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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024024824
(43)【公開日】2024-02-26
(54)【発明の名称】洗濯用ネット
(51)【国際特許分類】
   D06F 35/00 20060101AFI20240216BHJP
   A45C 3/00 20060101ALI20240216BHJP
【FI】
D06F35/00 A
A45C3/00 H
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022127744
(22)【出願日】2022-08-10
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】519438648
【氏名又は名称】株式会社ケアウィル
(74)【代理人】
【識別番号】100121430
【弁理士】
【氏名又は名称】嶋田 義之
(72)【発明者】
【氏名】金田 大輔
【テーマコード(参考)】
3B045
3B168
【Fターム(参考)】
3B045AA51
3B045CE00
3B045DA01
3B045FA01
3B168WA03
(57)【要約】
【課題】自立してバッグの形状を保持可能であるともに柔軟性も兼ね備える洗濯用ネットを提供する。
【解決手段】洗濯用ネット10は、左右の襠部20、22を有するバッグの形状で、左右方向に沿って延在する開口部24が形成された本体部26と、開口部24に沿って設置された線ファスナー28と、可撓性及び弾性を有し襠部20、22の輪郭における底部と前部と後部に沿って連続して設置された形状保持部30と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右の襠部を有するバッグの形状で、左右方向に沿って延在する開口部が形成された本体部と、
前記開口部に沿って設置された線ファスナーと、
可撓性及び弾性を有し前記襠部の輪郭における底部及び上部の少なくとも一方と前部と後部に沿って連続して設置された形状保持部と、を備える洗濯用ネット。
【請求項2】
請求項1において、
前記形状保持部は、前記襠部の輪郭に沿う部分以外には設置されていない洗濯用ネット。
【請求項3】
請求項1において、
前記開口部が前記襠部まで形成され、
前記形状保持部は馬蹄形で、その開口端が上方を向く姿勢で前記襠部の輪郭に沿って設置された洗濯用ネット。
【請求項4】
請求項3において、
前記襠部は前記開口部が形成された外襠部と、前記外襠部における前記開口部の一方側と他方側との間に張り掛けられ前記開口部の開口量を一定の範囲に規制する内襠部と、を有する洗濯用ネット。
【請求項5】
請求項1~4のいずれかにおいて、
前記襠部は台形であり前記本体部は四角錐台形状である洗濯用ネット。
【請求項6】
請求項1~4のいずれかにおいて、
前記形状保持部は、前記襠部の輪郭に沿って設置された袋状部と、可撓性及び弾性を有する発泡樹脂材の棒状体で前記襠部の輪郭に沿う形状に曲げられて前記袋状部に収容された芯部と、を有する洗濯用ネット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衣類等の洗濯物を収容して洗濯物とともに洗濯機で洗濯される洗濯用ネットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、衣類等の洗濯物を洗濯するために洗濯機が広く用いられている。一方、肩や肘等に障害がある者にとっては洗濯機による洗濯であっても作業が容易でない場合がある。例えば、一方の腕に障害があって他方の腕しか使えない場合、洗濯後に複数の洗濯物を洗濯機から取り出す作業は容易ではない。また、介護施設などで複数の利用者の洗濯物を共通の洗濯機で洗濯することがある。このような場合、複数の利用者の洗濯物が混ざってしまうため、洗濯後に各利用者の洗濯物を仕分ける作業が煩雑である。肩や肘等に障害がある者にとってはこのような作業も容易ではない。
【0003】
