(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024024820
(43)【公開日】2024-02-26
(54)【発明の名称】液体吐出装置、及び液体吐出装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
B41J 2/165 20060101AFI20240216BHJP
【FI】
B41J2/165 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022127732
(22)【出願日】2022-08-10
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】小松 勇太
(72)【発明者】
【氏名】情野 健朗
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EB23
2C056EB29
2C056EB30
2C056EC22
2C056EC28
2C056JA04
2C056JA20
2C056JA21
(57)【要約】
【課題】交換後の調整液収容部に収容される調整液が凍っている場合、調整液収容部の交換後に、保湿液に関するメンテナンスが正常に行えない虞がある。
【解決手段】液体吐出装置11は、液体吐出部20に接触して、キャッピング空間CSを形成可能なキャップ51と、キャップ51を保湿する保湿液L1aを収容する保湿液収容部61と、保湿液収容部61に収容される保湿液L1aの液量を調整する濃度調整液L1bを収容する収容体160が装着可能な収容体装着部200と、交換検出部91bと、保湿液L1aに関するメンテナンスを制御する制御部90と、を有し、制御部90は、交換検出部91bが収容体160の交換を検出した場合、収容体160の交換を検出してから所定時間Tm経過するまで、保湿液L1aに関するメンテナンスを規制する。
【選択図】
図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体をノズルから吐出する液体吐出部と、
前記液体吐出部に接触して、前記ノズルが開口する閉空間を形成可能なキャップと、
前記キャップを保湿する保湿液を収容する保湿液収容部と、
前記保湿液収容部に収容される前記保湿液の液量を調整する調整液を収容する収容体が装着可能な収容体装着部と、
前記収容体装着部に装着された前記収容体の交換を検出可能な交換検出部と、
前記保湿液に関するメンテナンスを制御する制御部と、
を有し、
前記制御部は、前記交換検出部が前記収容体の交換を検出した場合、前記収容体の交換を検出してから所定時間経過するまで、前記保湿液に関するメンテナンスを規制する、
ことを特徴とする液体吐出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の液体吐出装置であって、
前記制御部は、前記液体吐出装置の雰囲気温度が予め設定される閾値より低い場合、前記保湿液に関するメンテナンスを規制する、
ことを特徴とする液体吐出装置。
【請求項3】
請求項2に記載の液体吐出装置であって、
前記制御部は、前記保湿液に関するメンテナンスを規制している期間において、前記雰囲気温度が前記閾値より高い場合、前記保湿液に関するメンテナンスの規制を解除する、
ことを特徴とする液体吐出装置。
【請求項4】
請求項1または2に記載の液体吐出装置であって、
前記保湿液収容部と前記キャップとを連通する循環経路と、
前記循環経路内で前記保湿液を流動するポンプと、
を有し、
前記保湿液に関するメンテナンスは、前記循環経路内における前記保湿液の循環動作である、
ことを特徴とする液体吐出装置。
【請求項5】
請求項1または2に記載の液体吐出装置であって、
前記保湿液収容部に収容される前記保湿液の量を検出する液量検出部を有し、
前記液量検出部の検出結果に基づいて、前記収容体に収容される前記調整液を前記保湿液収容部に供給する、
ことを特徴とする液体吐出装置。
【請求項6】
請求項1に記載の液体吐出装置であって、
前記制御部は、前記交換検出部を介して、前記収容体から取得した前記収容体に関する情報に基づいて、前記収容体の交換を検出する、
ことを特徴とする液体吐出装置。
【請求項7】
請求項2に記載の液体吐出装置であって、
前記調整液の主成分は水であって、前記閾値は0℃より高い、
ことを特徴とする液体吐出装置。
【請求項8】
液体をノズルから吐出する液体吐出部と、
前記液体吐出部に接触して、前記ノズルが開口する閉空間を形成可能なキャップと、
前記キャップを保湿する保湿液を収容する保湿液収容部と、
前記保湿液の濃度を調整する調整液を収容する調整液収容部と、
前記保湿液に関するメンテナンスを制御する制御部と、
前記液体吐出部、前記キャップ、前記保湿液収容部、前記調整液収容部、および前記制御部が配置される本体と、
を有し、
前記制御部は、前記本体の雰囲気温度が予め設定される閾値より低い場合、前記保湿液に関するメンテナンスを規制する、
ことを特徴とする液体吐出装置。
【請求項9】
液体をノズルから吐出する液体吐出部と、前記液体吐出部に接触して、前記ノズルが開口する閉空間を形成可能なキャップと、前記キャップを保湿する保湿液を収容する保湿液収容部と、前記保湿液の濃度を調整する調整液を収容する収容体が装着可能な収容体装着部と、を有する液体吐出装置の制御方法であって、
前記収容体装着部に装着された前記収容体の交換を検出することと、
前記保湿液に関するメンテナンスを行うことと、
を含み、
前記収容体の交換を検出した場合、前記収容体の交換を検出してから所定時間経過するまで、前記保湿液に関するメンテナンスを規制する、
ことを特徴とする液体吐出装置の制御方法。
【請求項10】
請求項9に記載の液体吐出装置の制御方法であって、
前記液体吐出装置の雰囲気温度を検出すること、を含み、
前記液体吐出装置の雰囲気温度が予め設定される閾値より低い場合、前記保湿液に関するメンテナンスを規制する、
ことを特徴とする液体吐出装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、液体吐出装置、及び液体吐出装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ノズルから媒体に液体を吐出することで記録する記録部と、ノズルの開口を囲む空間を形成可能なキャップと、キャップを加湿する加湿流体を収容する加湿流体収容部と、を備える液体吐出装置が開示されている。記録部は液体吐出部の一例である。加湿流体は保湿液の一例であり、加湿流体収容部は保湿液収容部の一例である。また、加湿流体収容部に収容される加湿流体の液量は、取り換え可能な水分収容部から水分が供給されることで調整されることが開示されている。水分は調整液の一例であり、水分収容部は調整液収容部の一例である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の液体吐出装置では、取り換え後の水分収容部に収容される水分が凍っている場合、取り換え後に実施する加湿流体に関するメンテナンスが正常に行えない虞がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
液体吐出装置は、液体をノズルから吐出する液体吐出部と、前記液体吐出部に接触して、前記ノズルが開口する閉空間を形成可能なキャップと、前記キャップを保湿する保湿液を収容する保湿液収容部と、前記保湿液収容部に収容される前記保湿液の液量を調整する調整液を収容する収容体が装着可能な収容体装着部と、前記収容体装着部に装着された前記収容体の交換を検出可能な交換検出部と、前記保湿液に関するメンテナンスを制御する制御部と、を有し、前記制御部は、前記交換検出部が前記収容体の交換を検出した場合、前記収容体の交換を検出してから所定時間経過するまで、前記保湿液に関するメンテナンスを規制する。
【0006】
液体吐出装置は、液体をノズルから吐出する液体吐出部と、前記液体吐出部に接触して、前記ノズルが開口する閉空間を形成可能なキャップと、前記キャップを保湿する保湿液を収容する保湿液収容部と、前記保湿液の濃度を調整する調整液を収容する調整液収容部と、前記保湿液に関するメンテナンスを制御する制御部と、前記液体吐出部、前記キャップ、前記保湿液収容部、前記調整液収容部、および前記制御部が配置される本体と、を有し、前記制御部は、前記本体の雰囲気温度が予め設定される閾値より低い場合、前記保湿液に関するメンテナンスを規制する。
【0007】
液体吐出装置の制御方法は、液体をノズルから吐出する液体吐出部と、前記液体吐出部に接触して、前記ノズルが開口する閉空間を形成可能なキャップと、前記キャップを保湿する保湿液を収容する保湿液収容部と、前記保湿液の濃度を調整する調整液を収容する収容体が装着可能な収容体装着部と、を有する液体吐出装置の制御方法であって、前記収容体装着部に装着された前記収容体の交換を検出することと、前記保湿液に関するメンテナンスを行うことと、を含み、前記収容体の交換を検出した場合、前記収容体の交換を検出してから所定時間経過するまで、前記保湿液に関するメンテナンスを規制する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本開示の一実施形態としての液体吐出装置の斜視図。
【
図2】液体吐出ヘッド周辺の構成要素の配置を示す模式図。
【
図3】扉が開状態にある液体吐出装置の部分正面図。
【
図5】液体吐出装置の電気的構成を示すブロック図。
【
図6】循環動作が実行されるときの保湿液の状態を示す模式図。
【
図8】濃度調整動作が実行されるときの保湿液の状態を示す模式図。
【
図10】収容体の交換監視処理を示すフローチャート。
【
図11】保湿液に関するメンテナンスおよびメンテナンス前処理を示すフローチャート。
【
図13】収容体前壁周辺の構成要素を示す部分斜視図。
【
図14】収容体が装着された収容体装着部の斜視図。
