(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024024834
(43)【公開日】2024-02-26
(54)【発明の名称】ヘアキャッチャー及び排水口装置
(51)【国際特許分類】
E03C 1/262 20060101AFI20240216BHJP
【FI】
E03C1/262 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022127759
(22)【出願日】2022-08-10
(71)【出願人】
【識別番号】392028767
【氏名又は名称】株式会社日本アルファ
(74)【代理人】
【識別番号】100111095
【弁理士】
【氏名又は名称】川口 光男
(72)【発明者】
【氏名】水谷 優杜
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 弘貴
【テーマコード(参考)】
2D061
【Fターム(参考)】
2D061DA01
2D061DA02
2D061DA03
2D061DB03
2D061DC03
2D061DD03
2D061DE10
2D061DE11
2D061DE15
(57)【要約】
【課題】通水能力や異物の捕集能力などの各機能をそれぞれバランスよく良好なものとすることがより容易に可能となるヘアキャッチャー等を提供する。
【解決手段】ヘアキャッチャー73は、排水に含まれる異物を捕集するための捕集部732を備える。捕集部732は、中心側から外側に広がる内側面部7321と、内側面部7321の外周部から外側に向けて徐々に下がる下がり部7322と、下がり部7322の下部に連続し、当該下がり部7322の下部から外側に向けて広がる外側面部7323とを有している。内側面部7321、下がり部7322及び外側面部7323のそれぞれには、通水用の孔部732aが複数貫通形成されている。内側面部7321に形成された孔部732aと、下がり部7322に形成された孔部732aと、外側面部7323に形成された孔部732aとは、それぞれ独立して設けられている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
槽体から流れる排水の流路を構成する流路構成部に対応して配置され、前記流路構成部を流れる排水に含まれる異物を捕集するための板状の捕集部を備えたヘアキャッチャーであって、
前記捕集部は、
中心側から外側に広がる内側面部と、
前記内側面部の外周部に連続し、当該内側面部の外周部から外側に向けて徐々に下がる下がり部と、
外側に向けて徐々に上がる上がり部を外周側に具備するとともに、前記下がり部の下部に連続し、当該下がり部の下部から外側に向けて広がる外側面部とを有し、
前記内側面部、前記下がり部及び前記外側面部のそれぞれには、通水用の孔部が複数貫通形成されており、
前記内側面部に形成された前記孔部と、前記下がり部に形成された前記孔部と、前記外側面部に形成された前記孔部とが、それぞれ独立して設けられていることを特徴とするヘアキャッチャー。
【請求項2】
前記外側面部に形成された前記孔部の少なくとも一部は、前記上がり部に位置していることを特徴とする請求項1に記載のヘアキャッチャー。
【請求項3】
前記下がり部及び前記外側面部によって、下向きに膨出する谷部が形成されており、
前記谷部は、前記下がり部及び前記上がり部間に位置する底部を有し、
前記下がり部から前記底部を経て前記上がり部にかけての部位の表面は、全体として滑らかに湾曲する湾曲面状をなすことを特徴とする請求項1に記載のヘアキャッチャー。
【請求項4】
前記内側面部に形成された前記孔部と、前記下がり部に形成された前記孔部と、前記外側面部に形成された前記孔部とは、相互に連通しないように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のヘアキャッチャー。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載のヘアキャッチャーと、
前記流路構成部の一部を構成するとともに、前記槽体に設けられたオーバーフロー口を通った水を流入させるための流入口が形成されてなる配管と、
前記流路構成部の一部を構成するとともに、封水を貯留可能な封水部を有し、前記配管を通過した排水が流れ込む排水トラップとを有する排水口装置であって、
前記流路構成部における排水の流れ方向に沿って、前記ヘアキャッチャー、前記流入口及び前記封水部がこの順序で設けられていることを特徴とする排水口装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗面ボウルや浴槽等の排水流路に設けられ、毛髪やごみ等の異物を捕集するためのヘアキャッチャー及びヘアキャッチャーを備えた排水口装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、槽体(例えば、洗面ボウルや浴槽、流し台等)から流れる排水の流路に対応して、異物を捕集するための捕集部を有するヘアキャッチャーを設けることが知られている。捕集部としては、略水平に広がる円板状の底部と、底部の外周に立設された環状の外壁部とを有する皿状をなし、前記底部に、通水用の孔部が多数貫通形成されたものがある(例えば、特許文献1等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ヘアキャッチャーは排水の流路に対応して設けられるため、ヘアキャッチャーの影響によって排水能力が低下するといった事態が生じ得る。このような事態を防止するために、ヘアキャッチャーにおける通水能力を十分に確保する必要がある。
