IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社フジキンの特許一覧 ▶ 株式会社シンワバネスの特許一覧

特開2024-24832クリップ、センサユニット及びヒータシステム
<>
  • 特開-クリップ、センサユニット及びヒータシステム 図1
  • 特開-クリップ、センサユニット及びヒータシステム 図2
  • 特開-クリップ、センサユニット及びヒータシステム 図3
  • 特開-クリップ、センサユニット及びヒータシステム 図4
  • 特開-クリップ、センサユニット及びヒータシステム 図5
  • 特開-クリップ、センサユニット及びヒータシステム 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024024832
(43)【公開日】2024-02-26
(54)【発明の名称】クリップ、センサユニット及びヒータシステム
(51)【国際特許分類】
   F16L 3/13 20060101AFI20240216BHJP
   F16L 53/30 20180101ALI20240216BHJP
   F16L 55/00 20060101ALI20240216BHJP
【FI】
F16L3/13
F16L53/30
F16L55/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022127756
(22)【出願日】2022-08-10
(71)【出願人】
【識別番号】390033857
【氏名又は名称】株式会社フジキン
(71)【出願人】
【識別番号】518087661
【氏名又は名称】株式会社シンワバネス
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 雅人
(72)【発明者】
【氏名】野刈 慎也
(72)【発明者】
【氏名】栗城 春彦
(72)【発明者】
【氏名】▲柳▼澤 光希
【テーマコード(参考)】
3H023
3H025
【Fターム(参考)】
3H023AA05
3H023AB02
3H023AD02
3H023AD29
3H025AA11
3H025AB01
(57)【要約】
【課題】ヒータ及びサーモスタットを容易に配管に装着することができるクリップ、センサユニット及びヒータシステムを提供する。
【解決手段】クリップ5は、板状のベース51と、ベース51の両側から立設され、可撓性を有する一対の第1配管把持部52と、一対の第1配管把持部52と干渉しないようにベース51の両側から立設され、可撓性を有する一対のセンサ保持部54と、を備え、配管2が一対の第1配管把持部52により把持された状態において、サーモスタット4は、一対のセンサ保持部54によりベース51と配管2との間に保持されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状のベースと、
前記ベースの両側から立設され、可撓性を有する一対の第1配管把持部と、
一対の前記第1配管把持部と干渉しないように前記ベースの両側から立設され、可撓性を有する一対のセンサ保持部と、を備え、
配管が一対の前記第1配管把持部により把持された状態において、サーモスタットは、一対の前記センサ保持部により前記ベースと前記配管との間に保持されている、
クリップ。
【請求項2】
前記ベースの両側から立設され、可撓性を有する一対の第2配管把持部をさらに備え、
一対の前記センサ保持部は、一対の前記第1配管把持部と一対の前記第2配管把持部との間に位置している、
請求項1に記載のクリップ。
【請求項3】
前記配管が一対の前記第1配管把持部により把持された状態において、前記サーモスタットは、前記配管と当接している、
請求項2に記載のクリップ。
【請求項4】
一対の前記センサ保持部は、互いに対向するとともに前記ベースと一対の前記第1配管把持部の先端との間に位置する一対の屈曲部を有し、
一対の前記屈曲部は、基端側が前記サーモスタットの前記ベース側とは反対側と当接するように前記サーモスタットを保持している、
請求項1に記載のクリップ。
【請求項5】
一対の前記屈曲部は、前記ベースから離間するほど両者間の距離が漸次小さくなるように形成されている一対の第1屈曲部と、前記ベースから離間するほど両者間の距離が漸次大きくなるように形成されている一対の第2屈曲部と、を有し、
一対の前記第1屈曲部は、前記ベースと一対の前記第2屈曲部との間に位置している、
請求項4に記載のクリップ。
【請求項6】
