(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024024800
(43)【公開日】2024-02-26
(54)【発明の名称】空気分離装置
(51)【国際特許分類】
F25J 3/08 20060101AFI20240216BHJP
F25J 3/04 20060101ALI20240216BHJP
【FI】
F25J3/08
F25J3/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022127698
(22)【出願日】2022-08-10
(71)【出願人】
【識別番号】000109428
【氏名又は名称】日本エア・リキード合同会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】金田 拓也
【テーマコード(参考)】
4D047
【Fターム(参考)】
4D047AA08
4D047BB03
4D047BB07
4D047BB09
4D047DA04
(57)【要約】 (修正有)
【課題】圧力差が小さい2種類のガスを再生ガスとする場合でも、再生ガス配管内の圧力変動時にプロセスバランスに影響無くオペレータの介入も無い、窒素廃ガスの流量を調整できる空気分離装置を提供する。
【解決手段】空気分離装置は、第一廃ガス配管L22の第一廃ガス制御弁V7と、第一廃ガス配管のガス流量測定値が設定値となるように、第一廃ガス制御弁を調整する第一廃ガス流量制御部F7と、第二廃ガス配管L23の第二廃ガス制御弁V71と、再生ガス配管L20のガス流量測定値と再生ガス流量設定値とに基づく第一出力値を出力する再生ガス流量制御部F8と、再生ガス流量設定値から第一廃ガス流量設定値を引いた値を第二廃ガス流量の目標値とし、再生ガス流量制御部の測定値から第一流量制御部の測定値を引いた値に基づく第二出力値と第一出力値とを比較し、低い値に基づき、第二廃ガス制御弁を制御し第二廃ガス流量を調整する制御部80とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
予備精製部(50)で再生プロセスを行うための再生ガスを送り込む空気分離装置(100)であって、
前記予備精製部(50)で処理された原料空気が送られる主熱交換器(1)より下流側の第一廃ガス配管(L22)に設けられ、弁開度が調整される第一廃ガス制御弁(V7)と、
前記主熱交換器(1)より下流側の第一廃ガス配管(L22)のガス流量を測定し、測定された測定値(F7_pv)が予め設定される第一廃ガス流量設定値(F7_sv)となるように、前記第一廃ガス制御弁(V7)の弁開度を調整する第一廃ガス流量制御部(F7)と、
前記主熱交換器(1)より下流側の第二廃ガス配管(L23)に設けられ、弁開度が調整される第二廃ガス制御弁(V71)と、
再生ガスが流通するための再生ガス配管(L20)のガス流量を測定し、測定された測定値(F8_pv)と予め設定される再生ガス流量設定値(F8_sv)とに基づく第一出力値(mv1)を出力する、再生ガス流量制御部(F8)と、
前記再生ガス流量の流量設定値(F8_sv)から前記第一流量測定部F7の第一廃ガス流量設定値(F7_sv)を引いた値(F8_sv-F7_sv)を第二廃ガスの流量の目標設定値(80_sv)とし、前記再生ガス流量制御部(F8)の測定値(F8_pv)から前記第一流量制御部(F7)の測定値(F7_pv)を引いた値(F8_pv-F7_pv)に基づく第二出力値(mv2)と、前記第一出力値(mv1)とを比較し、低い方の値に基づいて、前記第二廃ガス制御弁(V71)の弁開度を制御し第二廃ガス流量を調整する制御部(80)と、を備える、空気分離装置。
【請求項2】
前記第一廃ガスの圧力は、第二廃ガスの圧力よりも高く、第一廃ガスが主に再生ガスとして利用されるように流量調整されている、請求項1に記載の空気分離装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気分離装置に関する。
【背景技術】
【0002】
