(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024024675
(43)【公開日】2024-02-22
(54)【発明の名称】コンバイン
(51)【国際特許分類】
A01D 69/00 20060101AFI20240215BHJP
A01F 12/46 20060101ALI20240215BHJP
【FI】
A01D69/00 302Z
A01F12/46
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023218131
(22)【出願日】2023-12-25
(62)【分割の表示】P 2021176365の分割
【原出願日】2021-10-28
(71)【出願人】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】奥村 和哉
(72)【発明者】
【氏名】五島 一実
(72)【発明者】
【氏名】板山 真
(72)【発明者】
【氏名】西崎 宏
(57)【要約】
【課題】刈取装置を下降させ、且つ、排出オーガを作動させて穀粒を機外に排出している排出作業時に、機体の走行を禁止するコンバインがある。然しながら、通常の排出作業時には刈取装置は上動しているので、排出オーガを作動させて穀粒を機外に排出している時に、機体を自由に前進または後進操作することができ、排出オーガから穀粒がこぼれるような事態が発生していた。そこで、排出作業時に機体を前進または後進操作しても排出オーガから収穫物がこぼれるような事態を防止して適切な排出作業が行えるコンバインを提供する。
【解決手段】グレンタンク7内の収穫物を機外に排出する排出オーガ8を設けたコンバインにおいて、排出オーガ8を作動させてグレンタンク7内の収穫物を機外に排出する排出作業中に機体を前進または後進する操作がされた場合に、排出オーガ8の作動を停止する制御装置を設ける。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体フレーム(1)の前側に刈取装置(3)を設け、刈取装置(3)の後方に脱穀装置(4)と操縦部(5)と収穫物を貯留するグレンタンク(7)を設けると共に、グレンタンク(7)内の収穫物を機外に排出する排出オーガ(8)を設けたコンバインにおいて、
排出オーガ(8)を作動させてグレンタンク(7)内の収穫物を機外に排出する排出作業中に機体を前進または後進する操作がされた場合に、排出オーガ(8)の作動を停止する制御装置(65)を設けたコンバインであって、
排出オーガ(8)の作動を停止した後に前進または後進することを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
排出作業中に駐車ブレーキペダル(15)が踏み込み操作されている状態であれば、機体を前進または後進する操作がされても、排出オーガ(8)の作動を停止しないことを特徴とする請求項1に記載のコンバイン。
【請求項3】
排出作業中に機体を前進または後進する操作により、制御装置(65)が排出オーガ(8)の作動を停止した後は、機体を停止操作しても排出オーガ(8)の作動は停止したままであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のコンバイン。
【請求項4】
排出作業中に機体を前進または後進する操作により、制御装置(65)が排出オーガ(8)の作動を停止した後は、機体を停止操作しなければ排出オーガ(8)の作動を規制することを特徴とする請求項1~請求項3の何れか1項に記載のコンバイン。
【請求項5】
排出オーガ(8)を収納位置から排出作用位置にしている状態では、モードセレクト操作具(13E)を路上走行モードにしていても、制御装置(65)が副変速装置を中速または低速にすることを特徴とする請求項1~請求項4の何れか1項に記載のコンバイン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グレンタンク内の収穫物を機外に排出する排出オーガを設けたコンバインに関するものである。
【背景技術】
【0002】
機体フレームの前側に穀稈を収穫する刈取装置を設け、刈取装置の後方に刈取装置で収穫された穀稈を脱穀・選別処理する脱穀装置と操縦者が搭乗する操縦部と脱穀・選別処理された穀粒を貯留するグレンタンクを設けると共に、グレンタンク内の穀粒を機外に排出する排出オーガを設けたコンバインが知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のコンバインは、刈取装置を下降させ、且つ、排出オーガを作動させて穀粒を機外に排出している排出作業時には、機体の走行を禁止していた。然しながら、通常の排出作業時には刈取装置は上動しているので、排出オーガを作動させて穀粒を機外に排出している時に、機体を自由に前進または後進操作することができ、排出オーガから穀粒がこぼれるような事態が発生していた。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、排出作業時に機体を前進または後進操作しても排出オーガから収穫物がこぼれるような事態を防止して適切な排出作業が行えるコンバインを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の本発明は、