一対の前記第1配管把持部は、先端が互いに対向するように折り曲げられている一対の把持爪を有する、
請求項1に記載のクリップ。
【請求項7】
前記サーモスタットの変位を規制するように前記ベースの端部に設けられているセンサ変位規制部をさらに備える、
請求項1に記載のクリップ。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載のクリップと、
前記センサ保持部により前記ベースと前記配管との間に保持されているサーモスタットと、を備える、
センサユニット。
【請求項9】
配管に対して変位不能に設けられているヒータと、
前記ヒータと電気的に接続され、前記ヒータへの給電制御を行うサーモスタットと、
前記サーモスタットを保持した状態において、前記配管を把持して前記配管に装着されているクリップと、を備え、
前記クリップは、前記サーモスタットと共に前記配管の軸方向に沿って変位可能に装着されている、
ヒータシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クリップ、センサユニット及びヒータシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、配管の外周側に装着された保温カバーの内部に配置(固定)されているヒータと、保温カバーの内部に配置(固定)されヒータへの給電を制御するサーモスタットと、を備える配管用ヒータが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3179959号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の配管用ヒータでは、サーモスタットは、配管用ヒータに内蔵されているため、配管用ヒータの装着の施工性が優れていない。
【0005】
本発明は、この問題点に着目してなされたものであり、ヒータ及びサーモスタットを容易に配管に装着することができるクリップ、センサユニット及びヒータシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある態様によれば、板状のベースと、前記ベースの両側から立設され、可撓性を有する一対の第1配管把持部と、一対の前記第1配管把持部と干渉しないように前記ベースの両側から立設され、可撓性を有する一対のセンサ保持部と、を備え、配管が一対の前記第1配管把持部により把持された状態において、サーモスタットは、一対の前記センサ保持部により前記ベースと前記配管との間に保持されているクリップが提供される。
【0007】
本発明の他の態様によれば、配管に対して変位不能に設けられているヒータと、前記ヒータと電気的に接続され、前記ヒータへの給電制御を行うサーモスタットと、前記サーモスタットを保持した状態において、前記配管を把持して前記配管に装着されているクリップと、を備え、前記クリップは、前記サーモスタットと共に前記配管の軸方向に沿って変位可能に装着されているヒータシステムがさらに提供される。
【発明の効果】
【0008】
これらの態様によれば、ヒータ及びサーモスタットを容易に配管に装着することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本発明の実施形態に係るヒータシステムの構成を示す概略図である。
図2図2は、サーモスタットを示す平面図である。
図3図3は、クリップを示す斜視図である。
図4図4は、クリップを示す平面図である。
図5図5は、センサユニットが配管に装着されていない状態を示す概略図である。
図6図6は、センサユニットが配管に装着された状態を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態(以下、本実施形態と称する)について説明する。本明細書においては、全体を通じて、同一の要素には同一の符号を付する。
【0011】
(ヒータシステムの構成)
まず、図1及び図2を参照しながら本実施形態に係るヒータシステム1について説明する。
【0012】
図1は、本実施形態に係るヒータシステム1の構成を示す概略図である。図2は、サーモスタット4を示す平面図である。
【0013】
図1に示すように、本実施形態に係るヒータシステム1は、半導体の製造に用いられる流体制御装置(図示しない)の円筒状の配管2を流通させるガス(具体的には、プロセスガス又はパージガス)を加熱又は保温するためのシステムである。流体制御装置は、ALD法(Atomic Layer Deposition/すなわち、原子層堆積)によって半導体ウェハ等の基板に所定の薄膜を形成する薄膜生成工程に用いられる。
