは
前記画像の撮影方向と、
前記画像中に設定される特徴位置と、
前記特徴位置に対応して撮影された特徴位置画像と、
を前記画像に関連付けて記録する請求項1又は請求項2に記載の建造物の状態記録方法。
【請求項4】
前記記録ステップでは、
前記ユーザ端末による前記特徴位置を設定させる操作を受け付ける請求項3に記載の建造物の状態記録方法。
【請求項5】
前記ユーザ端末からの画像提示要求を受け付けると、前記特徴位置を含む前記画像を前記ユーザ端末に出力する第1出力ステップと、
前記第1出力ステップで前記ユーザ端末に前記画像が表示された状態で前記特徴位置を指定するユーザの操作を受け付けると、前記特徴位置画像を当該ユーザ端末に出力する第2出力ステップと、を含む請求項3又は請求項4に記載の建造物の状態記録方法。
【請求項6】
前記建造物に対して第1の時点で取得された前記撮影位置の前記画像である第1画像と、
前記第1の時点とは異なる第2の時点で同一の前記撮影位置で撮影された前記画像である第2画像と、
を前記ユーザ端末に表示する比較ステップを含む
請求項1から5の何れか1項に記載の建造物の状態記録方法。
【請求項7】
建造物の状態を示す画像をコンピュータに管理させる建造物の状態記録プログラムであって、
前記建造物の状態を含む前記画像を撮影する撮影位置をユーザ端末に提示する機能と、
前記ユーザ端末から前記撮影位置で撮影した前記画像を取得し、前記撮影位置と関連付けて記録する機能と、
をコンピュータに実行させるプログラム。
【請求項8】
建造物の状態を示す画像を管理して建造物の状態を記録する情報処理装置であって、
前記建造物の状態を含む前記画像を撮影する撮影位置をユーザ端末に提示する提示部と、
前記ユーザ端末から前記撮影位置で撮影した前記画像を取得し、前記撮影位置と関連付けて記録する記録部と、
を備える情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建造物の状態記録方法、プログラム及び情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建造物の管理を行うのに情報処理装置を使用する技術が提案されている。この種の技術が記載されているものとして例えば特許文献1がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-229230号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
賃貸借物件における賃借人の退居時の清算は、紛争に発展する事もある。入居時からあった傷や汚れを証明する手段が限られている事や、撮影位置等の正確な情報を記録する事が困難な点が挙げられる。
【0005】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、その目的は、的確に建造物の特徴を記録する建造物の状態記録方法、プログラム及び情報処理装置を提供する事を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る建造物の状態記録方法は、建造物の状態を示す画像をコンピュータに管理させる建造物の状態記録方法であって、建造物の状態を含む画像を撮影する撮影位置をユーザ端末に提示する提示ステップと、ユーザ端末から撮影位置で撮影した画像を取得し、撮影位置と関連付けて記録する記録ステップと、を含む。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、的確に建造物の特徴を記録する建造物の状態記録方法、プログラム及び情報処理装置を提供する事ができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態に係る建造物の状態記録方法において用いられるシステム構成を示す概念図である。
図2】本発明の一実施形態に係るユーザがユーザ端末を用いて画像を撮影する様子を示す模式図である。
図3】本発明の一実施形態に係るコンピュータのハードウェア構成を示すブロック図である。
図4】本発明の一実施形態に係るコンピュータの機能的構成を示すブロック図である。
図5】本発明の一実施形態に係る情報格納装置の機能的構成を示すブロック図である。
図6】本発明の一実施形態に係る外部機関の情報処理装置の機能的構成を示すブロック図である。
図7】本発明の一実施形態に係るユーザ端末に表示される画像の例を示す模式図である。
図8】本発明の一実施形態に係るユーザ端末に表示される画像に付加されるマーカの例を示す模式図である。
図9】本発明の一実施形態に係る特徴位置画像の例を示す模式図である。
