(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024024779
(43)【公開日】2024-02-26
(54)【発明の名称】キャビテーション気泡生成体を用いたキャビテーション発生機構及びそのキャビテーション発生機構を備えたプラズマ発生装置
(51)【国際特許分類】
H05H 1/24 20060101AFI20240216BHJP
A61L 2/14 20060101ALI20240216BHJP
B01F 23/23 20220101ALI20240216BHJP
B01F 25/431 20220101ALI20240216BHJP
C02F 1/48 20230101ALI20240216BHJP
【FI】
H05H1/24
A61L2/14
B01F23/23
B01F25/431
C02F1/48 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022127655
(22)【出願日】2022-08-10
(71)【出願人】
【識別番号】513099603
【氏名又は名称】兵庫県公立大学法人
(71)【出願人】
【識別番号】515040704
【氏名又は名称】株式会社大日製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100141586
【弁理士】
【氏名又は名称】沖中 仁
(74)【代理人】
【識別番号】100102211
【弁理士】
【氏名又は名称】森 治
(72)【発明者】
【氏名】岡 好浩
(72)【発明者】
【氏名】木村 文義
(72)【発明者】
【氏名】橋本 智裕
【テーマコード(参考)】
2G084
4C058
4D061
4G035
【Fターム(参考)】
2G084AA25
2G084CC08
2G084CC21
2G084CC35
2G084DD12
2G084DD22
4C058AA01
4C058BB02
4C058KK06
4D061DA01
4D061DB09
4D061EA13
4D061EB01
4D061EB07
4D061EB27
4D061EB28
4D061EB29
4D061EB30
4D061EB31
4D061ED13
4G035AB04
4G035AB27
4G035AC11
4G035AE13
(57)【要約】
【課題】簡易な機構で、水にキャビテーションを効率よく起こさせ、それによって発生する水蒸気を主成分とする気泡を含む水中で、電極間にパルス電圧を印加することでプラズマを効率よく発生させることができるキャビテーション気泡生成体を用いたキャビテーション発生機構及びそのキャビテーション発生機構を備えたプラズマ発生装置を提供すること。
【解決手段】水の流路Wに対して直交する方向に設置された立体状物体からなり、この立体状物体の水の流路Wの上流側の面が平面形状をしてなるキャビテーション気泡生成体31を用いたキャビテーション発生機構3によって、流路Wを流動する水にキャビテーションを起こさせ、それによって発生する水蒸気を主成分とする気泡を含む水中で、電極41a、41b間にパルス電圧を印加するようにしたプラズマ発生装置4により、プラズマを発生させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水の流路にキャビテーション気泡生成体を設置したキャビテーション発生機構であって、前記キャビテーション気泡生成体が、水の流路に対して直交する方向に設置された立体状物体からなり、該立体状物体の水の流路の上流側の面が平面形状をしてなることを特徴とするキャビテーション気泡生成体を用いたキャビテーション発生機構。
【請求項2】
前記立体状物体が、柱状体からなることを特徴とする請求項1に記載のキャビテーション気泡生成体を用いたキャビテーション発生機構。
【請求項3】
前記キャビテーション気泡生成体の平面形状をした水の流路の上流側の面の面積が、円形断面の水の流路の面積の50%以上であることを特徴とする請求項1に記載のキャビテーション気泡生成体を用いたキャビテーション発生機構。
【請求項4】
