(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024024732
(43)【公開日】2024-02-26
(54)【発明の名称】重荷重用空気入りタイヤ
(51)【国際特許分類】
B60C 11/03 20060101AFI20240216BHJP
B60C 11/12 20060101ALI20240216BHJP
【FI】
B60C11/03 300E
B60C11/03 300B
B60C11/03 300C
B60C11/03 100B
B60C11/12 B
B60C11/12 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022127575
(22)【出願日】2022-08-10
(71)【出願人】
【識別番号】000183233
【氏名又は名称】住友ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104134
【弁理士】
【氏名又は名称】住友 慎太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100156225
【弁理士】
【氏名又は名称】浦 重剛
(74)【代理人】
【識別番号】100168549
【弁理士】
【氏名又は名称】苗村 潤
(74)【代理人】
【識別番号】100200403
【弁理士】
【氏名又は名称】石原 幸信
(74)【代理人】
【識別番号】100206586
【弁理士】
【氏名又は名称】市田 哲
(72)【発明者】
【氏名】森重 信太郎
【テーマコード(参考)】
3D131
【Fターム(参考)】
3D131BB03
3D131BB11
3D131BC01
3D131BC18
3D131EB22V
3D131EB23V
3D131EB23X
3D131EB24V
3D131EB24X
3D131EB28V
3D131EB28X
3D131EB31X
3D131EB42V
3D131EB43V
3D131EB44V
3D131EB81V
3D131EB86V
3D131EB87V
3D131EB91V
3D131EB94V
3D131EB99V
3D131EC02V
3D131EC09V
3D131EC12V
3D131EC12X
3D131EC13V
3D131EC13X
3D131EC14V
(57)【要約】
【課題】 燃費性能と雪上性能とを向上する。
【解決手段】 クラウン領域Crに、複数の第1横細溝11と、複数の第2横細溝12と、複数の第1クラウンブロック14と、複数の第2クラウンブロック15とが設けられた重荷重用空気入りタイヤ1である。第1横細溝11及び第2横細溝12は、溝幅が3.0mm以下である。第1クラウンブロック14は、タイヤ周方向に隣接する第1横細溝11の間に規定され、かつ、踏面14aが六角形状である。トレッド平面視において、各第1クラウンブロック14は、クラウン周方向溝に隣接する3つのコーナ部Kを含んでいる。第2クラウンブロック15は、タイヤ周方向に隣接する第2横細溝12の間に規定されている。3つのコーナ部Kの少なくとも1つには第1凹部17が設けられている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トレッド部を有する重荷重用空気入りタイヤであって、
前記トレッド部は、一対のクラウン周方向溝と、前記一対のクラウン周方向溝の間の領域であるクラウン領域とを含み、
前記一対のクラウン周方向溝は、それらの間にタイヤ赤道が位置するように設けられており、
前記一対のクラウン周方向溝は、それぞれ、溝幅が3.0mmよりも大きく、
前記一対のクラウン周方向溝は、それぞれ、複数の第1ジグザグ頂部を形成するようにタイヤ周方向に連続して延びており、
前記クラウン領域には、複数の縦細溝と、複数の横細溝と、複数のクラウンブロックとが設けられており、
前記複数の縦細溝及び前記複数の横細溝は、それぞれ、溝幅が3.0mm以下であり、
前記複数の縦細溝は、それぞれ、複数の第2ジグザグ頂部を形成するようにタイヤ周方向に連続して延びており、
前記複数の横細溝は、タイヤ軸方向で互いに隣接する前記第1ジグザグ頂部と前記第2ジグザグ頂部とのペアを繋ぐ第1横細溝と、タイヤ軸方向で互いに隣接する前記第2ジグザグ頂部のペアを繋ぐ第2横細溝とを含み、
前記複数のクラウンブロックは、タイヤ周方向に隣接する前記第1横細溝の間に規定され、かつ、踏面が六角形状の複数の第1クラウンブロックと、
タイヤ周方向に隣接する前記第2横細溝の間に規定され、かつ、踏面が六角形状の複数の第2クラウンブロックとを含み、
トレッド平面視において、前記複数の第1クラウンブロックは、それぞれ、前記一対のクラウン周方向溝のいずれかに隣接する3つのコーナ部を含み、
前記3つのコーナ部の少なくとも1つには第1凹部が設けられている、
重荷重用空気入りタイヤ。
【請求項2】
前記第1凹部は、前記第1ジグザグ頂部と前記第1横細溝との間のコーナ部に設けられている、請求項1に記載の重荷重用空気入りタイヤ。
【請求項3】
前記第1凹部は、前記3つのコーナ部で最も内角の小さいコーナ部に設けられている、請求項1又は2に記載の重荷重用空気入りタイヤ。
【請求項4】
前記第1凹部は、第1斜面を有し、
前記第1斜面は、第1点、第2点及び第3点を頂点とする三角形状平面であり、
前記第1点は、前記クラウン周方向溝と前記踏面とが交差するエッジ上にあり、
前記第2点は、前記第1横細溝と前記踏面とが交差するエッジ上にあり、
前記第3点は、前記クラウン周方向溝の溝壁と前記第1横細溝の溝壁とが交差するエッジ上にある、請求項1又は2に記載の重荷重用空気入りタイヤ。
【請求項5】
前記第1斜面のタイヤ半径方向の長さは、前記第1横細溝の溝深さの0.50~1.00倍であり、
前記第1斜面のタイヤ軸方向の最大長さは、前記第1クラウンブロックのタイヤ軸方向の最大長さの0.10~0.60倍であり、
前記第1斜面のタイヤ周方向の最大長さは、前記第1クラウンブロックのタイヤ周方向の最大長さの0.02~0.50倍である、請求項4に記載の重荷重用空気入りタイヤ。
【請求項6】
前記第1凹部は、第2斜面を含み、
前記第2斜面は、第4点、第5点、第6点及び第7点を頂点とする四角形状であり、
