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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024002470
(43)【公開日】2024-01-11
(54)【発明の名称】電源装置、および記録装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20231228BHJP
   B41J 29/00 20060101ALI20231228BHJP
   G03G 15/00 20060101ALN20231228BHJP
【FI】
B41J2/01 301
B41J29/00 C
G03G15/00 680
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022101661
(22)【出願日】2022-06-24
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 克幸
【テーマコード(参考)】
2C056
2C061
2H171
【Fターム(参考)】
2C056FA10
2C056HA51
2C061AP01
2C061AQ05
2C061AQ06
2C061AR01
2C061BB17
2C061BB30
2C061BB33
2C061BB35
2H171FA05
2H171GA31
2H171KA05
2H171KA13
2H171KA22
2H171KA27
2H171KA28
2H171MA03
2H171MA11
2H171MA17
2H171MA20
2H171WA13
(57)【要約】
【課題】高電圧を生成可能な電源装置を記録装置に配置する場合、記録装置が備える配線等の他部材が、電源装置と接触する虞がある。
【解決手段】電源装置80は、高電圧を生成可能な高電圧回路部が実装される基板81と、基板81が固定される固定部材82と、基板81および固定部材82に対して位置決めされた状態で折り曲げられることにより、基板81の高電圧回路部を覆う態様となるシート部材83と、を備える。
【選択図】図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高電圧を生成可能な高電圧回路部が実装される基板と、
前記基板が固定される固定部材と、
前記基板および前記固定部材に対して位置決めされた状態で折り曲げられることにより、前記基板の前記高電圧回路部を覆う態様となるシート部材と、
を備える、
電源装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電源装置であって、
前記基板および前記固定部材のいずれかは、被係合部を有し、
前記シート部材は、前記被係合部に係合する係合部を有する、
電源装置。
【請求項3】
請求項1に記載の電源装置であって、
被係合部をさらに備え、
前記シート部材のうち前記基板および前記固定部材に対して位置決めされる部分を位置決め部とするとき、前記シート部材は、前記位置決め部から離れた位置に、前記被係合部に係合する係合部を有する、
電源装置。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載の電源装置であって、
前記係合部は、前記シート部材に配置される貫通孔であり、
前記被係合部は、前記基板および前記固定部材のいずれかに配置される突起である、
電源装置。
【請求項5】
請求項2または請求項3に記載の電源装置であって、
前記シート部材は、前記基板の前記高電圧回路部を覆う態様からさらに折り曲げられる、
電源装置。
【請求項6】
請求項5に記載の電源装置であって、
前記シート部材は、前記基板の前記高電圧回路部を覆う態様からさらに折り曲げられることにより、前記基板において前記高電圧回路部が実装される面とは反対の面を覆う離隔部を有し、
前記固定部材において前記離隔部の外面と向かい合う部分に、前記被係合部が配置され、
前記離隔部に、前記係合部が配置される、
電源装置。
【請求項7】
請求項1に記載の電源装置であって、
前記固定部材は、他の部材に対してねじにより固定され、
前記シート部材は、前記ねじの頭部に係合する係合部を有する、
電源装置。
【請求項8】
請求項1に記載の電源装置であって、
前記固定部材は、樹脂で形成される、
電源装置。
【請求項9】
請求項1に記載の電源装置であって、
前記シート部材のうち前記基板および前記固定部材に対して位置決めされる部分を位置決め部とするとき、前記固定部材と前記基板との間に前記位置決め部が挟まれた状態で、前記固定部材に対して前記基板がねじにより固定される、
電源装置。
【請求項10】
請求項1に記載の電源装置と、
媒体に対して記録を行う記録部と、
前記記録を行う記録動作を制御する制御部が配置される回路基板と、
前記回路基板と電気的に接続される配線と、
を備え、
前記配線は、前記電源装置と隣り合う位置に配置される、
記録装置。
【請求項11】
請求項10に記載の記録装置であって、
前記電源装置を覆う閉状態と、前記電源装置が露出する開状態と、を取り得る開閉部をさらに備える、
記録装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電源装置、および記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、吐出ヘッドからインクを吐出することにより、用紙に印刷を行う記録装置の一例である液体吐出装置が開示されている。インクは液体の一例である。用紙は媒体の一例である。また、この液体吐出装置は、高圧電源と電極を備え、高圧電源から電極に高電圧を印加することで静電気力を発生させ、静電気力の作用でミスト化したインクを収集することが開示されている。高圧電源は電源装置の一例である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-248001号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の液体吐出装置のように高圧電源を備える場合、液体吐出装置が備える配線等の他部材が、高圧電源と接触する虞がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
電源装置は、高電圧を生成可能な高電圧回路部が実装される基板と、前記基板が固定される固定部材と、前記基板および前記固定部材に対して位置決めされた状態で折り曲げられることにより、前記基板の前記高電圧回路部を覆う態様となるシート部材と、を備える。
【0006】
記録装置は、上述の電源装置と、媒体に対して記録を行う記録部と、前記記録を行う記録動作を制御する制御部が配置される回路基板と、前記回路基板と電気的に接続される配線と、を備え、前記配線は、前記電源装置と隣り合う位置に配置される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本体が閉位置にある記録装置を示す斜視図。
図2】本体が開位置にある記録装置を示す斜視図。
図3】記録装置の内部構造を示す模式斜視図。
図4】記録装置の記録領域周辺を示す模式斜視図。
