(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024024719
(43)【公開日】2024-02-26
(54)【発明の名称】椅子及び机
(51)【国際特許分類】
A61H 7/00 20060101AFI20240216BHJP
A47B 9/00 20060101ALI20240216BHJP
A47B 13/00 20060101ALI20240216BHJP
【FI】
A61H7/00 322B
A47B9/00 Z
A47B13/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022127550
(22)【出願日】2022-08-10
(71)【出願人】
【識別番号】000112406
【氏名又は名称】ファミリーイナダ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】稲田 二千武
【テーマコード(参考)】
3B053
4C100
【Fターム(参考)】
3B053NB00
3B053NC00
3B053NP00
3B053NQ01
4C100AD01
4C100BA02
4C100BB05
4C100BC13
4C100CA03
4C100DA05
4C100DA06
(57)【要約】
【課題】使用者に適切なタイミングで運動やストレッチ、姿勢変更を行わせる椅子を提供することを目的とする。
【解決手段】使用者が凭れる背もたれ部と、使用者が着座する座部と、所定時間をカウントできるタイマー部と、前記所定時間に達したことを報知する報知部と、使用者の姿勢を変更する押圧部と、押圧部を駆動させる駆動部と、前記駆動部を制御する制御部と、を有し、前記報知部は、使用者に前記押圧部の使用による姿勢変更を促し、前記押圧部による使用者の姿勢変更が完了した後、前記タイマー部により再度所定時間が設定される椅子であることを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者が凭れる背もたれ部と、使用者が着座する座部と、
所定時間をカウントできるタイマー部と、
前記所定時間に達したことを報知する報知部と、
使用者の姿勢を変更する押圧部と、
押圧部を駆動させる駆動部と、
前記駆動部を制御する制御部と、を有し、
前記報知部は、使用者に前記押圧部の使用による姿勢変更を促し、
前記押圧部による使用者の姿勢変更が完了した後、前記タイマー部により再度所定時間が設定されることを特徴とした椅子。
【請求項2】
前記押圧部が所定の手順で動作するコースプログラムを有することを特徴とする請求項1に記載の椅子。
【請求項3】
前記押圧部は、少なくとも使用者の背中を押圧する背中押圧部を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の椅子。
【請求項4】
前記押圧部は、少なくとも使用者の臀部を押圧する臀部押圧部を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の椅子。
【請求項5】
前記押圧部は、左右対に設けられ、
前記制御部は、前記押圧部を左右独立に制御可能であることを特徴とする請求項1又は2に記載の椅子。
【請求項6】
前記背凭れ部は、傾倒状態と起立状態を切り替え可能なリクライニング機能を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の椅子。
【請求項7】
前記所定時間を変更可能とする変更部を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の椅子。
【請求項8】
使用者が使用しているかを検出する使用検出センサを有し、
前記報知部による報知は、前記使用検出センサが使用者の使用を検出しているときに行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の椅子。
【請求項9】
前記タイマー部は、前記使用検出センサが使用者の使用を検出しているときに所定時間のカウントを進めることを特徴とする請求項8に記載の椅子。
【請求項10】
所定の高さで支持された天板と、
所定時間をカウントできるタイマー部と、
前記所定時間に達したことを報知する報知部と、
前記天板を昇降可能に駆動する昇降駆動部と、
前記天板を制御する制御部と、を有する机において、
前記天板を上昇させた立ち机状態と、前記天板を下降させた座り机状態と、を切り替え可能であり、
前記報知部は、使用者に前記立ち机状態と前記座り机状態との切り替えによる姿勢変更を促し、
前記昇降駆動部による昇降後、前記タイマー部の所定時間が設定されることを特徴とした机。
【請求項11】
前記所定時間を変更可能とする変更部を有することを特徴とする請求項10に記載の机。
【請求項12】
使用者が使用しているかを検出する使用検出センサを有し、
前記報知部による報知は、前記使用検出センサが使用者の使用を検出しているときに行うことを特徴とする請求項10又は11に記載の机。
【請求項13】