機体フレーム(1)の前側に刈取装置(3)を設け、刈取装置(3)の後方に脱穀装置(4)と操縦部(5)と収穫物を貯留するグレンタンク(7)を設けると共に、グレンタンク(7)内の収穫物を機外に排出する排出オーガ(8)を設けたコンバインにおいて、排出オーガ(8)を作動させてグレンタンク(7)内の収穫物を機外に排出する排出作業中に機体を前進または後進する操作がされた場合に、排出オーガ(8)の作動を停止する制御装置(65)を設けたコンバインであって、排出オーガ(8)の作動を停止した後に前進または後進することを特徴とするコンバインである。
【0007】
第2の本発明は、
排出作業中に駐車ブレーキペダル(15)が踏み込み操作されている状態であれば、機体を前進または後進する操作がされても、排出オーガ(8)の作動を停止しないことを特徴とする第1の本発明のコンバインである。
【0008】
第3の本発明は、
排出作業中に機体を前進または後進する操作により、制御装置(65)が排出オーガ(8)の作動を停止した後は、機体を停止操作しても排出オーガ(8)の作動は停止したままであることを特徴とする第1または第2の本発明のコンバインである。
【0009】
第4の本発明は、
排出作業中に機体を前進または後進する操作により、制御装置(65)が排出オーガ(8)の作動を停止した後は、機体を停止操作しなければ排出オーガ(8)の作動を規制することを特徴とする第1~第3の何れかの本発明のコンバインである。
【0010】
第5の本発明は、
排出オーガ(8)を収納位置から排出作用位置にしている状態では、モードセレクト操作具(13E)を路上走行モードにしていても、制御装置(65)が副変速装置を中速または低速にすることを特徴とする第1~第4の何れかの本発明のコンバインである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明における実施の形態のコンバインの平面図である。
【
図2】本発明における実施の形態のコンバインの左側面図である。
【
図3】本発明における実施の形態のコンバインの部分正面図である。
【
図4】本発明における実施の形態のコンバインのトランスミッションの左右方向の縦断面図である。
【
図5】本発明における実施の形態のコンバインのトランスミッションのブレーキ装置の説明図である。
【
図6】本発明における実施の形態のコンバインのブレーキペダルアッセンブリーの側面図である。
【
図7】本発明における実施の形態のコンバインのブレーキペダルアッセンブリーの拡大側面図である。
【
図8】本発明における実施の形態のコンバインのブレーキペダルアッセンブリーの拡大平面図である。
【
図9】本発明における実施の形態のコンバインのブレーキペダルアッセンブリーの拡大正面図である。
【
図10】本発明における実施の形態のコンバインの制御装置の接続図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態であるコンバインについて添付図面を参照して説明する。なお、理解を容易にするために、操縦者から見て、前方を前側、後方を後側、右手側を右側、左手側を左側として便宜的に方向を示して説明しているが、これらにより構成が限定されるものではない。
【0013】
コンバインは、機体フレーム1の下側に土壌面を走行する左右一対のクローラからなる左右走行装置2が設けられ、機体フレーム1の前側に圃場の穀稈を収穫する刈取装置3が設けられている。また、刈取装置3の後方左側部に刈取装置3で収穫された穀稈を脱穀・選別処理する脱穀装置4が設けられ、刈取装置3の後方右側部に操縦者が搭乗する操縦部5が設けられている。
【0014】
操縦部5の下側には、エンジンを搭載するエンジンルーム6が設けられ、操縦部5の後側には、脱穀装置4で脱穀・選別処理された収穫物としての穀粒を貯留するグレンタンク7が設けられ、グレンタンク7に貯留された穀粒は、グレンタンク7に連結された排出オーガ8によって外部に排出される。
【0015】
操縦部5の後部には、操縦者が着席する操縦席11が設けられ、操縦席11の前方には、フロントパネル12が設けられ、操縦席11の左側には、サイドパネル13が設けられている。また、操縦席11とフロントパネル12の間の下部には、操縦者が乗降するフロア14が設けられ、フロア14の左前部には、走行装置2の走行を停止する駐車ブレーキペダル15が設けられている。
【0016】
フロントパネル12の左部には、走行装置2の走行速度等を表示するモニタ12Aが設けられ、右部には、走行装置2の旋回、刈取装置3の昇降を操作する操作レバー12Bが設けられている。
【0017】
モニタ12Aと操作レバー12Bの間の上部には、エンジンを停止する緊急停止スイッチ12Cが設けられ、下部には、走行装置2の走行を停止する自動ブレーキスイッチ12Dが設けられている。
【0018】
サイドパネル13の左前部には、エンジンから出力された回転速度の増減速と回転方向の切換えを行う油圧式無段変速装置30を操作する主変速レバー(HSTレバー)13Aが設けられ、主変速レバー13Aの後側には、油圧式無段変速装置30から出力された回転速度の増減速を行うトランスミッション31を操作する副変速レバー13Bが設けられている。
【0019】
主変速レバー13Aの左側には、補助作業者が刈取った穀稈を刈取装置3の後部の搬送装置3Aに載せながら脱穀を行う畦刈作業に切換える手扱レバー13Cが設けられ、副変速レバー13Bの後側には、グレンタンク7に貯留された穀粒を排出オーガ8により外部に排出する収穫物排出レバー13Dが設けられている。