空気分離装置に供給される原料空気は、予め圧縮および冷却され、予備精製(除炭除湿)後に、熱交換器を通過し精留塔へ供給される(例えば、特許文献1および2など参照)。この圧縮原料空気の予備精製装置では、原料空気を空気分装置へ送る際に原料空気を吸着剤で精製するための吸着プロセスと、空気分離装置から送られる廃ガスを利用して吸着剤の再生を行う再生プロセスが行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平08-86564号公報
【特許文献2】特開2003-106763号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
空気分離装置から送られる廃ガスとして窒素ガスの配管ラインと酸素ガス配管ラインがある場合に、予備精製装置へ送る前にそれら配管が合流する。この配管の合流ポイントにおいて、窒素ガスの圧力と酸素ガスの圧力が異なっていると、低圧側の流れが悪くなることが懸念される。上記配管に差圧式の流量計が設けられている際には、その配管側の圧力が低下し両者の差圧が小さくなる場合もある。
また、予備精製装置において通常運転および加圧フェーズが開始されている間、再生用の廃ガスはベントされる。この期間では、配管内圧力が上がり、一方の廃ガスの差圧は低くなり、弁開度は増加して流量を維持する。同時に、他方の廃ガスの流量を維持するために弁開度を増加する。しかし、弁を開いても圧力不足のため一方の廃ガスが供給されない場合があり、この場合、オペレータによる介入が必要となり、両方の弁開度を調整して正常となるように復帰させる必要があった。また、一方の廃ガスが多く流れることで空気分離装置のプロセスバランスに影響が生じる。
【0005】
本開示は、圧力差が小さい2種類のガスを再生ガスとして利用する場合でも、再生ガス配管内の圧力変動時において、空気分離装置のプロセスバランスに影響を与えることなく、かつオペレータの介入も無く、窒素廃ガスの流量を調整できる空気分離装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の空気分離装置(100)は、予備精製部(50)で再生プロセスを行うための再生ガスを送り込む空気分離装置(100)であって、
前記予備精製部(50)で処理された原料空気が送られる主熱交換器(1)より下流側の第一廃ガス配管(L22)に設けられ、弁開度が調整される第一廃ガス制御弁(V7)と、
前記主熱交換器(1)より下流側の第一廃ガス配管(L22)のガス流量を測定し、測定された測定値(F7_pv)が予め設定される第一廃ガス流量設定値(F7_sv)となるように、前記第一廃ガス制御弁(V7)の弁開度を調整する第一廃ガス流量制御部(F7)と、
前記主熱交換器(1)より下流側の第二廃ガス配管(L23)に設けられ、弁開度が調整される第二廃ガス制御弁(V71)と、
再生ガスが流通するための再生ガス配管(L20)のガス流量を測定し、測定された測定値(F8_pv)と予め設定される再生ガス流量設定値(F8_sv)とに基づく第一出力値(mv1)を出力する、再生ガス流量制御部(F8)と、
前記再生ガス流量の流量設定値(F8_sv)から前記第一流量測定部F7の第一廃ガス流量設定値(F7_sv)を引いた値(F8_sv-F7_sv)を第二廃ガスの流量の目標設定値(80_sv)とし、前記再生ガス流量制御部(F8)の測定値(F8_pv)から前記第一流量制御部(F7)の測定値(F7_pv)を引いた値(F8_pv-F7_pv)に基づく第二出力値(mv2)と、前記第一出力値(mv1)とを比較し、低い方の値に基づいて、前記第二廃ガス制御弁(V71)の弁開度を制御し第二廃ガス流量を調整する制御部(80)と、を備える。
これにより、前記第二廃ガス制御弁(V71)の弁開度は通常時も加圧フェーズ中もほとんど変化ない位置とできる。
【0007】
前記第一廃ガスの圧力は、第二廃ガスの圧力よりも高く、第一廃ガスが主に再生ガスとして利用されるように流量調整されている。第一廃ガスは、例えば酸素富化ガス(GOX)であり、第二廃ガスは、例えば窒素廃ガスである。再生ガス中の第一廃ガスと第二廃ガスの配合比は、例えば、7~9:3~1となるように、第一、第二廃ガス制御弁(V7、V71)で流量制御される。制御部(80)により、第二廃ガスが第一廃ガスよりも異常に多く流れるようなことがないように制御される。
