(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024024767
(43)【公開日】2024-02-26
(54)【発明の名称】部品実装装置及び部品の吸着状態検査方法
(51)【国際特許分類】
H05K 13/08 20060101AFI20240216BHJP
H05K 13/04 20060101ALI20240216BHJP
【FI】
H05K13/08 Q
H05K13/04 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022127636
(22)【出願日】2022-08-10
(71)【出願人】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中島 努
【テーマコード(参考)】
5E353
【Fターム(参考)】
5E353CC05
5E353EE02
5E353EE24
5E353EE26
5E353EE53
5E353JJ02
5E353JJ29
5E353JJ44
5E353KK02
5E353KK03
5E353KK11
5E353QQ16
(57)【要約】 (修正有)
【課題】部品実装装置において、部品の長辺方向の寸法が側面撮像カメラの視野範囲よりも大きい場合に、側面撮像カメラの撮像画像を用いて部品の吸着状態を検査する。
【解決手段】部品Pを吸着するノズル34が軸線上に装着された実装ヘッドと、ノズル34を軸線の回りに回転させる回転機構と、ノズル34を軸線の軸方向と直交する撮像方向から撮像する側面撮像カメラ40と、制御部を備え、部品Pが、その長手方向の寸法が側面撮像カメラ40の視野範囲よりも大きい横長部品60である場合に、制御部は、回転機構によって横長部品60を吸着したノズル34を回転させることで、横長部品60の長手方向の両端部を側面撮像カメラ40の視野範囲内に収める角度調整処理と、側面撮像カメラ40によって横長部品60を撮像する撮像処理と、撮像処理により得られた撮像画像に基づいて横長部品60の吸着状態を検査する吸着状態検査処理とを行う。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に部品を実装する部品実装装置であって、
前記部品を吸着するノズルが軸線上に装着された実装ヘッドと、
前記ノズルを前記軸線の回りに回転させる回転機構と、
前記ノズルを前記軸線の軸方向と直交する撮像方向から撮像する側面撮像カメラと、
制御部と、を備え、
前記部品が、その長手方向の寸法が前記側面撮像カメラの視野範囲よりも大きい横長部品である場合に、
前記制御部は、
前記回転機構によって前記横長部品を吸着した前記ノズルを回転させることで、前記横長部品の前記長手方向の両端部を前記側面撮像カメラの視野範囲内に収める角度調整処理と、
前記側面撮像カメラによって前記横長部品を撮像する撮像処理と、
前記撮像処理により得られた撮像画像に基づいて前記横長部品の吸着状態を検査する吸着状態検査処理と、を行う、部品実装装置。
【請求項2】
部品データを記憶する記憶部をさらに備え、
前記角度調整処理では、前記制御部は、前記側面撮像カメラの視野範囲の横幅と、前記部品データに含まれる部品サイズと、に基づいて、前記横長部品の前記長手方向の両端部を前記側面撮像カメラの視野範囲内に収めるために必要な回転角度を計算する、請求項1に記載の部品実装装置。
【請求項3】
前記横長部品の吸着姿勢が不明である場合、
前記角度調整処理では、前記制御部は、前記部品データに含まれる最大吸着ずれ量に基づいて前記回転角度を計算し、得られた前記回転角度のうちより大きい絶対値を有する前記回転角度だけ前記横長部品を回転させる、請求項2に記載の部品実装装置。
【請求項4】
前記横長部品の吸着姿勢が認識されている場合、
前記角度調整処理では、前記制御部は、前記吸着姿勢から求められる吸着ずれ量に基づいて前記回転角度を計算し、得られた前記回転角度のうちより小さい絶対値を有する前記回転角度だけ前記横長部品を回転させる、請求項2に記載の部品実装装置。
【請求項5】
前記角度調整処理では、前記制御部は、予め設定された回転角度増分だけ前記横長部品を回転させ、前記側面撮像カメラによって前記横長部品を撮像することでテスト画像を取得し、前記テスト画像に基づいて前記横長部品の前記長手方向の両端部が前記側面撮像カメラの視野範囲内に収まっているかを判定する段階的回転処理を1回以上行う、請求項1に記載の部品実装装置。
【請求項6】
前記ノズルに近接して配される近接部をさらに備え、
前記角度調整処理では、前記制御部は、前記回転角度を計算した後、前記横長部品を前記回転角度だけ回転させた場合に前記横長部品が前記近接部に干渉するかを判定する干渉判定処理を行い、前記干渉判定処理の結果、前記横長部品が前記近接部に干渉しないと判定された場合に、前記横長部品を前記回転角度だけ回転させる、請求項2に記載の部品実装装置。
【請求項7】
前記ノズルに近接して配される近接部をさらに備え、
前記角度調整処理では、前記制御部は、前記側面撮像カメラの視野範囲の横幅と、前記横長部品の推定部品サイズと、に基づいて、前記横長部品の前記長手方向の両端部を前記側面撮像カメラの視野範囲内に収めるために必要な回転角度を計算し、前記横長部品を前記回転角度だけ回転させた場合に前記横長部品が前記近接部に干渉するかを判定する干渉判定処理を行い、前記干渉判定処理の結果、前記横長部品が前記近接部に干渉しないと判定された場合に、前記横長部品を前記回転角度だけ回転させる、請求項1に記載の部品実装装置。
【請求項8】
前記横長部品は、正規の吸着姿勢で前記ノズルに吸着される第1面と、前記第1面と表裏関係にあって前記基板側に配される第2面と、前記第1面及び前記第2面に対して前記軸線の軸方向について非対称に配される特徴部と、を備え、
前記吸着状態検査処理では、前記制御部は、前記撮像画像における前記特徴部の位置を認識することで、前記横長部品の吸着姿勢の表裏判定を行う、請求項2に記載の部品実装装置。
【請求項9】
基板に部品を実装する部品実装装置における部品の吸着状態検査方法であって、
前記部品実装装置は、前記部品を吸着するノズルが軸線上に装着された実装ヘッドと、前記ノズルを前記軸線の回りに回転させる回転機構と、前記ノズルを前記軸線の軸方向と直交する撮像方向から撮像する側面撮像カメラと、を備え、
前記部品が、その長手方向の寸法が前記側面撮像カメラの視野範囲よりも大きい横長部品である場合に、
部品の吸着検査方法は、
前記回転機構によって前記横長部品を吸着した前記ノズルを回転させることで、前記横長部品の前記長手方向の両端部を前記側面撮像カメラの視野範囲内に収める角度調整工程と、
前記側面撮像カメラによって前記横長部品を撮像する撮像工程と、
前記撮像工程により得られた撮像画像に基づいて前記横長部品の吸着状態を検査する吸着状態検査工程と、を含む、部品の吸着状態検査方法。
【請求項10】
前記部品実装装置は、部品データを記憶する記憶部をさらに備え、
前記角度調整工程では、前記側面撮像カメラの視野範囲の横幅と、前記部品データに含まれる部品サイズと、に基づいて、前記横長部品の前記長手方向の両端部を前記側面撮像カメラの視野範囲内に収めるために必要な回転角度を計算する、請求項9に記載の部品の吸着状態検査方法。
【請求項11】
前記横長部品の吸着姿勢が不明である場合、
前記角度調整工程では、前記部品データに含まれる最大吸着ずれ量に基づいて前記回転角度を計算し、得られた前記回転角度のうちより大きい絶対値を有する前記回転角度だけ前記横長部品を回転させる、請求項10に記載の部品の吸着状態検査方法。
【請求項12】
前記横長部品の吸着姿勢が認識されている場合、
前記角度調整工程では、前記吸着姿勢から求められる吸着ずれ量に基づいて前記回転角度を計算し、得られた前記回転角度のうちより小さい絶対値を有する前記回転角度だけ前記横長部品を回転させる、請求項10に記載の部品の吸着状態検査方法。
【請求項13】
前記角度調整工程では、予め設定された回転角度増分だけ前記横長部品を回転させ、前記側面撮像カメラによって前記横長部品を撮像することでテスト画像を取得し、前記テスト画像に基づいて前記横長部品の前記長手方向の両端部が前記側面撮像カメラの視野範囲内に収まっているかを判定する段階的回転工程を1回以上行う、請求項9に記載の部品の吸着状態検査方法。
【請求項14】
前記部品実装装置は、前記ノズルに近接して配される近接部をさらに備え、
前記角度調整工程では、前記回転角度を計算した後、前記横長部品を前記回転角度だけ回転させた場合に前記横長部品が前記近接部に干渉しないかを判定する干渉判定工程を行い、前記干渉判定工程の結果、前記横長部品が前記近接部に干渉しないと判定された場合に、前記横長部品を前記回転角度だけ回転させる、請求項10に記載の部品の吸着状態検査方法。