【0020】
主変速レバー13Aを中立姿勢にした場合には、油圧式無段変速装置30から出力される回転速度はゼロになる。主変速レバー13Aを前側傾斜姿勢した場合には、油圧式無段変速装置30から出力される回転方向はエンジンから伝動された回転方向と同じ正回転となり、前側傾斜姿勢の傾斜角度が大きくなると油圧式無段変速装置30から出力される回転速度が速くなり、前側傾斜姿勢の傾斜角度が小さくなると油圧式無段変速装置30から出力される回転速度が遅くなる。主変速レバー13Aを後側傾斜姿勢とした場合には、油圧式無段変速装置30から出力される回転方向はエンジンから伝動された回転方向とは逆回転となり、後側傾斜姿勢の傾斜角度が大きくなると油圧式無段変速装置30から出力される回転速度が速くなり、後側傾斜姿勢の傾斜角度が小さくなると油圧式無段変速装置30から出力される回転速度が遅くなる。また、主変速レバー13Aの姿勢は、主変速レバー13Aの下部に装着されたポテンションメータ等の主変速センサ23Aで検出されている。
【0021】
副変速レバー13Bを低速位置に傾斜させた場合には、油圧式無段変速装置30から伝動された回転速度はトランスミッション31で減速されて走行装置2に伝動され、中速位置に傾斜させた場合には、油圧式無段変速装置30から伝動された回転速度は増減速されず走行装置2に伝動され、高速位置に傾斜させた場合には、油圧式無段変速装置30から伝動された回転速度は増速されて走行装置2に伝動される。また、副変速レバー13Bの姿勢は、副変速レバー13Bの下部に装着されたポテンションメータ等の副変速センサ23Bで検出されている。
【0022】
手扱レバー13Cを前側傾斜姿勢にした場合には、刈取装置3の引起装置等が駆動して通常の刈取脱穀作業モードになり、手扱レバー13Cを後側傾斜姿勢にした場合には、引起装置等の駆動が停止して、補助作業者が刈取った穀稈を刈取装置3の搬送装置3Aに載せながら脱穀を行う手刈作業モードになる。また、手扱レバー13Cの姿勢は、手扱レバー13Cの下部に装着されたポテンションメータ等の手扱センサ23Cで検出されており、手扱センサ23Cは、手刈作業モードの場合はONとなり、通常の刈取脱穀作業モードの場合にはOFFとなる。
【0023】
収穫物排出レバー13Dを前側傾斜姿勢にした場合には、グレンタンク7に貯留された穀粒を排出オーガ8にて外部の収穫物搬送車(荷台に貯留タンクを装備したトラック)の貯留タンク等への収穫物排出モードになり、収穫物排出レバー13Dを後側傾斜姿勢にした場合には、排出オーガ8内の搬送螺旋が停止して収穫物非排出モードになる。また、収穫物排出レバー13Dの姿勢は、収穫物排出レバー13Dの下部に装着されたポテンションメータ等の排出センサ23Dで検出されており、排出センサ23Dは収穫物排出モードの場合はONとなり、収穫物非排出モードの場合にはOFFになる。
【0024】
また、収穫物排出レバー13Dの把持部上端には、左右回動スイッチと上下動スイッチと伸縮スイッチが設けられている。左右回動スイッチの操作にて基部を回動中心として排出オーガ8を矢印(イ)-(ロ)方向に回動させることができ、上下動スイッチの操作にて基部を回動中心として先端部の排出口を上下動させることができ、伸縮スイッチの操作にて排出オーガ8を矢印(ハ)-(ニ)方向に伸縮させることができる。
【0025】
トランスミッション31には、伝動上手側から下手側に向かって、左右方向に延在する第1変速軸32と、第2変速軸33と、左右カウンタ軸34A,34Bと、左右出力軸35A,35Bが設けられている。
【0026】
第1変速軸32には、左右方向に移動可能な径の異なるギヤが外嵌されており、第2変速軸33には、径の異なるギヤが設けられている。これにより、副変速レバー13Bを操作して第1変速軸32に外嵌されたギヤを左右方向に移動させて、油圧式無段変速装置30から第1変速軸32に伝動された回転速度を増減速して第2変速軸33に伝動することができる。
【0027】
左右カウンタ軸34A,34Bの両側部には、それぞれ左右方向に移動可能な左右スリーブ36A,36Bが外嵌されている。また、左右カウンタ軸34A,34Bの両端部には、それぞれ多数のブレーキパッドを備える左右ブレーキ装置37A,37Bが設けられている。これにより、操作レバー12Bを左側に傾斜させた場合には、左カウンタ軸34Aに外嵌された左スリーブ36Aが左方向に移動して、左カウンタ軸34Aと、左カウンタ軸34Aにおける左出力軸35Aに設けられたギヤと対向する位置に外嵌されたギヤの係合が外れ、左カウンタ軸34Aから左出力軸35Aへの回転速度の伝動を遮断することができる。また、ブレーキパッドが左方向に移動しブレーキディスクと接触して、左ブレーキ装置37Aが作動して、左出力軸35Aの回転を停止させることができる。なお、左スリーブ36Aは、上下方向に延在する左シフタ38Aを介してトランスミッション31の前壁に装着された上下方向に延在する左第1プレート40Aの上部に連結されている。
【0028】
操作レバー12Bを右側に傾斜させた場合には、右カウンタ軸34Bに外嵌された右スリーブ36Bが右方向に移動して、右カウンタ軸34Bと、右カウンタ軸34Bにおける右出力軸35Bに設けられたギヤと対向する位置に外嵌されたギヤの係合が外れ、右カウンタ軸34Bから右出力軸35Bへの回転速度の伝動を遮断することができる。また、ブレーキパッドが右方向に移動してブレーキディスクと接触し、右ブレーキ装置37Bが作動して右出力軸35Bの回転を停止させることができる。なお、右スリーブ36Bは、上下方向に延在する右シフタ38Bを介してトランスミッション31の前壁に装着された上下方向に延在する右第1プレート40Bの上部に連結されている。