これに対し、バッグの形状で衣類等の洗濯物を収容して洗濯物とともに洗濯機で洗濯される洗濯用ネットが知られている(例えば、特許文献1~3参照)。このような洗濯用ネットによれば、洗濯後に洗濯用ネットを取り出すことにより複数の洗濯物をまとめて洗濯機から取り出すことができる。また、バッグの形状であるので持ち運びも容易である。さらに、複数の利用者の洗濯物を共通の洗濯機で洗濯する場合、利用者毎に個別の洗濯用ネットに洗濯物を収容して洗濯すれば、複数の利用者の洗濯物が混ざることもない。したがって、各利用者の洗濯物を仕分ける作業も容易である。また、バッグの形状で自立していれば洗濯用ネットに洗濯物を収容したり洗濯用ネットから洗濯物を取り出す作業も容易と考えられる。
【0004】
特許文献1には、バッグの形状の洗濯用ネットを洗濯籠にセットすることによりバッグの形状を保持して洗濯用ネットから洗濯物を取り出しやすくできることが開示されている。
また、特許文献2には、洗濯用ネットを構成する網状材に変形後に原形復元性を有する剛性を付与する技術が開示されている。
また、特許文献3には、開口部を周設するように形成されたポール状の発泡樹脂(可撓性芯材)からなるフロート体によって開口部が開いた状態に保形される洗濯用ネットが開示されている。特許文献3にはさらに取っ手によって洗濯機の近くに吊り下げておくことにより洗濯籠が不要になることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2020-025838号公報
【特許文献2】特公平07-024716号公報
【特許文献3】実願平05-070587号(実開平07-039786号)のCD-ROM
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示されている態様では洗濯用ネットに対応する洗濯籠を用意する必要がある。また、肩や肘等に障害がある者にとっては洗濯用ネットを洗濯籠にセットする作業が容易ではない場合がある。
特許文献2に開示された、網状材に変形後に原形復元性を有する剛性が付与された洗濯用ネットによれば自立してバッグの形状を保持しうるものの、柔軟性に欠けるため洗濯機の槽内の容積を過剰に使用しうるという問題がある。また、使用後の収納で嵩張るという問題もある。
また、特許文献3に開示された洗濯用ネットは、フロート体によって開口部は開いた状態に保形されるものの、自立してバッグの形状が保持されるものではない。
本発明は以上の問題点に鑑みてなされたものであって、自立してバッグの形状を保持可能であるともに柔軟性も兼ね備える洗濯用ネットを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、左右の襠部を有するバッグの形状で、左右方向に沿って延在する開口部が形成された本体部と、開口部に沿って設置された線ファスナーと、可撓性及び弾性を有し襠部の輪郭における底部及び上部の少なくとも一方と前部と後部に沿って連続して設置された形状保持部と、を備える洗濯用ネットにより上記課題を解決したものである。
【0008】
この洗濯用ネットは、可撓性及び弾性を有し襠部の輪郭における底部及び上部の少なくとも一方と前部と後部に沿って設置された形状保持部を備えるので、自立してバッグの形状を保持可能である。また、形状保持部は襠部の輪郭に沿って設置されるので、形状保持部によって襠部の形状は保持される一方、他の部位は襠部の輪郭に沿って設置された形状保持部の拘束を受けにくく柔軟である。したがって、この洗濯用ネットは柔軟性も兼ね備える。また、形状保持部は襠部の輪郭に沿って設置されるので、例えば左右の襠部を底部に重ねるように順次折りたたむことでコンパクトに収納することもできる。
【0009】
形状保持部は、襠部の輪郭に沿う部分以外には設置されていない構成であるとよい。形状保持部が襠部の輪郭に沿う部分以外には設置されていない構成であれば襠部以外の部位は容易に撓むことができ柔軟性の向上に寄与する。
【0010】
開口部は襠部まで形成され、形状保持部は馬蹄形で、その開口端が上方を向く姿勢で襠部の輪郭に沿って設置されているとよい。開口部が襠部まで形成されていれば、開口部の開口量を大きくすることができる。また、形状保持部は馬蹄形で、その開口端が上方を向く姿勢で襠部の輪郭に沿って設置されるので、形状保持部が開口部に干渉することがない。また、線ファスナーが開いた状態では形状保持部により開口部を開口した状態に保持可能である。したがって、洗濯用ネットに洗濯物を入れる作業や洗濯用ネットから洗濯物を取り出す作業が容易である。また、形状保持部は馬蹄形であるので開口端が接近/離間する方向には容易に撓むことができる。さらに、開口部が襠部まで形成されていれば開口に抗する力が小さいので、弾性力が小さい形状保持部でも開口部を開口状態に保持できる。よって、形状保持部を備えていながらより柔軟な洗濯用ネットの実現に寄与する。
