(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024024678
(43)【公開日】2024-02-22
(54)【発明の名称】方法、情報処理装置、システム、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/22 20240101AFI20240215BHJP
【FI】
G06Q50/22
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023218427
(22)【出願日】2023-12-25
(62)【分割の表示】P 2023537210の分割
【原出願日】2023-02-22
(31)【優先権主張番号】P 2022032935
(32)【優先日】2022-03-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】519441774
【氏名又は名称】SOMPOケア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100164471
【弁理士】
【氏名又は名称】岡野 大和
(72)【発明者】
【氏名】宮形 洋平
(72)【発明者】
【氏名】福島 慶子
(72)【発明者】
【氏名】鳥居 雅樹
(57)【要約】
【課題】入居施設における入居者の体調維持に関する技術を改善する。
【解決手段】情報処理装置10の制御部11は、施設の入居者の摂取物の摂取実績と健康度の変化を取得し、前記入居者の摂取実績と健康度の変化に基づいて、摂取物又は摂取物の組み合わせについての健康度への影響を分析し、前記分析の結果に基づいて、前記健康度への影響の情報を出力する。前記健康度の変化は、睡眠量の変化、食事量の変化、事故発生率の変化、呼吸数の変化、及び心拍数の変化の少なくとも1つを含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理装置が実行する方法であって、
施設の入居者の摂取物の摂取実績と健康度の変化を取得することと、
前記入居者の摂取実績と健康度の変化に基づいて、摂取物又は摂取物の組み合わせについての健康度への影響を分析することと、
前記分析の結果に基づいて、前記健康度への影響の情報を出力することを含み、
前記健康度の変化は、睡眠量の変化、食事量の変化、事故発生率の変化、呼吸数の変化、及び心拍数の変化の少なくとも1つを含む、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
前記健康度の変化が所定の条件を満たしたとき、インシデントと判定することを含み、
前記健康度への影響の情報は、前記インシデントの統計情報を含む、方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の方法であって、
さらに、前記健康度の変化と摂取物又は摂取物の組み合わせの摂取期間を表示する画面を出力することを含む、方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法であって、
摂取物は、処方箋に基づく薬剤、要指導医薬品、一般用医薬品、医薬部外品、及び食品の少なくとも一つを含む、方法。
【請求項5】
請求項2に記載の方法であって、
入居者の属性に応じてインシデントの判定条件を調整する、方法。
【請求項6】
請求項2に記載の方法であって、
前記統計情報は、摂取人数、インシデント発生人数、摂取総回数、インシデントの発生回数、及びインシデントの発生確率を含む、方法。
【請求項7】
請求項6に記載の方法であって、
前記統計情報は、インシデントの内訳を含む、方法。
【請求項8】
請求項1に記載の方法であって、さらに、
摂取物又は摂取物の組み合わせを摂取している入居者の一覧情報を出力することを含む、方法。
【請求項9】
請求項1に記載の方法であって、さらに、
ハイリスク薬又は副作用リスクのある薬剤が処方されていることを示す注意情報を出力することを含む、方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法であって、
前記健康度への影響の情報及び前記注意情報は、それぞれ情報表示欄及び注意事項欄に表示され、情報表示欄の表示範囲はスクロールバーへの操作により変更され、注意事項欄は、前記スクロールバーへの操作にかかわらず表示され続ける、方法。
【請求項11】
制御部を備える情報処理装置であって、
前記制御部は、
施設の入居者の摂取物の摂取実績と健康度の変化を取得し、
前記入居者の摂取実績と健康度の変化に基づいて、摂取物又は摂取物の組み合わせについての健康度への影響を分析し、
前記分析の結果に基づいて、前記健康度への影響の情報を出力し、
前記健康度の変化は、睡眠量の変化、食事量の変化、事故発生率の変化、呼吸数の変化、及び心拍数の変化の少なくとも1つを含む、情報処理装置。
【請求項12】
請求項11に記載の情報処理装置であって、
前記制御部は、前記入居者の健康度の変化が所定の条件を満たしたとき、インシデントと判定し、
前記健康度への影響の情報は、前記インシデントの統計情報を含む、情報処理装置。
【請求項13】
請求項12に記載の情報処理装置であって、
前記制御部は、前記入居者の健康度の変化についてインシデントと判定したとき、
当該入居者の健康度の変化に関するアラートの情報を出力する、情報処理装置。
【請求項14】
請求項11乃至13のいずれか一項に記載の情報処理装置と、複数の端末装置とを含むシステムであって、
前記情報処理装置は、前記健康度への影響の情報を前記端末装置に送信し、
前記端末装置は、受信した前記健康度への影響の情報を出力する、システム。
【請求項15】
コンピュータに、
施設の入居者の摂取物の摂取実績と健康度の変化を取得することと、
前記入居者の摂取実績と健康度の変化に基づいて、摂取物又は摂取物の組み合わせについての健康度への影響を分析することと、
前記分析の結果に基づいて、前記健康度への影響の情報を出力することと、を実行させ、