【
図15】収容体装着部に装着された収容体の前壁周辺を示す斜視図。
【
図17】収容体が取り外されるときの収容体装着部の断面斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示を実施形態に基づいて説明する。液体吐出装置は、例えば、用紙、布帛などの媒体に液体の一例であるインクを吐出して記録するインクジェット式のプリンターである。
【0010】
各図において同一部材には同一符号を付し、重複する説明は省略する。なお、本明細書において、「同じ」、「同一」、「同時」とは、完全に同じであることを指すのみならず、測定誤差を考慮して同じである場合、部材の製造ばらつきを考慮して同じである場合、および、機能を損なわない範囲で同じである場合を含むものとする。よって、例えば、「両者の寸法が同じである」とは、測定誤差、部材の製造ばらつきを考慮し、両者の寸法差が、一方の寸法の±10パーセント以内、さらに好ましくは±5パーセント以内、特に好ましくは±3パーセント以内であることを指す。
【0011】
また、各図においてX、Y、Zは、互いに直交する3つの空間軸を表している。本明細書では、これらの軸に沿った方向をX軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向とする。向きを特定する場合には、正の方向を「+」、負の方向を「-」として、方向表記に正負の符合を併用し、各図の矢印が向かう向きを+方向、矢印の反対方向を-方向として説明する。
【0012】
また、Z軸方向は、重力方向を示し、+Z方向は鉛直上向き、-Z方向は鉛直下向きを示す。このため、Z軸方向を鉛直方向と称することもある。また、X軸,Y軸を含む平面をX-Y面、X軸,Z軸を含む平面をX-Z面、Y軸,Z軸を含む平面をY-Z面として説明する。また、X-Y面は水平面となる。さらに、正方向及び負方向を限定しない3つのX、Y、Zの空間軸については、X軸、Y軸、Z軸として説明する。
【0013】
尚、各図においてX軸方向は液体吐出装置11の奥行方向であり、搬送経路19の経路幅方向であり、媒体Mの幅方向である。X軸方向のうち+X方向は液体吐出装置11の前面から液体吐出装置11の背面に向かう方向である。また-X方向は液体吐出装置11の背面から液体吐出装置11の前面に向かう方向である。
【0014】
1.実施形態1
図1に示すように、液体吐出装置11は、直方体状をなす本体12と、その+Z方向側に取り付けられる画像読取部13と自動給送部14とを備える。液体吐出装置11は、Z軸方向において-Z方向側から順に、本体12、画像読取部13、自動給送部14が積み重なる構成を有する。
【0015】
画像読取部13は、原稿に記録されている文字や写真などの画像を読み取り可能に構成される。自動給送部14は、画像読取部13に向けて原稿を給送可能に構成される。また、画像読取部13は、液体吐出装置11に指示を与えるときに操作される操作部15を有する。操作部15は、例えばタッチパネル式の液晶画面や操作用のボタンなどを有する。
【0016】
本体12は、用紙などの媒体Mを収容可能な複数の媒体収容部16を有する。本実施形態における本体12は、計四つの媒体収容部16を有する。媒体収容部16は、本体12に対して引出可能に構成される。また、本体12は、本体12内において媒体Mにインクを吐出することで記録を行う液体吐出部20を有する。さらに、本体12は、記録が行われた媒体Mが載置される載置部17をその+Z方向側に有する。載置部17は、媒体Mが載置される載置面17aを有する。なお、媒体収容部16の数は1つのみでもよい。
【0017】
媒体収容部16に収容された媒体Mは、搬送経路19に沿って、媒体収容部16から液体吐出部20を通過し、載置部17まで搬送される。不図示の給送ローラーが媒体収容部16に収容された複数の媒体Mのうち最上位のものと接して回転することにより、その最上位の媒体Mが媒体収容部16から媒体収容部16の+Z方向側に位置する液体吐出部20に向けて送り出される。媒体Mが液体吐出部20を通過するときに、液体吐出部20は媒体Mに向かってノズル22(
図2参照)からインクを吐出し、吐出したインクを媒体Mに付着させて記録する。記録後の媒体Mは、不図示の排出ローラー対により、載置部17に向けて排出される。
【0018】
本体12は、-X方向側の側面である前面に、扉18を備える。扉18は、
図3に示すように、液体吐出装置11が本体12に備える液体収容体装着部30、及び収容体装着部200にユーザーがアクセス可能な開状態と、液体収容体装着部30、及び収容体装着部200を覆う閉状態(
図1参照)と、を取り得る。
【0019】
図2に示すように、液体吐出部20が備える液体吐出ヘッド21の周辺には、搬送経路19に対して液体吐出部20が位置する側とは反対側に、キャップ装置50が備えるキャップ51と、ワイパー装置40が備えるワイパー41とが配置される。液体吐出部20は、液体吐出ヘッド21と、液体吐出ヘッド21を保持する支持部25とを備える。
【0020】
液体吐出ヘッド21は、X軸方向に延在する状態で、複数のノズル群を構成する複数のノズル22から媒体Mにインクを吐出するように構成される。液体吐出ヘッド21が媒体Mにインクを吐出するときに、インクが吐出される方向を吐出方向Y1という。また、液体吐出ヘッド21が媒体Mにインクを吐出するときに、媒体Mが搬送される方向を第1搬送方向Z1という。
【0021】
本実施形態においては、ノズル22が配置されるノズル面23は水平ではなく、水平に対して第1所定角度θ1を有する。すなわち、本実施形態においては、ノズル面23が水平に対して第1所定角度θ1を有した状態で液体吐出ヘッド21が配置され、その状態で液体吐出ヘッド21が媒体Mにインクを吐出する。なお、ノズル22が配置されるノズル面23が水平に配置されてもよい。すなわち、ノズル面23が水平の状態で液体吐出ヘッド21が配置されてもよい。
【0022】
本実施形態の液体吐出ヘッド21は、第1搬送方向Z1及び吐出方向Y1と交差するX軸方向において、媒体Mの幅全域に亘りインクを同時に吐出可能な数のノズル22を有するラインヘッドである。液体吐出装置11は、一定速度で搬送される媒体Mに向かって、その幅全域と対向する位置にある複数のノズル22からインクを吐出することでライン印刷を行う。
【0023】
液体吐出装置11においては、液体吐出ヘッド21のノズル22の目詰まり、または異物の付着などに起因して生じる吐出不良の予防または解消のために、キャッピング、クリーニング、フラッシング、ワイピングなどの液体吐出部20に関するメンテナンス動作が行なわれる。
【0024】
キャッピングとは、液体吐出ヘッド21が液体の吐出を行わないときに、キャップ51が、液体吐出ヘッド21のノズル面23に接触し、ノズル22が開口するキャッピング空間CSを形成する動作をいう。キャッピングによって、ノズル22内の液体の増粘が抑制されるため、吐出不良の発生が予防できる。キャッピング空間CSは、閉空間の一例である。
【0025】
クリーニングとは、液体吐出ヘッド21に供給される液体の供給方向上流側を加圧してノズル22から強制的にインクを排出する、あるいは液体吐出ヘッド21のノズル22に吸引力を加えてノズル22から強制的にインクを排出する動作をいう。
【0026】
フラッシングとは、ノズル22から記録とは関係のない液滴が排出されるための吐出動作をいう。フラッシングは空吐出ともいう。フラッシングによって、ノズル22から吐出不良の原因となる増粘インク、気泡または異物を排出するため、ノズル22の目詰まりを予防することができる。液体吐出ヘッド21から排出された液体のうち、記録には使用されないインクを廃液L2(
図4参照)という。フラッシングによって排出された液体は、記録には使用されないため廃液L2である。フラッシングによって排出された廃液L2は、キャップ51に受容される。すなわち、液体吐出ヘッド21がキャップ51内に向かってノズル22から液滴を吐出することで、フラッシングが行なわれる。
【0027】
ワイピングとは、ゴムワイパーや布ワイパー等によりノズル面23を払拭する動作をいう。ワイピングによって、液体吐出ヘッド21のノズル面23に付着するインク、および塵埃などの汚れが除去される。なお、ワイピングによって払拭されたインクも、記録には使用されないため、廃液L2である。
【0028】
液体吐出ヘッド21が媒体Mにインクを吐出するとき、すなわち、液体吐出ヘッド21が媒体Mに記録するときの液体吐出部20の位置を記録位置という。また、液体吐出ヘッド21が媒体Mにインクを吐出するときのキャップ51の位置を退避位置という。また、液体吐出装置11が液体吐出部20に関するメンテナンス動作を行うときの液体吐出部20の位置をメンテナンス位置という。液体吐出装置11が液体吐出部20に関するメンテナンス動作を行うときのキャップ51の位置もメンテナンス位置という。
【0029】
キャップ51は、不図示のキャップ移動機構によって、
図2に実線で示す退避位置と、
図2に二点鎖線で示すメンテナンス位置との間で移動される。キャップ51が退避位置からメンテナンス位置に移動する方向を第3方向D3という。キャップ51がメンテナンス位置から退避位置に移動する方向を第4方向D4という。
【0030】
図2に示すように、キャップ51が、
図2に実線で示す退避位置から第3方向D3へ移動し、
図2に二点鎖線で示すメンテナンス位置に位置した後に、液体吐出部20が、
図2に実線で示す記録位置から第1方向D1へ移動し、
図2に二点鎖線で示すメンテナンス位置に位置する。これにより、液体吐出部20がキャップ51によって、キャッピングされる。本実施形態においては、このキャッピング状態で、液体吐出ヘッド21がキャップ51内に向かってノズル22から液滴を吐出することで、フラッシングが行なわれる。すなわち、本実施形態の液体吐出装置11においては、メンテナンス位置において、キャッピングとフラッシングの両方が行なわれる。フラッシングは、液体吐出ヘッド21がキャップ51から離れている状態で行ってもよい。