請求項1、2又は3に記載のキャビテーション気泡生成体を用いたキャビテーション発生機構によって、流路を流動する水にキャビテーションを起こさせ、それによって発生する水蒸気を主成分とする気泡を含む水中で、電極間にパルス電圧を印加するようにしたプラズマ発生装置により、プラズマを発生させるようにしたことを特徴とするキャビテーション気泡生成体を用いたキャビテーション発生機構を備えたプラズマ発生装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャビテーション気泡生成体を用いたキャビテーション発生機構及びそのキャビテーション発生機構を備えたプラズマ発生装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
本件出願人は、先に、水にキャビテーションを起こさせ、それによって発生する水蒸気を主成分とする気泡を含む水中で、電極間にパルス電圧を印加するようにしたプラズマ発生装置によりプラズマを発生させることによって、静置状態で活性酸素種及びナノ粒子触媒を含有する水からなる殺菌用液体を生成することを提案した(特許文献1参照。)
【0003】
ところで、水にキャビテーションを起こさせるキャビテーション発生機構として、従来、回転翼により水を撹拌する方式や、絞り流路から水を噴射する方式や、水の流路に障害物を設置する方式が提案されている(例えば、特許文献2~3参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】WO2021/246439
【特許文献2】特開2017-176201号公報
【特許文献3】特開2015-3297号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、水にキャビテーションを起こさせるキャビテーション発生機構として、水の流路に障害物を設置する方式を改良することで、簡易な機構で、水にキャビテーションを効率よく起こさせ、それによって発生する水蒸気を主成分とする気泡を含む水中で、電極間にパルス電圧を印加することでプラズマを効率よく発生させることができるキャビテーション気泡生成体を用いたキャビテーション発生機構及びそのキャビテーション発生機構を備えたプラズマ発生装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明のキャビテーション気泡生成体を用いたキャビテーション発生機構は、水の流路にキャビテーション気泡生成体を設置したキャビテーション発生機構であって、前記キャビテーション気泡生成体が、水の流路に対して直交する方向に設置された立体状物体からなり、該立体状物体の水の流路の上流側の面が平面形状をしてなることを特徴とする。
ここで、「キャビテーション気泡生成体」は、水流中に気泡が全く存在しない環境下では、気泡を新たに生成する「生成体」として機能し、水流中に気泡が既に存在する環境下では、気泡を新たに生成する「生成体」及び既に存在する気泡を増加させたり、増大させたりする「促進体」として機能するものであり、両方の形態を含むものである。
【0007】
この場合において、前記立体状物体が、柱状体からなることができる。
【0008】
また、前記キャビテーション気泡生成体の平面形状をした水の流路の上流側の面の面積が、円形断面の水の流路の面積の50%以上であることができる。
【0009】
また、本発明のキャビテーション気泡生成体を用いたキャビテーション発生機構を備え
たプラズマ発生装置は、上記キャビテーション気泡生成体を用いたキャビテーション発生機構によって、流路を流動する水にキャビテーションを起こさせ、それによって発生する水蒸気を主成分とする気泡を含む水中で、電極間にパルス電圧を印加するようにしたプラズマ発生装置により、プラズマを発生させるようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明のキャビテーション気泡生成体を用いたキャビテーション発生機構及びそのキャビテーション発生機構を備えたプラズマ発生装置によれば、簡易な機構で、水にキャビテーションを効率よく起こさせ、それによって発生する水蒸気を主成分とする気泡を含む水中で、電極間にパルス電圧を印加することでプラズマを効率よく発生させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明のキャビテーション気泡生成体を用いたキャビテーション発生機構を備えたプラズマ発生装置の一実施例を示す概念図である。
【
図2】キャビテーション発生機構(試験条件(1))の説明図である。
【
図4】プラズマ発生装置内の気泡生成の様子を高速度カメラで撮影した写真である。
【
図5】キャビテーション発生機構(試験条件(2))の説明図と、各試料毎のプラズマ発生率を示す図である。
【