【請求項15】
前記部品実装装置は、前記ノズルに近接して配される近接部をさらに備え、
前記角度調整工程では、前記側面撮像カメラの視野範囲の横幅と、前記横長部品の推定部品サイズと、に基づいて、前記横長部品の前記長手方向の両端部を前記側面撮像カメラの視野範囲内に収めるために必要な回転角度を計算し、前記横長部品を前記回転角度だけ回転させた場合に前記横長部品が前記近接部に干渉するかを判定する干渉判定工程を行い、前記干渉判定工程の結果、前記横長部品が前記近接部に干渉しないと判定された場合に、前記横長部品を前記回転角度だけ回転させる、請求項9に記載の部品の吸着状態検査方法。
【請求項16】
前記横長部品は、正規の吸着姿勢で前記ノズルに吸着される第1面と、前記第1面と表裏関係にあって前記基板側に配される第2面と、前記第1面及び前記第2面に対して前記軸線の軸方向について非対称に配される特徴部と、を備え、
前記吸着状態検査工程では、前記撮像画像における前記特徴部の位置を認識することで、前記横長部品の吸着姿勢の表裏判定を行う、請求項10に記載の部品の吸着状態検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、部品実装装置及び部品の吸着状態検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許第4331054号公報(下記特許文献1)に記載の表面実装機が知られている。この表面実装機は、電子部品を吸着するための吸着ノズルと、吸着ノズルを側方から撮像するための側面撮像カメラと、を備えている。吸着ノズルには、その下端部から所定の高さ分上方に特徴部分が形成されている。この特徴部分は、水平方向に突出する形状に形成されたものであり、かかる特徴部分が形成された箇所が、吸着ノズルの下端から所定の高さであることを認識可能な目印となっている。特許文献1の表面実装機によれば、電子部品を吸着した吸着ノズルを側面撮像カメラにより撮像し、得られた画像において、特徴部分、電子部品の下端部、及び吸着ノズルの下端部の高さ位置を比較することで、電子部品の厚み計測や吸着状態の検査をより正確に行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1には、側面撮像カメラの視野範囲と比較して水平方向の寸法が大きい電子部品の吸着状態を検査することについては記載されていない。電子部品の長辺方向の両端部が側面撮像カメラの撮像画像に写っていないと、例えば、電子部品の厚み計測や表裏判定ができない場合がありうる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の部品実装装置は、基板に部品を実装する部品実装装置であって、前記部品を吸着するノズルが軸線上に装着された実装ヘッドと、前記ノズルを前記軸線の回りに回転させる回転機構と、前記ノズルを前記軸線の軸方向と直交する撮像方向から撮像する側面撮像カメラと、制御部と、を備え、前記部品が、その長手方向の寸法が前記側面撮像カメラの視野範囲よりも大きい横長部品である場合に、前記制御部は、前記回転機構によって前記横長部品を吸着した前記ノズルを回転させることで、前記横長部品の前記長手方向の両端部を前記側面撮像カメラの視野範囲内に収める角度調整処理と、前記側面撮像カメラによって前記横長部品を撮像する撮像処理と、前記撮像処理により得られた撮像画像に基づいて前記横長部品の吸着状態を検査する吸着状態検査処理と、を行う、部品実装装置である。
【0006】
また、本開示の部品の吸着状態検査方法は、基板に部品を実装する部品実装装置における部品の吸着状態検査方法であって、前記部品実装装置は、前記部品を吸着するノズルが軸線上に装着された実装ヘッドと、前記ノズルを前記軸線の回りに回転させる回転機構と、前記ノズルを前記軸線の軸方向と直交する撮像方向から撮像する側面撮像カメラと、を備え、前記部品が、その長手方向の寸法が前記側面撮像カメラの視野範囲よりも大きい横長部品である場合に、部品の吸着検査方法は、前記回転機構によって前記横長部品を吸着した前記ノズルを回転させることで、前記横長部品の前記長手方向の両端部を前記側面撮像カメラの視野範囲内に収める角度調整工程と、前記側面撮像カメラによって前記横長部品を撮像する撮像工程と、前記撮像工程により得られた撮像画像に基づいて前記横長部品の吸着状態を検査する吸着状態検査工程と、を含む、部品の吸着状態検査方法である。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、部品実装装置において、部品の長辺方向の寸法が側面撮像カメラの視野範囲よりも大きい場合に、側面撮像カメラの撮像画像を用いて部品の吸着状態を検査することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態1にかかる部品実装装置の平面図である。
【
図2】
図2は、部品供給テープに収納された部品について示す図である。
【
図3】
図3は、ノズル、部品、側面撮像カメラ、及び第1照明の位置関係を示す図である。
【
図4】
図4は、部品実装装置の電気的構成を示す図である。
【
図5】
図5は、側面撮像カメラによる横長部品の撮像について説明する概念図である。
図5(A)は、軸線回りに回転させていない状態の横長部品と側面撮像カメラとの位置関係、及び側面撮像カメラの視野範囲について示す平面図である。
図5(B)は、
図5(A)に示した横長部品と側面撮像カメラとの位置関係において側面撮像カメラにより撮像される撮像画像の図である。
図5(C)は、軸線回りに回転角度だけ回転させた状態の横長部品と側面撮像カメラとの位置関係、及び側面撮像カメラの視野範囲について示す平面図である。
図5(D)は、
図5(C)に示した横長部品と側面撮像カメラとの位置関係において側面撮像カメラにより撮像される撮像画像の図である。
【
図6】
図6は、横長部品と側面撮像カメラの視野範囲との位置関係、及び最大吸着ずれ量を示す平面図である。
【
図7】
図7は、第1回転角度だけ横長部品を回転させる様子を示す平面図である。
【
図8】
図8は、第2回転角度だけ横長部品を回転させる様子を示す平面図である。
【
図9】
図9は、第1回転角度の大きさだけ反時計回りに横長部品を回転させる様子を示す平面図である。
【
図10】
図10は、実施形態1の角度調整処理について示すフローチャートである。
【
図11】
図11は、撮像画像の認識について説明する概念図である。
図11(A)は、撮像画像における処理の対象範囲を示す図である。
図11(B)は、シルエットにおける突出部分の突き出し量を示す図である。
【
図12】
図12は、撮像画像による横長部品の表裏判定について説明する概念図である。
図12(A)は、横長部品が裏返しの吸着姿勢をとっている状態を示す平面図である。
図12(B)は、
図12(A)の状態で撮像された撮像画像を示す図である。
図12(C)は、横長部品が過大な回転角度だけ回転した状態を示す平面図である。
図12(D)は、
図12(C)の状態で撮像された撮像画像を示す図である。
【
図13】
図13は、実施形態2の角度調整処理について説明する概念図である。
図13(A)は横長部品の初期の吸着姿勢を示す平面図である。
図13(B)は、
図13(A)の状態で撮像された撮像画像を示す図である。
図13(C)は、
図13(A)の状態から横長部品が回転角度増分だけ回転した状態を示す平面図である。
図13(D)は、
図13(C)の状態で撮像された撮像画像を示す図である。
図13(E)は、
図13(C)の状態から横長部品が回転角度増分だけ回転した状態を示す平面図である。
図13(F)は、
図13(E)の状態で撮像された撮像画像を示す図である。
【
図14】
図14は、実施形態2の角度調整処理について示すフローチャートである。
【
図15】
図15は、実施形態3にかかるノズル、横長部品、側面撮像カメラ、及び第1照明の位置関係を示す図であって、横長部品が軸線回りに回転した状態を示す図である。
【
図16】
図16は、横長部品と第1照明との位置関係を示す平面図であって、横長部品が回転角度だけ回転した状態を示す図である。
【
図17】
図17は、実施形態3,4の角度調整処理について示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列挙して説明する。
【0010】
(1)本開示の部品実装装置は、基板に部品を実装する部品実装装置であって、前記部品を吸着するノズルが軸線上に装着された実装ヘッドと、前記ノズルを前記軸線の回りに回転させる回転機構と、前記ノズルを前記軸線の軸方向と直交する撮像方向から撮像する側面撮像カメラと、制御部と、を備え、前記部品が、その長手方向の寸法が前記側面撮像カメラの視野範囲よりも大きい横長部品である場合に、前記制御部は、前記回転機構によって前記横長部品を吸着した前記ノズルを回転させることで、前記横長部品の前記長手方向の両端部を前記側面撮像カメラの視野範囲内に収める角度調整処理と、前記側面撮像カメラによって前記横長部品を撮像する撮像処理と、前記撮像処理により得られた撮像画像に基づいて前記横長部品の吸着状態を検査する吸着状態検査処理と、を行う。