【0005】
しかしながら、単に通水能力を増大させただけでは、異物の捕集能力の低下を招くおそれがある。この点、ヘアキャッチャーの限られたサイズの中で、通水能力や異物の捕集能力などの各機能をそれぞれバランスよく良好なものとすることは決して容易ではない。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、通水能力や異物の捕集能力などの各機能をそれぞれバランスよく良好なものとすることがより容易に可能となるヘアキャッチャー等を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下、上記目的を解決するのに適した各手段につき、項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果を付記する。
【0008】
手段1.槽体から流れる排水の流路を構成する流路構成部に対応して配置され、前記流路構成部を流れる排水に含まれる異物を捕集するための板状の捕集部を備えたヘアキャッチャーであって、
前記捕集部は、
中心側から外側に広がる内側面部と、
前記内側面部の外周部に連続し、当該内側面部の外周部から外側に向けて徐々に下がる下がり部と、
外側に向けて徐々に上がる上がり部を外周側に具備するとともに、前記下がり部の下部に連続し、当該下がり部の下部から外側に向けて広がる外側面部とを有し、
前記内側面部、前記下がり部及び前記外側面部のそれぞれには、通水用の孔部が複数貫通形成されており、
前記内側面部に形成された前記孔部と、前記下がり部に形成された前記孔部と、前記外側面部に形成された前記孔部とが、それぞれ独立して設けられていることを特徴とするヘアキャッチャー。
【0009】
上記手段1によれば、捕集部に下がり部が設けられているため、孔部がないと仮定した場合における捕集部(内側面部、下がり部及び外側面部)の表面の面積を比較的大きなものとすることができる。その上で、内側面部、下がり部及び外側面部のそれぞれに孔部が形成されているから、捕集部の表面の面積が比較的大きいことと相俟って、ヘアキャッチャーの限られたサイズの中で、孔部の合計面積、つまりヘアキャッチャー全体における通水面積をより大きく確保することが可能となる。
【0010】
その上で、上記手段1によれば、内側面部に形成された孔部と、下がり部に形成された孔部と、外側面部に形成された孔部とがそれぞれ独立して設けられているため、各孔部の機能を多様化することができる。すなわち、外側面部については、比較的排水が集まりやすく主に排水が流れるメイン排水部となる一方で、異物が溜まりやすいといった特徴があり、下がり部については、外側面部の機能を補完するとともに、外側面部が異物で埋まったときにはメイン排水部となり、さらに、横方向から流れてきた排水をその勢いのまま通しやすいといった特徴があり、内側面部については、比較的排水が集まりにくいとともに異物が溜まりにくいため、主として通気的な役割を持たせることに向く一方、仮に外側面部及び下がり部に異物が溜まったときにはメイン排水部となるといった特徴を有しているところ、内側面部、下がり部及び外側面部のそれぞれに対し、これら特徴を踏まえた適切な孔部を形成することができる。その結果、通水能力や異物の捕集機能などの各機能をバランスよく良好なものとすることがより容易に可能となる。
【0011】
尚、上記手段1に係る発明の趣旨を逸脱しない限り、各孔部は、内側面部、下がり部又は外側面部の領域内に完全に収まっている必要はなく、隣接する領域に多少はみ出した形となっていてもよい。
【0012】
手段2.前記外側面部に形成された前記孔部の少なくとも一部は、前記上がり部に位置していることを特徴とする手段1に記載のヘアキャッチャー。
【0013】
上記手段2によれば、外側面部に形成された孔部の少なくとも一部は上がり部に位置しているから、ヘアキャッチャーの限られたサイズの中で、孔部の合計面積、つまりヘアキャッチャー全体における通水面積をより一層大きく確保することができる。これにより、通水能力や異物の捕集機能などの各機能をバランスよく良好なものとすることが一層容易に可能となる。
【0014】
手段3.前記下がり部及び前記外側面部によって、下向きに膨出する谷部が形成されており、
前記谷部は、前記下がり部及び前記上がり部間に位置する底部を有し、
前記下がり部から前記底部を経て前記上がり部にかけての部位の表面は、全体として滑らかに湾曲する湾曲面状をなすことを特徴とする手段1に記載のヘアキャッチャー。
【0015】
上記手段3によれば、下がり部から底部を経て上がり部にかけての部位の表面は、全体として(孔部がないと仮定した場合に)滑らかに湾曲する湾曲面状をなしている。従って、谷部から異物を除去したり、ヘアキャッチャー(特に谷部)の清掃を行ったりするときにおいて、谷部の表面をこするようにして指や清掃用具などを動かす際に、指や清掃用具などを谷部の表面により確実に接触させることができる。これにより、異物の除去や清掃をスムーズかつ容易に行うことができ、使用者にとっての利便性を高めることができる。