前記タイマー部は、前記使用検出センサが使用者の使用を検出しているときに所定時間のカウントを進めることを特徴とする請求項12に記載の机。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は椅子及び机に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、デスクワークにおいて、姿勢の悪い状態で長時間作業を行なう作業者に対して運動を促す椅子が提案されている。(例えば、特許文献1参照。)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に開示された椅子は、手を上へ持ち上げ体全体の筋肉を伸ばす背伸びの運動を行うことで、長時間同じ姿勢でいることによる筋肉の疲労を回復させ、血行促進を図るものであるが、その運動のタイミングは使用者に委ねられている。しかしながら、使用者は長時間の着座による疲労の症状がでてきてから使用することが多く、必ずしも適切なタイミングで運動やストレッチを行ってはいないという問題がある。また、運動やストレッチは一度行えばよいものではなく、一定時間ごとに繰り返し行うことが好ましい。そこで、本発明は、上述した問題を解消するためになされたものであり、使用者に適切なタイミングで運動やストレッチ、姿勢変更を行わせる椅子及び机を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、使用者が凭れる背もたれ部と、使用者が着座する座部と、所定時間をカウントできるタイマー部と、前記所定時間に達したことを報知する報知部と、使用者の姿勢を変更する押圧部と、押圧部を駆動させる駆動部と、前記駆動部を制御する制御部と、を有し、
前記報知部は、使用者に前記押圧部の使用による姿勢変更を促し、前記押圧部による使用者の姿勢変更が完了した後、前記タイマー部により再度所定時間が設定される椅子であることを特徴とする。
このように構成することで、適切なタイミングの姿勢変更を繰り返し行うことができる。
【0006】
また、前記押圧部が所定の手順で動作するコースプログラムを有することが好ましい。
このように構成することで、一連のプログラムで姿勢変更を行うことができる。
【0007】
また、前記押圧部は、少なくとも使用者の背中を押圧する背中押圧部を有することが好ましい。
このように構成することで、背中を押圧し、姿勢変更を行うことができる。
【0008】
また、前記押圧部は、少なくとも使用者の臀部を押圧する臀部押圧部を有することが好ましい。
このように構成することで、臀部を押圧し、姿勢変更を行うことができる。
【0009】
また、前記押圧部は、左右対に設けられ、前記制御部は、前記押圧部を左右独立に制御可能であることが好ましい。
このように構成することで、体を左右にひねる姿勢変更を行うことができる。
【0010】
また、前記背凭れ部は、傾倒状態と起立状態を切り替え可能なリクライニング機能を有することが好ましい。
このように構成することで、傾倒状態と起立状態による姿勢変更を行うことができる。
【0011】
また、前記所定時間を変更可能とする変更部を有することが好ましい。
このように構成することで、適切な時間での姿勢変更を行うことができる。
【0012】
また、使用者が使用しているかを検出する使用検出センサを有し、前記報知部による報知は、前記使用検出センサが使用者の使用を検出しているときに行うことが好ましい。
このように構成することで、使用者が使用していないときに報知することを防ぐことができる。
【0013】
また、前記タイマー部は、前記使用検出センサが使用者の使用を検出しているときに所定時間のカウントを進めることが好ましい。
このように構成することで、使用している間だけ時間をカウントすることができる。
【0014】
本発明は、所定の高さで支持された天板と、所定時間をカウントできるタイマー部と、前記所定時間に達したことを報知する報知部と、前記天板を昇降可能に駆動する昇降駆動部と、前記天板を制御する制御部と、を有する机において、前記天板を上昇させた立ち机状態と、前記天板を下降させた座り机状態と、を切り替え可能であり、前記報知部は、使用者に前記立ち机状態と前記座り机状態との切り替えによる姿勢変更を促し、前記昇降駆動部による昇降後、前記タイマー部の所定時間が設定される机であることを特徴とする。
このように構成することで、適切なタイミングの姿勢変更を繰り返し行うことができる。
【0015】
また、前記所定時間を変更可能とする変更部を有することが好ましい。
このように構成することで、適切な時間での姿勢変更を行うことができる。
【0016】
また、使用者が使用しているかを検出する使用検出センサを有し、前記報知部による報知は、前記使用検出センサが使用者の使用を検出しているときに行うことが好ましい。
このように構成することで、使用者が使用していないときに報知することを防ぐことができる。
【0017】
前記タイマー部は、前記使用検出センサが使用者の使用を検出しているときに所定時間のカウントを進めることが好ましい。
このように構成することで、使用している間だけ時間をカウントすることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、使用者に適切なタイミングで運動やストレッチ、姿勢変更を行わせる椅子及び机を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の一実施形態に係る椅子の斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る椅子のブロック図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る椅子を左側面から見た側面図であり、(a)は起立状態を示す図であり、(b)はリクライニング状態を示す図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る姿勢変更に係る肘掛けの構成を示す図であり、(a)は起立状態を示す図であり、(b)はリクライニング状態を示す図であり、(c)は起立状態における右側の肘掛けの斜視図であり、(d)はリクライニング状態における右側の肘掛けの斜視図である。
【
図5】発明の一実施形態に係る操作部を示す図である。
【
図7】本発明の他の施形態に係る椅子を示す斜視図である。
【
図8】本発明の他の施形態に係る椅子を示す斜視図である。
【
図9】本発明の一実施形態に係る机の斜視図である。
【
図10】本発明の一実施形態に係る机のブロック図である。
【