前記健康度の変化は、睡眠量の変化、食事量の変化、事故発生率の変化、呼吸数の変化、及び心拍数の変化の少なくとも1つを含む、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、方法、情報処理装置、システム、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、処方薬剤の管理に関する技術が知られている。例えば特許文献1には、介護施設において、患者および利用者の生活レベルを日常生活における行動様式に沿って定期的に評価した生活レベル評価データ、および入居者が処方された薬剤を示す処方薬剤データに基づいて、適正な種類と量の薬剤を処方する処方薬剤管理システムの技術が開示されている。そして、副作用データ等の薬剤リスクデータを参照して、処方薬剤データの変更を提案することも開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
介護施設又は高齢者施設等の入居施設において、入居者の処方薬剤や食事を管理し、入居者の体調を維持するための技術には改善の余地があった。
【0005】
かかる事情に鑑みてなされた本開示の目的は、入居施設における入居者の体調維持に関する技術を改善することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一実施形態に係る方法は、情報処理装置が実行する方法であって、施設の入居者の摂取物の摂取実績と健康度の変化を取得することと、前記入居者の摂取実績と健康度の変化に基づいて、摂取物又は摂取物の組み合わせについての健康度への影響を分析することと、前記分析の結果に基づいて、前記健康度への影響の情報を出力することを含み、前記健康度の変化は、睡眠量の変化、食事量の変化、事故発生率の変化、呼吸数の変化、及び心拍数の変化の少なくとも1つを含む。
【0007】
また、本開示の一実施形態に係る情報処理装置は、制御部を備える情報処理装置であって、前記制御部は、施設の入居者の摂取物の摂取実績と健康度の変化を取得し、前記入居者の摂取実績と健康度の変化に基づいて、摂取物又は摂取物の組み合わせについての健康度への影響を分析し、前記分析の結果に基づいて、前記健康度への影響の情報を出力し、前記健康度の変化は、睡眠量の変化、食事量の変化、事故発生率の変化、呼吸数の変化、及び心拍数の変化の少なくとも1つを含む。
【0008】
また、本開示の一実施形態に係る情報処理装置は、制御部を備える情報処理装置であって、前記制御部は、施設の入居者の摂取物の摂取実績と健康度の変化を取得し、前記健康度への影響の情報として、前記入居者の各健康度の変化と摂取物又は摂取物の組み合わせの摂取期間を表示する画面を出力し、前記健康度の変化は、睡眠量の変化、食事量の変化、事故発生率の変化、呼吸数の変化、及び心拍数の変化の少なくとも1つを含む。
【0009】
また、本開示の一実施形態に係るシステムは、前記情報処理装置と、複数の端末装置とを含むシステムであって、前記情報処理装置は、前記健康度への影響の情報を前記端末装置に送信し、前記端末装置は、受信した前記健康度への影響の情報を出力する。
【0010】
また、本開示の一実施形態に係るプログラムは、コンピュータに、施設の入居者の摂取物の摂取実績と健康度の変化を取得することと、前記入居者の摂取実績と健康度の変化に基づいて、摂取物又は摂取物の組み合わせについての健康度への影響を分析することと、前記分析の結果に基づいて、前記健康度への影響の情報を出力することと、を実行させ、前記健康度の変化は、睡眠量の変化、食事量の変化、事故発生率の変化、呼吸数の変化、及び心拍数の変化の少なくとも1つを含む。
【発明の効果】
【0011】
本開示の一実施形態によれば、入居施設における入居者の体調維持に関する技術が改善される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本開示の一実施形態に係るシステムの概略構成を示す図である。
【
図2】情報処理装置の概略構成を示すブロック図である。
【
図3】端末装置の概略構成を示すブロック図である。
【
図4】本開示の一実施形態に係る情報処理装置の動作を示すフローチャートである。
【
図5】摂取物の健康度への影響の情報出力に係るユーザインターフェースの一例を示す図である。
【
図6】入居者の健康度に係るユーザインターフェースの一例を示す図である。
【
図7】入居者の健康度に係るユーザインターフェースの一例を示す図である。
【
図8】入居者の健康度に係るユーザインターフェースの一例を示す図である。
【
図9】入居者の健康度に係るユーザインターフェースの一例を示す図である。
【
図10】入居者の健康度に係るユーザインターフェースの一例を示す図である。
【
図11】入居者の健康度に係るユーザインターフェースの一例を示す図である。
【
図12】入居者の健康度に係るユーザインターフェースの一例を示す図である。
【
図13】処方一覧に係るユーザインターフェースの一例を示す図である。
【
図14】医薬品情報に係るユーザインターフェースの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0014】
(実施形態の概要)
図1を参照して、本開示の実施形態に係るシステム1の概要について説明する。システム1は、情報処理装置10と、複数の端末装置20と、を備える。情報処理装置10と複数の端末装置20は、例えばインターネット及び移動体通信網等を含むネットワーク30と通信可能に接続される。
【0015】
情報処理装置10は、例えばサーバ装置等のコンピュータである。例えば情報処理装置10は、クラウドコンピューティングシステム又はその他のコンピューティングシステムに属するサーバである。情報処理装置10は、ネットワーク30を介して端末装置20と通信可能である。なお、
図1では、システム1が備える情報処理装置10が1台である例を示しているが、これに限られない。システム1は、2台以上の情報処理装置10を備えてもよい。
【0016】
複数の端末装置20は、介護施設又は高齢者施設等の入居施設(単に「施設」ということがある。)のユーザ(例えば、介護福祉士、介護士、ケアマネージャー等であり、以下、単に「ユーザ」ということがある。)によって使用される任意の電子装置である。例えばパーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレット端末等の汎用の電子機器、又は専用の電子機器が、端末装置20として採用可能である。なお、
図1においてシステム1が備える端末装置20が2台である例を示しているが、端末装置20の数は、任意に定められてよい。
【0017】