【0011】
この場合、襠部は開口部が形成された外襠部と、外襠部における開口部の一方側と他方側との間に張り掛けられ開口部の開口量を一定の範囲に規制する内襠部と、を有するとよい。形状保持部が開口部を開口する側に付勢し、内襠部が開口部の開口量を規制することにより、同等の開口量に開口部を保持可能である。また、開口部が襠部まで形成されていても内襠部により洗濯物を襠部の内側に保持できる。
【0012】
襠部は台形であり本体部は四角錐台形状であるとよい。四角錐台形状は形状を保持する効果が高い。したがって、自立してバッグの形状を保持する効果を高めることができる。
【0013】
形状保持部は、襠部の輪郭に沿って設置された袋状部と、可撓性及び弾性を有する発泡樹脂材の棒状体で襠部の輪郭に沿う形状に曲げられて袋状部に収容された芯部と、を有するとよい。この構成はシンプルであるとともに洗濯に対する耐久性にも優れる。また、襠部の輪郭に沿う形状に曲げられて袋状部に収容された芯部の弾性力により襠部の形状を保持でき、バッグの形状を保持する効果が高い。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、自立してバッグの形状を保持可能であるともに柔軟性も兼ね備える洗濯用ネットを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の第1実施形態の洗濯用ネットの全体構成を模式的に示す斜視図
図2図1のIIの部分を拡大して模式的に示す側面図
図3】開口部が閉じた状態の同洗濯用ネットの襠部周辺の構成を模式的に示す内側から見た側面図
図4図3のIV-IVに沿う拡大断面図
図5】開口部が開いた状態の同洗濯用ネットの襠部周辺の構成を模式的に示す内側から見た側面図
図6図5のVI-VIに沿う拡大断面図
図7図3のVII-VIIに沿う拡大断面図
図8】開口部が開いた状態の同洗濯用ネットを模式的に示す斜視図
図9】本発明の第2実施形態の洗濯用ネットの全体構成を模式的に示す斜視図
図10】本発明の第3実施形態の洗濯用ネットの全体構成を模式的に示す斜視図
図11】本発明の第4実施形態の洗濯用ネットの全体構成を模式的に示す斜視図
図12】本発明の第5実施形態の洗濯用ネットの全体構成を模式的に示す斜視図
図13】本発明の第6実施形態の洗濯用ネットの全体構成を模式的に示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1に示されるように、本発明の第1実施形態の洗濯用ネット10は、前面部12、後面部14、底面部16、上面部18及び左右の襠部20、22を有するバッグの形状で、左右方向に沿って延在する開口部24が形成された本体部26と、開口部24に沿って設置された線ファスナー28と、可撓性及び弾性を有し襠部20、22の輪郭における底部と前部と後部に沿って連続して設置された形状保持部30と、を備える。なお、襠部20、22の輪郭における底部は、襠部20、22と底面部16との境界部分である。また、襠部20、22の輪郭における前部は、襠部20、22と前面部12との境界部分である。また、襠部20、22の輪郭における後部は、襠部20、22と後面部14との境界部分である。
【0017】
襠部20、22は台形であり本体部26は四角錐台形状である。なお、第1実施形態では襠部20、22の上底は下底よりも著しく短く襠部20、22は三角形に近い台形である。底面部16は正方形または長方形である。上面部18は長方形であり、その前後方向の長さは底面部16の前後方向の長さよりも短い。一方、上面部18の左右方向の長さは底面部16の左右方向の長さと同じである。なお、上面部18の左右方向の長さも底面部16の左右方向の長さよりも短くてもよい。
【0018】