流量の設定値(sv)と測定値(pv)から開度の制御量として出力値(mv)が演算され、この出力値(mv)に基づいて弁開度が調整される。
【0008】
前記空気分離装置(100)は、
原料空気を圧縮する圧縮機(C1)と、
前記圧縮機(C1)で圧縮された原料空気(圧縮空気)を冷却する冷凍機(R1)と、
前記冷凍機(R1)で冷却された原料空気(冷却圧縮空気)を予備精製(例えば、二酸化炭素および/または水分を除去)する予備精製部(50)と、
前記予備精製部(50)で予備精製された原料空気(予備精製原料空気)を導入し熱交換する主熱交換器(1)と、
前記主熱交換器(1)から導出される原料空気が配管(L20)を介して供給されて、当該原料空気から製品窒素(高純度窒素)を精留塔(2)と、を備えていてもよい。
【0009】
精留塔2の中圧精留部から酸素富化ガス(GOX)が導出され、第一廃ガス配管(L22)を介して、前記主熱交換器(1)を通過し、再生ガスとして利用可能であり、また製品酸素ガスとして取り出してもよく、大気放出されてもよい。
前記精留塔(2)の低圧精留部から窒素廃ガスが導出され、第二廃ガス配管(L23)を介して、前記主熱交換器(1)を通過し、再生ガスとして利用可能であり、大気放出されてもよい。
前記第一廃ガス配管(L22)と第二廃ガス配管(L23)は、合流点Mで合流し、再生ガス配管(L20)を介して再生ガスとして前記予備精製部(50)へ送られてもよい。
前記空気分離装置(100)は、粗アルゴン塔、高純度精製アルゴン塔、別の熱交換器などをさらに有していてもよい。
【0010】
(作用効果)
(1)圧力差が小さい2種類のガスを再生ガスとして利用する場合でも、再生ガス配管内の圧力変動時において、空気分離装置のプロセスバランスに影響を与えることがない。
(2)オペレータの介入も無く、窒素廃ガスの流量を調整できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に本発明のいくつかの実施形態について説明する。以下に説明する実施形態は、本発明の一例を説明するものである。本発明は以下の実施形態になんら限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において実施される各種の変形形態も含む。なお、以下で説明される構成の全てが本発明の必須の構成であるとは限らない。ガスの流れ方向に基づいて上流および下流が設定されている。
【0013】
(実施形態1)
実施形態1の空気分離装置100について
図1を用いて説明する。
原料空気(Feed Air)は、経路(配管)L10上の濾過手段301、触媒塔302を通過し、空気中の異物、固形物が除去される。経路L10に設けられた圧縮機C1で圧縮された圧縮原料空気は、冷凍機R1で所定の温度に冷却される。
【0014】
(予備精製部)
予備精製部50は、第一吸着塔A1と、第一吸着塔A1と並置される第二吸着塔A2を備える。一方の吸着塔で吸着処理が実行され、他方の吸着塔で再生処理が実行され、吸着処理と再生処理が交互に実行される。
まず、吸着処理について説明する。原料空気を吸着塔へ導入するための経路L10は、第一吸着塔A1へ接続される第一分岐導入経路L101と、第二吸着塔A2へ接続される第二分岐導入経路L102とに分岐し、第一分岐導入経路L101には第一入口弁V11が、第二分岐導入経路L102には第二入口弁V12がそれぞれ設けられる。第一吸着塔A1で吸着処理をさせる場合には、第一入口弁V11を開け、第二入口弁V12を閉じる。第二吸着塔A2で吸着処理をさせる場合には、第一入口弁V11を閉じ、第二入口弁V12を開ける。
第一吸着塔A1の出口側の第一分岐導出経路L101には、第一出口弁V21が、第二吸着塔A2の出口側の第二分岐導出経路L102には、第二出口弁V22がそれぞれ設けられる。第一吸着塔A1で吸着処理をさせる場合には、第一出口弁V21を開け、第二出口弁V22を閉じる。第二吸着塔A2で吸着処理をさせる場合には、第一出口弁V21を閉じ、第二出口弁V22を開ける。
図1において、第一分岐導出経路L101と第二分岐導出経路L102は合流し経路L10となる。