まず、本実施形態の概要について説明し、詳細については後述する。情報処理装置10は、例えば端末装置20から、施設の入居者の所定の期間の摂取物の摂取実績と健康度の変化を取得する。そして、入力された複数の入居者の摂取実績と健康度の変化に基づいて、各摂取物又は摂取物の組み合わせについての健康度への影響を定量的に分析する。そして情報処理装置10は、分析結果としての各摂取物又は摂取物の組み合わせについての健康度への影響の情報を出力し、例えば、各端末装置20へ送信する。
【0018】
端末装置20は、情報処理装置10に対して、施設の入居者の摂取物の摂取実績と健康度の変化の情報を送信することができる。また、端末装置20は、情報処理装置10から、各摂取物又は摂取物の組み合わせについての健康度への影響の情報を受信し、表示することができる。
【0019】
このように、本実施形態によれば、システム1(情報処理装置10)は、各摂取物又は摂取物の組み合わせについての健康度への影響の情報を出力できる。このため、ユーザは、健康度に影響を与える可能性の高い各摂取物又は摂取物の組み合わせ、及びその影響の度合い等を知ることができる。したがって、入居者の体調不良又は事故を予測でき、未然に防止できる点で、入居施設における入居者の体調維持に関する技術が改善される。
【0020】
次に、システム1の各構成について詳細に説明する。
【0021】
(情報処理装置の構成)
図2に示すように、情報処理装置10は、制御部11と、記憶部12と、通信部13とを備える。
【0022】
制御部11には、少なくとも1つのプロセッサ、少なくとも1つの専用回路、又はこれらの組み合わせが含まれる。プロセッサは、CPU(central processing unit)若しくはGPU(graphics processing unit)などの汎用プロセッサ、又は特定の処理に特化した専用プロセッサである。専用回路は、例えば、FPGA(field-programmable gate array)又はASIC(application specific integrated circuit)である。制御部11は、情報処理装置10の各部を制御しながら、情報処理装置10の動作に関わる処理を実行する。
【0023】
記憶部12には、少なくとも1つの半導体メモリ、少なくとも1つの磁気メモリ、少なくとも1つの光メモリ、又はこれらのうち少なくとも2種類の組み合わせが含まれる。半導体メモリは、例えば、RAM(random access memory)又はROM(read only memory)である。RAMは、例えば、SRAM(static random access memory)又はDRAM(dynamic random access memory)である。ROMは、例えば、EEPROM(electrically erasable programmable read only memory)である。記憶部12は、例えば、主記憶装置、補助記憶装置、又はキャッシュメモリとして機能する。記憶部12には、情報処理装置10の動作に用いられるプログラム及びデータと、情報処理装置10の動作によって得られたデータとが記憶される。記憶部12に記憶される情報は、例えば通信部13を介してネットワーク30から取得される情報で更新可能であってもよい。
【0024】
通信部13には、ネットワーク30に接続する少なくとも1つの外部通信用インタフェースが含まれる。通信用インタフェースは、有線通信又は無線通信のいずれのインタフェースであってよい。有線通信の場合、通信用インタフェースは例えばLAN(Local Area Network)インタフェース、USB(Universal Serial Bus)である。無線通信の場合、通信用インタフェースは例えば、LTE(Long Term Evolution)、4G(4th generation)、若しくは5G(5th generation)などの移動通信規格に対応したインタフェース、Bluetooth(登録商標)などの近距離無線通信に対応したインタフェースである。通信部13は、情報処理装置10の動作に用いられるデータを受信し、また情報処理装置10の動作によって得られるデータを、外部(例えば、端末装置20)へ送信する。
【0025】
なお、本実施形態の
図2の情報処理装置10は、入力部及び出力部が記載されていないが、図示しない入力部及び出力部を備えていてもよい。すなわち、通信部13を介して情報の受信(入力)及び送信(出力)を行うことに加えて、情報処理装置10が備える入力部及び出力部により、情報の入出力を行ってもよい。
【0026】
情報処理装置10の機能は、本実施形態に係るプログラムを、制御部11に相当するプロセッサで実行することにより実現される。すなわち、情報処理装置10の機能は、ソフトウェアにより実現される。プログラムは、情報処理装置10の動作をコンピュータに実行させることで、コンピュータを情報処理装置10として機能させる。すなわち、コンピュータは、プログラムに従って情報処理装置10の動作を実行することにより情報処理装置10として機能する。
【0027】
本実施形態においてプログラムは、コンピュータで読取り可能な記録媒体に記録しておくことができる。コンピュータで読取り可能な記録媒体は、非一時的なコンピュータ読取可能な媒体を含み、例えば、磁気記録装置、光ディスク、光磁気記録媒体、又は半導体メモリである。プログラムの流通は、例えば、プログラムを記録したDVD(digital versatile disc)又はCD-ROM(compact disc read only memory)などの可搬型記録媒体を販売、譲渡、又は貸与することによって行う。またプログラムの流通は、プログラムを外部サーバのストレージに格納しておき、外部サーバから他のコンピュータにプログラムを送信することにより行ってもよい。またプログラムはプログラムプロダクトとして提供されてもよい。
【0028】
情報処理装置10の一部又は全ての機能が、制御部11に相当する専用回路により実現されてもよい。すなわち、情報処理装置10の一部又は全ての機能が、ハードウェアにより実現されてもよい。
【0029】
(端末装置の構成)
図3に示すように、端末装置20は、制御部21と、記憶部22と、通信部23と、入力部24と、出力部25とを備える。
【0030】
制御部21には、少なくとも1つのプロセッサ、少なくとも1つの専用回路、又はこれらの組み合わせが含まれる。プロセッサは、CPU若しくはGPUなどの汎用プロセッサ、又は特定の処理に特化した専用プロセッサである。専用回路は、例えば、FPGA又はASICである。制御部21は、端末装置20の各部を制御しながら、端末装置20の動作に関わる処理を実行する。
【0031】