【0011】
このような構成によると、角度調整処理が行われることにより、横長部品を側面撮像カメラの視野範囲内に収めることができるから、吸着状態をより正確に検査することができる。
【0012】
(2)上記の部品実装装置は、部品データを記憶する記憶部をさらに備え、前記角度調整処理では、前記制御部は、前記側面撮像カメラの視野範囲の横幅と、前記部品データに含まれる部品サイズと、に基づいて、前記横長部品の前記長手方向の両端部を前記側面撮像カメラの視野範囲内に収めるために必要な回転角度を計算することが好ましい。
【0013】
このような構成によると、回転角度が計算されることにより、横長部品を側面撮像カメラの視野範囲内に収めることができる。
【0014】
(3)前記横長部品の吸着姿勢が不明である場合、前記角度調整処理では、前記制御部は、前記部品データに含まれる最大吸着ずれ量に基づいて前記回転角度を計算し、得られた前記回転角度のうちより大きい絶対値を有する前記回転角度だけ前記横長部品を回転させることが好ましい。
【0015】
このような構成によると、横長部品の吸着姿勢が不明である場合でも、最大吸着ずれ量に基づいて回転角度を計算し、より大きい絶対値を有する回転角度だけ横長部品を回転させることで、横長部品を側面撮像カメラの視野範囲内に収めることができる。
【0016】
(4)前記横長部品の吸着姿勢が認識されている場合、前記角度調整処理では、前記制御部は、前記吸着姿勢から求められる吸着ずれ量に基づいて前記回転角度を計算し、得られた前記回転角度のうちより小さい絶対値を有する前記回転角度だけ前記横長部品を回転させることが好ましい。
【0017】
このような構成によると、横長部品の吸着姿勢が認識されている場合、吸着ずれ量に基づいて回転角度を計算し、より小さい絶対値を有する回転角度だけ横長部品を回転させることで、最小限の回転により、横長部品を側面撮像カメラの視野範囲内に収めることができる。
【0018】
(5)前記角度調整処理では、前記制御部は、予め設定された回転角度増分だけ前記横長部品を回転させ、前記側面撮像カメラによって前記横長部品を撮像することでテスト画像を取得し、前記テスト画像に基づいて前記横長部品の前記長手方向の両端部が前記側面撮像カメラの視野範囲内に収まっているかを判定する段階的回転処理を1回以上行うことが好ましい。
【0019】
このような構成によると、部品データに部品サイズが含まれない場合でも、段階的に横長部品を回転させる段階的回転処理を1回以上行うことで、横長部品を側面撮像カメラの視野範囲内に収めることができる。
【0020】
(6)上記の部品実装装置は、前記ノズルに近接して配される近接部をさらに備え、前記角度調整処理では、前記制御部は、前記回転角度を計算した後、前記横長部品を前記回転角度だけ回転させた場合に前記横長部品が前記近接部に干渉するかを判定する干渉判定処理を行い、前記干渉判定処理の結果、前記横長部品が前記近接部に干渉しないと判定された場合に、前記横長部品を前記回転角度だけ回転させることが好ましい。
【0021】
このような構成によると、横長部品を回転させる際、横長部品が近接部と干渉することを抑制することができる。したがって、横長部品の落下や、横長部品及び近接部の損傷を抑制することができる。
【0022】
(7)上記の部品実装装置は、前記ノズルに近接して配される近接部をさらに備え、前記角度調整処理では、前記制御部は、前記側面撮像カメラの視野範囲の横幅と、前記横長部品の推定部品サイズと、に基づいて、前記横長部品の前記長手方向の両端部を前記側面撮像カメラの視野範囲内に収めるために必要な回転角度を計算し、前記横長部品を前記回転角度だけ回転させた場合に前記横長部品が前記近接部に干渉するかを判定する干渉判定処理を行い、前記干渉判定処理の結果、前記横長部品が前記近接部に干渉しないと判定された場合に、前記横長部品を前記回転角度だけ回転させることが好ましい。
【0023】
このような構成によると、部品データに部品サイズが含まれない場合でも、横長部品の推定部品サイズを用いることで、横長部品と近接部との干渉を抑制することができる。
【0024】
(8)前記横長部品は、正規の吸着姿勢で前記ノズルに吸着される第1面と、前記第1面と表裏関係にあって前記基板側に配される第2面と、前記第1面及び前記第2面に対して前記軸線の軸方向について非対称に配される特徴部と、を備え、前記吸着状態検査処理では、前記制御部は、前記撮像画像における前記特徴部の位置を認識することで、前記横長部品の吸着姿勢の表裏判定を行うことが好ましい。
【0025】
このような構成によると、特徴部の位置を認識することで、横長部品の吸着姿勢の表裏判定を行うことができる。
【0026】
(9)本開示の部品の吸着状態検査方法は、基板に部品を実装する部品実装装置における部品の吸着状態検査方法であって、前記部品実装装置は、前記部品を吸着するノズルが軸線上に装着された実装ヘッドと、前記ノズルを前記軸線の回りに回転させる回転機構と、前記ノズルを前記軸線の軸方向と直交する撮像方向から撮像する側面撮像カメラと、を備え、前記部品が、その長手方向の寸法が前記側面撮像カメラの視野範囲よりも大きい横長部品である場合に、部品の吸着検査方法は、前記回転機構によって前記横長部品を吸着した前記ノズルを回転させることで、前記横長部品の前記長手方向の両端部を前記側面撮像カメラの視野範囲内に収める角度調整工程と、前記側面撮像カメラによって前記横長部品を撮像する撮像工程と、前記撮像工程により得られた撮像画像に基づいて前記横長部品の吸着状態を検査する吸着状態検査工程と、を含む。
【0027】
(10)前記部品実装装置は、部品データを記憶する記憶部をさらに備え、前記角度調整工程では、前記側面撮像カメラの視野範囲の横幅と、前記部品データに含まれる部品サイズと、に基づいて、前記横長部品の前記長手方向の両端部を前記側面撮像カメラの視野範囲内に収めるために必要な回転角度を計算することが好ましい。
【0028】
(11)前記横長部品の吸着姿勢が不明である場合、前記角度調整工程では、前記部品データに含まれる最大吸着ずれ量に基づいて前記回転角度を計算し、得られた前記回転角度のうちより大きい絶対値を有する前記回転角度だけ前記横長部品を回転させることが好ましい。
【0029】
(12)前記横長部品の吸着姿勢が認識されている場合、前記角度調整工程では、前記吸着姿勢から求められる吸着ずれ量に基づいて前記回転角度を計算し、得られた前記回転角度のうちより小さい絶対値を有する前記回転角度だけ前記横長部品を回転させることが好ましい。
【0030】
(13)前記角度調整工程では、予め設定された回転角度増分だけ前記横長部品を回転させ、前記側面撮像カメラによって前記横長部品を撮像することでテスト画像を取得し、前記テスト画像に基づいて前記横長部品の前記長手方向の両端部が前記側面撮像カメラの視野範囲内に収まっているかを判定する段階的回転工程を1回以上行うことが好ましい。
【0031】
(14)前記部品実装装置は、前記ノズルに近接して配される近接部をさらに備え、前記角度調整工程では、前記回転角度を計算した後、前記横長部品を前記回転角度だけ回転させた場合に前記横長部品が前記近接部に干渉するかを判定する干渉判定工程を行い、前記干渉判定工程の結果、前記横長部品が前記近接部に干渉しないと判定された場合に、前記横長部品を前記回転角度だけ回転させることが好ましい。
【0032】
(15)前記部品実装装置は、前記ノズルに近接して配される近接部をさらに備え、前記角度調整工程では、前記側面撮像カメラの視野範囲の横幅と、前記横長部品の推定部品サイズと、に基づいて、前記横長部品の前記長手方向の両端部を前記側面撮像カメラの視野範囲内に収めるために必要な回転角度を計算し、前記横長部品を前記回転角度だけ回転させた場合に前記横長部品が前記近接部に干渉するかを判定する干渉判定工程を行い、前記干渉判定工程の結果、前記横長部品が前記近接部に干渉しないと判定された場合に、前記横長部品を前記回転角度だけ回転させることが好ましい。
【0033】
(16)前記横長部品は、正規の吸着姿勢で前記ノズルに吸着される第1面と、前記第1面と表裏関係にあって前記基板側に配される第2面と、前記第1面及び前記第2面に対して前記軸線の軸方向について非対称に配される特徴部と、を備え、前記吸着状態検査工程では、前記撮像画像における前記特徴部の位置を認識することで、前記横長部品の吸着姿勢の表裏判定を行うことが好ましい。
【0034】
[本開示の実施形態の詳細]