【0029】
駐車ブレーキペダル15を踏み込んだ場合には、左カウンタ軸34Aの左スリーブ36Aが左方向に移動して、左カウンタ軸34Aから左出力軸35Aへの回転速度の伝動を遮断し、左出力軸35Aの回転を停止させることができる。また、同時に、右カウンタ軸34Bの右スリーブ36Bが右方向に移動して、右カウンタ軸34Bから右出力軸35Bへの回転速度の伝動を遮断し、右出力軸35Bの回転を停止させることができる。
【0030】
左第1プレート40Aの下部は、ワイヤケーブル(図示省略)を介して操作レバー12Bに連結されている右上方向に延在する左第2プレート41Aの左部と上下方向に延在する左第3プレート42Aの上部に連結されている。また、左第1プレート40Aの下部と、左第2プレート41Aの左部と、左第3プレート42Aの上部は、前後方向に延在する左支軸43Aに回転自在に支持されている。ここで、左第1プレート40Aと、左第2プレート41Aと、左第3プレート42Aを総称して左回転プレート45Aと言う。これにより、操作レバー12Bを左側に傾斜させた場合には、左支軸43Aの軸心視において、左回転プレート45Aが時計方向に回転して、左シフタ38Aを介して左スリーブ36Aを左カウンタ軸34Aに沿って左側に移動させることができる。
【0031】
右第1プレート40Bの下部は、ワイヤケーブル(図示省略)を介して操作レバー12Bに連結されている左上方向に延在する右第2プレート41Bの右部と上下方向に延在する右第3プレート42Bの上部に連結されている。また、右第1プレート40Bの下部と、右第2プレート41Bの右部と、右第3プレート42Bの上部は、前後方向に延在する右支軸43Bに回転自在に支持されている。ここで、右第1プレート40Bと、右第2プレート41Bと、右第3プレート42Bを総称して右回転プレート45Bと言う。これにより、操作レバー12Bを右側に傾斜させた場合には、右支軸43Bの軸心視において、右回転プレート45Bが反時計方向に回転して、右シフタ38Bを介して右スリーブ36Bを右カウンタ軸34Bに沿って右側に移動させることができる。
【0032】
左支軸43Aと右支軸43Bの左右方向の間の下部には、前後方向に延在する支軸50が設けられている。支軸50には、上下方向に延在する揺動プレート51の中心部が回転自在にされている。
【0033】
揺動プレート51の上部には、前後方向に延在するピン52Aが設けられ、揺動プレート51の下部には、前後方向に延在するピン52Bが設けられている。ピン52Aは、ブレーキペダルロッド53を介して駐車ブレーキペダル15に連結されている。また、ピン52Bは、プレート状の左右方向に延在するロッド54の右端部に形成されたロッド54の長手方向に沿って形成された長穴58に挿入されている。
【0034】
正面視において、揺動プレート51における支軸50とピン52Aの上下方向の中間部には左下方向に延在するアーム55Aの右部が固定され、支軸50とピン52Bの上下方向の中間部には右上方向に延在するアーム55Bの左部が固定されている。
【0035】
アーム55Aの右部には、アーム55Aの長手方向に沿って長穴56Aが形成され、アーム55Bの左部には、アーム55Bの長手方向に沿って長穴56Bが形成されている。
【0036】
長穴56Aには、左回転プレート45Aを形成する左第3プレート42Aの前面に前後方向に延在する左ピン57Aが挿入され、長穴56Bには、右回転プレート45Bを形成する右第3プレート42Bの前面に前後方向に延在する右ピン57Bが挿入されている。
【0037】
これにより、駐車ブレーキペダル15を踏み込んだ場合には、支軸50軸心視において、揺動プレート51が反時計方向に回転するので、アーム55Aと左ピン57Aを介して、左支軸43Aの軸心視において、左回転プレート45Aが時計方向に回転して、左シフタ38Aを介して左スリーブ36Aを左カウンタ軸34Aに沿って左側に移動させることができる。また、アーム55Bと右ピン57Bを介して、右支軸43Bの軸心視において、右回転プレート45Bが反時計方向に回転して、右シフタ38Bを介して右スリーブ36Bを右カウンタ軸34Bに沿って右側に移動させることができる。
【0038】
ロッド54の左端部には、駐車ブレーキペダル15の踏み込みを補助する電動モータ等から形成された補助装置60が設けられている。操縦者が駐車ブレーキペダル15を踏み込んだ場合(下記のセンサであるポテンショメータ25がON出力した場合)には、補助装置60の回転軸61が時計方向に回転してクランクプレート62を介してロッド54を左側に移動させる。これにより、操縦者が駐車ブレーキペダル15の踏み込みに合わせて補助装置60が作動して、ロッド54と長穴58を介して、支軸50の軸心視において、揺動プレート51を反時計方向に回転させて、操縦者の駐車ブレーキペダル15の踏み込み作業を補助して、操縦者が駐車ブレーキペダル15を容易に踏み込むことができる。
【0039】
ロッド54の左端部とクランクプレート62をスプリング等の弾性部材を介して連結することもできる。これにより、ロッド54の長さ調整を容易に行うことができる。また、ロッド54に換えて、ピン52Bとクランクプレート62をワイヤケーブルで連結することもできる。