本体部26を構成する前面部12、後面部14、底面部16、上面部18及び左右の襠部20、22は、図2に模式的に示されるようなネット材料で構成されている。このネット材料は目が粗い外側ネットと目が細かい内側ネットとが重ねられた構造である。ネット材料の材質は例えばポリエステルである。なお、ニーズ等に応じて外側ネットまたは内側ネットの一方が省略された単層のネット材料を使用してもよい。上面部18及び左右の襠部20、22は前後方向の中央で2つに分割されており、この分割部分が開口部24を構成している。開口部24は上面部18から襠部20、22の下端近傍まで形成されている。開口部24の前後方向の一方側の上面部18及び左右の襠部20、22は共通の1枚のネット材料で構成されている。開口部24の前後方向の他方側の上面部18、及び左右の襠部20、22も他の共通の1枚のネット材料で構成されている。一方、前面部12、後面部14及び底面部16は、それぞれ1枚のネット材料で構成されている。前面部12と、上面部18及び左右の襠部20、22との境界部分は内側に折り曲げられて縫い合わされている。後面部14と、上面部18及び左右の襠部20、22との境界部分も内側に折り曲げられて縫い合わされている。なお、これらの縫い代はバイアステープ等で被覆されている。バイアステープの材質は例えばポリエステルである。また、本体部26における前面部12及び後面部14と上面部18との境界には紐状体で構成されるU字状の一対の把持部32が取付けられている。把持部32は、前面部12または後面部14と上面部18との境界におけるこれらの部位が縫い合わされた部分にこれらの部位とともに縫い付けられている。底面部16と、前面部12、後面部14及び左右の襠部20、22との境界部分は外側に折り曲げられて縫い合わされている。なお、これらの縫い代もバイアステープ等で被覆されている。
【0019】
図3~6に示されるように、襠部20、22は開口部24が形成された外襠部20A、22Aと、外襠部20A、22Aにおける開口部24の一方側と他方側との間に張り掛けられ開口部24の開口量を一定の範囲に規制する内襠部20B、22Bと、を有する。内襠部20B、22Bは三角形の2枚の布材が前後方向の中央で縫い合わされた構成である。内襠部20B、22Bを構成する布材の材質は例えばポリエステルやナイロンである。内襠部20B、22Bは線ファスナー28とともに外襠部20A、22Aにおける開口部24に沿って縫い付けられている。なお、内襠部20B、22Bの上端の位置は外襠部20A、22Aの上端の位置よりも低い。図4に示されるように開口部24が閉じた状態では、内襠部20B、22Bは前後方向の中央で折り曲げられて外襠部20A、22Aの内側に延在する。一方、図6に示されるように開口部24が開いた状態では、内襠部20B、22Bは外襠部20A、22Aとともに平面状の襠部20、22を形成するように張られる。
【0020】
線ファスナー28は、上面部18から左右の襠部20、22の下端近傍まで設置されている。線ファスナー28のエレメントの材質は例えばポリプロピレンやポリエステルである。また、スライダーの材質は例えばアルミニウムである。襠部20、22の下端近傍には、線ファスナー28のスライダーを収容するためのファスナーカバー34が設けられている。また、線ファスナー28のスライダーにはストラップ36が取付けられている。
【0021】
形状保持部30は馬蹄形で、その開口端が上方を向く姿勢で襠部20、22の輪郭に沿って設置されている。なお、形状保持部30は襠部20、22の輪郭に沿う部分以外には設置されていない。図7に示されるように、形状保持部30は、襠部20、22の輪郭に沿って設置された袋状部38と、可撓性及び弾性を有する発泡樹脂材の棒状体で馬蹄形(襠部20、22の輪郭に沿う形状)に曲げられて袋状部38に収容された芯部40と、を有する。袋状部38の材質は例えばポリエステルやナイロンである。袋状部38は5か所において帯状材42を介して本体部26に取付けられている。帯状材42は一端が袋状部38に縫い付けられ、他端が前面部12、後面部14または底部16と襠部20との境界におけるこれらの部位が縫い合わされた部分にこれらの部位とともに縫い付けられている。なお、袋状部38は2か所、3か所または4か所において帯状材42を介して本体部26に取付けられていてもよい。また、袋状部38は6か所以上において帯状材42を介して本体部26に取付けられていてもよい。また、袋状部38は本体部26に直接取付けられていてもよい。芯部40を構成する発泡樹脂材は例えばポリエチレンフォームである。
【0022】