第一吸着塔A1または第二吸着塔A2で予備精製処理された原料空気は、経路L10を通じて下流の主熱交換器1へ導入される。
【0015】
次いで、再生処理について説明する。酸素富化ガスは第一廃ガス配管L22を介して主熱交換器1を通過し、窒素廃ガスは第二廃ガス配管L23を介して主熱交換器1を通過し、合流点Mで合流し再生ガスとなり、再生ガス配管L20を介して予備精製部50へ導入される。
第一廃ガスである酸素富化ガスの圧力は、第二廃ガスである窒素廃ガスの圧力よりも高く、酸素富化ガスが主に再生ガスとして利用されるように流量調整されている。
【0016】
再生ガス配管L20は、第一吸着塔A1へ接続される第一分岐導入経路と、第二吸着塔A2へ接続される第二分岐導入経路とに分岐し、第一分岐導入経路には第一廃ガス入口弁V31が、第二分岐導入経路には第二廃ガス入口弁V32がそれぞれ設けられる。第一吸着塔A1で再生処理をさせる場合には、第一廃ガス入口弁V31を開け、第二廃ガス入口弁V32を閉じる。第二吸着塔A2で吸着処理をさせる場合には、第一廃ガス入口弁V31を閉じ、第二廃ガス入口弁V32を開ける。
第一吸着塔A1の廃ガス出口側の第一分岐導出経路には、第一廃ガス出口弁V41が、第二吸着塔A2の廃ガス出口側の第二分岐導出経路には、第二廃ガス出口弁V42がそれぞれ設けられる。第一吸着塔A1で再生処理をさせる場合には、第一廃ガス出口弁V41を開け、第二廃ガス出口弁V42を閉じる。第二吸着塔A2で再生処理をさせる場合には、第一廃ガス出口弁V41を閉じ、第二廃ガス出口弁V42を開ける。
図1において、第一分岐導出経路と第二分岐導出経路は合流し経路L20となり、例えば大気放出される。
【0017】
(精製塔の構成)
空気分離装置100は、主熱交換器1と、主熱交換器1を通過した原料空気が配管L10を介して導入される精留塔2を備える。
【0018】
前記精留塔2は、低圧精留部と中圧精留部の2つに分離されていてもよい。低圧精留部の塔頂あるいは中圧精留部の塔頂から窒素富化ガスが導出され、配管L24を介して、主熱交換器1を通過した後で取り出されてもよい。中圧精留部はその塔頂部から導出される精留物を凝縮する1つ以上の窒素凝縮器を備えていてもよい。中圧精留部の塔底部から導出される酸素富化液が低圧精留部へ導入されてもよい。
再生ガス配管L23から分岐し、再生ガスを大気放出するベント90が設けられていてもよい。第二廃ガス配管L23から分岐し、第二廃ガスを大気放出するベント90が設けられていてもよい。
【0019】
第一廃ガス制御弁V7は、主熱交換器1より下流側の第一廃ガス配管L22に設けられる。
第一流量制御部F7は、主熱交換器1より下流側の第一廃ガス配管L22のガス流量を測定し、測定された測定値(F7_pv)が予め設定される第一廃ガス流量設定値(F7_sv)となるように、第一廃ガス制御弁V7の弁開度を調整する。
第二廃ガス制御弁V71は、主熱交換器1より下流側の第二廃ガス配管L23に設けられる。第二廃ガス制御弁V71の弁開度は、2つの制御部によって調整される。
再生ガス中の第一廃ガス流量設定値(F7_sv)と第二廃ガス流量設定値(F71_sv)の配合比は、例えば、7~9:3~1でもよい。第一、第二廃ガス制御弁V7、V71は、この配合比となるように流量制御される。通常運転時は、9:1で流量制御されてもよい。
【0020】
再生ガス流量制御部F8は、合流点Mより下流の再生ガス配管L20に設けられる。再生ガス流量制御部F8は、再生ガスが流通するための再生ガス配管L20のガス流量を測定する。再生ガス配管L20のガス流量は、第一廃ガスと第二廃ガスの総量である。例えば、第一廃ガスが「9」で第二廃ガスが「1」のとき再生ガスは「10」となる。第一廃ガス流量は、第一廃ガス流量設定値を維持するように制御され、第二廃ガス流量は、第二廃ガス流量設定値を維持するように制御される。再生ガス流量制御部F8は、測定された測定値(F8_pv)と予め設定される再生ガス流量設定値(F8_sv)とに基づく第一出力値(mv1)を制御部80へ出力する。
【0021】
