(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024024817
(43)【公開日】2024-02-26
(54)【発明の名称】記録装置、及び媒体製造システム
(51)【国際特許分類】
B41J 29/38 20060101AFI20240216BHJP
B65H 31/38 20060101ALI20240216BHJP
B65H 1/12 20060101ALI20240216BHJP
B41J 29/00 20060101ALI20240216BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20240216BHJP
【FI】
B41J29/38 204
B65H31/38
B65H1/12 310A
B41J29/00 B
G03G21/00 370
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022127729
(22)【出願日】2022-08-10
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】前田 陸
【テーマコード(参考)】
2C061
2H270
3F054
3F343
【Fターム(参考)】
2C061AQ05
2C061AS02
2C061BB02
2C061CF01
2C061HH03
2C061HJ10
2C061HK11
2C061HK19
2H270KA56
2H270LC02
2H270LC05
2H270LC10
2H270LC16
2H270LD14
2H270MB07
2H270MB25
2H270MB27
2H270MC58
2H270ZC03
2H270ZC04
2H270ZD00
3F054AA01
3F054AC01
3F054BA01
3F054BG11
3F054BH07
3F054BH08
3F054BH13
3F054BH14
3F343FA02
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3F343LA04
3F343LC11
3F343LC14
3F343MA04
3F343MB04
3F343MC21
(57)【要約】
【課題】ユーザーが用紙を補充する手間を削減しつつ、必要以上に大型化することを抑制可能な記録装置、及び媒体製造システムを提供する。
【解決手段】プリンター100は、用紙Pを製造する媒体製造装置によって製造された用紙Pに記録可能であって、用紙Pに記録を行う記録部110と、記録部110によって記録される前の用紙Pを収容する用紙カセット103と、媒体製造装置によって製造された用紙Pが用紙カセット103に搬送されるとともに、用紙カセット103に収容された用紙Pが記録部110に搬送される搬送経路120と、を有する。そして、用紙カセット103には、媒体製造装置によって製造された用紙Pが、用紙カセット103の内部に導入される導入部190が形成されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体を製造する媒体製造装置によって製造された媒体に記録可能な記録装置であって、
媒体に記録を行う記録部と、
前記記録部によって記録される前の媒体を収容する収容部と、
前記媒体製造装置によって製造された媒体が前記収容部に搬送されるとともに、前記収容部に収容された媒体が前記記録部に搬送される搬送経路と、
を有し、
前記収容部には、前記媒体製造装置によって製造された媒体が、前記収容部の内部に導入される導入部が形成されている、
ことを特徴とする記録装置。
【請求項2】
前記導入部は、前記収容部に対して、媒体が前記収容部から前記搬送経路へ給送される第1方向に位置し、
前記媒体製造装置によって製造された媒体は、前記第1方向と反対の第2方向に搬送され、前記収容部に導入される、
ことを特徴とする、請求項1に記載の記録装置。
【請求項3】
前記搬送経路は、
前記収容部から前記記録部に媒体が搬送される第1搬送経路と、
前記媒体製造装置によって製造された媒体が、前記導入部を介して前記収容部に搬送される第2搬送経路と、
を有し、
前記第1搬送経路及び前記第2搬送経路は、前記収容部から前記記録部に搬送される媒体と、前記媒体製造装置によって製造され、前記収容部に導入される媒体との双方が搬送される第1搬送領域を有する、
ことを特徴とする、請求項2に記載の記録装置。
【請求項4】
前記第1搬送領域には、給送ローラーが設けられ、
前記給送ローラーは、
正転することによって、前記収容部に収容された媒体のうち、最上位の媒体を給送し、
逆転することによって、前記媒体製造装置によって製造された媒体を前記収容部に導入する、
ことを特徴とする、請求項3に記載の記録装置。
【請求項5】
前記導入部は、前記収容部に対して、媒体が前記収容部から前記搬送経路へ給送される第1方向と反対の、第2方向に位置し、
前記媒体製造装置によって製造された媒体は、前記第1方向に搬送され、前記収容部に導入される、
ことを特徴とする、請求項1に記載の記録装置。
【請求項6】
前記搬送経路は、前記収容部から前記記録部に媒体が搬送される第1搬送経路を有し、
前記第1搬送経路には、前記収容部に収容された媒体のうち、最上位の媒体を給送する給送ローラーが設けられ、
前記給送ローラーは、前記収容部に導入された媒体を前記収容部の内部において前記第1方向に移動可能である、
ことを特徴とする、請求項5に記載の記録装置。
【請求項7】
前記収容部は、前記収容部に収容された媒体の少なくとも一辺を規制する規制部を有し、
前記規制部は、前記収容部に収容された媒体に沿った方向において、媒体から離間する方向と、媒体に近接する方向とに変位することで、前記収容部に収容された媒体を整合可能である、
ことを特徴とする、請求項1に記載の記録装置。
【請求項8】
前記規制部は、
前記導入部から前記収容部に媒体が導入される際に、媒体から離間し、
前記導入部からの導入が完了すると、媒体に近接する方向に変位する、
ことを特徴とする、請求項7に記載の記録装置。
【請求項9】
前記収容部に収容された媒体のうち、最上位の媒体を給送する給送ローラーをさらに備え、
前記収容部は、媒体が載置される載置板を有し、
前記載置板は、
前記給送ローラーが前記最上位の媒体を給送可能な給送位置と、前記給送ローラーが前記載置板或いは前記最上位の媒体から離間した待機位置と、に変位可能であり、
前記収容部に媒体が導入される際に、前記待機位置に位置する、
ことを特徴とする、請求項1に記載の記録装置。
【請求項10】
前記収容部の内部に導入された媒体を、媒体に沿った方向に引込む引込み部をさらに備える、
ことを特徴とする、請求項1に記載の記録装置。
【請求項11】
前記導入部は、前記収容部に対して、媒体が前記収容部から前記搬送経路へ給送される第1方向、又は前記第1方向と反対の第2方向に位置し、
前記収容部は、前記第1方向及び前記第2方向と交差する方向に着脱可能である、
ことを特徴とする、請求項1に記載の記録装置。
【請求項12】
媒体を製造する媒体製造装置と、
前記媒体製造装置によって製造された媒体に記録可能な、請求項1乃至請求項11のいずれか一項に記載の記録装置と、
を備えることを特徴とする媒体製造システム。
【請求項13】
前記媒体製造装置によって製造された媒体を、前記媒体製造装置から前記記録装置に搬送する中継部をさらに備え、
前記記録装置は、開状態において前記搬送経路の少なくとも一部を開放し、閉状態において前記搬送経路の少なくとも一部を形成する開閉部をさらに有し、
前記中継部は、前記開閉部が前記開状態から前記閉状態に変位する際に通過する開閉領域と異なる位置に配置される、
ことを特徴とする、請求項12に記載の媒体製造システム。
【請求項14】
前記媒体製造システムを制御する制御部をさらに有し、
前記制御部は、
前記記録部における記録対象の媒体に関する記録対象情報を取得し、前記記録対象情報に基づいて前記記録対象の媒体を特定し、
前記記録対象の媒体を、前記媒体製造装置に製造させる、
ことを特徴とする、請求項12に記載の媒体製造システム。
【請求項15】
前記媒体製造システムを制御する制御部をさらに有し、
前記記録装置は、前記収容部に収容された媒体の残量を検出可能な検出部を備え、
前記制御部は、前記残量が所定残量より少ない媒体を、前記媒体製造装置に製造させる、
ことを特徴とする、請求項12に記載の媒体製造システム。
【請求項16】
前記制御部は、前記媒体製造装置が媒体の製造にかかる時間、及び前記記録装置における媒体の使用頻度の少なくとも一方に基づいて、前記所定残量を決定する、
ことを特徴とする、請求項15に記載の媒体製造システム。
【請求項17】
前記媒体製造システムを制御する制御部をさらに有し、
前記収容部は、
第1媒体を収容可能な第1収容部と、
前記第1媒体とは異なる第2媒体を収容可能な第2収容部と、を有し、
前記制御部は、
前記媒体製造装置に前記第1媒体を製造させた場合、製造された前記第1媒体を前記第1収容部に収容させ、
前記媒体製造装置に前記第2媒体を製造させた場合、製造された前記第2媒体を前記第2収容部に収容させる、
ことを特徴とする、請求項12に記載の媒体製造システム。
【請求項18】
前記媒体製造システムを制御する制御部をさらに有し、
前記制御部は、前記記録装置が前記収容部に収容された媒体を給送していないときに、前記媒体製造装置で製造された媒体を前記収容部に導入させる、
ことを特徴とする、請求項12に記載の媒体製造システム。
【請求項19】
媒体を製造する媒体製造装置と、
前記媒体製造装置によって製造された媒体に記録可能な、請求項1乃至請求項10のいずれか一項に記載の記録装置と、
を備え、
前記導入部は、前記収容部に対して、媒体が前記収容部から前記搬送経路へ給送される第1方向、又は前記第1方向と反対の第2方向に位置し、
前記収容部は、
前記媒体製造装置に保持され、
前記媒体製造装置を、前記記録装置に対して前記第1方向又は前記第2方向に相対移動させることにより、前記記録装置に対して着脱可能である、
ことを特徴とする媒体製造システム。
【請求項20】
媒体を製造する媒体製造装置と、
前記媒体製造装置によって製造された媒体に記録可能な記録装置と、
を備え、
前記記録装置は、
媒体に記録を行う記録部と、
前記媒体製造装置によって製造された媒体を、前記記録部に搬送する搬送経路と、
を有する、
ことを特徴とする媒体製造システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録装置、及び媒体製造システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に示すように、複数種類のシートを製造するシート製造部と、製造されたシートを種類毎に積み上げて収容する複数の収容部と、各収容部に収容された最下位のシートを繰り出す搬送ローラーとを備えるシート製造装置が知られている。
そして、特許文献1には、上述のシート製造装置と、搬送ローラーが繰り出したシートに印刷を行う印刷装置とを有するシート製造システムが記載されている。
特許文献1に記載のシート製造システムによれば、ユーザーが媒体を補充する手間を削減することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の印刷装置の一例であるプリンターには、一般に、印刷が行われるシートを収容可能な給紙カセットが設けられている。