図6】キャビテーション発生機構(試験条件(3))の説明図と、各流出部からの位置毎のプラズマ発生率を示す図である。
【
図7】キャビテーション発生機構(試験条件(4))の説明図と、各試料毎のプラズマ発生率を示す図である。
【
図8】キャビテーション発生機構(試験条件(4))の説明図と、各試料毎のプラズマ発生率を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明のキャビテーション気泡生成体を用いたキャビテーション発生機構及びそのキャビテーション発生機構を備えたプラズマ発生装置の実施の形態を説明する。
【0013】
図1に、本発明のキャビテーション気泡生成体を用いたキャビテーション発生機構を備えたプラズマ発生装置の一実施例を示す。
この装置は、水を貯留するタンク1と、タンク1から供給される水に水流を生じさせるモータによって回転駆動されるロータ2と、ロータ2に連なる水の流路Wにキャビテーション気泡生成体31を設置したキャビテーション発生機構3と、キャビテーション発生機構3によって生成される水蒸気を主成分とする気泡(キャビテーション気泡)を含む水中で、電極41a、41b間にパルス電圧を印加してプラズマを発生させるようにしたプラズマ発生装置4と、これらの機構を接続して水を循環させる管路5とを備えて構成されている。
ところで、この装置の場合、キャビテーション気泡生成体31は、水流中にロータ2によって生成されたキャビテーション気泡が既に存在する環境下で、気泡を新たに生成する「生成体」及び既に存在する気泡を増加させたり、増大させたりする「促進体」として機能する。このほか、例えば、ロータ2が、キャビテーション気泡を生成する機能を有さず、水流のみを発生するものの場合は、水流中に気泡が全く存在しない環境下で、気泡を新たに生成する「生成体」として機能する。
【0014】
また、プラズマ発生装置4は、導体からなる電極41a、41bと、電極41a、41b間に、例えば、放電開始電圧以上の電圧、パルス幅1.5μs以下、繰り返し周波数1
00kHz以上のパルス電圧を印加するパルス電源42等を備えて構成され、絶縁性の気泡領域で、パルス電圧による高電圧絶縁破壊放電により気化物が電離(プラズマ化)して液中プラズマ(キャビテーションプラズマ。本明細書において、「CBP(Cavitation bubble plasma)」という場合がある。)を発生させるものである。
パルス電圧によって生起される放電形態は、グロー放電であることが好ましく、電極41a、41bの消耗成分に起因する金属や金属酸化物、液中プラズマによって生成される水に含まれる不純物に起因する硫化物、塩化物等の無機化合物等からなる、結晶、準結晶、アモルファス等の形態のナノ粒子触媒の合成を、低温で、かつ、エネルギ効率よく行うことができる。すなわち、ナノ粒子触媒は、電極41a、41bの成分のナノ粒子であり、電極が金属の場合、ナノ粒子ができた瞬間は金属ナノ粒子となり、金属の種類によって、そのナノ粒子が酸化されたり、水に塩素や硫黄が含まれているとナノ粒子が塩化されたり硫化されたりする(不純物に含まれる物質によってその物質との化合物になる場合がある。)。
このようにして生成されるナノ粒子触媒は、殺菌の用途に活用することができる(特許文献1参照。)。
電極41a、41bは、水の流れに対して直交方向に、対向させて配置することが好ましいが、プラズマが生成できる限りにおいて、ハの字等の配置形態を採用することができる。
電極41a、41bの材料には、タングステン、銅、鉄、銀、金、白金のほか、アルミニウム、スカンジウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、コバルト、ニッケル、亜鉛、ガリウム、ゲルマニウム、イットリウム、ジルコニウム、モリブデン、テクネチウム、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、カドミウム、インジウム、錫、アンチモン、ランタノイド、ハフニウム、タンタル、レニウム、オスミウム、イリジウム、タリウム、ビスマス、ポロニウム等の金属、カーボン、導電性ダイヤモンド、それらの合金や複合材料(メッキやドライコーティング等の手法で薄膜で被覆したものを含む。)や酸化物(電極41a、41bの表面が水と反応したものを含む。)等の導体材料を、用途に応じて、任意に選択することができる。対向させて配置する電極41a、41bで、金と銀など、用いる材料や電極サイズを異ならせることもできる。
