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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024024704
(43)【公開日】2024-02-26
(54)【発明の名称】貯湯式給湯装置
(51)【国際特許分類】
   F24H 15/156 20220101AFI20240216BHJP
   F24H 1/18 20220101ALI20240216BHJP
   F24H 15/225 20220101ALI20240216BHJP
   F24H 15/238 20220101ALI20240216BHJP
   F24H 15/375 20220101ALI20240216BHJP
   F24H 15/421 20220101ALI20240216BHJP
   F24H 15/269 20220101ALI20240216BHJP
   F24H 15/258 20220101ALI20240216BHJP
   F24H 15/215 20220101ALI20240216BHJP
【FI】
F24H15/156
F24H1/18 G
F24H15/225
F24H15/238
F24H15/375
F24H15/421
F24H15/269
F24H15/258
F24H15/215
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022127508
(22)【出願日】2022-08-10
(71)【出願人】
【識別番号】000000538
【氏名又は名称】株式会社コロナ
(72)【発明者】
【氏名】巖 憲介
(72)【発明者】
【氏名】本間 誠
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 徹
(72)【発明者】
【氏名】諸橋 徳子
【テーマコード(参考)】
3L122
【Fターム(参考)】
3L122AA02
3L122AA23
3L122AA73
3L122AB22
3L122BA02
3L122BA13
3L122BA14
3L122BA32
3L122BA37
3L122BB02
3L122BB03
3L122BB14
3L122BC03
3L122EA42
3L122EA46
3L122EA50
3L122FA02
3L122FA09
(57)【要約】
【課題】昼間の沸き上げ運転よりも前の時間にお湯を確保しておくために、夜間に少量分だけ沸き上げる方法があるが、あまりお湯を使用しない時期である場合は、太陽光発電を利用した沸き上げ運転で沸き上げる分が少なくなるため昼間の沸き上げ運転率が悪くなってしまうという課題があった。また、安易に夜間の沸き上げ運転を無くすと湯切れのリスクがあった。
【解決手段】制御装置29には、夜間沸上量を昼間帯の開始時刻よりも前に沸き上げる必要があるか否かを判定する需要判定手段34を設け、需要判定手段34が沸き上げる必要がないと判定した場合、制御装置29は、設定された夜間沸上量に関わらず、昼間帯の開始時刻よりも前の沸き上げ運転を行わないようにしたことで、湯切れのリスクを抑制しつつ、昼間の沸き上げ運転率を向上させることができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
湯水を貯湯する貯湯タンクと、
太陽光発電システムから得た自家発電電力を利用して前記湯水を加熱することが可能な加熱手段と、
前記加熱手段が前記貯湯タンク内の前記湯水を加熱する沸き上げ運転の制御を行う制御装置と、
翌日に必要な貯湯量に基づき、前記翌日の昼間帯の終了時刻までに沸き上げるべき目標沸上量を算出する目標沸上量算出手段と、
前記昼間帯の開始時刻より前における前記貯湯タンク内の貯湯量が、前記昼間帯の開始時刻より前から前記昼間帯の終了時刻より前までの期間である特定期間における過去の使用実績に基づいた給湯の使用量以上となるように、前記目標沸上量の一部を前記昼間帯の開始時刻より前に沸き上げる夜間沸上量を算出する夜間沸上量算出手段とを備えた貯湯式給湯装置において、
前記制御装置には、前記夜間沸上量を前記昼間帯の開始時刻よりも前に沸き上げる必要があるか否かを判定する需要判定手段を設け、
前記需要判定手段が沸き上げる必要がないと判定した場合、前記制御装置は、設定された前記夜間沸上量に関わらず、前記昼間帯の開始時刻よりも前の沸き上げ運転を行わないようにしたことを特徴とする貯湯式給湯装置。