そのため、上記のような給紙カセットが設けられたプリンターを特許文献1のシート製造システムに適用すると、プリンターにシートを収容可能な給紙カセットを備えるにも関わらず、媒体製造装置もシートを収容する複数の収容部を備えることになり、シート製造システムが必要以上に大型化する虞がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
記録装置は、媒体を製造する媒体製造装置によって製造された媒体に記録可能な記録装置であって、媒体に記録を行う記録部と、前記記録部によって記録される前の媒体を収容する収容部と、前記媒体製造装置によって製造された媒体が前記収容部に搬送されるとともに、前記収容部に収容された媒体が前記記録部に搬送される搬送経路と、を有し、前記収容部には、前記媒体製造装置によって製造された媒体が、前記収容部の内部に導入される導入部が形成されている。
【0006】
媒体製造システムは、媒体を製造する媒体製造装置と、前記媒体製造装置によって製造された媒体に記録可能な、上記の記録装置と、を備える。
【0007】
媒体製造システムは、媒体を製造する媒体製造装置と、前記媒体製造装置によって製造された媒体に記録可能な、上記の記録装置と、を備え、前記導入部は、前記収容部に対して、媒体が前記収容部から前記搬送経路へ給送される第1方向、又は前記第1方向と反対の第2方向に位置し、前記収容部は、前記媒体製造装置に保持され、前記媒体製造装置を、前記記録装置に対して前記第1方向又は前記第2方向に相対移動させることにより、前記記録装置に対して着脱可能である。
【0008】
媒体製造システムは、媒体を製造する媒体製造装置と、前記媒体製造装置によって製造された媒体に記録可能な記録装置と、を備え、前記記録装置は、媒体に記録を行う記録部と、前記媒体製造装置によって製造された媒体を、前記記録部に搬送する搬送経路と、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1実施形態に係る媒体製造システムの概略図。
【
図2】第1実施形態に係るプリンターの詳細構成を示す図。
【
図3A】第1実施形態に係る用紙カセットの概略斜視図。
【
図3B】第1実施形態に係る用紙カセットの概略上面図。
【
図3C】第1実施形態に係る用紙カセットの概略側断面図。
【
図3D】第1実施形態に係る用紙カセットの概略側断面図。
【
図4】第1実施形態に係る媒体製造システムの制御系の構成を示すブロック図。
【
図5】第1実施形態に係る媒体製造システムにおいて、用紙Pを製造し、用紙カセットに収容する基本動作を示すフローチャート。
【
図6】第1実施形態に係る媒体製造システムにおける用紙自動補充制御を示すフローチャート。
【
図7】第1実施形態に係る用紙カセットの導入動作を示すフローチャート。
【
図8】第2実施形態に係る媒体製造システムの概略図。
【
図9A】第3実施形態に係る媒体製造システムの概略図。
【
図9B】第3実施形態に係る媒体製造システムの概略図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
1.第1実施形態
以下、第1実施形態に係る記録装置を備えた媒体製造システムについて、図面を参照して説明する。
【0011】
図1に示すように、媒体製造システム10は、媒体としての用紙Pを製造する媒体製造装置300と、媒体製造装置300によって製造された用紙Pに画像を記録する記録装置としてのプリンター100と、媒体製造装置300によって製造された用紙Pを、媒体製造装置300からプリンター100に搬送する中継部500とを備えている。
なお、各図において示すX-Y-Z座標系は直交座標系であって、Y軸方向が用紙Pの搬送方向と交差する用紙の幅方向であり、また装置奥行き方向である。Y軸方向のうち+Y方向は装置前面から背面に向かう方向であり、-Y方向は装置背面から装置前面に向かう方向である。X軸方向は装置幅方向であり、装置前面に向かって+X方向が左方向、-X方向が右方向となる。Z軸方向は鉛直方向、すなわち装置高さ方向であり、+Z方向が上方向、-Z方向が下方向となる。
以下では、用紙Pが送られていく方向を「下流」と言い、またその反対方向を「上流」と言う場合がある。また各図においては、用紙Pの搬送経路を一点鎖線で示している。媒体製造システム10において用紙Pは、一点鎖線で示す搬送経路を通って搬送される。
【0012】
媒体製造装置300は、プリンター100の-X方向に設けられる。媒体製造装置300で製造された用紙Pは、プリンター100に向けて+X方向に搬送される。すなわち、-X方向が上流、+X方向が下流となる。
中継部500は、媒体製造装置300とプリンター100との間に設けられる。すなわち、中継部500は、媒体製造装置300の下流に設けられ、プリンター100の上流に設けられる。
【0013】
<媒体製造装置の構成>
本実施形態の媒体製造装置300は、原料としての機密紙等の使用済みの古紙を、乾式で解繊して繊維化した後、加圧、加熱、切断することによって、新しい用紙Pを製造する媒体製造部310を備える。媒体製造部310は、繊維化された原料に、様々な添加物を混合することによって、用途に合わせて、紙製品の結合強度や白色度を向上したり、色、香り、難燃等の機能を付加したりしても良い。また、媒体製造部310は、紙の坪量(密度)、厚さやサイズ等の形状、及び紙に含有する着色剤等をコントロールして成形することによって、坪量、形状、及び色の少なくともいずれかが異なる複数種類の用紙Pを、用途に合わせて製造可能である。
【0014】
媒体製造部310で製造された用紙Pは、搬送ローラー対等で構成される排出部305によって、媒体製造装置300から排出される。排出部305は、用紙Pを、中継部500に向けて排出する。ただし、排出部305が、直接プリンター100に用紙Pを送り込む構成でも良い。つまり、媒体製造システム10が、中継部500を備えない構成でも良い。
【0015】
媒体製造部310の具体的な構成としては、例えば特許文献1に記載のシート製造部に相当する構成が採用できる。
ただし、例えば、原料として繊維を用いて用紙Pを製造する構成とすることも可能である。
【0016】
<中継部の構成>
媒体製造装置300の+X方向であってプリンター100の-X方向には、中継部500が着脱可能に備えられる。つまり、中継部500は、X軸方向において、媒体製造装置300とプリンター100との間に位置する。中継部500の筐体507は、媒体製造装置300から受け入れた用紙Pがプリンター100に搬送される搬送経路501を収容する。搬送経路501には、用紙Pを搬送する中継搬送部504が設けられる。中継搬送部504は、例えば搬送ローラー対である。
【0017】
媒体製造装置300で製造された用紙Pは、筐体507に設けられた受入口505から受け入れられ、中継搬送部504によって搬送された用紙Pは、筐体507に設けられた排出口508から排出される。排出口508から排出された用紙Pは、プリンター100に進入する。
【0018】
本実施形態の中継部500は、媒体製造装置300及びプリンター100によって支持されている。ただし、中継部500に脚部を備え、中継部500が自立する構成としても良い。中継部500に脚部を備える際は、後述するカバー170が開閉するときに干渉しない位置に脚部を設けることが望ましい。
【0019】
<記録装置の構成>
図1に示すプリンター100は、用紙Pに液体としてのインクを付着させることで文字や写真等の画像を記録するインクジェットプリンターである。
図2にプリンター100の詳細構成を示す。
【0020】
プリンター100は、収容部の一例である用紙カセット103を有する。用紙カセット103は、記録がなされる前の用紙Pを積層状態で収容し、プリンター100の筐体101に着脱可能に備えられる。本実施形態のプリンター100には、4個の用紙カセット103がZ軸方向に並んで配置される。
【0021】
用紙カセット103は、筐体101に対してY軸方向に挿抜することで、着脱できる。具体的には、用紙カセット103は、筐体101に対して-Y方向に引き出されることで筐体101から取り外され、筐体101に対して+Y方向に挿入されることで筐体101に取り付けられる。
【0022】
筐体101の内部には、用紙Pに対して上側から記録を行う記録部110と、用紙Pを搬送経路120に沿って搬送する搬送部130とが設けられている。搬送経路120は、一点鎖線の仮想線で示されている。
【0023】
記録部110は、用紙Pの幅方向の略全域に亘って同時にインクを吐出可能なラインヘッド型の記録ヘッド111を下部に備えている。記録部110は、記録ヘッド111から吐出されるインクが用紙Pにおいて記録ヘッド111と対向する記録面に付着されることで、用紙Pに画像を形成する。
【0024】
搬送部130は、搬送経路120に沿って配置されている複数の搬送ローラー対131と、記録部110の直下に設けられるベルト搬送部132とを有している。ベルト搬送部132によって搬送されている用紙Pに対して、記録ヘッド111からインクが吐出され、記録が行われる。
【0025】
ベルト搬送部132は、記録ヘッド111よりも搬送方向の上流側(-X方向)に配置されている駆動ローラー133と、記録ヘッド111よりも搬送方向の下流側(+X方向)に配置されている従動ローラー134と、これらの各ローラーに掛けられた無端状をなす環状のベルト135とを有している。駆動ローラー133が駆動回転することによりベルト135が周回し、その周回するベルト135によって用紙Pが搬送方向の下流側へ搬送される。すなわち、ベルト135の外周面が、記録が行われる用紙Pを支持する支持面として機能する。
【0026】
搬送経路120は、記録部110へ向けて用紙Pが搬送される供給経路140と、記録部110により記録が行われ、記録された用紙Pが搬送される排出経路150と、排出経路150から分岐する分岐経路160と、中継部500からプリンター100に進入した用紙Pを後述する第2の供給経路142に搬送する合流経路181とを有している。
【0027】
供給経路140は、第1の供給経路141と、第2の供給経路142と、第3の供給経路143と、を有している。第1の供給経路141は、筐体101の右側面に備えられたカバー141aを開けることによって露出する挿入口141bから挿入される用紙Pが、記録部110へ搬送される経路である。このとき、カバー141aに用紙Pが積載される。第1の供給経路141には第1駆動ローラー対144が設けられており、挿入口141bから挿入された用紙Pは、第1駆動ローラー対144の回転駆動によって記録部110へ向かって直線的に搬送される。
【0028】
第2の供給経路142は、筐体101の下部に備えられた用紙カセット103にそれぞれ収容された用紙Pが、記録部110へ搬送される経路である。第2の供給経路142のうちの各用紙カセット103付近にはピックアップローラー142a及び分離ローラー対145が設けられている。用紙カセット103に積層状態で収容された用紙Pのうち、最上位の用紙Pがピックアップローラー142aにより第2の供給経路142に給送され、分離ローラー対145で1枚ずつに分離された後、Z軸方向における姿勢が反転されながら、第2の供給経路142に設けられた第2駆動ローラー対146の回転駆動によって記録部110へ向かって搬送される。ピックアップローラー142aは、給送ローラーの一例である。
【0029】
第2駆動ローラー対146は、駆動ローラー146aと、駆動ローラー146aに従動して回転可能な従動ローラー146bとによって構成される。駆動ローラー146aは筐体101に取り付けられ、従動ローラー146bは、後述するカバー170に取り付けられる。
【0030】