【0040】
補助装置60は、操縦者の駐車ブレーキペダル15の踏み込み動作に同期して、又は、操縦者の駐車ブレーキペダル15の踏み込み動作から所定の時間遅らせて作動させることができる。また、操縦者による駐車ブレーキペダル15の踏み込み状態は、後記にて詳述するポテンショメータ25で検出される。ポテンショメータ25は、駐車ブレーキペダル15が踏み込まれて左右ブレーキ装置37A,37Bが作動し始めるまでの遊び領域A1よりも深く踏み込まれたことを検出して制御装置65にON出力し、駐車ブレーキペダル15が踏み込まれていない場合及び遊び領域A1ではOFF出力になる。
【0041】
操縦者が駐車ブレーキペダル15を再度踏み込んで駐車ブレーキペダル15の踏み込み状態を解除した場合(上記のポテンショメータ25がON出力からOFF出力に変更された場合)には、補助装置60の回転軸61が反時計方向に回転してクランクプレート62を介してロッド54を右側に移動させる。なお、駐車ブレーキペダル15は、最大限に踏み込んだ時に、そのロック用フック15aが自動的に機体の係止ピンに係合して踏み込み状態が保持され、再度踏み込むとロック用フック15aが係止ピンから外れて保持が解除される一般的なものである。
【0042】
フロントパネル12に設けられた自動ブレーキスイッチ12Dが操作されてON出力されている場合には、駐車ブレーキペダル15の踏み込み状態に関係なく、例えば、収穫物排出レバー13Dが籾排出位置に操作されて排出センサ23DがON出力すると、補助装置60が作動して、回転軸61が時計方向に回転してクランクプレート62を介してロッド54を左側に移動させる。これにより、支軸50の軸心視において、揺動プレート51が反時計方向に回転するので、アーム55Aと左ピン57Aを介して、左支軸43Aの軸心視において、左回転プレート45Aが時計方向に回転して、左シフタ38Aを介して左スリーブ36Aを左カウンタ軸34Aに沿って左側に移動させることができる。また、アーム55Bと右ピン57Bを介して、右支軸43Bの軸心視において、右回転プレート45Bが反時計方向に回転して、右シフタ38Bを介して右スリーブ36Bを右カウンタ軸34Bに沿って右側に移動させることができる。
【0043】
また、収穫物排出レバー13Dを籾排出位置から通常位置に操作して排出センサ23DがOFFとなり、且つ、主変速レバー13Aが中立に操作されていることを主変速センサ23Aが検出している場合には、補助装置60が作動して、回転軸61が反時計方向に回転してクランクプレート62を介してロッド54を右側に移動させることができる。これにより、補助装置60によって左右ブレーキ装置37A,37Bの作動が解除された場合に、走行装置2の突然の前進あるいは後進を防止することができる。
【0044】
なお、トランスミッション31の左右走行装置2への駆動を切断する部位よりも伝動上手側に作業部出力軸を設けて、刈取装置3及び脱穀装置4へ駆動力を伝達している。
【0045】
次に、駐車ブレーキペダル15の詳細構成を説明する。
【0046】
駐車ブレーキペダル15は、基部に溶接固定した枢支軸70を正面視U字状のステー71の立ち上がり一側面71aに溶接固定した円筒ボス72に回転自在に支持して踏み込み回動操作自在に設けている。
【0047】
円筒ボス72は、ステー71の立ち上がり一側面71aから外側方に突出して設けたおり、該突出した端部に駐車ブレーキペダル15を設けている。
【0048】
従って、円筒ボス72を長くすることにより枢支軸70も長く構成でき、ガタの少ない状態で駐車ブレーキペダル15を回動自在に枢支できる。また、例えば操縦部5にキャビンを設けた場合、該外側方に突出した円筒ボス72をキャビン壁を貫通する部位として、駐車ブレーキペダル15はキャビン内に位置させ、他の部材が装着されたステー71はキャビン外に位置させることにより、キャビンの気密性を向上できる。
【0049】
正面視U字状のステー71の立ち上がり一側面71aと他側面71bの間の枢支軸70には、回動アーム73の中途部が固定されている。
【0050】
回動アーム73の一側方に延びるペダル側アーム部73aの先端部には、作動片73cが溶接固定され、該作動片73cに対向する位置に始動安全スイッチ74がステー71の立ち上がり一側面71aにネジにより固定されている。
【0051】
駐車ブレーキペダル15を最大限に踏み込み操作した時に、ペダル側アーム部73a先端部の作動片73cが始動安全スイッチ74のスイッチ片74aを押して、エンジン始動回路が連通しエンジンスイッチを始動にするとエンジンが始動する。
【0052】
ステー71の立ち上がり一側面71aの上部の一部を内方に直角に折り曲げて形成した規制片71cの上部にピン75aを溶接固定し、ペダル側アーム部73a先端部にピン75bを溶接固定し、両ピン75a,75b間に駐車ブレーキペダル15を上動側に付勢するリターンスプリングである引張ばね76を設ける。
【0053】
そして、規制片71cの下面がペダル側アーム部73a先端部の上面に接当して、駐車ブレーキペダル15の上動位置を規制している。
【0054】
回動アーム73の他側方に延びる連繋アーム部73bの先端には、係合ピン77を設け、該係合ピン77とトランスミッション31の揺動プレート51上部に設けたピン52Aをブレーキペダルロッド53で連繋している。
