(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024024875
(43)【公開日】2024-02-26
(54)【発明の名称】ショッピングカート
(51)【国際特許分類】
B62B 5/00 20060101AFI20240216BHJP
B62B 3/00 20060101ALI20240216BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20240216BHJP
A47F 10/04 20060101ALI20240216BHJP
【FI】
B62B5/00 L
B62B3/00 F
B62B5/00 Z
H02J7/00 301B
A47F10/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022127822
(22)【出願日】2022-08-10
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】000000561
【氏名又は名称】株式会社オカムラ
(71)【出願人】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098729
【弁理士】
【氏名又は名称】重信 和男
(74)【代理人】
【識別番号】100204467
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 好文
(74)【代理人】
【識別番号】100148161
【弁理士】
【氏名又は名称】秋庭 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100195833
【弁理士】
【氏名又は名称】林 道広
(72)【発明者】
【氏名】櫻田 勝亮
(72)【発明者】
【氏名】安野 正浩
(72)【発明者】
【氏名】武田 克也
(72)【発明者】
【氏名】澤田 八郎
(72)【発明者】
【氏名】杉上 礼士
(72)【発明者】
【氏名】杉山 智則
(72)【発明者】
【氏名】武田 拓樹
【テーマコード(参考)】
3D050
5G503
【Fターム(参考)】
3D050AA02
3D050CC02
3D050DD03
3D050EE08
3D050EE15
5G503AA01
5G503BA01
5G503BB01
5G503FA03
(57)【要約】
【課題】ショッピングカートの収納置場の設備を簡素化することができるショッピングカートを提供すること。
【解決手段】 前後方向にネスティング可能なカート本体2には、商品の決済処理に使用される電子機器6に電力を供給するバッテリー7が設けられるとともに、外部電源装置70の送電ユニット71a、71bに電気的に接続可能な受電ユニット40a、40bが前面側に設けられ、このカート1にネスティングされる後続のカート1の受電ユニット40a、40bに対して電力を供給する送電ユニット41a、41bが受電ユニット40a、40bの後面側に設けられている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前後方向にネスティング可能なショッピングカートであって、
カート本体には、商品の決済処理に使用される電子機器に電力を供給するバッテリーが設けられるとともに、外部電源に電気的に接続可能な受電部が前面側に設けられ、このショッピングカートにネスティングされる別のショッピングカートの前記受電部に対して電力を供給する送電部が前記受電部の後面側に設けられていることを特徴とするショッピングカート。
【請求項2】
前記カート本体における前記送電部の左右側に、後側に向けて延びるカート誘導フレームが設けられていることを特徴とする請求項1に記載のショッピングカート。
【請求項3】
前記カート本体における前記受電部と前記送電部とのうち少なくとも一方の周辺に、緩衝材が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のショッピングカート。
【請求項4】
前記カート本体は、2本の支持フレームと、該2本の支持フレームの外側を覆うカバーと、から構成され、前記2本の支持フレーム間には前記バッテリーが設けられていることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載のショッピングカート。
【請求項5】
前記カバーの少なくとも一部は、前記支持フレームに対して取外し可能に装着されていることを特徴とする請求項4に記載のショッピングカート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主にスーパーマーケットやショッピングモールなどの店舗で利用されるショッピングカートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スーパーマーケットやショッピングモールなどの店舗においては、店舗内に設けられたレジにて、店員または来店客により決済処理が行われるため、例えば、繁忙時間帯などでは決済待ちの来店客がレジに集中し、来店客を長時間待たせてしまうだけでなく、決済処理を行う店員の作業負荷が大きいという問題がある。