従来において加圧フェーズでは、第一廃ガス制御弁V7が設定値「9」を保つために弁開度は開くが、一方で再生ガス流量の設定値「10」を保つために、第二廃ガス制御弁V71も開くため、両方の制御弁V7とV71の2次側(弁の下流側)の圧力が上がり、このときそれよりも圧力の低い第一廃ガスが流れなくなる(第一流量測定部F7の測定値F7_pvが設定値(F7_sv)より小さくなる)。これにより、再生ガス量も小さくなり、つまり再生ガス流量測定部F8の測定(F8_pv)はさらに下がるため、第二廃ガス制御弁V71をさらに開こうとする。
本実施形態では、制御部80は、再生ガス流量の流量設定値(F8_sv)から第一流量測定部F7の第一廃ガス流量設定値(F7_sv)を引いた値(F8_sv-F7_sv)を第二廃ガスの流量の目標設定値(80_sv)とする。引いた値(F8_sv-F7_sv)から所定値(第二廃ガス流量設定値の5から15%程度)をさらに引いて目標設定値(80_sv)に設定してもよい。
制御部80は、再生ガス流量制御部F8の測定値(F8_pv)から第一流量制御部F7の測定値(F7_pv)を引いた値(F8_pv-F7_pv)に基づく第二出力値(mv2)を算出する。
制御部80は、再生ガス流量制御部F8から送られた第一出力値(mv1)と第二出力値(mv2)を比較し、低い方の値に基づいて、第二廃ガス制御弁V71の弁開度を制御する。
これにより、第二廃ガス(窒素廃ガス)が第一廃ガス(酸素富化ガス)よりも急激に多く流れることがなく、酸素富化ガスを多く流すようにする。
【0022】
(実施例)
(1)各廃ガスの流量設定
酸素富化ガスの流量設定値(F7_sv) :9
窒素廃ガスの流量設定値(F71_sv) :1
再生ガスの流量設定値(F8_sv) :10
(2)各廃ガスの流量測定値
酸素富化ガスの流量測定値(F7_pv) :9を基準に上下変動
窒素廃ガスの流量測定値(F71_pv) :1を基準に上下変動
再生ガスの流量測定値(F8_pv) :10を基準に上下変動
(3)各廃ガスの圧力
酸素富化ガスの圧力(1)に対する窒素廃ガスの圧力は、1.05~1.2倍程度で運転する。各圧力は空気分離装置の運転圧力および配管に設けられる差圧式流量計の数などで決定される。
(4)予備精製装置において通常運転および加圧フェーズの開始し、再生ガスがベント放出される間の流量制御
再生ガス流量の流量設定値(F8_sv=10)から第一流量制御部F7の第一廃ガス流量設定値(F7_sv=9)を引いた値(F8_sv-F7_sv=10-9=1)を第二廃ガスの流量の目標設定値(80_sv)に設定する。
第一廃ガスは流れにくくなるので、「9」より小さくなる。そのため、再生ガス流量制御部F8の測定値(F8_pv=10)から第一流量制御部F7の測定値(F7_pv<9)を引いた値(F8_pv-F7_pv)は「1」より大きい値となる。例えば、「2」など。上記で設定された第二廃ガス流量設定値(F71_sv=1)と比較すると、上記引いた値(F8_pv-F7_pv)の方が大きいため弁開度を小さくする値(-1)を第二出力値(mv2)とする。
再生ガス流量制御部F8から送られる第一出力値(mv1)は、設定値(F8_pv)と測定値(F8_pv)を比較して算出される。設定値(F8_sv)>測定値(F8_pv)のときその差に対応した弁開度を大きくするための値(+1以上)を第一出力値(mv1)とし、設定値(F8_sv)<測定値(F8_pv)のときその差に対応した弁開度を小さくするための値(-1以下)を第一出力値(mv1)とする。設定値(F8_sv)=測定値(F8_pv)ときは開度を維持する出力値(0)となる。
第一出力値(mv1)と第二出力値(mv2)を比較し、低い方の値に基づいて、第二廃ガス制御弁V71の弁開度を制御する。
【0023】
(例1)
第一出力値(mv1):0
第二出力値(mv2):-1
低い方の値 :-1
第二廃ガス制御弁V71の弁開度:現開度より小さくする
これによって、第二廃ガス制御弁V71の弁開度は、通常時も加圧フェーズ中もほとんど変化ない位置で維持され、第二廃ガスが急激に流れることがなく、第一廃ガスの流量も維持される。
【符号の説明】
【0024】
1 主熱交換器
2 精留塔
50 予備精製部
80 制御部
F7 第一流量測定部
F8 再生ガス流量測定部
V7 第一廃ガス制御弁
V71 第二廃ガス制御弁