(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024024717
(43)【公開日】2024-02-26
(54)【発明の名称】FM放送波補正装置、FM放送波伝送システム、FM放送波処理装置、FM放送波補正方法およびFM放送波伝送方法
(51)【国際特許分類】
H04L 27/14 20060101AFI20240216BHJP
H04B 1/16 20060101ALI20240216BHJP
H04H 40/18 20080101ALI20240216BHJP
【FI】
H04L27/14 J
H04B1/16 Z
H04H40/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022127548
(22)【出願日】2022-08-10
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000682
【氏名又は名称】弁理士法人ワンディ-IPパ-トナ-ズ
(72)【発明者】
【氏名】小寺 一平
【テーマコード(参考)】
5K061
【Fターム(参考)】
5K061BB04
5K061CC27
5K061CD03
5K061CD05
(57)【要約】
【課題】簡易な処理でFM放送波におけるイメージ波を抑制する。
【解決手段】FM放送波補正装置は、FM(Frequency Modulation)放送波を含むRF(Radio Frequency)信号を直交復調した復調信号に基づく復調データを受信する受信部と、前記復調データをフーリエ変換することにより前記復調信号の周波数スペクトルを示す周波数軸データを生成する変換部と、前記周波数軸データが示す前記周波数スペクトルにおける一部の周波数領域の強度を減衰させる補正処理を行う補正部と、前記補正処理後の前記周波数軸データが示す周波数スペクトルを逆フーリエ変換することにより時間軸データを生成する逆変換部とを備える。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
FM(Frequency Modulation)放送波を含むRF(Radio Frequency)信号を直交復調した復調信号に基づく復調データを受信する受信部と、
前記受信部により受信された前記復調データをフーリエ変換することにより前記復調信号の周波数スペクトルを示す周波数軸データを生成する変換部と、
前記変換部により生成された前記周波数軸データが示す前記周波数スペクトルにおける一部の周波数領域の強度を減衰させる補正処理を行う補正部と、
前記補正部による前記補正処理後の前記周波数軸データが示す周波数スペクトルを逆フーリエ変換することにより時間軸データを生成する逆変換部とを備える、FM放送波補正装置。
【請求項2】
前記受信部は、ローカル信号を用いて前記RF信号を直交復調した前記復調信号、に基づく前記復調データを受信し、
前記ローカル信号の周波数であるローカル周波数は、前記RF信号に含まれる第1の前記FM放送波の周波数を前記ローカル周波数で折り返した周波数が前記第1のFM放送波の周波数に重ならない値に設定され、
前記ローカル周波数は、前記RF信号が第2の前記FM放送波をさらに含む場合、さらに、前記第1のFM放送波の周波数を前記ローカル周波数で折り返した周波数が前記第2のFM放送波の周波数に重ならない値に設定される、請求項1に記載のFM放送波補正装置。
【請求項3】
前記変換部は、前記復調データを2の累乗のサンプル数ごとにフーリエ変換する、請求項1または請求項2に記載のFM放送波補正装置。
【請求項4】
前記補正部は、前記補正処理において、前記周波数軸データに1周期分の余弦波を表す減衰係数を乗算することにより、前記周波数領域の強度を減衰させる、請求項1または請求項2に記載のFM放送波補正装置。
【請求項5】
FM放送波を含むRF信号を受信し、受信した前記RF信号を直交復調した復調信号を生成するRF受信装置と、
前記RF受信装置により生成された前記復調信号に基づく復調データをフーリエ変換することにより前記復調信号の周波数スペクトルを示す周波数軸データを生成する変換装置と、
前記変換装置により生成された前記周波数軸データが示す前記周波数スペクトルにおける一部の周波数領域の強度を減衰させる補正処理を行う補正装置と、
前記補正装置による前記補正処理後の前記周波数軸データが示す周波数スペクトルを逆フーリエ変換することにより時間軸データを生成する逆変換装置と、
前記逆変換装置により生成された前記時間軸データを直交変調した変調データを生成し、生成した前記変調データに基づくRF信号を送信するRF送信装置とを備える、FM放送波伝送システム。
【請求項6】
FM放送波を含むRF信号を受信する受信部と、
前記受信部により受信された前記RF信号を第1のローカル信号を用いて直交復調することにより復調信号を生成する復調部と、
前記復調部により生成された前記復調信号に基づく復調データをフーリエ変換することにより前記復調信号の周波数スペクトルを示す周波数軸データを生成する変換部と、
前記変換部により生成された前記周波数軸データが示す前記周波数スペクトルにおける一部の周波数領域の強度を減衰させる補正処理を行う補正部と、
前記補正部による前記補正処理後の前記周波数軸データが示す周波数スペクトルを逆フーリエ変換することにより時間軸データを生成する逆変換部と、
前記逆変換部により生成された前記時間軸データを、前記第1のローカル信号とは異なる周波数の第2のローカル信号を用いて直交変調することにより変調データを生成する変調部とを備える、FM放送波処理装置。
【請求項7】
FM放送波補正装置におけるFM放送波補正方法であって、
FM放送波を含むRF信号を直交復調した復調信号に基づく復調データを受信するステップと、
受信した前記復調データをフーリエ変換することにより前記復調信号の周波数スペクトルを示す周波数軸データを生成するステップと、
生成した前記周波数軸データが示す前記周波数スペクトルにおける一部の周波数領域の強度を減衰させる補正処理を行うステップと、
前記補正処理後の前記周波数軸データが示す周波数スペクトルを逆フーリエ変換することにより時間軸データを生成するステップとを含む、FM放送波補正方法。
【請求項8】
FM放送波伝送システムにおけるFM放送波伝送方法であって、
FM放送波を含むRF信号を受信し、受信した前記RF信号を直交復調した復調信号を生成するステップと、
前記復調信号に基づく復調データをフーリエ変換することにより前記復調信号の周波数スペクトルを示す周波数軸データを生成するステップと、
前記周波数軸データが示す前記周波数スペクトルにおける一部の周波数領域の強度を減衰させる補正処理を行うステップと、
前記補正処理後の前記周波数軸データが示す周波数スペクトルを逆フーリエ変換することにより時間軸データを生成するステップと、
前記時間軸データを直交変調した変調データを生成し、生成した前記変調データに基づくRF信号を送信するステップとを含む、FM放送波伝送方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、FM放送波補正装置、FM放送波伝送システム、FM放送波処理装置、FM放送波補正方法およびFM放送波伝送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、直交変調された信号におけるイメージ波を抑制するための技術が知られている。
【0003】
たとえば、特許文献1(特開2021-145260号公報)には、以下のような復調装置が開示されている。すなわち、復調装置は、入力されたアナログ高周波信号である直交変調信号を直交復調して、それぞれ中間周波数を有する第1中間復調信号および第2中間復調信号を生成する第1直交復調部と、前記第1中間復調信号および前記第2中間復調信号のそれぞれにAD変換処理を施して第1ディジタル中間復調信号および第2ディジタル中間復調信号を生成するAD変換部と、前記第1ディジタル中間復調信号および前記第2ディジタル中間復調信号のそれぞれから、第1イメージ成分および第2イメージ成分を抽出する信号抽出部と、前記第1イメージ成分と前記第2イメージ成分とが互いを打ち消す様に補正係数を算出する補正係数算出部と、前記第1ディジタル中間復調信号および前記第2ディジタル中間復調信号に前記補正係数を作用させて、第1中間補正信号および第2中間補正信号を生成する補正部と、前記第1中間補正信号および前記第2中間補正信号をディジタル直交復調して生成した互いに直交する成分を用いて、第1ディジタル復調信号および第2ディジタル復調信号を生成する第2直交復調部とを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の技術を超えて、簡易な処理でFM(Frequency Modulation)放送波におけるイメージ波を抑制することが可能な技術が望まれる。