図10】本発明の一実施形態に係る画像と特徴位置画像との関係を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態に係る建造物6の状態記録方法について、図面を参照しながら説明する。
【0010】
図1に示すように、本発明の一実施形態に係る建造物6の状態記録方法が適用される建造物6の状態記録システム100は、的確に建造物6の特徴を記録するものであり、ユーザ端末3や不動産管理端末4と通信を行う管理サーバ1によって実現される。
【0011】
管理サーバ1は、例えば建造物6の状態記録システム100を提供するシステム提供会社に配置されるサーバ機能を有する情報処理装置(コンピュータ)である。管理サーバ1は、建造物6の状態を記録するための各種の情報を記憶管理する管理情報データベース2と通信を行う。
【0012】
管理情報データベース2は、例えばユーザ端末3を所持するユーザ30の情報や、建造物6に関する情報等を記憶する情報格納装置である。建造物6に関する情報には、後述するユーザ端末3によって取得された建造物6の画像33も含まれる。
【0013】
ユーザ端末3は、例えばユーザ30が有する携帯可能な情報処理端末である。ユーザ端末3は、例えば、スマートフォンやタブレット端末等である。本実施形態のユーザ端末3は、外部のコンピュータと通信する通信機能、画像を表示する画像表示機能の他、画像を撮像する撮像機能を有するカメラ内蔵型のコンピュータである。なお、ユーザ端末3は、通信機能を有するコンピュータとカメラが一体的に構成されるものに限られず、コンピュータが外部のカメラと通信して画像を取得するような複数の装置によって構成されるものでもよい。
【0014】
ユーザ端末3には、予め管理サーバ1から送信される情報に基づいて動作するプログラムとしてのアプリケーションがインストールされている。当該アプリケーションは、管理サーバ1からの指示の受け取り、間取り61の表示、撮影方向32の指示、撮影、画像33の一時保存、画像33の管理サーバ1への送付等を行う。
【0015】
図2には、ユーザ30がユーザ端末3を操作して建造物6の画像33等を撮影する様子が示される。上記の通り、ユーザ端末3は、スマートフォンやタブレット端末等、特に限定されるものではないが、図2ではタブレット端末型のユーザ端末3が例示されている。ユーザ端末3で撮影された画像33は、管理サーバ1を介して管理情報データベース2に記憶される。
【0016】
不動産管理端末4は、例えば建造物6を管理する不動産管理会社に配置されるコンピュータである。不動産管理端末4は、管理サーバ1とネットワーク5を介して通信する。不動産管理端末4は、管理サーバ1を介して管理対象の建造物6に関する情報を管理情報データベース2から取得したり、ユーザ30や建造物6に関する情報を管理情報データベース2に記憶したりすることができる。
【0017】
次に、管理サーバ1のハードウェア構成について説明する。図3に示すように、本発明の一実施形態に係る管理サーバ1は、ハードウェアとして、プロセッサ11と、ROM(Read Only Memory)12と、RAM(Random Access Memory)13と、入出力部16と、通信部17と、入出力インターフェース15とを有する。
【0018】
プロセッサ11は、各種演算及び処理を行う。プロセッサ11は、例えば、CPU(central processing unit)、MPU(micro processing unit)、SoC(system on a chip)、DSP(digital signal processor)、GPU(graphics processing unit)、ASIC(application specific integrated circuit)、PLD(programmable logic device)又はFPGA(field-programmable gate array)等である。或いは、プロセッサ11は、これらのうちの複数を組み合わせたものである。また、プロセッサ11は、これらにハードウェアアクセラレーター等を組み合わせたものあっても良い。
【0019】
プロセッサ11、ROM12及びRAM13は、バス14を介して相互に接続されている。プロセッサ11は、ROM12に記録されているプログラム又はRAM13にロードされたプログラムに従って各種の処理を実行する。プログラムの一部又は全部は、プロセッサ11の回路内に組み込まれていても良い。
【0020】
バス14は入出力インターフェース15にも接続される。入出力インターフェース15には、入出力部16と、通信部17と、が接続されている。
【0021】
なお、ユーザ端末3及び不動産管理端末4も、管理サーバ1と同様のハードウェア構成を有する。