【0031】
ワイパー41は、ワイパー装置40が有する不図示のワイパー移動機構が駆動されることで、X軸に沿う方向に移動する。液体吐出部20が
図2に二点鎖線で示すメンテナンス位置に位置する状態で、液体吐出部20より+X方向側の待機位置から液体吐出部20より-X方向側の折り返し位置までワイパー41が-X方向に移動する。これにより、液体吐出ヘッド21のノズル面23は、ワイパー41によってワイピングされる。ワイピングが終了すると、液体吐出部20が、メンテナンス位置から第2方向D2へ移動し、
図2に実線で示す記録位置に位置する。その後に、ワイパー41が、折り返し位置から+X方向に移動し、待機位置に位置する。
【0032】
メンテナンスが終了すると、液体吐出部20が、
図2に二点鎖線で示すメンテナンス位置から第2方向D2へ移動し、
図2に実線で示す記録位置に位置する。その後に、キャップ51が、
図2に二点鎖線で示すメンテナンス位置から第4方向D4へ移動し、
図2に実線で示す退避位置に位置する。なお、このとき、ワイパー41は、X軸方向において液体吐出部20、及びキャップ51と重ならない位置に位置する。
【0033】
図4に示すように、液体吐出装置11は、本体12に、液体収容体装着部30と、キャップ装置50と、濃度調整液L1bを収容する収容体160が装着可能な収容体装着部200と、温度センサー91aと、制御部90と、を備える。
【0034】
液体収容体装着部30には、液体吐出部20が吐出するインクを収容する液体収容体35が着脱可能に装着される。本実施形態の液体収容体35は、液体収容体35a,35b,35c,35dを含む。各液体収容体35a,35b,35c,35dは、インクの一例として、ブラックインク、シアンインク、マゼンタインク、イエローインクのいずれかを収容する。各液体収容体35a,35b,35c,35dが収容するインクは、供給チューブ36を介して液体吐出部20に供給される。
【0035】
キャップ装置50は、キャップ51と、不図示のキャップ移動機構と、保湿液循環機構60と、廃液収集機構80とを備える。
【0036】
図4に示すように、キャップ装置50が備えるキャップ51は、第1透湿膜54と、加湿室55と、ケース56と、凹部57とを有する。
【0037】
第1透湿膜54は、ケース56の内部空間を凹部57と加湿室55とに区画する。第1透湿膜54は、気体透過性を有するシート状の部材である。第1透湿膜54は気体の通過を許容するが、液体の通過を規制する。本実施形態においては、第1透湿膜54に用いられる材料は、フッ素樹脂を布地にコーティングした素材である。第1透湿膜54に用いられる材料は、液体を通さず、気体を通すものであれば何でもよく、フィルム膜やエラストマー膜であってもよい。
【0038】
ケース56には、ケース56の内部空間を第1透湿膜54が区画することによって、加湿室55と凹部57とが設けられる。凹部57には、液体吐出ヘッド21から排出される廃液L2を保持可能な吸収体が配置される。キャップ51が液体吐出部20をキャッピングするとき、ケース56は液体吐出ヘッド21のノズル面23に接触する。このとき、凹部57は、ノズル22の開口を囲むキャッピング空間CSを形成する。
【0039】
ケース56の凹部57には、凹部57が形成するキャッピング空間CSを大気と連通可能な大気連通孔56aが配置される。また、ケース56の凹部57には、液体吐出ヘッド21から排出される廃液L2をキャップ51から排出可能な排出孔56bが配置される。
【0040】
加湿室55は、第1透湿膜54を介して、凹部57が形成するキャッピング空間CSを保湿するための後述する保湿液L1aが流入する流入口55aと、保湿液L1aが流出する流出口55bとを有する。第1透湿膜54は液体透過性を有しないため、第1透湿膜54は、加湿室55内の液体の凹部57への通過を規制する。これにより、加湿室55において、流入口55aより流入した液体は、流出口55bより流出する。
【0041】
図4に示すように、キャップ装置50が備える保湿液循環機構60は、キャップ51を保湿する保湿液L1aを収容する保湿液収容部61と、供給流路62a、および回収流路62bを含む循環経路62とを備える。供給流路62aは、保湿液収容部61とキャップ51の流入口55aとを連通する。すなわち、供給流路62aは、保湿液収容部61とキャップ51とを連通する。回収流路62bは、流出口55bと保湿液収容部61とを連通する。すなわち、回収流路62bは、キャップ51と保湿液収容部61とを連通する。
【0042】
保湿液収容部61は、流入部61fと流出部61gを有する。保湿液収容部61は、流入部61fにおいて、回収流路62bと連通する。保湿液収容部61は、流出部61gにおいて、供給流路62aと連通する。
【0043】
保湿液循環機構60において、循環経路62内で流動する保湿液L1aは、凹部57が形成するキャッピング空間CSを保湿するための水分を含む液体である。保湿液L1aの保湿力は、液体吐出ヘッド21から吐出されるインクの保湿力と同等であることが望ましい。保湿力とは、保湿液L1aや、液体吐出ヘッド21から吐出されるインクに含まれる保湿剤の濃度である。例えば、液体吐出ヘッド21が、用紙などの媒体にインクを吐出して記録するときは、保湿液L1aの保湿力は、液体収容体35に収容される使用期限内のインクの保湿力と同等であることが望ましい。また、インクの保湿力は、各色で釣り合っていることが望ましい。
【0044】
保湿液収容部61は、凹部57が形成するキャッピング空間CSを保湿するための水分を含む保湿液L1aを収容する。保湿液収容部61は、保湿液収容部61内における保湿液L1aの液面を検知することで、保湿液収容部61に収容される保湿液L1aの液量を検出する液量検出部61aを有する。液量検出部61aは、第1電極61bと、第2電極61cとを有する。
【0045】
保湿液L1aは、主成分が純水であり、導電性の添加剤を含む。保湿液L1aは、防腐剤、界面活性剤等を含んでもよい。液量検出部61aは、第1電極61bと第2電極61cとの間の電気抵抗によって、保湿液収容部61内における保湿液L1aの液面を検知する。保湿液収容部61に収容される保湿液L1aの液面高さが、「所定の高さ」の一例である第1所定高さH1よりも高いときは、第1電極61bと第2電極61cとの間は導通する。保湿液収容部61に収容される保湿液L1aの液面高さが、第1所定高さH1よりも低く、第2所定高さH2よりも高いときは、第1電極61bと第2電極61cとの間は導通しない。このように、液量検出部61aは、第1電極61bが液面に接触するときと接触しないときとで出力レベルが変わることによって、保湿液L1aの液面高さが第1所定高さH1よりも高いか否かを判定することが可能に構成される。
【0046】
保湿液L1aの液面高さが、液量検出部61aによって第1所定高さH1を上回っていると検知されているときは、保湿液収容部61内に保湿液L1aが十分に収容されている、すなわち、保湿液収容部61が保湿液L1aにより満杯状態であることを意味する。本実施形態においては、保湿液収容部61の満杯状態が検知される。保湿液収容部61の満杯状態だけが検知されるのではなく、保湿液収容部61の空状態や空に近い状態が検知されるようにしてもよい。また、液面を検知する方式は、電極方式に限らず、光学方式や静電容量方式でもよい。
【0047】
保湿液収容部61は、第2大気連通路61dと第2透湿膜61eとを有する。第2大気連通路61dは、保湿液収容部61と大気とを連通する。第2大気連通路61dは、迷路状の細管構造を有する。迷路状の細管構造とは、空気は出入りできるが、液体の出入りがかなり制限される程度に、管路が細くかつ蛇行する複雑な経路を有する管構造をいう。迷路状の細管構造により、保湿液収容部61内の液体の蒸発が抑制される。
【0048】
第2透湿膜61eは、保湿液収容部61と第2大気連通路61dとの接続部に設けられる。また、第2透湿膜61eは、保湿液収容部61内から第2大気連通路61dへの気体の通過を許容する一方、保湿液収容部61内から第2大気連通路61dへの液体の通過を規制する。保湿液収容部61内から第2大気連通路61dへ気体が通過する効率を上げるために、第2透湿膜61eの面積は広い方が望ましい。
【0049】
保湿液循環機構60は、第1ポンプ63と、第1逆止弁64と、圧力調整弁65とを備える。第1ポンプ63は、循環経路62内で流体を流動させる。第1ポンプ63の駆動により、供給流路62aを流動する液体がキャップ51内の加湿室55に送られる。第1ポンプ63は、循環経路62内で保湿液L1aを流動可能なポンプの一例である。
【0050】
第1逆止弁64は、保湿液収容部61側からキャップ51側への液体の流動は許容し、水頭差によるキャップ51側から保湿液収容部61側への液体の逆流は阻止する。なお、第1逆止弁64の代わりに開閉弁が設けられてもよい。その開閉弁が開弁されたときの第1ポンプ63の駆動により、液体は、保湿液収容部61側からキャップ51側へ流動してもよい。なお、開閉弁の弁を開くことを、開弁する、または弁を開放するという。また、開閉弁の弁を閉じることを、閉弁する、または弁を閉鎖するという。
【0051】
圧力調整弁65は、保湿液収容部61側が所定の負圧になったときにキャップ51側から保湿液収容部61側への液体の流動を許容し、保湿液収容部61側からキャップ51側への液体の逆流を常に阻止する。液体が水頭圧によってキャップ51側から保湿液収容部61側へ流通しないように、圧力調整弁65によって、水頭差分の圧力差が調整される。
【0052】
保湿液循環機構60は、収容体160の調整液収容部166に収容される濃度調整液L1bを循環経路62内に供給可能な調整液供給部66を備える。調整液供給部66は、導出管66aと、調整液供給流路66bと、開閉弁の一例である第1開閉弁66cと、第2逆止弁66dとを備える。導出管66aは、調整液収容部166と調整液供給流路66bとを連結する。調整液供給流路66bは、循環経路62と連通する。第1開閉弁66cは、調整液供給流路66bを開閉可能に構成される。