【0016】
手段4.前記内側面部に形成された前記孔部と、前記下がり部に形成された前記孔部と、前記外側面部に形成された前記孔部とは、相互に連通しないように構成されていることを特徴とする手段1に記載のヘアキャッチャー。
【0017】
上記手段4によれば、内側面部に形成された孔部と、下がり部に形成された孔部と、外側面部に形成された孔部とは、相互に連通しないようになっている。従って、孔部を含む一続きの開口(孔)の面積が過度に大きなものとなることをより確実に防止できる。これにより、ヘアキャッチャーにおける異物の捕集能力をより確実に高めることができる。
【0018】
手段5.手段1乃至4のいずれかに記載のヘアキャッチャーと、
前記流路構成部の一部を構成するとともに、前記槽体に設けられたオーバーフロー口を通った水を流入させるための流入口が形成されてなる配管と、
前記流路構成部の一部を構成するとともに、封水を貯留可能な封水部を有し、前記配管を通過した排水が流れ込む排水トラップとを有する排水口装置であって、
前記流路構成部における排水の流れ方向に沿って、前記ヘアキャッチャー、前記流入口及び前記封水部がこの順序で設けられていることを特徴とする排水口装置。
【0019】
上記手段5のように、流路構成部における排水の流れ方向に沿って、ヘアキャッチャー、流入口及び封水部がこの順序で設けられる場合には、泡や泡が生じやすい水(例えば、洗剤等を用いた手洗いで生じた水など)を槽体から排出しているときに、泡が流入口を通ってオーバーフロー口から流出すること(以下、「泡上がり」という)が生じ得る。このような泡上がりは、泡などを槽体から排出しているときに、ヘアキャッチャーの存在により、流路構成部において、排水の流れ方向とは反対側に向けた空気の逃げ道がなくなり、その結果、流入口を通ってオーバーフロー口へと至る空気の流れが生じてしまうことにより発生する。
【0020】
この点、上記手段1等に記載のヘアキャッチャーによれば、ヘアキャッチャー全体における通水面積をより大きく確保することができるため、結果的に、ヘアキャッチャー全体における通気面積についてもより確実に増大させることができる。そのため、流路構成部において、排水の流れ方向とは反対側に向けた空気の逃げ道をより確実に形成することができる。その結果、泡上がりの発生を効果的に抑制することができる。
【0021】
また、主として通気的な役割を持たせることに向く内側面部における孔部を適切に設定することで、泡上がりの発生抑制効果を一層高めることができる。従って、通水能力、異物の捕集機能及び泡上がりの抑制機能といった各機能をバランスよく良好なものとすることがより容易に可能となる。
【0022】
尚、上記手段に記載された各技術事項を適宜組み合わせてもよい。例えば、上記手段2に係る技術事項と、上記手段3及び4の少なくとも一方に係る技術事項とを組み合わせてもよいし、上記手段3に係る技術事項に対し上記手段4に係る技術事項を組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】排水口装置や洗面ボウルなどを示す一部破断正面図である。
【
図2】排水口装置などを示す一部破断拡大正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に、一実施形態について図面を参照しつつ説明する。
図1に示すように、排水口装置1は、槽体としての洗面ボウル100に取付けられており、排水口部材2、配管3、排水トラップ4、保持部材5、作動軸機構6及び栓蓋ユニット7を備えている。排水口装置1の説明に先立って、まず、洗面ボウル100及び当該洗面ボウル100に取付けられる操作装置(不図示)について説明する。
【0025】
洗面ボウル100は、その底面を構成する底壁部101と、当該底壁部101の外周縁に立設された側壁部102とを備えている。底壁部101は、下方に向けて内径が徐々に減少するようにして垂下する円筒状の垂下部101aを備えており、当該垂下部101aの下端部に対応して、底壁部101を貫通する排水口103が形成されている。
【0026】
一方、側壁部102には、洗面ボウル100の貯水空間から水が溢れ出ることを防止するためのオーバーフロー口104が貫通形成されている。オーバーフロー口104には、筒状のオーバーフロー口部材111が挿設されており、当該オーバーフロー口部材111には屈曲筒状をなす継手部材112が接続されている。また、継手部材112におけるオーバーフロー口部材111とは反対側の部分には、筒状のチューブ部材113が接続されている。そして、オーバーフロー口104を通った水、つまり、オーバーフロー口部材111内に入った水は、継手部材112及びチューブ部材113を通って配管3側へと案内されるようになっている。
【0027】
前記操作装置は、排水口103の開閉状態を遠隔から切換えるための装置であり、洗面ボウル100における所定部位(例えば、側壁部102の上端部から水平方向に延びるフランジ部など)に取付けられている。前記操作装置は、使用者による操作対象として機能する、往復移動可能な操作部(例えば操作ボタン)を備えている。
【0028】