【0055】
従って、駐車ブレーキペダル15を踏み込み操作すると、回動アーム73及びブレーキペダルロッド53を介して前記のとおりトランスミッション31の左右ブレーキ装置37A,37Bが作動し左右走行装置2への駆動が切断される。
【0056】
ステー71の立ち上がり他側面70bには、前記のとおり駐車ブレーキペダル15の踏み込み操作量を検出するポテンショメータ25がネジで固定されている。
【0057】
ポテンショメータ25の検出ギア25aが、回動アーム73の連繋アーム部73bに基部が溶接固定され検出ギア25aに向けて延びる作動軸78の先端に固定されたセクターギア79に噛合って、回動アーム73の回動量に応じて正逆転することにより、ポテンショメータ25は、回動アーム73の回動量を検出して、駐車ブレーキペダル15を踏み込み操作位置を検出する。
【0058】
ステー71の底面71dには、直列状に2つの貫通孔71eが設けられている。ステー71は、締結具であるボルト80を上方から該2つの貫通孔71eに通してフロア14に締付け固定される。なお、2つの貫通孔71eは、ボルト80に対して大きめの孔となっており、駐車ブレーキペダル15の取付け位置や取付け角度が調整できるようにしている。
【0059】
従って、ステー71に駐車ブレーキペダル15、回動アーム73、リターンスプリングである引張ばね76、駐車ブレーキペダル15の上動位置を規制する規制片71c、始動安全スイッチ74、ポテンショメータ25及びブレーキペダルロッド53を設けて1つのブレーキペダルアッセンブリー81としているので、コンバインの製造時やメンテナンスの時に、機体に該ブレーキペダルアッセンブリー81をステー71の2つの貫通孔71eにボルト80を通してフロア14に上方から締付け固定するだけで駐車ブレーキペダル15関連部品が一括して装着でき、組み立て作業の効率化が図れると共に作業性の向上が図れる。
【0060】
また、ブレーキペダルアッセンブリー81をフロア14に固定した後に、ブレーキペダルロッド53先端の係合孔53aをトランスミッション31の揺動プレート51上部に設けたピン52Aに連結することにより、駐車ブレーキペダル15を踏み込み操作すると、回動アーム73及びブレーキペダルロッド53を介して前記のとおりトランスミッション31の左右ブレーキ装置37A,37Bが作動し左右走行装置2への駆動が切断される。
【0061】
また、ブレーキペダルアッセンブリー81を組み立てる時に、始動安全スイッチ74やポテンショメータ25の位置調整がおこなえるので、例えば、作業台上で作業性良く且つ効率良く行える。
【0062】
次に、駐車ブレーキペダル15は、従来の掻込ペダルの機能も備えているので、下記に詳述する。
【0063】
先ず、サイドパネル13には、圃場標準作業モードと圃場倒伏作業モードと路上走行モードに切り替えるモードセレクト操作具としてのモードセレクトレバー13Eが設けられている。
【0064】
モードセレクトレバー13Eを圃場標準作業モードにすると、モードセレクトレバー13E基部に設けたモードセレクトレバーセンサ82が制御装置65に圃場標準作業モードであるON出力をし、副変速レバー13Bを電動シリンダ等の副変速切替えアクチュエータ85にて中速位置にし、刈取り自動方向制御や刈り高さ制御や扱ぎ深さ制御等の各種作業制御が作動状態になり、モニタ12Aに「圃場標準作業モード」と表記される。
【0065】
モードセレクトレバー13Eを圃場倒伏作業モードにすると、モードセレクトレバー13E基部に設けたモードセレクトレバーセンサ82が制御装置65に圃場倒伏作業モードであるON出力をし、副変速レバー13Bを副変速切替えアクチュエータ85にて低速位置にし、刈取り自動方向制御や刈り高さ制御や扱ぎ深さ制御等の各種作業制御が作動状態になり、モニタ12Aに「圃場倒伏作業モード」と表記される。
【0066】
モードセレクトレバー13Eを路上走行モードにすると、モードセレクトレバー13E基部に設けたモードセレクトレバーセンサ82が制御装置65に路上走行モードであるOFF出力をし、副変速レバー13Bを副変速切替えアクチュエータ85にて高速位置にし、刈取り自動方向制御や刈り高さ制御や扱ぎ深さ制御等の各種作業制御が停止状態になり、モニタ12Aに「路上走行モード」と表記される。
【0067】
そして、モードセレクトレバー13Eを圃場作業モードまたは圃場倒伏作業モードにしてモードセレクトレバーセンサ82が制御装置65にON出力している時のみ、駐車ブレーキペダル15は、従来の掻込ペダルの機能を果たす。
【0068】
即ち、ポテンショメータ25は、駐車ブレーキペダル15が踏み込まれて遊び領域A1を超えて左右ブレーキ装置37A,37Bが作動し左右走行装置2への駆動が切断されるブレーキ作動領域A2を検出して制御装置65にブレーキ作動領域A2であることを出力する。なお、A3領域は、半ブレーキ且つ半クラッチ領域である。
【0069】
そして、駐車ブレーキペダル15がブレーキ作動領域A2にある時(ポテンショメータ25がブレーキ作動領域A2であることを出力している時)に、主変速レバー13Aを前進側に操作すると(主変速センサ23Aが主変速レバー13Aの前進側への操作を検出すると)、主変速レバー13Aの前進側操作量に応じて油圧式無段変速装置30の前進ソレノイドに通電し刈取装置3及び脱穀装置4を駆動して、機体停止状態でその場刈取り作業が行える。この時、駐車ブレーキペダル15がブレーキ作動領域A2であるから、左右走行装置2への駆動が切断されブレーキがかけられた状態であり、コンバインは前進せず停止している。