【0003】
そこで、ショッピングカートに、商品情報を読取り可能な読取装置や、決済情報等を表示可能な表示装置などの電子機器と、これら電子機器に電力を供給するバッテリーとを搭載し、来店客が商品を選択した際に商品情報をその場で読取ることで、レジに行かなくても決済処理を行うことができるシステムが提案されている。
【0004】
この種のシステムに用いるショッピングカートにおいては、電子機器にバッテリーから電力が供給されており、バッテリーへの充電が必要である。例えば、各ショッピングカートに受電装置を設ける一方で、複数のショッピングカートが収納されるカート収納置場に複数の送電装置を設け、カート収納置場にショッピングカートが収納されたときに、各ショッピングカートの受電装置がカート収納置場の送電装置に対向して、送電装置から受電装置を介してバッテリーに電力が供給されるようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に記載されたショッピングカートは、ショッピングカートごとに個別の送電装置から電力を供給するため、カート収納置場の側部に複数の送電装置を並設する必要があり、カート収納置場の設備を簡素化することができないという問題がある。
【0007】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、ショッピングカートの収納置場の設備を簡素化することができるショッピングカートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、本発明のショッピングカートは、
前後方向にネスティング可能なショッピングカートであって、
カート本体には、商品の決済処理に使用される電子機器に電力を供給するバッテリーが設けられるとともに、外部電源に電気的に接続可能な受電部が前面側に設けられ、このショッピングカートにネスティングされる別のショッピングカートの前記受電部に対して電力を供給する送電部が前記受電部の後面側に設けられていることを特徴としている。
この特徴によれば、カート収納置場の外部電源に電気的に接続される最前のショッピングカートに別のショッピングカートを順次収納することにより、一つの電源で複数のショッピングカートに搭載のバッテリーを充電できるので、カートごとの電源が不要となりカート収納置場の設備を簡素化することができる。
【0009】
前記カート本体における前記送電部の左右側に、後側に向けて延びるカート誘導フレームが設けられていることを特徴としている。
この特徴によれば、左右のカート誘導フレームにより受電部が送電部に案内されるため、送電部と受電部とが電気的に接続されやすくなる。
【0010】
前記カート本体における前記受電部と前記送電部とのうち少なくとも一方の周辺に、緩衝材が設けられていることを特徴としている。
この特徴によれば、受電部と送電部とが電気的に接続される際の衝撃が緩衝材により緩和される。
【0011】
前記カート本体は、2本の支持フレームと、該2本の支持フレームの外側を覆うカバーと、から構成され、前記2本の支持フレーム間には前記バッテリーが設けられていることを特徴としている。
この特徴によれば、バッテリーを保持する別の格納場所を設ける必要がないので、省資源化を図ることができるとともに、余計な突設部も形成されないので体裁が良好なだけでなく、人的な安全性も確保される。
【0012】
前記カバーの少なくとも一部は、前記支持フレームに対して取外し可能に装着されていることを特徴としている。
この特徴によれば、バッテリーの交換などのメンテナンスを容易に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】(a)、(b)は本発明の実施例としてのショッピングカートを示す斜視図である。
【
図3】カバーの開閉部を開放した状態を示す斜視図である。
【
図4】(a)はカート本体の下部を示す正面図、(b)はカート本体の下部を示す背面図である。
【
図5】外部電源装置及びカートの本体下部の前部を示す一部破断平面図である。
【
図6】複数のショッピングカートがカート収納置場に収納された状態を示す右側面図である。
【
図8】(a)は外部電源装置の送電部と最前のカートの受電部が非接触の状態、(b)は外部電源装置の送電部と最前のカートの受電部とが接触した状態、(c)は外部電源装置の送電部と最前のカートの受電部及び後続のカートの送電部と受電部とが接触した状態を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明のショッピングカートを実施するための形態を実施例に基づいて以下に説明する。
