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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024024821
(43)【公開日】2024-02-26
(54)【発明の名称】物理量センサー、および慣性計測装置
(51)【国際特許分類】
   G01P 15/125 20060101AFI20240216BHJP
   G01P 15/08 20060101ALI20240216BHJP
【FI】
G01P15/125 Z
G01P15/08 101B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022127733
(22)【出願日】2022-08-10
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】小溝 公一郎
(57)【要約】
【課題】他軸感度が抑制され、検出精度が高い物理量センサー、慣性計測装置を提供すること。
【解決手段】物理量センサーによれば、前記第1方向において、前記第1可動電極群、前記第2可動電極群、前記第3可動電極群、前記第4可動電極群がこの順に並んで配置され、前記第2可動電極群の各可動電極、及び前記第3可動電極群の各可動電極の厚みは、前記第1可動電極群の各可動電極、及び前記第4可動電極群の各可動電極の厚みと異なり、前記固定部の中心から前記第2方向に延びる仮想線を対称軸として、前記第1可動電極群の各可動電極は前記第4可動電極群の各可動電極と線対称に配置され、前記第2可動電極群の各可動電極は前記第3可動電極群の各可動電極と線対称に配置される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに直交する方向を第1方向、第2方向及び第3方向としたとき、前記第3方向での物理量を検出する物理量センサーであって、
基体に固定された固定部と、
前記固定部に一端が接続された支持梁と、
前記基体に設けられ、第1固定電極群、第2固定電極群、第3固定電極群、及び第4固定電極群を有する固定電極部と、
前記第1固定電極群の各固定電極に各可動電極が対向する第1可動電極群、前記第2固定電極群の各固定電極に各可動電極が対向する第2可動電極群、前記第3固定電極群の各固定電極に各可動電極が対向する第3可動電極群、前記第4固定電極群の各固定電極に各可動電極が対向する第4可動電極群を含む可動電極部と、
前記可動電極部を有する可動体と、を含み、
前記第1方向において、前記第1可動電極群、前記第2可動電極群、前記第3可動電極群、前記第4可動電極群がこの順に並んで配置され、
前記第2可動電極群の各可動電極、及び前記第3可動電極群の各可動電極の厚みは、前記第1可動電極群の各可動電極、及び前記第4可動電極群の各可動電極の厚みと異なり、
前記固定部の中心から前記第2方向に延びる仮想線を対称軸として、前記第1可動電極群の各可動電極は前記第4可動電極群の各可動電極と線対称に配置され、前記第2可動電極群の各可動電極は前記第3可動電極群の各可動電極と線対称に配置される、
物理量センサー。
【請求項2】
前記支持梁は、一端が前記固定部に固定され、前記第1方向に延びる第1支持梁と、一端が前記固定部に固定され、前記第1方向とは反対方向に延びる第2支持梁と、を有し、
前記可動体は、一端が前記第1支持梁の他端に接続され、前記第2方向に延びる第1連結部と、一端が前記第2支持梁の他端に接続され、前記第2方向に延びる第2連結部と、前記第1連結部と前記第2連結部とをつなぎ、前記第1方向に延在する基部とを有し、
前記第1可動電極群、前記第2可動電極群、前記第3可動電極群、及び前記第4可動電極群は、前記基部に接続される、
請求項1に記載の物理量センサー。
【請求項3】
前記固定部は、第1固定部と、前記第1固定部から前記第1方向とは反対側に離間した第2固定部とを有し、
前記支持梁は、一端が前記第1固定部に固定され、前記第1方向とは反対側に延びる第1支持梁と、一端が前記第2固定部に固定され、前記第1方向に延びる第2支持梁と、を有し、
前記可動体は、一端が前記第1支持梁の他端及び前記第2支持梁の他端に接続され、前記第2方向に延びる連結部と、前記連結部の他端に接続され、前記第1方向に延在する第1基部と、前記連結部の他端に接続され、前記第1方向とは反対側に延在する第2基部とを有し、
前記第1可動電極群、及び前記第2可動電極群は、前記第2基部に接続され、
前記第3可動電極群、及び前記第4可動電極群は、前記第1基部に接続される、
請求項1に記載の物理量センサー。
【請求項4】
前記支持梁は、一端が前記固定部に固定され、前記第1方向に延びる第1支持梁と、一端が前記固定部に固定され、前記第1方向とは反対方向に延びる第2支持梁と、を有し、
前記可動体は、一端が前記第1支持梁の他端に接続され、前記第2方向に延びる第1連結部と、一端が前記第2支持梁の他端に接続され、前記第2方向に延びる第2連結部と、
前記第1連結部から前記第1方向とは反対方向に延びる第1基部と、前記第2連結部から前記第1方向に延びる第2基部と、を有し、
前記第1可動電極群、及び前記第2可動電極群は前記第2基部に接続され、
前記第3可動電極群、及び前記第4可動電極群は前記第1基部に接続される、
請求項1に記載の物理量センサー。
【請求項5】
前記固定部は、第1固定部と、前記第1固定部から前記第1方向とは反対側に離間した第2固定部とを有し、
前記支持梁は、一端が前記第1固定部に固定され、前記第1方向とは反対側に延びる第1支持梁と、一端が前記第2固定部に固定され、前記第1方向に延びる第2支持梁と、を有し、
前記可動体は、一端が前記第1支持梁の他端及び前記第2支持梁の他端に接続され、前記第2方向に延びる連結部と、前記連結部に接続され、前記第1方向に延在する第1基部と、前記連結部に接続され、前記第1方向とは反対側に延在する第2基部とを有し、
前記第1可動電極群、及び前記第2可動電極群は、前記第2基部に接続され、
前記第3可動電極群、及び前記第4可動電極群は、前記第1基部に接続される、
請求項1に記載の物理量センサー。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載の物理量センサーと、
前記物理量センサーから出力された検出信号に基づいて制御を行う制御部と、を含む、
慣性計測装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物理量センサー、および当該物理量センサーを備えた慣性計測装置に関する。
【背景技術】
【0002】
物理量センサーの一例として、シリコンMEMS(Micro Electro Mechanical System)技術を用いた加速度センサーや、角速度センサーが開発されている。
例えば、特許文献1には、部分可動するフレームであるプルーフマスを備えた容量性微小電気機械加速度センサーが開示されている。当該文献によれば、プルーフマスは、センサーが感知軸の方向の加速度を受けると感知軸の方向に動き、その際の回転子測定板と固定子測定板との静電容量の変化により、例えば、Z軸方向における加速度を測定する、としている。なお、回転子測定板は可動電極に相当し、固定子測定板は固定電極に相当する。
【0003】
このような加速度センサーでは、可動電極および固定電極のZ方向の厚さが同じであった場合、可動体としてのプルーフマスがZプラス方向に動いた時も、Zマイナス方向に動いた時も、同じ容量変化となってしまい、検出軸における正負方向の判別を行うことが困難であるという問題があった。この問題に対して、一部の検出部では可動電極の厚みを薄くし、他の検出部では固定電極の厚さを薄くすることにより、検出軸における正負方向の判別を可能とすることができる。
なお、特許文献1には、回転子測定板または固定子測定板のどちらかは、回転子測定板の上縁部または下縁部が異なるZ座標に位置するように、垂直方向に凹んでもよい、という記載はあるが、これにより、検出軸における正負方向の判別を行うという記載は見当たらない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2021-524035号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、可動電極、固定電極の厚みを工夫した場合、可動体の重量バランスが崩れ、ねじれや歪みが発生し、他軸感度の増加など、検出精度が低下してしまうという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願に係る一態様の物理量センサーは、互いに直交する方向を第1方向、第2方向及び第3方向としたとき、前記第3方向での物理量を検出する物理量センサーであって、基体に固定された固定部と、前記固定部に一端が接続された支持梁と、前記基体に設けられ、第1固定電極群、第2固定電極群、第3固定電極群、及び第4固定電極群を有する固定電極部と、前記第1固定電極群の各固定電極に各可動電極が対向する第1可動電極群、前記第2固定電極群の各固定電極に各可動電極が対向する第2可動電極群、前記第3固定電極群の各固定電極に各可動電極が対向する第3可動電極群、前記第4固定電極群の各固定電極に各可動電極が対向する第4可動電極群を含む可動電極部と、前記可動電極部を有する可動体と、を含み、前記第1方向において、前記第1可動電極群、前記第2可動電極群、前記第3可動電極群、前記第4可動電極群がこの順に並んで配置され、前記第2可動電極群の各可動電極、及び前記第3可動電極群の各可動電極の厚みは、前記第1可動電極群の各可動電極、及び前記第4可動電極群の各可動電極の厚みと異なり、前記固定部の中心から前記第2方向に延びる仮想線を対称軸として、前記第1可動電極群の各可動電極は前記第4可動電極群の各可動電極と線対称に配置され、前記第2可動電極群の各可動電極は前記第3可動電極群の各可動電極と線対称に配置される。
【0007】
本願に係る一態様の慣性計測装置は、上記記載の物理量センサーと、前記物理量センサーから出力された検出信号に基づいて制御を行う制御部とを含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態1に係る加速度センサーの平面図。
図2図1のb-b断面における加速度センサーの断面図。
図3】電極群の立体的形状を示す斜視図。
図4】電極群の立体的形状を示す斜視図。
図5】加速度の検出原理の説明図。
図6】比較例の加速度センサーの平面図。
図7】実施形態2に係るセンサー素子の平面図。
図8】実施形態3に係るセンサー素子の平面図。
図9】実施形態4に係るセンサー素子の平面図。
図10】実施形態5に係るセンサー素子の平面図。
図11】実施形態6に係る加速度の検出原理の説明図。
図12】実施形態7に係る慣性計測装置の分解斜視図。
図13】回路基板の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施形態1