【0053】
導出管66aは、収容体装着部200の連結壁201に配置される。収容体装着部200に収容体160が装着されることにより、収容体160が備える調整液収容部166の導出口162に、導出管66aが進入する。これにより、調整液収容部166は、調整液供給流路66bと連通する。調整液供給流路66bは、循環経路62の第1合流部62cにおいて、循環経路62と通じる。すなわち、調整液収容部166は、導出管66aを介して、循環経路62と通じる。
【0054】
調整液収容部166から循環経路62内に供給される濃度調整液L1bは、保湿液L1aから蒸発した水分を補充するための液体である。濃度調整液L1bは、純水と少量の防腐剤で構成される。濃度調整液L1bに占める純水の割合は、保湿液L1aに占める純水の割合より高くてもよい。濃度調整液L1bは、調整液の一例である。
【0055】
第1開閉弁66cの開弁により、調整液収容部166と循環経路62とが、調整液供給流路66bによって連通する。第2逆止弁66dは、調整液収容部166側から循環経路62側への液体の流動は許容し、水頭差による循環経路62側から調整液収容部166側への液体の逆流は阻止する。なお、第2逆止弁66dはなくてもよい。第2逆止弁66dがないときは、第1開閉弁66cが開弁されたときの第1ポンプ63の駆動により、第1ポンプ63は、濃度調整液L1bを調整液収容部166側からキャップ51側へ流動させてもよい。
【0056】
図4に示すように、キャップ装置50が備える廃液収集機構80は、廃液収集路81と、導入管82aと、第3ポンプ82と、バッファー室83と、第4ポンプ84と、第3大気連通路85とを有する。
【0057】
廃液収集路81は、第1廃液収集路81aと第2廃液収集路81bとを備える。第1廃液収集路81aは、キャップ51が有する排出孔56bにおいて、キャップ51の凹部57が形成するキャッピング空間CSと連通する。そして、第1廃液収集路81aは、キャッピング空間CSと導入管82aとをバッファー室83を通じて連通する。また、第2廃液収集路81bは、ワイパー41に設けられる廃液受け部流出口43において、ワイパー41と連通する。そして、第2廃液収集路81bは、ワイパー41と導入管82aとを連通する。
【0058】
導入管82aは、収容体160に備えられる廃液収容部186と廃液収集路81とを連結する。導入管82aは、収容体装着部200の連結壁201に配置される。収容体装着部200に収容体160が装着されることにより、収容体160が備える廃液収容部186の導入口182に、導入管82aが進入する。これにより、廃液収容部186は、導入管82aを介して、廃液収集路81と連通する。
【0059】
フラッシングやクリーニングなどのときに、インクが液体吐出ヘッド21のノズル22から廃液L2として排出される。廃液L2は、キャップ51内から収集されて、第1廃液収集路81aへ流動する。また、ワイピングのときに、液体吐出ヘッド21のノズル面23に付着したインクが払拭されて、廃液L2としてワイパー41に収集される。廃液L2は、ワイパー41から収集されて、第2廃液収集路81bへ流動する。フラッシングやクリーニングによって収集された廃液L2と、ワイピングによって収集された廃液L2とは、第3ポンプ82によって、廃液収容部186に送られる。そして、廃液収容部186内に廃液L2が収容される。
【0060】
本実施形態の第4ポンプ84は減圧ポンプである。第4ポンプ84は、第3大気連通路85を通じて、バッファー室83内の空気をバッファー室83外に排出することによって、バッファー室83内の気圧を下げる。これにより、フラッシングやクリーニングのときに液体吐出ヘッド21のノズル22からキャップ51の凹部57に排出された廃液L2が、第1廃液収集路81aを通じて、バッファー室83内に流入し易くなる。なお、バッファー室83と、第4ポンプ84と、第3大気連通路85とは、なくてもよい。
【0061】
キャップ51は、大気開放機構58を有する。大気開放機構58は、第1大気連通路58aと、第3開閉弁58bとを有する。
【0062】
第1大気連通路58aは、キャップ51において、凹部57に設けられる大気連通孔56aと大気とを連通する。第3開閉弁58bは、第1大気連通路58aを開閉可能な開閉弁である。本実施形態においては、第1大気連通路58aの大気側が開放されている。そして、キャップ51が
図4に二点鎖線で示すメンテナンス位置から第4方向D4へ移動して
図4に実線で示す退避位置に位置したときに、その解放された部分が不図示の壁に当たり、その壁が第1大気連通路58aを閉塞するように、キャップ装置50が構成される。すなわち、キャップ51の移動によって、第3開閉弁58bが開閉される。フラッシングやクリーニングのときは、第1大気連通路58aが開放状態で、液体吐出ヘッド21はキャップ51の凹部57にインクを排出する。
【0063】
次に、収容体160について説明する。
図4に示すように、収容体160は、調整液収容部166と、廃液収容部186と、回路基板191と、筐体161と、を有する。
【0064】
調整液収容部166は、保湿液L1aの濃度を調整する濃度調整液L1bを収容可能に、筐体161内に配置される。調整液収容部166は、可撓性を有する袋体である。調整液収容部166は、収容する濃度調整液L1bを導出可能な導出口162を有する。
【0065】
廃液収容部186は、廃液L2を収容可能に、筐体161内に配置される。廃液収容部186は、液体を吸収する吸収性を有し、吸収した液体を保持可能な吸収体、例えばスポンジ状の多孔質部材、古紙を積層させた積層体等で構成される。収容体160は、吸収体に廃液L2を導入可能な導入口182を有する。
【0066】
回路基板191は、記憶部を有する。回路基板191の記憶部には、収容体160の製造番号、収容体160に収容される濃度調整液L1bの残量、廃液収容部186に収容される廃液L2の保持量、収容体160が収容体装着部200に以前に装着された履歴およびそのときの年月日時等の情報が格納される。収容体160が収容体装着部200に装着されているとき、制御部90が回路基板191の記憶部に格納される情報にアクセス可能に、回路基板191は筐体161に配置される。本実施形態では、収容体160が収容体装着部200に装着されているとき、後述する交換検出部91bと接触可能に、回路基板191は筐体161に配置される。
【0067】
図12、
図13に示すように、筐体161は、前壁160a、後壁160b、上壁160c、底壁160d、および側壁160e,160fを有する。尚、
図12、
図13では、収容体装着部200に装着されているときの収容体160の姿勢に基づき、空間軸X,Y,Zを示している。
【0068】
前壁160aは、収容体160を収容体装着部200に装着する装着方向奥側となる+X方向側の壁である。後壁160bは、収容体160を収容体装着部200に装着する装着方向手前側となる-X方向側の壁である。上壁160cは、収容体160が収容体装着部200に装着されているとき、上方となる+Z方向側の壁である。底壁160dは、収容体160が収容体装着部200に装着されているとき、下方となる-Z方向側の壁である。側壁160eは、収容体160が収容体装着部200に装着されているとき、+Y方向側に位置する壁である。側壁160fは、収容体160が収容体装着部200に装着されているとき、-Y方向側に位置する壁である。
【0069】
筐体161の前壁160aには、調整液収容部166の導出口162と、廃液収容部186の導入口182と、回路基板191とが配置される。導出口162は、Z軸方向において、導入口182および回路基板191より-Z方向側であって、Y軸方向において、導入口182と回路基板191との間となる位置に配置される。導入口182は、前壁160aの中央より-Y方向側である側壁160f寄りとなる位置に配置される。回路基板191は、前壁160aの中央より+Y方向側である側壁160e寄りとなる位置に、装着方向奥側となる+X方向側の端部が-X方向側の端部より-Z方向となる傾斜姿勢で取り付けられる。
【0070】
また、筐体161の前壁160aには、誘導部163と、誘導部183とが設けられる。誘導部163は、導出口162から連続し、導出口162の下方となる-Z方向に延びる。誘導部163は、前壁160aのうちY軸方向において誘導部163と隣り合う部分より-Z方向に突き出る凸形状部を有する。誘導部163は、導出口162に付着する濃度調整液L1bを凸形状部に誘導する。誘導部183は、導入口182から連続し、導入口182の下方となる-Z方向に延びる。誘導部183は、前壁160aのうちY軸方向において誘導部183と隣り合う部分より-Z方向に突き出る凸形状部を有する。誘導部183は、導入口182に付着する廃液L2を凸形状部に誘導する。
【0071】
また、筐体161の側壁160eの装着方向奥側の端となる+X方向側の端には、突起165eが設けられる。突起165eは、側壁160eのうち中央より+X方向側となる部分、および底壁160dのうち中央より+X方向側となる部分より-Z方向に突き出る突起である。また、筐体161の側壁160fの装着方向奥側の端となる+X方向側の端には、突起165fが設けられる。突起165fは、側壁160fのうち中央より+X方向側となる部分、および底壁160dのうち中央より+X方向側となる部分より-Z方向に突き出る突起である。
【0072】
尚、突起165e,165fの突起形状において、装着方向奥側となる+X方向側となる部分は、
図13に示すように、突起165e,165fの根元となる+Z方向の端の位置と比較して、突起165e,165fの先端となる-Z方向の端の位置が-X方向となる方向に傾斜している。
【0073】
次に、収容体装着部200について説明する。
図4、
図14から