【実施例0015】
以下、本実施例に係るショッピングカートについて、
図1~
図8を参照して説明する。尚、以下においては、
図1(a)の左斜め下方をショッピングカートの前方とし、ショッピングカートを正面側から見たときの前後左右方向(
図1の矢印参照)を基準として説明する。
【0016】
図1~
図5に示されるように、ショッピングカート1(以下、カートと略称する)は、例えば、スーパーマーケットやショッピングモール等において来店客が使用するカートである。カート1は、カート本体2と、カート本体2の下部に設けられる複数(例えば、4個)のキャスタ3と、利用者が操作するハンドル部4と、商品を収容可能なバスケット(図示略)を載置可能な上下2つの載置部5a、5bと、利用者が選択した商品の決済処理に使用される電子機器6と、電子機器6に電力を供給可能なバッテリー7と、電力を受けるための受電部10と、電力を送るための送電部11と、を主に有し、後述するように、前後方向にネスティング可能とされている。
【0017】
カート本体2は、床面に沿うように配置される平面視略二股状の本体下部2aと、本体下部2aの前部に立設される板状の本体上部2bと、から主に構成されている。
【0018】
図5に示されるように、本体下部2aは、金属板からなるベース部材23と、ベース部材23の左右側から後側に向けて延設される金属角管からなるフレーム部材24a、24bと、ベース部材23及びフレーム部材24a、24bの外側を覆うように設けられる合成樹脂製のカバー部材25と、を有し、平面視略台形状のベース部21と、ベース部21の左右側から後側に向けて延設されるサイドフレーム部22a、22b(カート誘導フレーム)とから構成される。ベース部材23の左右側及びフレーム部材24a、24bの後端下部にはキャスタ3が取付けられており、床面を移動可能とされている。
【0019】
図1~
図5に示されるように、ベース部21の前面側には受電部10が設けられているとともに、後面側には送電部11が設けられている。尚、受電部10及び送電部11の詳細は後述する。サイドフレーム部22a、22bは、互いに左右に離間して設けられ、後側に向けて離間寸法が漸次長寸となるように平面視略ハの字形に配置されている。
【0020】
本体上部2bは、ベース部材23の上面左右側に互いに離間して立設される2本のフレーム部材31a、31b(支持フレーム)と、フレーム部材31a、31bの外側を覆うように設けられる筒状のカバー部材32と、から板状に構成され、ベース部21の上面から前上方に向けて延びる第1フレーム部33aと、第1フレーム部33aの上端から後上方に向けて延びる第2フレーム部33bと、第2フレーム部33bの上端から後上方に向けて延びる第3フレーム部33cと、を有する。
【0021】
左右のフレーム部材31a、31bは金属角管からなり、上下の複数個所が左右方向を向く連結管(図示略)にて連結されている。また、カバー部材32は合成樹脂材からなり、前面部における第1フレーム部33aと第2フレーム部33bとに対応する部分は、取外し可能な開閉部32aとされており、開閉部32aを取り外すことで第1フレーム部33a及び第2フレーム部33b内部が開放される。
【0022】
また、第2フレーム部33bにおける左右のフレーム部材31a、31b間に形成された空間部にはバッテリー7が収納されている。このように、バッテリー7は、カート本体2を構成する本体上部2bにおける左右のフレーム部材31a、31bの間に形成された空間部にコンパクトに収納され、強度が高い左右のフレーム部材31a、31bにより保護されている。また、開閉部32aを開放することによりバッテリー7の交換やメンテナンス作業を容易に行うことができる。
【0023】
また、第1フレーム部33aの後側に配置される載置部5a及び第3フレーム部33cの前側に配置される載置部5bは、線状部材を折り曲げることにより上方が開口する箱状に形成され、フレーム部材31a、31bにネジ部材を用いて取付けられている。詳しくは、第1フレーム部33aの後側であって第2フレーム部33bの下方に載置部5aが配置され、第1フレーム部33aの前側であって第2フレーム部33bの上方に載置部5bが配置されている。
【0024】
また、載置部5a、5b各々の左右方向の中央位置には、他のカート1の本体上部2bを受け入れ可能とする受入部5cが前後方向に延設されている。尚、上方の載置部5bの受入部5cは、開閉部32aが挿入可能な左右幅寸法にて形成されていることで、開閉部32aの開閉の際に接触しないようになっている。
【0025】
載置部5aは、後方に向けて下方に傾斜するように設けられるとともに、第2フレーム部33bは後方に向けて上方に傾斜するように設けられ、第2フレーム部33bと本体下部2aとの上下方向の離間幅寸法が後側に向けて広くなることで、来店客がカート1の後側から載置部5aに置かれたバスケット(図示略)に商品を入れやすくなっている。