以下に、本開示の実施形態について説明する。本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【0035】
<実施形態1>
本開示の実施形態1について、
図1から
図12を参照しつつ説明する。以下、複数の同一部材については、一部の部材にのみ符号を付し、他の部材の符号を省略する場合がある。実施形態1にかかる部品実装装置10は、
図1に示すように、電子部品等の部品P(
図2及び
図3参照)をプリント基板等の基板B上に実装する。
【0036】
[部品実装装置の全体構成]
部品実装装置10は、
図1に示すように、基台11と、基板Bを搬送する搬送コンベア14と、ヘッドユニット30と、ヘッドユニット30を基台11上にて移動させる駆動装置20とを備えている。なお、以下の説明において、基台11の長手方向(
図1の左右方向)を左右方向、基台11の奥行方向(
図1の上下方向)を前後方向、
図1の紙面垂直方向を上下方向とする。各図において、X方向は右方、Y方向は前方、Z方向は上方を示している。
【0037】
搬送コンベア14は、基台11の中央に配置されている。搬送コンベア14は左右方向に循環駆動する一対の搬送ベルト15を備えており、搬送ベルト15上の基板Bを、搬送ベルト15との摩擦により右方に搬送する。本実施形態では、基板Bは、左側より搬送コンベア14を通じて部品実装装置10の内部へと搬入される。搬入された基板Bは、搬送コンベア14により基台11の中央の作業位置まで運ばれ、そこで停止される。
【0038】
基台11上には、作業位置の周囲を囲むようにして、部品供給部12が4箇所設けられている。各部品供給部12には、部品Pを供給するフィーダ13が左右方向に隣接して多数設置されている。
【0039】
図2に示すように、フィーダ13により供給される部品Pは、部品供給テープ16に含まれている。部品供給テープ16は、キャリアテープ16Aと、これに貼着されるトップテープ16Bとから構成されている。キャリアテープ16A及びトップテープ16Bの材質は、例えば、合成樹脂である。キャリアテープ16Aは、上方に開口した空洞状の部品収納部16Cを一定間隔置きに有しており、各部品収納部16Cには部品Pが収納されている。また、キャリアテープ16Aの一辺側には、縁部に沿って係合孔16Dが一定間隔で設けられている。係合孔16Dの内壁がフィーダ13に設けられるスプロケットの歯(図示せず)と係合することで、部品供給テープ16が巻き取られ、部品Pが搬送されるようになっている。この部品供給テープ16は、フィーダ13の外側の位置において、図外のリールに巻回されて支持されている。
【0040】
フィーダ13は、部品供給テープ16のトップテープ16Bをキャリアテープ16Aから剥離し、部品供給位置に部品Pを搬送する。部品供給位置に搬送された部品Pは、ヘッドユニット30の実装ヘッド32により吸着される。実装ヘッド32に吸着された部品Pは、作業位置において、基板B上に実装される。その後、部品Pが実装された基板Bは搬送コンベア14を通じて右方に運ばれ、部品実装装置10の外部に搬出されるようになっている。
【0041】
駆動装置20は、ヘッドユニット30を所定の可動範囲内でX方向およびY方向に搬送するものである。駆動装置20は、
図1に示すように、X軸ビーム21、Y軸フレーム22、X軸サーボモータ23、Y軸サーボモータ24などを備えている。ヘッドユニット30は、X軸ビーム21に支持され、X軸サーボモータ23によりX方向に往復移動可能となっている。X軸ビーム21は、Y軸フレーム22に支持され、Y軸サーボモータ24によりY方向に往復移動可能となっている。
【0042】
ヘッドユニット30は、
図1及び
図3に示すように、箱形状をなすヘッドユニット本体31と、部品Pの実装動作を行う3つの実装ヘッド32と、各実装ヘッド32を撮像するための側面撮像カメラ40と、を有している。
【0043】
実装ヘッド32は、ヘッドユニット本体31から下方に突出した形態とされている。実装ヘッド32は、
図3に示すように、上下方向に延びるシャフト33と、シャフト33の下端部に着脱可能とされるノズル34と、を有している。実装ヘッド32の中心を通り、上下方向(軸方向の一例)にのびる線は軸線Lとされており、ノズル34は実装ヘッド32の軸線L上に装着されている。実装ヘッド32には、図示しないエア供給装置から負圧が供給されることで、ノズル34の先端部に吸引力が生じるようになっている。これにより、ノズル34による部品Pの吸着および実装が可能とされている。
【0044】
シャフト33には、ヘッドユニット本体31内に設けられたZ軸サーボモータ35(
図4参照)が取り付けられている。シャフト33(およびノズル34)は、Z軸サーボモータ35によって上下方向に昇降可能とされている。
【0045】
部品実装装置10は、ヘッドユニット30の3つの実装ヘッド32(シャフト33)をそれぞれの軸線Lの回りに回転させるR軸サーボモータ36(回転機構の一例、
図4参照)を備えている。
【0046】
本実施形態では、
図1に示すように、3つの実装ヘッド32のそれぞれについて1つずつ側面撮像カメラ40が設けられている。
図3に示すように、実装ヘッド32に対して側面撮像カメラ40と反対側には、第1照明41が設けられている。側面撮像カメラ40と第1照明41は、前後方向に実装ヘッド32を挟むように配置されている。側面撮像カメラ40により、実装ヘッド32の下端部周辺、すなわちノズル34やノズル34に吸着された部品Pを前後方向(撮像方向の一例)から撮像することができる。
【0047】
第1照明41から出射された光は、対象物の周りを透過して側面撮像カメラ40のレンズに入射される。すなわち、側面撮像カメラ40は透過光を撮像するようになっている。このため、得られた撮像画像において対象物はシルエットとして現れるようになっている。
【0048】
図1に示すように、ヘッドユニット30には基板撮像カメラ42が撮像面を下に向けた状態で配置されている。基板撮像カメラ42は、基板Bの位置および姿勢を認識するために、基板Bのフィデューシャルマーク(図示せず)を撮像するように構成されている。また、基板撮像カメラ42の近傍には第2照明(図示せず)が設けられている。第2照明は、基板撮像カメラ42の撮像時に可視光を基板Bに照射するように構成されている。これにより、基板撮像カメラ42により基板Bを鮮明に撮像することができる。
【0049】
図1に示すように、基台11上には部品撮像カメラ43が撮像面を上に向けて配置されている。部品撮像カメラ43は、ノズル34に吸着された部品Pの画像(下面画像)を撮像し、ノズル34による部品Pの吸着姿勢を検出する。また、部品撮像カメラ43の近傍には、第3照明(図示せず)が設けられている。第3照明は、部品撮像カメラ43の撮像時に可視光をノズル34に吸着された部品Pに照射するように構成されている。これにより、部品撮像カメラ43によりノズル34に吸着された部品Pを鮮明に撮像することが可能である。
【0050】
[部品実装装置の電気的構成]
次に、部品実装装置10の電気的構成を、
図4を参照して説明する。部品実装装置10は、制御部50及び操作部51を備えている。制御部50は演算処理部52、モータ制御部53、記憶部54、画像処理部55、外部入出力部56、通信部57等を備えている。
【0051】
演算処理部52はCPU、ROM、RAM等を備えており、ROMに記憶されている制御プログラムを実行することによって部品実装装置10の各部を制御する。
【0052】
モータ制御部53は演算処理部52の制御の下でX軸サーボモータ23、Y軸サーボモータ24、Z軸サーボモータ35、R軸サーボモータ36、コンベア駆動モータ17等の各モータを回転させる。
【0053】
記憶部54には、部品Pに関するデータ(部品データ)を含む各種のデータが記憶されている。各種のデータには生産が予定されている基板Bの生産枚数や品種に関する情報、基板Bに実装される部品Pの数や種類に関する情報、各部品Pを基板Bに実装する実装位置に関する情報、それらの部品Pの実装順序に関する情報、部品Pの部品サイズや外周形状を表す形状データ等が含まれる。
【0054】
画像処理部55は側面撮像カメラ40や基板撮像カメラ42、部品撮像カメラ43から出力される画像信号が取り込まれるように構成されており、出力された画像信号に基づいてデジタル画像を生成する。
【0055】
外部入出力部56はいわゆるインターフェースであり、部品実装装置10の本体に設けられている各種センサ類45から出力される検出信号が取り込まれるように構成されている。また、外部入出力部56は演算処理部52から出力される制御信号に基づいて各種アクチュエータ類46に対する動作制御を行うように構成されている。
【0056】
通信部57は制御部50がフィーダ13と通信するためのものである。
【0057】