前記第4点は、前記クラウン周方向溝と前記踏面とが交差するエッジ上にあり、
前記第5点は、前記クラウン周方向溝の溝壁と前記第1横細溝の溝壁とが交差するエッジ上にあり、
前記第6点は、前記第1横細溝の溝壁と前記踏面とが交差するエッジ上の点Pから前記第1クラウンブロックのタイヤ周方向の内側へ離隔した前記踏面上にあり、
前記第7点は、前記P点からタイヤ半径方向の内側へ離隔した前記第1横細溝の溝壁上にある、請求項1又は2に記載の重荷重用空気入りタイヤ。
【請求項7】
トレッド平面視において、前記複数の第1クラウンブロックは、それぞれ、前記縦細溝に隣接する3つのコーナ部を含み、
前記3つのコーナ部の少なくとも1つには第2凹部が設けられている、請求項1又は2に記載の重荷重用空気入りタイヤ。
【請求項8】
前記第2凹部は、第3斜面を含み、
前記第3斜面は、第8点、第9点、第10点及び第11点を頂点とする四角形状であり、
前記第8点は、前記縦細溝と前記踏面とが交差するエッジ上にあり、
前記第9点は、前記縦細溝の溝壁と前記第1横細溝の溝壁とが交差するエッジ上にあり、
前記第10点は、前記第1横細溝の溝壁と前記踏面とが交差するエッジ上の点Qから前記第1クラウンブロックのタイヤ周方向の内側へ離隔した前記踏面上にあり、
前記第11点は、前記Q点からタイヤ半径方向の内側へ離隔した前記第1横細溝の溝壁上にある、請求項7に記載の重荷重用空気入りタイヤ。
【請求項9】
前記第3斜面のタイヤ半径方向の長さは、前記第1横細溝の溝深さの0.15~0.60倍であり、
前記第3斜面のタイヤ軸方向の最大長さは、前記第1クラウンブロックのタイヤ軸方向の最大長さの0.10~0.60倍であり、
前記第3斜面のタイヤ周方向の最大長さは、前記第1クラウンブロックのタイヤ周方向の最大長さの0.02~0.50倍である、請求項8に記載の重荷重用空気入りタイヤ。
【請求項10】
前記第2凹部は、前記3つのコーナ部のうちのタイヤ周方向の両端側の2つのコーナ部に設けられている、請求項7に記載の重荷重用空気入りタイヤ。
【請求項11】
前記複数の第1クラウンブロックのそれぞれは、前記第1クラウンブロックを横断する第1横断細溝が設けられる、請求項1又は2に記載の重荷重用空気入りタイヤ。
【請求項12】
前記第1横断細溝の溝深さは、前記第1横細溝の溝深さの0.5~1.0倍であり、
前記第1横断細溝の溝幅は、1.5mm以下である、請求項11に記載の重荷重用空気入りタイヤ。
【請求項13】
前記複数のクラウンブロックは、複数の第2クラウンブロックを含み、
前記複数の第2クラウンブロックは、前記複数の縦細溝の間で、かつ、タイヤ周方向に隣接する前記第2横細溝の間に区分されており、
前記第2クラウンブロックは、踏面が六角形状であり、
トレッド平面視において、前記複数の第2クラウンブロックは、それぞれ、前記縦細溝と前記第2横細溝との間の4つのコーナ部を含み、
前記4つのコーナ部には、第3凹部が設けられている、請求項1又は2に記載の重荷重用空気入りタイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、重荷重用空気入りタイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、トレッド部に、1対の周方向主溝を配設した重荷重用空気入りタイヤが記載されている。前記1対の周方向主溝の間には、少なくとも1本の周方向細溝と複数本の幅方向細溝とが配設されており、これにより、複数のブロック状陸部が区画形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、環境を保護する観点より、燃費性能に優れた重荷重用空気入りタイヤが求められている。また、重荷重用空気入りタイヤは、タイヤ交換に多大な労力が必要とされるため、通常、オールシーズンでの走行が求められており、とりわけ、雪上性能を向上することが望まれている。
【0005】
本発明は、以上のような実状に鑑み案出なされたもので、燃費性能と雪上性能とを向上することができる重荷重用空気入りタイヤを提供することを主たる目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、トレッド部を有する重荷重用空気入りタイヤであって、前記トレッド部は、一対のクラウン周方向溝と、前記一対のクラウン周方向溝の間の領域であるクラウン領域とを含み、前記一対のクラウン周方向溝は、それらの間にタイヤ赤道が位置するように設けられており、前記一対のクラウン周方向溝は、それぞれ、溝幅が3.0mmよりも大きく、前記一対のクラウン周方向溝は、それぞれ、複数の第1ジグザグ頂部を形成するようにタイヤ周方向に連続して延びており、前記クラウン領域には、複数の縦細溝と、複数の横細溝と、複数のクラウンブロックとが設けられており、前記複数の縦細溝及び前記複数の横細溝は、それぞれ、溝幅が3.0mm以下であり、前記複数の縦細溝は、それぞれ、複数の第2ジグザグ頂部を形成するようにタイヤ周方向に連続して延びており、前記複数の横細溝は、タイヤ軸方向で互いに隣接する前記第1ジグザグ頂部と前記第2ジグザグ頂部とのペアを繋ぐ第1横細溝と、タイヤ軸方向で互いに隣接する前記第2ジグザグ頂部のペアを繋ぐ第2横細溝とを含み、前記複数のクラウンブロックは、タイヤ周方向に隣接する前記第1横細溝の間に規定され、かつ、踏面が六角形状の複数の第1クラウンブロックと、タイヤ周方向に隣接する前記第2横細溝の間に規定され、かつ、踏面が六角形状の複数の第2クラウンブロックとを含み、トレッド平面視において、前記複数の第1クラウンブロックは、それぞれ、前記一対のクラウン周方向溝のいずれかに隣接する3つのコーナ部を含み、前記3つのコーナ部の少なくとも1つには第1凹部が設けられている、重荷重用空気入りタイヤである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の重荷重用空気入りタイヤは、上記の構成を採用することで、燃費性能と雪上性能とを向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の重荷重用タイヤの一実施形態を示すトレッド部の拡大平面図である。
【
図3】
図1の第1クラウンブロックの拡大図である。
【