***物理量センサーの構成***
図1は、実施形態1に係る加速度センサーの平面図である。図2は、図1のb-b断面における加速度センサーの断面図である。
まず、本実施形態に係る物理量センサーの一例として図1図2に示す、加速度センサー100を用いて説明する。加速度センサー100は、例えば、鉛直方向の加速度を検出する加速度センサーである。各図には、互いに直交する3軸であるX軸、Y軸およびZ軸を図示している。なお、本実施形態では、Z軸方向を鉛直方向としているが、これに限定するものではない。また、X軸のプラス方向を第1方向、Y軸のプラス方向を第2方向、Z軸のプラス方向を第3方向ともいう。プラス方向とマイナス方向とを合わせてX方向、Y方向、Z方向ともいう。なお、物理量センサーのことを慣性センサーともいう。
【0010】
加速度センサー100は、MEMSデバイスからなる1軸の加速度センサーである。
加速度センサー100は、基体1と、基体1上に配置されたセンサー素子50と、センサー素子50を覆う蓋体5などから構成される。
基体1は、例えば、半導体シリコンで構成されたシリコン基板、または、ホウケイ酸ガラスなどのガラス材料で構成されたガラス基板を用いる。なお、これらの材質に限定するものではなく、石英基板や、ウエハ直接接合によるSOI(Silicon On Insulator)基板などを用いてもよい。
【0011】
図2に示すように、SOI基板から成る基体1には、周縁部から掘下げられた凹部1bが設けられている。凹部1bは、センサー素子50を収納する収納空間Sを形成する一部位である。凹部1bには、凹部1bの底面から突出した突起状のマウント部14が設けられている。
マウント部14には、埋込絶縁層2を介してセンサー素子50の固定部3が固定される。換言すれば、センサー素子50は、固定部3において基体1に固定される。好適例では、固定部3はマウント部14に対して直接接合される。
センサー素子50は、例えば、リン(P)、ボロン(B)、砒素(As)等の不純物がドープされた導電性のシリコン基板をエッチング、および、パターニングすることにより形成される。好適例では、ボッシュプロセスによる深堀エッチング技術を用いて加工されたセンサー素子50を用いる。
【0012】
蓋体5は、好適例としてシリコン基板を用いる。なお、ガラス基板やセラミックス基板を用いても良い。蓋体5には、周縁部から掘下げられた凹部5bが設けられている。凹部5bは、センサー素子50を収納する収納空間Sを形成する一部位である。
基体1と蓋体5とは、好適例では、低融点ガラスからなるガラスフリット13を介して接合される。なお、接合方法は、陽極接合であっても良いし、活性化接合、拡散接合、金属共晶接合などを用いても良い。
収納空間Sは、好適例において、窒素、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガスが封入され、気密封止される。収納空間S内は、-40℃~120℃程度の使用温度環境において、ほぼ大気圧となっていることが好ましい。
【0013】
図1に示すように、センサー素子50は、固定部3、可動体8、固定部3と可動体8とを接続する支持梁としての第1回転バネ4a、第2回転バネ4bなどから構成される。可動体8は、固定部3の中心を通りX軸に沿った揺動軸61まわりに揺動可能に設けられている。
第1回転バネ4aは、第1支持梁であり、一端が固定部3に固定され、第1方向(Xプラス方向)に延在する。第2回転バネ4bは、第2支持梁であり、一端が固定部3に固定され、第1方向とは反対方向のXマイナス方向に延在する。換言すれば、支持梁は、一端が固定部3に固定され、第1方向に延びる第1回転バネ4aと、一端が固定部3に固定され、第1方向とは反対方向に延びる第2回転バネ4bとを有する。第1回転バネ4a、第2回転バネ4bは、好適例では、捩れバネであり、固定部3の両脇に設けられている。好適例では、第1回転バネ4a、固定部3、第2回転バネ4bは一体化されており、揺動軸61上に配置されている。
【0014】
可動体8は、第1回転バネ4aの他端からYプラス方向に延在する第1連結部6aと、第2回転バネ4bの他端からYプラス方向に延在する第2連結部6bと、第1連結部6aと第2連結部6bとを接続する梁である基部7とを有する。なお、好適例において、可動体8は、先端の基部7の質量が大きくなるように構成される。換言すれば、第1連結部6a、第2連結部6bよりも基部7の質量が大きくなるように構成される。これは、揺動軸61を中心とする慣性モーメントを大きくするためである。換言すれば、可動体8は、一端が第1回転バネ4aの他端に接続され、第2方向(Yプラス方向)に延びる第1連結部6aと、一端が第2回転バネ4bの他端に接続され、第2方向に延びる第2連結部6bと、第1連結部6aと第2連結部6bとをつなぎ、第1方向(Xプラス)に延在する基部7とを有する。
このような構成により、センサー素子50は、揺動軸61を軸として可動体8が揺動する、いわゆる片側シーソー構造の加速度センサーとして構成される。
【0015】
また、第1連結部6aと第2連結部6bとは、中心線60を対称軸として、線対称に設けられている。中心線60は、仮想線であり、固定部3の中心を通りY軸に沿った線分である。基部7も、中心線60を対称軸として線対称に設けられている。
【0016】
基部7には、可動電極部20が設けられている。可動電極部20は、第1可動電極群としての可動電極群20a、第2可動電極群としての可動電極群20b、第3可動電極群としての可動電極群20c、及び、第4可動電極群としての可動電極群20dから構成される。可動電極群20aは、基部7からYマイナス方向に延在する4本の可動電極21から構成される。4本の可動電極21は、基部7の延在方向に沿って等ピッチで櫛歯状に設けられている。
同様に、可動電極群20bは、基部7からYマイナス方向に延在する4本の可動電極22から構成される。4本の可動電極22は、基部7の延在方向に沿って等ピッチで櫛歯状に設けられている。なお、可動電極21,22は4本に限定するものではなく、複数本であれば良く、例えば、8本でも良いし、10本であっても良い。
【0017】
可動電極群20cは、可動電極群20bと対となる電極群であり、基部7からYマイナス方向に延在する4本の可動電極22から構成される。可動電極群20cは、中心線60を対称軸として可動電極群20bと線対称に設けられている。
可動電極群20dは、可動電極群20aと対となる電極群であり、基部7からYマイナス方向に延在する4本の可動電極21から構成される。可動電極群20dは、中心線60を対称軸として可動電極群20aと線対称に設けられている。
【0018】
そして、基体1には、可動電極部20と対向する固定電極部10が設けられている。固定電極部10は、第1固定電極群としての固定電極群10a、第2固定電極群としての固定電極群10b、第3固定電極群としての固定電極群10c、及び、第4固定電極群としての固定電極群10dから構成される。
固定電極群10aは、基体1に設けられた台座部9aと、台座部9aからYプラス方向に延在する3本の固定電極11から構成される。3本の固定電極11は、可動電極群20aにおける4本の可動電極21の間隙部分に収まるように、等ピッチで櫛歯状に設けられている。これにより、固定電極11と可動電極21とは、X方向において対向するように配置される。
【0019】
固定電極群10bは、基体1に設けられた台座部9bと、台座部9bからYプラス方向に延在する3本の固定電極12から構成される。3本の固定電極12は、可動電極群20bにおける4本の可動電極22の間隙部分に収まるように、等ピッチで櫛歯状に設けられている。これにより、固定電極12と可動電極22とは、X方向において対向するように配置される。
固定電極群10cは、固定電極群10bと対となる電極群であり、基体1に設けられた台座部9cと、台座部9cからYプラス方向に延在する3本の固定電極12から構成される。3本の固定電極12は、可動電極群20cにおける4本の可動電極22の間隙部分に収まるように、等ピッチで櫛歯状に設けられている。これにより、固定電極12と可動電極22とは、X方向において対向するように配置される。固定電極群10cは、中心線60を対称軸として固定電極群10bと線対称に設けられてもよい。
【0020】
固定電極群10dは、固定電極群10aと対となる電極群であり、基体1に設けられた台座部9dと、台座部9dからYプラス方向に延在する3本の固定電極11から構成される。3本の固定電極11は、可動電極群20dにおける4本の可動電極21の間隙部分に収まるように、等ピッチで櫛歯状に設けられている。固定電極群10dは、中心線60を対称軸として固定電極群10aと線対称に設けられてもよい。これにより、固定電極11と可動電極21とは、X方向において対向するように配置される。なお、固定電極11,12は、3本に限定するものではなく、可動電極21,22の本数と対応した本数であれば良く、例えば、可動電極21が8本の場合、固定電極11は7本とする。
【0021】
換言すれば、固定電極部10は、基体1に設けられた固定電極群10a、固定電極群10b、固定電極群10c、及び固定電極群10dを有する。可動電極部20は、固定電極群10aの固定電極11に対向する可動電極21を有する可動電極群20aと、固定電極群10bの固定電極12に対向する可動電極22を有する可動電極群20bと、固定電極群10cの固定電極12に対向する可動電極22を有する可動電極群20cと、固定電極群10dの固定電極11に対向する可動電極21を有する可動電極群20dとを含む。そして、基部7の第1方向(Xプラス方向)において、可動電極群20a、可動電極群20b、可動電極群20c、可動電極群20dがこの順に並んで配置される。
【0022】
***固定電極、可動電極および検出部の構成***
図3は、電極群の立体的形状を示す斜視図であり、固定電極群10a、可動電極群20aにおける斜視図である。
図3に示すように、可動電極21は、Y方向における厚みが一部で凹んでいる。具体的には、可動電極21は、Y方向において、範囲aにより示される部分の厚みが薄くなっている。換言すれば、可動電極21は、根元の基部7と同じ厚さからYマイナス方向の途中で階段状に切り欠かれて薄くなっている。これにより、4本の可動電極21共に、固定電極群10aの固定電極11と対向する部分においては、Zプラス側における厚みが薄くなっている。
ここで、固定電極群10aと、可動電極群20aとからなる検出部をN型検出部25nという。N型検出部25nでは、対向配置された固定電極11と可動電極21とにより平行平板型の容量が形成される。当該容量は、加速度による可動電極21の変位に伴い、固定電極11との間における重なり面積の変化に応じて変化する。
同様に、固定電極群10d(図1)と、可動電極群20dとからなる検出部をN型検出部26nという。N型検出部26nは、N型検出部25nと対となるN型の検出部であり、中心線60を対称軸としてN型検出部25nと線対称に設けられている。
【0023】