【0022】
管理サーバ1の機能的構成について図4を用いて説明し、管理情報データベース2の機能的構成について図5を用いて説明し、不動産管理端末4の機能的構成について図6を用いて説明する。以下の説明においては、図7から図9が適宜参照される。各機能部は、図3に示すハードウェアのプロセッサ11等によって実現される。
【0023】
管理サーバ1は、画像受付部101と、特徴画像受付部102と、撮影位置取得部103と、撮影方向取得部104と、間取り取得部105と、特徴位置受付部106と、撮影指示部107と、画像表示部108と、を機能部として有する。管理情報データベース2は、ユーザ情報記憶部201と建造物情報記憶部202と第1の時点記憶部203、第2の時点記憶部204とを有する。不動産管理端末4は情報記憶部401を有する。
【0024】
管理サーバ1の画像受付部101は、ユーザ端末3の撮影した画像33を受け付ける(図4参照)。特徴画像受付部102は、ユーザ端末3の撮影した特徴位置画像34(図9参照)を受け付ける。撮影位置取得部103は、例えば、間取り61(図7参照、以下省略)に基づいて撮影位置31を導出する。撮影方向取得部104は、例えば、間取り61に基づいて撮影方向32を導出する。間取り取得部105は、建造物6(図2参照、以下略)の間取り61を管理情報データベース2の建造物情報記憶部202から取得する。特徴位置受付部106は、建造物6の特徴的な部分、例えば傷或いは汚れ、の位置をユーザ端末3から受け付ける。撮影指示部107は、撮影を指示する。画像表示部108は、ユーザ端末3の表示画面に画像33或いは特徴位置画像34を表示する。
【0025】
図5に示すように、管理情報データベース2の有するユーザ情報記憶部201はユーザ30に関する情報を記憶する。建造物情報記憶部202は、建造物6に関する情報を記憶する。第1の時点記憶部203は、第1の時点における撮影位置31、撮影方向32、画像33、特徴位置画像34、マーカ35、目安線36等を記憶する。第2の時点記憶部204は、第2の時点における撮影位置31、撮影方向32、画像33、特徴位置画像34、マーカ35、目安線36等を記憶する。
【0026】
図6に示すように、不動産管理端末4が有する情報処理装置の情報記憶部401には、ユーザ30の情報、例えば信用情報、及び、建造物6の情報、例えば所有者、施工業者、竣工日、補修履歴等が記憶される。
【0027】
本発明の一実施形態に係る建造物6の状態記録方法について、図7から9に示すユーザ端末3の画面の表示を用いて説明する。図1から図6に示す、システム構成、ハードウェア構成、機能的構成を適宜参照する。
【0028】
(撮影機能及び画像管理方法)
ユーザ端末3には、上記したように、予め管理サーバ1から送信される情報に基づいて動作するプログラムとしてのアプリケーションがインストールされている。
【0029】
アプリケーションが起動されると、画像表示部108は、対象となる建造物6についての情報、例えば住所或いは建造物6の識別番号等の入力を促すメッセージをユーザ端末3に表示する。ユーザ30による入力により建造物6が特定される。
【0030】
建造物6が特定されると、ユーザ端末3の間取り取得部105は特定された建造物6に対応する間取り61を示す情報を管理情報データベース2より取得する。画像表示部108は端末画面に、建造物6の入居する部屋の間取り61を示す情報に基づいて図7に示すような模式図を表示する。図7では、例えば(1)台所、(2)リビングルーム、(3)居間、(4)脱衣場、(5)風呂の配置が表示される。
【0031】
まず、撮影指示部107は第1段階の撮影を指示する。第1段階は建造物6全体を記録する事を主目的とする。第1段階では撮影枚数は必要最小限に留められる。
【0032】
撮影位置取得部103は、間取り61に基づいて建造物6を隈なく撮影できるように撮影位置31を導出する。また、撮影方向取得部104は、間取り61に基づいて建造物6を隈なく撮影できるように各撮影位置31における撮影方向32を導出する。
【0033】
撮影指示部107は、撮影位置31及び撮影方向32を画面上の間取り図内に複数表示する。撮影位置31及び撮影方向32は、全方位の壁、床、天井及び住宅設備等をカバーできる位置に表示される。撮影が終了した部位については例えば色塗りがされ、撮影が終わっていない箇所は一目で分かる。例えば、図7の右下に示すように、リビングルームの中央付近に撮影位置31が設定され、撮影方向32が設定される。
【0034】