【0026】
本実施例では、電子機器6として、例えば、カート1の利用者が選択した商品の情報を読み取るためのリーダーなどの読取装置6aと、該読取装置6aにて読み取った商品情報を表示したり、種々の操作が可能な情報端末6bと、が設けられているが、来店客が選択した商品の決済処理に使用される上記以外の他の機器が設けられていてもよい。
【0027】
図4及び
図5に示されるように、ベース部21の前面側には受電ユニット40a、40bが設けられるとともに、後面側には送電ユニット41a、41bが設けられている。受電ユニット40a、40bは、略円筒状に形成され、ベース部21の前壁51における凹部51aに形成された円形状の接続口52a、52bから僅かに前向きに突出するように設けられている。
【0028】
また、
図4(a)に示されるように、受電ユニット40a、40bの前面には、正面視縦長長方形状をなす凹状の接続端子40cが設けられている。このように受電部10は、接続端子40cを前面に有する受電ユニット40a、40bにより構成される。
【0029】
一方、
図4(b)に示されるように、送電ユニット41a、41bは、略円筒状に形成され、ベース部21の後壁53に形成された円形状の接続口54a、54bから僅かに後向きに突出するように設けられている。また、ベース部21の前壁51及び後壁53はカバー部材25にて構成されている。
【0030】
送電ユニット41a、41bの後面には、正面視縦長長方形状をなす凸状の接続端子41cが設けられている。このように送電部11は、接続端子41cを後面に有する送電ユニット41a、41bにより構成される。
【0031】
また、送電ユニット41a、41bは、受電ユニット40a、40bの真後ろに設けられている。詳しくは、これら受電ユニット40a、40bと送電ユニット41a、41bとの床面からの高さ位置は略同一であって、カート本体2の左右方向の略中央位置に配置されている。さらに、送電ユニット41a、41bの左右の離間距離は、受電ユニット40a、40bの左右の離間距離と略同一である。
【0032】
前壁51は、軟質の合成樹脂材または硬質ゴム材からなる緩衝材にて構成されることで、他のカート1との接触による衝撃が緩衝されるようになっている。尚、本実施例では、前壁51が緩衝材にて構成されていたが、前壁51と後壁53とのうち少なくとも一方が緩衝材により形成されていればよい。
【0033】
また、電子機器6はバッテリー7に電気的に接続され、バッテリー7から電力が供給される。また、受電部10を構成する受電ユニット40a、40bの接続端子40cと、送電部11を構成する送電ユニット41a、41bの接続端子41cと、バッテリー7と、は図示しない電気回路にて電気的に接続されており、受電部10に供給された電力をバッテリー7と送電部11とに供給可能とされている。そして、例えば、バッテリー7の残量等の状況に応じて、受電部10に供給された電力によりバッテリー7を充電したり、送電部11を介して他のカート1の受電部10に電力を供給(送電)することができるようになっている。
【0034】
バッテリー7と電子機器6と受電部10及び送電部11とを電気的に接続する配線は、特に詳細な図示はしないがカバー部材32により覆われた空間部内にフレーム部材31a、31bに沿うように収納されている。尚、ベース部21と第1フレーム部33aとを仕切る上壁には配線挿通口55(
図5参照)が形成されており、受電部10及び送電部11から第1フレーム部33aに配線できるようになっている。
【0035】
このように構成されたカート1は、
図6及び
図7に示されるように、例えば、店舗内の所定の位置に設置されるカート収納置場60に複数収納可能とされている。尚、
図6及び
図7の矢印で示す方向をカート収納置場の前後左右側として説明する。
【0036】
図6及び
図7に示されるように、カート収納置場60は、カート1を前後方向に誘導して収納するカートゲート61と、カートゲート61に収納された複数のカート1に電力を供給(送電)可能な外部電源装置70と、を備える。
【0037】
カートゲート61は、カート収納置場60の床面における左右両側に固定され前後方向に延びる左右の固定板62、62と、カートゲート61の前後位置において、左右の固定板62、62間を連結する左右方向を向く連結板63、63と、左右の固定板62、62に支持される前後に延びる左右の横パイプ64と、左右の横パイプ64を連結する前パイプ65とにより、カート収納置場60の後側を除く前側、左側、右側を囲むように平面視略コ字形に構成され、後側から進入してきたカート1を前方に向けて直線状に誘導して収納できるようになっている。
【0038】