図11】本発明の一実施形態に係る机による姿勢変更を示す斜視図であり、(a)は座り机状態を示すであり、(b)は立ち机状態を示す図である。
【
図12】本発明の一実施形態に係る机の報知機能を説明するフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
[一実施形態に係る椅子の構成]
以下、本発明の一実施形態に係る椅子1の全体構成について説明する。
図1は本発明の一実施形態に係る椅子1の正面斜視図である。なお、縫製品などの外観部分は省略している。
図2は本発明の一実施形態に係る椅子1のブロック図である。
図3は本発明の一実施形態に係る椅子1の本発明の一実施形態に係る椅子を左側面から見た側面図であり、(a)は起立状態を示す図であり、(b)はリクライニング状態を示す図である。
図4は本発明の一実施形態に係る椅子1の姿勢変更に係る肘掛け5の構成を示す図であり、(a)は起立状態を示す図であり、(b)はリクライニング状態を示す図であり、(c)は起立状態における右側の肘掛け5の斜視図であり、(d)はリクライニング状態における右側の肘掛け5の斜視図である。なお、(c)、(d)において肘載置部50は点線で記載する。
図5は発明の一実施形態に係る操作部10を示す図である。
なお、方向の概念は、椅子1に着座した使用者から見て、身長方向における頭部側を「上」、身長方向における腰側を「下」、身体の表側(例えば、顔、胸、腹又はすね側)を向く方向を「表」、身体の裏側(例えば、後頭部、背中、腰又はふくらはぎ側)を向く方向を「裏」、左手側を「左」、右手側を「右」と規定し、その他の場合は適宜説明するものとする。
【0021】
[椅子の全体構成]
図1~
図4に示すとおり、本発明の第1実施形態に係る椅子1は、主として、使用者が着座する座部2と、座部2の後部にリクライニング可能に設けられた使用者が凭れる背凭れ部3と、座部2を支持する脚部4と、座部2の左右両側に設けられた肘掛け部5と、座部2の前部に上下揺動可能に設けられた使用者の下肢を支持するフットレスト部6を有している。座部2、背凭れ部3、肘掛け部5、フットレスト部6は、使用者の身体を支持する身体支持部として機能する。座部2、背凭れ部3、フットレスト部6の各所には、使用者の身体に対して押圧を行う後述するエアセル20が設けられている。また、椅子1は、椅子1の各動作を制御する制御部9と、後述する使用者に各種操作を行わせる操作部10と、電源部90を有している。また、背凭れ部3の上部前面に使用者の頭及び/又は首を支持する枕部31が設けられている。なお、枕部31を設けない構成としても良く、背凭れ部3の高さを使用者の腰までを支持する高さとしてもよい。また、電源部90は、充電式のバッテリーでもよく、外部から電力供給を受けるようにしてもよい。充電式のバッテリーにすることで、オフィス等で使用する場合に、電力供給を行うケーブルが邪魔になることがない。
【0022】
また、背凭れ部3には、ヒータ部32が設けてられている。ヒータ部32は、
図1に示すように、背凭れ部3においてエアセル20と重なる位置に設けられており、使用者の背中を温めることで血行を促進することができ、使用者が長時間同じ姿勢にいることによるコリをほぐすことができる。また、ヒータ部32で温めた場所をエアセル20で押圧することで、より深くコリをほぐすことができる。なお、ヒータ部32の位置は、本実施形態の配置に限らず、背筋に沿うように設けても良いし、座部2やフットレスト部6に設けても良い。
【0023】
脚部4は、上部において座フレーム2aと接続され椅子1全体を支持している。さらに脚部4の左右に延出した支持部42を有し、支持部42は後述の第一固定支持部52aによって、肘掛け部5を支持している。また、脚部4の下部には椅子1を移動可能にするキャスタ部41を有している。また、椅子1がキャスタ部41によって移動しないようにロックするロック機構(図示せず)を有していてもよい。ロック機構は、使用者が足でペダルを踏み、一つ又は複数個のキャスタ部41にストッパーが当たることでロックするペダル式でも良いし、操作部10によって、電気的に操作することでロックするロック機構であってもよい。
【0024】
[座部の構成]
図1、
図3に示すとおり、座部2は、硬質の座フレーム2aと、座フレーム2aを被覆するカバー部材(図示せず)と、により構成されている。座フレーム2aは、金属部材及び/又は樹脂部材により構成されている。
【0025】
図1、
図2に示すとおり、座部2には、使用者の臀部及び/又は大腿部を下方(裏面)から押圧する臀部押圧部a1が設けられている。臀部押圧部a1は、エアの給排気により膨張収縮するエアセル20により構成され、左右で対をなして設けられており、制御部9により左右独立して制御することができ、使用者の姿勢を変更する押圧部として機能する。
【0026】
座部2の下方には、エアセル20よりなる各押圧部a1~a4に対してエアを給排気するポンプ11a及びバルブ11bを有する給排気装置11と、前述した制御部9と、が設けられている。エアセル20は、エアを給排気することで使用者を押圧することができる。制御部9は、プログラマブルなマイコン等を有しており、給排気装置11を駆動制御する。制御部9には、操作部10や記憶部50、タイマー部91が電気的に接続されている。椅子1は、記憶部50に記憶された予め設定されたコースプログラム(動作コースC)に従って動作する他、使用者による操作部10の指示に従って動作する。
図1、2に示すように、操作部10には、動作コースCを選択又は実行するボタン等よりなる物理ボタン101が設けられている。なお、制御部9には、複数種類の動作コースCが記憶されていることが好ましい。また、タイマー部91の設定は、スマートフォンなどの外部端末と通信して設定できるようにしてもよい。
【0027】
[背凭れ部の構成]
図1、