記憶部22には、少なくとも1つの半導体メモリ、少なくとも1つの磁気メモリ、少なくとも1つの光メモリ、又はこれらのうち少なくとも2種類の組み合わせが含まれる。半導体メモリは、例えば、RAM又はROMである。RAMは、例えば、SRAM又はDRAMである。ROMは、例えば、EEPROMである。記憶部22は、例えば、主記憶装置、補助記憶装置、又はキャッシュメモリとして機能する。記憶部22には、端末装置20の動作に用いられるプログラム及びデータと、端末装置20の動作によって得られたデータとが記憶される。記憶部22に記憶される情報は、例えば通信部23を介してネットワーク30から取得される情報で更新可能であってもよい。
【0032】
通信部23には、ネットワーク30に接続する少なくとも1つの外部通信用インタフェースが含まれる。通信用インタフェースは、有線通信又は無線通信のいずれのインタフェースであってよい。有線通信の場合、通信用インタフェースは例えばLANインタフェース、USBである。無線通信の場合、通信用インタフェースは例えば、LTE、4G、若しくは5Gなどの移動通信規格に対応したインタフェース、Bluetooth(登録商標)などの近距離無線通信に対応したインタフェースである。通信部23は、例えば、情報処理装置10から端末装置20の動作に用いられるデータを受信し、また端末装置20の動作によって得られるデータを送信する。
【0033】
入力部24には、少なくとも1つの入力用インタフェースが含まれる。入力用インタフェースは、例えば、キーボード等の物理キー、静電容量キー、ポインティングデバイス、ディスプレイと一体的に設けられたタッチスクリーンである。また入力用インタフェースは、例えば、音声入力を受け付けるマイクロフォン、ジェスチャー入力を受け付けるカメラ、又は、カメラと連動するOCR(Optical Character Recognition)読み取り装置等であってもよい。入力部24は、端末装置20の動作に用いられるデータを入力する操作を受け付ける。入力部24は、端末装置20に備えられる代わりに、外部の入力機器として端末装置20に接続されてもよい。接続方式としては、例えば、USB、HDMI(登録商標)(High-Definition Multimedia Interface)、又はBluetooth(登録商標)などの任意の方式を用いることができる。
【0034】
出力部25には、少なくとも1つの出力用インタフェースが含まれる。出力用インタフェースは、例えば、情報を映像で出力するディスプレイ、又は情報を音声で出力するスピーカ等である。ディスプレイは、例えば、LCD(liquid crystal display)又は有機EL(electro luminescence)ディスプレイである。出力部25は、情報処理装置10から受信したデータ、或いは端末装置20の動作によって得られるデータ等を表示出力する。出力部25は、端末装置20に備えられる代わりに、外部の出力機器として端末装置20に接続されてもよい。接続方式としては、例えば、USB、HDMI(登録商標)、又はBluetooth(登録商標)などの任意の方式を用いることができる。
【0035】
端末装置20の機能は、本実施形態に係るプログラムを、制御部21に相当するプロセッサで実行することにより実現される。すなわち、端末装置20の機能は、ソフトウェアにより実現される。プログラムは、端末装置20の動作をコンピュータに実行させることで、コンピュータを端末装置20として機能させる。すなわち、コンピュータは、プログラムに従って端末装置20の動作を実行することにより端末装置20として機能する。
【0036】
端末装置20の一部又は全ての機能が、制御部21に相当する専用回路により実現されてもよい。すなわち、端末装置20の一部又は全ての機能が、ハードウェアにより実現されてもよい。
【0037】
(情報処理装置の動作)
図4を参照して、本実施形態に係る情報処理装置10の動作について説明する。
図4は、本実施形態に係る情報処理装置10が実行する方法の一例を示すフローチャートである。
【0038】
ステップS11:情報処理装置10の制御部11は、通信部13を介して又は他の入力手段から、入居者の摂取物の摂取実績と健康度の変化に関するデータを取得する。ここで、摂取物とは、処方箋に基づく薬剤(医療用医薬品)、要指導医薬品、一般用医薬品、医薬部外品、及び食品の少なくとも一つを含む。なお、要指導医薬品とは、薬剤師から対面での指導や情報提供を受けて購入することが求められる医薬品である。一般医薬品とは、例えば、一般的なかぜ薬、解熱鎮痛薬、胃腸鎮痛薬等である。医薬部外品には、ドリンク剤やサプリメント等が含まれる。食品は、毎日の食事において摂取する食材及び間食における食料品等である。また、健康度の変化は、入居者の睡眠量の変化、食事量の変化、事故発生率の変化、呼吸数の変化、及び心拍数の変化の少なくとも1つを含む。
【0039】
ここで、各種データの取得方法について説明する。処方箋に基づく薬剤(医療用医薬品)の情報は、各入居者の処方箋から、薬剤及びその服薬量を取得することができる。なお、処方箋に基づく薬剤の情報は、医師が作成した処方箋のみならず、薬剤情報提供書、薬手帳、又はこれらに類する書類(以下「処方箋等」という。)から取得してもよい。処方箋等のデータは、例えば、端末装置20の入力部24から処方箋等の記載事項をキーボード入力すること、薬剤情報が記載された書類の画像による取込み、二次元バーコード情報からの読み込み、薬手帳のOCR読み取り等、様々な手段により取得することができ、情報処理装置10に送信・入力することができる。また、処方箋データは、病院・薬局等から電子データとして提供を受けて、情報処理装置10に直接入力してもよい。医療用医薬品以外の医薬品又は医薬部外品のデータについては、ユーザが端末装置20から入力することができる。さらに、情報処理装置10は、各医薬品の薬効・リスクカテゴリ等を、外部のデータベースから通信部13を介して取得してもよい。
【0040】
食品の摂取データは、個別に摂取した食品を端末装置20から入力してもよいし、或いは、各入居者の毎食の食事量(食事摂取量)の情報と食事のメニュー(献立表)の情報を情報処理装置10に入力し、両者の情報から摂取した食品・栄養成分とその摂取量を求めてしてもよい。飲料物のデータも、入居者が個別に摂取した種類・量を端末装置20から入力することができる。なお、各入居者の毎食の食事量の情報は、食事量の変化を取得する基礎データとしても利用される。すなわち、食事量の変化は、入居者の毎食の食事量を記録し、システム1(情報処理装置10)に蓄積することで取得できる。例えば、各入居者の朝・昼・晩の各食事において、主食及び副食をそれぞれ何割程度摂取したかの情報を毎日記録し、入力することで、情報処理装置10は、各入居者の食事量の平均値及び日々の変化率を把握することができる。