第3の供給経路143は、用紙Pに対して両面に画像を記録する両面印刷を行う場合に、記録部110によって片面が記録された用紙Pが、再び記録部110へ搬送される経路である。すなわち、記録部110よりも搬送方向の下流側には、排出経路150から分岐する分岐経路160が設けられている。両面印刷を行う際、用紙Pは、排出経路150の途中に設けられた分岐機構147の動作によって分岐経路160へ搬送される。また、分岐経路160には、正転と逆転の双方の回転が可能な分岐経路ローラー対161が分岐機構147よりも下流側に設けられる。
【0031】
両面印刷に際して、一方の面が印刷された用紙Pは、分岐機構147により一旦この分岐経路160へ案内され、正転する分岐経路ローラー対161によって分岐経路160内を下流側に搬送される。その後、分岐経路160へ搬送された用紙Pは、逆転する分岐経路ローラー対161によって分岐経路160内を下流側から上流側へ逆搬送される。
【0032】
分岐経路160から逆搬送される用紙Pは、第3の供給経路143へ搬送され、複数の搬送ローラー対131によって記録部110へ向かって搬送される。第3の供給経路143は、記録部110を迂回して、記録部110よりも上流側において第1の供給経路141及び第2の供給経路142と合流する。
【0033】
このため、第3の供給経路143を搬送されることによって、用紙Pは印刷されていない他方の面が記録部110と対向するように反転され、第3駆動ローラー対148の回転駆動によって記録部110へ向かって搬送される。すなわち、第3の供給経路143は、Z軸方向における用紙Pの姿勢を反転させながら搬送する反転搬送経路として機能する。
【0034】
供給経路140を搬送される用紙Pは、記録部110よりも搬送方向の上流側に配設された整列ローラー対149まで搬送されたのち、回転が停止した整列ローラー対149にその先端が突き当たる。そして、用紙Pは、このような整列ローラー対149へ突き当たった状態によって搬送方向に対する傾きが補正される。そして傾きが補正された用紙Pは、その後の整列ローラー対149の回転駆動によって、姿勢が調整された状態となって記録部110へ搬送される。
【0035】
記録部110により片面又は両面に記録が行われ、記録が完了された用紙Pは、搬送ローラー対131により搬送経路120の下流部を構成する排出経路150に沿って搬送される。
【0036】
排出経路150における下流側排出経路151は、筐体101の上方へ向かうとともに、分岐経路160に沿うように湾曲して延びて設けられる。下流側排出経路151を搬送される用紙Pは、下流側排出経路151の終端となる排出口155から排出される。
【0037】
排出口155から排出された用紙Pは、下側へ落下し、二点鎖線で示すように、積層された状態で載置台156に排紙される。下流側排出経路151の複数箇所に配置された搬送ローラー対131により、用紙Pは、片面印刷時における記録面が下側を向く姿勢にて、排出口155から載置台156に排紙される。
【0038】
載置台156は、-X方向に向かうにつれて、+Z方向に上昇する先上がりの傾斜した形状を有し、この載置台156に用紙Pが積層状態で載置される。このとき、載置台156に載置された各用紙Pは、自重により載置台156の傾斜面に沿って+X方向に移動し、排出口155の下側に設けられた縦側壁157に接近して載置される。
【0039】
また、下流側排出経路151は、記録部110により記録された用紙Pが排出口155まで搬送される間において、その用紙Pの表裏を反転させる湾曲反転経路を構成する。すなわち、下流側排出経路151は、記録部110により記録された用紙Pの記録面を内側にして湾曲させるとともに、その用紙Pの記録面が上側に向く状態から下側に向く状態に用紙Pを反転させ、排出口155から排出する。したがって、用紙Pは、下流側排出経路151を通ることによって片面印刷時における記録面が載置台156と対峙する状態となって排出口155から排出される。
【0040】
筐体101の-X方向には、媒体製造装置300によって製造された用紙Pをプリンター100に受け入れ、第2の供給経路142に搬送する合流経路181が形成されている。合流経路181は、第2の供給経路142に合流する。中継部500の排出口508(
図1参照)から排出された用紙Pは、プリンター100に進入すると、合流経路181を搬送される。合流経路181を搬送された用紙Pは、第2の供給経路142に搬送され、第2の供給経路142を、用紙カセット103から記録部110へ向かう場合とは反対の方向に進んで、用紙カセット103に搬送される。
【0041】
具体的には、プリンター100に進入し、合流経路181を搬送された用紙Pは、第2の供給経路142を、第2駆動ローラー対146によって-Z方向に搬送され、いずれかの用紙カセット103に向けて分岐した後、分離ローラー対145によって用紙カセット103に向けて搬送される。
【0042】
分離ローラー対145によって用紙カセット103に向けて搬送された用紙Pは、用紙カセット103に形成された導入部190から、分離ローラー対145及びピックアップローラー142aによって用紙カセット103の内部に導入される。導入部190は、用紙カセット103のうち、用紙Pが用紙カセット103の内部に導入される部位であり、例えば、用紙カセット103の一部が開放された構成であっても、切り欠かれた構成であっても良く、また開口が設けられた構成であっても良い。さらに、これらの構成は、上面に設けられても良く、側面に設けられても良く、また複数の面に跨っていても良い。導入部190の詳細については、後述する。
【0043】
ここで、用紙カセット103に収容された用紙Pは、記録部110によって記録される際にピックアップローラー142aによって-X方向に給送される。一方で、導入部190から用紙カセット103に導入される用紙Pは、+X方向に導入される。なお、用紙カセット103から用紙Pが給送される-X方向は、第1方向の一例であり、その反対方向である+X方向は、第2方向の一例である。
【0044】
つまり、用紙カセット103に収容された用紙Pが給送される給送方向と、導入部190から用紙カセット103に用紙Pが導入される導入方向とは、X軸方向において反対の方向である。換言すると、導入方向は、X軸方向において給送方向と反対の方向である。
なお、給送方向は、-X方向に沿った方向でなくても良く、-X方向成分を含んでいれば良い。同様に、導入方向は、+X方向に沿った方向でなくても良く、+X方向成分を含んでいれば良い。したがって、導入方向は、給送方向と正反対の方向でなくても良く、給送方向と反対の方向の成分を有していれば良い。
【0045】
また、導入部190は、用紙カセット103のX軸方向における中央よりも-X方向に位置している。そして、用紙カセット103から給送される用紙Pは、用紙カセット103のX軸方向における中央よりも-X方向の位置から給送される。つまり、用紙カセット103に収容された用紙Pが用紙カセット103から給送される位置と、導入部190とは、用紙カセット103のX軸方向における中央に対して同じ方向にある。本実施形態では、用紙カセット103から給送される用紙Pは、導入部190を通って給送される。ただし、導入部190とは異なる位置から用紙Pが給送される構成であっても良い。
【0046】
用紙カセット103から記録部110に用紙Pが搬送される第2の供給経路142は、給送経路に相当する。給送経路は、第1搬送経路の一例である。また、媒体製造装置300によって製造された用紙Pを受け入れて第2の供給経路142に搬送する合流経路181、及び合流経路181と合流する位置から導入部190を介して用紙カセット103に用紙Pが導入される第2の供給経路142の一部は、導入経路に相当する。導入経路は、第2搬送経路の一例である。
【0047】
上記のように、第2の供給経路142の一部には、用紙カセット103から記録部110に向かう用紙Pと、中継部500から用紙カセット103に向かう用紙Pとの双方の用紙Pが、搬送される。双方の用紙Pが搬送される第2の供給経路142の一部は、第1搬送領域の一例である。
【0048】
ピックアップローラー142aは、第2の供給経路142のうち、用紙カセット103から記録部110に向かう用紙Pと、中継部500から用紙カセット103に向かう用紙Pとの双方の用紙Pが搬送される領域に設けられている。すなわち、ピックアップローラー142aは、第1搬送領域に設けられている。ピックアップローラー142aは、正転することにより、用紙Pを記録部110に向けて給送し、逆転することより、媒体製造装置300で製造された用紙Pを用紙カセット103に向けて導入する。
【0049】
同様に、分離ローラー対145及び第2駆動ローラー対146も、第2の供給経路142のうち、用紙カセット103から記録部110に向かう用紙Pと、中継部500から用紙カセット103に向かう用紙Pとの双方の用紙Pが、搬送される領域に設けられている。すなわち、分離ローラー対145及び第2駆動ローラー対146も、第1搬送領域に設けられている。分離ローラー対145及び第2駆動ローラー対146は、正転することで用紙Pを記録部110に向けて搬送し、逆転することで用紙Pを用紙カセット103に向けて搬送する。
【0050】
さらに、ピックアップローラー142aの+X方向には、引込みパドル192が設けられる。引込みパドル192は、ピックアップローラー142aによって用紙カセット103に導入された用紙Pを、用紙カセット103の内部において、用紙Pに沿った方向に引込む。具体的には、引込みパドル192は、用紙カセット103に導入された用紙Pを、+X方向に移動させるように搬送力を付与する。引込みパドル192は、引込み部の一例である。
【0051】
筐体101の-X方向の側面には、カバー170が備えられる。カバー170は、中継部500が接続される筐体101の側面と同一面を形成する。カバー170は、合流経路181の-Z方向に位置する。
【0052】
カバー170は、不図示の回転軸を中心に回動可能に構成されている。カバー170は、開閉部の一例である。不図示の回転軸は、カバー170の-Y方向の端部に設けられ、Z軸方向に沿って延びている。
【0053】
カバー170は、不図示の回転軸を中心に回動することで、第2の供給経路142の一部を開放する開状態と、第2の供給経路142の一部を閉塞する閉状態との間で変位可能に構成されている。カバー170は、閉状態において、第2の供給経路142の一部を形成する。
【0054】
カバー170が閉状態のとき、第2駆動ローラー対146はニップ状態であり、カバー170が開状態のとき、第2駆動ローラー対146はニップ状態が解除され、駆動ローラー146a及び従動ローラー146bは離間する。
【0055】
そのため、第2の供給経路142を搬送される用紙Pが、意図せず第2の供給経路142に残った際には、カバー170を開けることで残った用紙Pを容易に取り除くことができる。つまり、ジャム処理が容易になる。
【0056】
中継部500は、カバー170が開閉する領域、すなわちカバー170が開状態から閉状態に変位する際に通過する領域である開閉領域S(
図1参照)と異なる位置に配置されている。換言すると、カバー170が開閉する際にカバー170と干渉しない位置に、中継部500が配置されている。
【0057】
次に、用紙カセット103の詳細な構成について、
図3A~
図3Dを参照して説明する。
図3A及び