操作部51は液晶ディスプレイ等の表示装置や、タッチパネル、キーボード、マウス等の入力装置を備えている。作業者は操作部51を操作して各種の設定等を行うことができる。
【0058】
[側面撮像カメラによる部品の撮像について]
本実施形態では、ノズル34により吸着された部品Pは、まず側面撮像カメラ40により側方から撮像される。側面撮像カメラ40の撮像画像に基づいて、部品Pの吸着状態の検査が行われる。この部品Pの吸着状態の検査とは、例えば、部品Pの厚み(上下方向の寸法)の測定、吸着姿勢の判定の少なくとも一方を含んでいる。側面撮像カメラ40による撮像においては、通常、部品Pの長手方向と側面撮像カメラ40の撮像方向とが略直交するように、部品Pと側面撮像カメラ40とが配置されている。
【0059】
次いで、ノズル34に吸着された部品Pは、部品撮像カメラ43により下方から撮像される。部品撮像カメラ43の撮像画像に基づいて、吸着姿勢の判定や吸着ずれ量の評価等が行われる。
その後、部品Pを基板Bに実装する前に、ノズル34に吸着された部品Pは、側面撮像カメラ40により再度撮像が行われる。この側面撮像カメラ40の撮像画像により、最終的な吸着姿勢の確認等が行われる。
【0060】
[横長部品]
図5(A)に示すように、水平方向に長い形状を有する部品Pは、側面撮像カメラ40の視野範囲(撮像範囲、一点鎖線で境界を示す)の内側に収まらない場合がある。以下、このように側面撮像カメラ40の視野範囲の横幅(左右方向における幅)に対して、長手方向の寸法が大きい部品Pを、横長部品60という。横長部品60を側面撮像カメラ40により撮像すると、
図5(B)に示すような撮像画像が得られる。側面撮像カメラ40の撮像画像において、ノズル34及び横長部品60はシルエットとして現れる。
図5(B)の撮像画像には、横長部品60の全体が収まっていない。詳細には、横長部品60の長手方向の両端部が撮像画像に写っていない。よって、
図5(B)の撮像画像に基づいて、横長部品60の厚みの測定や吸着姿勢の判定を正確に行うことが難しい場合がある。
【0061】
本実施形態では、
図5(C)に示すように、横長部品60を側面撮像カメラ40で撮像する前に、横長部品60をR軸サーボモータ36により軸線L回りに回転させ、横長部品60を側面撮像カメラ40の視野範囲内に収めるようになっている(角度調整処理)。
図5(C)に示す横長部品60と側面撮像カメラ40との位置関係において横長部品60を側面撮像カメラ40で撮像することにより、
図5(D)に示すような、横長部品60の全体が写った側面撮像カメラ40の撮像画像が得られる。よって、横長部品60の厚みの測定や吸着姿勢の判定等をより正確に行いやすくなっている。
【0062】
[回転角度]
本実施形態の角度調整処理では、側面撮像カメラ40の視野範囲の横幅と、横長部品60の部品サイズと、に基づいて、制御部50が横長部品60を側面撮像カメラ40の視野範囲内に収めるために回転させる必要がある回転角度を計算し、その回転角度だけR軸サーボモータ36を制御して横長部品60を回転させる。なお、側面撮像カメラ40の視野範囲の横幅、及び横長部品60の部品サイズは、予め記憶部54に記憶されている。
【0063】
[横長部品の吸着姿勢が不明である場合の角度調整処理]
以下では、まず横長部品60の吸着姿勢がわかっていない場合における回転角度の計算について説明する。ここで想定されるのは、例えば、上記した1回目の側面撮像カメラ40の撮像前のタイミングである。この段階では、部品撮像カメラ43での撮像が行われていないため、部品撮像カメラ43の撮像画像から得られる横長部品60の吸着姿勢や吸着ずれ量に関する情報がない。したがって、横長部品60の回転前の初期の吸着姿勢を適当に設定する必要がある。
【0064】
本実施形態では、横長部品60の初期の吸着姿勢を設定するために、想定される最大吸着ずれ量を用いる。ここでの吸着ずれは、例えば、部品供給テープ16の部品収納部16Cに対する横長部品60の位置ずれ及び角度ずれや、ノズル34が横長部品60を吸着する際の位置ずれ等に起因する。最大吸着ずれ量は、横長部品60の部品サイズ等に基づいて適当に決定してもよいし、実際にノズル34に吸着された横長部品60を部品撮像カメラ43で撮像し、予備データを収集する等して、実験的に決定してもよい。最大吸着ずれ量は予め記憶部54の部品データに記憶されている。
【0065】
図6から
図9は平面視における横長部品60の図であって、横長部品60の軸線L回りの回転について説明するための概念図である。簡単のため、横長部品60は単純な直方体形状のものを例示している。
図6に示すように、この横長部品60の長辺方向の寸法はWpであり、短辺方向の寸法はHpである。Wp,Hpは部品サイズに含まれている。X方向に延びる2本の一点鎖線は、側面撮像カメラ40の視野範囲の境界を示しており、2本の一点鎖線間の距離は側面撮像カメラ40の視野範囲の横幅Ws(<Wp)を示している。
【0066】
図6から
図9において、X軸とY軸の交点は原点(0,0)とされ、横長部品60を吸着するノズル34の位置とされている。すなわち、横長部品60の回転軸(軸線L)は、原点を通って上下方向に延びている。横長部品60の吸着ずれがない場合、横長部品60は
図6の二点鎖線で表される位置に配される。
【0067】
図6に示すように、ここでは、横長部品60の最大吸着ずれ量は、X方向にXm、Y方向にYm、反時計回りにθmとされている。すなわち、横長部品60の初期の吸着姿勢として、横長部品60の中心の座標が(Xm,Ym)であって、横長部品60の長手方向に延びる軸がX軸に対して反時計回りにθmだけ回転している姿勢を想定している。なお、
図6において、最大吸着ずれ量は見やすさのため、誇張して表現している。また、横長部品60を回転させる角度は、反時計回りを正として規定する。
【0068】
初期姿勢にある横長部品60をR軸サーボモータ36で回転させると、側面撮像カメラ40の視野範囲外にある横長部品60の2つの頂点は、原点を中心として破線のような軌跡を描く。初期の吸着姿勢において、側面撮像カメラ40の視野範囲外にある横長部品60の2つの頂点のうち、図示上方に配される頂点を第1頂点(Xc1,Yc1)、図示下方に配される頂点を第2頂点(Xc2,Yc2)とする。ここで、Xc1,Yc1,Xc2,Yc2は、Hp,Wp,Xm,Ym,θmを用いて、下記のように表すことができる。
【0069】
Xc1=(Wp/2)×cos(θm)-(Hp/2)×sin(θm)+Xm・・・式(1)
Yc1=(Wp/2)×sin(θm)+(Hp/2)×cos(θm)+Ym・・・式(2)
【0070】
Xc2=(Wp/2)×cos(θm)+(Hp/2)×sin(θm)+Xm・・・式(3)
Yc2=(Wp/2)×sin(θm)-(Hp/2)×cos(θm)+Ym・・・式(4)
【0071】
横長部品60を回転させて、側面撮像カメラ40の視野範囲内に収めるには、回転方向が時計回りか反時計回りかによって、2つの回転角度が考えられる。横長部品60を時計回りに回転させる場合、
図7に示すように、第1頂点が側面撮像カメラ40の視野範囲内に入るように回転角度を設定すればよい。ここでは、第1頂点のX座標が側面撮像カメラ40の視野範囲の図示右側の境界と一致する角度を第1回転角度θaとする。
図7において二点鎖線で表される横長部品60は、実線で表される初期の吸着姿勢の横長部品60を第1回転角度θaだけ回転させたものである。回転後の横長部品60の第1頂点のX座標をXc1’とすると、下記の式(5),(6),(7)が満たされる。
【0072】
-90°<θa<0°・・・式(5)
Xc1’=Ws/2・・・式(6)
Xc1’=Xc1×cos(θa)-Yc1×sin(θa)・・・式(7)
【0073】
したがって、式(1),(2),(5),(6),(7)より第1回転角度θaを計算することができる。
【0074】
また、横長部品60を反時計回りに回転させる場合、
図8に示すように、第2頂点が側面撮像カメラ40の視野範囲内に入るように回転角度を設定すればよい。ここでは、第2頂点のX座標が側面撮像カメラ40の視野範囲の図示右側の境界と一致する角度を第2回転角度θbとする。
図8において二点鎖線で表される横長部品60は、実線で表される初期の吸着姿勢の横長部品60を第2回転角度θbだけ回転させたものである。回転後の横長部品60の第2頂点のX座標をXc2’とすると、下記の式(8),(9),(10)が満たされる。
【0075】
0°<θb<90°・・・式(8)
Xc2’=Ws/2・・・式(9)
Xc2’=Xc2×cos(θb)-Yc2×sin(θb)・・・式(10)
【0076】
したがって、式(3),(4),(8),(9),(10)より第2回転角度θbを計算することができる。
【0077】