【請求項2】
前記制御装置は、外気温度を検出する外気温度センサの検出値を取得可能であり、
前記外気温度が所定外気温度以上であると共に前記特定期間における過去の使用実績に基づいた湯水の量が所定量以下の場合、前記需要判定手段は、沸き上げる必要がないと判定し、
前記制御装置は、前記昼間帯の開始時刻よりも前の沸き上げ運転を行わないようにしたことを特徴とした請求項1記載の貯湯式給湯装置。
【請求項3】
前記制御装置は、給水温度を検出する給水温度センサの検出値を取得可能であり、
前記給水温度が所定水温度以上であると共に前記特定期間における過去の使用実績に基づいた湯水の量が所定量以下の場合、前記需要判定手段は、沸き上げる必要がないと判定し、
前記制御装置は、前記昼間帯の開始時刻よりも前の沸き上げ運転を行わないようにしたことを特徴とした請求項1記載の貯湯式給湯装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽光発電システムを有した貯湯式給湯装置の運転効率の向上に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、太陽光発電システムと連携する貯湯式給湯装置では、太陽光発電システムが発電した電力を用いて、昼間帯の時間に効率的な湯水の沸き上げを行うことが知られている。
【0003】
また、近年では太陽光発電システムと貯湯式給湯装置とを設置するユーザー向けとして昼間帯と夜間帯(深夜)の電気料金を同一にする電気料金プランが知られており、太陽光発電システムと連携する貯湯式給湯装置では、日の出ている昼間帯に太陽光発電システムが発電した電力で沸き上げ運転を行い、日の出ていない昼間帯でも夜間帯(深夜)に沸き上げ運転するのと同等の電気料金で沸き上げ運転を行うので、日の出ている昼間帯に太陽光発電システムで発電した電力を用いて沸き上げる分、電気代を抑えることができる昼間運転貯湯式給湯装置が知られている。
【0004】
また、特許文献1のように、昼間帯に沸き上げ運転を行う太陽光発電システムを有した貯湯式給湯装置では、昼の沸き上げ運転よりも前の時間(例えば、早朝)にお湯を必要としても、沸き上げ運転前で十分に湯が確保されていない可能性があるので夜間帯(深夜)に少量の沸き上げを行う制御が知られていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2022-67381号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、この種の昼間運転貯湯式給湯装置では、昼の沸き上げ運転よりも前の時間にお湯を確保しておくために、夜間に少量分だけ沸き上げる方法があるが、あまりお湯を使用しない時期である場合は、太陽光発電を利用した沸き上げ運転で沸き上げる分が少なくなるため昼間の沸き上げ運転率が悪くなってしまうという課題があった。
【0007】
また、昼間の沸き上げ運転率を上げるために安易に夜間の沸き上げ運転を減らしてしまうと、昼間の沸き上げ運転よりも前に貯湯タンク内の湯を使用する場合、使用量によっては湯切れしてしまうという課題があり、昼間の沸き上げ運転率の向上と、湯切れリスクの抑制が課題となっていた。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る貯湯式給湯装置は、湯水を貯湯する貯湯タンクと、太陽光発電システムから得た自家発電電力を利用して前記湯水を加熱することが可能な加熱手段と、前記加熱手段が前記貯湯タンク内の前記湯水を加熱する沸き上げ運転の制御を行う制御装置と、翌日に必要な貯湯量に基づき、前記翌日の昼間帯の終了時刻までに沸き上げるべき目標沸上量を算出する目標沸上量算出手段と、前記昼間帯の開始時刻より前における前記貯湯タンク内の貯湯量が、前記昼間帯の開始時刻より前から前記昼間帯の終了時刻より前までの期間である特定期間における過去の使用実績に基づいた給湯の使用量以上となるように、前記目標沸上量の一部を前記昼間帯の開始時刻より前に沸き上げる夜間沸上量を算出する夜間沸上量算出手段とを備えた貯湯式給湯装置において、前記制御装置には、前記夜間沸上量を前記昼間帯の開始時刻よりも前に沸き上げる必要があるか否かを判定する需要判定手段を設け、前記需要判定手段が沸き上げる必要がないと判定した場合、前記制御装置は、設定された前記夜間沸上量に関わらず、前記昼間帯の開始時刻よりも前の沸き上げ運転を行わないようにした。