図3Bに示すように、用紙カセット103は、+Z方向に開口する箱状の容器であり、その内部に、側端エッジガイド104a,104bと、後端エッジガイド105と、ホッパー板106と、を備える。側端エッジガイド104a,104b及び後端エッジガイド105は、規制部の一例である。また、ホッパー板106は、載置板の一例である。なお、規制部は、側端エッジガイド104a,104b及び後端エッジガイド105の一方のみでも良く、また、側端エッジガイド104a,104bの一方のみでも良い。
【0058】
さらに、
図3A及び
図3Bに示すように、本実施形態の用紙カセット103は、-X方向の側面の+Z方向の一部と、Y軸方向の両側面の-X方向かつ+Z方向の一部とが切り欠かれることにより、導入部190が形成されている。ただし、用紙カセット103の内部に用紙Pを導入可能であれば、必ずしも一部が切り欠かれていなくても良い。例えば、用紙カセット103の上面の全体が開放しているだけで、切り欠き等がない構成であっても、その上面から用紙Pを内部に導入可能であれば良い。この場合、用紙カセット103の上面に形成された開口部のうち、媒体製造装置300で製造された用紙Pが内部に進入する部位が導入部190となる。
【0059】
側端エッジガイド104a,104bは、用紙カセット103に収容された用紙PのY軸方向の端辺と当接することで、用紙カセット103に収容された用紙PがY軸方向に移動することを規制する。側端エッジガイド104aは、用紙カセット103に収容された用紙Pの+Y方向の端辺と当接し、側端エッジガイド104bは、-Y方向の端辺と当接する。側端エッジガイド104a,104bは、それぞれY軸方向に移動することで、用紙Pへの当接、及び用紙Pからの離間ができるように構成されている。また、側端エッジガイド104a,104bは、Y軸方向において、連動して互いに逆方向に移動できるように構成されている。すなわち、側端エッジガイド104aが+Y方向に移動して用紙Pから離間すると、側端エッジガイド104bは-Y方向に移動して用紙Pから離間する。同様に、側端エッジガイド104aが-Y方向に移動して用紙Pに近接すると、側端エッジガイド104bは+Y方向に移動して用紙Pに近接する。
【0060】
後端エッジガイド105は、用紙カセット103に収容された用紙Pの+X方向の端辺と当接することで、用紙カセット103に収容された用紙Pが+X方向に移動することを規制する。後端エッジガイド105は、X軸方向に移動し、用紙Pへの当接及び用紙Pからの離間ができるように構成されている。すなわち、後端エッジガイド105は、+X方向に移動することで用紙Pから離間し、-X方向に移動することで用紙Pに近づく。
【0061】
このように、側端エッジガイド104a,104b及び後端エッジガイド105は、用紙カセット103に収容されている用紙Pに沿った方向において、用紙Pから離間する方向と、用紙Pに近接する方向とに変位することが可能であり、これにより、用紙カセット103に収容されている用紙Pを整合することが可能である。
なお、本実施例の側端エッジガイド104a,104b及び後端エッジガイド105は、不図示の駆動機構によって移動される構成であるが、ユーザーによって移動されても良い。
【0062】
ホッパー板106は、用紙カセット103に収容された用紙Pが載置される載置面106aを有し、不図示の駆動機構によって不図示の回動軸を中心に回動できるように構成されている。不図示の回動軸は、ホッパー板106の+X方向の端部に設けられ、Y軸方向に沿って延びている。そして、回動軸の回動により、ホッパー板106の-X方向端部が昇降する。なお、ホッパー板106は、回動軸を中心に回動する構成に限定されない。例えば、ホッパー板106の全体がZ軸方向に昇降する構成でも良い。
【0063】
図3Cに示すように、ホッパー板106に用紙Pが載置された状態で、載置された用紙Pの上面がピックアップローラー142aに当接する給送位置まで、ホッパー板106の-X方向端部が+Z方向に移動するようにホッパー板106が回動することで、ピックアップローラー142aが最上位の用紙Pを給送できるようになる。
【0064】
また、
図3Dに示すように、ホッパー板106の-X方向端部は、給送位置よりも-Z方向の待機位置に変位することができる。すなわちホッパー板106は、ピックアップローラー142aが、最上位の用紙Pの上面、或いはホッパー板106の載置面106aから離間した待機位置に変位できる。
【0065】
図3Dでは、ホッパー板106が、用紙カセット103の底面に沿った姿勢となる位置が待機位置である。なお、待機位置は、給送位置よりも-Z方向の位置であれば、ホッパー板106が用紙カセット103の底面に対して傾いた位置であっても良い。つまり、
図3Dでは、待機位置がホッパー板106の最下限の位置であるが、ホッパー板106の最下限の位置でなくても良い。
【0066】
<媒体製造システムの制御>
図4は、媒体製造システム10の制御系の構成を示すブロック図である。
媒体製造システム10は、媒体製造システム10の各部を制御するメインプロセッサー711を有する制御装置710を備える。本実施形態の制御装置710は、プリンター100に設けられる。制御装置710は、制御部の一例である。
制御装置710は、メインプロセッサー711、ROM(Read Only Memory)712、及びRAM(Random Access Memory)713を備える。メインプロセッサー711は、CPU(Central Processing Unit)等の演算処理装置であり、ROM712が記憶する基本制御プログラムを実行することにより、媒体製造システム10の各部を制御する。メインプロセッサー711は、ROM712、RAM713等の周辺回路や他のIPコアを含むシステムチップとして構成されても良い。
【0067】
ROM712は、メインプロセッサー711が実行するプログラムを不揮発的に記憶する。RAM713は、メインプロセッサー711が使用するワークエリアを形成して、メインプロセッサー711が実行するプログラムや処理対象のデータを一時的に記憶する。
【0068】
不揮発性記憶部720は、メインプロセッサー711が実行するプログラムや、メインプロセッサー711が処理するデータを記憶する。不揮発性記憶部720は、例えば、設定データ721、及び表示データ722を記憶する。設定データ721は、媒体製造システム10の動作を設定するデータを含む。例えば、設定データ721は、媒体製造システム10が備える各種センサーの特性や、各種センサーの検出値に基づきメインプロセッサー711が異常を検出する処理で使用される閾値等のデータを含む。
【0069】
また、設定データ721は、媒体製造システム10を操作するユーザーが設定した製造開始日時、製造条件、及び製造した用紙Pを導入する用紙カセット103の振り分け条件の各々を特定する情報を含む。製造条件は、例えば、用紙Pの坪量、用紙Pのサイズや厚さ等の形状、用紙Pの色、製造量等である。
振り分け条件は、坪量、形状、色等、用紙Pの種類を基準にした振り分け、又は用紙Pの印刷順を基準にした振り分け等が適用される。用紙Pの種類を基準にした振り分けの場合、制御装置710は、媒体製造装置300に製造させた用紙Pを、複数の用紙カセット103のうち、用紙Pの種類に対応する用紙カセット103に収容させる。例えば、A4サイズの用紙Pのうち、坪量が値Aの用紙Pを製造させた場合には、製造された用紙Pを、最上段の用紙カセット103に収容させ、坪量が値Bの用紙Pを製造させた場合には、製造された用紙Pを、上から2段目の用紙カセット103に収容させ、坪量が値Cの用紙Pを製造させた場合には、製造された用紙Pを、上から3段目の用紙カセット103に収容させる。
【0070】
用紙Pの印刷順を基準にした振り分けの場合、制御装置710は、印刷順と逆の順序で用紙Pを製造させ、特定の用紙カセット103に製造順で収容させる。そして、特定の用紙カセット103に収容された用紙Pを印刷順で記録部110に向けて順に供給することで、意図した順序で印刷を行うことができる。なお、振り分け条件は、上記に限定されず、適宜に設定すれば良い。
また、設定データ721は、各用紙カセット103の最低残量を規定する設定残量の情報も含む。この設定残量の値は、例えば、媒体製造システム10を操作するユーザーが設定する情報である。この設定残量の値は、後述の
図6に示す「用紙自動補充制御」で使用される情報である。設定残量は、所定残量の一例である。
【0071】
表示データ722は、メインプロセッサー711が表示パネル716に表示させる画面のデータである。表示データ722は、例えば、媒体製造システム10の動作状態、各種設定値、警告表示等を表示させるデータである。表示データ722は、固定的な画像データであっても良いし、メインプロセッサー711が生成或いは取得する、表示する画面表示を設定するデータであっても良い。また、表示パネル716は、液晶パネル等で構成される画像表示装置である。
【0072】
タッチセンサー717は、タッチ操作、又は押圧操作を検出する。タッチセンサー717は、例えば、透明電極を有する圧力感知式、又は静電容量式のセンサーで構成され、表示パネル716の表示面に重ねて配置される。タッチセンサー717は、操作を検出した場合、操作位置や操作位置の数を含む操作データをメインプロセッサー711に出力する。メインプロセッサー711は、タッチセンサー717の出力により、表示パネル716に対する操作を検出し、操作位置を取得する。メインプロセッサー711は、タッチセンサー717により検出した操作位置と、表示パネル716に表示中の表示データ722とに基づき、GUI(Graphical User Interface)操作を実現する。
【0073】
制御装置710は、センサーI/F(Interface)714を介して、媒体製造システム10の各部に設置されたセンサーに接続される。センサーI/F714は、センサーが出力する検出値を取得してメインプロセッサー711に入力するインターフェイスである。センサーI/F714は、センサーが出力するアナログ信号をデジタルデータに変換するA/D(Analogue/Digital)コンバーターを備えても良い。また、センサーI/F714は、各センサーに駆動電流を供給しても良い。また、センサーI/F714は、各々のセンサーの出力値を、メインプロセッサー711が指定するサンプリング周波数に従って取得し、メインプロセッサー711に出力する回路を備えても良い。
【0074】
センサーI/F714には、古紙残量センサー301、及び用紙カセット残量センサー103Sが接続される。
古紙残量センサー301は、媒体製造装置300の媒体製造部310に配置され、用紙Pの原料となる古紙の残量を検出する。制御装置710は、古紙残量センサー301が検出した古紙の量が設定値を下回った場合に、古紙の不足を報知する。
用紙カセット残量センサー103Sは、各用紙カセット103に収容された用紙Pの残量を検出する。用紙カセット残量センサー103Sは、検出部の一例である。
【0075】
制御装置710は、用紙カセット残量センサー103Sが検出する用紙Pの残量が設定残量未満となった場合に、報知を行う。また、制御装置710は、設定残量未満になった用紙カセット103に収容されている種類の用紙Pについては、自動的に媒体製造装置300に製造させて用紙カセット103に補充させる制御(後述の
図6に示す「用紙自動補充制御」)を実行する。
【0076】
以上の構成は一例であり、例えば、媒体製造システム10がその他のセンサーを有し、これらのセンサーの検出値を制御装置710が取得可能であっても良い。
【0077】
制御装置710は、駆動部I/F(Interface)715を介して、媒体製造システム10が備える各駆動部に接続される。媒体製造システム10が備える駆動部は、モーター、ポンプ、ヒーター等である。