【0041】
入居者の睡眠量の変化は、入居者の毎日の睡眠量を測定することで取得できる。入居者の睡眠量は、例えば、市販の睡眠計(睡眠中の体動等を検知して、睡眠時間を測定する装置)等を用いて測定することができ、この睡眠時間のデータを情報処理装置10に送信することができる。
【0042】
呼吸数の変化及び心拍数の変化については、入居者が安静な状態で呼吸数及び心拍数を取得することが望ましい。市販の睡眠計には、ベッドに横になった入居者の呼吸数及び心拍数を、睡眠量と同時に測定することができるものがあり、この呼吸数及び心拍数のデータを情報処理装置10に送信し、健康度を示すデータとして利用することができる。なお、入居者の呼吸数及び心拍数は、睡眠計に限らず、例えば、ウェアラブルのリストバンドのような機器により、常時測定してもよく、装着している機器から測定データをリアルタイムで情報処理装置10に送信してもよい。
【0043】
事故発生率の変化は、施設内で入居者に生じた事故について、発生日時と事故内容を記録し蓄積することで取得できる。なお、事故としては、転倒・転落が代表的な項目であり、この他に、ふらつき、記憶障害、せん妄、抑うつ、排尿障害、尿失禁等が挙げられる。特に、転倒・転落については、転倒検知センサを入居者に保持してもらうことにより、情報処理装置10又は端末装置20に転倒情報を直ちに送信することができ、各入居者の安全を見守るとともに、事故データを蓄積することができる。
【0044】
なお、健康度の変化に関するデータとして、入居者の睡眠量の変化、食事量の変化、事故発生率の変化、呼吸数の変化、及び心拍数の変化に加えて、入居者の体温及び体重のデータが利用されてもよい。例えば、入居者の体温及び体重のデータを毎日記録し、食事量の変化と比較することも有効である。
【0045】
ステップS12:情報処理装置10の制御部11は、取得した入居者の健康度の変化に関するデータから、インシデント(異変・事件)の判定を行う。具体的には、制御部11は、健康度の変化が所定の条件を満たしたとき(該当したとき)、インシデントと判定する。また、インシデントと判定された場合、制御部11は、注意喚起のためのアラート(警告)を出力することが望ましい。
【0046】
インシデントの判定条件は、各健康度の項目ごとに適宜設定することができる。まず、食事量の変化については、食事量(食事摂取量)の急激な減少が現れたときインシデントと判定し、アラートの対象とする。例えば、ある入居者のその時点から見て過去(最近)2日間の主食・副食の平均食事量が、提供された食事全体の20%以下であるとき、又は、当該入居者のそれ以前の平均食事量と比較して減少率が30%以上であるとき、制御部11はインシデントと判定する。なお、減少率の数値等は適宜調整してよい。また、インシデントとして異なる条件を設定してもよい。また当該条件において、入居者の年齢、性別、又は介護度等(以下、属性ともいう。)を含めてもよい。このようにすることで入居者の属性に応じて、食事量に係るインシデントの判定条件を調整できる。
【0047】
睡眠量の変化については、睡眠過剰と睡眠不足の2つのインシデントを設定することができる。例えば、制御部11は、ある入居者の睡眠量について、その時点から見て過去(最近)2日間の睡眠量が、それ以前30日間の平均睡眠量に対し35%以上増加したとき、過眠傾向(睡眠過剰)のインシデントと判定し、それ以前30日間の平均睡眠量に対し35%以上減少したとき、不眠傾向(睡眠不足)のインシデントと判定する。なお、増加率及び減少率の数値等は適宜調整してよい。また、インシデントとして異なる条件を設定してもよい。また当該条件において、入居者の属性を含めてもよい。このようにすることで入居者の属性に応じて、睡眠量に係るインシデントの判定条件を調整できる。
【0048】
事故発生率の変化については、一定の期間に発生した事故の発生率でインシデントを判定してもよいが、転倒・転落の発生を一つのインシデントと判定することが望ましい。或いは、広義の事故(転倒・転落の他、ふらつき、記憶障害、せん妄、抑うつ、排尿障害、尿失禁等)の発生を一つのインシデントと判定してもよい。
【0049】
呼吸数の変化については、当該入居者の平均呼吸数に対して、医学的に許容できる変動幅を超えて、呼吸数の増加又は減少があった場合には、制御部11は直ちにインシデントと判定する。同様に、心拍数の変化についても、当該入居者の平均心拍数に対して、医学的に許容できる変動幅を超えて、心拍数の増加又は減少があった場合には、制御部11は直ちにインシデントと判定する。呼吸数及び心拍数の変動は、身体の異常と関連する場合が多いことから、リアルタイムのデータ取得とインシデントの判定が望ましい。また、インシデントの判定レベルを多段階にしてもよい。例えば、レベル1(注意レベル)判定条件とレベル2(危険レベル)判定条件を設定することができる。また、呼吸数及び心拍数のインシデントの判定条件となる変動幅については、入居者の属性を考慮して適宜設定してもよい。
【0050】
ステップS13:情報処理装置10の制御部11は、全入居者のデータ取得が終了したか否かを判断する。全ての入居者のデータ取得が完了していない場合(ステップS13-NO)は、ステップS11に戻って、次の入居者のデータを取得する。全ての入居者のデータ取得を終了した場合(ステップS13-YES)は、ステップS14に進む。なお、本実施形態において全入居者とは、その処理タイミングにデータ入力(データ更新)の必要な全ての入居者の意味であって、必ずしも入居施設の全入居者を意味するものではない。
【0051】
ステップS14:ステップS13で全入居者のデータ取得が終了したと判定された場合(ステップS13-YES)、制御部11は、全入居者のデータを集計し、各摂取物又は摂取物の組み合わせについての健康度への影響を定量的に分析する。この定量的な分析は、一般的な統計処理を行ってもよいし、情報処理装置10内に例えばニューラルネットワークのモデルを作り、機械学習を用いて摂取物又はその組み合わせの傾向分析等を行ってもよい。
【0052】