【0014】
また、ヒータシステム1は、配管2に対して変位不能に設けられているヒータ3と、ヒータ3と電気的に接続され、ヒータ3への給電制御を行うサーモスタット4と、サーモスタット4を保持した状態において、配管2を把持して配管2に装着されているクリップ5と、を備える。なお、サーモスタット4及びクリップ5は、センサユニット6を構成している。
【0015】
ヒータ3は、配管2を流通させるガスを加熱又は保温するための加熱器である。図1に示すように、本実施形態では、ヒータ3は、配管2の外周側を巻き付けて配管2に装着された略筒状(具体的には、略円筒状)のものから構成されているが、これに限定されるものではなく、例えば、配管2を挟むように配管2に近接して配置された一対の略板材のものから構成されてもよい。
【0016】
また、ヒータ3には、サーモスタットが内蔵されていない。すなわち、ヒータ3は、サーモスタット4とは別体に設けられている。これにより、ヒータ3が配管2の外周側を巻き付けて配管2に装着されるものである場合に、配管2の外周側への巻き付けを行いやすくなるため、ヒータ3を容易に配管2に装着することができる。
【0017】
また、ヒータ3は、サーモスタット4と電気的に接続するための接続端子(図示しない)を有する。ヒータ3とサーモスタット4とが電気的に接続されやすい観点から、図1に示すように、当該接続端子は、サーモスタット4の後述する一対の接続配線42が設けられている一端面と対向するように設けられることが好ましい。
【0018】
サーモスタット4は、自身が位置する箇所の温度(すなわち、配管2の所定箇所のガスの温度)が所定の温度を超えないようにヒータ3への給電(具体的には、オン/オフの切替)を自動的に制御する。サーモスタット4は、扁平状の長方体に形成されている。
【0019】
また、図2に示すように、サーモスタット4は、自身が位置する箇所の温度(雰囲気温度)を検出する温度センサ41と、ヒータ3と電気的に接続されるようにヒータ3の接続端子と対向する一端面に設けられている一対の接続配線42と、を有する。一対の接続配線42は、互いに離間するように設けられている。
【0020】
上述したように、サーモスタット4は、個別のヒータ3に内蔵されていないため、様々な種類のヒータ3と組み合わせて用いることができる。この結果、サーモスタット内蔵のヒータを用いたものに比べ、ヒータ3及びサーモスタット4の互換性を向上させることができるとともにヒータ3の製造を行いやすくなる。
【0021】
クリップ5は、サーモスタット4を保持しつつ配管2の外周側に装着された装着部材である。このように、サーモスタット4は、クリップ5を介して配管2に装着されているため、配管2へのヒータ3の装着によらず、サーモスタット4をクリップ5を用いて容易に配管2に装着することができる。この結果、ヒータ3及びサーモスタット4の両方を容易に配管2に装着することができる。
【0022】
また、クリップ5は、サーモスタット4と共に配管2の軸方向に沿って変位可能に装着されている。これにより、配管2に装着(固定)されたヒータ3に対するサーモスタット4の位置を調整することができるため、温度検出を行う配管2の所定箇所を適宜変更することができる。この結果、サーモスタット4によるヒータ3への給電制御に適する温度検出を行うことができるので、サーモスタット4によるヒータ3への給電制御を精度よく行うことができる。
【0023】
なお、クリップ5の詳細については後述する。
【0024】
(クリップの構成)
次に、図3から図6を参照しながら本実施形態に係るクリップ5について詳細に説明する。
【0025】
図3は、クリップ5を示す斜視図である。図4は、クリップ5を示す平面図である。なお、図3及び図4において、クリップ5の長手方向をX軸に沿う方向とし、クリップ5の幅方向をY軸に沿う方向とし、クリップ5の高さ方向をZ軸に沿う方向とし、以下、便宜上、クリップ5の長手方向、クリップ5の幅方向及びクリップ5の高さ方向をそれぞれ単に長手方向、幅方向及び高さ方向と称する。図5は、センサユニット6が配管2に装着されていない状態を示す概略図である。図6は、センサユニット6が配管2に装着された状態を示す概略図である。
【0026】
クリップ5は、ばね材から構成されている。具体的には、クリップ5は、一枚の板金を折り曲げて構成されているが、これに限定されるものではなく、例えば、成形された樹脂材から構成されてもよい。
【0027】