ここでは、横長部品60の初期の吸着姿勢が不明であるため、制御部50は、絶対値がより大きい回転角度に合わせて横長部品60を回転させることで、より確実に横長部品60を側面撮像カメラ40の視野範囲内に収めるようになっている。初期の吸着姿勢の角度ずれの方向はわからないため、横長部品60を回転させる方向は時計回りでも反時計回りでもよい。
図7及び
図8より、第1回転角度θaの絶対値|θa|は、第2回転角度θbの絶対値|θb|より大きいから、例えば、
図9に示すように、制御部50は、横長部品60を|θa|だけ反時計回りに回転させる。なお、図示しないが、制御部50は横長部品60を|θa|だけ時計回りに回転させてもよい。これにより横長部品60を側面撮像カメラ40の視野範囲内に収めることができる。
【0078】
[横長部品の吸着姿勢が認識されている場合の角度調整処理]
次に、横長部品60の吸着姿勢が認識されている場合における回転角度の計算について説明する。ここで想定されるのは、例えば、上記した2回目の側面撮像カメラ40の撮像前のタイミングである。この段階では、部品撮像カメラ43での撮像が行われており、部品撮像カメラ43の撮像画像から横長部品60の吸着姿勢や吸着ずれ量について情報が得られている。したがって、既知の吸着ずれ量に基づいて、上記と同様にして、第1回転角度θa及び第2回転角度θbを計算することができる。簡単のため、ここでは、横長部品60の初期の吸着姿勢は、前述した想定値(最大吸着ずれ量)と同様に、横長部品60の中心の座標が(Xm,Ym)であって、横長部品60の長手方向に延びる軸がY軸に対して反時計回りにθmだけ回転している姿勢であるものとする(
図6から
図8参照)。
【0079】
図7及び
図8より、第2回転角度θbの絶対値|θb|は、第1回転角度θaの絶対値|θa|より小さいから、
図8に示すように、制御部50は、横長部品60を第2回転角度θbだけ回転させる。なお、θb>0であるから回転の方向は反時計回りである。このように、実際の吸着姿勢がわかっている場合には、絶対値の小さい方の回転角度だけ横長部品60を回転させることで、角度調整処理に要する時間を削減し、部品実装装置10の生産性を向上させることができる。
【0080】
以下、
図10のフローチャートを参照しつつ、本実施形態の角度調整処理の手順について説明する。角度調整処理は、ノズル34に吸着された部品Pが横長部品60である場合に行われる。例えば、オペレータが予め生産プログラムにおいて、横長部品60を供給するフィーダ13を指定する等して、横長部品60の認識を行う場合には角度調整処理が行われるようにしてもよい。また、ある部品Pを側面撮像カメラ40で撮像した撮像画像において、部品Pの全体が収まっておらず、部品Pが横長部品60であると判断された場合に、角度調整処理が行われるようにしてもよい。
【0081】
角度調整処理において、横長部品60の吸着姿勢が不明である場合(S10:No)、制御部50は、部品データの最大吸着ずれ量に基づいて回転角度を計算する(S20)。そして、制御部50は、R軸サーボモータ36により、回転角度のうち絶対値が大きい方の回転角度の大きさだけ横長部品60を回転させる(S30)。S30においては、横長部品60を回転させる回転方向は、時計回りでも反時計回りでもよい。
【0082】
一方、横長部品60の吸着姿勢がわかっている場合には(S10:Yes)、制御部50は、吸着姿勢から求められる実際の吸着ずれ量に基づいて回転角度を計算する(S40)。そして、制御部50は、R軸サーボモータ36により、回転角度のうち絶対値が小さい方の回転角度だけ横長部品60を回転させる(S50)。S50においては、横長部品60を回転させる方向は、絶対値が小さい方の回転角度の符号に合わせる。例えば、
図6から
図8に例示される場合においては、より小さい絶対値を有する回転角度である第2回転角度θbの符号は正であり(
図8参照)、ここでは反時計回りを正としている。よって、横長部品60を角度|θb|だけ反時計回りに回転させることとなる。
【0083】
以上により、角度調整処理が終了し、横長部品60は側面撮像カメラ40の視野範囲内に収まった状態となる。
【0084】
[撮像処理]
角度調整処理が終了すると、制御部50は、側面撮像カメラ40により横長部品60を側方から撮像する(撮像処理)。
【0085】
[吸着状態検査処理]
次に、撮像処理により得られた撮像画像により、横長部品60の吸着状態の検査が行われる(吸着状態検査処理)。
図3及び
図5に示すように、本実施形態の横長部品60は、直方体形状の本体部61と、本体部61から長手方向の外側に突出するリード62(特徴部の一例)と、を有している。
図3に示すように、本体部61は、正規の吸着姿勢においてノズル34に吸着される第1面63(
図3では上面)と、第1面63と表裏関係にあって基板側に配される第2面64(
図3では下面)と、を備える。リード62は本体部61の第2面64から長手方向の外側に延びている。
【0086】
本実施形態では、
図11(A)の撮像画像のうち、一点鎖線の枠で示す、ノズル34の先端より下側の部分を処理の対象範囲として、横長部品60に対応するシルエットのエッジ検出等が行われる。これにより、横長部品60の厚み測定が行われる。詳細には、本体部61の上下方向の寸法、及び本体部61の第1面63とリード62の下面との距離が測定される。
【0087】
[表裏判定]
また、横長部品60においてはリード62が本体部61の第2面64から長手方向に延びているから、シルエットからリード62の位置を認識することにより、横長部品60の吸着姿勢の表裏判定が可能な場合がある。詳細には、
図11(B)に示すように、例えば左右方向におけるエッジ検出を行うことで、シルエットにおける突出部分の突き出し量D1,D2が計算される。この突き出し量D1,D2が予め部品データに含まれる閾値よりも大きい場合に、制御部50はこの突出部分がリード62であると判断する。閾値は、横長部品60の部品サイズ等を考慮し、例えば、本体部61に対してリード62が長手方向に突出する突出寸法の半分の大きさとすることができる。
【0088】
リード62が認識された場合、制御部50は、リード62と本体部61との位置関係を判断し、横長部品60の表裏判定を行う。
図11(B)の撮像画像から、制御部50は、リード62が設けられる第2面64が基板B側(下側)に配され、リード62から離間している第1面63がノズル34に吸着されていると判断する。よって、制御部50は、横長部品60が正規の吸着姿勢をとっていると判定する。
【0089】
図12(A)に示すように、横長部品60が裏返しになってノズル34に吸着されている場合、
図12(B)のような撮像画像が得られる。制御部50は、
図12(B)の撮像画像のシルエットの突出部分の位置から、リード62が設けられる第2面64がノズル34に吸着され、リード62から離間している第1面63が基板B側に配されていると判断する。よって、制御部50は、横長部品60が非正規の吸着姿勢、すなわち裏返しの姿勢をとっていると判定する。
【0090】
なお、角度調整処理における回転角度によっては、撮像画像からリード62が認識されない場合もある。特に、横長部品60の吸着姿勢が不明である場合の角度調整処理においては、
図12(C)に示すように横長部品60の回転角度が過大となるような状況もありえる。このような場合には、
図12(D)のような撮像画像が得られ、シルエットに突出部分は現れないか、もしくは現れたとしても突き出し量D1,D2が閾値以下となって、制御部50は撮像画像からリード62の位置を認識できないことが考えられる。リード62が認識できない場合には、制御部50は横長部品60の表裏判定を行わないようにしてもよい。例えば、表裏判定は一旦保留し、部品撮像カメラ43による部品認識等により横長部品60の吸着姿勢を確認した後、改めて角度調整処理、及び撮像処理を行い、表裏判定を行ってもよい。
【0091】
[実施形態1の作用効果]
以上のように、実施形態1にかかる部品実装装置10は、基板Bに部品Pを実装する部品実装装置10であって、部品Pを吸着するノズル34が軸線L上に装着された実装ヘッド32と、ノズル34を軸線Lの回りに回転させる回転機構(R軸サーボモータ36)と、ノズル34を軸線Lの軸方向と直交する撮像方向から撮像する側面撮像カメラ40と、制御部50と、を備え、部品Pが、その長手方向の寸法が側面撮像カメラ40の視野範囲よりも大きい横長部品60である場合に、制御部50は、回転機構によって横長部品60を吸着したノズル34を回転させることで、横長部品60の長手方向の両端部を側面撮像カメラ40の視野範囲内に収める角度調整処理と、側面撮像カメラ40によって横長部品60を撮像する撮像処理と、撮像処理により得られた撮像画像に基づいて横長部品60の吸着状態を検査する吸着状態検査処理と、を行う。
【0092】
このような構成によると、角度調整処理が行われることにより、横長部品60を側面撮像カメラ40の視野範囲内に収めることができるから、吸着状態をより正確に検査することができる。