駆動部I/F715には、制御装置710の制御対象として、媒体製造部310、中継搬送部504、用紙カセット103、搬送部130、及び記録部110等が接続される。
【0078】
図5は、媒体製造システム10において、用紙Pを製造し、用紙カセット103に収容する基本動作を示すフローチャートである。
制御装置710は、媒体製造システム10の電源がオンにされ、起動シーケンスを実行した後、
図5に示す動作を開始可能になる。
図5に示すように、制御装置710は、製造指示が入力された場合、又は、予め設定された製造開始日時に至った場合(ステップS1A;YES)、用紙Pの製造を開始する(ステップS2A)。
【0079】
この制御装置710には、タッチセンサー717等の操作パネルを介して、製造開始の指示が入力されたり、製造開始日時、及び製造条件等が設定されたりすることが可能である。
また、制御装置710は、製造指示が入力されない場合、且つ製造開始日時に至らない場合(ステップS1A;NO)、
図5に示す処理を一旦終了し、時間間隔を空けてステップS1Aの処理を実行する。或いは、製造指示の入力をトリガーとして、ステップS2A以降の処理を実行するよう構成しても良い。
【0080】
ステップS2Aにおいて、制御装置710は、媒体製造装置300の媒体製造部310を動作させることによって、用紙Pを製造させる。これによって、予め設定された製造条件に従った用紙Pが製造される。
【0081】
製造された用紙Pは排出部305によって排出される。制御装置710は、排出部305から中継部500を経てプリンター100に搬送された用紙Pを、予め設定された振分条件に従って、各用紙カセット103に振り分ける(ステップS3A)。ステップS3Aで各用紙カセット103に振り分けられた用紙Pが各用紙カセット103に導入される際に、用紙カセット103では、所定の導入動作がなされる(ステップS4A)。この導入動作については後述する。これによって、用紙Pは種類毎、又は印刷順毎に各用紙カセット103に収容される。なお、媒体製造部310には、製造した用紙Pを計数する不図示の計数センサー、又は用紙Pを適切なサイズに裁断する不図示の切断部の切断回数等を計数する構成が備えられており、制御装置710は、これらの構成により、用紙Pの製造量、すなわち製造枚数を特定することができる。
【0082】
続いて、制御装置710は、用紙Pの製造を終了するか否かを判定し(ステップS5A)、製造を終了しない場合(ステップS5A;NO)には、ステップS2Aに戻り、用紙Pの製造を継続する。一方、製造を終了する場合(ステップS5A;YES)、媒体製造装置300の各部の動作を停止させる(ステップS6A)。製造を終了する場合とは、用紙Pの製造量が製造条件に従った量に到達した場合、タッチセンサー717を介して製造停止が指示された場合、又は製造停止日時に至った場合等である。以上により、製造条件に合致するように用紙Pが製造され、製造された用紙Pが振り分け条件に従って各用紙カセット103に振り分けて収容される。以上が、媒体製造システム10が用紙Pを製造し、用紙カセット103に収容する基本動作である。
【0083】
また、制御装置710は、各用紙カセット103に収容される用紙Pの残量に応じて製造する用紙Pの種類を制御する「用紙自動補充制御」を実行可能である。
図6は、「用紙自動補充制御」を示すフローチャートである。
【0084】
「用紙自動補充制御」を実行するよう設定されている場合、制御装置710は、媒体製造システム10の電源がオンにされ、起動シーケンスを実行した後、
図6に示す動作を開始可能になる。
図6に示すように、制御装置710は、各用紙カセット残量センサー103Sが検出する残量に基づいて、各用紙カセット103の残量が予め設定された設定残量未満か否かを判定する(ステップS1B)。
【0085】
なお、設定残量は、各用紙カセット103で同じ値でも良いし、異なる値でも良い。例えば、制御装置710は、プリンター100における用紙Pの使用頻度に基づいて設定残量を決定しても良い。例えば、使用頻度の高い用紙Pを収容する用紙カセット103に対応する設定残量を、他の用紙カセット103に対応する設定残量よりも大きい値に設定することが考えられる。
この場合、すべての用紙カセット103の収容可能容量が同一で、すべての用紙カセット103において用紙Pが満杯状態から利用されると仮定すると、使用頻度の高い用紙Pの残量が最初に設定残量未満となるため、使用頻度の高い用紙Pを優先的に製造することが可能になる。
【0086】
用紙Pの使用頻度については、ユーザーや制御装置710が随時修正できるようにしても良い。このようにすることで、より適切な使用頻度を反映させることができる。
【0087】
また、制御装置710は、媒体製造装置300において用紙Pの製造にかかる時間に基づいて、用紙Pを収容する用紙カセット103に対応する設定残量を決定しても良い。例えば、媒体製造装置300において製造にかかる時間が長い用紙Pを収容する用紙カセット103に対応する設定残量を、他の用紙カセット103に対応する設定残量よりも大きい値に設定することが考えられる。このようにすることで、媒体製造装置300において製造にかかる時間が長い用紙Pであっても、用紙Pを製造している間に用紙カセット103に収容された用紙Pがなくなってしまうことを抑制できる。
なお、上記のように設定残量を設定する他に、ユーザーや制御装置710が設定残量を適宜設定しても良い。
【0088】
制御装置710は、ステップS1Bにおいて、すべての用紙カセット103が設定残量を満たすと判定した場合(ステップS1B;NO)、
図6に示す処理を終了し、時間間隔を空けてステップS1Bの処理を実行する。
【0089】
一方、用紙カセット103のいずれかの残量が設定残量未満の場合(ステップS1B;YES)、制御装置710は、用紙Pの製造条件を特定する(ステップS2B)。具体的には、制御装置710は、残量が設定残量未満の用紙カセット103に対応する用紙Pの種類を特定し、その用紙Pの製造量を特定する。
この場合の用紙Pの種類の特定とは、用紙Pの製造条件のうち、製造量を除く情報を特定することであり、例えば、用紙Pの振り分け条件等を参照し、不足する用紙Pの坪量、形状及び色等を特定することである。また、用紙Pの製造量の特定とは、用紙カセット103の残量を、設定残量を超える残量にする値を特定することである。例えば、用紙カセット残量センサー103Sによって検出される残量に基づき、設定残量を満足する値(枚数)に設定される。設定残量を満足する値は、用紙カセット103に用紙Pが満杯になるように設定されても良く、それより少なくても良い。また、ユーザーが設定できるようにしても良い。このようにして、製造対象の用紙Pの製造条件が設定される。
また、設定残量を満たさない用紙カセット103が複数存在した場合、用紙カセット103毎に用紙Pの製造条件が設定される。
【0090】
次いで、制御装置710は、特定した製造条件に従って用紙Pの製造を開始する(ステップS3B)。なお、設定残量を満たさない用紙カセット103が複数存在した場合、いずれかの用紙カセット103に対応する用紙Pの製造を開始し、その製造が終了した後に、他の用紙カセット103に対応する用紙Pの製造を開始する。例えば、設定残量に対する不足数の大きい用紙カセット103に対応する種類の用紙Pの製造を先に開始する。或いは、予め設定されている優先度が高い種類の用紙Pの製造を先に開始する。これにより、複数種類の用紙Pが同じ種類の用紙毎にまとめて製造され、製造中に製造条件が頻繁に変わる事態が抑えられる。
【0091】
ステップS3Bにおいて、制御装置710は、上記ステップS2Aと同様に、媒体製造装置300の媒体製造部310を制御して製造条件に従って用紙Pを製造する。さらに、制御装置710は、製造した用紙Pを、振り分け条件に従って対応する用紙カセット103に振り分けて収容する(ステップS4B)。ステップS4Bで各用紙カセット103に振り分けられた用紙Pが各用紙カセット103に導入される際に、用紙カセット103では、所定の導入動作がなされる(ステップS5B)。この導入動作については後述する。
【0092】
続いて、制御装置710は、用紙Pの製造を終了するか否かを判定し(ステップS6B)、製造を終了しない場合(ステップS6B;NO)には、ステップS3Bに戻り、用紙Pの製造を継続する。一方、製造を終了する場合(ステップS6B;YES)は、媒体製造装置300の各部の動作を停止させる(ステップS7B)。製造を終了する場合とは、用紙Pの製造量が目標量に到達した場合である。以上により、いずれかの用紙カセット103の残量が設定残量未満になると、その用紙カセット103に収容する用紙Pが自動的に製造され、その用紙カセット103に収容される。
【0093】
なお、制御装置710は、タッチセンサー717や外部装置から印刷ジョブについての情報である記録対象情報を取得すると、記録対象情報に基づいて、記録対象の用紙P及び記録する数量を特定し、特定した用紙P及び数量に基づいて、用紙Pの製造が必要か否かを判定しても良い。記録対象情報は、記録する画像の情報、記録対象の用紙Pの情報、及び記録する用紙Pの数量等、記録部110における記録対象の用紙Pに関する情報を含んでいる。
【0094】
この場合、用紙Pの製造が必要か否かは、用紙カセット103の残量に基づいて判定される。具体的には、制御装置710は、記録対象の用紙Pが記録する数量以上、いずれかの用紙カセット103に収容されている場合、用紙Pの製造が不要と判定する。一方で、記録対象の用紙Pが収容される用紙カセット103の残量が、記録する数量を満たさない場合には、用紙Pの製造が必要と判定し、媒体製造装置300に用紙Pを製造させる。また、制御装置710は、すべての用紙カセット103に印刷対象の用紙Pが収容されていない場合も、用紙Pの製造が必要と判定する。
【0095】
ただし、すべての用紙カセット103に印刷対象の用紙Pが収容されていない場合でも、すべての用紙カセット103に別の種類の用紙Pが収容されていると、仮に記録対象の用紙Pを製造しても、その用紙Pを別の種類の用紙Pが収容された用紙カセット103に導入することは適切でない。このため、いずれの用紙カセット103にも記録対象の用紙Pが収容されておらず、且つ、いずれかの用紙カセット103が空である、という2つの条件を満たしている場合に、制御装置710が用紙Pの製造が必要と判定することが好ましい。
なお、いずれかの用紙カセット103が空である、という条件を満たさない場合、制御装置710が、いずれかの用紙カセット103を空にすることをユーザーに促す報知処理を行うことが好ましい。
【0096】
なお、
図5或いは
図6に示す制御は、プリンター100の用紙カセット103から用紙Pが給送されていないときに行われることが望ましい。特に、後述する
図7に示す導入動作、すなわち媒体製造装置300で製造された用紙Pを用紙カセット103に導入させる動作は、用紙カセット103から用紙Pが給送されていないときに行われることが望ましい。
【0097】
用紙カセット103に用紙Pを導入する際の、用紙カセット103の動作を
図7に基づいて説明する。
まず、制御装置710は、用紙Pを用紙カセット103に導入する際には、側端エッジガイド104a,104b及び後端エッジガイド105のうち少なくとも一つを用紙Pから離間させ(ステップS1C)、さらに、ホッパー板106を待機位置に変位させること(ステップS2C)により、用紙Pの受入状態とする。このとき、ステップS1C,S2Cのうち、どちらか一方のステップを先に行っても、双方のステップを同時に行っても良い。