図4】(A)は、第1クラウンブロックを模式的に示す斜視図、(B)は、
図1の第1クラウンブロックの斜視図である。
【
図5】
図1の第1クラウンブロックの拡大図である。
【
図6】
図1の第1クラウンブロックの斜視図である。
【
図7】
図1の第1クラウンブロック及び第2クラウンブロックの拡大図である。
【
図8】(A)は、
図7のA-A線断面図、(B)は、
図7のB-B線断面図である。
【
図9】(A)は、他の実施形態の第1クラウンブロックの平面図、(B)は、(A)の第1クラウンブロックの斜視図である。
【
図10】さらに他の実施形態の第1クラウンブロックの斜視図である。
【
図11】(A)は、さらに他の実施形態の第1クラウンブロックの斜視図、(B)は、さらに他の実施形態の第1クラウンブロックの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の一形態が図面に基づき説明される。
図1は、本実施形態の重荷重用空気入りタイヤ(以下、単に「タイヤ」という場合がある)1のトレッド部2の平面図である。本実施形態のタイヤ1は、例えば、雪路での走行も可能なオールシーズン用のタイヤとして好適に用いられる。
【0010】
図1に示されるように、本実施形態のトレッド部2は、一対のクラウン周方向溝3、3と、一対のクラウン周方向溝3、3の間の領域であるクラウン領域Crとを含んでいる。クラウン領域Crは、直進走行時、相対的に大きな接地圧が作用する領域である。
【0011】
一対のクラウン周方向溝3、3は、それらの間にタイヤ赤道Cが位置するように配されている。また、各クラウン周方向溝3は、溝幅W1が3.0mmよりも大きく形成されている。さらに、各クラウン周方向溝3は、複数の第1ジグザグ頂部5を形成するようにタイヤ周方向に連続して延びている。このようなクラウン周方向溝3は、大きな雪柱を形成できるので、基本的な雪上性能を発揮する。
【0012】
クラウン領域Crには、複数の縦細溝6と、複数の横細溝7と、複数のクラウンブロック8とが設けられている。各縦細溝6は、第2ジグザグ頂部9を形成するようにタイヤ周方向に連続して延びている。各横細溝7は、タイヤ軸方向で互いに隣接する第1ジグザグ頂部5と第2ジグザグ頂部9とのペアP1を繋ぐ第1横細溝11と、タイヤ軸方向で互いに隣接する第2ジグザグ頂部9、9のペアP2を繋ぐ第2横細溝12とを含んでいる。
【0013】
各クラウンブロック8は、複数の第1クラウンブロック14と、複数の第2クラウンブロック15とを含んでいる。各第1クラウンブロック14は、タイヤ周方向に隣接する第1横細溝11の間に規定され、かつ、踏面14aが六角形状である。各第2クラウンブロック15は、タイヤ周方向に隣接する第2横細溝12の間に規定され、かつ、踏面15aが六角形状である。
【0014】
各縦細溝6及び各横細溝7は、それぞれ、溝幅W2、W3が3.0mm以下である。これにより、接地時、各第1クラウンブロック14及び各第2クラウンブロック15は、各細溝6、7の変形によって、互いに支え合うことで、クラウン領域Crの見かけのパターン剛性を大きくする。このため、転がり抵抗が低減し、燃費性能が向上する。
【0015】
トレッド平面視において、各第1クラウンブロック14は、一対のクラウン周方向溝3のいずれかに隣接する3つのコーナ部Kを含んでいる。そして、3つのコーナ部Kの少なくとも1つには第1凹部17が設けられている。第1凹部17は、クラウン周方向溝3が形成する雪柱に連続して強固な雪柱を形成することができる。このため、雪上性能が向上する。
【0016】
トレッド部2は、例えば、クラウン領域Crのタイヤ軸方向の両側に配される一対のショルダー領域Shを、さらに含んでいる。クラウン領域Crのタイヤ軸方向の幅Waは、トレッド幅TWの45%~65%であるのが望ましい。ショルダー領域Shのタイヤ軸方向の幅Wbは、トレッド幅TWの10%~30%であるのが望ましい。
【0017】
前記「トレッド幅TW」は、本明細書では、正規状態のタイヤ1に正規荷重を負荷しかつキャンバー角0°で平面に接地したときの最もタイヤ軸方向外側の接地位置であるトレッド端Te間のタイヤ軸方向の距離である。
【0018】
前記「正規状態」とは、タイヤが正規リムにリム組みされかつ正規内圧が充填され、しかも、無負荷の状態である。本明細書において、特に断りがない場合、タイヤ1の各部の寸法等は、前記正規状態で測定された値である。
【0019】
前記「正規リム」は、タイヤ1が基づいている規格を含む規格体系において、当該規格がタイヤ毎に定めるリムであり、例えばJATMAであれば"標準リム"、TRAであれば"Design Rim"、ETRTOであれば"Measuring Rim"である。
【0020】
前記「正規内圧」は、タイヤ1が基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めている空気圧であり、JATMAであれば"最高空気圧"、TRAであれば表"TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES"に記載の最大値、ETRTOであれば"INFLATION PRESSURE"である。
【0021】
前記「正規荷重」は、タイヤ1が基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めている荷重であり、JATMAであれば"最大負荷能力"、TRAであれば表"TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES"に記載の最大値、ETRTOであれば"LOAD CAPACITY"である。
【0022】
本実施形態のクラウン領域Crには、タイヤ赤道Cを挟んで位置する2本の縦細溝6が設けられている。これにより、クラウン領域Grには、タイヤ赤道C上に位置する第2クラウンブロック15と、第2クラウンブロック15の両側に位置する第1クラウンブロック14とが設けられている。なお、縦細溝6は、2本に限定されるものではない。
【0023】
クラウン周方向溝3の溝幅W1は、例えば、トレッド幅TWの3%以上が望ましく、4%以上がさらに望ましく、10%以下が望ましく、9%以下がさらに望ましい。また、クラウン周方向溝の溝深さD1(