ステップS15:情報処理装置10の制御部11は、ステップS14で行った統計処理の結果から、摂取物又はその組み合わせの健康度への影響を出力する。例えば、制御部11は、端末装置20からの問い合わせ(検索処理等)に対して、結果を端末装置20に送信することで出力する。また、各入居者の健康度の変化の情報を出力してもよい。さらに、制御部11は、インシデントが判定された入居者がいる場合、当該入居者を担当するユーザの端末装置20又は入居者全体を管理する端末装置20に、インシデントの発生の情報をアラートとして通知してもよい。その後、プロセスは終了する。
【0053】
情報処理装置10が出力する、各摂取物又は摂取物の組み合わせについての健康度への影響の情報について、端末装置20の出力部25に表示される画面の例に基づいて説明する。
図5は、摂取物の健康度への影響の情報出力に係るユーザインターフェースの一例である。
【0054】
図5の例では、ある薬剤、食品、又はその組み合わせに関して、関連する情報が一つの画面に集約されて表示される。まず、「薬剤名又は食品名又は組み合わせ」として、薬剤・食品の名称(組み合わせの場合は複数の名称)が表示され、さらに、薬剤である場合は、その薬効が表示される。そして、摂取物の健康度への影響の情報として、これまでの当該薬剤又は食品の摂取人数、摂取者の中でインシデントが発生した人数、摂取した総回数(薬剤の場合は総服薬数)、摂取期間におけるインシデントの発生回数、インシデントの発生確率(インシデント発生回数/総摂取回数)が表示される。さらに、そのインシデントの内容の内訳が表示され、例えば、食事量減少、睡眠過剰、睡眠不足、転倒・転落、呼吸数、心拍数の項目ごとに、インシデントの発生回数と発生確率が示される。また、参考情報として、当該薬剤又は食品を摂取(服用)している入居者の情報が表示されてもよい。例えば、入居者ごとに、食事量減少、睡眠過剰、睡眠不足、転倒・転落、呼吸数、心拍数の項目ごとのインシデントの発生回数が表示されてもよい。このように、各摂取物又は摂取物の組み合わせについての健康度への影響の情報は、インシデントの統計情報を含む。なお
図5に示されたインシデントの統計情報は、全入居者を対象とした統計情報であるがこれに限らない。例えばインシデントの統計情報は、全入居者のうち所定の属性の入居者を対象とした統計情報を含んでもよい。具体的には例えば、全入居者のうち80代男性のインシデント発生人数・発生確率等が、統計情報として示されてもよい。また例えば、男女別のインシデント発生人数・発生確率等が統計情報として示されてもよい。このようにすることで、ある薬剤等と、所定属性の入居者との相関関係を把握することができる。
【0055】
図5の摂取物の健康度への影響の情報の出力画面は、任意の手段、任意の画面遷移により表示できるように設定できる。例えば、ユーザは、端末装置20に表示する摂取物の名称の入力画面において、薬剤名又は食品名又は組み合わせの直接入力、或いは、画面表示された摂取物の一覧からの選択等をすることで、
図5の出力画面に遷移できる。或いは、インシデントに関する条件式(インシデント発生回数X回以上、食事量減少のインシデント発生確率Y%以上、等)で該当する摂取物を抽出し、抽出された摂取物の一覧から選択することで、
図5の出力画面に遷移できる。なお、この画面遷移は一例であり、他の方法で摂取物の健康度への影響の情報を表示させてもよい。
【0056】
さらに、
図5の画面において、薬剤又は食品を摂取(服用)している入居者のリストから、入居者を選択(画面上のクリック等)することにより、当該入居者の個人の健康度の変化に関する情報が表示されてもよい。次に、入居者個人の健康度の変化に関する情報の出力画面の例について説明する。
【0057】
図6は、入居者(個人)の健康度に係るユーザインターフェースの一例である。
図6は、ある入居者の個人の食事摂取量(食事量)の変化を示している。グラフの横軸が年月日を示しており、縦軸がそれぞれの日の食事摂取量を示している。ここでは、食事を主食と副食に分けて、それぞれ全体(配膳量)の何割程度摂取したかが、0~10の数字で表示されている。したがって、縦軸は最大値20の数値で表示される。なお、食事摂取量のデータ取得は、朝食・昼食・夕食の食事ごとに行い、グラフ表示では、1日の平均値が棒グラフで示されている。なお、食事摂取量について、インシデントの条件に該当する場合には、該当した日のグラフにアラートのマークが表示されることが望ましい。
図6は、過去(最近)2日間の主食・副食の平均食事量が、提供された食事全体の20%以下であるとの条件に基づいて、インシデントと判定され、アラートが表示された例を示している。
【0058】
また、
図6では、食事摂取量のグラフに重ねて、当該入居者が摂取している摂取物(例えば、服薬中の医薬品)が、その摂取期間に対応する長さで横方向に延びるラインで示されている。ライン近傍に当該摂取物の名称(例えば、薬剤名、商品名)が表示されてもよいし、ラインをタッチ又はライン上にカーソルを合わせると、当該摂取物の名称が表示されるようなユーザインターフェースとしてもよい。さらに、薬剤の場合は、表示内容として名称と薬効が切り替えられるようにしてもよい。また、グラフと同じ画面に、当該入居者が服用している薬剤等の一覧が表示されてもよい。この画面から、ユーザは、ある摂取物の入居者の食事摂取量への影響が把握可能である。なお、摂取物としては、医薬品に限らず、医薬部外品(ドリンク剤やサプリメント等)及び食品(例えば、刺激性の食材等)に着目して表示をおこなってもよい。
【0059】
図7も、入居者(個人)の健康度に係るユーザインターフェースの一例である。
図7は、ある入居者の個人の睡眠量の変化を示している。グラフの横軸が年月日を示しており、縦軸がそれぞれの日の睡眠量を示している。ここでは、睡眠計で測定された毎日の睡眠量が分単位で表示されている。なお、睡眠量について、インシデントの条件に該当する場合には、該当した日のグラフにアラートのマークが表示されることが望ましい。
図7は、過去(最近)2日間の睡眠量が、それ以前30日間の平均睡眠量に対し35%以上増加したとの条件に基づいて、睡眠過剰のインシデントと判定され、アラートが表示された例を示している。
【0060】
また、
図7では、睡眠量のグラフに重ねて、当該入居者が摂取している摂取物(例えば、服薬中の医薬品)が、その摂取期間に対応する長さで横方向に延びるラインで示されている。