さらに、前記操作装置には、筒状のアウターチューブ121の一端部(作動軸機構6とは反対側の端部)が固定されており、当該アウターチューブ121は、前記操作装置から作動軸機構6にかけて設けられている。また、アウターチューブ121には、例えば金属製のワイヤ等により構成されたインナーワイヤ122が挿通されている。インナーワイヤ122は、前記操作部に対する操作に伴いアウターチューブ121内を往復移動可能となっている。
【0029】
加えて、前記操作装置は、インナーワイヤ122に対し復動方向(作動軸機構6側から前記操作部側に向けた方向)への力を付与する戻りばねと、インナーワイヤ122を往動(前記操作部側から作動軸機構6側に移動)した状態でロックすることで、作動軸機構6の後述する作動軸61を往動(上動)した状態でロックするためのロック機構とを備えている。尚、ロック機構を作動軸機構6に設けてもよい。
【0030】
次いで、排水口装置1について説明する。排水口装置1は、上記の通り、排水口部材2等を備えているところ、排水口部材2は、円筒状に形成されており、自身の中心軸と排水口103の中心軸とがほぼ一致するようにして排水口103に挿設されている。
図2に示すように、排水口部材2は、その上端部において径方向外側に突出形成された鍔部21と、当該鍔部21よりも下側の外周に形成された雄ねじ部22とを備えている。
【0031】
配管3は、排水口103やオーバーフロー口104を通った排水が流れ込む部品であり、配管本体部31及び枝分かれ管32を備えている。
【0032】
配管本体部31は、鉛直方向に延びる円筒状をなしており、その上端側内周に前記雄ねじ部22を螺合可能な雌ねじ部31aを備えている。そして、排水口103に排水口部材2を挿通しつつ雄ねじ部22を雌ねじ部31aに螺合し、鍔部21及び配管3の上端面により底壁部101を挟み込むことで、排水口部材2及び配管3が接続されるとともに、両者が洗面ボウル100に取付けられた状態となっている。
【0033】
尚、本実施形態において、配管本体部31の上端部は鍔状をなしており、当該鍔状部分と垂下部101aの下端部との間には、弾性変形可能な材料(例えば、樹脂やゴム等)により形成された環状のシール部材9が配置されている。当該シール部材9によって、配管3と洗面ボウル100との間からの漏水防止が図られている。
【0034】
また、配管本体部31は、オーバーフロー口104を通った水を流入させるための流入口31bを備えている。流入口31bは、枝分かれ管32の内部空間に連通しており、オーバーフロー口104を通った水(オーバーフロー口部材111内に入った水)は、オーバーフロー口部材111、継手部材112、チューブ部材113及び枝分かれ管32の各内部空間と流入口31bとを通って、配管3(配管本体部31)内に流入するようになっている。
【0035】
さらに、配管本体部31の内周部であって、雌ねじ部31aと流入口31bとの間に位置する部位には、環状の段差部31cが設けられている。当該段差部31cは、保持部材5の被設置部として機能する。
【0036】
加えて、配管本体部31における前記段差部31cよりも下方には、図示しないレリースワイヤ挿通孔が貫通形成されている。本実施形態において、アウターチューブ121及びインナーワイヤ122は、前記レリースワイヤ挿通孔を通過することで、配管本体部31の外から中へと入った状態とされている。尚、前記レリースワイヤ挿通孔において、配管本体部31及びアウターチューブ121間はゴム等からなるシール部材によってシールされている。
【0037】
枝分かれ管32は、配管本体部31の外周から当該配管本体部31の延びる方向と交差する方向に延びる円筒状部位である。枝分かれ管32には、チューブ部材113が接続されている。
【0038】
排水トラップ4は、配管3を通過した排水が流れ込む管体である。排水トラップ4は、
図1に示すように、配管本体部31の下端部に対し直列的に接続されており、S字状に湾曲した屈曲筒部41を備えている。屈曲筒部41によって、封水SWを貯留可能な封水部41aが構成されている。
【0039】
尚、本実施形態では、垂下部101a、排水口部材2、配管3(特に配管本体部31)及び排水トラップ4によって、洗面ボウル100から流れる排水、つまり排水口103を通過する排水の流路を構成する流路構成部10が形成されている。従って、配管3及び排水トラップ4は、それぞれ流路構成部10の一部を構成している。
【0040】
図2に戻り、保持部材5は、配管本体部31の内周に設置されており、排水口103を通過する排水の流路において作動軸機構6を保持するためのものである。尚、保持部材5の設置位置については適宜変更可能であり、例えば、排水口部材2の内周に保持部材5を設置してもよいし、排水口部材2の内周から配管本体部31の内周にかけて保持部材5を設置してもよい。保持部材5は、外環部51、連結部52及び保持部53を備えている。
【0041】
外環部51は、配管本体部31に対する保持部材5の取付部として機能する。本実施形態では、外環部51を前記段差部31cに載置した状態とすること等により、保持部材5が配管本体部31に取付けられた状態となっている。
【0042】
連結部52は、外環部51の内周面と保持部53の外周面とを連結する部位である。連結部52は、保持部53の外周から保持部53の径方向外側に向けて延びるとともに、保持部53の周方向に沿って間隔をあけた状態で複数(例えば、等間隔に3つ)設けられている。配管本体部31に流れ込んだ排水は、各連結部52間の隙間を通って下流へと流れるようになっている。