図4は、電極群の立体的形状を示す斜視図であり、固定電極群10b、可動電極群20bにおける斜視図である。
図4に示すように、固定電極12は、Y軸方向における厚みが一部で凹んでいる。具体的には、固定電極12は、Y方向において、範囲bにより示される部分の厚みが薄くなっている。換言すれば、固定電極12は、根元の台座部9bと同じ厚さからYプラス方向の途中で階段状に切り欠かれて薄くなっている。これにより、3本の固定電極12共に、可動電極群20bの可動電極22と対向する部分においては、Zプラス側における厚みが薄くなっている。
ここで、固定電極群10bと、可動電極群20bとからなる検出部をP型検出部25pという。P型検出部25pでは、対向配置された固定電極12と可動電極22とにより平行平板型の容量が形成される。当該容量は、加速度による可動電極22の変位に伴い、固定電極12との間における重なり面積の変化に応じて変化する。
同様に、固定電極群10c(図1)と、可動電極群20cとからなる検出部をP型検出部26pという。P型検出部26pは、P型検出部25pと対となるN型の検出部であり、中心線60を対称軸としてP型検出部25pと線対称に設けられている。
【0024】
換言すれば、可動電極群20bの各可動電極22、及び可動電極群20cの各可動電極22の厚みは、可動電極群20aの各可動電極21、及び可動電極群20dの各可動電極21の厚みと異なる。そして、固定部3の中心からYプラスに延びる仮想線である中心線60を対称軸として、可動電極群20aの各可動電極21は可動電極群20dの各可動電極21と線対称に配置され、可動電極群20bの各可動電極22は可動電極群20cの各可動電極22と線対称に配置される。
【0025】
***加速度の検出原理***
図5は、加速度の検出原理の説明図である。
図5では、左側に初期状態を示し、右側には加速度が生じている状態として、加速度の向きがZプラス方向の場合と、加速度の向きがZマイナス方向の場合とを示している。詳しくは、XZ平面に沿った断面における固定電極11と可動電極21との重なり具合、および、固定電極12と可動電極22との重なり具合を示している。なお、初期状態とは、Zプラス方向およびZマイナス方向において重力も含めて加速度が生じていない状態である。以降、Zプラス方向およびZマイナス方向のことをZプラス/マイナス方向ともいう。
【0026】
まず、初期状態において、N型検出部25nでは、固定電極11および可動電極21のZマイナス側における端部の位置は一致しており、面一になっている。同様に、P型検出部25pにおいても、固定電極12および可動電極22のZマイナス側における端部の位置は一致しており、面一になっている。なお、初期状態における固定電極11と可動電極21との重なり面積、および、固定電極12と可動電極22との重なり面積を初期面積ともいう。
【0027】
次に、Zプラス方向の加速度が生じた場合、N型検出部25nの可動電極21、および、P型検出部25pの可動電極22は、それぞれ、加速度に伴う慣性力を受けてZマイナス側に変位する。この際、N型検出部25nにおける固定電極11と可動電極21との重なり面積は、可動電極21がZマイナス方向に変位することにより、初期面積よりも小さくなる。他方、P型検出部25pにおいては、固定電極12と可動電極22との重なり面積は、可動電極22がZマイナス方向に変位しても初期面積が維持される。換言すれば、可動電極22がZマイナス方向に変位しても、重なり面積は変化しない。
このように、Zプラス方向に加速度が生じた場合は、N型検出部25nでは重なり面積が減少し、P型検出部25pでは重なり面積が維持される。
【0028】
次に、Zマイナス方向の加速度が生じた場合、N型検出部25nの可動電極21、および、P型検出部25pの可動電極22は、それぞれ、加速度に伴う慣性力を受けてZプラス側に変位する。この際、N型検出部25nにおける固定電極11と可動電極21との重なり面積は、可動電極21がZプラス方向に変位しても初期面積が維持される。他方、P型検出部25pにおける固定電極12と可動電極22との重なり面積は、可動電極22がZプラス方向に変位することにより、初期面積よりも小さくなる。
このように、Zマイナス方向の加速度が生じた場合は、N型検出部25nでは重なり面積が維持され、P型検出部25pでは重なり面積が減少する。
【0029】
なお、N型検出部25nと対となるN型検出部26nのZ方向の加速度印加時における挙動は、N型検出部25nと同じである。同様に、P型検出部25pと対となるP型検出部26pのZ方向の加速度印加時における挙動は、P型検出部25pと同じである。
上記の相関関係に基づき、N型検出部25n,26n、及び、P型検出部25p,26pにおける重なり面積の変化を、静電容量の変化として検出することにより、Zプラス/マイナス方向における加速度を検出することができる。詳しくは、N型検出部25n,26nにおける容量と、P型検出部25p,26pにおける容量との差分を、差動増幅回路を用いて検出することにより、Zプラス/マイナス方向における加速度を検出することができる。なお、差動増幅回路は、後述の制御IC236(図13)に内蔵されている。加速度の検出時には、交流の検出信号が用いられる。
また、上記では、可動電極21および固定電極12に切欠き部を設ける構成として説明したが、この構成に限定するものではなく、例えば、固定電極11および可動電極22に切欠き部を設ける構成としても良い。
【0030】
図1に戻る。
基体1のXプラス側の辺には、蓋体5から張り出した張出し部1cが設けられており、張出し部1cには、複数の接続パッドが設けられている。
接続パッド41は、N型検出部25nの固定電極群10a、および、N型検出部26nの固定電極群10dと配線71により電気的に接続されている。接続パッド42は、P型検出部25pの固定電極群10b、および、P型検出部26pの固定電極群10cと配線72により電気的に接続されている。接続パッド44は、配線74により可動体8を介して可動電極部20と電気的に接続されている。
接続パッド41,42,44は、不図示のボンディングワイヤーなどの配線を介して、制御IC236(図13)と電気的に接続している。
【0031】
***ダンパー部の構成***
また、センサー素子50には、一対のダンパー部65a,65bが設けられている。
ダンパー部65aは、可動体8の第1連結部6a側に設けられており、ダンパー可動部30aと、ダンパー固定部45aとから構成される。
ダンパー可動部30aは、第1連結部6aからXマイナス方向に分岐する第1バー31aと、2本の第2バー32とから構成される。
2本の第2バー32は、Y方向に延在し、第1バー31aと十字状に交差している。2本の第2バー32は間隙を持って配置されており、当該間隙の間に、ダンパー固定部45aの第3バー46が配置される。第1バー31a、第2バー32は、第1連結部6aの厚さと同じ厚さに形成されている。
【0032】
ダンパー固定部45aは、基体1に設けられており、等間隔に並ぶ3本の第3バー46と、3本の第3バー46を上下でそれぞれ接続する連結部47とから構成される。
図1に示すように、ダンパー可動部30aの2本の第2バー32と、ダンパー固定部45aの3本の第3バー46とは、間隙を持って櫛歯状に配置される。なお、3本の第3バー46のうち、第1連結部6a側の2本の第3バー46は、第1バー31aと交差する部分で分断している。
また、ダンパー固定部45aのY方向における両端が連結部47により接続されているため、平面的にダンパー固定部45aの外形が矩形をなしており、ダンパー可動部30aをダンパー固定部45aが囲うような構成となっている。第3バー46、連結部47の厚さは、第1バー31a、第2バー32と同じである。
【0033】
ダンパー部65bは、可動体8の第2連結部6b側に設けられており、中心線60を対称軸としてダンパー部65aと線対称に設けられている。
ダンパー部65bは、ダンパー可動部30bと、ダンパー固定部45bとから構成される。ダンパー可動部30bは、第2連結部6bからXプラス方向に分岐する第1バー31bと、2本の第2バー32とから構成される。2本の第2バー32は、Y方向に延在し、第1バー31bと十字状に交差している。2本の第2バー32は間隙を持って配置されており、当該間隙の間に、ダンパー固定部45bの第3バー46が配置される。第1バー31a、第2バー32は、第2連結部6bの厚さと同じ厚さに形成されている。
【0034】
ダンパー固定部45bは、基体1に設けられており、等間隔に並ぶ3本の第3バー46と、3本の第3バー46を上下でそれぞれ接続する連結部47とから構成される。
ダンパー可動部30bの2本の第2バー32と、ダンパー固定部45bの3本の第3バー46とは、間隙を持って櫛歯状に配置される。なお、3本の第3バー46のうち、第2連結部6b側の2本の第3バー46は、第1バー31bと交差する部分で分断している。
また、ダンパー固定部45bのY方向における両端が連結部47により接続されているため、平面的にダンパー固定部45bの外形が矩形をなしており、ダンパー可動部30bをダンパー固定部45bが囲うような構成となっている。第3バー46、連結部47の厚さは、第1バー31b、第2バー32と同じである。
【0035】
このように、可動体8において中心線60を対称軸として左右対称に設けられたダンパー部65a,65bは、可動体8の不要な振動をダンピングさせる役割を果たす。詳しくは、例えば、可動体8がX方向の加速度を受けて変位した場合、ダンパー部65aのダンパー可動部30aも可動体8と一体に変位する。この際、ダンパー固定部45aとダンパー可動部30aとの間の空間における空気抵抗が、X方向の変位を抑制する。なお、ダンパー部65bにおいても同様である。また、可動体8がより大きな加速度を受けた場合は、ダンパー固定部45aにダンパー可動部30aがぶつかることで、ストッパーとして機能する。
上記のように、ダンパー部65a,65bは、可動体8にZ方向以外の方向の加速度が生じた際に、可動体8のZ方向以外の不要な変位、振動をダンピングする役割を果たし、加速度センサー100の他軸感度を抑制する。
【0036】
***対称構成による効果***
図6は、比較例の物理量センサーの平面図であり、図1に対応している。
図6に示す比較例の物理量センサーとしての加速度センサー90は、従来の物理量センサーの一例を示している。なお、図1での説明と同一の部位については同一の番号を付し、重複する説明は省略する。
【0037】
比較例の加速度センサー90では、可動体89の基部7に、N型検出部25nとP型検出部25pとの2つの検出部が設けられていること、および、加速度センサー90には、ダンパー部65a,65bが設けられていないことが、実施形態1の加速度センサー100と異なる。これら以外は、図1での説明と同じである。
加速度センサー90では、可動電極部29は、可動電極群20aと可動電極群20bとの2つから構成される。固定電極部19は、固定電極群10aと固定電極群10bとの2つから構成される。そして、固定電極群10aと可動電極群20aとによりN型検出部25nが構成され、固定電極群10bと可動電極群20bとによりP型検出部25pが構成される。