図5】記録装置の前面を示す側面図。
図6図5に示すVI-VI断面を示す模式断面図。
図7】記録装置の電源装置周辺を示す斜視図。
図8】電源装置の構成を示す模式斜視図。
図9】シート部材を示す斜視図。
図10】電源装置の構成を示す模式斜視図。
図11】電源装置の構成を示す模式斜視図。
図12】電源装置の構成を示す模式断面図。
図13】電源装置の他の実施形態を示す模式断面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示を実施形態に基づいて説明する。各図において同一部材には同一符号を付し、重複する説明は省略する。なお、本明細書において、「同じ」、「同一」、「同時」とは、完全に同じであることを指すのみならず、測定誤差を考慮して同じである場合、部材の製造ばらつきを考慮して同じである場合、および、機能を損なわない範囲で同じである場合を含むものとする。よって、例えば、「両者の寸法が同じである」とは、測定誤差、部材の製造ばらつきを考慮し、両者の寸法差が、一方の寸法の±10パーセント以内、さらに好ましくは±5パーセント以内、特に好ましくは±3パーセント以内であることを指す。
【0009】
また、各図においてX、Y、Zは、互いに直交する3つの空間軸を表している。本明細書では、これらの軸に沿った方向をX軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向とする。向きを特定する場合には、正の方向を「+」、負の方向を「-」として、方向表記に正負の符合を併用し、各図の矢印が向かう向きを+方向、矢印の反対方向を-方向として説明する。
【0010】
また、Z軸方向は、鉛直方向を示し、+Z方向は鉛直上向き、-Z方向は鉛直下向きを示す。また、X軸,Y軸を含む平面をX-Y面、X軸,Z軸を含む平面をX-Z面、Y軸,Z軸を含む平面をY-Z面として説明する。また、X-Y面は水平面となる。さらに、正方向及び負方向を限定しない3つのX、Y、Zの空間軸については、X軸、Y軸、Z軸として説明する。
【0011】
尚、各図においてZ軸方向は記録装置11の高さ方向である。本実施形態において記録装置11の周囲を構成する側面のうち操作パネル33が設けられる側面が記録装置11の前面12となる。X軸方向は記録装置11の幅方向であり、媒体の幅方向である。X軸方向のうち-X方向は記録装置11の前面12をユーザーと対面させた際にユーザーから見て左方向となり、また+X方向は同右方向となる。
【0012】
Y軸方向は記録装置11の奥行方向である。Y軸方向のうち-Y方向は記録装置11の背面13から記録装置11の前面12に向かう方向である。また+Y方向は記録装置11の前面12から記録装置11の背面13に向かう方向である。
【0013】
1.実施形態1
記録装置11は、例えば、搬送方向に搬送される媒体に対して記録部48からインクを吐出することで記録を行うインクジェット方式のプリンターである。インクは液体の一例である。図1に示すように、記録装置11は、直方体状に構成される。記録装置11は、前面12を備える。前面12は、-Y方向を向く平面である。記録装置11は、背面13を備える。背面13は、+Y方向を向く平面である。記録装置11は、左側面14を備える。左側面14は、-X方向を向く平面である。記録装置11は、右側面15を備える。右側面15は、+X方向を向く平面である。記録装置11は、底面16を備える。底面16は、-Z方向を向く平面である。記録装置11は、天面17を備える。天面17は、+Z方向を向く平面である。
【0014】
記録装置11は、筐体20と、本体21とを備える。筐体20は、本体21を収容するように構成される。筐体20は、少なくとも記録装置11の左側面14の一部、右側面15の一部、底面16の一部及び天面17の一部を構成するが、記録装置11の左側面14の全部、右側面15の全部、底面16の全部及び天面17の全部を構成してもよい。このように、筐体20は、記録装置11の左側面14、右側面15、底面16及び天面17という複数の面を有する。記録装置11の左側面14、右側面15、底面16及び天面17は、それぞれ筐体20の左側面、右側面、底面及び天面であるともいえる。なお、筐体20に、記録装置11の前面12の少なくとも一部が含まれてもよい。また、筐体20に、記録装置11の背面13の少なくとも一部が含まれてもよい。
【0015】
本体21は、記録装置11の前面12の全部を構成するが、記録装置11の前面12の少なくとも一部を構成してもよい。このように、本体21は、記録装置11の前面12を有する。記録装置11の前面12は、本体21の前面であるともいえる。また、記録装置11の背面13は、筐体20の背面と、本体21の背面とで構成されてもよいが、筐体20の背面だけで構成されてもよく、本体21の背面だけで構成されてもよい。
【0016】
本体21は、筐体20に対してY軸方向に沿って変位可能に構成される。Y軸方向は変位方向の一例である。
【0017】
図1に示すように、本体21は、閉位置に配置可能である。閉位置は、本体21が筐体20に収容される位置である。本実施形態では、閉位置において、本体21の前面12は、記録装置11の左側面14の一部、右側面15の一部、底面16の一部及び天面17の一部を構成するが、記録装置11の左側面14、右側面15、底面16及び天面17を構成しなくてもよい。この場合、閉位置において、本体21の前面12は、筐体20内に位置してもよい。
【0018】
図2に示すように、本体21は、開位置に変位可能である。開位置は、-Y方向に向かって本体21が筐体20から突出する位置である。本体21が開位置に配置されるときに、本体21の内部の少なくとも一部が筐体20から露出する。このように、本体21は、筐体20に対して、Y軸方向に沿って閉位置と開位置との間で変位可能に構成される。尚、本体21が開位置にあるときに、本体21の内部が-X方向に露出しないように、本体21の-X方向側の端に、カバー部材68が配置される。
【0019】
図1図2に示すように、筐体20は、筐体フレーム26を備える。筐体フレーム26は、記録装置11の左側面14、右側面15及び天面17を構成する部材である。つまり、筐体20は、記録装置11の左側面14、右側面15及び天面17というように複数の面を備える。筐体フレーム26は、後述する底板22に対して、取付けねじ等により着脱可能に取り付けられる。換言すると、筐体フレーム26は、本体21に配置される電源装置80、記録部48、回路基板90、およびフラットケーブル102,104等の構成要素を覆う閉状態と、構成要素が露出する開状態と、を取り得る。筐体フレーム26は、開閉部の一例である。電源装置80、記録部48、回路基板90、およびフラットケーブル102,104については後述する。
【0020】
図1から図3に示すように、筐体20は、底板22を備える。底板22は、平板形状をしている。底板22は、金属製であるが、樹脂製であってもよく、金属板と樹脂板との両方から構成されてもよい。底板22は、記録装置11の底面16を構成する。つまり、筐体20は、記録装置11の底面16を備える。尚、図3では、説明のため、筐体20の筐体フレーム26、およびカバー部材68を取り除いた状態を表している。
【0021】