【0098】
用紙Pの受入状態となると、制御装置710がピックアップローラー142a等を駆動することで、用紙Pが用紙カセット103に導入される(ステップS3C)。このとき、1枚の用紙Pだけを導入しても良く、複数枚の用紙Pを連続して導入しても良い。また、複数枚の用紙Pを導入する場合、設定残量を満足する数量の用紙Pを導入して良いし、それより少ない用紙Pを導入しても良い。
【0099】
用紙Pの導入が終わると、制御装置710は、離間させた側端エッジガイド104a,104b及び後端エッジガイド105を、用紙Pに近接する方向に変位させ、用紙Pを整合する(ステップS4C)。このとき、側端エッジガイド104a,104b及び後端エッジガイド105の近接と離間を複数回繰り返すことで、整合性をさらに向上させても良い。
【0100】
したがって、1枚の用紙Pだけを導入してステップS4Cを実行することで、用紙Pの整合性を高めることができる。一方で、複数枚の用紙Pを導入してからステップS4Cを実行することで、用紙Pを整合する回数を減らし、用紙Pを用紙カセット103に収容するのにかかる時間を短くすることができる。
【0101】
次に、制御装置710は、すべての用紙Pの導入が終了したか否かを判断する(ステップS5C)。そして、すべての用紙Pの導入が終了していない場合(ステップS5C;NO)には、ステップS1Cに戻って、残りの用紙Pを導入し、すべての用紙Pの導入が終了した場合(ステップS5C;YES)は、導入動作を終え、元のフローに復帰する。すなわち、設定残量を満足する数量の用紙Pを導入していない場合はステップS1Cに戻り、設定残量を満足する数量の用紙Pを導入した場合は導入動作を終える。
【0102】
以上説明したように、本実施形態のプリンター100は、用紙Pを製造する媒体製造装置300によって製造された用紙Pに記録可能であって、用紙Pに記録を行う記録部110と、記録部110によって記録される前の用紙Pを収容する用紙カセット103と、媒体製造装置300によって製造された用紙Pが用紙カセット103に搬送されるとともに、用紙カセット103に収容された用紙Pが記録部110に搬送される搬送経路120と、を有する。そして、用紙カセット103には、媒体製造装置300によって製造された用紙Pが、用紙カセット103の内部に導入される導入部190が形成されている。
【0103】
この構成によれば、媒体製造装置300によって製造された用紙Pを、プリンター100の用紙カセット103に導入できることから、媒体製造装置300に用紙Pの収容部を設ける必要がない。すなわち、ユーザーがプリンター100の用紙カセット103に用紙Pを補充する手間を削減しつつ、プリンター100と媒体製造装置300とを含めた媒体製造システム10が必要以上に大型化することを抑制できる。
【0104】
導入部190は、用紙カセット103に対して、用紙Pが用紙カセット103から第2の供給経路142へ給送される-X方向に位置し、媒体製造装置300によって製造された用紙Pは、+X方向に搬送され、用紙カセット103に導入される。
【0105】
この構成によれば、用紙カセット103に収容された用紙Pが第2の供給経路142へ給送される給送経路と、媒体製造装置300によって製造された用紙Pが用紙カセット103に導入される導入経路とが、用紙カセット103に対して同じ方向にあることになるため、給送経路と導入経路とが、近くに配置されることになる。したがって、ユーザーが給送経路及び導入経路で発生したジャムを処理することが容易となる。また、ジャム処理を行うための構造を設けやすい。
特に、カバー170の開閉領域Sを設ける構成では、開閉領域Sを利用して給送経路及び導入経路のジャム処理ができ、より効果的である。
【0106】
搬送経路120は、用紙カセット103から記録部110に用紙Pが搬送される給送経路と、媒体製造装置300によって製造された用紙Pが、導入部190を介して用紙カセット103に搬送される導入経路と、を有する。そして、給送経路及び導入経路は、用紙カセット103から記録部110に搬送される用紙Pと、媒体製造装置300によって製造され、用紙カセット103に導入される用紙Pとの双方が搬送される第1搬送領域を有する。
【0107】
この構成によれば、第1搬送領域には、用紙カセット103から記録部110に向かう用紙Pと、中継部500から用紙カセット103に向かう用紙Pとの双方の用紙Pが、搬送される。給送経路と導入経路とが、第1搬送領域を共有することで、給送経路及び導入経路を配置するスペースを抑制できる。すなわち、プリンター100の大型化を抑制できる。また、ジャム処理が必要な搬送経路120が減少するため、ジャム処理が容易になる。
【0108】
第1搬送領域には、ピックアップローラー142aが設けられ、ピックアップローラー142aは、正転することによって、用紙カセット103に収容された用紙Pのうち、最上位の用紙Pを給送し、逆転することによって、媒体製造装置300によって製造された用紙Pを用紙カセット103に導入する。
【0109】
この構成によれば、用紙カセット103から用紙Pを給送するためのピックアップローラー142aによって、媒体製造装置300によって製造された用紙Pを用紙カセット103に導入することができる。そのため、ピックアップローラー142a以外のローラー等、媒体製造装置300によって製造された用紙Pを用紙カセット103に導入するための構成を減らすことができる。したがって、プリンター100の部品点数を削減することができる。なお、引込みパドル192を省略した構成にすることも可能であり、この構成では、部品点数をさらに削減することができる。また、用紙カセット103に収容された用紙Pに搬送力を加えることができる位置にピックアップローラー142aが配置されるため、ピックアップローラー142aを用いて媒体製造装置300によって製造された用紙Pに搬送力を加えることで、用紙カセット103における用紙Pの整列性を向上できる。
【0110】
用紙カセット103は、用紙Pの少なくとも一辺を規制する側端エッジガイド104a,104b及び後端エッジガイド105を有し、側端エッジガイド104a,104b及び後端エッジガイド105の少なくとも一つは、用紙カセット103に収容された用紙Pに沿った方向において、用紙Pから離間する方向と、用紙Pに近接する方向とに変位することで、用紙カセット103に収容された用紙Pを整合可能である。
【0111】
この構成によれば、用紙Pの整列性を向上させることができる。したがって、用紙カセット103に収容された用紙Pが斜行されて給送されることを抑制できる。
【0112】
側端エッジガイド104a,104b及び後端エッジガイド105の少なくとも一つは、導入部190から用紙カセット103に用紙Pが導入される際に、用紙Pから離間し、導入部190からの用紙Pの導入が完了すると、用紙Pに近接する方向に変位する。
【0113】
この構成によれば、側端エッジガイド104a,104b及び後端エッジガイド105が用紙Pの導入を妨げることを抑制しつつ、用紙Pの整合性を向上できる。
【0114】
プリンター100は、ピックアップローラー142aを備え、用紙カセット103は、用紙Pが載置されるホッパー板106を有し、ホッパー板106は、ピックアップローラー142aが最上位の用紙Pを給送可能な給送位置と、ピックアップローラー142aがホッパー板106或いは最上位の用紙Pから離間した待機位置と、に変位可能である。そして、ホッパー板106は、用紙カセット103に用紙Pが導入される際に、待機位置に位置する。
【0115】
この構成によれば、ホッパー板106が給送位置に変位した状態では、ホッパー板106又はホッパー板106上の用紙Pと、ピックアップローラー142aとの間において、用紙Pの導入が困難になる虞がある。しかしながら、ホッパー板106が待機位置にある状態で用紙Pを導入することで、ホッパー板106が用紙Pの導入を妨げることを抑制できる。
【0116】
プリンター100は、用紙カセット103の内部に導入された用紙Pを、用紙Pに沿った方向に引込む引込みパドル192をさらに備える。
【0117】
この構成によれば、媒体製造装置300から用紙カセット103に導入された用紙Pを、用紙カセット103の内部において引込みパドル192によってさらに移動させることができ、用紙カセット103に導入された用紙Pの整列性をさらに向上させることができる。
【0118】
導入部190は、用紙カセット103に対して、用紙Pが用紙カセット103から第2の供給経路142へ給送される-X方向に位置し、用紙カセット103は、X軸方向と交差するY軸方向に着脱可能である。
【0119】
この構成によれば、媒体製造装置300とプリンター100が並ぶX軸方向と交差するY軸方向に用紙カセット103が着脱されるため、用紙カセット103を着脱する際に、用紙カセット103が媒体製造装置300や、給送経路や導入経路等と干渉することを抑制できる。
【0120】
媒体製造システム10は、用紙Pを製造する媒体製造装置300と、媒体製造装置300によって製造された用紙Pに記録可能なプリンター100と、を備える。
【0121】
この構成によれば、媒体製造装置300とプリンター100とを組み合わせた媒体製造システム10において、ユーザーがプリンター100の用紙カセット103に用紙Pを補充する手間を削減しつつ、プリンター100と媒体製造装置300とを含めた媒体製造システム10が必要以上に大型化することを抑制することができる。
【0122】
媒体製造システム10は、媒体製造装置300によって製造された用紙Pを、媒体製造装置300からプリンター100に搬送する中継部500をさらに備え、プリンター100は、開状態において搬送経路120の少なくとも一部を開放し、閉状態において搬送経路120の少なくとも一部を形成するカバー170をさらに有し、中継部500は、カバー170が開状態から閉状態に変位する際に通過する開閉領域Sと異なる位置に配置される。
【0123】
この構成によれば、プリンター100の搬送経路120におけるジャム処理の際に、中継部500がカバー170の開閉を阻害することを抑制できる。また、中継部500の周囲に開閉領域Sがあるため、開閉領域Sを利用して中継部500におけるジャム処理を行うことができる。すなわち、中継部500の搬送経路501やプリンター100の搬送経路120におけるジャム処理が容易となる。
【0124】
制御装置710は、記録部110における記録対象の用紙Pに関する記録対象情報を取得し、記録対象情報に基づいて記録対象の用紙Pを特定し、記録対象の用紙Pを、媒体製造装置300に製造させる。
【0125】
この構成によれば、記録対象の用紙Pを容易に特定でき、記録によって消費される用紙Pを優先的に自動補充できる。
【0126】
このとき、制御装置710は、記録対象情報に基づいて記録する数量を特定し、記録する数量に基づいて媒体製造装置300の製造量を制御しても良い。これにより、印刷量に応じた量だけ用紙Pを製造でき、適切な量だけ自動補充できる。
【0127】
プリンター100は、用紙カセット103に収容された用紙Pの残量を検出可能な用紙カセット残量センサー103Sを備え、制御装置710は、用紙カセット残量センサー103Sによって検出された用紙Pの残量が設定残量よりも少ない用紙Pを媒体製造装置300に製造させる。
【0128】
この構成によれば、残量が少ない用紙Pを優先的に自動補充できるため、十分な残量の用紙Pを収容させておくことができる。また、様々な種類の用紙Pを利用可能な構成において、利用に供する用紙Pを優先的に自動補充できる。これにより、利用までの待ち時間を低減可能になる。