【0038】
ここで、N型検出部25nとP型検出部25pとは、中心線60を対称軸として平面的には線対称に設けられているが、可動体89の重量バランスが崩れていた。詳しくは、可動電極群20aの可動電極21は、可動電極群20bの可動電極22よりも薄いため、その分、可動体89のXマイナス方向の質量が軽くなり、左右の重量バランスが崩れていた。このため、比較例の加速度センサー90では、加速度が加わった際、可動体89の揺動において、ねじれや歪みが発生し、他軸感度の増加など、検出精度が低下してしまうという課題があった。
【0039】
これに対して、本実施形態の加速度センサー100によれば、N型検出部25n,P型検出部25pの対と、N型検出部26n,P型検出部26pの対とを、中心線60を対称軸として線対称に設ける構成としたことにより、左右の重量バランスが取れている。詳しくは、中心線60を中心として左側(Xマイナス方向)の可動電極21,22の数と、右側(Xプラス方向)の可動電極21,22の数とを合せることにより、基部7における左右の重量を同一にしている。なお、左右に1対ずつの構成に限定するものではなく、左右に同数対設けられることであれば良い。すなわち、検出部は6つであってもよいし、8つであってもよい。検出部の数は好ましくは4の倍数である。また、左右対称の配置であれば良く、例えば、P型N型N型P型の並びであっても良い。
さらに、左右対称にダンパー部65a,65bを備えているため、可動体8の不要な振動をダンピングさせることができ、他軸感度を抑制することができる。
【0040】
以上、述べた通り、本実施形態の物理量センサーとしての加速度センサー100によれば、以下の効果を得ることができる。
互いに直交する方向を第1方向、第2方向及び第3方向としたとき、第3方向としてのZ方向での物理量を検出する加速度センサー100であって、基体1に固定された固定部3と、固定部3に一端が接続された支持梁としての第1回転バネ4a、第2回転バネ4bと、基体1に設けられ、第1固定電極群としての固定電極群10a、第2固定電極群としての固定電極群10b、第3固定電極群としての固定電極群10c、及び第4固定電極群としての固定電極群10dを有する固定電極部10と、固定電極群10aの固定電極11に対向する可動電極21を有する第1可動電極群としての可動電極群20aと、固定電極群10bの固定電極12に対向する可動電極22を有する第2可動電極群としての可動電極群20bと、固定電極群10cの固定電極12に対向する可動電極22を有する第3可動電極群としての可動電極群20cと、固定電極群10dの固定電極11に対向する可動電極21を有する第4可動電極群としての可動電極群20dを含む可動電極部20と、可動電極部20を有する可動体8と、を含み、第1方向において、可動電極群20a、可動電極群20b、可動電極群20c、可動電極群20dがこの順に並んで配置され、可動電極群20bの各可動電極22、及び可動電極群20cの各可動電極22の厚みは、可動電極群20aの各可動電極21、及び可動電極群20dの各可動電極21の厚みと異なり、固定部3の中心からYプラスに延びる仮想線である中心線60を対称軸として、可動電極群20aの各可動電極21は可動電極群20dの各可動電極21と線対称に配置され、可動電極群20bの各可動電極22は可動電極群20cの各可動電極22と線対称に配置される。
【0041】
これによれば、中心線60を対称軸として、左側(Xマイナス方向)の可動電極21,22の数と、右側(Xプラス方向)の可動電極21,22の数とが同一となり、可動体8における左右の重量バランスを均一にすることができる。さらに、左側にはN型検出部25n,P型検出部25pが配置され、右側にはN型検出部26n,P型検出部26pが配置されるため、2つずつのN型、P型の検出部により、Zプラス/マイナス方向を区別した加速度を検出することができる。
よって、加速度センサー100は、可動体8の重量バランスが良く検出精度が高い。
従って、他軸感度が抑制され、検出精度が高い加速度センサー100を提供することができる。
【0042】
また、支持梁は、一端が固定部3に固定され、第1方向に延びる第1回転バネ4aと、一端が固定部3に固定され、第1方向とは反対方向に延びる第2回転バネ4bとを有し、可動体8は、一端が第1回転バネ4aの他端に接続され、第2方向に延びる第1連結部6aと、一端が第2回転バネ4bの他端に接続され、第2方向に延びる第2連結部6bと、第1連結部6aと第2連結部6bとをつなぎ、第1方向に延在する基部7とを有し、可動電極群20a、可動電極群20b、可動電極群20c、及び可動電極群20dは、基部7に接続される。
これによれば、固定部3と一体化した第1回転バネ4a、第2回転バネ4bを固定軸としての一辺と見做すと、固定軸と可動体8とで構造的に安定した矩形が形成されるため、可動体8が固定軸を軸として揺動する際に、安定した揺動を行うことができる。換言すれば、安定して加速度を検出することができる。
【0043】
また、可動体8は、左右対称に配置されたダンパー部65a,65bを備えている。
よって、可動体8にZ方向以外の方向の加速度が生じた際に、可動体8のZ方向以外の不要な変位、振動をダンピングすることができ、他軸感度を低減することができる。
従って、他軸感度が抑制され、より検出精度が高い加速度センサー100を提供することができる。
【0044】
実施形態2
***センサー素子の異なる態様-1***
図7は、実施形態2に係るセンサー素子の平面図であり、図1に対応している。
上記実施形態では、複数の可動電極21,22が基部7から交差する方向に櫛歯状に突出し、当該可動電極に対向して複数の固定電極11,12が設けられるものとして説明したが、この構成に限定するものではなく、両電極間に平行平板型の容量が形成され得る構成であれば良い。
例えば、本実施形態の加速度センサー110では、基部7の延在方向と同じ方向に延在する可動電極21c,22cを有する構成を採用している。以下、上記実施形態と同じ部位には、同じ付番を付し、重複する説明は省略する。
【0045】
図7に示す本実施形態の加速度センサー110は、基部7において、第2連結部6b側からN型検出部75n、P型検出部75p、P型検出部76p,N型検出部76nを、この順に備えている。換言すれば、N型検出部75n,P型検出部75pの対と、N型検出部76n,P型検出部76pの対とを、中心線60を対称軸として線対称に設ける構成としている。
N型検出部75nは、可動電極群70aと、固定電極群80aとから構成される。
可動電極群70aは、基部7からYマイナス方向に分岐する電極軸33aと、2本の可動電極21cから構成される。2本の可動電極21cは、電極軸33aの途中から左右に分岐しX方向に延在する。2本の可動電極21cは間隙を持って配置されており、当該間隙の間に、固定電極群80aの固定電極11cが配置される。
【0046】
固定電極群80aは、基体1に設けられており、等間隔に並ぶ3本の固定電極11cと、3本の固定電極11cを左右でそれぞれ接続する連結部34とから構成される。
可動電極群70aの2本の可動電極21cと、固定電極群80aの3本の固定電極11cとは、間隙を持って櫛歯状に配置される。なお、3本の固定電極11cのうち、基部7側の2本の固定電極11cは、電極軸33aと交差する部分で分断している。
また、固定電極群80aのX方向における両端が連結部34により接続されているため、平面的に固定電極群80aの外形が矩形をなしており、可動電極群70aを固定電極群80aが囲うような構成となっている。このような構成であっても、可動電極21cと固定電極11cとの間に、平行平板型の容量が形成され、可動体8bの揺動に伴う容量変化を検出することができる。
【0047】
P型検出部75pは、可動電極群70bと、固定電極群80bとから構成される。
可動電極群70bは、基部7からYマイナス方向に分岐する電極軸33bと、2本の可動電極22cから構成される。2本の可動電極22cは、電極軸33bの途中から左右に分岐しX方向に延在する。2本の可動電極22cは間隙を持って配置されており、当該間隙の間に、固定電極群80bの固定電極12cが配置される。
【0048】
固定電極群80bは、基体1に設けられており、等間隔に並ぶ3本の固定電極12cと、3本の固定電極12cを左右でそれぞれ接続する連結部35とから構成される。
可動電極群70bの2本の可動電極22cと、固定電極群80bの3本の固定電極12cとは、間隙を持って櫛歯状に配置される。なお、3本の固定電極12cのうち、基部7側の2本の固定電極12cは、電極軸33bと交差する部分で分断している。
また、固定電極群80bのX方向における両端が連結部35により接続されているため、平面的に固定電極群80bの外形が矩形をなしており、可動電極群70bを固定電極群80bが囲うような構成となっている。このような構成であっても、可動電極22cと固定電極12cとの間に、平行平板型の容量が形成され、可動体8bの揺動に伴う容量変化を検出することができる。
【0049】
P型検出部76pは、中心線60を対称軸としてP型検出部75pと線対称に構成されている。N型検出部76nは、中心線60を対称軸としてN型検出部75nと線対称に構成されている。つまり、N型検出部75n,P型検出部75pの対と、N型検出部76n,P型検出部76pの対とを、中心線60を対称軸として線対称に設けた構成となっている。
【0050】
ここで、N型検出部75nにおける可動電極群70aの可動電極21cのZ方向における厚さは、図3に示す実施形態1の可動電極群20aの可動電極21の厚さと同じに設定されている。詳しくは、電極軸33aの厚さが、根元の基部7と同じ厚さからYマイナス方向の途中で階段状に切り欠かれて薄くなり、可動電極21の厚さと同じになる。そして、電極軸33aから分岐する2本の可動電極21cも、可動電極21の厚さと同じにしている。
他方、固定電極群80aの固定電極11cのZ方向における厚さは、図3に示す実施形態1の固定電極群10aの固定電極11の厚さと同じに設定されている。なお、N型検出部76nも同じである。
【0051】
また、P型検出部75pにおける可動電極群70bの可動電極22cのZ方向における厚さは、図4に示す実施形態1の可動電極群20bの可動電極22の厚さと同じに設定されている。詳しくは、可動電極22cの厚さは、基部7の厚さと同じである。
他方、固定電極群80bの固定電極12cのZ方向における厚さは、図4に示す実施形態1の固定電極群10bの固定電極12の厚さと同じに設定されている。詳しくは、3本の固定電極12cを含む固定電極群80bの全体の厚さ(高さ)が、固定電極群80aよりも薄く(低く)、固定電極12の厚さと同じに設定されている。なお、P型検出部76pも同じである。
【0052】
これにより、N型検出部75n,76n、及び、P型検出部75p,76pの初期状態におけるZ方向の重なり態様は、図5と同じとなる。そして、加速度が加わった際の挙動も、図5と同じとなる。