図3に示すように、記録装置11は、電源部95を備える。電源部95は、供給される商用電源を変換し、記録装置11における本体21への電源供給を行う。電源部95は、筐体20の底板22に配置される。電源部95は、記録装置11の中央より+Y方向側に配置される。電源部95は、記録装置11の中央より+X方向側に配置される。
【0022】
図1図2に示すように、記録装置11は、収容量視認部31を備える。収容量視認部31は、本体21に配置される。収容量視認部31は、後述する液体収容部40におけるインクの収容量を視認可能である。図5に示すように、収容量視認部31は、各色のインクにそれぞれ対応する複数の視認窓32から構成される。収容量視認部31は、記録装置11の前面12に位置する。
【0023】
図1図2に示すように、記録装置11は、操作パネル33を備える。操作パネル33は、本体21に配置される。図5に示すように、操作パネル33は、操作部34と、表示部35とを備える。操作部34は、ユーザーによって操作可能である。操作部34は、複数の操作ボタンから構成される。表示部35は、記録装置11に関する情報を表示する。操作パネル33は、記録装置11の前面12に位置する。尚、操作部34と表示部35とは、タッチパネルのように、同一の構成によって兼ねられてもよい。
【0024】
図1図2図5に示すように、記録装置11は、報知ランプ36を備える。報知ランプ36は、本体21に配置される。報知ランプ36は、記録装置11に関する情報を報知するためのランプである。報知ランプ36は、記録装置11に関するエラー情報を報知するためのランプであってもよい。報知ランプ36は、記録装置11の前面12に位置する。報知ランプ36は、操作パネル33の-Z方向側に位置し、Z軸方向において操作パネル33と後述する開閉扉37との間に位置する。報知ランプ36は、X軸方向に延びるように構成される。
【0025】
記録装置11は、開閉扉37を備える。開閉扉37は、本体21に配置される。開閉扉37は、記録装置11の前面12に位置する。開閉扉37は、操作パネル33及び報知ランプ36よりも-Z方向側に位置する。図6に示すように、開閉扉37は、下端部においてX軸方向に沿う回転軸37Aを中心として回転可能に構成される。これにより、開閉扉37は、記録装置11の前面12に対して開閉可能に構成される。
【0026】
図2図6に示すように、記録装置11は、排出口38を備える。排出口38は、本体21に配置される。排出口38は、後述する記録部48によって記録された媒体を排出する開口である。排出口38は、記録装置11の-Y方向に開口する。つまり、排出口38は、記録装置11の前面12において、-Y方向に開口するように配置される。
【0027】
排出口38は、開閉扉37が開放しているときに記録装置11の-Y方向において露出する。排出口38は、開閉扉37が閉鎖しているときに露出しないが、開閉扉37が閉鎖しているときに露出してもよい。排出口38は、後述する液体収容部40の-X方向側に位置する。
【0028】
記録装置11は、排紙トレイ37Bを備える。排紙トレイ37Bは、本体21に配置される。排紙トレイ37Bは、開閉扉37の内壁面に配置される。排紙トレイ37Bは、開閉扉37が開放されているときに露出し、記録後の媒体を載置可能である。排紙トレイ37Bは、Y軸方向に伸縮可能に構成されてもよい。
【0029】
記録装置11は、把持部39を備える。把持部39は、本体21に配置される。把持部39は、排出口38の+Z方向側に配置される。把持部39は、記録装置11の前面12において、-Y方向からユーザーにより把持可能な位置に配置される。つまり、把持部39は、本体21の-Y方向に向かう面において、-Y方向からユーザーにより把持可能な位置に配置される。このように、把持部39は、本体21をY軸方向に変位させる際にユーザーにより把持可能である。
【0030】
図2に示すように、記録装置11は、液体収容部40を備える。液体収容部40は、本体21に搭載される。液体収容部40は、媒体への記録に用いるインクを収容するように構成される。液体収容部40は、X軸方向において排出口38及び把持部39と隣り合う位置に配置される。液体収容部40は、X軸方向において後述する廃液収容体装着部45と隣り合う位置に配置される。
【0031】
本実施形態の液体収容部40は、インクが注入可能なタンク型の収容部である。液体収容部40は、収容室41を備える。収容室41は、インクを収容するように構成される。液体収容部40は、各色のインクにそれぞれ対応する六つの収容室41を備える。
【0032】
液体収容部40は、液体注入口42を備える。液体注入口42は、収容室41にインクを注入可能に構成される開口である。液体収容部40は、各色のインクにそれぞれ対応する六つの液体注入口42を備える。
【0033】
液体収容部40は、栓43を備える。栓43は、液体注入口42を覆う。栓43は、収容室41を密封することにより、収容室41における乾燥を抑制することができる。液体収容部40は、各色のインクにそれぞれ対応する六つの栓43を備える。液体注入口42から栓43を取り外すことにより、液体注入口42から収容室41へのインクの注入が可能となる。
【0034】
液体収容部40は、第1カバー部44を備える。第1カバー部44は、開閉可能に構成される。収容室41及び栓43は、第1カバー部44が閉鎖しているときに、第1カバー部44により+Z方向から覆われる。栓43は、第1カバー部44が開放しているときに、ユーザーによる取り扱いが可能となる。このように、第1カバー部44が開放しているときに、液体注入口42から栓43を取り外すことができる。
【0035】
液体収容部40は、本体21が閉位置に配置されるときに筐体20から露出しない。一方、液体収容部40は、本体21が開位置に配置されるときに筐体20から露出する。このように、本体21が開位置に配置されるときに、第1カバー部44を開放した後に栓43を取り外すことにより、液体注入口42は、筐体20から露出する。これにより、液体注入口42から収容室41へのインクの注入が可能となる。
【0036】
図2に示すように、記録装置11は、廃液収容体装着部45を備える。廃液収容体装着部45は、廃液収容体46を装着可能に構成される。廃液収容体46は、後述する記録部48から廃液として排出されたインクを、後述するメンテナンス部70を介して収集可能に構成される。
【0037】
廃液収容体装着部45は、本体21に配置される。廃液収容体装着部45は、排出口38の+Z方向側に配置される。廃液収容体装着部45は、X軸方向において液体収容部40と隣り合う位置に配置される。
【0038】
廃液収容体装着部45は、収容体固定部47を備える。収容体固定部47は、廃液収容体装着部45に装着した廃液収容体46を固定するように構成される。収容体固定部47は、廃液収容体装着部45に装着した廃液収容体46を固定する位置と、廃液収容体46を廃液収容体装着部45から取り外すことができる位置との間で変位可能である。
【0039】
廃液収容体装着部45は、本体21が閉位置に配置されるときに筐体20から露出しない。一方、廃液収容体装着部45は、本体21が開位置に配置されるときに筐体20から露出する。これにより、廃液収容体装着部45における廃液収容体46の着脱が可能となる。