【0006】
本開示は、上述の課題を解決するためになされたもので、その目的は、簡易な処理でFM放送波におけるイメージ波を抑制することが可能なFM放送波補正装置、FM放送波伝送システム、FM放送波処理装置、FM放送波補正方法およびFM放送波伝送方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示のFM放送波補正装置は、FM放送波を含むRF(Radio Frequency)信号を直交復調した復調信号に基づく復調データを受信する受信部と、前記受信部により受信された前記復調データをフーリエ変換することにより前記復調信号の周波数スペクトルを示す周波数軸データを生成する変換部と、前記変換部により生成された前記周波数軸データが示す前記周波数スペクトルにおける一部の周波数領域の強度を減衰させる補正処理を行う補正部と、前記補正部による前記補正処理後の前記周波数軸データが示す周波数スペクトルを逆フーリエ変換することにより時間軸データを生成する逆変換部とを備える。
【0008】
本開示の一態様は、このような特徴的な処理部を備えるFM放送波補正装置として実現され得るだけでなく、FM放送波補正装置の一部または全部を実現する半導体集積回路として実現され得たり、FM放送波補正装置を含むシステムとして実現され得る。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、簡易な処理でFM放送波におけるイメージ波を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本開示の第1の実施の形態に係る伝送システムの構成を示す図である。
【
図2】
図2は、本開示の第1の実施の形態に係るFM受信装置の構成を示す図である。
【
図3】
図3は、本開示の第1の実施の形態に係るFM受信装置における直交復調器の構成を示す図である。
【
図4】
図4は、本開示の第1の実施の形態に係るFM受信装置におけるバランス補正部の構成を示す図である。
【
図5】
図5は、本開示の第1の実施の形態に係るバランス補正部における受信部が受ける復調データの示すベースバンド信号に含まれる周波数成分の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、本開示の第1の実施の形態に係るバランス補正部における変換部により生成される周波数軸データが示す周波数スペクトルの一例を示す図である。
【
図7】
図7は、本開示の第1の実施の形態に係るバランス補正部における補正部による補正処理後の周波数軸データが示す周波数スペクトルの一例を示す図である。
【
図8】
図8は、本開示の第1の実施の形態に係るFM送信装置の構成を示す図である。
【
図9】
図9は、本開示の第1の実施の形態に係るバランス補正部が補正処理を行う際の動作手順の一例を定めたフローチャートである。
【
図10】
図10は、本開示の第1の実施の形態に係る伝送システムにおけるFM放送波の伝送のシーケンスの一例を示す図である。
【
図11】
図11は、本開示の第1の実施の形態の変形例1に係るFM送信装置の構成を示す図である。
【
図12】
図12は、本開示の第1の実施の形態の変形例2に係る伝送システムの構成を示す図である。
【
図13】
図13は、本開示の第1の実施の形態の変形例2に係るFM受信装置の構成を示す図である。
【
図14】
図14は、本開示の第1の実施の形態の変形例2に係るFM送信装置の構成を示す図である。
【
図15】
図15は、本開示の第1の実施の形態の変形例3に係る伝送システムの構成を示す図である。
【
図16】
図16は、本開示の第1の実施の形態の変形例3に係るFM受信装置の構成を示す図である。
【
図17】
図17は、本開示の第1の実施の形態の変形例3に係るFM受信装置におけるデータ処理部の構成を示す図である。
【
図18】
図18は、本開示の第1の実施の形態の変形例3に係るFM送信装置の構成を示す図である。
【
図19】
図19は、本開示の第1の実施の形態の変形例3に係るFM送信装置におけるデータ処理部の構成を示す図である。
【
図20】
図20は、本開示の第1の実施の形態の変形例3に係るFM送信装置におけるデータ処理部の構成の他の例を示す図である。
【
図21】
図21は、本開示の第2の実施の形態に係るシグナルプロセッサの構成を示す図である
【
図22】
図22は、本開示の第2の実施の形態の変形例に係るシグナルプロセッサの構成を示す図である。
【
図23】
図23は、本開示の第2の実施の形態の変形例に係るシグナルプロセッサにおけるバランス補正部の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
最初に、本開示の実施形態の内容を列記して説明する。
【0012】
(1)本開示の実施の形態に係るFM放送波補正装置は、FM放送波を含むRF信号を直交復調した復調信号に基づく復調データを受信する受信部と、前記受信部により受信された前記復調データをフーリエ変換することにより前記復調信号の周波数スペクトルを示す周波数軸データを生成する変換部と、前記変換部により生成された前記周波数軸データが示す前記周波数スペクトルにおける一部の周波数領域の強度を減衰させる補正処理を行う補正部と、前記補正部による前記補正処理後の前記周波数軸データが示す周波数スペクトルを逆フーリエ変換することにより時間軸データを生成する逆変換部とを備える。
【0013】
このように、復調データをフーリエ変換して周波数軸データを生成し、周波数軸データが示す周波数スペクトルにおける一部の周波数領域の強度を減衰させる補正処理を行い、補正処理後の周波数軸データが示す周波数スペクトルを逆フーリエ変換して時間軸データを生成する構成により、周波数軸データの一部の周波数領域に対する演算処理によりイメージ波の成分を抑制することができるので、より少ない演算処理によりイメージ波の成分を抑制することができる。したがって、簡易な処理でFM放送波におけるイメージ波を抑制することができる。
【0014】
(2)上記(1)において、前記受信部は、ローカル信号を用いて前記RF信号を直交復調した前記復調信号、に基づく前記復調データを受信してもよく、前記ローカル信号の周波数であるローカル周波数は、前記RF信号に含まれる第1の前記FM放送波の周波数を前記ローカル周波数で折り返した周波数が前記第1のFM放送波の周波数に重ならない値に設定されてもよく、前記ローカル周波数は、前記RF信号が第2の前記FM放送波をさらに含む場合、さらに、前記第1のFM放送波の周波数を前記ローカル周波数で折り返した周波数が前記第2のFM放送波の周波数に重ならない値に設定されてもよい。
【0015】
このような構成により、復調信号にイメージ波が含まれる場合において、FM放送波とイメージ波とを周波数軸上において分離することができるので、補正処理においてFM放送波を減衰させることなくイメージ波を抑制することができる。
【0016】
(3)上記(1)または(2)において、前記変換部は、前記復調データを2の累乗のサンプル数ごとにフーリエ変換してもよい。
【0017】
このような構成により、フーリエ変換および逆フーリエ変換においてバタフライ演算を用いることができるので、フーリエ変換および逆フーリエ変換に要する時間をより短くすることができる。
【0018】
(4)上記(1)から(3)のいずれかにおいて、前記補正部は、前記補正処理において、前記周波数軸データに1周期分の余弦波を表す減衰係数を乗算することにより、前記周波数領域の強度を減衰させてもよい。
【0019】
このような構成により、補正処理後の周波数軸データが示す周波数スペクトルを逆フーリエ変換することにより生成される時間軸データ、におけるリップルの発生を抑制することができる。
【0020】
(5)本開示の実施の形態に係る放送波伝送システムは、FM放送波を含むRF信号を受信し、受信した前記RF信号を直交復調した復調信号を生成するRF受信装置と、前記RF受信装置により生成された前記復調信号に基づく復調データをフーリエ変換することにより前記復調信号の周波数スペクトルを示す周波数軸データを生成する変換装置と、前記変換装置により生成された前記周波数軸データが示す前記周波数スペクトルにおける一部の周波数領域の強度を減衰させる補正処理を行う補正装置と、前記補正装置による前記補正処理後の前記周波数軸データが示す周波数スペクトルを逆フーリエ変換することにより時間軸データを生成する逆変換装置と、前記逆変換装置により生成された前記時間軸データを直交変調した変調データを生成し、生成した前記変調データに基づくRF信号を送信するRF送信装置とを備える。