図7は、ラインの高さを変えて、2種類の薬剤を服用している状態を示している。各薬剤を使用開始時期から使用終了時期(継続中も含む)までのそれぞれ異なるラインで示すことにより、ユーザは、入居者が何種類の薬を服用しているかを直ちに把握することができ、多剤投与の危険性を把握できる。各ライン近傍に当該摂取物の名称(例えば、薬剤名、或いは薬効)が表示されてもよいし、ラインをタッチ又はライン上にカーソルを合わせると、当該摂取物の名称(例えば、薬剤名、或いは薬効)が表示されるようなユーザインターフェースとしてもよい。また、グラフと同じ画面に、当該入居者が服用している薬剤等の一覧が表示されてもよい。
【0061】
図7の睡眠量の変化からは、ある摂取物(薬剤B)の摂取後に、この入居者の睡眠量への影響が生じたことが把握可能であるが、薬剤Bの単独の影響であるか、薬剤Aと薬剤Bとの相互作用であるかを判断するためには、薬剤Bを服用している他の入居者の睡眠量の傾向を併せて分析する必要がある。情報処理装置10は、統計処理又は機械学習により、このような摂取物又はその組み合わせの健康度への影響を分析する。
【0062】
図8も、入居者(個人)の健康度に係るユーザインターフェースの一例である。
図8は、ある入居者の個人の事故(転倒)の発生状況を示している。グラフの横軸が年月日を示しており、縦軸が事故の発生件数を示している。なお、事故(転倒)については、事故の発生自体がインシデントに該当するとして、インシデントが発生した日のグラフにアラートのマークが表示されることが望ましい。
【0063】
また、
図8では、事故発生状況のグラフに重ねて、当該入居者が摂取している摂取物(例えば、服薬中の医薬品)が、その摂取期間に対応する長さで横方向に延びるラインで示されている。ライン近傍に当該摂取物の名称(例えば、薬剤名、或いは薬効)が表示されてもよいし、ラインをタッチ又はライン上にカーソルを合わせると、当該摂取物の名称(例えば、薬剤名、或いは薬効)が表示されるようなユーザインターフェースとしてもよい。また、グラフと同じ画面に、当該入居者が服用している薬剤等の一覧が表示されてもよい。この画面から、ユーザは、ある摂取物の入居者の転倒事故への影響が把握可能である。
【0064】
この他、入居者の呼吸数、心拍数、体重等のデータも、
図7と同様に日々の変化をグラフ化して、当該入居者が摂取している摂取物(例えば、服薬中の医薬品)を示す横方向に延びるラインとともに表示し、摂取物との関係を把握してもよい。
図6~
図8の他にも、さらに、個人の入居者のバイタルデータ(食事量、睡眠量、呼吸数、心拍数、体重、体温等)を集約して、入居者の健康状態を管理するための情報の画面が表示されてもよい。
【0065】
なお、
図5の摂取物の健康度への影響の情報の出力画面から、入居者の個人の健康度の変化に関する情報の出力画面(例えば、
図6~
図8)に遷移することができると説明したが、情報処理装置10は、入居者個人を直接指定することにより、当該入居者の健康度の変化に関する情報を出力してもよい。例えば、ユーザは端末装置20から入居者の個人名を入力し、情報処理装置10はこれに応答して、当該入居者の個人情報を出力する。
図6から
図8の各画面は、各入居者の個人情報の画面からタブ等で切り替えを行って表示されてもよい。
【0066】
情報処理装置10が出力する、各摂取物又は摂取物の組み合わせについての健康度への影響の情報は、
図5のユーザインターフェースとは異なる、他のユーザインターフェースを用いて出力されてもよい。例えば、ある摂取物又は摂取物の組み合わせを摂取している入居者のデータを集約することにより、ある摂取物又は摂取物の組み合わせを摂取開始した後の各健康度の時系列の変化が、摂取者の平均値として表示されてもよい。すなわち、各摂取物又はその組み合わせについて、
図6~
図8の各健康度の変化と同様のグラフが、摂取者の平均値として出力されてもよい。
【0067】
また、情報処理装置10は、インシデントを判定すると、インシデントが判定された入居者を担当するユーザの端末装置20又は入居者全体を管理する端末装置20に、インシデントの発生の情報をプッシュ通知として通知してもよい。情報処理装置10は、アラートの表示を付加した当該入居者の健康度の変化に関する情報の画面(
図6~
図8)を、端末装置20に直接送信し、出力させてもよい。
【0068】
かかる構成によれば、システム1(情報処理装置10)は、施設の入居者の全体の摂取物と健康度の変化に関する情報から、各摂取物又はその組み合わせについての健康度への影響の情報を出力することができる。このため、ユーザは、例えば、健康度に影響を与える可能性の高い各摂取物又は摂取物の組み合わせを知ることができる。したがって、入居者の体調不良又は事故を予測し、未然に防止できる点で、入居施設における入居者の体調維持に関する技術が改善される。
【0069】
なお本実施形態において、処方箋等のデータは、端末装置20を用いて二次元バーコード情報からの読み込みにより取得することができるとしたが、二次元バーコード情報からの読み込みは各種の手法により行うことができる。具体的には例えば、処方箋等のデータは、処方箋等に印刷された電子お薬手帳用の二次元コードを読み取ることによって取得されてもよい。この場合において、電子お薬手帳用の二次元コードに含まれない情報は、ユーザによる入力に付加されてもよい。例えば入居者施設情報は、ユーザによる選択等の入力により付加されてもよい。この場合において入居者施設情報は、二次元コードの情報とともに端末装置20から情報処理装置10に送信されてよい。
【0070】
入居者(個人)の健康度に係るユーザインターフェースは
図6等に示すものに限られない。
図9―12に、入居者(個人)の健康度に係るユーザインターフェースの他の例を示す。
図9に示すユーザインターフェースは、ある入居者(ここでは清水A子)の個人の健康度に係る情報を示している。
図9のユーザインターフェースは、選択タブ101と、選択タブ102と,注意事項欄103と、情報表示欄104と、スクロールバー105とを含む。選択タブ101がユーザにより選択された場合、処方及び体調を示す情報が表示される。選択タブ102がユーザにより選択された場合、かかる入居者の処方全般に係る情報が表示される。
図9は、選択タブ101が選択された場合に表示されるユーザインターフェースである。注意事項欄103には、かかる入居者の処方に関する注意情報が示される。例えば所定の基準を超えるリスクの医薬品が入居者に処方されている場合、「ハイリスク薬処方あり」との情報が示される。
図9に示すように、注意事項欄103には、具体的な医薬品名が併記されてもよい。また注意事項欄103には、副作用リスクに関する所定の基準を超える医薬品が入居者に処方されている場合、「副作用リスク薬処方あり」との情報が示されてもよい。