図8(A)に示す)は、例えば、8mm以上が望ましく、9mm以上がさらに望ましく、15mm以下が望ましく、14mm以下がさらに望ましい。このようなクラウン周方向溝3は、トレッド部2のパターン剛性の維持と雪柱せん断力を高める効果とを発揮する。
【0024】
図2は、トレッド部2の平面図である。
図2に示されるように、第1ジグザグ頂部5は、タイヤ赤道C側に凸の内向頂部5aと、トレッド端Te側に凸の外向頂部5bとを含んでいる。本実施形態の第1ジグザグ頂部5は、内向頂部5aと外向頂部5bとがタイヤ周方向に交互に配されている。
【0025】
縦細溝6の溝幅W2(
図1に示す)は、0.5mm以上が望ましく、0.8mm以上がさらに望ましく、2.7mm以下が望ましい。縦細溝6の溝深さD2(
図8(B)に示す)は、8mm以上が望ましく、9mm以上がさらに望ましく、15mm以下が望ましく、14mm以下がさらに望ましい。縦細溝6の溝深さD2は、本実施形態では、クラウン周方向溝の溝深さD1と同じとされている。
【0026】
第2ジグザグ頂部9は、タイヤ赤道C側に凸の内向頂部9aと、トレッド端Te側に凸の外向頂部9bとを含んでいる。本実施形態の第2ジグザグ頂部9は、内向頂部9aと外向頂部9bとがタイヤ周方向に交互に配されている。
【0027】
第1横細溝11は、例えば、クラウン周方向溝3の内向頂部5aと縦細溝6の外向頂部9bとを繋いでいる。第2横細溝12は、例えば、縦細溝6の内向頂部9a、9a同士を繋いでいる。第1横細溝11及び第2横細溝12は、本実施形態では、直線状に延びている。
【0028】
第1横細溝11の溝幅W3a、及び、第2横細溝12の溝幅W3bは、それぞれ、0.5mm以上が望ましく、0.6mm以上がさらに望ましく、1.5mm以下が望ましく、1.2mm以下がさらに望ましい。第1横細溝11の溝深さD3a(
図8(A)に示す)、及び、第2横細溝12の溝深さD3b(
図8(B)に示す)は、それぞれ、5mm以上が望ましく、6mm以上がさらに望ましく、13mm以下が望ましく、12mm以下がさらに望ましい。第1横細溝11の溝深さD3aは、本実施形態では、第2横細溝12の溝深さD3bと同じとされている。
【0029】
クラウンブロック8(第1クラウンブロック14及び第2クラウンブロック15)は、それぞれ、タイヤ周方向の中央部8cのタイヤ軸方向の幅Wbが、タイヤ周方向の両端部8eのタイヤ軸方向の幅Wdよりも大きい樽形状である。各クラウンブロック8は、それぞれ、タイヤ周方向の最大長さLmがタイヤ軸方向の最大幅Wmよりも大きいブロックである。このようなクラウンブロック8は、タイヤ周方向の剛性が大きいので、転がり抵抗をより低減することができる。
【0030】
図3は、第1クラウンブロック14の拡大図である。
図3に示されるように、第1クラウンブロック14の3つのコーナ部K(
図1に示す)は、例えば、外向頂部5bで形成される1つのコーナ部K1と、内向頂部5aと第1横細溝11とで形成される2つのコーナ部K2とを含んでいる。2つのコーナ部K2は、例えば、最も内角αの小さいコーナ部K2aと、コーナ部K2aよりも内角αの大きいコーナ部K2bとで形成されている。コーナ部K2bは、外向頂部5bで形成されるコーナ部K1よりも内角αが小さく形成されている。
【0031】
内角αは、本明細書では、トレッド平面で形成される2本の仮想の直線で特定される。具体的には、コーナ部K1の内角α1は、トレッド平面視において、第1直線c1と第2直線c2との間の角度である。第1直線c1は、外向頂部5bのタイヤ軸方向の外端5tと、コーナ部K2aの第1突出端t1とを繋いで形成される。第2直線c2は、外向頂部5bの外端5tと、コーナ部K2bの第2突出端t2とを繋いで形成される。第1突出端t1は、一方の第1横細溝11とクラウン周方向溝3と踏面14aとが交差する端である。第2突出端t2は、他方の第1横細溝11とクラウン周方向溝3と踏面14aとが交差する端である。コーナ部K2aの内角α2は、第1直線c1と第3直線c3との間の角度である。第3直線c3は、第1突出端t1と第3突出端t3とを繋いで形成される。第3突出端t3は、一方の第1横細溝11と縦細溝6と踏面14aとが交差する端である。コーナ部K2bの内角α3は、第2直線c2と第4直線c4との間の角度である。第4直線c4は、第2突出端t2と第4突出端t4とを繋いで形成される。第4突出端t4は、他方の第1横細溝11と縦細溝6と踏面14aとが交差する端である。各コーナ部Kに凹部(第1凹部17や後述する第2凹部20等)が設けられている場合、外端5tや各突出端t1~t4は、前記凹部が設けられていないものと仮定した溝壁及び踏面で特定される。
【0032】
特に限定されるものではないが、コーナ部K1の内角α1は、例えば、130~170度である。コーナ部K2aの内角α2は、例えば、90~110度である。コーナ部K2bの内角α3は、例えば、105~125度である。このようなコーナ部Kを有する第1クラウンブロック14は、トレッド部2のパターン剛性の低下を抑制する。
【0033】
第1凹部17は、例えば、第1ジグザグ頂部5(内向頂部5a)と第1横細溝11との間のコーナ部K2に設けられている。本実施形態の第1凹部17は、3つのコーナ部Kで最も内角α2の小さいコーナ部K2aに設けられている。このような第1凹部17は、コーナ部K2aの剛性の低下を抑制して転がり抵抗を小さくするのに役立つ。
【0034】
第1凹部17は、本実施形態では、3つのコーナ部Kのうち、1つのコーナ部Kのみに設けられている。このようなタイヤ1は、クラウン領域Crのパターン剛性の過度の低下が抑制され、燃費性能を高く維持するのに役立つ。雪上性能を向上するために、第1凹部17は、クラウン周方向溝3と第1横細溝11とで形成される2つのコーナ部K2に設けられても良い(図示省略)。
【0035】
図4(A)は、第1クラウンブロック14の斜視図である。