次に、洗濯用ネット10の作用ついて説明する。洗濯用ネット10は、可撓性及び弾性を有し襠部20、22の輪郭における底部と前部と後部に沿って設置された形状保持部30を備えるので、自立してバッグの形状が保持される。馬蹄形に曲げられて袋状部38に収容された芯部40の弾性力によって襠部20、22の形状が保持されバッグの形状を保持する効果が高い。また、本体部26は四角錐台形状で形状を保持する効果が高いので、この点でも自立してバッグの形状を保持する効果が高められている。また、形状保持部30は襠部20、22の輪郭に沿って設置されるので、形状保持部30によって襠部20、22の形状は保持される一方、他の部位は襠部20、22の輪郭に沿って設置された形状保持部30の拘束を受けにくく柔軟である。したがって、洗濯用ネット10は柔軟性も兼ね備える。さらに、形状保持部30が襠部20、22の輪郭に沿う部分以外には設置されていないので、襠部20、22以外の部位は容易に撓むことができ柔軟性の向上に寄与する。また、形状保持部30は馬蹄形であるので開口端が接近/離間する方向には容易に撓むことができ、この点でも柔軟性の向上に寄与する。また、形状保持部30は、襠部20、22の輪郭に沿って設置された袋状部38と、可撓性及び弾性を有する発泡樹脂材の棒状体で襠部20、22の輪郭に沿う形状に曲げられて袋状部38に収容された芯部40と、を有する構成であるので、構成がシンプルであるとともに洗濯に対する耐久性にも優れる。
【0023】
次に、洗濯用ネット10の使用態様について説明する。まず、使用者は線ファスナー28のスライダーを指でつまんで、またはストラップ36を指で挟んでスライダーを引っ張り、図8に示されるように洗濯用ネット10の開口部24を開いた状態にする。なお、肩や肘等に障害がある者にとっては線ファスナー28のスライダーを指でつまむことも容易でないことがあるが、ストラップ36を指で挟むことによりスライダーを引っ張ることができる場合がある。内襠部20B、22Bは外襠部20A、22Aとともに平面状の襠部20、22を形成するように張られる。形状保持部30が開口部24を開口する側に付勢し、内襠部20B、22Bが開口部24の開口量を規制するので、同等の開口量に開口状態が保持される。また、開口部24が襠部20、22の下端近傍まで形成されているので、開口部24の開口量が大きい。
【0024】
次に、使用者は洗濯用ネット10に洗濯物を入れる。洗濯用ネット10は自立してバッグの形状が保持されとともに開口した状態に保持されるので、洗濯用ネット10は洗濯籠として利用できる。形状保持部30は馬蹄形で、その開口端が上方を向く姿勢で襠部20、22の輪郭に沿って設置されているので、形状保持部30が開口部24に干渉することがない。また、開口部24が襠部20、22の下端近傍まで形成され、開口部24の開口量が大きいので、洗濯用ネット10に洗濯物を入れる作業が容易である。なお、開口部24が襠部20、22の下端近傍まで形成されていても内襠部20B、22Bにより洗濯物は襠部20、22の内側に保持される。
【0025】
次に、使用者は線ファスナー28のスライダーを指でつまんで、またはストラップ36を指で挟んで引っ張り、図1に示されるように洗濯用ネット10の開口部24を閉じる。そして把持部32等を掴み洗濯用ネット10を洗濯機に投入して洗濯を行う。形状保持部30は襠部20、22の輪郭に沿って設置されるので、形状保持部30によって襠部20、22の形状は保持される一方、他の部位は襠部20、22の輪郭に沿って設置された形状保持部30の拘束を受けにくく柔軟である。。さらに、形状保持部30が襠部20、22の輪郭に沿う部分以外には設置されていないので、襠部20、22以外の部位は容易に撓むことができる。また、形状保持部30は馬蹄形であるので開口端が接近/離間する方向には容易に撓むことができる。また、開口部24が襠部20、22の下端近傍まで形成されていて開口に抗する力が小さいので、弾性力が小さい形状保持部30でも開口部24を開口状態に保持できる。したがって、洗濯用ネット10は柔軟性も兼ね備えており、洗濯機の槽内の容積を過剰に使用することがない。なお、複数の利用者の洗濯物を共通の洗濯機で洗濯する場合、利用者毎に個別の洗濯用ネット10に洗濯物を収容して洗濯すれば、複数の利用者の洗濯物が混ざることがない。このような場合、洗濯用ネット10が洗濯機の槽内の容積を過剰に使用することがないので、それだけ多くの利用者の洗濯物を洗濯することができる。
【0026】