【0043】
保持部53は、自身の内周において作動軸機構6を保持するためのものである。保持部53は、全体として円筒状をなしており、外環部51よりも内側において外環部51と同軸状に設けられている。
【0044】
作動軸機構6は、栓蓋ユニット7を上下動させるための機構であり、作動軸61及びストッパ部62を備えている。
【0045】
作動軸61は、円柱状をなしており、上下動可能な状態で前記保持部53の内周に配置されている。作動軸61の下端部には、インナーワイヤ122の端部が接触可能とされており、作動軸61は、インナーワイヤ122の往復移動に伴い上下動するようになっている。
【0046】
ストッパ部62は、円筒状をなしており、保持部53の下端側開口を塞ぐようにして、保持部53に取付けられている。本実施形態では、ストッパ部62がねじ止めされること等により、保持部53によって作動軸機構6が保持された状態となっている。ストッパ部62は、保持部53からの作動軸61の抜けを防止するとともに、アウターチューブ121の他端部の接続部として機能する。
【0047】
栓蓋ユニット7は、排水口103の開閉や排水に含まれる異物の捕集を担うものであり、支持軸71、栓蓋72及びヘアキャッチャー73を備えている。
【0048】
支持軸71は、棒状をなしており、排水口部材2や配管本体部31の内部つまり流路構成部10においてそのほぼ中心に配置されている。支持軸71は、その下端部が作動軸61の上端部の直上に位置しており、作動軸61の上下動に伴い上下動する。
【0049】
また、支持軸71の下端側外周には、Cリング71aが設けられている。当該Cリング71aは、洗面ボウル100の表側(貯水空間側)から栓蓋ユニット7を上方に向けて引上げた際に、ヘアキャッチャー73に係止されることで、支持軸71や栓蓋72とともに、ヘアキャッチャー73を排水口部材2や配管本体部31(流路構成部10)から引抜可能とするためのものである。尚、ヘアキャッチャー73の後述する中筒部731から支持軸71を引き抜く方向に栓蓋72やヘアキャッチャー73へと力を加えることで、Cリング71aは、その外径を減少させるようにして弾性変形する。従って、上記のような力を加えることで、Cリング71aを弾性変形させつつ中筒部731から支持軸71を引き抜くことが可能であり、ひいては、支持軸71及び栓蓋72と、ヘアキャッチャー73とを分離させることが可能である。
【0050】
栓蓋72は、排水口103を開閉するための栓であり、支持軸71の上端部に取付けられている。栓蓋72は、樹脂等からなる円板状の栓蓋本体部721と、当該栓蓋本体部721の背面外周側に取付けられた、弾性変形可能な材料からなる環状のパッキン部722とを有している。
【0051】
本実施形態では、前記操作部に対する操作(例えば、操作ボタンに対する押圧操作)に伴いインナーワイヤ122が往動(前記操作部側から作動軸機構6側へと移動)することで、作動軸61、支持軸71及び栓蓋72が上動し、ひいてはパッキン部722が底壁部101から離間した状態となることにより、排水口103が開状態とされる。そして、前記操作部に対する操作が解除されると、前記ロック機構によってインナーワイヤ―122が往動した状態でロックされ、その結果、排水口103が開状態で維持される。
【0052】
一方、排水口103が開状態であるときに、前記操作部に対する操作を行うことで、前記ロック機構によるインナーワイヤ122のロックが解除されるとともに、前記戻りばねから加わる力によりインナーワイヤ122が復動(作動軸機構6側から前記操作部側へと移動)する。その結果、作動軸61、支持軸71及び栓蓋72が下動し、ひいてはパッキン部722の外周部分全域が底壁部101と接触することで、排水口103が閉状態とされる。
【0053】
ヘアキャッチャー73は、流路構成部10に対応して(本実施形態では垂下部101aの内側空間に)配置されており、流路構成部10を流れる排水に含まれるごみや毛髪等の異物を捕集するためのものである。本実施形態において、ヘアキャッチャー73は、後述する捕集部732の外縁部が底壁部101に載置されるとともに、後述する中筒部731の内周に支持軸71が挿通された状態で設置されている。従って、本実施形態におけるヘアキャッチャー73は、支持軸71ひいては栓蓋72の傾きや水平方向に沿った移動を規制する機能を有している。尚、ヘアキャッチャー73を、排水口部材2の前記鍔部21に載置された状態で設置する構成としてもよい。
【0054】
また、ヘアキャッチャー73は、流路構成部10において、流入口31bよりも排水の流れ方向上流側に配置されている。従って、流路構成部10における排水の流れ方向に沿って、ヘアキャッチャー73、流入口31b及び封水部41aがこの順序で設けられた状態となっている。
【0055】
さらに、ヘアキャッチャー73は、
図3及び
図4に示すように、中筒部731及び捕集部732を備えている。尚、本実施形態においては、中筒部731を構成する部品と、当該部品とは別体の、捕集部732を構成する部品とを組み合わせることでヘアキャッチャー73が構成されている。勿論、ヘアキャッチャー73は、中筒部731及び捕集部732が分離不能に一体化されてなるものであってもよい。
【0056】