また、図3から図6に示すように、クリップ5は、一体形成されているベース51、一対の第1配管把持部52、一対の第2配管把持部53、一対のセンサ保持部54及びセンサ変位規制部55を有する。このように、ベース51、一対の第1配管把持部52、一対の第2配管把持部53、一対のセンサ保持部54及びセンサ変位規制部55を一体形成するため、クリップ5の製造を行いやすくなる。
【0028】
図5及び図6に示すように、センサ収容領域S1(すなわち、図5に示す二点鎖線の下方領域)は、サーモスタット4を収容する領域である。センサ収容領域S1は、ベース51、一対の第1配管把持部52、一対の第2配管把持部53、一対のセンサ保持部54及びセンサ変位規制部55により取り囲まれて形成されている。
【0029】
図5及び図6に示すように、配管収容領域S2(すなわち、図5に示す二点鎖線の上方領域)は、配管2を収容する領域である。配管収容領域S2は、一対の第1配管把持部52、一対の第2配管把持部53及び一対のセンサ保持部54により取り囲まれて形成されている。なお、センサ収容領域S1は、配管収容領域S2とベース51との間に位置している。
【0030】
ベース51は、板状(具体的には、矩形の平板状)の基材である。ベース51は、長手方向に沿って延在するように形成されている。図6に示すように、サーモスタット4は、センサ収容領域S1に収容された状態において、ベース51の上面と当接している。
【0031】
一対の第1配管把持部52は、配管2を配管収容領域S2に把持する把持部である。一対の第1配管把持部52は、可撓性を有する。また、一対の第1配管把持部52は、ベース51の長手方向の一端に寄るようにベース51の幅方向の両側から立設されている。
【0032】
一対の第1配管把持部52は、高さ方向に沿って延在するようにベース51の両側と接続されている一対の第1板片521から構成されている。一対の第1板片521は、先端が互いに対向するように折り曲げられている一対の把持爪としての第1把持爪522を有する。一対の第1把持爪522は、配管2を把持している際に配管2の外周面とは線で当接するようにフック状(具体的には、円弧状)に形成されている。これにより、クリップ5を配管2に装着する際に、配管2をスムーズに第1把持爪522に乗り越えさせて配管収容領域S2へ入り込ませることができる。
【0033】
また、一対の第1配管把持部52は、一対の第1板片521間の距離が配管2の径よりも僅かに大きく、かつ、一対の第1把持爪522間の距離が配管2の径よりも小さくなるように形成されている。これにより、クリップ5を配管2に装着する際に、配管2と一対の第1板片521との接触を回避することができるため、配管2をよりスムーズに第1把持爪522に乗り越えさせて配管収容領域S2へ入り込ませることができる。
【0034】
同様に、一対の第2配管把持部53は、配管2を配管収容領域S2に把持する把持部である。一対の第2配管把持部53は、可撓性を有する。また、一対の第2配管把持部53は、ベース51の長手方向の他端に寄るようにベース51の幅方向の両側から立設されている。
【0035】
一対の第2配管把持部53は、高さ方向に沿って延在するようにベース51の両側と接続されている一対の第2板片531から構成されている。一対の第2板片531は、先端が互いに対向するように折り曲げられている一対の把持爪としての第2把持爪532を有する。一対の第2把持爪532は、配管2を把持している際に配管2の外周面とは線で当接するようにフック状(具体的には、円弧状)に形成されている。これにより、クリップ5を配管2に装着する際に、配管2をスムーズに第2把持爪532に乗り越えさせて配管収容領域S2へ入り込ませることができる。
【0036】
また、一対の第2配管把持部53は、一対の第2板片531間の距離が配管2の径よりも僅かに大きく、かつ、一対の第2把持爪532間の距離が配管2の径よりも小さくなるように形成されている。これにより、クリップ5を配管2に装着する際に、配管2と一対の第2板片531との接触を回避することができるため、配管2をよりスムーズに第2把持爪532に乗り越えさせて配管収容領域S2へ入り込ませることができる。
【0037】
本実施形態では、一対の第1配管把持部52と一対の第2配管把持部53とは、形状及び寸法が一致するように構成されているが、これに限定されるものではなく、例えば、形状及び寸法が相違するように構成されてもよい。
【0038】
一対の第1配管把持部52と一対の第2配管把持部53とは、長手方向において、互いに離間するように設けられている。これにより、一対の配管把持部のみが設けられたもの又は一対の第1配管把持部52と一対の第2配管把持部53とが離間せずに設けられたものに比べ、配管2を安定かつ確実に把持することができる。