図17に示すように、液体吐出装置11が備える収容体装着部200は、連結壁201と、装着フレーム202と、ガイド部203と、廃液トレイ204とを有する。連結壁201、装着フレーム202、ガイド部203、および廃液トレイ204によって、収容体160が着脱可能に装着される装着空間が形成される。尚、説明のため、
図15では、連結壁201を除いた状態を示している。
【0074】
連結壁201は、装着空間の+X方向側の端を画定する。連結壁201には、導出管66aと、導入管82aと、交換検出部91bとが配置される。導出管66a、導入管82a、および交換検出部91bは、連結壁201から収容体装着部200の装着空間に突き出るように配置される。
図16に示すように、導出管66aは、Y軸方向において、導入管82aと交換検出部91bとの間に位置する。導入管82aは、導出管66aの-Y方向側に位置する。交換検出部91bは、収容体装着部200に装着された収容体160の交換を検出可能に、導出管66aの+Y方向側に配置される。
【0075】
図4に示すように、収容体装着部200に収容体160が装着されるとする。これにより、導出管66aは、収容体160が備える調整液収容部166の導出口162に進入し、調整液収容部166と調整液供給流路66bとを連通させる。また、導入管82aは、収容体160が備える廃液収容部186の導入口182に進入し、廃液収容部186と廃液収集路81とを連通させる。また、交換検出部91bは、収容体160が備える回路基板191と接触し、電気的に接続される。本実施形態の交換検出部91bは、接点式のコネクターである。
【0076】
図16、
図17に示すように、ガイド部203は、X軸方向において、導出管66aおよび導入管82aより-X方向側となる領域に配置される。ガイド部203は、装着空間の-Z方向側の端のうち、導出管66aおよび導入管82aより-X方向側を画定する。ガイド部203は、ガイド203aと、規制部265e,265fとを有する。ガイド203aは、収容体装着部200に着脱される収容体160の底壁160d(
図12、
図13参照)に接触することで、収容体160の移動をガイドする。
【0077】
規制部265e,265fは、収容体160の突起165e,165f(
図12、
図13参照)に係り合うことで、収容体160の装着方向奥側となる+X方向側端部が収容体装着部200から抜けることを規制する。規制部265e,265fは、ガイド部203の-X方向側端部にガイド部203のY軸方向に亘って設けられる段状の凸部において、Y軸方向の両端となる位置に設けられる。規制部265eは、収容体160の突起165eに係り合うように、段状の凸部のうち+Y方向の端となる位置に設けられる。規制部265fは、収容体160の突起165fに係り合うように、段状の凸部のうち-Y方向の端となる位置に設けられる。
【0078】
例えば、ユーザーが、収容体160の装着方向手前側となる-X方向側の端部を一方の手で把持し、収容体装着部200から収容体160を装着方向の反対方向となる-X方向に引き出すとする。すると、
図17に示すように、収容体160の突起165e,165fに規制部265e,265fが係り合うことで、収容体160の装着方向奥側となる+X方向側端部が収容体装着部200から抜けることが規制される。
【0079】
ユーザーは、他方の手で収容体160の底壁160d(
図12、
図13参照)の+X方向側の端部を他方の手で支え、+Z方向に収容体160を持ち上げることで、規制部265e,265fと収容体160の突起165e,165fとの係り合いを解除する。その結果、ユーザーは、収容体160の-X方向側の端部を一方の手で把持し、収容体160の+X方向側の端部を他方の手で支えた状態で、収容体装着部200から収容体160を取り外すことになる。これによれば、収容体160の-X方向側の端部を一方の手で把持した状態で、収容体装着部200から収容体160を取り外す場合と比較して、収容体160を落下させることを抑制しやすい。
【0080】
図14から
図16に示すように、廃液トレイ204は、装着空間の-Z方向側の端のうち、導出管66aおよび導入管82aより+X方向側を画定する。廃液トレイ204は、収容体160に配置される調整液収容部166の導出口162から誘導部163を介して落下する濃度調整液L1b、および廃液収容部186の導入口182から誘導部183を介して落下する廃液L2を受けて収容する受容部204aを有する。このため、
図16に示すように、廃液トレイ204の受容部204aは、X軸方向において、導出管66aおよび導入管82aが、受容部204aの+X方向の端と受容部204aの-X方向の端との間に位置するように配置される。
【0081】
これにより、例えば、収容体160が収容体装着部200に装着されているときに、導出口162から落下する濃度調整液L1b、及び導入口182から落下する廃液L2を受容部204aに収容することができる。また、収容体160が収容体装着部200に装着されていないときに、導出管66aから落下する濃度調整液L1b、及び導入管82aから落下する廃液L2を受容部204aに収容することができる。また、廃液トレイ204には、液量検出部91cが配置される。液量検出部91cは、受容部204aに収容される液体が所定量になったことを検出する液量センサーである。
【0082】
図4に示すように、液体吐出装置11は、本体12に、温度センサー91aを備える。本実施形態の温度センサー91aは、本体12内の雰囲気の温度および湿度を検出可能な温湿度センサーである。温度センサー91aは、制御部90までの距離と比較して、キャップ装置50までの距離が近い位置に配置される。温度センサー91aは、制御部90までの距離と比較して、収容体装着部200までの距離が近い位置に配置される。温度センサー91aは、制御部90の-Z方向側となる位置に配置されてもよい。
【0083】
次に、制御部90について説明する。
図5に示すように、制御部90は、液体吐出部20と、ワイパー装置40と、キャップ装置50と、を制御する。キャップ装置50に設けられる液量検出部61aは、液体吐出装置11が備える検出器群91に含まれる。液量検出部61aは、検出結果を制御部90に出力する。また、本体12に設けられる温度センサー91a、収容体装着部200に設けられる交換検出部91b、および液量検出部91cは、液体吐出装置11が備える検出器群91に含まれる。
【0084】
制御部90は、インターフェイス部94と、CPU95と、メモリー96と、制御回路97と、駆動回路98と、を有する。インターフェイス部94は、外部装置であるコンピューター99と液体吐出装置11との間でデータを送受信する。駆動回路98は、液体吐出ヘッド21のアクチュエーターを駆動させる駆動信号を生成する。
【0085】
CPU95は、演算処理装置である。メモリー96は、CPU95のプログラムを格納する領域または作業領域等を確保する記憶装置であり、RAM、EEPROM等の記憶素子を有する。CPU95は、メモリー96に格納されているプログラムに従い、制御回路97を介して、液体吐出部20、ワイパー装置40、およびキャップ装置50などを制御する。
【0086】
次に、循環動作について説明する。
図6に示すように、液体吐出装置11は、キャップ装置50において循環動作を行う。循環動作は、保湿液L1aに関するメンテナンスの一例である。循環動作のときは、第1開閉弁66cが閉弁状態で、制御部90は、保湿液循環機構60に、循環経路62内で保湿液L1aを
図6に示す実線の矢印の方向に流動させる。そして、制御部90は、保湿液L1aからの水分蒸発量を確認する。
【0087】
保湿液L1aを収容する保湿液収容部61と、保湿液収容部61とキャップ51とを連通する供給流路62aと、キャップ51と保湿液収容部61とを連通する回収流路62bと、キャップ51内の加湿室55とで、循環路が構成される。保湿液L1aは、キャップ51の凹部57が形成するキャッピング空間CSを保湿するための水分を含む。なお、循環動作のときのキャップ51内の内圧は、第1ポンプ63による循環流量の調整によって、液体吐出ヘッド21のメニスカス耐圧以下にされることが望ましい。
【0088】
図6に示すように、循環動作において、保湿液L1aは、循環経路62を
図6に示す実線の矢印の方向に流動して、循環路を循環する。制御部90が、循環経路62内で保湿液L1aを流動させることにより、保湿液L1aは、加湿室55内を流動する。保湿液L1aからの水分は、主にキャップ51内の加湿室55で蒸発する。そして、例えば、加湿室55内の保湿液L1aが保湿液収容部61内に流動し、保湿液収容部61内の保湿液L1aが加湿室55内に流動したタイミングで、制御部90は、保湿液L1aの流動を停止して、保湿液L1aからの水分蒸発量を確認する。すなわち、保湿液L1aに関するメンテナンスにおける循環動作の目的には、保湿液L1aからの水分蒸発量を確認することが含まれる。
【0089】
制御部90は、タイマー等によって時間を管理して、循環動作を定期的に実行する。例えば、液体吐出装置11の電源が投入されているときは、制御部90は循環動作を1日1回実行する。後述する循環動作のフローの最後に、制御部90は、保湿液L1aからの水分蒸発量を確認するために、液量検出部61aより、保湿液収容部61内の液面高さの情報を取得する。キャップ51内での水分蒸発量が多いと、保湿液収容部61内の液面高さは低くなる。キャップ51が
図6に示す退避位置に位置する時間、すなわち、キャップ51がノズル22(
図2参照)の開口を囲むキャッピング空間CSを形成していない時間に、水分蒸発量が多くなる。
【0090】
そのため、制御部90は、温度センサー91aにより検出される温湿度環境ごとに、キャップ51が退避位置に位置する時間を管理して、循環動作を行ってもよい。なお、液体吐出装置11が設置されて最初に媒体Mに記録を行う前や、キャップ51が新品のキャップ51に交換されて最初に媒体Mに記録が行なわれる前や、調整液収容部166が満杯の収容体160に交換されて最初に媒体Mに記録が行なわれる前に、制御部90は循環動作を実行してもよい。