【0040】
図2から図4に示すように、記録装置11は、記録部48を備える。記録部48は、液体収容部40から供給されるインクを媒体に吐出することにより、媒体に記録を行うように構成される。記録部48は、本体21に搭載される。記録部48は、Y軸方向において液体収容部40と隣り合う位置に設けられる。記録部48は、液体収容部40よりも+Y方向側に配置される。尚、図3では、説明のため、筐体20の筐体フレーム26、およびカバー部材68を取り除いた状態を表している。また、図4では、説明のため、筐体20の筐体フレーム26、カバー部材68、媒体支持部53、液体保持部53P、および本体フレーム27を取り除いた状態を表している。
【0041】
記録部48は、本体21が開位置に配置されるときに筐体20から露出する。特に、後述する記録部48のキャリッジ51は、本体21が開位置に配置されるときに筐体20から露出する。記録部48は、本体21が閉位置に配置されるときに筐体20から露出しない。尚、図2に示すように、キャリッジ51は、本体21が開位置に配置されるとき、後述する記録領域RAの+X方向側となる待機位置に位置する。
【0042】
図2に示すように、記録装置11は、搬送経路49を備える。搬送経路49は、媒体を搬送する経路である。搬送経路49は、本体21に配置される。搬送経路49の一部は、本体21が開位置に配置されるときに筐体20から露出する。特に、搬送経路49のうち、記録部48により媒体への記録が行われる記録領域RAは、本体21が開位置に配置されるときに筐体20から露出する。搬送経路49は、本体21が閉位置に配置されるときに筐体20から露出しない。
【0043】
記録装置11は、第2カバー部50を備える。第2カバー部50は、本体21に配置される。第2カバー部50は、開閉可能に構成される。記録部48及び搬送経路49の一部は、第2カバー部50が閉鎖しているときに、第2カバー部50により+Z方向から覆われる。記録部48及び搬送経路49の一部は、第2カバー部50が開放しているときに、紙ジャムの除去など、ユーザーによる取り扱いが可能となる。
【0044】
図6に示すように、記録部48は、キャリッジ51と、液体吐出ヘッド52とを備える。キャリッジ51は、液体吐出ヘッド52を+Z方向から支持する。液体吐出ヘッド52は、キャリッジ51の-Z方向側に配置される。液体吐出ヘッド52は、キャリッジ51に搭載される。
【0045】
液体吐出ヘッド52は、-Z方向側の面であるノズル面に不図示の複数のノズルを備える。複数のノズルのそれぞれは、後述する媒体支持部53に支持された媒体に向けて開口する。液体吐出ヘッド52は、媒体支持部53に支持された媒体に向けて複数のノズルからインクを吐出する。記録部48は、媒体へのインクの吐出により媒体に記録を行うように構成される。本実施形態の液体吐出ヘッド52は、キャリッジ51のX軸方向への移動に伴ってインクを吐出するシリアルヘッド型であるが、ラインヘッド型であってもよい。尚、液体吐出ヘッド52のノズル面は接地されている。
【0046】
図3図6に示すように、記録装置11は、媒体支持部53を備える。媒体支持部53は、本体21に配置される。媒体支持部53は、媒体を支持するように構成される。媒体支持部53は、記録部48によって媒体に記録が行われる記録領域RAにおいて、媒体を支持する複数の凸部を備える。複数の凸部は、記録領域RAにおいて、X軸方向に間隔を置いて並ぶ。
【0047】
記録装置11は、媒体支持部53に、液体保持部53Pを備える。液体保持部53Pは、記録部48からのインクの吐出による媒体への記録において、記録領域RAのうち媒体の外側となる領域に、記録部48から吐出されるインクを受ける。液体保持部53Pは、媒体支持部53の凸部を囲むように配置される。液体保持部53Pは、凸部のうち媒体を支持する+Z方向の端より-Z方向側に配置される薄板状の部材である。液体保持部53Pは、インクを保持可能な樹脂製の多孔質部材である。
【0048】
図4図6に示すように、記録装置11は、電極53Mを備える。電極53Mは、媒体支持部53の凸部を囲むように配置される。図6に示すように、電極53Mは、液体保持部53Pに+Z方向から覆われるように、液体保持部53Pの-Z方向側に配置される。これにより、電極53Mは外部に露出しない。電極53Mは、導電性を有する金属製の薄板状部材である。
【0049】
電極53Mは、印加用接続線53Wによって、後述する電源装置80と接続される。記録装置11は、電源装置80から電極53Mに高電圧を印加することで、接地された液体吐出ヘッド52のノズル面と電極53Mとの間に静電気力を発生させる。記録装置11は、静電気力の作用によって、記録領域RAに浮遊するミスト状のインクを電極53Mに向けて移動させる。電極53Mに向けて移動するミスト状のインクは、電極53Mの+Z方向側に配置される液体保持部53Pに受けられ、保持される。尚、記録領域RAに浮遊するミスト状のインクは負極に帯電しているため、電極53Mには、電源装置80から正極の高電圧、例えば400Vの電圧が印加される。
【0050】
尚、印加用接続線53W、および印加用接続線53Wと電極53Mとの接続部分は、図3に示す本体フレーム27に+Z方向側を覆われる位置に配置される。これにより、印加用接続線53W、および印加用接続線53Wと電極53Mとの接続部分は外部に露出しない。
【0051】
図4図6に示すように、記録装置11は、第2廃液受け部59を備える。第2廃液受け部59は、液体保持部53Pが受けたインクを、廃液として収集する。第2廃液受け部59は、本体21に配置される。第2廃液受け部59は、記録領域RAにおいて、媒体支持部53に配置される液体保持部53P、および電極53Mに対して-Z方向となる位置に配置される。
【0052】
図6に示すように、第2廃液受け部59は、液体保持部53Pに対して-Z方向となる位置に、+Z方向に開口する凹部を有する。第2廃液受け部59の凹部は、液体保持部53Pが受け、液体保持部53Pが保持できなくなり、液体保持部53Pから落下するインクを、廃液として受けて収集する。
【0053】
図6に示すように、記録装置11は、給紙トレイ54を備える。給紙トレイ54は、媒体を載置可能なトレイである。給紙トレイ54は、本体21に搭載される。給紙トレイ54は、Y軸方向に沿って本体21に対して変位可能である。給紙トレイ54は、Y軸方向に沿って本体21から引き出されることにより、媒体の載置及び媒体の取り出しが可能な状態となる。
【0054】
図6に示すように、記録装置11は、搬送部55を備える。搬送部55は、媒体を搬送するように構成される。搬送部55は、本体21に配置される。搬送部55は、給紙トレイ54に載置される媒体を1枚ずつ給紙する。搬送部55は、給紙した媒体を搬送経路49に沿って搬送する。
【0055】
搬送部55は、複数のローラーと、駆動源となる複数のモーターとを備える。搬送部55は、搬送ローラー対56を備える。媒体が搬送される方向を搬送方向としたとき、搬送ローラー対56は、搬送経路49において、媒体支持部53に対して搬送方向の上流に位置する。搬送ローラー対56は、搬送経路49に沿って媒体を媒体支持部53に搬送する。また、搬送部55は、排出ローラー対57を備える。排出ローラー対57は、搬送経路49において、媒体支持部53に対して搬送方向の下流に位置する。排出ローラー対57は、搬送経路49に沿って記録後の媒体を排出する。