図3に示すとおり、背凭れ部3は、硬質の背フレーム3aと、背フレーム3aを被覆するカバー部材(図示せず)と、により構成されている。背フレーム3aは、金属部材及び/又は樹脂部材により構成されている。背フレーム3aは、両側面に連結軸3bをそれぞれ有し、連結軸3bに肘掛け5が軸支されている。
【0028】
図1、
図2に示す通り、背凭れ部3には、使用者の腰を背面より押圧する腰押圧部a2が設けられている。腰押圧部a2は、エアの給排気により膨張収縮するエアセル20により構成され、左右で対をなして設けられており、制御部9により左右独立して制御することができ、使用者の姿勢を変更する押圧部として機能する。
【0029】
[肘掛け部の構成]
図1、3、4に示すとおり、座部2(座フレーム2a)の左右両側には、使用者の前腕を支持する肘掛け部5が設けられている。肘掛け部5は、肘を載置する肘載置部50と、一方端を肘載置部50に枢支され、他方端を座フレーム2aに枢支された第一可動支持部51と、支持部42から垂直に上方へ延出した第一固定支持部52aと、第一固定支持部52aの上方部分において、手先側が上方を向くように傾斜した角筒形状の傾斜部分である第二固定支持部52bを有している。第二固定支持部52bは、肘側の端部において、第二可動支持部53が枢支されている。
図4(a)、(c)に示す通り、第二可動支持部53は、椅子1の起立状態において、第一固定支持部52aと略平行に設けられ、下方の端部が座フレーム2aに枢支されている。
【0030】
肘載置部50は、第一可動支持部51と第一固定支持部52aの間の位置において、第一規制部54を有している。
図4(a)、(c)に示す通り、肘載置部50は、正面視において断面が逆Uの字に構成されている。また、第一規制部54は、起立状態において第二固定支持部52bの手先側と接するように設けられており、起立状態にする際の背凭れ部3と座部2の移動を規制している。また、第二固定支持部52bは、第一固定支持部52aの直上の位置において、第二固定支持部52bの側面に第二規制部55を有している。
図4に示す通り、肘載置部50は、側面視において肘載置部50の前後方向の中ほどで下方へ凸部を有し、第二規制部55及び第二固定支持部52bは該凸部において肘掛け部5に枢支されている。なお、第二規制部55及び第二固定支持部52bは、肘載置部50の逆Uの字の内側に位置している。
図4(b)、(d)に示す通り、第二規制部55は、リクライニング状態において第一固定支持部52aと接するように設けられており、リクライニング状態にする際の背凭れ部3と座部2の移動を規制している。
【0031】
[リクライニングの構成]
図3、4に示すとおり、背凭れ部3は、使用者が背凭れ部3に体重を掛けることで、座部2に対して前後にリクライニング可能に構成されており、
図3(a)に示す起立状態から、
図3(b)に示す背凭れ面が略水平となるリクライニング状態(傾倒状態)まで変更可能となっている。具体的には、起立状態からリクライニング状態に変更する場合、使用者が背凭れ部3に体重を掛けることで、背凭れ部3は後方に傾倒する。
図4(b)、(d)に示す通り、背凭れ部3の傾倒に追従し、肘載置部50は、第一固定支持部52aを中心に肘載置部50の後方が下方に揺動するように傾倒し、第一可動支持部51及び第二可動支持部53は後方に移動し、座部2が前方に移動することで、背凭れ部3は後方に傾倒する。ここで、第二可動支持部53は、第二規制部55に接することで傾倒動作が規制され、傾倒が停止する。これにより、所定の角度でリクライニング動作が停止し、リクライニング状態となる。
【0032】
リクライニング状態から、使用者が起立状態に変更しようと前方に体重を掛けると、座部2および肘掛け部5に前方へ向かって体重がかかるため、
図4(a)、(c)に示す通り、肘載置部50が第一固定支持部52を中心に肘載置部50の後方が上方に揺動するように傾倒し、第一可動支持部51及び第二可動支持部53が前方に移動し、座部2が後方に移動することで、背凭れ部3が前方に傾倒する。ここで、肘載置部50に設けられている第一規制部54が、第一固定支持部52bと接することで傾倒動作が規制され、傾倒が停止する。これにより、背凭れ部3の前方への傾倒が停止し、起立状態となる。なお、非使用時の状態が起立状態となるように、基板等は前方側に配置し、重心を前方側に寄せることが好ましい。なお、本実施例では、背凭れ部3のリクライニングに連動して肘掛け部5が移動するように構成されているが、これに限らない。また、本実施例では、体重をかけることによるリクライニングとしているが、電動式又は油圧式の駆動部を用いてリクライニングできるようにしてもよい。電動式又は油圧式の駆動部を用いる場合は、操作部10にリクライニングを操作する物理ボタン101を設けることが好ましい。
【0033】
[フットレスト部の構成]
図1、
図2に示すとおり、フットレスト部6は、使用者の下腿を挟持する左右一対の脚挟持部60を有している。脚挟持部60は、使用者の下腿の左右中央から立設された中央壁60aと、左右両端から立設された側壁60bと、有している。側壁60aの内側面には、下腿の内側面を押圧する脚押圧部a3が設けられ、側壁60bの内側面には、下腿の外側面を押圧する脚押圧部a4が設けられている。脚押圧部a3、a4は、エアの給排気により膨張収縮するエアセル20により構成されている。脚押圧部a3、a4は、制御部9により、それぞれ左右独立して制御することができる。脚押圧部a3、a4で使用者の下腿を押圧することで、使用者の下腿を挟持することができる。
【0034】
また、フットレスト部6は、座部2と揺動軸61を介して取り付けられている。フットレスト部6は、フットレスト部6の背面に設けられたフットフレーム62を有している。フットフレーム62は、第一可動支持部51とフット連結部63を介して連結されており、