【0091】
次に、
図7に示すフローチャートを参照し、循環動作のフローについて、各ステップにおける制御部90が実行する制御を順に説明する。本実施形態において、制御部90が、循環動作において実行する処理の流れは、液体吐出装置11の制御方法に該当する。
【0092】
ステップS101において、制御部90は、第1開閉弁66cが閉弁状態か否かを判定する。第1開閉弁66cが閉弁状態のときは、ステップS103に移行する。第1開閉弁66cが開弁状態のときは、ステップS102に移行する。そして、ステップS102において、制御部90は、第1開閉弁66cを閉弁させ、ステップS103に移行する。
【0093】
ステップS103において、制御部90は、第1開閉弁66cが閉弁状態で、第1ポンプ63を第1所定時間T1駆動させる。これにより、保湿液L1aが、循環経路62内で
図6に示す実線の矢印の方向に流動する。ステップS103を実行すると、制御部90は、ステップS104に移行する。
【0094】
ステップS104において、制御部90は、第1開閉弁66cが閉弁状態で、第1ポンプ63を第2所定時間T2停止させる。これにより、保湿液収容部61内の液面状態が安定する。ステップS104を実行すると、制御部90は、ステップS105に移行する。
【0095】
ステップS105において、制御部90は、液量検出部61aより、保湿液収容部61内の液面高さの情報を取得する。そして、ステップS106において、制御部90は、液面高さが第1所定高さH1より高いか否かを判定する。液面高さが第1所定高さH1より高いときは、フローを終了する。
【0096】
液面高さが第1所定高さH1より低いときは、ステップS107に移行する。そして、ステップS107において、制御部90は、後述する濃度調整動作のサブルーチンを実行する。濃度調整動作のサブルーチンが終了すると、制御部90は、フローを終了する。
【0097】
次に、濃度調整動作について説明する。
図8に示すように、キャップ装置50は濃度調整動作を行う。濃度調整動作のときは、第1開閉弁66cが開弁状態で、制御部90は、保湿液循環機構60に循環経路62内で保湿液L1aを
図8に示す実線の矢印の方向に流動させる。このとき、第1開閉弁66cが開弁状態であることにより、調整液収容部166内の濃度調整液L1bが、
図8に示す破線の矢印の方向に流動し、循環経路62内に供給される。すなわち、濃度調整動作は、調整液供給部66により濃度調整液L1bを循環経路62内に供給することと、循環経路62内で保湿液L1aを流動させることと、を含む。濃度調整動作は、保湿液L1aに関するメンテナンスの一例である。
【0098】
濃度調整動作は、前述の循環動作のフローの最後で、制御部90が保湿液収容部61内の液面高さの情報を取得したときの保湿液収容部61内の液面高さが、液量検出部61aによって「所定の高さ」の一例である第1所定高さH1を下回っていると検知されているときに、制御部90によって実行される。
【0099】
すなわち、キャップ装置50は、液量検出部61aにより保湿液収容部61内の液面が所定の高さを下回っていると検知されているときに濃度調整動作を行う場合には、その液面が所定の高さ以上になったと検知されるまで調整液収容部166内の濃度調整液L1bを循環経路62内に供給する。そして、その後、キャップ装置50は、循環経路62内で保湿液L1aを流動させる。換言すると、液体吐出装置11は、濃度調整動作において、液量検出部61aの検出結果に基づいて、収容体160に収容される濃度調整液L1bを保湿液収容部61に供給する。
【0100】
キャップ51内で保湿液L1aから水分が蒸発し、前述の循環動作によってその保湿液L1aが循環経路62内を循環する。これにより、保湿液収容部61内の水分も少なくなるため、保湿液収容部61内の液面高さは低くなる。さらに蒸発が進むと、保湿液収容部61内の液面高さが、第1所定高さH1よりも低くなる。このときの保湿液L1aの濃度が、所定の濃度よりも大きくなるように、第1所定高さH1が設定される。
【0101】
制御部90によって濃度調整動作が実行されることにより、その液面が第1所定高さH1よりも高くなるように、調整液収容部166内の濃度調整液L1bが循環経路62内に供給される。換言すると、調整液収容部166内の濃度調整液L1bが循環経路62内に供給されることで、保湿液収容部61に収容される保湿液L1aの液量が調整される。これにより、キャップ51内で蒸発した水分とほぼ同量の濃度調整液L1bが、循環経路62内に供給されて、保湿液L1aの濃度が所定の濃度よりも小さくなる。すなわち、保湿液L1aの濃度が、キャップ51内で水分が蒸発する前の保湿液L1aの濃度に戻る。
【0102】
制御部90は、濃度調整動作において、第1開閉弁66cを開弁状態にして、調整液収容部166内の濃度調整液L1bを循環経路62内に供給する。そして、制御部90は、保湿液収容部61内の液面高さが第1所定高さH1よりも高くなったと判定すると、第1開閉弁66cを閉弁状態にして、前述の循環動作を行い、保湿液収容部61内の保湿液L1aを循環経路62内で流動させる。すなわち、濃度調整動作は、調整液収容部166内の濃度調整液L1bを循環経路62内に供給する際には、開閉弁の一例である第1開閉弁66cを開放し、循環経路62内で保湿液L1aを流動させる際には、第1開閉弁66cを閉鎖することを含む。
【0103】
循環経路62の第1合流部62cにおいて、保湿液収容部61から流動する保湿液L1aと、調整液収容部166から流動する濃度調整液L1bとが合流する。保湿液収容部61から流動する保湿液L1aの体積に比べて、調整液収容部166から流動する濃度調整液L1bの体積が多いときは、保湿液収容部61内の液面高さの変化速度が速くなって液面検知ばらつきが大きくなるため、液面高さをタイミングよく検知することが難しい。そのため、第1合流部62cにおいて、調整液収容部166側の流路の圧力損失が、保湿液収容部61側の流路の圧力損失に比べて、同じか大きくなるように設定されることが望ましい。
【0104】
次に、
図9に示すフローチャートを参照し、濃度調整動作のフローについて、各ステップにおける制御部90が実行する制御を順に説明する。本実施形態において、制御部90が、濃度調整動作において実行する処理の流れは、液体吐出装置11の制御方法に該当する。
【0105】
ステップS201において、制御部90は、第1開閉弁66cが開弁状態か否かを判定する。第1開閉弁66cが開弁状態のときは、ステップS203に移行する。第1開閉弁66cが閉弁状態のときは、ステップS202に移行する。ステップS202において、制御部90は、第1開閉弁66cを開弁させ、ステップS203に移行する。
【0106】
ステップS203において、制御部90は、第1開閉弁66cが開弁状態で、第1ポンプ63を第3所定時間T3駆動させる。これにより、保湿液L1aが、循環経路62内で
図8に示す実線の矢印の方向に流動する。そして、濃度調整液L1bが、調整液供給流路66b内で
図8に示す破線の矢印の方向に流動し、第1合流部62cで、保湿液L1aと合流する。そして、合流した保湿液L1aと濃度調整液L1bとは、水分の量が増加した保湿液L1aとなって、第1合流部62cからキャップ51に向かい、循環経路62内を
図8に示す実線の矢印の方向に流動し、保湿液収容部61内に流入する。そして、保湿液収容部61内の液面が第1所定高さH1よりも高くなる。
【0107】
ステップS204において、制御部90は、液量検出部61aより、保湿液収容部61内の液面高さの情報を取得する。そして、ステップS205において、制御部90は、液面高さが第1所定高さH1より高いか否かを判定する。液面高さが第1所定高さH1より高いときは、ステップS206に移行する。液面高さが第1所定高さH1より低いときは、ステップS208に移行する。
【0108】
ステップS206において、制御部90は、第1開閉弁66cを閉弁させて、ステップS207において、制御部90は、前述の循環動作のサブルーチンを実行する。制御部90は、循環動作のサブルーチンを終了すると、フローを終了する。
【0109】
ステップS208において、制御部90は、調整液収容部166内の濃度調整液L1bがなくなったと判定し、ステップS209において、制御部90は、収容体160の交換を促す報知を行う。具体的には、制御部90は、操作部15の液晶画面に、収容体160の交換が必要な旨のメッセージを表示することで、収容体160の交換をユーザーに促す報知を行う。制御部90は、ステップS209を実行すると、フローを終了する。
【0110】
なお、ステップS203~S205において、制御部90は、第1開閉弁66cが開弁状態で、液量検出部61aより保湿液収容部61内の液面高さの情報を取得しつつ、第1ポンプ63を駆動させ、液面高さが第1所定高さH1より高くなったときに、第1ポンプ63を停止させてもよい。そして、第1ポンプ63を駆動させてから第3所定時間T3が経過したときに、液面高さが、液量検出部61aによって第1所定高さH1を下回っていると検知されているときは、ステップS208において、制御部90は、調整液収容部166内の濃度調整液L1bがなくなったと判定してもよい。
【0111】
次に、収容体160の交換監視処理について説明する。濃度調整液L1bを収容する調整液収容部166が備えられる収容体160は、収容体装着部200に対して、ユーザーが着脱可能である。このため、保湿液L1aに関するメンテナンスを実行するにあたり、制御部90は、液体吐出装置11が起動している間、収容体装着部200に対する収容体160の着脱、および収容体160が交換されたか否かを監視する。
【0112】