そして、撮影指示部107は、図7の下方に示すように、ユーザ端末3の画面上に、「撮影位置に移動し、「カメラモードへの切替」をタップしてください」と表記し、「カメラモードへ切替」との表記を伴うボタンを表示する。ユーザ30はこの指示に従い、「カメラモードへ切替」の表記を伴うボタンをタップし、次に、実際に撮影指示部107の指示に従って画像33を撮影する。画像受付部101は、この撮影された画像33を受け付け、管理情報データベース2の第1の時点記憶部203に記憶させる。
【0035】
次に、撮影指示部107は、第2段階の撮影を指示する。第2段階は、傷・汚れ等の詳細を記録する事を主目的とする。第2段階の写真を撮影する前に、撮影指示部107は、第1段階で撮影した画像33をユーザ端末3画面上に表示する。
【0036】
特徴位置受付部106は、撮影指示部107が表示した画像33に特徴位置62を明確化するためのマーカ35を付するようにユーザ30に促す。マーカ35の役割は第1段階の画像33のどのあたりについている特徴、例えば傷或いは汚れ、なのかを正確に記録する事が目的となる。図8は、マーカ35の付された画像33の例を示す。ユーザ端末3上には、特徴位置受付部106が受け付ける、「(b)-2(東側)の壁写真」という情報とともに、マーカ35の付された画像33が表示される。これは、特徴位置62を含む画像33をユーザ端末3に出力する第1出力ステップである。マーカ35の位置をより分かりやすくするため、撮影指示部107は、画像33に例えば目安線36を付す。
【0037】
撮影指示部107は、ユーザ端末3の画面上に、画像33に付されたマーカ35をタップするように指示する文言を表示する。この指示に従いユーザ30はマーカ35をタップし、撮影指示部107はタップを検知し、ユーザ端末3による特徴位置62を設定させる操作を受け付ける。撮影指示部107はユーザ端末3を撮影画面に切り替えさせる。
【0038】
図9は、撮影指示部107の指示に則ってユーザ30が撮影する特徴位置画像34の例を示す。特徴位置受付部106が受け付ける、「(b)-2(東側)の壁写真」という情報とともに、光量が足りているという情報、撮影モードであることの情報等を撮影指示部107がユーザ端末3の画面上に表示する。図9においては、S字状についた傷を映した特徴位置画像34の例が示されている。特徴画像受付部102は、この撮影された特徴位置画像34を受け付け、管理情報データベース2に記憶させる。この特徴位置画像34の情報は、マーカ35と紐づけられる。
【0039】
後述する第2の時点で画像33或いは特徴位置画像34を呼び出す際は、特徴位置62を含む画像33をユーザ端末3に出力するステップの後、ユーザ端末3に画像33が表示された状態で特徴位置62を指定するユーザ30の操作、例えば特徴位置62を示すマーカ35のタップ、を受け付けると、特徴位置画像34をユーザ端末3に出力する。正確かつ効率的に特徴位置画像34(例えば、傷或いは汚れ)の管理及び第2の時点での確認ができる。
【0040】
(画像33及び特徴位置画像34の撮影方法及び登録情報について)
ここで、本発明の一実施形態に係る画像33及び特徴位置画像34の撮影方法及び登録情報について説明する。
【0041】
壁を撮影する場合には、撮影指示部107は、第1段階の写真として、最低でも4方向の壁全てを撮影する指示を行う。対象の建造物6の広さや間取り61により、撮影枚数は変動する。天井或いは床を撮影する場合には、撮影指示部107は、対角線上の部屋の隅から撮影し、撮影者の真下・真上等の死角をカバーするように撮影位置31及び撮影方向32を導出し、ユーザ端末3に撮影指示を表示する。
【0042】
撮影位置取得部103は、傷或いは汚れの見落としをしやすいポイント(玄関ドア、建具、住宅設備等)について、撮影漏れのないようにチェック項目を設ける。撮影指示部107は、端末内のセンサーを活用して撮影時の光量をコントロールし、光量不足の写真は登録できないようにする。この場合には、例えば、撮影指示部107は、撮影位置取得部103に対してエラーを返す。
【0043】
画像受付部101及び特徴画像受付部102が画像33及び特徴位置画像34にそれぞれ紐づけて登録する情報は、日付・撮影者・撮影場所を例えば含み、更に例えば測位システムを用いた位置情報を含む。
【0044】
画像33及び特徴位置画像34は管理情報データベース2に格納される。管理情報データベース2は、画像33及び特徴位置画像34を、建造物6の持ち主、管理会社、建造物6の賃貸人或いは賃借人に対して、閲覧或いは確認を許可する。
【0045】
(第1の時点と第2の時点での建造物6の状態記録)
ここまで、本発明の一実施形態に係る建造物6の状態を記録する方法について説明してきたが、この記録を第1の時点と第2の時点とで行うことについて以下説明する。
【0046】