図3に示す通り、リクライニングに合わせてフットフレーム62及びフットレスト部6を、揺動軸61を支点として、座部2に対して揺動させることができる。フットレスト部6とフットフレーム62の間には、フットレスト部6を上下にさらに揺動させるためのエアセル20が設けられており、フットフレーム62は、エアセル20の反力受けとして機能する。制御部9により、エアセル20を膨張収縮させることで、フットレスト部6が押し出され、
図3に示す上昇状態から垂下状態まで上下に揺動する。エアセル20の膨張支点20aは、フットレスト部6から見て座部2の側に設けられている。
【0035】
[操作部の構成]
図1、
図2、
図5に示すとおり、有線で接続された操作部10が備えられており、使用者が着座した状態で操作することができる。この操作部10は、使用者が押すことで操作する物理ボタン101を有している。物理ボタン101により、フットレスト部6を上下に揺動させて姿勢を変更することができる。また、動作させる押圧部a1~a4を選択したり、各押圧部a1~a4の動作(強さ等)を変更したり、ヒータ部32の入/切を切り替えたり、予め設定されたプログラムに基づく動作コースCを選択したりすることができる。また、椅子1の電源を入れる電源ボタン、緊急時に椅子1の動作を停止させる緊急停止ボタンを有している。なお、操作部10は無線で接続されていても良い。
【0036】
また、
図5に示す通り、物理ボタン101は、動作コースCの動作タイミングを任意のタイミングに変更できる変更部102を有している。変更部102を押すたびに、タイマー部91の設定時間が30分、1時間、2時間と変更され、任意の設定時間を選択することができる。また、操作部10は、文字や数字を表示する表示部104を有していることが好ましい。変更部102によるタイマー部91の設定時間の変更を表示部104に表示することで確認することができる。タイマー91の変更の確認方法は、これに限らず、それぞれの時間に対応したLEDのランプを点灯させたり、操作部10内に設置されたスピーカ103aから音声で出力したりしても良い。タイマー部91の設定した時間が経過すると、後述する報知部103によって使用者に報知される。なお、これに限らず、3時間や4時間など他の時間を設定できるように構成されていても良いし、0分から3時間の間等で任意に設定できるように構成されていても良い。その他、10時、12時、14時、……のように、時刻で設定できるように構成されていても良い。
【0037】
なお、座部2には、使用者が着座しているかどうか(使用者が使用しているかどうか)を検出する着座検出センサ21(使用検出センサ)が設けられていることが好ましい。着座検出センサ21は、座部2に所定以上の荷重が掛かった場合、使用者が着座していることを検出する。なお、着座していることの検出は、荷重によらず、例えば、座部2から上方に赤外線等を照射し、その反射時間から、使用者が着座しているかを検出する構成であっても良い。タイマー部91は、着座検出センサ21が使用者の着座状態を検出している間だけカウントを行う。このように構成することで、長時間着座している使用者に対してのみ、報知することができる。また、所定時間以上着座していない場合、タイマー部91のカウントをリセットするようにしても良い。このようにすることで、例えば、使用者が所定時間椅子から立って作業していたにもかかわらず、再度着座した際にすぐさま長時間着座していたとして報知されることを防ぐことができる。なお、この機能を設ける場合、業種等の使用者の属性によって、カウントをリセットする機能のON/OFFやどれだけの時間着座していないとカウントをリセットされるか設定できるようにすることが好ましい。
【0038】
また、操作部10は、報知部103を有している。報知部103は、操作部10内に設置されたスピーカ103aから出力される音楽や音声で、物理ボタン101で設定した所定時間に達したことを使用者に報知する。なお、スピーカ103aは、椅子1の内部に設置しても良いし、スピーカ103aの代わりに、LEDランプ(図示せず)や操作部10にディスプレイ(図示せず)を設け、そのディスプレイ上に文字や図形で表示して、使用者に報知してもよい。
【0039】
また、操作部10を操作することにより、フットレスト部6を上下に揺動させて姿勢を変更することができる。また、動作させる各押圧部a1~a4を選択したり、動きや強さを変更したりすることができる。また、背凭れ部3を電動式又は油圧式の駆動部を用いてリクライニングできるように構成している場合、操作部10を操作することで背凭れ部3をリクライニングさせて姿勢を変更することができるようにしてもよい。
【0040】
[動作フロー]
以下、椅子1の動作フローについて説明する。
図6は、椅子1の動作コースCの使用を説明するフロー図である。椅子1の動作コースCの一連の流れについて、
図6に基づいて説明する。
【0041】
使用者は、操作部10の物理ボタン101を操作し、動作コースCと動作コースCの動作タイミングとなるタイマー部91の時間を設定する。(ステップS1)ステップS1に続いて、タイマー部91に設定されている時間が経過したかを判定する判定ステップを行う。(ステップS2)判定ステップにおいて、タイマー部91に設定されている時間が経過した場合、ステップS2に続いて、使用者にタイマー部91に設定されている時間が経過したことを報知部103で報知する報知ステップを行う。(ステップS3)ここで、時間経過を報知するだけでなく、動作コースCの使用を促す音声を流したり、文字を表示したりするようにしても良い。
【0042】