【0056】
搬送部55は、反転部58を備える。反転部58は、本体21に搭載される。反転部58は、本体21に対して+Y方向側から着脱可能に構成される。反転部58は、複数のローラーを備える。反転部58は、搬送経路49に沿って媒体の搬送方向を反転させるように構成される。
【0057】
図6に示すように、記録装置11は、読取部101を備える。読取部101は、搬送経路49において、搬送ローラー対56と反転部58との間となる位置に配置される。読取部101は、本体21に配置される。読取部101は、搬送される原稿に接触して画像を読み取る密着型のイメージセンサーである。読取部101は、フラットケーブル102を介して、後述する回路基板90の制御部91と電気的に接続される。図7に示すように、フラットケーブル102は、後述する電源装置80の-X方向側と隣り合う位置を通るように、本体21に配置される。フラットケーブル102は配線の一例である。
【0058】
図6に示すように、記録装置11は、媒体検出部103を備える。媒体検出部103は、搬送経路49において、搬送ローラー対56と読取部101との間となる位置に配置される。媒体検出部103は、本体21に配置される。媒体検出部103は、媒体の搬送方向における端を検出する反射型フォトセンサーである。媒体検出部103は、フラットケーブル104を介して、後述する回路基板90の制御部91と電気的に接続される。図7に示すように、フラットケーブル104は、後述する電源装置80の-X方向側と隣り合う位置を通るように、本体21に配置される。フラットケーブル104は配線の一例である。
【0059】
図3図4図6に示すように、記録装置11は、記録部支持部63を備える。記録部支持部63は、記録部48をX軸方向に移動可能に支持する。記録部支持部63は、本体21に配置される。記録部支持部63は、本体21のX軸方向となる幅方向に亘って延びるように配置される。記録部支持部63は、金属部材の一例である導電性を有する金属製の板状部材により形成される。記録部支持部63は、電源部95と電気的に接続される。これにより、記録部支持部63は、電源部95を介して接地される。
【0060】
図4に示すように、記録装置11は、メンテナンス部70を備える。メンテナンス部70は、記録部48における液体吐出ヘッド52のメンテナンスを行う。メンテナンス部70は、本体21に配置される。メンテナンス部70は、X軸方向において、記録領域RAの+X方向側となる位置に配置される。メンテナンス部70は、Y軸方向において、液体収容部40と筐体20の電源部95との間となる位置に設けられる。メンテナンス部70は、第1廃液受け部としてのキャップ(不図示)、および吸引ポンプ73を備える。
【0061】
キャップは、不図示のキャップ移動機構を駆動することで、液体吐出ヘッド52のノズル面に接触してノズルが開口するキャッピング空間を形成するキャッピング位置と、キャッピング位置に対して-Z方向側となる離隔位置と、の間を移動可能に設けられる。
【0062】
記録部48による記録が行われないとき、メンテナンス部70は、キャップがキャッピング位置に移動することで、キャッピングを行う。メンテナンス部70は、キャッピングを行うことにより、液体吐出ヘッド52のノズルからインクの溶媒成分が蒸発すること、ノズル面に異物が付着すること等を抑制することで、液体吐出ヘッド52のメンテナンスを行う。
【0063】
また、液体吐出ヘッド52のメンテナンスを目的として、液体吐出ヘッド52のノズルからインクを吐出するフラッシングを行うとき、メンテナンス部70は、キャッピング位置と離隔位置との間となる位置にキャップを移動することで、フラッシングにより廃液として排出されたインクをキャップに収集する。フラッシングとは、記録のためのインクの吐出とは異なるタイミングで、液体吐出ヘッド52のノズルからインクを吐出することで、吐出不良の原因となる液体吐出ヘッド52内の異物、気泡、および増粘したインクのいずれかを排出するものである。
【0064】
また、メンテナンス部70は、キャップがキャッピング位置にある状態で、吸引ポンプ73を駆動することで、ノズルに負圧を作用させてノズルからインクを排出させる吸引クリーニングを行う。メンテナンス部70は、吸引クリーニングを行うことにより、液体吐出ヘッド52内および液体吐出ヘッド52と液体収容部40とを接続する供給流路内の異物、気泡、および増粘したインクのいずれかを排出することで、液体吐出ヘッド52および供給流路のメンテナンスを行う。
【0065】
廃液収容体装着部45に装着される廃液収容体46と、キャップおよび第2廃液受け部59と、は不図示の廃液チューブにより接続される。本実施形態の吸引ポンプ73は、ローラーが廃液チューブを圧縮した状態で軸中心に回転することで、廃液チューブ内にインクを吸引し、廃液チューブからインクを排出する所謂チューブポンプである。キャップおよび第2廃液受け部59が受けたインクは、吸引ポンプ73が駆動されることで、廃液チューブを介して、廃液収容体46に廃液として収集される。
【0066】
図3図4図7に示すように、記録装置11は、電源装置80を備える。電源装置80は、電極53Mに高電圧を印加可能に、本体21に配置される。電源装置80は、X軸方向において、搬送経路49の-X方向側に位置する本体フレーム27の-X方向側に配置される。電源装置80は、Y軸方向において、記録部支持部63の+Y方向側に配置される。換言すると、電源装置80は、記録部支持部63によって、記録領域RAから隔離される位置に配置される。電源装置80は、Z軸方向において、後述する回路基板90と読取部101との間となる位置に配置される。
【0067】
電源装置80は、基板81、固定部材82、およびシート部材83を備える。基板81には、高電圧を生成する高電圧回路部が実装される。高電圧回路部は、図10から図12に示すように、変圧器81tを含み、基板81の-X方向側の面である実装面Smに実装される。基板81の高電圧回路部は、電極53Mに高電圧を印加可能に、印加用接続線53Wによって、電極53Mと接続される。
【0068】
固定部材82は、基板81が固定される樹脂製の部材である。固定部材82は、例えば、射出成型によって形成される。図8に示すように、固定部材82は、ねじ85,86によって、本体フレーム27に固定される。本体フレーム27は他の部材の一例である。固定部材82は、固定穴82fが形成されるボスを備える。尚、ねじ85,86は、回転可能な状態で、固定部材82に保持されていてもよい。
【0069】
また、図7図8図11に示すように、固定部材82は、基板81を覆う態様のシート部材83の-X方向側および-Y方向側に側壁を備える。この側壁は、電源装置80の-X方向側を通るフラットケーブル102,104の+X方向側に配置され、フラットケーブル102,104を支持する。尚、例えば、固定部材82が射出成型によって形成される場合、この側壁に、フラットケーブル102,104を保持する保持部を形成してもよい。
【0070】