図9に示すように、注意事項欄103には、副作用リスク薬に係る具体的な医薬品名が併記されてもよい。
【0071】
情報表示欄104には、各種情報が表示される。各種情報は、処方ガントチャート、食事摂取量推移、朝食摂取量推移、体重推移、体温推移、飲水量推移、排便量推移、睡眠時間推移等を含む。情報表示欄104に示される内容は、スクロールバー105により情報表示欄104の表示範囲を変更できる。
図9では、情報表示欄104に、処方ガントチャートが示されている。処方ガントチャートは、各医薬品を処方する日時をガントチャートにより示したグラフである。ガントチャートの横軸が年月日を示しており、縦軸が各医薬品を示している。処方ガントチャートにより、ユーザは各医薬品が処方されるタイミングを容易に把握することができる。
【0072】
上述のようにスクロールバー105が操作されると、情報表示欄104の表示範囲が変更される。
図10は、スクロールバー105が操作されることにより情報表示欄104の表示範囲が変更された後の表示例である。
図10では、情報表示欄104に、食事摂取量推移及び朝食摂取量推移が示されている。グラフの横軸が年月日を示しており、縦軸がそれぞれの日の食事摂取量及び朝食摂取量を示している。また、
図10では、食事摂取量推移、及び朝食摂取量推移のグラフに重ねて、当該入居者が摂取している医薬品の摂取期間が、その摂取期間に対応する範囲を示すエリア106により示される。
【0073】
図11は、スクロールバー105がさらに操作されることにより情報表示欄104の表示範囲が変更された後の表示例である。
図11では、情報表示欄104に、体重推移、体温推移が示されている。グラフの横軸が年月日を示しており、縦軸がそれぞれの日の体重、体温を示している。
図10同様に、
図11では、体重推移、及び体温推移のグラフに重ねて、当該入居者が摂取している医薬品の摂取期間が、その摂取期間に対応する範囲を示すエリア106により示されている。これによりユーザは、健康度と医薬品等の摂取物との関係性を容易に把握することができる。
【0074】
図12は、スクロールバー105がさらに操作されることにより情報表示欄104の表示範囲が変更された後の表示例である。
図12では、情報表示欄104に、飲水量推移、排便量推移が示されている。グラフの横軸が年月日を示しており、縦軸がそれぞれの日の飲水量、排便量を示している。
図10同様に、
図12では、飲水量推移、排便量推移のグラフに重ねて、当該入居者が摂取している医薬品の摂取期間が、その摂取期間に対応する範囲を示すエリア106により示されている。これによりユーザは、健康度と医薬品等の摂取物との関係性を容易に把握することができる。
【0075】
図9における選択タブ102が選択された場合、かかる入居者の処方全般に係る情報が表示される。
図13は、選択タブ102が選択された場合に表示されるユーザインターフェースの一例である。
図13のユーザインターフェースは、選択タブ101と、選択タブ102と,一覧情報107とを含む。選択タブ101と、選択タブ102とは、
図9に示すものと同一である。一覧情報107は、かかる入居者に処方されている医薬品の各種情報を含む。医薬品の各種情報は、処方ステータス、医薬品名称、用量、一般名、効能、処方日、使用開始日、ハイリスク薬フラグ、副作用リスク薬フラグ、副作用等を含む。ハイリスク薬フラグは、所定の基準を超えるリスクの医薬品であるか否かを示すフラグである。一覧情報107において所定の基準を超えるリスクの医薬品は「ハイリスク薬」である旨が示される。またハイリスク薬フラグが立っている医薬品が含まれる場合は、ハイリスク薬が処方されていることが、上述の注意事項欄103に示される。副作用リスク薬フラグは、副作用リスクに関する所定の基準を超える医薬品であるか否かを示すフラグである。一覧情報107において所定の基準を超える副作用リスクを有する医薬品は「副作用リスク薬」である旨が示される。また副作用リスク薬フラグが立っている医薬品が含まれる場合は、副作用リスク薬が処方されていることが、上述の注意事項欄103に示される。
【0076】
図13における各医薬品名は、クリック等によりユーザが選択可能であってもよい。またこの場合において、ある医薬品名を選択した場合に、選択された医薬品の詳細情報が表示されてもよい。
図14は、
図13の一覧の医薬品名の一つが選択された場合のユーザインタフェースの一例である。
図14に示すように、係るユーザインタフェースにより、薬品の内容、効能・働き、副作用、注意点、服用・使用前に相談すること等が表示される。かかるユーザインタフェースにより、ユーザは薬剤の詳細情報を容易に把握することができる。
【0077】
本開示を諸図面及び実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形及び改変を行ってもよいことに注意されたい。したがって、これらの変形及び改変は本開示の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各構成部又は各ステップ等に含まれる機能等は論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の構成部又はステップ等を1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。
【0078】
例えば、上述した実施形態において、情報処理装置10の構成及び動作を、互いに通信可能な複数のコンピュータに分散させた実施形態も可能である。また例えば、情報処理装置10の一部の機能・構成要素を、端末装置20に設けた実施形態も可能である。
【0079】
また、例えば汎用のコンピュータを、上述した実施形態に係る情報処理装置10として機能させる実施形態も可能である。具体的には、上述した実施形態に係る情報処理装置10の各機能を実現する処理内容を記述したプログラムを、汎用のコンピュータのメモリに格納し、プロセッサによって当該プログラムを読み出して実行させる。したがって、本開示は、プロセッサが実行可能なプログラム、又は当該プログラムを記憶する非一時的なコンピュータ可読媒体としても実現可能である。
【符号の説明】
【0080】
1 システム
10 情報処理装置
11 制御部
12 記憶部
13 通信部
20 端末装置
21 制御部
22 記憶部
23 通信部
24 入力部
25 出力部
30 ネットワーク
101、102 選択タブ
103 注意事項欄
104 情報表示欄
105 スクロールバー
106 エリア
107 一覧情報