図4(A)に示されるように、第1凹部17は、本実施形態では、第1斜面18を有している。第1斜面18は、第1点p1、第2点p2及び第3点p3を頂点とする三角形状平面である。第1点p1は、クラウン周方向溝3と踏面14aとが交差するエッジe1上にある。このエッジe1は、タイヤ周方向に延びている。第2点p2は、第1横細溝11と踏面14aとが交差するエッジe2上にある。このエッジe2は、タイヤ軸方向に延びている。第3点p3は、クラウン周方向溝3の溝壁3eと第1横細溝11の溝壁11eとが交差するエッジe3上にある。このエッジe3は、タイヤ半径方向に延びている。このように、本実施形態の第1斜面18は、いわゆる、ダイヤモンドカットとして形成している。このような第1斜面18は、第1凹部17によって形成された雪柱を排出し易いので、接地ごとに、新たな雪柱を第1凹部17に形成できる。このため、雪上性能がさらに向上される。第1斜面18は、例えば、三角形状の曲面であっても良い。
【0036】
図3に示されるように、トレッド平面視において、第1斜面18は、タイヤ軸方向の長さw10が第2点p2から第1クラウンブロック14のタイヤ周方向の中央側に向かって連続して小さくなっている。第1斜面18は、タイヤ周方向の長さh10が第2点p2から第3点p3まで連続して大きくなっている。このような第1斜面18は、第1凹部17内の雪をクラウン周方向溝3に排出し易くする。
【0037】
クラウン領域Crのパターン剛性を維持しつつ、大きな雪柱を形成するために、第1斜面18のタイヤ半径方向の長さd1(
図4(A)に示す)は、第1横細溝11の溝深さD2の0.50倍以上が望ましく、0.70倍以上がさらに望ましく、1.00倍以下が望ましい。同様に、第1斜面18のタイヤ軸方向の最大長さW10は、第1クラウンブロック14のタイヤ軸方向の最大長さWm(
図2に示す)の0.10倍以上が望ましく、0.20以上がさらに望ましく、0.60倍以下が望ましく、0.50以下がさらに望ましい。さらに、第1斜面18のタイヤ周方向の最大長さH10は、第1クラウンブロック14のタイヤ周方向の最大長さLm(
図2に示す)の0.02倍以上が望ましく、0.04倍以上がさらに望ましく、0.50倍以下が望ましく、0.40倍以下がさらに望ましい。第1斜面18の長さd1が第1横細溝11の溝深さD2の1.00倍である態様が、
図4(B)に示される。
【0038】
図5は、第1クラウンブロック14の平面図である。
図5に示されるように、トレッド平面視において、各第1クラウンブロック14は、それぞれ、縦細溝6に隣接する3つのコーナ部K3を含んでいる。3つのコーナ部K3は、例えば、内向頂部9aで形成される1つのコーナ部K3aと、外向頂部9bと第1横細溝11とで形成される2つのコーナ部K3bとで形成されている。2つのコーナ部K3bは、例えば、1つのK3aよりも内角が小さい。コーナ部K3の前記内角は、コーナ部Kの内角α1~α3と同様に、2本の仮想の直線で特定される(図示省略)。
【0039】
3つのコーナ部K3の少なくとも1つには、第2凹部20が設けられている。第2凹部20は、例えば、3つのコーナ部K3のうちのタイヤ周方向の両端側の2つのコーナ部K3に設けられている。第2凹部20は、本実施形態では、外向頂部9bと第1横細溝11とで形成される2つのコーナ部K3bに形成されている。このような第2凹部20は、トレッド部2のパターン剛性の低下を抑制する。
【0040】
図6は、第1クラウンブロック14の斜視図である。
図6に示されるように、第2凹部20は、第3斜面21を含んでいる。第3斜面21は、第8点p8、第9点p9、第10点p10及び第11点p11を頂点とする四角形状である。第8点p8は、縦細溝6と踏面14aとが交差するエッジe5上にある。第9点p9は、縦細溝6の溝壁6eと第1横細溝11の溝壁11eとが交差するエッジe6上にある。第10点p10は、第1横細溝11の溝壁11eと踏面14aとが交差するエッジe2上の点Qから第1クラウンブロック14のタイヤ周方向の内側へ離隔した踏面14a上にある。第11点p11は、点Qからタイヤ半径方向の内側へ離隔した第1横細溝11の溝壁11e上にある。このような第3斜面21は、大きな雪柱を形成するのに役立つ。
【0041】
第2凹部20は、第4斜面22をさらに含んでいる。第4斜面22は、例えば、第10点p10と第11点p11と点Qとを含む三角形状である。このような第4斜面22は、雪柱せん断力を発揮する。
【0042】
図5に示されるように、トレッド平面視において、第3斜面21は、タイヤ軸方向の長さw11が第10点p10から第1クラウンブロック14のタイヤ周方向の中央側に向かって連続して小さくなっている。第3斜面21は、タイヤ周方向の長さh11が第11点p11から第1クラウンブロック14のタイヤ軸方向の外側に向かって第9点p9まで連続して大きくなっている。このような第3斜面21は、第2凹部20内に雪を排出し易くするのに役立つ。
【0043】
第1横細溝11を挟んで向き合う一対の第2凹部20、20同士は、第1横細溝11に沿った長さw12が同じに形成されている。これにより、第1横細溝11と一対の第2凹部20、20とで1個の大きな雪柱を形成できるとともに、タイヤ周方向に隣接する第1クラウンブロック14、14のコーナ部K3b、K3bの剛性の差が小さくなり、転がり抵抗への影響を最小限に抑えることができる。
【0044】
第3斜面21のタイヤ半径方向の長さd2(
図6に示す)は、第1横細溝11の溝深さD3aの0.15倍以上が望ましく、0.25倍以上がさらに望ましく、0.60倍以下が望ましく、0.50倍以下がさらに望ましい。第3斜面21のタイヤ軸方向の最大長さW11は、第1クラウンブロック14のタイヤ軸方向の最大長さWm(
図2に示す)の0.10倍以上が望ましく、0.20倍以上がさらに望ましく、0.60倍以下が望ましく、0.50倍以下がさらに望ましい。第3斜面21のタイヤ周方向の最大長さH11は、第1クラウンブロック14のタイヤ周方向の最大長さLm(
図2に示す)の0.02倍以上が望ましく、0.04倍以上がさらに望ましく、0.50倍以下が望ましく、0.40倍以下がさらに望ましい。
【0045】
図7は、第1クラウンブロック14及び第2クラウンブロック15の拡大図である。
図7に示されるように、各第1クラウンブロック14は、第1クラウンブロック14を横断する第1横断細溝25が設けられている。このような第1横断細溝25は、エッジ効果を発揮して、雪路、とりわけ雪氷路での走行安定性を高める。
【0046】