【0039】
一対のセンサ保持部54は、サーモスタット4をセンサ収容領域S1に保持する保持部である。一対のセンサ保持部54は、可撓性を有する。また、一対のセンサ保持部54は、一対の第1配管把持部52及び一対の第2配管把持部53と干渉しないようにベース51の幅方向の両側から立設されている。すなわち、一対のセンサ保持部54は、一対の第1配管把持部52及び一対の第2配管把持部53とは独立して設けられている。これにより、サーモスタット4がクリップ5を介して配管2に装着された状態において、第1配管把持部52又は第2配管把持部53の変形具合によらず、サーモスタット4を一対のセンサ保持部54により安定的に保持することができる。
【0040】
一対のセンサ保持部54は、一対の第1配管把持部52と一対の第2配管把持部53との間に位置している。これにより、一対の第1配管把持部52と一対の第2配管把持部53との間に存在する領域を、一対のセンサ保持部54を設ける設置領域として有効に活用することができるため、一対のセンサ保持部54が一対の第1配管把持部52と一対の第2配管把持部53との間に位置していないものに比べ、センサユニット6の長手方向の小型化を図ることができるとともに、サーモスタット4を安定的に保持することができる。
【0041】
一対のセンサ保持部54は、高さ方向に沿って延在するようにベース51の両側と接続されている第3板片541から構成されている。一対の第3板片541は、先端が互いに対向するように屈曲されている一対の屈曲部542を有する。
【0042】
サーモスタット4がクリップ5を介して配管2に装着されている際に、一対の屈曲部542は、基端側(具体的には、後述する第1屈曲片542aの基端側)がサーモスタット4のベース51側とは反対側と当接するようにサーモスタット4を保持している。これにより、センサ収容領域S1に収容されたサーモスタット4の高さ方向の変位を規制することができる。
【0043】
図5及び図6に示すように、一対の屈曲部542は、ベース51から離間するほど両者間の距離が漸次小さくなるように形成されている一対の第1屈曲部としての第1屈曲片542aと、ベース51から離間するほど両者間の距離が漸次大きくなるように形成されている一対の第2屈曲部としての第2屈曲片542bと、を有する。一対の第2屈曲片542bは、それぞれ、一対の第1屈曲片542aの先端と接続されている。すなわち、一対の第1屈曲片542aは、ベース51と一対の第2屈曲片542bとの間に位置している。
【0044】
これにより、一体形成される一対の第1屈曲片542a及び一対の第2屈曲片542bを用いることで、第1配管把持部52及び第2配管把持部53を経由したサーモスタット4を上方からセンサ収容領域S1へ入り込ませる際に、まず、ベース51から離間するほど両者間の距離が漸次大きくなる一対の第2屈曲片542bを、サーモスタット4をガイドするガイド手段として機能し、次に、ベース51から離間するほど両者間の距離が漸次小さくなる一対の第1屈曲片542aを、センサ収容領域S1に収容されたサーモスタット4の高さ方向の変位を規制する規制手段として機能するため、サーモスタット4を傷つけることなく、センサ収容領域S1へのサーモスタット4の収容をスムーズに行うとともに、センサ収容領域S1に収容されたサーモスタット4の変位を容易に規制することができる。
【0045】
図3及び図6に示すように、一対のセンサ保持部54は、一対の第3板片541間の距離がサーモスタット4の幅方向の寸法よりも僅かに大きく、かつ、一対の第1屈曲片542a間の最小距離(すなわち、一対の第2屈曲片542b間の最小距離)がサーモスタット4の幅方向の寸法よりも小さくなるように形成されている。これにより、サーモスタット4をセンサ収容領域S1へ入り込ませる際に、サーモスタット4と一対の第3板片541との接触を回避することができるため、サーモスタット4をスムーズに屈曲部542に乗り越えさせてセンサ収容領域S1へ入り込ませることができる。
【0046】
図3及び図6に示すように、配管2が弾性変形して広がった一対の第1配管把持部52及び一対の第2配管把持部53により把持された状態(すなわち、クリップ5が配管2に装着され状態)において、サーモスタット4は、一対のセンサ保持部54によりベース51と配管2との間に保持されている。これにより、サーモスタット4をベース51により覆うことができるため、サーモスタット4をベース51により保護することができる。
【0047】