【0021】
このように、復調データをフーリエ変換して周波数軸データを生成し、周波数軸データが示す周波数スペクトルにおける一部の周波数領域の強度を減衰させる補正処理を行い、補正処理後の周波数軸データが示す周波数スペクトルを逆フーリエ変換して時間軸データを生成する構成により、周波数軸データの一部の周波数領域に対する演算処理によりイメージ波の成分を抑制することができるので、より少ない演算処理によりイメージ波の成分を抑制することができる。したがって、簡易な処理でFM放送波におけるイメージ波を抑制することができる。
【0022】
(6)本開示の実施の形態に係るFM放送波処理装置は、FM放送波を含むRF信号を受信する受信部と、前記受信部により受信された前記RF信号を第1のローカル信号を用いて直交復調することにより復調信号を生成する復調部と、前記復調部により生成された前記復調信号に基づく復調データをフーリエ変換することにより前記復調信号の周波数スペクトルを示す周波数軸データを生成する変換部と、前記変換部により生成された前記周波数軸データが示す前記周波数スペクトルにおける一部の周波数領域の強度を減衰させる補正処理を行う補正部と、前記補正部による前記補正処理後の前記周波数軸データが示す周波数スペクトルを逆フーリエ変換することにより時間軸データを生成する逆変換部と、前記逆変換部により生成された前記時間軸データを、前記第1のローカル信号とは異なる周波数の第2のローカル信号を用いて直交変調することにより変調データを生成する変調部とを備える。
【0023】
このように、復調データをフーリエ変換して周波数軸データを生成し、周波数軸データが示す周波数スペクトルにおける一部の周波数領域の強度を減衰させる補正処理を行い、補正処理後の周波数軸データが示す周波数スペクトルを逆フーリエ変換して時間軸データを生成する構成により、周波数軸データの一部の周波数領域に対する演算処理によりイメージ波の成分を抑制することができるので、より少ない演算処理によりイメージ波の成分を抑制することができる。したがって、簡易な処理でFM放送波におけるイメージ波を抑制することができる。また、第1のローカル信号とは異なる周波数の第2のローカル信号を用いて直交変調することにより変調データを生成する構成により、FM放送波の周波数を変更して出力することができる。
【0024】
(7)本開示の実施の形態に係るFM放送波補正方法は、FM放送波補正装置におけるFM放送波補正方法であって、FM放送波を含むRF信号を直交復調した復調信号に基づく復調データを受信するステップと、受信した前記復調データをフーリエ変換することにより前記復調信号の周波数スペクトルを示す周波数軸データを生成するステップと、生成した前記周波数軸データが示す前記周波数スペクトルにおける一部の周波数領域の強度を減衰させる補正処理を行うステップと、前記補正処理後の前記周波数軸データが示す周波数スペクトルを逆フーリエ変換することにより時間軸データを生成するステップとを含む。
【0025】
このように、復調データをフーリエ変換して周波数軸データを生成し、周波数軸データが示す周波数スペクトルにおける一部の周波数領域の強度を減衰させる補正処理を行い、補正処理後の周波数軸データが示す周波数スペクトルを逆フーリエ変換して時間軸データを生成する構成により、周波数軸データの一部の周波数領域に対する演算処理によりイメージ波の成分を抑制することができるので、より少ない演算処理によりイメージ波の成分を抑制することができる。したがって、簡易な処理でFM放送波におけるイメージ波を抑制することができる。
【0026】
(8)本開示の実施の形態に係る放送波伝送方法は、FM放送波を含むRF信号を受信し、受信した前記RF信号を直交復調した復調信号を生成するステップと、前記復調信号に基づく復調データをフーリエ変換することにより前記復調信号の周波数スペクトルを示す周波数軸データを生成するステップと、前記周波数軸データが示す前記周波数スペクトルにおける一部の周波数領域の強度を減衰させる補正処理を行うステップと、前記補正処理後の前記周波数軸データが示す周波数スペクトルを逆フーリエ変換することにより時間軸データを生成するステップと、前記時間軸データを直交変調した変調データを生成し、生成した前記変調データに基づくRF信号を送信するステップとを含む。
【0027】
このように、復調データをフーリエ変換して周波数軸データを生成し、周波数軸データが示す周波数スペクトルにおける一部の周波数領域の強度を減衰させる補正処理を行い、補正処理後の周波数軸データが示す周波数スペクトルを逆フーリエ変換して時間軸データを生成する構成により、周波数軸データの一部の周波数領域に対する演算処理によりイメージ波の成分を抑制することができるので、より少ない演算処理によりイメージ波の成分を抑制することができる。したがって、簡易な処理でFM放送波におけるイメージ波を抑制することができる。
【0028】
以下、本開示の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。また、以下に記載する実施の形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
【0029】
<第1の実施の形態>
[構成および基本動作]
図1は、本開示の第1の実施の形態に係る伝送システムの構成を示す図である。
図1を参照して、伝送システム401は、FM受信装置101と、FM送信装置201とを備える。伝送システム401は、複数のFM受信装置101を備える構成であってもよいし、複数のFM送信装置201を備える構成であってもよい。伝送システム401は、FM放送波伝送システムの一例である。FM受信装置101は、RF受信装置の一例である。FM送信装置201は、RF送信装置の一例である。伝送システム401は、たとえば帯域幅が6MHzである所定の伝送帯域TBにおけるFM放送波を伝送する。
【0030】
たとえば、FM受信装置101は、ラジオ放送局の局舎に設けられる。また、たとえば、FM送信装置201は、ラジオ放送局の局舎の外部であって、ユーザ宅の近傍に設けられる。
【0031】
(FM受信装置)
図2は、本開示の第1の実施の形態に係るFM受信装置の構成を示す図である。
図2を参照して、FM受信装置101は、受信部11と、直交復調器12と、LFO(Local Frequency Oscillator)13と、LPF(Low Pass Filter)14I,14Qと、ADC(Analog-to-Digital Converter)15I,15Qと、バランス補正部16と、IP(Internet Protocol)送信部17とを備える。バランス補正部16は、FM放送波補正装置の一例である。
【0032】
受信部11は、伝送帯域TBにおける複数チャンネルのFM放送波を含むRF信号を受信する。一例として、受信部11は、所定の帯域幅を有する中心周波数FaのFM放送波Waと、所定の帯域幅を有する中心周波数FbのFM放送波Wbと、所定の帯域幅を有する中心周波数FcのFM放送波Wcと、所定の帯域幅を有する中心周波数FdのFM放送波Wdとを含むRF信号を、図示しないアンテナ経由で受信する。ここで、中心周波数Fd、中心周波数Fc、中心周波数Fbおよび中心周波数Faは、この順に大きいものとする。以下、FM放送波Wa,Wb,Wc,Wdの各々をFM放送波Wfmとも称する。なお、受信部11は、2つ、3つまたは5つ以上のチャンネルのFM放送波を含むRF信号を受信する構成であってもよい。受信部11は、受信したRF信号を増幅して直交復調器12へ出力する。
【0033】
LFO13は、たとえば水晶発振器であり、周波数Fxの基準信号を生成し、生成した基準信号を直交復調器12へ出力する。周波数Fxは、ローカル周波数の一例である。
【0034】
周波数Fxは、FM放送波Wfmの周波数Ffmを周波数Fxで折り返した周波数が当該FM放送波Wfmの周波数に重ならない値に設定される。ここで、「FM放送波Wfmの周波数Ffm」とは、FM放送波Wfmの周波数帯域に含まれる任意の周波数を意味し、「周波数Ffmを周波数Fxで折り返した周波数」とは、周波数軸上において、周波数Fxを基準として周波数Ffmを反転させた周波数、すなわち周波数Fxに対して周波数Ffmの反対側の周波数を意味する。すなわち、周波数Fxは、FM放送波Wa,Wb,Wc,Wdの周波数とは異なる値に設定される。