第1横断細溝25は、クラウン周方向溝3から縦細溝6まで、タイヤ軸方向に対して同じ向きで傾斜している。第1横断細溝25は、クラウン周方向溝3に繋がる第1部分25aと、縦細溝6に繋がる第2部分25bと、第1部分25aと第2部分25bとを繋ぎ、第1部分25a及び第2部分25bよりもタイヤ軸方向に対して大きく傾斜する第3部分25cとを含む。特に限定されるものではないが、第3部分25cのタイヤ軸方向に対する角度β1cと第1部分25aのタイヤ軸方向に対する角度β1aとの差(β1c-β1a)は、20度以上が望ましく、25度以上がさらに望ましく、40度以下が望ましく、35度以下がさらに望ましい。第3部分25cの角度β1cと第2部分25bのタイヤ軸方向に対する角度β1bと差(β1c-β1b)は、差(β1c-β1a)と同じであるのが望ましい。
【0047】
第1横断細溝25は、第1クラウンブロック14のタイヤ周方向の中央部14fに配されている。第1横断細溝25は、第1クラウンブロック14のタイヤ周方向の中間位置を中心としてタイヤ周方向の両側に第1クラウンブロック14の最大長さLmの30%以内に位置している。このような第1横断細溝25は、第1クラウンブロック14のタイヤ周方向の中央部での剛性を適度に低減して、第1クラウンブロック14の剛性をタイヤ周方向の内外で均一とするのに役立つ。
【0048】
図8(A)は、
図7のA-A線断面図である。
図8(A)に示されるように、第1横断細溝25の溝深さD4は、第1横細溝11の溝深さD3aの0.5倍以上が望ましく、0.6倍以上がさらに望ましく、1.0倍以下が望ましく、0.9倍以下がさらに望ましい。第1横断細溝25の溝幅W4は、0.5mm以上が望ましく、0.6mm以上がさらに望ましく、1.5mm以下が望ましく、1.2mm以下がさらに望ましい。
【0049】
図7に示されるように、トレッド平面視において、各第2クラウンブロック15は、縦細溝6と第2横細溝12との間の4つのコーナ部K5を含んでいる。そして、本実施形態の第2クラウンブロック15では、4つのコーナ部K5の全てに、第3凹部27が設けられている。これにより、さらに雪上性能が向上する。
【0050】
第3凹部27は、本実施形態では、第2凹部20の第3斜面21と同様の4つの点を頂点とする四角形状の第4斜面28を含んでいる。このような第3凹部27も、雪柱せん断力を高めて、雪上性能を向上する。第4斜面28は、第3斜面21と同じ形状で形成されている。このように、本実施形態のトレッド部2では、四角形状の第4斜面28及び第3斜面21は、三角形状の第1斜面18よりもタイヤ赤道C側に配されている。換言すると、直進走行時、相対的に大きい接地圧の作用する領域に第4斜面28及び第3斜面21が配され、相対的に小さな接地圧の作用する領域に第1斜面18が配される。これにより、相対的に大きな接地圧の作用する領域では、雪柱せん断力をより高めることができるとともに、相対的に小さい接地圧の作用する領域では、クラウンブロック8のパターン剛性の低下が抑制される。
【0051】
第2横細溝12を挟んで向き合う一対の第3凹部27、27同士は、第2横細溝12に沿った長さw13が同じに形成されている。これにより、第2横細溝12と一対の第3凹部27、27とで1個の大きな雪柱を形成できるとともに、タイヤ周方向に隣接する第2クラウンブロック15、15のコーナ部K5、K5の剛性の差が小さくなり、転がり抵抗への影響を最小限に抑えることができる。
【0052】
各第2クラウンブロック15は、縦細溝6の外向頂部9bで形成される2つのコーナ部K6をさらに含んでいる。各コーナ部K5の内角は、各コーナ部K6よりも内角が小さい。各コーナ部K6には、凹部が形成されていない。
【0053】
各第2クラウンブロック15は、第2クラウンブロック15を横断する第2横断細溝35が設けられている。このような第2横断細溝35は、エッジ効果を発揮して、雪路、とりわけ雪氷路での走行安定性を高める。
【0054】
第2横断細溝35は、第2クラウンブロック15のタイヤ周方向の中央部15fに配されている。第2横断細溝35は、第2クラウンブロック15のタイヤ周方向の中間位置からタイヤ周方向の両側に第2クラウンブロック15のタイヤ周方向の最大長さLmの15%以内に位置している。このような第2横断細溝35は、第2クラウンブロック15のタイヤ周方向の中央部での剛性を適度に低減して、第2クラウンブロック15の剛性をタイヤ周方向の内外で均一とするのに役立つ。
【0055】
第2横断細溝35は、一方の縦細溝6(図では左側)から他方の縦細溝6(図では右側)まで、タイヤ軸方向に対して同じ向きで傾斜している。第2横断細溝35は、一方の縦細溝6に繋がる第1部分35aと、他方の縦細溝6に繋がる第2部分35bと、第1部分35aと第2部分35bとを繋ぐ第3部分35cとを含む。第3部分35cは、第1部分35a及び第2部分35bよりもタイヤ軸方向に対して大きく傾斜している。特に限定されるものではないが、第3部分35cのタイヤ軸方向に対する角度β2cと第1部分35aのタイヤ軸方向に対する角度β2aとの差(β2c-β2a)は、20度以上が望ましく、25度以上がさらに望ましく、40度以下が望ましく、35度以下がさらに望ましい。第3部分35cの角度β2cと第2部分35bのタイヤ軸方向に対する角度β2bと差(β2c-β2b)は、差(β2c-β2a)と同じであるのが望ましい。
【0056】
本実施形態のトレッド部2では、タイヤ軸方向に隣接する第1横断細溝25のタイヤ軸方向の内端同士を繋いだ仮想の直線c10と、第2横細溝12とが交差するように配される。また、タイヤ軸方向に隣接する第1横細溝11のタイヤ軸方向の内端同士を繋いだ仮想の直線c11と、第2横断細溝35とが交差するように配される。直線c11は、第2横断細溝35の第3部分35cと交差している。これにより、第1横断細溝25のエッジ効果と第2横細溝12のエッジ効果が、実質的に同時に発揮される。また、第1横細溝11のエッジ効果と第2横断細溝35のエッジ効果とが実質的に同時に発揮される。
【0057】
図8(B)は、
図7のB-B線断面図である。
図8(B)に示されるように、第2横断細溝35の溝深さD5は、第2横細溝12の溝深さD3bの0.5倍以上が望ましく、0.6倍以上がさらに望ましく、1.0倍以下が望ましく、0.9倍以下がさらに望ましい。第2横断細溝35の溝幅W5は、0.5mm以上が望ましく、0.6mm以上がさらに望ましく、1.5mm以下が望ましく、1.0mm以下がさらに望ましい。