制御部90は、収容体装着部200に設けられる交換検出部91bを介して、収容体160が有する回路基板191に格納される情報を取得する。そして、制御部90は、回路基板191に格納される収容体160に関する情報に基づいて、収容体装着部200に装着されている収容体160が交換されたか否かを判断する。換言すると、制御部90は、交換検出部91bを介して、収容体160から取得した収容体160に関する情報に基づいて、収容体160の交換を検出する。
【0113】
また、制御部90は、収容体装着部200に設けられる交換検出部91bを介して、収容体160が有する回路基板191に格納される情報を更新する。例えば、制御部90は、収容体160に収容される濃度調整液L1bの残量、廃液収容部186に収容される廃液L2の保持量、収容体160が収容体装着部200に以前に装着された履歴およびそのときの年月日時等の情報を更新する。
【0114】
次に、
図10に示すフローチャートを参照し、収容体160の交換監視処理のフローについて、各ステップにおける制御部90が実行する制御を順に説明する。
【0115】
ステップS401において、制御部90は、収容体160が交換されたか否かを判定する。収容体160が交換されたときは、ステップS402に移行する。収容体160が交換されていないときは、フローを終了する。
【0116】
ステップS402において、制御部90は、タイマー等により、収容体160が交換されてからの経過時間の測定を開始する。収容体160が交換されてからの経過時間の測定は、次に収容体160の交換が検出されるまでの期間、あるいは後述する所定時間Tm経過するまでの期間行われる。制御部90は、ステップS402を実行すると、フローを終了する。
【0117】
次に、保湿液L1aに関するメンテナンスおよびメンテナンス前処理について説明する。保湿液L1a、および濃度調整液L1bは、液体であるため、雰囲気温度が凝固点以下になると、凍る虞がある。また、濃度調整液L1bの凝固点以下の環境で保管されていた収容体160が収容体装着部200に装着された場合、本体12内の雰囲気温度が濃度調整液L1bの凝固点より高くても、収容体160が収容体装着部200に装着されてから所定時間Tm経過しないと、収容体160内の濃度調整液L1bが凍っている虞がある。
【0118】
このため、本実施形態の液体吐出装置11において、制御部90は、保湿液L1aに関するメンテナンスを行うにあたり、保湿液L1aに関するメンテナンスを行う前に、メンテナンス前処理を行う。制御部90は、メンテナンス前処理において、温度センサー91aにより検出される本体12内の雰囲気温度が予め設定される閾値Th以上か否かを確認する。制御部90は、本体12内の雰囲気温度が予め設定される閾値Thより低い場合、保湿液L1aに関するメンテナンスが正常に実行できない虞があるため、保湿液L1aに関するメンテナンスを実行しない。換言すると、制御部90は、液体吐出装置11の雰囲気温度が予め設定される閾値Thより低い場合、保湿液L1aに関するメンテナンスを規制する。本実施形態では、保湿液L1a、および濃度調整液L1bの主成分は純水であるため、閾値Thは水の凝固点0℃より高い5℃に設定される。
【0119】
また、制御部90は、メンテナンス前処理において、交換検出部91bにより収容体160の交換が検出されてから所定時間Tm以上経過したか否かを確認する。収容体160の交換が検出されてからの経過時間が所定時間Tmより短い場合、本体12内の雰囲気温度が濃度調整液L1bの凝固点より高くても、収容体160内の濃度調整液L1bが凍っている虞がある。このため、制御部90は、収容体160の交換が検出されてからの経過時間が所定時間Tmより短い場合、保湿液L1aに関するメンテナンスを実行しない。換言すると、制御部90は、交換検出部91bが収容体160の交換を検出した場合、収容体160の交換を検出してから所定時間Tm経過するまで、保湿液L1aに関するメンテナンスを規制する。
【0120】
所定時間Tmは、本体12内の雰囲気温度が閾値Thの環境において、凍った濃度調整液L1bが解けるまでに要する時間に基づいて設定される。例えば、本体12内の雰囲気温度が5℃の環境において、凍った濃度調整液L1bが解けるまでに要する時間が12時間であったとする。この場合、所定時間Tmは、12時間に設定される。
【0121】
次に、
図11に示すフローチャートを参照し、保湿液L1aに関するメンテナンスおよびメンテナンス前処理のフローについて、各ステップにおいて制御部90が実行する処理を順に説明する。本実施形態において、制御部90が、保湿液L1aに関するメンテナンスおよびメンテナンス前処理において実行する処理の流れは、液体吐出装置11の制御方法に該当する。
【0122】
ステップS501において、制御部90は、温度センサー91aにより検出される温度が5℃以上か否かを確認する。すなわち、制御部90は、液体吐出装置11の雰囲気温度が予め設定される閾値Th以上か否かを確認する。温度センサー91aにより検出される温度が5℃以上であるときは、ステップS502に移行する。温度センサー91aにより検出される温度が5℃未満であるときは、フローを終了する。
【0123】
ステップS502において、制御部90は、収容体160の交換検出後、所定時間Tm以上経過したか否かを確認する。交換検出部91bによる収容体160の交換検出後、所定時間Tm以上経過しているときは、ステップS503に移行する。交換検出部91bによる収容体160の交換検出後、所定時間Tm経過していないときは、フローを終了する。
【0124】
ステップS503において、制御部90は、前述の循環動作のサブルーチンを実行する。制御部90は、循環動作のサブルーチンを終了すると、ステップS504に移行する。
【0125】
ステップS504において、制御部90は、液面高さが第1所定高さH1より高いか否かを判定する。液面高さが第1所定高さH1より高いときは、フローを終了する。
【0126】
ステップS504において、液面高さが第1所定高さH1より低いときは、ステップS505に移行する。そして、ステップS505において、制御部90は、濃度調整動作のサブルーチンを実行する。濃度調整動作のサブルーチンが終了すると、制御部90は、フローを終了する。
【0127】
以上述べたように、実施形態1に係る液体吐出装置11、及び液体吐出装置11の制御方法によれば、以下の効果を得ることができる。
【0128】
液体吐出装置11は、インクをノズル22から吐出する液体吐出部20と、液体吐出部20に接触して、ノズル22が開口するキャッピング空間CSを形成可能なキャップ51と、キャップ51を保湿する保湿液L1aを収容する保湿液収容部61と、保湿液収容部61に収容される保湿液L1aの液量を調整する濃度調整液L1bを収容する収容体160が装着可能な収容体装着部200と、収容体装着部200に装着された収容体160の交換を検出可能な交換検出部91bと、保湿液L1aに関するメンテナンスを制御する制御部90と、を有し、制御部90は、交換検出部91bが収容体160の交換を検出した場合、収容体160の交換を検出してから所定時間Tm経過するまで、保湿液L1aに関するメンテナンスを規制する。これによれば、収容体装着部200に装着された収容体160に収容される濃度調整液L1bが凍った状態、あるいは収容体装着部200に装着された収容体160に収容される濃度調整液L1bの粘度が高い状態で、保湿液L1aに関するメンテナンスが実行されることを抑制できる。よって、保湿液L1aに関するメンテナンスを正常に行うことができ、キャップ51を保湿することができる。
【0129】
制御部90は、液体吐出装置11の雰囲気温度が予め設定される閾値Thより低い場合、保湿液L1aに関するメンテナンスを規制する。これによれば、保湿液L1a、および濃度調整液L1bのいずれかが凍った状態、あるいは保湿液L1a、および濃度調整液L1bのいずれかの粘度が高い状態で、保湿液L1aに関するメンテナンスが実行されることを抑制できる。よって、保湿液L1aに関するメンテナンスを正常に行うことができ、キャップ51を保湿することができる。
【0130】
液体吐出装置11は、保湿液収容部61とキャップ51とを連通する循環経路62と、循環経路62内で保湿液L1aを流動する第1ポンプ63と、を有し、保湿液L1aに関するメンテナンスは、循環経路62内における保湿液L1aの循環動作である。これによれば、循環経路62内における保湿液L1aの循環動作を行うことにより、キャップ51を保湿することができる。
【0131】
液体吐出装置11は、保湿液収容部61に収容される保湿液L1aの量を検出する液量検出部61aを有し、液量検出部61aの検出結果に基づいて、収容体160に収容される濃度調整液L1bを保湿液収容部61に供給する。これによれば、保湿液収容部61に収容される保湿液L1aの量に基づいて、濃度調整液L1bを保湿液収容部61に供給することができるので、保湿液L1aの濃度を調整しやすい。
【0132】
制御部90は、交換検出部91bを介して、収容体160から取得した収容体160に関する情報に基づいて、収容体160の交換を検出する。これによれば、収容体160の交換が行われたか否かを収容体160に関する情報に基づいて判断することができる。
【0133】
濃度調整液L1bの主成分は水であって、閾値Thは0℃より高い。これによれば、濃度調整液L1bが凍った状態で、保湿液L1aに関するメンテナンスが実行されることを抑制できる。
【0134】
液体吐出装置11は、インクをノズル22から吐出する液体吐出部20と、液体吐出部20に接触して、ノズル22が開口するキャッピング空間CSを形成可能なキャップ51と、キャップ51を保湿する保湿液L1aを収容する保湿液収容部61と、保湿液L1aの濃度を調整する濃度調整液L1bを収容する調整液収容部166と、保湿液L1aに関するメンテナンスを制御する制御部90と、液体吐出部20、キャップ51、保湿液収容部61、調整液収容部166、および制御部90が配置される本体12と、を有し、制御部90は、本体12の雰囲気温度が予め設定される閾値Thより低い場合、保湿液L1aに関するメンテナンスを規制する。これによれば、保湿液L1a、および濃度調整液L1bのいずれかが凍った状態、あるいは保湿液L1a、および濃度調整液L1bのいずれかの粘度が高い状態で、保湿液L1aに関するメンテナンスが実行されることを抑制できる。よって、保湿液L1aに関するメンテナンスを正常に行うことができ、キャップ51を保湿することができる。