具体的には、配管2が弾性変形して広がった一対の第1配管把持部52及び一対の第2配管把持部53により把持された状態(すなわち、クリップ5が配管2に装着され状態)において、センサ収容領域S1に収容されたサーモスタット4は、配管2と当接している。これにより、第1配管把持部52又は第2配管把持部53以外の位置決め手段をクリップ5に別途設けることなく、配管2に対するクリップ5の位置決めを行うことができる。この結果、クリップ5の簡素化を図ることができる。
【0048】
また、サーモスタット4は、配管2と当接しているため、サーモスタット4に内蔵された温度センサ41は、配管2の所定箇所の温度を精度よく検出することができる。この結果、サーモスタット4によるヒータ3への給電制御をより精度よく行うことができる。
【0049】
本実施形態では、配管2が弾性変形して広がった一対の第1配管把持部52及び一対の第2配管把持部53により把持された状態(すなわち、クリップ5が配管2に装着され状態)において、サーモスタット4は、配管2と当接しているが、これに限定されるものではなく、例えば、配管2と当接しておらず、一対の第1屈曲片542aと当接してもよい。
【0050】
センサ変位規制部55は、サーモスタット4の長手方向の変位を規制する規制部である。センサ変位規制部55は、ベース51の長手方向の一端に設けられた第1センサ変位規制部551と、ベース51の長手方向の他端に設けられる第2センサ変位規制部552と、を有する。このように、センサ変位規制部55をベース51の端部に設けることで、サーモスタット4の長手方向の変位を規制してサーモスタット4の脱落を防止することができる。
【0051】
第1センサ変位規制部551は、クリップ5の側面視おいてL字型の板材から構成されている。第1センサ変位規制部551は、ベース51の一端から突出する第1突出片551aと、第1突出片551aの先端から立設されている第1変位規制片551bと、を有する。第1変位規制片551bは、サーモスタット4の一端と当接してサーモスタット4の長手方向の変位を規制してサーモスタット4の脱落を防止することができる。第1変位規制片551bの両側には、サーモスタット4と電気的に接続するため一対の接続配線42が位置している。
【0052】
同様に、第2センサ変位規制部552は、クリップ5の側面視おいてL字型の板材から構成されている。第2センサ変位規制部552は、ベース51の他端(具体的には、第2板片531)から突出する第2突出片552aと、第2突出片552aの先端から立設されている第2変位規制片552bと、を有する。第2変位規制片552bは、サーモスタット4の他端と当接してサーモスタット4の長手方向の変位を規制することができる。なお、第1変位規制片551bと第2変位規制片552bとの間の距離は、サーモスタット4の長手方向の寸法よりも大きい。
【0053】
そして、第1突出片551a及び第2突出片552aをベース51の両端に設けることにより、クリップ5へのサーモスタット4の装着スペースを大きく確保することができるため、サーモスタット4を傾斜してクリップ5に装着することも可能である。この結果、クリップ5へのサーモスタット4の装着の作業性を向上させることができる。
【0054】
本実施形態では、第1センサ変位規制部551は、第1突出片551a及び第1変位規制片551bを有して構成されているが、これに限定されるものではなく、例えば、第1突出片551aを省いて第1変位規制片551bのみから構成されてもよい。この場合に、第1変位規制片551bは、直接ベース51の一端から立設されている。
【0055】
また、同様に、本実施形態では、第2センサ変位規制部552は、第2突出片552a及び第2変位規制片552bを有して構成されているが、これに限定されるものではなく、例えば、第2突出片552aを省いて第2変位規制片552bのみから構成されてもよい。この場合に、第2変位規制片552bは、直接ベース51の他端から立設されている。これにより、センサユニット6の長手方向の小型化を図ることができる。
【0056】
(作用効果)
次に、本実施形態による作用効果について説明する。
【0057】
本実施形態に係るクリップ5は、板状のベース51と、ベース51の両側から立設され、可撓性を有する一対の第1配管把持部52と、一対の第1配管把持部52と干渉しないようにベース51の両側から立設され、可撓性を有する一対のセンサ保持部54と、を備え、配管2が一対の第1配管把持部52により把持された状態において、サーモスタット4は、一対のセンサ保持部54によりベース51と配管2との間に保持されている。