洗濯が終了したら、使用者は把持部32等を掴み洗濯用ネット10を洗濯機から取り出す。複数の利用者の洗濯物を共通の洗濯機で洗濯する場合、利用者毎に個別の洗濯用ネットに洗濯物を収容して洗濯すれば、洗濯後に各利用者の洗濯物を仕分ける作業が容易である。洗濯用ネット10を洗濯機から取り出したら、線ファスナー28のスライダーを指でつまんで、またはストラップ36を指で挟んで引っ張り、再度図8に示されるように洗濯用ネット10の開口部24を開いた状態にする。そして洗濯用ネット10から洗濯物を取り出して洗濯物を干す作業を行う。洗濯物を干す場合も、洗濯用ネット10を洗濯籠として利用できる。開口部24が襠部20、22の下端近傍まで形成され、開口部24の開口量が大きいので、洗濯用ネット10洗濯物を取り出す作業も容易である。すべての洗濯物を洗濯用ネット10から取り出したら洗濯用ネット10も干す。なお、洗濯物の種類、大きさ、数量によっては洗濯物を洗濯用ネット10に収容した状態で干すようにしてもよい。洗濯物及び洗濯用ネット10が乾いたら、これらを取り込む。この際、乾いた洗濯用ネット10に洗濯物を収容して持ち運ぶようにしてもよい。これにより一連の洗濯作業が終了する。その後、必要に応じて洗濯用ネット10を収納する。形状保持部30は襠部20、22の輪郭に沿って設置されるので、例えば左右の襠部20、22を底部16に順次重ねるように折りたたむことでコンパクトに収容することが可能である。
【0027】
次に、本発明の第2実施形態について説明する。図9は、第2実施形態の洗濯用ネット50の斜視図である。第1実施形態では襠部20、22の襠部20、22の上底は下底よりも著しく短く襠部20、22は三角形に近い台形であるのに対し、洗濯用ネット50の襠部52、54の外襠部52A、54Aの上底は、外襠部20A、22Aの上底よりも長い。また、上面部56の前後方向の長さは、第1実施形態の上面部18の前後方向の長さよりも長い。したがって、洗濯用ネット50の本体部58は、第1実施形態の本体部26よりも上面が大きい四角錐台形状である。また、第2実施形態の形状保持部31は第1実施形態の形状保持部30よりも開口端の前後方向の離間距離が長い。他の構成は第1実施形態と同じであるので同じ構成については図1~8と同一符号を付することとして説明を省略する。第2実施形態の洗濯用ネット50も第1実施形態の洗濯用ネット10と同様の作用効果を奏する。また、本体部58の容積が第1実施形態の本体部26の容積よりも大きいので、それだけ多くの洗濯物を収容することができる。なお、第1及び第2施形態の外襠部20A、22A、52A、54Aは台形であるが、外襠部が三角形で本体部が三角柱形状の洗濯用ネットにも本発明は適用可能である。
【0028】
次に、本発明の第3実施形態について説明する。図10は、第3実施形態の洗濯用ネット60の斜視図である。第1及び第2実施形態では襠部20、22、52、54の外襠部20A、22A、52A、54Aは台形であるのに対し、洗濯用ネット60の襠部62、64の外襠部62A、64Aは正方形である。また、上面部66の前後方向の長さは、第1及び第2実施形態の上面部18、56の前後方向の長さよりも長い。洗濯用ネット60の本体部68は立方体形状である。また、形状保持部70は、開口部24が閉じられた状態でアルファベットのUに近い形状である。なお、このようにU字に近い形状の形状保持部も本出願の馬蹄形の形状保持部に含まれるものとする。また、把持部72は、把持部32よりも長い。他の構成は第1及び第2実施形態と同じであるので同じ構成については図1~9と同一符号を付することとして説明を省略する。第3実施形態の洗濯用ネット60も可撓性及び弾性を有し襠部62、64の輪郭における底部と前部と後部に沿って設置された形状保持部70を備えるので、自立してバッグの形状を保持可能である。また、本体部68の容積が第1及び第2実施形態の本体部26、58の容積よりも大きいので、それだけ多くの洗濯物を収容できる。なお、第3実施形態の洗濯用ネット60の本体部68は立方体形状であるが、本体部は直方体形状であってもよい。
【0029】