【0058】
図9(A)は、他の実施形態の第1クラウンブロック14の平面図である。
図9(B)は、他の実施形態の第1クラウンブロック14の斜視図である。本実施形態の構成と同じ構成要件には、同じ符号が付されて、その説明が省略される場合がある。
図9に示されるように、この実施形態では、第1凹部17は、第2斜面19を含んでいる。第2斜面19は、第4点p4、第5点p5、第6点p6及び第7点p7を頂点とする四角形状である。第2斜面19は、第3斜面21及び第4斜面28と同じ形状である。第4点p4は、クラウン周方向溝3と踏面14aとが交差するエッジe1上にある。第5点p5は、クラウン周方向溝3の溝壁3eと第1横細溝11の溝壁11eとが交差するエッジe3上にある。第6点p6は、第1横細溝11と踏面14aとが交差するエッジe2上の点Pから第1クラウンブロック14のタイヤ周方向の内側へ離隔した踏面14a上にある。第7点p7は、点Pからタイヤ半径方向の内側へ離隔した第1横細溝11の溝壁11e上にある。この実施形態では、第1凹部17は、第6点p6、第7点p7及び点Pを頂点とする三角形状平面である第5斜面23を含んでいる。
【0059】
図10は、さらに他の実施形態の第1クラウンブロック14の斜視図である。本実施形態の構成と同じ構成要件には、同じ符号が付されて、その説明が省略される場合がある。
図10に示されるように、この実施形態では、第1凹部17は、第6斜面41を有している。第6斜面41は、第1点p1、第2点p2、第21点p21及び第22点p22を頂点とする四角形状である。第6斜面41は、曲面であっても良いし、平面であっても良い。第21点p21は、例えば、第3点p3を通り、エッジe1と平行に延びるエッジe11上に位置する。第22点p22は、例えば、第3点p3を通り、エッジe2と平行に延びるエッジe12上に位置する。この実施形態では、第1点p1と第2点p2とを結ぶエッジと、第21点p21と第22点p22とを結ぶエッジとが平行に延びている。
【0060】
第1凹部17は、この実施形態では、第6斜面41に繋がる第7面42を含んでいる。第7面42は、例えば、第3点p3、第21点p21及び第22点p22を頂点とする三角形状である。第7面42は、例えば、踏面14aと平行に形成されている。第7面42は、例えば、第3点p3から第21点p21及び第22点p22に向かってタイヤ半径方向の外側へ傾斜する態様でも良い。
図10は、第6斜面41のタイヤ半径方向の長さd11が第1横細溝11の溝深さD2(
図4(A)に示す)の1.00倍となる態様である。
【0061】
図11(A)は、さらに他の実施形態の第1クラウンブロック14の斜視図である。本実施形態の構成と同じ構成要件には、同じ符号が付されて、その説明が省略される場合がある。
図11(A)に示されるように、この実施形態では、第2凹部20は、第8斜面43を含んでいる。第8斜面43は、第8点p8、第10点p10、第23点p23及び第24点p24を頂点とする四角形状である。第8斜面43は、曲面であっても良いし、平面であっても良い。第23点p23は、例えば、第9点p9を通り、エッジe5と平行に延びるエッジe13上に位置する。第24点p24は、例えば、第11点p11を通り、エッジe5と平行に延びるエッジe14上に位置する。この実施形態では、第8点p8と第10点p10とを結ぶエッジと、第23点p23と第24点p24とを結ぶエッジとが平行に延びている。
【0062】
第2凹部20は、この実施形態では、第8斜面43に繋がる第9面44を含んでいる。第9面44は、例えば、第9点p9、第11点p11、第23点p23及び第24点p24を頂点とする四角形状である。第9面44は、例えば、踏面14aと平行に形成されている。第9面44は、例えば、第9点p9と第11点p11とを結ぶエッジと、第23点p23と第24点p24とを結ぶエッジとが平行に延びている。
【0063】
図11(B)は、さらに他の実施形態の第1クラウンブロック14の斜視図である。本実施形態の構成と同じ構成要件には、同じ符号が付されて、その説明が省略される場合がある。
図11(B)に示されるように、この実施形態では、第1凹部17は、第10斜面45を有している。第10斜面45は、第4点p4、第6点p6、第25点p25及び第26点p26を頂点とする四角形状である。第10斜面45は、曲面であっても良いし、平面であっても良い。第25点p25は、例えば、第5点p5を通り、エッジe1と平行に延びるエッジe15上に位置する。第26点p26は、例えば、第7点p7を通り、エッジe1と平行に延びるエッジe16上に位置する。この実施形態では、第4点p4と第6点p6とを結ぶエッジと、第25点p25と第26点p26とを結ぶエッジとが平行に延びている。
【0064】
第1凹部17は、この実施形態では、第10斜面45に繋がる第11面46を含んでいる。第11面46は、例えば、第5点p5、第7点p7、第25点p25及び第26点p26を頂点とする四角形状である。第11面46は、例えば、踏面14aと平行に形成されている。第11面46は、例えば、第5点p5と第7点p7とを結ぶエッジと、第25点p25と第26点p26とを結ぶエッジとが平行に延びている。
【0065】
以上、本発明の一実施形態が詳細に説明されたが、本発明は、上記の具体的な実施形態に限定されることなく、種々の態様に変更して実施され得る。
【実施例0066】
図1の基本パターンを有するタイヤが、表1の仕様に基づき試作され、燃費性能及び雪上性能についてテストがなされた。共通仕様及びテスト方法は、以下の通りである。
サイズ:275/80R22.5
リム:22.5×8.25
内圧:900kPa
【0067】
<燃費性能>
転がり抵抗試験機を用いて、下記の条件で、転がり抵抗が測定された。評価は、比較例2の値を100とする指数で表示された。数値が小さいほど転がり抵抗が小さく、燃費性に優れることを示す。
荷重:28.76kN
速度:60km/h
【0068】
<雪上性能>
テストタイヤが下記テスト車両に装着されて、テストドライバーが雪路上で10km/hから40km/hまで加速したときの加速度が算出された。結果は、比較例2の加速度を100とする指数で表示された。数値が大きい程、雪上性能が優れていることを示す。