中筒部731は、ヘアキャッチャー73の中心に位置し、支持軸71が挿通される円筒状部位である。中筒部731は、その内周に、当該中筒部731の中心軸と平行に延びる突条部731aを当該中筒部731の周方向に沿って等間隔に複数(例えば8本)備えている。これら突条部731aによって、中筒部731及び支持軸71の密着を防止することができ、ヘアキャッチャー73及び支持軸71は、支持軸71の長手方向に沿って円滑に相対移動可能となっている。これにより、排水口103の開閉状態を切換える際において支持軸71が上下動したときに、ヘアキャッチャー73を上下動させることなく一定の位置に配置させ続けることが可能となっている。
【0057】
捕集部732は、中筒部731の外周から外側に向けて広がる板状をなしており、異物の捕集を主に担う部位である。本実施形態において、捕集部732は、中心(中筒部731)から外側に向けて、内側面部7321、下がり部7322及び外側面部7323をこの順序で備えている。
【0058】
内側面部7321は、中心側(本実施形態では中筒部731側)から外側に向けてほぼ水平方向(本実施形態では、中筒部731の中心軸に対しほぼ直交する方向)に広がる部位である。尚、「ほぼ水平」とあるのは、厳密な水平のみならず、水平に対し若干(例えば30°以内)だけ傾いた状態も含む。内側面部7321は、比較的排水が集まりにくいとともに異物が溜まりにくいため、主として通気的な役割を持たせることに向く一方、仮に外側面部7323及び下がり部7322に異物が溜まったときには主に排水が流れるメイン排水部になるといった特徴を有している。
【0059】
また、本実施形態では、捕集部732の中心から外側に向けた(本実施形態では、中筒部731の中心軸と直交する方向に沿った)内側面部7321の幅Wx1は、捕集部732の中心から外側に向けた下がり部7322及び外側面部7323の各幅Wx2,Wx3よりも小さなものとなるように構成されている。
【0060】
下がり部7322は、内側面部7321の外周部に連続し、当該内側面部7321の外周部から外側に向けて徐々に下がる部位である。下がり部7322は、外側面部7323の機能を補完するとともに、外側面部7323が異物で埋まったときにはメイン排水部となり、さらに、横方向(例えば水平方向)から流れてきた排水をその勢いのまま通しやすいといった特徴を有している。
【0061】
本実施形態において、下がり部7322は、内側面部7321の表面を基準とした深さD2が幅Wx2よりも大きなものとなっており、外側に向けて比較的急な傾斜で下がる形状となっている。また、本実施形態において、下がり部7322の幅Wx2は外側面部の幅Wx3よりも小さなものとなるように構成されている。
【0062】
外側面部7323は、下がり部7322の下部に連続し、当該下がり部7322の下部から外側に向けて広がる部位である。外側面部7323は、比較的排水が集まりやすく、主に排水が流れるメイン排水部となる一方で、異物が溜まりやすいといった特徴(機能)を有している。
【0063】
また、外側面部7323は、下がり部7322の下部からほぼ水平方向に延びる底部7323aと、当該底部7323aの外周部から外側に向けて徐々に上がり、外側面部7323の外周側に位置する上がり部7323bとを備えている。尚、本実施形態において、外側面部7323は、下がり部7322の表面最下部を基準とした高さH3が幅Wx3よりも小さなものとなっており、外側に向けて比較的緩やかな傾斜で上がる形状となっている。
【0064】
加えて、内側面部7321、下がり部7322及び外側面部7323のそれぞれには、通水用の孔部732aが複数貫通形成されている。本実施形態において、各孔部732aは、ヘアキャッチャー73を平面視したときに、それぞれ円形状をなすものとされている(
図5参照)。但し、これら孔部732aは必ずしも平面視円形状である必要はなく、例えば、楕円形状や長円形状、矩形状、多角形状などをなしていてもよい。勿論、内側面部7321に形成された孔部732aと、下がり部7322に形成された孔部732aと、外側面部7323に形成された孔部732aとがそれぞれ異なる形状であってもよい。
【0065】
また、ヘアキャッチャー73を平面視したときにおいて、内側面部7321に形成された複数の孔部732aと、下がり部7322に形成された複数の孔部732aと、外側面部7323に形成された複数の孔部732aとは、それぞれ捕集部732の中心部(本実施形態では、中筒部731の中心軸)を中心として、円環状に並ぶように設けられている。
【0066】
さらに、内側面部7321に形成された孔部732aと、下がり部7322に形成された孔部732aと、外側面部7323に形成された孔部732aとは、それぞれ独立して設けられている。つまり、内側面部7321に形成された孔部732aと、下がり部7322に形成された孔部732aと、外側面部7323に形成された孔部732aとは、孔部732aの形状から、それぞれ区別可能な状態で設けられている。尚、内側面部7321、下がり部7322及び外側面部7323に設けられた各孔部732aは、それぞれ内側面部7321、下がり部7322又は外側面部7323の領域内に完全に収まっている必要はなく、隣接する領域に多少はみ出した形となっていてもよい。
【0067】