よって、N型検出部75n,76n、及び、P型検出部75p,76pにおける重なり面積の変化を、静電容量の変化として検出することにより、Zプラス/マイナス方向における加速度を検出することができる。
【0053】
以上、述べた通り、本実施形態の物理量センサーとしての加速度センサー110によれば、上記実施形態での効果に加えて、以下の効果を得ることができる。
基部7において、第2連結部6b側からN型検出部75n、P型検出部75p、P型検出部76p,N型検出部76nを、この順に備えた加速度センサー110の構成であっても、加速度センサー100と同様に加速度を検出することができる。
よって、加速度センサー110は、可動体8bの重量バランスが良く検出精度が高い。
従って、他軸感度が抑制され、検出精度が高い加速度センサー110を提供することができる。
【0054】
実施形態3
***センサー素子の異なる態様-2***
図8は、実施形態3に係るセンサー素子の平面図であり、図1に対応している。
上記実施形態では、可動体8は、基部7を第1連結部6aと第2連結部6bとの2本の支柱で支えるフレーム状の構成として説明したが、この構成に限定するものではなく、基部を揺動可能に支持し得る構成であれば良い。
例えば、本実施形態の加速度センサー120では、基部77を1本の支持腕66で支える構成を採用している。以下、上記実施形態と同じ部位には、同じ付番を付し、重複する説明は省略する。
【0055】
図8に示すように、本実施形態の加速度センサー120では、センサー素子52を第1固定部43aと第2固定部43bとの2つの固定部で支持している。換言すれば、固定部は、第1固定部43aと、第1固定部43aから第1方向とは反対側に離間した第2固定部43bとを有する。ここで、中心線60は、第1固定部43a及び第2固定部43bの中心を通りY軸に沿った線分である。なお、ここで固定部は2つであったが、3つ以上の固定部を有する場合、中心線60はこれら3つ以上の固定部をあわせたものの中心を通りY軸に沿った線分である。
そして、支持梁は、一端が第1固定部43aに固定され、第1方向とは反対側のXマイナス方向に延びる第1支持梁としての第1回転バネ64aと、一端が第2固定部43bに固定され、Xプラス方向に延びる第2支持梁としての第2回転バネ64bを有する。
【0056】
支持腕66は、連結部であり、中心線60の上に設けられておりY方向に延在している。支持腕66の一端は、第1回転バネ64aの他端と、第2回転バネ64bの他端とに接続されている。
支持腕66の他端は、基部77の中央に接続している。基部77は、X方向に延在する板状の部材である。また、中心線60を基準として基部77のXプラス側の部分を第1基部77a、Xマイナス側の部分を第2基部77bともいう。
換言すれば、可動体85は、一端が第1固定部43aの他端及び第2固定部43bの他端に接続され、Yプラス方向に延びる連結部としての支持腕66と、支持腕66の他端に接続され、Xプラスに延在する第1基部77aと、支持腕66の他端に接続され、第1方向とは反対側のXマイナス方向に延在する第2基部77bとを有する。
【0057】
そして、加速度センサー120は、基部77において、Xマイナス側からN型検出部25n、P型検出部25p、P型検出部26p,N型検出部26nを、この順に備えている。つまり、N型検出部25n,P型検出部25pの対と、N型検出部26n,P型検出部26pの対とを、中心線60を対称軸として線対称に設ける構成としている。
換言すれば、N型検出部25nの可動電極群20a、及び、P型検出部25pの可動電極群20bは第2基部77bに接続されており、P型検出部26pの可動電極群20c、及び、N型検出部26nの可動電極群20dは第1基部77aに接続される。
【0058】
以上、述べた通り、本実施形態の物理量センサーとしての加速度センサー120によれば、上記実施形態での効果に加えて、以下の効果を得ることができる。
加速度センサー120によれば、固定部は、第1固定部43aと、第1固定部43aから第1方向とは反対側に離間した第2固定部43bとを有し、支持梁は、一端が第1固定部43aに固定され、第1方向とは反対側のXマイナス方向に延びる第1支持梁としての第1回転バネ64aと、一端が第2固定部43bに固定され、Xプラス方向に延びる第2支持梁としての第2回転バネ64bとを有し、可動体85は、一端が第1固定部43aの他端及び第2固定部43bの他端に接続され、Yプラス方向に延びる連結部としての支持腕66と、支持腕66の他端に接続され、Xプラスに延在する第1基部77aと、支持腕66の他端に接続され、第1方向とは反対側のXマイナス方向に延在する第2基部77bとを有し、N型検出部25nの可動電極群20a、及び、P型検出部25pの可動電極群20bは第2基部77bに接続されており、P型検出部26pの可動電極群20c、及び、N型検出部26nの可動電極群20dは第1基部77aに接続される。
【0059】
これによれば、中心線60を対称軸として、左側の可動電極21,22の数と、右側の可動電極21,22の数とが同一となり、可動体8における左右の重量バランスを均一にすることができる。さらに、基部77を1本の支持腕66で支える構成であっても、支持腕66を2ヶ所の第1固定部43a、第2固定部43bで支持することにより、安定した構造とすることができる。
よって、加速度センサー120は、可動体85の重量バランスが良く検出精度が高い。
従って、他軸感度が抑制され、検出精度が高い加速度センサー120を提供することができる。
【0060】
実施形態4
***センサー素子の異なる態様-3***
図9は、実施形態4に係るセンサー素子の平面図であり、図1に対応している。
上記実施形態では、可動体8の基部7の片側(Yマイナス側)に可動電極21,22を設けるものとして説明したが、この構成に限定するものではなく、基部の両側に可動電極21,22を設ける構成であっても良い。
例えば、本実施形態の加速度センサー130では、第1連結部6aから分岐する第1基部68aを備えており、第1基部68aの両側に可動電極21,22を設ける構成を採用している。なお、第2連結部6b側にも、第1基部68aと左右対称な第2基部68bを備えている。以下、上記実施形態と同じ部位には、同じ付番を付し、重複する説明は省略する。
【0061】
図9に示すように、本実施形態の加速度センサー130のセンサー素子53では、第1連結部6aからXマイナス方向に分岐する第1基部68aと、第2連結部6bからXプラス方向に分岐する第2基部68bとを備えている。第1基部68aと第2基部68bとは接続しておらず、中心線60を挟んで分断している。換言すれば、可動体8cは、第1連結部6aから第1方向とは反対のXマイナス方向に延びる第1基部68aと、第2連結部6bからXプラスに延びる第2基部68bとを有する。
第1基部68aの他端と、第2連結部6bの他端との間は、連結梁17で接続されている。連結梁17は、図1の基部7に対応する梁であり、矩形状の可動体8cの外形辺を構成する。
【0062】
第2基部68bのYマイナス側の辺には、第2連結部6b側からN型検出部25nと、P型検出部25pとをこの順に備えている。そして、Yプラス側の辺にも、第2連結部6b側からN型検出部25nと、P型検出部25pとをこの順に備えている。つまり、第2基部68bのY方向における両側に、2つのN型検出部25nと、2つのP型検出部25pとからなる4つの検出部を備えている。
第1基部68aのYマイナス側の辺には、中心線60側からP型検出部26pと、N型検出部26nとを、この順に備えている。そして、Yプラス側の辺にも、中心線60側からP型検出部26pと、N型検出部26nとを、この順に備えている。つまり、第1基部68aのY方向における両側に、2つのP型検出部26pと、2つのN型検出部26nとからなる4つの検出部を備えている。
【0063】
このように、4つの検出部を含む第1基部68aと、4つの検出部を含む第2基部68bとは、中心線60を対称軸として線対称に設けられている。なお、第1基部68a、第2基部68bの両側に検出部を設けることに限定するものではなく、左右対称な構成となっていれば良く、いずれかの側のみに検出部を設けることであっても良い。
換言すれば、N型検出部25nの可動電極群20a、及び、P型検出部25pの可動電極群20bは第2基部68bに接続され、P型検出部26pの可動電極群20c、及び、N型検出部26nの可動電極群20dは第1基部68aに接続される。
【0064】
以上、述べた通り、本実施形態の物理量センサーとしての加速度センサー130によれば、上記実施形態での効果に加えて、以下の効果を得ることができる。
加速度センサー130によれば、支持梁は、一端が固定部3に固定され、第1方向に延びる第1回転バネ4aと、一端が固定部3に固定され、第1方向とは反対方向に延びる第2回転バネ4bとを有し、可動体8cは、一端が第1回転バネ4aの他端に接続され、第2方向に延びる第1連結部6aと、一端が第2回転バネ4bの他端に接続され、第2方向に延びる第2連結部6bと、第1連結部6aから第1方向とは反対のXマイナス方向に延びる第1基部68aと、第2連結部6bからXプラスに延びる第2基部68bとを有し、N型検出部25nの可動電極群20a、及び、P型検出部25pの可動電極群20bは第2基部68bに接続され、P型検出部26pの可動電極群20c、及び、N型検出部26nの可動電極群20dは第1基部68aに接続される。
【0065】
これによれば、4つの検出部を含む第1基部68aと、4つの検出部を含む第2基部68bとが、中心線60を対称軸として対称に設けられているため、可動体8cにおける左右の重量バランスを均一にすることができる。さらに、第1基部68a、第2基部68bにそれぞれ4つの検出部が設けられており、計8つの検出部を備えているため、加速度の検出感度がより高くなる。
よって、加速度センサー130は、可動体8cの重量バランスが良く検出精度が高い。
従って、他軸感度が抑制され、検出精度が高い加速度センサー130を提供することができる。
【0066】
実施形態5
***センサー素子の異なる態様-4***
図10は、実施形態5に係るセンサー素子の平面図であり、図1図9に対応している。
上記実施形態4で説明した第1基部68a、第2基部68bの両側に検出部を設ける構成は、1本の支持腕で可動部を支える構造にも適用することができる。以下、上記実施形態と同じ部位には、同じ付番を付し、重複する説明は省略する。
【0067】
図10に示すように、本実施形態の加速度センサー140では、図8の構成と同様に、1本の支持腕66で可動体86を支える構成を採用している。
加速度センサー140では、センサー素子54を第1固定部43aと第2固定部43bとの2つの固定部で支持している。換言すれば、固定部は、第1固定部43aと、第1固定部43aから第1方向とは反対側に離間した第2固定部43bとを有する。