【0009】
また、前記制御装置は、外気温度を検出する外気温度センサの検出値を取得可能であり、前記外気温度が所定外気温度以上であると共に前記特定期間における過去の使用実績に基づいた湯水の量が所定量以下の場合、前記需要判定手段は、沸き上げる必要がないと判定し、前記制御装置は、前記昼間帯の開始時刻よりも前の沸き上げ運転を行わないようにした。
【0010】
また、前記制御装置は、給水温度を検出する給水温度センサの検出値を取得可能であり、前記給水温度が所定水温度以上であると共に前記特定期間における過去の使用実績に基づいた湯水の量が所定量以下の場合、前記需要判定手段は、沸き上げる必要がないと判定し、前記制御装置は、前記昼間帯の開始時刻よりも前の沸き上げ運転を行わないようにした。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る貯湯式給湯装置において、需要判定手段が給湯の需要が低い時期であると判定すると、制御装置は、夜間沸上量算出手段で算出した夜間沸上量に関わらずに夜間の沸き上げ運転を行わず、昼間の沸上量を増加させることで、湯切れのリスクを抑制しつつ、昼間の沸き上げ運転率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本実施形態における貯湯式給湯装置を含む給湯システムのシステム構成図。
図2】夜間沸上量の沸き終いTHレベルの設定条件を表す表。
図3】夜間沸上量算出手段と需要判定手段により実行される処理を説明するフローチャート。
図4】制御装置により実行される沸き上げ運転の制御を説明するフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明に係る貯湯式給湯装置1の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0014】
図1は、本実施形態における貯湯式給湯装置1を含む給湯システム100のシステム構成図である。
【0015】
給湯システム100は、分電盤2と、太陽光発電システム3と、貯湯式給湯装置1(以下単に「給湯装置1」という。)と、を有する。
【0016】
分電盤2は、太陽光発電システム3および給湯装置1と共に、住宅などの建造物(以下単に「住宅」という。)に設置されている。分電盤2は、商用電源2aおよび太陽光発電システム3に接続されている。分電盤2は、商用電源2aから供給される商用電力および太陽光発電システム3により発電された自家発電電力を、住宅で使用される給湯装置1や、給湯装置1以外のエアコンなどの宅内の電気負荷機器(以後の説明および図1においては単に「エアコン等6」と示す。)に供給する。
【0017】
太陽光発電システム3は、太陽光発電パネル4と、インバータ5と、を有する。太陽光発電パネル4は、住宅の屋根などに設置される。インバータ5は、太陽光発電パネル4の発電電力を交流電源に変換する。
【0018】
給湯装置1は、貯湯タンク7と、ヒートポンプユニット16と、循環回路24と、リモコン30と、制御装置29と、を有する。
【0019】
貯湯タンク7は、風呂や台所などの給湯端末に供給される湯水を貯湯する。貯湯タンク7は、給水管8と、出湯管9と、給水バイパス管10と、給湯管12と、貯湯温度センサ15と、を有する。
【0020】
給水管8は、貯湯タンク7の底部で貯湯タンク7に接続され、貯湯タンク7に給水する。出湯管9は、貯湯タンク7の頂部で貯湯タンク7に接続され、貯湯タンク7から出湯する。給水バイパス管10は、給水管8から分岐した配管であり、混合弁11を介して出湯管9と接続される。混合弁11は、出湯管9からの湯と給水バイパス管10からの水を、リモコン30によって設定された給湯設定温度になるように混合する。
【0021】
給湯管12は、混合弁11を介して供給される湯水を給湯端末に給湯する。給湯管12は、給湯流量センサ13と、給湯温度センサ14と、を有する。給湯流量センサ13は、給湯流量を検出し、対応する検出信号を制御装置29に出力する。給湯温度センサ14は、給湯温度を検出し、対応する検出信号を出力する。
【0022】