図9に示すように、シート部材83は、樹脂製の薄板部材で形成される。シート部材83は、折り曲げ可能な可撓性と、折り曲げにより反力が発生する程度の弾性を有する。本実施形態のシート部材83は、厚さ0.1mmのフィルム状のPET(Polyethylene terephthalate)で形成される。シート部材83は、図9図10に破線で示す4か所の折り曲げ線f1,f2,f3,f4で折り曲げられることにより、図11図12に示すように、基板81のうち変圧器81tを含む高電圧回路部を囲うように覆った態様で、固定部材82に固定される。尚、本実施形態のシート部材83は、覆った高電圧回路部を外側から視認できるように、透明または半透明である。
【0071】
シート部材83は、貫通穴83fが配置される位置決め部Rpと、図9図10に示す折り曲げ線f1の位置でシート部材83が折り曲げられることで、位置決め部Rpと区画される延設部Reと、を有する。延設部Reは、折り曲げ線f2,f3,f4の位置で折り曲げられることで、離隔部Rs1,Rs2,Rs3,Rs4に区画される。シート部材83は、延設部Reのうち図10において+Z方向の端に位置する離隔部Rs4に、貫通孔83hを備える。換言すると、シート部材83は、位置決め部Rpから離れた位置に、貫通孔83hを備える。
【0072】
図10に示すように、固定部材82のボスと基板81との間に、シート部材83の位置決め部Rpが挟まれた状態で、基板81の位置決め穴(不図示)、貫通穴83f、および固定穴82fにねじ87が挿入されることで、基板81および固定部材82に対してシート部材83が位置決めされる。そして、ねじ87が固定部材82の固定穴82fにねじ込まれることで、シート部材83の位置決め部Rp、および基板81が、固定部材82に対して固定される。
【0073】
シート部材83の位置決め部Rpが基板81および固定部材82に対して位置決めされた状態で、シート部材83が3か所の折り曲げ線f1,f2,f3の位置で折り曲げられることにより、図11図12に示すように、延設部Reが、基板81のうち変圧器81tを含む高電圧回路部を囲うように覆った態様となる。詳しくは、離隔部Rs1が+Y方向側から基板81を覆う。また、離隔部Rs2が実装面Sm側となる-X方向側から基板81の高電圧回路部を覆う。また、離隔部Rs3が+Z方向側から基板81の高電圧回路部を覆う。
【0074】
また、シート部材83が折り曲げ線f4の位置で折り曲げられることにより、シート部材83の離隔部Rs4は、基板81における実装面Smの反対の面である裏面と固定部材82との間に挿し込まれる。これにより、離隔部Rs4は、+X方向側から基板81の裏面の少なくとも一部を覆う。また、シート部材83が折り曲げ線f4の位置で折り曲げられることで、シート部材83には、離隔部Rs4の+X方向となる固定部材82の側面に向けて離隔部Rs4を押し付ける反力が発生する。離隔部Rs4の+X方向となる固定部材82の側面は、離隔部Rs4の外面と向かい合う部分である。また、離隔部Rs4の+X方向となる固定部材82の側面には、ねじ85が配置される。そして、図12に示すように、離隔部Rs4は、固定部材82のうち離隔部Rs4の外面と向かい合う部分に接触する。これにより、離隔部Rs4に配置される貫通孔83hは、ねじ85の頭部に引っ掛かり、係合する。
【0075】
これにより、延設部Reの離隔部Rs4の位置が固定部材82に規制され、シート部材83は、固定部材82に対して固定される。すなわち、シート部材83は、シート部材83の位置決め部Rpが基板81および固定部材82に対して位置決めされた状態で、折り曲げられることにより、基板81の高電圧回路部を覆う態様で、固定部材82に固定される。この場合、貫通孔83hは係合部Kgの一例である。また、ねじ85の頭部は、固定部材82のうち離隔部Rs4の外面と向かい合う部分から-X方向に突き出る突起の一例であり、ねじ85は被係合部Kdの一例である。
【0076】
尚、延設部Reの離隔部Rs4の位置が固定部材82に規制されるのであれば、シート部材83の貫通孔83hは、ねじ85の頭部に係合しなくてもよい。例えば、図13に示すように、シート部材83の貫通孔83hは、固定部材82に一体的に形成される突部82Pに係合してもよい。突部82Pは、離隔部Rs4が基板81の裏面と固定部材82との間に挿し込まれたときに離隔部Rs4の外面が向かい合う固定部材82の側面から-X方向に突き出るように配置される突起である。この場合、固定部材82に配置される突部82Pは、被係合部Kdの一例である。
【0077】
また、例えば、シート部材83の貫通孔83hは、基板81に配置されるピン部材に係合してもよい。ピン部材は、基板81の裏面と固定部材82との間に挿し込まれる離隔部Rs4が覆う基板81の裏面から+X方向に突き出るように配置される。この場合、基板81に設けられるピン部材は、基板81に設けられる突起の一例であり、被係合部Kdの一例である。
【0078】
本実施形態では、基板81は、基板81の+Y方向側、高電圧回路部の-X方向側、高電圧回路部の+Z方向側、および裏面の一部の+X方向側をシート部材83に覆われる。これに加え、図10から図12に示すように、シート部材83に覆われた状態の基板81は、基板81の-X方向側の一部、基板81の+X方向側、基板81の-Y方向側の一部、および基板81の-Z方向側を固定部材82に覆われる。
【0079】
図3に示すように、記録装置11は、回路基板90を備える。回路基板90は、本体21に配置される。回路基板90は、本体フレーム27の-X方向側に配置される。回路基板90は、電源装置80の-Z方向側に配置される。回路基板90には、制御部91が配置される。制御部91は、不図示のCPU(Central Processing Unit)と、不図示のメモリーとを有する。
【0080】
CPUは、メモリーに記憶される各種プログラムを実行することができ、例えば、各種の判断や各種の命令等を行なうことができる。メモリーには、例えば、媒体を搬送するプログラム、操作パネル33の表示部35に記録装置11の状態を表示するための表示方法に関するプログラム等の各種プログラムが記憶されている。また、メモリーには、廃液収容体46内の廃液量の算出に使用する設定値等の各種テーブル、各種カウンター値等が記憶されている。
【0081】
制御部91は、記録装置11の全体を制御する。例えば、媒体に記録を行う場合、制御部91は、媒体検出部103により媒体の搬送方向における端を検出し、記録部48、および搬送部55を制御することで、媒体支持部53に搬送される媒体に対して、液体吐出ヘッド52のノズルからインクを吐出させて記録を行う。換言すると、制御部91は、媒体に記録を行う記録動作を制御する。また、例えば、制御部91は、電源装置80を制御することで、電極53Mに高電圧を印加して記録領域RAに浮遊するミスト状のインクを収集する。
【0082】
また、例えば、制御部91は、読取部101、および搬送部55を制御することで、搬送される原稿の画像を読み取る。また、例えば、制御部91は、メンテナンス部70のキャップ移動機構および吸引ポンプ73のいずれかを制御することで、記録部48における液体吐出ヘッド52のメンテナンスを行う。また、例えば、制御部91は、操作パネル33の表示部35に、記録装置11の状態に関する情報を表示させることで報知を行う。