そして、支持梁は、一端が第1固定部43aに固定され、第1方向とは反対側のXマイナス方向に延びる第1支持梁としての第1回転バネ64aと、一端が第2固定部43bに固定され、Xプラス方向に延びる第2支持梁としての第2回転バネ64bを有する。
【0068】
支持腕66は、連結部であり、中心線60の上に設けられておりY方向に延在している。支持腕66の一端は、第1回転バネ64aの他端と、第2回転バネ64bの他端とに接続されている。
支持腕66の他端は、重り梁78の中央に接続している。重り梁78は、可動体86の慣性モーメントを大きくするための重り部材であり、X方向に延在する板状の部材である。支持腕66には、支持腕66からXプラス方向に分岐する第1基部69aと、Xマイナス方向に分岐する第2基部69bとが設けられている。第1基部69aと第2基部69bとは、中心線60を対称軸として対称に設けられている。換言すれば、可動体86は、支持腕66に接続され、Xプラス方向に延在する第1基部69aと、支持腕66に接続され、第1方向とは反対側のXマイナス方向に延在する第2基部69bとを有する。
【0069】
第2基部69bのYマイナス側の辺には、Xマイナス側からN型検出部25nと、P型検出部25pとをこの順に備えている。そして、Yプラス側の辺にも、Xマイナス側からN型検出部25nと、P型検出部25pとをこの順に備えている。つまり、第2基部69bのY方向における両側に、2つのN型検出部25nと、2つのP型検出部25pとからなる4つの検出部を備えている。
第1基部69aのYマイナス側の辺には、支持腕66側からP型検出部26pと、N型検出部26nとを、この順に備えている。そして、Yプラス側の辺にも、支持腕66側からP型検出部26pと、N型検出部26nとを、この順に備えている。つまり、第1基部69aのY方向における両側に、2つのP型検出部26pと、2つのN型検出部26nとからなる4つの検出部を備えている。
【0070】
このように、4つの検出部を含む第1基部69aと、4つの検出部を含む第2基部69bとは、中心線60を対称軸として線対称に設けられている。なお、第1基部69a、第2基部69bの両側に検出部を設けることに限定するものではなく、左右対称な構成となっていれば良く、いずれかの側のみに検出部を設けることであっても良い。
換言すれば、N型検出部25nの可動電極群20a、及び、P型検出部25pの可動電極群20bは第2基部69bに接続され、P型検出部26pの可動電極群20c、及び、N型検出部26nの可動電極群20dは第1基部69aに接続される。
【0071】
以上、述べた通り、本実施形態の物理量センサーとしての加速度センサー140によれば、上記実施形態での効果に加えて、以下の効果を得ることができる。
加速度センサー140によれば、固定部は、第1固定部43aと、第1固定部43aから第1方向とは反対側に離間した第2固定部43bとを有し、支持梁は、一端が第1固定部43aに固定され、第1方向とは反対側のXマイナス方向に延びる第1支持梁としての第1回転バネ64aと、一端が第2固定部43bに固定され、Xプラス方向に延びる第2支持梁としての第2回転バネ64bとを有し、可動体86は、一端が第1固定部43aの他端及び第2固定部43bの他端に接続され、Yプラス方向に延びる連結部としての支持腕66と、支持腕66に接続され、Xプラス方向に延在する第1基部69aと、支持腕66に接続され、第1方向とは反対側のXマイナス方向に延在する第2基部69bとを有し、N型検出部25nの可動電極群20a、及び、P型検出部25pの可動電極群20bは第2基部69bに接続され、P型検出部26pの可動電極群20c、及び、N型検出部26nの可動電極群20dは第1基部69aに接続される。
【0072】
これによれば、4つの検出部を含む第1基部69aと、4つの検出部を含む第2基部69bとが、中心線60を対称軸として対称に設けられているため、可動体86における左右の重量バランスを均一にすることができる。さらに、第1基部69a、第2基部69bにそれぞれ4つの検出部が設けられており、計8つの検出部を備えているため、加速度の検出感度がより高くなる。
よって、加速度センサー140は、可動体86の重量バランスが良く検出精度が高い。
従って、他軸感度が抑制され、検出精度が高い加速度センサー140を提供することができる。
【0073】
実施形態6
***可動電極、固定電極の厚さの変形例***
図11は、実施形態6に係る加速度の検出原理の説明図であり、図5に対応している。
上記実施形態では、初期状態において、N型検出部25nの固定電極11および可動電極21のZマイナス側における端部の位置、及び、P型検出部25pの固定電極12および可動電極22のZマイナス側における端部の位置は、ともに一致しているものとして説明したが、この構成に限定するものではなく、一致していなくても良い。以下、上記実施形態と同じ部位には、同じ付番を付し、重複する説明は省略する。
【0074】
本実施形態では、初期状態において、N型検出部25nの可動電極21のZマイナス側における端部の位置が、固定電極11の端部の位置よりも寸法d分だけ突出している。
そして、P型検出部25pでは、固定電極12のZマイナス側における端部の位置が、可動電極22の端部の位置よりも寸法d分だけ突出している。つまり、図5の初期状態に比べて、可動電極21及び固定電極12の位置が、寸法d分だけZマイナス方向にシフトしている。これ以外の構成は、実施形態1での説明と同様である。
【0075】
Zプラス方向の加速度が生じた場合、N型検出部25nの可動電極21、および、P型検出部25pの可動電極22は、それぞれ、加速度に伴う慣性力を受けてZマイナス側に変位する。この際、N型検出部25nにおける固定電極11と可動電極21との重なり面積は、可動電極21がZマイナス方向に変位することにより、初期面積よりも小さくなる。つまり、静電容量が減少する。
他方、P型検出部25pにおける固定電極12と可動電極22との重なり面積は、可動電極22がZマイナス方向に変位することにより、初期面積よりも大きくなる。つまり、静電容量が増加する。ここで、図5の構成では、P型検出部では重なり面積の変化は生じなかったが、本実施形態の構成によれば、P型検出部においても加速度の検出が可能となる。換言すれば、N型検出部に加えて、P型検出部でも検出できるため、より高精度の検出を行うことができる。
【0076】
次に、Zマイナス方向の加速度が生じた場合、N型検出部25nの可動電極21、および、P型検出部25pの可動電極22は、それぞれ、加速度に伴う慣性力を受けてZプラス側に変位する。この際、N型検出部25nにおける固定電極11と可動電極21との重なり面積は、可動電極21がZプラス方向に変位することにより、初期面積よりも大きくなる。つまり、静電容量が増加する。ここで、図5の構成では、N型検出部では重なり面積の変化は生じなかったが、本実施形態の構成によれば、N型検出部においても加速度の検出が可能となる。換言すれば、P型検出部に加えて、N型検出部でも検出できるため、より高精度の検出を行うことができる。
他方、P型検出部25pにおける固定電極12と可動電極22との重なり面積は、可動電極22がZプラス方向に変位することにより、初期面積よりも小さくなる。
【0077】
このように、本実施形態の構成によれば、Zプラス方向に加速度が生じた場合は、N型検出部25nでは重なり面積が減少し、P型検出部25pでは重なり面積が増加する。そして、Zマイナス方向の加速度が生じた場合は、N型検出部25nでは重なり面積が増加し、P型検出部25pでは重なり面積が減少する。
これにより、Zプラス/マイナス方向のいずれの加速度が加わった場合でも、P型検出部およびN型検出部による両極の検出部により加速度を検出することが可能となり、より高精度の検出を行うことができる。
なお、上記では、図11の構成を加速度センサー100に適用した場合について説明したが、他の実施形態の加速度センサー110,120,130,140にも適用可能であり、同様の作用効果を得ることができる。
【0078】
実施形態7
***慣性計測装置***
図12は、実施形態7に係る慣性計測装置の分解斜視図である。図13は、回路基板の斜視図である。次に、本実施形態の慣性計測装置200の一例について図12図13を用いて説明する。
【0079】
図12に示す、慣性計測装置200は、IMU(Inertial Measurement Unit)であり、自動車や、ロボットなどの運動体の姿勢や挙動などの慣性運動量を検出する装置である。なお、被装着体は自動車などの運動体に限らず、例えば、橋梁や、高架軌道などの建造物であっても良い。建造物に取付ける場合は、建造物の健全度をチェックする構造ヘルスモニタリングシステムとして用いられる。
慣性計測装置200は、3軸に沿った方向の加速度を検出する加速度センサーと、3軸回りの角速度を検出する角速度センサーとを備えた、いわゆる6軸モーションセンサーである。
【0080】
慣性計測装置200は、平面形状が略正方形の直方体である。また正方形の対角線方向に位置する2ヶ所の頂点近傍に、ネジ穴211が形成されている。この2ヶ所のネジ穴211に2本のネジを通して、自動車などの被装着体の被装着面に慣性計測装置200を固定することができる。なお、部品の選定や設計変更により、例えば、スマートフォンやデジタルカメラに搭載可能なサイズに小型化することも可能である。
【0081】
慣性計測装置200は、アウターケース210と、接合部材220と、センサーモジュール230を有し、アウターケース210の内部に、接合部材220を介在させて、センサーモジュール230を挿入した構成となっている。センサーモジュール230は、インナーケース231と回路基板232を有している。インナーケース231には、回路基板232との接触を防止するための凹部231aや、後述するコネクター233を露出させるための開口231bが設けられている。そしてインナーケース231の下面には、接着剤を介して回路基板232が接合されている。
【0082】
図13に示すように、回路基板232の上面には、コネクター233、Z軸回りの角速度を検出する角速度センサー234z、X軸、Y軸及びZ軸の各軸方向の加速度を検出する加速度センサーユニット235などが実装されている。
また、回路基板232の側面には、X軸回りの角速度を検出する角速度センサー234x及びY軸回りの角速度を検出する角速度センサー234yが実装されている。
【0083】
加速度センサーユニット235は、前述したZ軸方向の加速度を測定するための加速度センサー100を少なくとも含み、必要に応じて、一軸方向の加速度を検出したり、二軸方向や三軸方向の加速度を検出したりすることができる。なお、加速度センサー100に換えて、加速度センサー110,120,130,140を用いても良い。
角速度センサー234x,234y,234zとしては、特に限定されないが、例えばコリオリの力を利用した振動ジャイロセンサーを用いることができる。
【0084】
回路基板232の下面には、制御部としての制御IC236が実装されている。