貯湯温度センサ15は、貯湯タンク7内の湯水の温度を検出し、対応する検出信号を制御装置29に出力する。貯湯温度センサ15は、貯湯タンク7の側面に高さ位置を変えて複数個設けられている。これら複数の貯湯温度センサ15のそれぞれは、例えば、十分に加熱された状態の湯の温度に対応して予め設定された、所定のしきい値以上の湯水温度を検出したとき、対応する検出信号を制御装置29へ出力する。制御装置29は、検出信号を出力する貯湯温度センサ15の個数に基づき(ここでは、TH1~TH7の7つ設けている。)、貯湯タンク7内において湯水が十分に加熱された状態となっている湯の量(すなわち貯湯量)を検出する。
【0023】
ヒートポンプユニット16は、自家発電電力および商用電力で作動し、湯水との熱交換を行い湯水を沸上げる加熱手段である。ヒートポンプユニット16は、圧縮機17と、水冷媒熱交換器18と、膨張弁19と、空気熱交換器20と、冷媒管23と、送風機21と、を有する。
【0024】
圧縮機17は、冷媒を高温高圧に圧縮搬送する。水冷媒熱交換器18は、高温の高圧の冷媒と貯湯タンク7からの水との熱交換を行う。膨張弁19は、水冷媒熱交換器18で熱交換された冷媒を減圧膨張させる。空気熱交換器20は、外気と低圧冷媒との熱交換を行い低圧冷媒を蒸発させる。冷媒管23は、圧縮機17、水冷媒熱交換器18、膨張弁19、および空気熱交換器20に冷媒を循環させる。送風機21は、空気熱交換器20へ外気を送風する。
【0025】
また、ヒートポンプユニット16は、吐出温度センサ22と、外気温度センサ28と、を有する。吐出温度センサ22は、圧縮機17から吐出される冷媒の温度を検出し、対応する検出信号を制御装置29へ出力する。外気温度センサ28は、外気温度を検出し、対応する検出信号を制御装置29へ出力する。
【0026】
循環回路24は、貯湯タンク7と水冷媒熱交換器18との間で貯湯タンク7内の湯水を循環させる。循環回路24は、加熱往き管25aと、加熱戻り管25bと、加熱循環ポンプ26と、沸上げ温度センサ27と、を有する。
【0027】
加熱往き管25aは、貯湯タンク7の下部と水冷媒熱交換器18の水側入口とを接続する。加熱戻り管25bは、水冷媒熱交換器18の水側出口と貯湯タンク7の上部とを接続する。加熱循環ポンプ26は、加熱往き管25a上に配置され、湯水を循環させる。沸上げ温度センサ27は、加熱戻り管25b上に配置され、検出信号を制御装置29へ出力する。
【0028】
リモコン30は、給湯端末に供給される湯水の設定温度などの給湯装置1に関するユーザーからの指示を受け付ける。
【0029】
制御装置29は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などを有し、制御装置29の制御に必要な各種プログラムや、データを記憶する。制御装置29は、各種プログラムに従って給湯装置1全体の作動を制御する。制御装置29は、リモコン30と接続され、リモコン30と双方向に通信する。
【0030】
制御装置29は、下記で説明する算出手段と判定手段と湯水の使用量の履歴に基づいて学習した情報から、貯湯タンク7内の湯水を沸き上げる沸き上げ運転の制御を行っている。
【0031】
また、沸き上げ運転の時間帯について説明する。まず、1日は、例えば7時から17時までの朝昼帯(以下単に昼間帯とする。)、17時から23時を夜帯、23時から7時までのを深夜帯とし、昼間の沸き上げ運転の時間帯は、太陽光を利用した発電を考慮して、9時から17時までとしている(季節によって変動可)。また、夜間の沸き上げ運転の時間帯は、電気の使用が少ない時間帯である23時から7時までとしている。
【0032】
この制御装置29は、目標沸上量算出手段31と、使用量実績学習部32、夜間沸上量算出手段33と、需要判定手段34を設けている。
【0033】
目標沸上量算出手段31は、使用量実績学習部32で学習した給湯の使用実績から翌日に必要な貯湯量に基づき、前記昼間帯の開始時刻(この例では7:00)から終了時刻(この例では17:00)までに沸き上げるべき全量である目標沸上量を算出する。制御装置29は、この昼間帯内に沸き上げ運転を実行するのに必要な時間を計算し、可能な限り遅い時間に沸き上げ運転を完了させるように制御している。また、沸き上げ運転の開始時刻または終了時刻を、リモコン30を用いてユーザーが任意に設定しても良い。
【0034】