なお、電極41a、41bの消耗成分に起因する金属や金属酸化物等のナノ粒子触媒は、ナノ粒子が凝集して二次粒子になっているものを含むほか、電極41a、41bの材料によっては、液中プラズマによってナノ粒子と同時に生成される過酸化水素(H2O2)等によって、最終的にそのほとんどが水に溶解してしまっている場合(例えば、タングステン。)があるが、本発明は、これを排除しないものとする。
電極41a、41bの形状は、円柱のほか、角柱、楕円柱、円錐、角錘であってもよい。電極41a、41bは、1対あれば問題ないが、より処理効率を上げるために2対以上設置してもよい。また、プラズマ発生装置4は1セットあれば問題ないが、より処理効率を上げるために2セット以上設置してもよい。
パルス電圧の極性は、両極性でも正極性でも負極性でもよい。
【実施例0015】
次に、この装置(具体的には、日本スピンドル製造社製「キャビテーションプラズマ装置」。)を使用して行ったキャビテーション発生機構のキャビテーション気泡生成体の機能試験について説明する。
【0016】
[装置の稼働条件について]
表1に、装置の稼働条件を示す。
【0017】
【0018】
ここで、装置の稼働条件は、以下のとおりとした。
・使用する水(溶液)には、試験の再現性をよくするために、導電率が100uS/cmの電解質が溶解した液体(本試験では、食塩水。)を使用した。これは、装置を稼働して、連続して複数のデータを取得すると、プラズマの生成に合わせて、溶液の導電率が上昇するため、例えば、導電率が2uS/cm以下と極めて小さいイオン交換水を使用すると、導電率のわずかな上昇でもその影響を無視できなくなる。電極間の電圧は電源の出力インピーダンスと負荷のインピーダンス(溶液の導電率)の関係で決まることから、本試験では、試験中に電極間に印加される電圧の変動を抑制するために導電率100uS/cmの食塩水を使用した。
・モータ撹拌装置の回転数が7200rpmの場合、1秒間に260mLの水が装置内を1回循環するようにされている。
【0019】
[キャビテーション気泡生成体の機能試験]
次に、以下の試験条件で、キャビテーション気泡生成体の機能試験を行った。
【0020】
(1)キャビテーション発生機構(試験条件(1))
図1~
図2に示すように、ロータ2に連なる管路5に、水の流路Wにキャビテーション気泡生成体31を設置したキャビテーション発生機構3を装着するようにした。
キャビテーション気泡生成体31を装着する水の流路Wの径は、φ10mmからφ6.2mmに絞った形状とし、流出部からL:1.4mmの位置に、立体状物体からなるキャビテーション気泡生成体31を、水の流路Wに対して直交する方向(径方向)に設置し、キャビテーション気泡生成体31を通過した水を、流出部から流路の断面積が急拡大する電極41a、41bを配設したプラズマ発生装置4内に導入するようにした。
立体状物体からなるキャビテーション気泡生成体31には、試料として、具体的には、柱状体、より具体的には、角柱、円柱、三角柱、逆三角柱及び六角柱で、水の流路Wに対して直交する方向の寸法が3mmのものを用いた。
【0021】
図3に各試料毎のプラズマ発生率(印加したパルス数に対するプラズマが生成したパルス数の割合。以下、同じ。)を、
図4にプラズマ発生装置内の気泡生成の様子を高速度カメラで撮影した写真を示す。
ここで、プラズマ発生率は、電極間に存在する気泡の量と電極間電圧に依存するため、気泡の量を直接測定することに代えて、プラズマ発生率で気泡の発生量を間接的に測定するようにしている。
【0022】
(2)キャビテーション発生機構(試験条件(2))
図5に示すように、キャビテーション気泡生成体31を装着する水の流路Wの径はφ6.2mmで、流出部からL:1.4mmの位置に、角柱及び円柱(水の流路Wに対して直交する方向の寸法:2mm及び3mm)からなるキャビテーション気泡生成体31を、水の流路Wに対して直交する方向に設置するようにした。
図5に各試料毎のプラズマ発生率を示す。
【0023】
(3)キャビテーション発生機構(試験条件(3))
図6に示すように、キャビテーション気泡生成体31を装着する水の流路Wの径はφ6.2mmで、流出部からL:1.4~22.0mmの位置に、角柱(水の流路Wに対して直交する方向の寸法:3mm)からなるキャビテーション気泡生成体31を、水の流路Wに対して直交する方向に設置するようにした。
図6に各流出部からの位置(L:1.4~22.0mm)毎のプラズマ発生率を示す。
【0024】