【0035】
また、周波数Fxは、第1のFM放送波の周波数を周波数Fxで折り返した周波数が第2のFM放送波の周波数に重ならない値に設定される。ここで、第1のFM放送波および第2のFM放送波は、FM放送波Wa,Wb,Wc,Wdのうちのいずれか任意の2つである。すなわち、第1のFM放送波の帯域幅をW1とし、第2のFM放送波の帯域幅をW2としたとき、周波数Fxは、周波数軸上における、第1のFM放送波の中心周波数および第2のFM放送波の中心周波数間の中点の周波数から、W1とW2との和の1/4以上ずれた値に設定される。なお、周波数Fxは、たとえばシステム上要求されるFM放送の品質を満たす場合、第1のFM放送波および第2のFM放送波の組として、FM放送波Wa,Wb,Wc,Wdのうちの2つの組み合わせ、すなわち6通りの組み合わせの一部について、第1のFM放送波の周波数を周波数Fxで折り返した周波数が第2のFM放送波の周波数に重なる値に設定されてもよい。
【0036】
図3は、本開示の第1の実施の形態に係るFM受信装置における直交復調器の構成を示す図である。
図3を参照して、直交復調器12は、PLL(Phase Locked Loop)部41と、ミキサ42I,42Qとを含む。直交復調器12は、受信部11からRF信号を受けて、受けたRF信号に対してダイレクトコンバージョンおよび直交復調を行うことによりベースバンド帯の復調信号を生成する。
【0037】
より詳細には、PLL部41は、LFO13から受ける基準信号と同期した局部発振信号であるローカル信号LIを生成するとともに、ローカル信号LIに対して位相がπ/2ずれたローカル信号LQを生成する。PLL部41は、生成したローカル信号LI,LQをミキサ42I,42Qへそれぞれ出力する。
【0038】
ミキサ42Iは、受信部11から受けるRF信号を、PLL部41から受けるローカル信号LIを用いてダウンコンバートすることによりベースバンド信号BIを生成し、生成したベースバンド信号BIをLPF14Iへ出力する。
【0039】
ミキサ42Qは、受信部11から受けるRF信号を、PLL部41から受けるローカル信号LQを用いてダウンコンバートすることによりベースバンド信号BQを生成し、生成したベースバンド信号BQをLPF14Qへ出力する。ベースバンド信号BI,BQは、復調信号の一例である。
【0040】
再び
図2を参照して、LPF14Iは、直交復調器12から受けたベースバンド信号BIの周波数成分のうち、所定の通過帯域PB外の成分を減衰させる。通過帯域PBは、たとえば-3MHz以上であり、かつ3MHz以下である。
【0041】
LPF14Qは、直交復調器12から受けたベースバンド信号BQの周波数成分のうち、通過帯域PB外の成分を減衰させる。
【0042】
ADC15Iは、LPF14Iを通過したベースバンド信号BIを、所定のサンプリング周波数fsごとにデジタルの復調データDIに変換し、変換した復調データDIをバランス補正部16へ出力する。サンプリング周波数fsは、伝送帯域TBに応じて設定され、たとえば8.25MHzである。
【0043】
ADC15Qは、LPF14Qを通過したベースバンド信号BQを、サンプリング周波数fsごとにデジタルの復調データDQに変換し、変換した復調データDQをバランス補正部16へ出力する。
【0044】
図4は、本開示の第1の実施の形態に係るFM受信装置におけるバランス補正部の構成を示す図である。
図4を参照して、バランス補正部16は、受信部31と、変換部32と、補正部33と、逆変換部34とを備える。受信部31、変換部32、補正部33および逆変換部34の一部または全部は、たとえば、1または複数のプロセッサを含む処理回路(Circuitry)により実現される。変換部32は、変換装置の一例である。補正部33は、補正装置の一例である。逆変換部34は、逆変換装置の一例である。
【0045】
受信部31は、FM放送波Wa,Wb,Wc,Wdを含むRF信号を直交復調したベースバンド信号BI,BQに基づく復調データDI,DQをそれぞれADC15I,15Qから受ける。
【0046】
図5は、本開示の第1の実施の形態に係るバランス補正部における受信部が受ける復調データの示すベースバンド信号に含まれる周波数成分の一例を示す図である。
図5において、横軸は周波数である。
【0047】
図5を参照して、受信部31により受信される復調データDI,DQの示すベースバンド信号BI,BQは、FM放送波Waの中心周波数Faと、LFO13により出力される基準信号の周波数Fxとの差分の周波数Faxの周波数成分Caを含み、FM放送波Wbの中心周波数Fbと、周波数Fxとの差分の周波数Fbxの周波数成分Cbを含み、FM放送波Wcの中心周波数Fcと、周波数Fxとの差分の周波数Fcxの周波数成分Ccを含み、かつFM放送波Wdの中心周波数Fdと、周波数Fxとの差分の周波数Fdxの周波数成分Cdを含む。
【0048】
復調データDI,DQの示すベースバンド信号BI,BQは、ベースバンド信号BI,BQ間における振幅または位相の偏差に応じて、FM放送波Wa,Wb,Wc,Wdのイメージ波として、周波数Faxの正負の符号を反転させた周波数Faxnの周波数成分CIa、周波数Fbxの正負の符号を反転させた周波数Fbxnの周波数成分CIb、周波数Fcxの正負の符号を反転させた周波数Fcxnの周波数成分CIc、および周波数Fdxの正負の符号を反転させた周波数Fdxnの周波数成分CIdをさらに含む場合がある。たとえば、周波数Fxは、周波数成分Ca,Cb,Cc,Cdと、周波数成分CIa,CIb,CIc,CIdとが重ならないように、既知の中心周波数Fa,Fb,Fc,Fdに応じて予め設定される。
【0049】
再び
図4を参照して、受信部31は、復調データDI,DQを2の累乗のサンプル数ごとにそれぞれパッキングして変換部32へ出力する。一例として、受信部31は、ADC15Iから受けた復調データDIをNサンプルごとにパッキングして変換部32へ出力し、ADC15Qから受けた復調データDQをNサンプルごとにパッキングして変換部32へ出力する。ここで、Nは、2の累乗であり、たとえば512である。
【0050】
変換部32は、復調データDI,DQをフーリエ変換することにより、復調データDI,DQの示すベースバンド信号BI,BQの周波数スペクトルを示す周波数軸データFDI,FDQを生成する。たとえば、変換部32は、復調データDI,DQを2の累乗のサンプル数ごとにフーリエ変換する。
【0051】
より詳細には、変換部32は、受信部31からパッキングされたNサンプルの復調データDIを受けて、受けた復調データDIに対して、バタフライ演算を用いたFFT(Fast Fourier Transform)を行うことにより、-fnからfnまでの周波数領域をN分割したNサンプルの周波数軸データFDIを生成する。ここで、fnは、ナイキスト周波数であり、サンプリング周波数fsの1/2である。
【0052】
図6は、本開示の第1の実施の形態に係るバランス補正部における変換部により生成される周波数軸データが示す周波数スペクトルの一例を示す図である。
図6は、周波数軸データFDIが示す周波数スペクトルの一部であって、周波数Fax,Faxnを含む周波数領域の周波数スペクトルを示している。
図6において、横軸は周波数を示し、縦軸はスペクトル強度を示す。
【0053】
変換部32は、周波数軸データFDIと同様にして、受信部31からパッキングされた512サンプルの復調データDQを受けて、受けた復調データDQに対して、バタフライ演算を用いたFFTを行うことにより、-fnからfnまでの周波数領域をN分割したNサンプルの周波数軸データFDQを生成する。変換部32は、生成した周波数軸データFDI,FDQを補正部33へ出力する。
【0054】
補正部33は、変換部32により生成された周波数軸データFDI,FDQが示す周波数スペクトルにおける一部の周波数領域の強度を減衰させる補正処理を行う。たとえば、補正部33は、補正処理において、周波数軸データFDI,FDQに1周期分の余弦波を表す減衰係数Acを乗算することにより、当該周波数領域の強度を減衰させる。
【0055】
図7は、本開示の第1の実施の形態に係るバランス補正部における補正部による補正処理後の周波数軸データが示す周波数スペクトルの一例を示す図である。
図7は、補正処理後の周波数軸データFDIである周波数軸データFDIPが示す周波数スペクトルの一部であって、周波数Fax,Faxnを含む周波数領域の周波数スペクトルを示している。