使用量実績学習部32は、給湯流量センサ13からの検出信号(給湯湯量を表す)と、給湯温度センサ14の検出信号(給湯温度を表す)と、給水温度センサ(図示せず)の検出信号(給水温度を表す)とが入力され、入力された給湯湯量を、給湯温度に対応させつつ所定温度(例えば43[℃])の使用量に換算し、過去所定期間(例えば7日間)の日毎のユーザーによる1日分の湯水の使用量と、昼間帯の開始時刻より前から昼間帯の終了時刻前までの期間である特定期間(この例では3時~15時)におけるユーザーによる湯水の使用量を学習する。また、学習内容には、特定期間の間に貯湯タンク7内の湯水を多量に使用し、図示しない浴槽に給湯する湯張り、又は、貯湯タンク7内の湯水と熱交換して浴槽内の湯水を昇温させる追焚きが実行されたか否かの情報等も湯水の使用として学習する内容に含まれる。
【0035】
夜間沸上量算出手段33は、昼間帯の開始時刻より前における貯湯タンク7内の貯湯量が、使用量実績学習部32で学習した特定期間におけるユーザーの過去の使用実績に基づいた湯水の量以上となるように、目標沸上量の一部を昼間帯の開始時刻より前に沸き上げる夜間沸上量を算出する。昼間帯の開始時刻より前とは、昼間帯の開始時刻(ここでは、7時)であって、貯湯タンク7からの放熱を考慮して、昼間帯の開始時刻よりも少し前(6時から6時半程度)に夜間の沸き上げ運転を完了させるのが、適切である。また、昼間帯の開始時刻より前(6時から6時半程度)とあるが、これよりも早い時間(5時)に湯水の使用が使用量実績学習部32で学習されていた場合、湯水の使用に間に合うように夜間の沸き上げ運転を早く実施してもよい。
【0036】
また、夜間に沸き上げ運転を行った場合、目標沸上量から夜間沸上量を減じた残りの沸上量を昼間沸上量として、昼間帯に昼間沸上量分の沸き上げ運転を行い、夜間の沸き上げ運転を行わなかった場合、目標沸上量を昼間沸上量として、昼間帯に昼間沸上量(目標沸上量)分の沸き上げ運転を行う。
【0037】
また、夜間沸上量算出手段33は、算出した夜間沸上量に基づいて貯湯タンク7の沸き終いTHレベルを適宜変更して設定する。この沸き終いTHとは、TH1~TH7のうちのどの貯湯温度センサ15が所定のしきい値以上の湯水温度を検出したときに沸上運転を停止させるかを表すものである。
【0038】
詳細には図2に基づいて説明する。
夜間沸上量算出手段33は、使用量実績学習部32により湯張り又は追焚きの使用実績があったことを学習していた場合には、沸き終いTHレベルをレベル1に設定する。レベル1の場合は、図2の沸上量の分配に示すように、目標沸上量の3/7(TH5まで)を夜間に沸き上げるべく、所定の高温を検知したら沸き上げ運転を終了させる貯湯温度センサ15を、貯湯タンク7の上下に設けられている貯湯温度センサ15から選択・設定する。
【0039】
また、夜間沸上量算出手段33は、使用量実績学習部32により湯水量が第一の所定使用量(例えば200L)以上であったと判定された場合には、前記沸き終いTHレベルをレベル1に設定し、使用量実績学習部32により湯水量が第二の所定使用量(例えば100L)以上第一の所定使用量未満であったと判定された場合には、沸き終いTHレベルをレベル2に設定する。レベル2の場合は、図2の沸上量の分配に示すように、目標沸上量の2/7(TH6まで)を夜間に沸き上げるべく、所定の高温を検知したら沸き上げ運転を終了させる貯湯温度センサ15を、貯湯タンク7の上下に設けられている貯湯温度センサ15から選択・設定する。
【0040】
また、使用量実績学習部32により湯水量が第二の所定使用量(例えば100L)未満であったと判定された場合には、沸き終いTHレベルをレベル3に設定する。レベル3の場合は、図2の沸上量の分配に示すように、目標沸上量の1/7(TH7まで)を夜間に沸き上げるべく、所定の高温を検知したら沸き上げ運転を終了させる貯湯温度センサ15を、貯湯タンク7の上下に設けられている貯湯温度センサ15から選択・設定する。
【0041】
需要判定手段34は、夜間沸上量を昼間帯の開始時刻よりも前に沸き上げる必要があるか否かを判定し、判定結果に基づいて制御装置29は夜間の沸き上げ運転の可否を決定している。
【0042】
需要判定手段34の判定の条件は、給湯の需要が低い時期か、給湯の需要が高い時期かで夜間の沸き上げ運転の可否を判定している。具体的には、定期的に検知している外気温度(以下、単に外気温度という)が所定外気温度以下の場合は、給湯の需要が高い時期であり、外気温度が所定外気温度以上の場合は、給湯の需要が低い時期であると判定している(ここでは、所定外気温度は20度)。
【0043】
図3は、夜間沸上量算出手段33と需要判定手段34により実行される処理を詳しく説明するフローチャートである。
【0044】