ステップS3に続いて、動作コースCを実行する。(ステップS4)具体的には、使用者が操作部10の物理ボタン101を使用し、ステップS1で選択した動作コースCの開始する。開始される動作コースCの内容の一例は以下の通りである。使用者が背凭れ部3にもたれ、体重を掛けることで、起立状態からリクライニング状態になる。この際、使用者にリクライニング姿勢になることをスピーカ103aからアナウンスすることが好ましい。続いて、脚押圧部a3、a4が膨張し、使用者の脚を押圧することで、使用者の脚が各押圧部a1、a2による押圧で移動しないように保持する。続いて、臀部押圧部a1、腰押圧部a2を膨張させる。脚が保持された状態で、臀部押圧部a1及び腰押圧部a2の左右一方側を膨張させることで、上半身をひねるストレッチ動作を行うことができる。その後、臀部押圧部a1及び腰押圧部a2の左右他方側を膨張させることで、前述と反対側に上半身をひねるストレッチ動作を行うことができる。また、臀部押圧部a1の一方側と、腰押圧部a2の他方側を膨張させることで、上半身を複雑にひねるストレッチ動作を行うことができる。このように、押圧部a1~a4を用いて、ストレッチ動作を行うことで、使用者の姿勢変更を行うことができ、姿勢調整や疲労の回復、血行の促進を行うことができる。
【0043】
本実施例では、脚押圧部a3、a4を、脚を保持するためのものとして使用しているがこれに限られるものではなく、脚のストレッチや姿勢変更に使用しても良い。また、各押圧部a1~a4をマッサージ部として利用し、マッサージ動作を行っても良い。また、臀部押圧部a1を前後に並べて設けても良く、前後左右それぞれ独立に動作するようにしても良い。このように構成することで、より複雑な姿勢変更を行うことができる。
【0044】
なお、動作コースCの開始は、報知後自動に開始されても良いし、使用者が物理ボタン101で開始を選択することで開始されるようにしても良い。使用者の選択によって開始される場合は、使用者が何ら選択をしなかった場合、一定時間毎(3分毎など)に、使用者に報知部103で再度報知するようにすることが好ましい。このように構成することで、使用者が報知を聞き逃してしまうことや、使用を忘れてしまうことを防ぐことができる。
【0045】
一連の動作コースCが完了すると、次回の動作コースCの実施する時間をタイマー部91に再設定する。(ステップS5)ここで、再設定する時間は、最初に設定した時間と同じであっても良く、異なる時間が設定されるように構成されていてもよい。異なる時間を設定する場合は、例えば、30分や1時間ごとに一回、動作コースCを実施するようにしても良い。このようにすることで、デスクワークなどで長時間同じような姿勢のまま座りっぱなしになってしまうことを避け、適切な時間間隔で定期的にストレッチ動作を行うことができ、姿勢を変更することができる。また、再設定される時間を使用者が設定できるようにしても良い。このようにすることで、使用者の仕事や生活リズムに合わせた設定を行うことができる。
【0046】
また、本実施例では初め(ステップS1)に動作コースCを設定したが、動作コースCを実行するタイミング(ステップS4)で動作コースCを選択するようにしても良い。このように構成することで、使用者が使用するタイミングで適した動作コースCを実行することができる。また、初めに設定した動作コースCと異なる動作コースCに変更できるようにしても良い。このように構成することで、繰り返し同じ動作コースCを受け続けるだけでなく、異なる動作コースCを組み合わせて受けることができる。
【0047】
タイマー部91の再設定が完了すると、ステップS2に戻り、ステップS2~ステップS5を繰り返し実行する。この繰り返しの実行は、使用者が椅子1の電源を切ることで終了するようにしても良いし、所定回数繰り返した場合に終了するようにしても良い。また、所定の時間に達した場合、終了するようにしても良い。(ステップS6)所定の時間は、例えば、終業時間(例えば、17時)である。このように設定することで、就労時間中のみ動作コースCを実施し、終業後は動作しないので、使用者が不在の状況で不必要に動作することを防ぐことができる。
【0048】
[他の実施形態に係る椅子の構成]
以下、他の実施形態に係る椅子100について説明する。
図7は他の実施形態に係る椅子100の斜視図である。椅子100は、前述した押圧部a1、a2を有する座椅子である。以下では、前述した椅子1と同一の構成については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0049】
椅子100は、前述した椅子1と同様に、主として、座部2と、背凭れ部3と、制御部9と、操作部10を有した座椅子形状をしている。座部2には、臀部押圧部a1が左右で対をなし、前後に並べて設けられており、制御部9により前後及び左右独立して制御することができる。背凭れ部は3腰押圧部a2が左右対をなして設けられており、制御部9により左右独立して制御することができる。なお、本実施形態では、背凭れ部3は使用者の腰を支持する高さとしているが、使用者の背中全体を支持する高さとしても良く、さらに枕部31を設けても良い。
【0050】
椅子100は、オフィスチェアなどの椅子の表面に取り付けて、椅子に着座した使用者に適切なタイミングで運動やストレッチ、姿勢変更を行わせることができる。このように構成することで、使用者がオフィスなどで既に備え付けられている椅子に椅子100を取り付けるだけで良いため、既に備え付けられている椅子をそのまま利用することができる。また、本実施形態では、椅子の上に乗せるだけの構成としているが、位置ずれを起こさないようにベルトなどで椅子の背凭れに括り付けることができる構成としても良いし、椅子100単体で座椅子として利用可能に構成されていても良い。
【0051】
[他の実施形態に係る椅子の構成]
以下、他の実施形態に係る椅子200について説明する。
図8は他の実施形態に係る椅子200の斜視図である。椅子200は、前述した押圧部a1~a4を有するマッサージチェアである。以下では、前述した椅子1と同一の構成については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0052】