図7において、横軸は周波数を示し、縦軸はスペクトル強度を示す。
【0056】
図7を参照して、補正部33は、周波数軸データFDIにおける、周波数Faxnを含む所定幅の周波数領域FWa、周波数Fbxnを含む所定幅の周波数領域FWb、周波数Fcxnを含む所定幅の周波数領域FWc、および周波数Fdxnを含む所定幅の周波数領域FWdに減衰係数Acを乗算することにより、イメージ波である周波数成分CIa,CIb,CIc,CIdが減衰された周波数スペクトルを示す周波数軸データFDIPを生成する。
【0057】
補正部33は、周波数軸データFDIPと同様にして、周波数軸データFDQにおける周波数領域FWa,FWb,FWc,FWdに減衰係数Acを乗算することにより、イメージ波である周波数成分CIa,CIb,CIc,CIdが減衰された周波数スペクトルを示す周波数軸データFDQPを生成する。補正部33は、生成した周波数軸データFDIP,FDQPを逆変換部34へ出力する。
【0058】
逆変換部34は、補正部33による補正処理後の周波数軸データFDIP,FDQPが示す周波数スペクトルを逆フーリエ変換することにより時間軸データTDIP,TDQPを生成する。
【0059】
より詳細には、逆変換部34は、補正部33からNサンプルの周波数軸データFDIP,FDQPを受けて、受けた周波数軸データFDIP,FDQPに対して、バタフライ演算を用いたIFFT(Inverse FFT)を行うことにより、Nサンプルの時間軸データTDIP,TDQPを生成する。逆変換部34は、生成した時間軸データTDIP,TDQPをIP送信部17へ出力する。
【0060】
IP送信部17は、逆変換部34から受けた時間軸データTDIP,TDQPをIPパケットに含めてIP網311経由でFM送信装置201へ送信する。より詳細には、IP送信部17は、時間軸データTDIPを含むIPパケットPIを生成し、生成したIPパケットPIをIP網311経由でFM送信装置201へ送信する。また、IP送信部17は、時間軸データTDQPを含むIPパケットPQを生成し、生成したIPパケットPQをIP網311経由でFM送信装置201へ送信する。
【0061】
(FM送信装置)
図8は、本開示の第1の実施の形態に係るFM送信装置の構成を示す図である。
図8を参照して、FM送信装置201は、IP受信部51と、デジタル直交変調器52と、LFO53と、DAC(Digital-to-Analog Converter)54と、RF増幅部55とを備える。
【0062】
IP受信部51は、IPパケットPI,PQをIP網311経由でFM受信装置101から受信する。IP受信部51は、受信したIPパケットPI,PQから時間軸データTDIP,TDQPを取得してデジタル直交変調器52へ出力する。
【0063】
LFO53は、たとえば水晶発振器であり、周波数Fyのローカル信号Lyを生成し、生成したローカル信号Lyをデジタル直交変調器52へ出力する。周波数Fyは、周波数Fxと同じであってもよいし、異なってもよい。
【0064】
デジタル直交変調器52は、IP受信部51から受けた時間軸データTDIP,TDQPを直交変調した変調データを生成する。より詳細には、デジタル直交変調器52は、LFO53から受けるローカル信号Lyを用いて時間軸データTDIP,TDQPを直交変調することにより変調データを生成し、生成した変調データをDAC54へ出力する。
【0065】
DAC54は、デジタル直交変調器52から受けた変調データをアナログ変換することによりRF信号を生成し、生成したRF信号をRF増幅部55へ出力する。
【0066】
RF増幅部55は、DAC54から受けたRF信号を増幅してCATV網321へ送信する。
【0067】
[動作の流れ]
図9は、本開示の第1の実施の形態に係るバランス補正部が補正処理を行う際の動作手順の一例を定めたフローチャートである。
【0068】
図9を参照して、まず、バランス補正部16は、ADC15I,15Qから受けた復調データDI,DQのサンプル数がNに到達するのを待ち受け(ステップS11でNO)、復調データDI,DQのサンプル数がNに到達すると(ステップS11でYES)、Nサンプルの復調データDIおよびNサンプルの復調データDQに対して、バタフライ演算を用いたFFTを行うことにより、周波数軸データFDI,FDQを生成する(ステップS12)。
【0069】
次に、バランス補正部16は、補正処理を行う。より詳細には、バランス補正部16は、補正処理において、周波数軸データFDI,FDQに減衰係数Acを乗算することにより、イメージ波である周波数成分CIa,CIb,CIc,CIdが減衰された周波数スペクトルを示す周波数軸データFDIP,FDQPを生成する(ステップS13)。
【0070】
次に、バランス補正部16は、周波数軸データFDIP,FDQPが示す周波数スペクトルを逆フーリエ変換することにより時間軸データTDIP,TDQPを生成する(ステップS14)。
【0071】
次に、バランス補正部16は、生成した時間軸データTDIP,TDQPをIP送信部17へ出力する(ステップS15)。
【0072】
次に、バランス補正部16は、再び復調データDI,DQのサンプル数がNに到達するのを待ち受ける(ステップS11でNO)。
【0073】
図10は、本開示の第1の実施の形態に係る伝送システムにおけるFM放送波の伝送のシーケンスの一例を示す図である。
【0074】
図10を参照して、まず、FM受信装置101は、FM放送波Wa,Wb,Wc,Wdを含むRF信号の受信を開始する(ステップS21)。
【0075】
次に、FM受信装置101は、RF信号を、ローカル信号LI,LQを用いてダウンコンバートすることによりベースバンド信号BI,BQを生成する(ステップS22)。
【0076】
次に、FM受信装置101は、LPF14Iを通過したベースバンド信号BIおよびLPF14Qを通過したベースバンド信号BQをデジタルの復調データDI,DQに変換する(ステップS23)。
【0077】
次に、FM受信装置101は、Nサンプルの復調データDIおよびNサンプルの復調データDQに対して、バタフライ演算を用いたFFTを行うことにより、周波数軸データFDI,FDQを生成する(ステップS24)。
【0078】
次に、FM受信装置101は、補正処理を行う。より詳細には、FM受信装置101は、補正処理において、周波数軸データFDI,FDQに減衰係数Acを乗算することにより、イメージ波である周波数成分CIa,CIb,CIc,CIdが減衰された周波数スペクトルを示す周波数軸データFDIP,FDQPを生成する(ステップS25)。
【0079】
次に、FM受信装置101は、周波数軸データFDIP,FDQPが示す周波数スペクトルを逆フーリエ変換することにより時間軸データTDIP,TDQPを生成する(ステップS26)。
【0080】
次に、FM受信装置101は、生成した時間軸データTDIP,TDQPをIPパケットPI,PQに含めてIP網311経由でFM送信装置201へ送信する(ステップS27)。
【0081】
次に、FM送信装置201は、IP網311経由でFM受信装置101から受信したIPパケットPI,PQから時間軸データTDIP,TDQPを取得し、時間軸データTDIP,TDQPを直交変調した変調データを生成する(ステップS28)。
【0082】
次に、FM送信装置201は、生成した変調データをアナログ変換することによりRF信号を生成する(ステップS29)。
【0083】
次に、FM送信装置201は、生成したRF信号を増幅してCATV網321へ送信する(ステップS30)。
【0084】
なお、本開示の第1の実施の形態に係るFM受信装置101では、受信部11は、複数チャンネルのFM放送波を含むRF信号を受信する構成であるとしたが、これに限定するものではない。受信部11は、1つのチャンネルのFM放送波を含むRF信号を受信する構成であってもよい。
【0085】
また、本開示の第1の実施の形態に係るFM受信装置101では、バランス補正部16における変換部32は、復調データDI,DQを2の累乗のサンプル数ごとにフーリエ変換する構成であるとしたが、これに限定するものではない。変換部32は、復調データDI,DQを2の累乗ではないサンプル数ごとにフーリエ変換する構成であってもよい。
【0086】