図5に示されるように、外部電源装置70は、後面側に送電ユニット71a、71bが設けられている。送電ユニット71a、71bは、上述した41a、41bと略同じ構成であって、送電ユニット71a、71bは、略円筒状に形成され、後壁73に形成された円形状の接続口(図示略)から僅かに後向きに突出するように設けられている。
【0039】
送電ユニット71a、71bの後面には、縦長長方形状の接続端子71cが設けられている。このように、接続端子71cを有する送電ユニット71a、71bは、外部電源用送電部76を構成している。また、送電ユニット71a、71bの床面からの高さ位置は、受電ユニット40a、40b及び送電ユニット41a、41bの床面からの高さ位置と略同一とされている。
【0040】
次に、カート収納置場60にカート1が収納される際の各部の動作例について、
図6~
図8に基づいて説明する。尚、以下の説明においては、説明の便宜上、カート収納置場60に収納された順番ごとにカート1A、1B、1C、1Dのようにアルファベットを加えた符号を用いて説明する。
【0041】
図6及び
図7に示されるように、カート収納置場60に1番最初に収納された最前のカート1Aが、カート収納置場60における最前の収納位置に位置したときに、外部電源装置70における送電ユニット71a、71bの後面にカート1Aの受電ユニット40a、40bの前面が接触することで、カート1Aの受電ユニット40a、40bの接続端子40cに、外部電源装置70の送電ユニット71a、71bの接続端子71cが差し込まれ接触することで電気的に接続される(
図8(a)、(b)参照)。
【0042】
このように接続端子40c、71cが接続状態になると、送電ユニット71a、71bから受電ユニット40a、40bに電力が供給可能となる。また、受電ユニット40a、40bにて受電した電力は、図示しない電気回路を介してバッテリー7に供給される。よって、カート収納置場60における最前の収納位置にカート1Aを収納することで、送電ユニット71a、71bと受電ユニット40a、40bの接続端子40c、71c同士が接続状態になり、外部電源装置70から供給される電力によりカート1Aのバッテリー7が充電される。また、外部電源装置70から供給された電力は、カート1Aのバッテリー7だけでなく、送電ユニット41a、41bにも供給可能とされる。
【0043】
図6及び
図7に示されるように、複数のカート1A、1B、1C、1D・・・は、ネスティング可能、つまり、前後方向に重なるように連ねることが可能に構成されている。例えば、一のカート1Aの後側に他のカート1Bを重ねて収納する場合、前側のカート1Aの本体下部2aに、ベース部21及び左右のサイドフレーム部22a、22bにて形成された後側が開放する平面視略凹状の空間に、後側のカート1Bの本体下部2aの前部が嵌合されるとともに、前側のカート1Aの本体上部2bの後側に、後側のカート1Bの本体上部2bが近接することで、前後方向に重なるように連なって収納される。
【0044】
また、後側のカート1Bの本体下部2aにおけるベース部21及びサイドフレーム部22a、22bの外側面が、前側のカート1Aのベース部21及びサイドフレーム部22a、22bの内側面に当接することで、後側のカート1Bの前方及び左右方向への移動が規制され、一のカート1の後側に他のカート1が連なって収納される。
【0045】
尚、本実施例では、後側のカート1Bの本体下部2aにおけるベース部21及びサイドフレーム部22a、22bの外側面が、前側のカート1Aのベース部21及びサイドフレーム部22a、22bの内側面に接触することで、後側のカート1Bの前方及び左右方向への移動が規制される形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、後側のカート1Bのベース部21とサイドフレーム部22a、22bとのうち一方の外側面が、前側のカート1Aのベース部21とサイドフレーム部22a、22bとのうち一方の内側面に接触することで、後側のカート1Bの前方及び左右方向への移動が規制されてもよい。また、本体上部2b同士が当接することで後側のカート1Bの少なくとも前方向への移動が規制されるようになっていてもよい。
【0046】
図6及び
図7に示されるように、カート収納置場60の最前の収納位置にカート1Aが収納された状態で、後続のカート1Bがカートゲート61により前方に誘導され、最前のカート1Aの後側の収納位置に位置したとき、カート1Aにおける送電ユニット41a、41bの後面に、カート1Bの受電ユニット40a、40bの前面が接触することで、この後続のカート1Bの受電ユニット40a、40bの接続端子40cに、最前のカート1Aの送電ユニット41a、41bの接続端子41cが差し込まれ接触することで電気的に接続される(
図8(c)参照)。
【0047】