まず第1の時点にて上記のように、管理サーバ1は、画像33及び特徴位置画像34の撮影をユーザ端末3に実行させ、撮影位置31及び撮影方向32等とともに管理情報データベース2の第1の時点記憶部203に記憶させる。第1の時点における画像33或いは特徴位置画像34は第1画像37である。第1の時点とは、例えば、建造物6が賃貸借物件であり、賃借人の入居時或いは入居直前である。
【0047】
次に、第2の時点にて、上記のように、管理サーバ1は、画像33及び特徴位置画像34の撮影をユーザ端末3に実行させ、撮影位置31及び撮影方向32等とともに管理情報データベース2の第2の時点記憶部204に記憶させる。第2の時点における特徴位置画像34は第2画像38である。第2の時点とは、例えば、建造物6が賃貸借物件であり、賃借人の退居時或いは退居直後である。
【0048】
管理サーバ1が有する比較部109は、第1の時点と第2の時点とにおいて、同一の撮影位置31及び同一の撮影方向32で撮影された画像33を検出し、更に、同一の特徴位置62或いは画像33中の同一のマーカ35に基づいて撮影された特徴位置画像34を検出する。そして、比較部109は、第1の時点の画像33或いは特徴位置画像34である第1画像37と第2の時点の画像33或いは特徴位置画像34である第2画像38とを比較し得るように表示し、更に例えば自動的に比較する。
【0049】
図10は、比較部109が第1の時点での画像33である第1画像37と第2の時点での特徴位置画像34である第2画像38とをユーザ端末3に表示する例である。(a)と付されている上段の写真は、比較部109が表示するもので、第1の時点(撮影日XX年XX月XX日)に撮影されており、(b)と付されている下段の写真は、比較部109が表示するもので、第2の時点(撮影日YY年YY月YY日)に撮影されている。
【0050】
時系列に説明を加える。第2の時点で特徴位置62にあるS字状の傷が発見され、これを撮影指示部107が撮影するように指示する。特徴位置62には、第1の時点では傷はないので、第1の時点において特徴位置画像34は撮影されていない。そこで、比較部109は、特徴位置62を含む第1の時点における画像33を検出し、特徴位置62に対応して第2画像38に付されるマーカ35に基づいて、第1の時点における画像33を拡大表示させる。
【0051】
第1の時点においては存在しなかった傷が第2の時点では存在することから、第1の時点と第2の時点との間において付された傷であることが分かる。例えば、第1の時点から賃借人が賃借入居し、第2の時点にて賃借人が退居した場合、当該賃借人の賃借中に傷が付されたことが明確となる。
【0052】
退去時にも入居者及び管理会社の両者が入居時と同様の手順で記録を残すことで、よりお互いの不正が起きない状態を作る事ができ、公平な補修の清算が可能となる。
【0053】
これまで賃借人と賃貸人(管理会社)との間で日常的に起きていた補修費を巡る紛争を減少させる事ができる。建造物6の賃貸管理関係者(賃借人・賃貸人・管理会社・保証会社)にとって、下記のような大きなメリットを得る事ができる。賃借人にとっては、不当な補修費の請求を防ぐ事ができ、敷金がより多く戻ってくるだけでなく、住まい方等自らの努力により保証会社からキャッシュバックを得られる。貸主にとっては、所有する建造物6の資産価値を高い水準で維持ができ、良い条件で賃借人を募集する事ができる。保証会社にとっては、退室時の事故率を抑えられ、賃借人へキャッシュバックという形で還元することができる。
【0054】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記の実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。例えば、上記の実施形態では、管理サーバ1と管理情報データベース2が別に存在しているが、一つの管理サーバ1上に管理情報データベース2を有する構成も可能である。
【0055】
また、管理サーバ1がユーザ端末3に組み込まれている構成も可能である。この場合には、ユーザ端末3に、図4に示す管理サーバ1の有する機能構成の一部、場合によっては全部を実行させるプログラムがインストールされでもよい。
【0056】
また、機能部の一部を省略したり、別の機能部を追加したりする等、管理サーバ1或いはユーザ端末3が有する機能部の構成は適宜変更することができる。
【0057】