また、本開示の第1の実施の形態に係るFM受信装置101では、バランス補正部16における補正部33は、補正処理において、周波数軸データFDI,FDQに減衰係数Acを乗算する構成であるとしたが、これに限定するものではない。補正部33は、補正処理において、周波数軸データFDI,FDQに減衰係数Acを乗算する代わりに、周波数軸データFDI,FDQに減衰係数Acとは異なる所定の減衰係数を乗算する構成であってもよいし、周波数軸データFDI,FDQが示す周波数スペクトルにおける一部の周波数領域のデータを除去する構成であってもよい。
【0087】
(変形例1)
図11は、本開示の第1の実施の形態の変形例1に係るFM送信装置の構成を示す図である。
図11を参照して、FM送信装置202は、FM送信装置201と比べて、デジタル直交変調器52の代わりに直交変調器62を備え、LFO53の代わりにLFO63を備え、DAC54の代わりにDAC64I,64Qを備える。伝送システム401は、FM送信装置201の代わりにFM送信装置202を備える構成であってもよい。
【0088】
LFO63は、たとえば水晶発振器であり、周波数Fvの基準信号を生成し、生成した基準信号を直交変調器62へ出力する。周波数Fvは、周波数Fxと同じであってもよいし、異なってもよい。
【0089】
IP受信部51は、IPパケットPIから取得した時間軸データTDIPをDAC64Iへ出力し、IPパケットPQから取得した時間軸データTDQPをDAC64Qへ出力する。
【0090】
DAC64Iは、IP受信部51から受けた時間軸データTDIPをアナログ変換することにより時間軸信号TIPを生成し、生成した時間軸信号TIPを直交変調器62へ出力する。
【0091】
DAC64Qは、IP受信部51から受けた時間軸データTDQPをアナログ変換することにより時間軸信号TQPを生成し、生成した時間軸信号TQPを直交変調器62へ出力する。
【0092】
直交変調器62は、DAC64I,64Qから受けた時間軸信号TIP,TQPを直交変調したRF信号を生成する。より詳細には、直交変調器62は、LFO63から受ける基準信号を用いて、当該基準信号と同期した局部発振信号であるローカル信号LIvと、ローカル信号LIvに対して位相がπ/2ずれたローカル信号LQvを生成する。直交変調器62は、ローカル信号LIv,LQvを用いて時間軸信号TIP,TQPを直交変調することによりRF信号を生成し、生成したRF信号をRF増幅部55へ出力する。
【0093】
(変形例2)
本開示の第1の実施の形態に係る伝送システム401では、FM受信装置101がバランス補正部16を備え、時間軸データTDIP,TDQPがFM受信装置101からFM送信装置201へ伝送される構成であるとしたが、これに限定するものではない。
【0094】
図12は、本開示の第1の実施の形態の変形例2に係る伝送システムの構成を示す図である。
図12を参照して、第1の実施の形態の変形例2に係る伝送システム402は、伝送システム401と比べて、FM受信装置101の代わりにFM受信装置102を備え、FM送信装置201の代わりにFM送信装置203を備える。伝送システム402では、復調データDI,DQがFM受信装置102からFM送信装置203へ伝送される。以下、具体的に説明する。
【0095】
(FM受信装置)
図13は、本開示の第1の実施の形態の変形例2に係るFM受信装置の構成を示す図である。
図13を参照して、FM受信装置102は、FM受信装置101と比べて、バランス補正部16を備えない。
【0096】
ADC15Iは、LPF14Iを通過したベースバンド信号BIを、サンプリング周波数fsごとにデジタルの復調データDIに変換し、変換した復調データDIをIP送信部17へ出力する。また、ADC15Qは、LPF14Qを通過したベースバンド信号BQを、サンプリング周波数fsごとにデジタルの復調データDQに変換し、変換した復調データDQをIP送信部17へ出力する。
【0097】
IP送信部17は、ADC15I,15Qから受けた復調データDI,DQをIPパケットに含めてIP網311経由でFM送信装置203へ送信する。より詳細には、IP送信部17は、復調データDIを含むIPパケットPIを生成し、生成したIPパケットPIをIP網311経由でFM送信装置203へ送信する。また、IP送信部17は、復調データDQを含むIPパケットPQを生成し、生成したIPパケットPQをIP網311経由でFM送信装置203へ送信する。
【0098】
(FM送信装置)
図14は、本開示の第1の実施の形態の変形例2に係るFM送信装置の構成を示す図である。
図14を参照して、FM送信装置203は、FM送信装置201と比べて、バランス補正部16をさらに備える。
【0099】
IP受信部51は、IPパケットPI,PQをIP網311経由でFM受信装置102から受信する。IP受信部51は、受信したIPパケットPI,PQから復調データDI,DQを取得してバランス補正部16へ出力する。
【0100】
バランス補正部16において、受信部31は、IP受信部51から復調データDI,DQを受ける。変換部32は、復調データDI,DQをフーリエ変換することにより周波数軸データFDI,FDQを生成する。補正部33は、周波数軸データFDI,FDQが示す周波数スペクトルにおける一部の周波数領域の強度を減衰させる補正処理を行うことにより、周波数軸データFDIP,FDQPを生成する。逆変換部34は、周波数軸データFDIP,FDQPが示す周波数スペクトルを逆フーリエ変換することにより時間軸データTDIP,TDQPを生成する。逆変換部34は、生成した時間軸データTDIP,TDQPをデジタル直交変調器52へ出力する。
【0101】
デジタル直交変調器52は、バランス補正部16から受けた時間軸データTDIP,TDQPを直交変調した変調データを生成し、生成した変調データをDAC54へ出力する。
【0102】
(変形例3)
図15は、本開示の第1の実施の形態の変形例3に係る伝送システムの構成を示す図である。
図15を参照して、第1の実施の形態の変形例3に係る伝送システム403は、伝送システム401と比べて、FM受信装置101の代わりにFM受信装置103を備え、FM送信装置201の代わりにFM送信装置204を備える。伝送システム403では、バランス補正部16における処理の一部がFM受信装置103において行われ、バランス補正部16における処理の他の一部がFM送信装置204において行われる。たとえば、伝送システム403では、周波数軸データFDIP,FDQPがFM受信装置103からFM送信装置204へ伝送される。以下、具体的に説明する。
【0103】
(FM受信装置)
図16は、本開示の第1の実施の形態の変形例3に係るFM受信装置の構成を示す図である。
図16を参照して、FM受信装置103は、FM受信装置101と比べて、バランス補正部16の代わりにデータ処理部16A1を備える。
【0104】
図17は、本開示の第1の実施の形態の変形例3に係るFM受信装置におけるデータ処理部の構成を示す図である。
図17を参照して、データ処理部16A1は、バランス補正部16と比べて、逆変換部34を備えない。
【0105】
データ処理部16A1において、受信部31は、ADC15I,15Qから復調データDI,DQをそれぞれ受ける。変換部32は、復調データDI,DQをフーリエ変換することにより周波数軸データFDI,FDQを生成する。補正部33は、周波数軸データFDI,FDQが示す周波数スペクトルにおける一部の周波数領域の強度を減衰させる補正処理を行うことにより、周波数軸データFDIP,FDQPを生成する。補正部33は、生成した周波数軸データFDIP,FDQPをIP送信部17へ出力する。
【0106】
IP送信部17は、補正部33から受けた周波数軸データFDIP,FDQPをIPパケットに含めてIP網311経由でFM送信装置204へ送信する。より詳細には、IP送信部17は、周波数軸データFDIPを含むIPパケットPIを生成し、生成したIPパケットPIをIP網311経由でFM送信装置204へ送信する。また、IP送信部17は、周波数軸データFDQPを含むIPパケットPQを生成し、生成したIPパケットPQをIP網311経由でFM送信装置204へ送信する。
【0107】
(FM送信装置)
図18は、本開示の第1の実施の形態の変形例3に係るFM送信装置の構成を示す図である。
図18を参照して、FM送信装置204は、変形例2に係るFM送信装置203と比べて、バランス補正部16の代わりにデータ処理部16A2を備える。
【0108】
IP受信部51は、IPパケットPI,PQをIP網311経由でFM受信装置102から受信する。IP受信部51は、受信したIPパケットPI,PQから周波数軸データFDIP,FDQPを取得してデータ処理部16A2へ出力する。
【0109】