椅子200は、前述した椅子1と同様に、主として、座部2と、背凭れ部3と、肘掛け部5と、フットレスト部6と、制御部9と、操作部10を有したマッサージチェアの形状をしている。座部には、臀部押圧部a1が左右で対をなし、前後に並べて設けられており、制御部9により前後及び左右独立して制御することができる。背凭れ部3は腰押圧部a2が左右対をなして設けられており、制御部9により左右独立して制御することができる。また、背凭れ部3には、枕部31が設けられていることが好ましい。
【0053】
椅子200は、フットレスト部6は、左右一対の脚挟持部60を有し、使用者の下腿の左右中央から立設された中央壁60aと、左右両端から立設された側壁60bと、有している。側壁60aの内側面には脚押圧部a3、側壁60bの内側面には脚押圧部a4が設けられている。脚押圧部a3、a4は、制御部9により、それぞれ左右独立して制御することができる。脚押圧部a3、a4で使用者の下腿を押圧することで、使用者の下腿を挟持することができる。
【0054】
また、肘掛け部5に左右の腕をそれぞれ押圧する腕押圧部a5を設けても良い。腕押圧部a5は、エアの給排気により膨張収縮するエアセル20により構成されており、制御部9により、それぞれ左右独立して制御することができる。また、腕押圧部a5は手先側と肘側にそれぞれ設けられ、独立して制御できることが好ましい。さらに、背凭れ部3に使用者の肩又は上腕の外側面に対向して設けられた左右対の側壁部7が設けられている。この側壁部7は、背凭れ部3の側方において前方へ立設されている。そして、側壁部7の内側面には、肩又は上腕の外側面をマッサージする肩押圧部a6が設けられている。肩押圧部a6は、エアの給排気により膨張収縮するエアセル20により構成されている。
【0055】
また、背凭れ部3に揉みマッサージ及び/又は叩きマッサージを行うマッサージユニット8を設けてもよい。具体的には、マッサージユニット8は、左右で対をなすアーム81と、アーム81の上下両端部に設けられた施療子82と、により構成されており、マッサージモータM1,M2の駆動により左右の施療子82が近接離反する揉みマッサージ、及び左右の施療子82が交互に使用者側へ進退する叩きマッサージを行わせることができる。また、マッサージユニット8は、エアセル等からなる進退駆動部65を有し、前後方向に進退することができる。
【0056】
このような構成とすることにより、腕押圧部a5や肩押圧部a6により、上半身を保持し、マッサージユニット8により背中を押し出すことで背筋を伸ばすストレッチ動作や胸を反らせるストレッチ動作を行うことができる。また、押圧部a1~a6、背凭れ部3のリクライニング動作、フットレスト部6の揺動動作を組み合わせることで、種々のストレッチ動作や姿勢変更動作を行うことができる。
【0057】
[一実施形態に係る机の構成]
以下、本発明の一実施形態に係る机300の全体構成について説明する。
図9は本発明の一実施形態に係る机300の正面斜視図である。
図10は本発明の一実施形態に係る机300のブロック図である。
図11は本発明の一実施形態に係る机300による姿勢変更を示す斜視図であり、(a)は座り机状態を示すであり、(b)は立ち机状態を示す図である。なお、方向の概念は、使用者が机を使用する場合において、使用者から見て、身長方向における頭部側を「上」、身長方向における腰側を「下」、身体の表側(例えば、顔、胸、腹又はすね側)を向く方向を「前」、身体の裏側(例えば、後頭部、背中、腰又はふくらはぎ側)を向く方向を「後ろ」、左手側を「左」、右手側を「右」と規定し、その他の場合は適宜説明するものとする。
【0058】
[机の全体構成]
図9に示すとおり、本発明の第1実施形態に係る机300は、主として、机300の上面に設けられた天板301と、天板301を所定の高さで支持する脚部302と、を有している。脚部302は、天板を昇降可能に駆動する昇降駆動部303と、昇降駆動部303の昇降動作を制御する制御部304と、を有している。制御部304には、タイマー部305、報知部308、記憶部309が電気的に接続されている。制御部304は、タイマー部305に設定された所定時間が経過すると、昇降駆動部303を駆動し、天板301を上昇又は下降させるよう昇降動作を制御可能である。
【0059】
なお、本実施形態では、制御部304は、天板301の下面に設けられているが、他の場所に設けても良い。また、タイマー部305の設定は、スマートフォンなどの外部端末と通信して設定できるようにしてもよい。
【0060】
また、
図9、10に示す通り、机300は、天板301の下面に設けられた操作部311を有している。操作部311は、物理ボタン306を有し、物理ボタン306は昇降動作の動作タイミングを任意のタイミングに変更できる変更部307を有している。変更部307を押すたびに、タイマー部305の設定時間が30分、1時間、2時間と変更され、任意の設定時間を選択することができる。タイマー部305の設定した時間が経過すると、後述する報知部308によって使用者に報知される。なお、これに限らず、3時間や4時間など他の時間を設定できるように構成されていても良いし、0分から3時間の間等で任意に設定できるように構成されていても良い。その他、10時、12時、14時、……のように、時刻で設定できるように構成されていても良い。また、本実施形態における操作部311は、天板301の下面に設けられているが、天板301の側面や脚部302に設けても良く、有線又は無線接続されたリモコンに設けられても良い。
【0061】