【0058】
本実施形態に係るセンサユニット6は、上述したクリップ5と、センサ保持部54によりベース51と配管2との間に保持されているサーモスタット4と、を備える。
【0059】
これらの構成によれば、サーモスタット4は、個別のヒータ3に内蔵されていないため、様々な種類のヒータ3と組み合わせて用いることができる。この結果、サーモスタット内蔵のヒータを用いたものに比べ、ヒータ3及びサーモスタット4の互換性を向上させることができるとともにヒータ3の製造を行いやすくなる。
【0060】
また、サーモスタット4は、クリップ5を介して配管2に装着されているため、配管2へのヒータ3の装着によらず、サーモスタット4をクリップ5を用いて容易に配管2に装着することができる。この結果、ヒータ3及びサーモスタット4の両方を容易に配管2に装着することができる。
【0061】
特に、高所又は狭いところ等、部品の装着をしにくい場所であっても、一対のセンサ保持部54によりクリップ5に保持されたサーモスタット4を、クリップ5を介して片手で容易に配管2に装着することができるため、ヒータ3の装着後に後付けとしてサーモスタット4の装着の施工性を向上させることができる。
【0062】
また、一対のセンサ保持部54は、一対の第1配管把持部52と干渉しないようにベース51の幅方向の両側から立設されている。すなわち、一対のセンサ保持部54は、一対の第1配管把持部52とは独立して設けられている。これにより、サーモスタット4がクリップ5を介して配管2に装着された状態において、第1配管把持部52の変形具合によらず、サーモスタット4を一対のセンサ保持部54により安定的に保持することができる。
【0063】
また、配管2が一対の第1配管把持部52により把持された状態において、サーモスタット4は、一対のセンサ保持部54によりベース51と配管2との間に保持されているため、サーモスタット4をベース51により覆うことができる。この結果、サーモスタット4をベース51により保護することができる。
【0064】
また、本実施形態では、クリップ5は、ベース51の両側から立設され、可撓性を有する一対の第2配管把持部53をさらに備え、一対のセンサ保持部54は、一対の第1配管把持部52と一対の第2配管把持部53との間に位置している。
【0065】
この構成によれば、一対の第1配管把持部52と一対の第2配管把持部53との間に存在する領域を、一対のセンサ保持部54を設ける設置領域として有効に活用することができるため、一対のセンサ保持部54が一対の第1配管把持部52と一対の第2配管把持部53との間に位置していないものに比べ、センサユニット6の長手方向の小型化を図ることができるとともに、サーモスタット4を安定的に保持することができる。
【0066】
また、本実施形態では、配管2が一対の第1配管把持部52により把持された状態において、サーモスタット4は、配管2と当接している。
【0067】
この構成によれば、第1配管把持部52又は第2配管把持部53以外の位置決め手段をクリップ5に別途設けることなく、配管2に対するクリップ5の位置決めを行うことができる。この結果、クリップ5の簡素化を図ることができる。
【0068】
また、サーモスタット4は、配管2と当接しているため、サーモスタット4に内蔵された温度センサ41は、配管2の所定箇所の温度を精度よく検出することができる。この結果、サーモスタット4によるヒータ3への給電制御をより精度よく行うことができる。
【0069】
また、本実施形態では、一対のセンサ保持部54は、互いに対向するとともにベース51と一対の第1配管把持部52の先端との間に位置する一対の屈曲部542を有し、一対の屈曲部542は、基端側がサーモスタット4のベース側とは反対側と当接するようにサーモスタット4を保持している。
【0070】
この構成によれば、センサ収容領域S1に収容されたサーモスタット4の高さ方向の変位を規制することができる。
【0071】
また、本実施形態では、一対の屈曲部542は、ベース51から離間するほど両者間の距離が漸次小さくなるように形成されている一対の第1屈曲片542aと、ベース51から離間するほど両者間の距離が漸次大きくなるように形成されている一対の第2屈曲片542bと、を有し、一対の第1屈曲片542aは、ベース51と一対の第2屈曲片542bとの間に位置している。
【0072】