テスト車両:最大積載量10トン積みのトラック(2-D車)
テストの結果が表1に示される。
【0069】
【0070】
テストの結果、実施例のタイヤは、比較例のタイヤに比して、燃費性能又は雪上性能が向上していることが理解される。
【0071】
[付記]
本発明は以下の態様を含む。
【0072】
[本発明1]
トレッド部を有する重荷重用空気入りタイヤであって、
前記トレッド部は、一対のクラウン周方向溝と、前記一対のクラウン周方向溝の間の領域であるクラウン領域とを含み、
前記一対のクラウン周方向溝は、それらの間にタイヤ赤道が位置するように設けられており、
前記一対のクラウン周方向溝は、それぞれ、溝幅が3.0mmよりも大きく、
前記一対のクラウン周方向溝は、それぞれ、複数の第1ジグザグ頂部を形成するようにタイヤ周方向に連続して延びており、
前記クラウン領域には、複数の縦細溝と、複数の横細溝と、複数のクラウンブロックとが設けられており、
前記複数の縦細溝及び前記複数の横細溝は、それぞれ、溝幅が3.0mm以下であり、
前記複数の縦細溝は、それぞれ、複数の第2ジグザグ頂部を形成するようにタイヤ周方向に連続して延びており、
前記複数の横細溝は、タイヤ軸方向で互いに隣接する前記第1ジグザグ頂部と前記第2ジグザグ頂部とのペアを繋ぐ第1横細溝と、タイヤ軸方向で互いに隣接する前記第2ジグザグ頂部のペアを繋ぐ第2横細溝とを含み、
前記複数のクラウンブロックは、タイヤ周方向に隣接する前記第1横細溝の間に規定され、かつ、踏面が六角形状の複数の第1クラウンブロックと、
タイヤ周方向に隣接する前記第2横細溝の間に規定され、かつ、踏面が六角形状の複数の第2クラウンブロックとを含み、
トレッド平面視において、前記複数の第1クラウンブロックは、それぞれ、前記一対のクラウン周方向溝のいずれかに隣接する3つのコーナ部を含み、
前記3つのコーナ部の少なくとも1つには第1凹部が設けられている、
重荷重用空気入りタイヤ。
[本発明2]
前記第1凹部は、前記第1ジグザグ頂部と前記第1横細溝との間のコーナ部に設けられている、本発明1に記載の重荷重用空気入りタイヤ。
[本発明3]
前記第1凹部は、前記3つのコーナ部で最も内角の小さいコーナ部に設けられている、本発明1又は2に記載の重荷重用空気入りタイヤ。
[本発明4]
前記第1凹部は、第1斜面を有し、
前記第1斜面は、第1点、第2点及び第3点を頂点とする三角形状平面であり、
前記第1点は、前記クラウン周方向溝と前記踏面とが交差するエッジ上にあり、
前記第2点は、前記第1横細溝と前記踏面とが交差するエッジ上にあり、
前記第3点は、前記クラウン周方向溝の溝壁と前記第1横細溝の溝壁とが交差するエッジ上にある、本発明1又は2に記載の重荷重用空気入りタイヤ。
[本発明5]
前記第1斜面のタイヤ半径方向の長さは、前記第1横細溝の溝深さの0.50~1.00倍であり、
前記第1斜面のタイヤ軸方向の最大長さは、前記第1クラウンブロックのタイヤ軸方向の最大長さの0.10~0.60倍であり、
前記第1斜面のタイヤ周方向の最大長さは、前記第1クラウンブロックのタイヤ周方向の最大長さの0.02~0.50倍である、本発明4に記載の重荷重用空気入りタイヤ。
[本発明6]
前記第1凹部は、第2斜面を含み、
前記第2斜面は、第4点、第5点、第6点及び第7点を頂点とする四角形状であり、
前記第4点は、前記クラウン周方向溝と前記踏面とが交差するエッジ上にあり、
前記第5点は、前記クラウン周方向溝の溝壁と前記第1横細溝の溝壁とが交差するエッジ上にあり、
前記第6点は、前記第1横細溝の溝壁と前記踏面とが交差するエッジ上の点Pから前記第1クラウンブロックのタイヤ周方向の内側へ離隔した前記踏面上にあり、
前記第7点は、前記P点からタイヤ半径方向の内側へ離隔した前記第1横細溝の溝壁上にある、本発明1又は2に記載の重荷重用空気入りタイヤ。
[本発明7]
トレッド平面視において、前記複数の第1クラウンブロックは、それぞれ、前記縦細溝に隣接する3つのコーナ部を含み、
前記3つのコーナ部の少なくとも1つには第2凹部が設けられている、本発明1又は2に記載の重荷重用空気入りタイヤ。
[本発明8]
前記第2凹部は、第3斜面を含み、
前記第3斜面は、第8点、第9点、第10点及び第11点を頂点とする四角形状であり、
前記第8点は、前記縦細溝と前記踏面とが交差するエッジ上にあり、
前記第9点は、前記縦細溝の溝壁と前記第1横細溝の溝壁とが交差するエッジ上にあり、
前記第10点は、前記第1横細溝の溝壁と前記踏面とが交差するエッジ上の点Qから前記第1クラウンブロックのタイヤ周方向の内側へ離隔した前記踏面上にあり、
前記第11点は、前記Q点からタイヤ半径方向の内側へ離隔した前記第1横細溝の溝壁上にある、本発明7に記載の重荷重用空気入りタイヤ。
[本発明9]
前記第3斜面のタイヤ半径方向の長さは、前記第1横細溝の溝深さの0.15~0.60倍であり、
前記第3斜面のタイヤ軸方向の最大長さは、前記第1クラウンブロックのタイヤ軸方向の最大長さの0.10~0.60倍であり、
前記第3斜面のタイヤ周方向の最大長さは、前記第1クラウンブロックのタイヤ周方向の最大長さの0.02~0.50倍である、本発明8に記載の重荷重用空気入りタイヤ。
[本発明10]
前記第2凹部は、前記3つのコーナ部のうちのタイヤ周方向の両端側の2つのコーナ部に設けられている、本発明7に記載の重荷重用空気入りタイヤ。
[本発明11]
前記複数の第1クラウンブロックのそれぞれは、前記第1クラウンブロックを横断する第1横断細溝が設けられる、本発明1又は2に記載の重荷重用空気入りタイヤ。
[本発明12]
前記第1横断細溝の溝深さは、前記第1横細溝の溝深さの0.5~1.0倍であり、
前記第1横断細溝の溝幅は、1.5mm以下である、本発明11に記載の重荷重用空気入りタイヤ。
[本発明13]
前記複数のクラウンブロックは、複数の第2クラウンブロックを含み、
前記複数の第2クラウンブロックは、前記複数の縦細溝の間で、かつ、タイヤ周方向に隣接する前記第2横細溝の間に区分されており、
前記第2クラウンブロックは、踏面が六角形状であり、
トレッド平面視において、前記複数の第2クラウンブロックは、それぞれ、前記縦細溝と前記第2横細溝との間の4つのコーナ部を含み、
前記4つのコーナ部には、第3凹部が設けられている、本発明1又は2に記載の重荷重用空気入りタイヤ。