【0093】
実施形態1にかかる部品実装装置10は、部品データを記憶する記憶部54をさらに備え、角度調整処理では、制御部50は、側面撮像カメラ40の視野範囲の横幅Wsと、部品データに含まれる部品サイズと、に基づいて、横長部品60の長手方向の両端部を側面撮像カメラ40の視野範囲内に収めるために必要な回転角度を計算する。
【0094】
このような構成によると、回転角度が計算されることにより、横長部品60を側面撮像カメラ40の視野範囲内に収めることができる。
【0095】
実施形態1では、横長部品60の吸着姿勢が不明である場合、角度調整処理では、制御部50は、部品データに含まれる最大吸着ずれ量に基づいて回転角度を計算し、得られた回転角度のうちより大きい絶対値を有する回転角度だけ横長部品60を回転させる。
【0096】
このような構成によると、横長部品60の吸着姿勢が不明である場合でも、最大吸着ずれ量に基づいて回転角度を計算し、より大きい絶対値を有する回転角度だけ横長部品60を回転させることで、横長部品60を側面撮像カメラ40の視野範囲内に収めることができる。
【0097】
実施形態1では、横長部品60の吸着姿勢が認識されている場合、角度調整処理では、制御部50は、吸着姿勢から求められる吸着ずれ量に基づいて回転角度を計算し、得られた回転角度のうちより小さい絶対値を有する回転角度だけ横長部品60を回転させる。
【0098】
このような構成によると、横長部品60の吸着姿勢が認識されている場合、吸着ずれ量に基づいて回転角度を計算し、より小さい絶対値を有する回転角度だけ横長部品60を回転させることで、最小限の回転により、横長部品60を側面撮像カメラ40の視野範囲内に収めることができる。
【0099】
実施形態1では、横長部品60は、正規の吸着姿勢でノズル34に吸着される第1面63と、第1面63と表裏関係にあって基板B側に配される第2面64と、第1面63及び第2面64に対して軸線Lの軸方向について非対称に配される特徴部(リード62)と、を備え、吸着状態検査処理では、制御部50は、撮像画像における特徴部の位置を認識することで、横長部品60の吸着姿勢の表裏判定を行う。
【0100】
このような構成によると、特徴部の位置を認識することで、横長部品60の吸着姿勢の表裏判定を行うことができる。
【0101】
実施形態1にかかる部品Pの吸着状態検査方法は、基板Bに部品Pを実装する部品実装装置10における部品Pの吸着状態検査方法であって、部品実装装置10は、部品Pを吸着するノズル34が軸線L上に装着された実装ヘッド32と、ノズル34を軸線Lの回りに回転させる回転機構と、ノズル34を軸線Lの軸方向と直交する撮像方向から撮像する側面撮像カメラ40と、を備え、部品Pが、その長手方向の寸法が側面撮像カメラ40の視野範囲よりも大きい横長部品60である場合に、部品Pの吸着検査方法は、回転機構によって横長部品60を吸着したノズル34を回転させることで、横長部品60の長手方向の両端部を側面撮像カメラ40の視野範囲内に収める角度調整工程と、側面撮像カメラ40によって横長部品60を撮像する撮像工程と、撮像工程により得られた撮像画像に基づいて横長部品60の吸着状態を検査する吸着状態検査工程と、を含む。
【0102】
実施形態1では、部品実装装置10は、部品データを記憶する記憶部54をさらに備え、角度調整工程では、側面撮像カメラ40の視野範囲の横幅Wsと、部品データに含まれる部品サイズと、に基づいて、横長部品60の長手方向の両端部を側面撮像カメラ40の視野範囲内に収めるために必要な回転角度を計算する。
【0103】
実施形態1では、横長部品60の吸着姿勢が不明である場合、角度調整工程では、部品データに含まれる最大吸着ずれ量に基づいて回転角度を計算し、得られた回転角度のうちより大きい絶対値を有する回転角度だけ横長部品60を回転させる。
【0104】
実施形態1では、横長部品60の吸着姿勢が認識されている場合、角度調整工程では、吸着姿勢から求められる吸着ずれ量に基づいて回転角度を計算し、得られた回転角度のうちより小さい絶対値を有する回転角度だけ横長部品60を回転させる。
【0105】
実施形態1では、横長部品60は、正規の吸着姿勢でノズル34に吸着される第1面63と、第1面63と表裏関係にあって基板B側に配される第2面64と、第1面63及び第2面64に対して軸線Lの軸方向について非対称に配される特徴部と、を備え、吸着状態検査工程では、撮像画像における特徴部の位置を認識することで、横長部品60の吸着姿勢の表裏判定を行う。
【0106】
<実施形態2>
本開示の実施形態2について、
図13及び
図14を参照しつつ説明する。なお、実施形態2の構成は、横長部品60の部品サイズが部品データに含まれない点を除いて実施形態1と同様であるため、重複する説明を省略する。
【0107】
本実施形態では、横長部品60の部品サイズが不明であるため、実施形態1のように部品サイズから回転角度を計算することができない。なお、横長部品60の部品サイズが不明である場合とは、例えば、部品データの格納前、生産プログラムを作成するために予備的に横長部品60の認識動作を行う場合等が想定される。
【0108】
本実施形態の角度調整処理では、
図14に示すように、制御部50は、横長部品60を予め設定した回転角度増分dθだけ回転させる処理(S110)と、横長部品60を側面撮像カメラ40により撮像し、テスト画像を取得する処理(S120)と、テスト画像に基づいて横長部品60が側面撮像カメラ40の視野範囲内に収まっているかを判定する処理(S130)と、を1セットとする段階的回転処理を1回以上行う。これにより、横長部品60が側面撮像カメラ40の視野範囲内に収まった状態となると、角度調整処理が終了する。換言すると、制御部50は、横長部品60が側面撮像カメラ40の視野範囲内に収まるまで、段階的回転処理を繰り返し実行する。回転角度増分dθは、例えば、10°程度に設定することができる。
【0109】
以下、
図13及び
図14を用いて本実施形態の角度調整処理について詳細に説明する。
図13(A)は横長部品60の初期の吸着姿勢、及び側面撮像カメラ40の視野範囲を示す平面図であり、
図13(B)は
図13(A)の状態における側面撮像カメラ40による撮像画像を示している。初期の状態では、横長部品60は側面撮像カメラ40の視野範囲内に収まっていない。
【0110】
制御部50は、横長部品60を側面撮像カメラ40の視野範囲内に収めるために、1回目の段階的回転処理を行う。
図13(C)に示すように、制御部50は、
図13(A)の状態から横長部品60を回転角度増分dθだけ回転させる(
図14のS110)。そして、制御部50は横長部品60を撮像し、
図13(D)のテスト画像を取得する(
図14のS120)。制御部50は、テスト画像のシルエットのエッジ検出等を行うことで、横長部品60の長手方向の両端部が側面撮像カメラ40の視野範囲内に入っていないと判断し(
図14のS130:No)、2回目の段階的回転処理(
図14のS110~130)に移行する。
【0111】
2回目の段階的回転処理では、
図13(E)に示すように、制御部50は、
図13(C)の状態から横長部品60を回転角度増分dθだけ回転させる(
図14のS110)。これにより、
図13(A)の状態からは横長部品60は2dθだけ回転した状態となる。そして、制御部50は横長部品60を撮像し、
図13(F)のテスト画像を取得する(
図14のS120)。制御部50は、テスト画像のシルエットのエッジ検出等を行うことで、横長部品60の長手方向の両端部が側面撮像カメラ40の視野範囲内に収まっていると判断し(
図14のS130:Yes)、角度調整処理が終了する。
【0112】
実施形態1では角度調整処理の終了後、撮像処理が行われ、側面撮像カメラ40の撮像画像が取得されたが、本実施形態では、角度調整処理の最後の段階的回転処理において、横長部品60が側面撮像カメラ40の視野範囲内に収まっているテスト画像を取得済みであるため、角度調整処理後の撮像処理は省略してもよい。この場合、続く吸着状態検査処理においては、最後に取得されたテスト画像に基づいて、横長部品60の吸着状態の検査を行うことができる。
【0113】
なお、本実施形態の角度調整処理は、横長部品60の部品サイズが部品データに含まれる場合でも適用することができる。
【0114】
[実施形態2の作用効果]
実施形態2では、角度調整処理では、制御部50は、予め設定された回転角度増分dθだけ横長部品60を回転させ、側面撮像カメラ40によって横長部品60を撮像することでテスト画像を取得し、テスト画像に基づいて横長部品60の長手方向の両端部が側面撮像カメラ40の視野範囲内に収まっているかを判定する段階的回転処理を1回以上行う。
【0115】