このように、外部電源装置70から電力が供給されているカート1Aとその後続のカート1の接続端子40c、41c同士が接続状態になると、カート1Aの送電ユニット41a、41bからカート1Bの受電ユニット40a、40bに電力が供給可能となる。また、カート1Bの受電ユニット40a、40bにて受電した電力は、図示しない電気回路を介してバッテリー7に供給される。よって、カート収納置場60に収納されているカート1Aの後側に、後続のカート1Bを重ねるように収納することで、カート1Aの送電ユニット41a、41bとカート1Bの受電ユニット40a、40bの接続端子40c、41c同士が接続状態になり、外部電源装置70からカート1Aの送電ユニット41a、41bを介して供給される電力により、後続のカート1Bのバッテリー7が充電される。
【0048】
さらに、外部電源装置70からカート1Aの送電ユニット41a、41bを介して供給される電力は、カート1Bの送電ユニット41a、41bにも供給されることで、このカート1Bの送電ユニット41a、41bから後続のカート1C、1Dの受電ユニット40a、40bに電力が供給されることで、カート1C、1Dのバッテリー7及び送電ユニット41a、41bにも電力が供給される。
【0049】
このように、カート収納置場60に複数のカート1A、1B、1C、1D・・・が収納されることで、最前のカート1Aが外部電源装置70と電気的に接続状態となってカート1Aに電力が供給されるとともに、最前のカート1Aに後続のカート1B、1C、1D・・・が順次連なって収納されることで、隣り合う前後のカート1A、1B、カート1B、1C、カート1C、1D・・・が電気的に接続状態となり、外部電源装置70から供給される電力が、前側のカート1を介して後側のカート1に供給されるようになる。
【0050】
以上説明したように、本発明の実施例としてのカート1にあっては、前後方向にネスティング可能なカート本体2には、商品の決済処理に使用される電子機器6に電力を供給するバッテリー7が設けられるとともに、外部電源装置70の送電ユニット71a、71bに電気的に接続可能な受電ユニット40a、40bが前面側に設けられ、このカート1にネスティングされる後続のカート1の受電ユニット40a、40bに対して電力を供給する送電ユニット41a、41bが受電ユニット40a、40bの後面側に設けられている。これによれば、カート収納置場60の外部電源装置70に電気的に接続される最前のカート1Aに後続のカート1B、1C、1D・・・を順次収納することにより、一つの電源で複数のカート1A、1B、1C、1D・・・に搭載のバッテリー7を充電できるので、カート1ごとの電源が不要となりカート収納置場60の設備を簡素化することができる。
【0051】
また、受電ユニット40a、40b及び送電ユニット41a、41bは、本体下部2aにおける載置部5aよりも前部に設けられることで、カート1の後側にて操作する利用者の足等が接触して破損することを防止できる。また、本体下部2aにおいて、本体上部2bを構成するフレーム部材31a、31bを支持する強固なベース部21の前後面に設けられることで、他の来店客や他のカート1との接触により破損することを防止できる。
【0052】
また、カート本体2における送電ユニット41a、41bの左右側に、後側に向けて延びるカート誘導フレームとしてのサイドフレーム部22a、22bが設けられていることで、前側のカート1の左右のサイドフレーム部22a、22bにより、後側のカート1の受電ユニット40a、40bが前側の送電ユニット41a、41bに案内されることで、接続端子40c、41c同士が接続されやすくなる。
【0053】
また、前後のカート1のベース部21同士が接触することで、前後のカート1の前後方向の相対位置が決定されるだけでなく、左右のサイドフレーム部22a、22bにより、前後のカート1の左右方向の相対位置が決定されることで互いに相対移動しにくくなるため、受電ユニット40a、40bと送電ユニット41a、41bの接続端子40c、41c同士の接続が解除されにくくなる。
【0054】
また、受電ユニット40a、40bの周囲を構成する前壁51はカバー部材25にて構成されている。つまり、受電ユニット40a、40bの周辺に緩衝材としてのカバー部材25が設けられていることで、受電ユニット40a、40b及び送電ユニット41a、41bの接続端子40c、41c同士が電気的に接続される際の衝撃がカバー部材25により緩和されるため、接続端子40c、41cの破損が防止される。
【0055】
また、カート本体2の本体上部2bは、2本のフレーム部材31a、31bと、該2本のフレーム部材31a、31bの外側を覆うカバー部材32と、から構成され、2本のフレーム部材31a、31b間にはバッテリー7が設けられていることで、バッテリー7を保持する別の格納場所を設ける必要がないので、省資源化を図ることができるとともに、余計な突設部も形成されないので体裁が良好なだけでなく、人的な安全性も確保される。
【0056】
また、カバー部材32の開閉部32aは、フレーム部材31a、31bに対して取外し可能に装着されていることで、バッテリー7の交換などのメンテナンスを容易に行うことが可能となる。