また、本実施形態においては、内側面部7321が有する上述の特徴を考慮して、内側面部7321に形成された孔部732aの開口面積は、下がり部7322や外側面部7323に形成された各孔部732aの開口面積よりも小さなものとされる一方、通気や通水(排水)の点で許容される最小値(例えば15平方mm)以上とされている。これにより、内側面部7321においては、基本的には通気的な役割が果たされる一方、排水をある程度流すことが可能となっている。尚、孔部732aの開口面積とは、捕集部732の表面を基準とした孔部732aの面積をいう。
【0068】
加えて、下がり部7322及び外側面部7323が有する上述の各特徴(機能)を考慮して、下がり部7322及び外側面部7323に形成された各孔部732aの開口面積は、それぞれ異物の捕集機能を確保する上で許容される所定の最大値と同程度とされている。これにより、下がり部7322及び外側面部7323においては、排水を十分に円滑に流すことが可能となる一方、異物のより確実な捕集が可能となっている。尚、下がり部7322を設けることで、平面視したときに面積が比較的小さなものである下がり部7322に係る領域において、開口面積が十分に大きな孔部732aを形成することができる。
【0069】
加えて、外側面部7323に形成された孔部732aの少なくとも一部は、上がり部7323bに位置している。本実施形態では、外側面部7323に形成された孔部732aの大半(半分以上)が上がり部7323bに位置している。
【0070】
さらに、下がり部7322及び外側面部7323によって、下向きに膨出する谷部732xが形成されているところ、当該谷部732xは、その谷底を構成する部分として、下がり部7322及び上がり部7323b間に位置する前記底部7323aを有している。そして、下がり部7322から底部7323aを経て上がり部7323bにかけての部位の表面は、全体として滑らかに湾曲する湾曲面状をなしている。
【0071】
併せて、本実施形態では、内側面部7321に形成された孔部732aと、下がり部7322に形成された孔部732aと、外側面部7323に形成された孔部732aとは、相互に連通しないように構成されている。尚、このような構成に代えて、これら孔部732aが、例えば比較的幅狭の連通路を介して連通する構成としてもよい。
【0072】
以上詳述したように、本実施形態によれば、捕集部732に下がり部7322が設けられているため、孔部732aがないと仮定した場合における捕集部732の表面(ヘアキャッチャー73の中心を含む断面において、外形線が大まかには
図4の曲線Lのような形状となる面)の面積を比較的大きなものとすることができる。その上で、内側面部7321、下がり部7322及び外側面部7323のそれぞれに孔部732aが形成されているから、捕集部732の表面の面積が比較的大きいことと相俟って、ヘアキャッチャー73の限られたサイズの中で、孔部732aの合計面積、つまりヘアキャッチャー73全体における通水面積をより大きく確保することが可能となる。
【0073】
その上で、本実施形態によれば、内側面部7321に形成された孔部732aと、下がり部7322に形成された孔部732aと、外側面部7323に形成された孔部732aとがそれぞれ独立して設けられている。そのため、内側面部7321、下がり部7322及び外側面部7323における上述の各特徴を踏まえて、内側面部7321、下がり部7322及び外側面部7323のそれぞれに対し適切な孔部732aを形成することができ、各孔部732aの機能を多様化することができる。その結果、通水能力や異物の捕集機能などの各機能をバランスよく良好なものとすることがより容易に可能となる。
【0074】
また、外側面部7323に形成された孔部732aの少なくとも一部は上がり部7323bに位置しているため、ヘアキャッチャー73の限られたサイズの中で、孔部732aの合計面積、つまりヘアキャッチャー73全体における通水面積をより一層大きく確保することができる。これにより、通水能力や異物の捕集機能などの各機能をバランスよく良好なものとすることが一層容易に可能となる。
【0075】
さらに、下がり部7322から底部7323aを経て上がり部7323bにかけての部位の表面は、全体として(孔部732aがないと仮定した場合に)滑らかに湾曲する湾曲面状をなしている。従って、谷部732xから異物を除去したり、ヘアキャッチャー73(特に谷部732x)の清掃を行ったりするときにおいて、谷部732xの表面をこするようにして指や清掃用具などを動かす際に、指や清掃用具などを谷部732xの表面により確実に接触させることができる。これにより、異物の除去や清掃をスムーズかつ容易に行うことができ、使用者にとっての利便性を高めることができる。
【0076】
また、内側面部7321に形成された孔部732aと、下がり部7322に形成された孔部732aと、外側面部7323に形成された孔部732aとは、相互に連通しないようになっている。従って、孔部732aを含む一続きの開口(孔)の面積が過度に大きなものとなることをより確実に防止できる。これにより、ヘアキャッチャー73における異物の捕集能力をより確実に高めることができる。
【0077】