図19は、本開示の第1の実施の形態の変形例3に係るFM送信装置におけるデータ処理部の構成を示す図である。
図19を参照して、データ処理部16A2は、バランス補正部16と比べて、変換部32および補正部33を備えない。
【0110】
データ処理部16A2において、受信部31は、IP受信部51から周波数軸データFDIP,FDQPを受ける。逆変換部34は、周波数軸データFDIP,FDQPが示す周波数スペクトルを逆フーリエ変換することにより時間軸データTDIP,TDQPを生成する。逆変換部34は、生成した時間軸データTDIP,TDQPをデジタル直交変調器52へ出力する。
【0111】
なお、本開示の第1の実施の形態の変形例3に係る伝送システム403では、FM受信装置103におけるデータ処理部16A1が補正部33を含まない代わりに、FM送信装置204におけるデータ処理部16A2が補正部33を含む構成であってもよい。すなわち、FM受信装置103からFM送信装置204へ伝送されるデジタルデータは、周波数軸データFDI,FDQであってもよい。
【0112】
図20は、本開示の第1の実施の形態の変形例3に係るFM送信装置におけるデータ処理部の構成の他の例を示す図である。
図20を参照して、データ処理部16B2は、データ処理部16A2と比べて、除去部36をさらに備える。FM送信装置204は、データ処理部16A2の代わりにデータ処理部16B2を備える構成であってもよい。
【0113】
データ処理部16B2において、受信部31は、IP受信部51から周波数軸データFDIP,FDQPを受ける。受信部31は、受けた周波数軸データFDIP,FDQPを除去部36へ出力する。
【0114】
除去部36は、伝送システム403の管理者により予め選択された所定のFM放送波に由来する周波数成分を除去する除去処理を行う。たとえば、除去部36は、除去処理において、FM放送波Wcに由来する周波数成分Caを除去する。
【0115】
より詳細には、除去部36は、受信部31から受けた周波数軸データFDIPにおける周波数Fcxを含む所定幅の周波数領域FWcdに、1周期分の余弦波を表す減衰係数Acdを乗算することにより、周波数成分Caが減衰された周波数軸データFDIPdを生成する。たとえば、周波数領域FWcdは、補正部33による補正処理において減衰係数Acが乗算される周波数領域FWcよりも大きい。
【0116】
除去部36は、周波数軸データFDIPdと同様にして、周波数軸データFDQPにおける周波数領域FWcdに減衰係数Acdを乗算することにより、周波数成分Caが減衰された周波数軸データFDQPdを生成する。除去部36は、生成した周波数軸データFDIPd,FDQPdを逆変換部34へ出力する。
【0117】
逆変換部34は、除去部36から受けた周波数軸データFDIPd,FDQPdが示す周波数スペクトルを逆フーリエ変換することにより時間軸データTDIPd,TDQPdを生成する。逆変換部34は、生成した時間軸データTDIPd,TDQPdをデジタル直交変調器52へ出力する。
【0118】
このように、FM送信装置204におけるデータ処理部16B2が除去部36を含む構成により、FM送信装置204において、CATV網321へ出力するFM放送波を取捨選択することができる。
【0119】
なお、本開示の第1の実施の形態に係るFM受信装置101において、バランス補正部16が除去部36を含む構成であってもよい。
【0120】
ところで、簡易な処理でFM放送波におけるイメージ波を抑制することが可能な技術が望まれる。
【0121】
より詳細には、CATV網を用いて音声放送のためのFM放送波を伝送する従来の伝送システムでは、アンテナを介して受信したRF信号を、アナログアンプを用いて増幅し、ヘテロダイン方式を用いて周波数変換してCATV網へ出力するものが一般的であった。しかしながら、このような伝送方式では、RF信号を受信するFM受信装置と、RF信号をCATV網へ出力するFM送信装置との間の伝送網におけるアナログアンプの保守管理が必要であり、メンテナンスコストが高いという問題があった。また、FM放送波の周波数を置き換える必要がある場合、ヘテロダイン方式において複雑な処理が必要になる場合がある。
【0122】
そこで、近年、受信したRF信号を直交復調し、FM受信装置とFM送信装置との間においてFM放送波をデジタル伝送することにより、伝送網における保守管理を不要とする技術が提案されている。
【0123】
しかしながら、RF信号の直交復調、直交復調により得られたベースバンド信号BI,BQのフィルタリング、フィルタリング後のベースバンド信号BI,BQのAD変換、およびAD変換により得られた復調データDI,DQの直交変調の各処理において、I信号とQ信号との間における振幅または位相の偏差が存在する場合、FM放送波の鏡像周波数にイメージ波が現れる場合がある。
【0124】
映像放送においてイメージ波が発生した場合、テレビ受像機において再生される映像の品質が低下するのみである一方で、音声放送においてイメージ波が発生した場合、RF信号を受信したラジオ受信機において当該イメージ波の周波数にチューニングすると、当該イメージ波に基づく音声が再生されてしまう。したがって、ラジオ受信機において、イメージ波の周波数に対して自動チューニングが行われる等の誤作動が生じる場合がある。
【0125】
特許文献1に記載の技術では、時間軸信号である復調信号において補正係数を用いてイメージ波の成分を除去することができる。しかしながら、特許文献1に記載の技術では、イメージ波の成分を除去するために、TAP数の大きなFIRフィルタを用いて復調信号をフィルタリングする必要がある。そのため、特許文献1に記載の技術では、たとえば復調信号のサンプル数をNとした場合、時間軸領域の復調信号におけるイメージ波の成分を除去するために、N×N回の複素乗算を行う必要がある。
【0126】
これに対して、本開示の第1の実施の形態に係るバランス補正部16では、受信部31は、FM放送波Wa,Wb,Wc,Wdを含むRF信号を直交復調したベースバンド信号BI,BQに基づく復調データDI,DQを受ける。変換部32は、受信部31が受けた復調データDI,DQをフーリエ変換することによりベースバンド信号BI,BQの周波数スペクトルを示す周波数軸データFDI,FDQを生成する。補正部33は、変換部32により生成された周波数軸データFDI,FDQが示す周波数スペクトルにおける一部の周波数領域の強度を減衰させる補正処理を行う。逆変換部34は、補正部33による補正処理後の周波数軸データFDIP,FDQPが示す周波数スペクトルを逆フーリエ変換することにより時間軸データTDIP,TDQPを生成する。
【0127】
このように、復調データDI,DQをフーリエ変換して周波数軸データFDI,FDQを生成し、周波数軸データFDI,FDQが示す周波数スペクトルにおける一部の周波数領域の強度を減衰させる補正処理を行い、補正処理後の周波数軸データFDIP,FDQPが示す周波数スペクトルを逆フーリエ変換して時間軸データTDIP,TDQPを生成する構成により、周波数軸データFDI,FDQの一部の周波数領域に対する演算処理によりイメージ波の成分を抑制することができるので、より少ない演算処理によりイメージ波の成分を抑制することができる。具体的には、ベースバンド信号BI,BQのサンプル数をNとした場合、N×log2(N)回の演算により、イメージ波の成分を抑制することができる。したがって、簡易な処理でFM放送波におけるイメージ波を抑制することができる。
【0128】
次に、本開示の他の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0129】
<第2の実施の形態>
本実施の形態は、第1の実施の形態に係るFM受信装置101と比べて、補正処理後の周波数軸データFDIP,FDQPに基づいてRF信号を生成するシグナルプロセッサ501に関する。以下で説明する内容以外は第1の実施の形態に係るFM受信装置101、FM送信装置201および伝送システム401と同様である。
【0130】
図21は、本開示の第2の実施の形態に係るシグナルプロセッサの構成を示す図である。
図21を参照して、シグナルプロセッサ501は、第1の実施の形態に係るFM受信装置101と比べて、IP送信部17の代わりに、デジタル直交変調器52と、LFO56と、DAC54と、RF増幅部55とを備える。シグナルプロセッサ501は、FM放送波処理装置の一例である。直交復調器12は、復調部の一例である。デジタル直交変調器52は、変調部の一例である。
【0131】