制御IC236は、例えば、MCU(Micro Controller Unit)であり、不揮発性メモリーを含む記憶部や、A/Dコンバーターなどを内蔵しており、慣性計測装置200の各部を制御する。記憶部には、加速度、および角速度を検出するための順序と内容を規定したプログラムや、加速度センサー100の検出機能の検査方法を規定した検査プログラム、付随するデータなどが記憶されている。また、回路基板232には、その他にも複数の電子部品が実装されている。換言すれば、慣性計測装置200は、物理量センサーとしての加速度センサー100と、加速度センサー100から出力された検出信号に基づいて制御を行う制御部としての制御IC236を含んで構成される。
【0085】
また、慣性計測装置200は、図12図13の構成に限定するものではなく、例えば、角速度センサー234x,234y,234zを設けずに、物理量センサーとして加速度センサー100だけを設ける構成としても良い。この場合、例えば、加速度センサー100と制御IC236とを1つの実装パッケージとして構成することにより、慣性計測装置200を1チップの実装部品として提供することができる。
【0086】
以上、述べた通り、本実施形態の慣性計測装置200によれば、上記実施形態での効果に加えて、以下の効果を得ることができる。
慣性計測装置200は、物理量センサーとしての加速度センサー100と、加速度センサー100から出力された検出信号に基づいて制御を行う制御部としての制御IC236を含んで構成される。
【0087】
これによれば、慣性計測装置200は、他軸感度が抑制され、検出精度が高い加速度センサー100を備えている。従って、検出精度が高く、信頼性に優れた慣性計測装置200を提供することができる。
【符号の説明】
【0088】
1…基体、1b…凹部、1c…張出し部、2…埋込絶縁層、3…固定部、4a…第1回転バネ、4b…第2回転バネ、5…蓋体、5b…凹部、6a…第1連結部、6b…第2連結部、7…基部、8,8b,8c…可動体、9a~9d…台座部、10…固定電極部、10a~10d…固定電極群、11,11c…固定電極、12,12c…固定電極、13…ガラスフリット、14…マウント部、17…連結梁、19…固定電極部、20…可動電極部、20a~20d…可動電極群、21,21c…可動電極、22,22c…可動電極、25n…N型検出部、25p…P型検出部、26n…N型検出部、26p…P型検出部、29…可動電極部、30a…ダンパー可動部、30b…ダンパー可動部、31a,31b…第1バー、32…第2バー、33a,33b…電極軸、34,35…連結部、41,42,44…接続パッド、43a…第1固定部、43b…第2固定部、45a,45b…ダンパー固定部、46…第3バー、47…連結部、50,52,53,54…センサー素子、60…中心線、61…揺動軸、64a…第1回転バネ、64b…第2回転バネ、65a,65b…ダンパー部、66…支持腕、68a…第1基部、68b…第2基部、69a…第1基部、69b…第2基部、70a,70b…可動電極群、71,72,74…配線、75n…N型検出部、75p…P型検出部、76n…N型検出部、76p…P型検出部、77…基部、77a…第1基部、77b…第2基部、78…重り梁、80a,80b…固定電極群、85,86,89…可動体、90…比較例の加速度センサー、100,110,120,130,140…加速度センサー、200…慣性計測装置、210…アウターケース、211…ネジ穴、220…接合部材、230…センサーモジュール、231…インナーケース、231a…凹部、231b…開口、232…回路基板、233…コネクター、234x…角速度センサー、234y…角速度センサー、234z…角速度センサー、235…加速度センサーユニット、236…制御IC。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
【手続補正書】
【提出日】2023-07-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに直交する方向を第1方向、第2方向及び第3方向としたとき、
基体に固定されている固定部と、
前記固定部に一端が接続されている支持梁と、
前記基体に設けられている固定電極部と、
可動体と、
を含み、
前記固定電極部は、
第1固定電極群と、
第2固定電極群と、
第3固定電極群と、
第4固定電極群と、
を含み、
前記可動体は、可動電極部を含み、
前記可動電極部は、
前記第1固定電極群の第1固定電極に対向している第1可動電極を含む第1可動電極群と、
前記第2固定電極群の第2固定電極に対向している第2可動電極を含む第2可動電極群と、
前記第3固定電極群の第3固定電極に対向している第3可動電極を含む第3可動電極群と、
前記第4固定電極群の第4固定電極に対向している第4可動電極を含む第4可動電極群と、
を含み、
前記第1可動電極群、前記第2可動電極群、前記第3可動電極群、及び前記第4可動電極群は、前記第1方向に沿って、順に配置され、
前記第3方向において、
前記第2可動電極の厚み及び前記第3可動電極の厚みは、
前記第1可動電極の厚み及び前記第4可動電極の厚みと異なり、
前記固定部の中心から前記第2方向に延びる仮想線を対称軸としたとき、
前記第1可動電極は、前記第4可動電極と線対称に配置され、
前記第2可動電極は、前記第3可動電極と線対称に配置されている、
物理量センサー。
【請求項2】
前記支持梁は、
一端が前記固定部に固定され、前記第1方向に延びている第1支持梁と、
一端が前記固定部に固定され、前記第1方向とは反対方向に延びている第2支持梁と、
含み
前記可動体は、
一端側が前記第1支持梁の他端に接続され、前記第2方向に延びている第1連結部と、
一端側が前記第2支持梁の他端に接続され、前記第2方向に延びている第2連結部と、
前記第1連結部と前記第2連結部とをつなぎ、前記第1方向に延在している基部と
含み
前記第1可動電極群、前記第2可動電極群、前記第3可動電極群、及び前記第4可動電極群は、前記基部に接続されている、
請求項1に記載の物理量センサー。
【請求項3】
前記固定部は、
第1固定部と、
前記第1固定部から前記第1方向とは反対側の方向に離間して配置されている第2固定部と
含み
前記支持梁は、
一端が前記第1固定部に固定され、前記第1方向とは反対方向に延びている第1支持梁と、
一端が前記第2固定部に固定され、前記第1方向に延びている第2支持梁と、
含み
前記可動体は、
一端側が前記第1支持梁の他端及び前記第2支持梁の他端に接続され、前記第2方向に延びている連結部と、
前記連結部の他端に接続され、前記第1方向に延びている第1基部と、
前記連結部の他端に接続され、前記第1方向とは反対方向に延びている第2基部と
含み
前記第1可動電極群、及び前記第2可動電極群は、前記第2基部に接続され、
前記第3可動電極群、及び前記第4可動電極群は、前記第1基部に接続されている、
請求項1に記載の物理量センサー。
【請求項4】
前記支持梁は、
一端が前記固定部に固定され、前記第1方向に延びている第1支持梁と、
一端が前記固定部に固定され、前記第1方向とは反対方向に延びている第2支持梁と、
含み
前記可動体は、
一端側が前記第1支持梁の他端に接続され、前記第2方向に延びている第1連結部と、
一端側が前記第2支持梁の他端に接続され、前記第2方向に延びている第2連結部と、
前記第1連結部から前記第1方向とは反対方向に延びている第1基部と、
前記第2連結部から前記第1方向に延びている第2基部と、
含み
前記第1可動電極群、及び前記第2可動電極群は前記第2基部に接続され、
前記第3可動電極群、及び前記第4可動電極群は前記第1基部に接続されている、
請求項1に記載の物理量センサー。
【請求項5】
前記固定部は、
第1固定部と、
前記第1固定部から前記第1方向とは反対方向に離間して配置されている第2固定部と、
含み
前記支持梁は、
一端が前記第1固定部に固定され、前記第1方向とは反対方向に延びている第1支持梁と、
一端が前記第2固定部に固定され、前記第1方向に延びている第2支持梁と、
含み
前記可動体は、
一端側が前記第1支持梁の他端及び前記第2支持梁の他端に接続され、前記第2方向に延びている連結部と、
前記連結部に接続され、前記第1方向に延びている第1基部と、
前記連結部に接続され、前記第1方向とは反対方向に延びている第2基部と
含み
前記第1可動電極群、及び前記第2可動電極群は、前記第2基部に接続され、
前記第3可動電極群、及び前記第4可動電極群は、前記第1基部に接続されている、
請求項1に記載の物理量センサー。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の物理量センサーと、
前記物理量センサーから出力された検出信号に基づいて制御を行う制御部と、
を含む、
慣性計測装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0014】
可動体8は、第1回転バネ4aの他端からY軸のプラス方向に延在する第1連結部6aと、第2回転バネ4bの他端からY軸のプラス方向に延在する第2連結部6bと、第1連結部6aと第2連結部6bとを接続する梁である基部7とを有する。なお、好適例において、可動体8は、先端の基部7の質量が大きくなるように構成される。換言すれば、第1連結部6a、第2連結部6bよりも基部7の質量が大きくなるように構成される。これは、揺動軸61を中心とする慣性モーメントを大きくするためである。換言すれば、可動体8は、一端が第1回転バネ4aの他端に接続され、第2方向(Y軸のプラス方向)に延びる第1連結部6aと、一端が第2回転バネ4bの他端に接続され、第2方向に延びる第2連結部6bと、第1連結部6aと第2連結部6bとをつなぎ、第1方向(X軸のプラス方向)に延在する基部7とを有する。
このような構成により、センサー素子50は、揺動軸61を軸として可動体8が揺動する、いわゆる片側シーソー構造の加速度センサーとして構成される。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0023
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0023】
図4は、電極群の立体的形状を示す斜視図であり、固定電極群10b、可動電極群20bにおける斜視図である。
図4に示すように、固定電極12は、Y軸方向における厚みが一部で凹んでいる。具体的には、固定電極12は、Y方向において、範囲bにより示される部分の厚みが薄くなっている。換言すれば、固定電極12は、根元の台座部9bと同じ厚さからY軸のプラス方向の途中で階段状に切り欠かれて薄くなっている。これにより、3本の固定電極12共に、可動電極群20bの可動電極22と対向する部分においては、Z軸のプラス側における厚みが薄くなっている。
ここで、固定電極群10bと、可動電極群20bとからなる検出部をP型検出部25pという。P型検出部25pでは、対向配置された固定電極12と可動電極22とにより平行平板型の容量が形成される。当該容量は、加速度による可動電極22の変位に伴い、固定電極12との間における重なり面積の変化に応じて変化する。