併せて、流路構成部10における排水の流れ方向に沿って、ヘアキャッチャー73、流入口31b及び封水部41aがこの順序で設けられているため、泡や泡が生じやすい水を洗面ボウル100(排水口103)から排出しているときに、泡が流入口31bやチューブ部材113などを通ってオーバーフロー口104(オーバーフロー口部材111)から流出すること(以下、「泡上がり」という)が生じ得るところ、上記ヘアキャッチャー73によれば、ヘアキャッチャー73全体における通水面積をより大きく確保することができるから、結果的に、ヘアキャッチャー73全体における通気面積についてもより確実に増大させることができる。そのため、流路構成部10において、排水の流れ方向とは反対側に向けた空気の逃げ道をより確実に形成することができる。これにより、泡上がりの発生を効果的に抑制することができる。
【0078】
また、主として通気的な役割を持たせることに向く内側面部7321における孔部732aが上記のように構成されているため、泡上がりの発生抑制効果を一層高めることができる。従って、通水能力、異物の捕集機能及び泡上がりの抑制機能といった各機能をバランスよく良好なものとすることができる。
【0079】
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
【0080】
(a)上記実施形態において、下がり部7322から底部7323aを経て上がり部7323bにかけての部位の表面は、全体として滑らかに湾曲する湾曲面状をなしているが、当該表面(孔部732aが形成されていない部分)にヘアキャッチャー73の中心側から外側に向けて延びる突出部を設けてもよい。
【0081】
(b)上記実施形態では、ヘアキャッチャー73の中心に中筒部731が設けられているが、ヘアキャッチャー73の中心からずれた位置に中筒部731を設けてもよい。
【0082】
(c)上記実施形態において、排水口装置1は、排水口103の開閉機能を具備しているが、排水口103の開閉機能を具備しないものであってもよい。
【0083】
また、このような場合には、栓蓋72を上下動させるための作動軸61や支持軸71等が不要となるため、ヘアキャッチャー73は、作動軸61や支持軸71を挿通するための中筒部731を備えないものであってもよい。中筒部731を備えない場合、内側面部7321は、中筒部731に対応する中央部の開口を備える必要がないため、上記実施形態のような平面視円環状ではなく、例えば、平面視円形状をなすこととなる。
【0084】
(d)上記実施形態において、ヘアキャッチャー73は、垂下部101aの内側空間に配置されているが、ヘアキャッチャー73を、排水口部材2や配管3の各内側空間に配置してもよい。つまり、ヘアキャッチャー73は、流路構成部10(つまり排水の流路)に対応して配置されていればよい。
【0085】
(e)上記実施形態において、流路構成部10は、垂下部101a、排水口部材2、配管3及び排水トラップ4によって形成されているが、流路構成部はこれに限定されるものではない。従って、垂下部101aが設けられていない洗面ボウル100では、流路構成部を、例えば、排水口部材2、配管3及び排水トラップ4等によって形成してもよい。また、排水口部材2を設けることなく、ねじ止め等により配管3を洗面ボウル100に固定する場合には、流路構成部を、例えば、配管3及び排水トラップ4等によって形成してもよい。勿論、流路構成部は、排水トラップ4を具備しないものであってもよい。
【0086】
(f)上記実施形態において、アウターチューブ121及びインナーワイヤ122は、前記レリースワイヤ挿通孔を通過して、配管本体部31の外から中へと入った状態とされている。これに対し、アウターチューブ121及びインナーワイヤ122が、オーバーフロー口部材111、チューブ部材113及び枝分かれ管32などの各内部空間や流入口31bを通って、配管本体部31の外から中へと入る構成としてもよい。この場合、前記操作装置(前記操作部)をオーバーフロー口部材111内に配設してもよい。
【0087】
(g)上記実施形態では、棒状の作動軸61が上下動することによって、栓蓋ユニット7が上下動するように構成されているが、栓蓋ユニット7を上下動させる構成は、これに限定されるものではない。従って、例えば、水平方向に延びる回動軸にて回動可能な回動部と、配管3内(特に配管本体部31内)に突出し、前記回動部の回動に伴い上下動する支持部とを有してなる栓蓋駆動機構を用い、当該支持部の上下動に伴い栓蓋ユニットを上下動させるように構成してもよい。
【0088】
(h)上記実施形態では、槽体として洗面ボウル100を例示しているが、本発明の技術思想を適用可能な槽体は洗面ボウルに限定されるものではない。従って、例えば、浴槽やキッチンの流し台などに対して本発明の技術思想を適用することとしてもよい。
【0089】
(i)上記実施形態では、栓蓋72(パッキン部722)が底壁部101に接触することで排水口103が閉鎖されるように構成されているが、栓蓋72(パッキン部722)が排水口部材2に接触することで排水口103が閉鎖されるように構成してもよい。
【符号の説明】
【0090】
1…排水口装置、3…配管、4…排水トラップ、10…流路構成部、31a…流入口、41a…封水部、73…ヘアキャッチャー、100…洗面ボウル(槽体)、104…オーバーフロー口、732…捕集部、732a…孔部、732x…谷生、7321…内側面部、7322…下がり部、7323…外側面部、7323a…底部、7323b…上がり部。