上述したように、LFO13は、たとえば水晶発振器であり、周波数Fxの基準信号を生成し、生成した基準信号を直交復調器12へ出力する。
【0132】
LFO56は、たとえば水晶発振器であり、周波数Fzのローカル信号Lzを生成し、生成したローカル信号Lzをデジタル直交変調器52へ出力する。周波数Fzは、周波数Fxとは異なる。
【0133】
直交復調器12は、受信部11から受けるRF信号を、LFO13から受ける基準信号に基づく周波数Fxのローカル信号LI,LQを用いてダウンコンバートすることによりベースバンド信号BI,BQを生成し、生成したベースバンド信号BI,BQをLPF14I,14Qへそれぞれ出力する。ベースバンド信号BI,BQは、復調信号の一例である。ローカル信号LI,LQは、第1のローカル信号の一例である。
【0134】
バランス補正部16における逆変換部34は、Nサンプルの時間軸データTDIP,TDQPを生成し、生成した時間軸データTDIP,TDQPをデジタル直交変調器52へ出力する。
【0135】
デジタル直交変調器52は、バランス補正部16における逆変換部34により生成された時間軸データTDIP,TDQPを、LFO56から受ける周波数Fzのローカル信号Lzを用いて直交変調することにより変調データを生成し、生成した変調データをDAC54へ出力する。
【0136】
DAC54は、デジタル直交変調器52から受けた変調データをアナログ変換することにより、中心周波数Fa,Fb,Fc,Fdとは異なる中心周波数Fap,Fbp,Fcp,FdpのFM放送波Wa,Wb,Wc,Wdを含むRF信号を生成し、生成したRF信号をRF増幅部55へ出力する。
【0137】
RF増幅部55は、DAC54から受けたRF信号を増幅してCATV網321へ送信する。なお、RF増幅部55は、増幅したRF信号をCATV網321へ送信する代わりに、シグナルプロセッサ501以外の他の装置へ出力する構成であってもよい。
【0138】
図22は、本開示の第2の実施の形態の変形例に係るシグナルプロセッサの構成を示す図である。
図22を参照して、シグナルプロセッサ502は、シグナルプロセッサ501と比べて、バランス補正部16の代わりに、バランス補正部66を備える。
【0139】
図23は、本開示の第2の実施の形態の変形例に係るシグナルプロセッサにおけるバランス補正部の構成を示す図である。
図23を参照して、バランス補正部66は、バランス補正部16と比べて、補正部33の代わりに補正除去部35を備える。
【0140】
補正除去部35は、補正処理に加えて、シグナルプロセッサ502のユーザにより予め選択された所定のFM放送波に由来する周波数成分を除去する除去処理を行う。たとえば、補正除去部35は、除去処理において、FM放送波Wcに由来する周波数成分Caを除去する。
【0141】
より詳細には、補正除去部35は、周波数軸データFDIにおける周波数Fcxを含む所定幅の周波数領域FWcdに、1周期分の余弦波を表す減衰係数Acdを乗算することにより、周波数成分Caが減衰された周波数軸データFDIPdを生成する。たとえば、周波数領域FWcdは、補正処理において減衰係数Acが乗算される周波数領域FWcよりも大きい。
【0142】
補正除去部35は、周波数軸データFDIPdと同様にして、周波数軸データFDQにおける周波数領域FWcdに減衰係数Acdを乗算することにより、周波数成分Caが減衰された周波数軸データFDQPdを生成する。補正除去部35は、生成した周波数軸データFDIPd,FDQPdを逆変換部34へ出力する。
【0143】
逆変換部34は、補正除去部35から受けた周波数軸データFDIPd,FDQPdが示す周波数スペクトルを逆フーリエ変換することにより時間軸データTDIPd,TDQPdを生成し、生成した時間軸データTDIPd,TDQPdをデジタル直交変調器52へ出力する。
【0144】
デジタル直交変調器52は、バランス補正部66における逆変換部34により生成された時間軸データTDIPd,TDQPdを、LFO56から受ける周波数Fzのローカル信号Lzを用いて直交変調することにより変調データを生成し、生成した変調データをDAC54へ出力する。
【0145】
DAC54は、デジタル直交変調器52から受けた変調データをアナログ変換することにより、FM放送波Wa,Wb,Wdを含む一方でFM放送波Wcを含まないRF信号を生成し、生成したRF信号をRF増幅部55へ出力する。
【0146】
上記実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0147】
上述の実施形態の各処理(各機能)は、1または複数のプロセッサを含む処理回路(Circuitry)により実現される。上記処理回路は、上記1または複数のプロセッサに加え、1または複数のメモリ、各種アナログ回路、各種デジタル回路が組み合わされた集積回路等で構成されてもよい。上記1または複数のメモリは、上記各処理を上記1または複数のプロセッサに実行させるプログラム(命令)を格納する。上記1または複数のプロセッサは、上記1または複数のメモリから読み出した上記プログラムに従い上記各処理を実行してもよいし、予め上記各処理を実行するように設計された論理回路に従って上記各処理を実行してもよい。上記プロセッサは、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、およびASIC(Application Specific Integrated Circuit)等、コンピュータの制御に適合する種々のプロセッサであってよい。なお、物理的に分離した上記複数のプロセッサが互いに協働して上記各処理を実行してもよい。たとえば、物理的に分離した複数のコンピュータのそれぞれに搭載された上記プロセッサがLAN(Local Area Network)、WAN (Wide Area Network)、およびインターネット等のネットワークを介して互いに協働して上記各処理を実行してもよい。上記プログラムは、外部のサーバ装置等から上記ネットワークを介して上記メモリにインストールされても構わないし、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disk Read Only Memory)、および半導体メモリ等の記録媒体に格納された状態で流通し、上記記録媒体から上記メモリにインストールされても構わない。
【0148】
以上の説明は、以下に付記する特徴を含む。
[付記1]
FM放送波を含むRF信号を直交復調した復調信号に基づく復調データを受信する受信部と、
前記受信部により受信された前記復調データをフーリエ変換することにより前記復調信号の周波数スペクトルを示す周波数軸データを生成する変換部と、
前記変換部により生成された前記周波数軸データが示す前記周波数スペクトルにおける一部の周波数領域の強度を減衰させる補正処理を行う補正部と、
前記補正部による前記補正処理後の前記周波数軸データが示す周波数スペクトルを逆フーリエ変換することにより時間軸データを生成する逆変換部とを備え、
前記変換部は、前記復調データを、2の累乗のサンプル数ごとに、バラフライ演算を用いてフーリエ変換し、
前記逆変換部は、前記周波数軸データが示す前記周波数スペクトルを、バラフライ演算を用いて逆フーリエ変換することにより時間軸データを生成する、FM放送波補正装置。
【0149】
[付記2]
処理回路を備え、
前記処理回路は、
FM放送波を含むRF信号を直交復調した復調信号に基づく復調データを受信し、
受信した前記復調データをフーリエ変換することにより前記復調信号の周波数スペクトルを示す周波数軸データを生成し、
生成した前記周波数軸データが示す前記周波数スペクトルにおける一部の周波数領域の強度を減衰させる補正処理を行い、
前記補正処理後の前記周波数軸データが示す周波数スペクトルを逆フーリエ変換することにより時間軸データを生成する、FM放送波補正装置。
【符号の説明】
【0150】
11 受信部
12 直交復調器
13,53,56,63 LFO
14I,14Q LPF
15I,15Q ADC
16,66 バランス補正部
16A1,16A2,16B2 データ処理部
17 IP送信部
31 受信部
32 変換部
33 補正部
34 逆変換部
35 補正除去部
36 除去部
41 PLL部
42I,42Q ミキサ
51 IP受信部
52,62 デジタル直交変調器
54,64I,64Q DAC
55 RF増幅部
101,102,103 FM受信装置
201,202,203,204 FM送信装置
311 IP網
321 CATV網
401,402,403 伝送システム
501,502 シグナルプロセッサ