なお、机300には、使用者が使用しているかどうかを検出する使用検出センサ310が設けられていることが好ましい。使用検出センサ310は、天板301に所定以上の荷重が掛かった場合、使用者が使用していることを検出する。なお、使用していることの検出は、荷重によらず、例えば、天板301から手前側に赤外線等を照射し、その反射時間から、使用者が使用しているかを検出する構成であっても良い。タイマー部305は、使用検出センサ310が、使用者が使用している状態を検出している間だけカウントを行う。使用検出センサ310は、このように構成することで、長時間使用している使用者に対してのみ、報知することができる。また、所定時間以上使用していない場合、タイマー部91のカウントをリセットするようにしても良い。このようにすることで、例えば、使用者が所定時間机300から離れて作業していたにもかかわらず、再度使用した際にすぐさま長時間使用していたとして報知されることを防ぐことができる。なお、この機能を設ける場合、業種等の使用者の属性によって、カウントをリセットする機能のON/OFFやどれだけの時間使用していないとカウントをリセットされるか設定できるようにすることが好ましい。
【0062】
[昇降動作]
図11(b)に示す通り、机300は、昇降駆動部303によって天板301が上昇し、使用者が立った状態で使用する立ち机状態と、
図11(a)に示す通り、昇降駆動部303によって天板301が下降し、使用者が座った状態で使用する座り机状態と、を有している。ここで、昇降駆動部303は、電動モータやガスシリンダで構成されており、脚部302を伸縮させることで、天板301を上昇及び下降させることができる。なお、使用者は、物理ボタン306である昇降ボタン306aを使用して昇降駆動部303を動作し、天板301の高さを調整することができる。天板301の高さの調整結果は、記憶部309に記憶されることが好ましい。ここで、座り机状態と立ち机状態で、それぞれの使用状態において高さを記憶可能であることが好ましい。記憶部309で記憶する際の座り机状態と立ち机状態の区別は、物理ボタン306で切替可能であっても良いし、高さによって規定されていても良い。例えば、天板の高さが90cm以上の時を立ち机状態とし、90cm未満の時を座り机状態として記録するなど、事業者が種々に設定することができる。
【0063】
[報知機能]
机300は、天板301の下面に報知部308を有している。報知部308は、スピーカ308aから出力される音楽や音声で、物理ボタン306で設定した所定時間に達したことを使用者に報知する。なお、スピーカ308aの代わりに、天板301の下面や側面にLEDランプ(図示せず)やディスプレイ(図示せず)を設け、そのディスプレイ上に文字や図形で表示して、使用者に報知してもよい。
【0064】
以下、机300の報知機能について説明する。
図12は、机300の報知機能を説明するフロー図である。机300の報知機能を使用した場合の一連の流れについて、
図12に基づいて説明する。
【0065】
使用者は、物理ボタン306を操作し、タイマー部305の時間を設定する。(ステップS1)テップS1に続いて、タイマー部305に設定されている時間が経過したかを判定する判定ステップを行う。(ステップS2)判定ステップにおいて、タイマー部305に設定されている時間が経過した場合、ステップS2に続いて、使用者にタイマー部305に設定されている時間が経過したことを報知部308で報知する報知ステップを行う。(ステップS3)ここで、時間経過を報知するだけでなく、机300の高さを立ち机状態から座り机状態、又は座り机状態から立ち机状態に変更することを促す音声を流したり、文字を表示したりするようにしても良い。
【0066】
ステップS3に続いて、机300の高さ変更を実行する。(ステップS4)具体的には、使用者が物理ボタン306で机300の昇降動作の開始を選択する。制御部304によって、昇降駆動部303が制御され、天板301を昇降し、立ち机状態の場合は座り机状態へ、座り机状態の場合は立ち机状態へと変更される。このようにすることで、使用者が長時間同じ姿勢でいることを防ぐことができる。なお、机300の昇降動作の開始は、報知後自動に開始されても良い。
【0067】
天板301の昇降動作が完了すると、次回の昇降動作の開始時間をタイマー部305に再設定する。(ステップS5)ここで、再設定する時間は、最初に設定した時間と同じであっても良く、異なる時間が設定されるように構成されていてもよい。異なる時間を設定する場合は、例えば、30分や1時間ごとに一回、昇降動作を開始するようにしても良い。このようにすることで、デスクワークなどで長時間の同じ姿勢になってしまうことを避け、適切な時間間隔で定期的に立ち姿勢と座り姿勢の変更を行うことができる。また、再設定される時間を使用者が設定できるようにしても良い。このようにすることで、使用者の仕事や生活リズムに合わせた設定を行うことができる。
【0068】
タイマー部305の再設定が完了すると、ステップS2に戻り、ステップS2~ステップS5を繰り返し実行する。この繰り返しの実行は、使用者が机300の電源を切ることで終了するようにしても良いし、所定回数繰り返した場合に終了するようにしても良い。また、所定の時間に達した場合、終了するようにしても良い。(ステップS6)所定の時間は、例えば、終業時間(例えば、17時)である。このように設定することで、就労時間中のみ姿勢変更を実施し、終業後は動作しないので、使用者が不在の状況で不必要に動作することを防ぐことができる。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明は、使用者に適切なタイミングで運動やストレッチ、姿勢変更を行わせる椅子及び机を提供することを目的とする。
【符号の説明】
【0070】
1 椅子
100 椅子
200 椅子
2 座部
3 背凭れ部
11 給排気装置
20 エアセル
21 着座検出センサ
102 変更部
103 報知部
9 制御部
91 タイマー部
C 動作コース
300 机
301 天板
303 昇降駆動部
304 制御部
305 タイマー部
307 変更部
308 報知部
310 使用検出センサ