この構成によれば、一対の第1屈曲片542a及び一対の第2屈曲片542bを用いることで、サーモスタット4をクリップ5に装着する際に、まず、ベース51から離間するほど両者間の距離が漸次大きくなる一対の第2屈曲片542bを、サーモスタット4をガイドするガイド手段として機能し、次に、ベース51から離間するほど両者間の距離が漸次小さくなる一対の第1屈曲片542aを、センサ収容領域S1に収容されたサーモスタット4の高さ方向の変位を規制する規制手段として機能するため、サーモスタット4を傷つけることなく、センサ収容領域S1へのサーモスタット4の収容をスムーズに行うとともに、センサ収容領域S1に収容されたサーモスタット4の変位を容易に規制することができる。
【0073】
また、本実施形態では、一対の第1配管把持部52は、先端が互いに対向するように折り曲げられている一対の第1把持爪522を有する。
【0074】
この構成によれば、クリップ5を配管2に装着する際に、配管2をスムーズに第1把持爪522に乗り越えさせて配管収容領域S2へ入り込ませることができる。
【0075】
また、本実施形態では、クリップ5は、サーモスタット4の変位を規制するようにベース51の端部に設けられているセンサ変位規制部55をさらに備える。
【0076】
この構成によれば、サーモスタット4の長手方向の変位を規制してサーモスタット4の脱落を防止することができる。
【0077】
本実施形態に係るヒータシステム1は、配管2に対して変位不能に設けられているヒータ3と、ヒータ3と電気的に接続され、ヒータ3への給電制御を行うサーモスタット4と、サーモスタット4を保持した状態において、配管2を把持して配管2に装着されているクリップ5と、を備え、クリップ5は、サーモスタット4と共に配管2の軸方向に沿って変位可能に装着されている。
【0078】
この構成によれば、ヒータ3には、サーモスタットが内蔵されておらず、ヒータ3が配管2の外周側を巻き付けて配管2に装着されるものである場合に、配管2の外周側への巻き付けを行いやすくなるため、ヒータ3を容易に配管2に装着することができる。
【0079】
また、サーモスタット4は、個別のヒータ3に内蔵されていないため、様々な種類のヒータ3と組み合わせて用いることができる。この結果、サーモスタット内蔵のヒータを用いたものに比べ、ヒータ3及びサーモスタット4の互換性を向上させることができるとともにヒータ3の製造を行いやすくなる。
【0080】
また、サーモスタット4は、クリップ5を介して配管2に装着されているため、配管2へのヒータ3の装着によらず、サーモスタット4をクリップ5を用いて容易に配管2に装着することができる。この結果、ヒータ3及びサーモスタット4の両方を容易に配管2に装着することができる。
【0081】
また、クリップ5は、サーモスタット4と共に配管2の軸方向に沿って変位可能に装着されているため、配管2に装着(固定)されたヒータ3に対するサーモスタット4の位置を調整することができ、温度検出を行う配管2の所定箇所を適宜変更することができる。この結果、サーモスタット4によるヒータ3への給電制御に適する温度検出を行うことができるので、サーモスタット4によるヒータ3への給電制御を精度よく行うことができる。
【0082】
以上、本実施形態について説明したが、上述した実施形態は、本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上述した実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【0083】
(変形例)
上述した実施形態では、配管2を把持する把持手段は、一対の第1配管把持部52及び一対の第2配管把持部53の両方から構成されているが、これに限定されるものではなく、例えば、一対の第1配管把持部52及び一対の第2配管把持部53のいずれか一方を省いて、一対の第1配管把持部52及び一対の第2配管把持部53のいずれか他方のみから構成されてもよい。
【0084】
また、上述した実施形態では、サーモスタット4を保持する保持手段は、一対のセンサ保持部54のみから構成されているが、これに限定されるものではなく、例えば、一対のセンサ保持部54に加え、他のセンサ保持部を有して構成されてもよい。
【符号の説明】
【0085】
1 ヒータシステム
2 配管
3 ヒータ
4 サーモスタット
5 クリップ
6 センサユニット
51 ベース
52 第1配管把持部
53 第2配管把持部
54 センサ保持部
55 センサ変位規制部
522 第1把持爪(把持爪)
542 屈曲部
542a 第1屈曲片(第1屈曲部)
542b 第2屈曲片(第2屈曲部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6