【0083】
以上述べたように、実施形態1に係る電源装置80、および記録装置11によれば、以下の効果を得ることができる。
【0084】
電源装置80は、高電圧を生成可能な高電圧回路部が実装される基板81と、基板81が固定される固定部材82と、基板81および固定部材82に対して位置決めされた状態で折り曲げられることにより、基板81の高電圧回路部を覆う態様となるシート部材83と、を備える。これによれば、高電圧回路部を外部から隔離することができる。よって、例えば、記録装置11に電源装置80を配置するとき、記録装置11が備える配線等の他部材が高電圧回路部と接触することを抑制できる。
【0085】
また、記録装置11が備える配線等の他部材と同様に、記録装置11の製造工程において作業者が、あるいは記録装置11のメンテナンスにおいてサービスマンが、基板81の高電圧回路部に触れることを抑制できる。また、基板81および固定部材82に対して位置決めされた状態で折り曲げられるので、シート部材83を基板81の高電圧回路部を覆う態様にしやすい。また、シート部材83を折り曲げることで基板81の高電圧回路部を覆うことができるので、例えば、射出成型による成形部品で基板81の高電圧回路部を覆う場合と比較して、電源装置80の低コスト化を図りやすい。
【0086】
上述の電源装置80において、基板81および固定部材82のいずれかは、被係合部Kdを有し、シート部材83は、被係合部Kdに係合する係合部Kgを有する。これによれば、シート部材83を容易に固定することができる。また、シート部材83を固定するために、電源装置80が新たな部品等を備えることを不要にできる。
【0087】
上述の電源装置80は、被係合部Kdをさらに備え、シート部材83のうち基板81および固定部材82に対して位置決めされる部分を位置決め部Rpとするとき、シート部材83は、位置決め部Rpから離れた位置に、被係合部Kdに係合する係合部Kgを有する。これによれば、シート部材83を、固定部材82に対して固定することができる。
【0088】
上述の電源装置80において、係合部Kgは、シート部材83に配置される貫通孔83hであり、被係合部Kdは、基板81および固定部材82のいずれかに配置されるねじ85、突部82P、およびピン部材のいずれかである。これによれば、基板81および固定部材82のいずれかに、シート部材83を容易に固定することができる。
【0089】
上述の電源装置80において、シート部材83は、基板81の高電圧回路部を覆う態様からさらに折り曲げられる。これによれば、基板81の高電圧回路部に加え、基板81の他の部分を、シート部材83によって覆うことができる。また、記録装置11の製造工程において作業者が、あるいは記録装置11のメンテナンスにおいてサービスマンが、基板81に触れることを抑制できる。
【0090】
上述の電源装置80において、シート部材83は、基板81の高電圧回路部を覆う態様からさらに折り曲げられることにより、基板81において高電圧回路部が実装される実装面Smとは反対の面を覆う離隔部Rs4を有し、固定部材82において離隔部Rs4の外面と向かい合う部分に、被係合部Kdが配置され、離隔部Rs4に、係合部Kgが配置される。これによれば、離隔部Rs4によって、基板81において高電圧回路部が実装される実装面Smとは反対の面である裏面の少なくとも一部を覆うことができる。
【0091】
また、基板81の高電圧回路部を覆う態様からさらに折り曲げられることにより、シート部材83には、固定部材82のうちシート部材83の離隔部Rs4の外面と向かい合う部分に向けて離隔部Rs4を押し付ける反力が発生する。この反力を利用することで、固定部材82のうちシート部材83の離隔部Rs4の外面と向かい合う部分に離隔部Rs4を接触させ、被係合部Kdに係合部Kgを容易に係合させることができる。また、離隔部Rs4を基板81の裏面側に向かう-X方向に向けて変形させることにより、係合部Kgと被係合部Kdの係合を容易に解除することができる。
【0092】
上述の電源装置80において、固定部材82は、本体フレーム27に対してねじ85,86により固定され、シート部材83は、ねじ85の頭部に係合する係合部Kgを有する。これによれば、シート部材83の係合部Kgが係合する被係合部Kdを設けるために、電源装置80が新たな部品等を備えることを不要にできる。
【0093】
上述の電源装置80において、固定部材82は、樹脂で形成される。これによれば、例えば、記録装置11に電源装置80を配置するとき、記録装置11が備える配線等の他部品が高電圧回路部と接触することを、シート部材83に加えて、固定部材82により抑制することができる。
【0094】
上述の電源装置80において、シート部材83のうち基板81および固定部材82に対して位置決めされる部分を位置決め部Rpとするとき、固定部材82と基板81との間に位置決め部Rpが挟まれた状態で、固定部材82に対して基板81がねじ87により固定される。これによれば、基板81および固定部材82に対してシート部材83を容易に位置決めすることができる。また、シート部材83の位置決め部Rpを位置決めするために、電源装置80が新たな部品等を備えることを不要にできる。
【0095】
記録装置11は、電源装置80と、媒体に対して記録を行う記録部48と、記録を行う記録動作を制御する制御部91が配置される回路基板90と、回路基板90と電気的に接続されるフラットケーブル102,104と、を備え、フラットケーブル102,104は、電源装置80と隣り合う位置に配置される。これによれば、電源装置80の高電圧回路部はシート部材83により覆われているので、フラットケーブル102,104が電源装置80の高電圧回路部に接触することを抑制できる。
【0096】
上述の記録装置11は、電源装置80を覆う閉状態と、電源装置80が露出する開状態と、を取り得る筐体フレーム26をさらに備える。これによれば、記録装置11の製造工程において作業者が、あるいは記録装置11のメンテナンスにおいてサービスマンが、電源装置80に容易にアクセスできる。また、電源装置80の高電圧回路部はシート部材83により覆われているので、作業者やサービスマンが誤って電源装置80の高電圧回路部に触れることを抑制できる。
【0097】
本開示の上記実施形態に係る電源装置80、および記録装置11は、以上述べたような構成を有することを基本とするものであるが、本開示の要旨を逸脱しない範囲内での部分的構成の変更や省略等を行うことも勿論可能である。また、上記実施形態および以下に説明する他の実施形態は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。以下、他の実施形態について説明する。
【0098】
上記実施形態において、電源装置80は、記録装置11の本体フレーム27に対して固定される前に、基板81およびシート部材83の位置決め部Rpが固定部材82に固定されていてもよい。このとき、シート部材83の係合部Kgは固定部材82の被係合部Kdに係合していなくてもよい。また、このとき、シート部材83は、折り曲げられていなくてもよい。あるいは、このとき、シート部材83は、折り曲げ線f1,f2,f3,f4のうち少なくとも一つの位置で折り曲げが施されていてもよい。