【0129】
なお、媒体製造システム10において、プリンター100からの割り込み印刷、といった利用側の装置からの割り込み、又は、媒体製造システム10又はプリンター100を操作するユーザーからの割り込みを受け付け可能に構成しても良い。そして、制御装置710は、割り込みを受け付けた場合、その割り込みを、用紙Pの利用を特定可能な情報として入力し、この情報に基づいて、媒体製造装置300が製造する用紙Pの種類を制御しても良い。
【0130】
一般的に、割り込みが発生した場合、優先順位が高いと考えられるので、優先順位が高い用紙Pを優先的に自動補充できる。ここで、割り込み発生時に制御装置710に入力される情報は、割り込み印刷であることを示す情報と、印刷対象の用紙Pの種類及び数量を特定可能な情報とを含むことが好ましい。この構成によれば、割り込みに使用する用紙Pの種類及び数量を特定でき、適切な製造がし易くなる。
【0131】
制御装置710は、媒体製造装置300が用紙Pの製造にかかる時間、及びプリンター100における用紙Pの使用頻度の少なくとも一方に基づいて、設定残量を決定する。
【0132】
この構成によれば、ユーザーが用紙Pを使用したいときに用紙Pが用紙カセット103に収容された状態とすることができる。
【0133】
プリンター100は、複数の用紙カセット103を有し、各用紙カセット103ごとに異なる種類の用紙Pを収容可能である。つまり、用紙カセット103は、第1用紙を収容可能な第1カセットと、第1用紙とは異なる第2用紙を収容可能な第2カセットと、を有する。そして、制御装置710は、媒体製造装置300に第1用紙を製造させた場合、製造された第1用紙を第1カセットに収容させ、媒体製造装置300に第2用紙を製造させた場合、製造された第2用紙を第2カセットに収容させる。
【0134】
この構成によれば、媒体製造装置300によって製造された用紙Pを、適切な用紙カセット103に搬送することで、プリンター100が適切な用紙Pに記録できる。なお、第1用紙は、第1媒体に相当し、第2用紙は、第2媒体に相当する。また、第1カセットは、第1収容部に相当し、第2カセットは、第2収容部に相当する。
【0135】
制御装置710は、プリンター100が用紙カセット103に収容された用紙Pを給送していないときに、媒体製造装置300で製造された用紙Pを用紙カセット103に導入させる。
【0136】
この構成によれば、プリンター100が用紙カセット103の用紙Pを給送していないときに、媒体製造装置300から用紙Pを導入することで、用紙カセット103から給送される用紙Pと用紙カセット103に導入される用紙Pとが干渉することを抑制できる。
【0137】
2.第2実施形態
次に、第2実施形態について
図8を用いて説明する。なお、第1実施形態と同一の構成については、同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
第1実施形態では、用紙カセット103に収容された用紙Pが用紙カセット103から給送される位置と、用紙カセット103に用紙Pが導入される導入部190とは、用紙カセット103のX軸方向における中央に対して同じ方向にある形態であったが、これに限定されない。本実施形態では、用紙カセット103に収容された用紙Pが用紙カセット103から給送される位置と、用紙カセット103に用紙Pが導入される導入部190とは、用紙カセット103のX軸方向における中央に対して反対の方向にある。
【0138】
本実施形態において、媒体製造装置300は、プリンター100の+X方向に設けられる。媒体製造装置300で製造された用紙Pは、プリンター100に向けて-X方向に搬送される。すなわち、+X方向が上流、-X方向が下流となる。
【0139】
また、本実施形態の媒体製造システム10は、第1実施形態における中継部500を備えておらず、媒体製造装置300で製造された用紙Pは、媒体製造装置300からプリンター100に直接搬送される。
なお、媒体製造装置300の-X方向であって、プリンター100の+X方向に中継部500を設ける構成としても良い。
【0140】
本実施形態に係る媒体製造システム10について、第1実施形態に係る媒体製造システム10との相違点を中心に説明する。
【0141】
プリンター100の筐体101の+X方向には、媒体製造装置300によって製造された用紙Pをプリンター100に受け入れ、用紙カセット103に搬送する導入経路183が形成されている。導入経路183は、搬送経路120を構成する。媒体製造装置300からプリンター100に進入した用紙Pは、導入経路183を搬送され、導入部190から用紙カセット103に導入される。
【0142】
導入経路183は、用紙カセット103の+X方向に位置する。導入経路183は、-X方向に用紙Pを搬送しながら、複数の用紙カセット103に向けて分岐する。導入経路183には、用紙Pに搬送力を付与する不図示の搬送ローラー対が設けられている。
【0143】
なお、導入経路183が、複数の用紙カセット103に向けて分岐しなくても良い。すなわち、媒体製造装置300に複数の排出部305が設けられ、プリンター100にそれぞれ独立した複数の導入経路183が設けられ、複数の用紙カセット103まで、それぞれ独立した複数の導入経路183によって用紙Pが搬送されても良い。
【0144】
導入経路183によって用紙カセット103に向けて-X方向に搬送された用紙Pは、用紙カセット103に形成された導入部190から用紙カセット103に導入される。本実施形態の導入部190は、用紙カセット103の+X方向に位置する。本実施形態において、導入経路183は、第2搬送経路の一例である。また、第1実施形態と同様、用紙カセット103から記録部110に用紙Pが搬送される第2の供給経路142は、給送経路及び第1搬送経路の一例である。
【0145】
導入部190から用紙カセット103に導入された用紙Pは、引込みパドル192により、用紙カセットの内部において用紙Pに沿った方向に引込まれる。具体的には、引込みパドル192は、用紙カセット103に導入された媒体を、-X方向に移動させるように搬送力を付与する。
【0146】
ここで、用紙カセット103に収容された用紙Pは、記録部110によって記録される際に、第2の供給経路142に備わるピックアップローラー142aによって-X方向に給送される。また、ピックアップローラー142aは、導入部190から用紙カセット103に導入された用紙Pを、用紙カセット103の内部において-X方向に移動させることができる。
【0147】
具体的には、ピックアップローラー142aは、用紙カセット103の上方に設けられている。ピックアップローラー142aは、正転することにより、用紙カセット103に積層状態で収容された用紙Pのうち、最上位の用紙Pを記録部110に向けて給送し、また、同じく正転することにより、用紙カセット103に導入された用紙Pを用紙カセット103の内部において-X方向に移動させる。
【0148】
つまり、用紙カセット103に収容された用紙Pが給送される給送方向と、導入部190から用紙カセット103に用紙Pが導入される導入方向とは、同じ方向である。換言すると、導入方向は、給送方向と同じ方向である。
なお、給送方向及び導入方向は、-X方向に沿った方向でなくても良く、-X方向成分を含んでいれば良い。したがって、導入方向は、給送方向と同一の方向でなくても良く、給送方向と同一方向の成分を有していれば良い。
【0149】
また、導入部190は、用紙カセット103のX軸方向における中央よりも+X方向に位置している。そして、用紙カセット103から給送される用紙Pは、用紙カセット103のX軸方向における中央よりも-X方向の位置から給送される。つまり、用紙カセット103に収容された用紙Pが用紙カセット103から給送される位置と、導入部190とは、用紙カセット103のX軸方向における中央に対して反対の方向にある。なお、第1実施形態と同様、用紙カセット103は、筐体101に対してY軸方向に挿抜することで、着脱できる。
【0150】
以上説明したように、本実施形態のプリンター100において、導入部190は、用紙カセット103に対して、用紙Pが用紙カセット103から第2の供給経路142へ給送される-X方向と反対の+X方向に位置し、媒体製造装置300によって製造された用紙Pは、-X方向に搬送され、用紙カセット103に導入される。
【0151】
この構成によれば、用紙カセット103から用紙Pが給送される給送方向と、用紙カセット103に用紙Pが導入される導入方向とが、同じ方向となるため、用紙カセット103から給送される用紙Pと、用紙カセット103に導入される用紙Pとが、干渉することを抑制でき、用紙Pの搬送が容易となる。
【0152】
また、搬送経路120は、用紙カセット103から記録部110に用紙Pが搬送される第2の供給経路142を有し、第2の供給経路142には、用紙カセット103に収容された用紙Pのうち、最上位の用紙Pを給送するピックアップローラー142aが設けられ、ピックアップローラー142aは、用紙カセット103に導入された用紙Pを用紙カセット103の内部において導入方向に移動可能である。
【0153】
この構成によれば、用紙カセット103から最上位の用紙Pを給送するピックアップローラー142aにより、媒体製造装置300から用紙カセット103に導入された用紙Pを、さらに導入方向に搬送することで、用紙カセット103に導入された用紙Pの整列性を向上させることができる。
【0154】
3.第3実施形態
次に、第3実施形態について
図9A及び
図9Bを用いて説明する。なお、第1実施形態或いは2実施形態と同一の構成については、同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
図9A及び
図9Bは、本実施形態の媒体製造システム10の概略図であり、
図9Aは、プリンター100と媒体製造装置300とを近接させた状態を示し、
図9Bは、プリンター100と媒体製造装置300とを離間させた状態を示す。本実施形態において、プリンター100による用紙Pへの印刷は、
図9Aに示すように、プリンター100及び媒体製造装置300が互いに近接した状態で実行される。
【0155】
第3実施形態では、第2実施形態と同様、媒体製造装置300がプリンター100の+X方向に配置される。このため、媒体製造装置300で製造された用紙Pは-X方向に搬送され、用紙カセット103の+X方向の端部に形成された導入部190から用紙カセット103の内部に導入される。つまり、本実施形態においても、導入部190は、用紙カセット103のX軸方向における中央よりも+X方向、すなわち用紙Pの給送方向である-X方向とは反対の方向に位置している。
【0156】
第3実施形態に係る用紙カセット103は、筐体101に対してX軸方向に挿抜することで、着脱できる。具体的には、用紙カセット103は、筐体101に対して+X方向に引き出されることで筐体101から取り外され(
図9B参照)、筐体101に対して-X方向に挿入されることで筐体101に取り付けられる(
図9A参照)。
【0157】
用紙カセット103は、媒体製造装置300の保持部15によって保持される。具体的には、用紙カセット103の+X方向の端部が、保持部15に保持される。保持部15の構成は、媒体製造装置300が用紙カセット103を保持できればどのような構成でも良い。
【0158】
媒体製造装置300には、複数の排出部305が設けられている。媒体製造部310によって製造された用紙Pは、導入経路302によって-X方向に搬送される。導入経路302は、複数の排出部305に向けて分岐する。導入経路302によって搬送された用紙Pは、いずれかの排出部305によって、保持部15に保持された用紙カセット103に導入される。