同様に、固定電極群10c(図1)と、可動電極群20cとからなる検出部をP型検出部26pという。P型検出部26pは、P型検出部25pと対となる型の検出部であり、中心線60を対称軸としてP型検出部25pと線対称に設けられている。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0033
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0033】
ダンパー部65bは、可動体8の第2連結部6b側に設けられており、中心線60を対称軸としてダンパー部65aと線対称に設けられている。
ダンパー部65bは、ダンパー可動部30bと、ダンパー固定部45bとから構成される。ダンパー可動部30bは、第2連結部6bからX軸のプラス方向に分岐する第1バー31bと、2本の第2バー32とから構成される。2本の第2バー32は、Y方向に延在し、第1バー31bと十字状に交差している。2本の第2バー32は間隙を持って配置されており、当該間隙の間に、ダンパー固定部45bの第3バー46が配置される。第1バー31、第2バー32は、第2連結部6bの厚さと同じ厚さに形成されている。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0038
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0038】
ここで、N型検出部25nとP型検出部25pとは、中心線60を対称軸として平面的には線対称に設けられているが、可動体89の重量バランスが崩れていた。詳しくは、可動電極群20aの可動電極21は、可動電極群20bの可動電極22よりも薄いため、その分、可動体89のX軸のマイナス方向の質量が軽くなり、左右の重量バランスが崩れていた。このため、比較例の加速度センサー90では、加速度が加わった際、可動体89の揺動において、ねじれや歪みが発生し、他軸感度の増加など、検出精度が低下してしまうという課題があった。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0040
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0040】
以上、述べた通り、本実施形態の物理量センサーとしての加速度センサー100によれば、以下の効果を得ることができる。
互いに直交する方向を第1方向、第2方向及び第3方向としたとき、第3方向としてのZ方向での物理量を検出する加速度センサー100であって、基体1に固定された固定部3と、固定部3に一端が接続された支持梁としての第1回転バネ4a、第2回転バネ4bと、基体1に設けられ、第1固定電極群としての固定電極群10a、第2固定電極群としての固定電極群10b、第3固定電極群としての固定電極群10c、及び第4固定電極群としての固定電極群10dを有する固定電極部10と、固定電極群10aの固定電極11に対向する可動電極21を有する第1可動電極群としての可動電極群20aと、固定電極群10bの固定電極12に対向する可動電極22を有する第2可動電極群としての可動電極群20bと、固定電極群10cの固定電極12に対向する可動電極22を有する第3可動電極群としての可動電極群20cと、固定電極群10dの固定電極11に対向する可動電極21を有する第4可動電極群としての可動電極群20dを含む可動電極部20と、可動電極部20を有する可動体8と、を含み、第1方向において、可動電極群20a、可動電極群20b、可動電極群20c、可動電極群20dがこの順に並んで配置され、可動電極群20bの各可動電極22、及び可動電極群20cの各可動電極22の厚みは、可動電極群20aの各可動電極21、及び可動電極群20dの各可動電極21の厚みと異なり、固定部3の中心からY軸のプラス方向に延びている仮想線である中心線60を対称軸として、可動電極群20aの各可動電極21は可動電極群20dの各可動電極21と線対称に配置され、可動電極群20bの各可動電極22は可動電極群20cの各可動電極22と線対称に配置される。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0056
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0056】
支持腕66は、連結部であり、中心線60の上に設けられておりY方向に延在している。支持腕66の一端は、第1回転バネ64aの他端と、第2回転バネ64bの他端とに接続されている。
支持腕66の他端は、基部77の中央に接続している。基部77は、X方向に延在する板状の部材である。また、中心線60を基準として基部77のX軸のプラス側の部分を第1基部77a、X軸のマイナス側の部分を第2基部77bともいう。
換言すれば、可動体85は、一端が第1固定部43aの他端及び第2固定部43bの他端に接続され、Y軸のプラス方向に延びる連結部としての支持腕66と、支持腕66の他端に接続され、X軸のプラス方向に延在する第1基部77aと、支持腕66の他端に接続され、第1方向とは反対側のX軸のマイナス方向に延在する第2基部77bとを有する。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0058
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0058】
以上、述べた通り、本実施形態の物理量センサーとしての加速度センサー120によれば、上記実施形態での効果に加えて、以下の効果を得ることができる。
加速度センサー120によれば、固定部は、第1固定部43aと、第1固定部43aから第1方向とは反対側に離間した第2固定部43bとを有し、支持梁は、一端が第1固定部43aに固定され、第1方向とは反対側のX軸のマイナス方向に延びる第1支持梁としての第1回転バネ64aと、一端が第2固定部43bに固定され、X軸のプラス方向に延びる第2支持梁としての第2回転バネ64bとを有し、可動体85は、一端が第1固定部43aの他端及び第2固定部43bの他端に接続され、Y軸のプラス方向に延びる連結部としての支持腕66と、支持腕66の他端に接続され、X軸のプラス方向に延在する第1基部77aと、支持腕66の他端に接続され、第1方向とは反対側のX軸のマイナス方向に延在する第2基部77bとを有し、N型検出部25nの可動電極群20a、及び、P型検出部25pの可動電極群20bは第2基部77bに接続されており、P型検出部26pの可動電極群20c、及び、N型検出部26nの可動電極群20dは第1基部77aに接続される。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0059
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0059】
これによれば、中心線60を対称軸として、左側の可動電極21,22の数と、右側の可動電極21,22の数とが同一となり、可動体8における左右の重量バランスを均一にすることができる。さらに、基部77を1本の支持腕66で支える構成であっても、支持腕66を2ヶ所の第1固定部43a、第2固定部43bで支持することにより、安定した構造とすることができる。
よって、加速度センサー120は、可動体85の重量バランスが良いので、検出精度が高い。
従って、他軸感度が低減され、検出精度が高い加速度センサー120を提供することが
できる。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0061
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0061】
図9に示すように、本実施形態の加速度センサー130のセンサー素子53では、第1連結部6aからX軸のマイナス方向に分岐する第1基部68aと、第2連結部6bからX軸のプラス方向に分岐する第2基部68bとを備えている。第1基部68aと第2基部68bとは接続しておらず、中心線60を挟んで分断している。換言すれば、可動体8cは、第1連結部6aから第1方向とは反対のX軸のマイナス方向に延びる第1基部68aと、第2連結部6bからX軸のプラス方向に延びている第2基部68bとを有する。
第1基部68aの他端と、第2連結部6bの他端との間は、連結梁17で接続されている。連結梁17は、図1の基部7に対応する梁であり、矩形状の可動体8cの外形辺を構
成する。
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0064
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0064】
以上、述べた通り、本実施形態の物理量センサーとしての加速度センサー130によれば、上記実施形態での効果に加えて、以下の効果を得ることができる。
加速度センサー130によれば、支持梁は、一端が固定部3に固定され、第1方向に延びる第1回転バネ4aと、一端が固定部3に固定され、第1方向とは反対方向に延びる第2回転バネ4bとを有し、可動体8cは、一端が第1回転バネ4aの他端に接続され、第2方向に延びる第1連結部6aと、一端が第2回転バネ4bの他端に接続され、第2方向に延びる第2連結部6bと、第1連結部6aから第1方向とは反対のX軸のマイナス方向に延びる第1基部68aと、第2連結部6bからX軸のプラス方向に延びる第2基部68bとを有し、N型検出部25nの可動電極群20a、及び、P型検出部25pの可動電極群20bは第2基部68bに接続され、P型検出部26pの可動電極群20c、及び、N型検出部26nの可動電極群20dは第1基部68aに接続される。
【手続補正12】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0069
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0069】
第2基部69bのY軸のマイナス側の辺には、X軸のマイナス側からN型検出部25nと、P型検出部25pとをこの順に備えている。そして、Y軸のプラス側の辺にも、X軸のマイナス側からN型検出部25nと、P型検出部25pとをこの順に備えている。つまり、第2基部69bのY方向における両側に、2つのN型検出部25nと、2つのP型検出部25pとからなる4つの検出部を備えている。
第1基部69aのY軸のマイナス側の辺には、支持腕66側からP型検出部26pと、N型検出部26nとを、この順に備えている。そして、Y軸のプラス側の辺にも、支持腕66側からP型検出部26pと、N型検出部26nとを、この順に備えている。つまり、第1基部69aのY方向における両側に、2つのP型検出部26pと、2つのN型検出部26nとからなる4つの検出部を備えている。