次に、本発明の第4実施形態について説明する。図11は、第4実施形態の洗濯用ネット80の斜視図である。第1~第3実施形態では襠部20、22、52、54、62、64の外襠部20A、22A、52A、54A、62A、64Aは台形または正方形であるのに対し、洗濯用ネット80の襠部82、84の外襠部82A、84Aは円形である。また、側面部は円筒形状である。洗濯用ネット80の本体部88は円柱形状である。また、形状保持部90は、開口部24が閉じられた状態でアルファベットのCに近い形状である。なお、このようにC字に近い形状の形状保持部も本出願の馬蹄形の形状保持部に含まれるものとする。他の構成は第1~第3実施形態と同じであるので同じ構成については図1~10と同一符号を付することとして説明を省略する。なお、第4実施形態の洗濯用ネット80の外襠部82A、84Aは円形であるが、外襠部が五角形、六角形、八角形等の多角形で本体部が多角柱形状の洗濯用ネットにも本発明は適用可能である。本体部が多角柱形状の場合、形状保持部90と同様に形状保持部はアルファベットのCに近い形状であってもよい。なお、第1~第4実施形態の洗濯用ネット10、50、60、80は、開口部24が襠部20、22、52、54、62、64、82、84の下端近傍まで形成されているが、開口部は襠部の高さ方向の途中の位置まで形成されていてもよい。例えば、開口部は襠部の高さ方向の中間の位置まで形成されていてもよい。
【0030】
次に、本発明の第5実施形態について説明する。図12は、第5実施形態の洗濯用ネット100の斜視図である。第1実施形態では開口部24は上面部18から襠部20、22の下端近傍まで形成されている。また、襠部20、22は内襠部20B、22Bを備えている。また、第1実施形態では形状保持部30は襠部20、22の輪郭における底部と前部と後部に沿って連続して設置されている。より詳細には、形状保持部30は馬蹄形で、その開口端が上方を向く姿勢で襠部20、22の輪郭に沿って設置されている。これに対し、第5実施形態の開口部102は上面部18にのみ形成され襠部20、22には開口部が形成されていない。したがって、線ファスナー104も上面部18にのみ設置され襠部20、22には設置されていない。また、襠部20、22は内襠部を備えていない。また、形状保持部106は襠部20、22の輪郭における底部と前部と後部に加え上部にも沿って連続して設置されている。より詳細には、形状保持部106は三角形または台形に近い環状で、襠部20、22の輪郭の全周に沿って設置されている。なお、襠部20、22の輪郭における上部は、襠部20、22と上面部18との境界部分である。他の構成は第1実施形態と同じであるので同じ構成については図1~8と同一符号を付することとして説明を省略する。第5実施形態の洗濯用ネット100も、形状保持部106により自立してバッグの形状を保持可能であるので、洗濯用ネット100に洗濯物を収容したり洗濯用ネット100から洗濯物を取り出す作業の容易化を図る効果が得られる。なお、第2~第4実施形態の構成においても馬蹄形の形状保持部に代えて第5実施形態のように襠部の輪郭の全周に沿って設置される環状の形状保持部を採用してもよい。具体的には第2実施形態の馬蹄形の形状保持部が、台形に近い環状の形状保持部に置き換えられた構成としてもよい。また、第3実施形態の馬蹄形の形状保持部が、正方形または長方形に近い環状の形状保持部に置き換えられた構成としてもよい。また、第4実施形態の馬蹄形の形状保持部が、円形に近い環状の形状保持部に置き換えられた構成としてもよい。また、本体部が三角柱形状である洗濯用ネットが三角形に近い環状の形状保持部を備える構成としてもよい。また、本体部が多角形状である洗濯用ネットが円形に近い環状の形状保持部を備える構成としてもよい。
【0031】
次に、本発明の第6実施形態について説明する。図13は、第6実施形態の洗濯用ネット110の斜視図である。第1実施形態では開口部24は上面部18から襠部20、22の下端近傍まで形成されている。また、襠部20、22は内襠部20B、22Bを備えている。また、第1実施形態では形状保持部30は襠部20、22の輪郭における底部と前部と後部に沿って連続して設置されている。より詳細には、形状保持部30は馬蹄形で、その開口端が上方を向く姿勢で襠部20、22の輪郭に沿って設置されている。これに対し、第5実施形態と同様に第6実施形態の開口部102は上面部18にのみ形成され襠部20、22には開口部が形成されていない。また、第5実施形態と同様に線ファスナー104は上面部18にのみ設置され襠部20、22には設置されていない。また、第5実施形態と同様に襠部20、22は内襠部を備えていない。また、形状保持部112は襠部20、22の輪郭における上部と前部と後部に沿って連続して設置され、底部には設置されていない。より詳細には、形状保持部112はアルファベットのV字に近い馬蹄形で、その開口端が下方を向く姿勢で襠部20、22の輪郭に沿って設置されている。