【0135】
液体吐出装置11の制御方法は、インクをノズル22から吐出する液体吐出部20と、液体吐出部20に接触して、ノズル22が開口するキャッピング空間CSを形成可能なキャップ51と、キャップ51を保湿する保湿液L1aを収容する保湿液収容部61と、保湿液L1aの濃度を調整する濃度調整液L1bを収容する収容体160が装着可能な収容体装着部200と、を有する液体吐出装置11の制御方法であって、収容体装着部200に装着された収容体160の交換を検出することと、保湿液L1aに関するメンテナンスを行うことと、を含み、収容体160の交換を検出した場合、収容体160の交換を検出してから所定時間Tm経過するまで、保湿液L1aに関するメンテナンスを規制する。これによれば、収容体装着部200に装着された収容体160に収容される濃度調整液L1bが凍った状態、あるいは収容体装着部200に装着された収容体160に収容される濃度調整液L1bの粘度が高い状態で、保湿液L1aに関するメンテナンスが実行されることを抑制できる。よって、保湿液L1aに関するメンテナンスを正常に行うことができ、キャップ51を保湿することができる。
【0136】
液体吐出装置11の制御方法は、液体吐出装置11の雰囲気温度を検出すること、を含み、液体吐出装置11の雰囲気温度が予め設定される閾値Thより低い場合、保湿液L1aに関するメンテナンスを規制する。これによれば、保湿液L1a、および濃度調整液L1bのいずれかが凍った状態、あるいは保湿液L1a、および濃度調整液L1bのいずれかの粘度が高い状態で、保湿液L1aに関するメンテナンスが実行されることを抑制できる。よって、保湿液L1aに関するメンテナンスを正常に行うことができ、キャップ51を保湿することができる。
【0137】
本開示の上記実施形態に係る液体吐出装置11、及び液体吐出装置11の制御方法は、以上述べたような構成を有することを基本とするものであるが、本開示の要旨を逸脱しない範囲内での部分的構成の変更や省略等を行うことも勿論可能である。また、上記実施形態および以下に説明する他の実施形態は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。以下、他の実施形態について説明する。
【0138】
上記実施形態において、温度センサー91aは、本体12内の雰囲気の温度を検出可能であれば、本体12内の雰囲気の湿度を検出できなくてもよい。また、本体12内の雰囲気の温度を検出可能であれば、例えば、温度センサー91aは、本体12のうち、媒体収容部16に配置されてもよい。あるいは、本体12内の雰囲気の温度と同等の温度を検出可能であれば、例えば、温度センサー91aは、本体12のうち、載置部17に配置されてもよい。
【0139】
上記実施形態において、液体吐出装置11は、本体12に、温度センサー91aを備えなくてもよい。例えば、液体吐出装置11が設置される部屋に雰囲気温度を検出可能な外部機器が配置される。そして、液体吐出装置11は、不図示の通信ケーブルまたは無線通信回線等により外部機器と接続される。そして、液体吐出装置11は、外部機器を介して、液体吐出装置11の雰囲気温度を検出してもよい。
【0140】
上記実施形態において、制御部90は、収容体160から取得した収容体160に関する情報に基づいて、収容体160の交換を検出しなくてもよい。例えば、制御部90は、交換検出部91bと収容体160が備える回路基板191とが電気的に接続されていない状態と電気的に接続されている状態との間の変化に基づいて、収容体160の交換を検出してもよい。この場合、回路基板191は記憶部を備えなくてもよい。
【0141】
上記実施形態において、保湿液L1aに関するメンテナンスを規制している期間であっても、収容体160内の濃度調整液L1bが凍っていないと判断できる場合、制御部90は、保湿液L1aに関するメンテナンスを実行してもよい。例えば、雰囲気温度が30℃の環境において、凍った濃度調整液L1bが解けるまでに要する時間が6時間であるとする。そして、例えば、温度センサー91aが検出する本体12内の雰囲気温度が、閾値Thである5℃より高い30℃である場合、収容体160の交換が検出されてから6時間経過していれば、収容体装着部200に装着される収容体160内の濃度調整液L1bは凍っていないと判断できる。
【0142】
このような場合、制御部90は、収容体160の交換が検出されてから所定時間Tmである12時間経過していなくても、循環動作および濃度調整動作のいずれかを実行してもよい。換言すると、制御部90は、保湿液L1aに関するメンテナンスを規制している期間において、液体吐出装置11の雰囲気温度が閾値Thより高い場合、保湿液L1aに関するメンテナンスの規制を解除する。これによれば、収容体160内の濃度調整液L1bが凍っていないにも関わらず、保湿液L1aに関するメンテナンスを規制することを回避できる。
【0143】
上記実施形態において、収容体装着部200に装着された収容体160内の濃度調整液L1bが凍っていないと判断できる場合、収容体160の交換を検出してからの経過時間に基づく保湿液L1aに関するメンテナンスの規制を行わなくてもよい。この場合、例えば、
図11に示すフローチャートのステップS502において、制御部90は、収容体160内の濃度調整液L1bは凍っていないか否か、および収容体160の交換検出後に所定時間Tm以上経過したか否かを確認する。収容体160内の濃度調整液L1bが凍っていない場合、あるいは収容体160の交換検出後に所定時間Tm以上経過しているときは、ステップS503に移行する。収容体160内の濃度調整液L1bが凍っている場合、あるいは収容体160の交換検出後に所定時間Tm以上経過していないときは、フローを終了する。
【0144】
収容体装着部200に装着された収容体160内の濃度調整液L1bが凍っているか否かを判断する方法として、例えば、収容体160の交換監視処理において、収容体160の交換が検出されたとき、第1開閉弁66cを開弁状態にして、第1ポンプ63を第3所定時間T3駆動する。そして、保湿液収容部61内の液面高さが第1所定高さH1よりも高くなったか否かを確認する。保湿液収容部61内の液面高さが第1所定高さH1よりも高い場合、調整液収容部166内の濃度調整液L1bは、循環経路62内に供給されているので、凍っていないと判断できる。保湿液収容部61内の液面高さが第1所定高さH1よりも低い場合、調整液収容部166内の濃度調整液L1bは、循環経路62内に供給されていないので、凍っている蓋然性が高いと判断できる。
【0145】
上記実施形態において、調整液収容部166は、収容体160に配置されなくてもよい。そして、調整液収容部166は、ユーザーが交換可能に構成されなくてもよい。例えば、調整液収容部166は、調整液供給部66の導出管66aと連通した状態で、本体12に固定される。この場合、調整液収容部166は交換されないので、収容体160の交換処理において、制御部90は、収容体160が交換されてからの経過時間の測定を開始しなくてもよい。また、この場合、制御部90は、収容体160の交換を検出してからの経過時間に基づく保湿液L1aに関するメンテナンスの規制を行わなくてもよい。
【符号の説明】
【0146】
11…液体吐出装置、12…本体、13…画像読取部、14…自動給送部、15…操作部、16…媒体収容部、17…載置部、17a…載置面、18…扉、19…搬送経路、20…液体吐出部、21…液体吐出ヘッド、22…ノズル、23…ノズル面、25…支持部、30…液体収容体装着部、35,35a,35b,35c,35d…液体収容体、36…供給チューブ、40…ワイパー装置、41…ワイパー、43…廃液受け部流出口、50…キャップ装置、51…キャップ、54…第1透湿膜、55…加湿室、55a…流入口、55b…流出口、56…ケース、56a…大気連通孔、56b…排出孔、57…凹部、58…大気開放機構、58a…第1大気連通路、58b…第3開閉弁、60…保湿液循環機構、61…保湿液収容部、61a…液量検出部、61b…第1電極、61c…第2電極、61d…第2大気連通路、61e…第2透湿膜、61f…流入部、61g…流出部、62…循環経路、62a…供給流路、62b…回収流路、62c…第1合流部、63…第1ポンプ、64…第1逆止弁、65…圧力調整弁、66…調整液供給部、66a…導出管、66b…調整液供給流路、66c…第1開閉弁、66d…第2逆止弁、80…廃液収集機構、81…廃液収集路、81a…第1廃液収集路、81b…第2廃液収集路、82…第3ポンプ、82a…導入管、83…バッファー室、84…第4ポンプ、85…第3大気連通路、90…制御部、91…検出器群、91a…温度センサー、91b…交換検出部、91c…液量検出部、94…インターフェイス部、95…CPU、96…メモリー、97…制御回路、98…駆動回路、99…コンピューター、160…収容体、160a…前壁、160b…後壁、160c…上壁、160d…底壁、160e,160f…側壁、161…筐体、162…導出口、163…誘導部、165e,165f…突起、166…調整液収容部、182…導入口、183…誘導部、186…廃液収容部、191…回路基板、200…収容体装着部、201…連結壁、202…装着フレーム、203…ガイド部、203a…ガイド、204…廃液トレイ、204a…受容部、265e,265f…規制部、D1…第1方向、D2…第2方向、D3…第3方向、D4…第4方向、H1…第1所定高さ、H2…第2所定高さ、L1a…保湿液、L1b…濃度調整液、L2…廃液、T1…第1所定時間、T2…第2所定時間、T3…第3所定時間、Th…閾値、Tm…所定時間、Y1…吐出方向、Z1…第1搬送方向、θ1…第1所定角度。