【0057】
以上、本発明の実施例を図面に基づいて説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内における追加や変更があっても、本発明に含まれる。
【0058】
例えば、前記実施例では、カートとして、前後方向にネスティング可能、かつ、商品の決済処理に使用される電子機器6を備えるカート1を前提として説明した。しかしながら、カート1は、必ずしも電子機器6を備える必要は無く、例えば、電子機器6を着脱可能に備えることが可能なカートであってもよい。この場合、カート1は、電子機器6、またはスマートフォン等の携帯端末もしくはタブレット端末等をカート本体2に着脱可能に設けることが可能な取付部材や、これら端末をバッテリー7に電気的に接続するための接続端子等を有していることが好ましい。そして、カート1のカート本体2には、電子機器6に電力を供給するバッテリー7が設けられるとともに、外部電源装置70の送電ユニット71a、71bに電気的に接続可能な受電ユニット40a、40bが前面側に設けられ、このカート1にネスティングされる後続のカート1の受電ユニット40a、40bに対して電力を供給する送電ユニット41a、41bが、受電ユニット40a、40bの後面側に設けられていればよい。
【0059】
また、前記実施例では、カート1は、平面視略二股状をなす本体下部2aと、本体下部2aの前部から上方に立設される板状の本体上部2bと、からカート本体2が構成される形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、カート本体2の形状は上記のものに限らず、種々の形状であってもよい。
【0060】
また、前記実施例では、受電部としての受電ユニット40a、40b及び送電部としての送電ユニット41a、41bは、カート本体2の本体下部2aの前部に設けられた形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、本体下部2aにおける他の箇所や、本体上部2b等に設けられていてもよい。
【0061】
尚、受電部は、前壁51に設けられているものだけでなく、例えば、サイドフレーム部22a、22bの外面などに斜め前側を向くように設けられているものを含む。また、送電部は、後壁53に設けられているものだけでなく、例えば、サイドフレーム部22a、22bの内面などに斜め後側を向くように設けられているものを含む。
【0062】
また、前記実施例では、受電部10としての受電ユニット40a、40bと、送電部11としての送電ユニット41a、41bとのうち、送電ユニット41a、41bが前後方向に移動可能に設けられた形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、受電ユニット40a、40bが前後方向に移動可能に設けられていてもよいし、受電ユニット40a、40b及び送電ユニット41a、41b双方が前後方向に移動可能に設けられていてもよい。あるいは、受電ユニット40a、40b及び送電ユニット41a、41bのいずれも前後方向に移動可能に設けられていなくてもよい。
【0063】
また、前記実施例では、受電部10は、前面に接続端子40cを有する受電ユニット40a、40bにて構成され、外部電源用送電部76を含む送電部11は、後面に接続端子41cを有する送電ユニット41a、41bにて構成される形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、受電部10や送電部11は、接続端子40c、41cのみにて構成されていてもよい。また、受電ユニット40a、40bや送電ユニット41a、41bは、接続端子40c、41cを有し、互いに嵌合可能な雌コネクタと雄コネクタにて構成されていてもよい。
【0064】
また、前記実施例では、接続端子40c、41c、71c同士が接触することにより、外部電源用送電部76や送電部11から受電部10への電力の供給が行われる形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、送電部から受電部への電力の供給が非接触により行われてもよい。
【0065】
また、前記実施例では、カート間の相対的な位置を決定する手段を有していない形態を説明したが、例えば、
図9に示される変形例のように、サイドフレーム部22a、22bの外面所定箇所に磁石MGsを設けるとともに、サイドフレーム部22a、22bの内面所定箇所に磁石MGnを設け、前後のカート(例えば、カート1A、1Bなど)が重なるように連なって収納されるときに、カート1Aの磁石MGnとカート1Bの磁石MGsが近接するようにしてもよい。このようにすることで、受電ユニット40a、40b及び送電ユニット41a、41bの接続端子40c、41c同士の電気的な接続が解除されることを防止することができる。