(4)キャビテーション発生機構(試験条件(4))
図7に示すように、キャビテーション気泡生成体31を装着する水の流路Wの径はφ6.2mmで、流出部からL:1.4mmの位置に、角柱(水の流路Wに対して直交する方向の寸法:3mm、非多孔質素材及び多孔質素材(濾過径100μmの金属焼結フィルタ))からなるキャビテーション気泡生成体31を、水の流路Wに対して直交する方向に設置するようにした。
図7に各試料毎のプラズマ発生率を示す。
【0025】
(5)キャビテーション発生機構(試験条件(5))
図8に示すように、キャビテーション気泡生成体31を装着する水の流路Wの径はφ6.2mmで、流出部からL:1.4mmの位置に、角柱(水の流路Wに対して直交する方向の寸法:3mm、背面に種々の角度の凹みを形成)からなるキャビテーション気泡生成体31を、水の流路Wに対して直交する方向に設置するようにした。
図8に各試料毎のプラズマ発生率を示す。
【0026】
試験条件(1)~(5)の結果から、以下のことが分かった。
・プラズマ発生率は、角柱及び三角柱の試料が高く、円柱、逆三角柱及び六角柱の試料が低い(試験条件(1)、
図3及び
図4)。このことから、プラズマ発生率を高めるためには、水の流路Wに対して直交する方向に設置された柱状体の水の流路の上流側の面が平面形状(のみ)である(円柱のように曲面や逆三角柱及び六角柱のように傾斜面を有していない。)ことが重要であることが分かった。ここで、立体状物体からなるキャビテーション気泡生成体31の形状は、水の流路Wに対して直交する方向に設置されたキャビテーション気泡生成体31の水の流路の上流側の面が平面形状(のみ)である限り、柱状体に限定されず、例えば、平面形状が十字形状、星形状、格子形状、中心点から放射状に伸びる数本の線分で構成される形状(アスタリスク形状)、同アスタリスク形状の中心が円形や多角形の形状等でも同等の効果が得られると考えられ、これらを排除しないものとする。・プラズマ発生率を高めるためには、同じ角柱の試料でも、ある一定の大きさが必要である(試験条件(2)、
図5)。具体的には、キャビテーション気泡生成体31の平面形状をした水の流路の上流側の面の幅寸法が、円形断面の水の流路Wの直径の40%以上(3
2%(一辺2mmの角柱)では不可。)、好ましくは、45%以上(本実施例(一辺3mmの角柱)においては、48%。)、換言すれば、キャビテーション気泡生成体31の平面形状をした水の流路の上流側の面の面積が、円形断面の水の流路Wの面積の50%以上(41%(一辺2mmの角柱)では不可。)、好ましくは、55%以上(本実施例(一辺3mmの角柱)においては、62%。)であることが重要であることが分かった。ここで、水の流量:1m
3/hから算出した水の流路Wの流速は、本実施例(一辺3mmの角柱)のキャビテーション気泡生成体31の前後の位置で9.2m/s、キャビテーション気泡生成体31の位置で24.0m/sと、高い流速になっている。
・キャビテーション気泡生成体31を装着する流出部からの位置(L:1.4~22.0mm)は、プラズマ発生率にほとんど影響しない(試験条件(3)、
図6)。
・キャビテーション気泡生成体31の表面状態(非多孔質素材及び多孔質素材(濾過径100μmの金属焼結フィルタ))は、プラズマ発生率にほとんど影響しない(試験条件(4)、
図7)。
・キャビテーション気泡生成体31の背面形状は、プラズマ発生率にほとんど影響しない(試験条件(5)、
図8)。
【0027】
以上、本発明のキャビテーション気泡生成体を用いたキャビテーション発生機構及びそのキャビテーション発生機構を備えたプラズマ発生装置について、その実施の形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができるものである。
本発明のキャビテーション気泡生成体を用いたキャビテーション発生機構及びそのキャビテーション発生機構を備えたプラズマ発生装置は、簡易な機構で、水にキャビテーションを効率よく起こさせ、それによって発生する水蒸気を主成分とする気泡を含む水中で、電極間にパルス電圧を印加することでプラズマを効率よく発生させることができることから、適用方法や適用対象に制約がなく、プラズマ発生装置の用途、例えば、粉体の分散、ナノ粒子の合成、有機物の分解、種々の植物病原菌(ウイルス、細菌、真菌、原虫等を含む。)等の微生物の殺菌(野菜類、花卉類、果樹類等の収穫後の農産物に発生する貯蔵病害等の予防を含む。)の用途等に広く利用することができる。