また、上記した一連の処理をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、コンピュータ等にネットワーク5及び記録媒体からインストールされる。このようなプログラムを含む記録媒体は、ユーザ端末3にプログラムを提供するために装置本体とは別に配布されるリムーバブルメディアにより構成されるだけでなく、装置本体に予め組み込まれた状態で提供される記録媒体等で構成される。リムーバブルメディアは、例えば、磁気ディスク(フロッピディスクを含む)、光ディスク、又は光磁気ディスク等により構成される。光ディスクは、例えば、CD-ROM(Compact Disk-Read Only Memory),DVD(Digital Versatile Disk),Blu-ray(登録商標) Disc(ブルーレイディスク)等により構成される。光磁気ディスクは、MD(Mini-Disk)等により構成される。また、装置本体に予め組み込まれた状態で借り手に提供される記録媒体は、例えば、プログラムが記録されているプログラムメモリ及びハードディスク等で構成される。
【0058】
以上説明した実施形態に係る建造物6の状態記録方法によれば以下のような効果が奏される。
【0059】
建造物6の状態記録方法は、建造物6の状態を示す画像33を管理サーバ1に管理させる建造物6の状態記録方法であって、建造物6の状態を含む画像33を撮影する撮影位置31をユーザ端末3に提示する提示ステップと、ユーザ端末3から撮影位置31で撮影した画像33を取得し、撮影位置31と関連付けて記録する記録ステップと、を含む。
【0060】
これにより、的確に建造物6の特徴を記録することができる。
【0061】
建造物6の状態記録方法における提示ステップは、ユーザ端末3の表示部に、建造物6の間取り61及び撮影位置31を示す模式図を出力する。
【0062】
これにより、間取り61或いは見取り図と画像33を対比することにより特徴位置62がより明確になる。
【0063】
建造物6の状態記録方法において、記録ステップは画像33の撮影方向32と、画像33中に設定される特徴位置62と、特徴位置62に対応して撮影された特徴位置画像34とを画像33に関連付けて記録する。
【0064】
これにより、建造物6における特徴位置62を2段階の表示を利用してより明確にし、建造物6の状態を記録することができる。
【0065】
建造物6の状態記録方法において、記録ステップは、ユーザ端末3による特徴位置62を設定させる操作を受け付ける。
【0066】
これにより、マーカ35があることにより、特徴位置62がより明確になる。
【0067】
建造物6の状態記録方法は、ユーザ端末3からの画像提示要求を受け付けると、特徴位置62を含む画像33をユーザ端末3に出力する第1出力ステップと、第1出力ステップでユーザ端末3に画像33が表示された状態で特徴位置62を指定するユーザ30の操作を受け付けると、特徴位置画像34を当該ユーザ端末3に出力する第2出力ステップと、を含む。
【0068】
これにより、正確かつ効率的に特徴位置画像34の管理及び第2の時点或いは賃借人の退居時での確認ができる。
【0069】
建造物6の状態記録方法は、建造物6に対して第1の時点で取得された撮影位置31の画像33である第1画像37と、第1の時点とは異なる第2の時点で同一の撮影位置31で撮影された特徴位置画像34である第2画像38と、をユーザ端末3に表示する比較ステップを含む。
【0070】
これにより、建造物6の状態の変化が明確になる。賃借人が入退居時に当アプリを使い、建造物6の傷・汚れ等を記録する事で、賃貸退去時に発生する壁・室内の傷等についての責任の所在を、賃借人及び賃貸人(又は管理会社)が正確に判断できるように補助し、賃借人も賃貸人(又は管理会社)も、お互いが公平な立場で補修費の清算に向き合えるようにする。
【0071】
プログラムは、建造物6の状態を示す画像33をコンピュータに管理させる建造物6の状態記録プログラムであって、建造物6の状態を含む画像33を撮影する撮影位置31をユーザ端末3に提示する機能と、ユーザ端末3から撮影位置31で撮影した画像33を取得し、撮影位置31と関連付けて記録する機能と、をコンピュータに実行させる。
【0072】
これにより、的確に建造物6の特徴を記録することができる。
【0073】
情報処理装置は、建造物6の状態を示す画像33を管理して建造物6の状態を記録する情報処理装置であって、建造物6の状態を含む画像33を撮影する撮影位置31をユーザ端末3に提示する提示部と、ユーザ端末3から撮影位置31で撮影した画像33を取得し、撮影位置31と関連付けて記録する記録部と、を備える。
【0074】
これにより、的確に建造物6の特徴を記録することができる。
【符号の説明】
【0075】
1 管理サーバ
2 管理情報データベース
3 ユーザ端末
4 不動産管理端末
5 ネットワーク
6 建造物
図1
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