他の構成は第1または第5実施形態と同じであるので同じ構成については図1~8、12と同一符号を付することとして説明を省略する。なお、第2~第4実施形態の構成においても、開口部が上面部のみに形成され、線ファスナーが上面部のみに設置された構成とし、開口端が上方を向く姿勢の馬蹄形の形状保持部に代えて、襠部の輪郭における上部と前部と後部に沿って連続して設置され、底部には設置されていない形状保持部を採用してもよい。具体的には第2実施形態の開口端が上方を向く姿勢の馬蹄形の形状保持部が、コ字形状に近い馬蹄形で、その開口端が下方を向く姿勢で襠部の輪郭に沿って設置される形状保持部に置き換えられた構成としてもよい。また、第3実施形態の開口端が上方を向く姿勢のU字形状に近い馬蹄形の形状保持部が、これと上下対称で下方を向く姿勢のU字形状に近い馬蹄形の形状保持部に置き換えられた構成としてもよい。また、第4実施形態の開口端が上方を向く姿勢のC字形状に近い馬蹄形の形状保持部が、これと上下対称で下方を向く姿勢のC字形状に近い馬蹄形の形状保持部に置き換えられた構成としてもよい。また、本体部が三角柱形状である洗濯用ネットが、V字に近い馬蹄形で、その開口端が下方を向く姿勢で襠部の輪郭に沿って設置される形状保持部を備える構成としてもよい。また、本体部が多角形状である洗濯用ネットが、C字形状に近い馬蹄形で、その開口端が下方を向く姿勢で襠部の輪郭に沿って設置される形状保持部を備える構成としてもよい。
【0032】
なお、第1~第6実施形態の洗濯用ネット10、50、60、80、100、110は、一対の把持部32、72が本体部26、58、68、88に縫い付けられているが、把持部は本体部に面ファスナー等によって着脱自在に取り付けられていてもよい。この場合、洗濯用ネットから把持部を取り外して洗濯機で洗濯することが可能である。
【0033】
また、第1~第6実施形態の洗濯用ネット10、50、60、80、100、110は、一対の把持部32、72を備える手提げバッグの形状であるが、把持部32、72よりも長い1本のストラップを備えるショルダーバック形状の洗濯用ネットにも本発明は適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明は、衣類等の洗濯物を収容して洗濯物とともに洗濯機で洗濯される洗濯用ネットに利用できる。
【符号の説明】
【0035】
10、50、60、80、100、110 洗濯用ネット
12 前面部
14 後面部
16 底面部
18、56 上面部
20、22、52、54、62、64、82、84 襠部
20A、22A、50A、52A、62A、64A、82A、84A 外襠部
20B、22B 内襠部
24、102 開口部
26、58、68、88 本体部
28、104 線ファスナー
30、31、70、90、106、112 形状保持部
32、72 把持部
38 袋状部
40 芯部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
【手続補正書】
【提出日】2023-09-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右の襠部を有するバッグの形状で、左右方向に沿って延在する開口部が形成された本体部と、
前記開口部に沿って設置された線ファスナーと、
可撓性及び弾性を有し前記襠部の輪郭における底部及び上部の少なくとも一方と前部と後部に沿って連続して設置された形状保持部と、を備える洗濯用ネット。
【請求項2】
請求項1において、
前記左右の襠部は前記左右方向に離れて配置され、
前記形状保持部は2つ備えられ、一方の前記形状保持部は前記左の襠部の輪郭に沿って設置され、他方の前記形状保持部は前記右の襠部の輪郭に沿って設置された洗濯用ネット。
【請求項3】
請求項1において、
前記形状保持部は、前記襠部の輪郭に沿う部分以外には設置されていない洗濯用ネット。
【請求項4】
請求項1において、
前記開口部が前記襠部まで形成され、
前記形状保持部は馬蹄形で、その開口端が上方を向く姿勢で前記襠部の輪郭に沿って設置された洗濯用ネット。
【請求項5】
請求項において、
前記襠部は前記開口部が形成された外襠部と、前記外襠部における前記開口部の一方側と他方側との間に張り掛けられ前記開口部の開口量を一定の範囲に規制する内襠部と、を有する洗濯用ネット。
【請求項6】
請求項1~のいずれかにおいて、
前記襠部は台形であり前記本体部は四角錐台形状である洗濯用ネット。