このような構成によると、部品データに部品サイズが含まれない場合でも、段階的に横長部品60を回転させる段階的回転処理を1回以上行うことで、横長部品60を側面撮像カメラ40の視野範囲内に収めることができる。
【0116】
実施形態2の部品Pの吸着状態検査方法において、角度調整工程では、予め設定された回転角度増分dθだけ横長部品60を回転させ、側面撮像カメラ40によって横長部品60を撮像することでテスト画像を取得し、テスト画像に基づいて横長部品60の長手方向の両端部が側面撮像カメラ40の視野範囲内に収まっているかを判定する段階的回転工程を1回以上行う。
【0117】
<実施形態3>
本開示の実施形態3について、
図15から
図17を参照しつつ説明する。なお、実施形態3の構成は、実施形態1と同様であるため、重複する説明を省略する。
【0118】
図15に示すように、実施形態3にかかる部品実装装置210において、第1照明41(近接部の一例)は、ノズル34に近接して配されている。このため、角度調整処理において横長部品60を回転させた場合に、横長部品60が第1照明41に干渉することが考えられる。
【0119】
本実施形態では、横長部品60と第1照明41との干渉を防止するために、角度調整処理において、横長部品60が第1照明41に干渉しないかを判定する処理(干渉判定処理)が設けられている。
図17に示すように、制御部50は、まず回転角度の計算を実行する(S210)。S210は、
図10においてはS20またはS40に対応している。すなわち、S210では、横長部品60の初期の吸着姿勢が不明である状態で回転角度の計算を行ってもよいし、横長部品60の初期の吸着姿勢がわかっている状態で回転角度の計算を行ってもよい。制御部50は、横長部品60を回転角度に回転させた場合に、横長部品60が第1照明41に干渉するか判定する(S220)。横長部品60が第1照明41に干渉しないと判定された場合(S220:No)、制御部50は横長部品60を回転角度に回転させる(S230)。S230は、
図10においてはS30またはS50に対応している。
【0120】
横長部品60が第1照明41に干渉すると判定された場合(S220:Yes)、制御部50は横長部品60を回転角度に回転させない(S240)。この場合、例えば、部品撮像カメラ43による撮像等、他の手法により横長部品60の吸着状態検査を行うことができる。
【0121】
以下、S220の干渉判定処理の詳細について説明する。制御部50は、実施形態1と同様に回転角度を計算し、その回転角度に回転させた場合の横長部品60の各頂点の位置を計算する。そして、各頂点の位置が第1照明41の配される領域と重なっていないかを判断する。例えば、
図16に示す場合、回転角度をθc(<0)とすると、回転後の横長部品60の第2頂点の座標(Yc2’,Yc2’)は以下のように表される。
【0122】
Xc2’=Xc2×cos(θc)-Yc2×sin(θc)・・・式(11)
Yc2’=Xc2×sin(θc)+Yc2×cos(θc)・・・式(12)
【0123】
他の頂点についても上記と同様にして回転後の座標を求めることができる。
図16に示す場合には、第1照明41にもっとも接近する第2頂点を含め、横長部品60のすべての頂点が第1照明41に干渉しないことが、計算結果から判断される。
【0124】
[実施形態3の作用効果]
実施形態3の部品実装装置210は、ノズル34に近接して配される近接部(第1照明41)をさらに備え、角度調整処理では、制御部50は、回転角度を計算した後、横長部品60を回転角度だけ回転させた場合に横長部品60が近接部に干渉するかを判定する干渉判定処理を行い、干渉判定処理の結果、横長部品60が近接部に干渉しないと判定された場合に、横長部品60を回転角度だけ回転させる。
【0125】
このような構成によると、横長部品60を回転させる際、横長部品60が近接部と干渉することを抑制することができる。したがって、横長部品60の落下や、横長部品60及び近接部の損傷を抑制することができる。
【0126】
実施形態3の部品Pの吸着状態検査方法において、部品実装装置210は、ノズル34に近接して配される近接部をさらに備え、角度調整工程では、回転角度を計算した後、横長部品60を回転角度だけ回転させた場合に横長部品60が近接部に干渉するかを判定する干渉判定工程を行い、干渉判定工程の結果、横長部品60が近接部に干渉しないと判定された場合に、横長部品60を回転角度だけ回転させる。
【0127】
<実施形態4>
本開示の実施形態4について、
図17を参照しつつ説明する。なお、実施形態4の構成は、横長部品60の部品サイズが部品データに含まれない点を除いて、実施形態3と同様であるため、重複する説明を省略する。
【0128】
本実施形態では、実施形態3と略同様の角度調整処理が行われる。ただし、横長部品60の部品サイズが部品データに含まれていないため、横長部品60の推定部品サイズに基づいて回転角度の計算や干渉の判定が行われる。横長部品60の推定部品サイズとは、例えば、横長部品60を供給するフィーダ13のサイズや種類等から推定される横長部品60の部品サイズである。
【0129】
制御部50は、推定部品サイズに基づいて、実施形態1と同様に回転角度を計算する(S210)。この計算においては、最大吸着ずれ量を適当に設定し、考慮してもよいし、吸着ずれはないものとして無視してもよい。制御部50は、横長部品60の推定部品サイズを用いて、この回転角度に回転させた場合の横長部品60の各頂点の推定座標を計算し、各頂点の推定座標が第1照明41の配される領域内にあるか判断することで、干渉判定処理を行う(S220)。以降のフロー(S230,S240)は、実施形態3と同じである。
【0130】
[実施形態4の作用効果]
実施形態4の部品実装装置は、ノズル34に近接して配される近接部(第1照明41)をさらに備え、角度調整処理では、制御部50は、側面撮像カメラ40の視野範囲の横幅Wsと、横長部品60の推定部品サイズと、に基づいて、横長部品60の長手方向の両端部を側面撮像カメラ40の視野範囲内に収めるために必要な回転角度を計算し、横長部品60を回転角度だけ回転させた場合に横長部品60が近接部に干渉するかを判定する干渉判定処理を行い、干渉判定処理の結果、横長部品60が近接部に干渉しないと判定された場合に、横長部品60を回転角度だけ回転させる。
【0131】
このような構成によると、部品データに部品サイズが含まれない場合でも、横長部品60の推定部品サイズを用いることで、横長部品60と近接部との干渉を抑制することができる。
【0132】
実施形態4の部品Pの吸着状態検査方法において、部品実装装置は、ノズル34に近接して配される近接部をさらに備え、角度調整工程では、側面撮像カメラ40の視野範囲の横幅Wsと、横長部品60の推定部品サイズと、に基づいて、横長部品60の長手方向の両端部を側面撮像カメラ40の視野範囲内に収めるために必要な回転角度を計算し、横長部品60を回転角度だけ回転させた場合に横長部品60が近接部に干渉するかを判定する干渉判定工程を行い、干渉判定工程の結果、横長部品60が前記近接部に干渉しないと判定された場合に、横長部品60を回転角度だけ回転させる。
【0133】
<他の実施形態>
(1)上記実施形態1では、横長部品60の特徴部としてリード62を例示したが、特徴部はリードとは異なる構成であってもよい。
(2)上記実施形態3,4では、第1照明41を近接部として例示したが、近接部は、例えば、各種カメラやレーザー変位計等であってもよい。
【符号の説明】
【0134】
10,210:部品実装装置
11:基台、12:部品供給部、13:フィーダ、14:搬送コンベア、15:搬送ベルト、16:部品供給テープ、16A:キャリアテープ、16B:トップテープ、16C:部品収納部、16D:係合孔、17:コンベア駆動モータ、20:駆動装置、21:X軸ビーム、22:Y軸フレーム、23:X軸サーボモータ、24:Y軸サーボモータ
30:ヘッドユニット、31:ヘッドユニット本体、32:実装ヘッド、33:シャフト、34:ノズル、35:Z軸サーボモータ、36:R軸サーボモータ(回転機構の一例)
40:側面撮像カメラ、41:第1照明(近接部の一例)、42:基板撮像カメラ、43:部品撮像カメラ
45:センサ類、46:アクチュエータ類、50:制御部、51:操作部、52:演算処理部、53:モータ制御部、54:記憶部、55:画像処理部、56:外部入出力部、57:通信部
60:横長部品
61:本体部、62:リード(特徴部の一例)、63:第1面、64:第2面
B:基板、D1,D2:突き出し量、L:軸線、P:部品、Hp:横長部品の短辺方向の寸法、Wp:横長部品の長辺方向の寸法、Ws:視野範囲の横幅、Xm:X方向の最大吸着ずれ量、Ym:Y方向の最大吸着ずれ量、θm:角度の最大吸着ずれ量、θa:第1回転角度、θb:第2回転角度、dθ:回転角度増分