この処理は、例えば給湯装置1が起動されている間、深夜帯の開始時刻になると毎日繰り返し実行される。
【0045】
深夜帯の開始時刻になると、まずステップS1で、制御装置29は使用量実績学習部32で学習した学習内容に基づいて、特定期間のユーザーによる湯水の使用量と、ユーザーによる湯張り又は追焚きの前記使用実績を確認する。湯張り又は追焚きの使用実績があった場合はステップS1の判定が満たされ(S1がYes)、ステップS2に移る。
【0046】
ステップS2では、夜間沸上量算出手段33は、沸き上げるべき夜間沸上量を沸き終いTHレベルをレベル1に設定する。その後、後述のステップS9に移る。
【0047】
一方、前記ステップS1において、湯張り又は追焚きの使用実績がなかった場合はステップS1の判定が満たされず(S1がNo)、ステップS3に移る。
【0048】
ステップS3では、制御装置29は、使用量実績学習部32で学習した学習内容に基づいて、特定期間(3時~15時)におけるユーザーによる使用量が第一の所定使用量(200L)以上であったか否かを判定する。使用量が第一の所定使用量(200L)以上であった場合はステップS3の判定が満たされ(S3がYes)、ステップS2に移り、夜間沸上量算出手段33は沸き終いTHレベルをレベル1に設定する。その後、後述のステップS11に移る。
【0049】
一方、ステップS3において、使用量が第一の所定使用量(200L)未満であった場合はステップS3の判定が満たされず(S3がNo)、ステップS4に移る。
【0050】
ステップS4では、制御装置29は、使用量実績学習部32で学習した学習内容に基づいて、特定期間におけるユーザーによる使用量が第二の所定使用量(100L)以上であったか否かを判定する。使用量が第二の所定使用量(100L)以上であった場合はステップS4の判定が満たされ(S4がYes)、ステップS5に移る。
【0051】
ステップS5では、夜間沸上量算出手段33は、沸き終いTHレベルをレベル2に設定する。その後、後述のステップS11に移る。
【0052】
一方、ステップS4において、使用量が第二の所定使用量(100L)未満であった場合はステップS4の判定が満たされず(S4がNo)、ステップS6に移る。
【0053】
ステップS6では、夜間沸上量算出手段33は、沸き終いTHレベルをレベル3に設定する。
【0054】
このように、夜間沸上量算出手段33は、使用量実績学習部32で学習した特定期間におけるユーザーの過去の使用実績に基づいた湯水の量と、湯張り又は追焚きの使用実績に応じた沸き終いTHレベル(レベル1~3)を変更することで、商用電力を用いて行う夜間の沸き上げ運転の夜間沸上量を適正な量とし、太陽光発電による自家発電電力が期待できる昼間の沸き上げ運転の時間を確保することで、湯切れの抑制を行うと共に、昼間の沸き上げ運転率を高め、電気代コストを削減することができる。
【0055】
次に、ステップS6で沸き終いTHレベルをレベル3に設定されると、需要判定手段34は、給湯の需要が高い時期なのか低い時期なのかを判定する(S7)。
【0056】
ここでは、需要判定手段34は、外気温度センサ28で検出された外気温度が、所定外気温度以上(ここでは、20度以上)かどうかを判定し(S7)、外気温度が所定外気温度以上であった場合、需要判定手段34は、給湯の需要が低い時期と判定する(S8)。
【0057】
そして、需要判定手段34で給湯の需要が低い時期と判定された場合、制御装置29は夜間の沸き上げ運転を行わないと設定する(S9)。
【0058】
また、外気温度が所定外気温度以下であった場合、需要判定手段34は、給湯の需要が高い時期と判定する(S10)。次に貯湯温度センサ15の検出値に基づいて、夜間沸上量算出手段33で設定した沸き終いTHレベル(レベル1~3)毎の必要湯量を確保できていないかを確認し(S11)、設定した沸き終いTHレベル(レベル1~3)毎の必要湯量を確保できている場合は(S11がNo)、制御装置29は夜間の沸き上げ運転を行わないと設定する(S9)。
【0059】
そして、設定した沸き終いTHレベル(レベル1~3)毎の必要湯量を確保できていない場合は(S11がYes)、夜間の沸き上げ運転を行うと設定し(S12)、夜間沸上量算出手段33は、昼間帯の開始時刻より前における貯湯タンク7内の貯湯量が、使用量実績学習部32で学習した特定期間におけるユーザーの過去の使用実績に基づいた湯水の量以上となるように夜間沸上量を算出し、制御装置29は、昼間帯の開始時刻より前に夜間沸上量を沸き上げるのに必要な夜間の沸き上げ運転時間を算出し、深夜帯の終了時刻から夜間の沸き上げ運転時間遡って、夜間の沸き上げ運転の開始時刻を算出する(S12)。