【0070】
なお、駐車ブレーキペダル15がブレーキ作動領域A2にある時に、主変速レバー13Aを後進側に操作しても(主変速センサ23Aが主変速レバー13Aの後進側への操作を検出)、油圧式無段変速装置30の前進ソレノイドや後進ソレノイドに通電せず、刈取装置3及び脱穀装置4は駆動されない。
【0071】
なお、制御装置65の入力側には、エンジンの駆動を緊急停止する緊急停止スイッチ12Cと、補助装置を自動作動させる自動ブレーキスイッチ12Dと、主変速レバー13Aの姿勢を検出する主変速センサ23Aと、副変速レバー13Bの姿勢を検出する副変速センサ23Bと、手扱レバー13Cの姿勢を検出する手扱センサ23Cと、収穫物排出レバー13Dの姿勢を検出する排出センサ23Dと、駐車ブレーキペダル15の踏み込み状態を検出するポテンショメータ25と、始動安全スイッチ74と、モードセレクトレバーセンサ82が所定の入力インターフェース回路を介して接続されている。
【0072】
制御装置65の出力側には、モニタ12Aと、補助装置60と、エンジン始動回路と、油圧式無段変速装置30の前進ソレノイドや後進ソレノイドが所定の出力インターフェース回路を介して接続されている。
【0073】
次に、本実施形態は、収穫物排出レバー13Dを操作してグレンタンク7に貯留された穀粒を排出オーガ8にて外部に排出する排出作業に特徴があるので、以下に詳述する。
【0074】
コンバインにて収獲作業中にグレンタンク7が満杯になると、作業者は、収穫作業を一時中止して、コンバインを畦路や路上に待機している収穫物搬送車(荷台に貯留タンクを装備したトラック)の傍まで移動して、主変速レバー13Aを中立姿勢にして機体を停止する。
【0075】
そして、収穫物排出レバー13Dの把持部上端の左右回動スイッチ、上下動スイッチ及び伸縮スイッチを操作して、排出オーガ8先端の排出口を収穫物搬送車の貯留タンク上部の開口に合わせ、収穫物排出レバー13Dを前側傾斜姿勢に操作して排出オーガ8内の搬送螺旋を駆動してグレンタンク7に貯留された穀粒を排出オーガ8にて収穫物搬送車の貯留タンクに排出する。
【0076】
この時、制御装置65は、主変速レバー13Aが中立姿勢であることを主変速センサ23Aから入力信号で受けていると共に、収穫物排出レバー13Dが前側傾斜姿勢の収穫物排出モードであることを排出センサ23Dから入力信号で受けている。
【0077】
排出作業中に誤って主変速レバー13Aを中立姿勢から前側傾斜姿勢または後側傾斜姿勢に操作した場合(作業者の身体が主変速レバー13Aに誤って触れて操作された場合や作業者の勘違いで誤操作した場合等)または意図して主変速レバー13Aを中立姿勢から前側傾斜姿勢または後側傾斜姿勢に操作した場合、制御装置65は、主変速レバー13Aが前側傾斜姿勢または後側傾斜姿勢になったことを主変速センサ23Aから入力信号で受け、収穫物排出レバー13Dを後側傾斜姿勢の収穫物非排出モードに切り替える電動シリンダ等の排出レバー切替えアクチュエータ90を作動させて、収穫物排出レバー13Dを後側傾斜姿勢の収穫物非排出モードに切り替える。
【0078】
従って、排出作業中に主変速レバー13Aを中立姿勢から前側傾斜姿勢または後側傾斜姿勢に操作しても、排出オーガ8の穀粒排出が停止し、穀粒がこぼれることを防止できる。
【0079】
そして、排出作業中に主変速レバー13Aを中立姿勢から前側傾斜姿勢または後側傾斜姿勢に操作した場合、制御装置65は、収穫物排出レバー13Dを後側傾斜姿勢の収穫物非排出モードに切り替える排出レバー切替えアクチュエータ90を作動させて、収穫物排出レバー13Dを後側傾斜姿勢の収穫物非排出モードに切り替えた後に、主変速レバー13Aの前進側操作または後進側操作による油圧式無段変速装置30の前進ソレノイドまたは後進ソレノイドに通電して、前進または後進する。
【0080】
その時、制御装置65は、油圧式無段変速装置30の前進ソレノイドまたは後進ソレノイドに通電して前進または後進する加速カーブを通常時よりも緩やかに制御して、徐々に加速するようにすれば、安全である。
【0081】
また、排出作業中に主変速レバー13Aを中立姿勢から前側傾斜姿勢または後側傾斜姿勢に操作した場合、制御装置65は、主変速レバー13Aが前側傾斜姿勢または後側傾斜姿勢になったことを主変速センサ23Aから入力信号で受け、主変速レバー13Aの前進側操作量または後進側操作量の50%に相当する分だけ油圧式無段変速装置30の前進ソレノイドまたは後進ソレノイドに通電して、主変速レバー13Aの前進側操作量または後進側操作量の50%の速度で前進または後進する。なお、主変速レバー13Aの前進側操作量または後進側操作量に対する減速比は、50%に限らず機種その他の条件に応じて所定%の速度になるようにしても良い。
【0082】
従って、排出作業中に主変速レバー13Aを中立姿勢から前側傾斜姿勢または後側傾斜姿勢に操作しても、前進側操作量または後進側操作量よりも遅い速度で前進または後進するので、排出オーガ8が他物に接当して破損することを防止できると共に、安全である。
【0083】
また、左右回動スイッチ、上下動スイッチ及び/または伸縮スイッチを操作して、排出オーガ8を収納位置から排出作用位置にしている状態では、モードセレクトレバー13Eを路上走行モードにしていても、制御装置65は、副変速レバー13Bを副変速切替えアクチュエータ85にて中速位置にして、作業速で前進または後進するので、排出オーガ8が他物に接当して破損することを防止できると共に、安全である。