【0099】
上記実施形態において、シート部材83は、貫通孔83hを備えなくてもよい。例えば、シート部材83は、離隔部Rs4に代えて、離隔部Rs3から延びる鉤状の延設片を備えてもよい。このとき、固定部材82は、シート部材83の鉤状の延設片が挿入されて係合する矩形の挿入孔を備えてもよい。この場合、シート部材83の鉤状の延設片は係合部Kgの一例であり、固定部材82の矩形の挿入孔は被係合部Kdの一例である。
【0100】
上記実施形態において、シート部材83は、貫通孔83hを備えなくてもよい。例えば、シート部材83は、離隔部Rs4から延びる鉤状の延設片を備えてもよい。また、例えば、鉤状の延設片は、鉤状の延設片の先端が基板81の裏面に向かうように、離隔部Rs4との間で折り曲げられる。このとき、基板81は、シート部材83の鉤状の延設片が挿入されて係合する矩形の挿入穴を備えてもよい。この場合、シート部材83の鉤状の延設片は係合部Kgの一例であり、基板81の矩形の挿入穴は被係合部Kdの一例である。
【0101】
上記実施形態において、シート部材83は、貫通孔83hを備えなくてもよい。この場合、例えば、図11に示すシート部材83の離隔部Rs3から+X方向に延びる延設片をシート部材83に設ける。そして、延設片にねじ孔を設け、シート部材83に設けた延設片を固定部材82に対してねじ固定する。これにより、延設部Reの離隔部Rs3の位置が固定部材82に固定され、シート部材83は、固定部材82に対して固定される。
【0102】
上記実施形態において、読取部101および媒体検出部103のいずれかは、フラットケーブル102,104を介して、回路基板90の制御部91と電気的に接続されなくてもよい。例えば、読取部101は、複数のケーブルを介して、回路基板90の制御部91と電気的に接続されてもよい。この場合、ケーブルとは1本の銅線を絶縁物で覆った電線である。
【0103】
上記実施形態において、電源装置80と隣り合う位置を通る配線は、読取部101および媒体検出部103のいずれかと回路基板90とを接続する配線でなくてもよい。例えば、電源装置80と隣り合う位置を通る配線は、記録部48の液体吐出ヘッド52と回路基板90とを接続する配線であってもよい。また、例えば、電源装置80と隣り合う位置を通る配線は、搬送部55のモーターと回路基板90とを接続する配線であってもよい。また、例えば、電源装置80と隣り合う位置を通る配線は、メンテナンス部70の吸引ポンプ73を駆動するモーターと回路基板90とを接続する配線であってもよい。また、例えば、電源装置80と隣り合う位置を通る配線は、電源装置80の基板81と回路基板90とを接続する配線であってもよい。
【0104】
上記実施形態において、電源装置80のシート部材83の厚さは、0.1mmより厚くてもよい。例えば、シート部材83の厚さを0.4mm以上としてもよい。この場合、シート部材83は、0.4mm以上の固体絶縁物であり、定格電圧が600V以下の情報技術装置に関する国際規格であるIEC60950-1における強化絶縁物として機能する。これによれば、電源装置80と隣り合う位置を通る配線と電源装置80の高電圧回路部との間の空間距離を4.2mm未満とすることができるので、記録装置11を小型化しやすい。また、この場合、シート部材83の折り曲げやすさを考慮して、シート部材83の厚さを0.4mmから0.8mmの範囲としてもよい。
【0105】
上記実施形態において、電源装置80と隣り合う位置を通る配線と電源装置80の高電圧回路部との間の空間距離を、国際規格IEC60950-1に規定する強化絶縁の条件を満足する4.2mm以上としてもよい。例えば、フラットケーブル102,104と電源装置80の高電圧回路部との間の空間距離が4.2mm以上となるように、基板81を覆う態様のシート部材83の-X方向側および-Y方向側に配置される固定部材82の側壁の位置を設定してもよい。この場合、シート部材83の厚さは、0.4mm未満である例えば0.1mmであってもよいし、0.4mm以上であってもよい。また、この場合、シート部材83の折り曲げやすさを考慮して、シート部材83の厚さを0.4mmから0.8mmの範囲としてもよい。
【0106】
上記実施形態において、電源装置80のシート部材83は、フィルム状のPETで形成されなくてもよい。例えば、ポリイミドフィルム、フッ素樹脂フィルム、ポリ塩化ビニルフィルム等で形成されてもよい。
【0107】
上記実施形態において、電源装置80のシート部材83は、不透明な材料で形成されてもよい。

【0108】
上記実施形態において、記録装置11は、筐体フレーム26に、本体21に配置される電源装置80が露出しない閉状態と、電源装置80にアクセス可能に、電源装置80が露出する開状態と、を取り得る開閉蓋を備えてもよい。この場合、開閉蓋は、開閉部の一例である。
【0109】
上記実施形態において、電源装置80は電極53Mに高電圧を印加可能に、記録装置11に配置されなくてもよい。例えば、電源装置80は、コロナ放電あるいはプラズマ処理により樹脂フィルム製の媒体の表面に改質を施すための電極部材に、高電圧を印加可能に記録装置11に配置されてもよい。
【0110】
上記実施形態の説明において述べられる電源装置80を備えるのであれば、記録装置11はインクジェット式プリンターでなくてもよい。例えば、記録装置11は、トナー粉を熱で溶かして媒体に定着させるレーザープリンターであってもよい。この場合、電源装置80は、トナー粉を感光体ドラムに向けて飛翔させるための現像ローラーに高電圧を印加可能に、記録装置11に配置されてもよい。
【符号の説明】
【0111】
11…記録装置、12…前面、13…背面、14…左側面、15…右側面、16…底面、17…天面、20…筐体、21…本体、22…底板、26…筐体フレーム、27…本体フレーム、31…収容量視認部、32…視認窓、33…操作パネル、34…操作部、35…表示部、36…報知ランプ、37…開閉扉、37A…回転軸、37B…排紙トレイ、38…排出口、39…把持部、40…液体収容部、41…収容室、42…液体注入口、43…栓、44…第1カバー部、45…廃液収容体装着部、46…廃液収容体、47…収容体固定部、48…記録部、49…搬送経路、50…第2カバー部、51…キャリッジ、52…液体吐出ヘッド、53…媒体支持部、53M…電極、53P…液体保持部、53W…印加用接続線、54…給紙トレイ、55…搬送部、56…搬送ローラー対、57…排出ローラー対、58…反転部、59…第2廃液受け部、63…記録部支持部、68…カバー部材、70…メンテナンス部、73…吸引ポンプ、80…電源装置、81…基板、81t…変圧器、82…固定部材、82f…固定穴、82P…突部、83…シート部材、83f…貫通穴、83h…貫通孔、90…回路基板、91…制御部、95…電源部、101…読取部、102,104…フラットケーブル、103…媒体検出部、f1,f2,f3,f4…折り曲げ線、Kd…被係合部、Kg…係合部、RA…記録領域、Re…延設部、Rp…位置決め部、Rs1,Rs2,Rs3,Rs4…離隔部、Sm…実装面。
図1
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