【0060】
このように、需要判定手段34は、沸き終いTHレベル3で特定期間の給湯の使用量が少なく、給湯の需要が低い時期には、夜間の沸き上げ運転を行わないと判定するため、太陽光発電システム3を利用した自家発電電力による昼間の沸き上げ運転で目標沸上量分を全て沸き上げることとなり、天気が良い日は昼間の沸き上げ運転率を向上させることができる。
【0061】
次に、沸き上げ運転の制御について、図4のフローチャートに基づいて詳しく説明する。
まず、ステップS9とS12に基づいて、夜間の沸き上げ運転の可否を判定する(S14)。
【0062】
そして、夜間の沸き上げ運転が必要の場合で(S14がYes)、S13で算出した夜間の沸き上げ運転の開始時刻に到達したら(S15がYes)、制御装置29は、設定された沸き終いTHレベル(レベル1~3)に基づいて、商用電力を利用して沸き上げが必要な湯水の一部の沸き上げ運転を実施する(S16)。その後、貯湯温度センサ15の検出値が、設定した沸き終いTHレベル(レベル1~3)に到達した場合(S17がYes)、夜間の沸き上げ運転を終了する(S18)。
【0063】
また、S14において、夜間の沸き上げ運転が必要無い場合(S14がNo)、S15からS18を省略して、S19に移行する。
【0064】
そして、昼間帯の開始時刻(ここでは7時)に到達すると(S19がYes)、制御装置29は、使用量実績学習部32で学習したユーザーによる1日分の湯水の使用量を沸き上げるのに必要な沸き上げ運転時間を算出する(S20)。このとき、夜間の沸き上げ運転を実施している場合、1日分の湯水の使用量を沸き上げるのに必要な沸上量から夜間の沸上量分だけ減じた量に基づいて昼間の沸き上げ運転の時間を算出する。
【0065】
そして、制御装置29は、沸き上げ運転の終了時刻(ここでは、17時)から、算出した必要な沸き上げ運転時間遡り、昼間の沸き上げ運転の開始時刻を決定する(S21)。
【0066】
S22で決定した沸き上げ運転の開始時刻に到達した場合(S22がYes)、制御装置29は、昼間の沸き上げ運転を実施し(S23)、必要とする湯水の使用量分の湯量に到達したら(S24がYes)、制御装置29は昼間の沸き上げ運転を終了する(S25)。
【0067】
このように、需要判定手段34が給湯の需要が低い時期であると判定すると、制御装置29は夜間の沸上量を減らして、太陽光発電システム3で得た自家発電電力を利用して沸き上げ運転が可能な昼間の沸上量が増加させることで、湯切れのリスクを抑制しつつ、昼間の沸き上げ運転率を向上させることができる。
【0068】
本発明の実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる
【0069】
例えば、需要判定手段34が夜間の沸き上げ運転を実施しないと判定したとしても、貯湯タンク7内の貯湯量が著しく少ない場合、制御装置29は最低貯湯量を下回ったと判断して、沸き上げ運転を実施しても良く、湯切れを防止することができる。
【0070】
また、需要判定手段34の夜間沸上量算出手段判定の条件は、給湯の需要が高い時期なのか低い時期なのかを判定するもので、実施形態では外気温度と所定外気温度との比較によって判定しているが、これに限るものでは無く、例えば 図示しない給水温度センサで検出した給水温度と所定給水温度(ここでは、所定給水温度は24度)との比較、又は、貯湯式給湯装置1にカレンダー機能を備えたものにおいて現在の季節が夏季もしくは中間期か、冬季かの判定、又は、夕方帯(15時から23時)の湯水の使用量が多いか少ないかによって比較しても良い。
【0071】
また、実施形態では昼間の沸き上げ運転の時間は、昼間帯の終了時刻から沸き上げ運転の時間だけ遡っているが、昼間の開始時刻から沸き上げ運転を開始しても良く、また、ユーザーがリモコン30で任意の時刻を設定しても良く。
【符号の説明】
【0072】
1 貯湯式給湯装置(給湯装置)
3 太陽光発電システム
7 貯湯タンク
16 ヒートポンプユニット
24 循環回路
29 制御装置
30 リモコン
31 目標沸上量算出手段
32 使用量実績学習部
33 夜間沸上量算出手段
34 需要判定手段
図1
図2
図3
図4