【0084】
なお、左右回動スイッチ、上下動スイッチ及び/または伸縮スイッチを操作して、排出オーガ8を収納位置から排出作用位置にしている状態では、モードセレクトレバー13Eを路上走行モードにしていても、制御装置65が、副変速レバー13Bを副変速切替えアクチュエータ85にて低速位置にして、より遅い倒伏速で前進または後進するようにすれば更に安全である。
【0085】
上記の排出オーガ8を収納位置から排出作用位置にしている状態での移動時、制御装置65は、操縦部5及び機体後部にある警報ブザーを鳴らして、操縦者及び周囲に居る人に報知する(警報ブザー以外の音声警報や警報ランプで報知しても良い)。なお、後進時には、バックブザーを優先して鳴らす。
【0086】
上記の制御装置65にて排出オーガ8を収穫物非排出モードに切り替えた場合、操縦部5のモニタ12Aに「排出を停止しました」の画像を表示する。
【0087】
上記の排出作業中に主変速レバー13Aを中立姿勢から前側傾斜姿勢または後側傾斜姿勢に操作したことにより、制御装置65が排出レバー切替えアクチュエータ90を作動させて収穫物排出レバー13Dを後側傾斜姿勢の収穫物非排出モードに切り替えた後は、主変速レバー13Aを中立姿勢にして機体を停止しても排出オーガ8は収穫物排出モードにはならず、再度、収穫物排出レバー13Dを前側傾斜姿勢に操作しないと収穫物排出モードにならない。
【0088】
また、上記の排出作業中に主変速レバー13Aを中立姿勢から前側傾斜姿勢または後側傾斜姿勢に操作したことにより、制御装置65が排出レバー切替えアクチュエータ90を作動させて収穫物排出レバー13Dを後側傾斜姿勢の収穫物非排出モードに切り替えた後は、主変速レバー13Aが中立姿勢以外の場合、収穫物排出レバー13Dを前側傾斜姿勢にして収穫物排出モードにすることは制御装置65により規制されている。
【0089】
また、排出作業中に駐車ブレーキペダル15が踏み込み操作されている状態(駐車ブレーキペダル15が踏み込まれて左右ブレーキ装置37A,37Bが作動し始めるまでの遊び領域A1よりも深く踏み込まれたことを検出してポテンショメータ25が制御装置65にON出力している状態)であれば、主変速レバー13Aが中立姿勢から前側傾斜姿勢または後側傾斜姿勢に操作されても、制御装置65は、排出レバー切替えアクチュエータ90を作動させて収穫物排出レバー13Dを後側傾斜姿勢の収穫物非排出モードに切り替えない。即ち、排出作業は、継続される。
【0090】
そして、上記の駐車ブレーキペダル15が踏み込み操作されている状態で主変速レバー13Aを中立姿勢から前側傾斜姿勢または後側傾斜姿勢に操作して排出作業が継続している時に、駐車ブレーキペダル15の踏み込み操作を解除した場合、制御装置65は、排出レバー切替えアクチュエータ90を作動させて収穫物排出レバー13Dを後側傾斜姿勢の収穫物非排出モードに切り替えるが、前進ソレノイドまたは後進ソレノイドに通電せずに機体は停止したままとする。即ち、排出作業は中止されるが、主変速レバー13Aが中立姿勢から前側傾斜姿勢または後側傾斜姿勢への操作は、無視される。前進または後進したい場合は、一度主変速レバー13Aを中立姿勢に戻してから、前側傾斜姿勢または後側傾斜姿勢に操作して前進または後進する。
【0091】
なお、収穫物排出レバー13Dの操作に基づく制御を説明したが、収穫物排出レバー13Dを収穫物排出スイッチにしても同様の制御を行なう。
【0092】
<他の実施態様>
(1)第1実施形態では、駐車ブレーキペダル15の踏み込み操作にて従来の掻き込みスイッチと同等の掻き込み制御が行える例を示したが、従来の掻き込みスイッチを設けたコンバインに本発明を適用しても良いことは謂うまでもない。
【0093】
即ち、従来周知の掻き込みスイッチをONにすると、機体は停止した状態となる。従って、排出作業中に掻き込みスイッチがONになっていると、主変速レバー13Aが中立姿勢から前側傾斜姿勢または後側傾斜姿勢に操作されても、制御装置65は、排出レバー切替えアクチュエータ90を作動させて収穫物排出レバー13Dを後側傾斜姿勢の収穫物非排出モードに切り替えない。即ち、排出作業は、継続される。
【0094】
そして、上記の掻き込みスイッチがONになっている状態で主変速レバー13Aを中立姿勢から前側傾斜姿勢または後側傾斜姿勢に操作して排出作業が継続している時に、掻き込みスイッチをOFFにした場合、制御装置65は、排出レバー切替えアクチュエータ90を作動させて収穫物排出レバー13Dを後側傾斜姿勢の収穫物非排出モードに切り替えるが、前進ソレノイドまたは後進ソレノイドに通電せずに機体は停止したままとする。なお、トランスミッション31内の左右走行装置2への駆動系は伝動状態にする。
【0095】
即ち、排出作業は中止されるが、主変速レバー13Aが中立姿勢から前側傾斜姿勢または後側傾斜姿勢への操作は、無視される。前進または後進したい場合は、一度主変速レバー13Aを中立姿勢に戻してから、前側傾斜姿勢または後側傾斜姿勢に操作して前進または後進する。
【符号の説明】
【0096】
1 機体フレーム
3 刈取装置
4 脱穀装置
5 操縦部
7 グレンタンク
8 排出オーガ
13E モードセレクト操作具(モードセレクトレバー)
15 駐車ブレーキペダル
65 制御装置