【0159】
媒体製造装置300及びプリンター100を近接させたり、離間させたりすることにより、媒体製造装置300の保持部15に保持された用紙カセット103を、プリンター100に対して着脱できる。つまり、媒体製造装置300を、プリンター100に対してX軸方向に相対移動させることで、保持部15に保持された用紙カセット103は、プリンター100に対して着脱できる。
【0160】
例えば、媒体製造装置300を+X方向に移動させることで、用紙カセット103をプリンター100から取り外すことができ、媒体製造装置300を-X方向に移動させることで、用紙カセット103をプリンター100に取り付けることができる。また、プリンター100を-X方向に移動させることで、用紙カセット103をプリンター100から取り外すことができ、プリンター100を+X方向に移動させることで、用紙カセット103をプリンター100に取り付けることができる。
【0161】
なお、媒体製造装置300及びプリンター100をX軸方向において互いに逆方向に移動させることで、用紙カセット103を着脱しても良い。
【0162】
本実施形態の媒体製造システム10は、用紙Pを製造する媒体製造装置300と、媒体製造装置300によって製造された用紙Pに記録可能なプリンター100と、を備え、導入部190は、用紙カセット103に対して、用紙Pが用紙カセット103から第2の供給経路142へ給送される-X方向と反対の+X方向に位置し、用紙カセット103は、媒体製造装置300に保持され、プリンター100に対してX軸方向に相対移動させることにより、プリンター100に対して着脱可能である。なお、導入部190は、用紙カセット103に対して、用紙カセット103から用紙Pが給送される方向と同じ-X方向に位置しても良い。
【0163】
通常、用紙カセット103を着脱する方向に媒体製造装置300が配置されている構成において、用紙カセット103にユーザーが用紙を補充する場合には、媒体製造装置300を移動させ、その後で用紙カセット103の着脱を行う必要がある。
これに対し、本実施形態の構成によれば、用紙カセット103が媒体製造装置300の保持部15に保持されているため、媒体製造装置300を移動させることにより、用紙カセット103が着脱される。これにより、用紙Pの補充を容易に行うことができる。
【0164】
4.変形例
なお、上述した実施形態に種々の変更や改良等を加えることも可能である。変形例を以下に述べる。
【0165】
第1実施形態から第3実施形態の媒体製造システム10は、用紙Pの原料に好適な古紙が発生し、且つ、用紙Pが利用されるオフィス等に設置することが好ましい。これにより、リサイクル対応型の印刷や、オフィスでの紙再生が可能になる。
【0166】
第1実施形態から第3実施形態の媒体製造システム10は、様々な用紙Pを各用紙カセット103に導入できるので、用紙Pの製造時間が、用紙Pの利用時間、すなわち印刷される時間帯に制約され難くなる。例えば、媒体製造システム10をオフィスに設置した場合に、用紙Pの製造を、周囲に人が少ない時間帯に行いつつ、人が多い時間帯、すなわち印刷が多い時間帯に、十分な用紙Pを用紙カセット103に収容しておくことができる。また、電気料金の安い時間帯に用紙Pを製造し用紙カセット103に収容しておくことも可能である。
【0167】
第1実施形態から第3実施形態の媒体製造システム10において、媒体製造装置300は、坪量、形状及び色の少なくともいずれかが異なる用紙Pを製造可能であることが好ましい。これにより、用紙Pを利用する側の要望により対応し易くなる。
【0168】
第1実施形態から第3実施形態の媒体製造システム10において、用紙Pの原料は製造可能な範囲で特に限定しなくても良い。さらに、媒体製造装置300が原料の異なる用紙Pを製造できるように、様々な原料を供給可能な構成を有しても良い。これによって、用紙Pを利用する側の要望に合う原料で用紙Pを製造できる。
【0169】
第1実施形態から第3実施形態の媒体製造システム10において、媒体製造装置300は、乾式で構成されることが好ましい。いわゆる湿式で構成する場合と比べて、水関係の設備を不要若しくは簡略化でき、オフィス等への設置に好適である。ただし、湿式で構成されても良い。
【0170】
第1実施形態から第3実施形態の媒体製造システム10において、プリンター100に代えて異なる経路配置のプリンターを適用しても良い。すなわち、搬送経路120の配置は任意である。例えば、合流経路181が第2の供給経路142以外の経路に合流しても良い。
【0171】
第3実施形態の媒体製造システム10において、媒体製造装置300がプリンター100の-X方向に位置し、用紙カセット103が-X方に引き出される構成でも良い。
【0172】
第2実施形態のプリンター100において、導入経路183のジャム処理を行うカバーが設けられても良い。カバーは、例えば、筐体101のY軸方向の側面に設けられることが望ましい。
【0173】
第1実施形態及び第2実施形態のプリンター100において、用紙カセット103がX軸方向に着脱可能な構成であっても良い。その場合、X軸方向において、用紙カセット103の引き出し方向とは反対の方向に媒体製造装置300を設けることが望ましい。
【0174】
第1実施形態のプリンター100において、用紙カセット103に導入される用紙Pがスイッチバックされて搬送されても良い。すなわち、第2の供給経路142に合流した用紙Pが+Z方向に搬送され、用紙Pの全体が第2の供給経路142に合流した後に、用紙Pが用紙カセット103に向けて-Z方向に搬送されても良い。
【0175】
第1実施形態のプリンター100において、制御装置710は、用紙Pを導入しているのか、給送しているのかを判別できることが望ましい。
【0176】
第2実施形態のプリンター100において、用紙カセット103への用紙Pの導入は、用紙カセット103から用紙Pが給送されているときに行われても良いが、給送されていないときに行われることが望ましい。
【0177】
第1実施形態から第3実施形態のプリンター100において、用紙カセット103には、ユーザーが用紙Pを補充しても良い。つまり、記録部110は、媒体製造装置300が製造した用紙P以外の用紙Pに記録しても良い。
【0178】
第1実施形態から第3実施形態のプリンター100において、媒体製造装置300で製造された用紙Pが、用紙カセット103に導入されることなく、記録部110に搬送され、記録部110によって印刷されても良い。つまり、媒体製造装置300によって製造された用紙Pは、第2の供給経路142に供給され、第2の供給経路142から記録部110に搬送されても良い。このような構成によっても、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0179】
第1実施形態から第3実施形態のプリンター100において、媒体製造装置300から用紙Pを導入した用紙カセット103については、制御装置710が、紙種等、用紙Pについての情報を記憶しても良い。
【0180】
第1実施形態のプリンター100において、導入経路は、給送経路である第2の供給経路142と完全に別の経路でも良い。すなわち、給送経路と導入経路とが、第1搬送領域を共有しなくても良い。
【0181】
第1実施形態から第3実施形態のプリンター100において、用紙カセット103は、引込みパドル192が用紙Pを突き当てる突き当て面を備えても良い。
【0182】
第1実施形態から第3実施形態のプリンター100において、用紙Pを搬送する搬送経路120が湾曲する場合は、緩やかな湾曲であることが望ましい。そのため、特に第1搬送領域を共有する場合には、用紙カセット103に搬送される用紙Pと記録部110に搬送される用紙Pとの双方が、緩やかな湾曲を搬送されるような経路であることが望ましい。
【0183】
第1実施形態から第3実施形態のプリンター100において、ユーザーがセットした用紙Pと、媒体製造装置300によって製造された用紙Pとが混在しないようにしても良い。例えば、媒体製造装置300によって製造された用紙Pを収容する用紙カセット103を指定できるようにしても良い。その際、1つの用紙カセット103を指定しても良く、複数の用紙カセット103を指定しても良い。
【0184】
第1実施形態の媒体製造システム10において、プリンター100、媒体製造装置300、中継部500は、それぞれ-Y方向にカバーがあっても良い。これらのカバーは、ジャム処理のためのカバーであっても、その他の用途のカバーであっても良い。
【0185】
第1実施形態及び第2実施形態のプリンター100において、用紙カセット103は、筐体101に対してY軸方向に着脱可能であったが、用紙カセット103の着脱方向はY軸方向に限定されない。ただし、給送方向及び導入方向であるX軸方向とは交差する方向であることが望ましい。
【0186】
第1実施形態から第3実施形態の媒体製造システム10において、制御装置710は、プリンター100に設けられていたが、媒体製造装置300及び中継部500のいずれか一つの装置に設けられても良く、制御する対象に応じてプリンター100、媒体製造装置300及び中継部500のうちの複数の装置に分かれて設けられても良く、また、いずれの装置とも別に設けられても良い。
【0187】
第1実施形態から第3実施形態の媒体製造システム10において、プリンター100は、インクジェット方式で印刷を行うインクジェットプリンターに限定されず、サーマル式、ドットインパクト式、レーザー式等であっても良い。また、ラインヘッドで印刷を行うラインプリンターに限定されず、シリアルプリンターや、ページプリンター等であっても良い。また、プリンター100は、少なくとも印刷媒体に印刷する印刷機能を有していればよく、印刷機能以外の機能も併せ持つ複合機であっても良い。
【符号の説明】
【0188】
10…媒体製造システム、15…保持部、100…プリンター、101…筐体、103…用紙カセット、103S…用紙カセット残量センサー、104a,104b…側端エッジガイド、105…後端エッジガイド、106…ホッパー板、106a…載置面、110…記録部、111…記録ヘッド、120…搬送経路、130…搬送部、131…搬送ローラー対、132…ベルト搬送部、133…駆動ローラー、134…従動ローラー、135…ベルト、140…供給経路、141…第1の供給経路、141a…カバー、141b…挿入口、142…第2の供給経路、142a…ピックアップローラー、143…第3の供給経路、144…第1駆動ローラー対、145…分離ローラー対、146…第2駆動ローラー対、146a…駆動ローラー、146b…従動ローラー、147…分岐機構、148…第3駆動ローラー対、149…整列ローラー対、150…排出経路、151…下流側排出経路、155…排出口、156…載置台、157…縦側壁、160…分岐経路、161…分岐経路ローラー対、170…カバー、181…合流経路、183…導入経路、190…導入部、192…引込みパドル、300…媒体製造装置、301…古紙残量センサー、302…導入経路、305…排出部、310…媒体製造部、500…中継部、501…搬送経路、504…中継搬送部、505…受入口、507…筐体、508…排出口、710…制御装置、711…メインプロセッサー、712…ROM、713…RAM、714…センサーI/F、715…駆動部I/F、716…表示パネル、717…タッチセンサー、720…不揮発性記憶部、721…設定データ、722…表示データ、P…用紙、S…開閉領域。